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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074337
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】ペット用吸収性物品
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
A01K23/00 S
A01K23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185419
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】507033185
【氏名又は名称】シーズイシハラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 伸匡
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 一穂
(72)【発明者】
【氏名】衣川 健一
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 玲子
(57)【要約】
【課題】柔らかなサイドギャザーで漏れを防止し、包装・装着時のフックテープの意図しない貼り付きを防止し、柄を設ける場合には柄の視認性を確保する。
【解決手段】本開示に係るペット用吸収性物品10は、トップシート11と、バックシート12と、吸収体13と、バックシート12の非肌側に配置されて幅方向の両側がバックシート12よりも幅方向の外側へ延びる液透過性の外側シート15bと、外側シート15bの幅方向の両端部の肌側に配置される液不透過性の内側シート15aと、弾性伸縮部材15cとを有する左右のサイドギャザー15と、外側シート15bの非肌側に配置されるフィルムシート16と、フィルムシート16の長手方向の一端部に設けられるフックテープ17と、を備え、外側シート15bの幅方向の両側は、フィルムシート16よりも幅方向の外側へ延びる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液透過性の肌側のトップシートと、
液不透過性の非肌側のバックシートと、
前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、
前記バックシートの非肌側に配置されて幅方向の両側が前記バックシートよりも幅方向の外側へ延びる液透過性の外側シートと、前記外側シートの幅方向の両端部の肌側に配置される液不透過性の内側シートと、前記内側シートと前記外側シートとの間に配置される第1弾性伸縮部材とを有する左右のサイドギャザーと、
前記外側シートの非肌側に配置されるフィルムシートと、
前記フィルムシートの幅方向と交叉する長手方向の一端部に設けられ、長手方向の他端側に対して着脱可能なフックテープと、を備え、
前記外側シートの幅方向の両側は、前記フィルムシートよりも幅方向の外側へ延びる
ことを特徴とするペット用吸収性物品。
【請求項2】
前記フィルムシートは、通気性を有する
ことを特徴とする請求項1に記載のペット用吸収性物品。
【請求項3】
液不透過性の立体ギャザーシートと、前記立体ギャザーシートの先端側に設けられる第2弾性伸縮部材とを有する左右の立体ギャザーを備える
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のペット用吸収性物品。
【請求項4】
前記左右の立体ギャザーの前記立体ギャザーシートと、前記左右のサイドギャザーの前記内側シートとは、互いの基端側同士が連続した一体のシートである
ことを特徴とする請求項3に記載のペット用吸収性物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペット用吸収性物品に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、多くの家庭で犬や猫、その他のペットが飼育されている。それに伴い、排泄等に障害を有するペットが大幅に増加している。このようなペットには、排泄物で家庭内を汚さないように、例えば、ペット用吸収性物品が用いられている。ペット用吸収性物品は、人用のものと同様に、液透過性のトップシートと、液不透過性のバックシートと、これらの間に位置する吸収体と、を備える構造を有している。
【0003】
ペット用吸収性物品は、ペットの臀部寄りの胴部に巻き付けるように装着されるものの、ペットがペット用吸収性物品による拘束を嫌がり、動き回ることから、ペット用吸収性物品を正確に装着し難いという課題がある。ペット用吸収性物品を正確に装着しないと、ペットが窮屈がってペット用吸収性物品のペットにとっての装着感が低下し、場合によっては勝手に脱いでしまうこともある。このような課題を解決するため、従来から種々の提案がなされている。
【0004】
特許文献1には、液透過性の表面層と、液不透過性の裏面層と、これらの間に配置される吸収体と、を備え、互いに対向する第1端部及び第2端部と、第1端部及び第2端部に直交し互いに対向する一対の側部と、を有して矩形形状に構成され、ペットの胴回りに巻きつけられた状態で、第1端部がペットの身体側に配置されると共に、第2端部が第1端部の外面に着脱可能に取り付けられるペット用吸収性物品であって、ペット用吸収性物品の長手方向に沿って伸長状態で配置される弾性部材を更に備え、第1端部には、第2端部よりも剛性の大きい高剛性部が形成され、第1端部の外面には、複数のフック部が設けられた帯状のテープ部材が取り付けられ、第2端部の内面は、テープ部材に係合する係合部材を別途取り付けることなく、少なくとも表面層を構成する不織布により構成され、第2端部側は、第1端部側と対称に構成されるペット用吸収性物品が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5924753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的に、ペット用吸収性物品には、漏れ防止性能を強化するため、立体ギャザーとサイドギャザーの二重のギャザー構造が採用されている。これらのギャザーは付勢した糸ゴムを非透水性シートに内包して形成されている。
【0007】
非透水性シートとしては、ポリエチレンフィルムやSMMS(スパンボンド・メルトブローン・メルトブローン・スパンボンド積層不織布)が多用されているが、これらのシートは水を通さないように緻密な構造をしており、ギャザーが硬くなってしまう欠点が有る。
【0008】
着用時(ペットの胴回りに巻き付けた時)に製品の外側から触れることが可能なサイドギャザーについては特に、より柔らかいものが求められている。
【0009】
ここで、サイドギャザーを柔らかくするために、サイドギャザーを構成する外側のシートを、疎な構造を持つ透水性シート(例えばエアースルー不織布等)にすることが考えられる。
【0010】
しかし、このような透水性シートをバックシートの外側(非肌側)に設けると、製品を折り畳んで包装した際にフックテープが意図しない部分(透水性シート)に貼り付いてしまい、製品を包装袋から取り出して広げる際に、フックテープに当接していた部分の表面材が毛羽立ち、製品を破損してしまう可能性がある。また、バックシートには、意匠等の柄の印刷が施される場合があり、この場合、バックシートがサイドギャザーを構成する透水性シートに覆われると柄の鮮明さが損なわれてしまい、外観上の見栄えが低下してしまう可能性がある。
【0011】
そこで、本開示は、柔らかなサイドギャザーで漏れを防止することができ、包装・装着時のフックテープの意図しない貼り付きを防止し、柄を設ける場合には柄の視認性を確保することが可能なペット用吸収性物品の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様のペット用吸収性物品は、液透過性の肌側のトップシートと、液不透過性の非肌側のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に配置される吸収体と、前記バックシートの非肌側に配置されて幅方向の両側が前記バックシートよりも幅方向の外側へ延びる液透過性の外側シートと、前記外側シートの幅方向の両端部の肌側に配置される液不透過性の内側シートと、前記内側シートと前記外側シートとの間に配置される第1弾性伸縮部材とを有する左右のサイドギャザーと、前記外側シートの非肌側に配置されるフィルムシートと、前記フィルムシートの幅方向と交叉する長手方向の一端部に設けられ、長手方向の他端側に対して着脱可能なフックテープと、を備え、前記外側シートの幅方向の両側は、前記フィルムシートよりも幅方向の外側へ延びる。
【0013】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様のペット用吸収性物品であって、前記フィルムシートは、通気性を有する。
【0014】
本発明の第3の態様は、上記第1の態様又は上記第2の態様のペット用吸収性物品であって、液不透過性の立体ギャザーシートと、前記立体ギャザーシートの先端側に設けられる第2弾性伸縮部材とを有する左右の立体ギャザーを備える。
【0015】
本発明の第4の態様は、上記第3の態様のペット用吸収性物品であって、前記左右の立体ギャザーの前記立体ギャザーシートと、前記左右のサイドギャザーの前記内側シートとは、互いの基端側同士が連続した一体のシートである。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、柔らかなサイドギャザーで漏れを防止することができ、包装・装着時のフックテープの意図しない貼り付きを防止し、柄を設ける場合には柄の視認性を確保することが可能なペット用吸収性物品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態に係るペット用吸収性物品の肌側からの平面図である。
図2】ペット用吸収性物品の非肌側からの平面図である。
図3図1のIII-III矢視断面図である。
図4】折り畳んだ状態のペット用吸収性物品を示す概略図であって、(a)は4つ折りに折り畳んだ状態を、(b)は2つ折りに折り畳んだ状態を、それぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るペット用吸収性物品について説明する。
【0019】
本明細書において、ペット用吸収性物品の装着とは、体液吸収の前後を問わず、ペット用吸収性物品をペットである動物の身体(胴)に巻き付けて取り付けた状態をいう。また、ペット用吸収性物品の長手方向とは、ペット用吸収性物品を装着したときにペットの胴の周方向に沿う方向をいい、図中の矢印Xに沿った方向である。また、ペット用吸収性物品の幅方向とは、長手方向と交叉(直交)する方向をいい、図中の矢印Yに沿った方向である。また、ペット用吸収性物品の厚み方向とは、各構成部材を積層する方向をいい、図中の矢印Zに沿った方向である。また、ペット用吸収性物品の肌側とは、厚み方向のうちペット用吸収性物品を装着した際にペットの身体側に向かう方向をいい、非肌側とは、厚み方向のうち肌側とは反対の方向をいう。また、体液とは、尿や血液、軟便中の水分等のペットの体内から体外に排出された液体をいう。
【0020】
図1は、本発明の第1実施形態に係るペット用吸収性物品の肌側からの平面図である。図2は、ペット用吸収性物品の非肌側からの平面図である。図3は、図1のIII-III矢視断面図である。なお、図3では、ペット用吸収性物品の断面を概略的に示している。また、各図は、ペット用吸収性物品の構成部材の寸法の大小関係を規定するものではなく、各構成部材の寸法は、ペット用吸収性物品の用途、使用対象とするペットの種類等に応じてそれぞれ広い範囲から適宜選択できる。
【0021】
<ペット用吸収性物品>
本発明の一実施形態に係るペット用吸収性物品10は、ペット(例えば、犬、猫等)に装着するものであり、特にペットのオスに好適に用いられる。ペット用吸収性物品10は、所定の形状(例えば、2つ折りや4つ折り等の形状)に折り畳まれた状態(以下「折り畳み状態」という。)で複数枚積層されて、包装材(図示省略)によって包装されて製品化される。本実施形態に係るペット用吸収性物品10は、長手方向の寸法が例えば350mm以上550mm以下の範囲であり、幅方向の寸法が例えば150mm以上250mm以下の範囲である。
【0022】
図1図3に示すように、ペット用吸収性物品10は、肌側のトップシート11と、非肌側のバックシート12と、吸収体13と、左右のサイドギャザー15と、フィルムシート16と、フックテープ17とを備え、所定方向(長手方向)に長尺に形成される。本実施形態のペット用吸収性物品10は、更に左右の立体ギャザー14を備える。
【0023】
(トップシート)
トップシート11は、体液が吸収体13へと移動するような液透過性を備えた基材から形成されていればよい。本実施形態のトップシート11の一部は、後述するフックテープ17に係止可能となっており、ペット用吸収性物品10を止着する機能を有している。トップシート11の基材の一例としては、例えば、親水性シート、同種又は異種の親水性シートの積層体である複合不織布、開口ポリエチレンフィルム等の開口性フィルム、ポリエチレンフォーム、ウレタンフォーム等の発泡フィルム等が挙げられる。親水性シートとしては、例えば、ポリプロピレンやポリエチレン等の合成樹脂からなる合成繊維、レーヨン等の再生繊維、綿等の天然繊維等を用いて作製された、エアスルー不織布、サーマルボンド不織布、スパンレース不織布、スパンボンド不織布等が挙げられる。これらの中でも不織布が好ましく、風合い、フックテープ17との係合性等の観点からエアスルー不織布がより好ましい。
【0024】
トップシート11には、フックテープ17の繰り返しの着脱に対する耐久力及び液透過性を向上させるために、表面にエンボス加工や穿孔加工を施してもよい。これらのエンボス加工や穿孔加工を施すための方法としては、公知の方法を制限なく実施することができる。また、肌への刺激を低減させるため、トップシート11には、ローション、酸化防止剤、抗炎症成分、pH調整剤、抗菌剤、保湿剤等を含有させてもよい。トップシート11の坪量は、強度、加工性及び液戻り量の観点から、例えば、15g/m以上120g/m以下であることが好ましい。トップシート11の形状は、特に制限されるものではないが、体液を漏れがないように吸収体13へと誘導するため、吸収体13を覆う形状であればよい。
【0025】
(バックシート)
バックシート12は、吸収体13が保持している体液の非肌側への漏れがないように液不透過性を備えた基材を用いて形成されていればよく、樹脂フィルムや、樹脂フィルムと不織布とを積層した複合シートといった材料から形成される。複合シートに用いられる不織布としては、製法を特に限定せず、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布等の複数の同種及び/又は異種の不織布を積層した複合不織布及びこれらの複合材料が挙げられる。また、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0026】
バックシート12の坪量は、強度及び加工性の観点から、15g/m以上60g/m以下であることが好ましく、15g/m以上40g/m以下であることがより好ましい。また、着用時の蒸れを防止するため、バックシート12には、通気性を持たせることが好ましい。バックシート12に通気性を備えさせるためには、例えば、基材の樹脂フィルムにフィラーを配合したり、バックシート12にエンボス加工を施したりすればよい。なお、フィラーとしては炭酸カルシウムを挙げることができ、その配合方法は、公知の方法を制限なく行うことができる。例えば、樹脂とフィラーとを混練し、得られた混練物をフィルム状に成形し、得られたフィルムからフィラーを除去することにより、多孔性(通気性)樹脂フィルムを得ることができる。
【0027】
(吸収体)
吸収体13は、トップシート11とバックシート12との間に配置され、トップシート11を透過してきた体液を吸収及び保持する。吸収体13は、長手方向の寸法(最大長さ)が、例えば、150mm以上350mm以下の範囲であり、幅方向の寸法(最大幅)が、例えば、80mm以上200mm以下の範囲である。吸収体13の全面又は一部にエンボス加工を施してもよい。吸収体13の平面視形状としては、例えば、Iの字状、長方形、4角が丸まった角丸四角形、長円等が挙げられる。
【0028】
吸収体13には、例えば、吸収基材として、吸収性繊維と、高吸収性ポリマーとを含有するものがある。
【0029】
(吸収性繊維)
吸収性繊維は、一般に生理用ナプキンや紙おむつ、尿取りパッド等の吸収性物品に使用されるものであれば特に制限はなく、例えば、フラッフパルプ、コットン、レーヨン、アセテート、ティシュー、吸収紙、親水性不織布等が挙げられる。これらの中でも、吸収性の観点から、フラッフパルプが好ましい。フラッフパルプとしては、木材パルプ(例えば、サウザンパインやダグラスファー等の針葉樹晒クラフトパルプ(N-BKP))、合成繊維、樹脂繊維、非木材パルプ等の綿状解繊物等が挙げられる。吸収体13に吸収性繊維としてフラッフパルプを用いた場合、吸収性繊維の坪量は、例えば100g/m以上300g/m以下の範囲であることが好ましく、140g/m以上200g/m以下の範囲であることがより好ましい。これにより、肌触りを損なわずに、より多くの体液を吸収できる。
【0030】
(高吸収性ポリマー)
高吸収性ポリマー(以下「SAP」ともいう)としては、体液を吸収し、かつ、逆流を防止できるものであれば特に制限はなく、ポリアクリル酸塩、ポリアスパラギン酸塩、(デンプン-アクリル酸)グラフト共重合体、(アクリル酸-ビニルアルコール)共重合体、(イソブチレン-無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物等が挙げられる。これらの中でも、重量当たりの吸収量の観点から、ポリアクリル酸塩が好ましく、ポリアクリル酸アルカリ金属塩がより好ましく、ポリアクリル酸ナトリウムが更に好ましい。高吸収性ポリマーは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0031】
高吸収性ポリマーは、例えば、粒子状、繊維状等の形態で用いられるが、取扱い易さ等の観点から好ましくは粒子状で用いられる。このとき、粉体としての流動性が悪い微粉末の高吸収性ポリマーの使用を避け、中位粒子径を有する高吸収性ポリマーを用いることにより、吸収に関する基本性能を高め、かつ、吸収体13が硬くなることにより発生するごつごつとした触感を低減することができる。高吸収性ポリマーの中位粒子径は、例えば、50μm以上600μm以下の範囲であることが好ましく、100μm以上500μm以下の範囲であることがより好ましい。
【0032】
吸収体13中のSAPの坪量は、例えば、80g/m以上350g/m以下の範囲であることが好ましく、100g/m以上250g/m以下の範囲であることがより好ましい。SAPの坪量を前述の数値範囲内とすることで、吸収体13でのゲルブロッキングを防止し、かつ、吸収体13に多量の体液を吸収させることができる。また、吸収体13において、吸収体13全体の重量に対する、高吸収性ポリマーの重量の比率である、(高吸収性ポリマーの重量/吸収体13全体の重量)×100(%)は、例えば、15重量%以上の範囲であることが好ましく、15重量%以上70重量%以下の範囲であることがより好ましい。
【0033】
吸収体13において、吸収性繊維及びSAPの形態は、吸収性繊維中にSAP粒子を混合して形成したものでもよく、吸収性繊維間にSAP粒子を固着したSAPシートでもよい。また、別形態の吸収体13として、複数枚の親水性不織布と、親水性不織布間に固着された高吸収性ポリマーと、を含む吸収性シートを用いることもできる。
(吸収紙)
【0034】
本実施形態では、吸収体13全体を吸収紙18で包んでもよい。吸収紙18としては、この分野で常用される親水性シートをいずれも使用でき、例えば、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、エアレイド不織布、エアスルー不織布、パルプ含有不織布等の親水性不織布、ティシュペーパー、吸収紙等が挙げられる。親水性不織布の中でも、サーマルボンド不織布、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、パルプ含有不織布等の親水性不織布がより好ましく、ティシュペーパー(クレープ紙)、必要に応じて親水処理を施したスパンボンド不織布等がさらに好ましい。ティシュペーパーは、坪量が10g/m以上30g/m以下の範囲であることが好ましく、厚みが0.03mm以上0.15mm以下の範囲であることが好ましい。また、スパンボンド不織布は、坪量が10g/m以上30g/m以下の範囲であることが好ましく、厚みが0.1mm以上0.8mm以下の範囲であることが好ましい。なお、厚みはシックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定する。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取る。また、測定を10回繰り返して測定結果を平均する。なお、測定は10枚を重ねて測定し、値を1/10にして、厚みの値とする。
【0035】
(液拡散シート)
本実施形態では、トップシート11と吸収体13との間に液透過性の液拡散シート19を備えてもよい。液拡散シート19は、トップシート11側からの体液を拡散させて吸収体13側へ案内する。液拡散シート19としては、例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布等の不織布や、スパンボンド/メルトブロー、スパンボンド/メルトブロー/スパンボンドを積層した複合不織布を挙げることができる。液拡散シート19の形状は、特に制限はないが、尿等の液体がくまなく吸収体13に拡散するよう、吸収体13の表面を完全に覆うことができる形状であることが好ましい。
【0036】
(左右の立体ギャザー)
左右の立体ギャザー14は、例えば、ペット用吸収性物品10を着用したペットが排泄した体液の横漏れを防止するために、吸収体13の幅方向(Y方向)の両端付近で吸収体13の長さ方向に沿ってトップシート11の肌側の表面に固定される。左右の立体ギャザー14は、液不透過性の立体ギャザーシート14aと、弾性伸縮部材(第2弾性伸縮部材)14bとをそれぞれ有する。なお、本実施形態では、左右の立体ギャザー14の立体ギャザーシート14aと、左右のサイドギャザー15の後述する内側シート15aとは、連続した一体のシートであるが、この一体のシートのうち、立体ギャザーとして機能する部分を「立体ギャザーシート」と称し、サイドギャザーとして機能する部分を「内側シート」と称している。
【0037】
立体ギャザーシート14aは撥水性及び/又は防水性を有する液不透過性のシートであり、例えば不織布から構成される。ここで不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMMS不織布)等が挙げられる。立体ギャザーシート14aの目付は、例えば、10g/m以上20g/m以下の範囲である。立体ギャザーシート14aは、基端側(立体ギャザー14の基端側)がバックシート12の肌側の面(以下、「肌側面」と称する。)の幅方向の両端付近に長手方向に沿って固定され、基端側から幅方向の内側へ向かって延び、先端側(立体ギャザー14の先端側)が自由端となっている。立体ギャザーシート14aの基端側と先端側との間の中間部分は、トップシート11の肌側面の幅方向の両端付近に長手方向に沿って固定される。なお、立体ギャザーシート14aの基端側の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート12の非肌側の面(以下、「非肌側面」と称する。)、内部に吸収体13を収納したトップシート11とバックシート12との各縁辺の全部又は一部接合体の肌側面又は非肌側面の幅方向の両端付近、トップシート11の肌側面の幅方向の両端付近等が挙げられる。
【0038】
弾性伸縮部材14bは、立体ギャザーシート14aの先端側(自由端付近)に長手方向に沿って配設され、該自由端に起立性を付与し、立体ギャザーシート14aの自由端及びその近傍領域をペットの体型に合わせて変形可能にする。弾性伸縮部材14bとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0039】
(左右のサイドギャザー)
左右のサイドギャザー15は、ペット用吸収性物品10の幅方向の両端部に伸縮性を持たせて、ペットの身体側へのフィット性を向上させるための部分であって、液不透過性の肌側の内側シート15aと、液透過性の非肌側の外側シート15bと、弾性伸縮部材(第1弾性伸縮部材)15cとを有する。
【0040】
内側シート15aは、撥水性及び/又は防水性を有する液不透過性のシートであり、例えば不織布から構成される。ここで不織布としては、疎水性繊維にて形成された撥水性及び/又は防水性(液不透過性)の不織布を特に限定なく使用でき、例えば、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布/メルトブロー不織布/メルトブロー不織布/スパンボンド不織布積層体である複合不織布(SMMS不織布)等が挙げられる。内側シート15aの目付は、例えば、10g/m以上20g/m以下の範囲である。内側シート15aは、基端側(内側シート15aの基端側)がバックシート12の肌側面の幅方向の両端付近に長手方向に沿って固定され、基端側から幅方向の外側へ向かって延び、先端側(サイドギャザー15の先端側)が自由端となっている。なお、内側シート15aの基端側の固定位置は、本実施形態に限定されず、例えば、バックシート12の非肌側面、内部に吸収体13を収納したトップシート11とバックシート12との各縁辺の全部又は一部接合体の肌側面又は非肌側面の幅方向の両端付近、トップシート11の肌側面の幅方向の両端付近等が挙げられる。
【0041】
本実施形態の左右のサイドギャザー15の内側シート15aは、左右の立体ギャザー14の立体ギャザーシート14aと一体のシートである。具体的には、左右のサイドギャザー15の内側シート15aと、左右の立体ギャザー14の立体ギャザーシート14aとは、互いの基端側同士が連続した一体のシートである。すなわち、本実施形態の左右のサイドギャザー15は、左右の内側シート15aを有する。
【0042】
外側シート15bは、幅方向の両側が左右のサイドギャザー15として機能する1枚のシートであって、バックシート12の非肌側に配置され、幅方向の両側がバックシート12よりも幅方向の外側へ延びる。このバックシート12よりも幅方向の外側へ延びている部分は、左右のサイドギャザー15として機能する。外側シート15bは、液透過性のシートであり、例えば内側シート15aよりも疎な構造を持つ不織布から構成される。すなわち、外側シート15bは、内側シート15aよりも目が粗い構成を有する。外側シート15bを構成する不織布としては、液透過性の不織布を特に限定なく使用できる。外側シート15bの幅方向の中間部分は、バックシート12の非肌側面を覆い、バックシート12に対して固定される。外側シート15bの幅方向の両側は、バックシート12よりも幅方向の外側へ延びており、内側シート15aに対して非肌側から対向する状態で固定される。すなわち、内側シート15aは、外側シート15bの幅方向の両端部の肌側に配置され、外側シート15bに対して固定される。このバックシート12よりも幅方向の外側へ突出する外側シート15bと内側シート15aとが、左右のサイドギャザー15として機能する。なお、外側シート15bの幅方向の中間部分とバックシート12との間に他のシートを配置してもよい。
【0043】
弾性伸縮部材15cは、外側シート15bの幅方向の両側の外端部と、内側シート15aの幅方向の両側の外端部との間に長手方向に沿って配置され、外側シート15b及び内側シート15aの少なくとも一方に対して固定される。弾性伸縮部材15cは、左右のサイドギャザー15の先端部を、ペットの体型に合わせて変形可能にする。弾性伸縮部材15cとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン等からなる、糸状、紐状、帯状のものを適宜使用することができる。
【0044】
(フィルムシート)
フィルムシート16は、通気性および不透液性を備えた基材から形成され、サイドギャザー15の外側シート15bの非肌側に配置され、外側シート15bの非肌側面に貼り付けられる。フィルムシート16の幅方向の長さは、サイドギャザー15の外側シート15bの幅方向の長さよりも短い。本実施形態のフィルムシート16の幅方向の両端部は、左右のサイドギャザー15の基端部に位置する。すなわち、左右のサイドギャザー15の外側シート15bの幅方向の両側は、フィルムシート16よりも幅方向の両側の外側へ延びる。これにより、フィルムシート16よりも幅方向の両側の外側には、左右のサイドギャザー15の外側シート15bが露出している。なお、フィルムシート16とサイドギャザー15の外側シート15bとの間に他のシートを配置してもよい。
【0045】
フィルムシート16は、通気性を備えた樹脂フィルムを用いて形成されていればよく、樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンとポリプロピレンの複合フィルム等が挙げられる。
【0046】
(フックテープ)
フックテープ17は、ペット用吸収性物品10をペットに装着する際に、ペット用吸収性物品10の長手方向の両側を互いに止めるためのテープであって、ペット用吸収性物品10の長手方向の一端部に設けられる。本実施形態では、フックテープ17は、ペット用吸収性物品10の長手方向の一端部のフィルムシート16の非肌側面に固定される。すなわち、フックテープ17は、ペット用吸収性物品10の長手方向の一端部の非肌側面に固定される。フックテープ17は、幅方向に沿って帯状に延びる。本実施形態では、ペット用吸収性物品10をペットの胴に巻き付けた状態で、フックテープ17を、ペット用吸収性物品10の長手方向の他端側(ペットの胴に巻いた際にペット用吸収性物品10の長手方向の一端部に重なる側)の肌側面(例えばトップシート11の肌側面)に係止することによって、ペット用吸収性物品10をペットに装着する。フックテープ17には、ペット用吸収性物品10の肌側面(例えば、トップシート11の肌側面)に係合可能な材料を使用でき、例えば、面ファスナーのフック材等が挙げられる。すなわち、フックテープ17は、ペット用吸収性物品10の長手方向の他端側に対して着脱可能である。
【0047】
なお、本実施形態では、幅方向に沿って帯状に延びるフックテープ17としたが、これに限定されるものではなく、例えば、複数のフックテープをペット用吸収性物品10の幅方向に互いに離間させた状態で並べて配置してもよい。また、ペット用吸収性物品10の長手方向の他端側に、フックテープ17に係止可能な面ファスナーのループ材等を固定してもよい。
【0048】
次に、折り畳み状態のペット用吸収性物品10について説明する。
【0049】
図4は、折り畳んだ状態のペット用吸収性物品を示す概略図であって、(a)は4つ折りに折り畳んだ状態を、(b)は2つ折りに折り畳んだ状態を、それぞれ示す。なお、図4(b)では、折り畳んだ状態のペット用吸収性物品に他のペット用吸収性物品を積層した状態が図示されている。
【0050】
ペット用吸収性物品10は、図4に示すように折り畳まれた状態で、複数枚積層されて、包装材によって包装されて製品化される。ペット用吸収性物品10を折り畳む場合には、衛生面の観点から、ペット用吸収性物品10の肌側面(トップシート11側の面)が表面に露出しないように、トップシート11側を内側にして折り畳む。
【0051】
図4(a)に示すように、トップシート11側を内側にするように、ペット用吸収性物品10を第1方向の真ん中で半分に折り返し、その後、更に半分に折り返して、ペット用吸収性物品10を4つ折りにする場合、2回目の折り返しの際にフックテープ17が内側になるように折り返すと、フックテープ17は、ペット用吸収性物品10の非肌側面を構成するフィルムシート16に対向する。一方、2回目の折り返しの際にフックテープ17が外側になるように折り返すと、フックテープ17は、折り畳み状態のペット用吸収性物品10の表面側(図4(a)に二点鎖線で示す位置)に位置することになり、その上に重ねられる他のペット用吸収性物品(図示省略)の非肌側面を構成するフィルムシート16に対向する。
【0052】
図4(b)に示すように、トップシート11側を内側にするように、ペット用吸収性物品10を第1方向の真ん中で半分に折り返して、ペット用吸収性物品10を2つ折りにする場合、フックテープ17は、その上に重ねられる他のペット用吸収性物品10a(図4(b)中の上側のペット用吸収性物品)の非肌側面を構成するフィルムシート16に対向する。
【0053】
上記のように構成されたペット用吸収性物品10では、左右のサイドギャザー15は、液不透過性の内側シート15aを有するので、左右のサイドギャザー15よりも幅方向の外側への尿漏れを防止することができる。
【0054】
また、左右のサイドギャザー15は、液透過性の外側シート15bを有するので、ペット用吸収性物品10を装着した際に、左右のサイドギャザー15の外側シート15bがペット用吸収性物品10の外部に露出する表面側に位置する。液透過性の外側シート15bは、内側シート15aよりも疎な構造であるので、外側シート15bを内側シート15aと同じシートで形成する場合とは異なり、左右のサイドギャザー15の表面の風合いが柔らかくなり、ペット用吸収性物品10の全体的な印象が柔らかなものとなる。
【0055】
また、フィルムシート16が、左右のサイドギャザー15の外側シート15bの非肌側に配置される。このため、トップシート11側を内側にするようにペット用吸収性物品10を折り畳み、この折り畳み状態のペット用吸収性物品10を複数枚積層した際に、フックテープ17は、当該フックテープ17が設けられているペット用吸収性物品10のフィルムシート16、或いは当該フックテープ17が設けられているペット用吸収性物品10に積層された他のペット用吸収性物品10のフィルムシート16に対向する。このため、包装時のフックテープ17の意図しない貼り付きを防止することができる。
【0056】
また、フィルムシート16が、左右のサイドギャザー15の外側シート15bの非肌側に配置されるので、装着時にフックテープ17がペット用吸収性物品10の非肌側面に対して意図せず貼り付いてしまうことを防止することができる。
【0057】
このように、包装・装着時のフックテープ17の意図しない貼り付きを防止することができるので、フックテープ17の意図しない張り付きを剥がす際のペット用吸収性物品10の毛羽立ち等の破損を防止することができる。
【0058】
また、フィルムシート16を、左右のサイドギャザー15の外側シート15bの非肌側に配置するので、ペット用吸収性物品10に意匠等の柄の印刷を施したい場合には、フィルムシート16に対して柄の印刷を施すことができる。フィルムシート16は、樹脂製フィルムのシートであるので、鮮明に印刷を施すことができ、柄の視認性を確保することができる。例えば、フィルムシート16に対して柄の印刷を施すことができるので、不織布(外側シート15b)に柄の印刷を施す場合とは異なり、鮮明に柄の印刷を施すことができ、柄の視認性を確保することができる。或いは、バックシート12に柄の印刷を施し、当該バックシート12を左右のサイドギャザー15の外側シート15bで覆う場合とは異なり、フィルムシート16に対して鮮明に柄の印刷を施すことができ、柄の視認性を確保することができる。
【0059】
このように、本実施形態によれば、柔らかなサイドギャザー15で漏れを防止することができ、包装・装着時のフックテープ17の意図しない貼り付きを防止し、柄を設ける場合には柄の視認性を確保することができる。
【0060】
また、フィルムシート16は、通気性を有するので、ペット用吸収性物品10としての通気性を確保することができ、ムレを防止することができる。
【0061】
また、左右の立体ギャザー14を備え、左右の立体ギャザー14は、液不透過性の立体ギャザーシート14aと、弾性伸縮部材14bとをそれぞれ有する。このため、左右の立体ギャザー14よりも幅方向の外側への尿漏れを防止することができる。
【0062】
また、左右のサイドギャザー15の内側シート15aと、左右の立体ギャザー14の立体ギャザーシート14aとは、互いの基端側同士が連続した一体のシートであるので、部品点数を抑えることができ、製造上好ましい。
【0063】
なお、本実施形態では、左右のサイドギャザー15の内側シート15aと左右の立体ギャザー14の立体ギャザーシート14aとを一体のシートとしたが、これに限定されるものではなく、それぞれ別体のシートであってもよい。
【0064】
また、本実施形態では、左右の立体ギャザー14を設けたが、左右の立体ギャザー14を設けなくてもよい。
【0065】
また、本実施形態では、通気性を有するフィルムシート16としたが、これに限定されるものではない。
【0066】
以上、本発明について、上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、当然に本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論である。
【符号の説明】
【0067】
10:ペット用吸収性物品
11:トップシート
12:バックシート
13:吸収体
14:左右の立体ギャザー
14a:立体ギャザーシート
14b:弾性伸縮部材(第2弾性伸縮部材)
15:左右のサイドギャザー
15a:内側シート
15b:外側シート
15c:弾性伸縮部材(第1弾性伸縮部材)
図1
図2
図3
図4