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特開2024-74284乳酸菌及び乳酸菌を含有する免疫賦活用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074284
(43)【公開日】2024-05-30
(54)【発明の名称】乳酸菌及び乳酸菌を含有する免疫賦活用組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20240523BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20240523BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240523BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240523BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20240523BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240523BHJP
   A61K 35/74 20150101ALI20240523BHJP
   A61K 35/747 20150101ALI20240523BHJP
   C12N 5/0784 20100101ALN20240523BHJP
【FI】
C12N1/20 A
A23L33/135
A23L2/52
A23L2/00 F
C12N1/20 E
A61P43/00 107
A61P37/04
A61P31/12
A61K35/74 A
A61K35/747
C12N5/0784
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196053
(22)【出願日】2023-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2022185345
(32)【優先日】2022-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】592207809
【氏名又は名称】森川健康堂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088904
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100124453
【弁理士】
【氏名又は名称】資延 由利子
(74)【代理人】
【識別番号】100135208
【弁理士】
【氏名又は名称】大杉 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100183656
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100224786
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 卓之
(74)【代理人】
【識別番号】100225015
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 彩夏
(74)【代理人】
【識別番号】100231647
【弁理士】
【氏名又は名称】千種 美也子
(72)【発明者】
【氏名】許田 昌国
(72)【発明者】
【氏名】永松 剛
【テーマコード(参考)】
4B018
4B065
4B117
4C087
【Fターム(参考)】
4B018LB01
4B018LB03
4B018LB06
4B018LB07
4B018LB08
4B018MD86
4B018ME14
4B018MF04
4B018MF06
4B018MF14
4B065AA01X
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BA22
4B065CA41
4B065CA44
4B117LC04
4B117LK21
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC56
4C087MA52
4C087NA14
4C087ZB09
4C087ZB22
4C087ZB33
(57)【要約】
【課題】プラズマサイトイド樹状細胞活性化能を有する新規な乳酸菌株及び該乳酸菌株を含有する組成物の提供を目的とする。
【解決手段】植物等発酵エキスから分離した乳酸菌株をスクリーニングすることにより、プラズマサイトイド樹状細胞活性化能の高い新規乳酸菌株を見出した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
受託番号NITE P-03777を有する乳酸菌株。
【請求項2】
プラズマサイトイド樹状細胞活性化能を有する請求項1に記載の乳酸菌株。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の乳酸菌株を含有する組成物。
【請求項4】
免疫賦活用組成物である、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
飲食品又は医薬品である、請求項3又は4に記載の組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の乳酸菌株を用いることを特徴とする、プラズマサイトイド樹状細胞の活性化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レビラクトバチルス ブレビス(Levilactobacillus brevis)乳酸菌株、及び該乳酸菌株を含有する組成物に関する。さらには、該乳酸菌株を用いることを特徴とするプラズマサイトイド樹状細胞の活性化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
細菌やウイルスが体内に侵入すると免疫細胞が反応してこれら体内に侵入した細菌やウイルスを攻撃する。免疫反応は、まず自然免疫、ついで獲得免疫という2段階で働く。自然免疫系の細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞・樹状細胞に大別することができ、中でも樹状細胞は強力かつ重要な構成細胞である。樹状細胞は、ミエロイド系樹状細胞(myeloid dendritic cell;mDC)、CD8陽性樹状細胞(CD8dendritic cell;CD8DC)及びプラズマサイトイド樹状細胞(plasmacytoid dendritic cell;pDC)に大別することができる。このなかでとりわけ、pDCは、体内におけるI型インターフェロン(type I interferon)の主要な産生細胞であり、抗ウイルス・細菌の生体防御において極めて重要な役割を持っている。I型インターフェロンの代表的なものとしてインターフェロン(IFN)-α及びインターフェロン(IFN)-βがある。生体防御、特に抗ウイルス・細菌感染防御の観点から、pDCは最も重要な細胞であると考えられる。以後、インターフェロンをIFNということがある。
【0003】
pDCを活性化する乳酸菌としてラクトコッカス ラクティス サブスピーシーズ ラクティス(Lactococcus lactis subsp. Lactis)(特許文献1)、エンテロコッカス フェカリス(Enterococcus faecalis)(特許文献2)が報告されている。これらの乳酸菌はいずれも乳酸球菌であり、特許文献1では、pDCを活性化してIFN-α産生誘導を行う活性は球菌に特徴的な性質であることが示唆されたことを報告しており、桿菌にはpDCを活性化してIFN-α産生誘導を行う活性がないことが示唆されている。また、ラクトフェリンがpDCを活性化することが知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-073314号公報
【特許文献2】特許第6999061号公報
【特許文献3】国際公開第2022/172523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、プラズマサイトイド樹状細胞活性化能を有する新規な乳酸菌株及び該乳酸菌株を含有する組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、植物等発酵エキスから分離した乳酸菌株をスクリーニングすることにより、プラズマサイトイド樹状細胞活性化能の高い新規乳酸菌株を見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0008】
1.受託番号NITE P-03777を有する乳酸菌株。
2.プラズマサイトイド樹状細胞活性化能を有する前項1に記載の乳酸菌株。
3.前項1又は2に記載の乳酸菌株を含有する組成物。
4.免疫賦活用組成物である、前項3に記載の組成物。
5.飲食品又は医薬品である、前項3又は4に記載の組成物。
6.前項1に記載の乳酸菌株を用いることを特徴とする、プラズマサイトイド樹状細胞の活性化方法。
7.前記乳酸菌株の菌株、乳酸菌処理物又はそれらの混合物を含有する、前項3~5のいずれかに記載の組成物。
8.乳酸菌処理物が、乳酸菌由来の核酸である、前項7に記載の組成物。
9.乳酸菌由来の核酸がDNAである、前項8に記載の組成物。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、プラズマサイトイド樹状細胞活性化能を有する新規なレビラクトバチルス ブレビス乳酸菌株及び該乳酸菌株を有する組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明のレビラクトバチルス ブレビス(Levilactobacillus brevis)乳酸菌株(以下、「本発明の乳酸菌株」と称する場合がある。)は、植物等発酵エキスの発酵期間中に該植物等発酵エキスから分離された新規乳酸菌株であり、識別の表示MK-001、受託番号NITE P-03777として、受託日2022年10月24日付で、日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8所在の独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センターに寄託されたものである。Levilactobacillus brevisは、2020年にZhengらによりLactobacillus brevisから移行された属である。
【0012】
本発明の乳酸菌株は、後述する実施例より、pDC活性化によるIFN産生誘導能を有することを確認した。IFN産生誘導とは、in vitro及びin vivoでIFNの産生を誘導することを含む。本発明において「プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の活性化」とは、レビラクトバチルス ブレビス乳酸菌株が、pDC活性化によるIFN-αの産生量を増加させることを意味する。pDCの活性化は、本発明の乳酸菌株をpDCに添加して培養することでpDCの活性化マーカーであるIFN-αを測定することにより検定できる。乳酸菌を含まない対照と比較してIFN-αが上昇した場合、pDCが活性化されたと判断することができる。検定で用いるpDCとしては、骨髄細胞由来のプラズマサイトイド樹状細胞を使用してもよい。骨髄細胞由来のプラズマサイトイド樹状細胞としては、Flt3-Ligand(FMS-related tyrosine kinase 3 ligand)の存在下で骨髄細胞(例えば、ヒト由来、マウス等の非ヒト動物由来であってもよく、特に限定されない。)を培養することで誘導されるプラズマサイトイド樹状細胞を含む細胞群が例示できる。Flt3-Ligandの添加量は、特に限定されないが、例えば、骨髄細胞濃度5×10個/mLの細胞培養培地に対し、Flt3-Ligand(例えば、ヒト由来、マウス等の非ヒト動物由来であってもよく、特に限定されない。)を0.1ng/mL~1000ng/mL、10ng/mL~500ng/mL、50ng/mL~200ng/mLであってもよい。
【0013】
本発明の乳酸菌株の取得方法は、植物等発酵エキスから得たサンプルを乳酸菌培養培地で培養する工程を含む。植物等発酵エキスとは、植物等を発酵させて得られる液体である。「植物等」とは、例えば、黒糖、葉菜類、花菜類、茎菜類、果菜類、根菜類、イモ類、かんきつ、果実、ナッツ類、海草類、きのこ類、豆類、穀類、ハーブ及び野草等が挙げられる。植物等発酵エキスを得るために発酵させる植物等は1種でも2種以上の組み合わせであってもよい。2種以上の組み合わせである場合の植物等の配合比率は特に限定されない。前記植物等に付着している微生物により発酵を行うことが望ましい。発酵温度は、20℃~40℃が好ましい。また発酵期間は、特に限定されず、適宜選択できるが、0.5~24ケ月が好ましい。
【0014】
葉菜類として、キャベツ、たまねぎ、白菜、レタス、チシャ、ほうれん草、小松菜、大根葉、チンゲン菜、セロリ、春菊、ニラ、パセリ、ねぎ、シソ、モロヘイヤ、にんにく等が例示できる。花菜類として、ブロッコリー、カリフラワー等が例示できる。茎菜類として、アスパラガス、たけのこ、ウド等が例示できる。果菜類として、なす、ピーマン、メロン、トマト、オクラ、かぼちゃ、きゅうり、すいか、瓜、ゴーヤ等が例示できる。根菜類として、大根、人参、パースニップ、ごぼう、れんこん、かぶ等が例示できる。イモ類として、さつまいも、里芋、長芋等が例示できる。かんきつとして、オレンジ、みかん、レモン等が例示できる。果実として、キウイ、ぶどう、パパイヤ、マンゴー、いちご、りんご、パインアップル、バナナ等が例示できる。ナッツ類として、くるみ、カシューナッツ、アーモンド等が例示できる。海草類として、昆布、ひじき、わかめ、のり等が例示できる。きのこ類として、えのき茸、椎茸、しめじ、まいたけ等が例示できる。豆類として、小豆、いんげん豆等が例示できる。穀類として、ごま、玄米、黒米、赤米、大麦、茶等が例示できる。ハーブとして、バジル、タラゴン、タイム、ローズマリー等が例示できる。野草として、はぶ草、熊笹、かんぞう、桂皮、ハッカ、ジュウヤク、ショウキョウ、ウイキョウ、びわの葉、御種にんじん、チョウジ、ナツメ、またたびの実、木通子、いちじく、モッカ、霊芝、ハトムギ、すぎな、よもぎ、シャゼンソウ、ハコベ、うこん、くこの実等が例示できる。
【0015】
本発明の乳酸菌株の培養方法は、公知の培地を用いた公知の方法で行うことができる。乳酸菌培養培地は、特に限定されず、公知の液体及び/又は固形培地等を利用できる。例えば、糖、ペプトン、酵母エキス等の成分に適宜無機塩類、ビタミン、アミノ酸等を添加した培地が挙げられ、例えば、MRS培地、GYP培地等を用いることができる。培養温度は、特に限定されないが、乳酸菌の生育の観点から20℃~40℃が好ましい。培養時間は、10時間~3日間が好ましい。
【0016】
本発明の組成物は、レビラクトバチルス ブレビス乳酸菌株を各種形態で含有する。本発明の組成物に含有される乳酸菌株の形態としては、菌株、乳酸菌処理物又はそれらの混合物が挙げられる。本発明における菌株は、生菌体であっても死菌体であってもよい。本発明における乳酸菌処理物は、乳酸菌に対して一以上の処理を行ったものであれば特に限定されず、例えば、乳酸菌の培養工程(乳酸菌の培養により得られた培養液)、濃縮処理工程(例えば、膜ろ過、遠心分離等)、殺菌処理工程(例えば、加熱、紫外線照射、酸処理等)、洗浄工程(例えば、水等による乳酸菌の洗浄等)、酵素処理工程、抽出処理工程(例えば、RNA、DNA等の核酸抽出等)、乾燥処理工程(例えば、凍結乾燥、噴霧乾燥等)等の一以上の処理工程を行ったものが例示される。これら処理工程を単独または2以上組み合わせてもよい。本発明における乳酸菌処理物として、好ましくは乳酸菌の培養により得られた培養液を加熱による殺菌処理工程、遠心分離又は膜ろ過等による濃縮処理工程、及び凍結乾燥又は噴霧乾燥の乾燥処理工程を行ったものが例示される。本発明における乳酸菌処理物の別の好ましい形態として、乳酸菌の培養により得られた培養液を遠心分離又は膜ろ過等による濃縮処理工程、加熱による殺菌処理工程及び凍結乾燥又は噴霧乾燥による乾燥処理工程を行ったものが例示される。本発明における乳酸菌処理物のさらに別の好ましい形態としては、乳酸菌由来の核酸(例えば、DNA、RNA又はそれらの混合物等が挙げられ、好ましくはDNA)が例示できる。乳酸菌由来の核酸は、例えば、核酸を含む画分であってもよく、精製工程、凍結乾燥、噴霧乾燥等による乾燥処理工程を行ったものであってもよい。
【0017】
本発明の乳酸菌株を含有する組成物は、生体のpDCを活性化し、IFNの産生を誘導し、免疫活性を高める効果を奏するため、インターフェロン産生促進用組成物、免疫賦活用組成物、免疫増強用組成物として有用であり、飲食品又は医薬品として用いることができる。
【0018】
本発明の乳酸菌株は、単独形態で又は2種以上の形態を組み合わせて用いることができる。本発明の組成物における本発明の乳酸菌株の総含有量は、特に限定はないが、通常、0.00001~99.9質量%であり、0.0001~50質量%が好ましく、0.001~40質量%がより好ましい。あるいは、菌体数として、特に限定はないが、1.0×10~1.0×1015個/gの範囲内であることが好ましく、1.0×10~1.0×1012個/gの範囲内であることがより好ましい。上記「個/g」は生菌では「CFU/g」と表すことができる。なお、本発明の乳酸菌株は、他の乳酸菌株と組み合わせて用いてもよい。本発明の組成物の対象は、特に限定されないが、好ましくは動物(ヒト、非ヒト動物を含む)であり、より好ましくはヒトである。本発明の組成物の投与量、投与頻度、投与期間は、投与対象の種類や状態等に応じて適宜設定できる。
【0019】
本発明の組成物の製造方法は、レビラクトバチルス ブレビス乳酸菌株を含有させる工程を含み、含有させる方法は組成物の形態等に応じて食品分野や製剤分野等において公知の方法に従って、調製することができる。レビラクトバチルス ブレビス乳酸菌株を含有させる工程は、該乳酸菌株を含有させることができれば特に限定されないが、例えば、該乳酸菌株を配合する工程としてもよい。
【0020】
本発明の組成物の形態としては、乳酸菌を体内に摂取することができる形態であれば特に限定されないが、飲食品として供することができる。飲食品の具体的形態としては、例えば、飲料類、ゼリー飲料、菓子、キャンディ、ガム、パン、畜肉製品、乳、乳製品、レトルト食品、即席食品、冷凍食品、ゼリー、ペースト、養蜂産品、漬物、調味料、発酵食品、食品素材等を挙げることができる。本発明における飲食品は、乳酸菌株の効果発揮の観点から、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、栄養機能食品、栄養補助食品、サプリメント等としても有用である。飲食品の形状は、特に限定されないが、サプリメント等として摂取可能な顆粒、粉末、散剤、速崩錠、錠剤(タブレット)、カプセル、チュアブル錠、シロップ、液剤等を挙げることができる。
【0021】
本発明の組成物は、飲食品として本発明の乳酸菌株の他に各種成分を添加することができる。各種成分としては、例えば、飲食品原材料、糖、脂質、乳化剤、増粘剤、調味料、香料、酸味調整剤、保存料、果汁、香料、各種栄養成分等が挙げられ、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。また、各種成分は単独で用いてもよいし、二種以上を混合して用いてもよい。糖としては、蔗糖、異性化糖、グルコース、フラクトース、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース等を例示することができる。乳化剤としては、蔗糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等を例示することができる。増粘剤としてはカラギーナン、アラビアガム、キサンタンガム、グァーガム、ペクチン、ローカストビーンガム増粘剤澱粉、ジェランガム等を例示することができる。酸味調整剤としては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、グルコン酸、酒石酸等を例示することができる。保存料としては、安息香酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、パラベン、亜硫酸ナトリウム、ペクチン分解物、グリシン等を例示することができる。果汁としては、トマト果汁、梅果汁、リンゴ果汁、レモン果汁、オレンジ果汁、ベリー系果汁等を例示することができる。香料としては、ハーブ、スパイス等の香辛料、フルーツ系香料、バニラ等の香料等を例示することができる。この他、好ましい他の栄養成分として、例えばビタミンD等のビタミン類や例えばカルシウム、マグネシウム、鉄、マンガン、亜鉛等のミネラル類等が挙げられる。
【0022】
本発明の組成物は、医薬品として供することができる。剤形は、特に限定されず、例えば、粉末、顆粒、錠剤、カプセル剤、シロップ、注射剤、点滴剤、散剤、懸濁剤等が挙げられる。本発明の医薬品の投与方法は、特に限定されず、経口、静注、筋注、皮下投与、直腸投与、経皮投与等が挙げられ、経口投与が好ましい。投与量は、投与する患者の年齢、体重、性別、疾患の相違、症状の程度により適宜決定することができ、1日1回又は数回に分けて投与してもよい。
【0023】
本発明の組成物は、医薬品として本発明の乳酸菌株の他に必要に応じて医薬用に許容される担体(医薬用担体)を含む医薬組成物として供することができる。このような医薬組成物は免疫賦活化剤として利用することができる。医薬用担体は、製剤の使用形態に応じて通常使用される、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤及び賦形剤等を例示できる。これらは得られる製剤の投与形態に応じて適宜選択して使用される。より具体的には、水、医薬的に許容される有機溶剤、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルスターチナトリウム、ペクチン、キサンタンガム、アラビアゴム、カゼイン、ゼラチン、寒天、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン、マンニトール、ソルビトール、ラクトース等を例示できる。これらは、目的とする薬剤の剤形に応じて適宜1種類又は2種類以上を組み合わせて使用される。そのほか、安定化剤、殺菌剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、界面活性剤、及びpH調整剤等を適宜使用することもできる。安定化剤は、例えばヒト血清アルブミンや通常のL-アミノ酸、糖類、セルロース誘導体等を例示できる。L-アミノ酸は、特に限定はなく、例えばグリシン、システイン、グルタミン酸等のいずれでもよい。糖類も特に限定はなく、例えばグルコース、マンノース、ガラクトース、果糖等の単糖類、マンニトール、イノシトール、キシリトール等の糖アルコール、ショ糖、マルトース、乳糖等の二糖類、デキストラン、ヒドロキシプロピルスターチ、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等の多糖類等及びそれらの誘導体等のいずれでもよい。セルロース誘導体も特に限定はなく、例えばメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のいずれでもよい。界面活性剤も特に限定はなく、イオン性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤のいずれも使用できる。界面活性剤には、例えばポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル系、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系、ソルビタンモノアシルエステル系、脂肪酸グリセリド系等が包含される。緩衝剤は、ホウ酸、リン酸、酢酸、クエン酸、E-アミノカプロン酸、グルタミン酸及び/又はそれらに対応する塩(例えばそれらのナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩)等を例示できる。等張化剤は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、糖類、グリセリン等を例示できる。キレート剤は、例えばエデト酸ナトリウム、クエン酸等を例示できる。
【0024】
本発明の乳酸菌株及び該乳酸菌株を含有する組成物は、pDCの活性化によって良好な免疫賦活効果を有するため、投与対象に免疫機能の改善をもたらし得る。すなわち、本発明の組成物は、免疫賦活用組成物、インターフェロン産生促進用組成物として有用である。さらに、例えば、本発明の免疫賦活用組成物は、ウイルスの感染を防御し、ウイルス感染症を治療し得ることにより、ウイルス感染の予防及び/又は治療用組成物とすることができる。
【0025】
本発明のプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の活性化方法は、本発明の乳酸菌株を用いることを特徴とする。本発明のpDCの活性化方法は、例えば、本発明の乳酸菌株又は本発明の組成物を対象に投与する工程を含む。また、別の態様として、本発明のpDCの活性化方法は、例えば、本発明の乳酸菌株又は本発明の組成物の存在下でpDCを培養する工程を含む。培養方法は、公知の方法や今後開発されるあらゆる方法を適用することができ、例えば、本発明の乳酸菌株又は本発明の組成物の存在下で、pDCを35℃~39℃、好ましくは37℃で1時間~72時間、好ましくは6時間~48時間、より好ましくは12時間~36時間培養する工程を含んでもよい。培養工程において、本発明の乳酸菌株又は本発明の組成物を、例えば、乳酸菌株の乾燥重量換算又はDNA量換算で最終濃度0.1~1000μg/ml、好ましくは1~100μg/ml、より好ましくは5~50μg/mlで培地に添加してもよい。
【実施例0026】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【実施例0027】
<植物等発酵エキスの調製>
黒糖及び以下に示す植物等を樽に仕込み、25℃で発酵を行い、発酵開始し、植物等発酵エキスを調製した。発酵に用いた植物等はキャベツ、たまねぎ、白菜、レタス、チシャ、ほうれん草、小松菜、大根葉、チンゲン菜、セロリ、春菊、ニラ、パセリ、ねぎ、シソ、モロヘイヤ、にんにく、ブロッコリー、カリフラワー、アスパラガス、たけのこ、ウド、なす、ピーマン、メロン、トマト、オクラ、かぼちゃ、きゅうり、すいか、瓜、ゴーヤ、大根、人参、パースニップ、ごぼう、れんこん、かぶ、さつまいも、里芋、長芋、オレンジ、みかん、レモン、キウイ、ぶどう、パパイヤ、マンゴー、いちご、りんご、パインアップル、バナナ、くるみ、カシューナッツ、アーモンド、昆布、ひじき、わかめ、のり、えのき茸、椎茸、しめじ、まいたけ、小豆、いんげん豆、ごま、玄米、黒米、赤米、大麦、茶、バジル、タラゴン、タイム、ローズマリー、はぶ草、熊笹、かんぞう、桂皮、ハッカ、ジュウヤク、ショウキョウ、ウイキョウ、びわの葉、御種にんじん、チョウジ、ナツメ、またたびの実、木通子、いちじく、モッカ、霊芝、ハトムギ、すぎな、よもぎ、シャゼンソウ、ハコベ、うこん及び、くこの実であり、泥が付着しているものは水洗いをし、裁断を行って仕込みを行った。また、水、微生物は添加せず、植物等の表面に付着している微生物により発酵を行った。
【実施例0028】
<試験用乳酸菌の分離>
実施例1の植物等発酵エキスから定期的にサンプリングを行い、乳酸菌の分離を行った。乳酸菌の分離は、植物等発酵エキスからサンプリングしたサンプリング液を滅菌水で適宜希釈を行い、BCP加プレートカウントアガール(日水製薬株式会社)またはMRSブロス(OXOID社)に1.5%になるように寒天を加えたMRS寒天培地に塗布を行い、35℃で培養を行った。なお、BCP加プレートカウントアガールは好気条件でMRS寒天培地は嫌気条件下で培養を行った。BCP加プレートカウントアガール、MRS寒天培地で生育したコロニーを釣り上げ、MRSブロスに植菌を行い、35℃で24時間静置培養を行った。培養後、遠心分離を行い、沈殿の菌体に滅菌水を添加して菌体の洗浄を行った。洗浄した菌体を沸騰水中に30分放置し、死菌としたのち凍結乾燥を行い、凍結乾燥死菌体を得た。
【実施例0029】
<乳酸菌株のスクリーニング>
実施例2で調製した凍結乾燥死菌体をプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)に添加することにより、pDC活性化によるIFN-α産生誘導能により評価を行った。
【0030】
<実験方法>
C57BL/6(8-10週齢、雌のマウス)の大腿骨、脛骨を採取し、注射筒・注射針を用いてフラッシュアウト法により骨髄細胞を採取した。次にRBC Lysis Buffer(PluriSelect Life Science)を用いて赤血球の除去後、遠心(350×g、10min、室温)を行い、沈殿を25mM HEPESを含有するRPMI-1640培地(SIGMA)に10%FBS(SIGMA)、50μMβ-メルカプトエタノール(GIBCO)、1mMピルビン酸ナトリウムになるように添加した培地で洗浄し、70μMセルストレーナーでろ過を行った。
25mM HEPESを含有するRPMI-1640培地に10%FBS(SIGMA)、50μMβ-メルカプトエタノール、1mMピルビン酸ナトリウム、100ng/ml Flt-3Ligand(R&D Systems)になるように添加した培地で5×10個/mlになるように細胞を再懸濁させ、24穴マルチウェルプレートに0.5ml播種を行い、5%CO、37℃で7日間培養を行った。7日間の培養終了後、新しい10%FCS、50μMβ-メルカプトエタノール、1mMピルビン酸ナトリウム、25mM HEPESを含有するRPMI-1640培地に交換した後に被験物質を添加し、5%CO、37℃で24時間培養を行い、培養上清を回収した。Mouse IFN-α ELISA Kit(PBL Assay Science)を用いて、ELISA法により、各培養上清中のIFN-α産生量を測定した。なお、被験物質は、実施例1で調製した乳酸菌凍結乾燥死菌体をPBSで溶解し、被験物質添加後の最終濃度が33μg/mlになるように添加した。被験物質に代えてPBSを添加したものを対照とした。上記培地成分のうち、「Flt-3Ligand」は、骨髄細胞をプラズマサイトイド樹状細胞に誘導するためのサイトカインである。
【0031】
<結果>
植物等発酵エキスから分離した乳酸菌株14株の培養上清とPBSについてMouse IFN-α ELISA Kitを用いて測定した450nmにおける吸光度を以下の表1に示す。スクリーニングした14株のうち、No.10株が450nmにおける吸光度が特に高く、IFN-αを高度に産生していることが明らかとなり、No.10株の高いIFN-α産生誘導活性が確認された。この結果より、No.10株が、pDC活性化によるIFN-α産生誘導能を有し、良好な免疫賦活作用を有することが確認できた。
【0032】
【表1】
【実施例0033】
<No.10株の同定>
実施例3において高いpDC活性化によるIFN-α産生誘導能が確認されたNo.10株について、菌学的性質の評価、塩基配列の解析、及び炭素源資化性の評価を行った。
【0034】
<菌学的性質の評価>
No.10株の菌学的性質を評価した結果を以下の表2に示す。菌学的性質の観点から、No.10株は乳酸菌と推定された。
【0035】
【表2】
【0036】
<塩基配列の解析>
No.10株について塩基配列の解析を行った。塩基配列の解析条件を以下に示す。
<塩基配列の解析条件>
対象:16S rRNA領域のDNA(上流側約500 bp)
機器:ABI PRISM 310 Genetic Analyzer (Life Technologies Corporation)
データベース:国際塩基配列データーベース(DDGJ/EMBL/GENBank)、MicroSeq ID Analysis Software(Life Technologies Corporation)
解析手法:相同性検索
塩基配列の解析の結果、No.10株はLevilactobacillus brevisと推定された。
なお、同様に同定を行ったところ、No.1株はレンティラクトバチルス ディオリボランス(Lentilactobacillus diolivorans)、No.3株はレンティラクトバチルス パラブケネリイ(Lentilactobacillus parabuchneri)、No.7株はリジラクトバチルス アシディフィジシス(Ligilactobacillus acidipiscis)と同定され、その他のNo.2株、No.4株、No.5株、No.6株、No.8株、No.9株、No.11株、No.12株、No.13株、No.14株は、いずれもレビラクトバチルス ブレビス(Levilactobacillus brevis)と同定された。同じレビラクトバチルス ブレビス(Levilactobacillus brevis)であってもpDCを活性化出来るものと、出来ないものが存在した。
【実施例0037】
<炭素源資化性の評価>
No.10株について炭素源の資化性の評価を行った。炭素源の資化性の評価は、ビオメリュー・ジャパン株式会社のアピ50CHL培地及びアピ50CHプレートを用いて行った。35℃で48時間後の炭素源の資化性を以下の表3に示す。
【0038】
【表3】
「+」は資化できたこと、「-」は資化できなかったこと、「V」は判定不能を示している。
【0039】
前記、炭素源の資化性を基にAPIWEB(ビオメリュー・ジャパン株式会社)で解析を行うとNo.10株は、Levilactobacillus brevisと推定された。
【0040】
No.10株は、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジーセンター 特許微生物寄託センターに寄託を行い、受託番号NITE P-03777として受託された。
【実施例0041】
<IFN-αの産生量の評価>
No.10株と、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を活性化しIFN-αを産生するものとして知られているCpGとについて、pDC活性化によるIFN-αの産生量の比較を行った。
<No.10株の培養>
No.10株をMRSブロス(OXOID社)に1.5%になるように寒天を加えたMRS寒天培地に塗布を行い、35℃で嫌気培養を行った。MRS寒天培地で生育したNo.10株をMRSブロスに植菌を行い、35℃で24時間静置培養を行った。培養後、遠心分離を行い、沈殿の菌体に滅菌水を添加して菌体の洗浄を行った。洗浄した菌体を沸騰水中に30分放置し、死菌としたのち凍結乾燥を行い、凍結乾燥死菌体を得た。
【0042】
<測定方法>
C57BL/6(8-10週齢、雌のマウス)の大腿骨、脛骨を分離し、注射筒・注射針を用いてフラッシュアウトした。次にRBC Lysis Buffer(PluriSelect Life Science)を用いて赤血球の除去後、遠心(350×g、10min、室温)を行い、沈殿を10%FCS、50μMβ-メルカプトエタノール(GIBCO)、1mMピルビン酸ナトリウム、25mM HEPESを含有するRPMI-1640培地(SIGMA)で洗浄し、70μMセルストレーナーでろ過を行った。
10%FBS(SIGMA)、50μMβ-メルカプトエタノール、1mMピルビン酸ナトリウム、100ng/ml Flt-3Ligand(Mouse、Recombinant)(R&D Systems)、25mM HEPESを含有するRPMI-1640培地で5×10個/mlになるように細胞を再懸濁させ、24穴マルチウェルプレートに0.5ml播種を行い、5% CO、37℃で7日間培養を行った。7日間の培養終了後、新しい10%FCS、50μMβ-メルカプトエタノール、1mMピルビン酸ナトリウム、25mM HEPESを含有するRPMI-1640培地に交換した後に被験物質を添加し、5%CO、37℃で24時間培養を行い、上清を回収してMouse IFN-α ELISA Kit(PBL Assay Science)を用いて450nmでの吸光度を測定し、測定値を比較した。
なお、被験物質は、実施例6で調製したNo.10株の凍結乾燥死菌体をPBSで溶解し、被験物質添加後の最終濃度が10μg/mlになるように添加した。同様にCpG(ODN 1584、InvivoGen社製)は、最終濃度が0.05μMとなるように添加した。
【0043】
<結果>
No.10株とCpGとのIFN-αの産生量の比較結果を以下の表4に示す。No.10株(10μg/ml)の力価は、CpG(0.05μM)と同程度であった。
【0044】
【表4】
【実施例0045】
<No.10株DNA及びRNAの活性評価>
pDCの活性本体としてDNAやRNAが知られている。そこで、No.10株からDNA及びRNAを抽出して、DNA及びRNAについてpDC活性化によるIFN-αの産生量の比較を行った。
【0046】
<No.10株の菌体の調製>
No.10株をMRSブロス(OXOID社)に1.5%になるように寒天を加えたMRS寒天培地に塗布を行い、35℃で嫌気培養を行った。MRS寒天培地で生育したNo.10株をMRSブロスに植菌を行い、35℃で24時間静置培養を行った。培養後、遠心分離を行い、沈殿の菌体に滅菌水を添加・遠心分離により菌体の洗浄を行い、No.10株の菌体のペレットを得た。
【0047】
<No.10株からのDNAの調製>
ZYMO RESEARCH社のQuick DNA Fungal/Bacterial Miniprep Kitを用いてDNAの調製を行った。具体的には以下のように操作を行った。50mg(湿重量)の菌をBashingBead Buffer 750μlに溶解し、ZR BashingBead Lysis Tubeに添加し、vortexにより破砕した。遠心機で10,000×gで1分間遠心分離した。Collection Tube内のZymo-SpinIII-Fフィルターに最大400μlの上清を移し、8,000×gで1分間遠心分離した。上記のCollection Tubeのろ液に1,200μlのGemomic Lysis Bufferを加えた。上記の混合液800μlをコレクションチューブ内のZymo-SpinIICカラムに移し、10,000×gで1分間遠心分離した。Collection Tube内のフロースルーを廃棄し、上記作業を繰り返した。新しいCollection TubeにZymo-SpinIICカラムを移し、200μlのDNA Pre-Wash Bufferを加え、10,000×gで1分間遠心分離した。500μlのg-DNA洗浄バッファーをZymo-SpinIICカラムに加え、10,000×gで1分間遠心分離した。Zymo-SpinIICカラムを新しい1.5mlマイクロ遠心チューブに移し、100μlのNuclease-Free水をカラムマトリックスに直接加えた。10,000×gで1分間遠心分離してDNAを溶出させた。
【0048】
<No.10株からのtotal RNAの調製>
QIAGEN社のRNeasy Mini Kitを用いてtotal RNAの調製を行った。具体的には以下のように操作を行った。50mg(湿重量)の菌をBuffer RLT 600μl中で溶解した。ライセートをQIAshredderスピンカラムに添加して15,000×gで2分間遠心した。ろ液に同量の70%エタノールを添加し、ピペッティングによりよく混和した。サンプルをRNeasyスピンカラムにアプライし、8,000×gで15秒間遠心し、ろ液を捨てた。350μlのBuffer RWIを加え、8,000×gで15秒間遠心し、ろ液を捨てた。10μlのDNase Iを70μlのBuffer RDDに加え、チューブを静かに反転させて混合した。上記のDNase Iインキュべーションミックス80μlをRNeasyスピンカラムメンブレンに直接加え、室温で15分間静置した。350μlのBuffer RWIを加え、8,000×gで15秒間遠心し、ろ液を捨てた。500μlのBuffer RPEをRNeasyスピンカラムに添加し、8,000×gで15秒間遠心し、ろ液を捨てた。500μlのBuffer RPEをRNeasyスピンカラムに添加し、8,000×gで2分間遠心した。RNeasyスピンカラムを新しい2mlコレクションチューブに移し、15,000×gで1分間遠心した。50μlのRNaseフリー水をRNaseスピンカラムに添加し、8,000×gで15分間遠心してRNAを溶出した。上記のtotal RNA調製工程を繰り返し、total RNAを調製した。
【0049】
No.10株から調製したDNA及びtotal RNAについて、実施例6の<測定方法>と同様の方法で、IFN-αの産生量を評価した。ただし、被験物質として被験物質添加後の最終濃度がそれぞれ10μg/mlになるようにDNA及びtotal RNAを添加した。
【0050】
<結果>
No.10株から調製したDNA及びtotal RNAのIFN-αの産生量の比較結果を以下の表5に示す。表5より、被験物質としてDNAを用いた場合に高いIFN-α産生量を示し、No.10株の活性本体はDNAであると考えられる。
【0051】
【表5】
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の組成物は、免疫賦活用組成物、インターフェロン産生促進用組成物として有用であり、さらに、ウイルス等の感染を防御し、ウイルス感染症を治療する効果が期待できる。