(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074255
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】波放射及び/又は受信装置を駆動するための方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/14 20060101AFI20240523BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023189337
(22)【出願日】2023-11-06
(31)【優先権主張番号】FR2212005
(32)【優先日】2022-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】508291928
【氏名又は名称】スーパー ソニック イマジン
【氏名又は名称原語表記】SUPER SONIC IMAGINE
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 英隆
(74)【代理人】
【識別番号】100227927
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 拓
(72)【発明者】
【氏名】コルドニエ,ユベール
(72)【発明者】
【氏名】ルー,ギヨーム
(72)【発明者】
【氏名】マルタン,ジャン-アラン
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE02
4C601EE04
4C601GD04
4C601GD09
4C601GD12
4C601HH04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電気ノイズによって誘発される影響を制限し画像の品質を改善することができる超音波診断装置を提供する。
【解決手段】電気リンクを介して確立されるチャネル全体にわたって第1の装置を駆動するステップを含み、前記チャネルのうちの少なくとも2つは、電気リンク間で経時的に並べ替えられる。そのような方法により、電気信号を送信するために使用される電気リンク間で生み出され得る電気ノイズを平滑化、平均化、又は(経時的に及び/又は空間にわたって)再分配して、電気ノイズから生じ得る想定し得る外乱を制限する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波(W)放射及び/又は受信装置(20)を駆動するための方法であって、
-電気リンク(LN)を介して確立されたチャネル(CN)の全体にわたって前記第1の装置を駆動するステップ(S2)、
を含み
前記チャネルのうちの少なくとも2つは、前記電気リンク間で経時的に並べ替えられる、方法。
【請求項2】
前記駆動するステップは、
-駆動装置(60)によってチャネル(CN)を確立するステップ、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記駆動するステップは、
-前記チャネルの全体にわたって電気信号(SG)を送信するステップ、
を更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記チャネル(CN)は、制御装置と前記第1の装置との間での電気信号(SG)の送信及び/又は受信のためのアナログチャネルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、前記電気リンク(LN)の間の前記少なくとも2つのチャネルの経時的な少なくとも1つの置換(61)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記置換は、前記電気リンク間の前記チャネル(CN)の経時的な複数の置換(61)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記チャネル(CN)は、チャネルごとに各時間に単一の電気リンクが使用されるように、前記置換(61)中に並べ替えられる、請求項5又は6に記載の方法。
【請求項8】
前記置換(61)は、経時的に所定の順序にしたがって実行される、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記置換(61)が経時的にランダムな順序にしたがって実行される、請求項5から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記電気リンクは、第1のマルチプレクサ(70)と第2のマルチプレクサ(72)との間に介在し、各置換(61)は、前記電気リンク間の前記チャネルの前記第1及び第2のマルチプレクサによるルーティングの変更によって引き起こされる、請求項5から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1及び第2のマルチプレクサ(70,72)は、
-複数のパルサ(PS)と複数の圧電素子(PZ)との間の前記チャネル(CN)の第1の多重化、及び
-複数の圧電素子と複数の受信装置との間の前記チャネル(CN)の第2の多重化、
のうちの少なくとも一方を実行する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各チャネルは、前記第1の多重化とは無関係に同じ前記パルサを同じ前記圧電素子に結合する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の多重化は、前記複数のパルサ(PS)と前記複数の圧電素子(PZ)との間の前記チャネルによる結合の変化を引き起こす、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
各チャネルは、前記第2の多重化とは無関係に同じ前記圧電素子を同じ前記受信装置に結合する、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の多重化は、前記複数の圧電素子(PZ)と前記複数の受信装置との間の前記チャネルによる結合の変化を引き起こす、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記電気リンク(LN)は、前記電気リンクを直列に取り付けられたセクション(LN1a,LN1b,LN2a,LN2b)に分割する少なくとも1つの中間マルチプレクサ(74)を備え、
前記方法は、前記電気リンクの前記セクション間で前記チャネル(CN)を並べ替える少なくとも1つの前記置換(61)を含む、請求項10から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記駆動するステップは、
-電気信号(SG)のグループを前記チャネル(CN)の全体にわたって前記第1の装置(20)に送信するステップであって、各グループが、前記第1の装置による波の放射を引き起こすように構成されるショットに対応する、ステップ、
を含み、
前記少なくとも2つのチャネルは、前記電気リンク間のXショットごとに並べ替えられ、Xは2以上の整数である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
波が音響波である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
超音波医療撮像に適用される、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
コンピュータプログラム(PG1)であって、前記プログラムがコンピュータによって実行されるときに請求項1から19のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための命令を含む、コンピュータプログラム(PG1)。
【請求項21】
請求項1から19のいずれか一項に記載の方法のステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラム(PG1)が記録されるコンピュータ可読記録媒体。
【請求項22】
第1の波(W)放射及び/又は受信装置(20)を駆動するための制御システム(10)であって、
-電気リンク(LN)を介して確立されたチャネル(CN)の全体にわたって前記第1の装置を駆動するように構成された制御装置(12)と、
-前記チャネルのうちの少なくとも2つを電気リンク間で経時的に並べ替えるように構成された駆動装置(60)と、
を備える制御システム(10)。
【請求項23】
請求項22に記載の制御システム(10)と、前記制御装置によって駆動される第2の装置(20)とを備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
トランスデューサ装置などの放射及び/又は受信装置は、通常、例えば医療撮像、レーダ、ソナー、地震学、無線通信、電波天文学、音響学及び生物医学の分野において、通信、撮像又は走査の目的のための複数のトランスデューサ素子(例えば、配列を成して配置される)を備える。一例は、超音波撮像を含む。
【0002】
この目的のために、波放射及び/又は受信装置は、電気信号によって駆動される場合があり、これらの信号は、例えば、波放射及び/又は受信装置と制御ユニットとの間で送信される。したがって、波を表わす電気信号は、波放射及び/又は受信装置のトランスデューサ素子に送信され、それにより、所与の媒体内で波の放射を引き起こすことができる。電気信号は、戻って復元される場合があり、これらの信号は、波動励起に対する媒体の応答(又はエコー)に相当する。
【0003】
例えば、超音波撮像の目的は、媒体の反射率を推定することであり得る。その後、所定の周波数が、媒体(例えば、ヒト組織)の特性に応じて選択されてもよい。
【0004】
より具体的には、従来の超音波撮像プロセスでは、例えば、少なくとも1つ又は1つのセットの超音波トランスデューサ素子を備えた超音波トランスデューサ装置(超音波プローブとも呼ばれる)を使用することが可能である。そのようなプロセスでは、電気信号を超音波に変換するために1つ以上のトランスデューサが使用される。特に、トランスデューサは、放射動作に対応する媒体の方向に1つ又は連続的に幾つかの超音波ビームを放射することができる。その後、受信動作において、後方散乱エコー信号のセットが、同じセット又は別のセットのトランスデューサ素子によって媒体から受信される。特に、トランスデューサ素子のそれぞれは、例えば、受信したエコー信号を電気信号に変換することができる。その後、信号は、直接接続されているか否かにかかわらず、超音波システム又は任意の関連する(専用の)システムによって処理され得る。例えば、信号は、増幅され、フィルタリングされ、デジタル化されてもよく、及び/又は信号調整動作が実行されてもよい。トランスデューサ素子は、トランスデューサの列、アレイにしたがって、又はトランスデューサのネットワークもしくは任意の他の構成として配置されてもよい。
【0005】
しかしながら、例えばトランスデューサ装置などの駆動波放射及び/又は受信装置は、必ずしも満足のいく態様で電気信号を得ることができるとは限らない。波放射及び/又は受信装置に送信される又はそこから受信される電気信号は、時には妨害されるか、又は最適ではなく、それにより、システムの性能が制限されるか、又は不十分になる可能性があることが知られている。特に、これらの外乱は、例えば、波放射及び/又は受信装置の駆動を乱し、及び/又は劣化したフィードバックデータの受信をもたらす可能性があり、その結果、撮像用途(例えば、超音波撮像)における画質の劣化につながる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的の1つは、前述の問題又は欠陥の少なくとも1つを解決することである。
【0007】
特に、波放射及び/又は受信装置、とりわけ、排他的ではないが、超音波トランスデューサ装置の駆動を改善すること、及び/又はそのような波放射及び/又は受信装置の信号の品質を改善することが望ましい場合がある。
【0008】
特に、後により詳細に説明するように、電気ノイズ(特に電子ノイズを含み得る)は、波放射及び/又は受信装置を駆動するために使用される電気リンクで送信される信号を乱す場合がある。したがって、特に制御システムと波放射及び/又は受信装置との間で送信される電気信号に影響を及ぼし得る外乱を制限するために、そのような電気ノイズによって誘発される影響を制限することが望ましい場合がある。
【0009】
例えば、放射及び/又は受信装置が超音波プローブである(又は超音波プローブを備える)場合、例えば超音波画像の品質を向上させるために、この送信を妨害する可能性がある電気ノイズを制限することによって、電気リンク全体にわたって送信される電気信号を改善することが望ましい場合がある。
【0010】
この目的のために、第1の態様によれば、本開示は、波放射及び/又は受信装置を駆動するための方法に関する。第1の態様に係る方法は、電気リンクを介して確立されるチャネル全体にわたって第1の装置を駆動するステップを含み、前記チャネルのうちの少なくとも2つは、電気リンク間で経時的に並べ替えられる。
【0011】
そのような方法を提供することによって、特に、電気信号を送信するために使用される電気リンク間で生み出され得る電気ノイズを平滑化、平均化、又は(経時的に及び/又は空間にわたって)再分配して、そのような電気ノイズから生じ得る想定し得る外乱を制限することにより、波放射及び/又は受信装置の駆動、したがってシステム全体の性能を改善することが有利に可能になる。したがって、放射された信号及び戻って受信された信号に基づいて構築された画像の品質は、例えば超音波撮像用途との関連で、実質的に改善される。
【0012】
方法は、ソフトウェア及び/又はハードウェア形態でチャネル置換(permutation)を実行するのに必要な手段を実装することによって、既存の駆動システムにおいて最小限の適応で実施され得る。したがって、方法を実施するためのコストを低減することができる。
【0013】
したがって、例えば、電気ノイズに起因して画像に発生する欠陥を制限するために補正アルゴリズムを実装する必要がなくなり、それにより、信号の処理を容易にでき、特に時間及びリソースに関して関連する処理コストを制限することが可能になる場合がある。
【0014】
本開示に係る方法は、特に以下の実施形態と別個に又は組み合わせて採用することができる他の特徴を含むことができる。
【0015】
一実施形態によれば、駆動するステップは、
-駆動装置によってチャネルを確立するステップ、
を含む。
【0016】
一実施形態によれば、駆動するステップは、
-チャネル全体にわたって電気信号を送信するステップ、
を更に含む。
【0017】
一実施形態によれば、前記チャネルは、制御装置と第1の装置との間の電気信号の送信及び/又は受信のためのアナログチャネルである。
【0018】
一実施形態によれば、方法は、電気リンク間の前記少なくとも2つのチャネルの経時的な少なくとも1つの置換を含む。
【0019】
一実施形態によれば、置換は、電気リンク間のチャネルの経時的な複数の置換を含む。
【0020】
一実施形態によれば、チャネルは、チャネルごとに各時間に1つの電気リンクが使用されるように置換中に並べ替えられる。
【0021】
一実施形態によれば、置換は、経時的に所定の順序にしたがって実行される。
【0022】
一実施形態によれば、置換は、経時的にランダムな順序にしたがって実行される。
【0023】
一実施形態によれば、電気リンクは、第1のマルチプレクサと第2のマルチプレクサとの間に介在し、各置換は、電気リンク間のチャネルの第1及び第2のマルチプレクサによるルーティングの変更によって引き起こされる。
【0024】
一実施形態によれば、第1及び第2のマルチプレクサは、複数のパルサと複数の圧電素子との間でチャネルの多重化を実行し、各チャネルは、置換とは無関係に同じパルサを同じ圧電素子に結合する。
【0025】
一実施形態によれば、電気リンクは、前記電気リンクを直列に取り付けられたセクションに分割する少なくとも1つの中間マルチプレクサを備え、
方法は、電気リンクのセクション間のチャネルを並べ替える少なくとも1つの前記置換を含む。
【0026】
一実施形態によれば、駆動するステップは、
-電気信号のグループをチャネル全体にわたって第1の装置に送信するステップであって、各グループが、第1の装置による波の放射を引き起こすように構成されるショットに対応する、ステップ
を含み、
前記少なくとも2つのチャネルは、電気リンク間のXショットごとに並べ替えられ、Xは1以上(及び場合によっては2以上)の整数である。
【0027】
一実施形態によれば、前記波が音響波である。
【0028】
一実施形態によれば、前記方法は、超音波医療撮像に適用される。
【0029】
第2の態様によれば、本開示は、コンピュータプログラムであって、プログラムがコンピュータによって実行されるときにコンピュータに第1の態様に係る方法を実施させる命令を含むコンピュータプログラムに関する。言い換えれば、第1の態様に係る方法の種々のステップは、コンピュータプログラムの命令によって決定される。
【0030】
そのようなコンピュータプログラムは、任意のプログラミング言語などを使用することができ、部分的にコンパイルされた形式、又は任意の他の望ましい形式など、ソースコード、オブジェクトコード、又はソースコードとオブジェクトコードとの間の中間コードの形式であってもよい。
【0031】
第3の態様によれば、本発明は、本開示の第1の態様に係る方法のステップを実行するための命令を含むコンピュータプログラムが記録される、コンピュータ(又はプロセッサ)によって読み取り可能な記録媒体(又は情報媒体)に関する。
【0032】
一方で、記録媒体は、少なくとも1つの揮発性及び/又は不揮発性メモリなど、プログラムを記憶することができる任意のエンティティ又は装置から成ってもよい。例えば、媒体は、書き換え可能な不揮発性メモリ、ROMメモリ、マイクロ電子回路タイプのCD-ROMもしくはROMメモリなどの記憶手段、又は磁気記録手段もしくはハードディスクを含むことができる。例えば、このメモリはグラフィックカード(又はビデオカード)メモリを備えることができ、このメモリタイプは特に画像データ(又はビデオデータ)を処理することができる。
【0033】
一方、この記録媒体は、電気信号又は光信号などの送信可能な媒体であってもよく、そのような信号は、電気ケーブル又は光ケーブルを介して、従来の無線機又はヘルツ無線機によって、又は自己指向レーザビームによって、又は他の手段によって搬送することができる。特に、本開示に係るコンピュータプログラムは、ローカルタイプ(Bluetooth(登録商標)、例えばWi-Fi(登録商標)、イーサネット、インターネット、とりわけ4G、5G)の有線又は無線ネットワークによってダウンロードされてもよい。
【0034】
或いは、記録媒体は、コンピュータプログラムが組み込まれた集積回路であって、考慮された方法を実行する、又は考慮された方法を実行するのに使用されるように適合された集積回路であってもよい。
【0035】
第4の態様によれば、本開示は、第1の波放射及び/又は受信装置を駆動するための制御システムに関し、前記システムは、
-電気リンクを介して確立されるチャネル全体にわたって第1の装置を駆動するように構成される制御装置と、
-電気リンク間で前記チャネルのうちの少なくとも2つを経時的に並べ替えるように構成される駆動装置と、
を備える。
【0036】
一例によれば、制御システムは、本開示の第1の態様に係る方法のステップを実施するように構成されるプロセッサに関連するメモリを備える。
【0037】
制御システムは、本開示の第1の態様に係る方法の動作に対応する機能を有することができる。特に、本開示の第1の態様に係る方法に関連して前述した異なる実施形態並びに関連する利点は、本発明の第4の態様に係る制御システムに同様に適用することができる。
【0038】
本開示の特徴及び利点は、非限定的な例としてのみ与えられ、添付の図面を参照してなされる以下の説明を読めば、より明確に明らかになる。特に、図に示す例は、明らかな不適合の場合を除いて、互いに組み合わせることができる。
【0039】
本開示の他の特徴及び利点は、添付の
図1~
図12を参照して、以下の本開示の非限定的な実施形態の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】特定の例に係る、電気リンク全体にわたって伝達される電気信号を乱す電気ノイズの、超音波画像の例における結果を概略的に示す。
【
図2】本開示の実施形態に係る、波放射及び/又は受信装置を駆動するためのシステムの概略図を示す。
【
図3】本開示の実施形態に係る超音波撮像システムの概略図を示す。
【
図4】本開示の実施形態に係る超音波トランスデューサ装置を駆動するためのシステムの概略図を示す。
【
図5】本開示の実施形態に係る、
図4のシステムにおけるチャネル置換を概略的に示す。
【
図6】本開示の実施形態に係る、
図4のシステムのチャネルで送信される電気信号を概略的に示す。
【
図7】本開示の実施形態に係る超音波トランスデューサ装置を駆動するためのシステムの概略図を示す。
【
図8】本開示の実施形態に係る駆動方法を概略的に示す図である。
【
図9】本開示の実施形態に係るチャネル置換を概略的に示すタイムチャートである。
【
図10】本開示の実施形態に係るチャネル置換を概略的に示すタイムチャートである。
【
図11】本開示の実施形態に係るチャネル置換を概略的に示すタイムチャートである。
【
図12】本開示の実施形態に係る、超音波トランスデューサ装置を駆動するためのシステムの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0041】
既に示したように、本開示は、駆動波放射及び受信装置並びにそのような装置を駆動するための方法を包含する。そのような装置は、医療装置からなることができる。より具体的には、超音波検査システムに属し得る。
【0042】
波放射及び/又は受信装置は、電気信号によって駆動されてもよく、これらの信号は、例えば、波放射及び/又は受信装置と制御システムの制御ユニットとの間で送信される。これらの電気信号は、電気リンク全体にわたって、制御ユニットと波放射及び/又は受信装置(例えば、トランスデューサ装置など)との間で送信又は交換することができる。例えば、トランスデューサ装置の各圧電素子(又はトランスデューサ素子)は、専用の電気リンクを介して送信される電気信号によって駆動することができる。更に、(特に電子ノイズを含み得る)電気ノイズは、特にこれらの電気リンクの互いに対する非対称性のために、これらの電気リンク内を循環する電気信号を乱す可能性があることが観察されている。この電気ノイズ(後に妨害雑音又は雑音とも呼ばれる)は、交換された信号を劣化させ、波放射及び/又は受信装置の駆動を乱し、これは特に、撮像用途(例えば、超音波撮像)における画像の品質の劣化を引き起こす可能性がある。
【0043】
実際、電気信号を送信するために使用される電気リンクは、例えば、電子基板上に形成された電気トラック及び/又は電気ケーブル(例えば、同軸タイプ)を備えることができる。しかし、特に長さ、寸法、導電率、インピーダンスなどに関して、幾つかの電気トラック又はリンクの間に物理的な不均衡が一般に存在する。電気トラックは、同一又は対称になるように設計することができるが、実際には、そのような物理的又は構造的差異の存在は、電気トラック又はリンクの作成に固有のものである。電気リンク間のこれらの非対称性は、妨害ノイズの原因の1つであり得ることが観察されている。
【0044】
このノイズの問題は、駆動システムに今日設けられる電気リンクの数が増加することによって(特に電子基板のレベルで)更に増幅され、これにより、例えば駆動システムの電子基板におけるそのような電気リンクのルーティング又は配置に対する制約が増加する。したがって、設計上の制約(基板のサイズの制限、電気トラックの数の増加、基板の複雑さの増加など)のために、駆動ボード上の電気トラックの設計を適合させることはますます困難になっている。
【0045】
特に、圧電トランスデューサ装置を駆動するのに必要な電気リンクの数は、圧電トランスデューサ装置内に存在する圧電素子の数に依存する。圧電素子の数が多いほど、必要な電気リンクの数が多くなる。多数の圧電素子(例えば、マトリクスアレイプローブ、3Dプローブなど)を必要とする用途の発展は、前述の非対称性及び配置制約の問題を増幅させる。
【0046】
電気ノイズは、特に、トラック長差(「トレース長不一致」)、インピーダンス差(「インピーダンス不一致」)、伝搬時間オフセット(「伝搬時間不一致」)、電気リンク間の結合の寄生現象(「クロストーク」と呼ばれる)などの物理現象から生じることが実証されている。
【0047】
更に、波放射及び/又は受信装置を駆動するために駆動システム、特に電子基板で使用される電子部品間の特性又は挙動に関する相違は、電気ノイズ、したがって信号の劣化の原因にもなり得ることが知られている。
【0048】
図1は、特定の例によれば、超音波に対する媒体の応答に依存するグレースケールレベルによって画定される超音波画像2を示す。この画像において、横軸は、使用される圧電素子の位置(又はインデックス)を表わし、縦軸は、媒体における深さを表わす。例として、本明細書では、考慮される媒体をプローブするために256個のトランスデューサ素子を備える超音波トランスデューサ装置(図示せず)が使用されると仮定する。
【0049】
駆動システム(図示せず)と超音波トランスデューサ装置との間の電気的リンクに存在する電気ノイズの影響による超音波画像2の品質の劣化が知られている。この劣化は、より劣悪であり、更には非常に劣化した画像品質をもたらし、特に、暗い領域Z1と明るい領域Z2とが交互になることによって反映され、もはや調査される媒体を代表していない。画像2の暗い領域Z1は、非常に低レベルの信号を受信するチャネルに対応する。明るい領域Z2は、画像2において、より高いレベルを有する信号に対応する、よりクリアな領域(灰色又は白色)であるが、視覚的ノイズによって反射される(観察される媒体の実際の要素ではない)測定ノイズによって妨害される。
【0050】
図1はまた、所与のプローブについて、トランスデューサ装置の圧電素子を駆動するためにそれぞれ使用される(電子基板上の)電気トラックの長さをそれぞれ示す4つの曲線6を含むグラフ4を示す。したがって、グラフ4の横座標は、使用される圧電素子の位置(又はインデックス)を表わし、縦座標は、電気トラックの長さ(この例ではミリメートル単位)を表わす。
【0051】
図1は、プローブの圧電素子によって受信される電気信号のレベルに対する電気トラック間の長さの相違の影響を示す。図示されているように、これらの曲線6は、電気リンクにおいて生成される電気ノイズレベルの最大値に対応する一連のピーク8を形成する。曲線6に示すように、電気ノイズのレベルは、使用される電気リンクに応じて変化し、各減衰ピーク8は、この例では画像2の暗い領域Z1に対応する。使用される電気トラックが長いほど、電気的減衰(又は損失)は大きくなり、したがって、受信される電気信号は弱くなる(したがって、画像2の対応する領域は暗くなる)。
【0052】
補正アルゴリズムを使用して、そのような電気ノイズから生じる画像劣化を補償することができるが、これらのアルゴリズムは必ずしも十分に効果的ではなく、常に満足のいく結果を提供するとは限らず、信号の処理を複雑にし、したがって時間及びリソースの点で処理コストを増加させ、特にシステムのリアルタイム使用とほとんど互換性がない。
【0053】
ここで、例示のために提供される
図1~
図12を参照して、波放射及び/又は受信装置を駆動するための方法及び装置を以下に説明する。特に明記しない限り、幾つかの図において共通又は類似の要素は、同じ参照符号を有し、同一又は類似の特性を有するので、これらの共通の要素は、簡単にするために一般的に再び記載されない。
【0054】
本明細書では、「第1」(又は「第1」、「第2」など)という用語は、以下に説明する実施形態で実施される異なる要素(例えば、操作、装置など)を識別及び区別することを可能にする任意の規則によって使用される。
【0055】
先に示したように、本発明は、特に、波放射及び/又は受信装置を制御するための方法に関する。
図1は、本開示の幾つかの実施形態に係る、波放射及び/又は受信装置20を駆動するように構成された、制御システム又は制御装置とも呼ばれるシステム(又は装置)10を概略的に示す。
【0056】
装置20は、波Wを放射及び/又は受信するように構成される。これらの波の性質は、特にその意図される用途に関して、装置20の構成に依存する。一例によれば、装置20は、波Wを放射するように構成される。別の例によれば、装置20は、波Wを受信するように構成される。別の例によれば、装置20は、波Wを放射及び受信するように構成される。
【0057】
例えば、波Wは、例えば超音波タイプの音波であってもよい(又は音波を含む)。例として、装置20は、超音波の放射及び/又は受信を可能にする超音波トランスデューサ装置(又は超音波プローブ)であることが後に考慮される。それにもかかわらず、後に指定されるように、本開示によれば、波放射及び/又は受信装置の他の例が可能であることに留意すべきである。
【0058】
この例では、制御システム10は、システム10とトランスデューサ装置20との間で交換(又は送信)される電気信号SGによってトランスデューサ装置20を駆動するように構成された制御ユニット(又は装置)12(電力制御ユニットとも呼ばれる)を備えてもよい。
【0059】
より具体的には、制御ユニット12は、電気信号SGを生成するように構成され、電気信号SGは、トランスデューサ装置20に送信されて、前記トランスデューサ装置20によって、超音波W1を方向及び/又は媒体M内に放射させる。このようにして生成された電気信号SGは、媒体Mに投射された超音波W1を表わす(又は規定する)。この目的のために、制御ユニット12は、例えば、少なくとも1つの電子パルサ又は単に「パルサ」(すなわち、電気信号発生器)であってもよく、又はそれを備えてもよい。電気信号SGは、様々な形態、例えば正方形形態、正弦形態、ランダム形態などを有することができる。
【0060】
例えば、制御ユニット12は、トランスデューサ装置20から発する電気信号SGを受信するように構成された受信装置又は受信回路(図示せず)を備えることができる。
【0061】
図1に示すように、システム10は、この例では、例えば電気信号SGを制御することによって制御ユニット10を制御するように構成された処理ユニット(又は装置)11を備えることもできる。例えば、この処理ユニット11は、少なくとも1つのプロセッサであり得るか、又は少なくとも1つのプロセッサを備え得る。
【0062】
一例によれば、処理ユニット11及び/又は制御ユニット12は、
図3に示すシステム10の本体31(中央要素)内に備えられる。
【0063】
より具体的には、処理ユニット11は、制御ユニット12によって生成される電気信号SGを制御するように構成されてもよい。また、処理ユニット11は、トランスデューサ装置20から発信され、制御ユニット12によって受信された電気信号SGを処理(又は解釈)するように構成されてもよい。これらの信号SGは、媒体Mから生じるトランスデューサ装置20によって受信された波W2を表わす。例えば、これらの波W2は、1つ以上の超音波エコー、すなわち、超音波W1に対する媒体Mの応答を形成する。受信信号SGに対して処理ユニット11によって実行される処理は、場合によって異なり、例えば信号SGの増幅、フィルタリング、デジタル化、及び調整動作の少なくともいずれかを含むことができる。
【0064】
システム10は、トランスデューサ装置20を備えてもよい。或いは、トランスデューサ装置20は、システム10の外部にあってもよい。例えば、トランスデューサ装置20は、ケーブルによってシステム10に接続されてもよく、又はそれと無線通信してもよい。無線通信の場合、トランスデューサ装置10は、例えば、バッテリを備え、電気信号SG(例えば、駆動周波数及び/又は電気信号に含まれる任意の情報)を表わす通信信号をシステム10から受信することができる。次いで、トランスデューサ装置20は、受信した通信信号から電気信号SGを内部的に複製することができる。
【0065】
例えば、トランスデューサ装置20は、従来の波放射及び/又は受信装置であってもよい。したがって、本開示に係る1つの違いは、トランスデューサ装置20が駆動される方法、及びそのような駆動を実行するように実装される関連する手段にあり得る。
【0066】
システム10は、固定式又は移動式であってもよい。また、トランスデューサ装置20は、固定式又は可動式であってもよい。例えば、システム10は固定システム(例えば、以下に記載されるように、処理ユニット及び表示装置を備える)であってもよく、トランスデューサ装置20は移動式(例えば、センサ装置、測定装置、又はプローブ)であってもよい。それにもかかわらず、トランスデューサ装置20はシステム10に組み込まれてもよく、システム10はモバイルシステムであってもよい。例えば、システム10は、例えば内蔵バッテリのおかげで、独立して駆動されるように構成することができる。他の例を以下に説明する。
【0067】
図1に示すように、システム10は、トランスデューサ装置20を駆動するように構成された駆動装置(又は駆動ユニット)60を更に備える。駆動装置60の構成及び動作については、後述する実施形態においてより詳細に説明する。
【0068】
一例によれば、システム10は、制御ユニット10を制御するために処理ユニット11によって使用される少なくとも1つのメモリ(図示せず)を備えることができる。このメモリは、場合によっては処理ユニット11に属してもよい。幾つかの例では、処理ユニット11のプロセッサ及びメモリは、
図3に示すシステム10に組み込まれてもよく、又は後者と通信するように接続されたコンピュータもしくはコンピュータ装置に組み込まれてもよい。メモリは、本明細書に記載の方法(又は少なくとも1つの方法)を実行するための命令を記憶することができる。特に、このメモリは、超音波データを処理するための命令及び/又は観察された媒体の例示的な画像を構築するための命令を記憶することができる。
【0069】
考慮されるコンピュータ装置の構成及びタイプに応じて、処理ユニット11のメモリは、揮発性(RAMなど)、不揮発性(ROM、フラッシュ、EEPROMなど、メモリ、又は後述する他の任意のコンピュータ可読記憶装置及び/又は媒体)、又は両方の組み合わせであってもよい。例えば、処理ユニット11によって使用されるメモリは、グラフィックカードメモリ(又はビデオカード)の全部又は一部を備えることができ、このメモリタイプは、特に、表示画面(又はユニット)上に1つ以上の画像を表示するために使用することができる画像データを処理及び/又は送信することができる。
【0070】
システム10(特に処理ユニット11)は、磁気又は光ディスク又はテープ(場合によっては処理ユニット11に属する)を備えるがこれらに限定されない記憶装置(取り外し可能及び/又は取り外し不可能)を備えることができる。
【0071】
更に、システム10(特に処理ユニット11)は、キーボード、マウス、鉛筆、音声入力などのような1つ以上の入力装置、及び/又は1つ以上の画面、スピーカ、プリンタなどのような1つ以上の出力装置を含むことができる。環境は、LAN、WAN、ポイントツーポイントなどの1つ以上の通信接続を含むこともできる。幾つかの実施形態では、接続は、ポイントツーポイント通信、有線通信、無線通信などを確立するために使用され得る。
【0072】
システム10(特に処理ユニット11)は、少なくともある種のコンピュータ可読媒体を更に備えてもよい。コンピュータ可読媒体は、処理ユニット11(特にそのプロセッサ)又は動作環境を備える他の装置によってアクセスされ得る任意の利用可能な媒体から構成され得る。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を備えることができる。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータなどの任意の情報記憶技術又は方法で実施される、取り外し可能及び取り外し不可能な、揮発性及び不揮発性媒体を備える。コンピュータ記憶媒体は通信媒体を備えない。
【0073】
通信媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又は他のデータを、搬送波又は別の搬送機構などの変調データ信号に統合し、情報を提供する任意の媒体を備える。「変調データ信号」という表現は、信号内に情報を符号化するように1つ以上の特徴が固定又は修正された(fixed or modified)信号を示す。限定ではなく例として、通信媒体は、有線ネットワーク又は直接有線接続などの有線媒体と、音響、RF、赤外線、マイクロ波媒体及び他の無線媒体などの無線媒体とを備える。上記の要素のいずれか1つの組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の適用分野に含まれなければならない。
【0074】
システム10は、1つ以上のリモートコンピュータとの論理接続を使用してネットワーク環境で動作する単一のコンピュータであってもよい。リモートコンピュータは、ビューイングステーション、パーソナルコンピュータ、サーバ、ルータ、ネットワークPC、承認済み装置、又は別の共有ネットワークノードであってもよく、一般に、上記の要素の複数又は全て、並びに言及されていない他の要素を備える。論理接続は、利用可能な通信媒体によってサポートされる任意の方法を含むことができる。
【0075】
システム10は、例えば医療分野における撮像システムであってもよい。システムによって生成された画像は、リアルタイムで、例えばユーザによって解析されてもよいし、後に、及び/又はシステム10が位置する場所以外の場所で解析されてもよい。
【0076】
システム10は、医療システム、例えば超音波システムであってもよい。その結果、装置20は、医療用及び/又は超音波プローブであってもよい。
【0077】
例えば、システム10は、媒体Mを調査するために、特にそのような媒体Mから超音波データを収集するために、超音波プローブ20と関連付けられてもよい。このようにして観察される媒体Mは、場合によってはどのようなものであってもよい。例えば、媒体Mは生体組織及び/又は特にヒト組織からなり得る。例えば、1つ以上の鉱物構造を備える媒体Mの観察も可能である(砂利、火山等)。
【0078】
例えば、超音波プローブ20は、システム10から受信した電気信号SGを超音波に、及び/又はその逆に変換するようにそれぞれ構成された1つ以上のトランスデューサ素子(
図1には図示せず)を備えることができる。したがって、トランスデューサ素子は、(a)媒体M内で波(又はパルス)W1を送信し、及び/又は場合によっては波W1の送信(a)に応答して、(b)媒体Mから複数の超音波信号W2を受信するように構成されてもよい。複数のトランスデューサ素子を備えるトランスデューサのアレイを使用することができる。波(又はパルス)を放射し、媒体の応答を形成する波を受信するために同じトランスデューサ素子が使用されてもよく、又は波の放射及び受信のために異なるトランスデューサ素子が使用される。1つ以上の送信トランスデューサ素子及び複数の受信トランスデューサ素子が存在してもよい。別の変形形態では、単一のトランスデューサ素子が使用されてもよい。トランスデューサ素子は、信号を生成及び/又は記録及び/又は受信するように構成することができる圧電結晶及び/又は他の構成要素を備えることができる。本開示を簡単にするために、以下の実施形態では、トランスデューサ素子は圧電素子であると考える。
【0079】
トランスデューサ素子の様々な配置が可能である。例えば、複数のトランスデューサ素子を備えるトランスデューサのアレイを使用することができる。例えば、軸X(水平方向又はアレイXの方向)に沿って並置された複数(例えば、100から300の間)のトランスデューサ素子を備える線形アレイを提供することが可能である。一例では、アレイは、媒体Mの2次元(2D)撮像を実行するように適合されているが、アレイはまた、媒体Mの3D撮像を実行するように適合された2次元アレイであってもよい。その結果、トランスデューサのアレイを使用することができる。しかしながら、システムはまた、3D撮像を実行できるように、プローブ内に1列の可動トランスデューサを備えてもよい。トランスデューサのアレイは、発光変換素子の1つ以上の行及び受信変換素子の1つ以上の行を含むこともできる。また、トランスデューサのアレイは、湾曲した列(例えば、湾曲したプローブ内)に沿って整列した複数のトランスデューサ素子を備える凸状アレイであってもよい。パルスを送信して応答を受信するために同じトランスデューサ素子が使用されてもよく、又は送信及び受信のために異なるトランスデューサ素子が使用される。1つ以上の送信トランスデューサ素子及び複数の受信トランスデューサ素子が存在してもよい。
【0080】
超音波プローブ20は、トランスデューサ素子を制御してこれらから信号SGを取得する電子制御装置(
図1には図示せず)を更に備えるか、又はそれに関連付けられてもよい。電子制御装置は、プローブの一部であってもよい。変形例として、電子制御装置は、プローブの外部にあってもよく(例えば、電力制御ユニット12の一部を形成する)、又はプローブの一部を部分的に形成してプローブの外部に部分的にある複数の装置からなってもよい。
【0081】
更に、処理ユニット11は、トランスデューサ装置20からデータを受信し、データを処理し、及び/又は、例えば処理装置、記憶装置、表示装置、サーバ、人工知能(IA)アルゴリズムが実行されるコンピュータ、専用ワークステーション又は他の外部装置などの、外部装置にデータを送信するように構成されてもよい。
【0082】
それにもかかわらず、システム10は、任意のタイプの電子システムであってもよい。例えば、システム10は、超音波撮像システム以外の任意のタイプの医療システムであってもよい。したがって、トランスデューサ装置20は、超音波以外の波(例えば、超音波の波長とは異なる波長を有する波及び/又は音波ではない波)を使用する任意のタイプの撮像装置又はセンサであってもよい。
【0083】
他の例によれば、システム10及び/又はトランスデューサ装置20は、例えば医療撮像、レーダ、ソナー、地震学、無線通信、電波天文学、音響学及び生物医学分野における通信、撮像又は走査の目的のために構成される。
【0084】
医療撮像システムの例は、超音波撮像システム、X線撮像システム(例えば、マンモグラムを実行することを可能にするシステム)、及びMRI(磁気共鳴撮像)システムを備える。
【0085】
図3は、
図1を参照して前述したようなシステム(又は装置)10、すなわちこの例では超音波撮像システムの実施形態を概略的に示す。
【0086】
図2に示す超音波撮像システム10は、
-超音波プローブ20(例えば、
図1のトランスデューサ装置20に対応する)と、
-プローブ20によって受信された信号SGに基づいて画像を処理又は生成するように構成される処理ユニット30(このユニット30は、例えば
図1の処理ユニット11に対応する)と、
-処理ユニット30に関連付けられ、リンクされ、又は接続される制御パネル40であって、場合によりボタン41及びタッチパッド42の少なくとも一方を備える制御パネル40と、
-処理ユニット30によって生成された画像を表示するように構成される1つ以上の画面50と、
を備えてもよい。
【0087】
プローブ20は、ケーブル21又は無線接続などの任意の適切な接続手段によって処理ユニット30に接続することができる。プローブ20は更に、媒体M内で超音波Wを放射し、媒体Mから超音波Wを受信することができ、前記受信された超音波は、前記放射された超音波が前記媒体内の拡散粒子に反射した帰結又は結果(the consequence or the result)である。
【0088】
プローブ20は、それぞれが電気信号SGを振動に変換し、逆もまた同様である複数のトランスデューサ(図示せず)を備えるトランスデューサのアレイであってもよい(又は備える)。例えば、トランスデューサ(トランスデューサ素子とも呼ばれる)は圧電素子である。例えば、トランスデューサのアレイは、128,256個以上のトランスデューサを備えてもよい。トランスデューサのアレイは、直線状又は湾曲状であってもよく、又は媒体Mの外面に配置されて、媒体と結合され、超音波Wを振動させて放射又は受信するようにしてもよい。
【0089】
処理ユニット30は、プローブ20から受信した信号SGを処理(例えば、増幅及び/又はフィルタリング)するように構成された、例えば受信回路を含む(又は受信回路である)受信装置(図示せず)を備えることができる。例えば、これらの受信装置は、信号を表わすデータに受信信号を変換する変換器(例えば、電圧をデジタルコードに変換するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC))を備えることができる。取得されたデータは、様々な方法で処理することができる、それらのデータは、特に、処理ユニットにアクセス可能なメモリに一時的に記憶されるか、又は中間処理データ(ビーム形成データ)を計算するために直接処理され得る。処理ユニット30は、任意の既知の処理方法を使用して、ビームの形成など、プローブから受信した信号に基づいて、1つ以上の画像又はマップ又はデータを生成及び/又は処理することができる。超音波画像に関連付けられた処理されたデータは、
-媒体内の器官の視覚化を可能にするグレースケールで一般的に表示される媒体のBモード画像(Bモード画像)、及び/又は、
-観察された媒体内の流体の動き、例えば媒体内の流体の動き及び/又は流れの速度を示すいわゆるドップラー画像(カラーコードを使用することが多い画像)であって、例えば媒体内の血管及びそれらの活動を視覚化するのに有用である、いわゆるドップラー画像、又は
-例えば、媒体の内部に存在する腫瘍であることが判明する可能性がある異なる硬度を有する領域を識別するのに有用な媒体の機械的特性(弾性)を示す画像(例えば、以下に記載されるようなせん断波エラストグラフィ画像データ(Shear Wave(商標)Elastography、SWE)であってもよい。
【0090】
表示画面50は、処理ユニット30により処理された画像を可視化するための画面であってもよい。表示画面50はまた、画像で使用されるスケールなどの他の情報、又は処理のための構成情報、又はタッチパッド42に適合又は適合された支援情報もしくはコンテキストジェスチャ支援などの任意の情報を表示することができる。
【0091】
表示画面50は、ユーザに対向するより良好な位置決めのために支持アーム51上に関節接合されてもよい。例えば、表示画面は、ユーザによる画像のより良好な視覚化のための大型(少なくとも20インチ)画面であってもよい。更なる画面(図示せず)が、患者に、又は(例えば、外科手術室での)任意の他の使用のために、画像を示すために存在してもよい。
【0092】
制御パネル40aは、システム10と相互作用(制御、情報の受信など)するためにユーザによって使用され得るユーザインタフェースの全部又は一部を形成する。
【0093】
本開示に係るシステム10の実施例を、
図4~
図12を参照して以下に説明する。
【0094】
図4は、
図1及び
図2を参照して前述したようなシステム10、すなわちこの例では超音波撮像システムの実施形態を概略的に示す。
【0095】
前述のように、システム10は、この例では、電気信号SGでトランスデューサ装置20を駆動するように構成された制御ユニット12を備える。これにより、制御ユニット12は、トランスデューサ装置20に送られる電気信号SGを生成し、媒体Mに超音波W1を放射させる。このようにして生成された電気信号SGは、媒体Mを励起するために送られた超音波W1を表わす。制御ユニット12は、放射波W1によって誘発された励起に続いてトランスデューサ装置20から発生する電気信号SGを受信することもできる。これらの信号SGは、媒体Mから生じるトランスデューサ装置20によって受信された波W2を表わす。例えば、これらの波W2は、超音波エコー、すなわち、超音波W1に対する媒体Mの応答を形成する。
【0096】
システム10はまた、制御ユニット12を制御するように、特に制御ユニット12によって生成された電気信号SGを制御するように構成された処理ユニット(又は装置)11を備える。処理ユニット11は、トランスデューサ装置20から発生した、制御ユニット12によって受信された電気信号SGを処理(又は解釈)するように更に構成される。
【0097】
図4に示すように、制御ユニット12は、放射時及び受信時に電気信号SGをトランスデューサ装置20と交換するために電気リンクLNを使用する。次に、制御ユニット12とトランスデューサ装置20との間に、LN1~LNnと表記された複数の電気リンクが形成されているものとし、nは2以上の整数である。この数nは、場合によって適合させることができる。例えば、n=256とすることができる。
【0098】
電気リンクLNは、制御ユニット12とトランスデューサ装置20との間で電気信号SGを送信するために使用される導電性物理リンク(又は接続)であってもよい(又はそれを備えてもよい)。これらのリンクLNの構成は、特に配置及び構造に関して、場合によって異なり得る。例えば、各リンクLNは、少なくとも1つの電気トラック、例えば、電子基板(例えば、
図3に示す駆動基板32)の上に形成された1つ以上の電気トラックによって全体的又は部分的に形成されてもよい。各リンクLNは、場合によっては、
図3に示すケーブル21などのケーブル又は電気ケーブル(例えば、同軸タイプの)の少なくとも一部を備えることができる。一例によれば、そのような電気リンクLNは、少なくとも1つの電気トラック部分、及び場合によっては少なくとも1つの電気ケーブル部分を備えることができる。
【0099】
電気リンクLNは、制御ユニット12をトランスデューサ装置20に直接接続してもよく、或いは、制御ユニット12とトランスデューサ装置20とを接続する電気接続の一部分のみを形成してもよい。
【0100】
図4に示すように、この例では、制御ユニット12は、それぞれA1~Anで示されるn個の入出力端子を備え、トランスデューサ装置20は、それぞれB1~Bnで示されるn個の入出力端子を備える。そして、電気信号SGは、電気リンクLN1~LNnで接続された端子A1-An,B1-Bnを介して、制御ユニット12とトランスデューサ装置20との間で送信される。以下に説明するように、一方では入出力端子A1-Anと他方ではB1-Bnとの間で電気信号SGを伝達するためにこれらの電気リンクLNが使用される態様は、好適には、駆動装置60の制御下で経時的に適合され得る。
【0101】
一例として、各端子B1~Bnは、トランスデューサ素子20の各圧電素子(図示せず)に対応付けられているものとする。したがって、各圧電素子は、制御ユニット12の入出力端子A1-Anから送信される電気信号SGによって駆動することができる。それにもかかわらず、変形形態、特にトランスデューサ装置20の端子B1~Bnがサブグループ、又はグループ、又は複数の圧電素子に関連付けられる実装形態が可能である。
【0102】
図5に示すように、制御ユニット12は、電気リンクLNを介して確立されたチャネルCN1~CNn(まとめてCNで示す)全体にわたってトランスデューサ装置20(第1の装置とも呼ばれる)を駆動するように構成される。各チャネルCNは、電気リンクLNのうち、制御ユニット12の端子A1-Anとトランスデューサ装置20の対応する端子B1-Bnとをそれぞれ接続(又は連結)する電気経路(electrical route)(又は電気経路(electrical pathway))を形成する。
【0103】
一例によれば、チャネルCNはアナログチャネルである。
【0104】
これらは、制御ユニット12とトランスデューサ装置20(送信及び/又は受信チャネル)との間の電気信号SGの送信及び/又は受信を可能にする。言い換えると、これらのチャネルCNは、制御ユニット12とトランスデューサ装置20との間で電気信号SGを伝達するように構成される。
【0105】
例えば
図6に示すように、各チャネルCNi(CN1~CNn)は、処理ユニット12とトランスデューサ装置20との間で電気信号SGi(SG1~SGn)をそれぞれ伝達(又は送信)するように構成されてもよく、iは1~nに含まれる整数である。前述したように、これらの交換信号SGiは、制御ユニット12によって発せられる電気信号TXi及び/又は制御ユニット12によって受信される電気信号RXiを含むことができる。
【0106】
一例によれば、チャネルCNは、有線式電気リンクLNによって形成される限り、有線チャネル(又はガルバニック接続)である。
【0107】
駆動装置60は、電気リンクLN間で経時的に1つ以上のチャネルCN置換61(
図5)を実行するように構成される。各置換61は、電気リンクLNのうちの少なくとも2つのチャネルCNが辿る電気経路の修正をもたらす。チャネルCNの全部又は一部のみが、同じ置換中にそれらの経路を改変され得る。
【0108】
そうするために、駆動装置60は、例えば、置換コマンドを送信するように構成された駆動モジュール(又はユニット)を備えることができ、各置換コマンドは、電気リンクLNのうちの少なくとも2つのチャネルCNの置換61をトリガする。本開示では、そのようなモジュールは、ソフトウェア構成要素とハードウェア構成要素の両方、又はハードウェアもしくはソフトウェア構成要素のセットに対応し得る。
【0109】
図5に示すように、例えば、処理ユニット12の端子A1をトランスデューサ装置20の端子B1に結合するチャネルCN1が最初に電気リンクLN1を介して確立され、駆動装置60によってトリガされる置換61の影響下で、前記チャネルCN1が電気リンクLN2を介して確立されるように再構成されると仮定する。したがって、電気信号SGの経路は、端子A1とB1との間で修正される。並行して、この置換61はまた、電気リンクLN1を介して別のチャネルCNを確立させてもよい。
【0110】
次に、説明を簡単にするために、各チャネルCNは、処理ユニット12の同じ入出力端子A1-Anをトランスデューサ装置20の同じ入出力端子B1-Bnに互いに接続するように構成され、それは実行される各置換61とは無関係であると仮定する。より具体的には、チャネルCN1は対A1/B1を結合し、チャネルCN2は対A2/B2等を経時的な任意の時点で結合する。したがって、各チャネル置換61は、処理ユニット12の端子A1-Anとトランスデューサ装置20の端子B1-Bnとの間の対応関係を変更することなく、電気リンクLNのうちの少なくとも2つのチャネルCNの経路の変更をもたらす。したがって、置換61は、処理ユニット12及びトランスデューサ装置20の観点から透明性があり、システム10のレベルで必要な適応を制限し、ユーザ及び/又はシステムの設計者を混乱させないことを可能にする。
【0111】
本開示との関連では、様々なチャネル置換61が可能である。そのような置換の実施例を以下に説明する。
【0112】
一例によれば、チャネルCNは、1つのチャネルCNあたり各時間に1つの電気リンクLNのみが使用されるように構成されてもよい。言い換えれば、チャネルCNのそれぞれは、単一の電気リンクLN内に確立され、それは実行された置換61とは無関係である。それにもかかわらず、変形形態、例えば、後述するように、チャネルCNが異なる電気リンクLNの複数の部分に確立される実装形態が可能である。
【0113】
一例によれば、チャネルCNは、少なくとも1つのチャネルを用いて素子PZ又は複数の素子PZを駆動するように構成されていてもよい(例えば、マトリクスアレイプローブの場合)。
【0114】
図5に示すように、駆動装置60は、少なくとも1つのプロセッサ62及び不揮発性メモリ(図示せず)を備えることができる。駆動装置60、より一般的には制御システム10は、特定の実施形態において後述するトランスデューサ装置20を駆動するための駆動方法を実施するように構成される。この目的のために、駆動装置60は、不揮発性メモリ(例えば、フラッシュ又はROM型メモリ)に記憶されたコンピュータプログラムPG1を含むことができ、このコンピュータプログラムPG1は、前記方法を実施するための命令の全部又は一部を含む。プロセッサ62は、特にコンピュータプログラムPG1によって定義された命令を実行するように構成される。
【0115】
不揮発性メモリ62は、システム10を参照して前述したような任意の(取り外し可能及び/又は取り外し不可能な)記憶装置に対応することができる。駆動装置60は、システム10を参照して前述したような少なくともある種のコンピュータ可読媒体(例えば、コンピュータ記憶媒体及び/又は通信媒体)を備えることもできる。
【0116】
図7は、
図4~
図6を参照して前述した超音波撮像システム10の実施形態を概略的に示す。例示されるように、システム10は、例えば、少なくとも2つのマルチプレクサを備える。したがって、電気リンクLNは、第1のマルチプレクサ70と第2のマルチプレクサ72との間に介在する。各チャネル置換61は、電気リンクLN間のチャネルCNの第1及び第2のマルチプレクサ70,72によるルーティングの変更によって生じる。
【0117】
より具体的には、マルチプレクサ70及び72は、電気リンクLNの間で制御ユニット12とトランスデューサ装置20との間の送信(又は交換)信号SGをルーティングするように構成される。このルーティングにより、電気リンク間の信号SGの経路を適合させることができ、したがって、電気リンクLNを介して確立されたチャネルCNを適合させることができる。
【0118】
マルチプレクサ70及び72は、駆動装置60によって駆動されて、経時的に1つ以上のチャネル置換61を実行する。各置換61は、マルチプレクサ70及び72のルーティングの変更を引き起こし、電気リンクLNのうちの少なくとも2つのチャネルCNの置換61を引き起こす。一例によれば、各置換61は、前記置換の直前に以前に使用されたものとは異なる電気リンクLNを介して少なくとも2つのチャネルCNがそれぞれ確立されるようにする。
【0119】
例えば、マルチプレクサ70及び72は、特に電子基板内に堅牢で高密度の実装を可能にする半導体(あるいは「ソリッドステート」)タイプであってもよい。
【0120】
一例によれば、第1のマルチプレクサ70は、ハードウェア及び/又はソフトウェア形態で実装される。例えば、マルチプレクサ70は、例えばFPGA(「フィールドプログラマブルゲートアレイ」)タイプの集積回路の形態であってもよい。マルチプレクサ70はまた、コンピュータプログラム、例えばプログラムPG1(
図4、
図5及び
図7)によって少なくとも部分的に実装されてもよい。
【0121】
一例によれば、第2のマルチプレクサ72は、超音波プローブ20(
図3)などのプローブ、又は駆動基板32(
図3)などの電子基板に形成することができる。この最後の変形形態は、複雑さが少なく、電気リンクLNの非対称性が主にそのような駆動ボードにおいて生じ得る程度まで、以下に説明するように電気ノイズによって誘発される効果を効果的に制限することを依然として可能にするという点で有利であり得る。
【0122】
図7に示すように、システム10は、電気信号SGをトランスデューサ装置20に送信するために制御ユニット12によって制御される、PS1~PSn(まとめてPSと示す)で示される複数のパルサを備えてもよい。これらの電気信号SGは、媒体M内で放射される波W1を表わす電子パルスであり得るか、又はそれを含み得る。パルサPSは、制御ユニット12に属していてもよい。
【0123】
既に示したように、トランスデューサ装置20はまた、複数のトランスデューサ(
図7)、すなわち、PZ1~PZn(まとめてPZと示す)で示される圧電素子を備えてもよい。これらの圧電素子PZは、パルサPSから受信した電気信号SGを媒体Mに放射される波W1に変換し、媒体Mから受信した波W2を処理ユニット11による処理のために制御ユニット12に送信される電気信号SGに変換するように構成されている。したがって、この例では、各チャネルCN1~CNnは、1つのパルサPS1~PSnを同じ圧電素子PZ1~PZnに関連付け、それは駆動ユニット60によってトリガされ得る置換62とは無関係である。したがって、各圧電素子PZは、専用のチャネルCNを介してパルサPSによって駆動されてもよい。
【0124】
一例によれば、システム10(例えば、制御ユニット12又は処理ユニット11)は、特に
図3を参照して前述したような受信装置(図示せず)を備える。例えば受信回路を含む(又は受信回路である)これらの受信装置は、トランスデューサ装置20から受信した信号SGを処理する(例えば、増幅及び/又はフィルタリングする)ように構成される。例えば、これらの受信装置は、信号を表わすデータに受信信号を変換する変換器(例えば、電圧をデジタルコードに変換するように構成されたアナログデジタル変換器(ADC))を備えることができる。例えば、各受信装置は、それぞれのチャネルCN全体にわたって圧電素子PZから電気信号SGを受信するように構成される。
【0125】
図示されるように、駆動装置60及び処理ユニット11は、駆動システムとも呼ばれるシステムSY1を共に形成することができる。一例によれば、駆動装置60及び処理ユニット11は、1つの(又は1つに属する)単一の装置SY1を構成する。
【0126】
前述のように(
図2~
図7)システム10によって実施される制御方法を、特定の実施形態による
図8~
図11を参照して説明する。そうするために、駆動装置60(又はより一般的にはシステム10)は、コンピュータプログラムPG1を実行することができる。システム10は、プログラムPG1を含む少なくとも1つのコンピュータプログラムの命令を実行することができる。
【0127】
駆動ステップS2の間、制御ユニット12は、電気リンクLNを介して確立されたチャネルCN全体にわたってトランスデューサ装置20を駆動する。チャネルCNは、場合によっては様々な構成にしたがって確立されてもよい。
【0128】
一例によれば、駆動S2は、駆動装置60によってチャネルCNを確立することを含む。
【0129】
一例によれば、駆動S2は、チャネルCN全体に電気信号SGを送信することを含む。前述のように、チャネルCNは、制御ユニット12とトランスデューサ装置20との間で電気信号SGを送信(又は交換)するために使用することができる。したがって、信号SGは、チャネルCN全体にわたって制御ユニット12によって送信及び/又は受信され得る。
【0130】
置換ステップS4の間に、少なくとも2つのチャネルCNが電気リンクLNの間で経時的に並べ替えられる(61)。本明細書で考慮される例では、チャネル置換61は、例えば置換コマンドをマルチプレクサ70及び72に送信することによって、マルチプレクサ70及び72(
図7)を制御する駆動装置60によってトリガされる。
【0131】
したがって、各置換61は、電気リンクLNのうちの少なくとも2つのチャネルCNの電気経路の修正をもたらす。チャネルCNの全部又は一部のみが、置換中に修正された経路を有し得る。
【0132】
一例によれば、少なくとも1つのチャネル置換61が、電気リンクLN間で経時的に実行される(S4)。
【0133】
一例によれば、複数のチャネル置換61が、電気リンクLN間で経時的に実行される(S4)。したがって、経時的に異なる時点で一連の置換61を実行することが可能であり、これらの置換は、電気リンクLN間のチャネルCNの構成(又は電気経路)を毎回変更する。
【0134】
したがって、電気リンクLNのうちの少なくとも2つのチャネルCNを経時的に並べ替えることによって、制御ユニット12とトランスデューサ装置20との間で送信される電気信号SGを妨害する可能性がある電気ノイズを平滑化又は平均化し、したがって、そのような電気ノイズから生じる可能性がある妨害を制限することが有利に可能である。実際、特に電気リンクLNの互いに対する非対称性、並びに構成要素及び電子基板の製造プロセスに起因する他の変動に関連する寄生現象は、電気リンク間のチャネルCNの経路を経時的に変更することによって減衰又は制限され得る。これは、前記電気リンク全体にわたるチャネルの経路の変化によって引き起こされる電気リンクLNの物理的又は構造的な不均衡の平均化効果(又は平滑化、又は経時的及び/又は空間的な再分配効果)から生じる。特に、チャネル間のチャネル(インピーダンス等)の特性の変動を低減することができる。したがって、特に、波放射及び/又は受信装置の駆動を改善することによって、及び/又は波放射及び/又は受信装置から生じる受信応答を改善することによって、システムの性能を改善することが有利に可能であり、それは電気リンクLNの設計にある程度の自由を提供しながら可能である。実際、異なる特性(例えば、異なる長さ)を有する電気リンク及び/又は多数の電気リンクを形成することが可能であり、これらのリンク間の物理的又は構造的な相違は、チャネルCNの置換によって少なくとも部分的に補償される。
【0135】
電気ノイズによって誘発される効果を制限することにより、例えば、超音波撮像用途における超音波画像の品質などの画質を改善することが可能である。したがって、特に
図1を参照して前述したように、電気ノイズによって誘発される可能性のある視覚的異常(例えば、一連の暗い領域及び明るい領域)を回避することが可能である。本開示の方法のおかげで、特に時間及びリソースに関して、特にいわゆるリアルタイムアプリケーションの場合に処理コストを制限することを可能にする画像補正アルゴリズムを実行する必要なく良好な画像品質を得ることが特に可能である。
【0136】
一例によれば、チャネルCNは、チャネルCNごとに各時間に1つの電気リンクLNが使用されるように、置換ステップS4中に並べ替えられる。言い換えれば、各チャネルCNは、実行された置換とは無関係に1つの単一の電気リンクLN内に確立される。したがって、様々なチャネルCNにわたって信号SGの経路を最小限の複雑さで変化させることが可能になる。それにもかかわらず、特に以下に説明するように、少なくとも1つのチャネルCNが異なる電気リンクLNに属する複数のリンク部分を介して確立される変形形態が可能である。
【0137】
次に、電気リンクLN間で複数のチャネル置換61が経時的に実行されると仮定する(S4)。複数の置換の完了により、電気ノイズの良好な平均化(又は再分配、又は平滑化)効果を保証することが可能になり、したがって、電気信号の送信を妨げる可能性がある可能性のある外乱を制限することが可能になり、特に、撮像用途の場合には、トランスデューサ装置20のより良好な駆動及び/又はより良好な画像品質を可能にする。
【0138】
以下で様々な例示的な例に記載されるように、各場合に適合された値は、電気ノイズの平均化(又は平滑化、又は再分配)効果を最適化するために、経時的に頻繁すぎる置換が時間損失を引き起こし、場合によってはチャネルCN全体にわたって搬送される電気信号SGをある程度妨害し得る程度まで、経時的に置換61の周波数のトレードオフを達成することを可能にすることができる。
【0139】
一例によれば、置換は、システム10によって生成された画像、例えば超音波撮像用途における超音波画像のリフレッシュレートよりも高い置換頻度にしたがって構成され、その結果、画像は電気ノイズの平均値を表示する。例えば、可能な限り最良の画質(視覚効果を妨害することなく、わずかな撮像ノイズ)が得られるように、置換頻度を調整してもよい。
【0140】
一例によれば、m個のチャネルCNが各置換61中に並べ替えられ、mは2≦m≦nとなるような整数である。この数mは、固定されていてもよく、或いは場合によっては置換ごとに異なっていてもよい。したがって、m個のチャネルのグループ内の置換をトリガすること、すなわち、各置換61において、n個のチャネルCNの全ての置換、又はこれらのn個のチャネルCNの中のサブセットのみ(m<n)の置換を引き起こすことによってトリガすることが可能である(この最後のケースでは、少なくとも1つのチャネルCNが並べ替えられない)。
【0141】
次に、n個のチャネルCNの全てが各置換61において並べ替えられるが、置換61の間にチャネルNのただ1つのサブセット(経時的に固定及び/又は可変)が並べ替えられる変形が可能であると仮定する。
【0142】
置換ステップS4中の置換61は、様々な方法で実施することができ、その幾つかの実施形態を以下に説明する。
【0143】
一例によれば、置換61は、経時的に所定の順序にしたがって実行される。例えば、この所定の順序は、各置換61の完了時にチャネルCNがそれぞれ確立される電気リンクLNを定義することができる。したがって、この場合、チャネル置換61は決定論的に定義される。所定の順序は、制御ユニット12とトランスデューサ装置20との間で交換される電気信号SGとは無関係であってもよい(搬送信号によるチャネルCNのサーボ制御なし)。以下に説明する
図9及び
図10は、決定論的置換に基づく駆動例を示す。
【0144】
図9は、簡略化された例示的な例に係る、電気リンクLN間の経時的な2つのチャネルCN1及びCN2の構成を概略的に示すタイムチャートである。この例に示されているように、チャネルCN1及びCN2を共に並べ替えるために、2つの置換61a及び61bが連続して実行される。初期段階では、電気リンクLN1,LN2を介してチャネルCN1,CN2がそれぞれ確立されていると考えられる。第1の置換61aにより、電気リンクLN2,LN1を介して、チャネルCN1,CN2がそれぞれ確立される。第2の置換61bは、電気リンクLN1及びLN2をそれぞれ介して再び確立されることによって、チャネルCN1及びCN2をそれらの初期構成に戻す。この順序を数回繰り返してもよい。したがって、チャネルCN1及びCN2は、それらの電気経路を経時的に数回交換して、前述のように誘導された外乱の変動を平滑化する有利な効果を達成する。
【0145】
図10は、一例に係る、電気リンクLN間の経時的な3つのチャネルCN1、CN2、及びCN3の構成を概略的に示すタイムチャートを示す。この例に示されるように、チャネルCN1~CN3を共に並べ替えるために、2つの置換61c及び61dが連続して実行される。この例では、初期段階において、チャネルCN1,CN2,CN3がそれぞれ電気リンクLN1,LN2,LN3を介して確立されていると考えられる。第1の置換61cは、電気リンクLN3、LN1及びLN2を介してチャネルCN1、CN2及びCN3をそれぞれ確立させ、次いで、第2の置換61dは、電気リンクLN2、LN3及びLN1を介してこれらのチャネルをそれぞれ確立させる。したがって、この同じ置換方式にしたがって、置換を経時的に繰り返すことができる。したがって、チャネルCN1、CN2、及びCN3は、前述のように平均化効果を誘導することを可能にする電気リンクLN1、LN2、及びLN3の占有状態において「交代(rotation)」又は巡回置換を実行するように経時的に並べ替えられる。
【0146】
一例によれば、システム10は、少なくとも1つのパラメータにしたがって、例えば使用されるプローブタイプにしたがって(例えば、プローブで使用される周波数範囲にしたがって、及び/又はプローブの動作モードにしたがって)置換61の所定の順序を適合させる。例えば、所定の順序は、システム10によって実施される1つ以上の撮像パラメータ、例えば、システム10の動作周波数、システム10で使用される圧電素子PZの数、圧電素子PZのそれぞれのタイプ、システム10によって実施される撮像モード(例えば、グレースケール画像を生成するための「Bモード」など)のうちの少なくとも1つにしたがって適合され得る。
【0147】
一例によれば、システム10は、電気リンクLNに存在する電気ノイズにしたがって置換61の所定の順序を適合させる。したがって、システム10は、例えば、電気リンクLNを妨害する電気ノイズ(例えば、初期段階又は較正段階の間)を解析(又は評価)し、解析された電気ノイズにしたがって所定の順序を決定することができる。次いで、置換61の所定の順序は、初期段階又は較正段階中に推定された電気ノイズから構築することができる。
【0148】
電気ノイズの解析は、様々な態様で実行することができる。例えば、この解析は、システム10によって生成された画像の解析から行われて、これらの画像が電気ノイズによって妨害されているかどうかを決定することができる。例えば、電気ノイズの解析は、電気測定装置(例えば、オシロスコープを備える)によって、又はシステム10自体によって実行されてもよい。この最後の場合、パルサPSは電気信号を生成することができ、システム10の受信回路は、信号の減衰、したがって電気リンクLNに影響を及ぼす電気ノイズを評価することができるように、電気リンクLN全体に一度送信された信号を測定するために使用することができる。
【0149】
一例によれば、置換61は、経時的にランダム(又は擬似ランダム)順序にしたがって実行される。したがって、このランダムな順序は、各置換61の完了時にチャネルCNがそれぞれ確立される電気リンクLNをランダムに定義することができる。換言すれば、置換の完了時に各チャネルCNがそれを介して確立される電気リンクLNは、ランダムに選択されてもよい。置換61のランダムな性質は、電気ノイズによって誘発される効果を更に制限すること、特に処理ユニット11によって処理された信号SGから得られる超音波画像の品質を改善することを可能にする。これは、特に、チャネルがランダムに並べ替えられるときに電気ノイズに関連する画像の劣化が一般にあまり知覚されない人間の目の特定の動作によって説明される(人間の目に対する平均化効果)。特に、画像の視覚的レンダリングを改善するために、画像上で発生する可能性がある欠陥(輝度変動等)の周期性を制限又は回避することが可能である。
【0150】
【0151】
図11は、一例に係る、電気リンクLN間の経時的な4つのチャネルCN1~CN4の構成を概略的に示すタイムチャートを示す。この例に例示されるように、チャネルCN1-CN4を共に並べ替えるために、2つの置換61e及び61fが連続して実行される。この例では、初期段階において、チャネルCN1,CN2,CN3,CN4がそれぞれ電気リンクLN3,LN1,LN4,LN2を介して確立されていると考えられる。各置換61e及び61fは、LN1~LN4の中からランダムに選択された電気リンクLNにチャネルCN1~CN4を確立することをもたらす。一例によれば、少なくとも1つのチャネルCNは、置換の完了時に同じ電気リンクLNに維持される可能性があり、少なくとも2つの他のチャネルCNは並べ替えられるが、各チャネルCNが各置換で電気リンクLNを必然的に変更する変形形態も可能である。
【0152】
一例によれば、システム10は、所定の順序のランダムな組み合わせにしたがって置換61を実行する。
【0153】
一例によれば、システム10は、少なくとも1つの候補順序の中でユーザによって選択された少なくとも1つの順序、例えばシステム10によって生成された少なくとも1つの所定の順序及びランダムな順序にしたがって置換61を実行する。例えば、システム10は、候補順序を決定し、各候補順序からそれぞれ生成された少なくとも1つの画像(又は視覚的レンダリング)をユーザに提示することができ、ユーザは、システム10によって提示された画像を使用して候補順序の少なくとも1つの順序を選択することができる。
【0154】
前述したように、電気リンクLNは、第1のマルチプレクサ70と第2のマルチプレクサ72(
図7)との間に介在してもよい。その後、各置換61は、電気リンクLN間のチャネルCNの第1及び第2のマルチプレクサ70及び72によるルーティングの変更によって引き起こされ得る。ルーティングにおけるこれらの変更は、マルチプレクサ70及び72を制御する駆動装置60によってトリガされ得る。マルチプレクサ70及び72は、物理的又は構造的な相違を特徴とする可能性が最も高く、したがって電気ノイズを発生させる可能性が最も高い電気リンクセクションをカバー/包含するように、システム10内に配置されてもよい。
【0155】
マルチプレクサ70及び72は、様々な態様で構成することができる。一例によれば、各チャネルCNは、常に同じ対の入力/出力端子、すなわち一方では端子A1-An、他方ではそれぞれの端子B1-Bnを接続するように構成されてもよく(
図4~
図5)、それは実行される置換61とは無関係である。更に、制御ユニット12の各入出力端子A1-Anは、それぞれのパルサPS1-PSnに関連付けられてもよく、トランスデューサ装置20の各入出力端子B1-Bnは、それぞれの圧電素子PZ1-PZnに関連付けられてもよい。それにもかかわらず、以下に説明するように、他の実装も可能である。
【0156】
一例によれば、マルチプレクサ70及び72は、
-複数のパルサPSと複数の圧電素子PZとの間のチャネルCNの1つの(又は少なくとも1つの)の第1多重化、
-複数の圧電素子PZと複数の受信装置との間のチャネルCNの1つの(又は少なくとも1つの)第2多重化、
のうちの少なくとも一方を実行するように構成される。
したがって、マルチプレクサ70及び72は、トランスデューサ装置20に向かって/から電気信号SGを放射及び/又は受信するためにそれぞれ使用されるチャネルCNを並べ替えるために、本明細書で前述したように1つ以上の第1の多重化及び/又は1つ以上の第2の多重化を実行することができる。
【0157】
一例によれば、マルチプレクサ70,72は、前述したように、パルサPSと圧電素子PZとの間のチャネルCNの少なくとも1つの第1の多重化を行なう。第1の変形例によれば、各チャネルCN(電気信号SGをトランスデューサ装置20に向けて放射するために使用される)は、次に、第1の多重化とは無関係に(したがって、置換61とは無関係に)同じパルサPSを同じ圧電素子PZに結合する。したがって、各パルサは、行われる置換に関係なく、同じ固有の圧電素子に結合されてもよい。このように、置換61は、制御ユニット12及びトランスデューサ装置20に対して透明性があり得る。したがって、制御ユニット12及びトランスデューサ装置20の適応を制限しながら、かつユーザ及び/又は機械の設計者を混乱させる可能性を回避しながら、本方法を実施することが可能である。
【0158】
第2の変形例によれば、第1の多重化は、パルサPSと圧電素子PZとの間のチャネルCN(電気信号SGをトランスデューサ装置20に向けて放射するために使用される)による結合の変化を引き起こす。したがって、このような第1の多重化は、前記第1の多重化の前後に、圧電素子PZを異なる受信装置と結合させることができる。したがって、各圧電素子PZを駆動するために使用されるパルサPS及び電気リンクLNを、チャネルCNと同時に並べ替えること、すなわち変更することが可能である。
【0159】
特定の例によれば、圧電素子PZは、複数の圧電サブ素子PZを備えることができる。
【0160】
一例によれば、マルチプレクサ70及び72は、前述したように、パルサPSと受信装置との間のチャネルCNの少なくとも1つの第2の多重化を実行する。第1の変形例によれば、(トランスデューサ装置20から電気信号SGを受信するために使用される)各チャネルCNは、第2の多重化とは無関係に(したがって置換61とは無関係に)同じ圧電素子PZを同じ受信装置に結合する。したがって、各パルサPSは、行われる置換に関係なく、同じ固有の受信装置に結合されてもよい。このように、置換61は、制御ユニット12及びトランスデューサ装置20に対して透明性があり得る。したがって、制御ユニット12及びトランスデューサ装置20の適応を制限しながら、かつユーザ及び/又は機械の設計者を混乱させる可能性を回避しながら、本方法を実施することが可能である。
【0161】
第2の変形例によれば、第2の多重化は、圧電素子PZと受信装置との間のチャネルCN(トランスデューサ装置20から電気信号SGを受信するために使用される)による結合の変化を引き起こす。したがって、チャネルCNと同時に受信装置を並べ替えること、すなわち、圧電素子PZから電気信号SGを受信するために使用される受信装置及び電気リンクLNを変更することが可能である。
【0162】
特定の例によれば、制御方法の間、制御ユニット12は、チャネルCN全体にわたって電気信号SGのグループをトランスデューサ装置20に送信し、各グループは、トランスデューサ装置20によって1つ(又は少なくとも1つ)の波W1の放射を引き起こすように構成されたショットに対応する。チャネルCN(それらの全部又は一部)は、例えば、電気リンク間のXショットごとに並べ替えられてもよく、Xは2以上の整数である。実際、各チャネル置換61は、電気ノイズを生成する可能性がある。特に線非対称性から生じる電気ノイズと、これらの置換から生じる可能性がある二次ノイズとの間の適切な比に達するために、例えば、Xショットごとにのみ置換61をトリガすることによって(ショットが例えば波W1の放射に対応する場合)、経時的に置換の数を制限することが有利であり得る。例として、トランスデューサ装置20は、(例えば、グレースケール画像を生成するために)128個の電気信号又は(例えば、カラー画像を生成するために)1,000個の電気信号のグループを送信することによって駆動することができ、各送信は、処理後に画像を形成することを可能にするフィードバック信号を生成する。この例では、例えば、数Xを2、4又は10に設定することが可能である。
【0163】
それにもかかわらず、X=1となるようにXを設定することが可能である。この場合、チャネルCN(それらの全部又は一部)は、電気リンク間の各ショットで並べ替えられてもよい。したがって、より一般的には、X≧1となるようにXを設定することが可能である。
【0164】
一例によれば、電気リンクLNは、電気リンクLNを直列に取り付けられたセクション(又は部分)に分割する少なくとも1つの中間マルチプレクサを備える。この場合、駆動装置60は、電気リンクLNのセクションのうち、チャネルCN(チャネルの全部又は一部)を並べ替える少なくとも1つの置換61を行なってもよい。この例の一実施形態を
図12を参照して説明するが、この例の周辺の変形も可能である。
【0165】
図12は、一実施形態に係る、前述のシステム10を概略的に示す。システム10は、少なくとも1つの中間マルチプレクサ74を更に備えるという点で、
図7に示すものとは異なる。次に、説明の簡略化に関連する明白な理由のために、システム10は単一の中間マルチプレクサ74を備えると仮定するが、この変形例は複数の中間マルチプレクサ74で同様に適用することができる。
【0166】
より具体的には、中間マルチプレクサ74は、各電気リンクLNを直列に実装された2つのセクション(又は部分)に「分割」(又は分離)する。言い換えれば、電気リンクLN内に中間多重化ステージを追加することにより、個別に駆動することができるセクション、すなわちチャネルCNの独立した置換を実行することができるセクションを定義することができる。したがって、置換ステップS4(
図8)中に、駆動装置60は、例えば、電気リンクLNのセクション間でチャネルCN(チャネルの全部又は一部)を並べ替える少なくとも1つの置換61を実行(又はトリガ)することができる。置換61は、マルチプレクサ70及び72と共に中間マルチプレクサ74によるチャネルCNのルーティングの変更によって伝えられてもよい。換言すれば、駆動装置60は、前述したマルチプレクサ70、72の制御に加えて、中間マルチプレクサ74が電気リンクLNのセクション間のチャネルのルーティングを変更するように中間マルチプレクサを制御する。
【0167】
一例として、初期段階では、電気リンクLN1の第1部分LN1a及び電気リンクLN2の第2部分LN2bを介してチャネルCN1が確立されているものとする。駆動装置60の制御に応じて、中間マルチプレクサ74は、電気リンクLN2の第1の部分LN2a及び電気リンクLN1の第2の部分LN1bを介して確立されるように、チャネルCN1を並べ替える(又はルーティングを変更する)。したがって、少なくとも1つのチャネルCNは、少なくとも2つの別個の電気リンクLNのセクションを介して所与の時点で確立され得る。
【0168】
したがって、電気リンクLN内に少なくとも1つの中間多重化ステージを追加することにより、セクション内のチャネル置換61を可能にすることによってトランスデューサ装置20の駆動を精緻化することが可能になり、これにより、チャネルのルーティングにおける可能な変動が増加し、限られた数の電気リンクLNを含む効果的な平滑化効果を達成することが可能になる。特に、前記電気ノイズの低減を最大化するために、主に、永久的に又は機械の使用にしたがって、すなわち、経時的に変化しつつ及び/又は所望の用途に伴って、電気ノイズに最もさらされる電気ラインLN部分のレベルでのルーティングの変更を対象とすることが可能である。
【0169】
一例によれば、幾つかの実施形態で前述したように、本開示の制御方法は、超音波医療撮像に適用することができる。例えば、波放射及び/又は受信装置20は、媒体M、例えば、生物(例えば、患者)の全部又は一部を調査/走査(又は検査)するために使用されるように意図された医療用プローブである(又は医療用プローブを備える)。そのために、超音波プローブ20は、例えば、場合によっては超音波プローブ20と考慮される身体との間の超音波の伝達を改善するためにゲルを介在させながら、生体の身体に適用されてもよい。
【0170】
一例によれば、チャネルCNを介して送信される各電気信号SGは、医療用プローブ20の圧電素子PZ(
図7)を刺激するように構成され、及び/又は医療用プローブ20の圧電素子PZによって受信される音響エコーを表わす。
【0171】
当業者であれば分かるように、説明を容易にするために一部が簡略化されている上記の実施形態及び変形例は全て、本開示の実施の単なる非限定的な例である。特に、当業者は、特定の必要性に対処するために、前述の実施形態及び変形形態の任意の適合又は組み合わせを考慮することができる。
【0172】
したがって、本発明は、前述の実施形態に限定されず、特に、本発明の範囲から逸脱することなく二次的なステップを含む制御方法を包含する。同じことが、そのような方法を実施するための駆動装置、より一般的には駆動システムにも当てはまる。
【外国語明細書】