(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074429
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】横型加工機及び横型加工システム
(51)【国際特許分類】
B23Q 1/01 20060101AFI20240524BHJP
B23B 39/14 20060101ALI20240524BHJP
B23Q 7/00 20060101ALI20240524BHJP
B23Q 39/04 20060101ALN20240524BHJP
【FI】
B23Q1/01 W
B23Q1/01 F
B23Q1/01 H
B23B39/14
B23Q7/00 E
B23Q39/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185557
(22)【出願日】2022-11-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テレスコ
(71)【出願人】
【識別番号】000132161
【氏名又は名称】株式会社スギノマシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000165
【氏名又は名称】弁理士法人グローバル・アイピー東京
(72)【発明者】
【氏名】晴▲まき▼ 大樹
(72)【発明者】
【氏名】大谷 英義
(72)【発明者】
【氏名】永川 諒
【テーマコード(参考)】
3C033
3C036
3C042
3C048
【Fターム(参考)】
3C033AA04
3C033BB03
3C036GG07
3C042RA02
3C048BB01
3C048BB03
3C048BC03
3C048BC08
3C048DD06
(57)【要約】
【課題】X軸、Y軸、Z軸とワークとの平行度を高めやすく、軽量な横型加工機を提供する。
【解決手段】横型加工機10は、X方向に延びる上ビーム13及び下ビーム15と、X方向に延びる上Xガイド211と、X方向に延びる下Xガイド212と、上Xガイド211に配置され、X方向に移動する第1連結ブロック19d1と、下Xガイド212に配置され、X方向に移動する第2連結ブロック19d2と、第1連結ブロック19d1と第2連結ブロック19d2とを接続する第1コラム部19e1と、を有する第1移動コラム191と、Y方向に延びる一対の第1Yガイド271と、Y方向に移動する第1Yテーブル251と、第1Yテーブル251に着脱自在に配置され、Z方向に移動する第1ラム35b1と、第1ラム35b1に軸支される第1主軸35c1とを有する第1加工ユニット351と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向に延びる上ビーム及び下ビームと、
前記上ビームの背面に配置され、前記X方向に延びる上Xガイドと、
前記下ビームの背面に配置され、前記X方向に延びる下Xガイドと、
前記X方向に直交するY方向に延びる第1移動コラムであって、
前記上Xガイドに配置され、前記X方向に移動する第1連結ブロックと、
前記下Xガイドに配置され、前記X方向に移動する第2連結ブロックと、
前記第1連結ブロックと前記第2連結ブロックとを接続する第1コラム部と、
を有する第1移動コラムと、
前記第1移動コラムに配置され、前記Y方向に延びる一対の第1Yガイドと、
前記一対の第1Yガイドに配置され、前記Y方向に移動する第1Yテーブルと、
前記第1Yテーブルに着脱自在に配置される第1加工ユニットであって、
前記X方向及び前記Y方向に直交するZ方向に移動する第1ラムと、
前記第1ラムに軸支される第1主軸と、
を有する第1加工ユニットと、
を有する横型加工機。
【請求項2】
前記第1コラム部は、前記Z方向に広がり、
前記一対の第1Yガイドは、前記Z方向に並んで配置される、
請求項1に記載の横型加工機。
【請求項3】
前記Y方向に延び、前記第1移動コラムよりも前記X方向の第1側に配置される第2移動コラムであって、
前記上Xガイドに配置され、前記X方向に移動する第3連結ブロックと、
前記下Xガイドに配置され、前記X方向に移動する第4連結ブロックと、
前記第3連結ブロックと前記第4連結ブロックとを接続する第2コラム部と、
を有する第2移動コラムと、
前記第2移動コラムの前記第1側と反対である第2側に配置され、前記Y方向に延びる一対の第2Yガイドと、
前記一対の第2Yガイドに配置され、前記Y方向に移動する第2Yテーブルと、
前記第2移動コラムの前記第2側に、前記第2Yテーブルに着脱自在に配置される第2加工ユニットであって、
前記Z方向に移動する第2ラムと、
前記第2ラムに軸支される第2主軸と、
を有する第2加工ユニットと、
を更に有し、
前記第1加工ユニットは、前記第1移動コラムの前記第1側に配置される、
請求項1又は2に記載の横型加工機。
【請求項4】
前記一対のYガイドに配置され、前記Y方向に移動する第3Yテーブルと、
前記第3Yテーブルに着脱自在に配置される第3加工ユニットであって、
前記Z方向に移動する第3ラムと、
前記第3ラムに軸支される第3主軸と、
を有する第3加工ユニットと、
を更に有する、請求項1~3のいずれかに記載の横型加工機。
【請求項5】
前記一対の第2Yガイドに配置され、前記Y方向に移動する第4Yテーブルと、
前記第4Yテーブルに着脱自在に配置される第4加工ユニットであって、
前記Z方向に移動する第4ラムと、
前記第4ラムに軸支される第4主軸と、
を有する第4加工ユニットと、
を更に有する、請求項1~4のいずれかに記載の横型加工機。
【請求項6】
前記上ビーム及び前記下ビームに配置され、前記X方向及び前記Y方向に延びる伸縮カバーケースと、
前記Y方向に延びて、前記第1ラム及び前記第3ラムが貫通する第1Xボックスであって、前記伸縮カバーケース内を前記X方向に移動する第1Xボックスと、
前記第1ラムが貫通し、前記第1Xボックス内を前記Y方向に移動する第1Yボックスと、
前記伸縮カバーケースと前記第1Xボックスとの間に配置され、前記X方向に伸縮する複数のX伸縮カバーと、
前記第1Xボックスの端部と前記第1Yボックスとの間に配置され、前記Y方向に伸縮する複数の第1Y伸縮カバーと、
を更に有する、
請求項4又は5に記載の横型加工機。
【請求項7】
前記Y方向に延びて、前記第2ラム及び前記第4ラムが貫通する第2Xボックスであって、前記伸縮カバーケース内を前記X方向に移動する第2Xボックスと、
前記第2ラムが貫通し、前記第2Xボックス内を前記Y方向に移動する第2Yボックスと、
前記第2Xボックスの内部であって、前記第2Xボックスの端部と前記第4Yボックスとの間に配置され、前記Y方向に伸縮する複数の第2Y伸縮カバーと、
を更に有し、
前記複数のX伸縮カバーの一部は、前記伸縮カバーケースと前記第2Xボックスとの間と、前記第1Xボックスと前記第2Xボックスとの間に配置される、
請求項6に記載の横型加工機。
【請求項8】
前記第3ラムが貫通し、前記第1Xボックス内を前記Y方向に移動する第3Yボックスを更に有し。
前記複数の第1Y伸縮カバーの一部は、前記第1Yボックスと前記第3Yボックスとの間と、前記第1Xボックスの端部と前記第3Yボックスとの間に配置される、
請求項6又は7に記載の横型加工機。
【請求項9】
前記第4ラムが貫通し、前記第2Xボックス内を前記Y方向に移動する第4Yボックスを更に有し、
前記複数の第2Y伸縮カバーの一部は、前記第2Yボックスと前記第4Yボックスとの間と、前記第2Xボックスの端部と前記第4Yボックスとの間に配置される、
請求項6~8のいずれかに記載の横型加工機。
【請求項10】
前記上ビーム及び前記下ビームを支持し、トラス構造を有する支持フレームであって、前記第1加工ユニットが露出可能な、上下方向に延びる開口部を有する、支持フレームを更に有する、
請求項1~9のいずれかに記載の横型加工機。
【請求項11】
前記上ビームに配置され、前記X方向に延びる上Xはすばラックと、
第1X出力軸を有し、前記第1連結ブロックに配置される第1Xモータと、
前記第1X出力軸に締結され、前記上Xはすばラックとかみ合う第1Xはすば歯車と、
前記下ビームに配置され、前記X方向に延びる下Xはすばラックと、
第2X出力軸を有し、前記第2連結ブロックに配置される第2Xモータと、
前記第2X出力軸に締結され、前記下Xはすばラックとかみ合う第2Xはすば歯車と、
前記第1X出力軸の回転と、前記第2X出力軸の回転を同期させる制御装置と、
を更に有する、請求項1~10のいずれかに記載の横型加工機。
【請求項12】
前記第1移動コラムに配置され、前記Y方向に延びる第1Yはすばラックと、
第1Y出力軸を有し、前記第1Yテーブルに配置される第1Yモータと、
前記第1Y出力軸に締結され、前記第1Yはすばラックとかみ合う第1Yはすば歯車と、
第2Y出力軸を有し、前記第1Yテーブルに配置される第2Yモータと、
前記第1Y出力軸に締結され、前記第1Yはすばラックとかみ合う第2Yはすば歯車と、
を更に有する、請求項1~11のいずれかに記載の横型加工機。
【請求項13】
請求項1~12のいずれかに記載の横型加工機と、
ワークが装着されるイケールであって、
前記上ビームと接続される上端部と、
前記下ビームと接続される下端部と、
を有するイケールと、
を有する、横型加工システム。
【請求項14】
請求項1~12のいずれかに記載の横型加工機と、
ワークが設置され、前記Z方向に移動するパレットと、
前記上ビーム及び前記下ビームに接続されるパレットクランプと、
を有する横型加工システムであって、
前記第1加工ユニットまたは前記第2加工ユニットによって前記ワークを加工するときに、前記パレットクランプが前記パレットを固定する、
横型加工システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、横型加工機及び横型加工システムに関する。
【背景技術】
【0002】
左壁、右壁、上壁、下壁及び後面壁を有する箱型のフレームと、両端が左右壁に固設されて上壁に固定されたスライドウェーと、両端が左右壁に固設されて下壁に固定されたスライドウェーと、両端が上下のスライドウェーに固設されたコラムと、を有する横型ボール盤が知られている(実開昭51―162397号公報。以下、特許文献1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の横型ボール盤は、X軸(左右軸)、Y軸(上下軸)及びZ軸(前後軸)と、ワークとの平行度を高めにくい。
【0004】
本発明は、X軸、Y軸、Z軸とワークとの平行度を高めやすく、軽量な横型加工機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の観点は、
X方向に延びる上ビーム及び下ビームと、
前記上ビームの背面に配置され、前記X方向に延びる上Xガイドと、
前記下ビームの背面に配置され、前記X方向に延びる下Xガイドと、
前記X方向に直交するY方向に延びる第1移動コラムであって、
前記上Xガイドに配置され、前記X方向に移動する第1連結ブロックと、
前記下Xガイドに配置され、前記X方向に移動する第2連結ブロックと、
前記第1連結ブロックと前記第2連結ブロックとを接続する第1コラム部と、
を有する第1移動コラムと、
前記第1移動コラムに配置され、前記Y方向に延びる一対の第1Yガイドと、
前記一対の第1Yガイドに配置され、前記Y方向に移動する第1Yテーブルと、
前記第1Yテーブルに着脱自在に配置される第1加工ユニットであって、
前記X方向及び前記Y方向に直交するZ方向に移動する第1ラムと、
前記第1ラムに軸支される第1主軸と、
を有する第1加工ユニットと、
を有する横型加工機である。
【0006】
横型加工機は、
第3X出力軸を有し、第3連結ブロックに配置される第3Xモータと、
第3X出力軸に締結され、上Xはすばラックとかみ合う第3Xはすば歯車と、
第4X出力軸を有し、第4連結ブロックに配置される第4Xモータと、
第4X出力軸に締結され、下Xはすばラックとかみ合う第4Xはすば歯車と、
を有しても良い。
制御装置は、第3X出力軸の回転と、第4X出力軸の回転を同期しても良い。
【0007】
横型加工機は、
第2移動コラムに配置され、Y方向に延びる第2Yはすばラックと、
第2Y出力軸を有し、第2Yテーブルに配置される第2Yモータと、
第2Y出力軸に締結され、第2Yはすばラックとかみ合う第2Yはすば歯車と、
を有しても良い。
横型加工機は、
第4Y出力軸を有し、第4Yテーブルに配置される第4Yモータと、
第4Y出力軸に締結され、第2Yはすばラックとかみ合う第4Yはすば歯車と、
を有しても良い。
【0008】
第3Yテーブルは、第1移動コラムの第1側に配置されても良い。第3加工ユニットは、第1移動コラムの第1側に配置されても良い。第4Yテーブルは、第2移動コラムの第2側に配置されても良い。第4加工ユニットは、第2移動コラムの第2側に配置されても良い。
【0009】
第1コラム部は、第1主柱と、第1主柱の第2側に配置された第1副柱と、第1主柱に接続され、第1主柱のZ方向側方に配置された第1側柱と、を有して良い。第1連結ブロックは、第1主柱と第1副柱との上端を接続する。第2連結ブロックは、第1主柱と第1副柱の下端を接続する。一対の第1Yガイドは、主柱および側柱にそれぞれ配置される。第1Yはすばラックは、第1主柱又は第1側柱に配置される。
【0010】
第1コラム部は、上ビーム及び第1連結ブロックの下方に配置される。第1コラム部のZ方向の幅は、上ビーム及び第1連結ブロックのZ方向の幅と実質的に同一である。
第1コラム部は、下ビーム及び第2連結ブロックの上方に配置される。第1コラム部のZ方向の幅は、下ビーム及び第2連結ブロックのZ方向の幅と実質的に同一である。
【0011】
上Xガイドや上Xはすばラックは、主軸の先端方向から見て、上ビームの背面に配置されて良い。第1主柱や、第1副柱や、第1連結ブロックや、第2連結ブロックは、主軸の先端方向から見て、上ビームの背面に配置されて良い。下Xガイドや下Xはすばラックは、主軸の先端方向から見て、下ビームの背面に配置されて良い。第1主柱や、第1副柱や、第1連結ブロックや、第2連結ブロックは、主軸の先端方向から見て、下ビームの背面に配置されて良い。第1側柱は、上ビームの下方に配置されて良い。
【0012】
第2コラム部は、第2主柱と、第2主柱の第1側に配置された第2副柱と、第2主柱に接続され、第2主柱のZ方向側方に配置された第2側柱と、を有して良い。第3連結ブロックは、第2主柱と第2副柱との上端を接続する。第4連結ブロックは、第2主柱と第2副柱の下端を接続する。一対の第2Yガイドは、第2主柱および第2側柱にそれぞれ配置される。第2Yはすばラックは、第2主柱又は第2側柱に配置される。
【0013】
第2コラム部は、上ビーム及び第3連結ブロックの下方に配置される。第2コラム部のZ方向の幅は、上ビーム及び第3連結ブロックのZ方向の幅と実質的に同一である。
第2コラム部は、下ビーム及び第4連結ブロックの上方に配置される。第2コラム部のZ方向の幅は、下ビーム及び第4連結ブロックのZ方向の幅と実質的に同一である。
【0014】
下Xガイドや下Xはすばラックは、主軸の先端方向から見て、上ビームの背面に配置されて良い。第2主柱や、第2副柱や、第3連結ブロックや、第4連結ブロックは、主軸の先端方向から見て、上ビームの背面に配置されて良い。第2主柱や、第2副柱や、第2連結ブロックや、第3連結ブロックや、第4連結ブロックは、主軸の先端方向から見て、下ビームの背面に配置されて良い。第2側柱は、上ビームの下方に配置されて良い。
【0015】
伸縮カバーは、例えば、蛇腹、テレスコカバー、巻き取りカバーである。
【0016】
以下、移動コラムと、移動コラムに配置される、Yガイドや、Yテーブルや、Yはすばラックや、Yモータや、加工ユニットを含めて加工機群という。加工機群は、一体としてX方向に移動する。一つ又は複数の加工機群が配置されて良い。3つ以上の加工機群が配置されても良い。
【0017】
開口部の高さは、第1コラムや第2コラムの高さと実質的に同一で良い。また、開口部の高さは、第1Yガイドや、第2Yガイドの高さと実質的に同一でも良い。開口部の幅は、第1加工ユニットや、第2加工ユニットや、第3加工ユニットや、第4加工ユニットや、第1Yテーブルや、第2Yテーブルや、第3Yテーブルや、第4Yテーブルの幅と実質的に同一であって良い。開口部の幅は、第1コラムや第2コラムの幅と実質的に同一でも良い。ここで、実質的に同一とは、先に列記した部材が取り外されたときに、通過できる程度に同一であることをいう。
第1移動コラムが開口部に露出するように移動したときに、第1加工ユニットや第1加工テーブルが開口部から露出しても良い。
第2移動コラムが開口部に露出するように移動したときに、第2加工ユニットや第2テーブルが開口部から露出しても良い。このとき、第4加工ユニットや第4テーブルが開口部から露出しても良い。
【発明の効果】
【0018】
本発明の横型加工機によれば、X軸、Y軸、Z軸とワークとの平行度を高めやすく、軽量化できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態1)
図1~
図6に示すように、本実施形態の横型加工機10は、支持フレーム11と、上ビーム13と、下ビーム15と、上Xガイド211と、下Xガイド212と、上Xラック(上Xはすばラック)231と、下Xラック(下Xはすばラック)232と、第1加工機群181と、第2加工機群182と、伸縮カバー17と、を有する。
以下、
図1の+X方向を右とし、-X方向を左とする。―Y方向を上とし、+Y方向を下とする。-Z方向を正面方向、+Z方向を背面方向とする。
【0021】
第1加工機群181は、第1コラム(移動コラム)191と、第1Xモータ241と、第1X歯車(Xはすば歯車)221と、第2Xモータ242と、第2X歯車(第2Xはすば歯車)222と、第1Yガイド271と、第1Yテーブル251と、第1Yラック(Yはすばラック)291と、第1Yモータ301と、第1Y歯車(Yはすば歯車)281と、第1加工ユニット351と、第3Yテーブル253と、第3Yモータ303と、第3加工ユニット353と、第3Yはすば歯車283と、を有する。第1加工ユニット351と、第3加工ユニット353は、第1コラム191の左側(第1側)に配置される。
【0022】
第2加工機群182は、第1加工機群181と実質的に同一である。第2加工機群182は、第1加工機群181とYZ平面について対称である。第2加工機群182は、第2コラム(移動コラム)192と、第3Xモータ243と、第3X歯車(第3Xはすば歯車)223と、第4Xモータ244と、第4X歯車(第4Xはすば歯車)224と、第2Yガイド272と、第2Yテーブル252と、第2Yラック(第2Yはすばラック)292と、第2Yモータ302と、第2Y歯車(第2Yはすば歯車)282と、第2加工ユニット352と、第4Yテーブル254と、第4Yモータ304と、第4Yはすば歯車284と、第4加工ユニット354と、を有する。第2加工機群182は、第1加工機群181の左側に配置される。第2加工ユニット352と、第4加工ユニット354は、第2コラム192の右側(第2側)に配置される。
なお、
図4~
図6において、同一の構造を有する部材の参照符号を併記している。
【0023】
第1加工ユニット351と、第2加工ユニット352と、第3加工ユニット353と、第4加工ユニット354は、実質的に同一である。第1加工ユニット351は、第1ケース35a1と、第1ラム35b1と、第1主軸35c1を有する。第2加工ユニット352は、第2ケース35a2と、第2ラム35b2と、第2主軸35c2を有する。第3加工ユニット353は、第3ケース35a3と、第3ラム35b3と、第3主軸35c3を有する。第4加工ユニット354は、第4ケース35a4と、第4ラム35b4と、第4主軸35c4を有する。
【0024】
図2に示すように、支持フレーム11は、一対の柱群11aと、連結梁11fと、開口部11gと、を有する。一対の柱群11aは、YZ平面に対称である。柱群11aは、一対の柱11bと、水平材11cと、端梁11eと、斜材11dと、を有する。支持フレーム11は、トラス構造を有する。背面から見て、端梁11eは、一対の柱11bの上下端を接続する。水平材11cは、一対の柱11bの間に左右に延びる。複数の水平材11cが配置されても良い。斜材11dは、端梁11eや水平材11cと、一対の柱11bとの対角の接続部をそれぞれ接続する。連結梁11fは、トラス構造で接続された一対の柱群11aの上下端をそれぞれ接続する。
【0025】
開口部11gは、一対の柱群11aと連結梁11fとで区画される。開口部11gには、水平材11cや斜材11dが配置されない。開口部11gは、上下方向に延びる。開口部11gの高さは、出来るだけ高いことが好ましい。例えば、開口部11gは、第1コラム191や第2コラム192と実質的に同一の高さを有する。開口部11gの幅は、第1加工機群181や第2加工機群182の幅に実質的に等しい。支持フレーム11を構成する各部材は、一体に構成されても良い。
【0026】
支持フレーム11の側面や、上面や、下面は、ラーメン構造でも良い。この場合、好ましくは、支持フレーム11の側面や、上面や、下面は、変形しにくいように、リブや板により補強される。
なお、支持フレーム11の側面や、上面や、下面は、トラス構造でも良い。
【0027】
図3、
図5に示すように、蛇腹カバー(伸縮カバー)17は、蛇腹ケース(伸縮カバーケース)17aと、第1Xボックス17b1と、第2Xボックス17b2と、第1Yボックス17c1と、第2Yボックス17c2と、第3Yボックス17c3と、第4Yボックス17c4と、X蛇腹(X伸縮カバー)17fと、Y蛇腹(Y伸縮カバー)17gと、を有する。
蛇腹ケース17aは、正面及び背面に大きな開口を有する。蛇腹ケース17aは、支持フレーム11や、上ビーム13や、下ビーム15に配置される。
【0028】
第1Xボックス17b1と第2Xボックス17b2は、蛇腹ケース17a内に配置され、Y方向に延びる。第1Xボックス17b1と、第2Xボックス17b2は、X方向に自在に移動する。
第1Yボックス17c1と、第3Yボックス17c3は、第1Xボックス17b1内をY方向に自在に移動する。第2Yボックス17c2と、第4Yボックス17c4は、第2Xボックス内をY方向に自在に移動する。第1~第4Yボックス17c1~17c4は、それぞれ第1~第4ラム通過穴17d1~17d4を有する。第1~第4ラム35b1~35b4は、第1~第4ラム通過穴17d1~17d4をそれぞれ貫通する。
【0029】
X蛇腹17fは、蛇腹ケース17aと、第1Xボックス17b1と、第2Xボックス17b2との間にそれぞれ配置される。X蛇腹17fは、X方向に伸縮する。
Y蛇腹17gは、第1Xボックス17b1と、第1Yボックス17c1と、第3Yボックス17c3との間に配置される。Y蛇腹17gは、Y方向に伸縮する。また、Y蛇腹17gは、第2Xボックス17b2と、第2Yボックス17c2と、第4Yボックス17c4との間に配置される。Y蛇腹17gは、Y方向に伸縮する。
【0030】
図1、
図3に示すように、上ビーム13は、支持フレーム11の上端部に固定される。上ビーム13は、X方向に延びる。上ビーム13は、上下方向に長い矩形断面を有する。
下ビーム15は、支持フレーム11の下端部に固定される。下ビーム15は、X方向に延びる。下ビーム15は、上下方向に長い矩形断面を有する。上ビーム13と下ビーム15は、前後方向において同じ位置に整列する。
【0031】
図4、
図5に示すように、上Xガイド211は、Xガイドレール21a1と、Xガイドブロック21b1を有する。Xガイドレール21a1は、X方向に延び、上ビーム13の背面上端部に固定される。Xガイドブロック21b1は、Xガイドレール21a1に案内されて、X方向に移動する。
下Xガイド212は、Xガイドレール21a2と、Xガイドブロック21b2を有する。Xガイドレール21a2は、X方向に延び、下ビーム15の背面下端部に固定される。Xガイドブロック21b2は、Xガイドレール21a2に案内されて、X方向に移動する。
【0032】
図4~
図6に示すように、第1コラム191は、第1コラム部19e1と、第1連結ブロック19d1と、第2連結ブロック19d2と、を有する。第1コラム部19e1は、第1主柱19a1と、第1副柱19b1と、第1側柱19c1と、を有する。第1コラム部19e1の断面は、前後(Z方向)に延びる。
第1主柱19a1は、矩形断面を有し、Y方向に延びる。
第1副柱19b1は、第1主柱19a1の+X方向(右側)に配置される。第1副柱19b1は、矩形断面を有し、Y方向に延びる。
【0033】
第2コラム192は、第2コラム部19e2と、第3連結ブロック19d3と、第4連結ブロック19d4と、を有する。第2コラム部19e2は、第2主柱19a2と、第2副柱19b2と、第2側柱19c2と、を有する。
第1コラム191と第2コラム192は、実質的に同一の構造を有する。
【0034】
第1連結ブロック19d1は、第1コラム191の上端部において、第1主柱19a1と第1副柱19b1を接続する。第1連結ブロック19d1は、矩形断面を有し、X方向に延びる。第1連結ブロック19d1は、第1主柱19a1から左側に突出する。第1連結ブロック19d1は、第1凹部19f1を有する。第1凹部19f1は、第1連結ブロック19d1の背面中央部に配置される。第1連結ブロック19d1は、Xガイドブロック21b1に締結される。
第2連結ブロック19d2は、第1コラム191の下端部において、第1主柱19a1と第1副柱19b1を接続する。第2連結ブロック19d2は、第2凹部19f2を有する。第2連結ブロック19d2は、第1連結ブロック19d1とZX平面について対称である。第2連結ブロック19d2は、Xガイドブロック21b2に締結される。
【0035】
図5に示すように、第1側柱19c1は、第1主柱19a1の正面側(-Z方向)に配置される。第1側柱19c1の上下端部は、第1主柱19a1と接続される。第1側柱19c1は、高さの中央部で第1主柱19a1と接続されても良い。第1側柱19c1と第1主柱19a1との間に、板やリブが貼られても良い。
図6に示すように、Y方向から見て、第1コラム191は、L字状である。第1主柱19a1と、第1副柱19b1と、第1連結ブロック19d1と、第2連結ブロック19d2は、上ビーム13や下ビーム15の背面に位置する。第1側柱19c1は、上ビーム13の下方、下ビーム15の上方に位置する。言い換えると、第1側柱19c1の前面が上ビーム13や下ビーム15の前面と実質的に一致するように、第1側柱19c1は、第1主柱19a1から前方に向けて張り出す。
【0036】
図4と
図5に示すように、上Xラック231は、上ビーム13の背面下端部に配置される。上Xラック231は、X方向に延びる。上Xラック231の歯面は、上方を向く。第1Xモータ241は、第1X出力軸24a1を有する。第1Xモータ241は、第1凹部19f1に配置される。第1X出力軸24a1は、第1連結ブロック19d1の前面に突出する。第1X歯車221は、第1X出力軸24a1に締結されて、上Xラック231に噛み合う。
【0037】
下Xラック232は、下ビーム15の背面上端部に配置される。下Xラック232は、X方向に延びる。下Xラック232の歯面は、下方を向く。第2Xモータ242は、第2X出力軸24a2を有する。第2Xモータ242は、第2凹部19f2に配置される。第2X出力軸24a2は、第2連結ブロック19d2の前面に突出する。第2X歯車222は、第2X出力軸24a2に締結されて、下Xラック232に噛み合う。
【0038】
第3Xモータ243は、第3X出力軸24a3を有する。第4Xモータ244は、第4X出力軸24a4を有する。
第2Yモータ302は、第2Y出力軸30a2を有する。第3Yモータ303は、第3Y出力軸30a3を有する。第4Yモータ304は、第4Y出力軸30a4を有する。
【0039】
なお、上Xラック231と、第1X歯車221と、第1Xモータ241と、下Xラック232と、第2X歯車222と、第2Xモータ242の組合せは、ボールねじ・サーボモータ機構や、リニアモータに変更して良い。ボールねじ・サーボモータ機構を利用する場合、ボールねじはナット回転型ボールねじでも良い。
上Xラック231は、テーパーラックでも良い。この場合、第1X歯車221と、第2X歯車222は、テーパー平歯車である。
【0040】
図6に示すように、一対の第1Yガイド271は、Yガイドレール27a1と、Yガイドブロック27b1と、をそれぞれ有する。Yガイドレール27a1は、第1主柱19a1の左側面と、第1側柱19c1の左側面に、それぞれ配置される。一対のYガイドレール27a1は、Y方向に延びる。Yガイドブロック27b1は、Yガイドレール27a1に案内されて、Y方向に移動する。
【0041】
第1Yテーブル251は、ベース板25a1と、テーブル板25b1と、リブ25c1と、を有する。ベース板25a1は、YZ平面に延びて、Yガイドブロック27b1に締結される。正面から見て、テーブル板25b1は、ベース板25a1から左方向に水平に延びる。リブ25c1は、テーブル板25b1を下方から支持する。
【0042】
第1Yラック291は、第1主柱19a1の左側面に配置される。第1Yラック291は、Y方向に延びる。第1Yラック291の歯面は、前方を向き、第1主柱19a1と第1側柱19c1との間に配置される。
第1Yモータ301は、第1Y出力軸30a1を有する。第1Yモータ301は、ベース板25a1の左側面に配置される。第1Y出力軸30a1は、ベース板25a1の右側に突出する。第1Y歯車281は、第1Y出力軸30a1に締結され、第1Yラック291に噛み合う。
【0043】
第3Yテーブル253と、第3Yモータ303と、第3Yはすば歯車283は、第1Yテーブル251と、第1Yモータ301と、第1Y歯車281と、それぞれ実質的に同一である。
【0044】
図4、
図5に示すように、第1加工ユニット351は、テーブル板25b1に取り外し可能に配置される。第1ラム35b1は、第1軸2に沿って、第1ケース35a1からZ方向に進退する。第1主軸35c1は、Z方向に延びて、第1ラム35b1に軸支される。切削工具5は、第1主軸35c1に締結される。第1ラム35b1と、第1主軸31c1と、切削工具5は、蛇腹カバー17の正面に突出する。
【0045】
図5に示すように、制御装置37は、第1Xモータ241と、第2Xモータ242を同期制御し、第1コラム191をY方向に平行に保ちつつ、X方向に移動させる。また、制御装置37は、第3Xモータ243と、第4Xモータ244を同期制御し、第2コラム192をY方向に平行に保ちつつ、X方向に移動させる。制御装置37は、第1~第4Yモータ301~304を制御し、第1~第4加工ユニット351~354をY方向に移動する。また、制御装置37は、第1~第4加工ユニット351~354を制御する。具体的には、制御装置37は、第1~第4ラム35b1~25b4の送りと、第1~第4主軸35c1~35c4の回転と、を個別に制御する。制御装置37は、数値制御装置である。
【0046】
本実施形態の横型加工機10によれば、第1~第4加工ユニット351~354を移動式のコラム191、192によって移動する。また、第1~第4主軸35c1~35c4は、第1~第4加工ユニット351~354によって送られる。例えば、横型加工機10が穴あけ加工やタップ加工を行う場合、加工時には、第1~第4加工ユニット351~354の位置が保持される。第1~第4加工ユニット351~354の送り精度さえ確保されれば、精度良く穴あけ加工や、タップ加工が行われる。そして、穴やタップ自体の精度は、第1~第4加工ユニット351~354によって保障される。
【0047】
本実施形態の横型加工機10は、XストロークやYストロークが大きい場合であっても、軽量である。また、Yテーブル251、252を第1コラム191や第2コラム192の一方面に配置しているため、複数の加工ユニット351~354を設置しやすい。また、コラムや加工ユニットの数量を加減しやすい。
【0048】
本実施形態の横型加工機10では、上Xガイド211が上ビーム13の背面に配置される。上ビーム13の位置を切削面によって位置出して、上ビーム13におけるXガイドレール21a1の設置面を切削加工することによって、上Xガイド211のワーク3との平行度が高くなる。下Xガイド212も上Xガイド211と実質的に同一である。
上Xガイド211や下Xガイド212と、ワーク3との平行度が高くなれば、第1コラム191や第2コラム192が、ワーク3の基準面に平行に走行する。また、上Xガイド211と下Xガイド212の前後方向の位置が揃いやすい。そのため、第1コラム191とワーク3の垂直面との平行度が高くなる。そして、第1Yガイド271とワーク3との平行度も高くなりやすい。つまり、XY平面とワーク3との平行度が高くなりやすい。そのため、横型加工機10は、穴明け、タップ加工の他、フライス加工にも適する。
【0049】
上ビーム13と、下ビーム15は、上下に長い断面を有する。そのため、上ビーム13と下ビーム15の上下方向の曲げ応力が小さくなり、上ビーム13と下ビーム15の前後幅を小さくできる。
また、第1連結ブロック19d1は、上Xガイド211の背面に配置される。第2連結ブロック19d2は、下Xガイド212の背面に配置される。第1コラム部19e1は、正面(-Z)方向に延びて、上ビーム13及び第1連結ブロック19d1の下方、下ビーム15及び第2連結ブロック19d2の上方に配置される。これにより、一組の第1Yガイド271間の距離を大きくできる。そして、第1加工ユニット351が加工する際に受けるスラスト方向の加工反力に対して、剛性を高くできる。そのため、上ビーム13と、下ビーム15と、第1コラム191の前後幅を薄くできる。第2コラム192や第2Yガイド272も、第1コラム191や第1Yガイド271と実質的に同一である。これによって、横型加工機10の前後方向の奥行を小さくできる。
【0050】
第1加工ユニット351の第1ラム35b1の伸長量は、限られる。第1ラム35b1が伸長したときに、第1ラム35b1は、上ビーム13や下ビーム15や第1コラム19から前方に突出する。これによって、第1加工ユニット351のZ方向の加工可能領域が定まる。上ビーム13と下ビーム15と第1コラム191の前後幅を薄くできるため、第1加工ユニット351の前後長が短い場合であっても、第1Yテーブル251の奥行を小さくできる。そして、第1Yテーブル251と、第1加工ユニット351と、第1Yモータ301と、を軽量化できる。第2~第4Yテーブル252~254と、第2~第4加工ユニット352~354と、第2~第4Yモータ302~304も、第1Yテーブル251と、第1加工ユニット351と、第1Yモータ301と、それぞれ実質的に同一である。
【0051】
第1コラム部19e1は、第1主柱19a1と、第1副柱19b1と、第1側柱19c1と、を有する。加工反力が作用しない部分がくり抜かれた構造であるため、第1コラム部19e1が軽量化される。
上述の構造により、第1加工機群181の慣性モーメントが小さくなる。そのため、第1Xモータ241や、第2Xモータ242や、第1Yモータ301や、第2Yモータ302のサイズを小さくできる。また、横型加工機10は、XストロークやYストロークを長くしても、軽量に構成できる。
【0052】
本実施形態では、第1コラム191の左面に、第1加工ユニット351及び第3加工ユニット353が配置される。第2コラム192は、第1コラム191の左側に配置される。第2コラム192の右面に、第2加工ユニット352及び第4加工ユニット354が配置される。そのため、第1加工ユニット351及び第3加工ユニット353と、第2加工ユニット352及び第4加工ユニット354の間には、第1コラム191や第2コラム192が配置されない。これにより、第1加工ユニット351及び第3加工ユニット353と、第2加工ユニット352及び第4加工ユニット354とを、近接させることができる。第1~第4加工ユニット351~354が同時にワーク3を加工するときにおいて、加工順や加工時間配分の自由度が高まる。
【0053】
本実施形態の横型加工機10は、ラック・ピニオン機構によってX方向に移動する。そのため、第1コラム191と第2コラム192は、それぞれフルストロークにわたってX方向に移動できる。
一般に、ラック・ピニオン機構では、進行方向に向かってピニオンに加わる力の大きさやバックラッシ量が位置によって周期変化する。そのため、工作機械の送り軸には、採用し難い。特に、長く伸びる物体の両端部をサーボ制御によって同期送りすることは、適さない。
【0054】
これに対して、本実施形態では、上Xラック231と下Xラック232は、はすばラックである。第1X歯車221と第2X歯車222は、はすば歯車である。そのため、上Xラック231と第1X歯車221の間で、1枚以上の歯がかみ合う。また、下Xラック232と第2X歯車222の間で1枚以上の歯がかみ合う。これによって、第1X歯車221と第2X歯車222の振動が抑制される。そして、第1コラム191の上端部と下端部をそれぞれサーボ駆動で同期送りした場合であっても、第1コラム191がなめらかに制御される。これにより、加工精度が向上する。
第2コラム192の振動の抑制効果も、第1コラム191と実質的に同一である。
【0055】
本実施形態の横型加工機10は、ラック・ピニオン機構によってY方向に移動する。そのため、第1加工ユニット351と第3加工ユニット353は、それぞれフルストロークにわたってY方向に移動できる。第2加工ユニット352と第4加工ユニット354も実質的に同一である。
第1Yラック291は、はすばラックである。第1Y歯車281は、はすば歯車である。そのため、第1Yラック291と第1Y歯車281の間で、1枚以上の歯がかみ合う。これによって、第1Y歯車281の振動が抑制される。そして、第1Yテーブル251がなめらかに制御される。
第2~第4Yテーブル252~254は、第1Yテーブル251と実質的に同一である。
【0056】
支持フレーム11は、開口部11gを有する。例えば、
図2に示すように、第1加工機群181が開口部11gに重なるようにX方向に移動したときに、作業者は、開口部11gを通して、第1加工機群181のメンテナンスを実施できる。具体的には、作業者は、第1加工ユニット351や、第3加工ユニット353や、第1Yテーブル251や、第3Yテーブル253や、第1Yガイド271や、第1Yラック291を着脱でき、調整できる。第2加工機群182についても、第1加工機群181と実質的に同一である。
【0057】
第1ラム35b1と第3ラム35b3は、Y方向に整列した状態を保ちながら、X方向に移動する。そのため、第1Xボックス17b1の傾斜を抑制できる。第2Xボックス17b2についても、実質的に同一である。
【0058】
(実施形態2)
次に、実施形態2の横型加工システム50について説明する。
図7及び
図8に示すように、本実施形態の横型加工システム50は、複数(本実施形態では3つ)の横型加工機101~103と、ベッド51と、ターンテーブル53と、イケール55と、支持軸54と、上部結合フレーム52と、複数のパレット57と、搬入出扉59と、を有する。
【0059】
ベッド51は、横型加工機101~103を支持する。ベッド51は、加工で生じた切りくずや、加工クーラントを回収し、排出する。
搬入出扉59は、横型加工システム50の正面(
図8の下方)に配置される。ワーク3は、搬入出扉59からロボットや作業者によって搬入され、パレット57に装着される。
【0060】
図8に示すように、3つの横型加工機101~103は、回転軸1の回りに、中心角90度毎に配置される。本実施形態の各横型加工機101~103は、実施形態1の横型加工機10と実質的に同一である。横型加工機101~103の支持フレーム11の下端部は、ベッド51とそれぞれ結合される。
横型加工機101は、X1軸、Y1軸、Z1軸の3方向に移動する。横型加工機102は、X2軸、Y2軸(不図示)、Z2軸の3方向に移動する。横型加工機103は、X3軸、Y3軸、Z3軸の3方向に移動する。
【0061】
図7に示すように、上部結合フレーム52は、複数の横型加工機101~103の支持フレーム11の上端部を連結する。支持軸54は、回転軸1を中心に、上部結合フレーム52に配置される。
ターンテーブル53は、回転軸1を中心に、ベッド51に配置される。
【0062】
図7及び
図8に示すように、イケール55は、直方体状である。イケール55の下端部は、ターンテーブル53に接続される。イケール55の上端部は、支持軸54に支持される。イケール55は、ターンテーブル53と支持軸54に、回転可能に両端を支持される。複数のパレット57は、イケール55の側面にそれぞれ固定される。
【0063】
ターンテーブル53は、回転軸1を中心にイケール55を90度ずつ回転させて、パレット57を横型加工機101~103の方向に割り出す。各横型加工機101~103は、対向するパレット57に設置されたワーク3を加工する。横型加工機101~103は、複数のワーク3を同時に加工する。各横型加工機101~103は、各ワーク3の異なる部位を加工する。横型加工機101~103による加工後に、4回ターンテーブル53を回転させることで、多数の部位を同時にすばやく加工できる。
【0064】
図7に示すように、本実施形態の横型加工システム50によれば、支持フレーム11の上端において、支持軸54を介して上部結合フレーム52とイケール55とが接続される。支持フレーム11の下端において、ベッド51とターンテーブル53と、イケール55が接続される。
例えば、第1加工ユニット351でワーク3を加工するときには、加工反力は、第1加工ユニット351、第1コラム191、上ビーム13、上部結合フレーム52、支持軸54、イケール55、パレット57、ワーク3で構成される力学的閉ループ61に作用する。同時に、加工反力は、第1加工ユニット351、第1コラム191、下ビーム15、ベッド51、ターンテーブル53、イケール55、パレット57、ワーク3で構成される力学的閉ループ63に作用する。加工反力は、上回りの閉ループ61と下回りの閉ループ63に同時に作用するため、ループ剛性が高まる。また、加工反力が上回りの閉ループ61と下回りの閉ループ63に同時に作用するため、横型加工機101のXY軸とワーク3の平行度や直角度が保持されやすい。
【0065】
(実施形態3)
次に、実施形態3の横型加工システム80について説明する。
図9に示すように、本実施形態の横型加工システム80は、横型加工機10と、パレット支持台81と、パレットクランプ83と、パレット85と、を有する。
横型加工システム80は、ロボット7を有しても良い。ロボット7は、接続部7aを有する。ロボット7は、例えば、垂直多関節ロボットである。ロボット7は、ワーク3が装着されたパレット85を、横型加工システム80に搬入し、搬出する。
【0066】
パレット支持台81は、ブラケット81aと、ステム81bと、を有する。ブラケット81aは、例えば、L字状を有する。ブラケット81aは、支持フレーム11に固定される。例えば、パレット支持台81は、支持フレーム11の正面の4隅部に配置される。ステム81bは、ブラケット81aからZ方向に第1主軸35c1の先端方向に延びる。
【0067】
パレットクランプ83は、ブラケット81aに固定される。パレットクランプ83は、支持フレーム11に向けてパレット85を付勢する。
パレット85は、接続部85aを有する。パレット85は、パレット85の一面(横型加工機10を向く面)にワーク3を保持する。接続部85aは、パレット85の他面に配置される。接続部85aは、接続部7aに着脱自在に接続する。パレット85は、ステム81bとパレットクランプ83に挟まれて、支持フレーム11に固定される。
【0068】
本実施形態の横型加工システム80によれば、力学的閉ループを小さくできるため、ループ剛性を高められる。
図9に示すように、例えば、第1加工ユニット351がワーク3を加工するときには、加工反力は、第1加工ユニット351、第1コラム191、上ビーム13、パレット支持台81、パレットクランプ83、パレット85、ワーク3で構成される上回りの力学的閉ループ(不図示)に作用する。また、加工反力は、下ビーム15を介する下回りの力学的閉ループ(不図示)に作用する。
【0069】
ロボット7は、パレット85と共にワーク3を支持フレーム11に直接装着できる。そのため、複数の横型加工機10を設置する場合においては、横型加工機10を自由にレイアウトできる。例えば、複数の横型加工機10を一直線に、X方向に揃えて配列してもよい。この場合、ロボット7は、X方向に走行する走行ロボットでも良い。また、ロボット7の走行路に対称に、2列の横型加工機10を並べても良い。
【符号の説明】
【0070】
10 横型加工機
13 上ビーム
15 下ビーム
211 上Xガイド
212 下Xガイド
191 第1コラム(第1移動コラム)
271 第1Yガイド
251 第1Yテーブル
252 第2Yテーブル
351 第1加工ユニット
35b1 第1ラム
25c1 第1主軸
352 第2加工ユニット
35b2 第2ラム
35c2 第2主軸
50,80 横型加工システム