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特開2024-74470インソール、及び、インソールの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074470
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】インソール、及び、インソールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A43B 17/00 20060101AFI20240524BHJP
   A43B 7/142 20220101ALI20240524BHJP
   A43B 7/14 20220101ALI20240524BHJP
【FI】
A43B17/00 E
A43B7/142
A43B7/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185631
(22)【出願日】2022-11-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-14
(71)【出願人】
【識別番号】399094707
【氏名又は名称】マドラス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岩田 達七
【テーマコード(参考)】
4F050
【Fターム(参考)】
4F050EA06
4F050EA13
4F050NA21
(57)【要約】
【課題】靴の快適性を向上する。
【解決手段】靴のインソールは、本体部と、被覆部と、内アーチ部と、を備える。本体部は、足底における踵、内側縦アーチ部、及び外側縦アーチ部に対面するよう配置される。被覆部は、本体部の足底側の面における内側縦アーチ部に対面する領域に形成される。内アーチ部は、被覆部を覆うように配置される。内アーチ部において、足底側の面を上面とすると共に、上面の反対側の面を下面とする。内アーチ部の下面は、被覆部に適合する形状を有する。本体部と内アーチ部とは、異なる硬度を有する素材により構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴のインソールであって、
クッション性を有する扁平な部位であって、足底における踵、内側縦アーチ部、及び外側縦アーチ部に対面するよう配置される部位である本体部と、
前記本体部の前記足底側の面における前記内側縦アーチ部に対面する領域に形成される被覆部と、
クッション性を有する部位であって、前記被覆部を覆うように配置される部位である内アーチ部と、を備え、
前記内アーチ部において、前記足底側の面を上面とすると共に、前記上面の反対側の面を下面とし、
前記内アーチ部の前記下面は、前記被覆部に適合する形状を有し、
前記本体部と前記内アーチ部とは、異なる硬度を有する素材により構成されている
インソール。
【請求項2】
請求項1に記載されたインソールにおいて、
前記被覆部は、前記本体部の前記足底側の面における窪んだ領域として形成される
インソール。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載されたインソールにおいて、
前記内アーチ部の外縁における少なくとも一部は、前記上面及び前記下面の外縁を形成する線状の部位により形成されている
インソール。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載されたインソールにおいて、
前記本体部を構成する素材の硬度、及び、前記内アーチ部を構成する素材の硬度は、10デュロメータ以上50デュロメータ以下であり、
前記内アーチ部を構成する素材の硬度から、前記本体部を構成する素材の硬度を減算した値は、10デュロメータ以上40デュロメータ以下である
インソール。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載されたインソールにおいて、
前記本体部を構成する素材の硬度、及び、前記内アーチ部を構成する素材の硬度は、10デュロメータ以上50デュロメータ以下であり、
前記本体部を構成する素材の硬度から、前記内アーチ部を構成する素材の硬度を減算した値は、10デュロメータ以上40デュロメータ以下である
インソール。
【請求項6】
請求項1又は請求項2に記載されたインソールにおいて、
前記被覆部に配置された前記内アーチ部と、前記本体部とにおける前記足底側の面である上面を覆うシート状の部材である表層材を更に備え、
前記表層材と、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面とは、ホットメルトにより接合されている
インソール。
【請求項7】
請求項6に記載されたインソールにおいて、
前記表層材は、前記本体部における前記上面の反対側に位置する下面をさらに覆い、
前記表層材と前記本体部の前記下面とは、ホットメルトにより接合されている
インソール。
【請求項8】
請求項7に記載されたインソールにおいて、
前記本体部の外縁に沿って設けられる耳部をさらに備え、
前記表層材は、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面を覆う上側表層材と、前記本体部の前記下面を覆う下側表層材とを有し、
前記耳部は、前記上側表層材の外縁を含む上側縁部と、前記下側表層材の外縁を含む下側縁部とを有し、
前記上側縁部と前記下側縁部とは、重なるように配置されており、ホットメルトにより接合されている
インソール。
【請求項9】
第1型と第2型とを用いて行われる靴のインソールの製造方法であって、
前記インソールは、
クッション性を有する扁平な部位であって、足底における踵、内側縦アーチ部、及び外側縦アーチ部に対面するよう配置される部位である本体部と、
前記本体部の前記足底側の面における前記内側縦アーチ部に対面する領域に形成される被覆部と、
クッション性を有する部位であって、前記被覆部を覆うように配置される部位である内アーチ部と、を備え、
前記内アーチ部における前記足底側の面の反対側の面を下面とし、
前記内アーチ部の前記下面は、前記被覆部に適合する形状を有し、
前記本体部と前記内アーチ部とは、異なる硬度を有する素材により構成されており、
前記インソールは、シート状の部材であって、前記被覆部に配置された前記内アーチ部と、前記本体部とにおける前記足底側の面である上面を覆う部材である上側表層材を、更に備え、
前記第1型は、第1部分を有し、
前記第2型は、前記第1部分に対面した際に、前記第1部分との間に収容空間を形成するよう構成された第2部分を有し、
前記被覆部に配置された前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面と、該上面を覆う前記上側表層材との間にホットメルトが配置されているものを、加熱対象とし、
前記インソールの製造方法は、
前記上側表層材と、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面とが、前記第1型の前記第1部分に対面し、且つ、前記本体部の前記下面が前記第2型の前記第2部分に対面するように、前記第1部分と前記第2部分との間に形成された前記収容空間に前記加熱対象を配置することと、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面と前記上側表層材とを接合することと、
を備える製造方法。
【請求項10】
請求項9に記載されたインソールの製造方法において、
前記インソールは、シート状の部材であって、前記本体部における前記上面の反対側に位置する下面を覆う部位である下側表層材を更に備え、
前記加熱対象は、さらに、前記本体部の前記下面と、該下面を覆う前記下側表層材との間にホットメルトが配置されており、
前記インソールの製造方法は、
前記上側表層材と、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面とが、前記第1型の前記第1部分に対面し、且つ、前記下側表層材と、前記本体部の前記下面とが、前記第2型の前記第2部分に対面するように、前記収容空間に前記加熱対象を配置することと、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面と、前記本体部の前記下面とを、それぞれ、前記上側表層材と前記下側表層材とに接合することと、
を備える製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載されたインソールの製造方法において、
前記インソールは、前記本体部の外縁に沿って設けられる耳部をさらに備え、
前記耳部は、前記上側表層材の外縁を含む上側縁部と、前記下側表層材の外縁を含む下側縁部とを有し、
前記インソールの製造方法において、
前記収容空間に前記加熱対象を配置する際、前記上側縁部及び前記下側縁部は、前記第1型と前記第2型との間で重なった状態となり、前記上側縁部と前記下側縁部との間には、ホットメルトが配置されており、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、さらに、前記上側縁部及び前記下側縁部を接合して前記耳部を形成する
製造方法。
【請求項12】
請求項9に記載されたインソールの製造方法において、
前記加熱対象には、前記本体部の上面の外縁に沿って設けられる裁断部がさらに設けられており、前記本体部と前記裁断部とは、一体化された部材として形成されており、
前記加熱対象では、前記上側表層材は、前記内アーチ部及び前記本体部の上面と、前記裁断部とを覆うと共に、前記上側表層材と、前記内アーチ部、前記本体部、及び、前記裁断部との間に、ホットメルトが配置されており、
前記第1型は、前記第1部分の外縁に沿って設けられる第1周縁部をさらに有し、
前記第2型は、前記第2部分の外縁に沿って設けられる第2周縁部をさらに有し、
前記インソールの製造方法において、
前記収容空間に配置された前記加熱対象は、前記裁断部が、前記第1及び第2周縁部に挟まれており、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、前記内アーチ部、前記本体部、及び、前記裁断部が、前記上側表層材と接合され、
前記インソールの製造方法は、前記内アーチ部、前記本体部、及び、前記裁断部と、前記上側表層材とを接合した後、前記裁断部と、前記上側表層材における前記裁断部を覆う部分とを切り離すこと、さらに有する
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、靴のインソールと、インソールの製造方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載されているように、靴中敷(換言すれば、インソール)における母指球部を支持する部分や小指球部を支持する部分に硬度の異なる素材を配置することで、靴を履いているユーザの重心移動をスムーズにする技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3662014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の靴中敷は、ユーザの足底へのフィット感や、足底に加わる圧力の分散性を考慮した構成となっておらず、十分な快適性が得られない可能性がある。
本開示の一態様においては、靴の快適性を向上するのが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、靴のインソールであって、本体部と、被覆部と、内アーチ部と、を備える。本体部は、クッション性を有する扁平な部位であって、足底における踵、内側縦アーチ部、及び外側縦アーチ部に対面するよう配置される部位である。被覆部は、本体部の足底側の面における内側縦アーチ部に対面する領域に形成される。内アーチ部は、クッション性を有する部位であって、被覆部を覆うように配置される部位である。内アーチ部において、足底側の面を上面とすると共に、上面の反対側の面を下面とする。内アーチ部の下面は、被覆部に適合する形状を有する。本体部と内アーチ部とは、異なる硬度を有する素材により構成されている。
【0006】
本明細書においては、足底における母指球から踵にかけての湾曲した部分を、内側縦アーチ部とする。また、足底における小指球から踵にかけての湾曲した部分を、外側縦アーチ部とする。また、足底における母指球から小指球にかけての湾曲した部分を、横アーチ部とする。
【0007】
上記構成によれば、内アーチ部が本体部とは別の部材として構成されており、また、内アーチ部を構成する素材の硬度と、本体部を構成する素材の硬度が異なる。このため、内アーチ部の形状や厚さや硬度を選択することで、インソールにおける内側縦アーチ部に当接する部分の形状や、高さや、硬度の分布を調整できる。これにより、インソールの足底へのフィット感が向上し、インソールから足底に付与される圧力の分散を促すことができる。このため、靴の快適性が向上する。
【0008】
本開示の一態様では、被覆部は、本体部の足底側の面における窪んだ領域として形成されてもよい。
上記構成によれば、内アーチ部を被覆部に配置し易くなる。
【0009】
本開示の一態様では、内アーチ部の外縁における少なくとも一部は、上面及び下面の外縁を形成する線状の部位により形成されていてもよい。
上記構成によれば、内アーチ部の外縁の付近では、内アーチ部の厚みが急激に変化するのを抑制できる。このため、内アーチ部における外縁の付近の領域にて、硬度の分布が滑らかに変化するように促すことができ、その結果、ユーザに違和感を与えるのを抑制できる。
【0010】
本開示の一態様では、本体部を構成する素材の硬度、及び、内アーチ部を構成する素材の硬度は、10デュロメータ以上50デュロメータ以下であってもよい。内アーチ部を構成する素材の硬度から、本体部を構成する素材の硬度を減算した値は、10デュロメータ以上40デュロメータ以下であってもよい。
【0011】
上記構成によれば、内アーチ部に比べて本体部の硬度が低いため、足底からの荷重に応じて本体部が沈みやすくなり、内アーチ部と本体部との間の高低差が生じやすくなる。このため、インソールの内側縦アーチ部への接触が促され、フィット感が向上し、インソールから足底に付与される圧力の分散が促される。また、足底における内側縦アーチ部は柔らかい部位となっているが、このような部位を、相対的に硬度が高い内アーチ部で支持することができ、これにより、ユーザに安定感を与えることができる。
【0012】
本開示の一態様では、本体部を構成する素材の硬度、及び、内アーチ部を構成する素材の硬度は、10デュロメータ以上50デュロメータ以下であってもよい。本体部を構成する素材の硬度から、内アーチ部を構成する素材の硬度を減算した値は、10デュロメータ以上40デュロメータ以下であってもよい。
【0013】
上記構成によれば、本体部に比べて内アーチ部の硬度が低いため、足底からの荷重に応じて内アーチ部が沈みやすくなる。このため、内側縦アーチ部が浅い足底、換言すれば、所謂偏平足又はそれに近い足底であっても、インソールの内側縦アーチ部への接触が促され、フィット感が向上し、インソールから足底に付与される圧力の分散が促される。
【0014】
本開示の一態様は、被覆部に配置された内アーチ部と、本体部とにおける足底側の面である上面を覆うシート状の部材である表層材を更に備えてもよい。表層材と、内アーチ部及び本体部の上面とは、ホットメルトにより接合されていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、表層材により内アーチ部と本体部とを好適に一体化できる。このため、インソールのフィット感や、インソールから足底に付与される圧力の分散性が損なわれるのを抑制できる。
【0016】
本開示の一態様では、表層材は、本体部における上面の反対側に位置する下面をさらに覆っても良い。表層材と本体部の下面とは、ホットメルトにより接合されていてもよい。
上記構成によれば、表層材により内アーチ部及び本体部を適度に補強することができ、足底からの荷重によりインソールが型崩れするのを抑制できる。このため、インソールのフィット感や、インソールから足底に付与される圧力の分散性が損なわれるのを抑制できる。
【0017】
本開示の一態様は、本体部の外縁に沿って設けられる耳部をさらに備えてもよい。表層材は、上側表層材と、下側表層材とを有してもよい。上側表層材は、内アーチ部及び本体部の上面を覆う。下側表層材は、本体部の下面を覆う。耳部は、上側表層材の外縁を含む上側縁部と、下側表層材の外縁を含む下側縁部とを有してもよい。上側縁部と下側縁部とは、重なるように配置されており、ホットメルトにより接合されていてもよい。
【0018】
上記構成によれば、耳部にて上側表層材と下側表層材とを良好に接合できる。また、耳部によりインソールの型崩れを抑制できると共に、インソールの強度を向上させることができる。
【0019】
本開示の一態様は、第1型と第2型とを用いて行われる靴のインソールの製造方法であって、インソールは、本体部と、被覆部と、内アーチ部と、を備える。本体部は、クッション性を有する扁平な部位であって、足底における踵、内側縦アーチ部、及び外側縦アーチ部に対面するよう配置される部位である。被覆部は、本体部の足底側の面における内側縦アーチ部に対面する領域に形成される。内アーチ部は、クッション性を有する部位であって、被覆部を覆うように配置される部位である。内アーチ部における足底側の面の反対側の面を下面とする。内アーチ部の下面は、被覆部に適合する形状を有する。本体部と内アーチ部とは、異なる硬度を有する素材により構成されている。インソールは、シート状の部材であって、被覆部に配置された内アーチ部と、本体部とにおける足底側の面である上面を覆う部材である上側表層材を、更に備える。第1型は、第1部分を有する。第2型は、第1部分に対面した際に、第1部分との間に収容空間を形成するよう構成された第2部分を有する。被覆部に配置された内アーチ部及び本体部の上面と、該上面を覆う上側表層材との間にホットメルトが配置されているものを、加熱対象とする。インソールの製造方法は、上側表層材と、内アーチ部及び本体部の上面とが、第1型の第1部分に対面し、且つ、本体部の下面が第2型の第2部分に対面するように、第1部分と第2部分との間に形成された収容空間に加熱対象を配置することと、第1及び第2型を介して加熱対象を加熱することで、内アーチ部及び本体部の上面と上側表層材とを接合することと、を備える。
【0020】
上記構成によれば、足底へのフィット感が向上し、足底に付与される圧力の分散を促すことができるインソールを、好適に製造できる。このため、靴の快適性が向上する。また、上側表層材を好適に内アーチ部及び本体部に接合させることができる。
【0021】
本開示の一態様は、インソールは、シート状の部材であって、本体部における上面の反対側に位置する下面を覆う部位である下側表層材を更に備えてもよい。加熱対象は、さらに、本体部の下面と、該下面を覆う下側表層材との間にホットメルトが配置されていてもよい。インソールの製造方法は、上側表層材と、内アーチ部及び本体部の上面とが、第1型の第1部分に対面し、且つ、下側表層材と、本体部の下面とが、第2型の第2部分に対面するように、収容空間に加熱対象を配置することと、第1及び第2型を介して加熱対象を加熱することで、内アーチ部及び本体部の上面と、本体部の下面とを、それぞれ、上側表層材と下側表層材とに接合することと、を備えてもよい。
【0022】
上記構成によれば、上側表層材及び下側表層材を、好適に内アーチ部及び本体部に接合させることができる。
本開示の一態様は、インソールは、本体部の外縁に沿って設けられる耳部をさらに備えてもよい。耳部は、上側表層材の外縁を含む上側縁部と、下側表層材の外縁を含む下側縁部とを有してもよい。インソールの製造方法において、収容空間に加熱対象を配置する際、上側縁部及び下側縁部は、第1型と第2型との間で重なった状態となり、上側縁部と下側縁部との間には、ホットメルトが配置されていてもよい。また、インソールの製造方法において、第1及び第2型を介して加熱対象を加熱することで、さらに、上側縁部及び下側縁部を接合して耳部を形成してもよい。
【0023】
上記構成によれば、耳部を好適に形成できる。
本開示の一態様は、加熱対象には、本体部の上面の外縁に沿って設けられる裁断部がさらに設けられており、本体部と裁断部とは、一体化された部材として形成されていてもよい。加熱対象では、上側表層材は、内アーチ部及び本体部の上面と、裁断部とを覆うと共に、上側表層材と、内アーチ部、本体部、及び、裁断部との間に、ホットメルトが配置されていてもよい。第1型は、第1部分の外縁に沿って設けられる第1周縁部をさらに有してもよい。第2型は、第2部分の外縁に沿って設けられる第2周縁部をさらに有してもよい。インソールの製造方法において、収容空間に配置された加熱対象は、裁断部が、第1及び第2周縁部に挟まれており、第1及び第2型を介して加熱対象を加熱することで、内アーチ部、本体部、及び、裁断部が、上側表層材と接合されてもよい。インソールの製造方法は、内アーチ部、本体部、及び、裁断部と、上側表層材とを接合した後、裁断部と、上側表層材における裁断部を覆う部分とを切り離すこと、さらに有していても良い。
【0024】
上記構成によれば、上側表層材を好適に内アーチ部及び本体部に接合させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1実施形態のインソール(右足用)の上面図である。
図2】第1実施形態におけるクッション材(右足用)の上面図である。
図3】第1実施形態におけるクッション材(右足用)の前面図である。
図4】第1実施形態におけるクッション材(右足用)の下面図である。
図5】第1実施形態におけるクッション材(右足用)の後面図である。
図6】第1実施形態におけるクッション材(右足用)を左側(換言すれば、右足の内側縦アーチ部側)から視認した左側面図である。
図7】第1実施形態におけるクッション材(右足用)を右側(換言すれば、右足の外側縦アーチ部側)から視認した右側面図である。
図8図2におけるVIII-VIII断面図である。
図9図2におけるIX-IX断面図である。
図10図2におけるX-X断面図である。
図11図2におけるXI-XI断面図である。
図12】第1実施形態のインソールにおける本体部及び内アーチ部を左右方向に横断する断面図である。
図13】第2実施形態のインソール(右足用)の上面図である。
図14】第2実施形態におけるクッション材(右足用)の上面図である。
図15】第2実施形態におけるクッション材(右足用)の前面図である。
図16】第2実施形態におけるクッション材(右足用)の下面図である。
図17】第2実施形態におけるクッション材(右足用)の後面図である。
図18】第2実施形態におけるクッション材(右足用)の左側面図である。
図19】第2実施形態におけるクッション材(右足用)の右側面図である。
図20図14におけるXX-XX断面図である。
図21図14におけるXXI-XXI断面図である。
図22図14におけるXXII-XXII断面図である。
図23図14におけるXXIII-XXIII断面図である。
図24図14におけるXXIV-XXIV断面図である。
図25】第2実施形態のインソールにおける本体部、内アーチ部、及び前側部を左右方向に横断する断面図である。
図26】第3実施形態のインソールの製造方法の説明図である。
図27】第3実施形態のインソールの製造方法の説明図である。
図28】第4実施形態のインソールの製造方法の説明図である。
図29】第4実施形態のインソールの製造方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本開示の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。また、図2、3、5、7~12、14、15、18~29における模様は、部材を区別するために便宜上付したものであり、以下の実施形態が開示する部材にはこのような模様が付されていないことを念のため付言しておく。
【0027】
[1.第1実施形態]
[(1)概要]
第1実施形態におけるインソール1は、様々な靴に用いられ得る(図1参照)。具体的には、インソール1は、例えば、ビジネスシューズ、カジュアルシューズ、パンプス、スニーカー、サンダル、ブーツ等の様々な靴・履物に用いられても良い。インソール1は、クッション性を有しており、靴底の上面を形成する。つまり、インソール1は、ユーザの足底に当接し、インソール1の下側には靴の中底及び表底が位置する。インソール1は、当該インソール1が用いられた靴の一部として流通しても良いし、インソール1単独で流通しても良い。
【0028】
以後、右足の靴における左側、及び、左足の靴における右側を、内側と記載し、これらの反対側を外側と記載する。また、つま先側を前側、踵側を後側と記載する。
インソール1は、クッション性を有する本体部2A及び内アーチ部2B(以後、クッション材10とも記載)と、表層材3とを備える(図1参照)。以下では、インソール1に含まれる各部位について説明する。
【0029】
[(2)本体部]
本体部2Aは、少なくとも足底における踵、内側縦アーチ部、及び、外側縦アーチ部に対面するよう配置される扁平な部位である(図2~12参照)。
【0030】
ここで、本体部2Aにおける足底に対面する面を上面20、上面20の反対側の面を下面21と記載する。第1実施形態では、一例として、本体部2Aの外面における上面20以外の部分を、下面21とする。
【0031】
本体部2Aの上面20における内側縦アーチ部に対面する領域には、被覆部22が形成されている。被覆部22は、本体部2Aの上面20における窪みであり、上面視すると前後方向に伸びる細長い形状を有する。また、被覆部22における外縁23の一部の付近には、外縁23に向かうに従い徐々に浅くなるよう形成されている。
【0032】
また、第1実施形態では、一例として、本体部2Aの下面21における外側縦アーチ部に対面する位置には、少なくとも1つの穴部21Aが形成されている。より詳しくは、第1実施形態では、下面21には、前後方向に一列に並ぶ4つの円柱状の穴部21Aが設けられている。
【0033】
[(3)内アーチ部]
内アーチ部2Bは、被覆部22を覆うように配置される(図2、3、5、7~12参照)。内アーチ部2Bは、一例として扁平な形状であり、足底側に位置する上面24と、上面24の反対側の下面25とを有する。無論、内アーチ部2Bは、扁平な形状に限らず、様々な形状を有し得る。
【0034】
内アーチ部2Bの下面25は、被覆部22に適合する形状を有しており、内アーチ部2Bが被覆部22に配置された際、内アーチ部2Bの下面25は、被覆部22に当接(一例として、密着)する。
【0035】
また、内アーチ部2Bの下面25は、被覆部22に接合される。ここで、例えば、内アーチ部2B及び本体部2Aが、例えば、後述するクリスタルゲル(登録商標)のような、接合し難い素材で構成されている場合が想定される。このような場合には、内アーチ部2Bの下面25と被覆部22に高粘着加工を施すことで、これらの部位を接合するようにしても良い。
【0036】
また、内アーチ部2Bが被覆部22に配置された際、内アーチ部2Bの外縁26と、被覆部22の外縁23とは重なっても良いし、これらの外縁23、26の間に若干のずれが存在しても良い。また、内アーチ部2Bが被覆部22に配置された際、内アーチ部2Bの上面24と本体部2Aの上面20との間に段差が生じるのを抑えるよう、内アーチ部2Bが形成されている。
【0037】
また、内アーチ部2Bの外縁26は、その全周にわたって、内アーチ部2Bの上面24及び下面25の外縁を形成する線状の部位により形成されている(図8~12参照)。つまり、内アーチ部2Bの外縁26は、上面24と下面25とが交差する角状又は尖った形状の部位の先端により形成される。このため、内アーチ部2Bの外縁26の周辺では、内アーチ部2Bの厚みは外縁26に向かうに従い徐々に薄くなるよう形成され得る。
【0038】
なお、内アーチ部2Bの外縁26の一部が、上述した線状の部位として形成されていても良い。そして、外縁26における他の部分は、丸みを帯びた形状であっても良いし、平面状に広がっていても良い。また、内アーチ部2Bの外縁26は、全周にわたって、丸みを帯びた形状であっても良いし、平面状に広がっていても良い。
【0039】
[(4)素材について]
本体部2A及び内アーチ部2Bは、異なる硬度を有する素材で構成されており、これらの素材の硬度は、一例として、10デュロメータ以上50デュロメータ以下となっている。なお、本明細書では、硬度は、JIS K6253(JIS-Eタイプ)に準拠した方法で測定される。また、これらの素材の硬度は、これに限らず、適宜定められ得る。
【0040】
また、一例として、内アーチ部2Bを構成する素材の硬度は、本体部2Aを構成する素材の硬度よりも高く、これらの硬度の差は、10デュロメータ以上40デュロメータ以下である。この外にも、例えば、本体部2Aを構成する素材の硬度は、内アーチ部2Bを構成する素材の硬度よりも高く、これらの硬度の差は、10デュロメータ以上40デュロメータ以下であっても良い。無論、これらの硬度の差は、これに限らず、適宜定められ得る。
【0041】
また、本体部2A及び内アーチ部2Bは、一例としてゲル素材で構成されている。具体的には、例えば、本体部2A及び内アーチ部2Bは、スチレン系のゲル素材により構成されていても良く、より詳しくは、上述したクリスタルゲルにより構成されていても良い。無論、これに限らず、本体部2A及び/又は内アーチ部2Bは、ゲル素材以外のクッション性を有する素材、例えば、多孔質の素材(一例として、EVA等のスポンジ素材)により構成されていても良い。
【0042】
[(5)表層材]
表層材3は、シート状の部材であり、本体部2Aと、本体部2Aの被覆部22に配置された内アーチ部2Bとにより形成されるクッション材10の外面を全て覆う(図1、12参照)。インソール1が靴底に配置された際、クッション材10は、足底における踵、内側縦アーチ部、及び、外側縦アーチ部に対面し、表層材3は、靴底の略全域を覆う。
【0043】
具体的には、表層材3は、上側表層材30と下側表層材32とを備える。上側表層材30は、本体部2Aの上面20及び内アーチ部2Bの上面24を覆う。また、下側表層材32は、本体部2Aの下面21を覆う。また、上側表層材30及び下側表層材32は、それぞれ、ホットメルト11により、内アーチ部2B及び本体部2Aの上面20、24と、本体部2Aの下面21とに接合される。
【0044】
表層材3は、本体部2A(換言すれば、クッション材10)の外縁に沿って設けられる耳部34を有する。耳部34は、一例として、クッション材10を周回するように設けられており、クッション材10の前側の端部から前側に突出する。つまり、耳部34は、靴底におけるクッション材10よりも前側の部分を覆う。無論、これに限らず、耳部34は、本体部2Aの外縁の一部に沿って設けられていても良い。
【0045】
ここで、上側表層材30における外縁を含む部分を、上側縁部31とする。上側縁部31は、上側表層材30におけるクッション材10を覆わない部分であり、本体部2Aの上面20の外縁を周回するように設けられる。換言すれば、上側縁部31は、上側表層材30における外縁及び外縁に隣接する部分に相当する。
【0046】
同様に、下側表層材32における外縁を含む部分を、下側縁部33とする。下側縁部33は、下側表層材32におけるクッション材10を覆わない部分であり、本体部2Aの下面21の外縁を周回するように設けられる。換言すれば、下側縁部33は、下側表層材32における外縁及び外縁に隣接する部分に相当する。
【0047】
耳部34は、重ねて配置された上側縁部31と下側縁部33とをホットメルト11により接合することで形成される。
第1実施形態では、一例として、耳部34は、本体部2Aの上面20の外縁に沿って設けられる。つまり、耳部34は、本体部2Aの上面20に沿って、該上面20の外縁から外側に延出するように設けられる。無論、これに限らず、耳部34は、本体部2Aにおける上面20よりも下方の位置、換言すれば、本体部2Aの下面21における本体部2Aの側部を形成する位置に設けられても良い。
【0048】
また、第1実施形態の表層材3は、耳部34を有さない構成であってもよい。また、例えば、第1実施形態の表層材3は、第2実施形態と同様、クッション材10における足底側の面である上面を覆う上側表層材としての構成を有し、耳部34や下側表層材32を備えない構成であってもよい。
【0049】
[(6)インソールの全体形状]
インソール1は、足底の形状にフィットする立体的な形状となるよう、本体部2A及び内アーチ部2Bの形状や厚さが調整されている(図2~12参照)。
【0050】
具体的には、インソール1における内側縦アーチ部に対面する部分の厚みが増すように、内アーチ部2Bと、本体部2Aにおける被覆部22及びその周辺部分とにおける形状及び厚さが調整されている。これにより、インソール1が内側縦アーチ部に当接するよう促される。この他にも、インソール1の内側、外側、及び後側の縁部が上方に突出するよう、本体部2Aの形状や厚さが調整されている。
【0051】
[2.第2実施形態]
[(1)概要]
第2実施形態のインソール4は、第1実施形態のインソール1と同様の構成を有しているが、本体部5Aの形状や表層材7の構成等において第1実施形態と相違する(図13~25参照)。以下では、第2実施形態のインソール4について、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0052】
インソール4は、本体部5A、内アーチ部5B、前側部6A、及び後側部6Bを備え、これらの部位はいずれもクッション性を有する。また、これらの部位により、クッション材40が形成される。以下では、インソール4に含まれる各部位について説明する。
【0053】
[(2)本体部]
本体部5Aは、足底の略全域に対面するよう配置される扁平な部位である(図14~25参照)。より詳しくは、本体部5Aは、一例として、靴底の略全域にわたって広がり、足底の略全域を支持する。
【0054】
本体部5Aは、第1実施形態と同様、上面50及び下面51を有すると共に、上面50における内側縦アーチ部に対面する領域には、第1実施形態と同様に構成された被覆部52が形成されている。また、本体部5Aは、さらに、前側サブ被覆部53及び後側サブ被覆部54を有する。
【0055】
前側サブ被覆部53は、本体部5Aの上面50における、足底の横アーチ部に対面する位置に形成されている。また、後側サブ被覆部54は、上面50における、足底の外側縦アーチ部に対面する位置に形成されている。前側サブ被覆部53及び後側サブ被覆部54は、上面50における窪みとして形成される。
【0056】
[(3)内アーチ部]
内アーチ部5Bは、第1実施形態と同様の構成を有しており、上面55及び下面56を備える(図14、15、20~25参照)。また、内アーチ部5Bは、第1実施形態と同様にして被覆部52に配置されると共に、内アーチ部5Bの下面56は、被覆部52に接合される。
【0057】
なお、例えば、内アーチ部5Bがゲル素材(例えば、クリスタルゲル)により構成され、本体部5Aが多孔質の素材(例えば、EVA等のスポンジ素材)で構成されている場合が想定される。このような場合には、ホットメルトにより、内アーチ部5Bと被覆部52とが接合されても良い。
【0058】
また、内アーチ部5Bの外縁57は、第1実施形態と同様にして、全周又は一部が線状の部位として形成されている(図22~25参照)。また、外縁57における線状の部位として形成されない部分は、丸みを帯びた形状であっても良いし、平面状に広がっていても良い。
【0059】
[(4)前側部及び後側部]
前側部6A及び後側部6Bは、それぞれ、前側サブ被覆部53及び後側サブ被覆部54に対応して設けられており、内アーチ部5Bが被覆部52に配置されるのと同様にして、対応するサブ被覆部に配置される(図14、15、19~23、25参照)。
【0060】
すなわち、前側部6A及び後側部6Bは、それぞれ、前側サブ被覆部53及び後側サブ被覆部54を覆うように配置され、一例として扁平な形状であり、足底側に位置する上面60、63と、上面60、63の反対側の下面61、64とを有する。無論、前側部6A及び後側部6Bは、扁平な形状に限らず、様々な形状を有し得る。
【0061】
また、前側部6A及び後側部6Bの下面61、64は、それぞれ、前側サブ被覆部53及び後側サブ被覆部54に適合する形状を有しており、前側サブ被覆部53及び後側サブ被覆部54に当接(一例として、密着)するよう構成されている。また、前側部6A及び後側部6Bの下面61、64は、それぞれ、内アーチ部5Bが被覆部52に接合されるのと同様にして、前側サブ被覆部53及び後側サブ被覆部54に接合される。
【0062】
また、前側部6Aの外縁62及び後側部6Bの外縁65は、内アーチ部5Bの外縁57と同様にして、全周又は一部が線状の部位として形成されている(図21~23、25参照)。また、外縁62、65における線状の部位として形成されていない部分は、丸みを帯びた形状であっても良いし、平面状に広がっていても良い。
【0063】
[(5)表層材]
表層材7は、第1実施形態と同様、シート状の部材である。表層材7は、本体部5Aと、被覆部52、前側サブ被覆部53、及び後側サブ被覆部54にそれぞれ配置された内アーチ部5B、前側部6A、及び後側部6Bとにより形成されるクッション材40における、足底側に位置する上面を全て覆う(図13、25参照)。
【0064】
第1実施形態とは異なり、表層材7は、上側表層材としての構成を有し、下側表層材は備えない。つまり、表層材7は、本体部5Aの上面50、内アーチ部5Bの上面55、前側部6Aの上面60、及び後側部6Bの上面63を覆う。一方、本体部5Aの下面51は、表層材7により覆われていない。また、第1実施形態と同様、ホットメルト41により、表層材7と、本体部5A、内アーチ部5B、前側部6A、及び後側部6Bの上面50、55、60、63とが接合される。
【0065】
また、第2実施形態の表層材7には、耳部は設けられていない。このため、表層材7の外縁は、クッション材40の外縁に沿って配置される。
無論、これに限らず、第2実施形態の表層材7は、第1実施形態の表層材と同様に構成されていても良い。すなわち、表層材7は、上側表層材及び下側表層材を備え、第1実施形態と同様の耳部を有していても良い。
【0066】
[(6)インソールの全体形状及び素材]
インソール4は、第1実施形態と同様、足底の形状にフィットする立体的な形状となるよう、本体部5A、内アーチ部5B、前側部6A、及び後側部6Bの形状や厚さが調整されている(図14~25参照)。
【0067】
また、本体部5Aを構成する素材の硬度、及び、内アーチ部5Bを構成する素材の硬度の数値範囲、並びに、これらの硬度の大小関係及び差分の数値範囲は、第1実施形態と同様に定められる。
【0068】
なお、前側部6A、及び後側部6Bを構成する素材の硬度は、内アーチ部5Bを構成する素材の硬度と同様であっても良い。
また、内アーチ部5B、前側部6A、及び後側部6Bは、一例としてゲル素材で構成されている。具体的には、例えば、内アーチ部5B、前側部6A、及び後側部6Bは、スチレン系のゲル素材により構成されていても良く、より詳しくは、上述したクリスタルゲルにより構成されていても良い。一方、本体部5Aは、例えば、多孔質のクッション性を有する素材(一例として、EVA等のスポンジ素材)により構成されていても良い。
【0069】
無論、これに限らず、内アーチ部5B、前側部6A、及び後側部6Bの全部又は一部は、多孔質の素材等といった、ゲル素材以外の素材により構成されても良い。また、本体部5Aは、ゲル素材(一例として、クリスタルゲル)により構成されていても良い。
【0070】
[3.第3実施形態]
第3実施形態では、第1実施形態のインソール1の製造方法の一例を説明する。インソール1の製造工程は、配置工程と接合工程とを有する(図26、27参照)。配置工程とは、被覆部22に内アーチ部2Bが配置された状態の本体部2A(換言すれば、クッション材10)と、上側表層材30と、下側表層材32と、ホットメルト11とを配置する工程である。接合工程とは、ホットメルト11により本体部2A及び内アーチ部2Bと表層材3とを接合する工程である。
【0071】
また、接合工程では、第1型80及び第2型84を用いて、ホットメルト11による接合が行われる。
第1型80は、第1当接面81を有し、第1当接面81には、第1部分82と第1周縁部83とが設けられている。第1部分82は、第1当接面81における隆起した部分として形成され、第1当接面81の外縁から離間して設けられる。第1周縁部83は、第1当接面81の外縁に隣接し、第1部分82を囲む。
【0072】
第2型84は、第2当接面85を有し、第2当接面85には、第2部分86と第2周縁部87とが設けられている。第2部分86は、第2当接面85における凹部として形成され、第2当接面85の外縁から離間して設けられる。第2周縁部87は、第2当接面85の外縁に隣接し、第2部分86を囲む。
【0073】
そして、第1及び第2部分82、86が対面し、且つ、第1及び第2周縁部83、87同士が対面するように第1型80及び第2型84が配置されると、第1及び第2部分82、86の間に収容空間88が形成される。
【0074】
配置工程では、第1当接面81と第2当接面85とが対面するように、第1及び第2型80、84が配置される(図26参照)。この時、第1当接面81と第2当接面85との間にクッション材10が配置される。また、第1当接面81とクッション材10との間には、上側表層材30が配置されると共に、上側表層材30とクッション材10との間には、ホットメルト11が配置される。また、第2当接面85とクッション材10との間には、下側表層材32が配置されると共に、下側表層材32とクッション材10との間には、ホットメルト11が配置される。
【0075】
続いて、配置工程では、第1型80及び第2型84を接近させることで、収容空間88が形成される(図27参照)。この時、収容空間88には、表層材3と、クッション材10と、ホットメルト11とが、加熱対象を形成した状態で配置される。
【0076】
すなわち、加熱対象では、本体部2A及び内アーチ部2Bの上面20、24を覆うように上側表層材30が配置されていると共に、上面20、24と上側表層材30との間には、ホットメルト11が配置されている。なお、上側表層材30は、第1型80の第1部分82に当接(換言すれば、対面)する。また、本体部2A及び内アーチ部2Bの上面20、24は、第1部分82に対面する。
【0077】
また、加熱対象では、本体部2Aの下面21を覆うように下側表層材32が配置されていると共に、下面21と下側表層材32との間には、ホットメルト11が配置されている。なお、下側表層材32は、第2型84の第2部分86に当接(換言すれば、対面)する。また、本体部2Aの下面21は、第2部分86に対面する。
【0078】
さらに、上側表層材30の上側縁部31と、下側表層材32の下側縁部33とは、重なった状態となり、これらの間にもホットメルト11が配置される。上側縁部31は、第1型80の第1周縁部83に当接し、下側縁部33は、第2型84の第2周縁部87に当接する。
【0079】
そして、続く接合工程では、第1及び第2型80、83を加熱することで、加熱対象を加熱し、ホットメルト11を溶融させる。その後、加熱対象を冷却することで、本体部2A及び内アーチ部2Bの上面20、24と、本体部2Aの下面21とが、それぞれ、上側表層材30と下側表層材32とに接合する。この時、上側縁部31及び下側縁部33もまた、ホットメルト11により接合され、耳部34が形成される。
【0080】
また、第1型80の第1部分82の形状と、第2型84の第2部分86の形状とは、上述したものに限らず、第1及び第2部分82、86の間に収容空間88を形成可能となる範囲で適宜定められ得る。具体的には、例えば、第1型80の第1部分82は、第1当接面81における凹部として形成されていても良いし、第2型84の第2部分86は、第2当接面85における隆起した部分として構成されていても良い。
【0081】
[4.第4実施形態]
第4実施形態では、第2実施形態のインソール4の製造方法の一例を説明する。なお、第4実施形態の製造方法でインソール4を製造する場合には、本体部5Aは、EVA等のスポンジ素材(換言すれば、耐熱性を有する素材)により構成されているのが望ましい。
【0082】
インソール4の製造工程は、第3実施形態と同様の配置工程と接合工程に加え、切断工程を有する(図28、29参照)。
配置工程とは、クッション材40と、表層材7と、ホットメルト41とを配置する工程である。なお、クッション材40とは、被覆部52、前側サブ被覆部53、及び、後側サブ被覆部54に、それぞれ、内アーチ部5B、前側部6A、及び、後側部6Bが配置された状態の本体部5Aを意味する。
【0083】
また、接合工程とは、ホットメルト41により、クッション材40と表層材7とを接合する工程である。接合工程では、第3実施形態と同様の第1型80及び第2型84を用いて、ホットメルト41による接合が行われる。
【0084】
配置工程では、第3実施形態と同様にして、第1当接面81と第2当接面85との間に、加熱対象を形成するクッション材40が配置される(図28参照)。この時、第1当接面81とクッション材40との間には、表層材7が配置されると共に、表層材7とクッション材40との間には、ホットメルト41が配置される。
【0085】
続いて、配置工程では、第3実施形態と同様にして、第1型80及び第2型84を接近させることで、収容空間88が形成される(図29参照)。この時、収容空間88には、表層材7と、クッション材40と、ホットメルト41とが、加熱対象を形成した状態で配置される。
【0086】
そして、第4実施形態の加熱対象におけるクッション材40には、裁断部58が設けられている。裁断部58は、本体部5Aと一体化された部位である。つまり、本体部5A及び裁断部58は、分離した部材を接合するのではなく、1つの素材を所定の形状に加工することで形成される。また、裁断部58は、本体部5Aの上面50に沿って設けられており、上面50の外縁を周回するように設けられる。裁断部58は、本体部5Aよりも薄く、本体部5Aの側部から突出しており、本体部5Aの上面50に隣接する上面58Aを有する。
【0087】
加熱対象では、本体部5A、裁断部58、内アーチ部5B、前側部6A、及び、後側部6Bの上面50、58A、55、60、63を覆うように表層材7が配置されると共に、該上面と表層材7との間には、ホットメルト41が配置されている。なお、表層材7は、第1型80の第1部分82及び第1周縁部83に当接する。また、本体部5A、内アーチ部5B、前側部6A、及び、後側部6Bの上面は、第1部分82に対面する。一方、裁断部58の上面58Aは、第1周縁部83に対面する。
【0088】
また、加熱対象では、本体部5Aの下面51は、第2型84の第2部分86に当接する。また、裁断部58における上面58Aの反対側に位置する下面58Bは、第2型84の第2周縁部87に当接する。
【0089】
つまり、裁断部58は、第1周縁部83と第2周縁部87とにより挟まれる。
続く接合工程では、第1及び第2型80、84を加熱することで、加熱対象を加熱し、ホットメルト41を溶融させる。その後、加熱対象を冷却することで、本体部5A、裁断部58、内アーチ部5B、前側部6A、及び、後側部6Bの上面50、58A、55、60、63が、表層材7に接合する。
【0090】
続く切断工程では、表層材7が接合されたクッション材40が、切断面42に沿って切断される(図29参照)。これにより、裁断部58と、表層材7における裁断部58を覆う部分が本体部5Aから切り離され、インソール4が形成される。
【0091】
[5.効果]
(1)第1及び第2実施形態によれば、内アーチ部2B、5Bが本体部2A、5Aとは別の部材として構成されており、また、内アーチ部2B、5Bを構成する素材の硬度と、本体部2A、5Aを構成する素材の硬度が異なる。このため、内アーチ部2B、5Bの形状や厚さや硬度を選択することで、インソール1、4における内側縦アーチ部に当接する部分の形状や、高さや、該部分の硬度の分布を調整できる。これにより、インソール1、4の足底へのフィット感が向上し、インソール1、4から足底に付与される圧力の分散を促すことができる。このため、靴の快適性が向上する。
【0092】
また、内アーチ部2B、5Bが本体部2A、5Aの上面20、50に配置されていることから、内アーチ部2B、5Bが下面21、51に配置される場合と比べ、足底のより近くで硬度の分布を形成できる。このため、インソール1、4から足底に付与される圧力の分散を促すことができる。さらに、本体部2A、5Aと内アーチ部2B、5Bとを別の部材として構成することで、靴のタイプや靴のユーザ等に応じて、靴底の形状や硬度の分布等をカスタマイズし易くなる。
【0093】
(2)また、本体部2A、5Aにおける被覆部22、52は、上面20、50における窪んだ領域として形成される。このため、内アーチ部2B、5Bを被覆部22、52に配置する際、内アーチ部2B、5Bの位置決めが容易になり、内アーチ部2B、5Bを配置し易くなる。
【0094】
(3)また、内アーチ部2B、5Bの外縁26、57は、上面24、55及び下面25、56の端部を形成する線状の部位により形成される。このため、内アーチ部2B、5Bの外縁26、57の付近では、当該内アーチ部2B、5Bの厚みが急激に変化するのを抑制できる。このため、内アーチ部2B、5Bにおける外縁26、57の付近の領域にて、硬度の分布が滑らかに変化するように促すことができ、その結果、ユーザに違和感を与えるのを抑制できる。
【0095】
(4)また、内アーチ部2B、5Bに比べて本体部2A、5Aの硬度を低くすることで、足底からの荷重に応じて本体部2A、5Aが沈みやすくなり、内アーチ部2B、5Bと本体部2A、5Aとの間の高低差が生じやすくなる。このため、インソール1、4の内側縦アーチ部への接触が促され、フィット感が向上し、インソール1、4から足底に付与される圧力の分散が促される。また、足底における内側縦アーチ部は柔らかい部位となっているが、このような部位を、相対的に硬度が高い内アーチ部2B、5Bで支持することができ、これにより、ユーザに安定感を与えることができる。
【0096】
(5)また、本体部2A、5Aに比べて内アーチ部2B、5Bの硬度を低くすることで、足底からの荷重に応じて内アーチ部2B、5Bが沈みやすくなる。このため、内側縦アーチ部が浅い足底、換言すれば、所謂偏平足又はそれに近い足底であっても、インソール1、4の内側縦アーチ部への接触が促され、フィット感が向上し、インソール1、4から足底に付与される圧力の分散が促される。
【0097】
(6)また、第1実施形態のインソール1は、クッション材10の上面と下面とが、それぞれ、上側表層材30と下側表層材32とにより覆われている。このため、内アーチ部2B及び本体部2Aを適度に補強することができ、足底からの荷重によりインソール1が型崩れするのを抑制できる。このため、インソール1のフィット感や、インソール1から足底に付与される圧力の分散性が損なわれるのを抑制できる。
【0098】
(7)また、第2実施形態のインソール4は、クッション材40の上面が表層材7により覆われている。このため、表層材7により内アーチ部5Bと本体部5Aとを好適に一体化できる。このため、インソール4のフィット感や、インソール4から足底に付与される圧力の分散性が損なわれるのを抑制できる。
【0099】
(8)また、第1実施形態のインソール1は、耳部34にて上側表層材30と下側表層材32とを良好に接合できる。また、耳部34により、インソール1の型崩れを抑制できると共に、インソール1の強度を向上させることができる。
【0100】
(9)また、第3実施形態の製造方法によれば、足底へのフィット感が向上し、足底に付与される圧力の分散を促すことができるインソール1を、好適に製造できる。このため、靴の快適性が向上する。また、表層材3を好適に内アーチ部2B及び本体部2Aに接合させることができる。また、耳部34を好適に形成できる。
【0101】
(10)また、第4実施形態の製造方法によれば、足底へのフィット感が向上し、足底に付与される圧力の分散を促すことができるインソール4を、好適に製造できる。このため、靴の快適性が向上する。また、表層材7を好適に内アーチ部5B及び本体部5Aに接合させることができる。
【0102】
[6.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、被覆部22、52は、本体部2A、5Aの上面20、50における窪みとして形成されている。しかし、これに限らず、被覆部22、52は、様々な形状を有し得る。
【0103】
具体的には、例えば、被覆部22、52を上面20、50における隆起した部分として形成すると共に、内アーチ部2B、5Bの下面25、56を、上面に適合する窪んだ形状としても良い。そして、内アーチ部2B、5Bの下面25、56が被覆部22、52に当接し、これにより、被覆部22、52を覆うように内アーチ部2B、5Bの位置が決定されても良い。
【0104】
また、例えば、被覆部22、52は、平面状に広がる部分と、該部分に形成された少なくとも1つの突起とを有し、内アーチ部2B、5Bの下面25、56は、平面状に広がる部分と、被覆部の突起が嵌入する少なくとも1つの穴部と有していても良い。そして、該突起が該穴部に嵌入することで、内アーチ部2B、5Bの下面25、56が被覆部22、52に適合し、これにより、被覆部22、52を覆うように内アーチ部2B、5Bの位置が決定されても良い。無論、該突起を内アーチ部2B、5Bの下面に形成すると共に、該穴部を被覆部に形成することで、内アーチ部2B、5Bの下面が被覆部に適合するようにしても良い。
【0105】
このような構成を有する場合であっても、内アーチ部2B、5Bを被覆部22、52に配置する際、内アーチ部2B、5Bの位置決めが容易になり、内アーチ部2B、5Bを配置し易くなる。
【0106】
(2)第2及び第4実施形態のインソール4は、前側部6A及び後側部6Bの双方又は一方を備えない構成であってもよい。無論、これに限らず、インソール4は、前側部6Aや後側部6Bと同様にして、本体部5Aにおける所定の領域を覆う部位をさらに備えていても良い。また、第1及び第3実施形態のインソール1は、第2実施形態における前側部6Aや後側部6Bと同様、本体部2Aにおける所定の領域を覆う部位をさらに備えていても良い。
【0107】
(3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【0108】
[7.本明細書が開示する技術思想]
[本明細書が開示する技術思想]
[項目1]
靴のインソールであって、
クッション性を有する扁平な部位であって、足底における踵、内側縦アーチ部、及び外側縦アーチ部に対面するよう配置される部位である本体部と、
前記本体部の前記足底側の面における前記内側縦アーチ部に対面する領域に形成される被覆部と、
クッション性を有する部位であって、前記被覆部を覆うように配置される部位である内アーチ部と、を備え、
前記内アーチ部において、前記足底側の面を上面とすると共に、前記上面の反対側の面を下面とし、
前記内アーチ部の前記下面は、前記被覆部に適合する形状を有し、
前記本体部と前記内アーチ部とは、異なる硬度を有する素材により構成されている
インソール。
【0109】
[項目2]
項目1に記載されたインソールにおいて、
前記被覆部は、前記本体部の前記足底側の面における窪んだ領域として形成される
インソール。
【0110】
[項目3]
項目1又は項目2に記載されたインソールにおいて、
前記内アーチ部の外縁における少なくとも一部は、前記上面及び前記下面の外縁を形成する線状の部位により形成されている
インソール。
【0111】
[項目4]
項目1から項目3のうちのいずれか1項に記載されたインソールにおいて、
前記本体部を構成する素材の硬度、及び、前記内アーチ部を構成する素材の硬度は、10デュロメータ以上50デュロメータ以下であり、
前記内アーチ部を構成する素材の硬度から、前記本体部を構成する素材の硬度を減算した値は、10デュロメータ以上40デュロメータ以下である
インソール。
【0112】
[項目5]
項目1から項目3のうちのいずれか1項に記載されたインソールにおいて、
前記本体部を構成する素材の硬度、及び、前記内アーチ部を構成する素材の硬度は、10デュロメータ以上50デュロメータ以下であり、
前記本体部を構成する素材の硬度から、前記内アーチ部を構成する素材の硬度を減算した値は、10デュロメータ以上40デュロメータ以下である
インソール。
【0113】
[項目6]
項目1から項目5のうちのいずれか1項に記載されたインソールにおいて、
前記被覆部に配置された前記内アーチ部と、前記本体部とにおける前記足底側の面である上面を覆うシート状の部材である表層材を更に備え、
前記表層材と、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面とは、ホットメルトにより接合されている
インソール。
【0114】
[項目7]
項目6に記載されたインソールにおいて、
前記表層材は、前記本体部における前記上面の反対側に位置する下面をさらに覆い、
前記表層材と前記本体部の前記下面とは、ホットメルトにより接合されている
インソール。
【0115】
[項目8]
項目7に記載されたインソールにおいて、
前記本体部の外縁に沿って設けられる耳部をさらに備え、
前記表層材は、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面を覆う上側表層材と、前記本体部の前記下面を覆う下側表層材とを有し、
前記耳部は、前記上側表層材の外縁を含む上側縁部と、前記下側表層材の外縁を含む下側縁部とを有し、
前記上側縁部と前記下側縁部とは、重なるように配置されており、ホットメルトにより接合されている
インソール。
【0116】
[項目9]
第1型と第2型とを用いて行われる靴のインソールの製造方法であって、
前記インソールは、
クッション性を有する扁平な部位であって、足底における踵、内側縦アーチ部、及び外側縦アーチ部に対面するよう配置される部位である本体部と、
前記本体部の前記足底側の面における前記内側縦アーチ部に対面する領域に形成される被覆部と、
クッション性を有する部位であって、前記被覆部を覆うように配置される部位である内アーチ部と、を備え、
前記内アーチ部における前記足底側の面の反対側の面を下面とし、
前記内アーチ部の前記下面は、前記被覆部に適合する形状を有し、
前記本体部と前記内アーチ部とは、異なる硬度を有する素材により構成されており、
前記インソールは、シート状の部材であって、前記被覆部に配置された前記内アーチ部と、前記本体部とにおける前記足底側の面である上面を覆う部材である上側表層材を、更に備え、
前記第1型は、第1部分を有し、
前記第2型は、前記第1部分に対面した際に、前記第1部分との間に収容空間を形成するよう構成された第2部分を有し、
前記被覆部に配置された前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面と、該上面を覆う前記上側表層材との間にホットメルトが配置されているものを、加熱対象とし、
前記インソールの製造方法は、
前記上側表層材と、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面とが、前記第1型の前記第1部分に対面し、且つ、前記本体部の前記下面が前記第2型の前記第2部分に対面するように、前記第1部分と前記第2部分との間に形成された前記収容空間に前記加熱対象を配置することと、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面と前記上側表層材とを接合することと、
を備える製造方法。
【0117】
[項目10]
項目9に記載されたインソールの製造方法において、
前記インソールは、シート状の部材であって、前記本体部における前記上面の反対側に位置する下面を覆う部位である下側表層材を更に備え、
前記加熱対象は、さらに、前記本体部の前記下面と、該下面を覆う前記下側表層材との間にホットメルトが配置されており、
前記インソールの製造方法は、
前記上側表層材と、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面とが、前記第1型の前記第1部分に対面し、且つ、前記下側表層材と、前記本体部の前記下面とが、前記第2型の前記第2部分に対面するように、前記収容空間に前記加熱対象を配置することと、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面と、前記本体部の前記下面とを、それぞれ、前記上側表層材と前記下側表層材とに接合することと、
を備える製造方法。
【0118】
[項目11]
項目10に記載されたインソールの製造方法において、
前記インソールは、前記本体部の外縁に沿って設けられる耳部をさらに備え、
前記耳部は、前記上側表層材の外縁を含む上側縁部と、前記下側表層材の外縁を含む下側縁部とを有し、
前記インソールの製造方法において、
前記収容空間に前記加熱対象を配置する際、前記上側縁部及び前記下側縁部は、前記第1型と前記第2型との間で重なった状態となり、前記上側縁部と前記下側縁部との間には、ホットメルトが配置されており、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、さらに、前記上側縁部及び前記下側縁部を接合して前記耳部を形成する
製造方法。
【0119】
[項目12]
項目9に記載されたインソールの製造方法において、
前記加熱対象には、前記本体部の上面の外縁に沿って設けられる裁断部がさらに設けられており、前記本体部と前記裁断部とは、一体化された部材として形成されており、
前記加熱対象では、前記上側表層材は、前記内アーチ部及び前記本体部の上面と、前記裁断部とを覆うと共に、前記上側表層材と、前記内アーチ部、前記本体部、及び、前記裁断部との間に、ホットメルトが配置されており、
前記第1型は、前記第1部分の外縁に沿って設けられる第1周縁部をさらに有し、
前記第2型は、前記第2部分の外縁に沿って設けられる第2周縁部をさらに有し、
前記インソールの製造方法において、
前記収容空間に配置された前記加熱対象は、前記裁断部が、前記第1及び第2周縁部に挟まれており、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、前記内アーチ部、前記本体部、及び、前記裁断部が、前記上側表層材と接合され、
前記インソールの製造方法は、前記内アーチ部、前記本体部、及び、前記裁断部と、前記上側表層材とを接合した後、前記裁断部と、前記上側表層材における前記裁断部を覆う部分とを切り離すこと、さらに有する
製造方法。
【符号の説明】
【0120】
1…インソール、10…クッション材、11…ホットメルト、2A…本体部、20…上面、21…下面、22…被覆部、23…外縁、2B…内アーチ部、24…上面、25…下面、26…外縁、3…表層材、30…上側表層材、31…上側縁部、32…下側表層材、33…下側縁部、34…耳部、4…インソール、40…クッション材、41…ホットメルト、5A…本体部、50…上面、51…下面、52…被覆部、53…前側サブ被覆部、54…後側サブ被覆部、5B…内アーチ部、55…上面、56…下面、57…外縁、58…裁断部、58A…上面、58B…下面、6A…前側部、60…上面、61…下面、62…外縁、6B…後側部、63…上面、64…下面、65…外縁、7…表層材、80…第1型、81…第1当接面、82…第1部分、83…第1周縁部、84…第2型、85…第2当接面、86…第2部分、87…第2周縁部、88…収容空間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴のインソールであって、
クッション性を有する扁平な部位であって、足底における踵、内側縦アーチ部、及び外側縦アーチ部に対面するよう配置される部位である本体部と、
前記本体部の前記足底側の面における前記内側縦アーチ部に対面する領域に形成される被覆部と、
クッション性を有する部位であって、前記被覆部を覆うように配置される部位である内アーチ部と、を備え、
前記内アーチ部において、前記足底側の面を上面とすると共に、前記上面の反対側の面を下面とし、
前記内アーチ部の前記下面は、前記被覆部に適合する形状を有し、
前記本体部と前記内アーチ部とは、異なる硬度を有する素材により構成されており、
前記被覆部は、前記本体部の前記足底側の面における窪んだ領域として形成されており、前記内アーチ部の外縁は、前記被覆部の外縁と重なっており、
前記内アーチ部の外縁における少なくとも一部は、前記上面及び前記下面の外縁を形成する線状の部位により形成されており、
前記本体部を構成する素材の硬度、及び、前記内アーチ部を構成する素材の硬度は、10デュロメータ以上50デュロメータ以下であり、
前記内アーチ部を構成する素材の硬度から、前記本体部を構成する素材の硬度を減算した絶対値は、10デュロメータ以上40デュロメータ以下であり、
前記被覆部に配置された前記内アーチ部と、前記本体部とにおける前記足底側の面である上面を覆うシート状の部材である表層材を更に備え、
前記表層材と、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面とは、ホットメルトにより接合されている
インソール。
【請求項2】
請求項に記載されたインソールにおいて、
前記表層材は、前記本体部における前記上面の反対側に位置する下面をさらに覆い、
前記表層材と前記本体部の前記下面とは、ホットメルトにより接合されている
インソール。
【請求項3】
請求項に記載されたインソールにおいて、
前記本体部の外縁に沿って設けられる耳部をさらに備え、
前記表層材は、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面を覆う上側表層材と、前記本体部の前記下面を覆う下側表層材とを有し、
前記耳部は、前記上側表層材の外縁を含む上側縁部と、前記下側表層材の外縁を含む下側縁部とを有し、
前記上側縁部と前記下側縁部とは、重なるように配置されており、ホットメルトにより接合されている
インソール。
【請求項4】
第1型と第2型とを用いて行われる靴のインソールの製造方法であって、
前記インソールは、
クッション性を有する扁平な部位であって、足底における踵、内側縦アーチ部、及び外側縦アーチ部に対面するよう配置される部位である本体部と、
前記本体部の前記足底側の面における前記内側縦アーチ部に対面する領域に形成される被覆部と、
クッション性を有する部位であって、前記被覆部を覆うように配置される部位である内アーチ部と、を備え、
前記内アーチ部における前記足底側の面の反対側の面を下面とし、
前記内アーチ部の前記下面は、前記被覆部に適合する形状を有し、
前記本体部と前記内アーチ部とは、異なる硬度を有する素材により構成されており、
前記インソールは、シート状の部材であって、前記被覆部に配置された前記内アーチ部と、前記本体部とにおける前記足底側の面である上面を覆う部材である上側表層材を、更に備え、
前記第1型は、前記インソールに対応する形状を有する第1部分と、前記第1部分を囲む第1周縁部とを有し、
前記第2型は、前記第1部分に対面した際に、前記第1部分との間に収容空間を形成するよう構成された凹状の部位であり、前記インソールに対応する形状を有する部位である第2部分と、前記第2部分を囲む第2周縁部とを有し、
前記被覆部に配置された前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面と、該上面を覆う前記上側表層材との間にホットメルトが配置されていると共に、前記上側表層材には、前記上面を囲むように上側縁部が形成されているものを、加熱対象とし、
前記インソールの製造方法は、
前記上側表層材と、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面とが、前記第1型の前記第1部分に対面すると共に、前記本体部の前記下面が前記第2型の前記第2部分に対面し、且つ、前記上側縁部が前記第1周縁部と前記第2周縁部との間に位置するように、前記第1周縁部と前記第2周縁部とが接近することで前記第1部分と前記第2部分との間に形成された前記収容空間に前記加熱対象を配置することと、
前記第1及び第2型を介して前記収容空間に配置された前記加熱対象を加熱することで、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面と前記上側表層材とを接合することと、
を備える製造方法。
【請求項5】
請求項に記載されたインソールの製造方法において、
前記インソールは、シート状の部材であって、前記本体部における前記上面の反対側に位置する下面を覆う部位である下側表層材を更に備え、
前記加熱対象は、さらに、前記本体部の前記下面と、該下面を覆う前記下側表層材との間にホットメルトが配置されており、
前記インソールの製造方法は、
前記上側表層材と、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面とが、前記第1型の前記第1部分に対面し、且つ、前記下側表層材と、前記本体部の前記下面とが、前記第2型の前記第2部分に対面するように、前記収容空間に前記加熱対象を配置することと、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、前記内アーチ部及び前記本体部の前記上面と、前記本体部の前記下面とを、それぞれ、前記上側表層材と前記下側表層材とに接合することと、
を備える製造方法。
【請求項6】
請求項に記載されたインソールの製造方法において、
前記インソールは、前記本体部の外縁に沿って設けられる耳部をさらに備え、
前記耳部は、前記上側表層材の外縁を含む前記上側縁部と、前記下側表層材の外縁を含む下側縁部とを有し、
前記インソールの製造方法において、
前記収容空間に前記加熱対象を配置する際、前記上側縁部及び前記下側縁部は、前記第1周縁部と前記第2周縁部との間で重なった状態となり、前記上側縁部と前記下側縁部との間には、ホットメルトが配置されており、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、さらに、前記上側縁部及び前記下側縁部を接合して前記耳部を形成する
製造方法。
【請求項7】
請求項に記載されたインソールの製造方法において、
前記加熱対象には、前記本体部の上面の外縁に沿って設けられる裁断部がさらに設けられており、前記本体部と前記裁断部とは、一体化された部材として形成されており、
前記加熱対象では、前記上側表層材は、前記内アーチ部及び前記本体部の上面を覆うと共に、前記上側表層材の前記上側縁部は、前記裁断部を覆い、さらに、前記上側表層材と、前記内アーチ部、前記本体部、及び、前記裁断部との間に、ホットメルトが配置されており
記インソールの製造方法において、
前記収容空間に配置された前記加熱対象は、前記上側縁部及び前記裁断部が、前記第1及び第2周縁部に挟まれており、
前記第1及び第2型を介して前記加熱対象を加熱することで、前記内アーチ部、前記本体部、及び、前記裁断部が、前記上側表層材と接合され、
前記インソールの製造方法は、前記内アーチ部、前記本体部、及び、前記裁断部と、前記上側表層材とを接合した後、前記裁断部と、前記上側表層材における前記裁断部を覆う部分とを切り離すこと、さらに有する
製造方法。