(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074251
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】エピタキシャル構成
(51)【国際特許分類】
H01L 21/338 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
H01L29/80 H
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023186895
(22)【出願日】2023-10-31
(31)【優先権主張番号】63/426,504
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515124783
【氏名又は名称】環球晶圓股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林伯融
(72)【発明者】
【氏名】劉嘉哲
(72)【発明者】
【氏名】林弘哲
(72)【発明者】
【氏名】荘志遠
【テーマコード(参考)】
5F102
【Fターム(参考)】
5F102GJ02
5F102GJ03
5F102GJ10
5F102GK04
5F102GK08
5F102GL04
(57)【要約】
【課題】応力を調節して提升耐圧を高める能力を有したエピタキシャル構成を提供する。
【解決手段】エピタキシャル構成は、基板、第一緩衝層、第二緩衝層及びチャネル層を含み、前記第一緩衝層は、前記基板の上方に位置し、第一部分を含み、前記第一部分は、三元系又は三元系以上の窒化物を含むと共に前記窒化物におけるアルミニウム原子の濃度が25at%以下であり、1x10
18cm
-3以上となるドーピング元素を有し、前記第二緩衝層は、前記第一緩衝層の上方に位置し、アルミニウムを含まないがドーピング元素を有し、前記チャネル層は、前記第二緩衝層の上方に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上方に位置し、第一部分を含んだものであって、前記第一部分は、三元系又は三元系以上の窒化物を含むと共に前記窒化物におけるアルミニウム原子の濃度が25at%以下であり、ドーピング濃度が1x1018cm-3となるドーピング元素を有する第一緩衝層と、
前記第一緩衝層の上方に位置し、アルミニウムを含まないがドーピング元素を有する第二緩衝層と、
前記第二緩衝層の上方に位置するチャネル層と、を含む、ことを特徴とするエピタキシャル構成。
【請求項2】
前記第一部分が前記第二緩衝層と接触している、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成。
【請求項3】
前記第一緩衝層は、第二部分を含み、
前記第二部分は、前記基板と前記第一部分との間に位置すると共に、対向する両側にそれぞれ前記基板と前記第一部分が接触しており、前記第二部分におけるアルミニウム原子の濃度が25at%よりも大きい、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成。
【請求項4】
前記第一緩衝層と前記第二緩衝層との厚さ比例が1.5以上でありながら10以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成。
【請求項5】
前記第一部分におけるドーピング元素が炭素、鉄又はマグネシウムである、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成。
【請求項6】
中央緩衝層を含み、
前記中央緩衝層は、前記第一緩衝層と前記第二緩衝層との間に位置すると共に、対向する両側にそれぞれ前記第一緩衝層と前記第二緩衝層が接触しており、前記中央緩衝層におけるアルミニウム原子の濃度が50at%以上でありながら厚さが10nm以下である、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成。
【請求項7】
前記第一部分は、前記窒化物を有した少なくとも一つの窒化物フィルム構成を含む、ことを特徴とする請求項1又は3に記載のエピタキシャル構成。
【請求項8】
前記第一部分は、超格子層を含み、
前記超格子層は、互いに重ね合わせられた少なくとも一つの三元系又は三元系以上の窒化物フィルムと少なくとも一つの二元窒化物フィルムとを含み、
前記少なくとも一つの三元系又は三元系以上の窒化物フィルムは、前記窒化物を有したものである、ことを特徴とする請求項1又は3に記載のエピタキシャル構成。
【請求項9】
前記第一部分は、少なくとも一つの中央層を含み、
前記中央層におけるアルミニウム原子の濃度が50at%以上でありながら厚さが10nm以下であり、前記中央層と前記窒化物フィルム構成とが重ね合わせられている、ことを特徴とする請求項7に記載のエピタキシャル構成。
【請求項10】
前記エピタキシャル構成は、耐電圧値が1x10-4A/cm2になる場合に、垂直耐電圧値が900V以上である、ことを特徴とする請求項1に記載のエピタキシャル構成。
【請求項11】
前記第一緩衝層における三元系又は三元系以上の窒化物は、アルミニウム原子の濃度分布が、前記第一緩衝層における前記基板と接触している側方より前記基板から離れた方向へ段々と減っていく、ことを特徴とする請求項1~6及び請求項10の何れか一項に記載のエピタキシャル構成。
【請求項12】
前記第一緩衝層における三元系又は三元系以上の窒化物は、アルミニウム原子の濃度分布が、前記第一緩衝層における前記基板と接触している側方より前記基板から離れた方向へ段々と減っていく、ことを特徴とする請求項7に記載のエピタキシャル構成。
【請求項13】
前記第一緩衝層における三元系又は三元系以上の窒化物は、アルミニウム原子の濃度分布が、前記第一緩衝層における前記基板と接触している側方より前記基板から離れた方向へ段々と減っていく、ことを特徴とする請求項8に記載のエピタキシャル構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エピタキシャル構成に関し、特に、応力を調節して耐圧を高める能力を有したエピタキシャル構成に関する。
【背景技術】
【0002】
既知の高電子移動度トランジスタ (High Electron Mobility Transistor、HEMT)は、二次元電子ガス(two dimensional electron gas、 2-DEG)を有したトランジスタである。その二次元電子ガスは、バンドギャップが異なる二種類の素材における異質接合面と近接している。高電子移動度トランジスタは、ドーピング領域をトランジスタのキャリアチャネルとして用いることなく、高電子移動度を持った二次元電子ガスをトランジスタのキャリアチャネルとして用いることから、崩潰電圧が高く、電子遷移度が高く、導通抵抗が低く、入力容量が低いなどの特性を有しており、パワーが高い半導体装置に幅広く適用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高電子移動度トランジスタは、応力を調節するように、ドーピングされずアルミニウムが含まれている緩衝層を基板上方に設置することが一般的である。しかしながら、ドーピングされずアルミニウムが含まれている既知の緩衝層は、耐圧効果が良くないという問題が存在していることから、応力を調節して耐圧を高める能力を有したエピタキシャル構成を如何して提供できるかということは、早めに解決すべき問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
このことに鑑み、本発明は、応力を調節して提升耐圧を高める能力を有したエピタキシャル構成を提供することができるという効果を図ることを目的とする。
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明が提供するエピタキシャル構成は、基板、第一緩衝層、第二緩衝層及びチャネル層を含み、前記第一緩衝層は、前記基板の上方に位置し、前記第一緩衝層は、第一部分を含み、前記第一部分は、三元系又は三元系以上の窒化物を含むと共に前記窒化物におけるアルミニウム原子の濃度が25at%以下であり、前記第一部分は、ドーピング濃度が1x1018 cm-3以上となるドーピング元素を有し、前記第二緩衝層は、前記第一緩衝層の上方に位置し、前記第二緩衝層は、アルミニウムを含まないがドーピング元素を有し、前記チャネル層は、前記第二緩衝層の上方に位置する。
【0006】
そのうち、前記第一部分が前記第二緩衝層と接触している。
【0007】
そのうち、前記第一緩衝層は、第二部分を含み、前記第二部分は、前記基板と前記第一部分との間に位置し、前記第二部分における対向する両側にそれぞれ前記基板と前記第一部分が接触しており、前記第二部分におけるアルミニウム原子の濃度が25at%よりも大きい。
【0008】
そのうち、前記第一緩衝層と前記第二緩衝層との厚さ比例が1.5以上でありながら10以下である。
【0009】
そのうち、前記第一部分におけるドーピング元素が炭素、鉄又はマグネシウムである。
【0010】
前記エピタキシャル構成は、中央緩衝層を含み、前記中央緩衝層は、前記第一緩衝層と前記第二緩衝層との間に位置すると共に、前記中央緩衝層における対向する両側それぞれに前記第一緩衝層と前記第二緩衝層が接触しており、前記中央緩衝層におけるアルミニウム原子の濃度が50 at%以上でありながら厚さが10nm以下である。
【0011】
そのうち、前記第一部分は、前記窒化物を有した少なくとも一つの窒化物フィルム構成を有する。
【0012】
そのうち、前記第一部分は、超格子層を含み、前記超格子層は、互いに重ね合わせられた少なくとも一つの三元系又は三元系以上の窒化物フィルムと少なくとも一つの二元窒化物フィルムとを含み、前記少なくとも一つの三元系又は三元系以上の窒化物フィルムは、前記窒化物を有したものである。
【0013】
そのうち、前記第一部分は、少なくとも一つの中央層を含み、前記中央層におけるアルミニウム原子の濃度が50at%以上でありながら厚さが10nm以下であり、前記中央層と前記窒化物フィルム構成とが重ね合わせられている。
【0014】
そのうち、前記エピタキシャル構成は、耐電圧値が1x10-4A/cm2になる場合に、垂直耐電圧値が900V以上である。
【0015】
そのうち、前記第一緩衝層における三元系又は三元系以上の窒化物は、アルミニウム原子の濃度分布が前記第一緩衝層における前記基板と接触している側方より前記基板から離れた方向に段々と減っていく。
【発明の効果】
【0016】
本発明による効果は、前記第一部分に三元系又は三元系以上の前記窒化物を含むと共に前記窒化物におけるアルミニウム原子の濃度が25at%以下であり、前記第一部分にドーピング濃度が1x1018cm-3以上となるドーピング元素を有するように設置されることにより、応力を調節することができるのみならず、前記エピタキシャル構成に耐圧能力を大幅に高めることができるということにある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の好ましい実施例に係るエピタキシャル構成を示す模式図である。
【
図2】本発明の他の好ましい実施例に係るエピタキシャル構成を示す模式図である。
【
図3】本発明の他の好ましい実施例に係るエピタキシャル構成を示す模式図である。
【
図4】本発明の他の好ましい実施例に係るエピタキシャル構成を示す模式図である。
【
図5】本発明の他の好ましい実施例に係るエピタキシャル構成を示す模式図である。
【
図6】本発明に係るエピタキシャル構成の電性を測定したグラフである。
【
図7】本発明の他の好ましい実施例に係るエピタキシャル構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を一層明確に説明するためには、好ましい実施例を挙げて図面を参照しながら以下に詳しく説明する。
図1に示すように、本発明の好ましい実施例に係るエピタキシャル構成1は、高電子移動度トランジスタに適用されており、本発明に係るエピタキシャル構成1は、有機金属気相成長法(MOCVD)により沈積して形成されたものであってもよい。
【0019】
図1を参照すると、前記エピタキシャル構成1は、基板10、第一緩衝層20、第二緩衝層30及びチャネル層40を含む。前記第一緩衝層20は、前記基板10の上方に位置する。前記第一緩衝層20は、第一部分21を含む。前記第一部分21は、三元系又は三元系以上の窒化物を含むと共に前記窒化物におけるアルミニウム原子の濃度が25at%以下である。また、前記第一部分21は、ドーピング濃度が1x10
18cm
-3以上となるドーピング元素を有する。前記第二緩衝層30は、前記第一緩衝層20の上方に位置する。前記第二緩衝層30は、アルミニウムを含まないがドーピング元素を有する。さらに、前記チャネル層40は、前記第二緩衝層30の上方に位置する。そして、前記第一部分21に三元系又は三元系以上の前記窒化物を含むと共に前記窒化物におけるアルミニウム原子の濃度が25at%以下であり、前記第一部分21にドーピング濃度が1x10
18cm
-3となるドーピング元素を有するように設置されることにより、応力を調節することができるのみならず、前記エピタキシャル構成1に耐圧能力を大幅に高めることができる。
【0020】
そのうち、前記第一緩衝層20と前記第二緩衝層30とについては、厚さD1、D2の比例が1.5以上でありながら10以下であり、一層好ましくは、3以上でありながら5以下であり、最も好ましくは、5である。本実施例では、前記第一緩衝層20における厚さD1が4.5umであると共に前記第二緩衝層30における厚さD2が1.5umであることを例に説明する。
【0021】
本実施例では、前記基板10がシリコン基板であることを例に説明する。他の実施例では、前記基板10が例えば炭化ケイ素基板又はサファイア基板であってもよい。本実施例では、前記三元系又は三元系以上の前記窒化物が窒化ガリウムアルミニウムであることを例に説明する。また、前記第一部分21におけるドーピング元素が炭素とされるが、実際に、前記ドーピング元素が例えば鉄又はマグネシウムのドーピング元素であってもよい。など、説明するのは、本実施例において、前記第二緩衝層30が炭素をドーピングした窒化ガリウム層であることを例に説明する。前記第二緩衝層は、超格子構成層であってもよい。他の実施例では、三元系以上の前記窒化物が窒化インジウム ガリウム アルミニウムであってもよい。
【0022】
次に、
図1を参照すると、本実施例において、前記第一部分21が前記第二緩衝層30と接触している。言い換えれば、前記第一部分21を成長させたと、次に前記第二緩衝層30を成長させる。前記第一緩衝層20は、第二部分22を含む。前記第二部分22は、前記基板10と前記第一部分21との間に位置すると共に、前記第二部分22における対向する両側にそれぞれ前記基板10と前記第一部分21とが接触している。つまり、先に前記基板10の上方に前記第二部分22を成長させてから引き続き前記第一部分21を成長させる。そのうち、前記第二部分22は、アルミニウム原子の濃度が25at%よりも大きい。前記第二部分22については、窒化ガリウムアルミニウムを含んだ構成であることを例に説明する。また、前記第二部分22は、ドーピング元素を有さない。
【0023】
そのうち、前記第一部分21は、前記三元系又は三元系以上の前記窒化物を有した少なくとも一つの窒化物フィルム構成を含む。本実施例では、前記第一部分21と前記第二部分22は、
図1に示すように、それぞれ、単層となる窒化物フィルム構成である。他の実施例では、前記第一部分21又は前記第二部分22は、それぞれ、複数の層を有した窒化物フィルム構成であってもよい。例えば、第一部分21において、アルミニウムの濃度が25%以下である複数の層だけの窒化物フィルム構成は、少なくとも一層以上であり、例に挙げると、三層(25%、18%、7%)であってもよい。
図2に示すように、エピタキシャル構成2について、前記第一部分21は、窒化物フィルム構成を三層だけ含み、それぞれがアルミニウム原子の濃度が25at%となる第一窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成211、アルミニウム原子の濃度が18at%となる第二窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成212、及び、アルミニウム原子の濃度が7at%となる第三窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成213である。また、前記第一窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成211、前記第二窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成212及び前記第三窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成213は、それらの炭素ドーピング濃度がいずれも1x10
18cm
-3以上である。前記第二部分22は、
図2に示すように、二層だけの構成を含んでもよい。それぞれは、アルミニウム原子の濃度が75at%となる第四窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成221及びアルミニウム原子の濃度が50at%となる第五窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成222である。
【0024】
それ以外、前記第一部分21又は前記第二部分22は、それぞれ超格子構成を含んでもよい。それにより、応力を調節する能力を高めることができる。
図3に示すように、エピタキシャル構成3は、前記第一部分21に、超格子層214を含む。前記超格子層214は、互いに重ね合わせられた少なくとも一つの三元系又は三元系以上の窒化物フィルムと少なくとも一つの二元窒化物フィルムとを含む。前記少なくとも一つの三元系又は三元系以上の窒化物フィルムは、前記三元系又は三元系以上の前記窒化物を含む。前記三元系窒化物フィルムは、アルミニウム原子の濃度が25at%となる窒化ガリウムアルミニウムフィルムであってもよいし、前記二元窒化物フィルムは、窒化アルミニウムフィルムであってもよい。
【0025】
次に、
図3を引き続き参照すると、前記エピタキシャル構成3は、前記第二部分22に、それぞれ第一超格子層223と第二超格子層224となる二つの超格子層を含む。第一超格子層223は、互いに重ね合わせられた窒化ガリウムアルミニウムフィルムと窒化アルミニウムフィルムとを複数含み、窒化ガリウムアルミニウムフィルムにおけるアルミニウム原子の濃度が75at%である。第二超格子層224は、互いに重ね合わせられた窒化ガリウムアルミニウムフィルムと窒化アルミニウムフィルムを複数含み、窒化ガリウムアルミニウムフィルムにおけるアルミニウム原子の濃度が50at%である。
【0026】
他の実施例では、前記エピタキシャル構成4は、前記第一部分21が単層の前記窒化物フィルム構成以外に、少なくとも一つの中央層215をさらに含む。前記中央層215は、アルミニウム原子の濃度が50at%以上でありながら厚さが10nm以下である。前記中央層215と単層の前記窒化物フィルム構成とは、重ね合わせられている。そのうち、
図4に示すように、前記中央層215は、二つの単層の前記窒化物フィルム構成間に挟まれている一層の窒化アルミニウムフィルムであってもよいが、実際に、前記中央層215の数が複数であって複数の単層の窒化物フィルム構成と千鳥状に重ね合わせられるように設置されてもよい。
【0027】
他の実施例では、
図5に示すように、前記エピタキシャル構成5は、前記第一緩衝層20と前記第二緩衝層30との間に位置する中央緩衝層50をさらに含むと共に、前記中央緩衝層50における対向する両側にそれぞれ前記第一緩衝層20と前記第二緩衝層30が接触している。前記中央緩衝層50は、アルミニウム原子の濃度が50 at%以上でありながら厚さが10nm以下である。前記中央緩衝層50は、窒化アルミニウムを含むと共にアルミニウム原子の濃度が50at%以上となるものであってもよく、応力を調節できる役割を有する。
【0028】
なお、説明するのは、上記の各実施例において、前記第一緩衝層20における三元系又は三元系以上の窒化物は、アルミニウム原子の濃度分布が、前記第一緩衝層20における前記基板10と接触し又は近接する側方より、前記基板10から離れた方向に段々と減っていく。前記の「段々と減っていく」は、段階的に段々と減っていくとよいし、連続的に段々と減っていくともよい。
【0029】
前記実施例において、前記エピタキシャル構成3は、耐電圧値が1x10-4 A/cm2となる場合に、前記エピタキシャル構成3における垂直耐電圧値が900V以上である。以下、比較例1、実施例1及び実施例2に基づいてさらに説明する。
【0030】
そのうち、比較例1に係るエピタキシャル構成は、上記の実施例において
図3に示すようにエピタキシャル構成3とほぼ同じである。しかしながら、相違点は、比較例1に係る第一部分21にドーピングを有さないことにある。実施例1に係るエピタキシャル構成3は、
図3に示す構成と同じであり、前記第一部分21に1x10
18cm
-3以上となる炭素ドーピングを有する。また、
図6に示すように、実施例1に係るエピタキシャル構成は、より良い耐圧能力を有し、正方向に走査する電圧であっても、負方向に走査する電圧であっても、実施例1に係る電流値の絶対値が比較例1に係る電流値の絶対値よりも小さい。それにより分かるように、前記第一部分21に1x10
18 cm
-3以上となる炭素ドーピングを有することにより、エピタキシャル構成に耐圧能力を効果よく高めることができる。
【0031】
なお、説明するのは、
図7に示すように、実施例2に係るエピタキシャル構成6が上記の実施例において
図3に示すようにエピタキシャル構成3とほぼ同じである。しかしながら、相違点は、実施例2に係るエピタキシャル構成6は、第一部分21が、前記超格子層214以外に、アルミニウム原子の濃度が18at%となる窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成216及びアルミニウム原子の濃度が7at%となる窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成217をさらに含むということにある。
図6に示すように、実施例2に係るエピタキシャル構成5は、より良い耐圧能力を有し、正方向に走査する電圧であれ、負方向に走査する電圧であれ、実施例2に係る電流値の絶対値が比較例1と実施例1とに係る電流値の絶対値よりも小さく、言い換えれば、前記第一部分21の厚さを増やすことによりエピタキシャル構成に耐圧能力を効果良く高めることができる。
【0032】
以上より、本発明に係る前記第一部分に三元系又は三元系以上の前記窒化物が含まれると共に前記窒化物におけるアルミニウム原子の濃度が25at%以下であり、前記第一部分にドーピング濃度が1x1018cm-3以上となるドーピング元素を有するように設置されることにより、応力を調整することができるのみならず、前記エピタキシャル構成に耐圧能力を大幅に高めることができる。
【0033】
以上は、本発明における好ましい実施可能実施例に過ぎず、本発明の明細書及び特許の範囲に基づいた如何なる均等置換が本発明の特許範囲に含まれるとは言うまでもない。
【符号の説明】
【0034】
1、2、3、4、5、6 エピタキシャル構成
10 基板
20 第一緩衝層
21 第一部分
211 第一窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成
212 第二窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成
213 第三窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成
214 超格子層
215 中央層
216、217 窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成
22 第二部分
221 第四窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成
222 第五窒化ガリウムアルミニウムフィルム構成
223 第一超格子層
224 第二超格子層
30 第二緩衝層
40 チャネル層
50 中央緩衝層
D1、D2 厚さ