(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074365
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】評価方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/16 20060101AFI20240524BHJP
A61B 5/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
A61B5/16 100
A61B5/00 M
A61B5/00 101A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185468
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 恵子
(72)【発明者】
【氏名】今村 周平
(72)【発明者】
【氏名】中川 文香
(72)【発明者】
【氏名】北村 尚美
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 智子
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PQ00
4C038PS00
4C038PS09
4C117XB13
4C117XD05
(57)【要約】
【課題】心理的ウェルビーイングを客観的に評価する。
【解決手段】本発明の一実施形態である評価方法は、対象者の肌に対する意識の情報を取得することと、前記肌に対する意識の情報に基づいて、前記対象者の心理的ウェルビーイングを評価することと、を含む。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者の肌に対する意識の情報を取得することと、
前記肌に対する意識の情報に基づいて、前記対象者の心理的ウェルビーイングを評価することと
を含む方法。
【請求項2】
前記心理的ウェルビーイングの評価の結果に基づいて、前記肌に対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドすること、をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記評価は、前記対象者が自身の肌の悪い状態よりも自身の肌の良い状態を意識していることに基づいて、前記対象者の心理的ウェルビーイングを評価することである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記評価は、前記対象者の加齢の度合いにさらに基づいて、前記対象者の心理的ウェルビーイングを評価することである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
対象者の心理的ウェルビーイングの情報を取得することと、
前記心理的ウェルビーイングの情報に基づいて、前記対象者の肌に対する意識を評価することと
を含む方法。
【請求項6】
対象者の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の情報を取得することと、
前記健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の情報に基づいて、前記対象者の心理的ウェルビーイングを評価することと
を含む方法。
【請求項7】
前記心理的ウェルビーイングの評価の結果に基づいて、前記健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドすること、をさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記評価は、前記対象者が自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないことに基づいて、前記対象者の心理的ウェルビーイングを評価することである、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
対象者の心理的ウェルビーイングの情報を取得することと、
前記心理的ウェルビーイングの情報に基づいて、前記対象者の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識を評価することと
を含む方法。
【請求項10】
対象者の肌の生理学的データを取得することと、
前記肌の生理学的データに基づいて、前記対象者の心理的ウェルビーイングを評価することと
を含む方法。
【請求項11】
前記心理的ウェルビーイングの評価の結果に基づいて、前記肌の生理学的データを変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドすること、をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記評価は、前記対象者の顔の肌色の生理学的データの値(肌の色情報)が大きいと、前記対象者の心理的ウェルビーイングが高いと評価し、前記対象者の顔の肌色の生理学的データの値(肌の色情報)が小さいと、前記対象者の心理的ウェルビーイングが低いと評価する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記顔の肌色の生理学的データの値は、黄味の値、メラニン値、彩度である、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
対象者の心理的ウェルビーイングの情報を取得することと、
前記心理的ウェルビーイングの情報に基づいて、前記対象者の肌の生理学的データを評価することと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、身体的にも精神的にも社会的にも良好な状態であること(ウェルビーイング(Well-being)とも呼ばれている)が求められており、ウェルビーイングを実現するための手法が研究されている(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】株式会社ポーラ,"ポーラ、幸せ研究の調査により幸せにつながる「美容ルーティン5か条」を解明 1月19日動画公開",2022年1月19日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、精神的に良好な状態である(以下、心理的ウェルビーイングという)か否かは各人の主観的なものであり、その人のどのような意識やどのような状態と心理的ウェルビーイングが関係しているのかは明らかではなく、心理的ウェルビーイングを客観的に評価することは容易ではなかった。
【0005】
そこで、本発明では、心理的ウェルビーイングを客観的に評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態である評価方法は、対象者の肌に対する意識の情報を取得することと、前記肌に対する意識の情報に基づいて、前記対象者の心理的ウェルビーイングを評価することと、を含む。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、心理的ウェルビーイングを客観的に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る心理的ウェルビーイングと、肌に対する意識と、の関係を説明するための図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る心理的ウェルビーイングと、健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識と、の関係を説明するための図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る肌の生理学的データについて説明するための図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る心理的ウェルビーイングと、肌の生理学的データと、の関係を説明するための図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る肌の生理学的データについて説明するための図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る評価処理のフローチャートである。
【
図7】本発明の一実施形態に係る全体の構成例である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る評価装置の機能ブロック図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る評価装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0010】
<用語の説明>
・本明細書において、「ウェルビーイング」とは、人が身体的にも精神的にも社会的にも良好な状態であることをいう。1946年の世界保健機関(WHO)憲章の草案の中で「健康とは身体的・精神的および社会的に良好な状態(Well-being)(以下省略)」といわれてから、広く用いられている。
・本明細書において、「心理的ウェルビーイング」とは、人が精神的に良好な状態であり、自分自身がどのように感じているかの主観的なウェルビーイングをいう。さらに心理学において、ライアンら(Ryan et al., (2001). Annual review of psychology,52,141-166)は心理的ウェルビーイングについてユウダイモニック・ウェルビーイング(Eudaimonic Well-being)とヘドニック・ウェルビーイング(Hedonic Well-being)の2つに大別している。例えば、ユウダイモニックとは、普段の生活で生じる自己肯定や他者との関係を示すこと、ヘドニックとは、日々のスキンケアで生じる一時的な快感情を示すこと、を含む。この2つの側面は関連し合ってもいる。
【0011】
まず、"心理的ウェルビーイングと、肌に対する意識と、の関係"、"心理的ウェルビーイングと、健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識と、の関係"、"心理的ウェルビーイングと、肌の生理学的データと、の関係"を見い出した調査や実験について説明する。
【0012】
<心理的ウェルビーイングと、肌に対する意識と、の関係>
日本人の女性(20歳から75歳までの550名)に下記の質問を行った。
・心理的ウェルビーイングに関する質問として、心理学の分野で知られている心理的Well-being尺度(西田裕紀子(2000). 成人女性の多様なライフスタイルと心理的 well-being に関する研究. 教育心理学研究, 48(4), 433-443.)は、「人格的成長」、「人生における目的」、「自律性」、「自己受容」、「環境制御力」、「積極的な他者関係」の6因子に関する質問を含む。被験者は、質問に対して、"非常にあてはまる"、"全くあてはまらない"等を回答した。また、日本版主観的幸福感尺度(島井哲志, 大竹恵子, 宇津木成介, & 池見陽(2004). 日本版主観的幸福感尺度 (Subjective Happiness Scale: SHS) の信頼性と妥当性の検討. 日本公衆衛生雑誌, 51(10), 845-853.)は、「全般的に見て、私は自分のことを( )であると考えている(被験者は「非常に不幸」から「非常に幸福」を選択)などの4項目の質問を含む。
・肌に対する意識に関する質問は、ポジティブな肌に対する意識に関する質問(つやや明るさなどの色ややわらかさなどの感触、輪郭などの形態に関する肌状態の10項目)と、ネガティブな肌に対する意識に関する質問(毛穴や肌荒れなどの表面やかゆみや痛みなどの敏感さなどに関する肌状態の12項目)と、肌のエイジングに対する意識に関する質問(しわやたるみなどの形態やしみ・そばかすなどの色などに関する肌状態の10項目)と、を含む。被験者は、質問に対して、"非常にあてはまる"、"全くあてはまらない"等を回答した。
【0013】
「心理的ウェルビーイング(心理的ウェルビーイングに関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点)」、「ポジティブな肌に対する意識(ポジティブな肌に対する意識に関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点)」、「ネガティブな肌に対する意識(ネガティブな肌に対する意識に関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点)」、「肌のエイジングに対する意識(肌のエイジングに対する意識に関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点)」を潜在的因子として想定し、「心理的ウェルビーイング」を結果、「ポジティブな肌に対する意識」、「ネガティブな肌に対する意識」、「肌のエイジングに対する意識」を原因とする因果関係を想定して、構造方程式モデリングと呼ばれる統計手法を用いて解析した。因果関係を想定した分析の結果、「ポジティブな肌に対する意識」は、「心理的ウェルビーイング」に対して0.38のプラスの影響があった。また、「ネガティブな肌に対する意識」は、「心理的ウェルビーイング」に対して0.23のマイナスの影響があった。また、「肌のエイジングに対する意識」は、「心理的ウェルビーイング」に対して0.01のプラスの影響があった。また、被験者の年齢は、「心理的ウェルビーイング」に対して0.12のプラスの影響があった。これらより、心理的ウェルビーイングを高めるためには、ポジティブな肌に対する意識を高めることが重要であり、次に、ネガティブな肌に対する意識を低めることが重要であることが分かった。
【0014】
図1は、心理的ウェルビーイングに関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点の平均値プラス1標準偏差の値と平均値マイナス1標準偏差の値とを分割点として、心理的ウェルビーイングを3つの段階(低い(124点以下)、中間(125-177点)、高い(178点以上))に分けた結果を示す。日本人の女性(20歳から75歳までの550名)では、"低い"が57名、"中間"が410名、"高い"が83名であった。各段階ごとに、各意識(つまり、"ポジティブな肌に対する意識"、"ネガティブな肌に対する意識"、"肌のエイジングに対する意識")の平均値を求めた。次に、"低いと中間"、"中間と高い"の2つの段階の平均値を求めた。それらの平均値から、心理的ウェルビーイングの各段階に対応する各意識の得点の範囲を求めた。
【0015】
例えば、
図1のような得点の対応関係を用いて、肌に対する意識に基づく心理的ウェルビーイングの評価、心理的ウェルビーイングに基づく肌に対する意識の評価を行うことができる。
【0016】
<心理的ウェルビーイングと、健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識と、の関係>
日本人の女性(20歳から75歳までの550名)に下記の質問を行った。
・心理的ウェルビーイングに関する質問として、心理学の分野で知られている心理的Well-being尺度(西田裕紀子(2000). 成人女性の多様なライフスタイルと心理的 well-being に関する研究. 教育心理学研究, 48(4), 433-443.)は、「人格的成長」、「人生における目的」、「自律性」、「自己受容」、「環境制御力」、「積極的な他者関係」の6因子に関する質問を含む。被験者は、質問に対して、"非常にあてはまる"、"全くあてはまらない"等を回答した。
・健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識に関する質問は、自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないことに関する質問("美容合うもの不明"、"健康合うもの不明"、"健康実践できない"、"美容続かない"、"美容あきらめ"、"スキンケア合うもの不明"、"メイクアップ合うもの不明"の7項目)と、健康に対する意識に関する質問("健康のためのチャレンジ"、"流行の健康法や健康商品試す"、"健康に時間かける"、"健康のための情報交換"、"健康にお金かける"、"健康のため運動"、"健康の流行もの気になる"、"特定保健用食品やサプリメント摂る"の8項目)と、化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識に関する質問("メイクアップ楽しい"、"メイクアップで自信"、"メイクアップで個性"、"積極的にメイクアップ"、"メイクアップ工夫"、"スキンケアで自信"、"スキンケア楽しい"、"積極的にスキンケア"、"TPOでメイクアップ変える"の9項目)と、健康と美容の関係に対する意識に関する質問("健康に姿勢・歩き方が関係"、"健康第一"、"健康日々の努力"、"美と健康の関係"、"健康のための継続努力"、"素肌の美しさ"、"美のための継続努力"の7項目)と、を含む。被験者は、質問に対して、"非常にあてはまる"、"全くあてはまらない"等を回答した。
【0017】
「心理的ウェルビーイング(心理的ウェルビーイングに関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点)」、「自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないこと(自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないことに関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点)」、「健康に対する意識(健康に対する意識に関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点)」、「化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識(化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識に関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点)」、「健康と美容の関係に対する意識(健康と美容の関係に対する意識に関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点)」を潜在的因子として想定し、「心理的ウェルビーイング」を結果、「自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないこと」、「健康に対する意識」、「化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識」、「健康と美容の関係に対する意識」を原因とする因果関係を想定して、構造方程式モデリングと呼ばれる統計手法を用いて解析した。因果関係を想定した分析の結果、「自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないこと」は、「心理的ウェルビーイング」に対して0.51のマイナスの影響があった。また、「健康と美容の関係に対する意識」は、「心理的ウェルビーイング」に対して0.31のプラスの影響があった。また、「健康に対する意識」は、「心理的ウェルビーイング」に対して0.21のプラスの影響があった。また、「化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識」は、「心理的ウェルビーイング」に対して0.14のプラスの影響があった。また、被験者の年齢は、「心理的ウェルビーイング」に対して0.04のプラスの影響があった。また、被験者の不定愁訴の数は、「心理的ウェルビーイング」に対して、0.14のマイナスの影響の示唆があった。これらより、心理的ウェルビーイングを高めるためには、自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないことを低めることが重要であり、次に、健康に対する意識、化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識、健康と美容の関係に対する意識を高めることが重要であることが分かった。
【0018】
図2は、心理的ウェルビーイングに関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点の平均値プラス1標準偏差の値と平均値マイナス1標準偏差の値とを分割点として、心理的ウェルビーイングを3つの段階(低い(137点以下)、中間(138-189点)、高い(190点以上))に分けた結果を示す。日本人の女性(20歳から75歳までの550名)では、"低い"が46名、"中間"が423名、"高い"が81名であった。各段階ごとに、各意識(つまり、"自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないこと"、"健康に対する意識"、"化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識"、"健康と美容の関係に対する意識")の平均値を求めた。次に、"低いと中間"、"中間と高い"の2つの段階の平均値を求めた。それらの平均値から、心理的ウェルビーイングの各段階に対応する各意識の得点の範囲を求めた。
【0019】
例えば、
図2のような得点の対応関係を用いて、健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識に基づく心理的ウェルビーイングの評価、心理的ウェルビーイングに基づく健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の評価を行うことができる。
【0020】
<心理的ウェルビーイングと、肌の生理学的データと、の関係>
日本人の女性(20代、30代、40代の213名(春季(5月最終週)に102名、秋季(10月最終週)に111名))に心理的ウェルビーイングに関する質問を行い、かつ、頬と内腕(腕の内側)の皮膚生理測定を行った。なお、季節要因の差異を考慮して、各季節ごとに各測定項目について、標準化を行った。
・心理的ウェルビーイングに関する質問として、心理学の分野で知られている心理的Well-being尺度(西田裕紀子(2000). 成人女性の多様なライフスタイルと心理的 well-being に関する研究. 教育心理学研究, 48(4), 433-443.)は、「人格的成長」、「人生における目的」、「自律性」、「自己受容」、「環境制御力」、「積極的な他者関係」の6因子に関する質問を含む。被験者は、質問に対して、"非常にあてはまる"、"全くあてはまらない"等を回答した。
【0021】
[1.目的変数]
各季節ごとに標準化した心理的ウェルビーイング6つの尺度(つまり、「人格的成長」、「人生における目的」、「自律性」、「自己受容」、「環境制御力」、「積極的な他者関係」)の43項目の合計得点の平均点とした。
【0022】
[2.説明変数]
各季節ごとに標準化した皮膚生理測定の32項目について、探索的因子分析を行い、共通性0.1以下を除外し、頬と内腕の色やハリ関連の3因子を抽出した。次に、3因子ごとに主成分分析を行い、皮膚生理の観点の意味で頬や内腕の色やハリなどの5つに分類し(内腕の色、頬1の色、頬2の色、頬のハリ、内腕のハリ)、分類した項目の合計得点を求めた。
【0023】
各皮膚生理測定項目の5つの成分は以下のとおりである。
[内腕の色]
・色1・・・メラニン色素量
・色2・・・彩度
・色3・・・多いほど黄色く、少ないほど青み
・色4・・・高いほど明るく、低いほど暗い
・色5・・・高いほど明るく、低いほど黒み
・色6・・・多いほど赤く、少ないほど緑色
[頬1の色]
・色1・・・血中の物質Aの状態
・色2・・・多いほど赤く、少ないほど緑色
・色3・・・高いほど明るく、低いほど黒み
・色4・・・高いほど明るく、低いほど暗い
・色5・・・血中の物質Bの状態
[頬2の色]
・色1・・・多いほど黄色く、少ないほど青み
・色2・・・メラニン色素量
・色3・・・彩度
[頬のハリ]
・弾力1・・・回復の弾力
・弾力2・・・総弾性
・弾力3・・・正味の弾力
[内腕のハリ]
・弾力1・・・回復の弾力
・弾力2・・・総弾性
・弾力3・・・正味の弾力
【0024】
[3.重回帰分析]
上記の目的変数に対して、上記の皮膚生理測定の5つを説明変数とした重回帰分析を行った。
図3は、心理的ウェルビーイングと皮膚生理測定項目との重回帰分析の結果を示す。
図3に示すように、頬2の色(色1,色2,色3)の標準化係数β(0.221)が有意であることが分かった(p<0.05)。
【0025】
図4は、心理的ウェルビーイングに関する質問に対する被験者の回答を数値化した得点の平均値プラス1標準偏差の値と平均値マイナス1標準偏差の値とを分割点として、心理的ウェルビーイングを3つの段階(低い(-0.9975点以下)、中間(-0.9975- 0.9975点)、高い(0.9975点以上))に分けた結果を示す。日本人の女性(20代、30代、40代の213名)では、低いが32名、中間が152名、高いが29名であった。各段階ごとに、頬の肌の色(A:色1(多いほど黄色く、少ないほど青み),B:色2(メラニン色素量),C:色3(彩度))の平均値を求めた。次に、"低いと中間"、"中間と高い"の2つの段階の平均値を求めた。それらの平均値から、心理的ウェルビーイングの各段階に対応する頬の肌の色の得点の範囲を求めた。
【0026】
例えば、
図4のような得点の対応関係を用いて、肌の生理学的データ(顔(頬)の肌の色)に基づく心理的ウェルビーイングの評価、心理的ウェルビーイングに基づく肌の生理学的データ(顔(頬)の肌の色)の評価を行うことができる。例えば、頬の肌の色(A:色1(多いほど黄色く、少ないほど青み),B:色2(メラニン色素量),C:色3(彩度))を測定した時、以下の式に当てはめた合計得点に基づいて心理的ウェルビーイングを推定して評価することができる。
式1:(A、B、C-平均値)÷標準偏差(
図5参照)で各標準得点を算出する。
式2:式1で得たA、B、Cの各標準得点を合計する。
【0027】
以下、上記の結果(各々の相関関係)を用いた評価法について詳細に説明する。本発明では、上記の結果(各々の相関関係)を用いて評価を行うことができる。
【0028】
<方法>
図6は、本発明の一実施形態に係る評価処理のフローチャートである。
【0029】
ステップ1(S1)において、評価する際に用いる情報またはデータを取得する。
【0030】
ステップ2(S2)において、情報またはデータに基づいて評価を行う。
【0031】
ステップ3(S3)において、心理的ウェルビーイングを向上させるためのリコメンドを行う。
【0032】
以下、各評価処理について詳細に説明する。
【0033】
まず、評価する際に用いる情報およびデータについて説明する。[肌に対する意識の情報]、[健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の情報]、[肌の生理学的データ]、[心理的ウェルビーイングの情報]に分けて説明する。
【0034】
[肌に対する意識の情報]
肌に対する意識の情報は、ポジティブな肌に対する意識(つまり、肌の良い状態に対する意識)と、ネガティブな肌に対する意識(つまり、肌の悪い状態に対する意識)と、肌のエイジングに対する意識(つまり、加齢による肌の変化に対する意識)と、の情報を含むことができる。
【0035】
肌に対する意識の情報は、対象者20が質問に対して回答した結果(例えば、"非常にあてはまる"、"全くあてはまらない"等)である。質問は、ポジティブな肌に対する意識に関する質問(例えば、つやや明るさなどの色ややわらかさなどの感触、輪郭などの形態に関する肌状態の10項目)と、ネガティブな肌に対する意識に関する質問(例えば、毛穴や肌荒れなどの表面やかゆみや痛みなどの敏感さなどに関する肌状態の12項目)と、肌のエイジングに対する意識に関する質問(例えば、しわやたるみなどの形態やしみ・そばかすなどの色などに関する肌状態の10項目)と、を含むことができる。
【0036】
[健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の情報]
健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の情報は、自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないことと、健康に対する意識と、化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識と、健康と美容の関係に対する意識と、の情報を含むことができる。
【0037】
健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の情報は、対象者20が質問に対して回答した結果(例えば、"非常にあてはまる"、"全くあてはまらない"等)である。質問は、自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないことに関する質問(例えば、"美容合うもの不明"、"健康合うもの不明"、"健康実践できない"、"美容続かない"、"美容あきらめ"、"スキンケア合うもの不明"、"メイクアップ合うもの不明"の7項目)と、健康に対する意識に関する質問(例えば、"健康のためのチャレンジ"、"流行の健康法や健康商品試す"、"健康に時間かける"、"健康のための情報交換"、"健康にお金かける"、"健康のため運動"、"健康の流行もの気になる"、"特定保健用食品やサプリメント摂る"の8項目)と、化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識に関する質問(例えば、"メイクアップ楽しい"、"メイクアップで自信"、"メイクアップで個性"、"積極的にメイク"、"メイクアップ工夫"、"スキンケアで自信"、"スキンケア楽しい"、"積極的にスキンケア"、"TPOでメイクアップ変える"の9項目)と、健康と美容の関係に対する意識に関する質問(例えば、"健康に姿勢・歩き方が関係"、"健康第一"、"健康日々の努力"、"美と健康の関係"、"健康のための継続努力"、"素肌の美しさ"、"美のための継続努力"の7項目)と、を含むことができる。
【0038】
[肌の生理学的データ]
例えば、肌の生理学的データは、対象者20の顔(例えば、頬)の肌の色の情報である。例えば、肌の生理学的データは、対象者20の顔の肌の黄味の値と、対象者20の顔の肌のメラニン値と、対象者20の顔の肌の彩度と、の少なくとも1つを含む。例えば、皮膚に光を照射し、その反射光から肌の色を算出する装置が対象者20を測定した装置から当該対象者20の顔の肌の色の情報(例えば、黄味の値と、メラニン値と、彩度と、の少なくとも1つを含む)が取得される。
【0039】
「黄味の値」は、多いほど黄色く、少ないほど青みを示す。
【0040】
「メラニン値」は、肌のメラニンの色素量を示す。
【0041】
「彩度」は、肌の色の鮮やかさの度合いを示す。
【0042】
[心理的ウェルビーイングの情報]
心理的ウェルビーイングの情報は、対象者20が質問に対して回答した結果(例えば、"非常にあてはまる"、"全くあてはまらない"等)である。質問として、心理学の分野で知られている心理的Well-being尺度(西田裕紀子(2000). 成人女性の多様なライフスタイルと心理的 well-being に関する研究. 教育心理学研究, 48(4), 433-443.)は、「人格的成長」、「人生における目的」、「自律性」、「自己受容」、「環境制御力」、「積極的な他者関係」の6因子に関する質問を含むことができる。
【0043】
なお、上記の6因子に関する質問に加えて、下記の質問(主観的幸福感尺度(SHS))を用いてもよい(日本版主観的幸福感尺度(島井哲志, 大竹恵子, 宇津木成介, & 池見陽(2004). 日本版主観的幸福感尺度 (Subjective Happiness Scale: SHS) の信頼性と妥当性の検討. 日本公衆衛生雑誌, 51(10), 845-853.)。
1.全般的に見て、わたしは自分のことを( )であると考えている。
回答:"非常に不幸な人間"から"非常に幸福な人間"までの7段階
2.わたしは、自分と同年輩の人と比べて、自分を( )であると考えている。
回答:"より不幸な人"から"より幸福な人"までの7段階
3.全般的にみて、非常に幸福な人たちがいます。この人たちは、どんな状況の中でも、そこで最良のものを見つけて、人生を楽しむ人たちです。あなたは、どの程度、そのような特徴をもっていますか?
回答:"まったくない"から"とてもある"までの7段階
4.全般的にみて、非常に不幸な人たちがいます。この人たちは、うつ状態にあるわけではないのに、はたから考えるよりも、まったく幸せではないようです。あなたは、どの程度、そのような特徴をもっていますか?
回答:"まったくない"から"とてもある"までの7段階
【0044】
次に、上記の情報またはデータに基づく評価とリコメンドについて説明する。
【0045】
<<肌に対する意識に基づく心理的ウェルビーイングの評価とリコメンド>>
肌に対する意識に基づく心理的ウェルビーイングの評価とリコメンドについて説明する。まず、対象者20の肌に対する意識の情報を取得する。次に、対象者20の肌に対する意識の情報に基づいて、対象者20の心理的ウェルビーイングを評価する。次に、心理的ウェルビーイングの評価の結果に基づいて、対象者20の肌に対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。
【0046】
[評価]
例えば、対象者20の質問に対する回答を数値化して、質問に対する回答の数値に対応する心理的ウェルビーイングのグループ(例えば、心理的ウェルビーイングが低いグループ、心理的ウェルビーイングが高いグループ、心理的ウェルビーイングが中間である(低いと高いの間)グループ)に分類することができる。具体的には、ポジティブな肌に対する意識(つまり、肌の良い状態に対する意識)が高いほど、心理的ウェルビーイングが高い(つまり、対象者20が心理的に良好な状態である)と評価することができる。一方、ネガティブな肌に対する意識(つまり、肌の悪い状態に対する意識)が高いほど、心理的ウェルビーイングが低い(つまり、対象者20が心理的に良好な状態ではない)と評価することができる。
【0047】
例えば、対象者20が自身の肌の悪い状態よりも自身の肌の良い状態を意識していることに基づいて、対象者20の心理的ウェルビーイングを評価する(例えば、ネガティブな肌に対する意識に関する質問に対する回答よりも、ポジティブな肌に対する意識に関する質問に対する回答に大きな重み付けをして数値化する)ことができる。
【0048】
例えば、対象者20の加齢の度合いにさらに基づいて、対象者20の心理的ウェルビーイングを評価することができる。具体的には、対象者20の年齢が高いほど、心理的ウェルビーイングが高い(つまり、対象者20が心理的に良好な状態である)と評価することができる。なお、この場合、対象者20の年齢を取得しておくものとする。
【0049】
[リコメンド]
例えば、ポジティブな肌に対する意識(肌の良い状態に対する意識)を高め、さらにはネガティブな肌に対する意識(肌の悪い状態に対する意識)を低めるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。なお、心理的ウェルビーイングのグループ((例えば、心理的ウェルビーイングが低いグループ、心理的ウェルビーイングが高いグループ、心理的ウェルビーイングが中間である(低いと高いの間)グループ))ごとに、リコメンドするスキンケア、メイクアップ、美容法の情報を予め定めておいてもよい。
【0050】
<<心理的ウェルビーイングに基づく肌に対する意識の評価とリコメンド>>
心理的ウェルビーイングに基づく肌に対する意識の評価とリコメンドについて説明する。まず、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報を取得する。次に、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報に基づいて、対象者20の肌に対する意識を評価する。次に、肌に対する意識の評価の結果に基づいて、対象者20の肌に対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。
【0051】
<<健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識に基づく心理的ウェルビーイングの評価とリコメンド>>
健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識に基づく心理的ウェルビーイングの評価とリコメンドについて説明する。まず、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の情報を取得する。次に、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の情報に基づいて、対象者20の心理的ウェルビーイングを評価する。次に、心理的ウェルビーイングの評価の結果に基づいて、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。
【0052】
[評価]
例えば、対象者20の質問に対する回答を数値化して、質問に対する回答の数値に対応する心理的ウェルビーイングのグループ(例えば、心理的ウェルビーイングが低いグループ、心理的ウェルビーイングが高いグループ、心理的ウェルビーイングが中間である(低いと高いの間)グループ)に分類することができる。具体的には、自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識していないほど、心理的ウェルビーイングが低い(つまり、対象者20が心理的に良好な状態ではない)と評価することができる。また、健康に対する意識が高いほど、心理的ウェルビーイングが高い(つまり、対象者20が心理的に良好な状態である)と評価することができる。また、化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識が高いほど、心理的ウェルビーイングが高い(つまり、対象者20が心理的に良好な状態である)と評価することができる。また、健康と美容の関係に対する意識が高いほど、心理的ウェルビーイングが高い(つまり、対象者20が心理的に良好な状態である)と評価することができる。
【0053】
[リコメンド]
例えば、自身に適した健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つを認識できるようにスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。また、例えば、健康に対する意識を高めるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。また、例えば、化粧(スキンケアとメイクアップ)に対する意識を高めるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。また、例えば、健康と美容の関係に対する意識を高めるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。なお、心理的ウェルビーイングのグループ((例えば、心理的ウェルビーイングが低いグループ、心理的ウェルビーイングが高いグループ、心理的ウェルビーイングが中間である(低いと高いの間)グループ))ごとに、リコメンドするスキンケア、メイクアップ、美容法の情報を予め定めておいてもよい。
【0054】
<<心理的ウェルビーイングに基づく健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の評価とリコメンド>>
心理的ウェルビーイングに基づく健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の評価とリコメンドについて説明する。まず、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報を取得する。次に、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報に基づいて、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識を評価する。次に、健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の評価の結果に基づいて、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。
【0055】
<<肌の生理学的データに基づく心理的ウェルビーイングの評価とリコメンド>>
肌の生理学的データに基づく心理的ウェルビーイングの評価とリコメンドについて説明する。まず、対象者20の肌の生理学的データを取得する。次に、対象者20の肌の生理学的データに基づいて、対象者20の心理的ウェルビーイングを評価する。次に、心理的ウェルビーイングの評価の結果に基づいて、対象者20の肌の生理学的データを変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。
【0056】
[評価]
例えば、対象者20の肌の生理学的データを数値化して、肌の生理学的データの数値に対応する心理的ウェルビーイングのグループ(例えば、心理的ウェルビーイングが低いグループ、心理的ウェルビーイングが高いグループ、心理的ウェルビーイングが中間である(低いと高いの間)グループ)に分類することができる。具体的には、顔の肌の黄味の値が大きいほど、心理的ウェルビーイングが高い(つまり、対象者20が心理的に良好な状態である)と評価することができる(逆に、顔の肌の黄味の値が小さいほど、心理的ウェルビーイングは低い)。また、顔の肌のメラニン値が大きいほど、心理的ウェルビーイングが高い(つまり、対象者20が心理的に良好な状態である)と評価することができる(逆に、顔の肌のメラニン値が小さいほど、心理的ウェルビーイングは低い)。また、顔の肌の彩度が大きいほど、心理的ウェルビーイングが高い(つまり、対象者20が心理的に良好な状態である)と評価することができる(逆に、顔の肌の彩度が小さいほど、心理的ウェルビーイングは低い)。
【0057】
[リコメンド]
例えば、顔の肌の黄味の値と、顔の肌のメラニン値と、顔の肌の彩度と、の少なくとも1つの値を大きくするスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。なお、心理的ウェルビーイングのグループ((例えば、心理的ウェルビーイングが低いグループ、心理的ウェルビーイングが高いグループ、心理的ウェルビーイングが中間である(低いと高いの間)グループ))ごとに、リコメンドするスキンケア、メイクアップ、美容法の情報を予め定めておいてもよい。
【0058】
<<心理的ウェルビーイングに基づく肌の生理学的データの評価とリコメンド>>
心理的ウェルビーイングに基づく肌の生理学的データの評価とリコメンドについて説明する。まず、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報を取得する。次に、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報に基づいて、対象者20の肌の生理学的データを評価する。次に、肌の生理学的データの評価の結果に基づいて、対象者20の肌の生理学的データを変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。
【0059】
以下、上記の評価方法を実行することができる評価システムについて説明する。
【0060】
<全体の構成例>
図7は、本発明の一実施形態に係る全体の構成例である。
【0061】
評価システム1は、評価装置10と、生理学的データ測定装置11と、を含むことができる。以下、それぞれについて説明する。
【0062】
<<評価装置>>
評価装置10は、対象者20を評価する装置である。評価装置10は、生理学的データ測定装置11が測定した結果を取得することができる。例えば、評価装置10は、パーソナルコンピュータ、タブレット、スマートフォン等である。なお、評価装置10は、複数の装置(例えば、サーバと端末)で構成されてもよい。
【0063】
具体的には、評価装置10は、評価する際に用いる情報またはデータを取得し、取得した情報またはデータに基づいて評価を行い、評価した結果に基づいて、対象者20の心理的ウェルビーイングを向上させるためのリコメンドを行う。
【0064】
<<生理学的データ測定装置>>
生理学的データ測定装置11は、対象者20の生理学的データ(例えば、顔の肌色)を測定する装置である。例えば、生理学的データ測定装置11は、対象者20を測定し当該対象者20の顔の肌の色情報(例えば、黄味の値と、メラニン値と、彩度と、の少なくとも1つを含む)が取得される。なお、評価装置10と生理学的データ測定装置11を1つの装置で実装してもよい。
【0065】
<機能ブロック>
図8は、本発明の一実施形態に係る評価装置10の機能ブロック図である。評価装置10は、取得部101と、評価部102と、リコメンド部103と、を備えることができる。評価装置10は、プログラムを実行することで、取得部101、評価部102、リコメンド部103、として機能することができる。
【0066】
取得部101は、評価部102が評価する際に用いる情報およびデータを取得する。
【0067】
対象者20の心理的ウェルビーイングを評価する場合、取得部101は、対象者20の肌に対する意識の情報を取得する。また、対象者20の肌に対する意識を評価する場合、取得部101は、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報を取得する。
【0068】
対象者20の心理的ウェルビーイングを評価する場合、取得部101は、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の情報を取得する。また、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識を評価する場合、取得部101は、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報を取得する。
【0069】
対象者20の心理的ウェルビーイングを評価する場合、取得部101は、対象者20の肌の生理学的データを取得する。また、対象者20の肌の生理学的データを評価する場合、取得部101は、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報を取得する。
【0070】
評価部102は、取得部101が取得した情報またはデータに基づいて評価を行う。
【0071】
評価部102は、対象者20の肌に対する意識の情報に基づいて、対象者20の心理的ウェルビーイングを評価する。また、評価部102は、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報に基づいて、対象者20の肌に対する意識を評価する。
【0072】
評価部102は、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の情報に基づいて、対象者20の心理的ウェルビーイングを評価する。また、評価部102は、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報に基づいて、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識を評価する。
【0073】
評価部102は、対象者20の肌の生理学的データに基づいて、対象者20の心理的ウェルビーイングを評価する。また、評価部102は、対象者20の心理的ウェルビーイングの情報に基づいて、対象者20の肌の生理学的データを評価する。
【0074】
リコメンド部103は、評価部102が評価した結果に基づいて、対象者20の心理的ウェルビーイングを向上させるためのリコメンドを行う。
【0075】
リコメンド部103は、対象者20の心理的ウェルビーイングの評価の結果に基づいて、対象者20の肌に対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。また、リコメンド部103は、対象者20の肌に対する意識の評価の結果に基づいて、対象者20の肌に対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。
【0076】
リコメンド部103は、対象者20の心理的ウェルビーイングの評価の結果に基づいて、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。また、リコメンド部103は、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識の評価の結果に基づいて、対象者20の健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。
【0077】
リコメンド部103は、対象者20の心理的ウェルビーイングの評価の結果に基づいて、対象者20の肌の生理学的データを変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。また、リコメンド部103は、対象者20の肌の生理学的データの評価の結果に基づいて、対象者20の肌の生理学的データを変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドする。
【0078】
<効果>
このように、本発明の一実施形態では、心理的ウェルビーイングを客観的に評価して、その評価の結果に基づいて、肌に対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドすることにより、心理的ウェルビーイングを向上させることができる。また、本発明の一実施形態では、心理的ウェルビーイングを客観的に評価して、その評価の結果に基づいて、健康法と美容法とスキンケアとメイクアップとの少なくとも1つに対する意識を変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドすることにより、心理的ウェルビーイングを向上させることができる。また、本発明の一実施形態では、心理的ウェルビーイングを客観的に評価して、その評価の結果に基づいて、肌の生理学的データを変えるスキンケア、メイクアップ、美容法のいずれか1種以上をリコメンドすることにより、心理的ウェルビーイングを向上させることができる。
【0079】
<ハードウェア構成>
図9は、本発明の一実施形態に係る評価装置10のハードウェア構成図である。評価装置10は、制御部1001と、主記憶部1002と、補助記憶部1003と、入力部1004と、出力部1005と、インタフェース部1006と、を備えることができる。以下、それぞれについて説明する。
【0080】
制御部1001は、補助記憶部1003にインストールされている各種プログラムを実行するプロセッサ(例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)など)である。
【0081】
主記憶部1002は、不揮発性メモリ(ROM(Read Only Memory))および揮発性メモリ(RAM(Random Access Memory))を含む。ROMは、補助記憶部1003にインストールされている各種プログラムを制御部1001が実行するために必要な各種プログラム、データ等を格納する。RAMは、補助記憶部1003にインストールされている各種プログラムが制御部1001によって実行される際に展開される作業領域を提供する。
【0082】
補助記憶部1003は、各種プログラムや、各種プログラムが実行される際に用いられる情報を格納する補助記憶デバイスである。
【0083】
入力部1004は、評価装置10の操作者が評価装置10に対して各種指示を入力する入力デバイスである。
【0084】
出力部1005は、評価装置10の内部状態等を出力する出力デバイスである。
【0085】
インタフェース部1006は、ネットワークに接続し、他の装置と通信を行うための通信デバイスである。
【0086】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 評価システム
10 評価装置
11 生理学的データ測定装置
20 対象者
101 取得部
102 評価部
103 リコメンド部
1001 制御部
1002 主記憶部
1003 補助記憶部
1004 入力部
1005 出力部
1006 インタフェース部