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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074468
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】冷却器及びバッテリ収容筐体
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6556 20140101AFI20240524BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240524BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240524BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240524BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20240524BHJP
【FI】
H01M10/6556
H01M10/613
H01M10/6568
H01M10/625
H01M10/647
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185626
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】390039929
【氏名又は名称】三桜工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100114270
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 朋也
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 伸司
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031AA09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】冷却器の大型化及び冷却液の圧力損失の増大を抑制しつつ、外部からの衝撃により破壊された際に冷却液がバッテリにかかるのを抑制する。
【解決手段】冷却器4は、バッテリ2を冷却するための冷却器である。冷却器4は、冷却液通路11と、冷却液通路11を開放する第一開口26及び第二開口27と、を有する冷却プレート部21と、第一開口26及び第二開口27を覆うように冷却プレート部21に接合された第一蓋部31及び第二蓋部41と、を備える。冷却プレート部21は、バッテリ2側に配置される冷却壁部22と、冷却壁部22のバッテリ2とは反対側に配置されて冷却壁部22と対向する底壁部23と、を有する。第一蓋部31又は第二蓋部41は、冷却壁部22の底壁部23側に配置されており、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度は、冷却壁部22の破壊強度よりも低い。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリを冷却するための冷却器であって、
冷却液通路と、前記冷却液通路を開放する開口と、を有する冷却プレート部と、
前記開口を覆うように前記冷却プレート部に接合された蓋部と、を備え、
前記冷却プレート部は、前記バッテリ側に配置される冷却壁部と、前記冷却壁部の前記バッテリとは反対側に配置されて前記冷却壁部と対向する底壁部と、を有し、
前記蓋部は、前記冷却壁部の前記底壁部側に配置されており、
前記蓋部の破壊強度は、前記冷却壁部の破壊強度よりも低い、
冷却器。
【請求項2】
前記冷却プレート部は、前記冷却壁部と前記底壁部とに接続されて互いに対向する一対の側壁部を更に有し、
前記蓋部の破壊強度は、前記底壁部及び前記一対の側壁部の破壊強度よりも低い、
請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記蓋部の板厚は、前記冷却壁部の板厚よりも薄い、
請求項1に記載の冷却器。
【請求項4】
前記冷却壁部は、前記蓋部と接合される冷却壁接合部を有し、
前記蓋部は、前記冷却壁部と接合される蓋接合部を有し、
前記蓋接合部の板厚は、前記冷却壁接合部の板厚よりも薄い、
請求項1に記載の冷却器。
【請求項5】
前記蓋部は、前記蓋部の他の部位よりも破断しやすい脆弱部を有する、
請求項1に記載の冷却器。
【請求項6】
前記蓋部は、切欠きを有する、
請求項1に記載の冷却器。
【請求項7】
前記蓋部は、前記冷却プレート部の長手方向における端部に配置されており、
前記冷却プレート部と前記蓋部とは、前記長手方向から外部からの衝撃を受けた際に前記冷却壁部が破壊されるよりも前に前記冷却プレート部と前記蓋部との接合部が破壊されるように、接合されている、
請求項1に記載の冷却器。
【請求項8】
前記冷却プレート部と前記蓋部との接合強度は、前記冷却壁部の破壊強度よりも低い、
請求項1に記載の冷却器。
【請求項9】
前記蓋部は、溶接により前記冷却壁部に接合されており、
前記冷却壁部と前記蓋部との溶接幅は、前記冷却壁部の板厚よりも狭い、
請求項1に記載の冷却器。
【請求項10】
前記蓋部は、
前記冷却プレート部と接合される蓋本体と、
前記蓋本体と接合されて、前記冷却液通路に対して冷却液を供給又は排出するための冷却液チューブが接続されるポートと、を有し、
前記ポートの破壊強度は、前記冷却壁部の破壊強度よりも低い、
請求項1に記載の冷却器。
【請求項11】
前記蓋部は、
前記冷却プレート部と接合される蓋本体と、
前記蓋本体と接合されて、前記冷却液通路に対して冷却液を供給又は排出するための冷却液チューブが接続されるポートと、を有し、
前記蓋本体と前記ポートとの接合強度は、前記冷却壁部の破壊強度よりも低い、
請求項1に記載の冷却器。
【請求項12】
バッテリを収容するバッテリ収容筐体であって、
前記バッテリの周囲に配置される枠体と、
前記枠体に取り付けられて前記バッテリが載置される請求項1~11の何れか一項に記載の冷却器と、を備える、
バッテリ収容筐体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、バッテリ等を冷却する冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に搭載された蓄電池(バッテリ)を冷却する冷却器が記載されている。この冷却器は、蓄電池の底面側を覆うとともに冷却液配管を形成する冷却プレートを備える。この冷却器では、冷却配管の蓄電池とは反対側の底面である底壁部に、冷却液流路の延出方向に沿って延出する凹条が形成されている。これにより、車両の床面に対して衝撃が加わった際に、底面部を優先的に破損させることができるため、蓄電池に冷却液がかかるのを適切に防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-080244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された凹条は、冷却プレートの肉厚を一部だけ薄くすることにより形成される。しかしながら、冷却プレートを押出成形する場合、冷却プレートの肉厚を一部だけ薄くすると、材料の流れが悪くなって成形不良となる可能性がある。このため、冷却プレートの肉厚を一部だけ薄くする場合は、冷却プレートを全体的に肉厚にする必要がある。その結果、冷却プレートの大型化を招くという問題がある。しかも、冷却液配管に凹条が形成されると、冷却液配管を流れる冷却液に乱流が発生しやすくなる。このため、冷却液配管を流れる冷却液の圧力損失が大きくなるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明の一側面は、冷却器の大型化及び冷却液の圧力損失の増大を抑制しつつ、外部からの衝撃により破壊された際に冷却液がバッテリにかかるのを抑制することができる冷却器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1] 本発明の一側面に係る冷却器は、バッテリを冷却するための冷却器であって、冷却液通路と、冷却液通路を開放する開口と、を有する冷却プレート部と、開口を覆うように冷却プレート部に接合された蓋部と、を備え、冷却プレート部は、バッテリ側に配置される冷却壁部と、冷却壁部のバッテリとは反対側に配置されて冷却壁部と対向する底壁部と、を有し、蓋部は、冷却壁部の底壁部側に配置されており、蓋部の破壊強度は、冷却壁部の破壊強度よりも低い。
【0007】
この冷却器では、冷却プレート部の冷却壁部をバッテリ側に配置して、冷却液通路に冷却液を流通させることで、バッテリを冷却することができる。そして、蓋部の破壊強度が冷却壁部の破壊強度よりも低くなっている。このため、冷却プレート部に凹部を形成しなくても、衝撃を受けた際に、冷却壁部が破壊されるよりも前に蓋部が破壊されやすくなる。これにより、冷却器の大型化及び冷却液の圧力損失の増大を抑制しつつ、外部からの衝撃により冷却器が破壊された際に冷却液がバッテリにかかるのを抑制することができる。なお、蓋部の破壊には、蓋部自体の破壊だけでなく、冷却プレート部と蓋部との接合部の破壊も含まれる。
【0008】
[2] [1]に記載の冷却器において、冷却プレート部は、冷却壁部と底壁部とに接続されて互いに対向する一対の側壁部を更に有し、蓋部の破壊強度は、底壁部及び一対の側壁部の破壊強度よりも低くてもよい。この冷却器では、蓋部の破壊強度が底壁部及び一対の側壁部の破壊強度よりも低いことで、衝撃を受けた際に、底壁部及び一対の側壁部が破壊されるよりも前に蓋部が破壊されやすくなる。これにより、外部からの衝撃により冷却器が破壊された際に冷却液がバッテリにかかるのを更に抑制することができる。
【0009】
[3] [1]又は[2]に記載の冷却器において、蓋部の板厚は、冷却壁部の板厚よりも薄くてもよい。この冷却器では、蓋部の板厚が冷却壁部の板厚よりも薄いことで、蓋部の破壊強度を冷却壁部の破壊強度よりも低くすることができる。
【0010】
[4] [1]~[3]の何れか一つに記載の冷却器において、冷却壁部は、蓋部と接合される冷却壁接合部を有し、蓋部は、冷却壁部と接合される蓋接合部を有し、蓋接合部の板厚は、冷却壁接合部の板厚よりも薄くてもよい。この冷却器では、蓋接合部の板厚が冷却壁接合部の板厚よりも薄いことで、蓋部の破壊強度を冷却壁部の破壊強度よりも低くすることができる。
【0011】
[5] [1]~[4]の何れか一つに記載の冷却器において、蓋部は、蓋部の他の部位よりも破断しやすい脆弱部を有してもよい。この冷却器では、蓋部が蓋部の他の部位よりも破断しやすい脆弱部を有することで、蓋部の破壊強度を冷却壁部の破壊強度よりも低くすることができる。また、外部からの衝撃を受けた際に、蓋部が脆弱部から破壊されやすくなるため、蓋部の破壊の基点及び進行を制御しやすくすることができる。
【0012】
[6] [1]~[5]の何れか一つに記載の冷却器において、蓋部は、切欠きを有してもよい。この冷却器では、蓋部が切欠きを有することで、蓋部の破壊強度を冷却壁部の破壊強度よりも低くすることができる。また、外部からの衝撃を受けた際に、蓋部が切欠きから破壊されやすくなるため、蓋部の破壊の基点及び進行を制御しやすくすることができる。
【0013】
[7] [1]~[6]の何れか一つに記載の冷却器において、蓋部は、冷却プレート部の長手方向における端部に配置されており、冷却プレート部と蓋部とは、長手方向から外部からの衝撃を受けた際に冷却壁部が破壊されるよりも前に冷却プレート部と蓋部との接合部が破壊されるように、接合されていてもよい。この冷却器では、長手方向から外部からの衝撃を受けた際に冷却壁部が破壊されるよりも前に冷却プレート部と蓋部との接合部が破壊されるように、冷却プレート部と蓋部とが接合されている。このため、長手方向から外部からの衝撃を受けた際に、冷却壁部が破壊されるよりも前に冷却プレート部と蓋部との接合部が破壊されやすくなる。これにより、長手方向から受けた外部からの衝撃により冷却器が破壊された際に冷却液がバッテリにかかるのを更に抑制することができる。
【0014】
[8] [1]~[7]の何れか一つに記載の冷却器において、冷却プレート部と蓋部との接合強度は、冷却壁部の破壊強度よりも低くてもよい。この冷却器では、冷却プレート部と蓋部との接合強度が冷却壁部の破壊強度よりも低いことで、蓋部の破壊強度を冷却壁部の破壊強度よりも低くすることができる。
【0015】
[9] [1]~[8]の何れか一つに記載の冷却器において、蓋部は、溶接により冷却壁部に接合されており、冷却壁部と蓋部との溶接幅は、冷却壁部の板厚よりも狭くてもよい。この冷却器では、蓋部が溶接により冷却壁部に接合されており、冷却壁部と蓋部との溶接幅が冷却壁部の板厚よりも狭いことで、蓋部の破壊強度を冷却壁部の破壊強度よりも低くすることができる。
【0016】
[10] [1]~[9]の何れか一つに記載の冷却器において、蓋部は、冷却プレート部と接合される蓋本体と、蓋本体と接合されて、冷却液通路に対して冷却液を供給又は排出するための冷却液チューブが接続されるポートと、を有し、ポートの破壊強度は、冷却壁部の破壊強度よりも低くてもよい。この冷却器では、ポートの破壊強度が冷却壁部の破壊強度よりも低いことで、蓋部の破壊強度を冷却壁部の破壊強度よりも低くすることができる。なお、ポートの破壊には、ポート自体の破壊だけでなく、蓋本体とポートとの接合部の破壊も含まれる。
【0017】
[11] [1]~[10]の何れか一つに記載の冷却器において、蓋部は、冷却プレート部と接合される蓋本体と、蓋本体と接合されて、冷却液通路に対して冷却液を供給又は排出するための冷却液チューブが接続されるポートと、を有し、蓋本体とポートとの接合強度は、冷却壁部の破壊強度よりも低くてもよい。この冷却器では、蓋本体とポートとの接合強度が冷却壁部の破壊強度よりも低いことで、蓋部の破壊強度を冷却壁部の破壊強度よりも低くすることができる。
【0018】
[12] 本発明の一側面に係るバッテリ収容筐体は、バッテリを収容するバッテリ収容筐体であって、バッテリの周囲に配置される枠体と、枠体に取り付けられてバッテリが載置される[1]~[11]の何れか一つに記載の冷却器と、を備える。このバッテリ収容筐体では、上述した冷却器を備えるため、冷却器の大型化及び冷却液の圧力損失の増大を抑制しつつ、外部からの衝撃により冷却器が破壊された際に冷却液がバッテリにかかるのを抑制することができる。
【0019】
以下の通りである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一側面によれば、冷却器の大型化及び冷却液の圧力損失の増大を抑制しつつ、衝撃を受けて破壊された際に冷却液がバッテリにかかるのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係るバッテリ収容筐体を示す、下方から見た斜視図である。
図2図1に示すバッテリ収容筐体の、下方から見た分解斜視図である。
図3】本実施形態に係る冷却器を示す、下方から見た斜視図である。
図4図3に示すIV-IV線における断面図である。
図5】冷却器の第一長手方向における端部を示す底面図である。
図6】冷却器の第二長手方向における端部を示す底面図である。
図7】冷却器の第一長手方向における端部の、冷却プレート部と第一蓋部とを接合する前の状態を示す、下方から見た斜視図である。
図8】冷却器の第二長手方向における端部の、冷却プレート部と第二蓋部とを接合する前の状態を示す、下方から見た斜視図である。
図9】冷却壁部と第一蓋部又は第二蓋部との接合部を拡大した側面図である。
図10】第一蓋部の変形例を示す、下方から見た斜視図である。
図11】第二蓋部の変形例を示す、下方から見た斜視図である。
図12図4に示す第一蓋部又は第二蓋部の一部拡大図である。
図13】変形例の冷却器を示す底面図である。
図14図13に示す冷却器の第一長手方向における端部の、冷却プレート部と第一蓋部とを接合する前の状態を示す、下方から見た斜視図である。。
図15図13に示す冷却器の第二長手方向における端部の、冷却プレート部と第二蓋部とを接合する前の状態を示す、下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、実施形態に係る冷却器及びバッテリ収容筐体を説明する。本実施形態に係る冷却器は、電気自動車等の車両に搭載されるバッテリを冷却するためのものである。本実施形態に係るバッテリ収容筐体は、電気自動車等の車両に搭載されるバッテリを収容して当該バッテリを冷却するためのものである。なお、各図において同一又は相当する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るバッテリ収容筐体を示す、下方から見た斜視図である。図2は、図1に示すバッテリ収容筐体の、下方から見た分解斜視図である。図1及び図2に示すように、本実施形態に係るバッテリ収容筐体1は、複数のバッテリ2を収容するための筐体である。バッテリ収容筐体1は、例えば、車両の床下に搭載されるため、薄い矩形の板状に形成されている。バッテリ2としては、例えば、車両に搭載されるリチウムイオン電池等が用いられる。バッテリ2は、細長い矩形の板状に形成されている。複数のバッテリ2は、各バッテリ2の短手方向に配列された状態で、バッテリ収容筐体1に収容される。バッテリ収容筐体1において、各バッテリ2の短手方向となる方向を第一方向D1といい、各バッテリ2の長手方向となる方向を第二方向D2という。第二方向D2は、第一方向D1に対して垂直な方向である。
【0024】
バッテリ収容筐体1は、複数のバッテリ2の周囲に配置される枠体3と、枠体3に接続されて複数のバッテリ2が載置される複数の冷却器4と、を備える。
【0025】
枠体3は、第一方向D1に延びて互いに対向する一対のサイドメンバ5,5と、第二方向D2に延びて互いに対向する一対のクロスメンバ6,6と、を有する。枠体3は、一対のサイドメンバ5,5の両端部と一対のクロスメンバ6,6の両端部とが接続されることで、矩形の枠状に形成されている。バッテリ収容筐体1が車両に搭載される際は、例えば、一対のサイドメンバ5,5が延びる第一方向D1が車両前後方向に向けられ、一対のクロスメンバ6,6が延びる第二方向D2が車幅方向に向けられる。
【0026】
複数の冷却器4は、枠体3に取り付けられることでバッテリ収容筐体1の底面を形成する。複数の冷却器4は、各バッテリ2に対応して設けられており、複数の冷却器4のそれぞれは、載置された複数のバッテリ2のそれぞれを冷却する。冷却器4は、バッテリ2に対応するように細長い矩形の板状に形成されている。つまり、複数の冷却器4は、第二方向D2に延びて、第一方向D1に配列されている。枠体3に対する複数の冷却器4の取り付けは、例えば、ネジ7を複数の冷却器4から枠体3にねじ込むことにより行うことができる。
【0027】
図3は、本実施形態に係る冷却器を示す下方から見た斜視図である。図4は、図3に示すIV-IV線における断面図である。図1図4に示すように、本実施形態に係る冷却器4は、長手方向L及び長手方向Lに垂直な幅方向Wに延びる矩形状に形成されており、長手方向L及び幅方向Wに垂直な高さ方向Hが薄くなっている。冷却器4は、幅方向Wよりも長手方向Lの方が長く形成されている。バッテリ収容筐体1においては、幅方向Wが第一方向D1となり、長手方向Lが第二方向D2となる。なお、長手方向Lの一方の方向を第一長手方向L1といい、長手方向Lの他方の方向を第二長手方向L2という。また、高さ方向Hの一方の方向であってバッテリ2側に向く方向を上方向H1といい、高さ方向Hの他方の方向であってバッテリ2とは反対側に向く方向を下方向H2という。
【0028】
図5は、冷却器の第一長手方向における端部を示す底面図である。図6は、冷却器の第二長手方向における端部を示す底面図である。図1図6に示すように、冷却器4は、冷却液通路11と、第一ポート12と、第二ポート13と、第一取付部14と、第二取付部15と、を備える。
【0029】
冷却液通路11は、冷却液が流通可能な通路(空間)である。第一ポート12及び第二ポート13は、冷却液通路11に連通されて、冷却液通路11に対して冷却液を供給又は排出するためのポートである。第一ポート12及び第二ポート13には、冷却液通路11に対して冷却液を供給又は排出するための冷却液チューブ(不図示)が接続される。第一ポート12は、冷却器4の第一長手方向L1における端部に位置する。第二ポート13は、冷却器4の第二長手方向L2における端部に位置する。このため、冷却液は、第一ポート12又は第二ポート13の何れか一方から冷却液通路11に供給され、冷却液通路11を長手方向Lに流通し、第一ポート12又は第二ポート13の何れか他方から排出される。冷却液は、冷却液通路11を流通する際に冷却器4から熱を奪うことで、冷却器4を冷却する。
【0030】
第一取付部14及び第二取付部15は、冷却器4をバッテリ収容筐体1の枠体3に取り付けるための部分である。第一取付部14は、冷却器4の第一長手方向L1における端部に位置して、枠体3の一方側のサイドメンバ5に取り付けられる。第二取付部15は、冷却器4の第二長手方向L2における端部に位置して、枠体3の他方側のサイドメンバ5に取り付けられる。第一取付部14及び第二取付部15は、例えば、冷却器4を枠体3に取り付けるためのネジ7が挿入される貫通穴である。
【0031】
図7は、冷却器の第一長手方向における端部の、冷却プレート部と第一蓋部とを接合する前の状態を示す、下方から見た斜視図である。図8は、冷却器の第二長手方向における端部の、冷却プレート部と第二蓋部とを接合する前の状態を示す、下方から見た斜視図である。図1図8に示すように、冷却器4は、冷却プレート部21と、冷却プレート部21に接合された第一蓋部31及び第二蓋部41と、を備える。
【0032】
冷却プレート部21は、冷却液通路11を形成して冷却器4の本体をなす。冷却プレート部21は、冷却壁部22と、底壁部23と、一対の側壁部24,24と、複数の区画壁25と、を備える。
【0033】
冷却壁部22は、冷却器4の天壁となる部分である。冷却壁部22は、バッテリ2から熱を奪ってバッテリ2を冷却するために、バッテリ2側に配置されている。冷却壁部22は、長手方向L及び幅方向Wに延びる矩形の板状に形成されている。冷却壁部22の第一長手方向L1における端部に、第一取付部14の一部が形成されており、冷却壁部22の第二長手方向L2における端部に、第二取付部15の一部が形成されている。
【0034】
底壁部23は、冷却器4の底壁となる部分である。底壁部23は、冷却壁部22のバッテリ2とは反対側に配置されて、冷却壁部22と対向している。底壁部23は、冷却壁部22の下方向H2に位置して、冷却壁部22と同様に長手方向L及び幅方向Wに延びる矩形の板状に形成されている。
【0035】
一対の側壁部24,24は、冷却器4の一対の側壁となる部分である。一対の側壁部24,24は、冷却壁部22と底壁部23とに接続されて、互いに幅方向Wに対向している。一対の側壁部24,24は、長手方向L及び高さ方向Hに延びる細長い矩形の板状に形成されている。一対の側壁部24,24は、高さ方向Hにおける両端部において、冷却壁部22及び底壁部23の幅方向Wにおける両端部に接続されている。
【0036】
冷却プレート部21では、冷却壁部22、底壁部23、及び一対の側壁部24,24により、冷却液通路11が形成されている。つまり、冷却壁部22、底壁部23、及び一対の側壁部24,24に囲まれた冷却プレート部21の内部空間が、冷却液通路11となっている。また、冷却プレート部21では、冷却壁部22、底壁部23、及び一対の側壁部24,24により、冷却液通路11を開放する第一開口26及び第二開口27が形成されている。
【0037】
複数の区画壁25は、長手方向Lに延びて、幅方向Wに冷却液通路11を区画する。つまり、長手方向Lに延びる複数の区画壁25が、幅方向Wに配列されている。複数の区画壁25のそれぞれは、長手方向L及び高さ方向Hに延びる細長い矩形の板状に形成されている。複数の区画壁25のそれぞれは、高さ方向Hにおける両端部において、冷却壁部22及び底壁部23に接続されている。そして、冷却プレート部21では、冷却液通路11が、複数の区画壁25により複数の区画冷却液通路28に区画されている。複数の区画冷却液通路28は、長手方向Lに延びて、幅方向Wに配列されている。複数の区画冷却液通路28のうち、幅方向Wの両端に位置する区画冷却液通路28は、冷却壁部22、底壁部23、側壁部24、及び区画壁25により形成され、それ以外の区画冷却液通路28は、冷却壁部22、底壁部23、及び隣り合う一対の区画壁25により形成される。
【0038】
第一開口26は、冷却プレート部21の第一長手方向L1における端部において、冷却液通路11を第一長手方向L1及び下方向H2に開放する。第二開口27は、冷却プレート部21の第二長手方向L2における端部において、冷却液通路11を第二長手方向L2及び下方向H2に開放する。第一開口26及び第二開口27は、冷却壁部22、底壁部23、及び一対の側壁部24,24により形成される。第一開口26及び第二開口27は、例えば、冷却壁部22、底壁部23、及び一対の側壁部24,24が切り欠かれることにより形成される。
【0039】
冷却プレート部21の第一長手方向L1における端部では、冷却液通路11の第一長手方向L1側に冷却プレート部21が設けられないことで、冷却液通路11が第一長手方向L1に開放されている。また、冷却プレート部21の第一長手方向L1における端部では、底壁部23の第一長手方向L1における先端が、冷却壁部22の第一長手方向L1における先端よりも第二長手方向L2側に位置することで、冷却液通路11が下方向H2に開放されている。つまり、冷却プレート部21の第一長手方向L1における端部では、冷却壁部22が設けられるが底壁部23が設けられないことで、冷却液通路11が下方向H2に開放されている。冷却プレート部21の第一長手方向L1における端部において、冷却液通路11が第一長手方向L1及び下方向H2に開放されていれば、第一開口26は、必ずしも下方向H2を向いていなくてもよい。例えば、一対の側壁部24,24の第一長手方向L1側の端面が高さ方向Hに延びることで、第一開口26が第一長手方向L1に向いていてもよい。
【0040】
冷却プレート部21の第二長手方向L2における端部では、冷却液通路11の第二長手方向L2側に冷却プレート部21が設けられないことで、冷却液通路11が第二長手方向L2に開放されている。また、冷却プレート部21の第二長手方向L2における端部では、底壁部23の第二長手方向L2における先端が、冷却壁部22の第二長手方向L2における先端よりも第一長手方向L1側に位置することで、冷却液通路11が下方向H2に開放されている。つまり、冷却プレート部21の第二長手方向L2における端部では、冷却壁部22が設けられるが底壁部23が設けられないことで、冷却液通路11が下方向H2に開放されている。冷却プレート部21の第二長手方向L2における端部において、冷却液通路11が第一長手方向L1及び下方向H2に開放されていれば、第二開口27は、必ずしも下方向H2を向いていなくてもよい。例えば、一対の側壁部24,24の第二長手方向L2側の端面が高さ方向Hに延びることで、第二開口27が第二長手方向L2に向いていてもよい。
【0041】
図1図5及び図7に示すように、第一蓋部31は、冷却壁部22の底壁部23側に配置されている。つまり、第一蓋部31は、冷却壁部22の下方向H2に位置している。そして、第一蓋部31は、第一開口26を覆うように、下方向H2から冷却プレート部21に接合されている。冷却プレート部21に対する第一蓋部31の接合は、特に限定されるものではないが、例えば、溶接、ろう付け等により行うことができる。なお、図面では、冷却プレート部21と第一蓋部31との接合部分を細かいドットのハッチングで示している。
【0042】
第一蓋部31は、蓋本体32と、第一ポート12と、を有する。蓋本体32は、冷却プレート部21と接合される部分である。蓋本体32は、第一ポート12と複数の区画冷却液通路28との間に配置される第一チャンバ33を形成する。第一チャンバ33は、複数の区画冷却液通路28の第一長手方向L1側に位置して、複数の区画冷却液通路28と第一ポート12とに連通される空間である。第一チャンバ33は、第一ポート12と複数の区画冷却液通路28との間で冷却液を分配又は合流させる。
【0043】
第一蓋部31の第一長手方向L1における端部には、第一取付部14の一部が形成されている。第一取付部14は、冷却プレート部21の冷却壁部22と第一蓋部31との互いに重ね合わされた部分により形成される。
【0044】
図1図4図6及び図8に示すように、第二蓋部41は、冷却壁部22の底壁部23側に配置されている。つまり、第二蓋部41は、冷却壁部22の下方向H2に位置している。そして、第一蓋部31は、第二開口27を覆うように、下方向H2から冷却プレート部21に接合されている。冷却プレート部21に対する第二蓋部41の接合は、特に限定されるものではないが、例えば、溶接、ろう付け等により行うことができる。なお、図面では、冷却プレート部21と第二蓋部41との接合部分を細かいドットのハッチングで示している。
【0045】
第二蓋部41は、蓋本体42と、第二ポート13と、を有する。蓋本体42は、冷却プレート部21と接合される部分である。蓋本体42は、第二ポート13と複数の区画冷却液通路28との間に配置される第二チャンバ43を形成する。第二チャンバ43は、複数の区画冷却液通路28の第二長手方向L2側に位置して、複数の区画冷却液通路28と第二ポート13とに連通される空間である。第二チャンバ43は、第二ポート13と複数の区画冷却液通路28との間で冷却液を分配又は合流させる。
【0046】
第二蓋部41の第二長手方向L2における端部には、第二取付部15の一部が形成されている。なお、第二取付部15は、冷却プレート部21の冷却壁部22と第二蓋部41との互いに重ね合わされた部分により形成される。
【0047】
このように構成される冷却器4では、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が、冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっている。更に、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が、底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっている。この場合、第一蓋部31及び第二蓋部41の双方の破壊強度が、冷却壁部22、底壁部23、及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていることが好ましいが、第一蓋部31及び第二蓋部41の何れか一方のみの破壊強度が、冷却壁部22、底壁部23、及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていてもよい。なお、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊には、第一蓋部31又は第二蓋部41自体の破壊だけでなく、冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41との接合部の破壊も含まれる。
【0048】
破壊強度は、物体が破壊又は破断するときの強度をいう。つまり、破壊強度が高くなるほど、物体は破壊又は破断され難くなり、破壊強度が低くなるほど、物体は破壊又は破断されすくなる。破壊強度は、例えば、物体が破壊又は破壊するときの応力(破壊応力)の絶対値である。破壊強度には、例えば、圧縮強度、引張強度、せん断強度等が含まれる。
【0049】
第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなる具体的な形態、更に第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなる具体的な形態は、特に限定されるものではない。
【0050】
図9は、冷却壁部と第一蓋部又は第二蓋部との接合部を拡大した側面図である。図9に示すように、例えば、第一蓋部31又は第二蓋部41の板厚t1が冷却壁部22の板厚T1よりも薄いことで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。更に、第一蓋部31又は第二蓋部41の板厚t1が底壁部23及び一対の側壁部24,24の板厚よりも薄いことで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていてもよい。第一蓋部31又は第二蓋部41の板厚t1が一定でない場合、この板厚t1は、第一蓋部31又は第二蓋部41の最も薄い部分の板厚となる。冷却壁部22の板厚T1が一定でない場合、この板厚T1は、冷却壁部22の最も薄い部分の板厚となる。底壁部23及び一対の側壁部24,24のそれぞれの板厚が一定でない場合、これらの板厚は、底壁部23及び一対の側壁部24,24のそれぞれの最も薄い部分の板厚となる。
【0051】
また、冷却壁部22の第一蓋部31及び第二蓋部41と接合される接合部を冷却壁接合部22aといい、第一蓋部31及び第二蓋部41の冷却壁部22と接合される接合部を第一蓋接合部31a及び第二蓋接合部41aという。この場合、第一蓋接合部31a又は第二蓋接合部41aの板厚t2が冷却壁接合部22aの板厚T2よりも薄いことで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。
【0052】
また、第一蓋部31又は第二蓋部41が第一蓋部31又は第二蓋部41の他の部位よりも破断しやすい脆弱部を有することで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。更に、第一蓋部31又は第二蓋部41が第一蓋部31又は第二蓋部41の他の部位よりも破断しやすい脆弱部を有することで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていてもよい。脆弱部は、例えば、切欠き、溝、穴、薄肉化により形成することができる。
【0053】
図10は、第一蓋部の変形例を示す、下方から見た斜視図である。図11は、第二蓋部の変形例を示す、下方から見た斜視図である。図10及び図11に示すように、例えば、第一蓋部31又は第二蓋部41が、第一取付部14又は第二取付部15とは別の切欠き31b又は切欠き41bを有することで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。更に、第一蓋部31又は第二蓋部41が、第一取付部14又は第二取付部15とは別の切欠き31b又は切欠き41bを有することで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていてもよい。第一蓋部31又は第二蓋部41の切欠き31b又は切欠き41bは、第一蓋部31又は第二蓋部41の他の部位よりも破断しやすい脆弱部としても機能する。
【0054】
また、第一長手方向L1から外部からの衝撃を受けた際に冷却壁部22が破壊されるよりも前に冷却プレート部21と第一蓋部31との接合部が破壊されるように、冷却プレート部21と第一蓋部31とが接合されていることで、第一蓋部31の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。同様に、第二長手方向L2から外部からの衝撃を受けた際に冷却壁部22が破壊されるよりも前に冷却プレート部21と第二蓋部41との接合部が破壊されるように、冷却プレート部21と第二蓋部41とが接合されていることで、第二蓋部41の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。
【0055】
また、冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41との接合強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていることで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。更に、冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41との接合強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていることで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていてもよい。
【0056】
冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41との接合強度は、様々な手段により調整することができる。例えば、冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41とが溶接により接合されている場合、この溶接の幅又は深さにより、冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41との接合強度を調整することができる。例えば、図9に示すように、冷却壁部22と第一蓋部31又は第二蓋部41との溶接幅w1が冷却壁部22の板厚T1よりも狭いことで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。
【0057】
また、第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていることで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。更に、第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていることで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていてもよい。なお、第一ポート12又は第二ポート13の破壊には、第一ポート12又は第二ポート13自体の破壊だけでなく、第一蓋部31又は第二蓋部41と第一ポート12又は第二ポート13との接合部の破壊も含まれる。
【0058】
第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなる具体的な形態、更に第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなる具体的な形態は、特に限定されるものではない。
【0059】
図12は、図4に示す第一蓋部又は第二蓋部の一部拡大図である。図12に示すように、例えば、第一ポート12又は第二ポート13の板厚t3が冷却壁部22の板厚T1よりも薄いことで、第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。更に、第一ポート12又は第二ポート13の板厚t3が底壁部23及び一対の側壁部24,24の板厚よりも薄いことで、第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていてもよい。
【0060】
また、蓋本体32と第一ポート12との接合強度又は蓋本体42と第二ポート13との接合強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていることで、第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。更に、蓋本体32と第一ポート12との接合強度又は蓋本体42と第二ポート13との接合強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていることで、第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていてもよい。
【0061】
蓋本体32と第一ポート12との接合強度及び蓋本体42と第二ポート13との接合強度は、様々な手段により調整することができる。例えば、蓋本体32と第一ポート12とが溶接により接合されているとともに蓋本体42と第二ポート13とが溶接により接合されている場合、これらの溶接の幅又は深さにより、蓋本体32と第一ポート12との接合強度及び蓋本体42と第二ポート13との接合強度を調整することができる。例えば、図12に示すように、第一ポート12又は第二ポート13が、蓋本体32又は蓋本体42に形成された穴に挿入された状態で蓋本体32又は蓋本体42に溶接されている場合、蓋本体32又は蓋本体42と第一ポート12又は第二ポート13との溶接深さd1が冷却壁部22の板厚T1(図9参照)よりも浅いことで、第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっていてもよい。更に、蓋本体32又は蓋本体42と第一ポート12又は第二ポート13との溶接深さd1が底壁部23及び一対の側壁部24,24の板厚よりも浅いことで、第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低くなっていてもよい。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係る冷却器4では、冷却プレート部21の冷却壁部22をバッテリ2側に配置して、冷却液通路11に冷却液を流通させることで、バッテリ2を冷却することができる。そして、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低くなっている。このため、冷却プレート部21に凹部を形成しなくても、衝撃を受けた際に、冷却壁部22が破壊されるよりも前に第一蓋部31又は第二蓋部41が破壊されやすくなる。これにより、冷却器4の大型化及び冷却液の圧力損失の増大を抑制しつつ、外部からの衝撃により冷却器4が破壊された際に冷却液がバッテリ2にかかるのを抑制することができる。
【0063】
また、この冷却器4では、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度が底壁部23及び一対の側壁部24,24の破壊強度よりも低いことで、衝撃を受けた際に、底壁部23及び一対の側壁部24,24が破壊されるよりも前に第一蓋部31又は第二蓋部41が破壊されやすくなる。これにより、外部からの衝撃により冷却器4が破壊された際に冷却液がバッテリ2にかかるのを更に抑制することができる。
【0064】
また、この冷却器4では、第一蓋部31又は第二蓋部41の板厚t1が冷却壁部22の板厚T1よりも薄いことで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度を冷却壁部22の破壊強度よりも低くすることができる。
【0065】
また、この冷却器4では、第一蓋接合部31a又は第二蓋接合部41aの板厚t2が冷却壁接合部22aの板厚T2よりも薄いことで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度を冷却壁部22の破壊強度よりも低くすることができる。
【0066】
また、この冷却器4では、第一蓋部31又は第二蓋部41が第一蓋部31又は第二蓋部41の他の部位よりも破断しやすい脆弱部を有することで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度を冷却壁部22の破壊強度よりも低くすることができる。また、外部からの衝撃を受けた際に、第一蓋部31又は第二蓋部41が脆弱部から破壊されやすくなるため、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊の基点及び進行を制御しやすくすることができる。
【0067】
また、この冷却器4では、第一蓋部31又は第二蓋部41が切欠き31b又は切欠き41bを有することで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度を冷却壁部22の破壊強度よりも低くすることができる。また、外部からの衝撃を受けた際に、第一蓋部31又は第二蓋部41が切欠き31b又は切欠き41bから破壊されやすくなるため、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊の基点及び進行を制御しやすくすることができる。
【0068】
また、この冷却器4では、長手方向Lから外部からの衝撃を受けた際に冷却壁部22が破壊されるよりも前に冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41との接合部が破壊されるように、冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41とが接合されている。このため、長手方向Lから外部からの衝撃を受けた際に、冷却壁部22が破壊されるよりも前に冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41との接合部が破壊されやすくなる。これにより、長手方向Lから受けた外部からの衝撃により冷却器4が破壊された際に冷却液がバッテリ2にかかるのを更に抑制することができる。例えば、冷却器4の長手方向Lが車両の車幅方向を向くように冷却器4が車両に配置された場合、車両の側面から衝撃を受けた際に、冷却壁部22が破壊されるよりも前に冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41との接合部が破壊されやすくなる。これにより、車両の側面から受けた衝撃により冷却器4が破壊された際に冷却液がバッテリ2にかかるのを更に抑制することができる。
【0069】
また、この冷却器4では、冷却プレート部21と第一蓋部31又は第二蓋部41との接合強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低いことで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度を冷却壁部22の破壊強度よりも低くすることができる。
【0070】
また、この冷却器4では、第一蓋部31又は第二蓋部41が溶接により冷却壁部22に接合されており、冷却壁部22と第一蓋部31又は第二蓋部41との溶接幅w1が冷却壁部22の板厚T1よりも狭いことで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度を冷却壁部22の破壊強度よりも低くすることができる。
【0071】
また、この冷却器4では、第一ポート12又は第二ポート13の破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低いことで、第一蓋部31又は第二蓋部41の破壊強度を冷却壁部22の破壊強度よりも低くすることができる。
【0072】
また、この冷却器4では、蓋本体32と第一ポート12との接合強度又は蓋本体42と第二ポート13との接合強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低いことで、蓋本体32又は蓋本体42と第一ポート12又は第二ポート13との接合強度の破壊強度を冷却壁部22の破壊強度よりも低くすることができる。
【0073】
本実施形態に係るバッテリ収容筐体1では、上述した冷却器4を備えるため、冷却器4の大型化及び冷却液の圧力損失の増大を抑制しつつ、外部からの衝撃により冷却器4が破壊された際に冷却液がバッテリ2にかかるのを抑制することができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0075】
例えば、上記実施形態では、第一蓋部が第一ポートを有し、第二蓋部が第二ポートを有し、冷却液が冷却液通路11を長手方向Lの一方向にのみ流通するものとして説明したが、一方の蓋部が第一ポート及び第二ポートの双方を有し、冷却液が冷却液通路をU字状に往復するように流通するものとしてもよい。
【0076】
図13は、変形例の冷却器を示す底面図である。図14は、図13に示す冷却器の第一長手方向における端部の、冷却プレート部と第一蓋部とを接合する前の状態を示す、下方から見た斜視図である。図15は、図13に示す冷却器の第二長手方向における端部の、冷却プレート部と第二蓋部とを接合する前の状態を示す、下方から見た斜視図である。図13図15に示すように、変形例の冷却器4Aでは、冷却プレート部21Aに形成される冷却液通路11が、分離壁51により第一冷却液通路11Aと第二冷却液通路11Bとに幅方向Wに分離されている。第一蓋部31Aは、第一ポート12及び第二ポート13の双方を有している。第一蓋部31Aの蓋本体32Aでは、第一冷却液通路11Aと第一ポート12とに連通される第一チャンバ33A1と、第二冷却液通路11Bと第二ポート13とに連通される第一チャンバ33A2と、が分離されている。一方、第二蓋部41Aは、第一冷却液通路11A及び第二冷却液通路11Bの双方に連通される第二チャンバ43Aを有しているが、第一ポート12及び第二ポート13の何れも有していない。このため、第一ポート12から供給された冷却液は、第一チャンバ33A1から第一冷却液通路11Aに供給されて第一長手方向L1に流通し、第二チャンバ43AにおいてU字状に折り返され、第二チャンバ43Aから第二冷却液通路11Bに供給されて第二長手方向L2に流通し、第一チャンバ33A2から第二ポート13に排出される。
【0077】
このような冷却器4Aにおいても、第一蓋部31A又は第二蓋部41Aの破壊強度が冷却壁部22の破壊強度よりも低いことで、冷却器4Aの大型化及び冷却液の圧力損失の増大を抑制しつつ、外部からの衝撃により冷却器4Aが破壊された際に冷却液がバッテリ2にかかるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0078】
1…バッテリ収容筐体、2…バッテリ、3…枠体、4…冷却器、4A…冷却器、5…サイドメンバ、6…クロスメンバ、11…冷却液通路、11A…第一冷却液通路、11B…第二冷却液通路、12…第一ポート、13…第二ポート、14…第一取付部、15…第二取付部、21…冷却プレート部、21A…冷却プレート部、22…冷却壁部、22a…冷却壁接合部、23…底壁部、24…側壁部、25…区画壁、26…第一開口、27…第二開口、28…区画冷却液通路、31…第一蓋部、31A…第一蓋部、31a…第一蓋接合部、31b…切欠き、32…蓋本体、33…第一チャンバ、33A1…第一チャンバ、33A2…第一チャンバ、41…第二蓋部、41A…第二蓋部、41a…第二蓋接合部、41b…切欠き、42…蓋本体、43…第二チャンバ、43A…第二チャンバ、51…分離壁、D1…第一方向、D2…第二方向、H…高さ方向、H1…上方向、H2…下方向、L…長手方向、L1…第一長手方向、L2…第二長手方向、W…幅方向、T1…板厚、T2…板厚、t1…板厚、t2…板厚、t3…板厚、w1…溶接幅。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15