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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007448
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】媒体を供給するための構造体
(51)【国際特許分類】
   F16L 11/12 20060101AFI20240110BHJP
   B29C 49/20 20060101ALI20240110BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20240110BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20240110BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240110BHJP
   H01M 10/625 20140101ALN20240110BHJP
   H01M 10/613 20140101ALN20240110BHJP
   H01M 10/615 20140101ALN20240110BHJP
【FI】
F16L11/12 Z
B29C49/20
B29C49/04
F16L55/00 G
H01M10/6556
H01M10/625
H01M10/613
H01M10/615
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023106243
(22)【出願日】2023-06-28
(31)【優先権主張番号】22182023
(32)【優先日】2022-06-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】518148098
【氏名又は名称】テーイー オートモーティブ テクノロジー センター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー アルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンター マティーアス
(72)【発明者】
【氏名】シェーファー トルステン
(72)【発明者】
【氏名】シューシュター マヌエル
【テーマコード(参考)】
3H025
3H111
4F208
5H031
【Fターム(参考)】
3H025BA21
3H025BB07
3H111BA15
3H111CA22
3H111CB30
3H111DB09
3H111DB25
3H111EA06
4F208AD03
4F208AD05
4F208AG18
4F208AH16
4F208LA01
4F208LB01
4F208LB12
4F208LG04
4F208LG22
4F208LJ09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】媒体を供給するための構造体を提供する。
【解決手段】
媒体の供給のための構造体(1)は、少なくとも1つのベース本体(2)を備える。ベース本体(2)は、少なくとも1つの壁部(3)を形成する。壁部(3)は、ベース本体(2)に形成された2つの流路(4,5)を少なくとも所定のセクションにおいて画定する。流路(4,5)は、少なくとも所定のセクションにおいて、ベース本体(2)に配設された少なくとも1つの分離体(6)により互いに分離されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのベース本体(2)を備える、媒体を供給するための構造体(1)であって、
前記ベース本体(2)は、少なくとも1つの壁部(3)を形成し、
前記壁部(3)は、前記ベース本体(2)に形成された2つの流路(4,5)を少なくとも所定のセクションにおいて画定し、
前記流路(4,5)は、少なくとも所定のセクションにおいて前記ベース本体(2)に配設された少なくとも1つの分離体(6)によって互いに分離されている、ことを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記分離体(6)は、前記ベース本体(2)とは別体として形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記ベース本体(2)はブロー成形品である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の構造体。
【請求項4】
前記分離体(6)は、実質的に平面状に形成されている、ことを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の構造体。
【請求項5】
前記分離体(6)は、射出成形可能な材料又は金属材料から形成される、ことを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の構造体。
【請求項6】
前記分離体(6)に少なくとも1つのさらなる流路(7)が形成されている、ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の構造体。
【請求項7】
前記分離体(6)はブロー成形品である、ことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の構造体。
【請求項8】
前記分離体(6)は、前記流路(4,5)から前記さらなる流路(7)を分離する少なくとも1つのさらなる壁部(8)を形成する、ことを特徴とする請求項6又は7に記載の構造体。
【請求項9】
前記ベース本体(2)は、前記分離体(6)をシェル状に囲む、ことを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の構造体。
【請求項10】
前記ベース本体(2)に少なくとも1つの機能要素(9)が配設され、
前記機能要素(9)は、前記流路内に導かれる媒体と接触可能である、ことを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の構造体。
【請求項11】
前記機能要素(9)は、バルブであり、
前記機能要素(9)は、前記流路(4,5,7)と接触する開口部(10)を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の構造体。
【請求項12】
前記バルブは、ロータリーバルブである、ことを特徴とする請求項11に記載の構造体。
【請求項13】
前記少なくとも2つの流路(4,5,7)は、前記ロータリーバルブの長手方向軸に垂直な平面に配設された前記ロータリーバルブの前記開口部(10)において終端する、ことを特徴とする請求項12に記載の構造体。
【請求項14】
前記分離体(6)は、熱伝導体を形成する、ことを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の構造体。
【請求項15】
請求項1~14のいずれかに記載の媒体を供給するための構造体(1)を製造する方法であって、
第1のステップにおいて、少なくとも1つの分離体(6)をブロー金型に入れ、次いで、前記分離体(6)を少なくとも部分的に取り囲むように、ポリマー材料からなるプリフォームを前記ブロー金型に設置し、
第2のステップにおいて、ブロー成形法により前記構造体(1)を形成し、
前記プリフォームは、前記ベース本体(2)を形成し、前記ベース本体(2)は、前記少なくとも1つの壁部(3)を形成し、且つ、前記ベース本体(2)に形成された前記少なくとも2つの流路(4,5)を画定し、
前記流路(4,5)は、前記ベース本体(2)に配設された前記分離体(6)によって互いに分離されている、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1~14のいずれかに記載の媒体を供給するための構造体(1)を製造する方法であって、
第1のステップにおいて、ポリマー材料からなるプリフォームをブロー金型に設置し、
第2のステップにおいて、ブロー成形法によって前記構造体(1)を形成し、
前記プリフォームは、少なくとも1つの壁部(3)を形成する前記ベース本体(2)を形成し、
次いで、前記ブロー金型を開型して前記ベース本体(2)と、2つのベース本体部分とを分離し、
次のステップにおいて、前記ブロー金型に少なくとも1つの分離体(6)を挿入し、前記ブロー金型を再び閉型して、前記2つのベース本体部分を物質的に結合し、
前記ベース本体(2)は、少なくとも部分的に前記分離体(6)を囲み、且つ、前記ベース本体(2)に形成された少なくとも2つの流路(4,5)を画定し、
前記流路(4,5)は、前記ベース本体(2)に配設された前記分離体(6)によって互いに分離される、ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのベース本体を備える媒体を供給するための構造体に関する。少なくとも1つのベース本体は、ベース本体に形成された少なくとも2つの流路を画定する少なくとも1つの壁部を形成する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エレクトロモビリティの分野では、媒体を供給するための構造体が必要である。電気自動車の電池、特にリチウムイオン電池は、限られた温度範囲内でのみ最適な性能を発揮する。そのため、周囲の温度に応じて、電池を加熱又は冷却する必要性が生じる。このため、電気自動車は、パイプ構造を有する温度制御回路を備えている。この当該パイプ構造を通して、温度制御媒体、例えば温度制御液体を、電池セルに供給して、電池セルの温度を所望の温度範囲内に制御する。設置スペースに限りがあるため、温度制御ユニットは可能な限りコンパクトであることが望ましい。
【0003】
さらに、電気自動車のドライブユニット全体の構成要素の温度を制御し、動作状態に応じて加熱又は冷却が必要となる場合がある。電池に加えて、ドライブユニットには、パワーエレクトロニクス及び電気モータ又は複数の電気モータが含まれる。温度制御ユニットによって、充電用エレクトロニクス、関連するプラグ接続部及びケーブルの温度も制御することができる。これは、特に急速充電処理に関連している。
【0004】
ドライブユニットにおける使用に加えて、他の車両エレクトロニクス、特にセンサ及び車載コンピュータの温度制御に関連するさらなる応用領域がある。車両が自動運転用に装備されている場合、強力なセンサ及び強力なコンピュータが必要となり、システムは冗長的なものとなる。車両内の設置スペースが限られているため、これらのシステムは、構成要素の温度を制御する温度制御ユニットに対しても特別な要件を有する。
【0005】
温度制御媒体は、空調システムにも使用される。空調システム、特に移動式空調システムは、空調システムの個々のユニット間での温度制御媒体の供給が可能なパイプ構造を備える。移動式空調システム、例えば車両の内装のクライメートコントロールに使用される空調システムでは、パイプ構造は相対的に複雑な構造を有し、異なる材料、例えば金属製のパイプ、熱可塑性材料製のパイプ、ゴム状材料製のパイプからなることがある。パイプの動作条件をそれぞれの要件に最適に適合させることができるが、パイプ構造は、コストがかかり、組み立てが複雑で、リサイクルが困難である。
【0006】
温度制御媒体の供給のためのパイプ構造が欧州特許出願公開第3919299号によって公知になっている。このパイプ構造では、ベース本体が、ベース本体内に形成された複数の流路を画定する少なくとも1つの壁部を形成している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、コンパクトなデザインでありながら、複数の流路を有することができ、且つ、安価な製造が可能な媒体を供給するための構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1及び15に記載の特徴によって実現し得る。従属クレームは、有利な実施例を示している。
【0009】
本発明による媒体を供給するための構造体は、少なくとも1つのベース本体を備える。ベース本体は、少なくとも1つの壁部を形成する。少なくとも1つの壁部は、少なくとも所定のセクションにおいて、ベース本体に形成された2つの流路を画定する。流路は、ベース本体に配設された少なくとも1つの分離体によって少なくとも所定のセクションにおいて、互いに隔てられている。
【0010】
ベース本体は、流路を画定し、所定のセクションにおいて流路の外壁を形成する。流路は、ベース本体の内側に配設され、外側に向かう通路の開口部で終端する。例えば、通路開口部は、パイプソケットとして形成される。パイプソケットは、パイプ又はホースの受容に適している。ポンプ、熱交換器などのユニットを通路開口部に接続してもよい。流路は、パイプセクションを形成する。ベース本体内に配設された分離体は、複雑な形状の流路を形成する。ベース本体に複数の流路を配設することができるため、構造体はパイプ接合部又はマニホルドを形成することができる。
【0011】
分離体は、ベース本体内にさらなる流路を形成することを可能にする。特に構造体及び流路の方向に関して、多くのバリエーションが可能である。例えば、流路を互いに上下方向に配設し、互いに隣接させてもよい。その結果、構造体が特にコンパクトになると同時に、多くの流路を有することができる。
【0012】
分離体は、ベース本体とは別体に形成されることが好ましい。これにより、ベース本体及び分離体は、物質的に結合可能な2つの構成要素を形成する。別体に形成された分離体は、ベース本体における流路及びその構造をより多様化することができる。分離体は、物質的な結合、摩擦接続、又はポジティブ接続により、ベース本体に固定される。
【0013】
ベース本体はブロー成形品として設計されることが好ましい。ブロー成形によってベース本体を複雑な形状に製造することができる。その工程において、ベース本体は、ベース本体に配設された流路を画定する一つ又は複数の壁部を有する中空体を形成する。ブロー成形によって多種多様な形状の流路を製造することができる。
【0014】
ベース本体の材料として、熱可塑性ポリマーや熱可塑性エラストマーなどのプラスチックが使用されることが好ましい。流路を通して供給される媒体の圧力条件に応じて、ベース本体は、単層のみならず、多層に形成することもできる。多層設計は特に有利であり、例えば、混合流体の異なる構成要素が拡がるのを防ぐことができる。流路は、取り付け場所に応じた形状とすることができ、例えば、湾曲させてもよい。さらに、流路の断面形状を自由に選択してもよい。
【0015】
分離体はインサート部品として設計されるのが好ましい。インサート部品は、ブロー成形後に分離体がベース本体に埋め込まれるように、ブロー成形前にブロー金型に挿入され、ベース本体の材料で覆われる。
【0016】
分離体は、実質的に平面となるように形成される。その結果、分離体の形状が単純なものとなり、製造が容易で安価なものとすることができる。材料は、高分子材料又は金属材料からなる。射出成形又はブロー成形可能な材料を用いてもよい。
【0017】
分離体には、少なくとも1つのさらなる流路を形成することができる。この実施例では、分離体は、好ましくは、中空体として設計される。この目的のため、例えば、分離体をパイプとして設計し、ベース本体に埋め込むことが考えられる。この実施例では、パイプの周壁は、内周側でさらなる流路を画定し、外周側では、所定のセクションにおいて、ベース本体から形成される2つの流路を画定する。しかし、この場合、分離体は部分的にのみ2つの流路を画定すると特に考えられる。このような場合、分離体が占める2つの流路の仕切り壁の割合は、流路の設計及びベース本体における分離体の構造によって変化する。
【0018】
分離体は、ブロー成形品として設計することができる。その結果、分離体は、複雑な形状を有することもでき、特に、分離体内に配設された複数の流路を有することができる。
【0019】
少なくとも1つの分離体が流路とさらなる流路を隔てる壁部を形成してもよい。分離体はベース本体によってシェル状に囲まれてもよい。
【0020】
ブロー成形品であるベース本体と、ブロー成形品である分離体と、を有する構造体を設計する場合、非常に複雑なパイプ構造を実現することができる。この場合、流路は、第1の平面と、第1の平面に垂直な第2の平面との両方に(上下に、且つ、互いに隣接して)配設することができる。さらに、流路は、あるセクションでは、互いに交差し、かつ/又は隣接して延在し、別のセクションでは、上下に配設され得る。
【0021】
代替的な実施例では、ベース本体に埋め込まれる複数の分離体を設けてもよい。有利な実施例によれば、分離体は、少なくとも部分的に他の分離体によって囲まれる。また、分離体を中空体として設計してもよく、内側に流路を設けてもよい。従って、構造体は、互いに入れ子状になったベース本体及び/又は複数の分離体を有するので、特に多く流路を構造体に設けることができる。
【0022】
したがって、分離体のいくつかの実施例及び構成が可能である。有利な第1の実施例は、ベース本体内に設置されるか、あるいはベース本体に対応する単一の分離体を提供する。
【0023】
有利な第2の実施例は、ベース本体に配設された複数の分離体を提供する。この場合、分離体は、それぞれ流路を画定する。例えば、ベース本体において複数の分離体を互いに隣接して配設してもよい。このようにすることにより、各々の分離体に流路を割り当てることができる。しかし、分離体の配置によっては、1つの分離体が、一方の側において第1の流路を確定し、他方の側において他の流路を画定してもよい。
【0024】
第3の実施例によれば、複数の分離体、例えば、少なくとも2つの分離体が設けられる。分離体は互いに入れ子状に配設される。この実施例では、例えば、構造体が熱交換器を形成してもよい。
【0025】
第4の実施例によれば、複数の分離体がベース本体に配設される。第1の分離体は、互いに隣接して配設され、第2の分離体は、互いに入れ子状に配設される。この実施例によれば、特に複雑な構成の構造体を安価でかつ容易に製造することができる。
【0026】
少なくとも1つの流路に影響を与える少なくとも1つの機能要素を、ベース本体に設けてもよい。機能要素は、流路に導かれる媒体の体積流量に直接影響を与えるか、あるいは、温度、体積流量又は圧力などの媒体の状態のデータを記録する。このようにすることで、機能要素は、構造体に設けられた1つの流路、複数の流路又は全ての流路において、媒体に影響を与える。機能要素を冷却器又は加熱器として形成してもよい。
【0027】
機能要素はベース本体から形成されてもよい。このような構成は、特に、機能要素が受動的な機能要素であり、可動部分を有しない場合に適用され得る。例えば、機能要素は、スロットルバルブを形成する。
【0028】
流路に供給される媒体は、温度制御媒体であることが望ましく、特に、水をベースとした液体温度制御媒体、例えば、水-グリコール混合物であることが望ましい。代替実施例では、媒体は、流路に供給される油ベースの液体又は誘電体液体である。
【0029】
機能要素はバルブであってもよい。機能要素は、流路と接触する開口部を有する。バルブは、1つ以上の流路に影響を与え、1つ以上の流路を開閉するか、あるいは、1つ以上の流路の断面を変化させて、体積流量を変化させることができる。
【0030】
有利な実施例によれば、バルブは、ロータリーバルブである。ロータリーバルブは、温度制御回路において、温度制御媒体を制御するために使用される。ロータリーバルブは、1つのバルブチャンバを有する1つのバルブハウジングを備える。バルブチャンバは、少なくとも2つの流体開口部を有する周壁を備える。バルブチャンバは、バルブコアを収容する。バルブコアは、流体開口部と協働するチャネル構造を備える。バルブコアは、バルブチャンバにおいて回動する。このような回転弁は、例えば、欧州特許出願公開第4008935号から公知である。
【0031】
本実施例では、バルブハウジングは、ベース本体と一体に形成され、同じ材料から形成されてもよい。あるいは、ロータリーバルブのバルブハウジングは、複数の部品から形成され、ベース本体がバルブハウジングの外側の構成要素を形成してもよい。ロータリーバルブは、少なくとも部分的にベース本体に埋め込まれていることが好ましい。ロータリーバルブの場合、バルブコアを回転させることにより温度制御媒体の流れを調整することができ、有利である。バルブを回転させるためのアクチュエータは、簡単な方法で設計され、制御可能である。
【0032】
本発明による構造体では、少なくとも2つの流路は、長手方向軸に垂直な平面に配設されたロータリーバルブの開口部において終端する。多くの場合、ロータリーバルブの開口部は、長手方向に見たときに、上下に配設されており、流体制御を制限している。本発明による実施例では、長手方向軸に垂直な平面に配設される開口部をロータリーバルブに設けてもよい。これにより、流路の方向における体積流量を制御することができる。さらに、ロータリーバルブを備える構造体を特にコンパクトにすることができる。
【0033】
分離体は、熱伝導体を形成してもよい。特に、分離体が金属材料から形成されている場合に特に効果的な熱伝導体が得られる。伝導性能を向上させるために、分離体は、流路に面する面にテクスチャリングを施してもよい。この点で、分離体は、金属材料から形成される熱交換器インサートとして設計され得る。熱伝導媒体は、水-グリコール混合物などの水ベースの温度制御媒体、油ベースの液体又は誘電体液体であってよい。分離体は、流路と連通する開口部を有してもよい。
【0034】
本発明による媒体を供給するための構造体を製造する方法では、第1のステップにおいて、少なくとも1つの分離体をブロー金型に設置し、次に、ポリマー材料から形成されたプリフォームによって、分離体が少なくとも部分的に囲まれるように、プリフォームをブロー金型に設置する。次のステップでは、ブロー成形によって構造体を形成する。ベース本体がプリフォームにより形成され、ベース本体は少なくとも1つの壁部を形成し、且つ、ベース本体に形成された少なくとも2つの流路を画定する。流路は、ベース本体に配設された分離体によって互いに分離される。
【0035】
本発明によるさらなる方法によれば、ポリマー材料から形成されたプリフォームをブロー金型に設置し、次のステップにおいて、ブロー成形により構造体を形成する。少なくとも1つの壁部を形成するベース本体をプリフォームから形成し、続いて、ブロー金型を開型して、ベース本体と2つのベース本体部分とを分離する。次のステップにおいて、少なくとも1つの分離体をブロー金型に挿入し、ブロー金型を再び閉型して、液密に2つのベース本体部分を物質的に結合して接続する。ベース本体は、少なくとも部分的に分離体を囲み、且つ、ベース本体内に形成された少なくとも2つの流路を画定し、ベース本体に配設された分離体によって流路が互いに分離される。
【0036】
本発明による、媒体を供給するための構造体のいくつかの実施例を、図を参照して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1図1は、第1実施例に係る構造体の断面図である。
図2図2は、第2実施例に係る構造体の断面図である。
図3図3は、図1による構造体の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図は、媒体を供給するための構造体1を示している。本実施例において、構造体1は、冷却液の形態の温度制御媒体を供給するように機能する。構造体1は、電気自動車の温度制御ユニットの一部である。したがって、冷却液の形態の温度制御媒体は、構造体1に形成された流路4,5,7を通って、電池、パワーエレクトロニクス、充電エレクトロニクス及び電気モータへと流れる。
【0039】
構造体1は、中空のベース本体2を備える。ベース本体2は、流路4,5を画定する壁部3を形成する。ベース本体2には、2つの流路4,5を互いに分離するように、分離体6が埋め込まれている。
【0040】
ベース本体2は、ブロー成形品として設計され、高分子材料から形成される。
【0041】
構造体1を製造するため、分離体6をブロー金型に入れ、次に、分離体6を少なくとも部分的に収容するプリフォームをブロー金型に入れる。本実施例では、プリフォームは、チューブとして形成され、分離体6上に挿入される。次に、構造体1の設計に応じて、例えばバルブ、ポンプ、センサなどの機能要素9をブロー金型内に設置する。その後、ブロー金型を閉じ、ブロー成形工程において、プリフォームからベース本体2が形成される。プリフォームが分離体6上に挿入されることで、ブロー成形後、分離体6はベース本体2に埋め込まれる。ブロー成形の結果、ベース本体2に流路4,5,7が形成される。流路4,5,7は、分離体6及びベース本体2の壁部3によって互いに画定される。
【0042】
代替の方法によれば、第1に、キャビティを有する2つの金型半体を備えるブロー金型にプリフォームを設置する。プリフォームは、好ましくはチューブとして形成される。次に、2つの金型半体を互いに向けて移動させてブロー金型を閉型する。まず、ブロー成形によって、ベース本体2が形成される。次のステップでは、ブロー金型を開型する。2つの金型半体の間に生じた継ぎ目に沿ってベース本体2が2つのベース本体部分に分離されるように、ベース本体2をブロー金型に固定する。1つの分離体6又は複数の分離体6、及び、必要に応じて1つ以上の機能要素9が、2つのベース本体部分の間に挿入され、ブロー金型を再び閉型する。2つのベース本体部分は再び接合されて、物質的に結合して、ベース本体2が形成される。好ましくは、ベース本体2の成形後すぐに2つのベース本体部分を接合することにより、ベース本体部分の温度は材料結合に十分な温度となる。
【0043】
図1は、構造体1の第1実施例を示している。本実施例では、分離体6は平面状をなしている。本実施例では、分離体6は、金属材料から形成される。本実施例では、分離体6は、熱伝導体を形成する。熱伝導性を向上させるため、流路4,5に面する面は、テクスチャ加工される。有利な実施例によれば、分離体6は、射出成形可能なプラスチックから形成される。
【0044】
図1における構造体は、8つの流路4,4’,4’’,4’’’及び流路5,5’,5’’,5’’’を有する。流路4,4’,4’’,4’’’は互いに上下に配設されている。同様に、流路5,5’,5’’,5’’’は、互いに上下に配設されている。流路4,4’,4’’,4’’’は、流路5,5’,5’’,5’’’に隣接している。互いに隣接する流路4,4’,4’’,4’’’及び流路5,5’,5’’,5’’’は、分離体6によって互いに隔てられている。互いに上下に配設された流路4,4’,4’’,4’’’及び流路5,5’,5’’,5’’’は、それぞれ、ベース本体2から形成された壁部3によって画定される。
【0045】
図2による実施例では、分離体6はブロー成形品であり、中空体を形成する。分離体6は、ブロー成形により高分子材料から形成される。分離体6は、さらなる流路7,7’,7’’を形成している。
【0046】
分離体6は、さらなる壁部8を形成する。さらなる壁部8は、さらなる流路7,7’,7’’を流路4,4’,4’’,4’’’及び流路5,5’,5’’,5’’’から隔てている。ベース本体2は、分離体6をシェル状に囲んでいる。従って、構造体は13個の流路を有する。流路は、上下方向に配設され、かつ互いに隣接して、ベース本体2内に設けられている。
【0047】
図3は、ベース本体2を通る平面に沿った、図1に示した構造体1の断面図である。この実施例では、流路4,4’,4’’,4’’’’及び流路5,5’,5’’,5’’’,5’’’’に影響を与える1つの機能要素9がベース本体2に設けられている。流路5,5’,5’’,5’’’,5’’’’は、流路4,4’,4’’,4’’’’と鏡像となるように配設されている。全ての流路は機能要素9において終端している。本実施例では、機能要素9はバルブである。機能要素9は、流路4,4’,4’’,4’’’’及び流路5,5’,5’’,5’’’,5’’’’と連通する開口部10を有する。具体的には、バルブは、ロータリーバルブである。
【0048】
この場合、流路4,4’,4’’,4’’’’及び流路5,5’,5’’,5’’’,5’’’’は、ロータリーバルブの開口部10で終端する。2つの開口部10は長手方向軸に垂直な平面に配設されている。流路4,4’,4’’,4’’’’と、流路5,5’,5’’,5’’’,5’’’’とは、それぞれ、上下方向に配設されている。流路4,5と、流路4’,5’と、流路4’’,5’’と、流路4’’’,5’’’と、流路4’’’’,5’’’’とは、それぞれ、ロータリーバルブの回動するバルブコアの長手方向軸に垂直な平面上で互いに隣接して開口されている。
【0049】
ベース本体2には、流路に影響を与える逆止弁の形態をなすさらなる機能要素(図示せず)が設けられている。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-09-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのベース本体(2)を備える、媒体を供給するための構造体(1)であって、
前記ベース本体(2)は、少なくとも1つの壁部(3)を形成し、
前記壁部(3)は、前記ベース本体(2)に形成された2つの流路(4,5)を少なくとも所定のセクションにおいて画定し、
前記流路(4,5)は、少なくとも所定のセクションにおいて前記ベース本体(2)に配設された少なくとも1つの分離体(6)によって互いに分離されている、ことを特徴とする構造体。
【請求項2】
前記分離体(6)は、前記ベース本体(2)とは別体として形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項3】
前記ベース本体(2)はブロー成形品である、ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項4】
前記分離体(6)は、実質的に平面状に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項5】
前記分離体(6)は、射出成形可能な材料又は金属材料から形成される、ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項6】
前記分離体(6)に少なくとも1つのさらなる流路(7)が形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項7】
前記分離体(6)はブロー成形品である、ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項8】
前記分離体(6)は、前記流路(4,5)から前記さらなる流路(7)を分離する少なくとも1つのさらなる壁部(8)を形成する、ことを特徴とする請求項6に記載の構造体。
【請求項9】
前記ベース本体(2)は、前記分離体(6)をシェル状に囲む、ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項10】
前記ベース本体(2)に少なくとも1つの機能要素(9)が配設され、
前記機能要素(9)は、前記流路内に導かれる媒体と接触可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項11】
前記機能要素(9)は、バルブであり、
前記機能要素(9)は、前記流路(4,5,7)と接触する開口部(10)を有する、ことを特徴とする請求項10に記載の構造体。
【請求項12】
前記バルブは、ロータリーバルブである、ことを特徴とする請求項11に記載の構造体。
【請求項13】
前記少なくとも2つの流路(4,5,7)は、前記ロータリーバルブの長手方向軸に垂直な平面に配設された前記ロータリーバルブの前記開口部(10)において終端する、ことを特徴とする請求項12に記載の構造体。
【請求項14】
前記分離体(6)は、熱伝導体を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の構造体。
【請求項15】
請求項1に記載の媒体を供給するための構造体(1)を製造する方法であって、
第1のステップにおいて、少なくとも1つの分離体(6)をブロー金型に入れ、次いで、前記分離体(6)を少なくとも部分的に取り囲むように、ポリマー材料からなるプリフォームを前記ブロー金型に設置し、
第2のステップにおいて、ブロー成形法により前記構造体(1)を形成し、
前記プリフォームは、前記ベース本体(2)を形成し、前記ベース本体(2)は、前記少なくとも1つの壁部(3)を形成し、且つ、前記ベース本体(2)に形成された前記少なくとも2つの流路(4,5)を画定し、
前記流路(4,5)は、前記ベース本体(2)に配設された前記分離体(6)によって互いに分離されている、ことを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1に記載の媒体を供給するための構造体(1)を製造する方法であって、
第1のステップにおいて、ポリマー材料からなるプリフォームをブロー金型に設置し、
第2のステップにおいて、ブロー成形法によって前記構造体(1)を形成し、
前記プリフォームは、少なくとも1つの壁部(3)を形成する前記ベース本体(2)を形成し、
次いで、前記ブロー金型を開型して前記ベース本体(2)と、2つのベース本体部分とを分離し、
次のステップにおいて、前記ブロー金型に少なくとも1つの分離体(6)を挿入し、前記ブロー金型を再び閉型して、前記2つのベース本体部分を物質的に結合し、
前記ベース本体(2)は、少なくとも部分的に前記分離体(6)を囲み、且つ、前記ベース本体(2)に形成された少なくとも2つの流路(4,5)を画定し、
前記流路(4,5)は、前記ベース本体(2)に配設された前記分離体(6)によって互いに分離される、ことを特徴とする方法。
【外国語明細書】