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  • 特開-回転駆動システム 図1
  • 特開-回転駆動システム 図2
  • 特開-回転駆動システム 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074474
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】回転駆動システム
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20240524BHJP
   F16D 65/16 20060101ALN20240524BHJP
   F16D 121/16 20120101ALN20240524BHJP
【FI】
F16H57/04 Z
F16D65/16
F16D121:16
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185643
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005197
【氏名又は名称】株式会社不二越
(74)【代理人】
【識別番号】100120400
【弁理士】
【氏名又は名称】飛田 高介
(74)【代理人】
【識別番号】100124110
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 大介
(72)【発明者】
【氏名】武田 佑太
(72)【発明者】
【氏名】横田 貴也
(72)【発明者】
【氏名】篠塚 暢人
【テーマコード(参考)】
3J058
3J063
【Fターム(参考)】
3J058AA48
3J058AA59
3J058AA79
3J058AA88
3J058BA62
3J058CC07
3J058CC72
3J058CC78
3J058FA42
3J063AA15
3J063AB12
3J063AC01
3J063BA11
3J063BB11
3J063BB27
3J063XD03
3J063XD11
3J063XD31
3J063XD41
3J063XD61
3J063XD72
3J063XE12
(57)【要約】
【課題】ブレーキを解除する作動油と減速機の潤滑油とを1つの油圧源から供給できるとともに、潤滑油の清浄度を保つことができる回転駆動システムを提供する。
【解決手段】回転駆動システム100は、モータ102と、モータの回転を減速させる減速機104と、モータの動作停止時に減速機の回転を止めるブレーキ106と、モータの動作時にブレーキを解除する作動油を外部の油圧源112からブレーキに供給するブレーキ解除圧油路108と、ブレーキ解除圧油路から減速機に連通して、作動油を潤滑油として減速機に供給する絞り110と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの回転を減速させる減速機と、
前記モータの動作停止時に前記減速機の回転を止めるブレーキと、
前記モータの動作時に前記ブレーキを解除する作動油を外部の油圧源から該ブレーキに供給するブレーキ解除圧油路と、
前記ブレーキ解除圧油路から前記減速機に連通して、前記作動油を潤滑油として該減速機に供給する絞りと、を備えることを特徴とする回転駆動システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減速機付きモータを備えた回転駆動システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一例として油圧ショベルなどの建設機械においては、減速機付き電動モータを備えた回転駆動システムが用いられている(例えば特許文献1)。特許文献1には、上部旋回体を下部走行体に対して旋回させる回転駆動システムを備えた油圧ショベルが記載されている。
【0003】
この回転駆動システムは、電動機と、電動機の回転を減速させる減速機と、油圧ポンプと、潤滑油ポンプとを備える。油圧ポンプは、電動機の動作時にブレーキを解除する圧油(作動油)を供給する。潤滑油ポンプは、電動機の冷却性や潤滑性を保つための潤滑油を電動機内に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-154101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1の回転駆動システムでは、減速機に潤滑油を供給する潤滑油ポンプと、ブレーキ解除用の圧油を吐出する油圧ポンプとの2つの油圧源を有するため、2系統の油路が必要となる。
【0006】
また特許文献1の回転駆動システムでは、減速機内の貯留部に溜めた潤滑油を、電動機の冷却のためにも用いている。この潤滑油は装置内で循環しつづけることから、潤滑油を定期的に交換して清浄度を保つ必要がある。しかし、例えばミニショベルと呼ばれる比較的小さな油圧ショベルにおいて、回転駆動システムは、上部旋回体のキャブ内に設置された操縦席の下部に配置されている。このためミニショベルでは、回転駆動システムの潤滑油を交換する場合、キャブ内のフロアフレームを取り外す必要があるため、手間がかかってしまう。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑み、ブレーキを解除する作動油と減速機の潤滑油とを1つの油圧源から供給できるとともに、潤滑油の清浄度を保つことができる回転駆動システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明にかかる回転駆動システムの代表的な構成は、モータと、モータの回転を減速させる減速機と、モータの動作停止時に減速機の回転を止めるブレーキと、モータの動作時にブレーキを解除する作動油を外部の油圧源からブレーキに供給するブレーキ解除圧油路と、ブレーキ解除圧油路から減速機に連通して、作動油を潤滑油として減速機に供給する絞りと、を備えることを特徴とする。
【0009】
上記構成では、モータの動作時にブレーキを解除する作動油を、外部の油圧源からブレーキ解除油路を介してブレーキに供給する。また絞りは、ブレーキ解除圧油路から減速機に連通している。このため、外部の油圧源からの作動油は、モータの動作時にブレーキ解除油路を介してブレーキに供給されるだけでなく、絞りを介して(圧力が下がった状態で)減速機のケーシングの内部空間に潤滑油として供給される。
【0010】
したがって上記構成では、ブレーキを解除する作動油と減速機の潤滑油とを1つの油圧源から供給することができる。また、減速機に供給される潤滑油はブレーキ解除圧油路から供給され続けるため、内部循環ではなく、(必然的に)装置外に排出することになる。したがって(内部循環の)潤滑油を交換するという手間が発生することはなく、また潤滑油の清浄度を保つことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ブレーキを解除する作動油と減速機の潤滑油とを1つの油圧源から供給できるとともに、潤滑油の清浄度を保つことができる回転駆動システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態における回転駆動システムの全体構成図である。
図2図1の回転駆動システムの詳細を示す図である。
図3図2の回転駆動システムの要部を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0014】
図1は、本発明の実施形態における回転駆動システム100の全体構成図である。回転駆動システム100は、例えば油圧ショベルなどの建設機械に用いられるシステムであって、モータ102と、モータ102の回転を減速させる減速機104と、ブレーキ106と、ブレーキ解除圧油路108と、絞り110とを備える。なおモータ102とは、例えば油圧モータやその他の動力源であり、その駆動力には油圧や他の既存の動力を用いてよい。
【0015】
ブレーキ106は、モータ102の動作停止時に減速機104の回転を止めることにより、モータ102の意図しない回転を防止する。ブレーキ解除圧油路108は、外部の油圧源112に接続されている。油圧源112は、ストレーナ114を通過した作動油タンク116の作動油を吸引し、ブレーキ解除圧油路108に供給する。またブレーキ解除圧油路108は、モータ102の動作時にブレーキ106を解除する作動油を油圧源112からブレーキ106に供給する。
【0016】
絞り110は、ブレーキ解除圧油路108よりも細い油路である。絞り110は、ブレーキ解除圧油路108の途中に位置する分岐点118でブレーキ解除圧油路108から分岐し、さらに減速機104に連通している。そして絞り110は、油圧源112からブレーキ解除圧油路108に供給される作動油を潤滑油として減速機104に供給する。
【0017】
つまり、外部の油圧源112からの作動油は、モータ102の動作時にブレーキ解除油路108を介してブレーキ106に供給されるだけでなく、絞り110を介して圧力が下がった状態で、減速機104に潤滑油として供給される。また減速機104に供給される潤滑油は、排出ポート120を通ってドレンパン122に排出される。
【0018】
図2は、図1の回転駆動システム100の詳細を示す図である。図3は、図2の回転駆動システム100の要部を拡大した図である。回転駆動システム100は、図2に示すようにモータ102、減速機104およびブレーキ106が一体化していて、モータ102と減速機104の間にブレーキ106が配置されている。
【0019】
モータ102は、シャフト124を有する。シャフト124は、軸受126によって軸支されてフランジ128を貫通し、さらにブレーキ106のブレーキケーシング130内のブレーキ室132に延びている。また、シャフト124とフランジ128の隙間は、オイルシール134によってシールされている。
【0020】
ブレーキ106は、ディスク支持部136と、ブレーキディスク138と、ブレーキピストン140と、ブレーキバネ142とを有し、これらがブレーキケーシング130内のブレーキ室132に配置されている。ディスク支持部136は、円筒状の部材であって、モータ102のシャフト124と嵌合している。ブレーキディスク138は、円環状の部材であって、ディスク支持部136と嵌合している。
【0021】
ブレーキバネ142は、図3に示すようにモータ102のフランジ128とブレーキピストン140との間に配置されている。ブレーキピストン140は、ブレーキバネ142の矢印Aに示す付勢力によってブレーキディスク138に向かって付勢されていて、ブレーキディスク138との当接面144がブレーキシューとして機能する。
【0022】
ブレーキディスク138は、ブレーキピストン140の当接面144に押し付けられると、ブレーキケーシング130の対向面146に接触して、ブレーキケーシング130との摩擦力によって回転不能となる。このようにして、ブレーキ106は、ディスク支持部136が回転不能なブレーキ状態となり、モータ102の動作停止時にシャフト124の回転を防止することができる。
【0023】
またブレーキケーシング130には、図3に示すようにブレーキ解除圧油路108と、ブレーキ解除圧油路108から分岐点118で分岐した絞り110と、排出ポート120(図2参照)とが設けられている。絞り110は、一例として加圧室147から分岐して、その吐出口148が減速機104の減速機ケーシング150の内部空間152に連通している。加圧室147は、図3に示すようにブレーキ解除圧油路108の終端に位置し、作動油の油圧がブレーキピストン140に作用する空間である。なお絞り110は、加圧室147から分岐しているが、これに限定されず、ブレーキ解除圧油路108の終端に至る途中の適宜の位置から分岐して、減速機ケーシング150の内部空間152に連通するように設けてもよい。
【0024】
このため、モータ102の動作時に外部の油圧源112からブレーキ106に作動油が供給されると、作動油は、図3の矢印Bに示すようにブレーキ解除油路108を通って、ブレーキ室132のブレーキピストン140に到達する。そして作動油は、ブレーキバネ142の矢印Aに示す付勢力に抗して、ブレーキピストン140をブレーキディスク138から離間させる図3の矢印Cに示す油圧による力を生じさせる。ブレーキ106では、作動油の油圧による力によってブレーキピストン140がブレーキディスク138から離間すると、ディスク支持部136が回転可能なブレーキ解除状態となる。
【0025】
さらに作動油は、ブレーキピストン140に到達して矢印Cに示す油圧による力を生じさせるだけでなく、絞り110を通って圧力が下がった状態で吐出口148から減速機104の減速機ケーシング150の内部空間152に潤滑油として供給される。換言すれば、減速機104への作動油の供給はブレーキ106から見れば漏れと考えることもできるが、絞り110を介していることにより、ブレーキピストン140にかける高圧を維持することができる。したがって回転駆動システム100では、ブレーキ106を解除する作動油と減速機104の潤滑油とを1つの油圧源112から供給することができる。
【0026】
減速機104は、図2に示すように出力軸154と、減速機ケーシング150の内部空間152に配置された第1段遊星歯車機構156および第2段遊星歯車機構158とを有する。減速機104は、モータ102のシャフト124の回転(出力)を、第1段遊星歯車機構156および第2段遊星歯車機構158で減速して、出力軸154から出力する。減速機104では、外部の油圧源112からの作動油が、絞り110を介して減速機ケーシング150の内部空間152に潤滑油として供給されることで、各機構の潤滑性が保たれる。
【0027】
また、減速機104に供給される潤滑油は、図3の矢印Bに示すようにブレーキ解除圧油路108から供給され続けるため、内部循環ではなく、必然的に外部に排出することになる。ここでは、図2に示すようにブレーキケーシング130に、減速機ケーシング150の内部空間152に連通する排出ポート120を設けることで、減速機104に供給される潤滑油を外部に排出している。したがって回転駆動システム100では、潤滑油を交換するという手間が発生することはなく、また潤滑油の清浄度を保つことができる。
【0028】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、減速機付きモータを備えた回転駆動システムとして利用することができる。
【符号の説明】
【0030】
100…回転駆動システム、102…モータ、104…減速機、106…ブレーキ、108…ブレーキ解除圧油路、110…絞り、112…油圧源、114…ストレーナ、116…作動油タンク、118…分岐点、120…排出ポート、122…ドレンパン、124…シャフト、126…軸受、128…フランジ、130…ブレーキケーシング、132…ブレーキ室、134…オイルシール、136…ディスク支持部、138…ブレーキディスク、140…ブレーキピストン、142…ブレーキバネ、144…ブレーキピストンの当接面、146…ブレーキケーシングの対向面、148…絞りの吐出口、150…減速機ケーシング、152…減速機ケーシングの内部空間、154…出力軸、156…第1段遊星歯車機構、158…第2段遊星歯車機構
図1
図2
図3