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特開2024-74321ズームレンズ、およびそれを有する光学機器、撮像システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074321
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ズームレンズ、およびそれを有する光学機器、撮像システム
(51)【国際特許分類】
   G02B 15/20 20060101AFI20240524BHJP
   G02B 13/18 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
G02B15/20
G02B13/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185388
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110412
【弁理士】
【氏名又は名称】藤元 亮輔
(74)【代理人】
【識別番号】100104628
【弁理士】
【氏名又は名称】水本 敦也
(74)【代理人】
【識別番号】100121614
【弁理士】
【氏名又は名称】平山 倫也
(72)【発明者】
【氏名】篠原 健志
【テーマコード(参考)】
2H087
【Fターム(参考)】
2H087KA01
2H087MA14
2H087MA16
2H087MA17
2H087MA19
2H087NA07
2H087NA14
2H087PA11
2H087PA12
2H087PA13
2H087PA19
2H087PA20
2H087PB13
2H087PB14
2H087PB15
2H087PB16
2H087QA02
2H087QA07
2H087QA17
2H087QA22
2H087QA25
2H087QA26
2H087QA34
2H087QA37
2H087QA41
2H087QA42
2H087QA46
2H087RA04
2H087RA05
2H087RA12
2H087RA13
2H087RA36
2H087RA44
2H087SA57
2H087SA61
2H087SA62
2H087SA63
2H087SA64
2H087SA65
2H087SA66
2H087SB05
2H087SB14
2H087SB15
2H087SB23
2H087SB32
2H087SB33
2H087SB34
2H087SB42
2H087SB43
(57)【要約】
【課題】ショートバックフォーカスに対応し、安価な構成で、全ズーム域および全被写体距離で高い光学性能を有するズームレンズを提供する。
【解決手段】ズームレンズは、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、複数のレンズ群からなる後続群LRからなる。後続群は、第1のフォーカスレンズ群LF1と、該第1のフォーカスレンズ群より物体側に配置された第2のフォーカスレンズ群LF2を含む。第2のフォーカスレンズ群は、無限遠から至近距離へのフォーカシングに際して、第1のズーム範囲では物体側へ移動し、第2のズーム範囲では像側へ移動する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、複数のレンズ群からなる後続群からなり、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記後続群は、第1のフォーカスレンズ群と、該第1のフォーカスレンズ群より物体側に配置された第2のフォーカスレンズ群を含み、
前記第2のフォーカスレンズ群は、無限遠から至近距離へのフォーカシングに際して、第1のズーム範囲では物体側へ移動し、第2のズーム範囲では像側へ移動することを特徴とするズームレンズ。
【請求項2】
前記第1のフォーカスレンズ群の焦点距離をf_fo、前記第2のフォーカスレンズ群の焦点距離をf_flとするとき、
-2.5<f_fo/f_fl<-1.0
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項3】
広角端における前記第1のフォーカスレンズ群の物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をD_fo、広角端における前記ズームレンズの光学全長をDLとするとき、
0.05<D_fo/DL<0.35
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項4】
広角端における前記第2のフォーカスレンズ群の物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をD_fl、広角端における前記ズームレンズの光学全長をDLとするとき、
0.35<D_fl/DL<0.55
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項5】
広角端における前記ズームレンズの焦点距離をfw、望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をft、前記第1のズーム範囲をfa、前記第2のズーム範囲をfbとするとき、
fw≦fa≦0.75×fw+0.25×ft
ft≧fb>0.75×fw+0.25×ft
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項6】
前記ズームレンズの広角端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての前記第1のフォーカスレンズ群の移動量をDL_fow、前記ズームレンズの広角端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての前記第2のフォーカスレンズ群の移動量をDL_flwとするとき、
0.00<DL_flw/DL_fow<0.40
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項7】
前記ズームレンズの望遠端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての前記第1のフォーカスレンズ群の移動量をDL_fot、前記ズームレンズの望遠端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての前記第2のフォーカスレンズ群の移動量をDL_fltとするとき、
-0.40<DL_flt/DL_fot<0.00
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項8】
前記後続群は、最も物体側に配置された負の屈折力の第3レンズ群を含むことを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項9】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とするとき、
0.40<f1/f3<1.30
なる条件式を満足することを特徴とする請求項8に記載のズームレンズ。
【請求項10】
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
-1.30<f1/f2<-0.85
なる条件式を満足することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項11】
前記第2レンズ群の少なくとも一部は、像振れ補正に際して、光軸に垂直な方向の成分を含む方向に移動することを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項12】
前記後続群は、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、第5レンズ群、第6レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項13】
前記後続群は、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、第5レンズ群、第6レンズ群、第7レンズ群からなることを特徴とする請求項1に記載のズームレンズ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載のズームレンズと、
前記ズームレンズによって形成された像を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする光学機器。
【請求項15】
前記撮像素子における広角側での有効像円径は、望遠端での有効像円径よりも小さいことを特徴とする請求項14に記載の光学機器。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか一項に記載のズームレンズと、ズーミングに際して前記ズームレンズを制御する制御部を有することを特徴とする撮像システム。
【請求項17】
前記制御部は、前記ズームレンズとは別体として構成されており、前記ズームレンズを制御するための制御信号を送信する送信部を有することを特徴とする請求項16に記載の撮像システム。
【請求項18】
前記制御部は、前記ズームレンズとは別体として構成されており、前記ズームレンズを操作するための操作部を有することを特徴とする請求項16に記載の撮像システム。
【請求項19】
前記ズームレンズのズームに関する情報を表示する表示部を有することを特徴とする請求項16に記載の撮像システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズに関し、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視用カメラ、車載カメラなどの光学機器に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、安価かつ全ズーム域および全被写体距離にわたり高い光学性能を有する大口径のズームレンズは市場として魅力がある。
【0003】
高性能化の技術の一つとして、フォーカシングに際して複数のフォーカスレンズ群を同時に移動させる、所謂フローティングフォーカス方式が知られている。
【0004】
また、カメラにおいてはクイックリターンミラーがない、所謂ミラーレスカメラが増えている。このミラーレスカメラはクイックリターンミラーのスペースが不要となるため、従来の交換レンズほどバックフォーカスを確保する必要がない。そのため、レンズの構成も従来の交換レンズとは異なり設計の自由度が増えるため、小型かつ軽量のレンズを設計することが可能となる。特に広角レンズは、バックフォーカスが短くなり易いため、ミラーレスカメラ用の交換レンズとしては小型化が可能となる。
【0005】
また、近年では画像処理技術の進歩により、一部の収差を電気的に補正することが可能となっている。特に色収差や歪曲収差といった諸収差を電気的に補正し、その他の収差補正に適した構成とすることで小型化や高画質化、コストダウンを行うことが可能となる。
【0006】
特許文献1には、物体側から順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、複数のレンズ群を有する後続群からなるズームレンズを開示している。特許文献1に開示されたズームレンズは、全ズーム域および全被写体距離にわたり高い光学性能を達成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015-197593号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】松居吉哉「レンズ設計法」第4章
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示されたズームレンズは、ズーム範囲が短く、望遠端でのFナンバーが暗いという課題があった。
【0010】
本発明は、ショートバックフォーカスに対応し、安価な構成で、全ズーム域および全被写体距離で高い光学性能を有するズームレンズを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一側面としてのズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、複数のレンズ群からなる後続群からなり、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、前記後続群は、第1のフォーカスレンズ群と、該第1のフォーカスレンズ群より物体側に配置された第2のフォーカスレンズ群を含み、前記第2のフォーカスレンズ群は、無限遠から至近距離へのフォーカシングに際して、第1のズーム範囲では物体側へ移動し、第2のズーム範囲では像側へ移動することを特徴とする。
【0012】
本発明の他の目的及び特徴は、以下の実施形態において説明される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ショートバックフォーカスに対応し、安価な構成で、全ズーム域および全被写体距離で高い光学性能を有するズームレンズを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例1のズームレンズのレンズ断面図である。
図2】実施例1のズームレンズの広角端での収差図である。
図3】実施例1のズームレンズの中間での収差図である。
図4】実施例1のズームレンズの望遠端での収差図である。
図5】実施例2のズームレンズのレンズ断面図である。
図6】実施例2のズームレンズの広角端での収差図である。
図7】実施例2のズームレンズの中間での収差図である。
図8】実施例2のズームレンズの望遠端での収差図である。
図9】実施例3のズームレンズのレンズ断面図である。
図10】実施例3のズームレンズの広角端での収差図である。
図11】実施例3のズームレンズの中間での収差図である。
図12】実施例3のズームレンズの望遠端での収差図である。
図13】実施例4のズームレンズのレンズ断面図である。
図14】実施例4のズームレンズの広角端での収差図である。
図15】実施例4のズームレンズの中間での収差図である。
図16】実施例4のズームレンズの望遠端での収差図である。
図17】実施例5のズームレンズのレンズ断面図である。
図18】実施例5のズームレンズの広角端での収差図である。
図19】実施例5のズームレンズの中間での収差図である。
図20】実施例5のズームレンズの望遠端での収差図である。
図21】光学機器(撮像装置)の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明のズームレンズ及びそれを有する撮像装置、撮像システムの実施例について、添付の図面に基づいて説明する。
【0016】
図1図5図9図13図17は、それぞれ実施例1乃至5のズームレンズの広角端における無限遠合焦時のレンズ断面図である。各実施例のズームレンズは、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視用カメラ、車載カメラなどの撮像装置に用いられるズームレンズである。
【0017】
各レンズ断面図において、左方が物体側(前方)で、右方が像側(後方)である。各実施例のズームレンズは、複数のレンズ群を有して構成されている。本願明細書においてレンズ群とは、ズーミングに際して一体的に移動または静止するレンズのまとまりである。すなわち、各実施例のズームレンズでは、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群同士の間隔が変化する。なお、レンズ群は1枚のレンズから構成されていても良いし、複数のレンズから成っていても良い。また、レンズ群は開口絞りを含んでいても良い。
【0018】
各レンズ断面図において、Liは、ズームレンズのうち物体側から数えて第i番目(iは自然数)のレンズ群を表している。
【0019】
また、SPは開口絞りである。IPは像面であり、各実施例のズームレンズをデジタルスチルカメラやビデオカメラの撮影光学系として使用する際にはCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)の撮像面が配置される。各実施例のズームレンズを銀塩フィルム用カメラの撮影光学系として使用する際には像面IPにはフィルム面に相当する感光面が置かれる。
【0020】
光軸方向の矢印は、無限遠から至近距離へのフォーカシングに際して移動するフォーカスレンズ群の移動方向を示している。また各レンズ群の下に記載の矢印は、広角端から望遠端へのズーミングにおける各レンズ群の移動軌跡を示している。
【0021】
尚、以下の各実施例において広角端と望遠端はレンズ群が機構上光軸上移動可能な範囲の両端に位置したときのズーム位置をいう。
【0022】
図2図6図10図14図18は、それぞれ実施例1乃至5のズームレンズの広角端における収差図である。
【0023】
図3図7図11図15図19は、それぞれ実施例1乃至5のズームレンズの中間ズーム位置における収差図である。
【0024】
図4図8図12図16図20は、それぞれ実施例1乃至5のズームレンズの望遠端における収差図である。
【0025】
球面収差図において、FnoはFナンバーであり、d線(波長587.56nm)、g線(波長435.83nm)に対する球面収差量を示している。非点収差図においてΔSはd線におけるサジタル像面での非点収差量、ΔMはd線におけるメリディオナル像面での非点収差量を示している。歪曲収差図においてd線に対する歪曲収差量を示している。色収差図ではg線における色収差量を示している。ωは撮像半画角(°)(近軸計算における画角)である。
【0026】
次に、各実施例のズームレンズにおける特徴的な構成について述べる。
【0027】
各実施例のズームレンズは、ショートバックフォーカスに対応し、安価な構成で、全ズーム域および全被写体距離において高い光学性能を有することが特徴である。特に、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、監視用カメラ、車載カメラなどに用いられる光学機器に好適なものである。
【0028】
近年、撮像装置をコンパクトにするため、主に広角領域において歪曲収差を電気的に補正する電子歪曲補正が多く導入されている。電子歪曲収差補正を導入した撮像装置は、レンズ径の小型等のコンパクト化に有利である。しかしながら、電子歪曲補正を用いるズームレンズでは、フォーカシング時の収差変動が大きくなるという問題点が知られている。
【0029】
収差論では、無限遠から至近距離にフォーカシングする過程は、無限遠距離から至近距離に物体距離が移動する過程(物体距離移動)と、その物体距離にフォーカシングするためにフォーカスレンズ群が移動する過程(フォーカスレンズ群移動)とに分離できる。収差論を用いると、物体距離移動時に像面湾曲の変動が原理的に大きくなり、フォーカシング時の像面湾曲の変動も大きくなる傾向にある。それは、非特許文献1によれば、歪曲収差に関する3次収差係数Vが大きいために、以下の式で表される、非点収差に関する3次収差係数IIIの物体距離移動時の変動量(ΔIII)も大きくなることから説明される。
【0030】
(ΔIII)=-δ(V+II)+δ×I
ここで、δは物体距離移動パラメータ、IIは瞳のコマ収差に関する3次収差係数、Iは瞳の球面収差に関する3次収差係数である。
【0031】
リアフォーカスを採用したズームレンズは、絞り付近に手振れ補正用のレンズ群を配置したコンパクトデジタルカメラで採用されることが多い。一般に、撮像装置に用いられる撮像素子が大型化してくると、撮像装置に用いられるズームレンズには全ズーム範囲及び全物体距離にわたり高い光学性能が求められる。例えば、フォーカシングに際して収差変動が少ないこと、特に画面全体に高い光学性能を維持するため像面湾曲の変動が少ないことが求められる。
【0032】
一方、電子歪曲補正を行う機能を有する撮像装置に用いるズームレンズでは、歪曲収差を許容されるため、広画角化を図りつつレンズ全系の小型化が容易となる。しかしながら、このようなズームレンズは、広角領域においてフォーカシングする際、像面湾曲の変動が増大してくる。
【0033】
交換レンズを大型の撮像素子に適応した場合、フォーカシング時の像面湾曲の変動が増大する傾向にある。特にリアフォーカスのズームレンズでは、軸外光束の光軸からの高さが高く、光軸上の位置による高さ変化が大きいことから、フォーカシングの際の像面湾曲変化が大きくなる傾向がある。
【0034】
各実施例のズームレンズでは、所定の撮影画角を有しつつ、フォーカシングに際しての収差変動が少なく、画面全体にわたり高い光学性能を得るために、フローティングフォーカス方式が採用されている。各実施例のズームレンズでは、第1のフォーカスレンズ群より物体側に配置された第2のフォーカスレンズ群を、軸上光束が略平行で軸外光束が光軸に対して角度が大きい領域で移動させている。これにより、フォーカシング時の第2のフォーカスレンズ群の球面収差の変化を抑え、像面湾曲の変化を発生させている。広角側では、第2のフォーカスレンズ群を物体側へ移動させることで、無限遠から至近距離へのフォーカシングに際しての歪曲収差による像面湾曲のアンダーの変化をキャンセルしている。
【0035】
一方、望遠側では、第2のフォーカスレンズ群を像側へ移動させることで、無限遠から至近距離へのフォーカシングに際しての第1のフォーカスレンズ群での像面湾曲のオーバーの変化をキャンセルしている。
【0036】
各実施例のズームレンズは、上記のように構成することで、ショートバックフォーカスに対応し、安価な構成で全ズーム域および全被写体距離において高い光学性能を達成している。
【0037】
具体的には、各実施例のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、複数のレンズ群からなる後続群LRからなる。各実施例のズームレンズは、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズである。
【0038】
後続群LRは、第1のフォーカスレンズ群LF1と、第1のフォーカスレンズ群LF1より物体側に配置された第2のフォーカスレンズ群をLF2含む。
【0039】
第2のフォーカスレンズ群LF2は、無限遠から至近距離へのフォーカシングに際して、第1のズーム範囲では無物体側へ移動し、第2のズーム範囲では像側へ移動する。
【0040】
前述したように、各実施例のズームレンズでは、第1のフォーカスレンズ群LF1においてフォーカシングの際に発生する像面湾曲の変化を第2のフォーカスレンズ群LF2の移動方向をズーム位置に応じて変えることによってキャンセルすることが重要となる。
【0041】
次に、各実施例のズームレンズが満足することが好ましい条件について述べる。各実施例のズームレンズは、以下の条件式(1)から(9)のうち1つ以上を満足することが好ましい。
【0042】
各実施例のズームレンズは、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
【0043】
-2.5<f_fo/f_fl<-1.0 ・・・(1)
ここで、f_foは第1のフォーカスレンズ群LF1の焦点距離である。f_flは第2のフォーカスレンズ群LF2の焦点距離である。
【0044】
条件式(1)は、後続群LR内に配置された第1のフォーカスレンズ群LF1の焦点距離と第2のフォーカスレンズ群LF2の焦点距離の比に関し、フォーカシング時の像面湾曲変動および球面収差変動に関する。条件式(1)の下限値を下回ると、第1のフォーカスレンズ群LF1のパワーが弱まり、フォーカシング時の移動量が増え、像面湾曲の変動量が大きくなる。このため、第2のフォーカスレンズ群LF2で像面湾曲の変動をキャンセルすることが困難となり好ましくない。一方、条件式(1)の上限値を上回ると、第2のフォーカスレンズ群LF2のパワーが弱まり、第2レンズ群L2を通過してきた軸上光束が略平行光とならない。このため、球面収差の変動を抑えることが困難となり好ましくない。
【0045】
また、各実施例のズームレンズは、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
【0046】
0.05<D_fo/DL<0.35 ・・・(2)
ここで、D_foはズームレンズの広角端における第1のフォーカスレンズ群LF1の物体側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離である。DLは広角端におけるズームレンズの光学全長である。光学全長とは、ズームレンズにおいて最も物体側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離である。
【0047】
条件式(2)は、第1のフォーカスレンズ群LF1の配置に関し、特にズーム全域におけるフォーカシング時の像面湾曲変化に関する。条件式(2)の下限値を下回ると、第1のフォーカスレンズ群LF1が像面IPに近づくため、フォーカシング時の繰り出し量が増え、像面湾曲変動が大きくなるため好ましくない。また、バックフォーカスを確保することが困難となり好ましくない。一方、条件式(2)の上限値を上回ると、第1のフォーカスレンズ群LF1が像面IPから離れるためフォーカシング時の像面湾曲変動を抑えることができるが、球面収差の変動が大きくなるため好ましくない。
【0048】
また、各実施例のズームレンズは、以下の条件式(3)を満足することが好ましい。
【0049】
0.35<D_fl/DL<0.55 ・・・(3)
ここで、D_flはズームレンズの広角端における第2のフォーカスレンズ群LF2の物体側のレンズ面から像面IPまでの光軸上の距離である。DLは広角端におけるズームレンズの光学全長である。
【0050】
条件式(3)は、第2のフォーカスレンズ群LF2の配置に関し、特に像面湾曲とコマ収差に関する。条件式(3)の下限値を下回ると、第2のフォーカスレンズ群LF2が像面IPに近づくためフォーカシング時の像面湾曲変動およびコマ収差を抑えることが困難となり好ましくない。一方、条件式(3)の上限値を上回ると、第2のフォーカスレンズ群LF2が像面IPから離れるため、レンズ自体が大型化し、高速なフォーカシングの点で不利となり好ましくない。
【0051】
また、各実施例のズームレンズは、以下の条件式(4)および条件式(5)を満足することが好ましい。
【0052】
fw≦fa≦0.75×fw+0.25×ft ・・・(4)
ft≧fb>0.75×fw+0.25×ft ・・・(5)
ここで、fwは広角端におけるズームレンズの焦点距離である。ftは望遠端におけるズームレンズの焦点距離である。faは第1のズーム範囲であり、fbは第2のズーム範囲である。
【0053】
条件式(4)は、第1のズーム範囲に関する条件式である。条件式(4)の上限値を上回ると、歪曲収差が小さくり、第1のフォーカスレンズ群LF1のフォーカシング時の像面湾曲変化がオーバーとなる。このため、第2のフォーカスレンズ群LF2を物体側ではなく像側へ移動させて像面湾曲の変化をキャンセルさせる必要があり好ましくない。なお、条件式(4)の下限値を下回ることはない。
【0054】
条件式(5)は、第2のズーム範囲に関する条件式である。条件式(5)の下限値を下回ると、歪曲収差が大きくなり、第1のフォーカスレンズ群LF1のフォーカシング時の像面湾曲変化がアンダーとなる。このため、第2のフォーカスレンズ群LF2を像側ではなく物体側へ移動させて像面湾曲の変化をキャンセルさせる必要があり好ましくない。なお、条件式(5)の上限値を上回ることはない。
【0055】
また、各実施例のズームレンズは、以下の条件式(6)を満足することが好ましい。
【0056】
0.00<DL_flw/DL_fow<0.40 ・・・(6)
ここで、DL_fowはズームレンズの広角端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての第1のフォーカスレンズ群LF1の移動量である。DL_flwはズームレンズの広角端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての第2のフォーカスレンズ群LF2の移動量である。移動量の符号は、物体側への移動をマイナスとし、像側への移動をプラスとする。
【0057】
条件式(6)は、広角端における第1のフォーカスレンズ群LF1の移動量と第2のフォーカスレンズ群LF2の移動量に関し、特に像面湾曲に関する。条件式(6)の下限値を下回ると、フォーカシング時に第1のフォーカスレンズ群LF1で発生する像面湾曲変化を第2のフォーカスレンズ群LF2でより大きくすることになるため好ましくない。一方、条件式(6)の上限値を上回ると、フォーカシング時に第1のフォーカスレンズ群LF1で発生する像面湾曲変化を第2のフォーカスレンズ群LF2で過剰に補正するため、オーバーの変化が大きくなり好ましくない。
【0058】
また、各実施例のズームレンズは、以下の条件式(7)を満足することが好ましい。
【0059】
-0.40<DL_flt/DL_fot<0.00 ・・・(7)
ここで、DL_fotはズームレンズの望遠端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての第1のフォーカスレンズ群LF1の移動量である。DL_fltはズームレンズの望遠端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての第2のフォーカスレンズ群LF2の移動量である。移動量の符号は、物体側への移動をマイナスとし、像側への移動をプラスとする。
【0060】
条件式(7)は、望遠端における第1のフォーカスレンズ群LF1の移動量と第2のフォーカスレンズ群LF2の移動量に関し、特に像面湾曲に関する。条件式(7)の下限値を下回ると、フォーカシング時に第1のフォーカスレンズ群LF1で発生する像面湾曲変化を第2のフォーカスレンズ群LF2で過剰に補正するため、アンダーの変化が大きくなり好ましくない。一方、条件式(7)の上限値を上回ると、フォーカシング時に第1のフォーカスレンズ群LF1で発生する像面湾曲変化を第2のフォーカスレンズ群LF2でより大きくすることになるため好ましくない。
【0061】
また、各実施例のズームレンズは、以下の条件式(8)を満足することが好ましい。
【0062】
0.40<f1/f3<1.30 ・・・(8)
ここで、f1は第1レンズ群L1の焦点距離である。f3は第3レンズ群L3の焦点距離である。
【0063】
条件式(8)は、第1レンズ群L1と第3レンズ群L3のパワー比に関し、特に球面収差および像面湾曲に関する。条件式(8)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1のパワーが強まるため、像面湾曲および球面収差を補正することが困難となり好ましくない。一方、条件式(8)の上限値を上回ると、第1レンズ群L1よりも第3レンズ群L3のパワーが強まる。このため、フォーカシング時の第3レンズ群L3の移動量を減らす上で有利となるが、高画角および変倍比を確保するために第3レンズ群L3が大型化するため好ましくない。
【0064】
また、各実施例のズームレンズは、以下の条件式(9)を満足することが好ましい。
【0065】
-1.30<f1/f2<-0.85 ・・・(9)
ここで、f1は第1レンズ群L1の焦点距離である。f2は第2レンズ群L2の焦点距離である。
【0066】
条件式(9)は、第1レンズ群L1と第2レンズ群L2のパワー比に関し、特に球面収差および像面湾曲に関する。条件式(9)の下限値を下回ると、第1レンズ群L1よりも第2レンズ群L2のパワーが強まるため、変倍時の第2レンズ群L2の移動量を減らす上で有利となるが、球面収差を補正することが困難となり好ましくない。一方、条件式(9)の上限値を上回ると、第1レンズ群L1のパワーが強まるため、像面湾曲を補正することが困難となり好ましくない。
【0067】
なお、条件式(1)乃至(9)(条件式(4)および(5)を除く)の数値範囲は、以下の条件式(1a)乃至(9a)の範囲とすることがより好ましい。
【0068】
-2.3<f_fo/f_fl<-1.0 ・・・(1a)
0.05<D_fo/DL<0.30 ・・・(2a)
0.37<D_fl/DL<0.55 ・・・(3a)
0.00<DL_flw/DL_fow<0.35 ・・・(6a)
-0.35<DL_flt/DL_fot<0.00 ・・・(7a)
0.40<f1/f3<1.28 ・・・(8a)
-1.30<f1/f2<-0.90 ・・・(9a)
また、条件式(1)乃至(9)(条件式(4)および(5)を除く)の数値範囲は、以下の条件式(1b)乃至(9b)の範囲とすることが更に好ましい。
【0069】
-2.0<f_fo/f_fl<-1.1 ・・・(1b)
0.10<D_fo/DL<0.25 ・・・(2b)
0.40<D_fl/DL<0.53 ・・・(3b)
0.00<DL_flw/DL_fow<0.30 ・・・(6b)
-0.30<DL_flt/DL_fot<0.00 ・・・(7b)
0.42<f1/f3<1.25 ・・・(8b)
-1.25<f1/f2<-0.95 ・・・(9b)
次に、各実施例のズームレンズが満足することが好ましい構成について述べる。
【0070】
各実施例のズームレンズでは、第2レンズ群L2の少なくとも一部は、像振れ補正に際して、光軸に垂直な方向の成分を含む方向に移動する。これにより、ズームレンズ全体が振動した際の撮影画像のブレを補正する。
【0071】
各実施例のズームレンズでは、後続群LRは、最も物体側に配置された負の屈折力の第3レンズ群L3を含む。これにより、第2レンズ群L2で収斂する光束を略平行にすることができる。
【0072】
なお、各実施例のズームレンズにおいて、諸収差のうち歪曲収差の補正は電気的な画像処理によって行われてもよい。特に、撮像素子における広角側での有効撮像範囲(有効像円径)を望遠端での有効像円径よりも小さくし、上記歪曲収差の補正を行うことは、前玉径の小型化に寄与する。
【0073】
各実施例では、以上のように各レンズ群を構成することによって、ショートバックフォーカスに対応し、安価な構成で全ズーム域および全被写体距離で高い光学性能を有するズームレンズを得ている。
【0074】
次に、各実施例のズームレンズについて詳細に述べる。
【0075】
各実施例のズームレンズにおける各レンズ群のレンズ構成について説明する。
【0076】
各実施例のズームレンズにおいて第1レンズ群L1は、物体側から像側へ順に配置された、物体側のレンズ面が凸形状の負メニスカスレンズ、両側のレンズ面が凹形状の負レンズ、パワーの弱い負レンズ、物体側のレンズ面が凸形状の正メニスカスレンズからなる。各実施例のズームレンズでは、小型化のために第1レンズ群L1の屈折力を適切な範囲で強めている。第1レンズ群L1の屈折力を強めた際、第1レンズ群L1において諸収差が発生する。特に広角端における歪曲収差および像面湾曲が多く発生する。そこで、第1レンズ群L1の負の屈折力を3枚に分担し、歪曲収差に対しては電子歪曲補正を適用することで、これらの収差を良好に補正している。
【0077】
各実施例1、2、4および5のズームレンズにおいて、第2レンズ群L2は、物体側から像側へ順に配置された、4枚のレンズからなる。該4枚のレンズは、物体側から像側へ順に、両側のレンズ面が凸形状の正レンズ、物体側のレンズ面が凸形状の負レンズと両側のレンズ面が凸形状の正レンズとを接合した接合レンズ、両側のレンズ面が凸形状の正レンズである。実施例3のズームレンズにおいて、第2レンズ群L2は、物体側から像側へ順に配置された、両側のレンズ面が凸形状の正レンズ、物体側のレンズ面が凸形状の負レンズと両側のレンズ面が凸形状の正レンズとを接合した接合レンズの3枚のレンズからなる。各実施例のズームレンズでは、変倍比を大きくするため第2レンズ群L2の屈折力を適切な範囲で強めている。第2レンズ群L2の屈折力を強めた際、第2レンズ群L2において諸収差が発生する。特に球面収差および軸上色収差が多く発生する。第2レンズ群L2の正の屈折力を3枚または2枚の正レンズで分担し、球面収差の発生を低減している。また、接合レンズおよび正レンズに低分散のガラスを使用することによって軸上色収差を抑制している。このようなレンズ構成により、変倍比を大きくしながら光学全長の短縮を行っている。
【0078】
各実施例のズームレンズにおいて、第3レンズ群L3は、両側のレンズ面が凹形状の負レンズと物体側のレンズ面が凸形状の正レンズとを接合した接合レンズからなる。各実施例のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第3レンズ群L3を構成することで、第3レンズ群L3の小型化および軽量化を図っている。特に、第3レンズ群L3の両側のレンズ面を凹面とすることで、第2レンズ群L2で発生した球面収差を補正し、フォーカシング時の像面湾曲の変動を抑制している。
【0079】
実施例1および4のズームレンズにおいて、第4レンズ群L4は、物体側のレンズ面が凸形状の1枚の正レンズからなる。少ないレンズ枚数で第4レンズ群L4を構成することで、第4レンズ群L4の薄型化および軽量化を図っている。特に、第4レンズ群L4を物体側に凸形状とすることで、球面収差の発生を抑えている。
【0080】
実施例2および3のズームレンズにおいて、第4レンズ群L4は、両側のレンズ面が凸形状の正レンズと、物体側のレンズ面が凹形状の負メニスカスレンズからなる。実施例2および3のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第4レンズ群L4を構成することで、第4レンズ群L4の薄型化を図っている。特に、物体側のレンズ面が凹形状の負メニスカスレンズにより、像面湾曲の発生を抑制している。
【0081】
実施例5のズームレンズにおいて、第4レンズ群L4は、物体側から像側へ順に配置された、物体側のレンズ面が凸形状の負メニスカスレンズと両側のレンズ面が凸形状の正レンズとを接合した接合レンズ、両側のレンズ面が凸形状の正レンズからなる。実施例5のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第4レンズ群L4を構成することで第4レンズ群L4の薄型化を図っている。特に、物体側のレンズ面が凸形状の負メニスカスレンズにより、球面収差およびコマ収差の発生を抑制している。
【0082】
実施例1および4のズームレンズにおいて、第5レンズ群L5は、物体側から像側へ順に配置された、両側のレンズ面が凸形状の正レンズ、物体側のレンズ面が凹形状の負メニスカスレンズからなる。実施例1および4のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第5レンズ群L5を構成することで、第5レンズ群L5の薄型化を図っている。特に、物体側のレンズ面が凹形状の負メニスカスレンズにより、像面湾曲の発生を抑制している。
【0083】
実施例2および3のズームレンズにおいて、第5レンズ群L5は、両側のレンズ面が凸形状の1枚の正レンズからなる。実施例2および3のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第5レンズ群L5を構成することで、第5レンズ群L5の薄型化および軽量化を図っている。特に、比重の軽い硝材を採用することで、変倍時およびフォーカシング時の移動を高速化できる。また、正の屈折力とすることで、撮像素子へ入射する光線角度を抑制している。
【0084】
実施例5のズームレンズにおいて、第5レンズ群L5は、物体側のレンズ面が凸形状の1枚の負メニスカスレンズからなる。実施例5のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第5レンズ群L5を構成することで、第5レンズ群L5の薄型化を図っている。特に、物体側のレンズ面が凸形状の負メニスカスレンズにより、第4レンズ群L4で発生したコマ収差を補正している。
【0085】
実施例1および4のズームレンズにおいて、第6レンズ群L6は、両側のレンズ面が凸形状の1枚の正レンズからなる。実施例1および4のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第6レンズ群L6を構成することで、第6レンズ群L6の薄型化および軽量化を図っている。特に、比重の軽い硝材を採用することで、変倍時およびフォーカシング時の移動を高速化できる。また、正の屈折力とすることで、撮像素子へ入射する光線角度を抑制している。
【0086】
実施例2および3のズームレンズにおいて、第6レンズ群L6は、像側のレンズ面が凸形状の1枚の負メニスカスレンズからなる。実施例2および3のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第6レンズ群L6を構成することで、第6レンズ群L6の薄型化および軽量化を図っている。第6レンズ群L6を像側に凸のメニスカス形状とすることで、像面湾曲を補正し、撮像素子へ入射する光線角度を抑制し、ズーム全域の倍率色収差を補正している。
【0087】
実施例5のズームレンズにおいて、第6レンズ群L6は、像側のレンズ面が凹形状の1枚の負メニスカスレンズからなる。実施例5のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第6レンズ群L6を構成することで、第6レンズ群L6の薄型化を図っている。特に、第6レンズ群L6を像側に凹の負メニスカスレンズとすることで、像面湾曲の発生を抑制している。
【0088】
実施例1および4のズームレンズにおいて、第7レンズ群L7は、像側のレンズ面が凸形状の1枚の負メニスカスレンズからなる。実施例1および4のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第7レンズ群L7を構成することで、第7レンズ群L7の薄型化および軽量化を図っている。第7レンズ群L7を像側に凸のメニスカス形状とすることで、像面湾曲を補正し、撮像素子へ入射する光線角度を抑制し、ズーム全域の倍率色収差を補正している。
【0089】
実施例5のズームレンズにおいて、第7レンズ群L7は、両側のレンズ面が凸形状の1枚の正レンズからなる。実施例5のズームレンズでは、少ないレンズ枚数で第7レンズ群L7を構成することで、第7レンズ群L7の薄型化および軽量化を図っている。第7レンズ群L7を両凸形状とすることで、フォーカシング時の像面湾曲を抑制し、撮像素子へ入射する光線角度を抑制し、ズーム全域の倍率色収差を補正している。
【0090】
各実施例のズームレンズのレンズ群構成について述べる。
【0091】
図1および図13は、それぞれ実施例1および4のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。実施例1および4のズームレンズは、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、後続群LRからなる。後続群LRは、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群L5、正の屈折力の第6レンズ群L6、負の屈折力の第7レンズ群L7からなる。開口絞りSPは、第3レンズ群L3の物体側に配置されており、ズーミングに際して第3レンズ群L3と一体的に移動する。
【0092】
図5および図9は、それぞれ実施例2および3のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。実施例2および3のズームレンズは、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、後続群LRからなる。後続群LRは、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4、正の屈折力の第5レンズ群L5、負の屈折力の第6レンズ群L6からなる。開口絞りSPは、第3レンズ群L3の物体側に配置されており、ズーミングに際して第3レンズ群L3と一体的に移動する。
【0093】
図17は、実施例5のズームレンズの広角端におけるレンズ断面図である。実施例5のズームレンズは、負の屈折力の第1レンズ群L1、正の屈折力の第2レンズ群L2、後続群LRからなる。後続群LRは、負の屈折力の第3レンズ群L3、正の屈折力の第4レンズ群L4、負の屈折力の第5レンズ群L5、負の屈折力の第6レンズ群L6、正の屈折力の第7レンズ群L7からなる。開口絞りSPは、第3レンズ群L3の物体側に配置されており、ズーミングに際して第3レンズ群L3と一体的に移動する。
【0094】
実施例1および4のズームレンズでは、広角端から望遠端へのズーミングに際して、矢印に示すように、第1レンズ群L1は像側に凸の軌跡で移動し、第2レンズ群L2から第7レンズ群L7は物体側へ移動する。第6レンズ群L6を物体側に移動させることで、変倍に伴う像面変動を補正している。
【0095】
実施例1および4のズームレンズは、第3レンズ群L3および第6レンズ群L6を光軸上に沿って移動させてフォーカシングを行うフローティングフォーカス方式を採用している。第6レンズ群L6に関する実線の曲線6aと点線の曲線6bは、各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの変倍に伴う像面変動を補正するための第6レンズ群L6の移動軌跡である。このように、第6レンズ群L6を物体側へ移動させることで、第5レンズ群L5と第7レンズ群L7との間の空間の有効利用を図り、光学全長の短縮化を効果的に達成している。
【0096】
実施例1および4のズームレンズでは、望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカシングを行う場合には、第3レンズ群L3を広角側では物体側に移動させ、望遠側では像側に移動させている。また、望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカシングを行う場合には、矢印6cに示すように、第6レンズ群L6を物体側に移動させている。第1レンズ群L1は、フォーカシングに際して光軸方向に固定であるが、収差補正上必要に応じて移動させてもよい。
【0097】
実施例2および3のズームレンズでは、広角端から望遠端へのズーミングに際して、矢印に示すように、第1レンズ群L1は像側に凸の軌跡で移動し、第2レンズ群L2から第6レンズ群L6は物体側へ移動する。第5レンズ群L5を物体側に移動させることで、変倍に伴う像面変動を補正している。
【0098】
実施例2および3のズームレンズでは、第3レンズ群L3および第5レンズ群L5を光軸上に沿って移動させてフォーカシングを行うフローティングフォーカス方式を採用している。第5レンズ群L5に関する実線の曲線5aと点線の曲線5bは、各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの変倍に伴う像面変動を補正するための第5レンズ群L5の移動軌跡である。このように、第5レンズ群L5を物体側へ移動させることで、第4レンズ群L4と第6レンズ群L6との間の空間の有効利用を図り、光学全長の短縮化を効果的に達成している。
【0099】
実施例2および3のズームレンズでは、望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカシングを行う場合には、第3レンズ群L3を広角側では物体側に移動させ、望遠側では像側に移動させている。また、望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカシングを行う場合には、矢印5cに示すように、第5レンズ群L5を物体側に移動させている。第1レンズ群L1は、フォーカシングに際して光軸方向に固定であるが、収差補正上必要に応じて移動させてもよい。
【0100】
実施例5のズームレンズでは、広角端から望遠端へのズーミングに際して、矢印に示すように、第1レンズ群L1は像側に凸の軌跡で移動し、第2レンズ群L2から第7レンズ群L7は物体側へ移動する。第7レンズ群L7を物体側に移動させることで、変倍に伴う像面変動を補正している。
【0101】
実施例5のズームレンズでは、第3レンズ群L3および第7レンズ群L7を光軸上に沿って移動させてフォーカシングを行うフローティングフォーカス方式を採用している。第7レンズ群L7に関する実線の曲線7aと点線の曲線7bは、各々無限遠物体と近距離物体にフォーカスしているときの変倍に伴う像面変動を補正するための第7レンズ群L7の移動軌跡である。このように、第7レンズ群L7を物体側へ移動させることで、第6レンズ群L6と像面IPとの間の空間の有効利用を図り、光学全長の短縮化を効果的に達成している。
【0102】
実施例5のズームレンズでは、望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカシングを行う場合には、第3レンズ群L3を広角側では物体側に移動させ、望遠側では像側に移動させている。また、望遠端において無限遠物体から近距離物体へフォーカシングを行う場合には、矢印7cに示すように、第7レンズ群L7を物体側に移動させている。第1レンズ群L1は、フォーカシングに際して光軸方向に固定であるが、収差補正上必要に応じて移動させてもよい。
【0103】
また、各実施例のズームレンズにおいて、撮影時に、被写体像のブレを補正するために第2レンズ群L2の少なくとも一部を光軸に対して垂直な方向の成分を含む方向に移動させてもよい。
【0104】
以下に、実施例1~5にそれぞれ対応する数値実施例1~5を示す。
【0105】
各数値実施例の面データにおいて、rは各光学面の曲率半径、d(mm)は第m面と第(m+1)面との間の軸上間隔(光軸上の距離)を表わしている。ただし、mは光入射側から数えた面の番号である。また、ndは各光学部材のd線に対する屈折率、νdは光学部材のアッベ数を表わしている。なお、ある材料のアッベ数νdは、フラウンホーファ線のd線(587.6nm)、F線(486.1nm)、C線(656.3nm)における屈折率をNd、NF、NCとするとき、νd=(Nd-1)/(NF-NC)で表される。
【0106】
なお、各数値実施例において、d、焦点距離(mm)、Fナンバー、半画角(°)は全て各実施例のズームレンズが無限遠物体に焦点を合わせた時の値である。「バックフォーカスBF」は、レンズ最終面(最も像側のレンズ面)から近軸像面までの光軸上の距離を空気換算長により表記したものである。「レンズ全長」は、ズームレンズの最前面(最も物体側のレンズ面)から最終面までの光軸上の距離にバックフォーカスを加えた長さである。「レンズ群」は、複数のレンズから構成される場合に限らず、1枚のレンズから構成される場合も含むものとする。
【0107】
また、光学面が非球面の場合は、面番号の右側に、*の符号を付している。非球面形状は、Xを光軸方向の面頂点からの変位量、hを光軸と垂直な方向の光軸からの高さ、Rを近軸曲率半径、kを円錐定数、A4、A6、A8、A10、A12を各次数の非球面係数とするとき、
x=(h2/R)/[1+{1-(1+k)(h/R)21/2]+A4×h4+A6×h6
+A8×h8+A10×h10+A12×h12
で表している。なお、各非球面係数における「e±XX」は「×10±XX」を意味している。
【0108】

(数値実施例1)
単位mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 243.707 2.08 1.69680 55.5
2 41.149 9.89
3 -66.835 1.80 1.60300 65.4
4 93.336 0.60
5* 208.627 2.00 1.53160 55.8
6* 215.751 1.00
7 77.903 2.95 1.94594 18.0
8 165.584 (可変)
9* 58.588 5.24 1.58313 59.4
10 -229.805 3.34
11 228.944 1.70 1.80810 22.8
12 43.538 6.13 1.53775 74.7
13 -209.401 0.60
14 84.767 4.99 1.71300 53.9
15 -109.455 (可変)
16(絞り) ∞ 2.41
17 -71.344 1.50 1.70154 41.2
18 23.649 3.09 2.00069 25.5
19 47.289 (可変)
20 41.537 2.00 1.49700 81.5
21 79.214 (可変)
22 224.870 3.76 1.76385 48.5
23 -36.803 3.90
24 -26.253 1.60 1.92119 24.0
25 -40.052 (可変)
26 83.756 3.35 1.53160 55.8
27* -125.432 (可変)
28 -61.840 1.60 1.85883 30.0
29 -810.196 (可変)
像面 ∞

非球面データ
第5面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.09095e-05 A 6=-1.41849e-08 A 8=-1.87191e-11
A10= 4.47615e-14

第6面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.88556e-05 A 6=-1.05587e-08 A 8=-2.69623e-11
A10= 5.48309e-14

第9面
K = 0.00000e+00 A 4=-2.40452e-06 A 6=-2.97693e-10 A 8=-1.44142e-12
A10= 2.80726e-15

第27面
K = 0.00000e+00 A 4= 5.57589e-06 A 6=-8.80723e-09 A 8= 5.90755e-11
A10=-9.65244e-14

各種データ
ズーム比 2.78
広角 中間 望遠
焦点距離 24.70 46.61 68.70
Fナンバー 2.89 2.89 2.89
半画角(°) 36.73 24.90 17.48
レンズ全長 171.15 152.40 157.34
BF 22.75 25.47 28.19

d 8 51.83 15.16 2.20
d15 1.70 17.41 33.84
d19 3.20 4.65 5.21
d21 16.44 9.39 2.50
d25 7.19 12.27 17.35
d27 2.53 2.53 2.53
d29 22.75 25.47 28.19

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長
1 1 -41.91 20.32
2 9 40.36 22.00
3 16 -54.58 7.00
4 20 172.67 2.00
5 22 75.32 9.26
6 26 95.00 3.35
7 28 -78.03 1.60

広角端第1フォーカス移動量 -2.839
広角端第2フォーカス移動量 -0.258
望遠端第1フォーカス移動量 -12.017
望遠端第2フォーカス移動量 2.015

(数値実施例2)
単位mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 611.593 2.08 1.69680 55.5
2 55.973 6.79
3 -81.100 1.80 1.71300 53.9
4 102.014 0.60
5* 443.680 2.00 1.53160 55.8
6* 221.898 1.00
7 75.832 3.00 2.00272 19.3
8 197.665 (可変)
9* 57.669 5.16 1.58313 59.4
10 -267.370 5.52
11 331.396 1.70 1.80810 22.8
12 50.183 5.69 1.52841 76.5
13 -103.747 0.60
14 130.857 3.42 1.73400 51.5
15 -153.037 (可変)
16(絞り) ∞ 2.41
17 -51.336 1.50 1.60342 38.0
18 25.478 3.78 2.00100 29.1
19 71.564 (可変)
20 179.319 3.74 1.69680 55.5
21 -35.464 3.73
22 -25.518 1.60 1.74000 28.3
23 -41.145 (可変)
24 195.663 3.49 1.53160 55.8
25* -87.042 (可変)
26 -42.739 1.60 1.67270 32.1
27 -108.010 (可変)
像面 ∞

非球面データ
第5面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.97835e-05 A 6=-1.96098e-08 A 8=-9.88340e-12
A10= 3.43765e-14

第6面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.85134e-05 A 6=-1.70627e-08 A 8=-1.75428e-11
A10= 4.36534e-14

第9面
K = 0.00000e+00 A 4=-2.15251e-06 A 6=-1.03728e-10 A 8=-2.70130e-12
A10= 4.62919e-15

第25面
K = 0.00000e+00 A 4= 5.19090e-06 A 6=-7.85031e-09 A 8= 6.36608e-11
A10=-1.06662e-13

各種データ
ズーム比 2.39
広角 中間 望遠
焦点距離 28.70 49.06 68.70
Fナンバー 2.89 2.89 2.89
半画角(°) 32.71 23.80 17.48
レンズ全長 158.44 146.78 153.21
BF 22.44 23.91 26.15

d 8 44.22 14.16 2.20
d15 1.70 17.18 32.77
d19 15.53 11.84 8.03
d23 10.51 15.65 20.03
d25 2.83 2.83 2.83
d27 22.44 23.91 26.15

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長
1 1 -49.19 17.27
2 9 44.64 22.10
3 16 -99.87 7.69
4 20 74.33 9.07
5 24 113.81 3.49
6 26 -106.18 1.60

広角端第1フォーカス移動量 -4.767
広角端第2フォーカス移動量 -0.606
望遠端第1フォーカス移動量 -10.050
望遠端第2フォーカス移動量 0.490

(数値実施例3)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 218.716 2.08 1.78800 47.4
2 42.206 6.41
3 -108.180 1.80 1.69680 55.5
4 98.507 3.00
5* 413.628 2.00 1.53160 55.8
6* 316.800 1.00
7 66.843 2.77 2.00272 19.3
8 149.802 (可変)
9* 50.916 3.75 1.53160 55.8
10 -6052.834 3.94
11 57.563 1.70 1.84666 23.9
12 27.906 5.38 1.59522 67.7
13 -81.228 (可変)
14(絞り) ∞ 2.41
15 -44.535 1.50 1.67300 38.3
16 25.538 2.78 2.00100 29.1
17 104.343 (可変)
18 168.480 3.27 1.78590 44.2
19 -32.623 3.95
20 -24.135 1.60 1.85478 24.8
21 -47.054 (可変)
22 188.680 2.91 1.53160 55.8
23* -80.212 (可変)
24 -66.259 1.60 1.74951 35.3
25 -340.436 (可変)
像面 ∞

非球面データ
第5面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.92898e-05 A 6=-2.06016e-08 A 8=-2.61129e-11
A10= 6.33779e-14

第6面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.85920e-05 A 6=-1.86683e-08 A 8=-3.30514e-11
A10= 7.39371e-14

第9面
K = 0.00000e+00 A 4=-2.08401e-06 A 6=-1.83691e-09 A 8= 4.85227e-15
A10= 1.61394e-15

第23面
K = 0.00000e+00 A 4= 4.66832e-06 A 6=-3.21352e-09 A 8= 3.06083e-11
A10=-6.23499e-14

各種データ
ズーム比 2.39
広角 中間 望遠
焦点距離 28.70 48.44 68.70
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
半画角(°) 32.71 24.07 17.48
レンズ全長 156.82 144.40 149.07
BF 23.82 29.31 35.09

d 8 45.13 15.63 3.24
d13 3.65 15.30 27.33
d17 15.77 12.13 8.11
d21 9.20 14.29 18.88
d23 5.40 3.88 2.57
d25 23.82 29.31 35.09

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長
1 1 -50.05 19.06
2 9 44.80 14.76
3 14 -84.42 6.69
4 18 74.44 8.83
5 22 106.28 2.91
6 24 -110.04 1.60

広角端第1フォーカス移動量 -3.982
広角端第2フォーカス移動量 -0.433
望遠端第1フォーカス移動量 -13.526
望遠端第2フォーカス移動量 0.425

(数値実施例4)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd
1 188.125 2.08 1.71300 53.9
2 39.427 11.66
3 -79.901 1.80 1.59282 68.6
4 73.933 0.60
5* 151.972 2.00 1.53160 55.8
6* 135.801 2.00
7 71.372 3.05 2.00272 19.3
8 138.420 (可変)
9* 51.494 5.33 1.58313 59.4
10 -266.135 2.04
11 497.286 1.70 1.80518 25.4
12 40.772 5.49 1.59282 68.6
13 -287.073 0.60
14 89.028 4.33 1.72916 54.1
15 -106.592 (可変)
16(絞り) ∞ 2.41
17 -61.825 1.50 1.70154 41.2
18 21.113 3.19 2.00069 25.5
19 43.144 (可変)
20 36.916 2.00 1.49700 81.5
21 85.048 (可変)
22 135.375 3.80 1.76385 48.5
23 -36.539 3.39
24 -25.439 1.60 1.89286 20.4
25 -42.703 (可変)
26 128.105 3.16 1.53160 55.8
27* -82.653 (可変)
28 -51.242 1.60 1.76200 40.1
29 -172.470 (可変)
像面 ∞

非球面データ
第5面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.73110e-05 A 6=-2.14713e-08 A 8=-3.11691e-11
A10= 7.63033e-14

第6面
K = 0.00000e+00 A 4= 2.45905e-05 A 6=-1.57969e-08 A 8=-4.79316e-11
A10= 9.90079e-14

第9面
K = 0.00000e+00 A 4=-2.66443e-06 A 6=-6.88230e-10 A 8=-1.75467e-12
A10= 3.72724e-15

第27面
K = 0.00000e+00 A 4= 7.60200e-06 A 6=-1.07354e-08 A 8= 8.34714e-11
A10=-1.44379e-13

各種データ
ズーム比 2.83
広角 中間 望遠
焦点距離 21.63 41.64 61.25
Fナンバー 2.89 2.89 2.89
半画角(°) 39.77 27.46 19.45
レンズ全長 171.39 150.09 154.91
BF 22.99 26.93 30.88

d 8 54.96 15.52 2.20
d15 1.70 16.41 31.45
d19 3.36 4.81 5.38
d21 14.19 8.07 2.50
d25 6.75 10.91 15.07
d27 2.10 2.10 2.10
d29 22.99 26.93 30.88

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長
1 1 -41.25 23.18
2 9 40.24 19.49
3 16 -49.13 7.10
4 20 129.46 2.00
5 22 73.34 8.79
6 26 95.00 3.16
7 28 -96.22 1.60

広角端第1フォーカス移動量 -2.402
広角端第2フォーカス移動量 -0.238
望遠端第1フォーカス移動量 -10.216
望遠端第2フォーカス移動量 2.182

(数値実施例5)
単位 mm

面データ
面番号 r d nd νd 有効径
1 89.475 2.08 1.61772 49.8 53.25
2 29.074 14.81 43.35
3 -79.030 1.80 1.67790 55.4 41.38
4 -1062.976 0.60 40.43
5* -213.425 2.00 1.53160 55.8 39.86
6* 198.781 1.00 38.50
7 51.844 2.91 2.00272 19.3 38.10
8 83.990 (可変) 37.43
9 75.492 2.99 1.58313 59.4 23.19
10 -711.826 3.31 23.40
11 355.597 1.70 1.80810 22.8 23.93
12 41.362 4.34 1.61772 49.8 24.10
13 -133.988 0.60 24.36
14 90.320 3.31 1.69349 50.8 24.55
15 -103.272 (可変) 24.45
16(絞り) ∞ 2.28 18.02
17 -29.883 1.50 1.63854 55.4 17.77
18 26.860 2.65 1.85896 22.7 18.16
19 76.890 (可変) 18.14
20 29.090 0.90 1.78880 28.4 19.64
21 16.751 6.84 1.48749 70.2 19.17
22 -75.033 0.20 19.24
23* 25.505 6.98 1.49700 81.5 19.00
24* -27.499 (可変) 17.82
25 34.357 0.75 1.65844 50.9 17.14
26 14.753 (可変) 16.54
27* -42.205 1.60 1.83481 42.7 20.07
28* 79.298 (可変) 21.98
29 173.505 5.08 1.95375 32.3 39.60
30 -87.301 (可変) 40.10
像面 ∞

非球面データ
第5面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.77431e-05 A 6=-2.55655e-08 A 8= 1.49426e-11
A10= 8.53853e-16

第6面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.84677e-05 A 6=-2.37833e-08 A 8= 8.69029e-12
A10= 7.20011e-15

第23面
K = 0.00000e+00 A 4=-5.98286e-06 A 6=-2.58558e-08 A 8= 4.26091e-10
A10=-4.19858e-12 A12= 3.92596e-15

第24面
K = 0.00000e+00 A 4= 3.81552e-05 A 6=-1.42192e-07 A 8= 4.73306e-10
A10=-1.30166e-12 A12=-1.24893e-14

第27面
K = 0.00000e+00 A 4= 1.65368e-05 A 6=-3.97035e-07 A 8= 1.24121e-09
A10=-9.21576e-13 A12=-1.23154e-14

第28面
K = 0.00000e+00 A 4=-5.24948e-07 A 6=-3.49325e-07 A 8= 1.88768e-09
A10=-5.52389e-12 A12= 5.26197e-15

各種データ
ズーム比 2.78
広角 中間 望遠
焦点距離 24.70 45.60 68.70
Fナンバー 4.12 4.12 4.12
半画角(°) 36.73 25.38 17.48
レンズ全長 162.70 147.01 157.02
BF 14.30 16.90 18.22

d 8 48.79 12.65 2.20
d15 1.70 11.58 23.77
d19 6.76 7.96 6.77
d24 2.15 2.83 2.48
d26 12.52 11.39 11.48
d28 6.25 13.48 21.86
d30 14.30 16.90 18.22

ズームレンズ群データ
群 始面 焦点距離 レンズ構成長
1 1 -48.56 25.20
2 9 42.20 16.26
3 16 -40.65 6.43
4 20 20.85 14.92
5 25 -39.88 0.75
6 27 -32.80 1.60
7 29 61.48 5.08

広角端第1フォーカス移動量 -4.254
広角端第2フォーカス移動量 -0.418
望遠端第1フォーカス移動量 -18.500
望遠端第2フォーカス移動量 3.569

各数値実施例における種々の値を、以下の表1にまとめて示す。
【0109】
【表1】
【0110】
[撮像装置]
次に、各実施例のズームレンズを撮像光学系として用いた光学機器の一例であるデジタルスチルカメラ(撮像装置)の実施例について、図21を用いて説明する。図21において、10はカメラ本体、11は実施例1乃至5で説明したいずれかのズームレンズによって構成された撮像光学系である。12はカメラ本体10に内蔵され、撮像光学系11によって形成された光学像を受光して光電変換するCCDセンサやCMOSセンサ等の固体撮像素子(光電変換素子)である。カメラ本体10はクイックターンミラーを有する所謂一眼レフカメラでも良いし、クイックターンミラーを有さない所謂ミラーレスカメラでも良い。
【0111】
このように、各実施例のズームレンズをデジタルスチルカメラ等の撮像装置に適用することにより、高い光学性能を有するレンズを備える撮像装置を得ることができる。
【0112】
[撮像システム]
なお、各実施例のズームレンズと、ズームレンズを制御する制御部とを含めた撮像システム(監視カメラシステム)を構成してもよい。この場合、制御部は、ズーミングやフォーカシング、像振れ補正に際して各レンズ群が上述したように移動するようズームレンズを制御することができる。このとき、制御部がズームレンズと一体的に構成されている必要はなく、制御部をズームレンズとは別体として構成してもよい。例えば、ズームレンズの各レンズを駆動する駆動部に対して遠方に配置された制御部(制御装置)が、ズームレンズを制御するための制御信号(命令)を送る送信部を備える構成を採用してもよい。このような制御部によれば、ズームレンズを遠隔操作することができる。
【0113】
また、ズームレンズを遠隔操作するためのコントローラーやボタンなどの操作部を制御部に設けることで、ユーザーの操作部への入力に応じてズームレンズを制御する構成を採ってもよい。例えば、操作部として拡大ボタン及び縮小ボタンを設ける。そして、ユーザーが拡大ボタンを押したらズームレンズの倍率が大きくなり、ユーザーが縮小ボタンを押したらズームレンズの倍率が小さくなるように、制御部からズームレンズL0の駆動部に信号が送られるように構成すればよい。
【0114】
また、撮像システムは、ズームレンズのズームに関する情報(移動状態)を表示する液晶パネルなどの表示部を有していてもよい。ズームレンズのズームに関する情報とは、例えばズーム倍率(ズーム状態)や各レンズ群の移動量(移動状態)である。この場合、表示部に示されるズームレンズのズームに関する情報を見ながら、操作部を介してユーザーがズームレンズを遠隔操作することができる。このとき、例えばタッチパネルなどを採用することで表示部と操作部とを一体化してもよい。
【0115】
上記各実施例の開示は、以下の構成を含む。
【0116】
(構成1)
物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第1レンズ群、正の屈折力の第2レンズ群、複数のレンズ群からなる後続群からなり、広角端から望遠端へのズーミングに際して隣り合うレンズ群の間隔が変化するズームレンズであって、
前記後続群は、第1のフォーカスレンズ群と、該第1のフォーカスレンズ群より物体側に配置された第2のフォーカスレンズ群を含み、
前記第2のフォーカスレンズ群は、無限遠から至近距離へのフォーカシングに際して、第1のズーム範囲では物体側へ移動し、第2のズーム範囲では像側へ移動することを特徴とするズームレンズ。
(構成2)
前記第1のフォーカスレンズ群の焦点距離をf_fo、前記第2のフォーカスレンズ群の焦点距離をf_flとするとき、
-2.5<f_fo/f_fl<-1.0
なる条件式を満足することを特徴とする構成1に記載のズームレンズ。
(構成3)
広角端における前記第1のフォーカスレンズ群の物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をD_fo、広角端における前記ズームレンズの光学全長をDLとするとき、
0.05<D_fo/DL<0.35
なる条件式を満足することを特徴とする構成1または2に記載のズームレンズ。
(構成4)
広角端における前記第2のフォーカスレンズ群の物体側のレンズ面から像面までの光軸上の距離をD_fl、広角端における前記ズームレンズの光学全長をDLとするとき、
0.35<D_fl/DL<0.55
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から3のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成5)
広角端における前記ズームレンズの焦点距離をfw、望遠端における前記ズームレンズの焦点距離をft、前記第1のズーム範囲をfa、前記第2のズーム範囲をfbとするとき、
fw≦fa≦0.75×fw+0.25×ft
ft≧fb>0.75×fw+0.25×ft
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から4のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成6)
前記ズームレンズの広角端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての前記第1のフォーカスレンズ群の移動量をDL_fow、前記ズームレンズの広角端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての前記第2のフォーカスレンズ群の移動量をDL_flwとするとき、
0.00<DL_flw/DL_fow<0.40
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から5のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成7)
前記ズームレンズの望遠端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての前記第1のフォーカスレンズ群の移動量をDL_fot、前記ズームレンズの望遠端における無限遠から至近距離までのフォーカシングに際しての前記第2のフォーカスレンズ群の移動量をDL_fltとするとき、
-0.40<DL_flt/DL_fot<0.00
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から6のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成8)
前記後続群は、最も物体側に配置された負の屈折力の第3レンズ群を含むことを特徴とする構成1から7のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成9)
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第3レンズ群の焦点距離をf3とするとき、
0.40<f1/f3<1.30
なる条件式を満足することを特徴とする構成8に記載のズームレンズ。
(構成10)
前記第1レンズ群の焦点距離をf1、前記第2レンズ群の焦点距離をf2とするとき、
-1.30<f1/f2<-0.85
なる条件式を満足することを特徴とする構成1から9のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成11)
前記第2レンズ群の少なくとも一部は、像振れ補正に際して、光軸に垂直な方向の成分を含む方向に移動することを特徴とする構成1から10のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成12)
前記後続群は、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、第5レンズ群、第6レンズ群からなることを特徴とする構成1から11のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成13)
前記後続群は、物体側から像側へ順に配置された、負の屈折力の第3レンズ群、正の屈折力の第4レンズ群、第5レンズ群、第6レンズ群、第7レンズ群からなることを特徴とする構成1から11のいずれかに記載のズームレンズ。
(構成14)
構成1から13のいずれかに記載のズームレンズと、
前記ズームレンズによって形成された像を受光する撮像素子と、を有することを特徴とする光学機器。
(構成15)
前記撮像素子における広角側での有効像円径は、望遠端での有効像円径よりも小さいことを特徴とする構成14に記載の光学機器。
(構成16)
構成1から13のいずれかに記載のズームレンズと、ズーミングに際して前記ズームレンズを制御する制御部を有することを特徴とする撮像システム。
(構成17)
前記制御部は、前記ズームレンズとは別体として構成されており、前記ズームレンズを制御するための制御信号を送信する送信部を有することを特徴とする構成16に記載の撮像システム。
(構成18)
前記制御部は、前記ズームレンズとは別体として構成されており、前記ズームレンズを操作するための操作部を有することを特徴とする構成16または17に記載の撮像システム。
(構成19)
前記ズームレンズのズームに関する情報を表示する表示部を有することを特徴とする構成16から18のいずれかに記載の撮像システム。
【0117】
以上、本発明の好ましい実施形態及び実施例について説明したが、本発明はこれらの実施形態及び実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の組合せ、変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0118】
L1 第1レンズ群
L2 第2レンズ群
LR 後続群
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