(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074340
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】無線センサ端末、センサ情報検出方法、無線センサ端末システム
(51)【国際特許分類】
H04R 29/00 20060101AFI20240524BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
H04R29/00 320
G05B23/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185422
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】301078191
【氏名又は名称】株式会社日立ハイテクソリューションズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】藤森 司
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223BA03
3C223BB12
3C223CC04
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB02
3C223EB03
3C223FF02
3C223FF33
3C223GG03
3C223HH30
(57)【要約】
【課題】
部品劣化初期等に生じるパルス状の超音波を捉えることができ、低電力、小データ量の無線センサ端末、センサ情報検出方法、及びそれを用いたシステムを提供する。
【解決手段】
センサからの信号を検出し無線で外部に送信する無線センサ端末であって、センサからの信号を帯域制限するバンドパスフィルタと、バンドパスフィルタの出力から音圧データを得る音圧検出回路と、音圧データと所定の閾値電圧とを比較する比較器と、所定時間内に比較器からの閾値電圧を超えた回数をカウントするカウンタと、外部にデータ送信する通信部と、制御回路を有し、制御回路は、カウンタでカウントされた所定時間毎のカウント数を通信部を介して外部に送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサからの信号を検出し無線で外部に送信する無線センサ端末であって、
前記センサからの信号を帯域制限するバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタの出力から音圧データを得る音圧検出回路と、
前記音圧データと所定の閾値電圧とを比較する比較器と、
所定時間内に前記比較器からの前記閾値電圧を超えた回数をカウントするカウンタと、
外部にデータ送信する通信部と、
制御回路を有し、
前記制御回路は、前記カウンタでカウントされた前記所定時間毎のカウント数を前記通信部を介して外部に送信することを特徴とする無線センサ端末。
【請求項2】
請求項1に記載の無線センサ端末において、
前記通信部を介して外部から受信した値を基に前記閾値電圧を生成する閾値電圧生成回路を有することを特徴とする無線センサ端末。
【請求項3】
請求項1に記載の無線センサ端末において、
前記所定時間は、前記通信部を介して外部から受信した値を基に設定されることを特徴とする無線センサ端末。
【請求項4】
請求項1に記載の無線センサ端末において、
A/D変換器を有し、
前記制御回路は、前記音圧検出回路からの音圧データを前記A/D変換器を介してデジタル信号に変換して取り込み、該音圧データを前記通信部を介して外部に送信することを特徴とする無線センサ端末。
【請求項5】
請求項1に記載の無線センサ端末において、
A/D変換器を有し、
前記制御回路は、前記センサからの信号を前記A/D変換器を介してデジタル信号に変換して生データとして取り込み、該生データを前記通信部を介して外部に送信することを特徴とする無線センサ端末。
【請求項6】
請求項1に記載の無線センサ端末において、
前記バンドパスフィルタと前記音圧検出回路の少なくとも一方がパッシブ素子で構成されていることを特徴とする無線センサ端末。
【請求項7】
センサからの信号を検出し無線で外部に送信する無線センサ端末のセンサ情報検出方法であって、
前記センサの出力を周波数帯域制限して音圧を検出し、
前記音圧と所定の閾値電圧とを比較して所定時間内に前記閾値電圧を超えた回数をカウントすることを特徴とするセンサ情報検出方法。
【請求項8】
請求項7に記載のセンサ情報検出方法において、
前記閾値電圧は、前記無線センサ端末の外部から無線で設定されることを特徴とするセンサ情報検出方法。
【請求項9】
請求項7に記載のセンサ情報検出方法において、
前記所定時間は、前記無線センサ端末の外部から無線で設定されることを特徴とするセンサ情報検出方法。
【請求項10】
請求項7に記載のセンサ情報検出方法において、
前記検出した音圧のデータをデジタル信号に変換して音圧データとして取り込み、該音圧データを前記無線センサ端末の外部に送信することを特徴とするセンサ情報検出方法。
【請求項11】
請求項7に記載のセンサ情報検出方法において、
前記センサからの信号をデジタル信号に変換して生データとして取り込み、該生データを前記無線センサ端末の外部に送信することを特徴とするセンサ情報検出方法。
【請求項12】
データ収集装置と無線センサ端末からなる無線センサ端末システムであって、
前記無線センサ端末は、
センサと、
前記センサからの信号を帯域制限するバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタの出力から音圧データを得る音圧検出回路と、
前記音圧データと所定の閾値電圧とを比較する比較器と、
所定時間内に前記比較器からの前記閾値電圧を超えた回数をカウントするカウンタと、
外部にデータ送信する第1通信部と、
第1制御回路を有し、
前記第1制御回路は、前記カウンタでカウントされた前記所定時間毎のカウント数を前記第1通信部を介して前記データ収集装置に送信し、
前記データ収集装置は、第2通信部と第2制御回路を有し、
前記第2制御回路は前記第2通信部を介して受信した前記カウント数をもとに異常判定を行なうことを特徴とする無線センサ端末システム。
【請求項13】
請求項12に記載の無線センサ端末システムにおいて、
前記無線センサ端末は、A/D変換器を有し、前記第1制御回路は、前記音圧検出回路からの音圧データを前記A/D変換器を介してデジタル信号に変換して取り込み、該音圧データを前記第1通信部を介して前記データ収集装置に送信し、
前記データ収集装置は、前記第2制御回路が、前記第2通信部を介して受信した前記音圧データを基に閾値電圧値を設定し、該閾値電圧値を前記第2通信部を介して前記無線センサ端末に送信し、
前記無線センサ端末は、前記第1通信部を介して前記データ収集装置から受信した前記閾値電圧値を基に前記閾値電圧を生成する閾値電圧生成回路を有することを特徴とする無線センサ端末。
【請求項14】
請求項12に記載の無線センサ端末システムにおいて、
前記データ収集装置は、前記所定時間を前記第2通信部を介して前記無線センサ端末に送信し、
前記無線センサ端末は、前記第1通信部を介して前記データ収集装置から受信した前記所定時間を基に前記カウンタはカウントを実行することを特徴とする無線センサ端末システム。
【請求項15】
請求項12に記載の無線センサ端末システムにおいて、
前記データ収集装置は、前記異常判定と判断した場合、前記第2通信部を介して前記無線センサ端末に生データ測定モードの指示を送信し、
前記無線センサ端末は、A/D変換器を有し、前記第1制御回路は、前記第1通信部を介して前記データ収集装置から受信した前記生データ測定モードの指示に基づき、前記センサからの信号を前記A/D変換器を介してデジタル信号に変換して音圧データとして取り込み、該音圧データを前記第1通信部を介して前記データ収集装置に送信することを特徴とする無線センサ端末システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線によりセンサ情報を送信する無線センサ端末に係り、そのセンサ情報検出方法、及びそれを用いたシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoT(Internet of Things)の発展により、センサ端末をネットワークを通じてサーバやクラウドサービスに接続し、そのセンサ情報を利用して状態監視を行い管理やメンテナンスを行うサービスが行われている。例えば、産業、製造分野での既設設備や装置において、センサ端末のIoT化が進んでいる。センサ端末のIoT化においては、無線によりセンサ情報を送信する無線センサ端末とすることで、既設設備への追加設置、公衆無線網での遠隔監視、内部電源による長期間動作が可能となる。
【0003】
本技術分野における先行技術文献として特許文献1がある。特許文献1には、センサデータをFFT(Fast Fourie Transform)して周波数軸でデータ収集と分析を行うスペクトル収集型のセンサ端末が開示されており、平常時は低サンプリングレートで監視し、異常を検知したら高サンプリングレートでデータ収集し、低電力な端末で周波数分析を行う点が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、装置内の部品劣化初期に生じる異音の収集を無線センサ端末で行いたい場合、部品劣化の初期に生じる異音または超音波は、パルス状に生じ、劣化度進行により発生頻度が上昇する。このようなパルス状超音波の収集のための課題としては、高サンプリングレートによる連続的なサンプリングが必要なためデータ量が膨大となる。
【0006】
特許文献1では、サンプリングレートを切替えるため、データ量の削減は可能であるが、センサデータは時間的に平均化されるので、センサデータがパルス状の音波の場合には、定常的に生じる音波ではないのでSN比(信号/ノイズ比)が低くなり、パルス状の音波の分析は難しい。
【0007】
また、パルス状であり発生頻度が少ないため、間欠的な測定ではパルス状超音波を捉えきれない。また、音圧を基に超音波振動を収集する手法も考えられるが、機器の動作状態および回路や機器により生じるノイズもパルス状の成分を含むため、信号とノイズを見分けるための閾値が状況により変動するという課題もある。
【0008】
そこで、本発明は上記課題に鑑み、部品劣化初期等に生じるパルス状の超音波を捉えることができ、低電力、小データ量の無線センサ端末、センサ情報検出方法、及びそれを用いたシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、その一例を挙げるならば、センサからの信号を検出し無線で外部に送信する無線センサ端末であって、センサからの信号を帯域制限するバンドパスフィルタと、バンドパスフィルタの出力から音圧データを得る音圧検出回路と、音圧データと所定の閾値電圧とを比較する比較器と、所定時間内に比較器からの閾値電圧を超えた回数をカウントするカウンタと、外部にデータ送信する通信部と、制御回路を有し、制御回路は、カウンタでカウントされた所定時間毎のカウント数を通信部を介して外部に送信する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パルス状超音波を捉えることができ、低電力、小データ量の無線センサ端末、センサ情報検出方法、及びそれを用いたシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施例における無線センサ端末システムの概略構成図である。。
【
図2A】実施例における音圧検出回路により検出した音圧データの例である。
【
図2B】
図2Aに示す音圧データを収集し分析しヒストグラム化した図である。
【
図3】実施例における異常判定モードでのカウンタによりカウントされたパルス回数の例である。
【
図4】実施例におけるセンサ情報検出および異常判定の処理シーケンスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を用いて説明する。
【実施例0013】
図1は、本実施例における無線センサ端末システムの概略構成図である。
図1に示すように無線センサ端末システム100は、データ収集装置200と無線センサ端末300からなり、相互に無線によりデータを送受信する。無線センサ端末300は、監視対象となる設備や装置に配置されている。なお、無線センサ端末システム100は、複数の無線センサ端末300を有する場合があり、それらがデータ収集装置200と無線により接続されているが、説明を簡単にするために、
図1では無線センサ端末300は1つのみを記載している。また、データ収集装置200と無線センサ端末300は、無線LANによりインターネット等のネットワークを介して、相互に接続されていてもよい。
【0014】
データ収集装置200は、PCやサーバなどの一般的な情報処理装置であり、CPU201とメモリ202と記憶装置(ストレージ部)203と入出力装置204と通信部205を少なくとも有しており、これらがバス206を介して接続されている。また、記憶装置203には、処理プログラム210として、統計処理プログラム211、閾値演算プログラム212、端末制御プログラム213を有している。さらに、記憶装置203には、関連データ220として、頻度データ221、音圧データ222、生データ223を有している。これらの処理プログラムや関連データの詳細は後述する。
【0015】
データ収集装置200は、CPU201がそれぞれの機能を実現する処理プログラム210を記憶装置203からメモリ202へロードし、関連データ220を参照しながら、処理プログラムを解釈して実行するソフトウェア処理により各機能を実現する。
【0016】
無線センサ端末300は、振動や音の信号を検出するセンサ301、スイッチ302、バンドパスフィルタ(BPF)303、音圧検出回路304、A/D変換器(ADC)305、MCU(Micro Controller Unit)306、比較器307、カウンタ308、閾値電圧生成回路309、通信部310、電池311を有する。
【0017】
センサ301で検出した振動や音の信号をBPF303によりある周波数帯域に制限し、音圧検出回路304によりある周波数帯域の音圧レベルの音圧データを得る。そして、ADC305を介してデジタル信号に変換してMCU306に取り込まれる。これは、(1)一定のサンプリング周波数で音圧を検出し、閾値電圧を決定する閾値電圧決定モードで使用する回路構成である。
【0018】
一方、音圧検出回路304の出力である音圧データは比較器307により、閾値電圧生成回路309により生成された閾値電圧と比較され閾値電圧以上のパルス状音波を得る。なお、閾値電圧生成回路309は、通信部310を介してデータ収集装置200から受信した閾値電圧値を元に、MCU306の制御により閾値電圧を生成する。カウンタ308はパルス状音波のパルス数をカウントする。カウントしたパルス数はMCU306に取り込まれる。これは、(2)一定時間内の閾値を超えるパルス数をカウントし、異常判定を行なう異常判定モードで使用する回路構成である。
【0019】
また、スイッチ302により、センサ301で検出した振動や音の信号をADC305に直接入力するように切替え、ADC305を介してサンプリングによりデジタル信号に変換して、帯域制限を行わないデータ(以降、生データと称する)がMCU306に取り込まれる。これは、(3)生データを収集する生データ測定モードで使用する回路構成である。
【0020】
MCU306は、取り込まれたデータを通信部310を介してデータ収集装置200に送信する。
【0021】
なお、スイッチ302の切替え、ADC305のON/OFF、閾値電圧生成回路309の制御、カウンタ308のリセットはMCU306が制御する。また、無線センサ端末300の電源は電池311により供給される。
【0022】
上記のように、無線センサ端末300は、3つの処理モードを有して、データ収集装置200により切り替え可能とする。また、カウントする時間、閾値電圧値、生データ収集への切り替えは、データ収集装置200により指示することができる。
【0023】
なお、BPF303の帯域は限定しないが、例えば20~80kHzでよい。また、無線センサ端末300を構成する各回路はデジタルかアナログか限定しないが、例えば、センサ301、スイッチ302、BPF303、音圧検出回路304、比較器307、閾値電圧生成回路309までは極力アナログにして、短パルス状の音波を取りこぼさないようにしてもよい。また、BPF303と音圧検出回路304の両方、もしくは少なくとも一方をパッシブ素子で構成することで消費電力を低減できる。
【0024】
次に、閾値電圧決定モードでの処理の具体例について説明する。
図2Aは、本実施例における、音圧検出回路304により検出した音圧データの例である。
図2Aにおいては、回転するベアリングからの音をセンシングし、音圧検出回路304を時定数が10msec程度の包絡線検波回路として、包絡線検波後の音圧データを示している。また、3秒に1回の一定間隔で音圧を一定期間(200時間)収集した図である。
図2Aにおいて、約130時間までは正常であるが、それ以降は、ベアリングに生じた錆に依る劣化での異常が生じている場合を示している。
【0025】
図2Bは、
図2Aに示す音圧データを収集し分析しヒストグラム化した図である。また、
図2Cは、
図2Bに示すヒストグラムを模式化した図である。
図2Cに示すように、
図2Bに示すヒストグラムは、常時発生する振動・ノイズのガウス分布401と、異物・傷等の劣化で生じる振動のポアソン分布402の重ね合わせとして観測される。
【0026】
そのため、ガウス分布401における常時発生する振動・ノイズの大部分を含む値(σから決定)を
図2Bに示すように閾値電圧値として決める。すなわち、一定間隔で音圧データを一定期間収集し、収集した音圧データのヒストグラムをフィッティングして閾値電圧値を求める。
【0027】
次に、異常判定モードでの処理の具体例について説明する。
図3は、本実施例における異常判定モードでの、カウンタ308によりカウントされたパルス回数の例である。
図3においては、
図2Aと同様の、回転するベアリングからの音のセンサ信号を元に、60秒間に閾値電圧を超えたパルス回数を一定期間(200時間)収集した図である。
図3に示すように、約130時間後にベアリング劣化によるパルス回数の振動変化が大きくなり、異常判定を約130時間後に十分に観測可能となっている。なお、
図3において白抜きの線で示すように、閾値電圧を超えたパルス回数の移動平均を求め、その振動変化により異常判定を行ってもよい。
【0028】
この異常判定モードは、比較器307により閾値電圧を超える音圧データのみのパルス状音波を測定するので、スペクトル収集と比較して、例えば3,000,000分の1で異常判定可能となる。また、短パルス幅、低頻度の異常初期の状態から異常判定可能である。
【0029】
なお、
図3のように、カウンタ308のカウント数を一定時間ごとに取得しモニタするのが基本であるが、一定数カウントされるまでの時間を取得してモニタしてもよい。その場合、データが等間隔でなく解析し難いという課題と、正常時にデータが無くなるなどシステムがやや組みにくいという課題があるが、より低電力にできるという利点を重視するならば有効である。
【0030】
図4は、本実施例におけるセンサ情報検出および異常判定の処理シーケンスを示す図である。
図4において、まず、閾値電圧決定モードでは、無線センサ端末は、ステップS301で、一定時間の音圧値を測定し音圧データをデータ収集装置に送信する。データ収集装置は、それを受信し、ステップS201で初期の音圧値を記録し、ステップS202で音圧平均値を基に閾値電圧値を設定する。そして、データ収集装置は、ステップS203で、例えば監視対象となる設備や装置が動作する時間や変化する時間等の各アプリケーションの時定数からカウント時間を設定し、設定した閾値電圧値とカウント時間を無線センサ端末に送信し、異常判定モードを指示する。無線センサ端末は、ステップS302で、異常判定モードの指示があったかを判断し、異常判定モードの指示がなければステップS301に戻り、異常判定モードの指示があれば異常判定モードに移行する。
【0031】
異常判定モードでは、無線センサ端末は、ステップS303で、指示されたカウント時間と閾値電圧値に基づき、一定時間内の閾値電圧を超えるパルス数をカウントし、カウント時間毎にパルスカウント数をデータ収集装置に送信する。データ収集装置は、それを受信し、ステップS204でパルスカウント数の記録と異常判定行い、ステップS205で、パルスカウント数が一定以上なら無線センサ端末に生データ測定モードを指示する。無線センサ端末は、ステップS305で、生データ測定モードの指示があったかを判断し、生データ測定モードの指示がなければステップS303に戻り、生データ測定モードの指示があれば生データ測定モードに移行する。
【0032】
生データ測定モードでは、無線センサ端末は、ステップS306で、生データをサンプリングしてデータ収集装置に送信する。データ収集装置は、それを受信し、ステップS206で生データ記録と分析を行う。
【0033】
以上、3つの処理モードについて説明したが、異常判定モードは、低電力、低データ量での異常判定を行なうモードであり、さらに、閾値電圧決定モードは、異常判定モードに先立って、異常判定モードで使用する閾値電圧値を決定する処理であり、それぞれ必須である。これに対して、生データ測定モードは、異常の確定診断を行うための詳細データを収集するモードであるので、必ずしも必要ではなく、省略してもよい。
【0034】
また、閾値電圧決定モードは、無線センサ端末側またはデータ収集装置側からの操作により行ない、無線センサ端末を監視対象となる設備や装置に設置する際に行なってもよいし、設置する設備や装置の状態変化時に行なってもよい。また、上記では、データ収集装置は、無線センサ端末に異常判定モードを指示するとして説明したが、異常判定モードを指示することなしに、データ収集装置が閾値電圧値とカウント時間を無線センサ端末に送信し、無線センサ端末はそれらを受信したことで異常判定モードに移行してもよい。
【0035】
以上のように、本実施例によれば、部品劣化初期に生じるパルス状の超音波を捉えることができ、低電力、小データ量の無線センサ端末、センサ情報検出方法、及びそれを用いたシステムを提供できる。
【0036】
以上、本発明による実施例を示したが、本発明は、低電力、小データ量の無線センサ端末を提供できるため、炭素排出量を減らし、地球温暖化を防止することができ、SDGs(Sustainable Development Goals)を実現するための特に項目7のエネルギーに貢献する。
【0037】
また、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
100:無線センサ端末システム、200:データ収集装置、201:CPU、202:メモリ、203:記憶装置(ストレージ部)、204:入出力装置、205:通信部、210:処理プログラム、211:統計処理プログラム、212:閾値演算プログラム、213:端末制御プログラム、220:関連データ、221:頻度データ、222:音圧データ、223:生データ、300:無線センサ端末、301:センサ、302:スイッチ、303:バンドパスフィルタ(BPF)、304:音圧検出回路、305:A/D変換器(ADC)、306:MCU、307:比較器、308:カウンタ、309:閾値電圧生成回路、310:通信部、311:電池、401:ガウス分布、402:ポアソン分布