(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007440
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】経中隔穿刺及び拡張のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A61B18/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023105864
(22)【出願日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】63/356,684
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/335,883
(32)【優先日】2023-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】ポール・エイ・スアレス
(72)【発明者】
【氏名】マリア・デュアルテ
(72)【発明者】
【氏名】エリカ・イー・ラブジョイ
(72)【発明者】
【氏名】コク・エイ・アメフィア
(72)【発明者】
【氏名】デビー・イー・ハイスミス
(72)【発明者】
【氏名】イージャー・トー
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF49
4C160KK03
4C160KK13
4C160KK37
4C160MM38
(57)【要約】
【課題】経中隔穿刺及び拡張のための装置を提供すること。
【解決手段】装置は、本体アセンブリと、シャフトと、少なくとも1つの先端部材とを含む。シャフトは、本体アセンブリから遠位に延在し、遠位端部を含む。少なくとも1つの先端部材は、シャフトの遠位端部に固定されている。少なくとも1つの先端部材及びシャフトの遠位端部は、ヒト対象の心臓の腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されている。少なくとも1つの先端部材は、非外傷性遠位先端部と、非外傷性遠位先端部に隣接する外部拡張表面とを含む。非外傷性中空遠位先端部は、組織をコアリングする危険性を最小限にするために、角度付きプロファイルを呈してもよく、組織を通る開口部を形成するために、電気エネルギーを組織に送達するように構成されている。外部拡張表面は、非外傷性遠位先端部によって形成された開口部を拡大するように構成されている。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
(a)本体アセンブリと、
(b)前記本体アセンブリから遠位に延在するシャフトであって、前記シャフトが、遠位端部を含む、シャフトと、
(c)前記シャフトの前記遠位端部に固定された少なくとも1つの先端部材であって、前記少なくとも1つの先端部材及び前記シャフトの前記遠位端部が、ヒト対象の心臓の腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されており、前記少なくとも1つの先端部材が、
(i)非外傷性遠位先端部であって、前記非外傷性遠位先端部が、組織を通る開口部を形成するために前記組織に電気エネルギーを送達するように構成されている、非外傷性遠位先端部と、
(ii)前記非外傷性遠位先端部に隣接する外部拡張表面であって、前記外部拡張表面が、前記非外傷性遠位先端部によって形成された前記開口部を拡大するように構成されている、外部拡張表面と、を含む、少なくとも1つの先端部材と、
を備える、装置。
【請求項2】
前記非外傷性遠位先端部及び前記外部拡張表面が一緒になってドーム形状を画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外部拡張表面が、前記非外傷性遠位先端部に向かって半径方向内向きに湾曲している、又はテーパ状になっている、のうちの少なくとも1つである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの先端部材が、前記シャフトの前記遠位端部の単一の角のある側に位置付けられている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの先端部材が、少なくとも2つの先端部材を含み、前記少なくとも2つの先端部材が、双極電気エネルギーを前記組織に送達するために互いに協働するように動作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも2つの先端部材が、前記シャフトの前記遠位端部のそれぞれの角のある側に互いに隣接して位置付けられている、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記少なくとも2つの先端部材が、互いに同軸に位置付けられている、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリを更に備え、前記少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリが、前記シャフトに固定されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリが、電磁コイル又はアクティブ電流位置電極のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
アセンブリであって、
(a)遠位端部を含む細長い部材と、
(b)前記細長い部材の前記遠位端部に固定された少なくとも1つの先端部材であって、前記少なくとも1つの先端部材が、非外傷性遠位先端部を含み、組織壁を通る開口部を形成するように構成され、前記非外傷性遠位先端部が、電気エネルギーを前記組織壁に送達して、前記組織壁を通る開口部を形成するように動作可能な少なくとも1つの電極を含む、少なくとも1つの先端部材と、
(c)拡張器であって、
(i)ルーメンであって、装置が前記ルーメン内に摺動可能に受容されている、ルーメンと、
(ii)外部拡張表面であって、前記外部拡張表面が前記開口部を拡大するように構成されている、外部拡張表面と、を含む、拡張器と、
を備える、アセンブリ。
【請求項11】
前記装置がガイドワイヤを形成する、請求項10に記載のアセンブリ。
【請求項12】
前記拡張器が、少なくとも1つの電極を更に含み、前記拡張器の前記少なくとも1つの電極が、前記組織壁に双極電気エネルギーを印加するために、前記非外傷性遠位先端部の前記少なくとも電極と協働するように構成されている、請求項10に記載のアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2022年6月29日に出願された米国特許仮出願第63/356,684号の優先権及び利益を主張するものであり、その全容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、組織及び器官に対して診断手順又は治療手順を行うための方法及び器具に関し、特に、経中隔穿孔手順のような穿孔手順のための方法及び器具に関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動などの心不整脈は、心臓組織の領域が電気信号を異常に伝導するときに発生する。不整脈を治療するための処置には、そのような信号の伝導経路を外科的に破壊することが含まれる。エネルギー(例えば、高周波(ACタイプ)又はパルスフィールド(DCタイプ)エネルギーなどの不可逆的エレクトロポレーション(irreversible electroporation、IRE))を印加することによって心臓組織を選択的にアブレーションすることにより、心臓のある部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は修正することが可能となり得る。アブレーションプロセスは、組織を横切る異常な電気信号の通信を効果的に遮断する電気絶縁性病変又は瘢痕組織を形成することにより、望ましくない電気経路に対する障壁を提供することができる。
【0004】
いくつかの処置では、1つ又は2つ以上の電極を有するカテーテルを使用して、心臓血管系内にアブレーションを提供することができる。カテーテルを主要な静脈又は動脈(例えば、大腿動脈)に挿入し、次いで前進させて、心臓内又は心臓に隣接する心臓血管構造(例えば、肺静脈)内に電極を位置決めすることができる。1つ又は2つ以上の電極を、心臓組織又は他の血管組織と接触させて配置し、次いで電気のエネルギーで作動させることによって、接触した組織をアブレーションすることができる。場合によっては、電極は双極であってもよい。いくつかの他の場合において、単極電極を、接地パッドと連携して、又は患者と接触している他の参照電極と連携して使用することができる。灌注を使用して、アブレーションカテーテルのアブレーション構成要素から熱を引き出し、アブレーション部位近傍に血栓が形成されるのを防ぐことができる。
【0005】
場合によっては、心房中隔を横断して、電気生理学的又は構造的試験、治療(例えば、アブレーション)、又はマッピングを含む、心臓の左心房における様々なタイプの心臓介入のアクセスを促進することが望ましくあり得る。心房中隔の横断を達成するために、針、ガイドワイヤ又は他の器具が、中隔を通して開口部を形成するために使用され得る。経中隔針及び関連する構成要素の例は、2006年2月7日に発行された「Method and Device for Transseptal Facilitation Based on Injury Patterns」と題する米国特許第6,994,094号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、2012年4月10日に発行された「Retractable Dilator Needle」と題する米国特許第8,152,829号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、2017年12月26日に発行された「Ablation Catheter with Dedicated Fluid Paths and Needle Centering Insert」と題する米国特許第9,848,943号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、2004年11月4日に公開され、現在は放棄されている「Method and Device for Transseptal Facilitation Using Location System」と題する米国特許出願公開第2004/0220471号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び2004年11月4日に公開され、現在は放棄されている「Transseptal Facilitation Using Sheath with Electrode Arrangement」と題する米国特許出願公開第2004/0220461号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されている。いくつかの経中隔針器具は、心房中隔を通して形成された開口部を更に拡張する拡張特徴を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
経中隔穿刺及び拡張システム及び方法が実施及び使用されてきたが、本発明者ら以前の誰も、本明細書に記載され、例示され、かつ特許請求される本発明を実施又は使用していないと考えられる。特に、出願人は、過剰貫通による穿孔のリスクを低減し、使用されるデバイス交換の数を減少させ、それによって空気塞栓症を引き起こすリスクを低減する際に、従来の方法で針穿刺を回避するためのRF又はアブレーション能力を有する穿孔又は穿刺器具の必要性を含む必要性があることを認識している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、過剰貫通による穿孔のリスクを低減し、使用されるデバイス交換の数を減少させ、それによって空気塞栓症を引き起こすリスクを低減する際に、従来の方法で針穿刺を回避するためのRF又はアブレーション能力を伴う穿孔又は穿刺装置及び方法を対象とする。本発明の実施形態はまた、ガイドワイヤアクセスを可能にし、組織コアリングを防止する、角度付き中空先端を含む、滑らかな拡張器遷移及びシースシャイビング(shiving)防止を促進する、非外傷性又はテーパ状遠位端部を提供する、穿孔又は穿刺装置及び方法を対象とする。更に、拡張器の領域に組み込まれた可撓性PCB磁気センサは、3Dマッピングにおける視覚化を可能にし、センサはまた、Biosense Webster,Inc.によるCARTOなどの3Dマッピングシステムにおける行列の作成に寄与してもよい。本発明の実施形態は、過剰貫通の場合に左心房壁の穿刺のリスクを最小限に抑えるが、左心房内で器具を固定するのに役立つ遠位端部形状を更に対象とする。
【0008】
いくつかの実施形態では、装置は、本体アセンブリと、シャフトと、少なくとも1つの先端部材と、を含む。シャフトは、本体アセンブリから遠位に延在し、遠位端部を含む。少なくとも1つの先端部材は、シャフトの遠位端部に固定されている。少なくとも1つの先端部材及びシャフトの遠位端部は、ヒト対象の心臓の腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されている。少なくとも1つの先端部材は、非外傷性遠位先端部と、非外傷性遠位先端部に隣接する外部拡張表面と、を含む。非外傷性遠位先端部は、組織をコアリングする危険性を最小限にするために、角度付きプロファイルを呈してもよく、組織を通る開口部を形成するために電気エネルギーを組織に送達するように構成されている。外部拡張表面は、非外傷性遠位先端部によって形成された開口部を拡大するように構成されている。
【0009】
いくつかの実施形態では、装置は、(a)本体アセンブリと、(b)本体アセンブリから遠位に延在するシャフトであって、シャフトが、遠位端部を含む、シャフトと、(c)シャフトの遠位端部に固定された少なくとも1つの先端部材であって、少なくとも1つの先端部材及びシャフトの遠位端部が、ヒト対象の心臓の腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されており、少なくとも1つの先端部材が、(i)非外傷性遠位先端部であって、非外傷性遠位先端部が、組織を通る開口部を形成するために組織に電気エネルギーを送達するように構成されている、非外傷性遠位先端部と、(ii)非外傷性遠位先端部に隣接する外部拡張表面であって、外部拡張表面が、非外傷性遠位先端部によって形成された開口部を拡大するように構成されている、外部拡張表面と、を含む、少なくとも1つの先端部材と、を備える。
【0010】
いくつかの実施形態では、非外傷性遠位先端部及び外部拡張表面は一緒になってドーム形状を画定する。
【0011】
いくつかの実施形態では、外部拡張表面は、非外傷性遠位先端部に向かって半径方向内向きに湾曲している、又はテーパ状になっている、のうちの少なくとも1つを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの先端部材は、シャフトの遠位端部の単一の角のある側に位置付けられている。
【0013】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの先端部材は、少なくとも2つの先端部材を含み、少なくとも2つの先端部材は、双極電気エネルギーを組織に送達するために互いに協働するように動作可能である。
【0014】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの先端部材は、シャフトの遠位端部のそれぞれの角のある側に互いに隣接して位置付けられている。
【0015】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの先端部材は、互いに同軸に位置付けられている。
【0016】
いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリを更に備え、少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリは、シャフトに固定されている。
【0017】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリは、電磁コイル又はアクティブ電流位置電極のうちの少なくとも1つを含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリは、少なくとも1つのフレキシブルプリント回路基板を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、シャフトは、第1のルーメンを更に含み、第1のルーメンは、ガイドワイヤを摺動可能に受容するように構成されている。
【0020】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの先端部材は、第1のルーメンと同軸の第2のルーメンを含み、第2のルーメンは、ガイドワイヤを摺動可能に受容するように構成されている。
【0021】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの先端部材は、第1のルーメンから電気的に絶縁されている。
【0022】
いくつかの実施形態では、器具は、(a)前述の装置のうちのいずれかと、(b)第1のルーメン内に摺動可能に受容されるガイドワイヤと、を備える。
【0023】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤは、少なくとも1つの先端部材と協働して、双極電気エネルギーを組織に送達するように動作可能である。
【0024】
いくつかの実施形態では、装置は、(a)医療デバイスをそれに沿って遠位に方向付けるように構成された細長い部材であって、細長い部材が、遠位端部を含む、細長い部材と、(b)細長い部材の遠位端部に固定された少なくとも1つの先端部材であって、少なくとも1つの先端部材及び細長い部材の遠位端部が、ヒト対象の心臓の腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されており、少なくとも1つの先端部材が、非外傷性遠位先端部であって、非外傷性遠位先端部が、組織壁を通る開口部を形成するように構成されており、非外傷性遠位先端部が、非外傷性遠位先端部が組織壁を通る開口部を形成すると、電気エネルギーを組織壁に送達するように動作可能な少なくとも1つの電極を含む、非外傷性遠位先端部を含む、少なくとも1つの先端部材と、を備える。
【0025】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの先端部材は、互いに同軸に位置付けられた少なくとも2つの先端部材を含み、少なくとも2つの先端部材は、双極電気エネルギーを組織に送達するために互いに協働するように動作可能である。
【0026】
いくつかの実施形態では、装置は、少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリを更に備え、少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリは、遠位端部又はその近傍で細長い部材に固定されている。
【0027】
いくつかの実施形態では、アセンブリは、(a)前述の装置のうちのいずれかと、(b)拡張器と、を備え、拡張器は、(i)ルーメンであって、装置がルーメン内に摺動可能に受容されている、ルーメンと、(ii)外部拡張表面であって、拡張表面が開口部を拡大するように構成されている、外部拡張表面と、を含む。
【0028】
いくつかの実施形態では、装置は、ガイドワイヤを形成する。
【0029】
いくつかの実施形態では、拡張器は、少なくとも1つの電極を更に含み、拡張器の少なくとも1つの電極は、組織壁に双極電気エネルギーを印加するために、非外傷性遠位先端部の少なくとも電極と協働するように構成されている。
【0030】
いくつかの実施形態では、装置は、(a)経中隔穿刺装置であって、経中隔穿刺装置が、(i)遠位端部を含む細長い部材と、(ii)細長い部材の遠位端部に固定された少なくとも1つの先端部材であって、少なくとも1つの先端部材及び細長い部材の遠位端部が、ヒト対象の心臓の腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されており、少なくとも1つの先端部材が、非外傷性遠位先端部を含む、経中隔穿刺装置と、(b)拡張器であって、拡張器が、(i)本体アセンブリと、(ii)本体アセンブリから遠位に延在するシャフトであって、シャフトが、(A)遠位端と、(B)ルーメンと、を含み、経中隔穿刺装置が、ルーメン内に摺動可能に受容されている、シャフトと、(iii)シャフトの遠位端部に固定された少なくとも1つの拡張器先端部材であって、少なくとも1つの拡張器先端部材及びシャフトの遠位端部が、腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されており、少なくとも1つの先端部材が、(A)非外傷性遠位拡張器先端部であって、非外傷性遠位拡張器先端部が、非外傷性遠位先端部と協働して、組織を通る開口部を形成するための双極電気エネルギーを組織に送達するように動作可能である、非外傷性遠位拡張器先端部と、(B)非外傷性遠位拡張器先端部に隣接する外部拡張表面であって、外部拡張表面が開口部を拡大するように構成されている、外部拡張面と、を含む、少なくとも1つの拡張器先端部材と、を含む、拡張器と、を備える。
【0031】
いくつかの実施形態では、装置は、1つ又は2つ以上のナビゲーションセンサを更に含み、1つ又は2つ以上のナビゲーションセンサの各ナビゲーションセンサは、三次元空間におけるナビゲーションセンサのリアルタイム位置を示す信号を生成するように構成されている。
【0032】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のナビゲーションセンサは、経中隔穿刺装置の遠位端部又はその近傍に位置付けられたナビゲーションセンサを含む。
【0033】
いくつかの実施形態では、1つ又は2つ以上のナビゲーションセンサは、拡張器のシャフトの遠位端部又はその近傍に位置付けられたナビゲーションセンサを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、方法は、(a)細長い部材を患者の心臓の腔内に挿入することであって、細長い部材が遠位端部を含む、挿入することと、(b)細長い部材の遠位端部を心臓の中隔壁に対して係合させることと、(c)心臓の中隔壁を通る開口部を形成することであって、心臓の中隔壁を通る開口部を形成することが、遠位端部を介して心臓の中隔壁に電気エネルギーを印加することを含む、形成することと、(d)心臓の中隔壁を通る形成された開口部を拡大することであって、心臓の中隔壁を通る形成された開口部を拡大することが、拡張表面を用いて中隔壁を圧迫することを含む、拡大することと、を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、細長い部材は、拡張器を含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、細長い部材は、ガイドワイヤを含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、遠位端部は、ドーム形状を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、遠位端部は、拡張表面を画定するテーパを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、遠位端部は、第1の電極を含み、遠位端部を介して心臓の中隔壁に電気エネルギーを印加することは、第1の電極を介して電気エネルギーを印加することを含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、遠位端部は、第2の電極を含み、遠位端部を介して心臓の中隔壁に双極電気エネルギーを印加することは、第1及び第2の電極を介して電気エネルギーを印加することを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、細長い部材が、細長い部材内に摺動可能に配置されたガイドワイヤを含み、方法が、細長い部材の遠位端部を心臓の中隔壁に対して係合させながら、ガイドワイヤの遠位端部を心臓の中隔壁に対して係合させることを更に含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤの遠位端部は第2の電極、第2の電極を含み、遠位端部を介して心臓の中隔壁に双極電気エネルギーを印加することは、第1及び第2の電極を介して電気エネルギーを印加することを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、本方法は、1つ又は2つ以上ナビゲーションセンサを介して、細長い部材の遠位端部のリアルタイム位置を追跡することを更に含む。
【0044】
いくつかの実施形態では、拡張器は、(a)シャフトであって、(i)第1の部分及び第2の部分を含む遠位端部と、(ii)ルーメンと、を含む、シャフトと、(b)シャフトの第1の部分に固定された拡張器先端部材であって、シャフトの第2の部分の遠位端部が拡張器先端部材の遠位端部の近位にあり、拡張器先端部材及びシャフトの第2の部分が中隔組織接触のための角度付きプロファイルを呈する、拡張器先端部材と、を備える。
【0045】
いくつかの実施形態では、拡張器先端部材は、導電性材料で構築されており、シャフトの第2の部分は、非導電性材料で構築されている。
【0046】
いくつかの実施形態では、拡張器先端部材は、ほぼ半円形の断面形状を有し、シャフトの第2の部分は、ほぼ平坦な半円形の断面形状を有する。
【0047】
いくつかの実施形態では、拡張器は、ルーメン内に受容されるように構成されたガイドワイヤを更に備え、ガイドワイヤは、導電性材料で構築される遠位先端部を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、ガイドワイヤの遠位先端部及び遠位先端部材は、双極電極として構成されており、遠位先端部及び遠位先端部材の一方は、アクティブ電極として構成されており、遠位先端部及び遠位先端部材の他方は、受信電極として構成されている。
【0049】
いくつかの実施形態では、拡張器は、ナビゲーションセンサを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、ナビゲーションセンサは、シャフトの外側表面を円周方向に取り囲むフレキシブルプリント回路基板を含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、拡張器は、(a)シャフトであって、(i)第1の部分及び第2の部分を含む遠位端部と、(ii)ルーメンと、を含む、シャフトと、(b)シャフトの第1の部分に固定された第1の拡張器先端部材と、シャフトの第2の部分に固定された第2の拡張器先端部材と、を備え、第2の拡張器先端部材の遠位端部は、拡張器先端部材の遠位端部の近位にあり、第1及び第2の拡張器先端部材は、中隔組織接触のための角度付きプロファイルを呈する。
【0052】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の拡張器先端部材は、導電性材料で構築されている。
【0053】
いくつかの実施形態では、第1及び第2の拡張器先端部材は、間隙によって分離されている。
【0054】
いくつかの実施形態では、第2の拡張器先端部材の遠位端部は、第1の拡張器先端部材の遠位端部の近位にある。
【0055】
いくつかの実施形態では、第2の拡張器先端部材は、シャフトによって画定される長手方向軸に沿って所定の長さだけ第1の拡張器先端部材よりも短い。
【0056】
いくつかの実施形態では、ルーメンは、シャフトによって画定される長手方向軸に対して軸上にある。
【0057】
いくつかの実施形態では、ルーメンは、シャフトによって画定される長手方向軸に対して軸外にある。
【図面の簡単な説明】
【0058】
以下の図面及び詳細な説明は、単に例示的であることを意図しており、本発明者らによって企図される本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【
図1】カテーテルアセンブリのカテーテルを患者に挿入する医療処置の概略図を示す。
【
図2】
図1のカテーテルアセンブリとともに使用され得る誘導シースの一実施例の斜視図を示す。
【
図3A】心房中隔に接近するシースの一実施例の概略図を示す。
【
図3B】拡張器が心房中隔に接近するように、
図3Aのシースに対して遠位に前進させられた拡張器の概略図を示す。
【
図3C】針が心房中隔を貫通して開口部を形成するように、
図3Aのシース及び
図3Bの拡張器に対して遠位に前進させられた針器具の概略図を示す。
【
図3D】拡張器が針によって形成された開口部を拡張するように、
図3Cの針器具によって形成された開口部を通して遠位に前進させられた
図3Bの拡張器の概略図である。
【
図3E】
図3Bの拡張器及び
図3Aのシースが近位に後退させられ、それによって心房中隔内の拡張された開口部から出る概略図を示す。
【
図4A】拡張器の遠位先端部材が心房中隔に隣接し、ガイドワイヤが近位位置にある、拡張器及びガイドワイヤを含む経中隔穿刺器具の実施例の遠位部分の側断面図を描写する。
【
図4B】
図4Aの経中隔穿刺器具の遠位部分の側断面図であり、ガイドワイヤの遠位先端部材が心房中隔に隣接しており、カテーテル遠位先端部材及びガイドワイヤ遠位先端部材を介して、心房中隔の組織にエネルギーを印加して心房中隔を通る開口部を形成することを示す。
【
図4C】
図4Aの経中隔穿刺器具の遠位部分の側断面図であり、拡張器が開口部を通って先端方向に前進して開口部を拡張していることを示す。
【
図4E】拡張器の遠位先端部材が心房中隔に隣接し、ガイドワイヤが近位位置にある、拡張器及びガイドワイヤを含む経中隔穿刺器具の別の実施例の遠位部分の側断面図を描写する。
【
図4F】
図4Eの経中隔穿刺器具の遠位部分の側断面図であり、ガイドワイヤの遠位先端部材が心房中隔に隣接しており、カテーテル遠位先端部材及びガイドワイヤ遠位先端部材を介して、心房中隔の組織にエネルギーを印加して心房中隔を通る開口部を形成することを示す。
【
図4G】
図4Eの経中隔穿刺器具の遠位部分の側断面図であり、拡張器が開口部を通って先端方向に前進して開口部を拡張していることを示す。
【
図4I】一対の弓状導電性要素を有する、
図4Dの拡張器の別の実施例の断面端面図である。
【
図4J】一対の弓状導電性要素を有する、
図4Hの拡張器の別の実施例の断面端面図である。
【
図5A】
図4Aの経中隔穿刺器具とともに使用され、ガイドワイヤ遠位先端部材から電気的に絶縁されるように構成された遠位先端部材を有する拡張器の別の実施例の遠位部分の側断面図を示す。
【
図6A】拡張器の遠位先端部材が心房中隔に隣接し、ガイドワイヤが近位位置にあり、遠位先端部材がガイドワイヤ先端部材から電気的に絶縁されるように構成されている、拡張器及びガイドワイヤを含む経中隔穿刺器具の一例の遠位部分の側断面図を示す。
【
図6B】
図6Aの経中隔穿刺器具の遠位部分の側断面図であり、ガイドワイヤの遠位先端部材が心房中隔に隣接しており、カテーテル遠位先端部材及びガイドワイヤ遠位先端部材を介して、心房中隔の組織にエネルギーを印加して心房中隔を通る開口部を形成することを示す。
【
図7】
図4Aの経中隔穿刺器具とともに使用され、拡張器のガイドワイヤルーメンの片側にエネルギー印加された遠位先端部材を有する拡張器の別の例の遠位部分の側断面図を示す。
【
図8A】
図4Aの経中隔穿刺器具とともに使用され、拡張器のガイドワイヤルーメンを取り囲む一対の隣接遠位先端部材を有する拡張器の別の例の遠位部分の側断面図を示す。
【
図9A】
図4Aの経中隔穿刺器具とともに使用され、拡張器のガイドワイヤルーメンを取り囲む隣接遠位先端部材を有し、一対の隣接する遠位先端部材は、角度付きプロファイルを有するように構成されている、拡張器の別の例の遠位部分の側断面図を示す。
【
図10】
図4Aの経中隔穿刺器具とともに使用され、拡張器のガイドワイヤルーメンからオフセットされた一対の隣接遠位先端部材を有する拡張器の別の例の遠位部分の断面端面図を示す。
【
図11】
図4Aの経中隔穿刺器具とともに使用され、拡張器のガイドワイヤルーメンからオフセットされた隣接遠位先端部材を有し、一対の隣接する遠位先端部材は、角度付きプロファイルを有するように構成されている、拡張器の別の例の遠位部分の断面端面図を示す。
【
図12A】
図4Aの経中隔穿刺器具とともに使用され、一対の同軸遠位先端部材を有する拡張器の別の例の遠位部分の側断面図を示す。
【
図13A】
図4Aの経中隔穿刺器具とともに使用され、遠位先端部材及び複数のナビゲーションセンサアセンブリを有し、ガイドワイヤは直線姿勢にある、ガイドワイヤの別の実施例の遠位部分の側面図を示す。
【
図13B】ガイドワイヤがJ字形の姿勢である、
図13Aのガイドワイヤの遠位部分の側面図である。
【
図13C】ガイドワイヤが投げ縄状の姿勢にある、
図13Aのガイドワイヤの遠位部分の側面図である。
【
図13D】ガイドワイヤが波状の姿勢にある、
図13Aのガイドワイヤの遠位部分の側面図である。
【
図14】
図4Aの電気器具とともに使用され、一対の同軸遠位先端部材を有するガイドワイヤの別の例の断面端面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
以下の詳細な説明は、図面を参照しながら読まれるべきものであり、異なる図面における同様の要素には同一の番号が付けられている。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本明細書は、当業者が本発明を作製及び使用することを明らかに可能にし、また本発明を実施するための最良の態様であると現在考えられているものを含めて、本発明のいくつかの実施形態、適応例、変形例、代替物及び使用を説明する。
【0060】
本明細書で使用される場合、任意の数値又は数値範囲に対する「約」又は「ほぼ」という用語は、構成要素の一部又は構成要素集合を、本明細書に記載のその意図された目的に沿って機能させるのに好適な寸法の許容誤差を示すものである。より具体的には、「約」又は「ほぼ」は、列挙された値の±20%の値の範囲を指してもよく、例えば、「約90%」は、71%~99%の値の範囲を指してもよい。更に、本明細書で使用される場合、「患者」、「宿主」、「ユーザ」、及び「被験者」という用語は、任意のヒト又は動物被験体を指し、ヒト患者における本発明の使用が好ましい実施形態を表すが、システム又は方法をヒトの使用に限定することを意図するものではない。
【0061】
本発明の特定の実施例の以下の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきではない。図面は、必ずしも縮尺どおりとは限らず、選択された実施形態を示しており、また本発明の範囲を限定することを意図していない。詳細な説明は、限定ではなく例として本発明の原理を示す。本発明の他の実施例、特徴、態様、実施形態、及び利点は、例示として本発明を実施するために企図される最良の形態の1つである以下の説明から当業者に明らかになるであろう。認識されるように、本発明は、全て本発明から逸脱することなく、他の異なる態様又は同等の態様が可能である。したがって、図面及び説明は、限定的なものではなく、本質的に例示的なものとしてみなされるべきである。
【0062】
本明細書に記載の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、変形例、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができる。したがって、以下に記載されている教示、表現、変形例、実施例などは、互いに単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0063】
I.カテーテルシステムの実施例の概要
図1は、上に言及した、EPマッピング又は心臓アブレーションを行うために使用できる心臓カテーテルシステムの例示的な医療手技及び関連する構成要素を示す。具体的には、
図1は、カテーテルアセンブリ(100)のハンドルアセンブリ(110)を把持する医師(physician、PH)を示し、カテーテルアセンブリ(100)のカテーテルのエンドエフェクタ(図示せず)は、患者(patient、PA)の心臓(heart、H)内又はその近傍の組織の電位をマッピングするか、又は組織をアブレーションするように患者(PA)内に配設されている。エンドエフェクタは、電気エネルギー(例えば、RF又はIREなど)を標的組織部位に送達し、EPマッピング機能を提供し、エンドエフェクタに付与された外力を追跡し、エンドエフェクタの場所を追跡し、及び/又は流体を分散させるように構成されている、様々な電極、センサ、及び/又は他の特徴を含み得る。
【0064】
カテーテルアセンブリ(100)は、ケーブル(30)を介して誘導駆動システム(10)と結合されている。カテーテルアセンブリ(100)はまた、流体導管(40)を介して流体源(42)と結合されている。一組の磁場発生器(20)は、患者(PA)の下方に位置付けられており、別のケーブル(22)を介して誘導駆動システム(10)と結合されている。磁場発生器(20)は、単に任意選択にすぎない。本実施例の誘導駆動システム(10)は、コンソール(12)及びディスプレイ(18)を含む。コンソール(12)は、第1のドライバモジュール(14)及び第2のドライバモジュール(16)を含む。第1のドライバモジュール(14)は、ケーブル(30)を介してカテーテルアセンブリ(100)と結合されている。いくつかの変形例では、第1のドライバモジュール(14)は、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタのマイクロ電極を介して取得されたEPマッピング信号を受け取るように動作可能である。コンソール(12)は、そのようなEPマッピング信号を処理し、それによって、当該技術分野において既知のEPマッピングを行うプロセッサ(図示せず)を含む。
【0065】
本実施例の第1のドライバモジュール(14)は、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタの遠位先端部材に電気エネルギーを供給し、それによって、組織をアブレーションするように更に動作可能である。第2のドライバモジュール(16)は、ケーブル(22)を介して磁場発生器(20)と結合されている。第2のドライバモジュール(16)は、磁場発生器(20)を活性化させて、患者(PA)の心臓(H)の周りに交流磁場を発生させるように動作可能である。例えば、磁場発生器(20)は、心臓(H)を含む所定の作業体積内に交流磁場を発生させるコイルを含んでもよい。
【0066】
第1のドライバモジュール(14)はまた、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタ内又はその近傍のナビゲーションセンサアセンブリから位置表示信号を受け取るように動作可能である。このような変形例では、コンソール(12)のプロセッサはまた、ナビゲーションセンサアセンブリからの位置表示信号を処理して、それによって、患者(PA)内のカテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタの位置を判定するように動作可能である。いくつかの変形例では、ナビゲーションセンサアセンブリは、患者(PA)内のカテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタの位置及び配向を示す信号を生成するように動作可能な2つ又は3つ以上のコイルを含む。コイルは、磁場発生器(20)によって発生した交流電磁場の存在に応答して、電気信号を生成するように構成されている。
【0067】
ディスプレイ(18)は、コンソール(12)のプロセッサと結合されており、患者の解剖学的構造の画像をレンダリングするように動作可能である。このような画像は、手術前又は手術中に取得された一組の画像(例えば、CTスキャン又はMRIスキャン、3Dマップなど)に基づき得る。ディスプレイ(18)を通して提供される患者の解剖学的構造のビューはまた、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタのナビゲーションセンサアセンブリからの信号に基づいて動的に変化し得る。例えば、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタが患者(PA)内を移動すると、ナビゲーションセンサからの対応する位置データにより、コンソール(12)のプロセッサは、エンドエフェクタが患者(PA)内を移動するときにエンドエフェクタの周りの患者の解剖学的構造の領域を描写するために、ディスプレイ(18)の患者の解剖学的構造をリアルタイムで更新し得る。更に、コンソール(12)のプロセッサは、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタを用いた電気生理学的(electrophysiological、EP)マッピングによって検出されるように、又は他の方法で(例えば、専用のEPマッピングカテーテルを使用するなど)検出されるように、異常な導電性組織部位の場所を示すようにディスプレイ(18)を駆動し得る。単なる例として、コンソール(12)のプロセッサは、照明ドット、十字線、又は異常な導電性組織部位のいくつかの他の形式の視覚的指示を重ね合わせることなどによって、異常な導電性組織部位の位置を患者の解剖学的構造の画像上に重ね合わせるようにディスプレイ(18)を駆動することができる。
【0068】
コンソール(12)のプロセッサはまた、ディスプレイ(18)を駆動し、照射された点、十字線、エンドエフェクタのグラフィック表現、又は他の形態の視覚的表示を重ね合わせるなどにより、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタの現在の位置を患者の解剖学的構造の画像に重ね合わせ得る。このような重ね合わされた視覚的表示はまた、医師が患者(PA)内でカテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタを移動させると、リアルタイムでディスプレイ(18)上の患者の解剖学的構造の画像内で移動することができ、それによって、エンドエフェクタが患者(PA)内で移動すると、患者(PA)内のエンドエフェクタの位置に関するリアルタイムの視覚的フィードバックを操作者に提供する。したがって、ディスプレイ(18)を介して提供された画像は、エンドエフェクタを見る光学機器(すなわち、カメラ)を必ずしも持たなくても、患者(PA)内のカテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタの位置を追跡するビデオを効果的に提供し得る。同じビューにおいて、ディスプレイ(18)は、EPマッピングによって検出された異常な導電性組織部位の位置を同時に視覚的に示すことができる。したがって、医師(PH)は、ディスプレイ(18)を見て、マッピングされた異常な導電性組織部位及び患者(PA)内の隣接する解剖学的構造の画像に関連して、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタのリアルタイムの位置を観察し得る。
【0069】
本実施例の流体源(42)は、生理食塩水又はいくつかの他の好適な流体を収容するバッグを含む。導管(40)は、流体源(42)からカテーテルアセンブリ(100)に流体を選択的に駆動するように動作可能なポンプ(44)に更と結合されている可撓性チューブを含む。そのような流体は、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタの遠位先端部材の開口部を通して排出され得る。そのような流体は、本明細書の教示に照らして当業者に明らかである任意の好適な方法で提供されてもよい。
【0070】
II.誘導シースの実施例
いくつかの処置によっては、医師(PH)は、誘導シースを介してカテーテル(100)を患者(PA)に導入することを望む場合がある。いくつかのこのような処置では、誘導シースを患者(PA)に挿入し(例えば、患者(PA)の脚又は鼠径部を介して)、次いで、静脈又は動脈に沿って前進させて、心臓(H)内又は心臓(H)内又はその近傍の位置に到達させ得る。誘導シースが患者(PA)内に好適に位置付けられると、医師(PA)は、エンドエフェクタが誘導シースの遠位端部を出るまで、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタ及びカテーテルを誘導シース内に前進させてもよい。次いで、医師(PA)は、EPマッピング、アブレーション、又は患者(PA)の心臓(H)内若しくはその近傍での任意の他の種類の操作を行うために、カテーテルアセンブリ(100)を操作してもよい。
【0071】
図2は、このような処置で使用され得る誘導シース(200)の一実施例を示す。本実施例の誘導シース(200)は、ハンドルアセンブリ(210)の遠位端部(216)から遠位方向に延在する中空シャフト(220)を有するハンドルアセンブリ(210)の形態の本体を含む。ハンドルアセンブリ(210)は、ケーシング(212)を把持するように構成されている。中空シャフト(220)の開放遠位端部(240)は、シャフトの長手方向軸(longitudinal axis、LA)から離れて横方向に偏向するように動作可能である。この偏向は、ハンドルアセンブリ(210)の遠位端部(216)にある回転ノブ(214)によって制御される。回転ノブ(214)は、長手方向軸(LA)を中心にケーシング(212)に対して回転可能であり、それによって、中空シャフト(220)の開放遠位端部(240)の横方向の偏向を駆動する構成要素を作動させる。あくまで一例として、このような作動構成要素は、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、1つ又は2つ以上のプルワイヤ、バンド、又は任意の他の好適な構造体を備えてもよい。本実施例では、誘導シース(200)の本体はハンドルアセンブリ(210)の形態であるが、本体は他の形態をとってもよい。例えば、いくつかの変形例は、誘導シース(200)のロボット制御された形態を提供してもよい。いくつかのそのような変形例では、本体は、ロボットアーム及び/又は他の種類のロボット駆動特徴と機械的にインターフェース接続する構造の形態をとってもよい。
【0072】
図2に示されるように、管(202)は、ハンドルアセンブリ(210)の近位端部(218)から横方向に延在する。本実施例の管(202)は、ハンドルアセンブリ(210)内に画定された中空内部(図示せず)と流体連通し、中空内部は、中空シャフト(220)の内部と流体連通している。本実施例の管(202)は、流体源(204)と更に流体連通している。あくまで一例として、流体源(204)は、生理食塩水、蛍光透視法造影剤流体又は任意の他の好適な流体を含んでもよい。いくつかの変形例では、流体は、針器具(290)の文脈で以下により詳細に記載されるように、中空シャフト(220)内に配設された器具を介して連通されている。いくつかのそのような変形例では、管(202)は、省略されており、中空シャフト(220)内の器具は、流体源(204)と直接結合されている。
【0073】
また
図2に示すように、ハンドルアセンブリ(210)の近位端部(218)は、挿入ポート(250)を更に含む。挿入ポート250は、長手方向軸(LA)と位置合わせされ、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタ及びカテーテルを中空シャフト(220)に挿入するためのポートを提供する。本実施例の挿入ポート(250)は、開口部を画定する環状突出部(252)を備える。突出部(252)は、近位端部(218)においてケーシング(212)から近位に突出する。いくつかの変形例では、突出部(252)は、省略されている。
【0074】
シール(図示せず)は、挿入ポート(250)の開口部内に位置付けられている。あくまで一例として、本明細書の教示を考慮することで当業者には明らかとなるように、そのシールは、エラストマ膜又は他の種類の構成要素を含み得る。挿入ポート(250)の開口部内のシールは、シールを通した器具(例えば、カテーテルアセンブリ(100)のカテーテルなど)の挿入を容易にするように構成されたスリット構成を更に含み得る。挿入ポート(250)の開口部内のシールを通して何も挿入されていないときに、シールは、挿入ポート(250)を介してハンドルアセンブリ(210)内に画定された上述の流体経路の部分から流体が漏れることを防止し、かつ挿入ポート(250)を介してハンドルアセンブリ(210)内に画定された上述の流体経路に空気が入ることを防止する、流体密封シールを提供するように構成されている。挿入ポート(250)の開口部内のシールを通して器具が挿入されるときに、シールは、依然として、ポート(250)の流体密封シールを実質的に維持し、挿入ポート(250)を介してハンドルアセンブリ(210)内に画定された上述の流体経路から流体が漏れることを防止し、かつ挿入ポート(250)の開口部内のシールに対して並進することを依然として可能にしながら、挿入ポート(250)を介してハンドルアセンブリ(210)内に画定された上述の流体経路に空気が入ることを防止する。したがって、器具が挿入ポート(250)内に配置されているかどうかにかかわらず、シールは、流体が挿入ポート(250)を通って漏出することを防止し、かつ、空気が挿入ポート(250)を介して患者(PA)の心臓(H)内に吸引されることを防止することができる。
【0075】
III.心臓における経中隔貫通の実施例
いくつかの処置では、標的心臓血管構造に到達するために、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタに心房中隔を横断させることが望ましい場合がある。例えば、エンドエフェクタは、右心房を介して心臓(H)に入ってもよく、一方、標的心臓血管構造は、左心房から延在する肺静脈である。心房中隔が右心房と左心房との間に解剖学的障壁を提示する状態で、穿孔器具を使用して心房中隔を通る開口部を形成し、それによってカテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタが右心房から左心房及び隣接する構造に到達するための通路を提供することができる。
【0076】
図3A、
図3B、
図3C、
図3D及び
図3Eは、針器具(290)を使用して、心房中隔(septum、S)を通して開口部(opening、O)を形成し、かつ拡張器(280)を使用して、開口部(O)を拡大する処置の一実施例を示す。
図3Aに示されるように、処置は、シース(270)の開放遠位端部(272)が中隔(S)の穿通標的場所に向かって配向されるように、右心房内に位置付けられているシース(270)から開始する。あくまで一例として、シース(270)は、上述の誘導シース(200)などの汎用誘導シースを含んでもよいし、又は、拡張器(280)及び針器具(290)とともに使用するために特に構成されたシース(例えば、キットの一部としてなど)であってもよい。
【0077】
シース(270)の遠位端部(272)が適切に位置付けられると、
図3Bに示すように、拡張器(280)がシース(270)に対して遠位に前進し、その結果、拡張器(280)がシース(270)の遠位端部(272)から遠位に突出する。本実施例の拡張器(280)は、開放遠位端部(282)と、遠位端部(282)に向かって狭くなるテーパ状外側表面(284)と、を有する。いくつかの変形例では、テーパ状外側表面(284)は、線形テーパを有する。いくつかの変形例では、テーパ状外側表面(284)は、湾曲したテーパを有する。代替的に、テーパ状外側表面(284)は、任意の他の好適な構成を有し得る。拡張器(280)がシース(270)に対して遠位に前進した状態で、拡張器(280)の遠位端部(282)は、中隔(S)の貫通標的位置に向かって配向される。
【0078】
拡張器(280)の遠位端部(282)が適切に位置付けられると、
図3Cに示すように、針器具(290)が拡張器(280)に対して遠位に前進し、その結果、針器具(290)の遠位シャフト(292)が拡張器(280)の遠位端部(282)から遠位に突出する。針器具(290)が拡張器(280)に対して遠位に前進すると、針器具(290)の遠位先端部(294)及び遠位シャフト(262)の一部が中隔(S)を貫通し、それによって、開口部(O)を形成する。本実施例では、遠位先端部(294)は、鈍い構成を有する。例えば、遠位先端部(294)は、ドーム形状又は任意の他の好適な構成を有してもよい。したがって、「針」という用語は、針器具(290)という用語において使用されるが、これは、針器具(290)が鋭利な遠位先端部(294)を有することを必要とするものとして読まれるべきではない(針器具(290)のいくつかの変形例は、実際には鋭い遠位先端部(294)を有する場合があるが)。本実施例の遠位先端部(294)は、電極(296)を更に含み、この電極は、電気エネルギー(例えば、高周波(ACタイプ)又はパルスフィールド(DCタイプ)エネルギー)を中隔(S)の組織に印加するように作動され、それによって、中隔(S)の貫通を補助する。1つの電極(296)が示されているが、遠位先端部(294)は、代替的に、2つ又は3つ以上の電極(296)を含んでもよい。
【0079】
針器具(290)が開口部(O)を形成した後、拡張器(280)は、
図3Dに示すように開口部(O)の中へ遠位に前進する。
図3Dに示す実施例では、針器具(290)は、拡張器(280)が開口部(O)内に遠位に前進する前に、拡張器(280)内に近位に後退して戻る。いくつかの他のシナリオでは、針器具(290)は、拡張器(280)が開口部(O)内に遠位に前進するときに、拡張器(280)に対して遠位に前進したままである。
図3Dにも示されるように、シース(270)は、拡張器(280)が開口部(O)内に遠位に前進するときに、拡張器(280)とともに遠位に前進する。いくつかの他のシナリオでは、シース(270)は静止したままであるが、拡張器(280)は開口部(O)内に遠位に前進する。シース(270)と針器具(290)との相対的な位置付けにかかわらず、拡張器(280)が開口部(O)内に遠位に前進するときに、拡張器(280)のテーパ状外側表面(284)は、開口部(O)の内側縁部を圧迫し、それによって開口部(O)を拡張させる。
【0080】
拡張器(280)が開口部(O)を十分に拡張したら、
図3Eに示すように、拡張器(280)を開口部(O)に対して近位に後退させ、その結果、拡張器(280)が拡張した開口部(O)から出る。示される実施例では、シース(270)は、拡張器(280)とともに近位に後退する。いくつかのシナリオでは、拡張器(280)及び針器具(290)は、
図3Eに示す状態に到達した後にシース(270)から完全に除去されるが、シース(270)は右心房内に配設されたままである。次いで、追加の器具(例えば、心臓マッピングカテーテル、心臓アブレーションカテーテルなど)が、シース(270)を通して、次いで拡張された開口部(O)を通して挿入され得る。いくつかの他のシナリオでは、シース(270)が右心房から除去され、別のシース(例えば、誘導シース(200))が右心房に導入され、追加の器具類(例えば、心臓マッピングカテーテル、心臓アブレーションカテーテルなど)が、上記別のシースを通って前進して、最終的に、拡張された開口部(O)を通過する。
【0081】
あくまで一例として、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタは、拡張された開口部(O)を通して右心房から前進し、それによって、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタを、左心房内、肺静脈内、及び/又は中隔(S)側の任意の他の好適な解剖学的領域内に位置決めし得る。いくつかのシナリオでは、シース(270)、又は誘導シース(200)の中空シャフト(220)は、拡張された開口部(O)を通過して、カテーテルアセンブリ(100)のエンドエフェクタを左心房内、肺静脈内、及び/又は中隔(S)側の任意の他の好適な解剖学的領域内に誘導することを更に支援する。処置の完了時に、開口部(O)は、任意の好適な技法を使用して閉鎖され得る。
【0082】
上記に加えて、又は上記の代わりに、針器具(290)は、米国特許第6,994,094号、米国特許第8,152,829号、米国特許第9,848,943号、米国特許出願公開第2004/0220471号、及び/又は米国特許出願公開第2004/0220461号の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され得、かつ動作可能であり得る。これらの参考文献の各々の開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの拡張器(280)及び/又は針器具(290)はまた、拡張器(280)及び/又は針器具(290)の遠位端部に操縦性を提供する1つ又は2つ以上のプルワイヤ及び/又は他の特徴を含んでもよい。したがって、いくつかのそのような変形例は、拡張器(280)の遠位端部(280)及び/又は器具の遠位先端部(2が中空シャフト(220)の開放遠位端部(240)を出た後に、追加の程度の操縦性を提供し得る。いくつかの経中隔針器具はまた、心房中隔(S)の中への先端(264)のための一次係合及び引き込みを提供することを補助するために、先端(264)にワイヤを含み得る。
【0083】
エネルギー印加された先端を装備した経中隔穿刺装置は、本明細書の針及びガイドワイヤの例を具体的に参照して記載されているが、代替的に、他の形態をとってもよいことに留意する。例えば、本明細書に記載される針の特徴は、ガイドワイヤに適用されてもよく、本明細書に記載されるガイドワイヤの特徴は、針に適用されてもよい。ガイドワイヤと針との間の構造の違いは、主にシャフトの材料及び構造に関係し、経中隔アクセスのためのガイドワイヤと針との間の選択は、主に医師の好みに応じたものである。したがって、本明細書で使用される場合、「経中隔穿刺装置」又は「経中隔装置」は、添付の特許請求の範囲内で本明細書に記載の先端特徴を有するガイドワイヤ又は針のいずれかを意味する。
【0084】
IV.エネルギー印加された経中隔穿刺器具の実施例
いくつかの手技では、鋭利な遠位先端部を有する針を使用せずに開口部(O)を形成し、それによって、そのような鋭利な遠位先端部が、針の不注意な過剰前進に起因して心房中隔(S)を通過する心臓(H)の壁又は他の構造と望ましくなく係合するリスクを排除するように、電気エネルギー(例えば、RF又はIREなど)を中隔(S)の組織に印加することを介して、心房中隔(S)を通る開口部(O)を形成することが望ましくあり得る。そのような電気的エネルギーには、無線周波数(AC型)の電気的エネルギー、パルス場(DC型)の電気的エネルギー(例えば、不可逆的エレクトロポレーションなど)、又はいくつかの他の形態の電気的エネルギーが含まれ得る。加えて、又は代替的に、処置中に誘導シース(200)の中空シャフト(220)を通して挿入される器具の数を減らして、処置中に行われる器具交換の回数を減らし、それによって空気が患者(PA)の心臓(H)内に吸引されるリスクを減らすことが望ましい場合がある。以下に説明される経中隔穿刺器具(300)、拡張器(302、402、502、602、702、802)、及びガイドワイヤ(304、904、1004)の実施例の各々は、そのような様式で機能し得る。
【0085】
A.電気的にエネルギー印加された先端部材及びガイドワイヤ先端部材を伴う経中隔穿刺器具の実施例
図4A、
図4B、
図4C、及び
図4Dは、心房中隔(S)の組織に電気エネルギーを送達し、それを通る開口部(O)を形成するために使用されてもよく、開口部(O)を拡張するために使用されてもよい、器具(300)の実施例の遠位部分を示す。本実施例の器具(300)は、拡張器(302)と、拡張器(302)内に摺動可能に収容されたガイドワイヤ(304)とを含み、ガイドワイヤ(304)及び拡張器(302)は、互いに対して伸長可能及び後退可能である。例えば、ガイドワイヤ(304)は、近位位置(
図4A)と遠位位置(
図4B)との間で拡張器(302)に対して伸長可能及び後退可能であってもよい。いくつかの変形例では、器具(300)は、ハンドルアセンブリ(110)と同様であり得るハンドルアセンブリ(図示せず)を含んでもよい。ハンドルアセンブリは、拡張器(302)及び/又はガイドワイヤ(304)を互いに対して及び/又はハンドルアセンブリのハンドル本体に対する並進を駆動するための任意の好適な作動機構を含んでもよく、これには、スライダ、枢動ロッカ、ダイヤルなどが挙げられるが、これらに限定されない。器具(300)は発電機(306)と結合されてもよく、発電機は、以下でより詳細に説明するように、開口部(O)を形成するために器具(300)を介して中隔(S)の組織に送達するための電気外科エネルギー(例えば、RF又はパルス高電圧DCなど)を生成するように動作可能であってもよい。
【0086】
本実施例の拡張器(302)は、ルーメン(312)を画定するシャフト(310)を含み、ルーメン(312)は、ガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されており、かつシャフト(310)の遠位端部(314)まで遠位に延在する。シャフト(310)は、誘導シース(200)の挿入ポート(250)及び中空シャフト(220)を通して挿入されるようにサイズ決定される。したがって、誘導シース(200)は、
図3Aを参照して上述したものと概ね同様の方法で、拡張器(302)の拡張器先端部材(320)を中隔(S)の標的穿刺位置に対して位置決めするのを補助するために使用され得る。シャフト(310)は、金属材料、プラスチック材料、及び/又は任意の他の好適な種類の材料、又はこれらの組み合わせを含み得る。本実施例のシャフト(310)は、以下でより詳細に説明されるように、拡張器先端部材(320)のシャフト(310)への結合を容易にするために、シャフト(310)の半径方向外側表面から半径方向内向きに、かつ遠位端部(314)から近位に延在する、ほぼ環状の遠位レセプタクル(321)を含む。
【0087】
本実施例の拡張器先端部材(320)は、開放遠位先端部(324)及び近位ソケット(326)を有する本体(322)を含む。本実施例の本体(322)は、遠位先端部(324)が非外傷性であるように、ドーム形状を有する。より具体的には、本体(322)は、外部拡張表面(327)を含み、外部拡張表面(327)は、遠位先端部(324)に向かって半径方向内向きに湾曲して、図示のドーム形状を画定する。いくつかの他の変形例では、遠位先端部(324)は、任意の他の好適な非外傷性構成を有してもよい。加えて、又は代替的に、拡張表面(327)は、任意の他の好適な遠位に狭くなる構成を有してもよい。例えば、拡張表面(327)は、遠位先端部(324)に向かって半径方向内向きにテーパ状になって、円錐台形状(図示せず)を画定してもよい。拡張器先端部材(320)の近位ソケット(326)は、シャフト(310)の遠位端部(314)を受容し、拡張器先端部材(320)の近位部分がシャフト(310)のレセプタクル(321)内に受容されるように、シャフト(310)にしっかりと固定されている。
【0088】
あくまで一例として、拡張器先端部材(320)は、シャフト(310)に溶接されるか、シャフト(310)にはんだ付けされるか、接着剤若しくはエポキシを使用してシャフト(310)に接着されるか、シャフト(310)に圧入されるか、及び/又は任意の他の好適な方法でシャフト(310)にしっかりと固定され得る。いくつかの変形例では、シャフト(310)は、シャフト(310)のそのような外部拡張表面から拡張器先端部材(320)の外部拡張表面(327)への滑らかな遷移を提供するように、遠位端部(314)に向かって狭くなる(例えば、半径方向内向きに湾曲又はテーパ状になる)外部拡張表面(図示せず)を含んでもよい。
【0089】
拡張器先端部材(320)の本体(322)は、ルーメン(328)を更に画定し、ルーメン(328)は、シャフト(310)のルーメン(312)と同軸であり、かつガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されている。したがって、ルーメン(328)は、ガイドワイヤ(304)がルーメン(312)を通って遠位に前進してシャフト(310)の遠位端部(314)から遠位に突出するか、又は別の方法でシャフト(310)の遠位端部(314)に対して露出するための経路を提供する。これにより、ガイドワイヤ(304)が中隔(S)の組織に到達することが可能になる。拡張器先端部材(320)の近位にあるルーメン(312)の遠位部分(312D)(
図4B)は、より大きい直径を有するより近位の部分に対してより小さい直径を有し、その結果、より小さい直径は、拡張器先端部材(320)のルーメン(328)の中へのガイドワイヤ先端部材(350)の遠位への進入を誘導及び促進する。ルーメン(312)は、より小さい直径とより大きい直径との間の遷移を伴って構成されている。遷移は、
図4A)に示されるような階段状遷移であってもよく、又は徐々に先細りする滑らかな遷移であってもよい。
【0090】
本実施例では、ルーメン(328)は、先端部材(350)とルーメン(328)の側壁との間の不慮の接触を防止するために、ガイドワイヤ(304)の先端部材(350)の直径よりも十分に大きい直径を有する。これは、以下の説明を考慮して理解されるように、先端部材(320)と先端部材(350)との間の短絡を防止し得る。
【0091】
本実施例の拡張器先端部材(320)は導電性材料から形成される。この点に関して、拡張器先端部材(320)は、銅、金、鋼、アルミニウム、銀、ニチノールなどの金属導電性材料、及び/又は導電性ポリマー、シリサイド、グラファイトなどの非金属導電性材料を含むがこれらに限定されない任意の好適な材料又は材料の組み合わせから形成されてもよい。
【0092】
図4A、
図4B、及び
図4Cに示すように、拡張器先端部材(320)は、シャフト(310)に沿って延在する少なくとも1つの第1の導電性ワイヤ(330)を介して発電機(306)に結合され、拡張器先端部材(320)を発電機(306)に電気的に結合する。いくつかの変形例では、第1のワイヤ(330)は、ルーメン(312)から隔離された別のルーメン(図示せず)内でシャフト(310)に沿って延在して、第1のワイヤ(330)がガイドワイヤ(304)の通過を妨げることを防止してもよい。第1のワイヤ(330)が示されているが、拡張器先端部材(320)は、シャフト(310)に沿って延在する1つ若しくは2つ以上の導電性トレース(例えば、フレックス回路などの)、又はシャフト(310)内に直接埋め込まれた1つ若しくは2つ以上の他の導電体を介してなど、任意の他の好適な導電性要素を介して発電機(306)と電気的に結合され得ることが理解されよう。したがって、拡張器先端部材(320)は、以下でより詳細に説明されるように、電気エネルギーを中隔(S)の組織に印加して開口部(O)を形成するように動作可能である。拡張器先端部材(320)が金属材料(例えば、白金イリジウム)から形成されるいくつかの変形例では、拡張器先端部材(320)は、接地パッドが患者(PA)に接触して、RF及び/又はパルスDCなどの電気エネルギーの戻り経路を提供し得るように、単一の単極電極としての役割を果たし得る。いくつかのそのような変形例では、特にシャフト(310)が導電性材料から形成される場合、電気絶縁材料が拡張器先端部材(320)とシャフト(310)との間に介在してもよい。
【0093】
代替的に、
図4Iに示されるように、拡張器先端部材(320)は、遠位先端部(324)に固定された1つ又は2つ以上の導電性要素(331a、331b)を含んでもよく、そのような導電性要素は、電気エネルギーを中隔(S)の組織に送達するように構成された電極として機能する(例えば、導電性要素と本体(322)との間に介在する電気絶縁材料(例えば、電気絶縁層333a、333b)を有する)。例えば、
図4Iに示されるような一対の弓状導電性要素(331a、331b)は、拡張器先端部材(320)の遠位先端部(324)上で互いに角度的に離間されてもよい。そのような導電性要素は各々、導電性ワイヤ、プレート、フィルム、及び/又はコーティングのうちの任意の1つ又は2つ以上を含んでもよく、銅、金、鋼、アルミニウム、銀、ニチノールなどの金属導電性材料、及び/又は、導電性ポリマー、シリサイド、グラファイトなどの非金属導電性材料を含むが、これらに限定されない任意の好適な材料又は材料の組み合わせから形成されてもよい。そのような導電性要素は、接着剤、蒸着、又は他の方法を介して固定されることを含むが、これらに限定されない任意の好適な様式で遠位先端部(324)に固定されてもよく、シャフト(310)に沿って延在する第1のワイヤ(330)を介して発電機(306)と電気的に結合されてもよい。
【0094】
一対の導電性要素が遠位先端部(324)上に提供される場合、対応する一対のワイヤ(330)は、シャフト(310)に沿って延在してもよく、それによって、一対の導電性要素は、双極電気エネルギー(例えば、RF又はIRE)を中隔(S)の組織に印加するように動作可能であってもよく、一方の導電性要素は、アクティブ電極として機能し、他方の導電性要素は、例えば、組織をアブレーションするための戻り電極として機能してもよい。いくつかの変形例では、そのような導電性要素は、2021年12月21日に出願された「ENT Instrument with Deformable Guide having Translatable Imaging Feature」と題する米国特許出願第17/557,256号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され、動作可能である。
【0095】
示される実施例では、拡張器(302)は、患者(PA)内のシャフト(310)及び/又は拡張器先端部材(320)の位置及び向きを示す信号を生成するように動作可能である、シャフト(310)にしっかりと固定された少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリ(332)を含む。ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、それぞれのコイル(334)の位置を示す信号を生成するように動作可能な少なくとも1つの電磁コイル(334)を含み、それによって、磁場発生器(20)によって生成された交流電磁場内に位置付けられたときの三次元空間におけるシャフト(310)の一部分の位置を示す。そのような位置関連信号によって生成された位置データは、操作者に視覚的表示を提供して、拡張器(302)のシャフト(310)及び/又は拡張器先端部材(320)が患者(P)内のどこに位置するかをリアルタイムで操作者示すために、コンソール(12)のプロセッサによって処理することができる。このような視覚的表示は、患者の解剖学的構造の、手術前に取得された1つ又は2つ以上の画像(例えば、CTスキャン)上のオーバーレイとして提供されてもよい。
【0096】
加えて、又は代替的に、ナビゲーションセンサアセンブリ(332)からの位置関連信号によって生成される位置データは、電流対位置マッピング(CPM)行列を生成するために、コンソール(12)のプロセッサによって処理されてもよい。単なる例として、そのようなCPM行列は、2019年9月3日に発行された「Sheath Visualization Method by Means of Impedance Localization and Magnetic Information」と題する米国特許第10,398,347号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は2013年7月2日に発行された「Probe Tracking Using Multiple Tracking Methods」と題する米国特許第8,478,383号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の教示のうちの少なくともいくつかに従って生成されてもよい。
【0097】
ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、単軸センサ(single-axis sensor、SAS)(例えば、単一の軸の周りに巻かれた単一の電磁コイル(334)を有する)、二軸センサ(dual-axis sensor、DAS)(例えば、それぞれの軸の周りに巻かれた2つの電磁コイル(334)を有する)、又は三軸センサ(triple-axis sensor、TAS)(例えば、それぞれの軸の周りに巻かれた3つの電磁コイル(334)を有する)として構成されてもよい。加えて、又は代替的に、ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、フレキシブルプリント回路基板(printed circuit board、PCB)として構成されてもよい。ほんの一例として、ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、そ2022年1月26日に出願された「Flexible Sensor Assembly for ENT Instrument」と題する米国特許出願第17/584,693号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は、2021年12月10日に出願された、「Electrical Paths Along Flexible Section of Deflectable Sheath」と題する米国特許第17,547,517号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であってもよい。いくつかのそのような場合、ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、前述の電磁コイルセンサに加えて、又はその代わりに、1つ又は2つ以上のアクティブ電流位置(active current location、ACL)電極を含んでもよい。ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、医師が、シャフト(310)及び/又は拡張器先端部材(320)を可視化し、蛍光透視法を伴わずに、中隔を横断する場所を識別することを可能にする。
【0098】
示されている例のナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、シャフト(310)の外側表面にしっかりと固定されているが、ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、シャフト(310)の任意の好適な部分にしっかりと固定されてもよいことが理解されよう。例えば、ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、シャフト(310)内に収容されてもよく、例えば、ガイドワイヤ(304)の通過を可能にしながらルーメン(312)内に配置されてもよい。図示の例では、ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、シャフト(310)に沿って延在する少なくとも1つの第2の導電性ワイヤ(336)を介して誘導駆動システム(10)と結合されて、ナビゲーションセンサアセンブリ(332)を誘導駆動システム(10)と電気的に結合するように構成されている。いくつかの変形例では、第2のワイヤ(336)は、ルーメン(312)から隔離された別のルーメン(図示せず)内でシャフト(310)に沿って延在して、第2のワイヤ(336)がガイドワイヤ(304)の通過を妨げることを防止してもよい。
【0099】
第2のワイヤ(336)が示されているが、ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は、シャフト(310)に沿って延在する1つ若しくは2つ以上の導電性トレース(例えば、フレックス回路などの)、又はシャフト(310)に直接埋め込まれた1つ若しくは2つ以上の他の導電体など、任意の他の好適な導電性要素を介して、誘導駆動システム(10)と電気的に結合されてもよいことが理解されよう。場合によっては、ナビゲーションセンサアセンブリ(332)は省略されてもよい。いくつかのそのような場合、拡張器(302)の少なくとも遠位部分(例えば、拡張器先端部材(320)を含む)は、超音波を介した拡張器(302)の少なくとも遠位部分の可視化を容易にするために、エコーを発生してもよい。
【0100】
本実施例のガイドワイヤ(304)は、遠位端部(344)まで延在する細長い部材(340)を含む。細長い部材(340)は、例えば、シャフト又はコイルを含んでもよい。細長い部材(340)がコイルを含む場合、コイルは、遠位端部(344)に対して固定され、コイルが引張応力下に置かれたときにコイルが伸長するのを防止し得るコアワイヤ(図示せず)の周りに巻き付けられてもよい。細長い部材(340)は、拡張器(302)のルーメン(312、328)を通って挿入されるようにサイズ決定される。したがって、拡張器(302)は、中隔(S)の標的穿刺位置に対してガイドワイヤ(304)の先端部材(350)を位置決めするのを補助するために使用され得る。
【0101】
本実施例のガイドワイヤ先端部材(350)は、遠位先端部(354)を有する本体(352)を含む。本実施例の遠位先端部(354)は、遠位先端部(354)が非外傷性であるように、ドーム形状を有する。いくつかの他の変形例では、遠位先端部(354)は、任意の他の好適な非外傷性構成を有してもよい。ガイドワイヤ先端部材(350)は、細長い部材(340)の遠位端部(344)又はその近傍で細長い部材(340)にしっかりと固定されている。例えば、本体(352)は、近位ソケット(図示せず)を含んでもよく、近位ソケット(図示せず)は、細長い部材(340)の遠位端部(344)を受容し、細長い部材(340)にしっかりと固定されている。単なる例として、ガイドワイヤ先端部材(350)は、細長い部材(340)に溶接され、細長い部材(340)にはんだ付けされ、接着剤又はエポキシを使用して細長い部材(340)に接着され、細長い部材(340)に圧入され、及び/又は任意の他の好適な方法で細長い部材(340)に固定されてもよい。
【0102】
本実施例のガイドワイヤ先端部材(350)は導電性材料から形成される。この点に関して、ガイドワイヤ先端部材(350)は、銅、金、鋼、アルミニウム、銀、ニチノールなどの金属導電性材料、及び/又は導電性ポリマー、シリサイド、グラファイトなどの非金属導電性材料を含むがこれらに限定されない任意の好適な材料又は材料の組み合わせから形成されてもよい。
【0103】
ガイドワイヤ先端部材(350)は、ガイドワイヤ先端部材(350)を発電機(306)と電気的に結合するために、細長い部材(340)に沿って延在する1つ若しくは2つ以上のワイヤ、トレース(例えば、フレックス回路などの)、又は他の導電性要素(図示せず)を介して発電機(306)と結合されてもよい。したがって、ガイドワイヤ先端部材(350)は、以下でより詳細に説明されるように、電気エネルギーを中隔(S)の組織に印加して開口部(O)を形成するように動作可能である。ガイドワイヤ先端部材(350)が金属材料から形成されるいくつかの変形例では、ガイドワイヤ先端部材(350)は、接地パッドが患者(PA)に接触して電気エネルギーの戻り経路を提供し得るように、単一の単極電極としての役割を果たし得る。いくつかのそのような変形例では、特に細長い部材(340)が導電性材料から形成される場合、電気絶縁材料がガイドワイヤ先端部材(350)と細長い部材(340)との間に介在してもよい。
【0104】
代替的に、ガイドワイヤ先端部材(350)は、遠位先端部(354)に固定され、中隔(S)の組織に電気エネルギーを送達するように構成された1つ又は2つ以上の導電性要素を含んでもよい(例えば、導電性要素と本体(352)との間に電気絶縁材料を介在させて)。例えば、一対の弓状導電性要素は、ガイドワイヤ先端部材(350)の遠位先端部(354)上で互いに角度的に離間されてもよい。そのような導電性要素は各々、導電性ワイヤ、プレート、フィルム、及び/又はコーティングのうちの任意の1つ又は2つ以上を含んでもよく、銅、金、鋼、アルミニウム、銀、ニチノールなどの金属導電性材料、及び/又は、導電性ポリマー、シリサイド、グラファイトなどの非金属導電性材料を含むが、これらに限定されない任意の好適な材料又は材料の組み合わせから形成されてもよい。そのような導電性要素は、接着剤、蒸着、又は他の方法を介して固定されることを含むが、これらに限定されない任意の好適な様式で遠位先端部(354)に固定されてもよく、細長い部材(340)に沿って延びる1つ若しくは2つ以上のワイヤ、トレース、又は他の導電性要素を介して発生器(306)と電気的に結合されてもよい。
【0105】
一対の導電性要素が遠位先端部(354)上に提供される場合、対応する対のワイヤは、細長い部材(340)に沿って延在してもよく、それによって、一対の導電性要素は、双極電気エネルギーを中隔(S)の組織に印加するように動作可能であってもよく、一方の導電性要素は、アクティブ電極として機能し、他方の導電性要素は、例えば、組織をアブレーションするための戻り電極として機能してもよい。いくつかの変形例では、そのような導電性要素は、2022年4月14日に出願された「ENT Instrument with Deformable Guide having Translatable Imaging Feature」と題する米国特許出願公開第2022/0110513号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され、かつ動作可能である。それ自体で双極電気エネルギーを提供することができることに加えて、又はその代わりに、ガイドワイヤ先端部材(350)は、拡張器先端部材(320)と協働して、以下に説明されるように双極電気エネルギーを提供してもよい。
【0106】
単に一例として、ガイドワイヤ(304)は、2022年1月4日に発行された「Guidewire with Ablation and Coagulation Functionality」と題する米国特許第11,213,344号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、2020年3月31日に発行された「Guidewires Having Improved Mechanical Strength and Electromagnetic Shielding」と題する米国特許第10,603,472号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は、2021年7月1日に公開された「Neurosurgery Guidewire with Integral Connector for Sensing and Applying Therapeutic Electrical Energy」と題する米国特許出願公開第2021/0196370号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され、かつ動作可能であり得る。
【0107】
いくつかの変形形態では、ガイドワイヤ(304)は、細長い部材(340)にしっかりと固定された少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリ(図示せず)を含み、このナビゲーションセンサアセンブリは、上述したものと同様の方法などで、患者(PA)内の細長い部材(340)及び/又はガイドワイヤ先端部材(350)の位置及び向きを示す信号を(例えば、磁場発生器(20)によって生成される交流電磁場の存在に応答して)生成するように動作可能である。
【0108】
示される実施例では、拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)及びガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)は、中隔(S)の組織に双極電気エネルギーを印加するために、相互に協働するように構成されている。例えば、ガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)はアクティブ電極として機能してもよく、一方、拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)は戻り電極として機能してもよい。代替的に、拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)は、アクティブ電極として機能してもよく、ガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)は、戻り電極として機能してもよい。いずれの構成においても、中隔(S)の組織への双極電気エネルギーのそのような印加は、それを通る開口部(O)を形成するのに十分であり得る。
【0109】
開口部(O)を形成するための双極電気エネルギーのそのような印加は、少なくとも、開口部(O)を形成するための拡張器先端部材(320)又はガイドワイヤ先端部材(350)のいずれかを介した単極電気エネルギーの印加と比較して、比較的低電力で行われてもよいことを理解されよう。これは、少なくとも、拡張器先端部材(320)又はガイドワイヤ先端部材(350)のいずれかと接地パッドとの間を電流が移動する比較的長い経路と比較して、拡張器先端部材(320)とガイドワイヤ先端部材(350)との間を電流が移動する比較的短い経路に起因し得る、及び/又は少なくとも、拡張器先端部材(320)又はガイドワイヤ先端部材(350)のいずれかと接地パッドとの間を電流が移動する組織の比較的高いインピーダンスと比較して、拡張器先端部材(320)とガイドワイヤ先端部材(350)との間を電流が移動する組織の比較的低いインピーダンスに起因し得る。上述したように、先端部材(350)のルーメン(328)は、先端部材(320)とルーメン(328)の側壁との間の不慮の接触を防止するために、ガイドワイヤ(304)の先端部材(350)の直径よりも十分に大きい直径を有する。これにより、特に先端部材(320、350)の一方又は両方が起動されて電気エネルギーを印加するときに、先端部材(320)と先端部材(350)との間の短絡を防止することができる。
【0110】
器具(300)の一使用例では、
図4Aに示されるように、ガイドワイヤ(304)が拡張器(302)に対して後退位置にある間に、拡張器(302)は、最初に誘導シース(200)を通して挿入されて、拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)を中隔(S)の標的穿刺位置の組織と係合させてもよい。次いで、医師(PH)は、拡張器(302)を介してガイドワイヤ(304)を遠位に前進させて、ガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)を中隔(S)の標的穿刺位置において組織と係合させてもよく、続いて、
図4Bに示されるように、双極電気エネルギーを中隔(S)の標的穿刺位置における組織に印加して、そこを通る開口部(O)を形成する電極として機能する拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)及びガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)を用いて発生器(306)を作動させてもよい。
【0111】
拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)及びガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)は、拡張器(302)のナビゲーションセンサアセンブリ(332)及び/又はガイドワイヤ(304)のナビゲーションセンサアセンブリから受信される位置関連信号によって生成される位置データに基づいて、中隔(S)の標的穿刺場所における組織に対して正確に位置付けられてもよいことを理解されよう。いくつかの変形例では、拡張器(302)及びガイドワイヤ(304)は、双極電気エネルギーの所望の送達を達成するための所定の様式で、拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)及びガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)の互いに対する回転及び/又は長手方向の位置付けを容易にするための相補的(例えば、インターロック)機械的特徴を含んでもよい。例えば、拡張器(302)及びガイドワイヤ(304)は、互いに螺合して係合して、このような所定の相対位置決めを提供するように構成されてもよい。加えて、又は代替的に、拡張器(302)及びガイドワイヤ(304)は、そのような所定の相対的な位置決めを視覚的に示すために互いに整列するように構成された対応する印、適切な相対位置を示す触覚フィードバックを提供するディテント特徴、及び/又は適切な相対位置を示す任意の他の好適な特徴を含んでもよい。
【0112】
場合によっては、コンソール(12)のプロセッサは、拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)及びガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)から心臓電気(例えば、EGM、インピーダンス変化など)信号を読み取り、拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)及びガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)の両方が、発電機(306)の起動前に組織が双極電気エネルギーを受け取るように、中隔(S)の標的穿刺位置における組織と十分に係合していることを確認してもよい。発電機(306)の起動及び/又は停止は、拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)及びガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)からコンソール(12)のプロセッサによって受信されるフィードバックに応答するなどして、コンソール(12)のプロセッサによって自動的に実行されて、所望の標的組織の適切なアブレーションを確実にし得ることが理解されよう。加えて、又は代替的に、このような起動は、ディスプレイ(18)によって提示される画像又は他の情報に基づくなど、医師(PH)によって手動で実行されてもよい。
【0113】
場合によっては、拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)とガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)との間の電気インピーダンスは、開口部(O)の形成の進行を監視するために、中隔(S)の標的穿刺場所における組織への双極電気エネルギーの印加の間、周期的又は連続的に測定されてもよい。例えば、インピーダンスは、拡張器先端部材(320)(又はその導電性要素)とガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)との間の組織蒸発の結果として、中隔(S)の標的穿刺位置における組織のアブレーションの間、比較的高くあり得、ガイドワイヤ先端部材(350)(又はその導電性要素)がもはや中隔組織に接触せず、それを通して蒸発しないとき、開口部(O)の形成時に実質的に減少し得る。したがって、このインピーダンスの実質的な減少は、開口部(O)が首尾よく形成されたことの表示を提供することができる。いくつかの変形形態では、コンソール(12)のプロセッサは、インピーダンスの実質的な減少に応答して発電機(306)を自動的に停止させ、それによって心房中隔(S)を通過した心臓(H)の壁又は他の構造をアブレーションするリスクを防止することができる。加えて、又は代替的に、ディスプレイ(18)は、医師(PH)が適切な行動をとることができるように、開口部(O)が形成されたことを医師(PH)に警告してもよい。
【0114】
拡張器先端部材(320)及びガイドワイヤ先端部材(350)の各々を、中隔(S)の標的穿刺位置に対して実質的に固定された位置に維持しながら、又は拡張器先端部材(320)及び/又はガイドワイヤ先端部材(350)をわずかに遠位にのみ付勢しながら(例えば、中隔(S)の標的穿刺位置における組織との電気的接触を維持するために)、中隔(S)の標的穿刺位置における組織に対して、いかなる機械力も加えることなく、又はわずかな機械力のみを加えながら、開口部(O)が形成され得るように、中隔(S)の標的穿刺位置における組織への双極電気エネルギーの印加が行われ得ることが理解されよう。換言すれば、開口部(O)を形成するために機械的な力を全く必要としないか、又は最小限の機械的な力しか必要とせず、それによって、少なくとも開口部(O)の初期形成中に器具(300)を不注意に過剰に前進させるリスクを排除又は軽減することができる。いくらかの機械力が中隔(S)の標的穿刺位置で組織に対して加えられる場合、遠位先端部(324)及び遠位先端部(354)の非外傷性構成は、拡張器(302)及び/又はガイドワイヤ(304)のそのような不注意な過前進が生じた場合に、心房中隔(S)を通過する心臓(H)の壁又は他の構造への損傷を防止し得る。この点に関して、開口部(O)が成功裏に形成されたという判定は、前述のインピーダンスに基づく判定に加えて、又はその代わりに、拡張器(302)のナビゲーションセンサアセンブリ(332)及び/又はガイドワイヤ(304)のナビゲーションセンサアセンブリから受信した位置関連信号によって生成された位置データに基づいてもよい。
【0115】
図4Cに示されるように、医師(PH)は、場合によっては、開口部(O)の最初の形成に続いて、開口部(O)を通して拡張器(302)を遠位に前進させて、拡張器先端部材(320)の拡張表面(327)(及び/又はシャフト(310)の拡張表面)を開口部(O)の周囲と係合させ、それによって開口部(O)を拡張させてもよい。加えて、又は代替的に、医師(PH)は、拡張器(302)及び/又はガイドワイヤ(304)を開口部(O)を通して前進させて、中隔(S)を越えて追加の動作を実行してもよい。例えば、医師(PH)は、開口部(O)を通して拡張器(302)及び/又はガイドワイヤ(304)を前進させて心臓(H)の左心房に到達させ、左心房においてEPマッピング、アブレーション、又は任意の他の種類の追加的な動作を提供してもよい。拡張器(302)及び/又はガイドワイヤ(304)のそのような多目的利用は、最初に器具交換を必要とすることなく、開口部(O)の形成の直後に追加の動作が実行されることを可能にし得、それによって、空気が患者(PA)の心臓(H)内に吸引されるリスクを低減し得、及び/又は処置の持続時間を低減し得る。
【0116】
場合によっては、(例えば、ガイドワイヤ(304)のナビゲーションセンサアセンブリから受信した位置関連信号によって生成された位置データに基づいて)左心房に対してCPM行列が生成されることを可能にするために、ガイドワイヤ先端部材(350)を左心房内に位置決めするために、開口部(O)の形成直後にガイドワイヤ(304)を開口部(O)を通して前進させてもよい。加えて、又は代替的に、ガイドワイヤ先端部材(350)は、1つ又は2つ以上の追加の器具(例えば、カテーテルアセンブリ(100)のカテーテルなど)がガイドワイヤ(304)上を開口部(O)を通って左心房内へと遠位に前進し得るように、左心房内のアンカーとして機能し得る。
【0117】
場合によっては、拡張器(302)を誘導シース(200)を通して
図4Aに示す位置に挿入する前に、ガイドワイヤ(304)を患者(PA)の主要な静脈又は動脈(例えば、大腿動脈)に挿入し(例えば、患者(PA)の脚又は鼠径部を介して)、次いで、静脈又は動脈に沿って遠位に前進させて、ガイドワイヤ先端部材(350)を心臓(H)の右心房内に配置し、その中でアンカーとして機能させてもよい。次いで、誘導シース(200)は、
図4Aに示される位置への誘導シース(200)を通した拡張器(302)のその後の挿入を容易にするために、ガイドワイヤ(304)上を静脈又は動脈に沿って遠位に前進されてもよい。
【0118】
場合によっては、拡張器先端部材の一部分のみとして、例えば、拡張器先端部材の片側のみ、又は半分のみとして、電気絶縁部材を有するものを提供して、中隔組織のコアリングの危険性を最小限にする際に、角度付きプロファイルを提供することが望ましい場合がある。本明細書に開示される拡張器の全ての実施形態と同様に、拡張器は、穿刺能力を提供し、したがって、針の必要性を排除し、したがって、過貫通による穿孔のリスクを最小限にする。中空構成は、経中隔穿刺のために必要とされるデバイス交換の回数を更に減少させ、空気塞栓を引き起こす可能性を低減する。
図4E、
図4F、
図4G、及び
図4Hは、このような構成を有し、拡張器(302)の代わりに器具(1300)に組み込まれ得る拡張器(1302)の別の例の遠位部分を示す。拡張器(1402)は、以下に特に記載しない限り、上記の拡張器(302)と同様であってもよい。
【0119】
場合によっては、
図4E、
図4F、
図4G、及び
図4Hは、心房中隔(S)の組織に電気エネルギーを送達し、それを通る開口部(O)を形成するために使用されてもよく、開口部(O)を拡張するために使用されてもよい、器具(1300)の実施例の遠位部分を示す。本実施例の器具(1300)は、拡張器(1302)と、拡張器(1302)内に摺動可能に収容されたガイドワイヤ(1304)とを含み、ガイドワイヤ(1304)及び拡張器(1302)は、互いに対して伸長可能及び後退可能である。例えば、ガイドワイヤ(1304)は、近位位置(
図4E)と遠位位置(
図4F)との間で拡張器(1302)に対して伸長可能及び後退可能であってもよい。いくつかの変形例では、器具(1300)は、ハンドルアセンブリ(110)と同様であり得るハンドルアセンブリ(図示せず)を含んでもよい。ハンドルアセンブリは、拡張器(1302)及び/又はガイドワイヤ(1304)を互いに対して/又はハンドルアセンブリのハンドル本体に対する並進を駆動するための任意の好適な作動機構を含んでもよく、これには、スライダ、枢動ロッカ、ダイヤルなどが挙げられるが、これらに限定されない。器具(1300)は発電機(306)と結合されてもよく、発電機は、以下でより詳細に説明するように、開口部(O)を形成するために器具(1300)を介して中隔(S)の組織に送達するための電気外科エネルギー(例えば、RF又はパルス高電圧DCなど)を生成するように動作可能であってもよい。
【0120】
本実施例の拡張器(1302)は、ルーメン(1312)を画定するシャフト(1310)を含み、ルーメン(1312)は、ガイドワイヤ(1304)を摺動可能に受容するように構成されており、かつシャフト(1310)の遠位端部(1314)まで遠位に延在する。シャフト(1310)は、誘導シース(200)の挿入ポート(250)及び中空シャフト(220)を通して挿入されるようにサイズ決定される。したがって、誘導シース(200)は、
図3Aを参照して上述したものと概ね同様の方法で、拡張器(302)の拡張器先端部材(1320)を中隔(S)の標的穿刺位置に対して位置決めするのを補助するために使用されてもよく、拡張器先端部材(1320)は、導電性本体(1322)と、シャフト(1310)の遠位端部分(1323)と、を含む。シャフト(1310)は、金属材料、プラスチック材料、及び/又は任意の他の好適な種類の材料、又はこれらの組み合わせを含み得る。
【0121】
本体(1322)及びシャフト(1310)の遠位端部分(1323)は、開口部(1329)を有する開放遠位先端部(1324)を共同で画定する。本実施例の本体(1322)及びシャフト(1310)の遠位端部分(1323)は、遠位先端部(1324)が非外傷性であるように成形される。より具体的には、本体(1322)は、第1の又はそれぞれの外部拡張表面(1327)を含み、遠位端部分(1323)は、第2の又はそれぞれの外部拡張表面(1327x)を含み、それらの各々は、遠位先端部(1324)に向かって半径方向内向きに湾曲して、図示される非外傷性形状を画定する。開口部1329の片側には、シャフトの遠位端部分(1323)がある。開口部の別の側(例えば、直径方向に対向する側)には、遠位端部(1314)の近位面に取り付けられた本体(1322)がある。特に、シャフト(1310)の遠位端部分(1323)は、所定の長さL(
図4F)だけ先端部材(1320)の本体(1322)の遠位先端部の近位で終端する遠位先端部を有し、及び/又は遠位端部分(1323)の外部拡張表面(1327x)は、本体(1322)の外部拡張表面(1327)に対してより鋭い又はより急勾配の湾曲又はテーパを有し、その結果、開放遠位先端部(1324)はシャフトルーメン1612と連通し、本体(1322)及び遠位端部分(1323)は、遠位先端部(1324)が中隔組織と接触するときに中隔組織コアリング又は他の損傷を最小限にする角度付きプロファイルを有する開放遠位先端部(1324)を共同で形成する。本体(1322)が導電性材料で構築されている状態で、拡張器(1302)は、コアリングを防止するために遠位先端部ルーメン(1328)の片側のみに電極を提供するように構成されている。
図4Hに示される実施形態は、遠位先端部ルーメン(1328)の片側半分(例えば、上半分側)のみに電極を含む。
【0122】
あくまで一例として、導電性本体(1322)は、シャフト(1310)に溶接されるか、シャフト(1310)にはんだ付けされるか、接着剤又はエポキシを使用してシャフト(1310)に接着されるか、及び/又は任意の他の好適な方法でシャフト(1310)にしっかりと固定され得る。
【0123】
ルーメン(328)は、シャフト(1310)のルーメン(1312)と同軸であり、ガイドワイヤ(1304)を摺動可能に受容するように構成されている。したがって、ルーメン(1328)は、ガイドワイヤ(1304)がルーメン(1312)を通って遠位に前進してシャフト(1310)の遠位端部(1314)から遠位に突出するか、又は別の方法でシャフト(1310)の遠位端部(1314)に対して露出するための経路を提供する。これにより、ガイドワイヤ(1304)が中隔(S)の組織に到達することが可能になる。本実施例では、ルーメン(1328)は、先端部材(1350)とルーメン(1328)の側壁との間の不慮の接触を防止するために、ガイドワイヤ(1304)の先端部材(1350)の直径よりも十分に大きい直径を有する。これにより、以下の説明を考慮して理解されるように、導電性本体(1322)と先端部材(1350)との間の短絡が防止され得る。
【0124】
本実施例の拡張器先端部材(1320)の本体(1322)は、導電性材料から形成される。この点に関して、本体(1322)は、銅、金、鋼、アルミニウム、銀、ニチノールなどの金属導電性材料、及び/又は導電性ポリマー、シリサイド、グラファイトなどの非金属導電性材料を含むがこれらに限定されない任意の好適な材料又は材料の組み合わせから形成されてもよい。
【0125】
図4E及び
図4Fに示されるように、拡張器先端部材(1322)は、シャフト(1310)に沿って延在する少なくとも1つの第1の導電性ワイヤ(1330)を介して発電機(1306)と結合され、本体(1322)を発電機(306)と電気的に結合する。いくつかの変形例では、第1のワイヤ(1330)は、ルーメン(1312)から隔離された別のルーメン(図示せず)内でシャフト(1310)に沿って延在して、第1のワイヤ(1330)がガイドワイヤ(1304)の通過を妨げることを防止してもよい。第1のワイヤ(1330)が示されるが、本体(1322)拡張器先端部材(1320)は、シャフト(1310)に沿って延在する1つ若しくは2つ以上の導電性トレース(例えば、フレックス回路などの)、又はシャフト(1310)内に直接埋め込まれた1つ若しくは2つ以上の他の導電体を介してなど、任意の他の好適な導電性要素を介して発電機(306)と電気的に結合されてもよいことが理解されよう。拡張器先端部材(320)の本体(1322)は、したがって、以下でより詳細に説明されるように、電気エネルギーを中隔(S)の組織に印加して開口部(O)を形成するように動作可能である。本体(1322)が金属材料(例えば、白金イリジウム)から形成されるいくつかの変形例では、本体(1322)は、接地パッドが患者(PA)に接触して、RF及び/又はパルスDCなどの電気エネルギーの戻り経路を提供し得るように、単一の単極電極としての役割を果たし得る。いくつかのそのような変形例では、特にシャフト(1310)が導電性材料から形成される場合、電気絶縁材料が本体(1322)拡張器先端部材(320)とシャフト(1310)との間に介在してもよい。
【0126】
代替的に、
図4Jに示されるように、拡張器先端部材(1320)は、遠位先端部(1324)に固定された1つ又は2つ以上の導電性要素(1331a、1331b)を含んでもよく、そのような導電性要素は、電気エネルギーを中隔(S)の組織に送達するように構成された電極として機能する(例えば、導電性要素と本体(322)との間に介在する電気絶縁材料(例えば、電気絶縁層1333a、1333b)を有する)。例えば、
図4Jに示すように、1つ又は2つ以上の対の弓状導電性要素(1325)は、拡張器先端部材(1320)の遠位先端部(1324)上で互いに角度的に離間されてもよい。そのような導電性要素は各々、導電性ワイヤ、プレート、フィルム、及び/又はコーティングのうちの任意の1つ又は2つ以上を含んでもよく、銅、金、鋼、アルミニウム、銀、ニチノールなどの金属導電性材料、及び/又は、導電性ポリマー、シリサイド、グラファイトなどの非金属導電性材料を含むが、これらに限定されない任意の好適な材料又は材料の組み合わせから形成されてもよい。そのような導電性要素は、接着剤、蒸着、又は他の方法を介して固定されることを含むが、これらに限定されない任意の好適な様式で遠位先端部(1324)に固定されてもよく、シャフト(1310)に沿って延在する第1のワイヤ(1330)を介して発電機(1306)と電気的に結合されてもよい。
【0127】
B.ガイドワイヤ先端部材から電気的に絶縁された通電された先端部材を有する拡張器の実施例
場合によっては、拡張器先端部材とガイドワイヤ先端部材との間に配置された電気絶縁部材を有する拡張器を提供して、拡張器先端部材及びガイドワイヤ先端部材の通電中に拡張器先端部材とガイドワイヤ先端部材との間の電気的短絡を阻止することが望ましい場合がある。
図5A及び
図5Bは、そのような構成を有し、拡張器(302)の代わりに器具(300)に組み込まれ得る、拡張器(402)の別の例の遠位部分を示す。拡張器(402)は、以下に特に記載しない限り、上記の拡張器(302)と同様であってもよい。この点に関して、本実施例の拡張器(402)は、ルーメン(412)を画定するシャフト(410)を含み、ルーメン(412)は、ガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されており、かつシャフト(410)の遠位端部(414)まで遠位に延在する。シャフト(410)は、誘導シース(200)の挿入ポート(250)及び中空シャフト(220)を通して挿入されるようにサイズ決定される。したがって、誘導シース(200)は、
図3Aを参照して上述したものと概ね同様の方法で、拡張器(402)の拡張器先端部材(420)を中隔(S)の標的穿刺位置に対して位置決めするのを補助するために使用され得る。本実施例のシャフト(410)の遠位部分は、シャフト(410)への拡張器先端部材(420)の結合を容易にするために、表面(411)から遠位に延在する円筒形中空ステム(499)を画定するように、シャフト(410)の半径方向外側表面から半径方向内向きに、かつ遠位端部(414)から近位に延在する、ほぼ環状の遠位レセプタクル(421)を含む。
【0128】
示される実施例では、少なくともステム(499)は、拡張器先端部材(420)をルーメン(412)内の物体から電気的に絶縁するために、プラスチックなどの非導電性(例えば、絶縁性)材料を備える。これに関して、本実施例の拡張器先端部材(420)は、開いた遠位先端部(424)及び長手方向ボア(426)を有する本体(422)を含む。本体(422)は、先端部材(420)が本明細書に記載されるような単極電極又は双極電極として機能し得るように、導電性材料から形成されてもよい。本実施例の本体(422)は、遠位先端部(424)が非外傷性であるように、ドーム形状を有する。より具体的には、本体(422)は、外部拡張表面(427)を含み、外部拡張表面(427)は、遠位先端部(424)に向かって半径方向内向きに湾曲して、図示のドーム形状を画定する。拡張器先端部材(420)は、レセプタクル(421)内に受容されており、シャフト(410)のステム(499)上に固定されている。拡張器先端部材(420)、より具体的にはボア(426)は、シャフト(410)のレセプタクル(421)の長さと実質的に等しい長さを有してもよく、それにより、ステム(499)は、実質的にその全長に沿って拡張器先端部材(420)とガイドワイヤ先端部材(350)との間に介在してもよく、それにより、拡張器先端部材(420)及びガイドワイヤ先端部材(350)の通電中に拡張器先端部材(420)とガイドワイヤ先端部材(350)との間の電気的短絡を阻止する。この点に関して、拡張器先端部材(420)は、シャフト(410)に沿って延在する1つ若しくは2つ以上のワイヤ、トレース、又は他の導電性要素(図示せず)を介して発電機(306)と結合され、
図4A、
図4B、及び
図4Cに関連して上述したものと同様の方法で、拡張器先端部材(420)を発電機(306)と電気的に結合してもよい。
【0129】
示される実施例では、拡張器(402)は、患者(PA)内のシャフト(410)及び/又は拡張器先端部材(420)の位置及び向きを示す信号を生成するように動作可能である、シャフト(410)にしっかりと固定された少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリ(432)を含む。ナビゲーションセンサアセンブリ(432)は、それぞれのコイル(434)の位置を示す信号を生成するように動作可能な少なくとも1つの電磁コイル(434)を含み、それによって、上述したものと同様の方法で、磁場発生器(20)によって生成された交流電磁場内に位置付けられたときの三次元空間におけるシャフト(410)の一部分の位置を示す。図示の例では、ナビゲーションセンサアセンブリ(432)は、シャフト(410)に沿って延在する少なくとも1つの導電性ワイヤ(436)を介して誘導駆動システム(10)と結合されて、ナビゲーションセンサアセンブリ(432)を誘導駆動システム(10)と電気的に結合するように構成されている。代替的に、ナビゲーションセンサアセンブリ(432)は、任意の他の好適な様式で誘導駆動システム(10)と結合されてもよい。同様に、ナビゲーションセンサアセンブリ(432)は、シャフト(410)に対して任意の他の好適な位置に配置することができる。
【0130】
図6A及び
図6Bは、拡張器先端部材とガイドワイヤ先端部材との間に配置された電気絶縁部材を有する拡張器を提供して、拡張器先端部材及びガイドワイヤ先端部材の通電中に拡張器先端部材とガイドワイヤ先端部材との間の電気的短絡を阻止する別の例を示す。このような構成は、拡張器(302)の代わりに器具(300)に組み込まれてもよい。拡張器(1402)は、以下に特に記載しない限り、上記の拡張器(402)と同様であってもよい。この点に関して、本実施例の拡張器(1402)は、ルーメン(1412)を画定するシャフト(1410)を含み、ルーメン(1412)は、ガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されており、かつシャフト(1410)の遠位端部(1414)まで遠位に延在する。シャフト(1410)は、誘導シース(200)の挿入ポート(250)及び中空シャフト(220)を通して挿入されるようにサイズ決定される。したがって、誘導シース(200)は、
図3Aを参照して上述したものと概ね同様の方法で、拡張器(1402)の拡張器先端部材(1420)を中隔(S)の標的穿刺位置に対して位置決めするのを補助するために使用され得る。本実施例のシャフト(1410)は、シャフト(1410)への拡張器先端部材(1420)の結合を容易にするために、表面(1411)から遠位に延在する管状の細長い中空ステム(1499)を画定するように、シャフト(1410)の半径方向外側表面から半径方向内向きに、かつ遠位端部(1414)から近位に延在する、ほぼ環状の遠位レセプタクル(1421)を含む。
【0131】
示される実施例では、少なくともステム(1499)は、拡張器先端部材(1420)をルーメン(1412)内の物体から電気的に絶縁するために、プラスチックなどの非導電性(例えば、絶縁性)材料を備える。これに関して、本実施例の拡張器先端部材(1420)は、開いた遠位先端部(1424)及び長手方向ボア(1426)を有する本体(1422)を含む。本体(1422)は、先端部材(1420)が本明細書に記載されるような単極電極又は双極電極として機能し得るように、導電性材料から形成されてもよい。
図6Bに示される例では、先端部材(1420)及びガイドワイヤ先端部材350は、双極電極として機能し、一方はアクティブ電極として機能し、他方は受信電極として機能する。本実施例の本体(1422)は、遠位先端部(1424)がほぼ非外傷性であるように、丸みを帯びた角部を有する遠位面(1487)を有する。拡張器先端部材(1420)は、レセプタクル(1421)内に受容されており、シャフト(1410)のステム(1499)上に固定されている。拡張器先端部材(1420)、より具体的にはボア(4126)は、シャフト(1410)のレセプタクル(1421)の長さと実質的に等しい長さを有してもよく、それにより、ステム(1499)は、実質的にその全長に沿って拡張器先端部材(1420)とガイドワイヤ先端部材(350)との間に介在されてもよく、それにより、拡張器先端部材(1420)及びガイドワイヤ先端部材(350)の通電中に拡張器先端部材(1420)とガイドワイヤ先端部材(350)との間の電気的短絡を阻止する。この点に関して、拡張器先端部材(420)は、シャフト(410)に沿って延在する1つ若しくは2つ以上のワイヤ、トレース、又は他の導電性要素(図示せず)を介して発電機(306)と結合され、
図4A、
図4B、及び
図4Cに関連して上述したものと同様の方法で、拡張器先端部材(420)を発電機(306)と電気的に結合してもよい。
【0132】
C.ガイドワイヤルーメンの片側に通電された先端部材を有する拡張器の実施例
場合によっては、拡張器先端部材及びガイドワイヤ先端部材の通電中に中隔組織のコアリングを阻止するためなど、ガイドワイヤルーメンの片側のみに配置された通電された先端部材を有する拡張器を提供することが望ましいことがある。比較的小さい電極(例えば、通電された先端部材)を提供することはまた、アブレーション/穿刺のためのより高いエネルギー密度を提供してもよい。
図7は、そのような構成を有し、拡張器(302)の代わりに器具(300)に組み込まれ得る、拡張器(502)の別の例の遠位部分を示す。拡張器(502)は、以下に特に記載しない限り、上記の拡張器(302)と同様であってもよい。この点に関して、本実施例の拡張器(502)は、ルーメン(512)を画定するシャフト(510)を含み、ルーメン(512)は、ガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されており、かつシャフト(510)の遠位端部(514)まで遠位に延在する。シャフト(510)は、誘導シース(200)の挿入ポート(250)及び中空シャフト(220)を通して挿入されるようにサイズ決定される。したがって、誘導シース(200)は、
図3Aを参照して上述したものと概ね同様の方法で、拡張器(402)の一対の拡張器先端部材(520a、520b)を中隔(S)の標的穿刺位置に対して位置決めするのを補助するために使用され得る。本実施例のシャフト(510)は、第1の拡張器先端部材(520a)のシャフト(510)への結合を容易にするために、シャフト(510)の半径方向外側表面から半径方向内向きに、かつ遠位端部(514)から近位に延在する、ほぼ半環状遠位レセプタクル(521)を含むが、第2の拡張器先端部材(520a)は、単一(例えば、モノリシック)部品としてシャフト(510)と一緒に一体的に形成されてもよい。
【0133】
本実施例の各拡張器先端部材(520a、520b)は、本体(522a、522b)を含む。第1の本体(522a)は、第1の拡張器先端部材(520a)が、本明細書に説明されるように、単極電極又は双極電極として機能し得るように、導電性材料から形成されてもよい。各本体(522a、522b)は、ルーメン(512)のそれぞれの側でシャフト(510)の遠位端部(514)にしっかりと固定されて、開放遠位先端部(524)及びルーメン(528)を集合的に画定し、ルーメン(528)は、シャフト(510)のルーメン(512)と同軸である。ルーメン(528)は、ガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されている。本実施例の本体(522a、522b)は、遠位先端部(524)が非外傷性であるように、ドーム形状を集合的に画定する。より具体的には、各本体(522a、522b)は、外部拡張表面(527a、527b)を含み、外部拡張表面(527a、527b)は、遠位先端部(524)に向かって半径方向内向きに湾曲して、図示のドーム形状を画定する。第1の拡張器先端部材(520a)の本体(522a)は、近位ソケット(526)を有し、近位ソケット(526)は、第1の拡張器先端部材(520a)の近位部分がシャフト(510)のレセプタクル(521)内に受容されるように、シャフト(510)の遠位端部(514)を受容し、シャフト(510)にしっかりと固定されている。
【0134】
第1の拡張器先端部材(520a)は、シャフト(510)に沿って延在する1つ若しくは2つ以上のワイヤ、トレース、又は他の導電性要素(図示せず)を介して発電機(306)と結合されて、
図4A、
図4B、及び
図4Cに関連して上述したものと同様の方法で第1の拡張器先端部材(520a)を発電機(306)と電気的に結合してもよく、それによってガイドワイヤ先端部材(350)と協働してルーメン(528)の一方の側の中隔(S)の組織に双極電気エネルギーを印加するように動作可能であってもよく、一方、第2の拡張器先端部材(520b)は、電気エネルギーがルーメン(528)の他方の側の中隔(S)の組織に印加されないように、通電されないままである。
【0135】
示される実施例では、拡張器(502)は、患者(PA)内のシャフト(510)及び/又は拡張器先端部材(520a、520b)の位置及び向きを示す信号を生成するように動作可能である、シャフト(510)にしっかりと固定された少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリ(532)を含む。ナビゲーションセンサアセンブリ(532)は、それぞれのコイル(534)の位置を示す信号を生成するように動作可能な少なくとも1つの電磁コイル(534)を含み、それによって、上述したものと同様の方法で、磁場発生器(20)によって生成された交流電磁場内に位置付けられたときの三次元空間におけるシャフト(510)の一部分の位置を示す。図示の例では、ナビゲーションセンサアセンブリ(532)は、シャフト(510)に沿って延在する少なくとも1つの導電性ワイヤ(536)を介して誘導駆動システム(10)と結合されて、ナビゲーションセンサアセンブリ(532)を誘導駆動システム(10)と電気的に結合するように構成されている。代替的に、ナビゲーションセンサアセンブリ(532)は、任意の他の好適な様式で誘導駆動システム(10)と結合されてもよい。同様に、ナビゲーションセンサアセンブリ(532)は、シャフト(510)に対して任意の他の好適な位置に配置することができる。
【0136】
D.ガイドワイヤルーメンを包囲する一対の隣接先端部材を伴う拡張器の実施例
場合によっては、ガイドワイヤとは独立して組織に双極電気エネルギーを印加するように動作可能な一対の隣接する先端部材を有する拡張器を提供することが望ましい場合がある。
図8A及び
図8Bは、そのような構成を有し、拡張器(302)の代わりに器具(300)に組み込まれ得る、拡張器(602)の別の例の遠位部分を示す。拡張器(602)は、以下に特に記載しない限り、上記の拡張器(302)と同様であってもよい。この点に関して、本実施例の拡張器(602)は、ルーメン(612)を画定するシャフト(610)を含み、ルーメン(612)は、ガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されており、かつシャフト(610)の遠位端部(614)まで遠位に延在する。シャフト(610)は、誘導シース(200)の挿入ポート(250)及び中空シャフト(220)を通して挿入されるようにサイズ決定される。したがって、誘導シース(200)は、
図3Aを参照して上述したものと概ね同様の方法で、拡張器(602)の一対の拡張器先端部材(620a、620b)を中隔(S)の標的穿刺位置に対して位置決めするのを補助するために使用され得る。
【0137】
本実施例の各拡張器先端部材(620a、620b)は、間隙Gによって分離されるそれぞれの本体(622a、622b)を含む。各本体(622a、622b)は、各拡張器先端部材(620a、620b)が、本明細書に説明されるように、単極電極又は双極電極としての役割を果たし得るように、導電性材料から形成されてもよい。各本体(622a、622b)は、ルーメン(612)のそれぞれの側でシャフト(610)の遠位端部(614)にしっかりと固定されて、開放遠位先端部(624)及びルーメン(628)を集合的に画定し、ルーメン(628)は、シャフト(610)のルーメン(612)と同軸であり、かつガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されている。本実施例の本体(622a、622b)は、遠位先端部(624)が非外傷性であるように、ドーム形状を集合的に画定する。より具体的には、各本体(622a、622b)は、外部拡張表面(627a、627b)を含み、外部拡張表面(627a、627b)は、遠位先端部(624)に向かって半径方向内向きに湾曲して、図示のドーム形状を画定する。
図8Bに最もよく示されるように、本体(622a、622b)は各々、ほぼ半円形の断面形状を有し、本体(622a、622b)がルーメン(612)の長手方向軸を集合的に円周方向に取り囲むことができるように、シャフト(610)のルーメン(612)と同軸である円形の断面形状を集合的に有する。
【0138】
拡張器先端部材(620a、620b)は各々、シャフト(610)に沿って延在するそれぞれのワイヤ(図示せず)を介して発電機(306)と電気的に結合されてもよく、それによって、拡張器先端部材(620a、620b)は、例えば、一方の拡張器先端部材(620a、620b)がアクティブ電極として機能し、他方の拡張器先端部材(620a、620b)が組織をアブレーションするための戻り電極として機能して、中隔(S)の組織に双極電気エネルギーを印加するように動作可能であってもよい。このようにして、拡張器(602)は、ガイドワイヤ先端部材(350)が省略され得るように、ガイドワイヤ(304)とは独立して開口部(O)を形成することが可能であり得る。場合によっては、ガイドワイヤ(304)とは独立して開口部(O)を形成する拡張器(602)の能力は、ルーメン(612)がシャフト(610)の遠位端部(614)又はその近傍で閉鎖されることを可能にし得、その結果、ルーメン(612)は、例えば、シャフト(610)に沿った拡張器先端部材(620a、620b)へのワイヤのルーティングを容易にし得るが、ガイドワイヤ(304)がシャフト(610)の遠位端部(614)を通って遠位に前進して出るための経路を提供しなくてもよく、あるいはガイドワイヤ(304)が中隔(S)の組織に到達することを可能にしてもよい。いくつかの他の場合では、ガイドワイヤ(304)とは独立して開口部(O)を形成する拡張器(602)の能力は、ルーメン(612)が省略されることを可能にし得る。
【0139】
図8A及び
図8Bには示されていないが、拡張器(602)は、本明細書に記載される任意の他のナビゲーションセンサアセンブリのようなナビゲーションセンサアセンブリを含んでもよい。
【0140】
図9A及び
図9Bは、このような構成を有し、拡張器(302)の代わりに器具(300)に組み込むことができる拡張器(1602)の別の例の遠位部分を示す。拡張器(1602)は、以下に特に記載しない限り、上記の拡張器(302)と同様であってもよい。この点に関して、本実施例の拡張器(1602)は、ルーメン(1612)を画定するシャフト(1610)を含み、ルーメン(1612)は、ガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されており、かつシャフト(1610)の遠位端部(1614)まで遠位に延在する。シャフト(1610)は、誘導シース(200)の挿入ポート(250)及び中空シャフト(220)を通して挿入されるようにサイズ決定される。したがって、誘導シース(200)は、
図3Aを参照して上述したものと概ね同様の方法で、拡張器(1602)の一対の拡張器先端部材(1620a、1620b)を中隔(S)の標的穿刺位置に対して位置決めするのを補助するために使用され得る。
【0141】
本実施例の各拡張器先端部材(1620a、1620b)は、本体(1622a、1622b)を含む。各拡張器先端部材(1620a、1620b)は、本明細書に説明されるように、各拡張器先端部材(1620a、1620b)が単極電極又は双極電極として機能し得るように、導電性材料から形成されてもよい。各本体(1622a、1622b)は、ルーメン(1612)のそれぞれの側で、環状遠位面を有するシャフト遠位端部(1614)にしっかりと固定されて、開放遠位先端部(1624)及びルーメン(1628)を集合的に画定し、ルーメン(1628)は、シャフト(1610)のルーメン(1612)と同軸であり、かつガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されている。一方の本体は、ルーメン開口部の一方の側にあってもよく、他方の本体は、ルーメン開口部の別の側(例えば、直径方向に対向する側)にあってもよい。
【0142】
第1及び第2の先端部材(1620a、1620b)は、開放遠位先端部(1324)を共同で画定し、各々は、シャフトの環状遠位面(1614)に当接するそれぞれの近位面(1651a、1651b)を有する。先端部材(1620a、1620b)は、遠位先端部(1624)が非外傷性であるように成形される。より具体的には、第1の先端部材(1620a)は、第1の又はそれぞれの外部拡張表面(1627)を含み、第2の先端部材(1620b)は、第2の又はそれぞれの外部拡張表面(1627x)を含み、それらの各々は、遠位先端部(1324)に向かって半径方向内向きに湾曲して、図示される非外傷性形状を画定する。しかしながら、注目すべきことに、第2の先端部材(1620b)は、第1の先端部材(1620a)に対して短く、所定の長さL(
図9A)だけ第1の先端部材(1620a)の遠位端部の近位で終端する遠位端部を有し、及び/又は第2の先端部材(1620b)の外部拡張表面(1627x)は、第1の先端部材(1620a)の外部拡張表面(1627)に対してより鋭い又は急勾配の曲率又はテーパを有し、その結果、遠位先端部(1624)は、遠位先端部(1624)が中隔組織と接触するときに中隔組織コアリング又は他の損傷を最小限にする角度付きプロファイルを有する。第1及び第2の先端部材(1620a、1620b)が導電性材料で構築されている状態で、拡張器(1602)は、コアリングを防止しながら、ルーメン(1612)の長手方向軸を集合的に円周方向に包囲する電極を提供するように構成されている。
【0143】
拡張器先端部材(1620a、1620b)は各々、シャフト(1610)に沿って延在するそれぞれのワイヤ(図示せず)を介して発電機(306)と電気的に結合されてもよく、それによって、拡張器先端部材(1620a、1620b)は、例えば、一方の拡張器先端部材(1620a、1620b)がアクティブ電極として機能し、他方の拡張器先端部材(1620a、1620b)が組織をアブレーションするための戻り電極として機能して、中隔(S)の組織に双極電気エネルギーを印加するように動作可能であってもよい。このようにして、拡張器(1602)は、ガイドワイヤ先端部材(350)が省略され得るように、ガイドワイヤ(304)とは独立して開口部(O)を形成することが可能であり得る。場合によっては、ガイドワイヤ(304)とは独立して開口部(O)を形成する拡張器(1602)の能力は、ルーメン(1612)がシャフト(1610)の遠位端部(1614)又はその近傍で閉鎖されることを可能にし得、その結果、ルーメン(1612)は、例えば、シャフト(1610)に沿った拡張器先端部材(1620a、1620b)へのワイヤのルーティングを容易にし得るが、ガイドワイヤ(304)がシャフト(1610)の遠位端部(1614)を通って遠位に前進して出るための経路を提供しなくてもよく、あるいはガイドワイヤ(304)が中隔(S)の組織に到達することを可能にしてもよい。いくつかの他の場合では、ガイドワイヤ(304)とは独立して開口部(O)を形成する拡張器(1602)の能力は、ルーメン(1612)が省略されることを可能にし得る。
【0144】
図9A及び
図9Bには示されていないが、拡張器(1602)は、本明細書に記載される任意の他のナビゲーションセンサアセンブリのようなナビゲーションセンサアセンブリを含んでもよい。
【0145】
E.ガイドワイヤルーメンからオフセットされた一対の隣接先端部材を伴う拡張器の実施例
場合によっては、ガイドワイヤとは独立して組織に双極電気エネルギーを印加するように動作可能であり、ガイドワイヤルーメンからオフセットされる、一対の隣接先端部材を有する拡張器を提供し、例えば、一対の先端部材の通電中に中隔組織のコアリングを阻止することが望ましいことがある。
図10は、このような構成を有し、拡張器(302)の代わりに器具(300)に組み込まれ得る、拡張器(702)の別の例の遠位部分を示す。拡張器(702)は、以下に特に記載しない限り、上記の拡張器(602)と同様であってもよい。この点に関して、本実施例の拡張器(702)は、ルーメン(712)を画定するシャフト(図示せず)を含み、ルーメン(712)は、ガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されており、かつシャフトの遠位端部(図示せず)まで遠位に延在する。ルーメン(712)は、本実施例ではシャフトの中心長手方向軸から横方向にオフセットされている。拡張器(702)は、一対の拡張器先端部材(720a、720b)を更に含む。
【0146】
本実施例の各拡張器先端部材(720a、720b)は、本体(722a、722b)を含む。各本体(722a、722b)は、各拡張器先端部材(720a、720b)が、本明細書に説明されるような単極電極又は双極電極としての役割を果たし得るように、導電性材料から形成されてもよい。各本体(722a、722b)は、ルーメン(712)のそれぞれの側でシャフトの遠位端部にしっかりと固定されて、開放遠位先端部(図示せず)及びルーメン(728)を集合的に画定し、ルーメン(728)は、シャフトのルーメン(712)と同軸であり、かつガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されている。したがって、ルーメン(728)もまた、本実施例では、拡張器(702)のシャフトの中心長手方向軸から横方向にオフセットされている。本実施例の本体(722a、722b)は、遠位先端部が非外傷性であるように、集合的にドーム形状を有してもよい。より具体的には、各本体(722a、722b)は、そのようなドーム形状を画定するように遠位先端部に向かって半径方向内向きに湾曲し得る、外部拡張表面(727a、727b)を含む。示される実施例では、本体(722a、722b)は、シャフトのルーメン(712)と非同軸である円形断面形状を集合的に有し、その結果、本体(722a、722b)は、ルーメン(712)の長手方向軸を集合的に円周方向に取り囲まなくてもよい。このようにして、ルーメン(728)の側面は、ルーメン(728)がほぼC字形状であり得るように露出されてもよく、それによって、拡張器先端部材(720a、720b)の電気的通電中に中隔組織コアリングを阻止する。これに関して、拡張器先端部材(720a、720b)は各々、
図8A及び
図8Bに関連して上述したものと同様の方法で、シャフト(710)に沿って延在するそれぞれのワイヤ(図示せず)を介して発電機(306)と電気的に結合されてもよい。
【0147】
図10には示されていないが、拡張器(702)は、本明細書に記載される任意の他のナビゲーションセンサアセンブリのようなナビゲーションセンサアセンブリを含んでもよい。
【0148】
図11は、角度付きプロファイルを呈し、ガイドワイヤとは独立して組織に双極電気エネルギーを印加するように動作可能であり、一対の先端部材の通電中に中隔組織のコアリングを阻止するように、ガイドワイヤルーメンからオフセットされる一対の隣接する先端部材を提供する構成を有する拡張器1702)の別の例の遠位部分を示す。このような構成は、拡張器(302)の代わりに器具(300)に組み込まれてもよい。拡張器(1702)は、以下に特に記載しない限り、上記の拡張器(1602)と同様であってもよい。この点に関して、本実施例の拡張器(1702)は、ルーメン(1712)を画定するシャフト(図示せず)を含み、ルーメン(1712)は、ガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されており、かつシャフトの遠位端部(図示せず)まで遠位に延在する。ルーメン(1712)は、本実施例ではシャフトの中心長手方向軸から横方向にオフセットされている。拡張器(1702)は、一対の拡張器先端部材(1720a、1720b)を更に含む。
【0149】
本実施例の各拡張器先端部材(1720a、1720b)は、本体(1722a、1722b)を含む。各本体(1722a、1722b)は、各拡張器先端部材(1720a、1720b)が、本明細書に説明されるような単極電極又は双極電極としての役割を果たし得るように、導電性材料から形成されてもよい。本体(1722a)は、ほぼ半円形の断面形状を有する。本体(1722b)は、本体(1722a)に対して、ほぼより平坦な半円形の断面形状を有する。各本体は、ルーメン(1712)のそれぞれの側でシャフトの遠位端部にしっかりと固定されて、開放遠位先端部(図示せず)及びルーメン(1728)を集合的に画定し、ルーメン(1728)は、シャフトのルーメン(1712)と同軸であり、かつガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されている。したがって、ルーメン(1728)もまた、本実施例では、拡張器(1702)のシャフトの中心長手方向軸から横方向にオフセットされている。本実施例の本体(1722a、1722b)は、中隔組織のコアリングを防止する非外傷性遠位先端部を有する角度付きプロファイルを集合的に提示し得る。より具体的には、各本体(1722a、1722b)は、そのようなドーム形状を画定するように遠位先端部に向かって半径方向内向きに湾曲し得る、外部拡張表面(1727a、1727b)を含む。第2の先端部材(1720b)は、第1の先端部材(1720a)に対して短く、所定の長さだけ第1の先端部材(1720a)の遠位端部の近位で終端する遠位端部を有し、及び/又は第2の先端部材(1720b)の外部拡張表面(1727x)は、第1の先端部材(1720a)の外部拡張表面(1727)に対してより鋭い又は急勾配の曲率又はテーパを有し、その結果、遠位先端部(1724)は、遠位先端部(1724)が中隔組織と接触するときに中隔組織コアリング又は他の損傷を最小限にする角度付きプロファイルを有する。
【0150】
示される実施例では、本体(1722a、1722b)は、シャフトのルーメン(1712)と非同軸であるほぼ円形の断面形状を集合的に有し、その結果、本体(1722a、1722b)は、ルーメン(1712)の長手方向軸を集合的に円周方向に取り囲まなくてもよい。このようにして、ルーメン(1728)の側面は、ルーメン(1728)がほぼC字形状であり得るように露出されてもよく、それによって、拡張器先端部材(1720a、1720b)の電気的通電中に中隔組織コアリングを阻止する。これに関して、拡張器先端部材(1720a、1720b)は各々、
図8A及び
図8Bに関連して上述したものと同様の方法で、シャフト(1710)に沿って延在するそれぞれのワイヤ(図示せず)を介して発電機(306)と電気的に結合されてもよい。
【0151】
図11には示されていないが、拡張器(1702)は、本明細書に記載される任意の他のナビゲーションセンサアセンブリのようなナビゲーションセンサアセンブリを含んでもよい。
【0152】
F.一対の同軸先端部材を有する拡張器の実施例
場合によっては、ガイドワイヤとは独立して組織に双極電気エネルギーを印加するように動作可能な一対の同軸の先端部材を有する拡張器を提供することが望ましい場合がある。
図12A及び
図12Bは、そのような構成を有し、拡張器(302)の代わりに器具(300)に組み込まれ得る、拡張器(802)の別の例の遠位部分を示す。拡張器(802)は、以下に特に記載しない限り、上記の拡張器(602)と同様であってもよい。この点に関して、本実施例の拡張器(802)は、ルーメン(812)を画定するシャフト(810)を含み、ルーメン(812)は、ガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されており、かつシャフト(810)の遠位端部(814)まで遠位に延在する。シャフト(810)は、誘導シース(200)の挿入ポート(250)及び中空シャフト(220)を通して挿入されるようにサイズ決定される。したがって、誘導シース(200)は、
図3Aを参照して上述したものと概ね同様の方法で、拡張器(802)の一対の拡張器先端部材、例えば、第1の又は外側拡張器先端部材(820a)及び第2の又は内側拡張器先端部材(820b)を中隔(S)の標的穿刺位置に対して位置決めするのを補助するために使用され得る。本実施例のシャフト(810)の遠位部分は、シャフト(810)への第1の拡張器先端部材(820a)の結合を容易にするために、シャフト(810)の半径方向外側表面から半径方向内向きに、かつ遠位端部(814)から近位に延在する、第1の又は外側ほぼ環状遠位レセプタクル(821a)と、シャフト(810)への第2の拡張器先端部材(820b)の結合を容易にするために、ルーメン(812)から半径方向外向きに、かつ遠位端部(814)から近位に延在する、第2の又は内側ほぼ環状遠位レセプタクル(821b)と、を含む。第1及び第2の遠位レセプタクル(821b、821a)は、表面(811)から遠位に延在する円筒形中空ステム(899)をそれらの間に画定する。
【0153】
示される実施例では、シャフト(810)の遠位部分の少なくともステム(899)は、拡張器先端部材(820a、820b)を互いから電気的に絶縁するために、プラスチックなどの非導電性(例えば、絶縁性)材料を含む。この点に関して、本実施例の各拡張器先端部材(820a、820b)は、本体(822a、822b)を含む。各本体(822a、822b)は、各拡張器先端部材(820a、820b)が、本明細書に説明されるような単極電極又は双極電極としての役割を果たし得るように、導電性材料から形成されてもよい。各本体(822a、822b)は、ルーメン(612)からそれぞれの半径方向距離でシャフト(810)の遠位端部(814)にしっかりと固定されている。第2の拡張器先端部材(820b)は、シャフト(810)の第2のレセプタクル(821b)内に受容され、かつ開放非外傷性遠位先端部(824)及びルーメン(828)を画定し、ルーメン(828)は、シャフト(810)のルーメン(812)と同軸であり、かつガイドワイヤ(304)を摺動可能に受容するように構成されている。本実施例の第1の拡張器先端部材(820a)の本体(822a)はドーム形状を有するが、第2の拡張器先端部材(820b)の本体(822b)は円筒形状を有する。より具体的には、本体(822a)は、外部拡張表面(827)を含み、外部拡張表面(827)は、遠位先端部(824)に向かって半径方向内向きに湾曲して、図示のドーム形状を画定する。第1の拡張器先端部材(820a)の本体(822a)は、ボア(826)を有し、シャフト(810)の第1のレセプタクル(821a)内に受容されている。
図12に最もよく示されるように、本体(822a、822b)は各々、円形断面形状を有し、互いに同軸である。
【0154】
拡張器先端部材(820a、820b)は各々、シャフト(810)に沿って延在するそれぞれのワイヤ(図示せず)を介して発電機(306)と電気的に結合されてもよく、それによって、拡張器先端部材(820a、820b)は、例えば、一方の拡張器先端部材(820a、820b)がアクティブ電極として機能し、他方の拡張器先端部材(820a、820b)が戻り電極として機能して、中隔(S)の組織に双極電気エネルギーを印加するように動作可能であってもよい。このようにして、拡張器(802)は、ガイドワイヤ(304)とは独立して開口部(O)を形成することが可能であり得る。
図12A及び
図12Bには示されていないが、拡張器(802)は、本明細書に記載される任意の他のナビゲーションセンサアセンブリのようなナビゲーションセンサアセンブリを含んでもよい。
【0155】
G.様々な非外傷性構成を有する遠位部分を伴うガイドワイヤの実施例
場合によっては、ガイドワイヤの不注意な過前進が生じた場合に、心房中隔(S)を通過する心臓(H)の壁又は他の構造への損傷を防止するために、様々な非外傷性姿勢をとるように構成された遠位部分を有するガイドワイヤを提供することが望ましい場合がある。
図13A、
図13B、
図13C、及び
図13Dは、そのような構成を有し、ガイドワイヤ(304)の代わりに器具(300)に組み込まれ得るガイドワイヤ(904)の別の例の遠位部分を示す。ガイドワイヤ(904)は、下記に述べる点を除き前述のガイドワイヤ(304)と同様であってもよい。この点に関して、本実施例のガイドワイヤ(904)は、遠位端部(944)まで延在する細長い部材(940)を含む。細長い部材(940)は、例えば、シャフト又はコイルを含んでもよい。細長い部材(940)がコイルを含む場合、コイルは、遠位端部(944)に対して固定され、コイルが引張応力下に置かれたときにコイルが伸長するのを防止し得るコアワイヤ(図示せず)の周りに巻き付けられてもよい。細長い部材(940)は、拡張器(302)のルーメン(312、328)を通って挿入されるようにサイズ決定される。したがって、拡張器(302)は、中隔(S)の標的穿刺位置に対してガイドワイヤ(904)のガイドワイヤ先端部材(950)を位置決めするのを補助するために使用され得る。
【0156】
本実施例のガイドワイヤ先端部材(950)は、遠位先端部(954)を有する本体(952)を含む。本体(952)は、ガイドワイヤ先端部材(950)が本明細書に記載されるような単極電極又は双極電極として機能し得るように、導電性材料から形成されてもよい。本実施例の遠位先端部(954)は、遠位先端部(954)が非外傷性であるように、ドーム形状を有する。ガイドワイヤ先端部材(950)は、細長い部材(940)の遠位端部(944)又はその近傍で細長い部材(940)にしっかりと固定されている。例えば、本体(952)は、近位ソケット(図示せず)を含んでもよく、近位ソケット(図示せず)は、細長い部材(940)の遠位端部(944)を受容し、細長い部材(940)にしっかりと固定されている。ガイドワイヤ先端部材(950)は、細長い部材(940)に沿って延在する1つ若しくは2つ以上のワイヤ、トレース、又は他の導電性要素(図示せず)を介して発電機(306)と結合されて、
図4A、
図4B、及び
図4Cに関連して上述したものと同様の方法でガイドワイヤ先端部材(950)を発電機(306)と電気的に結合してもよく、それによって拡張器先端部材(320)と協働して双極電気エネルギーを中隔(S)の組織に印加するように動作可能であってもよい。
【0157】
示される実施例では、ガイドワイヤ(904)は、患者(PA)内の細長い部材(940)及び/又はガイドワイヤ先端部材(950)の位置及び向きを示す信号を生成するように動作可能である、細長い部材(940)にしっかりと固定された複数のナビゲーションセンサアセンブリ(962a、962b)を含む。より具体的には、ガイドワイヤ(904)は、複数(例えば、3つ)の第1のナビゲーションセンサアセンブリ(962a)と、複数(例えば、2つ)の第2のナビゲーションセンサアセンブリ(962b)とを含む。第1のナビゲーションセンサアセンブリ(962a)は各々、それぞれのコイルの位置を示す信号を生成するように動作可能な少なくとも1つの電磁コイル(図示せず)を含んでもよく、それによって、上述したものと同様の方法で、磁場発生器(20)によって生成された交流電磁場内に位置付けられたときの三次元空間における細長い部材(940)の一部分の位置を示す。第2のナビゲーションセンサアセンブリ(962b)は各々、1つ又は2つ以上のアクティブ電流位置(ACL)電極を含んでもよい。いくつかの変形形態では、第1及び第2のナビゲーションセンサアセンブリ(962a、962b)は、フレキシブルプリント回路基板(PCB)として集合的に構成されてもよい。ほんの一例として、ナビゲーションセンサアセンブリ(962a、962b)は、2022年1月26日に出願された「Flexible Sensor Assembly for ENT Instrument」と題する米国特許出願第17/584,693号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)、及び/又は、2021年12月10日に出願された、「Electrical Paths Along Flexible Section of Deflectable Sheath」と題する米国特許第17,547,517号(その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる)の教示のうちの少なくともいくつかに従って構成され、動作可能であってもよい。
【0158】
図13A、
図13B、
図13C、及び
図13Dに示すように、ガイドワイヤ(904)の遠位部分は、様々な姿勢をとるように構成されている。例えば、ガイドワイヤ(904)の遠位部分は、拡張器(302)のルーメン(312、328)を通したガイドワイヤ(904)の遠位部分の前進を容易にするためなど、概ね真っ直ぐな姿勢(
図13A)をとるように構成されてもよい。ガイドワイヤ(904)の遠位部分はまた、ガイドワイヤ先端部材(950)の遠位先端部(954)が近位に向くように、ガイドワイヤ(904)の遠位部分が後方に曲がる、ほぼJ字形の姿勢(
図13B)をとるように構成されてもよい。加えて、又は代替的に、ガイドワイヤ(904)の遠位部分は、ガイドワイヤ(904)の遠位先端部(954)が遠位に向くように、ガイドワイヤ(904)の遠位部分が螺旋状になるほぼ投げ縄状の姿勢(
図13C)をとるように構成されてもよい。場合によっては、ガイドワイヤ(904)の遠位部分は、ガイドワイヤ(904)の遠位部分が交互に上方及び下方に屈曲する概ね波状の姿勢(
図13D)をとるように構成されてもよい。
【0159】
ガイドワイヤ(904)の遠位部分は、ガイドワイヤ先端部材(950)の遠位先端部(954)が、開口部(O)を通るガイドワイヤ(904)の不注意な過剰前進などに起因して、心房中隔(S)を通り過ぎる心臓(H)の壁又は他の構造に衝突することに応答して、
図13Aに示される直線姿勢から、
図13Bに示されるJ字形姿勢、
図13Cに示される投げ縄状姿勢、又は
図13Dに示される波状姿勢のうちのいずれか1つ又は2つ以上に遷移するように構成され得る。この点に関して、ガイドワイヤ(904)の直線姿勢からJ字形姿勢、投げ縄状姿勢、又は波状姿勢のいずれかへのそのような遷移は、遠位先端部(954)が心房中隔(S)を通過する心臓(H)の壁又は他の構造を損傷するリスクを更に低減し得ることが理解されよう。加えて、又は代替的に、ガイドワイヤ(904)の遠位部分のこのような遷移は、ガイドワイヤ(904)の遠位部分が左心房内でアンカーとして機能することを可能にし、その結果、1つ又は2つ以上の追加の器具(例えば、カテーテルアセンブリ(100)のカテーテルなど)がガイドワイヤ(904)を越えて、開口部(O)を通って、左心房内に遠位に前進することができる。ナビゲーションセンサアセンブリ(962a、962b)から受信した位置関連信号によって生成された位置データは、コンソール(12)のプロセッサによって処理されて、ガイドワイヤ(904)の遠位部分が、例えば、直線姿勢、J字形姿勢、投げ縄状姿勢、又は波状姿勢であるかどうかを判定し、及び/又はガイドワイヤ(904)の遠位部分及び/又はガイドワイヤ先端部材(950)が患者(P)内のどこに位置するかを操作者に示すための視覚的表示を操作者に提供することができる。
【0160】
H.一対の同軸先端部材を有するガイドワイヤの実施例
場合によっては、拡張器とは独立して組織に双極電気エネルギーを印加するように動作可能な一対の同軸の先端部材を有するガイドワイヤを提供することが望ましい場合がある。
図14は、そのような構成を有し、ガイドワイヤ(304)の代わりに器具(300)に組み込まれ得るガイドワイヤ(1004)の別の実施例の遠位部分を示す。ガイドワイヤ(1004)は、下記に述べる点を除き前述のガイドワイヤ(304)と同様であってもよい。この点に関して、本実施例のガイドワイヤ(1004)は、遠位端部(図示せず)まで延在する細長い部材(1040)を含む。細長い部材(1040)は、例えば、シャフト又はコイルを含んでもよい。細長い部材(1040)がコイルを含む場合、コイルは、遠位端部に対して固定され、コイルが引張応力下に置かれたときにコイルが伸長するのを防止し得るコアワイヤ(図示せず)の周りに巻き付けられてもよい。細長い部材(1040)は、拡張器(302)のルーメン(312、328)を通って挿入されるようにサイズ決定される。したがって、拡張器(302)は、ガイドワイヤ(1004)の一対のガイドワイヤ先端部材(1050a、1050b)を中隔(S)の標的穿刺位置に対して位置決めするのを補助するために使用され得る。ガイドワイヤ先端部材(1050a、1050b)は、各ガイドワイヤ先端部材(1050a、1050b)が、本明細書に説明されるように、単極電極又は双極電極として機能し得るように、導電性材料から形成されてもよい。
【0161】
示される実施例では、ガイドワイヤ先端部材(1050a、1050b)間に半径方向にある細長い部材(1040)の部分などの細長い部材(1040)の少なくとも遠位部分は、ガイドワイヤ先端部材(1050a、1050b)を互いから電気的に絶縁するために、プラスチックなどの非導電性(例えば、絶縁性)材料を含む。この点に関して、本実施例の各ガイドワイヤ先端部材(1050a、1050b)は、本体(1052a、1052b)を含む。各本体(1052a、1052b)は、各本体(1052a、1052b)の遠位領域が組織との接触のために露出されるように、細長い部材(1040)の遠位端部にしっかりと固定されている。第2のガイドワイヤ先端部材(1050b)は、細長い部材(1040)の内部に受容されており、一方、第1のガイドワイヤ先端部材(1050a)は、細長い部材(1040)の外部の周囲に位置付けられている。示されるように、本体(1052a、1052b)は各々、互いに同軸である円形断面形状を有する。
【0162】
ガイドワイヤ先端部材(1050a、1050b)は各々、細長い部材(1040)に沿って延在するそれぞれのワイヤ(図示せず)を介して発電機(306)と電気的に結合されてもよく、それにより、ガイドワイヤ先端部材(1050a、1050b)は、例えば、一方のガイドワイヤ先端部材(1050a、1050b)がアクティブ電極として機能し、他方のガイドワイヤ先端部材(1050a、1050b)が組織をアブレーションするための戻り電極として機能して、中隔(S)の組織に双極電気エネルギーを印加して組織をアブレーションするように動作可能であってもよい。このようにして、ガイドワイヤ(1004)は、拡張器先端部材(320)が省略され得るように、拡張器(302)とは独立して開口部(O)を形成することが可能であり得る。
【0163】
V.組み合わせの実施例
以下の実施例は、本明細書の教示を組み合わせる又は適用することができる様々な非網羅的な方法に関する。以下の実施例は、本出願又は本出願のその後の出願において任意の時点で提示され得る特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことを理解されたい。一切の権利放棄が意図されていない。以下の実施例は、単に例示的な目的で提供されているにすぎない。本明細書の様々な教示は、他の多くの方法で構成及び適用され得ることが企図される。また、いくつかの変形例では、以下の実施例において言及される特定の特徴を省略し得ることも企図される。したがって、以下に言及される態様又は特徴のいずれも、本発明者ら又は本発明者らの権利相続人によって後にそのように明示的に示されていない限り、重要であるとみなされるべきではない。本出願又は本出願に関連する後続の出願において提示される特許請求の範囲が、以下に言及されるもの以外の追加の特徴を含む場合、それらの追加の特徴は、特許性に関するいかなる理由で追加されたものとみなされるべきではない。
【0164】
装置であって、(a)本体アセンブリと、(b)本体アセンブリから遠位に延在するシャフトであって、シャフトが、遠位端部を含む、シャフトと、(c)シャフトの遠位端部に固定された少なくとも1つの先端部材であって、少なくとも1つの先端部材及びシャフトの遠位端部が、ヒト対象の心臓の腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されており、少なくとも1つの先端部材が、(i)非外傷性遠位先端部であって、非外傷性遠位先端部が、組織を通る開口部を形成するために組織に電気エネルギーを送達するように構成されている、非外傷性遠位先端部と、(ii)非外傷性遠位先端部に隣接する外部拡張表面であって、外部拡張表面が、非外傷性遠位先端部によって形成された開口部を拡大するように構成されている、外部拡張表面と、を含む、少なくとも1つの先端部材と、を備える。
【0165】
(実施例2)
非外傷性遠位先端部及び外部拡張表面が一緒になってドーム形状を画定する、実施例1に記載の装置。
【0166】
(実施例3)
外部拡張表面が、非外傷性遠位先端部に向かって半径方向内向きに湾曲している、又はテーパ状になっているのうちの少なくとも1つである、実施例1又は2に記載の装置。
【0167】
(実施例4)
少なくとも1つの先端部材が、シャフトの遠位端部の単一の角のある側に位置付けられている、実施例1~3のいずれか1つに記載の装置。
【0168】
(実施例5)
少なくとも1つの先端部材が、少なくとも2つの先端部材を含み、少なくとも2つの先端部材が、双極電気エネルギーを組織に送達するために互いに協働するように動作可能である、実施例1~4のいずれか1つに記載の装置。
【0169】
(実施例6)
少なくとも2つの先端部材が、シャフトの遠位端部のそれぞれの角のある側に互いに隣接して位置付けられている、実施例5に記載の装置。
【0170】
(実施例7)
少なくとも2つの先端部材が、互いに同軸に位置付けられている、実施例5に記載の装置。
【0171】
(実施例8)
少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリを更に備え、少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリが、シャフトに固定されている、実施例1~7のいずれか1つに記載の装置。
【0172】
(実施例9)
少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリが、電磁コイル又はアクティブ電流位置電極のうちの少なくとも1つを含む、実施例8に記載の装置。
【0173】
(実施例10)
少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリは、少なくとも1つのフレキシブルプリント回路基板を含む、実施例8に記載の装置。
【0174】
(実施例11)
いくつかの実施形態では、シャフトは、第1のルーメンを更に含み、第1のルーメンは、ガイドワイヤを摺動可能に受容するように構成されている、実施例1~10のいずれか1つに記載の装置。
【0175】
(実施例12)
少なくとも1つの先端部材は、第1のルーメンと同軸の第2のルーメンを含み、第2のルーメンは、ガイドワイヤを摺動可能に受容するように構成されている、実施例11に記載の装置。
【0176】
(実施例13)
少なくとも1つの先端部材が、第1のルーメンから電気的に絶縁されている、実施例11又は12に記載の装置。
【0177】
(実施例14)
器具であって、(a)実施例11~13のいずれか1つに記載の装置と、(b)第1のルーメン内に摺動可能に受容されるガイドワイヤと、を備える、器具。
【0178】
(実施例15)
ガイドワイヤは、少なくとも1つの先端部材と協働して、双極電気エネルギーを組織に送達するように動作可能である、実施例14に記載の器具。
【0179】
(実施例16)
装置であって、(a)医療デバイスをそれに沿って遠位に方向付けるように構成された細長い部材であって、細長い部材が、遠位端部を含む、細長い部材と、(b)細長い部材の遠位端部に固定された少なくとも1つの先端部材であって、少なくとも1つの先端部材及び細長い部材の遠位端部が、ヒト対象の心臓の腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されており、少なくとも1つの先端部材が、非外傷性遠位先端部であって、非外傷性遠位先端部が、組織壁を通る開口部を形成するように構成されており、非外傷性遠位先端部が、非外傷性遠位先端部が組織壁を通る開口部を形成すると、電気エネルギーを組織壁に送達するように動作可能な少なくとも1つの電極を含む、非外傷性遠位先端部を含む、少なくとも1つの先端部材と、を備える、装置。
【0180】
(実施例17)
少なくとも1つの先端部材は、互いに同軸に位置付けられた少なくとも2つの先端部材を含み、少なくとも2つの先端部材は、双極電気エネルギーを組織に送達するために互いに協働するように動作可能である、実施例16に記載の装置。
【0181】
(実施例18)
装置は、少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリを更に備え、少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリは、遠位端部又はその近傍で細長い部材に固定されている、実施例16又は17に記載の装置。
【0182】
(実施例19)
アセンブリであって、(a)実施例16~18のいずれか1つに記載の装置と、(b)拡張器とを備え、拡張器は、(i)ルーメンであって、装置がルーメン内に摺動可能に受容されている、ルーメンと、(ii)外部拡張表面であって、開口部を拡大するように構成されている、外部拡張表面と、を含む、アセンブリ。
【0183】
(実施例20)
装置がガイドワイヤを形成する、実施例19に記載のアセンブリ。
【0184】
(実施例21)
拡張器が、少なくとも1つの電極を更に含み、拡張器の少なくとも1つの電極が、組織壁に双極電気エネルギーを印加するために、非外傷性遠位先端部の少なくとも電極と協働するように構成されている、実施例19又は20に記載のアセンブリ。
【0185】
(実施例22)
装置であって、(a)経中隔穿刺装置であって、経中隔穿刺装置が、(i)遠位端部を含む細長い部材と、(ii)細長い部材の遠位端部に固定された少なくとも1つの先端部材であって、少なくとも1つの先端部材及び細長い部材の遠位端部が、ヒト対象の心臓の腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されており、少なくとも1つの先端部材が、非外傷性遠位先端部を含む、経中隔穿刺装置と、(b)拡張器であって、拡張器が、(i)本体アセンブリと、(ii)本体アセンブリから遠位に延在するシャフトであって、シャフトが、(A)遠位端部と、(B)ルーメンと、を含み、経中隔穿刺装置が、ルーメン内に摺動可能に受容されている、シャフトと、(iii)シャフトの遠位端部に固定された少なくとも1つの拡張器先端部材であって、少なくとも1つの拡張器先端部材及びシャフトの遠位端部が、腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されており、少なくとも1つの先端部材が、(A)非外傷性遠位拡張器先端部であって、非外傷性遠位拡張器先端部が、非外傷性遠位先端部と協働して、組織を通る開口部を形成するための双極電気エネルギーを組織に送達するように動作可能である、非外傷性遠位拡張器先端部と、(B)非外傷性遠位拡張器先端部に隣接する外部拡張表面であって、外部拡張表面が開口部を拡大するように構成されている、外部拡張面と、を含む、少なくとも1つの拡張器先端部材と、を含む、拡張器と、を備える、装置。
【0186】
(実施例23)
装置は、1つ又は2つ以上のナビゲーションセンサを更に含み、1つ又は2つ以上のナビゲーションセンサの各ナビゲーションセンサは、三次元空間におけるナビゲーションセンサのリアルタイム位置を示す信号を生成するように構成されている、実施例22に記載の装置。
【0187】
(実施例24)
1つ又は2つ以上のナビゲーションセンサは、経中隔穿刺装置の遠位端部又はその近傍に位置付けられたナビゲーションセンサを含む、実施例23に記載の装置。
【0188】
(実施例25)
1つ又は2つ以上のナビゲーションセンサは、拡張器のシャフトの遠位端部又はその近傍に位置付けられたナビゲーションセンサを含む、実施例23又は24に記載の装置。
【0189】
(実施例26)
方法であって、(a)細長い部材を患者の心臓の腔内に挿入することであって、細長い部材が遠位端部を含む、挿入することと、(b)細長い部材の遠位端部を心臓の中隔壁に対して係合させることと、(c)心臓の中隔壁を通る開口部を形成することであって、心臓の中隔壁を通る開口部を形成することが、遠位端部を介して心臓の中隔壁に電気エネルギーを印加することを含む、形成することと、(d)心臓の中隔壁を通る形成された開口部を拡大することであって、心臓の中隔壁を通る形成された開口部を拡大することが、拡張表面を用いて中隔壁を圧迫することを含む、拡大することと、を含む。
【0190】
(実施例27)
細長い部材が拡張器を含む、実施例26に記載の方法。
【0191】
(実施例28)
細長い部材がガイドワイヤを含む、実施例26又は27に記載の方法。
【0192】
(実施例29)
遠位端部がドーム形状を含む、実施例26~28のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
(実施例30)
遠位端部が、拡張表面を画定するテーパを含む、実施例26~29のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
(実施例31)
遠位端部が第1の電極を含み、遠位端部を介して心臓の中隔壁に電気エネルギーを印加することが、第1の電極を介して電気エネルギーを印加することを含む、実施例26~30のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
(実施例32)
遠位端部が第2の電極を含み、遠位端部を介して心臓の中隔壁に電気エネルギーを印加することが、第1及び第2の電極を介して双極電気エネルギーを印加することを含む、実施例31に記載の方法。
【0196】
(実施例33)
細長い部材が、細長い部材内に摺動可能に配置されたガイドワイヤを含み、方法が、細長い部材の遠位端部を心臓の中隔壁に対して係合させながら、ガイドワイヤの遠位端部を心臓の中隔壁に対して係合させることを更に含む、実施例31又は32に記載の方法。
【0197】
(実施例34)
ガイドワイヤの遠位端部は、第2の電極、第2の電極を含み、遠位端部を介して心臓の中隔壁に双極電気エネルギーを印加することが、第1及び第2の電極を介して電気エネルギーを印加することを含む、実施例33に記載の方法。
【0198】
(実施例35)
1つ又は2つ以上のナビゲーションセンサを介して、細長い部材の遠位端部のリアルタイム位置を追跡することを更に含む、実施例26~34のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
(実施例36)
拡張器であって、(a)シャフトであって、(i)第1の部分及び第2の部分を含む遠位端部と、(ii)ルーメンと、を含むシャフトと、(b)シャフトの第1の部分に固定された拡張器先端部材であって、シャフトの第2の部分の遠位端部が拡張器先端部材の遠位端部の近位にあり、拡張器先端部材及びシャフトの第2の部分が中隔組織接触のための角度付きプロファイルを呈する、拡張器先端部材と、を備える、拡張器。
【0200】
(実施例37)
拡張器先端部材は、導電性材料で構築されており、シャフトの第2の部分は、非導電性材料で構築されている、実施例36に記載の拡張器。
【0201】
(実施例38)
拡張器先端部材は、ほぼ半円形の断面形状を有し、シャフトの第2の部分は、ほぼ平坦な半円形の断面形状を有する、実施例36又は37に記載の拡張器。
【0202】
(実施例39)
ルーメン内に受容されるように構成されたガイドワイヤを更に備え、ガイドワイヤは、導電性材料で構築される遠位先端部を含む、実施例36~38のいずれか1つに記載の拡張器。
【0203】
(実施例40)
ガイドワイヤの遠位先端部及び遠位先端部材は、双極電極として構成されており、遠位先端部及び遠位先端部材の一方は、アクティブ電極として構成されており、遠位先端部及び遠位先端部材の他方は、受信電極として構成されている、実施例439に記載の拡張器。
【0204】
(実施例41)
拡張器はナビゲーションセンサを含む、実施例36に記載の拡張器。
【0205】
(実施例42)
ナビゲーションセンサは、シャフトの外側表面を円周方向に取り囲むフレキシブルプリント回路基板を含む、実施例41に記載の拡張器。
【0206】
(実施例43)
拡張器であって、(a)シャフトであって、(i)第1の部分及び第2の部分を含む遠位端部と、(ii)ルーメンと、を含むシャフトと、(b)シャフトの第1の部分に固定された第1の拡張器先端部材と、シャフトの第2の部分に固定された第2の拡張器先端部材と、を備え、第2の拡張器先端部材の遠位端部は、拡張器先端部材の遠位端部の近位にあり、第1及び第2の拡張器先端部材は、中隔組織接触のための角度付きプロファイルを呈する、拡張器。
【0207】
(実施例44)
第1及び第2の拡張器先端部材は、導電性材料で構築されている、実施例43に記載の拡張器。
【0208】
(実施例45)
第1及び第2の拡張器先端部材は、間隙によって分離されている、実施例43又は44に記載の拡張器。
【0209】
(実施例46)
第2の拡張器先端部材の遠位端部は、第1の拡張器先端部材の遠位端部の近位にある、実施例43~45のいずれか1つに記載の拡張器。
【0210】
(実施例47)
第2の拡張器先端部材は、シャフトによって画定される長手方向軸に沿って所定の長さだけ第1の拡張器先端部材よりも短い、実施例43~46のいずれか1つに記載の拡張器。
【0211】
(実施例48)
ルーメンは、シャフトによって画定される長手方向軸に対して軸上にある、実施例43~47のいずれか1つに記載の拡張器。
【0212】
(実施例49)
ルーメンは、シャフトによって画定される長手方向軸に対して軸外にある、実施例43~47のいずれか1つに記載の拡張器
【0213】
VI.その他
限定するものではないが、RF及びIRE(単極若しくは双極高電圧DCパルスを含む)を含めて、様々なモードのエネルギー印加非外傷性経中隔穿刺が可能であり、又は、必要性、利用可能性/及び/若しくは選好に応じて、組み合わせが用いられ得ることを理解されたい。したがって、本明細書における「エネルギー」及び「発生器」への言及は、本明細書の特許請求の範囲によって決定される範囲を有する全てのそのようなモダリティを包含すると理解されるものとする。
【0214】
本明細書に記載の器具のいずれも、処置前及び/又は処置後に洗浄及び滅菌することができる。1つの滅菌技術では、デバイスをプラスチック製又はTYVEK製のバックのような密閉及び封止された容器に入れる。次に、容器及びデバイスは、ガンマ線、X線、又は高エネルギー電子線など、容器を透過することができる放射線場に置かれ得る。放射線は、デバイス上及び容器内の細菌を死滅させ得る。次に、滅菌されたデバイスは、後の使用のために、滅菌容器内に保管され得る。デバイスはまた、限定されないが、ベータ線又はガンマ線、エチレンオキシド、過酸化水素、過酢酸、及びガスプラズマ又は水蒸気を伴う又は伴わない気相滅菌を含む当技術分野で既知の任意の他の技術を使用して滅菌されてもよい。
【0215】
本明細書に記載の実施例のいずれも、上述のものに加えて又はそれらに代わって、様々な他の特徴を含み得ることを理解されたい。単なる例として、本明細書に記載の実施例のいずれも、参照により本明細書に組み込まれている様々な参考文献のいずれかに開示されている様々な特徴のうちの1つ又は2つ以上を含むことができる。
【0216】
本明細書に記載の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上は、本明細書に記載の他の教示、表現、実施形態、実施例などのうちのいずれか1つ又は2つ以上と組み合わせることができることを理解されたい。したがって、上記の教示、表現、実施形態、実施例などは、互いに対して単独で考慮されるべきではない。本明細書の教示を組み合わせることができる様々な好適な方法は、本明細書の教示に鑑みて当業者には容易に明らかであろう。このような修正例及び変形例は、特許請求の範囲に含まれることが意図される。
【0217】
本明細書に参照により組み込まれると言及されるあらゆる特許、刊行物、又は他の開示内容の全部又は一部は、組み込まれる内容が本開示に記載されている既存の定義、見解、又は他の開示内容と矛盾しない範囲でのみ、本明細書に組み込まれることを理解されたい。それ自体、また必要な範囲で、本明細書に明瞭に記載される開示は、参照により本明細書に組み込まれるあらゆる矛盾する記載に優先するものとする。参照により本明細書に組み込まれると言及されているが、現行の定義、見解、又は本明細書に記載される他の開示内容と矛盾するあらゆる内容、又はそれらの部分は、組み込まれた内容と現行の開示内容との間に矛盾が生じない範囲においてのみ、組み込まれるものとする。更に、図面は、必ずしも原寸に比例しているわけではない。
【0218】
本発明の様々な変形例について図示し説明してきたが、本明細書に記載の方法及びシステムの更なる適応は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な修正によって達成することができる。そのような可能な修正のいくつかについて述べたが、その他の修正は当業者には明らかであろう。例えば、上述の実施例、変形例、幾何学的形状、材料、寸法、比率、ステップなどは例示的なものであり、必須ではない。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に関して考慮されるべきであり、本明細書及び図面に示され記載された構造及び操作の詳細に限定されないことが理解される。
【0219】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
(a)本体アセンブリと、
(b)前記本体アセンブリから遠位に延在するシャフトであって、前記シャフトが、遠位端部を含む、シャフトと、
(c)前記シャフトの前記遠位端部に固定された少なくとも1つの先端部材であって、前記少なくとも1つの先端部材及び前記シャフトの前記遠位端部が、ヒト対象の心臓の腔内に収まるようにサイズ決定及び構成されており、前記少なくとも1つの先端部材が、
(i)非外傷性遠位先端部であって、前記非外傷性遠位先端部が、組織を通る開口部を形成するために前記組織に電気エネルギーを送達するように構成されている、非外傷性遠位先端部と、
(ii)前記非外傷性遠位先端部に隣接する外部拡張表面であって、前記外部拡張表面が、前記非外傷性遠位先端部によって形成された前記開口部を拡大するように構成されている、外部拡張表面と、を含む、少なくとも1つの先端部材と、
を備える、装置。
(2) 前記非外傷性遠位先端部及び前記外部拡張表面が一緒になってドーム形状を画定する、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記外部拡張表面が、前記非外傷性遠位先端部に向かって半径方向内向きに湾曲している、又はテーパ状になっている、のうちの少なくとも1つである、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記少なくとも1つの先端部材が、前記シャフトの前記遠位端部の単一の角のある側に位置付けられている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記少なくとも1つの先端部材が、少なくとも2つの先端部材を含み、前記少なくとも2つの先端部材が、双極電気エネルギーを前記組織に送達するために互いに協働するように動作可能である、実施態様1に記載の装置。
【0220】
(6) 前記少なくとも2つの先端部材が、前記シャフトの前記遠位端部のそれぞれの角のある側に互いに隣接して位置付けられている、実施態様5に記載の装置。
(7) 前記少なくとも2つの先端部材が、互いに同軸に位置付けられている、実施態様5に記載の装置。
(8) 少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリを更に備え、前記少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリが、前記シャフトに固定されている、実施態様1に記載の装置。
(9) 前記少なくとも1つのナビゲーションセンサアセンブリが、電磁コイル又はアクティブ電流位置電極のうちの少なくとも1つを含む、実施態様8に記載の装置。
(10) アセンブリであって、
(a)遠位端部を含む細長い部材と、
(b)前記細長い部材の前記遠位端部に固定された少なくとも1つの先端部材であって、前記少なくとも1つの先端部材が、非外傷性遠位先端部を含み、組織壁を通る開口部を形成するように構成され、前記非外傷性遠位先端部が、電気エネルギーを前記組織壁に送達して、前記組織壁を通る開口部を形成するように動作可能な少なくとも1つの電極を含む、少なくとも1つの先端部材と、
(c)拡張器であって、
(i)ルーメンであって、装置が前記ルーメン内に摺動可能に受容されている、ルーメンと、
(ii)外部拡張表面であって、前記外部拡張表面が前記開口部を拡大するように構成されている、外部拡張表面と、を含む、拡張器と、
を備える、アセンブリ。
【0221】
(11) 前記装置がガイドワイヤを形成する、実施態様10に記載のアセンブリ。
(12) 前記拡張器が、少なくとも1つの電極を更に含み、前記拡張器の前記少なくとも1つの電極が、前記組織壁に双極電気エネルギーを印加するために、前記非外傷性遠位先端部の前記少なくとも電極と協働するように構成されている、実施態様10に記載のアセンブリ。
(13) 方法であって、
(a)細長い部材を患者の心臓の腔内に挿入することであって、前記細長い部材が遠位端部を含む、挿入することと、
(b)前記細長い部材の前記遠位端部を前記心臓の中隔壁に対して係合させることと、
(c)前記心臓の前記中隔壁を通る開口部を形成することであって、前記心臓の前記中隔壁を通る前記開口部を前記形成することが、前記遠位端部を介して前記心臓の前記中隔壁に電気エネルギーを印加することを含む、形成することと、
(d)前記心臓の前記中隔壁を通る形成された前記開口部を拡大することであって、前記心臓の前記中隔壁を通る形成された前記開口部を前記拡大することが、拡張表面を用いて前記中隔壁を圧迫することを含む、拡大することと、
を含む、方法。
(14) 前記細長い部材が拡張器を含む、実施態様13に記載の方法。
(15) 前記細長い部材がガイドワイヤを含む、実施態様13に記載の方法。
【0222】
(16) 前記遠位端部がドーム形状を含む、実施態様13に記載の方法。
(17) 前記遠位端部が、前記拡張表面を画定するテーパを含む、実施態様13に記載の方法。
(18) 前記遠位端部が第1の電極を含み、前記遠位端部を介して前記心臓の前記中隔壁に電気エネルギーを前記印加することが、前記第1の電極を介して電気エネルギーを印加することを含む、実施態様13に記載の方法。
(19) 前記遠位端部が第2の電極を含み、前記遠位端部を介して前記心臓の前記中隔壁に電気エネルギーを前記印加することが、前記第1の電極及び前記第2の電極を介して双極電気エネルギーを印加することを含む、実施態様18に記載の方法。
(20) 前記細長い部材が、前記細長い部材内に摺動可能に配置されたガイドワイヤを含み、前記方法が、前記細長い部材の前記遠位端部を前記心臓の前記中隔壁に対して係合させながら、前記ガイドワイヤの遠位端部を前記心臓の前記中隔壁に対して係合させることを更に含む、実施態様18に記載の方法。
【外国語明細書】