(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007444
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】電動スライドレール及び電動スライドレールを備えた乗物用シート
(51)【国際特許分類】
B60N 2/07 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
B60N2/07
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023105923
(22)【出願日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】63/367,408
(32)【優先日】2022-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐山 達雄
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087AA02
3B087BA02
3B087BB03
(57)【要約】
【課題】 外部荷重に対して、スライダの位置を保持することができる電動スライドレールを提供する。
【解決手段】 電動スライドレール1は、レール11と、スライダ12と、スライダに支持されたねじアセンブリ35と、ねじアセンブリを駆動する電動モータ36とを有する。ねじアセンブリは、電動モータの出力軸36Aに、軸方向に移動可能に接続されると共に、出力軸と共に回転する接続軸37と、接続軸の回転に応じて回転すると共に、レール11のねじ係合部57、58に係合したねじ部材38、39と、接続軸を、接続軸の軸線方向に移動させるアクチュエータ61と、ギヤケース41に設けられた第1係合部62と、接続軸に設けられた第2係合部63とを有する。接続軸が第1位置にあるときに、第1係合部と第2係合部とが互いに係合し、接続軸が第2位置にあるときに、第1係合部と第2係合部とが互いに離間する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動スライドレールであって、
ねじ係合部が設けられたレールと、
前記レールにスライド可能に支持されたスライダと、
前記スライダに支持され、前記ねじ係合部と係合するねじアセンブリと、
前記ねじアセンブリを駆動する電動モータとを有し、
前記ねじアセンブリは、
前記電動モータの出力軸に、軸方向に移動可能に接続されると共に、前記出力軸と共に回転する接続軸と、
ギヤを介して前記接続軸に連結され、前記接続軸の回転に応じて回転すると共に、前記ねじ係合部に係合したねじ部材と、
前記接続軸及び前記ねじ部材を回転可能に支持するギヤケースと、
前記接続軸を、前記接続軸の軸線方向に移動させるアクチュエータと、
前記ギヤケースに設けられた第1係合部と、
前記接続軸に設けられた第2係合部とを有し、
前記接続軸が前記接続軸の軸線方向における第1位置にあるときに、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合し、前記ギヤケースに対する前記接続軸の回転が規制され、
前記接続軸が前記接続軸の軸線方向における第2位置にあるときに、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに離間し、前記ギヤケースに対する前記接続軸の回転が許容される電動スライドレール。
【請求項2】
前記ねじアセンブリは、前記接続軸を前記第1位置に付勢する付勢部材を有する請求項1に記載の電動スライドレール。
【請求項3】
前記接続軸には、フランジが設けられ、
前記アクチュエータは前記フランジを前記接続軸の軸線方向に押圧する請求項2に記載の電動スライドレール。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記フランジに接続され、前記アクチュエータの側方に配置されている請求項3に記載の電動スライドレール。
【請求項5】
前記アクチュエータは、前記接続軸の軸線方向に伸縮可能なソレノイドアクチュエータである請求項4に記載の電動スライドレール。
【請求項6】
前記接続軸は、前記ギヤケースを貫通して延び、
前記フランジは、前記接続軸の前記出力軸側の端部と相反する端部に設けられている請求項5に記載の電動スライドレール。
【請求項7】
前記アクチュエータは、前記ギヤケースに支持されている請求項1に記載の電動スライドレール。
【請求項8】
前記フランジは、前記接続軸に対して回転可能かつ、前記接続軸の軸線方向に移動不能に設けられ、
前記付勢部材の一端は、前記フランジに結合されている請求項3に記載の電動スライドレール。
【請求項9】
前記フランジは、前記接続軸に対して回転不能かつ、前記接続軸の軸線方向に移動不能に設けられ、
前記付勢部材の一端は、前記フランジに摺接している請求項3に記載の電動スライドレール。
【請求項10】
前記付勢部材は、前記ギヤケースの内部に配置されたコイルばねであり、前記付勢部材の内部を前記接続軸が通過している請求項2に記載の電動スライドレール。
【請求項11】
請求項1~請求項10のいずれか1つの項に記載の電動スライドレールを備えた乗物用シートであって、
前記レールが乗物のフロアに結合され、
前記スライダがシートクッションに結合されている乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動スライドレール及び電動スライドレールを備えた乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、レールと、レールにスライド移動可能に設けられたスライダと、回転可能にスライダに支持されたねじ部材を含むねじアセンブリと、ねじ部材を回転させる電動モータと、ねじ部材と係合するようにレールに形成されたねじ係合部とを有する電動スライドレールを開示している。ねじ係合部に噛み合うねじ部材が回転することによって、レールに対してスライダが移動する。スライダには、車両用シートのシートクッションが結合されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開番号WO2020/141600A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電動スライドレールでは、シートクッションを介してスライダに過剰な荷重が加わった場合に、ねじ部材及び電動モータが回転して、スライダがレールに対して移動する虞がある。
【0005】
本発明は、以上の背景を鑑み、外部荷重に対して、スライダの位置を保持することができる電動スライドレールを提供することを課題とする。また、外部荷重に対して、シートクッションの位置を保持すること乗物用シートを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、電動スライドレール(1)であって、ねじ係合部(57、58)が設けられたレール(11)と、前記レールにスライド可能に支持されたスライダ(12)と、前記スライダに支持され、前記ねじ係合部と係合するねじアセンブリ(35)と、前記ねじアセンブリを駆動する電動モータ(36)とを有し、前記ねじアセンブリは、前記電動モータの出力軸(36A)に、軸方向に移動可能に接続されると共に、前記出力軸と共に回転する接続軸(37)と、ギヤ(37A、38B、39B)を介して前記接続軸に連結され、前記接続軸の回転に応じて回転すると共に、前記ねじ係合部に係合したねじ部材(38、39)と、前記接続軸及び前記ねじ部材を回転可能に支持するギヤケース(41)と、前記接続軸を、前記接続軸の軸線方向に移動させるアクチュエータ(61)と、前記ギヤケースに設けられた第1係合部(62)と、前記接続軸に設けられた第2係合部(63)とを有し、前記接続軸が前記接続軸の軸線方向における第1位置にあるときに、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合し、前記ギヤケースに対する前記接続軸の回転が規制され、前記接続軸が前記接続軸の軸線方向における第2位置にあるときに、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに離間し、前記ギヤケースに対する前記接続軸の回転が許容される。
【0007】
この態様によれば、接続軸が第1位置にあるときに、第1係合部と第2係合部とが互いに係合して接続軸の回転が規制される。これにより、ねじ部材の回転が規制され、レールに対するスライダの移動が規制される。すなわち、外部荷重に対して、スライダの位置を保持することができる電動スライドレールを提供することができる。
【0008】
また、上記の態様において、前記ねじアセンブリは、前記接続軸を前記第1位置に付勢する付勢部材(65)を有してもよい。
【0009】
この態様によれば、アクチュエータが駆動していないときに、付勢部材によって接続軸は第1位置に配置され、接続軸及びねじ部材の回転が規制される。
【0010】
また、上記の態様において、前記接続軸には、フランジ(64A)が設けられ、前記アクチュエータは前記フランジを前記接続軸の軸線方向に押圧してもよい。
【0011】
この態様によれば、アクチュエータを接続軸の側方に平行に配置することができ、アクチュエータをスペース効率良く配置することができる。
【0012】
また、上記の態様において、前記付勢部材は、前記フランジに接続され、前記アクチュエータの側方に配置されてもよい。
【0013】
この態様によれば、付勢部材及びアクチュエータをスペース効率良く配置することができる。
【0014】
また、上記の態様において、前記アクチュエータは、前記接続軸の軸線方向に伸縮可能なソレノイドアクチュエータであってもよい。
【0015】
この態様によれば、アクチュエータを接続軸の周囲にスペース効率良く配置することができる。
【0016】
また、上記の態様において、前記接続軸は、前記ギヤケースを貫通して延び、前記フランジは、前記接続軸の前記出力軸側の端部と相反する端部に設けられてもよい。
【0017】
この態様によれば、電動モータとねじ部材とを近づけて配置することができる。これにより、接続軸の捩じれを抑制することができる。
【0018】
また、上記の態様において、前記アクチュエータは、前記ギヤケースに支持されてもよい。
【0019】
この態様によれば、ケースを利用してアクチュエータを支持することができる。
【0020】
また、上記の態様において、前記フランジは、前記接続軸に対して回転可能かつ、前記接続軸の軸線方向に移動不能に設けられ、前記付勢部材の一端は、前記フランジに結合されてもよい。
【0021】
この態様によれば、回転する接続軸を、付勢部材によって付勢することができる。
【0022】
また、上記の態様において、前記フランジは、前記接続軸に対して回転不能かつ、前記接続軸の軸線方向に移動不能に設けられ、前記付勢部材の一端は、前記フランジに摺接してもよい。
【0023】
この態様によれば、回転する接続軸を、付勢部材によって付勢することができる。
【0024】
また、上記の態様において、前記付勢部材は、前記ギヤケースの内部に配置されたコイルばねであり、前記付勢部材の内部を前記接続軸が通過してもよい。
【0025】
この態様によれば、付勢部材をスペース効率良く配置することができる。
【0026】
また、本発明の他の態様は、上記の電動スライドレールを備えた乗物用シートであって、前記レールが乗物のフロア(3)に結合され、前記スライダがシートクッション(5)に結合されている。
【0027】
この態様によれば、外部荷重に対して、シートクッションの位置を保持することができる車両用シートを提供することができる。
【発明の効果】
【0028】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、電動スライドレール(1)であって、ねじ係合部(57、58)が設けられたレール(11)と、前記レールにスライド可能に支持されたスライダ(12)と、前記スライダに支持され、前記ねじ係合部と係合するねじアセンブリ(35)と、前記ねじアセンブリを駆動する電動モータ(36)とを有し、前記ねじアセンブリは、前記電動モータの出力軸(36A)に、軸方向に移動可能に接続されると共に、前記出力軸と共に回転する接続軸(37)と、ギヤ(37A、38B、39B)を介して前記接続軸に連結され、前記接続軸の回転に応じて回転すると共に、前記ねじ係合部に係合したねじ部材(38、39)と、前記接続軸及び前記ねじ部材を回転可能に支持するギヤケース(41)と、前記接続軸を、前記接続軸の軸線方向に移動させるアクチュエータ(61)と、前記ギヤケースに設けられた第1係合部(62)と、前記接続軸に設けられた第2係合部(63)とを有し、前記接続軸が前記接続軸の軸線方向における第1位置にあるときに、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに係合し、前記ギヤケースに対する前記接続軸の回転が規制され、前記接続軸が前記接続軸の軸線方向における第2位置にあるときに、前記第1係合部と前記第2係合部とが互いに離間し、前記ギヤケースに対する前記接続軸の回転が許容される。
【0029】
この態様によれば、接続軸が第1位置にあるときに、第1係合部と第2係合部とが互いに係合して接続軸の回転が規制される。これにより、ねじ部材の回転が規制され、レールに対するスライダの移動が規制される。すなわち、外部荷重に対して、スライダの位置を保持することができる電動スライドレールを提供することができる。
【0030】
また、上記の態様において、前記ねじアセンブリは、前記接続軸を前記第1位置に付勢する付勢部材(65)を有してもよい。
【0031】
この態様によれば、アクチュエータが駆動していないときに、付勢部材によって接続軸は第1位置に配置され、接続軸及びねじ部材の回転が規制される。
【0032】
また、上記の態様において、前記接続軸には、フランジ(64A)が設けられ、前記アクチュエータは前記フランジを前記接続軸の軸線方向に押圧してもよい。
【0033】
この態様によれば、アクチュエータを接続軸の側方に平行に配置することができ、アクチュエータをスペース効率良く配置することができる。
【0034】
また、上記の態様において、前記付勢部材は、前記フランジに接続され、前記アクチュエータの側方に配置されてもよい。
【0035】
この態様によれば、付勢部材及びアクチュエータをスペース効率良く配置することができる。
【0036】
また、上記の態様において、前記アクチュエータは、前記接続軸の軸線方向に伸縮可能なソレノイドアクチュエータであってもよい。
【0037】
この態様によれば、アクチュエータを接続軸の周囲にスペース効率良く配置することができる。
【0038】
また、上記の態様において、前記接続軸は、前記ギヤケースを貫通して延び、前記フランジは、前記接続軸の前記出力軸側の端部と相反する端部に設けられてもよい。
【0039】
この態様によれば、電動モータとねじ部材とを近づけて配置することができる。これにより、接続軸の捩じれを抑制することができる。
【0040】
また、上記の態様において、前記アクチュエータは、前記ギヤケースに支持されてもよい。
【0041】
この態様によれば、ケースを利用してアクチュエータを支持することができる。
【0042】
また、上記の態様において、前記フランジは、前記接続軸に対して回転可能かつ、前記接続軸の軸線方向に移動不能に設けられ、前記付勢部材の一端は、前記フランジに結合されてもよい。
【0043】
この態様によれば、回転する接続軸を、付勢部材によって付勢することができる。
【0044】
また、上記の態様において、前記フランジは、前記接続軸に対して回転不能かつ、前記接続軸の軸線方向に移動不能に設けられ、前記付勢部材の一端は、前記フランジに摺接してもよい。
【0045】
この態様によれば、回転する接続軸を、付勢部材によって付勢することができる。
【0046】
また、上記の態様において、前記付勢部材は、前記ギヤケースの内部に配置されたコイルばねであり、前記付勢部材の内部を前記接続軸が通過してもよい。
【0047】
この態様によれば、付勢部材をスペース効率良く配置することができる。
【0048】
また、本発明の他の態様は、上記の電動スライドレールを備えた乗物用シートであって、前記レールが乗物のフロア(3)に結合され、前記スライダがシートクッション(5)に結合されている。
【0049】
この態様によれば、外部荷重に対して、シートクッションの位置を保持することができる車両用シートを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】実施形態に係る電動スライドレール備えた乗物用シートの構成図
【
図3】電動スライドレールの断面図(
図2のIII-III断面図)
【
図7】接続軸が第1位置にある状態のねじアセンブリの説明図
【
図8】接続軸が第2位置にある状態のねじアセンブリの説明図
【
図11】第1係合部及び第2係合部の変形例を示す説明図
【
図12】第1係合部及び第2係合部の変形例を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。電動スライドレールは、レールと、レールに対してスライド移動可能なスライダとを有する。レールは第1の構造体に結合され、スライダは第2の構造体に結合される。レールに対してスライダが移動することによって、電動スライドレールは第1の構造体に対して第2の構造体を移動させる。電動スライドレールは、例えば、車両のフロアとシートとの間に設けられ、フロアに対してシートを移動させる。また、電動スライドレールは、基台とワークホルダとの間に設けられ、基台に対してワークホルダを移動させる。
【0052】
以下、図面を参照して電動スライドレール1及び電動スライドレール1を備えた乗物用シート2の実施形態について説明する。
図1に示すように、乗物用シート2は、その下部に少なくとも1つの電動スライドレール1を有し、電動スライドレール1において車両のフロア3に結合されている。乗物用シート2は、乗員の臀部を支持するシートクッション5と、シートクッション5の後部から上方に延び、乗員の背部を支持するシートバック6とを有する。電動スライドレール1は、フロア3とシートクッション5との間に設けられ、フロア3に対してシートクッション5をスライド移動可能に支持する。乗物用シート2は、一対の電動スライドレール1を有することが好ましい。
【0053】
図2に示すように、電動スライドレール1は、前後方向に延在するレール11と、レール11にスライド可能に係合するスライダ12とを有する。レール11の延在方向を前後方向とする。レール11の延在方向は、車両の前後方向と一致してもよく、一致しなくてもよい。すなわち、レール11の延在方向は、車両への搭載方向を限定するものではない。本実施形態では、レール11の延在方向は、車両の前後方向と一致する。本実施形態では、スライダ12はレール11に対して上側に設けられている。そのため、レール11をロアレール、スライダ12をアッパレールと称してもよい。
【0054】
図3及び
図4に示すように、レール11は、溝形の断面を有する。詳細には、レール11は、面が上下を向くレール底壁14と、レール底壁14の左右の縁部から上方に延びて面が左右を向く左右のレール外側壁15と、左右のレール外側壁15の上端からそれぞれ互いに近づく方向に延び、面が上下を向く左右のレール上壁16と、左右のレール上壁16の内端からそれぞれ下方に延び、面が左右を向く左右のレール内側壁17とを有する。左右のレール内側壁17は、請求項の第1側壁及び第2側壁に対応する。
【0055】
レール底壁14、左右のレール外側壁15、左右のレール上壁16、及び左右のレール内側壁17は、それぞれ前後に延在している。左右のレール外側壁15及び左右のレール内側壁17は、互いに平行に、かつレール底壁14に対して垂直に延在している。左右のレール内側壁17の下端は、レール底壁14に対して間隔をおいて配置されている。レール11は、その上部に前後に延びるレール開口19を有する。レール開口19は、左右のレール内側壁17によって画定されている。レール11は、金属板をプレス成形することによって形成されているとよい。レール底壁14の左右の縁側部は、上方に隆起した段部21を有してもよい。左右の段部21は、前後に延在し、その上面が平坦に形成されている。
【0056】
左右のレール内側壁17のそれぞれには、互いに近づく方向に突出すると共に、前後方向に延びた突部22が形成されている。左右の突部22の断面は、円弧状又は台形状に形成されているとよい。各突部22は、対応するレール内側壁17において、上下方向における中間部に配置されているとよい。左右のレール内側壁17の上端部及び下端部は、突部22よりも左右外方に配置されている。
【0057】
図3に示すように、スライダ12は、レール開口19の開口端に配置され、面が上下を向く板状のベース部25と、ベース部25の左右の側縁からレール底壁14側、すなわち下方に延びる左右のスライダ内側壁26と、左右のスライダ内側壁26の下端からそれぞれ左右外方に延びる左右のスライダ下壁27と、左右のスライダ下壁27の左右外端から上方に延びる左右のスライダ外側壁28とを有する。左右のスライダ内側壁26は、請求項の第3側壁及び第4側壁に対応する。ベース部25、左右のスライダ内側壁26、左右のスライダ下壁27、及び左右のスライダ外側壁28は、前後に延在している。
【0058】
スライダ12は、プレス成形又はロール成形された複数の金属板を互いに締結することによって形成されているとよい。複数の金属板は、ベース部25において互いに重ね合わされ、締結されることによってスライダ12が形成されている。他の実施形態では、スライダ12はプレス成形又はロール成形された1枚の金属板から形成されてもよい。スライダ12の前後長は、レール11の前後長に対して短く設定されている。スライダ12は、ベース部25において、シートクッション5に結合される。
【0059】
ベース部25は、左右のレール上壁16よりも上方に配置されてもよく、左右のレール上壁16よりも下方に配置されてもよい。左右のスライダ内側壁26は、面が左右を向き、左右に互いに距離をおいて対向する。左右のスライダ内側壁26は、左右のレール内側壁17の間に配置されている。各スライダ内側壁26は、左右において対応するレール内側壁17と隙間を介して対向する。各スライダ下壁27は、レール底壁14と左右において対応するレール11内壁の下端の間を通過して左右に延びている。各スライダ12外壁は、左右において対応するレール外側壁15及びレール内側壁17の間に配置されている。各スライダ外側壁28の左右方向における外面側には、複数の車輪31が回転可能に支持されている。各車輪31は、左右方向回りの回転軸を有し、レール底壁14に接地している。本実施形態では、各車輪31は、レール底壁14の段部21の上面に接地している。スライダ12は、車輪31を介してレール11に接地することによって、レール11に対して円滑にスライド移動することができる。以上の構成により、スライダ12はレール11に受容され、かつレール11にスライド可能に係合する。他の実施形態では、スライダ12はボールやローラーベアリングを介してレール11に支持されてもよい。
【0060】
スライダ12は、ベース部25と、左右のスライダ内側壁26とによって、レール底壁14側、すなわち下方に向けて開口する溝形に形成されている。
図3及び
図5に示すように、スライダ12には、ねじアセンブリ35及び電動モータ36が支持されている。ねじアセンブリ35及び電動モータ36は、ベース部25の下面に支持されている。電動モータ36は、ねじアセンブリ35を駆動する。
【0061】
図3及び
図7に示すように、ねじアセンブリ35は、接続軸37と、ねじ部材38、39と、ギヤケース41とを有する。本実施形態では、ねじ部材38、39は、第1ねじ部材38と第2ねじ部材39とを含む。他の実施形態では、ねじアセンブリ35は、単一のねじ部材を有してもよい。接続軸37、第1ねじ部材38、第2ねじ部材39は、ギヤケース41に回転可能に支持されている。
【0062】
接続軸37は、電動モータ36の出力軸36Aに、軸方向に移動可能に接続されると共に、出力軸36Aと共に回転する。出力軸36Aの端部と接続軸37の端部とは、カップリング36Bによって互いに接続されているとよい。カップリング36Bは、出力軸36Aに対する接続軸37の軸方向への移動を所定の範囲で許容する一方、出力軸36Aに対する接続軸37の周方向への移動を規制する。すなわち、出力軸36Aと接続軸37とは、共に回転する。カップリング36Bは、例えば、出力軸36Aの端部に結合され、接続軸37側に向けて開口した嵌合溝を有する。嵌合溝は、出力軸36Aの回転軸線に対して直交する方向に延びているとよい。接続軸37は、嵌合溝に嵌合する平板状の凸部を有するとよい。凸部は、嵌合溝に出力軸36Aの軸線方向に移動可能に嵌合しているとよい。
【0063】
第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39は、長手方向における中間部の外周面にねじ山38A、39Aを有する。
図5に示すように、ギヤケース41は、第1ブラケット42によって、スライダ12に結合されている。
【0064】
図6に示すように、ギヤケース41は、前後に長い直方体の箱形に形成されている。ギヤケース41は、第1ねじ部材38と、第2ねじ部材39と、接続軸37とを回転可能に支持している。第1ねじ部材38、第2ねじ部材39、及び接続軸37は、それぞれ前後に延び、互いに並列にギヤケース41に配置されている。ギヤケース41は、互いに結合されたロアケース41Aとアッパケース41Bとを有する。第1ねじ部材38、第2ねじ部材39、及び接続軸37は、ロアケース41A及びアッパケース41Bの間に回転可能に支持されている。
【0065】
図7に示すように、第1ねじ部材38はギヤケース41の左側部に沿って配置され、第2ねじ部材39はギヤケース41の右側部に沿って配置されている。接続軸37は、第1ねじ部材38と第2ねじ部材39との中間部の下方に配置されている。接続軸37は、ギヤケース41内において駆動ギヤ37Aを有する。第1ねじ部材38は、駆動ギヤ37Aに噛み合う第1ギヤ38Bを有する。第2ねじ部材39は、駆動ギヤ37Aに噛み合う第2ギヤ39Bを有する。駆動ギヤ37A、第1ギヤ38B、及び第2ギヤ39Bのそれぞれは、平歯車であってよい。接続軸37が回転すると、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39は互いに同一方向に回転する。すなわち、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39は、駆動ギヤ37A、第1ギヤ38B、第2ギヤ39Bを介して接続軸37に連結され、接続軸37の回転に応じて回転する。第1ギヤ38Bと第2ギヤ39Bとは、対称形であってよい。
【0066】
接続軸37は、ギヤケース41内においてはベベルギヤ37Bを有する。ベベルギヤ37Bは、駆動ギヤ37Aの側部に結合されているとよい。
図6に示すように、アッパケース41Bには、上下に貫通する第1開口41Cが形成されている。
図2に示すように、スライダ12のベース部25には、上下に貫通し、第1開口41Cと対向する第2開口25Aが形成されている。ベベルギヤ37Bは、第1開口41C及び第2開口25Aを介してスライダ12の上方に露出している。これにより、作業者は、第1開口41C及び第2開口25Aを通して工具をギヤケース41内に挿入し、工具をベベルギヤ37Bに噛み合わせることによって接続軸37を回転させることができる。
【0067】
図5及び
図6に示すように、ギヤケース41は、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39を側方に露出させるための開口であるケース開口48を有する。第1ねじ部材38のねじ山38Aは、ギヤケース41の左側部に形成されたケース開口48を通過して左方に突出している。同様に、第2ねじ部材39のねじ山39Aは、ギヤケース41の右側部に形成されたケース開口48を通過して右方に突出している。
【0068】
第1ブラケット42は、前後に延在し、前端に設けられた第1結合部42Aと、後端に設けられた第2結合部42Bとを有する。第1ブラケット42は、第1結合部42A及び第2結合部42Bにおいてスライダ12のベース部25の下面に結合されている。第1ブラケット42は、第1結合部42Aから第2結合部42Bに延びる支持部42Cを有する。第1ブラケット42は、第1結合部42A、第2結合部42B、支持部42Cを含む一体的な金属製の部材であるとよい。支持部42Cは、第1結合部42A及び第2結合部42Bに対して下方に位置する部分を有する。支持部42Cによって第1ブラケット42はベース部25と協働して閉構造を形成する。ギヤケース41はスライダ12のベース部25と支持部42Cとの間に配置されている。第1ブラケット42は、金属板を折曲成形することに形成されている。第1結合部42Aはギヤケース41の前部から前方に延出し、第2結合部42Bはギヤケース41の後部から後方に延出している。第1結合部42A及び第2結合部42Bは、ねじやリベット等の締結部材によってベース部25に締結されているとよい。第1結合部42A及び第2結合部42Bの締結点間の距離は、ギヤケース41の前後長よりも長く設定されている。
【0069】
第1ブラケット42の後方には、電動モータ36をスライダ12のベース部25に支持するための第2ブラケット51が設けられている。第2ブラケット51は、ベース部25の下面に結合されている。第2ブラケット51は、下方に向けて開口する溝形に形成され、電動モータ36を受容する。第2ブラケット51は、電動モータ36を係止する複数の係止爪51Aを有する。また、第2ブラケット51は、左右のスライダ内側壁26を係止する複数の係止爪51Bを有する。
【0070】
図7に示すように、接続軸37の後端は、ギヤケース41から後方に突出している。電動モータ36の出力軸36Aは、第1ブラケット42に形成された貫通孔を通過して前方に延び、カップリング36Bを介して、接続軸37の後端に接続されている。
【0071】
電動モータ36の出力軸36Aと接続軸37との間に、減速機が設けられてもよい。減速機は、例えば、遊星歯車機構であるとよい。
【0072】
図3に示すように、ねじアセンブリ35、電動モータ36、第1ブラケット42、及び第2ブラケット51は、ベース部25の下方、かつ左右のスライダ内側壁26の間に配置されている。左右のスライダ内側壁26は、ねじアセンブリ35と対応する位置に開口であるスライダ開口55を有する。スライダ開口55は、スライダ内側壁26に形成されている。第1ねじ部材38のねじ山38Aの左部は、ギヤケース41の左側のケース開口48及び左側のスライダ内側壁26のスライダ開口55を通過して左側のスライダ内側壁26の左方に突出している。同様に、第2ねじ部材39のねじ山39Aの右部は、ギヤケース41の右側のケース開口48及び右側のスライダ内側壁26のスライダ開口55を通過して右側のスライダ内側壁26の右方に突出している。
【0073】
図2~
図4に示すように、レール11には、前後方向に延在し、ねじ部材38、39と係合するねじ係合部57、58が設けられている。ねじ係合部57、58は、左側のレール内側壁17に形成され、第1ねじ部材38のねじ山38Aに噛み合う第1ねじ係合部57と、右側のレール内側壁17に形成され、第2ねじ部材39のねじ山39Aに噛み合う第2ねじ係合部58とを有する。第1ねじ係合部57及び第2ねじ係合部58は、対応するレール内側壁17の突部22に形成されている。第1ねじ係合部57及び第2ねじ係合部58は、突部22に前後方向に並んで形成された複数の係合孔59を含む。
図3に示すように、第1ねじ部材38は、第1ねじ部材38のねじ山38Aの左部において第1ねじ係合部57の複数の係合孔59と噛み合い、前後方向周りに回転することによって第1ねじ係合部57に対して前後に移動する。同様に、第2ねじ部材39は、第2ねじ部材39のねじ山39Aの右部において第2ねじ係合部58の複数の係合孔59と噛み合い、前後方向周りに回転することによって第2ねじ係合部58に対して前後に移動する。
【0074】
図7に示すように、ねじアセンブリ35は、接続軸37を、接続軸37の軸線方向に移動させるアクチュエータ61と、ギヤケース41に設けられた第1係合部62と、接続軸37に設けられた第2係合部63とを有する。接続軸37には、フランジ64Aが設けられている。フランジ64Aは、接続軸37を中心とした円板に形成されているとよい。フランジ64Aは、接続軸37のギヤケース41から後方に突出した部分に設けられているとよい。フランジ64Aは、接続軸37に対して回転不能かつ、接続軸37の軸線方向に移動不能に設けられている。
【0075】
アクチュエータ61は、接続軸37の軸線方向に伸縮可能なソレノイドアクチュエータであるとよい。アクチュエータ61は、ギヤケース41と電動モータ36との間に配置されているとよい。アクチュエータ61は、接続軸37と平行に延び、接続軸37の側方に配置されているとよい。これにより、アクチュエータ61を接続軸37の周囲にスペース効率良く配置することができる。アクチュエータ61は、ギヤケース41、第1ブラケット42、第2ブラケット51のいずれかに支持されるとよい。また、アクチュエータ61はスライダ12に支持されてもよい。
【0076】
接続軸37は、接続軸37の軸線方向において第1位置と第2位置との間で変位可能にギヤケース41に支持されている。接続軸37は、ストッパ66に当接することによって、第1位置及び第2位置において移動範囲が規制されている。ストッパ66は、ギヤケース41又はスライダ12に設けられているとよい。接続軸37が第1位置から第2位置に移動すると、接続軸37は電動モータ36から離れる方向に移動する。第1位置及び第2位置において、接続軸37及び出力軸36Aの接続は維持され、接続軸37及び出力軸36Aは共に回転する。すなわち、接続軸37の位置に関わらず、接続軸37及び出力軸36Aは常に共に回転する。また、第1位置及び第2位置において、駆動ギヤ37Aは第1ギヤ38B及び第2ギヤ39Bと噛み合いを維持する。すなわち、接続軸37の位置に関わらず、接続軸37、第1ねじ部材38、及び第2ねじ部材39は常に共に回転する。
【0077】
ねじアセンブリ35は、接続軸37を第1位置に付勢する付勢部材65を有する。付勢部材65は、圧縮コイルばね、引っ張りコイルばね、板ばね、ねじりばね等であってよい。付勢部材65の一端は接続軸37のフランジ64Aに当接しているとよい。付勢部材65の他端は、スライダ12、ギヤケース41、電動モータ36、第1ブラケット42、第2ブラケット51のいずれかに当接又は結合されているとよい。本実施形態では、付勢部材65は、圧縮コイルばねであり、フランジ64Aと第1ブラケット42とに当接している。付勢部材65は、アクチュエータ61の側方に配置されてもよい。
【0078】
図9に示すように、第1係合部62は、ギヤケース41に形成された複数の凸部であるとよい。第1係合部62は、ギヤケース41の後壁に形成された、接続軸37を支持するための貫通孔の周囲に設けられているとよい。また、第2係合部63は、接続軸37の外周面に形成された複数の凸部であるとよい。第2係合部63は、接続軸37において駆動ギヤ37Aとギヤケース41の後壁との間に設けられているとよい。
【0079】
接続軸37が第1位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とが互いに係合し、ギヤケース41に対する接続軸37の回転が規制される。接続軸37が第1位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とは接続軸37の周方向において互いに当接する。接続軸37が第2位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とが互いに離間し、ギヤケース41に対する接続軸37の回転が許容される。接続軸37が第2位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とは接続軸37の軸方向に離れている。そのため、第2係合部63が第1係合部62に当接せず、ギヤケース41に対して接続軸37が回転可能になる。
【0080】
アクチュエータ61は、フランジ64Aを押し、接続軸37を第1位置から第2位置に移動させる。アクチュエータ61はフランジ64Aを接続軸37の軸線方向に押圧する。
【0081】
図10に示すように、左右の電動スライドレール1の電動モータ36、アクチュエータ61は、制御装置67によって制御される。制御装置67は、電子制御装置であり、マイクロプロセッサ(MPU)、不揮発性メモリ、揮発性メモリ、及びインターフェースを有する演算装置である。制御装置67は、不揮発性メモリに記憶されたプログラムをマイクロプロセッサが実行することによって、各種のアプリケーションを実現する。制御装置67には、操作スイッチ68が接続されている。操作スイッチ68は使用者の入力操作を受け付け、入力操作に応じた信号を制御装置67に出力する。操作スイッチ68は、スライダ12の前移動に対応した前操作、スライダ12の後移動に対応した後操作に対応した信号を出力する。操作スイッチ68は、使用者によって操作されている間、信号の出力を継続する。
【0082】
操作スイッチ68が操作されていないとき、制御装置67は電動モータ36及びアクチュエータ61を駆動しない。アクチュエータ61が駆動していない初期状態では、
図7に示すように、付勢部材65に付勢されて接続軸37は第1位置に位置する。このとき、第1係合部62と第2係合部63とが互いに係合しているため、接続軸37の回転が規制され、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39の回転も記載されている。そのため、第1ねじ係合部57に対する第1ねじ部材38の位置が維持されると共に、第2ねじ係合部58に対する第2ねじ部材39の位置が維持され、レール11に対するスライダ12の移動が規制される。これにより、シートクッション5を介してスライダ12に前後荷重が加わっても、スライダ12はレール11に対して移動しない。
【0083】
使用者は乗物用シート2を前後に移動させたいとき、操作スイッチ68を操作する。操作スイッチ68は、使用者によって操作されている間、制御装置67に信号を出力し続ける。制御装置67は、操作スイッチ68から信号を受けると、最初にアクチュエータ61を駆動させ、アクチュエータ61を伸張させる。これにより、アクチュエータ61がフランジ64Aを押すため、
図8に示すように、接続軸37が第1位置から第2位置に移動して、第1係合部62と第2係合部63との係合が解除される。この状態を、ロック解除状態とする。次に、制御装置67は、電動モータ36を駆動させる。これにより、電動モータ36が回転し、出力軸36A、接続軸37、第1ねじ部材38、及び第2ねじ部材39が回転する。その結果、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39が同一方向に回転する。第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39が回転すると、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39が第1ねじ係合部57及び第2ねじ係合部58に対して前後に移動し、レール11に対してスライダ12が前後に移動する。
【0084】
使用者が操作スイッチ68の操作を止めると、制御装置67は電動モータ36の駆動を停止し、続いてアクチュエータ61の駆動を停止する。これにより、付勢部材65の付勢力によって、接続軸37が第2位置から第1位置に移動する。
【0085】
以上の実施形態に係る電動スライドレール1によれば、接続軸37が第1位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とが互いに係合して接続軸37の回転が規制される。これにより、第1ねじ部材38及び第2ねじ部材39の回転が規制され、レール11に対するスライダ12の移動が規制される。すなわち、外部荷重に対して、スライダ12の位置を保持することができる電動スライドレール1を提供することができる。
【0086】
アクチュエータ61及び付勢部材65が接続軸37の側方に平行に配置されるため、アクチュエータ61及び付勢部材65をスライダ12にスペース効率良く配置することができる。
【0087】
以下に上記の実施形態の変形例について説明する。
図11及び
図12に、第1係合部62及び第2係合部63の変形例を示す。第1係合部62は、ギヤケース41に形成された嵌合孔であってもよい。
図11に示すように、第1係合部62の断面は、正六角形等の多角形に形成されているとよい。接続軸37は第1係合部62を通過して延び、その外周面に突設された第1係合部62を有する。第1係合部62は第1係合部62に回転不能に嵌合する形状に形成されているとよい。接続軸37が第1位置にあるときに第1係合部62は第1係合部62に嵌合し、接続軸37が第2位置にあるときに第1係合部62は第1係合部62から離脱する。
【0088】
図12に示すように、第1係合部62及び第2係合部63は、互いに嵌合するスプライン穴と、スプライン軸であってもよい。
【0089】
図13に示すように、第1変形例では、接続軸37の前端は、ギヤケース41から前方に突出している。フランジ64Aは、接続軸37の前端に回転可能かつ軸線方向に移動不能に設けられている。すなわち、フランジ64Aは、接続軸37の出力軸36A側の端部と相反する端部に設けられている。付勢部材65は、ギヤケース41又は第1ブラケット42の前端とフランジ64Aとに結合されている。付勢部材65は、引っ張りコイルばねである。付勢部材65は、接続軸37を後方に付勢する。アクチュエータ61は、ギヤケース41又は第1ブラケット42の前端に設けられ、フランジ64Aを前方に向けて押圧する。すなわち、付勢部材65及びアクチュエータ61は、フランジ64Aとギヤケース41の前端との間に設けられている。第1係合部62は、ギヤケース41の前端及び後端に設けられているとよい。第2係合部63は、前後の第1係合部62に対応する位置に設けられているとよい。
図13では、接続軸37は第1位置に位置し、第1係合部62と第2係合部63とが互いに係合している。接続軸37は、第1位置から、第2位置に向けて前方に移動する。接続軸37が第2位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とが互いに離れ、接続軸37は回転可能になる。
【0090】
図14に示すように、第2変形例では、フランジ64Aは、接続軸37に回転可能かつ軸線方向に移動不能に設けられている。フランジ64Aは、ギヤケース41から後方に突出した接続軸37の後端に設けられている。付勢部材65は、第1ブラケット42とフランジ64Aとに結合されている。付勢部材65は、引っ張りコイルばねである。付勢部材65は、接続軸37を前方に付勢する。接続軸37の前端は、ギヤケース41及び第1ブラケット42の前端から前方に突出している。アクチュエータ61は、接続軸37と同軸に配置され、接続軸37の前端を後方に向けて押圧する。第1係合部62は、ギヤケース41の前端及び後端に設けられているとよい。第2係合部63は、前後の第1係合部62に対応する位置に設けられているとよい。
図14では、接続軸37は第1位置に位置し、第1係合部62と第2係合部63とが互いに係合している。接続軸37は、第1位置から、第2位置に向けて後方に移動する。接続軸37が第2位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とが互いに離れ、接続軸37は回転可能になる。
【0091】
図15に示すように、第3変形例では、接続軸37の前端は、ギヤケース41から前方に突出している。フランジ64Aは、接続軸37の前端に回転可能かつ軸線方向に移動不能に設けられている。フランジ64Aの前方には、スライダ12又は第1ブラケット42に結合された支持壁71が設けられている。付勢部材65は、フランジ64Aと支持壁71に結合されている。付勢部材65は、引っ張りコイルばねである。付勢部材65は、接続軸37を前方に付勢する。アクチュエータ61は、支持壁71に設けられ、フランジ64Aを後方に向けて押圧する。すなわち、付勢部材65及びアクチュエータ61は、フランジ64Aと支持壁71との間に設けられている。第1係合部62は、ギヤケース41の前端及び後端に設けられているとよい。第2係合部63は、前後の第1係合部62に対応する位置に設けられているとよい。
図15では、接続軸37は第1位置に位置し、第1係合部62と第2係合部63とが互いに係合している。接続軸37は、第1位置から、第2位置に向けて後方に移動する。接続軸37が第2位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とが互いに離れ、接続軸37は回転可能になる。
【0092】
図16に示すように、第4変形例では、接続軸37の前端は、ギヤケース41から前方に突出している。接続軸37の後端には後フランジ64Bが設けられ、接続軸37の前端には前フランジ64Cが設けられている。後フランジ64B及び前フランジ64Cは、接続軸37の前端に回転可能かつ軸線方向に移動不能に設けられている。付勢部材65は、前フランジ64Cとギヤケース41又は第1ブラケット42の前端とに結合されている。付勢部材65は、引っ張りコイルばねである。付勢部材65は、接続軸37を後方に付勢する。アクチュエータ61は、第2ブラケット51に設けられ、後フランジ64Bを前方に向けて押圧する。すなわち、第1係合部62は、ギヤケース41の前端及び後端に設けられているとよい。第2係合部63は、前後の第1係合部62に対応する位置に設けられているとよい。
図16では、接続軸37は第1位置に位置し、第1係合部62と第2係合部63とが互いに係合している。接続軸37は、第1位置から、第2位置に向けて前方に移動する。接続軸37が第2位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とが互いに離れ、接続軸37は回転可能になる。
【0093】
図17に示すように、第5変形例では、フランジ64Aは、接続軸37の後端に回転可能かつ軸線方向に移動不能に設けられている。付勢部材65は、フランジ64Aと第2ブラケット51に結合されている。付勢部材65は、引っ張りコイルばねである。付勢部材65は、接続軸37を後方に付勢する。アクチュエータ61は、第2ブラケット51に設けられ、フランジ64Aを前方に向けて押圧する。すなわち、付勢部材65及びアクチュエータ61は、フランジ64Aと第2ブラケット51との間に設けられている。第1係合部62は、ギヤケース41の前端及び後端に設けられているとよい。第2係合部63は、前後の第1係合部62に対応する位置に設けられているとよい。
図17では、接続軸37は第1位置に位置し、第1係合部62と第2係合部63とが互いに係合している。接続軸37は、第1位置から、第2位置に向けて前方に移動する。接続軸37が第2位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とが互いに離れ、接続軸37は回転可能になる。
【0094】
図18に示すように、第6変形例では、接続軸37の後端に後フランジ64Bが回転可能かつ軸線方向に移動不能に設けられている。また、ギヤケース41内において、接続軸37に中間フランジ64Dが回転不能かつ軸線方向に移動不能に設けられている。他の実施形態では、中間フランジ64Dは、回転可能かつ軸線方向に移動不能に設けられてもよい。付勢部材65は、ギヤケース41に設けられた支持壁77と中間フランジ64Dとに当接している。付勢部材65は、圧縮コイルばねであり、接続軸37を周囲に支持されている。付勢部材65の各端部は、支持壁77と中間フランジ64Dとに摺接している。中間フランジ64Dは、支持壁77の後方に配置されている。付勢部材65は、中間フランジ64D及び接続軸37を後方に付勢する。アクチュエータ61は、電動モータ36又は第2ブラケット51の前端に設けられ、後フランジ64Aを前方に向けて押圧する。第1係合部62は、ギヤケース41の前端及び後端に設けられているとよい。第2係合部63は、前後の第1係合部62に対応する位置に設けられているとよい。
図18では、接続軸37は第1位置に位置し、第1係合部62と第2係合部63とが互いに係合している。接続軸37は、第1位置から、第2位置に向けて前方に移動する。接続軸37が第2位置にあるときに、第1係合部62と第2係合部63とが互いに離れ、接続軸37は回転可能になる。
【0095】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えばレール11が左右方向、或いは上下方向に延びるように、電動スライドレール1は対象物に配置されてもよい。レール11及びスライダ12の形状は目的に合わせて適宜変更することができる。上記実施形態では、本発明を車両用のシートに適用した例を説明したが、本発明に係る乗物シートは航空機用や鉄道用等の様々なシートに適用することもできる。
【0096】
また、駆動ギヤ37Aは前後一対設けられてもよく、第1ギヤ38B及び第2ギヤ39Bは駆動ギヤ37Aに対応して前後一対設けられてもよい。
【0097】
上記の実施形態及び変形例では、アクチュエータ61が駆動していないときに接続軸37が第1位置に位置し、第1係合部62と第2係合部63とが互いに係合する構成としたが、他の実施形態では、アクチュエータ61が駆動していないときに接続軸37が第2位置に位置し、第1係合部62と第2係合部63とが互いに離れる構成にしてもよい。この場合、付勢部材65は接続軸37を第2位置に付勢し、アクチュエータ61は駆動時に接続軸37を第1位置に押すとよい。
【符号の説明】
【0098】
1 :電動スライドレール
2 :乗物用シート
3 :フロア
5 :シートクッション
6 :シートバック
11 :レール
12 :スライダ
35 :ねじアセンブリ
36 :電動モータ
36A :出力軸
36B :カップリング
37 :接続軸
37A :駆動ギヤ
38 :第1ねじ部材
38B :第1ギヤ
39 :第2ねじ部材
39B :第2ギヤ
41 :ギヤケース
42 :第1ブラケット
51 :第2ブラケット
57 :第1ねじ係合部
58 :第2ねじ係合部
61 :アクチュエータ
62 :第1係合部
63 :第2係合部
64A :フランジ
65 :付勢部材