(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074473
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】有圧換気扇及び電動シャッターの有圧換気扇の施工方法
(51)【国際特許分類】
F24F 7/013 20060101AFI20240524BHJP
F24F 7/10 20060101ALI20240524BHJP
F24F 13/32 20060101ALI20240524BHJP
F24F 13/20 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
F24F7/013 101F
F24F7/10 Z
F24F13/32
F24F13/20 205
F24F7/013 101R
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185642
(22)【出願日】2022-11-21
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 納入日:令和4年9月28日・ESR東扇島工事現場(神奈川県川崎市川崎区東扇島21)
(71)【出願人】
【識別番号】303056368
【氏名又は名称】東急建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】有坂 勝太
(57)【要約】
【課題】工事区分が明確となり、施工が容易な有圧換気扇を提供する。
【解決手段】電動シャッターと組み合わせて用いる有圧換気扇であって、ベルマウスに、前記電動シャッターの電源コードを前後方向に挿通可能であり、前記電源コードの先端に設けたプラグを挿通可能な大きさの貫通孔である挿通孔を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動シャッターと組み合わせて用いる有圧換気扇であって、
ベルマウスに、前記電動シャッターの電源コードを前後方向に挿通可能であり、前記電源コードの先端に設けたプラグを挿通可能な大きさの貫通孔である挿通孔を有する、
有圧換気扇。
【請求項2】
電動シャッターと組み合わせて用いる有圧換気扇であって、
ベルマウスに、前記電動シャッターの電源コードを前後方向に挿通可能であり、前記ベルマウスの端部で開放されているスリット状の挿通孔を有する、
有圧換気扇。
【請求項3】
電動シャッターと、請求項1又は2に記載の有圧換気扇の施工方法であって、
予め前記電動シャッターの電源コードの先端にプラグを設け、
前記電動シャッターを取り付け、
前記プラグの付いた前記電源コードを前記有圧換気扇の前記挿通孔に挿通し、
前記有圧換気扇を取り付け、
前記電動シャッターの前記プラグと、前記有圧換気扇のプラグとを、コンセントに差し込むことを特徴とする、
電動シャッターと有圧換気扇の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有圧換気扇に関し、特に、電動シャッターと組み合わせて使用する有圧換気扇と、電動シャッターと有圧換気扇の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内の空気を換気のための排気・給気ファンとして、有圧換気扇が用いられている(特許文献1)。
そして、有圧換気扇の屋外側には、有圧換気扇が停止している時に外気が建物内に入りこむことを防ぐために、シャッターを設ける。特に屋外の風が強い場所では、シャッターを電動式(電動シャッター)とし、有圧換気扇に連動して開閉を行う。
有圧換気扇は、外部の空気の影響をなくすために、プロペラの周囲をベルマウスで覆っている。
【0003】
有圧換気扇と電動シャッターは電源が別であるため、現場に設置する際にそれぞれ電源コードの先端に設けたプラグを現場近傍の屋内側に設けたコンセントに差し込む。
そして、電動シャッターは有圧換気扇の屋外側に有圧換気扇と一体に設けるため、電源コードはベルマウスを挿通して、屋内側に取り出す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の有圧換気扇は、ベルマウスに電動シャッターの電源コードを挿通する孔(電源コード挿通孔)を有する(
図4)が、ベルマウスは外部の空気の影響をなくすためのものであるため、孔は電源コードを挿通できる程度の大きさであり、プラグを挿通することができない。
つまり、現場において有圧換気扇を取り付ける際に、端部にプラグがない電源コードを挿通した後に、先端にプラグを取り付けてコンセントに差し込む必要がある。
【0006】
従来の電動シャッターと有圧換気扇の現場における施工手順は表1のとおりである。
まず、有圧換気扇/電動シャッター用のコンセントと、電動シャッター用のプラグの選定、手配は事前に電気協力会社により行う。
そして、空調設備工が有圧換気扇の取付枠の取付を行い、電気設備工が有圧換気扇/電動シャッター用コンセントの施工を行う。これらはいずれも高所作業となる。この後は、空調設備工の作業となり、電気設備工は一旦、他所に移動する。
引き続き、空調設備工は、電動シャッターの取付、有圧換気扇の仮取付を行い、有圧換気扇の電源コード挿通孔から電動シャッターの電源コードを取り出して、有圧換気扇の本取付を行う。
この後、再度、電気設備工により、電源コードの先端にプラグを取り付け、有圧換気扇と電動シャッターの電源ケーブルを整線した後、プラグをコンセントに差し込む。
【0007】
【0008】
従来の施工方法には以下のような問題がある。
(1)設計施工物件においても、プラグ取付工事の区分が不明確であり、図面及び見積上で抜けてしまうおそれがある。
(2)有圧換気扇は高所に設置されるため、プラグ取付作業も高所作業となる。
(3)プラグは細かな部材で構成されるため、高所での取付作業は品質不良の原因となるおそれがある。
(4)空調設備工が有圧換気扇と電動シャッターを取り付けた後に電気設備工が高所作業を行う必要があるため、高所作業車や養生の手配が必要となる。
(5)電気設備工と空調設備工とで詳細な工程調整が必要となる。
(6)多工種による施工となるため、品質責任区分が不明確となる。
【0009】
本発明は、工事区分が明確となり、施工が容易な有圧換気扇及び電動シャッターと有圧換気扇の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の有圧換気扇は、電動シャッターと組み合わせて用いる有圧換気扇であって、ベルマウスに、前記電動シャッターの電源コードを前後方向に挿通可能であり、前記電源コードの先端に設けたプラグを挿通可能な大きさの貫通孔である挿通孔を有する。
また、ベルマウスに、前記電動シャッターの電源コードを前後方向に挿通可能であり、前記ベルマウスの端部で開放されているスリット状の挿通孔を有する。
【0011】
また、上記目的を達成するためになされた本発明の電動シャッターと有圧換気扇の施工方法は、予め前記電動シャッターの電源コードの先端にプラグを設け、前記電動シャッターを取り付け、前記プラグの付いた前記電源コードを前記有圧換気扇の前記挿通孔に挿通し、前記有圧換気扇を取り付け、前記電動シャッターの前記プラグと、前記有圧換気扇のプラグとを、コンセントに差し込むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記した課題を解決するための手段により、次のような効果の少なくとも一つを得ることができる。
(1)プラグの取付は、電動シャッターのメーカーまたは代理店倉庫にて予め行うことで、取付工事の区分が明確となり、図面及び見積上で抜けてしまうおそれがない。
(2)高所でのプラグ取付作業が不要となり、リスクアセスメントの実現と、省力化が図れる。
(3)プラグは予め電源コード21に取り付けるため、現場納入前に製品試験を実施することができ、細かな部材のプラグであっても品質を確保できる。
(4)再度の高所作業車や養生の手配が不要である。
(5)電気設備工と空調設備工とでの工程調整も不要となる。
(6)プラグの取付工事が明確に空調設備工事の区分となり、品質責任区分が明確となる。
(7)有圧換気扇の更新する際にも、プラグの取付作業が発生しないため、電気工事士による電気工事が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら本発明の有圧換気扇及び有圧換気扇と電動シャッターの施工方法を詳細に説明する。なお、本説明における前・後は、有圧換気扇と電動シャッターを基準として定義し、前方とは有圧換気扇から電動シャッターに向かう方向(屋外側)を意味する。
【0015】
[実施例1]
(1)有圧換気扇の構成
本発明の有圧換気扇1は、前方に配置する電動シャッター2と組み合わせて使用する。
有圧換気扇1は、プロペラ11の周囲をベルマウス12で覆うように、ベルマウス12の中央に設けた開口にプロベラ11を納め、プロペラ11に取り付けたモーター13をベルマウス12に固定した支持脚14により支持する。また、ベルマウス12は、所定の大きさの挿通孔15を有する(
図1)。
【0016】
(2)挿通孔
挿通孔15は、電動シャッター2の電源コード21を、有圧換気扇1の前後方向に挿通するためのものである。
電源コード21の先端にはプラグ22が取り付けてあり、挿通孔15の径は、プラグ22の最大幅よりも大径とすることでプラグ22が通過可能となり、プラグ22が付いた状態の電源コード21を有圧換気扇1の後側(室内側)に挿通することができる。
挿通孔15は電源コード21に対して大径であるため、前後の空気の移動を防ぐために、例えば電源コード21を挿通できる孔やスリットを設けた、ゴムやスポンジ等からなる封止体16により、電源コード21を挿通した状態で挿通孔15を封止してもよい(
図2)。
挿通孔15に挿通したプラグ22は、有圧換気扇1のプラグ(図示せず)と合わせて室内側に設けたコンセントに差し込む。
この他、挿通孔15の幅は電源コード21の幅と同程度であるが、その端部をベルマウス12の端部で開放するスリット状とすることで、端部から電源コード21を通してベルマウス12の前後方向にプラグ22が付いた状態の電源コード21を挿通することもできる(
図3)。
【0017】
(3)施工方法
電動シャッター2と本発明の有圧換気扇1の現場における施工手順は表2のとおりとなる。
本発明の有圧換気扇1は、プラグ22が付いた状態の電源コード21を挿通することができる挿通孔15を有するため、電動シャッター2のプラグ22は予め電源コード21に取り付けたものとなる。このため、有圧換気扇1/電動シャッター2用のコンセントと、電動シャッター2用のプラグ22の選定、手配は空調設備工の区分となり、有圧換気扇メーカーまたは代理店にて発注手配を行う。プラグ22の取付は、電動シャッター2のメーカーまたは代理店倉庫にて予め行うことで、取付工事の区分が明確となり、図面及び見積上で抜けてしまうおそれがない。また、プラグ22は予め電源コード21に取り付けるため、現場納入前に製品試験を実施することができ、細かな部材のプラグ22であっても品質を確保できる。また、高所でのプラグ22取付作業も不要となり、リスクアセスメントの実現と、省力化が図れる。
そして、空調設備工が有圧換気扇1の取付枠の取付を行い、電気設備工が有圧換気扇1/電動シャッター2用コンセントの施工を行う。これらは高所作業であり、この後は、空調設備工は引き続き作業を行うが、電気設備工はこの後の高所作業は発生しない。このため、再度の高所作業車や養生の手配が不要であり、電気設備工と空調設備工とでの工程調整も不要となる。
この後、空調設備工は、電動シャッター2の取付、有圧換気扇1の仮取付を行い、有圧換気扇1の挿通孔15に電動シャッター2のプラグ22付き電源コード21を挿通して、有圧換気扇1の本取付を行う。挿通した電源コード21は、有圧換気扇1の電源ケーブルと合わせて整線した後、プラグ22をコンセントに差し込む。電源コード21を挿通孔15に挿通するのみであり、高所作業であっても容易に施工ができる。
【0018】
【0019】
有圧換気扇1に電動シャッター2のプラグ22付き電源コード21を挿通可能な挿通孔15を設けることで、プラグ22の取付工事が明確に空調設備工事の区分となり、品質責任区分が明確となる。
また、有圧換気扇1の更新する際にも、プラグ22の取付作業が発生しないため、電気工事士による電気工事が不要となる。
【符号の説明】
【0020】
1 有圧換気扇、11 プロペラ、12 ベルマウス、13 モーター、14 支持脚、15 挿通孔、16 封止体
2 電動シャッター、21 電源コード、22 プラグ