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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074252
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】血液採取容器
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20240523BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20240523BHJP
【FI】
G01N1/10 V
G01N33/48 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023188518
(22)【出願日】2023-11-02
(31)【優先権主張番号】P 2022184944
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】390037327
【氏名又は名称】積水メディカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001232
【氏名又は名称】弁理士法人大阪フロント特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神田 まりか
(72)【発明者】
【氏名】内山 嵩也
(72)【発明者】
【氏名】井上 智雅
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
【Fターム(参考)】
2G045CA25
2G045HA06
2G045JA09
2G052AA30
2G052DA02
2G052DA12
2G052FB02
(57)【要約】
【課題】セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤の血液への溶解性を良好にすることができ、かつ、血液の部分凝固の発生及び溶血の発生を抑えることができる血液採取容器を提供する。
【解決手段】本発明に係る血液採取容器は、閉口端を有する血液採取容器本体と、セリンプロテアーゼ阻害剤と、抗凝固剤とを備え、前記セリンプロテアーゼ阻害剤が、前記血液採取容器本体の内面上に配置されており、血液採取容器を正立状態としたときに、前記抗凝固剤の少なくとも一部が、前記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域よりも前記血液採取容器本体の前記閉口端側に存在する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉口端を有する血液採取容器本体と、
セリンプロテアーゼ阻害剤と、
抗凝固剤とを備え、
前記セリンプロテアーゼ阻害剤が、前記血液採取容器本体の内面上に配置されており、
血液採取容器を正立状態としたときに、前記抗凝固剤の少なくとも一部が、前記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域よりも前記血液採取容器本体の前記閉口端側に存在する、血液採取容器。
【請求項2】
前記セリンプロテアーゼ阻害剤が、アプロチニン又はDPP-4阻害剤を含む、請求項1に記載の血液採取容器。
【請求項3】
前記セリンプロテアーゼ阻害剤が、アプロチニンとDPP-4阻害剤とを含む、請求項2に記載の血液採取容器。
【請求項4】
前記DPP-4阻害剤が、シタグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、ビルダグリプチン、アナグリプチン、又はテネリグリプチンを含む、請求項2又は3に記載の血液採取容器。
【請求項5】
前記抗凝固剤が、EDTA、EDTAの金属塩、ヘパリン、ヘパリン塩、クエン酸又はクエン酸塩である、請求項1~3のいずれか1項に記載の血液採取容器。
【請求項6】
前記抗凝固剤が、顆粒状の抗凝固剤である、請求項1~3のいずれか1項に記載の血液採取容器。
【請求項7】
前記顆粒状の抗凝固剤の平均粒径が、200μm以上1000μm以下である、請求項6に記載の血液採取容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、血液採取容器に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査において、セリンプロテアーゼ阻害剤と抗凝固剤とが収容された採血管等の血液採取容器が用いられることがある。例えば、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)又は副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)等を対象とする検査では、アプロチニン(セリンプロテアーゼ阻害剤)と抗凝固剤とが収容された採血管が用いられている。
【0003】
従来、上記採血管として、セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤を含む薬剤(セリンプロテアーゼ阻害剤と抗凝固剤との混合物)が採血管本体の内面に塗布された採血管が広く用いられている。
【0004】
また、下記の特許文献1の実施例には、プラスチック管又はガラス管の内面にヘパリンリチウム溶液を塗装して乾燥した後、プロテアーゼ阻害剤を含む水溶液をプラスチック管に収容し、次いで、凍結乾燥させて得られた血液採取管が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2003/097237A2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般に、セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤等の薬剤が収容された血液採取容器では、血液が採取された血液採取容器を転倒混和して、血液に薬剤を溶解させる。しかしながら、従来の血液採取容器では、薬剤が血液に十分に溶解しないことがある。薬剤が血液に十分に溶解しない場合、血液の部分凝固が発生したり、溶血が発生したりすることがある。
【0007】
本発明の目的は、セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤の血液への溶解性を良好にすることができ、かつ、血液の部分凝固の発生及び溶血の発生を抑えることができる血液採取容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書において、以下の血液採取容器を開示する。
【0009】
項1.閉口端を有する血液採取容器本体と、セリンプロテアーゼ阻害剤と、抗凝固剤とを備え、前記セリンプロテアーゼ阻害剤が、前記血液採取容器本体の内面上に配置されており、血液採取容器を正立状態としたときに、前記抗凝固剤の少なくとも一部が、前記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域よりも前記血液採取容器本体の前記閉口端側に存在する、血液採取容器。
【0010】
項2.前記セリンプロテアーゼ阻害剤が、アプロチニン又はDPP-4阻害剤を含む、項1に記載の血液採取容器。
【0011】
項3.前記セリンプロテアーゼ阻害剤が、アプロチニンとDPP-4阻害剤とを含む、項1又は2に記載の血液採取容器。
【0012】
項4.前記DPP-4阻害剤が、シタグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、ビルダグリプチン、アナグリプチン、又はテネリグリプチンを含む、項2又は3に記載の血液採取容器。
【0013】
項5.前記抗凝固剤が、EDTA、EDTAの金属塩、ヘパリン、ヘパリン塩、クエン酸又はクエン酸塩である、項1~4のいずれか1項に記載の血液採取容器。
【0014】
項6.前記抗凝固剤が、顆粒状の抗凝固剤である、項1~5のいずれか1項に記載の血液採取容器。
【0015】
項7.前記顆粒状の抗凝固剤の平均粒径が、200μm以上1000μm以下である、項6に記載の血液採取容器。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る血液採取容器は、閉口端を有する血液採取容器本体と、セリンプロテアーゼ阻害剤と、抗凝固剤とを備える。本発明に係る血液採取容器では、上記セリンプロテアーゼ阻害剤が、上記血液採取容器本体の内面上に配置されており、血液採取容器を正立状態としたときに、上記抗凝固剤の少なくとも一部が、上記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域よりも上記血液採取容器本体の上記閉口端側に存在する。本発明に係る血液採取容器では、上記の構成が備えられているので、セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤の血液への溶解性を良好にすることができ、かつ、血液の部分凝固の発生及び溶血の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
図2図2は、本発明の第2の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
図3図3は、本発明の第3の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
図4図4は、本発明の第4の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
図5図5は、本発明の第5の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
図6図6は、本発明の第6の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
(血液採取容器)
本発明に係る血液採取容器は、閉口端を有する血液採取容器本体と、セリンプロテアーゼ阻害剤と、抗凝固剤とを備える。本発明に係る血液採取容器では、上記セリンプロテアーゼ阻害剤が、上記血液採取容器本体の内面上に配置されており、血液採取容器を正立状態としたときに、上記抗凝固剤の少なくとも一部が、上記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域よりも上記血液採取容器本体の上記閉口端側に存在する。
【0020】
本発明に係る血液採取容器では、上記の構成が備えられているので、セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤の血液への溶解性を良好にすることができ、かつ、血液の部分凝固の発生及び溶血の発生を抑えることができる。
【0021】
従来、セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤を含む薬剤(セリンプロテアーゼ阻害剤と抗凝固剤との混合物)が血液採取容器本体の内面に塗布された血液採取容器が広く用いられている。しかしながら、この血液採取容器では、セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤が血液に十分に溶解せず、血液の部分凝固が発生したり、溶血が発生したりすることがある。例えば、従来の血液採取容器では、血液採取後の転倒混和が不十分である場合、薬剤が血液全体に行き渡らず、血液の部分凝固が発生することがある。また、従来の血液採取容器では、血液採取後の転倒混和が不十分である場合、血液採取容器本体の内面上に薬剤が残存し、残存した薬剤に血液が付着して溶血が発生することがある。
【0022】
本発明者らは、セリンプロテアーゼ阻害剤と抗凝固剤とを混合せず、かつセリンプロテアーゼ阻害剤が存在する領域と抗凝固剤が存在する領域とを特定の位置関係とすることにより、セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤の血液への溶解性を良好にできること、並びに、血液の部分凝固の発生及び溶血の発生を抑えることができることを見出した。すなわち、本発明者らは、上記の構成を備える血液採取容器であれば、セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤の血液への溶解性を良好にすることができ、かつ、血液の部分凝固の発生及び溶血の発生を抑えることができることを見出した。
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施形態を説明する。以下の図1~6では、血液採取容器を正立状態としたときの正面断面図が示されている。上記正立状態とは、血液採取容器本体の閉口端が下側に位置する状態である。
【0024】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
【0025】
図1に示す血液採取容器11は、セリンプロテアーゼ阻害剤1と、抗凝固剤2と、血液採取容器本体3と、栓体4とを備える。血液採取容器本体3は、閉口端3aと開口端3bとを有する。閉口端3aは血液採取容器本体3の長さ方向における一端であり、開口端3bは血液採取容器本体3の長さ方向における他端である。セリンプロテアーゼ阻害剤1及び抗凝固剤2はそれぞれ、血液採取容器本体3内に収容されている。栓体4は、血液採取容器本体3の開口端3bに取り付けられている。血液採取容器11は、管状であり、真空採血管である。
【0026】
セリンプロテアーゼ阻害剤1は、血液採取容器本体3の内面3c上に配置されている。セリンプロテアーゼ阻害剤1は、血液採取容器本体3の内面3cに付着している。セリンプロテアーゼ阻害剤1は、血液採取容器本体3の内面3c上にて、層状に配置されている。
【0027】
セリンプロテアーゼ阻害剤1が配置された領域R1は、円環状の領域である。セリンプロテアーゼ阻害剤1が配置された領域R1における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部1aは、血液採取容器本体3の閉口端3aよりも上方に位置する。セリンプロテアーゼ阻害剤1が配置された領域R1における血液採取容器本体3の開口端3b側の端部1bは、血液採取容器本体3の開口端3bよりも下方に位置する。
【0028】
抗凝固剤2は、顆粒状の形態で血液採取容器本体3内に収容されている。抗凝固剤2は、顆粒状の抗凝固剤である。抗凝固剤2は、セリンプロテアーゼ阻害剤1が配置された領域R1よりも、血液採取容器本体3の閉口端3a側に存在する。抗凝固剤2は、セリンプロテアーゼ阻害剤1が配置された領域R1における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部1aよりも、閉口端3a側に存在する。
【0029】
図1では、顆粒状の抗凝固剤2の全てが、セリンプロテアーゼ阻害剤1が配置された領域R1よりも、血液採取容器本体3の閉口端3a側に存在している。しかしながら、本発明では、抗凝固剤2の少なくとも一部が、セリンプロテアーゼ阻害剤1が配置された領域R1よりも、血液採取容器本体3の閉口端3a側に存在していればよい。例えば、血液採取容器11を輸送する際の振動等により、顆粒状の抗凝固剤2の一部が、セリンプロテアーゼ阻害剤1が配置された領域R1に付着する場合がある。
【0030】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
【0031】
図2に示す血液採取容器11Aは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Aと、抗凝固剤2Aと、血液採取容器本体3と、栓体4とを備える。血液採取容器本体3は、閉口端3aと開口端3bとを有する。閉口端3aは血液採取容器本体3の長さ方向における一端であり、開口端3bは血液採取容器本体3の長さ方向における他端である。セリンプロテアーゼ阻害剤1A及び抗凝固剤2Aはそれぞれ、血液採取容器本体3内に収容されている。栓体4は、血液採取容器本体3の開口端3bに取り付けられている。血液採取容器11Aは、管状であり、真空採血管である。
【0032】
セリンプロテアーゼ阻害剤1Aは、血液採取容器本体3の内面3c上に配置されている。セリンプロテアーゼ阻害剤1Aは、血液採取容器本体3の内面3cに付着している。セリンプロテアーゼ阻害剤1Aは、血液採取容器本体3の内面3c上にて、層状に配置されている。
【0033】
セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1は、円環状の領域である。セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部1Aaは、血液採取容器本体3の閉口端3aよりも上方に位置する。セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1における血液採取容器本体3の開口端3b側の端部1Abは、血液採取容器本体3の開口端3bよりも下方に位置する。
【0034】
抗凝固剤2Aは、血液採取容器本体3の内面3c上に配置されている。抗凝固剤2Aは、血液採取容器本体3の内面3cに付着している。抗凝固剤2Aは、血液採取容器本体3の内面3c上にて、層状に配置されている。
【0035】
抗凝固剤2Aが配置された領域R2は、円環状の領域である。抗凝固剤2Aが配置された領域R2における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部2Aaは、血液採取容器本体3の閉口端3aよりも上方に位置する。抗凝固剤2Aが配置された領域R2における血液採取容器本体3の開口端3b側の端部2Abは、血液採取容器本体3の開口端3bよりも下方に位置する。
【0036】
血液採取容器11Aでは、抗凝固剤2Aの少なくとも一部が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1よりも、血液採取容器本体3の閉口端3a側に存在する。血液採取容器11Aでは、抗凝固剤2Aの少なくとも一部が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部1Aaよりも、閉口端3a側に存在する。
【0037】
血液採取容器11Aでは、抗凝固剤2Aが配置された領域R2が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1の閉口端3a側の端部1Aaよりも閉口端3a側に存在する領域を有する。抗凝固剤2Aが配置された領域R2の閉口端3a側の端部2Aaは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1の閉口端3a側の端部1Aaよりも、閉口端3a側に位置する。
【0038】
血液採取容器11Aでは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1が、抗凝固剤2Aが配置された領域R2の開口端3b側の端部2Abよりも開口端3b側に存在する領域を有する。セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1の開口端3b側の端部1Abは、抗凝固剤2Aが配置された領域R2の開口端3b側の端部2Abよりも、開口端3b側に位置する。
【0039】
血液採取容器11Aでは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1の閉口端3a側の端部1Aaが、抗凝固剤2Aが配置された領域R2の開口端3b側の端部2Abよりも、閉口端3a側に位置する。したがって、血液採取容器11Aでは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Aが配置された領域R1と抗凝固剤2Aが配置された領域R2とが重なる重複領域R12が存在する。血液採取容器11Aでは、重複領域R12は、円環状の領域である。
【0040】
重複領域R12では、セリンプロテアーゼ阻害剤1Aと抗凝固剤2Aとが混在して存在している。
【0041】
図3は、本発明の第3の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
【0042】
図3に示す血液採取容器11Bは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Bと、抗凝固剤2Bと、血液採取容器本体3と、栓体4とを備える。血液採取容器本体3は、閉口端3aと開口端3bとを有する。閉口端3aは血液採取容器本体3の長さ方向における一端であり、開口端3bは血液採取容器本体3の長さ方向における他端である。セリンプロテアーゼ阻害剤1B及び抗凝固剤2Bはそれぞれ、血液採取容器本体3内に収容されている。栓体4は、血液採取容器本体3の開口端3bに取り付けられている。血液採取容器11Bは、管状であり、真空採血管である。
【0043】
セリンプロテアーゼ阻害剤1Bは、血液採取容器本体3の内面3c上に配置されている。セリンプロテアーゼ阻害剤1Bは、血液採取容器本体3の内面3cに付着している。セリンプロテアーゼ阻害剤1Bは、血液採取容器本体3の内面3c上にて、層状に配置されている。
【0044】
セリンプロテアーゼ阻害剤1Bが配置された領域R1は、円環状の領域である。セリンプロテアーゼ阻害剤1Bが配置された領域R1における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部1Baは、血液採取容器本体3の閉口端3aよりも上方に位置する。セリンプロテアーゼ阻害剤1Bが配置された領域R1における血液採取容器本体3の開口端3b側の端部1Bbは、血液採取容器本体3の開口端3bよりも下方に位置する。
【0045】
抗凝固剤2Bは、血液採取容器本体3の内面3c上に配置されている。抗凝固剤2Bは、血液採取容器本体3の内面3cに付着している。抗凝固剤2Bは、血液採取容器本体3の内面3c上にて、層状に配置されている。
【0046】
抗凝固剤2Bが配置された領域R2は、円環状の領域である。抗凝固剤2Bが配置された領域R2における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部2Baは、血液採取容器本体3の閉口端3aよりも上方に位置する。抗凝固剤2Bが配置された領域R2における血液採取容器本体3の開口端3b側の端部2Bbは、血液採取容器本体3の開口端3bよりも下方に位置する。
【0047】
血液採取容器11Bでは、抗凝固剤2Bの全体が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Bが配置された領域R1よりも、血液採取容器本体3の閉口端3a側に存在する。血液採取容器11Bでは、抗凝固剤2Bの全体が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Bが配置された領域R1における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部1Baよりも、閉口端3a側に存在する。
【0048】
したがって、血液採取容器11Bでは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Bが配置された領域R1と抗凝固剤2Bが配置された領域R2とが重なる重複領域が存在しない。
【0049】
図4は、本発明の第4の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
【0050】
図4に示す血液採取容器11Cは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Cと、抗凝固剤2Cと、血液採取容器本体3と、栓体4とを備える。血液採取容器本体3は、閉口端3aと開口端3bとを有する。閉口端3aは血液採取容器本体3の長さ方向における一端であり、開口端3bは血液採取容器本体3の長さ方向における他端である。セリンプロテアーゼ阻害剤1C及び抗凝固剤2Cはそれぞれ、血液採取容器本体3内に収容されている。栓体4は、血液採取容器本体3の開口端3bに取り付けられている。血液採取容器11Cは、管状であり、真空採血管である。
【0051】
セリンプロテアーゼ阻害剤1Cは、血液採取容器本体3の内面3c上に配置されている。セリンプロテアーゼ阻害剤1Cは、血液採取容器本体3の内面3cに付着している。セリンプロテアーゼ阻害剤1Cは、血液採取容器本体3の内面3c上にて、層状に配置されている。なお、図示の都合上、図4では、セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが、抗凝固剤2Cが配置された領域よりも内側に配置されている。
【0052】
セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが配置された領域R1は、円環状の領域である。セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが配置された領域R1における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部1Caは、血液採取容器本体3の閉口端3aよりも上方に位置する。セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが配置された領域R1における血液採取容器本体3の開口端3b側の端部1Cbは、血液採取容器本体3の開口端3bよりも下方に位置する。
【0053】
抗凝固剤2Cは、血液採取容器本体3の内面3c上に配置されている。抗凝固剤2Cは、血液採取容器本体3の内面3cに付着している。抗凝固剤2Cは、血液採取容器本体3の内面3c上にて、層状に配置されている。
【0054】
抗凝固剤2Cが配置された領域R2は、円環状の領域である。抗凝固剤2Cが配置された領域R2における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部2Caは、血液採取容器本体3の閉口端3aよりも上方に位置する。抗凝固剤2Cが配置された領域R2における血液採取容器本体3の開口端3b側の端部2Cbは、血液採取容器本体3の開口端3bよりも下方に位置する。
【0055】
血液採取容器11Cでは、抗凝固剤2Cの少なくとも一部が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが配置された領域R1よりも、血液採取容器本体3の閉口端3a側に存在する。血液採取容器11Cでは、抗凝固剤2Cの少なくとも一部が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが配置された領域R1における血液採取容器本体3の閉口端3a側の端部1Caよりも、閉口端3a側に存在する。
【0056】
血液採取容器11Cでは、抗凝固剤2Cが配置された領域R2が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが配置された領域R1の閉口端3a側の端部1Caよりも閉口端3a側に存在する領域を有する。抗凝固剤2Cが配置された領域R2の閉口端3a側の端部2Caは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが配置された領域R1の閉口端3a側の端部1Caよりも、閉口端3a側に位置する。
【0057】
血液採取容器11Cでは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが配置された領域R1の開口端3b側の端部1Cbと、抗凝固剤2Cが配置された領域R2の開口端3b側の端部2Cbとは、同じ位置に存在する。したがって、血液採取容器11Cでは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが配置された領域R1と抗凝固剤2Cが配置された領域R2とが重なる重複領域R12が存在する。血液採取容器11Cでは、重複領域R12は、円環状の領域である。重複領域R12は、セリンプロテアーゼ阻害剤1Cが配置された領域R1と一致する。
【0058】
重複領域R12では、セリンプロテアーゼ阻害剤1Cと抗凝固剤2Cとが混在して存在している。
【0059】
図5は、本発明の第5の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
【0060】
図5に示す血液採取容器11Dは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Dと、抗凝固剤2Dと、血液採取容器本体3と、栓体4とを備える。血液採取容器本体3は、閉口端3aと開口端3bとを有する。閉口端3aは血液採取容器本体3の長さ方向における一端であり、開口端3bは血液採取容器本体3の長さ方向における他端である。セリンプロテアーゼ阻害剤1D及び抗凝固剤2Dはそれぞれ、血液採取容器本体3内に収容されている。栓体4は、血液採取容器本体3の開口端3bに取り付けられている。血液採取容器11Dは、管状であり、真空採血管である。
【0061】
図1に示す血液採取容器11と、図5に示す血液採取容器11Dとでは、抗凝固剤の収容形態が異なる。すなわち、図1に示す血液採取容器11では、抗凝固剤が顆粒の状態で血液採取容器本体3内に収容されているのに対して、図5に示す血液採取容器11Dでは、抗凝固剤が粉体の状態で血液採取容器本体3内に収容されている。血液採取容器11Dのその他の点は、血液採取容器11と同じである。
【0062】
図5では、粉体状の抗凝固剤2Dの全てが、セリンプロテアーゼ阻害剤1Dが配置された領域R1よりも、血液採取容器本体3の閉口端3a側に存在している。しかしながら、本発明では、抗凝固剤2Dの少なくとも一部が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Dが配置された領域R1よりも、血液採取容器本体3の閉口端3a側に存在していればよい。例えば、血液採取容器11Dを輸送する際の振動等により、粉体状の抗凝固剤2Dの一部が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Dが配置された領域R1に付着する場合がある。
【0063】
図6は、本発明の第6の実施形態に係る血液採取容器を模式的に示す正面断面図である。
【0064】
図6に示す血液採取容器11Eは、セリンプロテアーゼ阻害剤1Eと、抗凝固剤を含む液2Eと、血液採取容器本体3と、栓体4とを備える。血液採取容器本体3は、閉口端3aと開口端3bとを有する。閉口端3aは血液採取容器本体3の長さ方向における一端であり、開口端3bは血液採取容器本体3の長さ方向における他端である。セリンプロテアーゼ阻害剤1E及び抗凝固剤を含む液2Eはそれぞれ、血液採取容器本体3内に収容されている。栓体4は、血液採取容器本体3の開口端3bに取り付けられている。血液採取容器11Eは、管状であり、真空採血管である。
【0065】
図1に示す血液採取容器11と、図6に示す血液採取容器11Eとでは、抗凝固剤の収容形態が異なる。すなわち、図1に示す血液採取容器11では、抗凝固剤が顆粒の状態で血液採取容器本体3内に収容されているのに対して、図6に示す血液採取容器11Eでは、抗凝固剤が液体に溶解した状態で血液採取容器本体3内に収容されている。血液採取容器11Eのその他の点は、血液採取容器11と同じである。
【0066】
図6では、抗凝固剤を含む液2Eの全てが、セリンプロテアーゼ阻害剤1Eが配置された領域R1よりも、血液採取容器本体3の閉口端3a側に存在している。しかしながら、本発明では、抗凝固剤を含む液2Eの少なくとも一部が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Eが配置された領域R1よりも、血液採取容器本体3の閉口端3a側に存在していればよい。例えば、血液採取容器11Eを輸送する際の振動等により、抗凝固剤を含む液2Eの一部が、セリンプロテアーゼ阻害剤1Eが配置された領域R1に付着する場合がある。
【0067】
以下、本発明に係る血液採取容器を更に詳細に説明する。
【0068】
<セリンプロテアーゼ阻害剤>
上記セリンプロテアーゼ阻害剤は、上記血液採取容器本体の内面上に配置されている。上記セリンプロテアーゼ阻害剤は、上記血液採取容器本体の内面上にて、層状に配置されていることが好ましい。上記セリンプロテアーゼ阻害剤は、上記血液採取容器本体の内面に付着していることが好ましい。この場合に、上記セリンプロテアーゼ阻害剤は、例えば、後述の水溶性バインダー等を介して、上記血液採取容器本体の内面に付着していてもよい。上記セリンプロテアーゼ阻害剤を用いることにより、血液中の測定物質がセリンプロテアーゼにより分解されることを防ぐことができる。
【0069】
上記セリンプロテアーゼ阻害剤として、従来公知のセリンプロテアーゼ阻害剤を使用可能である。上記セリンプロテアーゼ阻害剤としては、アプロチニン、DPP-4阻害剤(ジペプチジルペプチダーゼ4阻害剤)、アンチトリプシン、アンチトロンビン、AEBSF(フッ化 4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホニル塩酸塩)、及びベンザミジン等が挙げられる。上記セリンプロテアーゼ阻害剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0070】
上記DPP-4阻害剤としては、シタグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、ビルダグリプチン、アナグリプチン、及びテネリグリプチンが挙げられる。
【0071】
上記セリンプロテアーゼ阻害剤は、アプロチニン又はDPP-4阻害剤を含むことが好ましく、アプロチニンとDPP-4阻害剤とを含むことがより好ましく、アプロチニンであることが更に好ましい。この場合には、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)及び副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)等を対象とする検査を精度よく行うことができる。なお、上記アプロチニンは、牛肺由来のアプロチニンであってもよい。
【0072】
上記DPP-4阻害剤は、シタグリプチン、サクサグリプチン、リナグリプチン、アログリプチン、ビルダグリプチン、アナグリプチン、又はテネリグリプチンを含むことが好ましい。この場合には、ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)及び副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)等を対象とする検査を精度よく行うことができる。
【0073】
上記血液採取容器において、上記セリンプロテアーゼ阻害剤の含有量は、採取される血液1mLあたり、好ましくは200KIU以上、より好ましくは300KIU以上、好ましくは5000KIU以下、より好ましくは2000KIU以下である。上記セリンプロテアーゼ阻害剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液中の測定物質がセリンプロテアーゼにより分解されることを効果的に防ぐことができる。
【0074】
上記血液採取容器において、上記アプロチニンの含有量は、採取される血液1mLあたり、好ましくは200KIU以上、より好ましくは300KIU以上、好ましくは5000KIU以下、より好ましくは2000KIU以下である。上記アプロチニンの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液中の測定物質がセリンプロテアーゼにより分解されることを効果的に防ぐことができる。
【0075】
<抗凝固剤>
上記抗凝固剤は、上記血液採取容器本体内に収容されている。上記血液採取容器を正立状態としたときに、上記血液採取容器本体内にて、上記抗凝固剤の少なくとも一部が、上記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域よりも上記血液採取容器本体の上記閉口端側に存在する。
【0076】
上記抗凝固剤として、従来公知の抗凝固剤を使用可能である。上記抗凝固剤としては、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTAの金属塩、ヘパリン、ヘパリン塩、クエン酸及びクエン酸塩等が挙げられる。上記ヘパリン塩としては、上記ヘパリンの金属塩等が挙げられる。上記クエン酸塩としては、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。上記抗凝固剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0077】
抗凝固性能を良好に発揮させる観点から、上記抗凝固剤は、EDTA、EDTAの金属塩、ヘパリン、ヘパリン塩、クエン酸又はクエン酸塩であることが好ましく、EDTA、EDTAの金属塩、ヘパリン、ヘパリンの金属塩又はクエン酸ナトリウムであることがより好ましい。抗凝固性能をより一層良好に発揮させる観点からは、上記抗凝固剤は、EDTA又はEDTAの金属塩であることが好ましい。ヒト心房性ナトリウム利尿ペプチド(HANP)及び副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)等を対象とする検査試薬と好適に組み合わせる観点からは、上記セリンプロテアーゼ阻害剤がアプロチニンであり、上記抗凝固剤がEDTA又はEDTAの金属塩であることが好ましい。
【0078】
上記血液採取容器本体内への上記抗凝固剤の収容形態は特に限定されない。上記抗凝固剤は、血液採取容器本体の内面上に配置されていてもよい。上記抗凝固剤は、上記血液採取容器本体の内面に付着していてもよい。上記抗凝固剤は、上記血液採取容器本体の内面上にて、層状に配置されていてもよい。上記抗凝固剤は、顆粒の状態で上記血液採取容器本体内に収容されていてもよく、粉体の状態で上記血液採取容器本体内に収容されていてもよい。上記抗凝固剤は、顆粒状の抗凝固剤であってもよく、粉体状の抗凝固剤であってもよい。また、上記抗凝固剤は、液体に溶解した状態で上記血液採取容器本体内に収容されていてもよく、水に溶解した状態で上記血液採取容器本体内に収容されていてもよい。上記抗凝固剤は、上記血液採取容器本体内にて、溶液の溶質として収容されていてもよい。
【0079】
なお、本明細書において、「顆粒状」とは、平均粒径が200μm以上2000μm以下であることを意味し、「粉体状」とは、平均粒径が0.1μm以上200μm未満であることを意味する。
【0080】
顆粒状の抗凝固剤及び粉体状の抗凝固剤はそれぞれ、抗凝固剤の水和物によって構成されていてもよい。すなわち、顆粒の状態で抗凝固剤が上記血液採取容器本体内に収容される場合に、該抗凝固剤は、水和物であってもよい。また、粉体の状態で抗凝固剤が上記血液採取容器本体内に収容される場合に、該抗凝固剤は、水和物であってもよい。
【0081】
血液への溶解性をより一層高める観点からは、上記抗凝固剤は、顆粒状の抗凝固剤又は粉体状の抗凝固剤であることが好ましく、顆粒状の抗凝固剤であることがより好ましい。血液への溶解性をより一層高める観点からは、上記抗凝固剤は、顆粒の状態又は粉体の状態で上記血液採取容器本体内に収容されていることが好ましく、顆粒の状態で上記血液採取容器本体内に収容されていることがより好ましい。また、上記抗凝固剤が顆粒状の抗凝固剤である場合には、粉体状の抗凝固剤である場合と比べて、血液採取容器の製造効率を高めたり、吸湿による抗凝固剤の固化を効果的に防いだりすることができる。
【0082】
顆粒状の抗凝固剤の平均粒径は、200μm以上2000μm以下であり、好ましくは300μm以上、より好ましくは400μm以上、更に好ましくは450μm以上、特に好ましくは500μm以上、好ましくは1000μm以下、より好ましくは970μm以下、より一層好ましくは850μm以下、更に好ましくは750μm以下、更に一層好ましくは700μm以下、特に好ましくは650μm以下である。上記平均粒径が上記下限以上であると、吸湿時の固化を効果的に防ぐことができる。上記平均粒径が上記上限以下であると、血液への溶解性をより一層良好にすることができる。
【0083】
粉体状の抗凝固剤の平均粒径は、0.1μm以上200μm未満であり、好ましくは1μm以上、より好ましくは10μm以上、更に好ましくは20μm以上、特に好ましくは40μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、更に好ましくは70μm以下である。
【0084】
抗凝固剤の平均粒径として、50%となるメディアン径(d50)の値が採用される。上記平均粒径は、レーザー回折散乱方式の粒度分布測定装置(例えば、Malvern Panalytical社製「マスターサイザー3000」)を用いて測定可能である。解析条件は、例えば、粒子屈折率:1.490、分散媒屈折率:1.330及びレーザー散乱強度:5.68%とすることができる。
【0085】
上記抗凝固剤が液体に溶解した状態で上記血液採取容器本体内に収容されている場合に、上記血液採取容器本体内に収容されている上記抗凝固剤を含む液の量は、好ましくは0.01mL以上、より好ましくは0.2mL以上、好ましくは2mL以下、より好ましくは1mL以下である。上記抗凝固剤を含む液の量が上記下限以上及び上記上限以下であると、血液が過度に希釈されることなく、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0086】
上記血液採取容器において、上記抗凝固剤の含有量は、採取される血液1mLあたり、好ましくは2mg以上、より好ましくは4mg以上、好ましくは6mg以下、より好ましくは5mg以下である。上記抗凝固剤の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、抗凝固性能を良好に発揮させることができ、また、本発明の効果をより一層効果的に発揮することができる。
【0087】
<血液採取容器本体>
上記血液採取容器本体の形状は、特に限定されない。上記血液採取容器本体は、有底の管状容器であることが好ましい。
【0088】
上記血液採取容器本体の材料は特に限定されない。上記血液採取容器本体の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等の熱可塑性樹脂;不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ-アクリレート樹脂等の熱硬化性樹脂;酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、エチルセルロース、エチルキチン等の変性天然樹脂;ソーダ石灰ガラス、リンケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス等のケイ酸塩ガラス、石英ガラス等のガラスが挙げられる。上記血液採取容器本体の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0089】
血液採取容器本体の強度及び酸素バリア性を高める観点、並びに、内容物の視認性を良好にする観点からは、上記血液採取容器本体の材料は、ポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。上記血液採取容器本体は、ポリエチレンテレフタレート容器(PET容器)であることが好ましく、ポリエチレンテレフタレート管(PET管)であることがより好ましい。
【0090】
<栓体>
上記血液採取容器は、栓体を備えることが好ましい。上記栓体は、上記血液採取容器本体の開口端に取り付けられていることが好ましい。上記栓体として、従来公知の栓体を用いることができる。上記栓体は、血液採取容器本体の開口端に、気密的かつ液密的に取付けることが可能な素材、形状からなる栓体であることが好ましい。上記栓体は、採血針が刺通され得るように構成されていることが好ましい。
【0091】
上記栓体としては、血液採取容器本体の開口端に嵌合する形状を有する栓体、シート状のシール栓体等が挙げられる。
【0092】
また、上記栓体は、ゴム栓等の栓本体と、プラスチック等で構成されたキャップ部材とを備える栓体であってもよい。この場合には、血液採取後に、血液採取容器本体の開口端から栓体を引き抜く際に、血液が人体と接触するリスクを抑えることができる。
【0093】
上記栓体(又は上記栓本体)の材料としては、例えば、合成樹脂、エラストマー、ゴム、金属箔等が挙げられる。上記ゴムとしては、ブチルゴム、及びハロゲン化ブチルゴム等が挙げられる。上記金属箔としては、アルミニウム箔等が挙げられる。密封性を高める観点からは、上記栓体(又は上記栓本体)の材料は、ブチルゴムであることが好ましい。上記栓体(又は上記栓本体)は、ブチルゴム栓であることが好ましい。
【0094】
<血液採取容器の他の詳細>
上記血液採取容器本体の長さをLとする。Lは、通常、上記血液採取容器本体の上記閉口端と上記開口端との距離である。
【0095】
上記抗凝固剤が顆粒状の抗凝固剤である場合、上記抗凝固剤が粉体状の抗凝固剤である場合、又は上記抗凝固剤が液体に溶解した状態で上記血液採取容器本体内に収容されている場合に、上記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域(領域R1)は、上記血液採取容器本体の上記閉口端から上記開口端に向かって、0.1Lの位置と1Lの位置との間の少なくとも一部の領域に存在することが好ましく、0.2Lの位置と0.9Lの位置との間の少なくとも一部の領域に存在することがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0096】
上記抗凝固剤が顆粒状の抗凝固剤である場合、上記抗凝固剤が粉体状の抗凝固剤である場合、又は上記抗凝固剤が液体に溶解した状態で上記血液採取容器本体内に収容されている場合に、上記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域(領域R1)における上記血液採取容器本体の上記閉口端側の端部は、上記血液採取容器本体の上記閉口端から上記開口端に向かって、0.1Lの位置よりも上記開口端側に位置することが好ましく、0.2Lの位置よりも上記開口端側に位置することがより好ましく、0.9Lの位置よりも上記閉口端側に位置することが好ましく、0.8Lの位置よりも上記閉口端側に位置することがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0097】
上記抗凝固剤が上記血液採取容器本体の内面上に配置されている場合(上記抗凝固剤が上記血液採取容器本体の内面に付着している場合)に、上記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域(領域R1)は、上記血液採取容器本体の上記閉口端から上記開口端に向かって、0.1Lの位置と0.9Lの位置との間の少なくとも一部の領域に存在することが好ましく、0.2Lの位置と0.8Lの位置との間の少なくとも一部の領域に存在することがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0098】
上記抗凝固剤が上記血液採取容器本体の内面上に配置されている場合(上記抗凝固剤が上記血液採取容器本体の内面に付着している場合)に、上記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域(領域R1)における上記血液採取容器本体の上記閉口端側の端部は、上記血液採取容器本体の上記閉口端から上記開口端に向かって、0.4Lの位置よりも上記開口端側に位置することが好ましく、0.6Lの位置よりも上記開口端側に位置することがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0099】
上記抗凝固剤が上記血液採取容器本体の内面上に配置されている場合(上記抗凝固剤が上記血液採取容器本体の内面に付着している場合)に、上記抗凝固剤が配置された領域(領域R2)は、上記血液採取容器本体の上記閉口端から上記開口端に向かって、0Lの位置と0.9Lの位置との間の少なくとも一部の領域に存在することが好ましく、0.1Lの位置と0.8Lの位置との間の少なくとも一部の領域に存在することがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0100】
上記抗凝固剤が上記血液採取容器本体の内面上に配置されている場合(上記抗凝固剤が上記血液採取容器本体の内面に付着している場合)に、上記抗凝固剤が配置された領域(領域R2)における上記血液採取容器本体の上記閉口端側の端部は、上記血液採取容器本体の上記閉口端から上記開口端に向かって、0Lの位置よりも上記開口端側に位置することが好ましく、0.1Lの位置よりも上記開口端側に位置することがより好ましく、0.9Lの位置よりも上記閉口端側に位置することが好ましく、0.8Lの位置よりも上記閉口端側に位置することがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0101】
上記抗凝固剤が上記血液採取容器本体の内面上に配置されている場合(上記抗凝固剤が上記血液採取容器本体の内面に付着している場合)に、上記抗凝固剤が配置された領域(領域R2)における上記血液採取容器本体の上記開口端側の端部は、上記血液採取容器本体の上記閉口端から上記開口端に向かって、0.1Lの位置よりも上記開口端側に位置することが好ましく、0.2Lの位置よりも上記開口端側に位置することがより好ましく、0.9Lの位置よりも上記閉口端側に位置することが好ましく、0.8Lの位置よりも上記閉口端側に位置することがより好ましい。この場合には、本発明の効果をより一層効果的に発揮させることができる。
【0102】
上記血液採取容器は、所定量の血液が採取される血液採取容器である。上記血液の上記所定量は、血液採取容器のサイズ及び内圧等により適宜変更される。上記血液の上記所定量は、1mL以上であってもよく、2mL以上であってもよく、4mL以上であってもよく、12mL以下であってもよく、11mL以下であってもよく、10mL以下であってもよい。
【0103】
上記血液採取容器では、上記血液採取容器本体内に、血漿分離材が収容されていてもよく、収容されていなくてもよい。上記血液採取容器では、上記血液採取容器本体内に、血漿分離材が収容されていないことが好ましい。上記血漿分離材は、遠心分離時に血漿層と血球層との間に移動して隔壁を形成する組成物(血漿分離用組成物)又は冶具(血漿分離用冶具)である。上記血漿分離用組成物としては、25℃で流動性を有する有機成分と、無機微粉末とを含む組成物(例えば、WO2010/053180A1に記載の組成物)等が挙げられる。上記血漿分離用冶具としては、例えば、WO2010/132783A1等に記載の機械的セパレータ等が挙げられる。
【0104】
上記血液採取容器は、採血管であることが好ましい。
【0105】
上記血液採取容器の内圧は特に限定されない。上記血液採取容器の内圧は、減圧されていることが好ましい。上記血液採取容器が減圧容器である場合には、所定量の血液を簡便に血液採取容器に採取することができる。上記血液採取容器は、内部が排気された上で、上記栓体によって密閉された真空採血管として用いることもできる。真空採血管である場合、採血者の技術差によらず一定量の血液採取を簡便に行うことができる。
【0106】
細菌感染を防止する観点から、上記血液採取容器の内部はISO又はJISの基準に則って滅菌されていることが好ましい。
【0107】
顆粒状又は粉体状の抗凝固剤を備える上記血液採取容器は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0108】
セリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物を用意する。第1の組成物を血液採取容器本体の内面上に配置する。第1の組成物を血液採取容器本体の内面上に配置する前又は配置した後に、顆粒状又は粉体状の抗凝固剤を血液採取容器本体の底部に収容する。次いで、血液採取容器本体の開口に栓体を取り付ける。なお、例えば、2種のセリンプロテアーゼ阻害剤を用いる場合には、2種のセリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物を血液採取容器本体の内面上に配置してもよく、1種類目のセリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物Aと2種類目のセリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物Bとを血液採取容器本体の内面上に配置してもよい。
【0109】
上記抗凝固剤が液体に溶解した状態で上記血液採取容器本体内に収容された上記血液採取容器は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0110】
セリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物を用意する。第1の組成物を血液採取容器本体の内面上に配置する。第1の組成物を血液採取容器本体の内面上に配置する前又は配置した後に、抗凝固剤を含む液(好ましくは、抗凝固剤と水との混合液)を血液採取容器本体の底部に収容する。次いで、血液採取容器本体の開口に栓体を取り付ける。なお、例えば、2種のセリンプロテアーゼ阻害剤を用いる場合には、2種のセリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物を血液採取容器本体の内面上に配置してもよく、1種類目のセリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物Aと2種類目のセリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物Bとを血液採取容器本体の内面上に配置してもよい。
【0111】
上記血液採取容器本体の内面上に上記抗凝固剤が配置された上記血液採取容器は、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0112】
セリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物と、抗凝固剤を含む第2の組成物とを用意する。第1の組成物及び第2の組成物をそれぞれ血液採取容器本体の内面上に配置する。次いで、血液採取容器本体の開口に栓体を取り付ける。なお、例えば、2種のセリンプロテアーゼ阻害剤を用いる場合には、2種のセリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物を血液採取容器本体の内面上に配置してもよく、1種類目のセリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物Aと2種類目のセリンプロテアーゼ阻害剤を含む第1の組成物Bとを血液採取容器本体の内面上に配置してもよい。
【0113】
上記第1の組成物が配置された領域が、血液採取容器における上記セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域(領域R1)に対応する。上記第2の組成物が配置された領域が、血液採取容器における上記抗凝固剤が配置された領域(領域R2)に対応する。
【0114】
上記第1,第2の組成物を血液採取容器本体の内面上に配置する方法として、塗布及び散布等の公知の技術を採用することができる。上記塗布の方法は、特に限定されない。上記塗布の方法としては、スプレー塗布及びディッピングコーディング法等が挙げられる。血液採取容器本体の内面に上記第1,第2の組成物を塗布した後、乾燥させることが好ましい。
【0115】
なお、上記第1の組成物及び上記第2の組成物の塗布順序(配置順序)は特に限定されない。
【0116】
上記第1の組成物及び上記第2の組成物はそれぞれ、水、有機溶剤、水溶性バインダー及び血餅剥離成分等の他の成分を含んでいてもよい。この場合、上記領域R1及び上記領域R2にはそれぞれ、上述した他の成分も含まれ得る。
【0117】
上記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、ヘキサン等が挙げられる。上記有機溶剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0118】
上記水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル酸系共重合体及びポリオキシアルキレンブロック共重合体等が挙げられる。上記水溶性バインダーは、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
【0119】
上記血餅剥離成分としては、シリコーンオイル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリオキシアルキレン及びこれらの誘導体等が挙げられる。上記血餅剥離成分は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記シリコーンオイルとしては、水溶性タイプの変性シリコーンオイルが挙げられ、好ましく用いられる。上記ポリオキシアルキレン及びその誘導体としては、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンブチルエーテル、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、及びポリオキシエチレングリセリルエーテル等が挙げられ、好ましく用いられる。
【0120】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例のみに限定されない。
【0121】
以下の血液採取容器本体を用意した。
【0122】
図1に示す形状を有する血液採取容器本体
内径10.5mm×長さ75.6mm(長さ:閉口端と開口端との距離)
材料:ポリエチレンテレフタレート
【0123】
以下の栓体を用意した。
【0124】
図1に示す形状を有する栓体
ゴム栓(材料:ブチルゴム)
【0125】
以下の薬剤を用意した。
【0126】
(セリンプロテアーゼ阻害剤)
アプロチニン(BIOSYNTH Carbosynth社製「Aprotinin」)
DPP-4阻害剤含有液(Merck Millipore社製「DPP IV Inhibitor」)
【0127】
(抗凝固剤)
EDTA顆粒:顆粒状のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物(EDTA2Na・2HO)(富士フィルム和光純薬社製「EDTA2Na顆粒」、平均粒径:570μm)
EDTA粉体:粉体状のエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物(EDTA2Na・2HO)(富士フィルム和光純薬社製「EDTA2Na」、平均粒径:66μm)
【0128】
(実施例1)
3.73mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物を得た。得られた第1の組成物を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。なお、第1の組成物をスプレー塗布した領域は下記の表に示した。次いで、採取される血液1mLに対して2.0mgのEDTA顆粒を血液採取容器本体の底部に収容した。次いで、血液採取容器本体を52kPaに減圧し、栓体により密封して血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0129】
(実施例2)
採取される血液1mLに対して1.5mgのEDTA顆粒を血液採取容器本体の底部に収容したこと以外は、実施例1と同様にして、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0130】
(実施例3)
3.73mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物を得た。また、783mgのEDTA粉体を、9.217gの水に完全に溶解させて、第2の組成物を得た。得られた第2の組成物を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。次いで、得られた第1の組成物を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。なお、第1の組成物及び第2の組成物をスプレー塗布した領域は下記の表に示した。次いで、血液採取容器本体を52kPaに減圧し、栓体により密封して血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0131】
(実施例4)
第1の組成物及び第2の組成物をスプレー塗布した領域を下記の表に記載のように変更したこと以外は、実施例3と同様にして、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0132】
(実施例5)
EDTA粉体を用いたこと、及び、採取される血液1mLに対して1.5mgのEDTA粉体を血液採取容器本体の底部に収容したこと以外は、実施例1と同様にして、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0133】
(実施例6)
3.73mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物を得た。また、783mgのEDTA粉体を、9.217gの水に完全に溶解させて、第2の組成物を得た。得られた第1の組成物を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。次いで、得られた第2の組成物40μLを血液採取容器本体の底部に添加した。なお、第1の組成物をスプレー塗布した領域は下記の表に示した。次いで、血液採取容器本体を52kPaに減圧し、栓体により密封して血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0134】
(実施例7)
37.3mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物を得たこと以外は、実施例1と同様にして、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0135】
(実施例8)
37.3mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物を得たこと以外は、実施例3と同様にして、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0136】
(実施例9)
37.3mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物を得たこと以外は、実施例4と同様して、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0137】
(実施例10)
37.3mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物を得たこと以外は、実施例5と同様にして、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0138】
(実施例11)
37.3mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物を得たこと以外は、実施例6と同様にして、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0139】
(比較例1)
3.73mgのアプロチニンと783mgのEDTA粉体とを、9.217gの水に完全に溶解させて、組成物Xを得た。得られた組成物Xを血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。なお、組成物Xをスプレー塗布した領域は下記の表に示した。次いで、血液採取容器本体を52kPaに減圧し、栓体により密封して血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0140】
(比較例2)
37.3mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物を得た。また、783mgのEDTA粉体を、9.217gの水に完全に溶解させて、第2の組成物を得た。得られた第1の組成物を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。次いで、得られた第2の組成物を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。なお、第1の組成物及び第2の組成物をスプレー塗布した領域は下記の表に示した。次いで、血液採取容器本体を52kPaに減圧し、栓体により密封して血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0141】
(実施例12~15)
採取される血液1mLに対して10μLのDPP-4阻害剤含有液(第1の組成物)を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させたこと以外、実施例12は実施例1と同様にして、実施例13は実施例3と同様にして、実施例14は実施例4と同様にして、実施例15は実施例6と同様にして、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0142】
(実施例16~19)
採取される血液1mLに対して100μLのDPP-4阻害剤含有液(第1の組成物)を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させたこと以外、実施例16は実施例1と同様にして、実施例17は実施例3と同様にして、実施例18は実施例4と同様にして、実施例19は実施例6と同様にして、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0143】
(実施例20)
3.73mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物Aを得た。得られた第1の組成物Aを血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。次いで、採取される血液1mLに対して10μLのDPP-4阻害剤含有液(第1の組成物B)を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。なお、第1の組成物A及び第1の組成物Bをスプレー塗布した領域は下記の表に示した。次いで、採取される血液1mLに対して2.0mgのEDTA顆粒を血液採取容器本体の底部に収容した。次いで、血液採取容器本体を52kPaに減圧し、栓体により密封して血液採取容器(真空採血管)を作製した。得られた血液採取容器では、アプロチニン及びDPP-4阻害剤が血液採取容器本体の内面上に配置されている。
【0144】
(実施例21,22)
3.73mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物Aを得た。また、783mgのEDTA粉体を、9.217gの水に完全に溶解させて、第2の組成物を得た。得られた第2の組成物を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。次いで、得られた第1の組成物Aを血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。次いで、採取される血液1mLに対して10μLのDPP-4阻害剤含有液(第1の組成物B)を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。なお、第1の組成物A、第1の組成物B及び第2の組成物をスプレー塗布した領域は下記の表に示した。次いで、血液採取容器本体を52kPaに減圧し、栓体により密封して血液採取容器(真空採血管)を作製した。得られた血液採取容器では、アプロチニン及びDPP-4阻害剤が血液採取容器本体の内面上に配置されている。
【0145】
(実施例23)
3.73mgのアプロチニンを、10gの水に完全に溶解させて、第1の組成物Aを得た。また、783mgのEDTA粉体を、9.217gの水に完全に溶解させて、第2の組成物を得た。得られた第1の組成物Aを血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。次いで、採取される血液1mLに対して10μLのDPP-4阻害剤含有液(第1の組成物B)を血液採取容器本体の内面にスプレー塗布した後、乾燥させた。次いで、得られた第2の組成物40μLを血液採取容器本体の底部に添加した。なお、第1の組成物A及び第1の組成物Bをスプレー塗布した領域は下記の表に示した。次いで、血液採取容器本体を52kPaに減圧し、栓体により密封して血液採取容器(真空採血管)を作製した。得られた血液採取容器では、アプロチニン及びDPP-4阻害剤が血液採取容器本体の内面上に配置されている。
【0146】
(実施例24,25)
採取される血液1mLに対して100μLのDPP-4阻害剤含有液(第1の組成物B)を用いたこと以外、実施例24は実施例20と同様にして、実施例25は実施例21と同様にして、血液採取容器(真空採血管)を作製した。
【0147】
(評価)
(1)溶解性
得られた血液採取容器に2mLの生理食塩水を採取した後、転倒混和した。2回又は5回転倒混和した後、薬剤(セリンプロテアーゼ阻害剤及び抗凝固剤)が生理食塩水に溶解しているか否か目視にて確認した。溶解性を以下の基準で評価した。
【0148】
[溶解性の判定基準]
〇:2回の転倒混和で薬剤が生理食塩水に溶解している
△:2回の転倒混和では薬剤が生理食塩水に溶解していないものの、5回の転倒混和で薬剤が生理食塩水に溶解している
×:5回の転倒混和で薬剤が生理食塩水に溶解していない
【0149】
(2)血液の部分凝固
得られた血液採取容器に2mLの血液を採取した後、2回転倒混和し、5分間静置した。次いで、血液採取容器内の血液を除去した。血液が除去された血液採取容器を目視にて確認した。血液の部分凝固を以下の基準で評価した。
【0150】
[血液の部分凝固の判定基準]
○:血液採取容器内に血液の凝固物が認められない(血液の部分凝固が認められない)
×:血液採取容器内に血液の凝固物が認められる(血液の部分凝固が認められる)
【0151】
(3)溶血
得られた血液採取容器に2mLの血液を採取した後、5回転倒混和した。次いで、血液採取容器を1,500G、10分間及び20℃の条件で遠心分離した。分離された血漿を200μL採取し、MOLECULAR DEVICES社製「SpectraMaxTM iD5」を用いて、血漿の波長415nmにおける吸光度を測定した。また、分離された血漿を目視にて確認した。吸光度と目視とから、溶血の有無を総合的に判断した。溶血を以下の基準で評価した。
【0152】
[溶血の判定基準]
○:溶血が認められない
×:溶血が認められる(波長415nmの吸光度が2.0以上かつ目視観察で血漿に赤みが帯びている)
【0153】
構成及び結果を表1~4に示す。なお、表1~4には、構成が類似する図を示した。表1~4の実施例に示されているように、抗凝固剤の収容形態は、顆粒状、粉体状、液体状、血液採取容器本体の内面上への付着のいずれでも、全ての評価項目(溶解性、血液の部分凝固、溶血)において良好な結果が認められた。なお、顆粒状、粉体状、及び液体状のうち、血液採取容器の製造効率の観点及び輸送時の振動等により抗凝固剤が意図しない領域に付着してしまうことを効果的に抑える観点からは、抗凝固剤の収容形態は、1)顆粒状、2)粉体状、3)液体状の順に好ましい。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
【表3】
【0157】
【表4】
【符号の説明】
【0158】
1,1A,1B,1C,1D,1E…セリンプロテアーゼ阻害剤
1a,1b,1Aa,1Ab,1Ba,1Bb,1Ca,1Cb,1Da,1Db,1Ea,1Eb…端部
2,2A,2B,2C,2D…抗凝固剤
2E…抗凝固剤を含む液
2Aa,2Ab,2Ba,2Bb,2Ca,2Cb…端部
3…血液採取容器本体
3a…閉口端
3b…開口端
3c…内面
4…栓体
11,11A,11B,11C,11D,11E…血液採取容器
R1…セリンプロテアーゼ阻害剤が配置された領域
R2…抗凝固剤が配置された領域
R12…重複領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6