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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007426
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】蒸気放出路を備えたケトル
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A47J27/21 101Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023104600
(22)【出願日】2023-06-27
(31)【優先権主張番号】2206680
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(71)【出願人】
【識別番号】594034072
【氏名又は名称】セブ ソシエテ アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ デュモー
(72)【発明者】
【氏名】ベルナール アルマン
(72)【発明者】
【氏名】クロエ スマル
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA34
4B055BA01
4B055BA28
4B055CA21
4B055CA42
4B055CB02
(57)【要約】
【課題】使用の大きな安全性を提供しながら、シンプルで経済的な構造であるケトルを提供する。
【解決手段】ケトル(2)は、水を含むことを意図した内部容積を画定する容器(4)と、グリップハンドル(8)と、注ぎ口(9)と、蓋(11)と、蓋(11)の下面に現れ、注ぎ口(9)およびグリップハンドル(8)を通過するケトル(2)の中央垂直平面(P)のいずれかの側に配置されるように構成された第1および第2の蒸気吸入オリフィスを含む蒸気放出路と、第1および第2の蒸気吸入オリフィスにそれぞれ流体接続され、蓋(11)によって画定された内部チャンバ(31)に出現する第1および第2の蒸気フローチューブ(35、36)とを備える。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケトル(2)であって、
容器(4)であって、前記容器(4)が水平面上に載ったときに実質的に垂直に延びるように構成された中心軸(A)を有し、前記容器(4)は、水を収容するように意図され、水を加熱し、特に沸騰させるように意図された内部容積(5)を画定する、容器(4)と、
グリップハンドル(8)と、
前記容器(4)の前記中心軸(A)に対してグリップハンドル(8)の反対側に位置するように構成された注ぎ口(9)と、
前記容器(4)を閉じるように構成された蓋(11)であって、前記蓋(11)は、前記内部容積(5)に面して配置されるように構成された下面(12)を含む蓋(11)と、
前記内部容積(5)内に収容された前記水の沸騰中に前記内部容積(5)内で発生した蒸気を前記内部容積(5)の外部に搬送するように構成された蒸気放出路であって、前記蒸気放出路は、
前記蓋(11)上に設けられ、前記蓋(11)の前記下面(12)に現れ、前記蓋(11)の前記下面(12)の周縁に近接する第1の蒸気吸入オリフィス(33)および第2の蒸気吸入オリフィス(34)であって、前記第1および第2の蒸気吸入オリフィス(33、34)は、前記容器(4)によって画定される前記内部容積(5)に流体接続し、前記注ぎ口(9)と前記グリップハンドル(8)を通る前記ケトル(2)の中央垂直平面(P)の両側に配置されるように構成されている、第1の蒸気吸入オリフィス(33)および第2の蒸気吸入オリフィス(34)と、
前記蓋(11)によって画定される内部チャンバ(31)と、
第1の蒸気吸入オリフィス(33)に流体接続された第1の蒸気入口開口と前記内部チャンバ(31)内に現れる第1の蒸気出口開口(350)とを備える第1の蒸気フローチューブ(35)と、第2の蒸気吸入オリフィス(34)に流体接続された第2の蒸気入口開口と前記内部チャンバ(31)内に現れる第2の蒸気出口開口(360)とを備える第2の蒸気フローチューブ(36)と、を備える蒸気放出路と、
を備え、
前記ケトル(2)が転倒し、前記グリップハンドル(8)と前記容器(4)の第1の側方側面とが水平な表面上に安定に静止しているとき、前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)は、前記内部容積(5)内の水位よりも上方に位置し、前記容器(4)の前記中心軸(A)を中心とし、第1のセクタ角(α1)が60°以下であり、二等分線が前記容器(4)の前記中心軸(A)を含む第1の垂直平面に含まれる第1の角度セクタ(S1)に配置されるように前記ケトル(2)は構成され、および、前記ケトル(2)が転倒し、前記グリップハンドル(8)と前記容器(4)の第2の側方側面が水平面上に安定に静止しているとき、前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)が前記内部容積(5)内の水位よりも上方に位置し、前記容器(4)の前記中心軸(A)を中心とし、第2のセクタ角(α2)が60°以下であり、二等分線が、前記容器(4)の前記中心軸(A)を含む第2の垂直平面(P2)に含まれる第2の角度セクタ(S2)内に配置されるように前記ケトル(2)は構成されることを特徴とする、ケトル(2)。
【請求項2】
前記第1及び第2の蒸気吸入オリフィス(33、34)は、前記ケトル(2)の中央垂直平面(P)に対して対称に配置されるように構成されている、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項3】
前記第1及び第2の蒸気出口開口(350、360)が、前記ケトル(2)の前記中央垂直平面(P)の両側に配置されるように構成されている、請求項1または2に記載のケトル(2)。
【請求項4】
前記第1及び第2の蒸気吸入オリフィス(33、34)が、前記蓋(11)の前記下面(12)の前半分に配置されている、請求項1から3のいずれか1項に記載のケトル(2)。
【請求項5】
前記第1及び第2の蒸気出口開口(350、360)が、前記内部チャンバ(31)の後部に配置されている、請求項1から4のいずれか1項に記載のケトル(2)。
【請求項6】
前記第1及び第2の蒸気出口開口(350、360)が前記注ぎ口(9)から離れる方向に向くように構成されている、請求項1から5のいずれか1項に記載のケトル(2)。
【請求項7】
前記第1の蒸気フローチューブ(35)が、前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)に流体接続された第1の一次チューブ部分(35.1)と、前記第1の一次チューブ部分(35.1)から延びる第2の一次チューブ部分(35.2)とを含み、前記第2の一次チューブ部分(35.2)は前記ケトル(2)の後部に向かって湾曲しており、前記第2の蒸気フローチューブ(36)は、前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)に流体接続された第1の二次チューブ部分(36.1)と、前記第1の二次チューブ部分(36.1)から延びる第2の二次チューブ部分(36.2)と、を含み、前記第2の二次チューブ部分(36.2)は前記ケトル(2)の後部に向かって湾曲している、請求項1から6のいずれか1項に記載のケトル(2)。
【請求項8】
前記第1の一次チューブ部分(35.1)および前記第1の二次チューブ部分(36.1)が、前記ケトル(2)の前記中央垂直平面(P)に対して実質的に垂直である第1の延長平面および第2の延長平面にそれぞれ延びる、請求項7に記載のケトル(2)。
【請求項9】
前記蒸気放出路が、前記蓋(11)に設けられ、前記蓋(11)によって画定される前記内部チャンバ(31)に流体接続する少なくとも1つの蒸気放出開口(37)を含み、前記少なくとも1つの蒸気放出開口(37)が、前記内部チャンバ(31)に収容された前記蒸気を前記蓋(11)の外側、例えば前記ケトル(2)の外側に向けて放出できるように構成されている、請求項1から8のいずれか1項に記載のケトル(2)。
【請求項10】
バイメタル要素を含む電気機械制御装置を含み、前記少なくとも1つの蒸気放出開口(37)は、前記内部チャンバ(31)内に収容された前記蒸気を前記バイメタル要素に導くように構成されており、前記電気機械制御装置は、バイメタル要素上の蒸気流入がケトル加熱の停止をトリガするように構成されている、請求項9に記載のケトル(2)。
【請求項11】
前記蓋(11)を前記容器(4)に取り外し可能に固定するように構成された固定装置をさらに含む、請求項1から10のいずれか1項に記載のケトル(2)。
【請求項12】
前記蓋(11)は、前記内部容積(5)に含まれる水を前記注ぎ口(9)に向かって運ぶように構成された注ぎ通路(24)を含み、前記ケトル(2)は、閉鎖器(27)であって、前記閉鎖器(27)が前記注ぎ通路(24)を閉鎖し、前記注ぎ通路(24)を通る水の流れを阻止する閉位置と、前記閉鎖器(27)が前記注ぎ通路(24)を解放し、前記注ぎ通路(24)を通る水の流れを可能にする開放位置との間で、前記蓋(11)上に移動可能に取り付けられた閉鎖器(27)を備える、請求項1から11のいずれか1項に記載のケトル(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体加熱器具、特に電気ケトルの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、
-容器が水平面に載っているときに実質的に垂直に延びるように構成された中心軸を有する容器であって、容器は、水を含むことを意図した内部容積を画定し、水が加熱され、特に沸騰することを意図している容器と、
-容器に固定されたグリップハンドルと、
-容器の中心軸に対してグリップハンドルの反対側に配置された注ぎ口と、
-容器を閉じるように構成された蓋であって、蓋が、内部容積に面して配置されるように構成された下面を備える、蓋と、
-内部容積の外側に、例えばケトルの外側に向かって、内部容積に含まれる水の沸騰中に内部容積に生成された蒸気を搬送するように構成された蒸気放出路と、を含む電気ケトルを開示する。
【0003】
蒸気放出路は、特に、
-蓋に設けられ、蓋の下面に現れ、蓋の下面の周辺端部の近くにある第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスであって、第1及び第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積に流体連通され、注ぎ口及びグリップハンドルを通過するケトルの中央垂直面のいずれかの側に配置されるように構成される、第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスと、
-蓋によって区切られた内部チャンバと、
-第1の蒸気吸入オリフィスに流体接続された第1の蒸気入口開口と、内部チャンバ内に現れる第1の蒸気出口開口と、第2の蒸気吸入オリフィスに流体接続された第2の蒸気入口開口と、内部チャンバ内に出現する現れる第2の蒸気出口開口とを備える第2の蒸気フローチューブ(flow tube)と、
-内部チャンバに流体接続され、内部チャンバに含まれる蒸気を蓋の外側に、例えばケトルの外側に向かって放出することを可能にするように構成された少なくとも1つの蒸気入口開口、を備える。
【0004】
ケトルは、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第1の側面が水平面(ケトルの第1の安定した転倒位置に対応する)上に安定して置かれるとき、第1の蒸気吸入オリフィスが内部容積内の水位の上に位置するように、および、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第2の側面が水平面(ケトルの第2の安定した転倒位置に対応する)上に安定して置かれるとき、第2の蒸気吸入オリフィスが内部容積内の水位の上に位置するように構成される。
【0005】
このようなケトルの構成は、ケトルがその側面に傾いているときに、蓋に流入し、したがって少なくとも1つの蒸気出口開口を介してケトルから流出する沸騰水のリスクを低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許出願公開第2488204号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のケトルが第1の安定した転倒位置を占めるとき、第1の蒸気吸入オリフィスは、内部容積内の水位に近い位置に配置される。同様に、そのようなケトルが第2の安定した転倒位置を占めるとき、第2の蒸気吸入オリフィスもまた、内部容積内の水位に近い位置に配置される。
【0008】
したがって、ユーザが容器を、最大充填レベルを超えて充填し、ケトルがその後転倒した場合、水位の上に位置すると仮定される蒸気吸入オリフィスは、水位の下に位置する可能性が高く、これにより、蓋に沸騰水が大量に流入し、その後、少なくとも1つの蒸気出口開口を介してケトルから流出する可能性がある。しかしながら、そのようなケトルからの沸騰水の流れは、ユーザに火傷を引き起こす可能性がある。
【0009】
ケトルを傾けたときに容器の内部容積に波紋が発生するため、ユーザが最大充填レベルを超えて容器を充填していなくても、水はまた、水位の上に位置する蒸気吸入オリフィスを通って流れる可能性がある。
【0010】
そのような欠点を克服するために、ボールバルブなどの戻り止めバルブを蓋に装備することが知られており、ケトルが転倒した際に第1および第2の蒸気フローチューブを通る水の流れを防ぐように構成されている。しかし、このような戻り止めバルブはケトルを複雑にし、後者の製造コストを大幅に増加させる。
【0011】
本発明は、これらの欠点の全部または一部を是正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の基礎となる技術的問題は、特に、使用の大きな安全性を提供しながら、シンプルで経済的な構造であるケトルを提供することにある。
【0013】
この目的のために、本発明は、ケトル、特に、
-容器が水平面に載っているときに実質的に垂直に延びるように構成された中心軸を有する容器であって、容器は、水を含むことを意図した内部容積を画定し、水が加熱され、特に沸騰することを意図している容器と、
-容器に固定されたグリップハンドルと、
-容器の中心軸に対してグリップハンドルの反対側に配置された注ぎ口と、
-容器を閉じるように構成された蓋であって、蓋が、内部容積に面して配置されるように構成された下面を備える、蓋と、
-内部容積の外側に、例えば、ケトルの外側に向かって、内部容積に含まれる水の沸騰中に内部容積内で生成される蒸気を搬送するように構成された蒸気放出路であって、
○蓋に設けられ、蓋の下面に現れ、蓋の下面の周辺縁部の近くにある第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスであって、第1及び第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積に流体接続され、注ぎ口及びグリップハンドルを通過するケトルの中央垂直面のいずれかの側に配置されるように構成される、第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスと、
○蓋によって区切られた内部チャンバと、
○第1の蒸気吸入オリフィスに流体接続された第1の蒸気入口開口と、内部チャンバ内に現れる第1の蒸気出口開口と、第2の蒸気吸入オリフィスに流体接続された第2の蒸気入口開口と、内部チャンバ内に現れる第2の蒸気出口開口とを備える第2の蒸気フローチューブと、を備える蒸気放出路と、を含む電気ケトルに関する。
【0014】
ケトルは、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第1の側面が水平面上に安定して置かれるとき、第1の蒸気吸入オリフィスが内部容積内の水位の上に位置し、容器の中心軸を中心とする第1の角セクタに位置し、第1のセクタ角が60°以下であり、有利には40°以下であり、例えば20°以下であり、その等分線が容器の中心軸を含む第1の垂直平面に含まれ、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第2の側面が水平面上に安定して置かれるとき、第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積内の水位より上に位置し、容器の中心軸を中心とする第2の角度セクタに位置し、第2のセクタ角度が60°以下、有利には40°以下、例えば20°以下であり、その二等分線が容器の中心軸を含む第2の垂直面に含まれている。
【0015】
言い換えれば、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第1の側面が水平面上に安定して留まるとき、第1の蒸気吸入オリフィスは、内部容積内の水位より上に位置し、容器の中心軸を中心とし、第1の側面および第2の側面を含む第1の角度セクタに配置されるようにケトルが構成され、容器の中心軸を含み、第1の垂直平面に対して対称的に第1の垂直平面の両側であって、第1の角度セクタは、60°以下、有利には40°以下、例えば20°以下の第1のセクタ角を有し、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第2の側面が水平面上に安定して置かれると、第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積は、容器の前記中心軸を中心とし、容器の中心軸を含有する第2の垂直面のいずれかの側に配置され、第2の垂直平面に対して対称的に配置された第1の側および第2の側を含む第2の角度セクタに配置され、前記第2の角度セクタは、60°以下、有利には40°以下、および例えば20°以下の第2のセクタ角度を有する。
【0016】
なお言い換えれば、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第1の側面が水平面上に安定して留まるとき、第1の蒸気吸入オリフィスは、内部容積内の水位より上に位置し、水平から角度的にオフセットされ、容器の中心軸を中心に60°から120°の間、有利には、70~110°の間、および例えば80~100°の間で、第1の角度で位置決めされるようにケトルが構成され、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第2の側面が水平面上に安定して置かれると、第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積内の水位の上に位置し、水平から角度的にオフセットされ、容器の中心軸の周りに60°~120°の間で、有利には70~110°の間、例えば80~100°の間で構成される第2の角度によって第2の位置に配置される。
【0017】
第1および第2の蒸気吸入オリフィスのこのような位置決めは、ケトルが傾いており、グリップハンドルおよび容器の側面が例えば作業台に置かれているときに、水位からできるだけ遠くに後者を移動させることを可能にする。したがって、本発明によるケトルは、後者の転倒の場合にケトルから流出する沸騰水のリスクを回避または少なくともかなり制限することを可能にする。
【0018】
加えて、内部容積で生成された蒸気が、第1および第2の蒸気フローチューブを介して内部容積の外側に放出されるという事実は、蓋の設計を簡素化し、第1および第2の蒸気吸入オリフィスならびに第1および第2の蒸気出口開口の位置決めを最適化することが可能であり、これは特に、第1および第2の蒸気フローチューブが重複および/または絡み合うことができるという事実によるものである。
【0019】
ケトルは、単独でまたは組み合わせて、以下の特徴のうちの1つまたはいくつかをさらに有し得る。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブは、蓋によって画定された内部チャンバに収容される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気吸入オリフィスは、ケトルの中央垂直面に対して対称に配置されるように構成される。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気出口開口は、ケトルの中央垂直面のいずれかの側に、例えば、ケトルの中央垂直面に対して対称的に配置されるように構成される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気吸入オリフィスは、蓋の下面の前半分に配置される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気出口開口は、内部チャンバの後部に配置される。第1および第2の蒸気出口開口のそのような配置は、ユーザがケトルを前方および下方に傾けることによって容器に沸騰水を注ぐときに、(第1および第2の蒸気吸入オリフィスおよび第1および第2の蒸気フローチューブを介して)蓋に流入する水のリスクを制限する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気出口開口は、注ぎ口から離れて、すなわちケトルの後部に面するように構成される。これらの構成は、ユーザがケトルを前方および下方に傾けることによって容器に沸騰水を注ぐときに、(第1および第2の蒸気吸入オリフィス、ならびに第1および第2の蒸気フローチューブを介して)蓋に流入する水のリスクをさらに制限する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブのそれぞれは、概してL字形である。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブは、容器が水平面に載っているときに実質的に水平に延びるように構成される。
【0028】
本発明の別の実施形態によれば、第1の蒸気フローチューブは、容器が水平面に載っているときに水平に対して傾斜するように構成され、第1の蒸気フローチューブに含まれる水を第1の蒸気吸入オリフィスに誘導し、第2の蒸気フローチューブは、容器が水平表面に載っているときに水平に対して傾斜するように構成され、第2の蒸気フローチューブに含まれる水を第2の蒸気吸入オリフィスに誘導する。これらの配置は、蓋内の水の蓄積と水の停滞のリスクを制限する。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、第1の蒸気フローチューブは、第1の蒸気吸入オリフィスに流体接続された第1の一次チューブ部分と、第1の一次チューブ部分から延びる第2の一次チューブ部分とを含み、第2の一次チューブ部分は、ケトルの後部に向かって湾曲しており、第2の蒸気流チューブは、第2の蒸気吸入オリフィに流体接続された第1の二次チューブ部分と、第1の二次チューブ部分から延びる第2の二次チューブ部分とを含み、第2の二次チューブ部分は、ケトルの後部に向かって湾曲している。これらの構成は、ユーザがケトルを前方および下方に傾けることによって容器に沸騰水を注ぐときに、(第1および第2の蒸気吸入オリフィス、ならびに第1および第2の蒸気フローチューブを介して)蓋に流入する水のリスクをさらに制限する。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、第1の一次チューブ部分は、第1の蒸気吸入オリフィに流体接続された第1の端部と、第1の蒸気吸入オリフィスの反対側の第2の端部とを含み、第1の一次チューブ部分の第2の端部は、20°以下、例えば10°以下の第1のオフセット角度によって、容器の中心軸に対して第2の蒸気吸入オリフィスから角度的にオフセットされる。
【0031】
言い換えれば、第1の一次チューブ部分は、第1の蒸気吸入オリフィスから第2の蒸気吸入オリフィスに近接するように延在する。第1の蒸気フローチューブのそのような構成は、ケトルの傾斜の場合に、連通する容器の原理によって、第2の一次チューブ部分における水の可能な通過を可能な限り遅らせる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、第1の二次チューブ部分は、第2の蒸気吸入オリフィスに流体的に接続された第1の端部と、第2の蒸気吸入オリフィスの反対側の第2の端部とを含み、第1の二次チューブ部分の第2の端部は、20°以下、例えば10°以下の第2のオフセット角度によって、容器の中心軸に対して第1の蒸気吸入オリフィから角度的にオフセットされる。本発明の一実施形態によれば、第1の一次チューブ部分および第1の二次チューブ部分は、概して直線である。
【0033】
言い換えれば、第1の二次チューブ部分は、第2の蒸気吸入オリフィスから第1の蒸気吸入オリフィスに近接するように延在する。第2の蒸気フローチューブのそのような構成は、ケトルの傾斜の場合に、連通する容器の原理によって、第2の二次チューブ部分における水の可能な通過を可能な限り遅らせる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、第1の一次チューブ部分および第1の二次チューブ部分は、ケトルの中央垂直面に実質的に垂直な第1の延長平面および第2の延長平面内にそれぞれ延びる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の延長平面は、互いに実質的に平行である。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、蒸気放出路は、少なくとも1つの、および例えば、蓋上に設けられ、蓋によって画定された内部チャンバに流体接続された1つまたは複数の蒸気放出開口を含み、少なくとも1つの蒸気放出開口は、蓋の外部、および例えば、ケトルの外部に向かって内部チャンバに含まれる蒸気の放出を可能にするように構成される。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気放出開口は、蓋の外周面に現れる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気放出開口は、注ぎ口の近くに配置され、例えば、注ぎ口に面するように構成される。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気放出開口は、蓋の上面に現れる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、容器は、内部容積内に現れる上部充填開口を備える。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、蓋は、上部充填開口に配置されるように構成される。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、注ぎ口は、上部充填開口に配置される。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、容器に蓋を取り外し可能に、すなわち一時的かつ可逆的な方法で固定するように構成された固定装置をさらに含む。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、固定装置は、蓋に設けられた固定タブまたは固定フィンがなどの少なくとも1つの固定部材と、容器に設けられた少なくとも1つの固定要素とを含み、少なくとも1つの固定部材は、少なくとも1つの固定部材が少なくとも1つの固定要素と協働して蓋を容器に固定するように構成されている固定位置と、少なくとも1つの固定部材が少なくとも1つの固定要素を解放して蓋を容器から取り外すことができるように構成されている解放位置とを占めるように構成される。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの固定部材は、固定位置と解放位置との間で蓋に対して移動可能に取り付けられる。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの固定部材は、蓋に対して摺動方向に摺動可能に取り付けられる。摺動方向は、蓋の中心軸に対して実質的に垂直に、例えば、蓋の中心軸に対して実質的に半径方向に延びることができる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、固定装置は、少なくとも1つの固定部材を固定位置に戻すように構成された戻り部材を含む。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、固定装置は、少なくとも1つの固定部材の周りに延在し、蓋に設けられ、少なくとも1つの固定部材が突出する貫通開口と密封的に協働するように構成された密封部材を含む。固定装置のそのような構成は、貫通開口を通って、したがって、内部チャンバおよび少なくとも1つの蒸気放出開口を介してケトルから流出する水のリスクを制限する。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、蓋に設けられ、作動機構がユーザによって作動されるときに少なくとも1つの固定部材を解放位置に移動させるように構成された作動機構を含む。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、作動機構は、ユーザによって手動で作動され得、少なくとも1つの固定部材を固定位置から解放位置に変位させるように構成された作動部材を含み、作動部材は、第1の作動位置と第2の作動位置との間に移動可能に取り付けられ、作動部材および少なくとも1つの固定部材は、作動部材の第1の作動位置から第2の作動位置への変位が、少なくとも1つの固定部材の固定位置から解放位置への変位を引き起こすように構成される。作動機構のそのような構成は、ユーザが作動機構の単純な作動によって蓋を取り外すことを可能にする。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、作動機構は、作動部材を第1の作動位置に戻すように構成された、戻りばねなどの戻り要素を含む。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、作動部材は、作動軸を中心に蓋に対して回転して移動可能に取り付けられる。作動軸は、例えば、蓋が容器に固定されるとき、容器の中心軸に実質的に平行であってもよい。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、作動部材は、少なくとも1つの固定部材の一部が接触している少なくとも1つのカム表面を含む。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのカム表面上で接触している少なくとも1つの固定部材の部分は、少なくとも1つの固定部材上に設けられたラグである。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、ラグは、少なくとも1つのカム表面上で摺動接触しているため、作動部材が第1の作動位置と第2の作動位置との間で変位すると、ラグは、少なくとも1つのカム表面上で摺動することによって作動部材に対して変位し、少なくとも1つの固定部材の固定位置から解放位置への変位を引き起こす。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、作動部材は、ユーザによって操作されるように構成されたハンドル部と、蓋に収容され、少なくとも1つの固定部材と協働するように構成された作動部とを含む。
【0057】
本発明の別の実施形態によれば、固定装置は、
-上部充填開口部に配置されるように構成された環状固定部であって、上部充填開口部と密封的に協働するように構成された環状シールを含む、環状固定部と、
-環状固定部に設けられた、ロックノッチなどの少なくとも1つのロック部材と、
-蓋に設けられ、環状固定部及び蓋を容器に固定するように少なくとも1つのロック部材と協働するように構成された、ロックフィンガーなどの少なくとも1つのロック要素、とを含む。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、容器上の蓋を固定するための独自の位置、または容器上の環状固定部を固定するための独自の位置を画定するように構成された、フールプルーフ(foolproof)デバイスとも呼ばれる角度付き割出し装置を含む。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、環状固定部は、環状であり、環状シールが固定される支持体を含み、少なくとも1つのロック部材は、支持体上に設けられる。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、環状固定部は、支持体に少なくとも部分的に収容されたロックリングをさらに含み、ロックリングは、支持体の中心軸と実質的に同軸であり、第1のリング位置と第2のリング位置との間の回転軸を中心に支持体に対して回転して移動可能に取り付けられ、固定装置は、ロックリングの第1のリング位置から第2のリング位置への変位が環状シールの膨張を引き起こして、容器上の環状固定部をロックするように構成される。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、ロックリングは、少なくとも1つのロック要素と少なくとも1つのロック部材との協働中に、特に蓋が支持体上に置かれ、支持体の中心軸を中心に枢動されるときに、少なくとも1つのロック要素によって第2のリング位置に移動されるように構成される。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、支持体は、上部充填開口を画定する容器の上端に載るように構成される。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、環状固定部は取り外し可能である。
【0064】
本発明のさらに別の実施形態によれば、固定装置は、容器に設けられ、容器の中心軸の周りに分布するいくつかの接続部材と、蓋に設けられ、接続部材とそれぞれ協働するように構成された、いくつかの接続要素とを備えるバヨネット(bayonet)固定装置であり得る。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、蓋は、内部容積に含まれる水を注ぎ口に向かって搬送するように構成された注ぎ通路を含み、ケトルは、閉鎖器が注ぎ通路を閉鎖し、注ぎ通路を通る水の流れを防止する閉鎖位置と、閉鎖器が注ぎ通路を解放し、注ぎ通路を通る水の流れを可能にする開放位置との間で蓋に移動可能に取り付けられた閉鎖器を備える。このような蓋の構成は、ケトルが転倒した際に注ぎ口を通って流れる水のリスクをかなり制限する。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、蓋に設けられ、閉鎖器を開位置と閉位置との間で変位させるように構成された作動システムを含む。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、作動システムは、ユーザによって作動され得、第1のボタン位置と第2のボタン位置との間で移動可能な作動ボタンを含み、作動システムは、ユーザによる作動ボタンの第1のボタン位置から第2のボタン位置への変位が閉鎖位置から開放位置への閉鎖器の変位を引き起こすように構成される。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、作動システムは、蓋に対して、第1の作動位置と第2の作動位置との間で移動可能に取り付けられ、例えばピボット軸を中心に回動可能に取り付けられた作動レバーなどの作動要素を含み、作動システムおよび閉鎖器は、作動ボタンの第1のボタン位置から第2のボタン位置への変位が閉鎖位置から開放位置への閉塞器の変位を引き起こすように構成される。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、閉鎖器は、作動要素への移動中に固定される。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、閉鎖器、作動要素、および作動ボタンは、一体に作られる。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、作動システムは、作動要素の代わりに、例えばボールペンタイプの双安定制御デバイスを含むことができる。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、作動システムは、閉鎖器を閉位置に向かって付勢するように構成された付勢ばねなどの付勢要素を含む。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、注ぎ通路は、蓋の下面に現れる水入口開口と、蓋の外周面に現れる水出口開口とを含む。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気放出開口は、排水口開口の近くに配置される。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、蓋は、注ぎ口を含む。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、容器は、注ぎ口を含む。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、環状固定部は、注ぎ口を含む。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、第1の蒸気フローチューブは、第1の蒸気フローチューブの長さに沿って実質的に一定である流れ断面を有し、第2の蒸気フローチューブは、第1の蒸気フローチューブの長さに沿って実質的に一定である流れ断面を有する。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブのそれぞれは、実質的に円形の断面を有する。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブのそれぞれは可撓性である。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、容器は、内部容積の下に位置し、内部容積に含まれる水を加熱するように構成された加熱底部を含む。有利には、加熱底部は、電気加熱要素を収容する。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、バイメタル要素を含む電気機械的制御デバイスを含み、少なくとも1つの蒸気放出開口は、内部チャンバに含まれる蒸気をバイメタル要素に向けるように構成され、電気機械的制御デバイスは、バイメタル要素上の蒸気流入がケトル加熱の停止をトリガするように構成される。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、容器が静止することを意図した支持基部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0084】
本発明は、非限定的な例として、このケトルのいくつかの実施形態を表す添付の概略図を参照して、以下の説明を使用してよりよく理解されるであろう。
図1図1は、本発明の第1の実施形態によるケトルの上面斜視図である。
図2図2は、図1のケトルの容器の上面斜視図である。
図3図3は、図1のケトルの蓋の上面斜視図である。
図4図4は、図3の蓋の側面斜視図である。
図5図5は、図3の蓋の底面斜視図である。
図6図6は、蓋の上部カバーが取り外された図3の蓋の部分上面斜視図である。
図7図7は、図1のケトルの環状固定部の上面斜視図である。
図8図8は、図7の環状固定部の部分的な上面斜視図である。
図9図9は、図1のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルおよび容器の右側側面が水平面に載る安定位置を占めていることを示す。
図10図10は、図1のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルおよび容器の右側側面が水平面に載る安定位置を占めていることを示す。
図11図11は、図1のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルと容器の左側が水平面に載る安定位置を占めることを示す。
図12図12は、本発明の第2の実施形態によるケトルの上面斜視図である。
図13図13は、図12のケトルの容器の上面斜視図である。
図14図14は、図12のケトルの蓋の上面斜視図である。
図15図15は、図14の蓋の底面斜視図である。
図16図16は、蓋の下部ケーシングが取り外された図14の蓋の底面斜視図である。
図17図17は、作動機構および図14の蓋に設けられた2つの固定部材の底面斜視図である。
図18図18は、図17の固定部材のうちの1つの上面斜視図である。
図19図19は、図17の作動機構の底面斜視図である。
図20図20は、蓋の上部カバーが取り外された図14の蓋の上面斜視図である。
図21図21は、図12のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルと容器の左側が水平面に載る安定位置を占めることを示す。
図22図22は、図12のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルおよび容器の右側側面が水平面に載る安定位置を占めていることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1図11は、本発明の第1の実施形態による、ケトル2、特に電気ケトルを表す。
【0086】
ケトル2は、電源コード(図には示されていない)によって電気的に駆動されるように構成された支持基部(図には見えない)と、支持基部上に置かれるように構成された容器4とを含む。
【0087】
容器4は、容器4が水平面に載っているときに実質的に垂直に延びるように構成された中心軸Aを有する。有利には、容器4は、中心軸Aを中心に回転する一般的な形状を有する。
【0088】
容器4は、水を含むことを意図し、水が加熱され、特に沸騰されることを意図した内部容積5を画定する。容器4は、内部容積5内に現れる上部充填開口6をさらに備える。
【0089】
容器4は、内部容積5の下に位置し、内部容積5に含まれる水を加熱するように構成された加熱底部7をさらに含む。既知の方法では、加熱底部7は、容器4が支持ベース上に置かれたときに電力を供給されるように構成された電気加熱要素(図には示されていない)を収容する。
【0090】
ケトル2は、容器4に固定されたグリップハンドル8と、容器4の中心軸Aに対してグリップハンドル8の反対側に配置された注ぎ口9とをさらに含む。注ぎ口9は、例えば、上部充填開口6に配置され得る。
【0091】
ケトル2は、容器4を閉じるように構成された蓋11をさらに含み、容器4の内部容積5に面して配置されるように構成された下面12を備える。
【0092】
ケトル2は、蓋11を容器4に取り外し可能に、すなわち一時的かつ可逆的な方法で固定するように構成された固定装置をさらに含む。
【0093】
図1から図11に示される実施形態によれば、固定装置は、取り外し可能であり、上部充填開口6に配置されるように構成された環状固定部14を含む。環状固定部14は、環状であり、容器4の上端に載るように構成された支持体15と、支持体15に固定され、上部充填開口6と密封的に協働するように構成された環状シール16とを含む。図1から図11に示される実施形態によれば、注ぎ口9は、支持体15上に設けられる。
【0094】
固定装置は、支持体15に設けられ、支持体15の中心軸の周りに分布する、ロックノッチなどのいくつかのロック部材17と、蓋11を環状固定部14に固定するように、蓋11の外周面に設けられ、ロック部材17と協働するように構成された、ロックフィンガーなどのいくつかのロック要素18とをさらに含む。
【0095】
有利には、ロック部材17およびロック要素18は、バヨネット固定システムを形成し、したがって、固定装置は、環状固定部14上の蓋11の固定が、蓋11が環状固定部14に対して所定の角度位置に配置される第1の固定段階、蓋11が容器4の中心軸Aに実質的に平行な変位方向に沿って環状固定部14の方向に変位される第2の固定段階、および蓋11が容器4の中心軸Aに実質的に平行な回転軸を中心に回転して駆動される第3の固定段階を含むように構成される。
【0096】
図1から図11に示される実施形態によれば、蓋11は、支持体15を覆い、後者の上に載り、また、支持体15によって画定される中央開口部19を密封的に閉じるように構成される。有利には、ケトル2は、蓋11の下面12に固定され、支持体15の内周面に設けられた環状肩部22と密封的に協働するように構成された密封要素21を含む。
【0097】
図1から図11に示される実施形態によれば、環状固定部14は、支持体15に少なくとも部分的に収容されたロックリング23(図8を参照)をさらに含む。ロックリング23は、支持体15の中心軸と実質的に同軸の回転軸の周りで、第1のリング位置と第2のリング位置との間で、支持体15に対して回転して移動可能に取り付けられる。固定装置は、第1のリング位置から第2のリング位置へのロックリング23の変位が、環状シール16の膨張、すなわち、環状シール16の外形寸法の増加を引き起こして、容器4上の環状固定部14をロックするように構成される。この目的のために、ロックリング23は、例えば、ロックリング23の外周面に設けられ、ロックリング23の中心軸の周りに分布するいくつかの受容空洞23.1を備え得る。各受容空洞23.1は、より具体的には、ロックリング23が第1のリング位置にあるときに、環状シール16とロックリング23との間に介在するそれぞれの変形要素23.2を収容し、ロックリング23が第2のリング位置にあるときに、前記受容空洞23.1の外側に位置するそれぞれの変形要素23.2は、環状シール16に対して半径方向外向きの力を加え、後者を変形させるように、それぞれの変形要素23.2から角度的にオフセットされるように構成される。
【0098】
ロックリング23は、より具体的には、蓋11が支持体15上に置かれ、支持体15の中心軸を中心に枢動されるときに、蓋11に設けられたロック要素18によって、第1のリング位置と第2のリング位置との間に移動するように構成される。この目的のために、ロックリング23は、例えば、蓋11が支持体15の中心軸の周りで枢動されるときに、ロック要素18が当接するように意図される当接面を含み得る。
【0099】
図1から図11に示される実施形態によれば、蓋1115は、内部容積5に含まれる水を注ぎ口9に向かって運ぶように構成された注ぎ通路24を含む。注ぎ通路24は、より具体的には、蓋11の下面12に現れる水入口開口25と、蓋11が容器4に固定されたときに注ぎ口9に実質的に面して配置されるように意図された蓋11の外周面に現れる水出口開口26とを含む。
【0100】
ケトル2は、閉鎖器27が注ぎ通路24を閉じて注ぎ通路24を通る水の流れを防止する閉位置と、閉鎖器27が注ぎ通路24を解放して注ぎ通路24を通る水の流れを可能にする開位置との間で蓋11に移動可能に取り付けられた閉鎖器27(図4から図6を参照)をさらに備える。
【0101】
ケトル2は、蓋11上に設けられ、閉鎖器27を開位置と閉位置との間で変位させるように構成された作動システムをさらに含む。図1から図11に示される実施形態によれば、作動システムは、ユーザによって作動され得、第1のボタン位置と第2のボタン位置との間で移動可能な作動ボタン28を含み、作動システムは、ユーザによる作動ボタン28の第1のボタン位置から第2のボタン位置への変位が閉鎖位置から開位置への閉鎖器27の変位を引き起こすように構成される。
【0102】
作動システムはまた、蓋11に枢動軸を中心にして、第1の作動位置と第2の作動位置との間に枢動可能に取り付けられた作動レバー29(図6を参照)を含む。作動レバー29は、例えば、蓋11によって画定される内部チャンバ31に収容され得る。作動システムおよび閉鎖器27は、第1のボタン位置から第2のボタン位置への作動ボタン28の変位が閉鎖位置から開位置への閉鎖器27の変位を引き起こし、したがって、注ぎ通路24および注ぎ口9を介してケトル2からの水の流出を可能にするように構成される。
【0103】
図1から図11に示される実施形態によれば、作動レバー29は単安定であり、作動システムは、内部チャンバ31に収容され、一方で蓋11に支持され、他方で閉鎖器27に支持される付勢ばねのような付勢要素32を含み、閉鎖器27を閉位置に向かって付勢するように構成される。作動システムのそのような構成は、ユーザが作動ボタン28に圧力をかけていないときに、注ぎ通路24を閉じたままにすることを可能にする。
【0104】
図1から図11に示される実施形態によれば、閉鎖器27、作動レバー29、および作動ボタン28は、一体に作られる。しかしながら、閉鎖器27、作動レバー、および作動ボタン28は、分離され、互いに機械的に接続され得る。
【0105】
ケトル2はまた、支持体15に設けられた環状肩部22に載り、容器4の内部容積5に配置されるように構成されたティーバスケット(tea basket)(図には示されていない)を含むことができる。ティーバスケットが使用されるとき、蓋11の下面12に固定された密封要素21は、次いで、ティーバスケットの上部周辺リムと密封的に協働するように構成される。
【0106】
ケトル2はまた、内部容積5の外側、例えばケトル2の外側に向かって、内部容積5に含まれる水の沸騰中に内部容積5で生成される蒸気を伝達するように構成された蒸気放出路を含む。
【0107】
蒸気放出路は、特に、蓋11上に設けられ、蓋11の下面12内に現れ、蓋11の下面12の周縁部に近い第1の蒸気吸入オリフィス33および第2の蒸気吸入オリフィス34を備える。蓋11が容器4に固定され、後者が水平面上に置かれると、第1および第2の蒸気吸入オリフィス33、34は、容器4によって画定され、容器4の最大充填レベルを超える内部容積5内に現れる。
【0108】
図1から図11に示される実施形態によれば、第1および第2の蒸気吸入オリフィス33、34は、注ぎ口9およびグリップハンドル8を通過するケトル2の中央垂直平面Pのいずれかの側に配置され、ケトル2の中央垂直平面Pに対して対称的に有利に配置される。
【0109】
図1から図11に示される実施形態によれば、第1および第2の蒸気吸入オリフィス33、34は、蓋11の下面12の前半分に配置される。
【0110】
図6により具体的に示されるように、蒸気放出路はまた、第1の蒸気吸入オリフィス33に流体接続された第1の蒸気入口開口と、蓋11によって画定された内部チャンバ31内に現れる第1の蒸気出口開口350と、第2の蒸気吸入オリフィス34に流体接続された第2の蒸気入口開口と、内部チャンバ31内に現れる第2の蒸気出口開口360とを備える第1の蒸気フローチューブ35を備える。有利には、第1および第2の蒸気フローチューブ35、36は、内部チャンバ31に収容され、それぞれが円形の断面を有する。有利には、第1および第2の蒸気フローチューブ35、36のそれぞれは、その長さに沿って実質的に一定である流れ断面を有する。
【0111】
蒸気フローチューブによって、好ましくは閉じた輪郭を有するワンピース(one-piece)の蒸気フローパイプ15が理解されるべきである。フローチューブは、一般に、蒸気入口オリフィスと蒸気出口オリフィスとの間に延びる、好ましくは一体に作られた閉じた輪郭を有するフローパイプを備える。フローチューブは、好ましくは、円形または楕円形の断面を有し、チューブの最適な密封を確実にし、チューブ内のチューブに沿った蒸気の変位中にチューブ外の蒸気の流れを防ぐように、好ましくは一体に形成された周辺壁を備える。
【0112】
第1および第2の蒸気出口開口350、360は、より具体的には、ケトル2の中央垂直面Pのいずれかの側に配置され、有利には、ケトル2の中央垂直平面Pに対して対称的に配置されるように構成される。図1から図11に示される実施形態によれば、第1および第2の蒸気出口開口350、360は、内部チャンバ31の後部に位置し、注ぎ口9から背を向けるように、すなわち、ケトル2の後部に向かって、したがって、グリップハンドル8に向かって面するように構成される。
【0113】
第1の蒸気フローチューブ35は、例えば、容器4が水平面に載っているときに水平に対して傾斜するように構成されて、第1の蒸気フローチューブ35に含まれる水を第1の蒸気吸入オリフィス33に誘導することができ、同様に、第2の蒸気フローチューブ36は、例えば、容器4が水平に載っているときに水平に対して傾斜するように構成されて、第2の蒸気フローチューブ36に含まれる水を第2の蒸気吸入オリフィス34に誘導することができる。
【0114】
図1から図11に示される実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブ35、36のそれぞれは、概してL字形である。図6に示されるように、第1の蒸気フローチューブ35は、第1の蒸気吸入オリフィス33に流体接続された第1の一次チューブ部分35.1と、第1の一次チューブ部分35.1から延在し、ケトル2の後部に向かって湾曲する第2の一次チューブ部分35.2とを含む。同様に、第2の蒸気フローチューブ36は、第2の蒸気吸入オリフィス34に流体接続された第1の二次チューブ部分36.1と、第1の二次チューブ部分36.1から延在し、ケトル2の後部に向かって湾曲した第2の二次チューブ部分36.2とを含む。
【0115】
図1から図11に示される実施形態によれば、第1の一次チューブ部分35.1および第1の二次チューブ部分36.1は、概して直線であり、蓋11が容器4に固定されたときに、互いに実質的に平行であり、ケトル2の中央垂直平面Pに実質的に垂直である第1の延長平面および第2の延長平面内にそれぞれ延びる。有利には、第1の一次チューブ部分35.1は、第1の蒸気吸入オリフィス33から第2の蒸気吸入オリフィス34に最も近いところまで延在し、第1の二次チューブ部分36.1は、第2の蒸気吸入オリフィス34から第1の蒸気吸入オリフィス33に近いところまで延在する。
【0116】
蒸気放出路は、蓋11上に設けられ、蓋11によって画定された内部チャンバ31に流体接続された、いくつかの蒸気放出開口37をさらに備える。蒸気放出開口37は、内部チャンバ31に含まれる蒸気をケトル2の外側に向かって放出することを可能にするように構成される。
【0117】
図1から図11に示される実施形態によれば、蒸気放出開口37は、蓋11の外周面に現れ、水出口開口26の近くに配置される。したがって、蒸気放出開口37は、蓋11が容器4に固定されるときに、注ぎ口9の近くに配置され、例えば、注ぎ口9に面して配置されるように構成される。ケトル2のそのような構成は、蓋11および注ぎ口9を介して容器4から蒸気を放出することを可能にする。
【0118】
より具体的には、図9から図11に示されるように、ケトル2は、
-ケトル2が転倒し、グリップハンドル8および容器4の第1の側面、すなわち左側が水平面に安定して留まるとき、第1の蒸気吸入オリフィス33は、内部容積5の水位の上に位置し、容器4の中心軸Aを中心とする第1の角度セクタS1内に位置するようにする、 これは、頂点角とも呼ばれる第1のセクタ角α1が40°以下であり、その二等分線が容器4の中心軸Aを含む第1の垂直平面P1に含まれるように、および、
-ケトル2が転倒し、グリップハンドル8および容器4の第2の側面、すなわち右側が水平面に安定して留まるとき、第2の蒸気吸入オリフィス34は、内部容積5の水位の上に位置し、容器4の中心軸Aを中心とする第2の角セクタS2に位置し、第2のセクタ角α2は、40°以下、例えば20°以下であり、その二等分線は、容器4の中心軸Aを含む第2の垂直面P2に含まれるように構成される。
【0119】
第1および第2の蒸気吸入オリフィス33、34のこのような位置決めは、ケトルが傾いており、グリップハンドルおよび容器の側面が例えば作業台に置かれているときに、水位からできるだけ遠くに後者を移動させることを可能にする。したがって、本発明によるケトル2は、ケトル2の転倒の場合にケトル2から流出する沸騰水のリスクを回避または少なくともかなり制限することを可能にする。
【0120】
図12図22は、本質的に、注ぎ口9が容器4に固定されており、蓋11が注ぎ通路24を有さず、上部充填開口6に配置され、容器4の上端に直接置かれるように構成されているという点で、第1の実施形態とは異なる、本発明の第2の実施形態によるケトル2を表す。
【0121】
本発明のこの第2の実施形態によれば、蒸気放出開口37は、蓋11の上面に現れ、注ぎ口9を通って流れることなく蒸気がケトル2から放出される。
【0122】
本発明のこの第2の実施形態によれば、内部チャンバ31は、第1および第2の蒸気フローチューブ35、36が収容される第1のチャンバ部分31.1と、蒸気放出開口37が現れる第2のチャンバ部分31.2とを含む。第1および第2のチャンバ部31.1、31.2は、蓋11の内壁110によって互いに分離されている。有利には、蒸気放出路は、内壁110に設けられ、第1のチャンバ部分31.1を第2のチャンバ部分31.2に流体接続するように構成された通路孔40を含む。したがって、第1のチャンバ部分31.1に含まれる蒸気は、通路孔41、第2のチャンバ部分31.2、および蒸気放出開口37を介して蓋11の外側に向かって流れることができる。通路孔40は、例えば、蓋11の中心軸の周りに分布する。
【0123】
通路孔40は、例えば、蓋11の後部に設けることができる。その結果、ユーザがケトル2を急傾斜させて容器4から水を注ぎ、水が第1および第2の蒸気フローチューブ35、36、第1のチャンバ部分31.1を通って入っても、後者に入った水は蓋11の前方に向かって移動し、したがって通路孔40から離れる。したがって、通路孔40のそのような配置は、注入動作中に蒸気放出開口37を通って流れる水のリスクを制限するであろう。
【0124】
さらに、この第2の実施形態によれば、固定装置は、蓋11に設けられた固定フィンガなどの2つの直径方向に対向する固定部材41を備える。各固定部材41は、蓋11内に収容され、蓋11の外周面に現れるそれぞれの貫通開口42を介して蓋11から突出するように構成される。
【0125】
固定装置は、容器4の内面に設けられ、上部充填開口6の近くに配置された少なくとも1つの固定要素を備える。図に示される実施形態によれば、固定装置は、単一の固定要素を含み、後者は、容器4の加熱底部7に面し、上部充填開口6を部分的に区切る周辺リムによって形成される。固定部材41は、より具体的には、蓋11が容器4に固定されるときに、周辺リムの下端に当接するように構成される。しかしながら、本発明の変形例によれば、固定装置は、いくつかの固定要素を含み得、後者は、例えば、それぞれ固定部材41を収容するように構成された固定ハウジングまたは固定ノッチ5であり得る。
【0126】
固定部材41は、各固定部材41がそれぞれの固定要素と協働して蓋11を容器4に固定するように構成された固定位置と、各固定部材41がそれぞれの固定要素を解放して蓋11を容器4から取り外すことができるように構成された解放位置との間で、蓋11に対して摺動方向に摺動可能に取り付けられる。有利には、摺動方向は、蓋11の中心軸に対して実質的に半径方向に延びる。
【0127】
有利には、固定装置は、それぞれがそれぞれの固定部材41の周りに延在し、それぞれがそれぞれの貫通開口42と密封的に協働するように構成された2つの密封部材43を含む。蓋11のそのような構成は、貫通開口42を通って、したがって、内部チャンバ31および蒸気放出開口37を介してケトル2から流出する水のリスクを制限する。
【0128】
図12から図22に示される実施形態によれば、固定装置は、蓋11に収容され、固定部材41を固定位置に戻すように構成された戻り部材44(図17を参照)を含む。有利には、各固定部材41は、蓋11が上部充填開口6に導入されるときに、固定部材41を解放位置に自動的に変位させるように、容器4と協働するように構成された、端部面取りなどの傾斜面45を含む。固定装置のそのような構成は、容器4上の蓋の容易な固定を可能にする。
【0129】
図12から図22に示される実施形態によれば、密封要素21は環状であり、蓋11の外周面の周りに延在し、上部充填開口6と密封的に協働するように構成される。有利には、各貫通開口42は、蓋11の外周面の中に現れ、密封要素21の下にある。
【0130】
図17により具体的に示されるように、ケトル2は、蓋11上に設けられ、作動機構46がユーザによって作動されるときに固定部材41を解放位置に移動させるように構成された作動機構46を含む。
【0131】
作動機構46は、より具体的には、ユーザによって手動で作動され得、固定部材41を固定位置から解放位置に変位させるように構成された作動部材47を含む。有利には、作動部材47は、例えば蓋11の中心軸と同一直線上にある作動軸の周りで、第1の作動位置と第2の作動位置との間で蓋11に対して回転して移動可能に取り付けられる。作動部材47および固定部材41は、作動部材47の第1の作動位置から第2の作動位置への変位が、固定部材41の固定位置から解放位置への変位を引き起こすように構成される。
【0132】
図12から図22に示される実施形態によれば、作動部材47は、2つのカム表面48(図19を参照)を含み、各固定部材41は、それぞれのカム表面48と接触するラグ49(図18を参照)を含む。各ラグ49は、作動部材47が第1の作動位置から第2の作動位置へ変位するとき、各ラグ49が各カム表面48上を摺動することによって作動部材47に対して相対的に変位し、各固定部材41の固定位置から解除位置への変位を引き起こすように、各カム表面48上で摺動接触している。有利には、作動機構46は、作動部材47を第1の作動位置に戻すように構成された、蓋11に収容され、一方で作動部材47に支持され、他方で蓋11に支持される戻りばねなどの戻り要素51(図19および図20を参照)を含む。
【0133】
図12から図22に示される実施形態によれば、作動部材47は、ユーザによって操作されるように構成されたハンドル部分47.1と、一般に円盤状であり、蓋11に収容され、固定部材41と協働するように構成された作動部分47.2とを含む。
【0134】
より具体的には、図13および16に示されるように、ケトル2は、容器4上の蓋11を固定するための独自の位置を画定するように構成された、フールプルーフ装置とも呼ばれる角度割出し装置を含む。角度割出し装置は、例えば、容器4に設けられた割出しタブまたは割出しボスなどの少なくとも1つの割出し要素52と、蓋11に設けられ、少なくとも1つの割出し要素52と協働するように構成された少なくとも1つの割出しハウジング53とを含み得る。
【0135】
図15および図21により具体的に示されるように、蓋11は、蓋11に含まれる水を蓋11から放出することができる放出オリフィス54をさらに含む。放出オリフィス54は、蓋11によって画定された内部チャンバ31に流体接続される。有利には、放出オリフィス54は、蓋11の後部に配置され、一方では内部チャンバ31の底壁に、他方では蓋11の下面12に現れる。
【0136】
図13および図21に示されるように、容器4は、蓋11が容器4に固定されたときに放出オリフィス54を閉じ、蓋11が取り外されたときに放出オリフィス54を解放するように構成された閉鎖部材55を含む。図に示される実施形態によれば、閉鎖部材55は、放出オリフィス54に入り、放出オリフィス54を閉じるように構成された閉鎖フィンガである。閉鎖部材55は、例えば、概して円錐台形の形状を有してもよい。
【0137】
図に示される実施形態によれば、閉鎖部材55は、割出し要素52の近くに配置される。有利には、閉鎖部材55および割出し要素52は、一体に作られる。
【0138】
図に示されていない本発明の一実施形態によれば、容器4は、注ぎ口9を含むことができる。
【0139】
図に示されていない本発明の他の実施形態によれば、ケトル2は、バイメタル要素を含む電気機械的制御デバイスを含み得、蒸気放出路は、蓋11によって画定された内部チャンバ31に流体接続されるように構成され、内部チャンバ11に含まれる蒸気をバイメタル要素に向けるように構成された少なくとも1つの蒸気放出開口37を含み得、電気機械的制御デバイスは、バイメタル要素上の蒸気流入がケトル加熱2の停止をトリガするように構成される。
【0140】
バイメタル要素は、例えば、グリップハンドル8に配置され得る。この場合、少なくとも1つの蒸気放出開口37は、蓋11の後部に設けられ、グリップハンドル8に面するように構成される。
【0141】
本発明の変形例によれば、バイメタル要素は、容器4の下部に配置することができる。この場合、少なくとも1つの蒸気放出開口37は、蓋11の後部に設けられ、容器4に配置され、バイメタル要素に流体接続された蒸気管に流体接続されるように構成される。
【0142】
もちろん、本発明は、例としてのみ与えられた説明および例示された実施形態には決して限定されない。特に様々な要素の構成に関して、または技術的等価物で置換することによって、変更は依然として可能であるが、本発明の保護の範囲から逸脱することはない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
【手続補正書】
【提出日】2023-10-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケトル(2)であって、
容器(4)であって、前記容器(4)が水平面上に載ったときに実質的に垂直に延びるように構成された中心軸(A)を有し、前記容器(4)は、水を収容するように意図され、水を加熱し、特に沸騰させるように意図された内部容積(5)を画定する、容器(4)と、
グリップハンドル(8)と、
前記容器(4)の前記中心軸(A)に対してグリップハンドル(8)の反対側に位置するように構成された注ぎ口(9)と、
前記容器(4)を閉じるように構成された蓋(11)であって、前記蓋(11)は、前記内部容積(5)に面して配置されるように構成された下面(12)を含む蓋(11)と、
前記内部容積(5)内に収容された前記水の沸騰中に前記内部容積(5)内で発生した蒸気を前記内部容積(5)の外部に搬送するように構成された蒸気放出路であって、前記蒸気放出路は、
前記蓋(11)上に設けられ、前記蓋(11)の前記下面(12)に現れ、前記蓋(11)の前記下面(12)の周縁に近接する第1の蒸気吸入オリフィス(33)および第2の蒸気吸入オリフィス(34)であって、前記第1および第2の蒸気吸入オリフィス(33、34)は、前記容器(4)によって画定される前記内部容積(5)に流体接続し、前記注ぎ口(9)と前記グリップハンドル(8)を通る前記ケトル(2)の中央垂直平面(P)の両側に配置されるように構成されている、第1の蒸気吸入オリフィス(33)および第2の蒸気吸入オリフィス(34)と、
前記蓋(11)によって画定される内部チャンバ(31)と、
第1の蒸気吸入オリフィス(33)に流体接続された第1の蒸気入口開口と前記内部チャンバ(31)内に現れる第1の蒸気出口開口(350)とを備える第1の蒸気フローチューブ(35)と、第2の蒸気吸入オリフィス(34)に流体接続された第2の蒸気入口開口と前記内部チャンバ(31)内に現れる第2の蒸気出口開口(360)とを備える第2の蒸気フローチューブ(36)と、を備える蒸気放出路と、
を備え、
前記ケトル(2)が転倒し、前記グリップハンドル(8)と前記容器(4)の第1の側方側面とが水平な表面上に安定に静止しているとき、前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)は、前記内部容積(5)内の水位よりも上方に位置し、前記容器(4)の前記中心軸(A)を中心とし、第1のセクタ角(α1)が60°以下であり、二等分線が前記容器(4)の前記中心軸(A)を含む第1の垂直平面に含まれる第1の角度セクタ(S1)に配置されるように前記ケトル(2)は構成され、および、前記ケトル(2)が転倒し、前記グリップハンドル(8)と前記容器(4)の第2の側方側面が水平面上に安定に静止しているとき、前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)が前記内部容積(5)内の水位よりも上方に位置し、前記容器(4)の前記中心軸(A)を中心とし、第2のセクタ角(α2)が60°以下であり、二等分線が、前記容器(4)の前記中心軸(A)を含む第2の垂直平面(P2)に含まれる第2の角度セクタ(S2)内に配置されるように前記ケトル(2)は構成されることを特徴とする、ケトル(2)。
【請求項2】
前記第1及び第2の蒸気吸入オリフィス(33、34)は、前記ケトル(2)の中央垂直平面(P)に対して対称に配置されるように構成されている、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項3】
前記第1及び第2の蒸気出口開口(350、360)が、前記ケトル(2)の前記中央垂直平面(P)の両側に配置されるように構成されている、請求項1または2に記載のケトル(2)。
【請求項4】
前記第1及び第2の蒸気吸入オリフィス(33、34)が、前記蓋(11)の前記下面(12)の前半分に配置されている、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項5】
前記第1及び第2の蒸気出口開口(350、360)が、前記内部チャンバ(31)の後部に配置されている、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項6】
前記第1及び第2の蒸気出口開口(350、360)が前記注ぎ口(9)から離れる方向に向くように構成されている、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項7】
前記第1の蒸気フローチューブ(35)が、前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)に流体接続された第1の一次チューブ部分(35.1)と、前記第1の一次チューブ部分(35.1)から延びる第2の一次チューブ部分(35.2)とを含み、前記第2の一次チューブ部分(35.2)は前記ケトル(2)の後部に向かって湾曲しており、前記第2の蒸気フローチューブ(36)は、前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)に流体接続された第1の二次チューブ部分(36.1)と、前記第1の二次チューブ部分(36.1)から延びる第2の二次チューブ部分(36.2)と、を含み、前記第2の二次チューブ部分(36.2)は前記ケトル(2)の後部に向かって湾曲している、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項8】
前記第1の一次チューブ部分(35.1)および前記第1の二次チューブ部分(36.1)が、前記ケトル(2)の前記中央垂直平面(P)に対して実質的に垂直である第1の延長平面および第2の延長平面にそれぞれ延びる、請求項7に記載のケトル(2)。
【請求項9】
前記蒸気放出路が、前記蓋(11)に設けられ、前記蓋(11)によって画定される前記内部チャンバ(31)に流体接続する少なくとも1つの蒸気放出開口(37)を含み、前記少なくとも1つの蒸気放出開口(37)が、前記内部チャンバ(31)に収容された前記蒸気を前記蓋(11)の外側、例えば前記ケトル(2)の外側に向けて放出できるように構成されている、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項10】
バイメタル要素を含む電気機械制御装置を含み、前記少なくとも1つの蒸気放出開口(37)は、前記内部チャンバ(31)内に収容された前記蒸気を前記バイメタル要素に導くように構成されており、前記電気機械制御装置は、バイメタル要素上の蒸気流入がケトル加熱の停止をトリガするように構成されている、請求項9に記載のケトル(2)。
【請求項11】
前記蓋(11)を前記容器(4)に取り外し可能に固定するように構成された固定装置をさらに含む、請求項1に記載のケトル(2)。
【請求項12】
前記蓋(11)は、前記内部容積(5)に含まれる水を前記注ぎ口(9)に向かって運ぶように構成された注ぎ通路(24)を含み、前記ケトル(2)は、閉鎖器(27)であって、前記閉鎖器(27)が前記注ぎ通路(24)を閉鎖し、前記注ぎ通路(24)を通る水の流れを阻止する閉位置と、前記閉鎖器(27)が前記注ぎ通路(24)を解放し、前記注ぎ通路(24)を通る水の流れを可能にする開放位置との間で、前記蓋(11)上に移動可能に取り付けられた閉鎖器(27)を備える、請求項1に記載のケトル(2)。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体加熱器具、特に電気ケトルの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、
-容器が水平面に載っているときに実質的に垂直に延びるように構成された中心軸を有する容器であって、容器は、水を含むことを意図した内部容積を画定し、水が加熱され、特に沸騰することを意図している容器と、
-容器に固定されたグリップハンドルと、
-容器の中心軸に対してグリップハンドルの反対側に配置された注ぎ口と、
-容器を閉じるように構成された蓋であって、蓋が、内部容積に面して配置されるように構成された下面を備える、蓋と、
-内部容積の外側に、例えばケトルの外側に向かって、内部容積に含まれる水の沸騰中に内部容積に生成された蒸気を搬送するように構成された蒸気放出路と、を含む電気ケトルを開示する。
【0003】
蒸気放出路は、特に、
-蓋に設けられ、蓋の下面に現れ、蓋の下面の周辺端部の近くにある第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスであって、第1及び第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積に流体連通され、注ぎ口及びグリップハンドルを通過するケトルの中央垂直面のいずれかの側に配置されるように構成される、第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスと、
-蓋によって区切られた内部チャンバと、
-第1の蒸気吸入オリフィスに流体接続された第1の蒸気入口開口と、内部チャンバ内に現れる第1の蒸気出口開口と、第2の蒸気吸入オリフィスに流体接続された第2の蒸気入口開口と、内部チャンバ内に出現する現れる第2の蒸気出口開口とを備える第2の蒸気フローチューブ(flow tube)と、
-内部チャンバに流体接続され、内部チャンバに含まれる蒸気を蓋の外側に、例えばケトルの外側に向かって放出することを可能にするように構成された少なくとも1つの蒸気入口開口、を備える。
【0004】
ケトルは、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第1の側面が水平面(ケトルの第1の安定した転倒位置に対応する)上に安定して置かれるとき、第1の蒸気吸入オリフィスが内部容積内の水位の上に位置するように、および、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第2の側面が水平面(ケトルの第2の安定した転倒位置に対応する)上に安定して置かれるとき、第2の蒸気吸入オリフィスが内部容積内の水位の上に位置するように構成される。
【0005】
このようなケトルの構成は、ケトルがその側面に傾いているときに、蓋に流入し、したがって少なくとも1つの蒸気出口開口を介してケトルから流出する沸騰水のリスクを低減する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】英国特許出願公開第2488204号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のケトルが第1の安定した転倒位置を占めるとき、第1の蒸気吸入オリフィスは、内部容積内の水位に近い位置に配置される。同様に、そのようなケトルが第2の安定した転倒位置を占めるとき、第2の蒸気吸入オリフィスもまた、内部容積内の水位に近い位置に配置される。
【0008】
したがって、ユーザが容器を、最大充填レベルを超えて充填し、ケトルがその後転倒した場合、水位の上に位置すると仮定される蒸気吸入オリフィスは、水位の下に位置する可能性が高く、これにより、蓋に沸騰水が大量に流入し、その後、少なくとも1つの蒸気出口開口を介してケトルから流出する可能性がある。しかしながら、そのようなケトルからの沸騰水の流れは、ユーザに火傷を引き起こす可能性がある。
【0009】
ケトルを傾けたときに容器の内部容積に波紋が発生するため、ユーザが最大充填レベルを超えて容器を充填していなくても、水はまた、水位の上に位置する蒸気吸入オリフィスを通って流れる可能性がある。
【0010】
そのような欠点を克服するために、ボールバルブなどの戻り止めバルブを蓋に装備することが知られており、ケトルが転倒した際に第1および第2の蒸気フローチューブを通る水の流れを防ぐように構成されている。しかし、このような戻り止めバルブはケトルを複雑にし、後者の製造コストを大幅に増加させる。
【0011】
本発明は、これらの欠点の全部または一部を是正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の基礎となる技術的問題は、特に、使用の大きな安全性を提供しながら、シンプルで経済的な構造であるケトルを提供することにある。
【0013】
この目的のために、本発明は、ケトル、特に、
-容器が水平面に載っているときに実質的に垂直に延びるように構成された中心軸を有する容器であって、容器は、水を含むことを意図した内部容積を画定し、水が加熱され、特に沸騰することを意図している容器と、
-容器に固定されたグリップハンドルと、
-容器の中心軸に対してグリップハンドルの反対側に配置された注ぎ口と、
-容器を閉じるように構成された蓋であって、蓋が、内部容積に面して配置されるように構成された下面を備える、蓋と、
-内部容積の外側に、例えば、ケトルの外側に向かって、内部容積に含まれる水の沸騰中に内部容積内で生成される蒸気を搬送するように構成された蒸気放出路であって、
○蓋に設けられ、蓋の下面に現れ、蓋の下面の周辺縁部の近くにある第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスであって、第1及び第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積に流体接続され、注ぎ口及びグリップハンドルを通過するケトルの中央垂直面のいずれかの側に配置されるように構成される、第1の蒸気吸入オリフィス及び第2の蒸気吸入オリフィスと、
○蓋によって区切られた内部チャンバと、
○第1の蒸気吸入オリフィスに流体接続された第1の蒸気入口開口と、内部チャンバ内に現れる第1の蒸気出口開口と、第2の蒸気吸入オリフィスに流体接続された第2の蒸気入口開口と、内部チャンバ内に現れる第2の蒸気出口開口とを備える第2の蒸気フローチューブと、を備える蒸気放出路と、を含む電気ケトルに関する。
【0014】
ケトルは、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第1の側面が水平面上に安定して置かれるとき、第1の蒸気吸入オリフィスが内部容積内の水位の上に位置し、容器の中心軸を中心とする第1の角セクタに位置し、第1のセクタ角が60°以下であり、有利には40°以下であり、例えば20°以下であり、その等分線が容器の中心軸を含む第1の垂直平面に含まれ、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第2の側面が水平面上に安定して置かれるとき、第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積内の水位より上に位置し、容器の中心軸を中心とする第2の角度セクタに位置し、第2のセクタ角度が60°以下、有利には40°以下、例えば20°以下であり、その二等分線が容器の中心軸を含む第2の垂直面に含まれている。
【0015】
言い換えれば、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第1の側面が水平面上に安定して留まるとき、第1の蒸気吸入オリフィスは、内部容積内の水位より上に位置し、容器の中心軸を中心とし、第1の側面および第2の側面を含む第1の角度セクタに配置されるようにケトルが構成され、容器の中心軸を含み、第1の垂直平面に対して対称的に第1の垂直平面の両側であって、第1の角度セクタは、60°以下、有利には40°以下、例えば20°以下の第1のセクタ角を有し、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第2の側面が水平面上に安定して置かれると、第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積は、容器の前記中心軸を中心とし、容器の中心軸を含有する第2の垂直面のいずれかの側に配置され、第2の垂直平面に対して対称的に配置された第1の側および第2の側を含む第2の角度セクタに配置され、前記第2の角度セクタは、60°以下、有利には40°以下、および例えば20°以下の第2のセクタ角度を有する。
【0016】
なお言い換えれば、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第1の側面が水平面上に安定して留まるとき、第1の蒸気吸入オリフィスは、内部容積内の水位より上に位置し、水平から角度的にオフセットされ、容器の中心軸を中心に60°から120°の間、有利には、70~110°の間、および例えば80~100°の間で、第1の角度で位置決めされるようにケトルが構成され、ケトルが転倒し、グリップハンドルおよび容器の第2の側面が水平面上に安定して置かれると、第2の蒸気吸入オリフィスは、内部容積内の水位の上に位置し、水平から角度的にオフセットされ、容器の中心軸の周りに60°~120°の間で、有利には70~110°の間、例えば80~100°の間で構成される第2の角度によって第2の位置に配置される。
【0017】
第1および第2の蒸気吸入オリフィスのこのような位置決めは、ケトルが傾いており、グリップハンドルおよび容器の側面が例えば作業台に置かれているときに、水位からできるだけ遠くに後者を移動させることを可能にする。したがって、本発明によるケトルは、後者の転倒の場合にケトルから流出する沸騰水のリスクを回避または少なくともかなり制限することを可能にする。
【0018】
加えて、内部容積で生成された蒸気が、第1および第2の蒸気フローチューブを介して内部容積の外側に放出されるという事実は、蓋の設計を簡素化し、第1および第2の蒸気吸入オリフィスならびに第1および第2の蒸気出口開口の位置決めを最適化することが可能であり、これは特に、第1および第2の蒸気フローチューブが重複および/または絡み合うことができるという事実によるものである。
【0019】
ケトルは、単独でまたは組み合わせて、以下の特徴のうちの1つまたはいくつかをさらに有し得る。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブは、蓋によって画定された内部チャンバに収容される。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気吸入オリフィスは、ケトルの中央垂直面に対して対称に配置されるように構成される。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気出口開口は、ケトルの中央垂直面のいずれかの側に、例えば、ケトルの中央垂直面に対して対称的に配置されるように構成される。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気吸入オリフィスは、蓋の下面の前半分に配置される。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気出口開口は、内部チャンバの後部に配置される。第1および第2の蒸気出口開口のそのような配置は、ユーザがケトルを前方および下方に傾けることによって容器に沸騰水を注ぐときに、(第1および第2の蒸気吸入オリフィスおよび第1および第2の蒸気フローチューブを介して)蓋に流入する水のリスクを制限する。
【0025】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気出口開口は、注ぎ口から離れて、すなわちケトルの後部に面するように構成される。これらの構成は、ユーザがケトルを前方および下方に傾けることによって容器に沸騰水を注ぐときに、(第1および第2の蒸気吸入オリフィス、ならびに第1および第2の蒸気フローチューブを介して)蓋に流入する水のリスクをさらに制限する。
【0026】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブのそれぞれは、概してL字形である。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブは、容器が水平面に載っているときに実質的に水平に延びるように構成される。
【0028】
本発明の別の実施形態によれば、第1の蒸気フローチューブは、容器が水平面に載っているときに水平に対して傾斜するように構成され、第1の蒸気フローチューブに含まれる水を第1の蒸気吸入オリフィスに誘導し、第2の蒸気フローチューブは、容器が水平表面に載っているときに水平に対して傾斜するように構成され、第2の蒸気フローチューブに含まれる水を第2の蒸気吸入オリフィスに誘導する。これらの配置は、蓋内の水の蓄積と水の停滞のリスクを制限する。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、第1の蒸気フローチューブは、第1の蒸気吸入オリフィスに流体接続された第1の一次チューブ部分と、第1の一次チューブ部分から延びる第2の一次チューブ部分とを含み、第2の一次チューブ部分は、ケトルの後部に向かって湾曲しており、第2の蒸気流チューブは、第2の蒸気吸入オリフィに流体接続された第1の二次チューブ部分と、第1の二次チューブ部分から延びる第2の二次チューブ部分とを含み、第2の二次チューブ部分は、ケトルの後部に向かって湾曲している。これらの構成は、ユーザがケトルを前方および下方に傾けることによって容器に沸騰水を注ぐときに、(第1および第2の蒸気吸入オリフィス、ならびに第1および第2の蒸気フローチューブを介して)蓋に流入する水のリスクをさらに制限する。
【0030】
本発明の一実施形態によれば、第1の一次チューブ部分は、第1の蒸気吸入オリフィに流体接続された第1の端部と、第1の蒸気吸入オリフィスの反対側の第2の端部とを含み、第1の一次チューブ部分の第2の端部は、20°以下、例えば10°以下の第1のオフセット角度によって、容器の中心軸に対して第2の蒸気吸入オリフィスから角度的にオフセットされる。
【0031】
言い換えれば、第1の一次チューブ部分は、第1の蒸気吸入オリフィスから第2の蒸気吸入オリフィスに近接するように延在する。第1の蒸気フローチューブのそのような構成は、ケトルの傾斜の場合に、連通する容器の原理によって、第2の一次チューブ部分における水の可能な通過を可能な限り遅らせる。
【0032】
本発明の一実施形態によれば、第1の二次チューブ部分は、第2の蒸気吸入オリフィスに流体的に接続された第1の端部と、第2の蒸気吸入オリフィスの反対側の第2の端部とを含み、第1の二次チューブ部分の第2の端部は、20°以下、例えば10°以下の第2のオフセット角度によって、容器の中心軸に対して第1の蒸気吸入オリフィから角度的にオフセットされる。本発明の一実施形態によれば、第1の一次チューブ部分および第1の二次チューブ部分は、概して直線である。
【0033】
言い換えれば、第1の二次チューブ部分は、第2の蒸気吸入オリフィスから第1の蒸気吸入オリフィスに近接するように延在する。第2の蒸気フローチューブのそのような構成は、ケトルの傾斜の場合に、連通する容器の原理によって、第2の二次チューブ部分における水の可能な通過を可能な限り遅らせる。
【0034】
本発明の一実施形態によれば、第1の一次チューブ部分および第1の二次チューブ部分は、ケトルの中央垂直面に実質的に垂直な第1の延長平面および第2の延長平面内にそれぞれ延びる。
【0035】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の延長平面は、互いに実質的に平行である。
【0036】
本発明の一実施形態によれば、蒸気放出路は、少なくとも1つの、および例えば、蓋上に設けられ、蓋によって画定された内部チャンバに流体接続された1つまたは複数の蒸気放出開口を含み、少なくとも1つの蒸気放出開口は、蓋の外部、および例えば、ケトルの外部に向かって内部チャンバに含まれる蒸気の放出を可能にするように構成される。
【0037】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気放出開口は、蓋の外周面に現れる。
【0038】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気放出開口は、注ぎ口の近くに配置され、例えば、注ぎ口に面するように構成される。
【0039】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気放出開口は、蓋の上面に現れる。
【0040】
本発明の一実施形態によれば、容器は、内部容積内に現れる上部充填開口を備える。
【0041】
本発明の一実施形態によれば、蓋は、上部充填開口に配置されるように構成される。
【0042】
本発明の一実施形態によれば、注ぎ口は、上部充填開口に配置される。
【0043】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、容器に蓋を取り外し可能に、すなわち一時的かつ可逆的な方法で固定するように構成された固定装置をさらに含む。
【0044】
本発明の一実施形態によれば、固定装置は、蓋に設けられた固定タブまたは固定フィンがなどの少なくとも1つの固定部材と、容器に設けられた少なくとも1つの固定要素とを含み、少なくとも1つの固定部材は、少なくとも1つの固定部材が少なくとも1つの固定要素と協働して蓋を容器に固定するように構成されている固定位置と、少なくとも1つの固定部材が少なくとも1つの固定要素を解放して蓋を容器から取り外すことができるように構成されている解放位置とを占めるように構成される。
【0045】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの固定部材は、固定位置と解放位置との間で蓋に対して移動可能に取り付けられる。
【0046】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの固定部材は、蓋に対して摺動方向に摺動可能に取り付けられる。摺動方向は、蓋の中心軸に対して実質的に垂直に、例えば、蓋の中心軸に対して実質的に半径方向に延びることができる。
【0047】
本発明の一実施形態によれば、固定装置は、少なくとも1つの固定部材を固定位置に戻すように構成された戻り部材を含む。
【0048】
本発明の一実施形態によれば、固定装置は、少なくとも1つの固定部材の周りに延在し、蓋に設けられ、少なくとも1つの固定部材が突出する貫通開口と密封的に協働するように構成された密封部材を含む。固定装置のそのような構成は、貫通開口を通って、したがって、内部チャンバおよび少なくとも1つの蒸気放出開口を介してケトルから流出する水のリスクを制限する。
【0049】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、蓋に設けられ、作動機構がユーザによって作動されるときに少なくとも1つの固定部材を解放位置に移動させるように構成された作動機構を含む。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、作動機構は、ユーザによって手動で作動され得、少なくとも1つの固定部材を固定位置から解放位置に変位させるように構成された作動部材を含み、作動部材は、第1の作動位置と第2の作動位置との間に移動可能に取り付けられ、作動部材および少なくとも1つの固定部材は、作動部材の第1の作動位置から第2の作動位置への変位が、少なくとも1つの固定部材の固定位置から解放位置への変位を引き起こすように構成される。作動機構のそのような構成は、ユーザが作動機構の単純な作動によって蓋を取り外すことを可能にする。
【0051】
本発明の一実施形態によれば、作動機構は、作動部材を第1の作動位置に戻すように構成された、戻りばねなどの戻り要素を含む。
【0052】
本発明の一実施形態によれば、作動部材は、作動軸を中心に蓋に対して回転して移動可能に取り付けられる。作動軸は、例えば、蓋が容器に固定されるとき、容器の中心軸に実質的に平行であってもよい。
【0053】
本発明の一実施形態によれば、作動部材は、少なくとも1つの固定部材の一部が接触している少なくとも1つのカム表面を含む。
【0054】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つのカム表面上で接触している少なくとも1つの固定部材の部分は、少なくとも1つの固定部材上に設けられたラグである。
【0055】
本発明の一実施形態によれば、ラグは、少なくとも1つのカム表面上で摺動接触しているため、作動部材が第1の作動位置と第2の作動位置との間で変位すると、ラグは、少なくとも1つのカム表面上で摺動することによって作動部材に対して変位し、少なくとも1つの固定部材の固定位置から解放位置への変位を引き起こす。
【0056】
本発明の一実施形態によれば、作動部材は、ユーザによって操作されるように構成されたハンドル部と、蓋に収容され、少なくとも1つの固定部材と協働するように構成された作動部とを含む。
【0057】
本発明の別の実施形態によれば、固定装置は、
-上部充填開口部に配置されるように構成された環状固定部であって、上部充填開口部と密封的に協働するように構成された環状シールを含む、環状固定部と、
-環状固定部に設けられた、ロックノッチなどの少なくとも1つのロック部材と、
-蓋に設けられ、環状固定部及び蓋を容器に固定するように少なくとも1つのロック部材と協働するように構成された、ロックフィンガーなどの少なくとも1つのロック要素、とを含む。
【0058】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、容器上の蓋を固定するための独自の位置、または容器上の環状固定部を固定するための独自の位置を画定するように構成された、フールプルーフ(foolproof)デバイスとも呼ばれる角度付き割出し装置を含む。
【0059】
本発明の一実施形態によれば、環状固定部は、環状であり、環状シールが固定される支持体を含み、少なくとも1つのロック部材は、支持体上に設けられる。
【0060】
本発明の一実施形態によれば、環状固定部は、支持体に少なくとも部分的に収容されたロックリングをさらに含み、ロックリングは、支持体の中心軸と実質的に同軸であり、第1のリング位置と第2のリング位置との間の回転軸を中心に支持体に対して回転して移動可能に取り付けられ、固定装置は、ロックリングの第1のリング位置から第2のリング位置への変位が環状シールの膨張を引き起こして、容器上の環状固定部をロックするように構成される。
【0061】
本発明の一実施形態によれば、ロックリングは、少なくとも1つのロック要素と少なくとも1つのロック部材との協働中に、特に蓋が支持体上に置かれ、支持体の中心軸を中心に枢動されるときに、少なくとも1つのロック要素によって第2のリング位置に移動されるように構成される。
【0062】
本発明の一実施形態によれば、支持体は、上部充填開口を画定する容器の上端に載るように構成される。
【0063】
本発明の一実施形態によれば、環状固定部は取り外し可能である。
【0064】
本発明のさらに別の実施形態によれば、固定装置は、容器に設けられ、容器の中心軸の周りに分布するいくつかの接続部材と、蓋に設けられ、接続部材とそれぞれ協働するように構成された、いくつかの接続要素とを備えるバヨネット(bayonet)固定装置であり得る。
【0065】
本発明の一実施形態によれば、蓋は、内部容積に含まれる水を注ぎ口に向かって搬送するように構成された注ぎ通路を含み、ケトルは、閉鎖器が注ぎ通路を閉鎖し、注ぎ通路を通る水の流れを防止する閉鎖位置と、閉鎖器が注ぎ通路を解放し、注ぎ通路を通る水の流れを可能にする開放位置との間で蓋に移動可能に取り付けられた閉鎖器を備える。このような蓋の構成は、ケトルが転倒した際に注ぎ口を通って流れる水のリスクをかなり制限する。
【0066】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、蓋に設けられ、閉鎖器を開位置と閉位置との間で変位させるように構成された作動システムを含む。
【0067】
本発明の一実施形態によれば、作動システムは、ユーザによって作動され得、第1のボタン位置と第2のボタン位置との間で移動可能な作動ボタンを含み、作動システムは、ユーザによる作動ボタンの第1のボタン位置から第2のボタン位置への変位が閉鎖位置から開放位置への閉鎖器の変位を引き起こすように構成される。
【0068】
本発明の一実施形態によれば、作動システムは、蓋に対して、第1の作動位置と第2の作動位置との間で移動可能に取り付けられ、例えばピボット軸を中心に回動可能に取り付けられた作動レバーなどの作動要素を含み、作動システムおよび閉鎖器は、作動ボタンの第1のボタン位置から第2のボタン位置への変位が閉鎖位置から開放位置への閉塞器の変位を引き起こすように構成される。
【0069】
本発明の一実施形態によれば、閉鎖器は、作動要素への移動中に固定される。
【0070】
本発明の一実施形態によれば、閉鎖器、作動要素、および作動ボタンは、一体に作られる。
【0071】
本発明の一実施形態によれば、作動システムは、作動要素の代わりに、例えばボールペンタイプの双安定制御デバイスを含むことができる。
【0072】
本発明の一実施形態によれば、作動システムは、閉鎖器を閉位置に向かって付勢するように構成された付勢ばねなどの付勢要素を含む。
【0073】
本発明の一実施形態によれば、注ぎ通路は、蓋の下面に現れる水入口開口と、蓋の外周面に現れる水出口開口とを含む。
【0074】
本発明の一実施形態によれば、少なくとも1つの蒸気放出開口は、排水口開口の近くに配置される。
【0075】
本発明の一実施形態によれば、蓋は、注ぎ口を含む。
【0076】
本発明の一実施形態によれば、容器は、注ぎ口を含む。
【0077】
本発明の一実施形態によれば、環状固定部は、注ぎ口を含む。
【0078】
本発明の一実施形態によれば、第1の蒸気フローチューブは、第1の蒸気フローチューブの長さに沿って実質的に一定である流れ断面を有し、第2の蒸気フローチューブは、第1の蒸気フローチューブの長さに沿って実質的に一定である流れ断面を有する。
【0079】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブのそれぞれは、実質的に円形の断面を有する。
【0080】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブのそれぞれは可撓性である。
【0081】
本発明の一実施形態によれば、容器は、内部容積の下に位置し、内部容積に含まれる水を加熱するように構成された加熱底部を含む。有利には、加熱底部は、電気加熱要素を収容する。
【0082】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、バイメタル要素を含む電気機械的制御デバイスを含み、少なくとも1つの蒸気放出開口は、内部チャンバに含まれる蒸気をバイメタル要素に向けるように構成され、電気機械的制御デバイスは、バイメタル要素上の蒸気流入がケトル加熱の停止をトリガするように構成される。
【0083】
本発明の一実施形態によれば、ケトルは、容器が静止することを意図した支持基部を含む。
【図面の簡単な説明】
【0084】
本発明は、非限定的な例として、このケトルのいくつかの実施形態を表す添付の概略図を参照して、以下の説明を使用してよりよく理解されるであろう。
図1図1は、本発明の第1の実施形態によるケトルの上面斜視図である。
図2図2は、図1のケトルの容器の上面斜視図である。
図3図3は、図1のケトルの蓋の上面斜視図である。
図4図4は、図3の蓋の側面斜視図である。
図5図5は、図3の蓋の底面斜視図である。
図6図6は、蓋の上部カバーが取り外された図3の蓋の部分上面斜視図である。
図7図7は、図1のケトルの環状固定部の上面斜視図である。
図8図8は、図7の環状固定部の部分的な上面斜視図である。
図9図9は、図1のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルおよび容器の右側側面が水平面に載る安定位置を占めていることを示す。
図10図10は、図1のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルおよび容器の右側側面が水平面に載る安定位置を占めていることを示す。
図11図11は、図1のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルと容器の左側が水平面に載る安定位置を占めることを示す。
図12図12は、本発明の第2の実施形態によるケトルの上面斜視図である。
図13図13は、図12のケトルの容器の上面斜視図である。
図14図14は、図12のケトルの蓋の上面斜視図である。
図15図15は、図14の蓋の底面斜視図である。
図16図16は、蓋の下部ケーシングが取り外された図14の蓋の底面斜視図である。
図17図17は、作動機構および図14の蓋に設けられた2つの固定部材の底面斜視図である。
図18図18は、図17の固定部材のうちの1つの上面斜視図である。
図19図19は、図17の作動機構の底面斜視図である。
図20図20は、蓋の上部カバーが取り外された図14の蓋の上面斜視図である。
図21図21は、図12のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルと容器の左側が水平面に載る安定位置を占めることを示す。
図22図22は、図12のケトルの部分側面図であり、ケトルが水平面に転倒し、ケトルのグリップハンドルおよび容器の右側側面が水平面に載る安定位置を占めていることを示す。
【発明を実施するための形態】
【0085】
図1図11は、本発明の第1の実施形態による、ケトル2、特に電気ケトルを表す。
【0086】
ケトル2は、電源コード(図には示されていない)によって電気的に駆動されるように構成された支持基部(図には見えない)と、支持基部上に置かれるように構成された容器4とを含む。
【0087】
容器4は、容器4が水平面に載っているときに実質的に垂直に延びるように構成された中心軸Aを有する。有利には、容器4は、中心軸Aを中心に回転する一般的な形状を有する。
【0088】
容器4は、水を含むことを意図し、水が加熱され、特に沸騰されることを意図した内部容積5を画定する。容器4は、内部容積5内に現れる上部充填開口6をさらに備える。
【0089】
容器4は、内部容積5の下に位置し、内部容積5に含まれる水を加熱するように構成された加熱底部7をさらに含む。既知の方法では、加熱底部7は、容器4が支持ベース上に置かれたときに電力を供給されるように構成された電気加熱要素(図には示されていない)を収容する。
【0090】
ケトル2は、容器4に固定されたグリップハンドル8と、容器4の中心軸Aに対してグリップハンドル8の反対側に配置された注ぎ口9とをさらに含む。注ぎ口9は、例えば、上部充填開口6に配置され得る。
【0091】
ケトル2は、容器4を閉じるように構成された蓋11をさらに含み、容器4の内部容積5に面して配置されるように構成された下面12を備える。
【0092】
ケトル2は、蓋11を容器4に取り外し可能に、すなわち一時的かつ可逆的な方法で固定するように構成された固定装置をさらに含む。
【0093】
図1から図11に示される実施形態によれば、固定装置は、取り外し可能であり、上部充填開口6に配置されるように構成された環状固定部14を含む。環状固定部14は、環状であり、容器4の上端に載るように構成された支持体15と、支持体15に固定され、上部充填開口6と密封的に協働するように構成された環状シール16とを含む。図1から図11に示される実施形態によれば、注ぎ口9は、支持体15上に設けられる。
【0094】
固定装置は、支持体15に設けられ、支持体15の中心軸の周りに分布する、ロックノッチなどのいくつかのロック部材17と、蓋11を環状固定部14に固定するように、蓋11の外周面に設けられ、ロック部材17と協働するように構成された、ロックフィンガーなどのいくつかのロック要素18とをさらに含む。
【0095】
有利には、ロック部材17およびロック要素18は、バヨネット固定システムを形成し、したがって、固定装置は、環状固定部14上の蓋11の固定が、蓋11が環状固定部14に対して所定の角度位置に配置される第1の固定段階、蓋11が容器4の中心軸Aに実質的に平行な変位方向に沿って環状固定部14の方向に変位される第2の固定段階、および蓋11が容器4の中心軸Aに実質的に平行な回転軸を中心に回転して駆動される第3の固定段階を含むように構成される。
【0096】
図1から図11に示される実施形態によれば、蓋11は、支持体15を覆い、後者の上に載り、また、支持体15によって画定される中央開口部19を密封的に閉じるように構成される。有利には、ケトル2は、蓋11の下面12に固定され、支持体15の内周面に設けられた環状肩部22と密封的に協働するように構成された密封要素21を含む。
【0097】
図1から図11に示される実施形態によれば、環状固定部14は、支持体15に少なくとも部分的に収容されたロックリング23(図8を参照)をさらに含む。ロックリング23は、支持体15の中心軸と実質的に同軸の回転軸の周りで、第1のリング位置と第2のリング位置との間で、支持体15に対して回転して移動可能に取り付けられる。固定装置は、第1のリング位置から第2のリング位置へのロックリング23の変位が、環状シール16の膨張、すなわち、環状シール16の外形寸法の増加を引き起こして、容器4上の環状固定部14をロックするように構成される。この目的のために、ロックリング23は、例えば、ロックリング23の外周面に設けられ、ロックリング23の中心軸の周りに分布するいくつかの受容空洞23.1を備え得る。各受容空洞23.1は、より具体的には、ロックリング23が第1のリング位置にあるときに、環状シール16とロックリング23との間に介在するそれぞれの変形要素23.2を収容し、ロックリング23が第2のリング位置にあるときに、前記受容空洞23.1の外側に位置するそれぞれの変形要素23.2は、環状シール16に対して半径方向外向きの力を加え、後者を変形させるように、それぞれの変形要素23.2から角度的にオフセットされるように構成される。
【0098】
ロックリング23は、より具体的には、蓋11が支持体15上に置かれ、支持体15の中心軸を中心に枢動されるときに、蓋11に設けられたロック要素18によって、第1のリング位置と第2のリング位置との間に移動するように構成される。この目的のために、ロックリング23は、例えば、蓋11が支持体15の中心軸の周りで枢動されるときに、ロック要素18が当接するように意図される当接面を含み得る。
【0099】
図1から図11に示される実施形態によれば、蓋1115は、内部容積5に含まれる水を注ぎ口9に向かって運ぶように構成された注ぎ通路24を含む。注ぎ通路24は、より具体的には、蓋11の下面12に現れる水入口開口25と、蓋11が容器4に固定されたときに注ぎ口9に実質的に面して配置されるように意図された蓋11の外周面に現れる水出口開口26とを含む。
【0100】
ケトル2は、閉鎖器27が注ぎ通路24を閉じて注ぎ通路24を通る水の流れを防止する閉位置と、閉鎖器27が注ぎ通路24を解放して注ぎ通路24を通る水の流れを可能にする開位置との間で蓋11に移動可能に取り付けられた閉鎖器27(図4から図6を参照)をさらに備える。
【0101】
ケトル2は、蓋11上に設けられ、閉鎖器27を開位置と閉位置との間で変位させるように構成された作動システムをさらに含む。図1から図11に示される実施形態によれば、作動システムは、ユーザによって作動され得、第1のボタン位置と第2のボタン位置との間で移動可能な作動ボタン28を含み、作動システムは、ユーザによる作動ボタン28の第1のボタン位置から第2のボタン位置への変位が閉鎖位置から開位置への閉鎖器27の変位を引き起こすように構成される。
【0102】
作動システムはまた、蓋11に枢動軸を中心にして、第1の作動位置と第2の作動位置との間に枢動可能に取り付けられた作動レバー29(図6を参照)を含む。作動レバー29は、例えば、蓋11によって画定される内部チャンバ31に収容され得る。作動システムおよび閉鎖器27は、第1のボタン位置から第2のボタン位置への作動ボタン28の変位が閉鎖位置から開位置への閉鎖器27の変位を引き起こし、したがって、注ぎ通路24および注ぎ口9を介してケトル2からの水の流出を可能にするように構成される。
【0103】
図1から図11に示される実施形態によれば、作動レバー29は単安定であり、作動システムは、内部チャンバ31に収容され、一方で蓋11に支持され、他方で閉鎖器27に支持される付勢ばねのような付勢要素32を含み、閉鎖器27を閉位置に向かって付勢するように構成される。作動システムのそのような構成は、ユーザが作動ボタン28に圧力をかけていないときに、注ぎ通路24を閉じたままにすることを可能にする。
【0104】
図1から図11に示される実施形態によれば、閉鎖器27、作動レバー29、および作動ボタン28は、一体に作られる。しかしながら、閉鎖器27、作動レバー、および作動ボタン28は、分離され、互いに機械的に接続され得る。
【0105】
ケトル2はまた、支持体15に設けられた環状肩部22に載り、容器4の内部容積5に配置されるように構成されたティーバスケット(tea basket)(図には示されていない)を含むことができる。ティーバスケットが使用されるとき、蓋11の下面12に固定された密封要素21は、次いで、ティーバスケットの上部周辺リムと密封的に協働するように構成される。
【0106】
ケトル2はまた、内部容積5の外側、例えばケトル2の外側に向かって、内部容積5に含まれる水の沸騰中に内部容積5で生成される蒸気を伝達するように構成された蒸気放出路を含む。
【0107】
蒸気放出路は、特に、蓋11上に設けられ、蓋11の下面12内に現れ、蓋11の下面12の周縁部に近い第1の蒸気吸入オリフィス33および第2の蒸気吸入オリフィス34を備える。蓋11が容器4に固定され、後者が水平面上に置かれると、第1および第2の蒸気吸入オリフィス33、34は、容器4によって画定され、容器4の最大充填レベルを超える内部容積5内に現れる。
【0108】
図1から図11に示される実施形態によれば、第1および第2の蒸気吸入オリフィス33、34は、注ぎ口9およびグリップハンドル8を通過するケトル2の中央垂直平面Pのいずれかの側に配置され、ケトル2の中央垂直平面Pに対して対称的に有利に配置される。
【0109】
図1から図11に示される実施形態によれば、第1および第2の蒸気吸入オリフィス33、34は、蓋11の下面12の前半分に配置される。
【0110】
図6により具体的に示されるように、蒸気放出路はまた、第1の蒸気吸入オリフィス33に流体接続された第1の蒸気入口開口と、蓋11によって画定された内部チャンバ31内に現れる第1の蒸気出口開口350と、第2の蒸気吸入オリフィス34に流体接続された第2の蒸気入口開口と、内部チャンバ31内に現れる第2の蒸気出口開口360とを備える第1の蒸気フローチューブ35を備える。有利には、第1および第2の蒸気フローチューブ35、36は、内部チャンバ31に収容され、それぞれが円形の断面を有する。有利には、第1および第2の蒸気フローチューブ35、36のそれぞれは、その長さに沿って実質的に一定である流れ断面を有する。
【0111】
蒸気フローチューブによって、好ましくは閉じた輪郭を有するワンピース(one-piece)の蒸気フローパイプ15が理解されるべきである。フローチューブは、一般に、蒸気入口オリフィスと蒸気出口オリフィスとの間に延びる、好ましくは一体に作られた閉じた輪郭を有するフローパイプを備える。フローチューブは、好ましくは、円形または楕円形の断面を有し、チューブの最適な密封を確実にし、チューブ内のチューブに沿った蒸気の変位中にチューブ外の蒸気の流れを防ぐように、好ましくは一体に形成された周辺壁を備える。
【0112】
第1および第2の蒸気出口開口350、360は、より具体的には、ケトル2の中央垂直面Pのいずれかの側に配置され、有利には、ケトル2の中央垂直平面Pに対して対称的に配置されるように構成される。図1から図11に示される実施形態によれば、第1および第2の蒸気出口開口350、360は、内部チャンバ31の後部に位置し、注ぎ口9から背を向けるように、すなわち、ケトル2の後部に向かって、したがって、グリップハンドル8に向かって面するように構成される。
【0113】
第1の蒸気フローチューブ35は、例えば、容器4が水平面に載っているときに水平に対して傾斜するように構成されて、第1の蒸気フローチューブ35に含まれる水を第1の蒸気吸入オリフィス33に誘導することができ、同様に、第2の蒸気フローチューブ36は、例えば、容器4が水平に載っているときに水平に対して傾斜するように構成されて、第2の蒸気フローチューブ36に含まれる水を第2の蒸気吸入オリフィス34に誘導することができる。
【0114】
図1から図11に示される実施形態によれば、第1および第2の蒸気フローチューブ35、36のそれぞれは、概してL字形である。図6に示されるように、第1の蒸気フローチューブ35は、第1の蒸気吸入オリフィス33に流体接続された第1の一次チューブ部分35.1と、第1の一次チューブ部分35.1から延在し、ケトル2の後部に向かって湾曲する第2の一次チューブ部分35.2とを含む。同様に、第2の蒸気フローチューブ36は、第2の蒸気吸入オリフィス34に流体接続された第1の二次チューブ部分36.1と、第1の二次チューブ部分36.1から延在し、ケトル2の後部に向かって湾曲した第2の二次チューブ部分36.2とを含む。
【0115】
図1から図11に示される実施形態によれば、第1の一次チューブ部分35.1および第1の二次チューブ部分36.1は、概して直線であり、蓋11が容器4に固定されたときに、互いに実質的に平行であり、ケトル2の中央垂直平面Pに実質的に垂直である第1の延長平面および第2の延長平面内にそれぞれ延びる。有利には、第1の一次チューブ部分35.1は、第1の蒸気吸入オリフィス33から第2の蒸気吸入オリフィス34に最も近いところまで延在し、第1の二次チューブ部分36.1は、第2の蒸気吸入オリフィス34から第1の蒸気吸入オリフィス33に近いところまで延在する。
【0116】
蒸気放出路は、蓋11上に設けられ、蓋11によって画定された内部チャンバ31に流体接続された、いくつかの蒸気放出開口37をさらに備える。蒸気放出開口37は、内部チャンバ31に含まれる蒸気をケトル2の外側に向かって放出することを可能にするように構成される。
【0117】
図1から図11に示される実施形態によれば、蒸気放出開口37は、蓋11の外周面に現れ、水出口開口26の近くに配置される。したがって、蒸気放出開口37は、蓋11が容器4に固定されるときに、注ぎ口9の近くに配置され、例えば、注ぎ口9に面して配置されるように構成される。ケトル2のそのような構成は、蓋11および注ぎ口9を介して容器4から蒸気を放出することを可能にする。
【0118】
より具体的には、図9から図11に示されるように、ケトル2は、
-ケトル2が転倒し、グリップハンドル8および容器4の第1の側面、すなわち左側が水平面に安定して留まるとき、第1の蒸気吸入オリフィス33は、内部容積5の水位の上に位置し、容器4の中心軸Aを中心とする第1の角度セクタS1内に位置するようにする、 これは、頂点角とも呼ばれる第1のセクタ角α1が40°以下であり、その二等分線が容器4の中心軸Aを含む第1の垂直平面P1に含まれるように、および、
-ケトル2が転倒し、グリップハンドル8および容器4の第2の側面、すなわち右側が水平面に安定して留まるとき、第2の蒸気吸入オリフィス34は、内部容積5の水位の上に位置し、容器4の中心軸Aを中心とする第2の角セクタS2に位置し、第2のセクタ角α2は、40°以下、例えば20°以下であり、その二等分線は、容器4の中心軸Aを含む第2の垂直面P2に含まれるように構成される。
【0119】
第1および第2の蒸気吸入オリフィス33、34のこのような位置決めは、ケトルが傾いており、グリップハンドルおよび容器の側面が例えば作業台に置かれているときに、水位からできるだけ遠くに後者を移動させることを可能にする。したがって、本発明によるケトル2は、ケトル2の転倒の場合にケトル2から流出する沸騰水のリスクを回避または少なくともかなり制限することを可能にする。
【0120】
図12図22は、本質的に、注ぎ口9が容器4に固定されており、蓋11が注ぎ通路24を有さず、上部充填開口6に配置され、容器4の上端に直接置かれるように構成されているという点で、第1の実施形態とは異なる、本発明の第2の実施形態によるケトル2を表す。
【0121】
本発明のこの第2の実施形態によれば、蒸気放出開口37は、蓋11の上面に現れ、注ぎ口9を通って流れることなく蒸気がケトル2から放出される。
【0122】
本発明のこの第2の実施形態によれば、内部チャンバ31は、第1および第2の蒸気フローチューブ35、36が収容される第1のチャンバ部分31.1と、蒸気放出開口37が現れる第2のチャンバ部分31.2とを含む。第1および第2のチャンバ部31.1、31.2は、蓋11の内壁110によって互いに分離されている。有利には、蒸気放出路は、内壁110に設けられ、第1のチャンバ部分31.1を第2のチャンバ部分31.2に流体接続するように構成された通路孔40を含む。したがって、第1のチャンバ部分31.1に含まれる蒸気は、通路孔41、第2のチャンバ部分31.2、および蒸気放出開口37を介して蓋11の外側に向かって流れることができる。通路孔40は、例えば、蓋11の中心軸の周りに分布する。
【0123】
通路孔40は、例えば、蓋11の後部に設けることができる。その結果、ユーザがケトル2を急傾斜させて容器4から水を注ぎ、水が第1および第2の蒸気フローチューブ35、36、第1のチャンバ部分31.1を通って入っても、後者に入った水は蓋11の前方に向かって移動し、したがって通路孔40から離れる。したがって、通路孔40のそのような配置は、注入動作中に蒸気放出開口37を通って流れる水のリスクを制限するであろう。
【0124】
さらに、この第2の実施形態によれば、固定装置は、蓋11に設けられた固定フィンガなどの2つの直径方向に対向する固定部材41を備える。各固定部材41は、蓋11内に収容され、蓋11の外周面に現れるそれぞれの貫通開口42を介して蓋11から突出するように構成される。
【0125】
固定装置は、容器4の内面に設けられ、上部充填開口6の近くに配置された少なくとも1つの固定要素を備える。図に示される実施形態によれば、固定装置は、単一の固定要素を含み、後者は、容器4の加熱底部7に面し、上部充填開口6を部分的に区切る周辺リムによって形成される。固定部材41は、より具体的には、蓋11が容器4に固定されるときに、周辺リムの下端に当接するように構成される。しかしながら、本発明の変形例によれば、固定装置は、いくつかの固定要素を含み得、後者は、例えば、それぞれ固定部材41を収容するように構成された固定ハウジングまたは固定ノッチ5であり得る。
【0126】
固定部材41は、各固定部材41がそれぞれの固定要素と協働して蓋11を容器4に固定するように構成された固定位置と、各固定部材41がそれぞれの固定要素を解放して蓋11を容器4から取り外すことができるように構成された解放位置との間で、蓋11に対して摺動方向に摺動可能に取り付けられる。有利には、摺動方向は、蓋11の中心軸に対して実質的に半径方向に延びる。
【0127】
有利には、固定装置は、それぞれがそれぞれの固定部材41の周りに延在し、それぞれがそれぞれの貫通開口42と密封的に協働するように構成された2つの密封部材43を含む。蓋11のそのような構成は、貫通開口42を通って、したがって、内部チャンバ31および蒸気放出開口37を介してケトル2から流出する水のリスクを制限する。
【0128】
図12から図22に示される実施形態によれば、固定装置は、蓋11に収容され、固定部材41を固定位置に戻すように構成された戻り部材44(図17を参照)を含む。有利には、各固定部材41は、蓋11が上部充填開口6に導入されるときに、固定部材41を解放位置に自動的に変位させるように、容器4と協働するように構成された、端部面取りなどの傾斜面45を含む。固定装置のそのような構成は、容器4上の蓋の容易な固定を可能にする。
【0129】
図12から図22に示される実施形態によれば、密封要素21は環状であり、蓋11の外周面の周りに延在し、上部充填開口6と密封的に協働するように構成される。有利には、各貫通開口42は、蓋11の外周面の中に現れ、密封要素21の下にある。
【0130】
図17により具体的に示されるように、ケトル2は、蓋11上に設けられ、作動機構46がユーザによって作動されるときに固定部材41を解放位置に移動させるように構成された作動機構46を含む。
【0131】
作動機構46は、より具体的には、ユーザによって手動で作動され得、固定部材41を固定位置から解放位置に変位させるように構成された作動部材47を含む。有利には、作動部材47は、例えば蓋11の中心軸と同一直線上にある作動軸の周りで、第1の作動位置と第2の作動位置との間で蓋11に対して回転して移動可能に取り付けられる。作動部材47および固定部材41は、作動部材47の第1の作動位置から第2の作動位置への変位が、固定部材41の固定位置から解放位置への変位を引き起こすように構成される。
【0132】
図12から図22に示される実施形態によれば、作動部材47は、2つのカム表面48(図19を参照)を含み、各固定部材41は、それぞれのカム表面48と接触するラグ49(図18を参照)を含む。各ラグ49は、作動部材47が第1の作動位置から第2の作動位置へ変位するとき、各ラグ49が各カム表面48上を摺動することによって作動部材47に対して相対的に変位し、各固定部材41の固定位置から解除位置への変位を引き起こすように、各カム表面48上で摺動接触している。有利には、作動機構46は、作動部材47を第1の作動位置に戻すように構成された、蓋11に収容され、一方で作動部材47に支持され、他方で蓋11に支持される戻りばねなどの戻り要素51(図19および図20を参照)を含む。
【0133】
図12から図22に示される実施形態によれば、作動部材47は、ユーザによって操作されるように構成されたハンドル部分47.1と、一般に円盤状であり、蓋11に収容され、固定部材41と協働するように構成された作動部分47.2とを含む。
【0134】
より具体的には、図13および16に示されるように、ケトル2は、容器4上の蓋11を固定するための独自の位置を画定するように構成された、フールプルーフ装置とも呼ばれる角度割出し装置を含む。角度割出し装置は、例えば、容器4に設けられた割出しタブまたは割出しボスなどの少なくとも1つの割出し要素52と、蓋11に設けられ、少なくとも1つの割出し要素52と協働するように構成された少なくとも1つの割出しハウジング53とを含み得る。
【0135】
図15および図21により具体的に示されるように、蓋11は、蓋11に含まれる水を蓋11から放出することができる放出オリフィス54をさらに含む。放出オリフィス54は、蓋11によって画定された内部チャンバ31に流体接続される。有利には、放出オリフィス54は、蓋11の後部に配置され、一方では内部チャンバ31の底壁に、他方では蓋11の下面12に現れる。
【0136】
図13および図21に示されるように、容器4は、蓋11が容器4に固定されたときに放出オリフィス54を閉じ、蓋11が取り外されたときに放出オリフィス54を解放するように構成された閉鎖部材55を含む。図に示される実施形態によれば、閉鎖部材55は、放出オリフィス54に入り、放出オリフィス54を閉じるように構成された閉鎖フィンガである。閉鎖部材55は、例えば、概して円錐台形の形状を有してもよい。
【0137】
図に示される実施形態によれば、閉鎖部材55は、割出し要素52の近くに配置される。有利には、閉鎖部材55および割出し要素52は、一体に作られる。
【0138】
図に示されていない本発明の一実施形態によれば、容器4は、注ぎ口9を含むことができる。
【0139】
図に示されていない本発明の他の実施形態によれば、ケトル2は、バイメタル要素を含む電気機械的制御デバイスを含み得、蒸気放出路は、蓋11によって画定された内部チャンバ31に流体接続されるように構成され、内部チャンバ11に含まれる蒸気をバイメタル要素に向けるように構成された少なくとも1つの蒸気放出開口37を含み得、電気機械的制御デバイスは、バイメタル要素上の蒸気流入がケトル加熱2の停止をトリガするように構成される。
【0140】
バイメタル要素は、例えば、グリップハンドル8に配置され得る。この場合、少なくとも1つの蒸気放出開口37は、蓋11の後部に設けられ、グリップハンドル8に面するように構成される。
【0141】
本発明の変形例によれば、バイメタル要素は、容器4の下部に配置することができる。この場合、少なくとも1つの蒸気放出開口37は、蓋11の後部に設けられ、容器4に配置され、バイメタル要素に流体接続された蒸気管に流体接続されるように構成される。
【0142】
もちろん、本発明は、例としてのみ与えられた説明および例示された実施形態には決して限定されない。特に様々な要素の構成に関して、または技術的等価物で置換することによって、変更は依然として可能であるが、本発明の保護の範囲から逸脱することはない。
【0143】
本発明は、以下の実施形態を含む:
[構成1]
ケトル(2)であって、
容器(4)であって、前記容器(4)が水平面上に載ったときに実質的に垂直に延びるように構成された中心軸(A)を有し、前記容器(4)は、水を収容するように意図され、水を加熱し、特に沸騰させるように意図された内部容積(5)を画定する、容器(4)と、
グリップハンドル(8)と、
前記容器(4)の前記中心軸(A)に対してグリップハンドル(8)の反対側に位置するように構成された注ぎ口(9)と、
前記容器(4)を閉じるように構成された蓋(11)であって、前記蓋(11)は、前記内部容積(5)に面して配置されるように構成された下面(12)を含む蓋(11)と、
前記内部容積(5)内に収容された前記水の沸騰中に前記内部容積(5)内で発生した蒸気を前記内部容積(5)の外部に搬送するように構成された蒸気放出路であって、前記蒸気放出路は、
前記蓋(11)上に設けられ、前記蓋(11)の前記下面(12)に現れ、前記蓋(11)の前記下面(12)の周縁に近接する第1の蒸気吸入オリフィス(33)および第2の蒸気吸入オリフィス(34)であって、前記第1および第2の蒸気吸入オリフィス(33、34)は、前記容器(4)によって画定される前記内部容積(5)に流体接続し、前記注ぎ口(9)と前記グリップハンドル(8)を通る前記ケトル(2)の中央垂直平面(P)の両側に配置されるように構成されている、第1の蒸気吸入オリフィス(33)および第2の蒸気吸入オリフィス(34)と、
前記蓋(11)によって画定される内部チャンバ(31)と、
第1の蒸気吸入オリフィス(33)に流体接続された第1の蒸気入口開口と前記内部チャンバ(31)内に現れる第1の蒸気出口開口(350)とを備える第1の蒸気フローチューブ(35)と、第2の蒸気吸入オリフィス(34)に流体接続された第2の蒸気入口開口と前記内部チャンバ(31)内に現れる第2の蒸気出口開口(360)とを備える第2の蒸気フローチューブ(36)と、を備える蒸気放出路と、
を備え、
前記ケトル(2)が転倒し、前記グリップハンドル(8)と前記容器(4)の第1の側方側面とが水平な表面上に安定に静止しているとき、前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)は、前記内部容積(5)内の水位よりも上方に位置し、前記容器(4)の前記中心軸(A)を中心とし、第1のセクタ角(α1)が60°以下であり、二等分線が前記容器(4)の前記中心軸(A)を含む第1の垂直平面に含まれる第1の角度セクタ(S1)に配置されるように前記ケトル(2)は構成され、および、前記ケトル(2)が転倒し、前記グリップハンドル(8)と前記容器(4)の第2の側方側面が水平面上に安定に静止しているとき、前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)が前記内部容積(5)内の水位よりも上方に位置し、前記容器(4)の前記中心軸(A)を中心とし、第2のセクタ角(α2)が60°以下であり、二等分線が、前記容器(4)の前記中心軸(A)を含む第2の垂直平面(P2)に含まれる第2の角度セクタ(S2)内に配置されるように前記ケトル(2)は構成されることを特徴とする、ケトル(2)。
[構成2]
前記第1及び第2の蒸気吸入オリフィス(33、34)は、前記ケトル(2)の中央垂直平面(P)に対して対称に配置されるように構成されている、構成1に記載のケトル(2)。
[構成3]
前記第1及び第2の蒸気出口開口(350、360)が、前記ケトル(2)の前記中央垂直平面(P)の両側に配置されるように構成されている、構成1または2に記載のケトル(2)。
[構成4]
前記第1及び第2の蒸気吸入オリフィス(33、34)が、前記蓋(11)の前記下面(12)の前半分に配置されている、構成1から3のいずれか1項に記載のケトル(2)。
[構成5]
前記第1及び第2の蒸気出口開口(350、360)が、前記内部チャンバ(31)の後部に配置されている、構成1から4のいずれか1項に記載のケトル(2)。
[構成6]
前記第1及び第2の蒸気出口開口(350、360)が前記注ぎ口(9)から離れる方向に向くように構成されている、構成1から5のいずれか1項に記載のケトル(2)。
[構成7]
前記第1の蒸気フローチューブ(35)が、前記第1の蒸気吸入オリフィス(33)に流体接続された第1の一次チューブ部分(35.1)と、前記第1の一次チューブ部分(35.1)から延びる第2の一次チューブ部分(35.2)とを含み、前記第2の一次チューブ部分(35.2)は前記ケトル(2)の後部に向かって湾曲しており、前記第2の蒸気フローチューブ(36)は、前記第2の蒸気吸入オリフィス(34)に流体接続された第1の二次チューブ部分(36.1)と、前記第1の二次チューブ部分(36.1)から延びる第2の二次チューブ部分(36.2)と、を含み、前記第2の二次チューブ部分(36.2)は前記ケトル(2)の後部に向かって湾曲している、構成1から6のいずれか1項に記載のケトル(2)。
[構成8]
前記第1の一次チューブ部分(35.1)および前記第1の二次チューブ部分(36.1)が、前記ケトル(2)の前記中央垂直平面(P)に対して実質的に垂直である第1の延長平面および第2の延長平面にそれぞれ延びる、構成7に記載のケトル(2)。
[構成9]
前記蒸気放出路が、前記蓋(11)に設けられ、前記蓋(11)によって画定される前記内部チャンバ(31)に流体接続する少なくとも1つの蒸気放出開口(37)を含み、前記少なくとも1つの蒸気放出開口(37)が、前記内部チャンバ(31)に収容された前記蒸気を前記蓋(11)の外側、例えば前記ケトル(2)の外側に向けて放出できるように構成されている、構成1から8のいずれか1項に記載のケトル(2)。
[構成10]
バイメタル要素を含む電気機械制御装置を含み、前記少なくとも1つの蒸気放出開口(37)は、前記内部チャンバ(31)内に収容された前記蒸気を前記バイメタル要素に導くように構成されており、前記電気機械制御装置は、バイメタル要素上の蒸気流入がケトル加熱の停止をトリガするように構成されている、構成9に記載のケトル(2)。
[構成11]
前記蓋(11)を前記容器(4)に取り外し可能に固定するように構成された固定装置をさらに含む、構成1から10のいずれか1項に記載のケトル(2)。
[構成12]
前記蓋(11)は、前記内部容積(5)に含まれる水を前記注ぎ口(9)に向かって運ぶように構成された注ぎ通路(24)を含み、前記ケトル(2)は、閉鎖器(27)であって、前記閉鎖器(27)が前記注ぎ通路(24)を閉鎖し、前記注ぎ通路(24)を通る水の流れを阻止する閉位置と、前記閉鎖器(27)が前記注ぎ通路(24)を解放し、前記注ぎ通路(24)を通る水の流れを可能にする開放位置との間で、前記蓋(11)上に移動可能に取り付けられた閉鎖器(27)を備える、構成1から11のいずれか1項に記載のケトル(2)。
【外国語明細書】