(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074305
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】情報処理装置、方法、プログラム、およびシステム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/00 20180101AFI20240524BHJP
【FI】
G16H50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185356
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000055
【氏名又は名称】アサヒグループホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002815
【氏名又は名称】IPTech弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】三好 美穂
(72)【発明者】
【氏名】菅原 智詞
(72)【発明者】
【氏名】峯 諒子
(72)【発明者】
【氏名】松澤 優衣
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】様々なPMS症状に対して適したアドバイスを提案可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、ユーザの能動的入力に基づく第1情報を取得する手段、ユーザの身体の生理現象または動きの少なくとも1つによって変化する物理量に対するセンシングに基づく第2情報を取得する手段、第1情報および第2情報に基づいて、ユーザのPMS(Premenstrual Syndrome)症状を推定する手段、ユーザのPMS症状の推定結果に基づいて、当該ユーザに提示するアドバイスを決定する手段、として機能させる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
ユーザの能動的入力に基づく第1情報を取得する手段、
前記ユーザの身体の生理現象または動きの少なくとも1つによって変化する物理量に対するセンシングに基づく第2情報を取得する手段、
前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記ユーザのPMS(Premenstrual Syndrome)症状を推定する手段、
前記ユーザのPMS症状の推定結果に基づいて、当該ユーザに提示するアドバイスを決定する手段、
として機能させる、プログラム。
【請求項2】
前記PMS症状を推定する手段は、少なくとも前記第2情報に基づいて前記PMS症状の候補を少なくとも1つ推定し、前記ユーザからの当該候補の妥当性に対する回答に相当する前記第1情報に応じて前記ユーザのPMS症状を特定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記アドバイスを決定する手段は、前記ユーザに過去に提示されたアドバイスに対する当該ユーザの実践状況または実践後の調子の変化に関する前記第1情報にさらに基づいて、当該ユーザに提示するアドバイスを決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項4】
前記アドバイスは、機能性素材に関する情報を含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項5】
前記機能性素材に関する情報は、ラクトバチルスに属する乳酸菌に関する情報を含む、
請求項4に記載のプログラム。
【請求項6】
前記第2情報は、前記ユーザの生体情報、または前記ユーザの活動情報、のうち少なくとも1つを含む、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項7】
前記第2情報は、前記ユーザの睡眠時における心拍数、もしくは酸素飽和度、または前記ユーザの睡眠中の動作の少なくとも1つに関する情報を含む、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項8】
前記第2情報は、前記ユーザの睡眠時における心拍に関する情報を含む、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項9】
前記第2情報は、前記ユーザの自律神経の活動、身体活動量、または睡眠の少なくとも1つに関する情報を含む、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項10】
前記第2情報は、前記ユーザのPMS時期における生体情報または活動情報のうち少なくとも1つと、前記ユーザのPMS時期以外の時期における生体情報または活動情報のうち少なくとも1つとを含む、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項11】
前記PMS症状を推定する手段は、前記第2情報に基づいて、前記ユーザの身体活動、睡眠、またはストレスの少なくとも1つを評価し、当該評価の結果に基づいて前記ユーザのPMS症状を推定する、
請求項6に記載のプログラム。
【請求項12】
前記アドバイスを決定する手段は、前記ユーザの心拍数、または身体活動量のうち少なくとも1つに関する前記第2情報にさらに基づいて、当該ユーザに提示するアドバイスを決定する、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項13】
前記コンピュータを、前記ユーザの卵胞期および黄体期それぞれの安静時心拍数に関する前記第2情報に基づいて、当該ユーザの月経またはPMS時期の少なくとも1つを推定する手段、としてさらに機能させる、
請求項1に記載のプログラム。
【請求項14】
前記コンピュータを、推定した前記ユーザの月経またはPMS時期の少なくとも1つの到来を当該ユーザに通知する手段、としてさらに機能させる、
請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
ユーザの能動的入力に基づく第1情報を取得する手段と、
前記ユーザの身体の生理現象または動きの少なくとも1つによって変化する物理量に対するセンシングに基づく第2情報を取得する手段と、
前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記ユーザのPMS(Premenstrual Syndrome)症状を推定する手段と、
前記ユーザのPMS症状の推定結果に基づいて、当該ユーザに提示するアドバイスを決定する手段と、
を具備する情報処理装置。
【請求項16】
コンピュータが、
ユーザの能動的入力に基づく第1情報を取得するステップと、
前記ユーザの身体の生理現象または動きの少なくとも1つによって変化する物理量に対するセンシングに基づく第2情報を取得するステップと、
前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記ユーザのPMS(Premenstrual Syndrome)症状を推定するステップと、
前記ユーザのPMS症状の推定結果に基づいて、当該ユーザに提示するアドバイスを決定するステップと
を実行する方法。
【請求項17】
第1コンピュータと第2コンピュータとを具備するシステムであって、
前記第1コンピュータは、
ユーザの能動的入力に基づく第1情報を取得する手段と、
前記ユーザの身体の生理現象または動きの少なくとも1つによって変化する物理量に対するセンシングに基づく第2情報を取得する手段と、
前記第1情報および前記第2情報に基づいて、前記ユーザのPMS(Premenstrual Syndrome)症状を推定する手段と、
前記ユーザのPMS症状の推定結果に基づいて、当該ユーザに提示するアドバイスを決定する手段と
を備え、
前記第2コンピュータは、前記アドバイスを提示する手段を備える、
情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、方法、プログラム、およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
月経前の女性に、月経前症候群(PMS: premenstrual syndrome)と呼ばれる不調が生じることがある。
【0003】
特許文献1では、PMSの重症度に応じてPMSの症状を緩和することを企図した照明制御システムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の照明制御システムは、ユーザのPMSの重症度に応じて、照明の明るさ、色温度および照射時間を制御する。しかしながら、PMSとして様々な症状が知られており、照明の明るさ、色温度および照射時間を制御するだけでは、特定の症状の緩和には有効であるかもしれないが、別の症状の緩和には有効でないかもしれない。
【0006】
本開示の目的は、様々なPMS症状に対して適したアドバイスを提案可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のプログラムは、コンピュータを、ユーザの能動的入力に基づく第1情報を取得する手段、ユーザの身体の生理現象または動きの少なくとも1つによって変化する物理量に対するセンシングに基づく第2情報を取得する手段、第1情報および第2情報に基づいて、ユーザのPMS(Premenstrual Syndrome)症状を推定する手段、ユーザのPMS症状の推定結果に基づいて、当該ユーザに提示するアドバイスを決定する手段、として機能させる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態のウェアラブルデバイスの構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【
図6】本実施形態の症状/アドバイスデータベースのデータ構造を示す図である。
【
図8】本実施形態のアドバイス履歴データベースのデータ構造を示す図である。
【
図9】本実施形態の情報処理のフローチャートである。
【
図10】本実施形態の情報処理におけるPMS症状の推定処理の第1例のフローチャートである。
【
図11】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【
図12】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【
図13】本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0010】
(1)情報処理システムの構成
情報処理システムの構成について説明する。
図1は、本実施形態の情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、情報処理システム1は、ウェアラブルデバイス10と、クライアント装置30と、サーバ50とを備える。
ウェアラブルデバイス10及びクライアント装置30は、例えばBluetooth(登録商標)などの無線リンク、または通信ケーブルを介して接続される。
クライアント装置30及びサーバ50は、ネットワーク(例えば、インターネット又はイントラネット)NWを介して接続される。
【0012】
ウェアラブルデバイス10は、ユーザの身体に装着可能に構成される情報処理装置の一例である。ウェアラブルデバイス10は、例えば、スマートウォッチ、スマートリング、又は、スマートグラス、などである。
【0013】
クライアント装置30は、サーバ50にリクエストを送信する情報処理装置の一例である。クライアント装置30は、例えば、スマートフォン、タブレット端末、又は、パーソナルコンピュータである。
【0014】
サーバ50は、クライアント装置30から送信されたリクエストに応じたレスポンスをクライアント装置30に提供する情報処理装置の一例である。サーバ50は、例えば、サーバコンピュータである。
【0015】
(1-1)クライアント装置の構成
クライアント装置の構成について説明する。
図2は、本実施形態のウェアラブルデバイスの構成を示すブロック図である。
【0016】
図2に示すように、ウェアラブルデバイス10は、記憶装置11と、プロセッサ12と、入出力インタフェース13と、通信インタフェース14とを備える。ウェアラブルデバイス10は、ディスプレイ21およびセンサ22に接続される。
【0017】
記憶装置11は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置11は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0018】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OS(Operating System)のプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、ヘルスケアアプリケーション)のプログラム
【0019】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理を実行することによって得られるデータ(つまり、情報処理の実行結果)
【0020】
プロセッサ12は、記憶装置11に記憶されたプログラムを起動することによって、ウェアラブルデバイス10の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ12は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU(Central Processing Unit)
・GPU(Graphic Processing Unit)
・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)
・FPGA(Field Programmable Array)
【0021】
入出力インタフェース13は、ウェアラブルデバイス10に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示、またはセンシング結果)を取得し、かつ、ウェアラブルデバイス10に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
【0022】
入力デバイスは、例えば、センサ22、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、物理ボタン、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ21、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0023】
通信インタフェース14は、ウェアラブルデバイス10と外部装置(例えばクライアント装置30)との間の通信を制御するように構成される。
【0024】
ディスプレイ21は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ21は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0025】
センサ22は、ユーザの身体の生理現象または動きの少なくとも1つによって変化する物理量を計測(センシング)する。センサ22は、例えば、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・心拍センサ
・酸素飽和度センサ
・皮膚電気活動(EDA: Electro Dermal Activity)センサ
・温度センサ
・加速度センサ
・ジャイロセンサ
・GPS(Global Positioning System)モジュール
・高度計
・環境光センサ
センサ22のセンシング周期は、項目ごとに定められ得る。例えば、センサ22は、分毎、5分毎、1日単位でセンシングを行うことができる。また、センサ22は、ユーザが特定の状態(例えば、睡眠中、身体活動中、など)にある間に限ってセンシングを行ってもよい。
【0026】
(1-2)クライアント装置の構成
クライアント装置の構成について説明する。
図3は、本実施形態のクライアント装置の構成を示すブロック図である。
【0027】
図3に示すように、クライアント装置30は、記憶装置31と、プロセッサ32と、入出力インタフェース33と、通信インタフェース34とを備える。クライアント装置30は、ディスプレイ41に接続される。
【0028】
記憶装置31は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置31は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0029】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーション(例えば、Webブラウザ、またはヘルスケアアプリケーション)のプログラム
【0030】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0031】
プロセッサ32は、記憶装置31に記憶されたプログラムを起動することによって、クライアント装置30の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ32は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0032】
入出力インタフェース33は、クライアント装置30に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示、またはセンシング結果)を取得し、かつ、クライアント装置30に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
【0033】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、センサ、物理ボタン、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイ41、スピーカ、又は、それらの組合せである。
【0034】
通信インタフェース34は、クライアント装置30と外部装置(例えば、ウェアラブルデバイス10、またはサーバ50)との間の通信を制御するように構成される。
【0035】
ディスプレイ41は、画像(静止画、または動画)を表示するように構成される。ディスプレイ41は、例えば、液晶ディスプレイ、または有機ELディスプレイである。
【0036】
(1-3)サーバの構成
サーバの構成について説明する。
図4は、本実施形態のサーバの構成を示すブロック図である。
【0037】
図4に示すように、サーバ50は、記憶装置51と、プロセッサ52と、入出力インタフェース53と、通信インタフェース54とを備える。
【0038】
記憶装置51は、プログラム及びデータを記憶するように構成される。記憶装置51は、例えば、ROM、RAM、及び、ストレージ(例えば、フラッシュメモリ又はハードディスク)の組合せである。
【0039】
プログラムは、例えば、以下のプログラムを含む。
・OSのプログラム
・情報処理を実行するアプリケーションのプログラム
【0040】
データは、例えば、以下のデータを含む。
・情報処理において参照されるデータベース
・情報処理の実行結果
【0041】
プロセッサ52は、記憶装置51に記憶されたプログラムを起動することによって、サーバ50の機能を実現するコンピュータである。プロセッサ52は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・CPU
・GPU
・ASIC
・FPGA
【0042】
入出力インタフェース53は、サーバ50に接続される入力デバイスから情報(例えば、ユーザの指示)を取得し、かつ、サーバ50に接続される出力デバイスに情報(例えば画像)を出力するように構成される。
【0043】
入力デバイスは、例えば、キーボード、ポインティングデバイス、タッチパネル、又は、それらの組合せである。
出力デバイスは、例えば、ディスプレイである。
【0044】
通信インタフェース54は、サーバ50と外部装置(例えば、ウェアラブルデバイス10、またはクライアント装置30)との間の通信を制御するように構成される。
【0045】
(2)実施形態の一態様
本実施形態の一態様について説明する。
図5は、本実施形態の一態様の説明図である。
【0046】
図5に示すように、ウェアラブルデバイス10は、センサ22によって、ユーザUS1の身体の生理現象または動きの少なくとも1つによって変化する物理量をセンシングする。
【0047】
クライアント装置30は、例えば現在日時がユーザのPMS時期内であると判定した場合に、ウェアラブルデバイス10からセンシング結果を取得する。ここで、PMS時期とは、黄体期のうちPMS症状を発症している可能性のある時期を指す。また、クライアント装置30は、PMS症状の判定材料として利用可能なユーザUS1の能動的入力を必要に応じて取得する。クライアント装置30は、センシング結果に基づくユーザ情報(或いは、センシング結果およびユーザUS1の能動的入力に基づくユーザ情報)をサーバ50へ送信する。
【0048】
サーバ50は、クライアント装置30からのユーザ情報に基づいて、ユーザUS1のPMS症状を推定する。サーバ50は、PMS症状を推定する過程において、クライアント装置30を介してユーザUS1に問い合わせを行い、回答(これは、ユーザUS1の能動的入力の一例である)を取得することで、PMS症状を高精度に推定してもよい。
【0049】
サーバ50は、ユーザUS1のPMS症状の推定結果に基づいて、ユーザUS1に提示するアドバイスを決定する。そして、サーバ50は、クライアント装置30を介して、ユーザUS1にアドバイスを提示する。
【0050】
このように、本実施形態の情報処理システム1によれば、ユーザUS1のPMS症状の種別または重さに応じて多様なアドバイスを提供し、症状の緩和に向けてユーザUS1の行動を変容することができる。
【0051】
(3)データベース
本実施形態のデータベースについて説明する。
【0052】
(3-1)症状/アドバイスデータベース
本実施形態の症状/アドバイスデータベースについて説明する。
図6は、本実施形態の症状/アドバイスデータベースのデータ構造を示す図である。
図7は、症状情報の階層構造の例を示す図である。
【0053】
症状/アドバイスデータベースは、記憶装置51に保存され得る。症状/アドバイスデータベースには、症状/アドバイス情報が格納される。症状/アドバイス情報は、PMS症状と、当該PMS症状に対するアドバイスとに関する情報である。
【0054】
図6に示すように、症状/アドバイスデータベースは、「ID」フィールドと、「症状」フィールドと、「推奨行動」フィールドと、「推奨商品」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0055】
「ID」フィールドには、アドバイスIDが格納される。アドバイスIDは、PMS症状と、当該PMS症状に対するアドバイスとの組み合わせを識別する情報である。
【0056】
「症状」フィールドには、症状情報が格納される。症状情報は、PMS症状に関する情報である。症状情報は、PMS症状に起因して生じた支障に関する情報を含み得る。PMS症状は、例えば
図7に示すように階層的に定義され得る。具体的には、大分類に相当する「PMS症状」は、「精神症状」、「身体症状」、および「生活上の支障」の中分類に細分化することができる。
【0057】
中分類に相当する「精神症状」は、例えば以下の小分類に細分化することができる。
・「攻撃的になる」(例えば、怒りっぽくなる、イライラする、または人にあたる)
・「ネガティブになる」(例えば、涙もろくなる、または突然悲しくなる)
・「気分が落ち込む」(例えば、抑うつ気分になる、絶望的な気分になる、または自己否定)
・「不安が高まる」(例えば、不安になる、情緒不安定、または自信がなくなる)
・「混乱する」(例えば、決断力の低下、または自分をコントロールできない感じになる)
・「集中力が低下する」
・「無気力」(例えば、(仕事、学校、趣味などに対する)興味がなくなる)
・「一人でいたい」
【0058】
中分類に相当する「身体症状」は、例えば以下の小分類に細分化することができる。
・「食欲が増す」(例えば、特定の食べ物(例:甘いものなど)が欲しくなる)
・「のどが渇く」
・「乳房の痛みや張りがある」
・「ニキビができる」
・「おりものが増える」
・「便秘になる」
・「体重増加」
・「肩こりがする」
・「おなかが痛む」
・「おなかが張る」
・「頭が痛む」
・「腰が痛む」
・「眠くなる」(例えば、いつもより眠りすぎる)
・「不眠」
・「からだがむくむ」
・「倦怠感」(例えば、疲れやすくなる、または気力がなくなる。)
【0059】
中分類に相当する「生活上の支障」は、例えば以下の小分類に細分化することができる。
・「仕事の能率に支障がでた」
・「家事に支障がでた」
・「職場の人との関係に支障がでた」(例えば、つきあいを避ける、人にあたる、またはけんかをする)
・「家族との関係に支障がでた」
・「友人・知人との関係に支障がでた」
【0060】
症状情報は、上記大分類、中分類、または小分類の1つに対する症状の有無もしくは重さの情報、またはかかる情報の組み合わせとして定義され得る。例えば、「精神症状」または「身体症状」の両方に該当することを表す症状情報、「不眠」、または「イライラ」の少なくとも1つに該当することを表す症状情報、などが定義され得る。
【0061】
図6の例では、「症状」フィールドは、「全般」サブフィールドと、「精神」サブフィールドと、「身体」サブフィールドと、「詳細」サブフィールドとを含むが、かかる構造は例示に過ぎない。
【0062】
「全般」サブフィールドには、全般情報が格納される。全般情報は、大分類である「PMS症状」の有無に関する情報である。中分類または小分類のいずれかの症状が発生していれば、全般情報は、「PMS症状」が発生していることを示す値(「YES」)を持つ。
【0063】
「精神」サブフィールドには、精神情報が格納される。精神情報は、中分類である「精神症状」の有無に関する情報である。「精神症状」またはその小分類のいずれかの症状が発生していれば、精神情報は、「精神症状」が発生していることを示す値(「YES」)を持つ。
【0064】
「身体」サブフィールドには、身体情報が格納される。身体情報は、中分類である「身体症状」の有無に関する情報である。「身体症状」またはその小分類のいずれかの症状が発生していれば、身体情報は、「身体症状」が発生していることを示す値(「YES」)を持つ。
【0065】
「詳細」サブフィールドには、詳細情報が格納される。詳細情報は、症状情報の詳細を補足する。詳細情報は、例えば、中分類または小分類の症状のうち重視される症状(例えば、PMS症状全般のうち特にどの中分類または小分類の症状にマッチするか、または中分類の症状のうち特にどの小分類の症状にマッチするか)、または症状の緩和方針(例えば、長期的効果が期待されるか、または短期的効果が期待されるか)を表す。詳細情報は、例えば、各分類の症状に割り当てられた重みからなるベクトルによって表現されてもよい。
【0066】
「推奨行動」フィールドには、推奨行動情報が格納される。推奨行動情報は、対応する症状情報によって特定される症状の緩和のためにユーザに推奨される行動(「アドバイス」の一例)に関する情報である。ユーザに推奨される行動は、例えば、特定の栄養素、ハーブ、もしくはプロバイオティクス(例えばガセリ菌(ラクトバチルスに属する乳酸菌の一例)などの乳酸菌)の摂取、特定の嗜好品の摂取の抑制もしくは中止、運動(例えば有酸素運動)の実施、朝食を摂る、睡眠の確保、身体を温める、または医療機関の受診である。推奨行動情報は、推奨行動の量(例えば、摂取量、実施量、または実施時間)の情報を含み得る。なお、症状情報と推奨行動情報とは1:1関係にあるとは限らない。同一の症状に対し、複数の異なる推奨行動が関連付けられ得る。また、複数の異なる症状に対し、同一の推奨行動が関連付けられ得る。
【0067】
乳酸菌は、ラクトバチルスに属する乳酸菌の菌体、菌体処理物、またはそれらの抽出物を含み得る。ラクトバチルスに属する乳酸菌として、例えば、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アミロボラス(Lactobacillus amylovorus)、ラクトバチルス・カルバタス(Lactobacillus curvatas)、ラクトバチルス・パラガセリ(Lactobacillus paragasseri)ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノーサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・ブレビス(Lactobacillus brevis)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ジェンセニ (Lactobacillus jensenii)、ラクトバチルス・クリスパタス (Lactobacillus crispatus)、ラクトバチルス・デルブルッキー (Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・ゼアエ (Lactobacillus zeae)、ラクトバチルス・ガリナラム (Lactobacillus gallinarum)、ラクトバチルス・ケフィラノファシエンス(Lactobacillus kefiranofaciens)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトバチルス・ペントサス(Lactobacillus pentosus)、ラクトバチルス・フルクチボランス(Lactobacillus fructivorans)、ラクトバチルス・クンケエイ(Lactobacillus kunkeei)、ラクトバチルス・ムコサエ(Lactobacillus mucosae)、ラクトバチルス・オリス(Lactobacillus oris)、などが挙げられる。
【0068】
「推奨商品」フィールドには、推奨商品情報が格納される。推奨商品情報は、対応する症状情報によって特定される症状の緩和のためにユーザに推奨される商品(「アドバイス」の一例)に関する情報である。推奨される商品は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・対応する推奨行動情報によって摂取を推奨される機能性素材を含有した(特に、効率よく摂取可能な)飲料、食品、またはサプリメント
・対応する推奨行動情報によって摂取の抑制または中止を推奨される嗜好品の代替となる飲料(例えば、低アルコール飲料またはノンアルコール飲料)、食品(例えば、低糖質の食品、または高タンパク質の食品)、またはサプリメント
・対応する推奨行動情報によって推奨される行動の実施をサポートする飲料(例えば、身体を温めるためのホット飲料、または運動によって失われる水分の補給に適した飲料)、食品、またはサプリメント(例えば、プロテイン、または睡眠の質を高めるサプリメントもしくはプロバイオティクス)
なお、症状情報と推奨商品情報とは1対1関係にあるとは限らない。同一の症状に対し、複数の異なる推奨商品が関連付けられ得るし、関連付けられる推奨商品が存在しないこともあり得る。また、複数の異なる症状に対し、同一の推奨商品が関連付けられ得る。
【0069】
ここで、機能性素材とは、機能食品(例えば、特定保健用食品、栄養機能食品、または機能性表示食品)が含有している健康機能を有する栄養素や機能性成分の総称である。栄養機能食品が含有している栄養素に、ビタミン、ミネラルなどが含まれる。機能性表示食品が含有している成分に、乳酸菌(例えばガセリ菌)、枯草菌、酵母、酵母処理物、及びそれらの菌から得られる成分、ペプチドなどが含まれまる。
【0070】
症状/アドバイスデータベースには、
図6に示されていない情報(例えば、摂取を推奨する食品(特定の商品ではなく一般の食品)とその摂取量、または実施を推奨する運動種目とその実施時間に関する情報)が格納されてもよい。
【0071】
(3-2)アドバイス履歴データベース
本実施形態のアドバイス履歴データベースについて説明する。
図8は、本実施形態のアドバイス履歴データベースのデータ構造を示す図である。
【0072】
アドバイス履歴データベースは、記憶装置51に保存され得る。アドバイス履歴データベースには、アドバイス履歴情報が格納される。アドバイス履歴情報は、ユーザに提示されたアドバイスと、当該アドバイスが提示された後のユーザの状況(例えば、アドバイスの実践状況、PMS症状の改善状況、またはそれらの組み合わせ)とに関する情報である。
【0073】
図8の例では、アドバイス履歴データベースは、ユーザ毎に構築されている。しかしながら、アドバイス履歴データベースは、複数のユーザに亘って共通に構築され、各レコードに対応するユーザを特定可能な情報(例えばユーザID)を格納してもよい。
【0074】
図8に示すように、アドバイス履歴データベースは、「アドバイス日時」フィールドと、「症状」フィールドと、「アドバイスID」フィールドと、「確認日時」フィールドと、「実践状況」フィールドと、「改善状況」フィールドとを含む。各フィールドは、互いに関連付けられている。
【0075】
「アドバイス日時」フィールドには、アドバイス日時情報が格納される。アドバイス日時情報は、対象となるアドバイス(以下、「対象アドバイス」という)がユーザに提示された日時に関する情報である。
【0076】
「症状」フィールドには、症状情報が格納される。症状情報は、対象アドバイスを提示する前提として推定されたユーザのPMS症状に関する情報である。
【0077】
「アドバイスID」フィールドには、アドバイスIDが格納される。アドバイスIDは、対象アドバイスの内容を特定可能な情報である。アドバイスIDは、症状/アドバイスデータベース(
図6)のアドバイスIDと対応し得る。
【0078】
「確認日時」フィールドには、確認日時情報が格納される。確認日時情報は、対象アドバイスの提示後にユーザの状況を確認した日時に関する情報である。ユーザの状況の確認は、例えばユーザにアンケートを提示し、当該アンケートの回答を受信することで行われてよい。或いは、ユーザの状況の確認は、種々のセンシング結果、または他のアプリケーションもしくはSaaSとの連携により取得されたユーザ情報に基づく推定により行われてもよい。
【0079】
「実践状況」フィールドには、実践状況情報が格納される。実践状況情報は、対象アドバイスの提示後におけるユーザの当該アドバイスの実践の有無、または程度に関する情報である。実践の程度は、例えば、実践の頻度(例えば、毎日、週に1回、など)、実践の量(例えば、特定の商品、または栄養素の摂取量、など)、またはそれらの組み合わせを含むことができる。
【0080】
「改善状況」フィールドには、改善状況情報が格納される。改善状況情報は、対象アドバイスの提示後におけるユーザのPMS症状の改善の有無、または程度に関する情報である。改善の程度は、例えばリッカート尺度により表現されてもよいし、スコアにより表現されてもよい。また、改善状況情報は、複数種のPMS症状について確認されてもよいし、一種類のPMS症状(例えば、「全般」)のみについて確認されてもよい。
【0081】
(4)情報処理
本実施形態の情報処理について説明する。
図9は、本実施形態の情報処理のフローチャートである。
図10は、本実施形態の情報処理におけるPMS症状の推定処理の第1例のフローチャートである。
図11は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
図12は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
図13は、本実施形態の情報処理において表示される画面例を示す図である。
【0082】
図9の情報処理は、所定の開始条件の成立に応じて開始する。
開始条件の第1例は、クライアント装置30が、ユーザから情報処理を開始するためのユーザ指示を受け付けること、である。
開始条件の第2例は、現在日時がユーザのPMS時期内であること、である。さらに、前回の情報処理の実施から所定期間(例えば、1日、数日、または1ヶ月、等)経過していることも開始条件として課されてもよい。
【0083】
図9の処理が開始すると、クライアント装置30は、ユーザ情報の取得(S130)を実行する。
具体的には、クライアント装置30は、過去に取得していたユーザ情報を記憶装置31から読み出してもよいし、本ステップにおいてユーザ情報を受け付けてもよい。クライアント装置30は、入力デバイスを介してユーザ指示を受け付けることで、または外部装置(例えば、ウェアラブルデバイス10、またはサーバ50)から情報を受信することで、ユーザ情報を取得してもよい。クライアント装置30は、他のアプリケーションまたはSaaS(Software as a Service)と連携することで、ユーザ情報を取得してもよい。或いは、クライアント装置30は、記憶装置31から読み出した情報、または本ステップにおいて受け付けた情報の少なくとも1つに基づいてユーザ情報を生成してもよい。
【0084】
ユーザ情報は、以下の情報を含む。
・ユーザの能動的入力に基づく情報(以下、「第1情報」という)
・ユーザの身体の生理現象または動きの少なくとも1つによって変化する物理量に対するセンシングに基づく情報(以下、「第2情報」という)
【0085】
第1情報は、以下の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
・生理周期(例えば、生理日のログ、または通常の生理周期もしくは生理期間)
・基本属性(例えば、年齢(生年月日を含み得る)、身長、体重、体脂肪率)
・生活習慣(例えば、水分、食事などの摂取ログ)
・症状(例えば、精神症状、身体症状、または生活上の支障を含み得る)
【0086】
症状に関する情報は、クライアント装置30によって提示されるUI(User Interface)からの問い合わせに対する回答(例えば、提示された症状の候補のいずれかの選択、または自由記述(発話を含み得る))であってもよい。或いは、症状に関する情報は、クライアント装置30のユーザによる自発的な申告であってもよい。なお、身体症状に関して、ユーザは、クライアント装置30によって提示された身体の絵のうち、自らが不調を感じる部位を選択することで、上記回答または申告を行うこともできる。
【0087】
第1情報は、クライアント装置30によって提示されるUIに対する操作を検出することで生成され得る。或いは、第1情報は、ユーザの発話に対応する音声信号、もしくはその音声認識結果(テキスト)、またはユーザが行ったジェスチャの認識結果に基づいて生成されてもよい。
【0088】
第2情報は、以下の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
・ユーザの活動情報
・ユーザの生体情報
・ユーザの外部の環境情報
・ユーザのストレス情報(ストレス情報は、活動情報、生体情報、および外部の環境情報が複合的に影響し得る)
【0089】
ユーザの活動情報は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・身体活動に関する情報
・睡眠に関する情報
【0090】
身体活動に関する情報は、以下の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
・運動量(例えば、歩数、移動距離、または水泳のストローク数、など)
・運動区分(運動区分毎の該当日時を含み得る)
・消費カロリー(運動区分毎の消費カロリー、または後述する心拍ゾーン毎の消費カロリーを含み得る)
・活動強度(例えば、軽強度、適度、安静、高強度)別の該当時間
・身体活動中の生体情報(生体情報の具体例は後述する)
【0091】
睡眠に関する情報は、以下の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
・就寝(就寝日時を含み得る)
・起床(起床日時を含み得る)
・入眠(入眠日時を含み得る)
・覚醒(覚醒日時を含み得る)
・睡眠状態にある時間、および/または、回数
・覚醒状態にある時間、および/または、回数
・寝付けなかった時間
・睡眠ステージ(例えば、レム睡眠、深い眠り、または浅い眠り、など)毎の回数
・睡眠ステージ毎の時間(所定日数(例えば30日間)に亘る統計量(例えば平均値)を含み得る)
・睡眠中に判定された睡眠ステージと、当該睡眠ステージの開始時刻および継続時間
・在床時間(就寝から起床までの時間)
・睡眠効率(在床時間に対する睡眠状態にある時間の割合)
・目覚め(つまり最終的な覚醒)から起床までの時間
・睡眠中の生体情報(生体情報の具体例は後述する)
・睡眠中の動作(例えば、加速度、角速度、またはそれらの分析結果)
・睡眠に関する評価結果(例えば、睡眠の質のスコア、回復のスコア、睡眠時間のスコア、睡眠パターンのスコア)
【0092】
睡眠の質のスコアは、深い睡眠で過ごした時間とレム睡眠で過ごした時間とに依存し、これらの時間が長いほど高くなる。回復のスコアは、ユーザが睡眠中にどの程度リラックスしていたかを表し、睡眠中の心拍数および体動が少ないほど、また浅い眠りの時間が短いほど、高くなる。睡眠時間のスコアは、例えば過去一週間に亘る睡眠時間が長いほど高くなる。睡眠パターンのスコアは、ユーザの睡眠パターンの良し悪しを総合的に表し、睡眠の質のスコア、回復のスコア、および睡眠時間のスコアが高いほど高くなる。
【0093】
ユーザの生体情報は、以下の少なくとも1つに関する情報を含むことができる。
・心拍数(例えば、所定の心拍ゾーン(例えば心拍数が所定の数値範囲にある状態)に該当した時間、睡眠中の各心拍間の間隔の変化(心拍変動)、安静時心拍数(統計量(例えば平均値および標準偏差)を含み得る)、または一分ごとの心拍数、などを含み得る)
・酸素飽和度(例えば、睡眠中の推定酸素変動量、平均値、下限値、または上限値を含み得る)
・最大酸素摂取量
・皮膚電気活動
・体温(例えば、睡眠中の皮膚平均温を含み得る)
・呼吸数(例えば、睡眠ステージ毎(特に深い眠りステージ中)または起床時の呼吸数の統計量(例えば平均値、標準偏差)またはSNR(Signal Noise Ratio)を含み得る)
【0094】
睡眠中の心拍変動は、ユーザの自律神経活動を表す。睡眠中の心拍変動は、以下の少なくとも1つを含むことができる。
・睡眠中のRMSSD
・睡眠中の心拍変動のHF成分
・睡眠中の心拍変動のLF成分
・睡眠中の心拍のゆらぎ(例えば、ヒストグラム)
・睡眠中の心拍のランダム性(例えば、エントロピー)
・睡眠中の心拍のカバレッジ(例えば、区間内のデータポイント数に区間の平均拍動時間を乗じ、区間長(例えば300秒)で割った値)
・睡眠中の心拍のLF/HF比(交感・副交感神経活動のバランス指標)
・睡眠中の心拍のHF/(LF+HF)(副交感神経活動の割合を示す指標)
【0095】
RMSSDは、連続して隣接するRR間隔の差の二乗の平均値の平方根である。睡眠中のRMSSDが大きいほど、ユーザの副交感神経活動が優位であることが示唆される。HFは、心拍変動(HRV)の高周波成分である。睡眠中のHFは、ユーザの副交感神経活動を反映する。LFは、HRVの低周波成分である。睡眠中のLFは、ユーザの交感神経活動を反映する。睡眠中の心拍のゆらぎは、後述するように、心拍変動の振幅を表す。
【0096】
人間は、PMS症状の発症時に黄体後期では副交感神経活動が低下する。故に、安静時の副交感神経活動と黄体後期の副交感神経活動とを比較することでPMS症状を推定することができる。また、自律神経の乱れがPMS症状に関連していることが知られている。さらに、PMS症状またはPMDD(Premenstrual Dysphoric Disorder)症状が発症している人は、発症していない人に比べて心拍のゆらぎが小さくなるので、心拍のゆらぎからPMS症状を推定することもできる。
【0097】
ここで、心拍のゆらぎとは、心拍の間隔(例えばRR間隔)の散布度を表す。一例として、心拍の揺らぎは、心拍の分散、標準偏差、または範囲である。ストレスがない状態(換言すれば、副交感神経活動が正常な状態)では、ストレスがある状態(換言すれば、副交感神経活動が低下している状態)に比べて、心拍のゆらぎは大きくなる。例えば、心拍の間隔のヒストグラムを作成したとする。ストレスがない状態では、ピークが低く、かつ幅の広いヒストグラムが得られる。逆に、ストレスがある状態では、ピークが高く、かつ幅の狭いヒストグラムが得られる。
【0098】
安静時心拍数は、年齢に加え、月経周期によっても変化する。故に、安静時心拍数に基づいて、月経時期およびPMS時期を推定することができる。具体的には、卵胞期(月経開始日から排卵日までの二週間程度)および黄体期(排卵後、月経開始までの二週間程度)の心拍数の平均値に基づいて、月経時期およびPMS時期を推定することができる。
【0099】
ユーザの外部の環境情報は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・高度
・気温
・湿度
・環境光(総暴露時間、単位時間当たりの総暴露光量を含む)
【0100】
ユーザのストレス情報は、例えば以下の少なくとも1つを含むことができる。
・反応性のスコア
・睡眠パターンのスコア
・活動のバランスのスコア
・ストレスの総合スコア
【0101】
反応性のスコアは、ユーザの身体が闘争・逃走反応を示した度合いを表す。反応性のスコアは、例えば、ユーザの心拍数に関する情報と皮膚電気活動の情報とに基づいて推定することができる。具体的には、ストレスが掛かっている状況下では、自律神経の活動により、心拍数が上昇し、かつ発汗レベルが変化するため、例えば以下の少なくとも1つに基づいてユーザのストレスを評価することができる。
・深い睡眠中の心拍変動
・安静時の心拍数の上昇(対前日比)
・安静時心拍数(RHR)を超える睡眠時心拍数(例えば1夜分)
・EDAスキャンに基づく皮膚電気活動(例えば1日分)
【0102】
睡眠パターンのスコアは、前述のとおりである。質の悪い睡眠(つまり、短い睡眠、または浅い睡眠)は、ストレスの対処能力に負の影響を与える。また、ストレスにより睡眠の質が下がる。
【0103】
活動のバランスのスコアは、ユーザの身体活動のバランスを定量的に表す。過小な身体活動はストレスホルモンの増加につながり、過大な身体活動は疲労感および身体的ストレスにつながるおそれがある。ユーザの身体活動の指標(例えば、移動距離、加速度、歩数、または心拍数が高くなる動きをした時間の少なくとも1つ)が適正な範囲にあれば、活動バランスのスコアは高いと判定される。他方、ユーザの身体活動の指標が適正な範囲から逸脱していれば、活動バランスのスコアは低いと判定される。
【0104】
ストレスの総合スコアは、反応性のスコア、睡眠パターンのスコア、または活動のバランスのスコアの少なくとも1つに基づいて算出することができる。
【0105】
ストレスの評価の別の例として、クライアント装置30は、ユーザの表情または音声の特徴に基づいて、ストレスを評価してもよい。かかるストレスの評価には、学習済みモデルを用いることができる。学習済みモデルは、例えばユーザの画像または音声に基づく入力データに対して、ユーザの精神状況(例えば、ハッピー、落ち込んでいる、落ち着いている、など)を表す出力データを返すように構築されてよい。
【0106】
第2情報は、ウェアラブルデバイス10のセンサ22によって行われたセンシング結果に基づいていてもよいし、クライアント装置30に内蔵されたセンサ、またはクライアント装置30に外付けされたセンサによって行われたセンシング結果に基づいていてもよい。
【0107】
ステップS130の後に、クライアント装置30は、分析要求(S131)を実行する。
具体的には、クライアント装置30は、ユーザのPMS症状に関する分析をサーバ50に要求する。クライアント装置30は、ステップS130において取得したユーザ情報に基づいて分析要求を生成し、分析要求をサーバ50へ送信する。分析要求は、例えばユーザ情報そのもの、または当該ユーザ情報を特定可能な情報(例えば、インデックス、またはユーザ情報が格納されたリソースを示す情報(例えばURL(Universal Resource Locator)))を含むことができる。
【0108】
ステップS131の後に、サーバ50は、PMS症状の推定(S150)を実行する。
具体的には、サーバ50は、ステップS131において送信された分析要求を受信する。サーバ50は、分析要求に含まれる情報に基づいてユーザ情報を取得する。サーバ50は、ユーザ情報に基づいてユーザのPMS症状を推定する。一例として、サーバ50は、ユーザのPMS症状の種別を推定する。さらに、サーバ50は、推定した種別について、ユーザのPMS症状の重さをユーザ情報に基づいて推定してもよい。サーバ50は、第2情報に基づいてユーザの身体活動、睡眠、またはストレスの少なくとも1つを評価し、当該評価の結果に基づいてユーザのPMS症状を推定してもよい。
【0109】
ここで、サーバ50は、ユーザのPMS時期とPMS時期以外の時期とにおけるユーザ情報(特に第2情報)を取得し、両方のユーザ情報に基づいてPMS症状を推定してもよい。例えば、サーバ50は、PMS時期における睡眠とPMS時期以外の時期における睡眠とを比較することで、ユーザの睡眠障害が慢性的であるかそれともPMS時期に特有であるかを判定することができる。同様に、サーバ50は、PMS時期におけるストレスとPMS時期以外の時期におけるストレスとを比較することで、ユーザのストレスが慢性的であるかそれともPMS時期に特有であるかを判定することができる。
【0110】
PMS症状の推定(S150)の第1例として、サーバ50は、ユーザ情報(特に第2情報)に基づいて、ユーザのPMS症状の候補(例えば種別の候補、または重さの候補)を少なくとも1つ特定する。そして、サーバ50は、特定した候補を、クライアント装置30を介してユーザに提示する。サーバ50は、提示した候補の妥当性に対する回答に相当する第1情報をクライアント装置30から受信し、当該第1情報に応じてユーザのPMS症状の種別を推定する。すなわち、本例では、サーバ50は、ユーザのPMS症状の種別を段階的に推定する。
【0111】
図11に示すように、サーバ50は、PMS症状の候補の推定(S1501)を実行する。
具体的には、サーバ50は、少なくとも第2情報に基づいてPMS症状の候補を少なくとも1つ推定する。サーバ50は、第2情報に基づいてユーザの身体活動、睡眠、またはストレスの少なくとも1つを評価し、当該評価の結果に基づいて候補を推定してもよい。サーバ50は、推定した候補を特定可能な情報をクライアント装置30へ送信する。
【0112】
サーバ50は、1つの候補に限られず複数の候補を推定できる。例えば、サーバ50は、複数の候補について、ユーザのPMS症状としての妥当性を定量的に評価し、評価値の降順に所定数の候補を推定してもよいし、評価値が閾値以上の候補を推定してもよい。推定した候補の数が上限値を超える場合に、推定した候補の一部または全部に対して無作為抽出が行われてもよい。
【0113】
PMS症状の候補の推定(S1501)の第1例として、サーバ50は、ユーザの睡眠に関する情報に基づいて、ユーザのPMS症状の候補を推定する。ユーザが特に黄体期に長く質の良い睡眠をとれていれば、PMS症状のうち睡眠障害は発生していないと推定できる。他方、ユーザが特に黄体期に長く質の良い睡眠をとれていなければ、睡眠障害が発生していると推定でき、結果的に疲労感または日中の眠気といった症状もひどいと推定できる。
【0114】
なお、サーバ50は、ユーザの心拍数、心拍変動、酸素飽和度、または睡眠中の動作の少なくとも1つに関する情報に基づいて、ユーザの睡眠の長さおよび質を評価し、当該評価結果に基づいてユーザのPMS症状の候補を特定してもよい。サーバ50は、例えば以下の少なくとも1つの指標について評価してもよい。
・睡眠時間の合計
・深い眠りの回数
・深い眠りの時間または割合
・就寝時間(何時に寝たか)
【0115】
PMS症状の候補の推定(S1501)の第2例として、サーバ50は、ユーザのストレス情報に基づいて、ユーザのPMS症状の候補を特定する。ストレスとPMS症状の重さには相関があることが知られている。つまり、ストレスが掛かっている状況下では、ユーザにPMS症状が発生している、またはユーザのPMS症状が重いと推定できる。
【0116】
ステップS1501の後に、クライアント装置30は、候補の提示(S1311)を実行する。
具体的には、クライアント装置30は、ステップS1501において推定された候補の情報をディスプレイ41に表示する。一例として、クライアント装置30は、
図11の画面をディスプレイ41に表示する。
【0117】
図11の画面は、候補の妥当性に対する回答を要求する画面の一例である。
図11の画面は、オブジェクトJ40,J41を含む。
【0118】
オブジェクトJ40は、ユーザに回答を要求する事項を表示する。
図11の例では、症状の候補の妥当性に対する回答が要求されている。
【0119】
オブジェクトJ41は、回答指示をユーザから受け付ける。ユーザは、自らの意図する回答内容に対応するオブジェクトJ41を選択する。
【0120】
ステップS1311の後に、クライアント装置30は、回答の受け付け(S1312)を実行する。
具体的には、クライアント装置30は、ユーザ指示に応じて、ステップS1311において提示された候補のいずれを選択したか、またはいずれを選択しなかったかを示す情報を回答(これは、第1情報に相当する)として取得する。一例として、クライアント装置30は、
図11の画面のいずれかのオブジェクトJ41の選択に応じて、選択されたオブジェクトJ41または選択されなかったオブジェクトJ41を示す情報を回答として取得する。クライアント装置30は、受け付けた回答をサーバ50へ送信する。
【0121】
ステップS1312の後に、サーバ50は、PMS症状の特定(S1502)を実行する。
具体的には、サーバ50は、ステップS1312においてクライアント装置30によって送信された回答を受信する。サーバ50は、受信した回答に基づいて、ステップS1501において推定した候補のいずれかをユーザのPMS症状として特定する。
【0122】
なお、ユーザの回答がいずれの候補も妥当でないことを示す場合には、サーバ50は、PMS症状の候補の推定(S1501)を再実行してもよい。この場合に、サーバ50は、ユーザによって妥当でないと判断された候補を除外して新たな候補を推定する。
【0123】
PMS症状の推定(S150)の第2例として、サーバ50は、ユーザ情報(つまり、第1情報および第2情報)に基づいて、ユーザのPMS症状(例えば、種別、重さ、またはそれらの組み合わせ)を推定する。すなわち、本例では、サーバ50は、ユーザのPMS症状を直接的に(つまり、ユーザPMS症状の候補の妥当性に対する回答を求めることなく)推定する。
【0124】
ステップS150の後に、サーバ50は、アドバイスの決定(S151)を実行する。
具体的には、サーバ50は、ステップS150において推定したPMS症状の結果(つまり、推定結果)に基づいて、ユーザに提示するアドバイスを決定する。
【0125】
一例として、サーバ50は、症状/アドバイスデータベース(
図6)を参照し、推定結果に適合する症状情報を備えるレコードを特定する。サーバ50は、特定したレコードの備える推奨行動情報または推奨商品情報の少なくとも1つに基づくアドバイスを決定する。
【0126】
なお、サーバ50は、1つのレコードに限らず複数のレコードを特定してもよい。複数のレコードを特定する場合に、サーバ50は、推定結果に対する適合度が閾値を超える症状情報を備える全てのレコードを特定してもよいし、当該適合度の降順に所定数のレコードを特定してもよい。複数のレコードを特定する場合に、サーバ50は、アドバイスを決定するために参照するレコード(以下、「参照レコード」という)を絞り込んでもよい。
【0127】
レコードの絞り込みは、無作為抽出により行われてもよいし、ユーザ情報(ユーザのアドバイス履歴情報を含み得る)に基づくフィルタリングにより行われてもよい。
ユーザに過去に提示されたアドバイスに対する当該ユーザの実践状況または実践後の調子の変化に関する情報は、レコードの絞り込みに有用である。第1例として、ユーザに過去に提示され、ユーザが実践を継続しているものの調子の改善が見られないアドバイスに対応するレコードは、ユーザの体質に合っていない可能性があるため、参照レコードから除外されてよい。第2例として、ユーザに過去に提示され、ユーザが実践しなかったアドバイスは、ユーザにとって実践が困難である可能性があるため、参照レコードとして選出されにくくなるように設定されてよい(例えば無作為抽出において抽出される確率を低下させる)。第3例として、ユーザに過去に提示され、ユーザが実践し調子の改善が見られたアドバイスは、ユーザの体質に合っている可能性があるため、参照レコードとして選出されやすくなるように設定されてよい(例えば無作為抽出において抽出される確率を増加させる)。
【0128】
サーバ50は、ユーザ情報に基づいてユーザの習慣を推定し、推定結果に基づいてレコードの絞り込みを行ってもよい。サーバ50は、例えば複数日以上の期間に亘るユーザの歩数、または心拍数(特に、心拍数の多い心拍ゾーンに該当した時間)の少なくとも1つに関する情報に基づいて、ユーザの有酸素運動習慣の有無を推定する。有酸素運動を習慣づけることで、PMS症状を長期的に緩和することができると考えられている。サーバ50は、有酸素運動習慣があると推定されるユーザに対して、有酸素運動の実施を推奨するアドバイスに対応するレコードを、アドバイスを決定するために参照するレコードから除外し、またはアドバイスを決定するために参照するレコードとして選出されにくくなるように設定してもよい。
【0129】
ステップS151の後に、サーバ50は、分析応答(S152)を実行する。
具体的には、サーバ50は、ステップS151において決定したアドバイスを特定可能な情報を含む分析応答を生成する。サーバ50は、分析応答をクライアント装置30へ送信する。
【0130】
ステップS152の後に、クライアント装置30は、アドバイスの提示(S132)を実行する。
具体的には、クライアント装置30は、ステップS152においてサーバ50によって送信された分析応答を受信する。クライアント装置30は、受信した分析応答に基づいて、ユーザにアドバイスを提示する。一例として、クライアント装置30は、アドバイスをディスプレイ41に表示する。
【0131】
クライアント装置30は、
図12の画面をディスプレイ41に表示してもよい。
図12の画面は、推奨行動に関するアドバイスを示す画面の一例である。
図12の画面は、オブジェクトJ42,J43,J44a,J44bを含む。
【0132】
オブジェクトJ42は、ユーザに推奨する行動の概要を表示する。
オブジェクトJ43は、ユーザに推奨する行動の詳細(例えば、当該行動とPMS症状との関係)を表示する。
【0133】
オブジェクトJ43aは、ユーザに推奨する食品の情報を提示させるためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ43aが選択された場合に、クライアント装置30は、ユーザに推奨する食品を示す画面(図示せず)をディスプレイ41に表示してもよい。
【0134】
オブジェクトJ43bは、ユーザに推奨する商品の情報を提示させるためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ43bが選択された場合に、クライアント装置30は、ユーザに推奨する商品を示す画面(例えば
図13)をディスプレイ41に表示してもよい。
【0135】
図13の画面は、オブジェクトJ45,J46,J46a,J46b,J46c,J46d,J46e,J46f,J46gを含む。
【0136】
オブジェクトJ45は、ユーザに推奨する商品の概要を表示する。
オブジェクトJ46は、ユーザに推奨する商品の個別情報を表示する。
【0137】
オブジェクトJ46aは、オブジェクトJ46に対応する商品(以下、「対象商品」という)の名称を表示する。
オブジェクトJ46bは、対象商品の画像を表示する。
【0138】
オブジェクトJ46cは、対象商品の詳細説明を提示させるためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ46cが選択された場合に、クライアント装置30は、対象商品の詳細説明を展開表示してもよいし、当該詳細説明を示す画面(図示せず)をディスプレイ41に表示してもよい。或いは、オブジェクトJ46cの代わりに、対象商品の詳細説明を表示するオブジェクトが配置されてもよい。
【0139】
オブジェクトJ46dは、対象商品を購入するためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ46dが選択された場合に、クライアント装置30は、対象商品を購入可能なECサイトにアクセスしてもよいし、対象商品をカートに入れ、または購入決済をしてもよい。或いは、オブジェクトJ46dが選択された場合に、クライアント装置30は、対象商品が購入可能な店舗を案内してもよい。
【0140】
オブジェクトJ46eは、対象商品の定期購入を開始するためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ46eが選択された場合に、クライアント装置30は、対象商品の定期購入を申し込むためのWebページにアクセスしてもよいし、対象商品の定期購入の決済を行うための画面をディスプレイ41に表示してもよい。
【0141】
オブジェクトJ46fは、対象商品の購入に使用可能なクーポンを取得するためのユーザ指示を受け付ける。クーポンは実店舗またはECサイトで使用可能に定められてよい。オブジェクトJ46fが選択された場合に、クライアント装置30は、クーポンを取得するためのWebページにアクセスしてもよいし、クーポンの画面をディスプレイ41に表示してもよい。
【0142】
オブジェクトJ46gは、対象商品のレビューを見るためのユーザ指示を受け付ける。オブジェクトJ46gが選択された場合に、クライアント装置30は、レビューを閲覧するためのWebページにアクセスしてもよいし、レビュー情報をディスプレイ41に展開表示してもよい。
【0143】
(5)小括
以上説明したように、本実施形態のサーバ50は、前述の第1情報および第2情報に基づいてユーザのPMS症状を推定し、推定結果に基づいて当該ユーザに提示するアドバイスを決定する。これにより、ユーザUS1のPMS症状の種別または重さに応じて多様なアドバイスを提供し、症状の緩和に向けてユーザUS1の行動を変容することができる。
【0144】
サーバ50は、少なくとも第2情報に基づいてPMS症状の候補を少なくとも1つ推定し、ユーザからの当該候補の妥当性に対する回答に相当する第1情報に応じてユーザのPMS症状を特定してもよい。これにより、ユーザの回答の負担を減らしつつ、PMS症状の推定精度を高め適切なアドバイスを提供することができる。
【0145】
サーバ50は、ユーザに過去に提示されたアドバイスに対する当該ユーザの実践状況または実践後の調子の変化に関する第1情報にさらに基づいて、ユーザに提示するアドバイスを決定してもよい。これにより、ユーザの好みでない(実践に結びつかなかった)アドバイス、またはユーザのPMS症状の改善に寄与しなかった可能性のあるアドバイスの再提示を抑制したり、ユーザに提示していないアドバイスを積極的に提示したりすることができる。
【0146】
アドバイスは、機能性素材に関する情報を含んでもよい。これにより、ユーザにPMS症状の改善に寄与する可能性がある機能性素材の摂取を促すことができる。また、機能性素材に関する情報は、ガセリ菌に関する情報を含んでもよい。これにより、ユーザに、ゆううつな気分、不安感、無気力、疲れやすさ、眠気など特定の種別のPMS症状の緩和に有効であることが確認されているガセリ菌の摂取を促すことができる。
【0147】
第2情報は、ユーザの生体情報、またはユーザの活動情報、のうち少なくとも1つを含んでもよい。これにより、生体情報の特徴、または活動情報の特徴に基づいてPMS症状を推定することができる。
【0148】
第2情報は、ユーザの睡眠時における心拍数、もしくは酸素飽和度、またはユーザの睡眠中の動作の少なくとも1つに関する情報を含んでもよい。これにより、睡眠の長さまたは質の観点からPMS症状を推定することができる。
【0149】
第2情報は、ユーザの睡眠時における心拍に関する情報を含んでもよい。これにより、自律神経活動の観点からPMS症状を推定することができる。
【0150】
第2情報は、ユーザの自律神経の活動、身体活動量、または睡眠の少なくとも1つに関する情報を含んでもよい。これにより、ストレスの観点からPMS症状を推定することができる。
【0151】
第2情報は、ユーザのPMS時期における生体情報または活動情報のうち少なくとも1つと、ユーザのPMS時期以外の時期における生体情報または活動情報のうち少なくとも1つとを含んでもよい。これにより、特異な生体情報または活動情報が観察された場合に、当該事象が慢性的であるかPMS時期に特有であるかを特定し、PMS症状の推定精度を高めることができる。
【0152】
サーバ50は、第2情報に基づいて、ユーザの身体活動、睡眠、またはストレスの少なくとも1つを評価し、当該評価の結果に基づいてユーザのPMS症状を推定してもよい。これにより、身体活動、睡眠、またはストレスの少なくとも1つの観点から、PMS症状を推定することができる。
【0153】
サーバ50は、ユーザの心拍数、または身体活動量のうち少なくとも1つに関する第2情報にさらに基づいて、当該ユーザに提示するアドバイスを決定してもよい。これにより、例えば運動の習慣があると推定されるユーザに運動を促すアドバイスを行うといった、実践済みの(特に、習慣化している)行動を促すアドバイスの提示を回避し、ユーザに有益と思われるアドバイスを代わりに提示することができる。なお、ユーザが実践済みの行動の情報は、前述のアドバイス履歴情報として管理されるほか、ユーザに問い合わせることで別途収集されもよいし、他のアプリケーション(例えば、ダイエットアプリ、またはランニングアプリ)もしくはSaaSとの連携により取得されてもよい。
【0154】
(7)その他の変形例
記憶装置31は、ネットワークNWを介して、クライアント装置30と接続されてもよい。ディスプレイ41は、クライアント装置30と一体化されていてもよい。記憶装置51は、ネットワークNWを介して、サーバ50と接続されてもよい。
【0155】
ウェアラブルデバイス10、またはクライアント装置30は、ユーザに対して月経時期またはPMS時期の到来を通知してもよい。これにより、ユーザは、月経またはPMSの到来を意識して備えることができる。月経時期またはPMS時期の推定は、ウェアラブルデバイス10、クライアント装置30、またはサーバ50のいずれが行ってもよい。前述のように、月経時期およびPMS時期は、卵胞期(月経8-10日後)および黄体期(月経3-10日前)の安静時心拍数の平均値に基づいて、推定することができる。これにより、例えば、PMS症状の推定を行うタイミングを適正化し、推定に関する計算負荷を削減することができる。或いは、上記通知を適切に行うことができる。なお、月経時期は、例えば、ユーザの生理周期に関する情報、ユーザの生体情報(例えば体温)、またはそれらの組み合わせに基づいて推定されてもよい。
【0156】
上記説明では、情報処理において各ステップを特定の順序で実行する例を示したが、各ステップの実行順序は、依存関係がない限りは説明した例に制限されない。また、上記の情報処理の各ステップは、ウェアラブルデバイス10、クライアント装置30及びサーバ50の何れでも実行できる場合がある。例えば、いずれかの装置によって行われるとして説明された処理が別の装置によって行われたり、複数の装置のやり取りによって行われるとして説明された処理が単一の装置によって行われたりしてもよい。具体的には、サーバ50によって実行されると説明した処理の一部または全部がクライアント装置30によって行われてもよい。クライアント装置30およびサーバ50によって実行されると説明した処理の一部または全部がウェアラブルデバイス10によって行われてもよい。クライアント装置30は、ウェアラブルデバイス10からユーザ情報を取得する代わりに、内蔵または外付けのセンサからユーザ情報を取得してもよい。
【0157】
上記説明では、PMS症状の推定(S150)の後、直ちにアドバイスの決定(S151)および分析応答(S152)を実行する例を示した。しかしながら、アドバイスの決定(S151)の前に、PMS症状の推定結果とともに症状改善に関するアドバイス要否を確認するメッセージを提示(例えばディスプレイ21またはディスプレイ41に表示)してもよい。一例として、「このような症状はでていませんか? 症状の改善に関するアドバイスは必要でしょうか?」などのメッセージが提示され得る。ユーザは、必要に応じて、ウェアラブルデバイス10またはクライアント装置30を介して、PMS症状の推定結果を訂正したり、アドバイスの提示を断ったりする。ユーザがPMS症状の推定結果を訂正した場合に、サーバ50は、ユーザによる回答を考慮して、PMS症状の推定(S150)を再実施してもよい。ユーザがアドバイスの提示を断った場合には、サーバ50は、アドバイスの決定(S151)および分析応答(S152)を省略する。ユーザがPMS症状の推定結果を訂正することなくアドバイスの提示を要求した場合には、サーバ50は、アドバイスの決定(S151)および分析応答(S152)を実行する。これにより、ユーザの認識にそぐわない推定結果に対応するアドバイスが提示されるのを防ぐことができる。また、自己のPMS症状に関心はあるがアドバイスまでは必要としていないユーザにはアドバイスを提示することなくPMS症状の推定結果を提示することができる。
【0158】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲は上記の実施形態に限定されない。また、上記の実施形態は、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更が可能である。また、上記の実施形態及び変形例は、組合せ可能である。
【符号の説明】
【0159】
1 :情報処理システム
10 :ウェアラブルデバイス
11 :記憶装置
12 :プロセッサ
13 :入出力インタフェース
14 :通信インタフェース
21 :ディスプレイ
22 :センサ
30 :クライアント装置
31 :記憶装置
32 :プロセッサ
33 :入出力インタフェース
34 :通信インタフェース
41 :ディスプレイ
50 :サーバ
51 :記憶装置
52 :プロセッサ
53 :入出力インタフェース
54 :通信インタフェース