IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図1
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図2
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図3
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図4
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図5
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図6
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図7
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図8
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図9
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図10
  • 特開-乗客コンベアの安全装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074315
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】乗客コンベアの安全装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/04 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
B66B29/04 F
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185374
(22)【出願日】2022-11-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-10-11
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】田邉 寛仁
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA04
3F321GA28
(57)【要約】
【課題】物体が保護部10に接触しながら移動したとしてもスムーズに移動することができる乗客コンベアの安全装置を得る。
【解決手段】乗客コンベアの安全装置は、保護部10と回転部材11とを備える。保護部10は、下階階床と上階階床とに跨って設置された乗客コンベアと、乗客コンベアと隣り合う構造物8bとの間に形成された空間である三角部に固定され、三角部を覆うように配置される面10aを有する。回転部材11は、保護部10の面10aに回転可能に設けられ、回転部材11に接触した物体が下階階床の下階乗降口から上階階床の上階乗降口へ向かう方向に移動するように回転する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下階階床と上階階床とに跨って設置された乗客コンベアと、前記乗客コンベアと隣り合う構造物との間に形成された空間である三角部に固定され、前記三角部を覆うように配置される面を有する保護部と、
前記保護部の前記面に回転可能に設けられた回転部材と
を備え、
前記回転部材は、前記回転部材に接触した物体が前記下階階床の下階乗降口から前記上階階床の上階乗降口へ向かう方向に移動するように回転する乗客コンベアの安全装置。
【請求項2】
前記構造物に吊り下げられ、前記保護部より前記下階乗降口側に設けられる警告板と、
前記保護部と前記警告板との間に設けられる緩衝部材と
をさらに備えた請求項1に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項3】
前記緩衝部材は、一端が前記保護部に接続され、他端が前記警告板に接続される請求項2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項4】
前記面は、前記方向に向かって前記乗客コンベアに近づくように傾斜する請求項1から3のいずれか一項に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項5】
前記回転部材の表面は、緩衝性を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項6】
前記回転部材は、前記面に交換可能に設けられる請求項1から3のいずれか一項に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項7】
前記回転部材は、複数設けられる請求項1から3のいずれか一項に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項8】
前記回転部材の回転軸は、前記乗客コンベアの傾斜に対して垂直方向に延びるように設けられる請求項1から3のいずれか一項に記載の乗客コンベアの安全装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗客コンベアの安全装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の乗客コンベアの安全装置は、乗客コンベアとこの乗客コンベアの近傍に設置された構造物とが交差して形成される三角部に配設された保護部を備える。保護部は、乗客コンベアの進行方向に沿って次第に厚く形成した板厚を有する板状体からなる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-247927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的な乗客コンベアでは、乗客の手等の物体が保護部に接触したとしても、乗客コンベアの運転は停止されない。そのため、上記した従来の乗客コンベアの安全装置の保護部に物体が接触しながら移動することがある。この場合、物体と保護部との間に生じる摩擦力により物体の移動が妨げられるという課題があった。
【0005】
本開示は上記の課題を解決するためになされたものであり、物体が保護部に接触しながら移動したとしてもスムーズに移動することができる乗客コンベアの安全装置を得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる乗客コンベアの安全装置は、下階階床と上階階床とに跨って設置された乗客コンベアと、乗客コンベアと隣り合う構造物との間に形成された空間である三角部に固定され、三角部を覆うように配置される面を有する保護部と、保護部の面に回転可能に設けられた回転部材とを備え、回転部材は、回転部材に接触した物体が下階階床の下階乗降口から上階階床の上階乗降口へ向かう方向に移動するように回転する。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる乗客コンベアの安全装置は、物体が保護部に接触しながら移動したとしてもスムーズに移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1における乗客コンベアの側面図である。
図2】実施の形態1における乗客コンベアの安全装置の正面図である。
図3】実施の形態1における乗客コンベアの安全装置のA-A’断面図である。
図4】実施の形態1の変形例における乗客コンベアの側面図である。
図5】実施の形態1の変形例における乗客コンベアの安全装置の正面図である。
図6】実施の形態1の変形例における乗客コンベアの安全装置の正面図である。
図7】実施の形態2における乗客コンベアの安全装置の保護部の正面図である。
図8】実施の形態2における乗客コンベアの安全装置の保護部のB-B’断面図である。
図9】実施の形態3における乗客コンベアの安全装置の保護部の正面図である。
図10】実施の形態3における乗客コンベアの安全装置の回転部材の回転軸を拡大した正面図である。
図11】実施の形態3の変形例における乗客コンベアの安全装置の回転部材及び回転軸の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下に実施の形態1にかかる乗客コンベア1の安全装置2を詳細に説明する。なお、各図面における同一の符号は同一又は相当の構成を表している。
【0010】
図1に示すように、乗客コンベア1は、建物の下階階床8aと上階階床8bとに跨って設置される。乗客コンベア1は、トラス3、複数の踏段4、一対の欄干5、一対の移動手すり6及び一対のスカートガード7を備える。
【0011】
トラス3は、下階階床8aの下階乗降口9aと上階階床8bの上階乗降口9bとの間に架設される。トラス3の長手方向の一端は下階階床8aに支持され、他端は上階階床8bに支持される。
【0012】
複数の踏段4は、トラス3に支持されている。複数の踏段4は、無端状に連結されている。複数の踏段4が循環移動することにより乗客を下階乗降口9aから上階乗降口9bへ搬送する。
【0013】
一対の欄干5は、トラス3上に配置され、複数の踏段4の移動方向に沿ってその幅方向の両側に設けられる。一対の移動手すり6は、一対の欄干5のそれぞれの外周に沿って設けられる。一対の移動手すり6は、複数の踏段4と同期して移動し得るように設けられる。一対の移動手すり6の形状は、無端状の形状である。一対のスカートガード7は、一対の欄干5のそれぞれの下部に設けられる。なお、図1では、一対の欄干5、一対の手すり6及び一対のスカートガード7のうちの一方のみが示されている。
【0014】
図2に示すように、安全装置2は、保護部10、回転部材11、警告板12及びバネ13を備える。安全装置2は、乗客コンベア1の外側に配置される。なお、乗客コンベア1の内側とは複数の踏段4及び一対の移動手すり6の鉛直方向の上方にある空間をいい、乗客コンベア1の外側とは乗客コンベア1の内側以外の空間をいう。
【0015】
保護部10は、三角部に固定される。三角部とは、乗客コンベア1と、乗客コンベア1と隣り合う構造物である上階階床8bとの間に形成された空間である。つまり、三角部は、乗客コンベア1と上階階床8bとが交差することにより形成される。保護部10は、乗客の手若しくは頭部又は乗客が持っている鞄等の物体が三角部に挟まれることを抑制するものである。
【0016】
保護部10は、三角部を覆うように配置される面10aを有する。図3に示すように、保護部10は、中空四角柱に形成され、面10aは、下階乗降口9aから上階乗降口9bへ向かう方向P向かって乗客コンベア1に近づくように傾斜している。ここでいう方向Pとは、鉛直方向に直交する水平方向と平行な方向であって、下階乗降口9aから上階乗降口9bへ向かう方向をいう。つまり、図1の紙面の左右方向であって、右から左へ向かう方向をいう。面10aは、後述する回転部材11が配置される複数の開口10bを有する。
【0017】
図2、3に示すように、回転部材11は、保護部10の面10aに回転可能に設けられる。具体的には、回転部材11は、両端が保護部10に回転可能に固定された回転軸11aの周囲に固定される。回転部材11及び回転軸11aは、面10aの開口10bに配置され、鉛直方向に延びるように設けられる。回転部材11及び回転軸11aは4つ設けられ、所定の間隔を空けて配置される。
【0018】
警告板12は、上階階床8bに吊り下げられ、保護部10より下階乗降口9a側に設けられる。警告板12は、乗客コンベア1に乗って下階乗降口9aから上階乗降口9bに移動する乗客に三角部に接近していることを警告するものである。
【0019】
緩衝部材であるバネ13は、保護部10と警告板12との間に設けられる。バネ13は、一端が保護部10に接続され、他端が警告板12に接続される。バネ13は、水平方向に、つまり方向Pと平行な方向に伸縮可能に設けられる。
【0020】
次に、このように構成された乗客コンベア1の安全装置2に物体が接触した場合について説明する。
【0021】
乗客コンベア1は、上り方向に運転されている。乗客が下階乗降口9aから乗客コンベア1に乗ると、複数の踏段4の移動により上階乗降口9bへ搬送される。乗客が搬送される途中で乗客コンベア1の外側であって安全装置2が配置されている方向に物体を出した場合、物体が警告板12に接触する。この接触により、乗客は三角部への接近を認識し、物体を乗客コンベア1の内側へ戻すよう促される。また、物体が警告板12に接触したときバネ13が方向Pと平行な方向に伸縮するため、物体と警告板12とが接触したことによる衝撃が緩衝される。
【0022】
例えば物体が警告板12に接触した後、乗客が物体を乗客コンベア1の内側に戻さなかった場合、複数の踏段4の移動により、物体は保護部10又は回転部材11に接触する。保護部10の面10aに接触した物体は、面10aの傾斜により乗客コンベア1の内側へ向かう方向に案内されながら移動する。このとき、物体は面10a及び回転部材11に交互に接触する。つまり、物体は、面10aに接触した後、回転部材11に接触し、その後面10aに再び接触するように移動する。物体が面10aに接触しながら移動すると、物体と面10aとの間に生じる摩擦力により物体の移動が妨げられることがある。一方で、物体が回転部材11に接触したとき、回転部材11の回転により、物体が乗客コンベア1に近づきながら方向Pへ移動する。言い換えると、回転部材11は、回転部材11に接触した物体が乗客コンベア1に近づきながら方向Pに移動するように回転する。そのため、回転部材11に接触した物体は、その移動が妨げられにくく、スムーズに移動しやすい。このように物体は面10a及び回転部材11に交互に接触しながら、乗客コンベア1の内側に案内されて、三角部に挟まれることを抑制される。
【0023】
このような実施の形態1にかかる乗客コンベア1の安全装置2にあっては、三角部に固定され、三角部を覆うように配置される面10aを有する保護部10と、保護部10の面10aに回転可能に設けられた回転部材11とを備える。回転部材11は、回転部材11に接触した物体が乗客コンベア1に近づきながら方向Pに移動するように回転する。
【0024】
例えば物体が乗客の手である場合、乗客の手が保護部10の面10aに接触しながら移動すると、乗客の手と面10aとの間に生じる摩擦力により乗客の手の移動が妨げされることがある。これにより、乗客の手が引っ張られ、乗客が体のバランスを崩して転倒する恐れがある。実施の形態1にかかる乗客コンベア1の安全装置2は、面10aに回転可能に設けられた回転部材11を備える。そのため、物体が保護部10の面10aに接触しながら移動したとしても、その移動の途中で回転部材11と接触するため、スムーズに移動することができる。そして、乗客の手の移動が妨げられることにより乗客が体のバランスを崩して転倒することが抑制することができる。
【0025】
さらに、実施の形態1にかかる乗客コンベア1の安全装置2にあっては、上階階床8bに吊り下げられ、保護部10より下階乗降口9a側に設けられる警告板12と、保護部10と警告板12との間に設けられるバネ13をさらに備える。物体が警告板12に接触したときバネ13が方向Pと平行な方向に伸縮するため、物体と警告板12とが接触したことによる衝撃を緩衝することができる。そして、物体が損傷することを抑制することができる。
【0026】
さらに、実施の形態1にかかる乗客コンベア1の安全装置2にあっては、バネ13の一端が保護部10に接続され、他端が警告板12に接続される。物体が警告板12に接触することにより、警告板12が揺動し乗客コンベア1側に近づいて乗客に接触することがある。バネ13の両端が保護部10及び警告板12に接続されることにより、警告板12の揺動を抑制することができる。そのため、警告板12が乗客に接触することを抑制することができる。
【0027】
さらに、実施の形態1にかかる乗客コンベア1の安全装置2にあっては、保護部10の面10aが方向Pに向かって乗客コンベア1に近づくように傾斜している。保護部10の面10aに接触した物体は、面10aの傾斜により乗客コンベア1の内側へ向かう方向に案内されながら移動するため、物体が乗客コンベア1の内側に戻りやすく、三角部に挟まれることが抑制される。
【0028】
さらに、実施の形態1にかかる乗客コンベア1の安全装置2にあっては、回転部材11が複数設けられる。そのため、物体が保護部10の面10aに接触しながら移動したとしても、その移動の途中で複数の回転部材11と接触するため、よりスムーズに移動することができる。
【0029】
なお、安全装置2が保護部10、回転部材11、警告板12及びバネ13を備える例について説明したが、安全装置2は少なくとも保護部10及び回転部材11を備えていればよい。
【0030】
乗客コンベア1と隣り合う構造物が上階階床8bである例について説明したが、図4に示すように、当該構造物は乗客コンベア14であってもよい。この場合、警告板12は乗客コンベア14のトラスに吊り下げられる。また、保護部10及び警告板12の形状は、三角部及びその周辺の空間に合わせて適宜変更してもよい。
【0031】
保護部10の面10aは、方向Pに向かって乗客コンベア1に近づくように傾斜していなくてもよく、例えば方向Pに沿って延びていてもよい。
【0032】
回転部材11が複数設けられる例について説明したが、1つであってもよい。
【0033】
図5に示すように、回転部材11及びその回転軸11aは、乗客コンベア1の傾斜に対して垂直方向に延びるように設けられていてもよい。このような構成であっても、回転部材11は、回転部材11に接触した物体が下階乗降口9aから上階乗降口9bへ向かう方向P’に移動するように回転する。ここでいう方向P’とは、乗客コンベア1の傾斜と平行な方向であって、下階乗降口9aから上階乗降口9bへ向かう方向をいう。つまり、図1の紙面の左下から右上に向かう方向をいう。このように回転部材11が乗客コンベア1の傾斜に対して垂直方向に延びるように設けられることにより、回転部材11に接触した物体が乗客コンベア1の傾斜と平行な方向に沿ってスムーズに移動することができるため、乗客が物体を乗客コンベア1の内側に戻しやすくなる。
【0034】
緩衝部材がバネ13である例について説明したが、スポンジ等であってもよい。
【0035】
物体と警告板12とが接触したことによる衝撃を緩衝するためには、必ずしもバネ13の一端が保護部10に接続され、他端が警告板12に接続されていなくてもよい。例えば、図6に示すように、バネ13の一端のみが保護部10に接続されて固定され、他端が警告板12に接続されていなくてもよい。また、バネ13の他端のみが警告板12に接続されて固定され、一端が保護部10に接続されていなくてもよい。
【0036】
実施の形態2.
実施の形態2にかかる乗客コンベア1の安全装置2は、回転部材11の表面が緩衝性を有する点で実施の形態1と相違する。以下、その相違点について説明する。
【0037】
図7、8に示すように、回転部材11は、緩衝材であるスポンジ15を有する。スポンジ15が回転部材11に巻き付けられることにより、回転部材11の表面が緩衝性を有する。
【0038】
このような実施の形態2にかかる乗客コンベア1の安全装置2にあっても、実施の形態1にかかる乗客コンベア1の安全装置2と同様に、面10aに回転可能に設けられた回転部材11を備える。そのため、物体が保護部10の面10aに接触しながら移動したとしても、その移動の途中で回転部材11と接触するため、スムーズに移動することができる。そして、乗客の手の移動が妨げられることにより乗客が体のバランスを崩して転倒することが抑制することができる。
【0039】
さらに、実施の形態2にかかる乗客コンベア1の安全装置2にあっては、回転部材11の表面が緩衝性を有する。そのため、回転部材11に接触した物体が損傷することを抑制することができる。
【0040】
なお、緩衝材がスポンジ15である例について説明したが、気泡緩衝材、発泡スチロール又はゴム等であってもよい。
【0041】
なお、回転部材11を緩衝材で形成してもよい。この場合、部材の数を削減することができるため、製造コストを削減することができる。
【0042】
実施の形態3.
実施の形態3にかかる乗客コンベア1の安全装置2は、回転部材11が保護部10の面10aに交換可能に設けられる点で実施の形態1と相違する。以下、その相違点について説明する。
【0043】
図9に示すように、回転部材11の回転軸11aは、円筒部材16a及び挿入部材16bを備える。円筒部材16aは中空を有し、挿入部材16bが当該中空に挿入されるように形成される。円筒部材16aは、一端が保護部10に回転可能に固定される。挿入部材16bは、一端が円筒部材16aの中空に挿入され、他端が保護部10の凹部(図示せず)に回転可能に嵌合される。
【0044】
乗客コンベア1の安全装置2は、回転部材11の位置を固定する一対の固定部材17をさらに備える。一対の固定部材17は、回転軸11aの周囲に設けられる。一対の固定部材17の一方は、回転部材11より鉛直方向の下方に設けられ、他方は固定部材17より鉛直方向の上方に設けられる。
【0045】
回転部材11を交換する際は、図10に示すように、挿入部材16bを円筒部材16aの中空に挿入する。これにより開口10bの一部に空間が空くため、そこから古い回転部材11を回転軸11aから取り出し、新しい回転部材11を回転軸11aに挿入する。
【0046】
このような実施の形態3にかかる乗客コンベア1の安全装置2にあっても、実施の形態1にかかる乗客コンベア1の安全装置2と同様に、面10aに回転可能に設けられた回転部材11を備える。そのため、物体が保護部10の面10aに接触しながら移動したとしても、その移動の途中で回転部材11と接触するため、スムーズに移動することができる。そして、乗客の手の移動が妨げられることにより乗客が体のバランスを崩して転倒することが抑制することができる。
【0047】
さらに、実施の形態3にかかる乗客コンベア1の安全装置2にあっては、回転部材11が保護部10の面10aに交換可能に設けられる。そのため、物体が回転部材11に接触することにより4つの回転部材11のうちの1つが損傷したとしても、その1つの回転部材11のみを交換することにより安全装置2の修理を完了することができるため、修理のためにかかる手間が少ない。
【0048】
なお、図11に示すように、回転軸11aの両端が保護部10に回転可能に固定されている場合、回転部材11を2つの部品18a、bから形成することにより回転部材11を交換可能に設けてもよい。回転部材11を交換する際は、部品18aと部品18bとの接着をはがして古い回転部材11を回転軸11aから取り外す。そして、回転軸11aを挟むように新たな2つの部品18a、bを配置させて、部品18aと部品18bとを接着させる。なお、回転部材11は、3つ以上の部品から形成してもよい。
【0049】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
下階階床と上階階床とに跨って設置された乗客コンベアと、前記乗客コンベアと隣り合う構造物との間に形成された空間である三角部に固定され、前記三角部を覆うように配置される面を有する保護部と、
前記保護部の前記面に回転可能に設けられた回転部材と
を備え、
前記回転部材は、前記回転部材に接触した物体が前記下階階床の下階乗降口から前記上階階床の上階乗降口へ向かう方向に移動するように回転する乗客コンベアの安全装置。
(付記2)
前記構造物に吊り下げられ、前記保護部より前記下階乗降口側に設けられる警告板と、
前記保護部と前記警告板との間に設けられる緩衝部材と
をさらに備えた付記1に記載の乗客コンベアの安全装置。
(付記3)
前記緩衝部材は、一端が前記保護部に接続され、他端が前記警告板に接続される付記2に記載の乗客コンベアの安全装置。
(付記4)
前記面は、前記方向に向かって前記乗客コンベアに近づくように傾斜する付記1から3のいずれか一項に記載の乗客コンベアの安全装置。
(付記5)
前記回転部材の表面は、緩衝性を有する付記1から4のいずれか一項に記載の乗客コンベアの安全装置。
(付記6)
前記回転部材は、前記面に交換可能に設けられる付記1から5のいずれか一項に記載の乗客コンベアの安全装置。
(付記7)
前記回転部材は、複数設けられる付記1から6のいずれか一項に記載の乗客コンベアの安全装置。
(付記8)
前記回転部材の回転軸は、前記乗客コンベアの傾斜に対して垂直方向に延びるように設けられる付記1から7のいずれか一項に記載の乗客コンベアの安全装置。
【符号の説明】
【0050】
1 乗客コンベア、2 安全装置、8a 下階階床、8b 上階階床、9a 下階乗降口、9b 上階乗降口、10 保護部、10a 面、11 回転部材、11a 回転軸、12 警告板、13 バネ、14 乗客コンベア、15 スポンジ、P 方向、P’ 方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2023-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下階階床と上階階床とに跨って設置された乗客コンベアと、前記乗客コンベアと隣り合う構造物との間に形成された空間である三角部に固定され、前記三角部を覆うように配置される面を有する保護部と、
前記保護部の前記面に回転可能に設けられ、所定の間隔を空けて配置される回転部材と
を備え、
前記回転部材は、前記回転部材に接触した物体が前記下階階床の下階乗降口から前記上階階床の上階乗降口へ向かう方向に移動するように回転する乗客コンベアの安全装置。
【請求項2】
前記回転部材は、
前記所定の間隔として同じ間隔を空けて配置される
請求項1に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項3】
前記構造物に吊り下げられ、前記保護部より前記下階乗降口側に設けられる警告板と、
前記保護部と前記警告板との間に設けられる緩衝部材と
をさらに備えた請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項4】
前記緩衝部材は、一端が前記保護部に接続され、他端が前記警告板に接続される請求項に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項5】
前記面は、前記方向に向かって前記乗客コンベアに近づくように傾斜する請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項6】
前記回転部材の表面は、緩衝性を有する請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項7】
前記回転部材は、前記面に交換可能に設けられる請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項8】
前記回転部材は、複数設けられる請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項9】
前記回転部材の回転軸は、前記乗客コンベアの傾斜に対して垂直方向に延びるように設けられる請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項10】
下階階床と上階階床とに跨って設置された乗客コンベアと、前記乗客コンベアと隣り合う構造物との間に形成された空間である三角部に固定され、前記三角部を覆うように配置される面を有する保護部と、
前記保護部の前記面に回転可能に設けられた回転部材と、
前記構造物に吊り下げられ、前記保護部より前記下階乗降口側に設けられる警告板と、
前記保護部と前記警告板との間に設けられる緩衝部材と、
を備え、
前記回転部材は、前記回転部材に接触した物体が前記下階階床の下階乗降口から前記上階階床の上階乗降口へ向かう方向に移動するように回転する乗客コンベアの安全装置。
【請求項11】
前記緩衝部材は、一端が前記保護部に接続され、他端が前記警告板に接続される
請求項10に記載の乗客コンベアの安全装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示にかかる乗客コンベアの安全装置は、下階階床と上階階床とに跨って設置された乗客コンベアと、乗客コンベアと隣り合う構造物との間に形成された空間である三角部に固定され、三角部を覆うように配置される面を有する保護部と、保護部の面に回転可能に設けられ、所定の間隔を空けて配置される回転部材とを備え、回転部材は、回転部材に接触した物体が下階階床の下階乗降口から上階階床の上階乗降口へ向かう方向に移動するように回転する。
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下階階床と上階階床とに跨って設置された乗客コンベアと、前記乗客コンベアと隣り合う構造物との間に形成された空間である三角部に固定され、前記三角部を覆うように配置される面を有する保護部と、
前記保護部の前記面に回転可能に設けられ、所定の間隔を空けて配置される回転部材と
前記構造物に吊り下げられ、前記保護部より前記下階乗降口側に設けられる警告板と、
前記保護部と前記警告板との間に設けられる緩衝部材と
を備え、
前記回転部材は、前記回転部材に接触した物体が前記下階階床の下階乗降口から前記上階階床の上階乗降口へ向かう方向に移動するように回転する乗客コンベアの安全装置。
【請求項2】
前記緩衝部材は、一端が前記保護部に接続され、他端が前記警告板に接続される
請求項に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項3】
前記面は、前記方向に向かって前記乗客コンベアに近づくように傾斜する請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項4】
前記回転部材の表面は、緩衝性を有する請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項5】
前記回転部材は、前記面に交換可能に設けられる請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項6】
前記回転部材は、複数設けられる請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項7】
前記回転部材の回転軸は、前記乗客コンベアの傾斜に対して垂直方向に延びるように設けられる請求項1又は2に記載の乗客コンベアの安全装置。
【請求項8】
下階階床と上階階床とに跨って設置された乗客コンベアと、前記乗客コンベアと隣り合
う構造物との間に形成された空間である三角部に固定され、前記三角部を覆うように配置
される面を有する保護部と、
前記保護部の前記面に回転可能に設けられた回転部材と、
前記構造物に吊り下げられ、前記保護部より前記下階乗降口側に設けられる警告板と、
前記保護部と前記警告板との間に設けられる緩衝部材と、
を備え、
前記回転部材は、前記回転部材に接触した物体が前記下階階床の下階乗降口から前記上
階階床の上階乗降口へ向かう方向に移動するように回転する乗客コンベアの安全装置。
【請求項9】
前記緩衝部材は、一端が前記保護部に接続され、他端が前記警告板に接続される
請求項に記載の乗客コンベアの安全装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示にかかる乗客コンベアの安全装置は、下階階床と上階階床とに跨って設置された乗客コンベアと、乗客コンベアと隣り合う構造物との間に形成された空間である三角部に固定され、三角部を覆うように配置される面を有する保護部と、保護部の面に回転可能に設けられ、所定の間隔を空けて配置される回転部材と、構造物に吊り下げられ、保護部より下階乗降口側に設けられる警告板と、保護部と警告板との間に設けられる緩衝部材とを備え、回転部材は、回転部材に接触した物体が下階階床の下階乗降口から上階階床の上階乗降口へ向かう方向に移動するように回転する。