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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074432
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】液体噴射装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185562
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 文哉
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056FA10
2C056FA13
2C056HA07
2C056HA11
(57)【要約】
【課題】ユニットベースと液体噴射ヘッドとの固定部材による固定力が低下するのを抑制して、ノズルの位置決め精度が低下するのを抑制した液体噴射装置を提供する。
【解決手段】液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを支持するユニットベース20と、複数の固定位置のそれぞれで前記液体噴射ヘッドと前記ユニットベース20とを固定する複数の固定部材30と、を備え、前記複数の固定位置のうち少なくとも1つの固定位置において、前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベース20の一方には、平面状の受け面41を有する受け面部材40が回転可能に設けられ、前記受け面部材40の前記受け面41と前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベース20の他方とが面接触した状態で、前記複数の固定部材30によって前記液体噴射ヘッドと前記ユニットベース20とが固定される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴射する液体噴射ヘッドと、
前記液体噴射ヘッドを支持するユニットベースと、
複数の固定位置のそれぞれで前記液体噴射ヘッドと前記ユニットベースとを固定する複数の固定部材と、
を備え、
前記複数の固定位置のうち少なくとも1つの固定位置において、前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの一方には、平面状の受け面を有する受け面部材が回転可能に設けられ、
前記受け面部材の前記受け面と前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの他方とが面接触した状態で、前記複数の固定部材によって前記液体噴射ヘッドと前記ユニットベースとが固定される、
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
前記受け面部材は、曲面を有し、
前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの前記一方は、前記受け面部材の一部を収容可能な、前記受け面部材の前記曲面に沿う収容部を有する、
ことを特徴とする請求項1の液体噴射装置。
【請求項3】
前記受け面部材の前記曲面は、仮想の球体の球面に沿う、
ことを特徴とする請求項2の液体噴射装置。
【請求項4】
前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの前記一方は、前記受け面部材の一部を収容可能な収容部を有し、
前記受け面部材と前記収容部との間には、伸縮可能な弾性部材が配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記複数の固定位置は、4つ以上である、
ことを特徴とする請求項4に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記複数の固定位置の全てにおいて、前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの前記一方には、前記受け面部材が回転可能に設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
前記液体噴射ヘッドは、液体を噴射するノズル面を有する本体部と、前記本体部に着脱可能に固定された複数のスペーサーとを有し、
前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの前記他方は、前記ユニットベースであり、
前記複数の固定位置において、前記複数のスペーサーと前記ユニットベースとが当接した状態で前記複数の固定部材によって前記液体噴射ヘッドと前記ユニットベースとが固定され、
前記受け面部材は、前記スペーサーに設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
前記受け面部材の前記受け面と前記ユニットベースとが、接着されている、
ことを特徴とする請求項7に記載の液体噴射装置。
【請求項9】
1つの前記固定位置に、複数の前記受け面部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項10】
前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの前記一方は、前記受け面部材の一部を収容可能な収容部を有し、
前記収容部の開口を平面視した際に、前記受け面部材は、前記収容部内において前記開口よりも外側に突出した部分を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルから液体を噴射する液体噴射ヘッドを具備する液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを噴射するインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置には、圧力発生手段の圧力変化によってノズルから液体の一種であるインク滴を噴射する液体噴射ヘッドと、液体噴射ヘッドが4箇所の固定位置でスペーサーを介して固定されるユニットベースであるヘッド固定基板と、を具備するものがある(例えば、特許文献1参照)。
この液体噴射装置では、ヘッド固定基板に対して液体噴射ヘッドを固定部材の一例である第2ネジ部材で締結することで、液体噴射ヘッドとヘッド固定基板とが固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-136866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、液体噴射ヘッドおよびユニットベースの製造誤差等によって、液体噴射ヘッドおよびユニットベースの少なくとも一方に反りが生じる場合、固定部材の固定力が作用するユニットベースと液体噴射ヘッドとの当接面積が減少し、ユニットベースと液体噴射ヘッドとの固定部材による固定力が低下する虞があるという問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを支持するユニットベースと、複数の固定位置のそれぞれで前記液体噴射ヘッドと前記ユニットベースとを固定する複数の固定部材と、を備え、前記複数の固定位置のうち少なくとも1つの固定位置において、前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの一方には、平面状の受け面を有する受け面部材が回転可能に設けられ、前記受け面部材の前記受け面と前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの他方とが面接触した状態で、前記複数の固定部材によって前記液体噴射ヘッドと前記ユニットベースとが固定される、ことを特徴とする液体噴射装置にある。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態1に係る液体噴射装置の概略図である。
図2】実施形態1に係るヘッドユニットの分解斜視図である。
図3】実施形態1に係るヘッドユニットの平面図である。
図4】実施形態1に係るヘッドユニットの要部断面図である。
図5】実施形態1に係るヘッドユニットの要部を拡大した断面図である。
図6】実施形態1に係る受け面部材の斜視図である。
図7】実施形態1に係る収容部および受け面部材の平面図である。
図8】実施形態1の変形例1を示す要部断面図である。
図9】実施形態1の変形例2を示す要部断面図である。
図10】実施形態1の変形例3を示す要部断面図である。
図11】実施形態2に係るヘッドユニットの分解斜視図である。
図12】実施形態2に係るヘッドユニットの要部断面図である。
図13】実施形態2に係るヘッドユニットの要部を拡大した断面図である。
図14】受け面部材の変形例を示す斜視図である。
図15】受け面部材の変形例を示す斜視図である。
図16】受け面部材の変形例を示す斜視図である。
図17】ヘッドユニットの変形例を示す斜視図である。
図18】固定部材の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。また、各図においてX、Y、Zは、互いに直交する3つの空間軸を表している。本明細書では、これらの軸に沿った方向をX方向、Y方向、およびZ方向とする。各図の矢印が向かう方向を正(+)方向、矢印の反対方向を負(-)方向として説明する。また、正方向および負方向を限定しない3つの空間軸の方向については、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向として説明する。
【0008】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る液体噴射装置の概略図である。
【0009】
図1に示す液体噴射装置1は、複数の液体噴射ヘッド10を備えるヘッドユニット2を備え、媒体SをX軸方向に搬送すると共に、液体噴射ヘッド10から媒体Sに向かって+Z方向に「液体」の一例であるインクを噴射することで印刷を行う、所謂、ライン式プリンターである。
【0010】
このような液体噴射装置1は、ヘッドユニット2と、液体貯留部3と、制御部4と、媒体Sを送り出す搬送機構5と、を具備し、これらヘッドユニット2、液体貯留部3、制御部4および搬送機構5が筐体6内に収容されている。
【0011】
ヘッドユニット2は、複数の液体噴射ヘッド10と、これら複数の液体噴射ヘッド10を支持するユニットベース20と、を具備する。
【0012】
液体噴射ヘッド10は、液体貯留部3から供給されるインクを複数のノズルNから媒体Sに+Z方向に向かって噴射する。
【0013】
ユニットベース20は、筐体6に固定されている。このユニットベース20の+Z方向を向く面に複数の液体噴射ヘッド10が固定される。つまり、ユニットベース20の+Z方向を向く面と、液体噴射ヘッド10の-Z方向を向く面と、とが当接した状態で両者が固定される。複数の液体噴射ヘッド10は、X軸方向に関して同じ位置で、Y軸方向に並んでユニットベース20に固定される。なお、複数の液体噴射ヘッド10の配置は特にこれに限定されず、例えば、X軸とY軸とで規定されるXY平面において、X軸方向に対して傾斜した方向に並んで配置されていてもよい。また、複数の液体噴射ヘッド10は、Y軸方向に沿って千鳥状に配置されていてもよい。ここで、複数の液体噴射ヘッド10がX軸方向に沿って千鳥状に配置されているとは、X軸方向に並設された液体噴射ヘッド10を交互にY軸方向にずらして配置することである。すなわち、Y軸方向に並設された液体噴射ヘッド10の列が、X軸方向に2列並設され、2列の液体噴射ヘッド10の列をY軸方向に半ピッチずらして配置することである。このように複数の液体噴射ヘッド10をY軸方向に沿って千鳥状に配置することで、2つの液体噴射ヘッド10のノズルNをY軸方向で部分的に重複させて、Y軸方向に亘って連続したノズルNの列を形成できる。
【0014】
なお、本実施形態の液体噴射ヘッド10およびユニットベース20の詳細な構成については後述する。
【0015】
液体貯留部3は、液体噴射ヘッド10から噴射される複数種類、例えば、複数色のインクを個別に貯留する。液体貯留部3としては、例えば、筐体6に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、インクを補充可能なインクタンクなどが挙げられる。なお、本実施形態では、液体貯留部3を筐体6内に配置したが、特にこれに限定されず、液体貯留部3が筐体6の外部に配置されていてもよい。液体貯留部3に貯留されたインクは、供給管3aを介して液体噴射ヘッド10に供給される。
【0016】
制御部4は、特に図示していないが、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはFPGA(Field Programmable Gate Array)等の制御装置と、半導体メモリー等の記憶装置と、を備えている。制御部4は、記憶装置に記憶されたプログラムを制御装置が実行することで液体噴射装置1の各要素、すなわち、液体噴射ヘッド10、搬送機構5等を統括的に制御する。
【0017】
搬送機構5は、媒体SをX軸方向に搬送するものであり、搬送ローラー5aを有する。すなわち搬送機構5は、搬送ローラー5aが回転することで媒体SをX軸方向に搬送する。なお媒体Sを搬送する搬送機構5は、搬送ローラー5aを備えるものに限られず、例えば、ベルトやドラムによって媒体Sを搬送するものであってもよい。
【0018】
液体噴射ヘッド10は、制御部4による制御のもとで、液体貯留部3から供給されたインクを複数のノズルNのそれぞれからインク滴として+Z方向に噴射する噴射動作を実行する。この液体噴射ヘッド10による噴射動作が、搬送機構5による媒体Sの搬送と並行して行われることにより、媒体Sの表面にインクによる画像が形成される、いわゆる印刷が行われる。
【0019】
図2は、本発明の実施形態1に係るヘッドユニット2の分解斜視図である。図3は、ヘッドユニット2を-Z方向に見た平面図である。図4は、図3のA-A′線断面図である。図5は、図4の要部を拡大した図である。図6は、受け面部材40の斜視図である。図7は、収容部19および受け面部材40を+Z方向に見た平面図である。なお、本実施形態では、ヘッドユニット2の各方向について、液体噴射装置1に搭載された際の方向、すなわち、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向に基づいて説明する。もちろん、ヘッドユニット2の液体噴射装置1内における配置は以下に示すものに限定されるものではない。
【0020】
図示するように、本実施形態のヘッドユニット2は、複数の液体噴射ヘッド10と、複数の液体噴射ヘッド10を支持するユニットベース20と、を具備する。
【0021】
液体噴射ヘッド10は、+Z方向を向く面にノズルNが開口するノズル面10aを有する。ノズルNは、ノズル面10aの面内方向、すなわち、XY平面において、+X方向に対してノズル列が傾斜するように配置されている。すなわち、ノズル列を構成するノズルNの並設方向は、+X方向に対して傾斜した+Xa方向となっている。また、ノズル面10aには、ノズル列がY軸方向に沿って複数並設されている。
【0022】
また、液体噴射ヘッド10は、ノズル面10a側から平面視した際に、Y軸方向とXa軸方向とに沿った略平行四辺形となる形状を有する。もちろん、液体噴射ヘッド10のノズル面10a側から平面視した際の形状は、略平行四辺形に限定されず、矩形状や台形状、多角形状等であってもよい。
【0023】
さらに、複数の液体噴射ヘッド10は、媒体Sの搬送方向であるX軸方向に直交するY軸方向に並設されてユニットベース20に固定されている。なお、本実施形態では、複数の液体噴射ヘッド10は、Y軸方向に一列に沿って、すなわち、Y軸方向に沿った直線状に並設される。つまり、複数の液体噴射ヘッド10はX軸方向にずれて配置されていない。これによりヘッドユニット2のX軸方向の幅を比較的狭くして、ヘッドユニット2のX軸方向において小型化を図ることができる。
【0024】
このような液体噴射ヘッド10は、複数の部材がZ軸方向に積層されて構成されている。具体的には、図2に示すように、液体噴射ヘッド10は、本実施形態では、液体としてインクをインク滴として噴射する複数のノズルNが設けられた複数のヘッドチップ11と、複数のヘッドチップ11を保持する保持部材12と、ヘッドチップ11の+Z方向を向く面側に固定された固定板であるカバー13と、を具備する。液体噴射ヘッド10は、ヘッドチップ11と保持部材12とカバー13とがZ軸方向に沿って積層されることで構成されている。
【0025】
ヘッドチップ11は、+Z方向を向く面に複数のノズルNを有する。このノズルNが設けられたヘッドチップ11の+Z方向を向く面がノズル面10aの一部を構成する。また、ヘッドチップ11の図示しない内部には、ノズルNに連通する流路と、流路内のインクに圧力変化を生じさせる圧力発生手段とを具備する。圧力発生手段としては、例えば、電気機械変換機能を呈する圧電材料を有する圧電アクチュエーターの変形によって流路の容積を変化させて流路内のインクに圧力変化を生じさせてノズルNからインク滴を吐出させるものを使用することができる。また、その他の圧力発生手段としては、流路内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズルNからインク滴を吐出させるものや、振動板と電極との間に静電気力を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズルNからインク滴を吐出させるいわゆる静電式アクチュエーターなどを使用することができる。
【0026】
このようなヘッドチップ11が、保持部材12の+Z方向を向く面に複数、本実施形態では、6個保持されている。
【0027】
保持部材12は、流路部材14とホルダー15と配線基板16とを具備する。
【0028】
流路部材14の図示しない内部には、液体貯留部3から供給管3aを介して供給されたインクをヘッドチップ11に供給する流路が設けられている。この流路は、流路部材14の-Z方向を向く面に設けられて-Z方向に向かって突出する突起部14aの先端面に開口して設けられている。本実施形態では、流路部材14の-Z方向を向く面に4つの突起部14aを設けるようにした。すなわち、流路部材14の内部には、独立した4つの流路が設けられている。なお、流路部材14の流路の途中には、インクに含まれるゴミや気泡などの異物を除去するためのフィルター等が設けられていてもよい。
【0029】
ホルダー15は、流路部材14の+Z方向を向く面に固定されており、図示しない内部には、流路部材14の内部に設けられた流路と連通する流路が設けられている。流路部材14から供給されたインクは、ホルダー15内の流路を介して複数のヘッドチップ11に供給される。なお、特に図示していないが、ホルダー15の内部に設けられた流路は、それぞれ複数に分岐されて複数のヘッドチップ11に供給される。
【0030】
このような流路部材14とホルダー15とは、例えば、ネジ等によってZ軸方向に積層されて固定されている。すなわち、流路部材14とホルダー15との間には界面が存在する。また、この界面、すなわち流路部材14とホルダー15との間には、配線基板16が保持されている。配線基板16は、複数のヘッドチップ11の図示しない配線が共通して電気的に接続されるリジット基板からなる。また、本実施形態では、液体噴射ヘッド10の側面、すなわち、流路部材14とホルダー15との積層界面からは配線基板16が露出して設けられている。また、液体噴射ヘッド10の-Z方向を向く面からは、配線基板16に接続されたフレキシブルケーブル17が導出されている。
【0031】
カバー13は、複数のヘッドチップ11の+Z方向を向く面に固定される板状部材からなり、Y軸方向の両端部を-Z方向に折り曲げた形状を有する。カバー13は、各ヘッドチップ11のノズルNを+Z方向に露出するための露出開口部13aを有する。露出開口部13aは、ヘッドチップ11毎に独立して、合計6個設けられている。カバー13の+Z方向を向く面が、ノズル面10aの一部を構成する。つまり、ノズル面10aは、ヘッドチップ11の+Z方向を向く面の露出開口部13aによって露出された部分と、カバー13の+Z方向を向く面と、によって構成されている。
【0032】
このような液体噴射ヘッド10がユニットベース20に複数固定されている。本実施形態では、ユニットベース20に4個の液体噴射ヘッド10が支持されている。なお、ユニットベース20に支持される液体噴射ヘッド10の数は、特にこれに限定されず、1個であってもよく、2個以上の複数であってもよい。
【0033】
図3に示すように、ユニットベース20は、+Z方向を向く面に開口する凹形状を有する保持部21を有する。この保持部21内に液体噴射ヘッド10が保持される。このような保持部21は、本実施形態では、4個の液体噴射ヘッド10に亘って連続して、すなわち、4個の液体噴射ヘッド10に共通して設けられている。もちろん、保持部21は、液体噴射ヘッド10毎に独立して設けられていてもよく、2個以上の液体噴射ヘッド10で構成される液体噴射ヘッド群毎に独立して設けられていてもよい。
【0034】
保持部21を形成する壁部によって液体噴射ヘッド10の側面が覆われることにより、液体噴射ヘッド10に媒体Sが衝突することや、インクの飛沫が液体噴射ヘッド10に付着するのを抑制することができる。
【0035】
各液体噴射ヘッド10とユニットベース20とは、Z軸方向で対向する面同士が当接されて固定されている。つまり、液体噴射ヘッド10の-Z方向を向く第1固定面61と、ユニットベース20の保持部の+Z方向を向く底面である第2固定面62と、が互いに当接した状態で固定される。このような液体噴射ヘッド10とユニットベース20との固定は、雄ネジからなる固定部材30によって行われる。
【0036】
ここで、図5図7に示すように、液体噴射ヘッド10の流路部材14は、-Z方向を向く面に、-Z方向に向かって突出する第1固定部14bを有する。この第1固定部14bの-Z方向の先端には、XY平面に沿った平坦状の第1固定面61が設けられている。このような第1固定部14bは、+Z方向に見て流路部材14の4つの角部のそれぞれに設けられている。つまり、本実施形態では、1つの液体噴射ヘッド10は、4個の第1固定部14bによる4つの固定位置でユニットベース20と固定されている。なお、第1固定面61は、設計上は、XY平面に沿った平坦状であるが、寸法公差や成型による引け等によって反りによる歪みが生じている場合も含む。
【0037】
各第1固定部14bの第1固定面61には、固定部材30が螺合する第1固定穴18が設けられている。第1固定穴18は、第1固定面61に開口して設けられており、内周面にネジ溝が形成された雌ネジとなっている。
【0038】
また、第1固定面61には、受け面部材40が回転可能に設けられている。受け面部材40は、平面状の受け面41を有し、第1固定面61に対して回転可能に設けられている。このような受け面部材40は、本実施形態では、球体を1つの平面、すなわち、受け面41で切断した形状、所謂、球欠となる形状を有する。つまり、受け面部材40は、受け面41以外の外周面42が仮想の球体200の球面201に沿った曲面となっている(図6参照)。すなわち、外周面42は、仮想の球体200の外周である球面201の一部と同じ形状で形成されている。また、受け面部材40は、本実施形態では、半球よりも大きな部分、すなわち、仮想の球体200の半分以上の部分で構成されている。
【0039】
液体噴射ヘッド10は、受け面部材40の一部を収容可能な収容部19を有する。つまり、本実施形態において、液体噴射ヘッド10が「液体噴射ヘッドおよびユニットベースの一方」の一例であり、ユニットベース20が「液体噴射ヘッドおよびユニットベースの他方」の一例である。収容部19は、流路部材14の第1固定面61に開口して設けられている。受け面部材40は、受け面41が第1固定面61よりも-Z方向に突出した状態で、球体に沿った曲面の外周面42を有する一部が収容部19内に収容されている。
【0040】
収容部19は、受け面部材40と同様に、球体を1つの平面で切断した形状となっている。つまり、収容部19は、内周面が受け面部材40の外周面42に沿った形状であり、且つ受け面部材40を構成する球体よりも直径が若干大きな球体に沿った曲面となっている。このため、受け面部材40は、収容部19内で球体部分の中心を通る仮想的な軸を中心にX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を含む全方位に回転可能に保持されている。なお、受け面部材40は、Z軸方向を含むベクトルの仮想的な軸に対して回転しなくてもよい。つまり、受け面部材40は、収容部19内でXY平面に沿った仮想的な回転軸を中心に回転可能であり、且つ受け面部材40の仮想的な回転軸は、XY平面において360度回転可能となっていればよい。
【0041】
また、収容部19は、第1固定面61に開口して設けられており、この収容部の第1固定面61の開口19aが、収容部19の球体を切断する平面となっている。この収容部19の第1固定面61における開口面積は、受け面部材40の球体部分の直径よりも小さい。つまり、図7に示すように、収容部19を開口19aに向かって、すなわち、+Z方向に向かって平面視した際に、収容部19内の受け面部材40は、開口19aよりも外側に突出した部分40aを有する。
【0042】
このため、受け面部材40は、収容部19内に収容された状態で、収容部19の開口19aの開口縁部によって収容部19から外部への移動、つまり、収容部19からの脱落が規制される。このため、液体噴射ヘッド10に外部から衝撃が加えられた場合や、ハンドリング時に液体噴射ヘッド10のノズル面10aを鉛直上向きとなるように配置された場合などにおいて、受け面部材40が収容部19から脱落するのを抑制することができる。したがって、液体噴射ヘッド10の取り回しが制限されるのを抑制して作業性を向上することができる。
【0043】
なお、このような収容部19からの脱落を抑制した受け面部材40は、例えば、収容部19内に圧入によって収容することができる。また、例えば、第1固定部14bを分割し、収容部19の内部に受け面部材40を収容してから分割した第1固定部14bを接着や溶着、ネジ等によって固定することで、収容部19に受け面部材40を収容することもできる。
【0044】
また、本実施形態では、受け面部材40は、各第1固定部14bに1個ずつ、合計4個設けられている。つまり、受け面部材40は、4つの固定位置のそれぞれに配置されている。このため、4つの固定位置において、受け面部材40の受け面41と第2固定面62とを面接触させることができ、接触面積を増大させることができる。
【0045】
このような受け面部材40が設けられた液体噴射ヘッド10をユニットベース20に固定するには、ユニットベース20に設けられた第1挿通孔22に固定部材30を+Z方向に向かって挿通し、固定部材30の先端を液体噴射ヘッド10の第1固定穴18に螺合させる。このとき、受け面部材40が回転することで、受け面部材40の受け面41がユニットベース20の第2固定面62に面接触する。なお、受け面部材40の外周面42と収容部19の内周面とは、Z軸方向で対向する部分が当接している。この受け面部材40の外周面42と収容部19の内周面とにおいても、面接触することで、接触面積を増大させることができる。つまり、液体噴射ヘッド10とユニットベース20とは、受け面部材40を介して面接触する。ここで、例えば、第1固定面61や第2固定面62に反りによる歪みがある場合、第1固定面61および第2固定面62の何れか一方または両方が傾き、両者の接触面積が減少する虞がある。本実施形態では、第1固定面61および第2固定面62が当接する4つの固定位置において、受け面部材40を設けることで、第1固定面61および第2固定面62の何れか一方または両方に歪みがある場合であっても、液体噴射ヘッド10の受け面41とユニットベース20の第2固定面62とを面接触させることができる。したがって、液体噴射ヘッド10とユニットベース20との接触面積を増大させて、ユニットベース20による液体噴射ヘッド10の固定力を向上し、ユニットベース20に対する液体噴射ヘッド10の位置ずれを抑制することができる。なお、第1固定面61および第2固定面62に歪みがない場合であっても、受け面部材40の受け面41は、ユニットベース20の第2固定面62に面接触するため、両者の固定力を向上することができる。
【0046】
ちなみに、受け面部材40を設けない場合には、ユニットベース20と液体噴射ヘッド10との接触面積が減少し、ユニットベース20による液体噴射ヘッド10の固定力が低下する。このため、液体噴射ヘッド10のユニットベース20に対する位置ずれが生じやすく、液体噴射ヘッド10のノズルNの位置ずれによって噴射されたインク滴の媒体Sへの着弾位置ずれが生じる虞がある。本実施形態では、受け面部材40を設けることで、液体噴射ヘッド10とユニットベース20とを面接触させて接触面積を増大させることができる。したがって、ユニットベース20に対する液体噴射ヘッド10の固定強度を向上し、ユニットベース20に対する液体噴射ヘッド10の位置ずれ、すなわち、位置決め精度が低下するのを抑制することができる。よって、液体噴射ヘッド10から噴射されたインク滴の媒体Sへの着弾位置ずれを抑制して、印刷品質を向上することができる。
【0047】
なお、ユニットベース20としては、例えば、アルミニウム合金等の金属又は樹脂等を用いて、切削加工又は成型等により形成することができる。
【0048】
また、図2および図4に示すように、ユニットベース20には、Z軸方向に亘って貫通する供給孔23が設けられている。ユニットベース20に固定された液体噴射ヘッド10の流路が形成された突起部14aは、供給孔23によってユニットベース20の-Z方向を向く面側に露出されており、供給孔23から露出した突起部14aの流路に供給管3a(図1参照)の流路が接続される。すなわち、液体噴射ヘッド10には、ユニットベース20の-Z方向を向く面側からインクが供給される。なお、本実施形態では、ユニットベース20の-Z方向を向く面側から液体噴射ヘッド10に直接、供給管3aを接続するようにしたが、特にこれに限定されず、ユニットベース20の-Z方向を向く面側に他の流路部材を設け、他の流路部材に供給管3aを接続して、供給管3aから他の流路部材を介して液体噴射ヘッド10にインクを供給するようにしてもよい。
【0049】
また、ユニットベース20には、液体噴射ヘッド10のフレキシブルケーブル17を挿通するためのケーブル用開口24がZ軸方向に亘って貫通して設けられている。このようなケーブル用開口24を介してユニットベース20に固定された液体噴射ヘッド10のフレキシブルケーブル17は、ユニットベース20の-Z方向を向く面側に導出される。
【0050】
また、ユニットベース20のX軸方向の両側の側面には、中継基板50が固定されている。中継基板50は、リジット基板からなり、図示しない配線および電子部品等を有する。この中継基板50には、ユニットベース20のケーブル用開口24から導出された複数のフレキシブルケーブル17が電気的に接続されている。このように、複数の液体噴射ヘッド10のフレキシブルケーブル17を、ユニットベース20の-Z方向側に開口するケーブル用開口24を挿通させて共通の中継基板50に接続することで、ケーブル用開口24からノズル面10a側のインクミストが侵入し難く、フレキシブルケーブル17や液体噴射ヘッド10の内部の基板等にインクが付着するのを抑制することができる。
【0051】
このように本実施形態では、液体噴射ヘッド10をユニットベース20の+Z方向を向く面に固定することで、ユニットベース20を小型化してユニットベース20の剛性を向上することができる。
【0052】
また、液体噴射ヘッド10をユニットベース20の+Z方向を向く面に固定する場合であっても、液体噴射ヘッド10に受け面部材40を設け、受け面41を第2固定面62に面接触させることで、液体噴射ヘッド10とユニットベース20との接触面積を増大させてユニットベース20による液体噴射ヘッド10の固定力を向上し、ノズルNの位置決め精度が低下するのを抑制することができる。
【0053】
なお、本実施形態では、4つの第1固定部14bのそれぞれに受け面部材40を設けるようにしたが、特にこれに限定されない。液体噴射ヘッド10やユニットベース20の寸法公差や歪みに法則性が見られる場合には、面接触し難い第1固定部14bに選択的に受け面部材40を設け、面接触し易い第1固定部14bには受け面部材40を設けないようにしてもよい。これにより1つの液体噴射ヘッド10に設ける受け面部材40の数を減らして、コストを低減することができる。つまり、受け面部材40は、4個の第1固定部14bのうち、1個の第1固定部14bのみに設けるようにしてもよく、2個以上の第1固定部14bに設けるようにしてもよく、その数は特に限定されない。
【0054】
また、第1固定部14bの数、すなわち、固定位置の数も特に限定されず、2つ以上であればよく、3個以上が好ましく、4個以上が好適である。
【0055】
(変形例1)
図8は、本発明の実施形態1のヘッドユニット2の変形例1を説明する要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0056】
図8に示すように、受け面部材40は、ユニットベース20に回転可能に設けられている。つまり、ユニットベース20の第2固定面62に+Z方向に開口する収容部19が設けられており、この収容部19に受け面部材40の外周面42の一部が回転可能に収容されている。したがって、本変形例において、液体噴射ヘッド10が「液体噴射ヘッドおよびユニットベースの他方」の一例であり、ユニットベース20が「液体噴射ヘッドおよびユニットベースの一方」の一例である。
【0057】
このような構成によっても、液体噴射ヘッド10とユニットベース20とを面接触させて、接触面積を増大し、ユニットベース20に対する液体噴射ヘッド10の固定力を向上することができる。
【0058】
つまり、受け面部材40は、液体噴射ヘッド10およびユニットベース20の一方に回転可能に設けられており、液体噴射ヘッド10とユニットベース20とは、受け面部材40の受け面41と液体噴射ヘッド10およびユニットベース20の他方とが当接した状態で固定されていればよい。
【0059】
なお、上述した実施形態1と変形例1とを組み合わせるようにしてもよい。つまり、第1固定面61と第2固定面62とが当接する4つの固定位置において、受け面部材40を液体噴射ヘッド10側に設けたものと、受け面部材40をユニットベース20側に設けたものとが混在するようにしてもよい。
(変形例2)
図9は、本発明の実施形態1のヘッドユニット2の変形例2を説明する要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0060】
図9に示すように、受け面部材40の受け面41と第2固定面62とは、接着剤70によって接着されている。例えば、液体噴射ヘッド10とユニットベース20とを固定部材30によって固定した後、第1固定面61と第2固定面62との間に接着剤70を流し込むことで、両者を接着するようにしてもよい。また、液体噴射ヘッド10とユニットベース20との少なくとも一方に接着剤70を塗布した状態で、両者を当接させて接着剤70によって仮固定した後、固定部材30による固定を行うようにしてもよい。もちろん、接着剤70が硬化する前に、固定部材30による固定を行うようにしてもよい。
【0061】
液体噴射ヘッド10とユニットベース20とを固定部材30によって固定した後、接着剤70を流し込む場合、受け面41と第2固定面62とは、直接、接触している部分と、隙間に毛細管力によって接着剤70が入り込んだ部分とが混在する。また、液体噴射ヘッド10とユニットベース20との少なくとも一方に接着剤70を塗布する場合には、受け面41と第2固定面62とが接着剤70を介して当接した状態となる。ちなみに、液体噴射ヘッド10とユニットベース20とを接着剤70を塗布してから当接させる際の圧力によっては、受け面41と第2固定面62とが直接、接触する場合もある。
【0062】
つまり、受け面41と第2固定面62とが面接触するとは、直接、接触しているもの、接着剤70を介して接触するもの、両者が混在するもの、を含む。
【0063】
なお、本実施形態の接着剤70は、受け面部材40と収容部19とを接着すると共に第1固定面61と第2固定面62とを接着する。もちろん、接着剤70は、受け面41と第2固定面62との間のみに設けられていてもよい。
【0064】
接着剤70を設けることで、ユニットベース20による液体噴射ヘッド10の固定力をさらに向上して、ノズルNの位置決め精度が低下するのを抑制することができる。
【0065】
もちろん、変形例1のように、受け面部材40をユニットベース20に設けた場合においても、受け面41を第1固定面61に接着剤70で接着してもよい。
【0066】
ただし、液体噴射ヘッド10とユニットベース20とを接着剤70で接着する場合、受け面部材40は回転可能に保持された部材に対しても接着される虞がある。このため、受け面部材40をユニットベース20側に設けると、受け面部材40がユニットベース20に対して固定されて、液体噴射ヘッド10を交換した際に、受け面41と交換した液体噴射ヘッド10との接触面積が減少する場合がある。液体噴射ヘッド10とユニットベース20とを接着剤70で接着する場合には、受け面部材40を液体噴射ヘッド10に設けることが好ましい。受け面部材40を液体噴射ヘッド10に設けることで、故障した液体噴射ヘッド10を交換する際に、固定された受け面部材40も同時に交換されるため、新たな液体噴射ヘッド10に設けられた受け面部材40の受け面41とユニットベース20の第2固定面62とを面接触させることができ、両者の接触面積を増大させることができる。
【0067】
(変形例3)
図10は、本発明の実施形態1のヘッドユニット2の変形例3を説明する要部断面図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0068】
図10に示すように、液体噴射ヘッド10は、収容部19と受け面部材40とを有し、収容部19と受け面部材40との間には、伸縮可能な弾性部材43が配置されている。収容部19には、弾性部材43を収容する凹部19bが設けられている。凹部19bは、受け面部材40にZ軸方向で対向する位置に開口して設けられている。つまり、弾性部材43は、収容部19と受け面部材40とがZ軸方向で対向する位置に配置されている。このような弾性部材43としては、Z軸方向に伸縮可能な材料、例えば、ゴム、エラストマー、圧縮コイルバネ等からなる。
【0069】
このように弾性部材43を設けることで、受け面部材40は収容部19に対して-Z方向に付勢される。このため、液体噴射ヘッド10は、4つの第1固定面61のZ軸方向の位置にばらつきがある場合や、第1固定面61に当接するユニットベース20の第2固定面62の4箇所でZ軸方向にばらつきがある場合であっても、弾性部材43が弾性変形することで、4つの固定位置の全てにおいて受け面部材40の受け面41を第2固定面62に面接触させることができる。ちなみに弾性部材43を設けていないと、4箇所の固定位置のうち3つの固定位置で液体噴射ヘッド10のZ軸方向の固定位置およびZ軸に対する傾きが決定されるため、残り1箇所の固定位置で受け面41が第2固定面62に当接しない場合がある。弾性部材43を設けることで、4箇所のそれぞれの固定位置で弾性部材43を弾性変形させて、受け面部材40をZ軸方向に移動させることができる。このため、4箇所全ての固定位置において受け面41を第2固定面62に当接させることができる。したがって、液体噴射ヘッド10とユニットベース20との接触面積をさらに増大させて、ユニットベース20による液体噴射ヘッド10の固定強度を向上して、ノズルNの位置決め精度の低下をさらに抑制することができる。
【0070】
(実施形態2)
図11は、本発明の実施形態2に係るヘッドユニット2の分解斜視図である。図12は、実施形態2に係るヘッドユニット2の断面図である。図13は、図12の要部を拡大した図である。なお、上述した実施形態と同様の部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0071】
本実施形態のヘッドユニット2を構成する複数の液体噴射ヘッド10Aの各々は、本体部100とスペーサー110とを有する。各本体部100は、スペーサー110を介してユニットベース20に固定される。
【0072】
液体噴射ヘッド10Aの本体部100は、上述した実施形態1の「液体噴射ヘッド10」に相当する。本体部100の基本的な構成は、上述したものと同様であるため重複する説明は省略する。
【0073】
本体部100を構成する流路部材14には、スペーサー110が取り付けられる凹形状を有する取付部101が設けられている。取付部101は、保持部材12の-Z方向を向く面に開口して設けられている。また、取付部101は、+Z方向に見て流路部材14のX軸方向の両方の縁部にY軸方向に亘って設けられている。つまり、取付部101は、2つ設けられている。各取付部101は、X軸方向を向く一方の側面と、Y軸方向を向く両方の側面とに開口して設けられている。この取付部101のそれぞれに2つのスペーサー110が固定される。
【0074】
スペーサー110は、第1固定部111と、第1固定部111よりもZ軸方向に薄い第2固定部112と、を具備する。
【0075】
第2固定部112には、Z軸方向に貫通する第2挿通孔113が設けられている。また、本体部100には、取付部101の-Z方向を向く底面に開口する第2固定穴102が設けられている。そして、第2固定部112の-Z方向を向く面側から第2挿通孔113に雄ねじであるネジ部材114を挿入して、ネジ部材114を本体部100の第2固定穴102に螺合させることで、スペーサー110は、本体部100の-Z方向を向く面に固定される。
【0076】
このようなスペーサー110は、ノズル面10aを平面視した際に、本体部100の外形内に収まる位置に配置されている。すなわち、Z軸方向から見た際に、スペーサー110は、本体部100に重なる位置に配置されている。
【0077】
このように本体部100をZ軸方向から見た際に、スペーサー110を本体部100に重なる位置に配置することで、Y軸方向で隣り合う液体噴射ヘッド10Aの間隔を狭くすることができると共に、ヘッドユニット2のX軸方向の幅が広くなるのを抑制することができる。
【0078】
このようなスペーサー110は、第1固定部111がユニットベース20の第2固定面62に固定される。すなわち、第1固定部111の-Z方向を向く面が第1固定面61となっている。
【0079】
第1固定部111には、第1固定穴18が設けられている。ユニットベース20には、上述した実施形態1と同様に第1固定穴18にZ軸方向で対向する位置に第1挿通孔22が設けられている。そして、ユニットベース20の-Z方向を向く面側から第1挿通孔22に雄ネジである固定部材30を挿入して、固定部材30をスペーサー110の第1固定穴18に螺合させることで、スペーサー110は、ユニットベース20の第2固定面62に固定される。
【0080】
なお、本実施形態では、1つの本体部100の4個の取付部101に対応して、4個のスペーサー110が設けられている。
【0081】
このようなスペーサー110には、受け面部材40が回転可能に設けられている。つまり、スペーサー110には、上述した収容部19と、収容部19に一部が収容された受け面部材40と、が設けられている。したがって、本実施形態において、液体噴射ヘッド10Aが「液体噴射ヘッドおよびユニットベースの一方」の一例であり、ユニットベース20が「液体噴射ヘッドおよびユニットベースの他方」の一例である。なお、収容部19と受け面部材40とは、上述した実施形態1と同様であるため重複する説明は省略する。
【0082】
このような構成であっても、上述した実施形態1と同様に、液体噴射ヘッド10Aとユニットベース20とを面接触させて、接触面積を増大させることができる。したがって、ユニットベース20に対する液体噴射ヘッド10Aの固定強度を向上して、ノズルNの位置決め精度が低下するのを抑制することができる。
【0083】
また、本体部100は、スペーサー110を介してユニットベース20に固定する構成とすることで、厚さの異なるスペーサー110を用いて複数の液体噴射ヘッド10Aの相対的なZ軸方向の高さや、液体噴射ヘッド10AのZ軸に対する傾き等を調整することができる。したがって、複数の本体部100のZ軸方向の寸法にばらつきがある場合であっても、厚さの異なるスペーサー110で本体部100のばらつきを調整して、複数の液体噴射ヘッド10Aのノズル面10aのZ軸方向の高さおよびZ軸に対する傾きを揃えることができる。特に、本実施形態では、スペーサー110を液体噴射ヘッド10Aから着脱自在とすることで、厚さの異なるスペーサー110に容易に交換することができる。したがって、各液体噴射ヘッド10Aから噴射されるインク滴の着弾位置ずれを抑制して印刷品質を向上することができる。もちろん、液体噴射ヘッド10Aのノズル面10aの高さおよび傾きを揃えた際に、受け面部材40が回転してユニットベース20に面接触することで、ユニットベース20に対する液体噴射ヘッド10Aの固定力を向上し、位置決め精度が低下するのを抑制することができる。
【0084】
なお、上述した実施形態1の変形例1と同様に、受け面部材40をユニットベース20に回転可能に設けるようにしてもよい。この場合、液体噴射ヘッド10Aが「液体噴射ヘッドおよびユニットベースの他方」の一例であり、ユニットベース20が「液体噴射ヘッドおよびユニットベースの一方」の一例である。また、受け面部材40は、4個のスペーサー110において、受け面部材40をスペーサー110側に設けたものと、受け面部材40をユニットベース20側に設けたものとが混在するようにしてもよい。
【0085】
また、上述した実施形態1の変形例2と同様に、受け面部材40の受け面41と、これが当接する部材とを上述した接着剤70によって接着するようにしてもよい。ただし、受け面部材40とこれが当接する部材とを接着する場合、受け面部材40は回転可能に保持された部材に対しても接着される虞がある。このため、受け面部材40はスペーサー110に設けることが好ましい。受け面部材40をスペーサー110に設けることで、故障した液体噴射ヘッド10Aを交換する際に、スペーサー110に固定された受け面部材40も同時に交換されるため、新たな液体噴射ヘッド10Aに設けられた受け面部材40の受け面41とユニットベース20の第2固定面62とを面接触させることができ、両者の接触面積を増大させることができる。また、受け面部材40をスペーサー110に設けることで、本体部100をユニットベース20から取り外した後に再度ユニットベース20に固定する場合に、受け面部材40が固定されたスペーサー110のみを交換するだけで、本体部100を再度ユニットベース20に固定することができるため、ユニットベース20から取り外した本体部100を廃棄する必要がなく、コストを低減することができる。
【0086】
また、本実施形態では、4つのスペーサー110のそれぞれに受け面部材40を設けるようにしたが、特にこれに限定されない。液体噴射ヘッド10やユニットベース20の寸法公差や歪みに法則性が見られる場合には、面接触し難いスペーサー110に選択的に受け面部材40を設け、面接触し易いスペーサー110には受け面部材40を設けないようにしてもよい。これにより受け面部材40を設けないスペーサー110を用いることができ、コストを低減することができる。つまり、受け面部材40は、4個のスペーサー110のうち、1個のスペーサー110のみに設けるようにしてもよく、2個以上のスペーサー110に設けるようにしてもよく、その数は特に限定されない。
【0087】
また、スペーサー110の数、すなわち、固定位置の数も特に限定されず、2つ以上であればよく、3個以上が好ましく、4個以上が好適である。
【0088】
さらに、本実施形態においても、上述した実施形態1の変形例3と同様に、収容部19と受け面部材40との間に伸縮可能な弾性部材43を設けるようにしてもよい。弾性部材43を設けることで、液体噴射ヘッド10とユニットベース20との接触面積をさらに増大させることができる。
【0089】
(他の実施形態)
以上、本発明の各実施形態について説明したが、本発明の基本的な構成は上述したものに限定されるものではない。
【0090】
上述した各実施形態では、受け面部材40として、球体を1つの平面で切断した形状、所謂、球欠としたが、特にこれに限定されない。図14図16は、受け面部材40の変形例を示す要部斜視図である。
【0091】
図14に示すように、受け面部材40は、球体を一対の平行な平面で切断された形状、所謂、球台であってもよい。
【0092】
また、図15に示すように、受け面部材40は、球状の球体部44と球体部44から突出した円柱状の突起部45と、を有する形状であってもよい。なお、突起部45は、三角柱状、四角柱状、楕円の円柱状であってもよく、先端面が平坦な受け面41を有する形状であれば、その形状は特に限定されない。
【0093】
また、図16に示すように、受け面部材40は、円盤を1つの平面で切断した形状となっていてもよい。このような受け面部材40は、XY平面に沿った仮想的な1軸を中心として回転可能となっている。つまり、受け面部材40が回転可能に保持されているとは、受け面部材40が少なくともZ軸方向と交差する方向に沿った仮想的な1軸を中心に回転可能になっていることを言う。
【0094】
また、上述した各実施形態では、各固定位置のそれぞれに1つの受け面部材40を設けるようにしたが、特にこれに限定されない。図17は、流路部材14の斜視図である。
【0095】
図17に示すように、1つの第1固定部14b、すなわち、1つの固定位置には、複数、本実施形態では、8個の受け面部材40が設けられている。つまり、第1固定面61は、8個の収容部19と、各収容部19に収容された受け面部材40と、を具備する。各収容部19および受け面部材40については、上述した実施形態1と同様であるため重複する説明は省略する。このように1箇所の固定位置に複数の受け面部材40を回転可能に設けることで、第1固定面61および第2固定面62がXY平面に対して多方向に歪んでいた場合であっても、複雑な歪みに対応してそれぞれの受け面部材40を回転させることができる。したがって、1つの固定位置に置いて複数の受け面部材40の受け面を第2固定面62に面接触させることができ、さらに接触面積を増大させて、ユニットベース20に対する液体噴射ヘッド10の固定強度をさらに向上することができる。もちろん、1つの固定位置に設ける受け面部材40の数は上述したものに限定されず、2個以上であればよい。また、変形例1~3、実施形態2等においても同様に、1つの固定位置に複数の受け面部材40を設けるようにしてもよい。
【0096】
また、上述した各実施形態では、固定部材30として雄ネジを例示したが、特にこれに限定されない。固定部材30の変形例を図18に示す。図18に示すように、例えば、固定部材30Aは、固定ピン31と弾性部材32とを具備する。固定ピン31は、Z軸方向に沿って設けられた棒状の軸部33と、軸部33の-Z方向の端部に設けられたフランジ部34と、軸部33の+Z方向の端部に設けられた係合凸部35と、を具備する。係合凸部35は、Z軸方向に直交する方向に沿って設けられている。
【0097】
ユニットベース20には、固定部材30Aの軸部33が挿通される第1挿通孔22が設けられている。弾性部材32は、圧縮コイルバネからなり、第1挿通孔22に挿通された固定部材30Aの軸部33の外周において、フランジ部34とユニットベース20との間に設けられている。このような弾性部材32によって、固定部材30Aは、ユニットベース20に対して-Z方向に付勢される。
【0098】
液体噴射ヘッド10の-Z方向を向く面には、-Z方向に向かって突出する第1固定部14bが設けられている。第1固定部14bの側面には、係合凹部25が開口して設けられている。
【0099】
固定部材30Aを、固定部材30Aとユニットベース20との間に設けられた弾性部材32を縮める方向へ押し込み、回転させることで、係合凸部35と係合凹部25とを係合させ、弾性部材32に復元力によって液体噴射ヘッド10とユニットベース20とを固定する。このような構成であっても、上述した各実施形態と同様に、第1固定部14bには、受け面部材40が回転可能に設けられているため、液体噴射ヘッド10とユニットベース20との接触面積を増大させることができる。
【0100】
もちろん係合凸部35は、XY平面において2方向に突出して、つまり、軸部33と係合凸部35とがT字状となるように設けられていてもよい。
【0101】
また、上述した液体噴射装置1では、ヘッドユニット2が筐体6に固定されて、媒体Sを搬送方向であるX軸方向に移動させるだけで印刷を行う構成を例示したが、特にこれに限定されない。例えば、ヘッドユニット2を筐体6に対してY軸方向に沿って往復移動させる移動機構を設け、ヘッドユニット2をY軸方向に沿って移動させると共に媒体SをX軸方向に搬送させることで、印刷を行う、所謂、シリアル式記録装置にも本発明を適用することができる。
【0102】
なお、移動機構としては、例えば、搬送体と搬送ベルトとを有する構成が挙げられる。搬送体は、ヘッドユニット2を収容する略箱形の構造体、所謂、キャリッジであり、搬送ベルトに固定される。また、搬送ベルトは、Y軸方向に沿って架設された無端ベルトである。搬送ベルトがモーター等の駆動力によって回転することで、ヘッドユニット2は搬送体と共にY軸方向に沿って往復移動する。もちろん、移動機構は上述のものに限定されるものではない。
【0103】
また、上述した各実施形態および各変形例では、液体噴射ヘッド10から+Z方向に向かってインクを噴射する構成を例示したが、特にこれに限定されず、X軸方向に沿ってインクを噴射するものであってもよい。
【0104】
さらに、本発明は、液体噴射ヘッドを備える液体噴射装置の全般を対象としたものであり、インクジェット式記録ヘッド等の記録ヘッドの他、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を備える液体噴射装置にも適用することができる。
【0105】
(付記)
以上に例示した形態から、例えば以下の構成が把握される。
【0106】
好適な態様である態様1に係る液体噴射装置は、液体を噴射する液体噴射ヘッドと、前記液体噴射ヘッドを支持するユニットベースと、複数の固定位置のそれぞれで前記液体噴射ヘッドと前記ユニットベースとを固定する複数の固定部材と、を備え、前記複数の固定位置のうち少なくとも1つの固定位置において、前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの一方には、平面状の受け面を有する受け面部材が回転可能に設けられ、前記受け面部材の前記受け面と前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの他方とが面接触した状態で、前記複数の固定部材によって前記液体噴射ヘッドと前記ユニットベースとが固定される。これにより、液体噴射ヘッドおよびユニットベースが受け面部材によって面接触することができるため、接触面積を増大させることができる。したがって、液体噴射ヘッドとユニットベースとの固定力を増加させて、液体噴射ヘッドのノズルの位置決め精度が低下するのを抑制することができる。
【0107】
態様1の具体例である態様2において、前記受け面部材は、曲面を有し、前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの前記一方は、前記受け面部材の一部を収容可能な、前記受け面部材の前記曲面に沿う収容部を有する。これによれば、受け面部材を収容部内で回転可能に保持することができる。
【0108】
態様2の具体例である態様3において、前記受け面部材の前記曲面は、仮想の球体の球面に沿う。これによれば、収容部の曲面を球体の球面に沿って設けることで、受け面部材を様々な方向に回転させることができ、受け面を対称となる傾いた面に面接触させることができる。
【0109】
態様1の具体例である態様4において、前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの前記一方は、前記受け面部材の一部を収容可能な収容部を有し、前記受け面部材と前記収容部との間には、伸縮可能な弾性部材が配置されている。これによれば、弾性部材を弾性変形させることで、複数の固定位置において受け面を対象に面接触させることができ、液体噴射ヘッドとユニットベースとの接触面積をさらに増大させることができる。
【0110】
態様4の具体例である態様5において、前記複数の固定位置は、4つ以上である。これによれば、4つの固定位置のうち、3つの固定位置で固定姿勢が決まるが、弾性部材が弾性変形することで残り1つの固定位置においても受け面を面接触させることができる。したがって、液体噴射ヘッドとユニットベースとの接触面積を増大させることができる。
【0111】
態様1の具体例である態様6において、前記複数の固定位置の全てにおいて、前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの前記一方には、前記受け面部材が回転可能に設けられている。これによれば、全ての固定位置において面接触することができ、液体噴射ヘッドとユニットベースとの接触面積を増大させることができる。
【0112】
態様1の具体例である態様7において、前記液体噴射ヘッドは、液体を噴射するノズル面を有する本体部と、前記本体部に着脱可能に固定された複数のスペーサーとを有し、前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの前記他方は、前記ユニットベースであり、前記複数の固定位置において、前記複数のスペーサーと前記ユニットベースとが当接した状態で前記複数の固定部材によって前記液体噴射ヘッドと前記ユニットベースとが固定され、前記受け面部材は、前記スペーサーに設けられている。これによれば、液体噴射ヘッドが複数のスペーサーによってユニットベースに固定されることで、厚さの異なるスペーサーを用いて液体噴射ヘッドのユニットベースに対する固定位置を調整することができる。また、スペーサーに受け面部材を設けることで、受け面部材の交換を容易に行うことができる。
【0113】
態様7の具体例である態様8において、前記受け面部材の前記受け面と前記ユニットベースとが、接着されている。これによれば、固定部材で固定する前にユニットベースと液体噴射ヘッドとを接着して仮固定することができ、固定部材による固定を容易に行うことができる。また、固定部材による固定と接着とを併用することで固定強度をさらに向上することができる。また、スペーサーに受け面部材を設ける場合、接着剤によってスペーサーと受け面部材とが接着されても、スペーサーのみを交換すれば、受け面部材が回転可能なスペーサーを用いることができ、ユニットベースに対して液体噴射ヘッドを着脱する際に液体噴射ヘッドを再度ユニットベースに固定することができるため、コストを低減することができる。
【0114】
態様1の具体例である態様9において、1つの前記固定位置に、複数の前記受け面部材が設けられている。これによれば、固定位置の当接面に反り等の歪みが生じていても、この歪みに追従して複数箇所で面接触が可能となり、1つの固定位置における接触面積を増大させることができる。
【0115】
態様1の具体例である態様10において、前記液体噴射ヘッドおよび前記ユニットベースの前記一方は、前記受け面部材の一部を収容可能な収容部を有し、前記収容部の開口を平面視した際に、前記受け面部材は、前記収容部内において前記開口よりも外側に突出した部分を有する。これによれば、受け面部材に開口部の外側に突出した部分を設けることで、受け面部材が収容部から脱落するのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0116】
1…液体噴射装置、2…ヘッドユニット、3…液体貯留部、3a…供給管、4…制御部、5…搬送機構、5a…搬送ローラー、6…筐体、10、10A…液体噴射ヘッド、10a…ノズル面、11…ヘッドチップ、12…保持部材、13…カバー、13a…露出開口部、14…流路部材、14a…突起部、14b…第1固定部、15…ホルダー、16…配線基板、17…フレキシブルケーブル、18…第1固定穴、19…収容部、19a…開口、19b…凹部、20…ユニットベース、21…保持部、22…第1挿通孔、23…供給孔、24…ケーブル用開口、25…係合凹部、30、30A…固定部材、31…固定ピン、32…弾性部材、33…軸部、34…フランジ部、35…係合凸部、40…受け面部材、40a…部分、41…受け面、42…外周面、43…弾性部材、44…球体部、45…突起部、50…中継基板、61…第1固定面、62…第2固定面、70…接着剤、100…本体部、101…取付部、102…第2固定穴、110…スペーサー、111…第1固定部、112…第2固定部、113…第2挿通孔、114…ネジ部材、200…仮想の球体、201…球面、N…ノズル、S…媒体
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