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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074416
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】熱交換器及びこれを備える空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20240524BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20240524BHJP
   F28F 9/013 20060101ALI20240524BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
F28F1/32 Y
F28D1/047 B
F28F9/013 B
F24F1/0007 361B
F24F13/22 222
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185532
(22)【出願日】2022-11-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-24
(71)【出願人】
【識別番号】316011466
【氏名又は名称】日立ジョンソンコントロールズ空調株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 明哲
【テーマコード(参考)】
3L050
3L103
【Fターム(参考)】
3L050BA05
3L050BD05
3L050BF00
3L103AA22
3L103BB42
3L103CC17
3L103CC18
3L103CC22
3L103DD06
3L103DD33
(57)【要約】
【課題】凝縮水による冷媒管の腐食を抑制可能な熱交換器及びこれを備える空気調和機を提供する。
【解決手段】熱交換器1は、冷媒が内部を流れる冷媒管2と、冷媒管2に流れる冷媒と空気とを熱交換させるための複数のフィンと、複数のフィンを挟むように配設されると共に冷媒管2が挿通される複数の挿通孔41を有する一対のサイドプレート4と、を備え、一対のサイドプレート4のうち少なくとも一方は、冷媒管2及び/又はサイドプレート4の表面で生じた凝縮水を下方に位置する冷媒管2と接続しない経路で誘導する複数の誘導路42を備え、誘導路42は、挿通孔41側の一端421が挿通孔41の下部と実質的に接続されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が内部を流れる冷媒管と、
前記冷媒管に流れる冷媒と空気とを熱交換させるための複数のフィンと、
前記複数のフィンを挟むように配設されると共に前記冷媒管が挿通される複数の挿通孔を有する一対のサイドプレートと、を備え、
前記一対のサイドプレートのうち少なくとも一方は、前記冷媒管及び/又は前記サイドプレートの表面で生じた凝縮水を下方に位置する冷媒管と接続しない経路で誘導する複数の誘導路を備え、
前記誘導路は、前記挿通孔側の一端が前記挿通孔の下部と実質的に接続されている、熱交換器。
【請求項2】
前記サイドプレートは、前記複数の誘導路と接続されると共に前記サイドプレートの上下方向に沿って延びる排水路を備える、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記誘導路は、溝である、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記サイドプレートは、前記挿通孔の周囲に配設されると共に前記凝縮水を前記誘導路に誘導する周囲誘導路を備える、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の熱交換器を備える、空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換器及びこれを備える空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の熱交換器は、冷媒が内部を流れる複数の冷媒管と、複数のフィンと、複数のフィンを挟むように設けられると共に複数の冷媒管が挿通される一対のサイドプレートと、を備えている(例えば、特許文献1)。空気調和機の冷房運転時において、熱交換器の表面には、錆成分を含む凝縮水が生じる。凝縮水が冷媒管に堆積すると、冷媒管に腐食が生じ、内部の冷媒が漏れる恐れがある。
【0003】
特許文献1には、凝縮水の上下方向の流れを遮断する水ガイドが設けられた熱交換器が開示されている。これにより、凝縮水が冷媒管に流れ落ちて堆積することを回避し、冷媒管の腐食が抑制される。
【0004】
ところで、冷媒管に生じた又は付着した凝縮水は、冷媒管の下部に溜まっていき、ある一定量を超えると下方に流れ落ちる。しかしながら、冷媒管の下部に溜まった凝縮水やその凝縮水が蒸発した後に残留した錆成分によって、冷媒管が腐食される恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-14283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、凝縮水による冷媒管の腐食を抑制可能な熱交換器及びこれを備える空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の熱交換器は、冷媒が内部を流れる冷媒管と、前記冷媒管に流れる冷媒と空気とを熱交換させるための複数のフィンと、前記複数のフィンを挟むように配設されると共に前記冷媒管が挿通される複数の挿通孔を有する一対のサイドプレートと、を備え、前記一対のサイドプレートのうち少なくとも一方は、前記冷媒管及び/又は前記サイドプレートの表面で生じた凝縮水を下方に位置する冷媒管と接続しない経路で誘導する複数の誘導路を備え、前記誘導路は、前記挿通孔側の一端が前記挿通孔の下部と実質的に接続されている。
【0008】
斯かる構成によれば、誘導路と挿通孔とを実質的に接続することによって、冷媒管の下部に流れた(生じた)凝縮水が誘導路に沿って流れる。これにより、凝縮水が冷媒管の下部に溜まることを抑制でき、凝縮水による冷媒管の腐食を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る熱交換器を備える空気調和機の構成図である。
図2図2は、同実施形態に係る熱交換器の斜視図である。
図3図3は、同実施形態に係る熱交換器の要部を示す正面図である。
図4図4は、同実施形態に係る熱交換器の側面図である。
図5図5は、図4のV領域の拡大図である。
図6図6は、同実施形態に係る熱交換器の変形例を示す図5に相当する図である。
図7図7は、同実施形態に係る熱交換器の変形例を示す側面図である。
図8図8は、第2実施形態に係る熱交換器の側面図である。
図9図9は、同実施形態に係る熱交換器のサイドプレートの変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[空気調和機]
まずは、本開示の空気調和機100の一例について、図1を参照しながら説明する。図1は、空気調和機100の冷凍サイクルを示す図である。なお、各図(図2図9も同様)において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面間での寸法比も、必ずしも一致していない。空気調和機100は、例えば、ルームエアコン、パッケージエアコン、ビル用マルチエアコンなどである。
【0011】
図1に示すように、空気調和機100は、冷房運転や暖房運転等の空調を行う機器である。空気調和機100は、熱を供給する室外機101と、当該熱を用いて冷暖房を行う室内機108と、を備えている。室外機101と室内機108とは、接続配管112a,112bによって接続されている。室外機101及び室内機108の台数はそれぞれ1台ずつには限定されず、複数台でもよい。
【0012】
室外機101は、圧縮機102と、四方弁103と、室外熱交換器104と、室外ファンモータ105と、室外ファン106と、絞り装置107と、を備えている。室内機108は、室内熱交換器109と、室内ファンモータ110と、室内ファン111と、を備えている。
【0013】
冷房運転時の動作について図1を参照しながら説明する。冷房運転時において、冷媒は、図1の実線矢印の向きに流れる。
【0014】
圧縮機102から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、四方弁103を経由したのちに室外熱交換器104に流れ、室外熱交換器104で外気に放熱することで凝縮し、高圧の液冷媒となる。この液冷媒は、絞り装置107の作用で減圧され、低温低圧の気液二相状態となり、接続配管112aを通じて室内機108へ流れる。室内機108に入った気液二相冷媒は、室内熱交換器109で室内空気の熱を吸熱することで蒸発し、これにより室内冷房が実現される。室内機108で蒸発したガス冷媒は、接続配管112bを通じて、室外機101へ戻り、四方弁103を通って再び圧縮機102で圧縮されることになる。これが冷房運転中の冷凍サイクルである。
【0015】
暖房運転時の動作について図1を参照しながら説明する。冷媒流路は、四方弁103により冷房運転時から切り替えられる。暖房運転時において、冷媒は、図1の破線矢印の向きに流れる。
【0016】
圧縮機102から吐出された高温・高圧のガス冷媒は、四方弁103及び接続配管112bを通って室内機108に流れる。室内機108に入った高温のガス冷媒は、室内熱交換器109で室内空気に放熱することで室内暖房が実現される。このとき、ガス冷媒は凝縮し、高圧の液冷媒となる。その後、高圧の液冷媒は、接続配管112aを通って室外機101に流れる。室外機101に入った高圧の液冷媒は、絞り装置107の作用で減圧され、低温低圧の気液二相状態となり、室外熱交換器104に流れ、室外空気の熱を吸熱することで蒸発し、ガス冷媒となる。このガス冷媒は、四方弁103を通った後、圧縮機102で再び圧縮される。これが暖房運転中の冷凍サイクルである。
【0017】
このように、室外熱交換器104及び室内熱交換器109内の冷媒の流れの向きは、冷房運転時と暖房運転時で逆向きになる。冷媒としては、フロン系冷媒(R32やR1234yfなど)、炭化水素系冷媒、二酸化炭素冷媒やそれらの混合冷媒などが挙げられる。
【0018】
[熱交換器]
(第1実施形態)
次に、空気調和機100の熱交換器1の第1実施形態について、図2図5を参照しながら説明する。図2は、空気調和機100の熱交換器1の外観を示す斜視図であり、図3は、熱交換器1の要部を示す正面図である。本実施形態に係る熱交換器1は、クロスフィンチューブ型の熱交換器であるが、これに限られない。熱交換器1は、図1に示す室外熱交換器104や室内熱交換器109に対応する。
【0019】
図2及び図3に示すように、熱交換器1は、冷媒が内部を流れる冷媒管2と、冷媒管2に流れる冷媒と空気とを熱交換させるための複数のフィン3と、複数のフィン3を挟むように配設される一対のサイドプレート4,4と、を備えている。
【0020】
冷媒管2は、金属(合金を含む)によって形成されている。本実施形態において、冷媒管2の材質は、アルミニウムであるが、これに限られない。例えば、冷媒管2の材質は、銅や鉄などであってもよい。本実施形態において、冷媒管2は、円管であるが、これに限られない。例えば、冷媒管2は、扁平管などであってもよい。冷媒管2は、複数配設されているが、これに限られない。例えば、冷媒管2は、U字状に複数反転させた1つの管であってもよい。
【0021】
冷媒管2は、伝熱部21(図3参照)と、2つの伝熱部21,21を連結する連結部22と、を備えている。伝熱部21は、直線状に形成されている。複数の冷媒管2の伝熱部21は、それぞれの延伸方向が実質的に平行となるように左右方向に沿って配設されている。伝熱部21は、フィン3及びサイドプレート4と実質的に直交している。連結部22は、湾曲形状に形成されている。
【0022】
フィン3は、金属(合金を含む)によって形成された長方形状の板である。本実施形態において、フィン3の材質は、アルミニウムであるが、これに限られない。例えば、フィン3の材質は、銅や鉄などであってもよい。フィン3は、その長手方向が上下方向に沿う姿勢で配設されている。複数のフィン3は、互いに対面する姿勢で立設され、互いに一定の間隔をおいて配設されている。
【0023】
フィン3は、冷媒管2の伝熱部21が挿通される複数のフィン側挿通孔(不図示)を備えている。複数のフィン側挿通孔は、フィン3の上下方向に沿って、互いに一定の間隔をおいて配設されている。本実施形態において、フィン側挿通孔は、フィン3の前後方向(短手方向)に2列配設されているが、これに限られない。例えば、フィン側挿通孔は、フィン3の前後方向に1列又は3列以上配設されていてもよい。フィン3は、冷媒管2の拡管部(不図示)とカシメ接合されているが、これに限られない。例えば、フィン3は、冷媒管2とロウ付けによって接合されていてもよい。
【0024】
熱交換器1では、冷媒管2の内部を冷媒が流れ、複数のフィン3の間を後方に向かって空気が流れる。熱交換器1は、冷媒管2を流れる冷媒を、フィン3の間を通過する空気と熱交換させる。冷媒管2を流れる冷媒は、空気から吸熱又は空気へ放熱する。
【0025】
サイドプレート4は、金属(合金を含む)によって形成されている。本実施形態において、サイドプレート4の材質は、アルミニウムであるが、これに限られない。例えば、サイドプレート4の材質は、銅や鉄などであってもよい。サイドプレート4は、冷媒管2やフィン3と同じ材質であってもよく、それらと異なる材質であってもよい。
【0026】
図2及び図3において、平板状のサイドプレート4を例示しているが、これに限られない。例えば、サイドプレート4は、平面視においてL字状や略U字状に形成されていてもよい。一対のサイドプレート4,4は、それぞれ同じ形状であってもよく、それぞれ異なる形状であってもよい。サイドプレート4は、側面視においてフィン3と実質的に同じ形状であるが、これに限られない。例えば、サイドプレート4は、側面視においてフィン3よりも上下方向の長さが短くてもよい。
【0027】
サイドプレート4は、その長手方向が上下方向に沿う姿勢で配設されている。サイドプレート4の長手方向は、フィン3の長手方向と実質的に同じである。一対のサイドプレート4,4は、左右方向から複数のフィン3を挟むように配設されている。サイドプレート4は、冷媒管2の拡管部(不図示)とカシメ接合されているが、これに限られない。例えば、サイドプレート4は、冷媒管2とロウ付けによって接合されていてもよい。
【0028】
図4は、熱交換器1の側面図である。図4において、冷媒管2は、二点鎖線で示している。図5は、図4のV領域の拡大図である。図4及び図5に示すように、サイドプレート4は、冷媒管2の伝熱部21又は連結部22(図3参照)が挿通される複数のサイドプレート側挿通孔41(以下、単に「挿通孔41」という)を備えている。挿通孔41は、冷媒管2に沿った形状に形成されている。本実施形態において、挿通孔41は、円形状であるが、これに限られない。
【0029】
複数の挿通孔41は、サイドプレート4の上下方向(長手方向)に沿って、互いに一定の間隔をおいて配設されている。本実施形態において、挿通孔41は、サイドプレート4の前後方向(短手方向)に第1孔列C1と第2孔列C2との2列に配設されているが、これに限られない。例えば、挿通孔41は、サイドプレート4の短手方向に1列のみ又は3列以上配設されていてもよい。第1孔列C1に配設された挿通孔41は、第2孔列C2に配設された挿通孔41と上下方向(長手方向)においてずれた位置に配設されている。挿通孔41の配設数は、フィン側挿通孔の配設数と同じであるが、これに限られない。例えば、挿通孔41の配設数は、フィン側挿通孔の配設数よりも少なくてもよい。この場合、冷媒管2の一部は、挿通孔41に挿通されていない。
【0030】
一対のサイドプレート4のうち少なくとも一方は、冷媒管2及び/又はサイドプレート4の表面で生じた凝縮水(結露水)を下方に位置する冷媒管2と接続しない経路で誘導する誘導路42を備えている。これにより、上方に位置する冷媒管2から下方に位置する冷媒管2へ凝縮水が流れることを抑制できる。本実施形態において、誘導路42は、両方のサイドプレート4に配設されているが、これに限られない。
【0031】
誘導路42は、サイドプレート4の表面に配設されている。本実施形態において、誘導路42は、サイドプレート4の外面4aに配設されているが、これに限られない。例えば、誘導路42は、サイドプレート4の内面4b(図3参照)に配設されていてもよく、サイドプレート4の外面4a及び内面4bの両面に配設されていてもよい。
【0032】
誘導路42は、凝縮水を誘導可能な形状(材質)である。本実施形態において、誘導路42(後述する周囲誘導部423を除く)は、溝であるが、これに限られない。例えば、誘導路42は、スリットであってもよく、疎水性塗料を線状に塗布したものであってもよい。誘導路42は、直線状に延びているが、これに限られない。例えば、誘導路42は、曲線状に延びていてもよい。
【0033】
誘導路42は、挿通孔41側の一端421(図5参照)が挿通孔41の下部と実質的に接続されている。挿通孔41の下部は、挿通孔41の下半分をいう。実質的に接続とは、誘導路42と挿通孔41とが接続された状態のみならず、誘導路42の一端421と挿通孔41とが若干離れた状態(例えば、1mm以下)も含む。誘導路42と挿通孔41とを実質的に接続することによって、冷媒管2の下部に流れた(生じた)凝縮水が誘導路42に沿って流れる。これにより、凝縮水が冷媒管2の下部に溜まることを抑制でき、凝縮水による冷媒管2の腐食を抑制できる。誘導路42の他端422は、他の挿通孔41と非接続である。
【0034】
誘導路42と挿通孔41との実質的な接続位置は、上下方向(長手方向)において挿通孔41の下端41aから挿通孔41の径Dm1の25%以下の位置であることが好ましく、15%以下の位置であることがより好ましく、10%以下の位置であることがさらに好ましい。
【0035】
挿通孔41が円形状の場合、挿通孔41の中心と下端41aとを結ぶ線と、誘導路42と挿通孔41との実質的な接続位置と挿通孔41の中心とを結ぶ線と、の角度は、±60度以下であることが好ましく、±45度以下であることがより好ましく、±30度以下であることが更に好ましい。
【0036】
誘導路42の幅や溝深さは、挿通孔41(冷媒管2)の径や誘導路42の配設位置などによって適宜設定される。
【0037】
誘導路42は、下方向に向かって前後方向に傾斜している。本実施形態において、誘導路42は、下方向に向かってサイドプレート4の前後方向の内側(中央側)に傾斜しているが、これに限られない。
【0038】
第1孔列C1の挿通孔41に配設された誘導路42を第1誘導路42aとし、第2孔列C2の挿通孔41に配設された誘導路42を第2誘導路42bとする。本実施形態において、第1誘導路42aは、第2誘導路42bと傾斜方向が異なる。具体的には、第1誘導路42aは、下方向に向かって前方向に傾斜しているのに対し、第2誘導路42bは、下方向に向かって後方向に傾斜している。なお、第1誘導路42a及び第2誘導路42bは、上記に限られず、それぞれ実質的に同じ方向に傾斜していてもよい。また、各第1誘導路42aの傾斜角度は、それぞれ実質的に同じ角度であってもよく、それぞれ異なる角度であってもよい。第2誘導路42bについても同様である。
【0039】
誘導路42の他端422は、平面視において冷媒管2と重ならない位置に配設されている。本実施形態において、誘導路42の他端422は、第1孔列C1の挿通孔41と第2孔列C2の挿通孔41との間に配設されているが、これに限られない。誘導路42の他端422は、例えば、サイドプレート4の前後方向(短手方向)の実質的に中央に配設される。
【0040】
誘導路42は、1つの挿通孔41(各列の下端に配設された挿通孔41を除く)に対して1つ以上配設されている。本実施形態において、誘導路42は、1つの挿通孔41に対して1つ配設されているが、これに限られない、例えば、誘導路42は、1つの挿通孔41に対して複数配設されていてもよい。
【0041】
サイドプレート4は、複数の誘導路42と接続されると共に上下方向に沿って延びる排水路43を備えていることが好ましい。これにより、誘導路42によって誘導された凝縮水を排水路43に沿って流すことができる。その結果、誘導路42によって誘導された凝縮水が冷媒管2に付着することをさらに抑制できる。本実施形態において、排水路43は、溝であるが、これに限られない。例えば、排水路43は、スリットであってもよく、疎水性塗料を線状に塗布したものであってもよい。排水路43は、直線状に延びているが、これに限られない。例えば、排水路43は、曲線状に延びていてもよい。
【0042】
排水路43は、サイドプレート4の表面に配設されている。本実施形態において、排水路43は、サイドプレート4の外面4aに配設されているが、これに限られない。例えば、排水路43は、サイドプレート4の内面4bに配設されていてもよく、サイドプレート4の外面4a及び内面4bの両面に配設されていてもよい。
【0043】
排水路43は、サイドプレート4の下端まで延びていることが好ましい。排水路43の幅や溝深さは、誘導路42の幅、溝深さや配設位置などによって適宜設定される。
【0044】
排水路43は、第1孔列C1の挿通孔41と第2孔列C2の挿通孔41との間に配設されている。本実施形態において、排水路43は、サイドプレート4の前後方向(短手方向)の実質的に中央に配設されている。排水路43は1つであり、1つの排水路43に全ての誘導路42が接続されている。なお、排水路43は、上記に限られない。
【0045】
(変形例1)
図6は、熱交換器1の変形例を示す図5に相当する図である。図6に示すように、サイドプレート4は、挿通孔41の周囲に配設されると共に凝縮水を誘導路42に誘導する周囲誘導路46を備えていてもよい。周囲誘導路46を設けることにより、凝縮水が周囲誘導路46に沿って流れる。これにより、凝縮水が冷媒管2に付着することを抑制できる。周囲誘導路46は、挿通孔41に沿って延びている。図6においては、周囲誘導路46は、円環状に形成されているが、これに限られない。例えば、周囲誘導路46は、C字状に形成されていてもよい。
【0046】
図6に示す例において、周囲誘導路46は、挿通孔41に設けた面取りであるが、これに限られない。例えば、周囲誘導路46は、溝や疎水性塗料を線状に塗布したものであってもよい。周囲誘導路46は、挿通孔41に含まれる。即ち、周囲誘導路46に実質的に接続された誘導路42は、挿通孔41に実質的に接続されている。周囲誘導路46が溝などの場合、周囲誘導路46と挿通孔41との隙間は、1mm以下であることが好ましい。
【0047】
(変形例2)
図7は、熱交換器1の変形例を示す側面図である。図7において、冷媒管2は、二点鎖線で示している。図7に示すように、サイドプレート4は、排水路43を備えていない。その場合、第1誘導路42a及び第2誘導路42bは、平面視においてそれぞれ重なるように延びていることが好ましい。これにより、誘導路42から流れ落ちた凝縮水が冷媒管2に付着することを抑制できる。また、第1誘導路42aは、第2誘導路42bと接続されていてもよく、第2誘導路42bは、第1誘導路42aと接続されていてもよい。
【0048】
(変形例3)
サイドプレート4が排水路43を備えていない場合において、誘導路42は、サイドプレート4の前端部又は後端部まで延びていてもよい。これにより、誘導路42から流れ落ちた凝縮水がサイドプレート4の端部(エッジ)に沿って流れ、凝縮水が冷媒管2に付着することを抑制できる。
【0049】
(第2実施形態)
次に、熱交換器1の第2実施形態について、図8及び図9を参照しながら説明する。第1実施形態と同様の構成については、説明を省略し、主に相違点を説明する。第1実施形態で既に説明した構成には、同じ符号を付している。図8は、第2実施形態に係る熱交換器1の側面図である。図8において、冷媒管2は、二点鎖線で示している。
【0050】
図8に示すように、誘導路42は、下方向に向かってサイドプレート4の前後方向の外側(端部側)に傾斜している。具体的には、第1誘導路42aは、下方向に向かって後方向に傾斜し、第2誘導路42bは、下方向に向かって前方向に傾斜している。
【0051】
排水路43は、挿通孔41よりもサイドプレート4の前後方向の外側に配設されている。排水路43は、複数配設されている。排水路43は、排水路43と隣接する挿通孔41から延びる誘導路42と接続されている。本実施形態において、排水路43は、2つ配設されているが、これに限られない。
【0052】
後側に配設された排水路43を第1排水路43aとし、前側に配設された排水路43を第2排水路43bとする。第1誘導路42aは、第1排水路43aと接続され、第2誘導路42bは、第2排水路43bと接続されている。本実施形態において、第1排水路43aの上下方向の長さは、第2排水路43bの上下方向の長さと異なっているが、これに限られない。例えば、第1排水路43aの上下方向の長さは、第2排水路43bの上下方向の長さと実質的に同じであってもよい。
【0053】
図9は、L字状に形成されたサイドプレート4の要部を示す正面図である。図9に示すように、サイドプレート4は、他の部材にネジなどで取り付けるための貫通孔44を備えている。サイドプレート4は、貫通孔44と実質的に接続されると共に冷媒管2に付着しないように凝縮水を誘導する第3誘導路45を備えていることが好ましい。これにより、ネジの下部に流れた(生じた)凝縮水が第3誘導路45に沿って流れ、ネジの下部に凝縮水が溜まることを抑制できる。その結果、凝縮水によるネジの腐食を抑制できる。
【0054】
第3誘導路45は、サイドプレート4の左右方向又は前後方向の端部や排水路43(図8参照)などに接続される。図9において、貫通孔44及び第3誘導路45は、挿通孔41と異なる面に配設されているが、これに限られない。例えば、貫通孔44及び第3誘導路45は、挿通孔41と同じ面に配設されていてもよい。
【0055】
[1]
以上のように、本開示の熱交換器1は、冷媒が内部を流れる冷媒管2と、冷媒管2に流れる冷媒と空気とを熱交換させるための複数のフィン3と、複数のフィン3を挟むように配設されると共に冷媒管2が挿通される複数の挿通孔41を有する一対のサイドプレート4,4と、を備え、一対のサイドプレート4,4のうち少なくとも一方は、冷媒管2及び/又はサイドプレート4の表面で生じた凝縮水を下方に位置する冷媒管2と接続しない経路で誘導する複数の誘導路42を備え、誘導路42は、挿通孔41側の一端421が挿通孔41の下部と実質的に接続されている。
【0056】
斯かる構成によれば、誘導路42と挿通孔41とを実質的に接続することによって、冷媒管2の下部に流れた(生じた)凝縮水が誘導路42に沿って流れる。これにより、凝縮水が冷媒管2の下部に溜まることを抑制でき、凝縮水による冷媒管2の腐食を抑制できる。
【0057】
[2]
上記[1]の熱交換器1において、サイドプレート4は、複数の誘導路42と接続されると共にサイドプレート4の上下方向に沿って延びる排水路43を備える、という構成が好ましい。
【0058】
斯かる構成によれば、誘導路42によって誘導された凝縮水を排水路43に沿って流すことができる。これにより、誘導路42によって誘導された凝縮水が冷媒管2に付着することをさらに抑制できる。
【0059】
[3]
上記[1]又は[2]の熱交換器1において、誘導路42は、溝である、という構成が好ましい。
【0060】
斯かる構成によれば、凝縮水が誘導路42から逸れることを抑制できる。これにより、凝縮水が冷媒管2に付着することをさらに抑制できる。
【0061】
[4]
上記[1]~[3]の何れか1つの熱交換器1において、サイドプレート4は、挿通孔41の周囲に配設されると共に凝縮水を誘導路42に誘導する周囲誘導路46を備える、という構成が好ましい。
【0062】
斯かる構成によれば、挿通孔41の周囲で生じた凝縮水が周囲誘導路46に沿って流れる。これにより、凝縮水が冷媒管2に付着することを抑制できる。
【0063】
本開示の空気調和機100は、上記[1]~[4]の何れか1つの熱交換器1を備える。
【0064】
斯かる構成によれば、凝縮水が冷媒管2の下部に溜まることを抑制でき、凝縮水による冷媒管2の腐食を抑制できる。
【0065】
なお、熱交換器1及び空気調和機100は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、熱交換器1及び空気調和機100は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記の各種の変形例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
1…熱交換器、2…冷媒管、21…伝熱部、22…連結部、3…フィン、4…サイドプレート、4a…外面、4b…内面、41…挿通孔(サイドプレート側挿通孔)、41a…下端、42…誘導路、42a…第1誘導路、42b…第2誘導路、43…排水路、43a…第1排水路、43b…第2排水路、44…貫通孔、45…第3誘導路、46…周囲誘導路、C1…第1孔列、C2…第2孔列、100…空気調和機、101…室外機、102…圧縮機、103…四方弁、104…室外熱交換器、105…室外ファンモータ、106…室外ファン、107…絞り装置、108…室内機、109…室内熱交換器、110…室内ファンモータ、111…室内ファン、112a…接続配管、112b…接続配管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-01-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が内部を流れる冷媒管と、
前記冷媒管に流れる冷媒と空気とを熱交換させるための複数のフィンと、
前記複数のフィンを挟むように配設されると共に前記冷媒管が挿通される複数の挿通孔を有する一対のサイドプレートと、を備え、
前記一対のサイドプレートのうち少なくとも一方は、前記冷媒管及び/又は前記サイドプレートの表面で生じた凝縮水を下方に位置する冷媒管と接続しない経路で誘導する複数の誘導路を備え、
前記誘導路は、前記挿通孔側の一端が前記挿通孔の下部と実質的に接続され、
前記一対のサイドプレートのうち少なくとも一方は、他の部材に取り付けるための貫通孔と、前記貫通孔と実質的に接続されると共に前記凝縮水を下方に位置する冷媒管に付着しないように誘導する第3誘導路と、を備える、熱交換器。
【請求項2】
前記サイドプレートは、前記複数の誘導路と接続されると共に前記サイドプレートの上下方向に沿って延びる排水路を備える、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記誘導路は、溝である、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記サイドプレートは、前記挿通孔の周囲に配設されると共に前記凝縮水を前記誘導路に誘導する周囲誘導路を備える、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の熱交換器を備える、空気調和機。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が内部を流れる冷媒管と、
前記冷媒管に流れる冷媒と空気とを熱交換させるための複数のフィンと、
前記複数のフィンを挟むように配設されると共に前記冷媒管が挿通される複数の挿通孔を有する一対のサイドプレートと、を備え、
前記一対のサイドプレートのうち少なくとも一方は、前記冷媒管及び/又は前記サイドプレートの表面で生じた凝縮水を下方に位置する冷媒管と接続しない経路で誘導する複数の誘導路を備え、
前記誘導路は、前記挿通孔側の一端が前記挿通孔の下部と実質的に接続され、
前記一対のサイドプレートのうち少なくとも一方は、前記挿通孔とは別個の孔であり、且つ、他の部材に取り付けるための貫通孔と、前記貫通孔と実質的に接続されると共に前記凝縮水を下方に位置する冷媒管に付着しないように誘導する第3誘導路と、を備える、熱交換器。
【請求項2】
前記サイドプレートは、前記複数の誘導路と接続されると共に前記サイドプレートの上下方向に沿って延びる排水路を備える、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記誘導路は、溝である、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項4】
前記サイドプレートは、前記挿通孔の周囲に配設されると共に前記凝縮水を前記誘導路に誘導する周囲誘導路を備える、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の熱交換器を備える、空気調和機。