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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074483
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/13363 20060101AFI20240524BHJP
   G02F 1/1368 20060101ALI20240524BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240524BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20240524BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G02F1/13363
G02F1/1368
G02F1/1335 510
G02F1/1337
G02F1/1333
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185662
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】寺下 慎一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 光一
(72)【発明者】
【氏名】下敷領 文一
【テーマコード(参考)】
2H189
2H192
2H290
2H291
【Fターム(参考)】
2H189DA07
2H189HA16
2H189JA14
2H189KA01
2H189KA03
2H189KA07
2H189KA13
2H189KA17
2H189LA05
2H189LA16
2H189LA17
2H189LA28
2H189NA01
2H189NA05
2H192BB52
2H192BC31
2H192CB37
2H192EA43
2H192GB32
2H192GD42
2H192GD43
2H192JA32
2H290AA72
2H290BA52
2H290BB12
2H290CB02
2H290CB03
2H291FA22X
2H291FA30X
2H291FD10
2H291FD12
2H291GA08
2H291GA19
2H291HA15
2H291KA02
2H291KA04
2H291KA05
2H291LA22
2H291NA02
2H291NA41
2H291PA42
2H291PA44
2H291PA58
(57)【要約】
【課題】横電界モードで表示を行う反射型または半透過型液晶表示装置のコントラスト比を向上させる。
【解決手段】液晶表示装置は、第1基板と、第1基板よりも観察者側に配置された第2基板と、第1基板と第2基板との間に設けられた液晶層と、液晶層よりも観察者側に配置された偏光板と、偏光板と液晶層との間に配置された位相差層とを備え、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。第1基板は、光を反射する反射層と、液晶層に横電界を生成し得る第1電極および第2電極と、液晶層に接する第1水平配向膜とを有する。第2基板は、液晶層に接する第2水平配向膜を有する。液晶層は、電圧無印加時にツイスト配向をとる。
【選択図】図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板よりも観察者側に配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層よりも観察者側に配置された偏光板と、
前記偏光板と前記液晶層との間に配置された位相差層と、
を備え、
マトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記第1基板は、光を反射する反射層と、前記液晶層に横電界を生成し得る第1電極および第2電極と、前記液晶層に接する第1水平配向膜と、を有し、
前記第2基板は、前記液晶層に接する第2水平配向膜を有し、
前記液晶層は、電圧無印加時にツイスト配向をとる、液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶層は、ポジ型の液晶材料を含む、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角θは、58.3°以上89.9°以下である、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記偏光板の光吸収軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、110.8°以上132.3°以下である、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記位相差層は、λ/2板を含み、
前記λ/2板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、132.4°以上143.6°以下である、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記位相差層は、λ/4板を含み、
前記λ/4板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、144.5°以上163.0°以下である、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記液晶材料の複屈折率をΔn、前記液晶層の厚さをdとしたとき、前記複屈折率Δnと前記厚さdとの積であるΔn・dは、152.3nm以上285.8nm以下である、請求項2に記載のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記液晶層は、ネガ型の液晶材料を含む、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角θは、58.5°以上89.6°以下である、請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記偏光板の光吸収軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、111.3°以上133.8°以下である、請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記位相差層は、λ/2板を含み、
前記λ/2板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、131.4°以上143.3°以下である、請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記位相差層は、λ/4板を含み、
前記λ/4板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、143.1°以上164.1°以下である、請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記液晶材料の複屈折率をΔn、前記液晶層の厚さをdとしたとき、前記複屈折率Δnと前記厚さdとの積であるΔn・dは、151.2nm以上285.1nm以下である、請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
前記第1基板は、基板と、前記基板上に設けられ、前記複数の画素を駆動するバックプレーン回路と、前記バックプレーン回路を覆うように設けられた第1層間絶縁層と、前記第1層間絶縁層上に設けられた第2層間絶縁層と、を有し、
前記反射層は、前記第1層間絶縁層と前記第2層間絶縁層との間に設けられており、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第2層間絶縁層と前記第1水平配向膜との間に設けられている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
前記第1基板は、前記第2層間絶縁層と前記第1水平配向膜との間に設けられた誘電体層を有し、
前記第1電極および前記第2電極の一方は、前記第2層間絶縁層と前記誘電体層との間に設けられ、
前記第1電極および前記第2電極の他方は、前記誘電体層と前記第1水平配向膜との間に設けられている、請求項14に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、複数の帯状部と、前記複数の帯状部のうちの互いに隣接する2つの帯状部間に位置する少なくとも1つのスリットと、を有する、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記複数の帯状部のそれぞれは、第1方向に延びる第1部分と、前記第1方向と異なる第2方向に延びる第2部分とを含む、請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記複数の帯状部は、第1方向に延びる少なくとも1つの第1帯状部と、前記第1方向と異なる第2方向に延びる少なくとも1つの第2帯状部とを含む、請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
ノーマリブラックモードで表示を行う、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記第1電極および前記第2電極の一方は、前記複数の画素のそれぞれに設けられた画素電極であり、
前記第1電極および前記第2電極の他方は、それぞれがタッチセンサ電極として機能し得る複数のセグメントを含む共通電極であり、
前記第1基板は、それぞれが対応するタッチセンサ電極に接続された複数のタッチ配線を有する、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
前記第1基板は、前記複数の画素のそれぞれに設けられ、酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタを有する、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項22】
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、請求項21に記載の液晶表示装置。
【請求項23】
前記第1基板よりも背面側、または、前記偏光板よりも観察者側に配置された照明装置をさらに備える、請求項1から22のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一般に、透過型液晶表示装置と、反射型液晶表示装置とに大別される。透過型液晶表示装置は、バックライトから出射された光を用いた透過モードの表示を行う。反射型液晶表示装置は、周囲光を用いた反射モードの表示を行う。また、各画素が反射モードで表示を行う反射領域と透過モードで表示を行う透過領域とを含む液晶表示装置が提案されている。このような液晶表示装置は、半透過型(Transflective)または透過反射両用型液晶表示装置と呼ばれる。
【0003】
反射型および半透過型液晶表示装置は、例えば、屋外で利用されるモバイル用途の中小型の表示装置として好適に用いられている。反射型液晶表示装置は、例えば特許文献1に開示されている。半透過型液晶表示装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【0004】
また、スマートフォン、タブレットなどに使用される液晶表示装置には、タッチセンサ機能が付与されている。タッチセンサの方式としては、抵抗膜式、静電容量式、光学式など、種々の方式が知られている。
【0005】
タッチセンサを備えた液晶表示装置(以下、「タッチパネル」と呼ぶ)は、液晶表示装置にタッチセンサを外付けする方式(「外付け型」)と、液晶表示装置がタッチセンサを内蔵する方式(「内蔵型」)とに大別される。内蔵型タッチパネルは、外付け型タッチパネルよりも薄型化、軽量化などに有利であり、光の透過率を高められるという利点を有している。
【0006】
内蔵型タッチパネルには、「オンセル型」と「インセル型」とがある。ここで、「セル」は、表示パネルを指している。表示パネルは、アクティブマトリクス基板(TFT基板)と、TFT基板に対向するように配置された対向基板と、TFT基板と対向基板との間に設けられた液晶層とを備える。「インセル型」では、表示パネル内にタッチセンサ機能を担う層が配置される。「オンセル型」では、タッチセンサ機能を担う層が、表示パネルと、表示パネルの観察者側に設けられた偏光板との間に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-122094号公報
【特許文献2】特開2003-131268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インセル型は、原理的に最も薄く軽いタッチパネルを実現できる。また、既に説明したように、反射モードの表示が可能な液晶表示装置は、屋外での利用に適している。そのため、反射モードの表示が可能なインセル型タッチパネルが望まれてはいるものの、未だ実現されていない。その理由は、反射モードの表示が可能な液晶表示装置において、対向基板側に、液晶層に電圧を印加するための一対の電極の一方(「対向電極」または「共通電極」と呼ばれる)が設けられていることにある。
【0009】
FFS(Fringe Field Switching)モードなどの横電界モードの液晶表示装置では、液晶層に電圧を印加するための一対の電極(画素電極および共通電極)がTFT基板側にのみ設けられる。そのため、横電界モードを採用することにより、反射モードの表示が可能なインセル型タッチパネルが実現できると考えられる。
【0010】
しかしながら、横電界モードの反射型液晶表示装置は、以下の理由から、反射率が低く、実用に耐えない。横電界モードの液晶表示装置では、画素電極および共通電極の少なくとも一方が、櫛歯形状に形成された櫛歯電極である。櫛歯形状に起因する電界の不均一性により、画素内で液晶配向の分布が発生するので、画素全体で最大の透過率や反射光の取り出し効率を得ることができず、平均の透過率や反射効率が低下する。その影響は、反射型において、透過型よりも大きい。反射型では、光が偏光板に入射し、位相差板、液晶層を通過して反射層で反射された後、再び液晶層、位相差板を通過して偏光板に入射する。黒表示時には、偏光板と反射層の間で、透過光を直線偏光から円偏光に、または、円偏光から直線偏光にする偏光変換を成立させるため、液晶層のリタデーションΔn・dの設定値が1/4波長条件(つまり138nm)であるので、相対的に電界の不均一性(およびそれに伴う配向の不均一性)による透過率変動が大きく、平均透過率の低下も大きくなるからである。
【0011】
本発明の実施形態は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、横電界モードで表示を行う反射型または半透過型液晶表示装置のコントラスト比を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本明細書は、以下の項目に記載の液晶表示装置を開示している。
【0013】
[項目1]
第1基板と、
前記第1基板よりも観察者側に配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層よりも観察者側に配置された偏光板と、
前記偏光板と前記液晶層との間に配置された位相差層と、
を備え、
マトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記第1基板は、光を反射する反射層と、前記液晶層に横電界を生成し得る第1電極および第2電極と、前記液晶層に接する第1水平配向膜と、を有し、
前記第2基板は、前記液晶層に接する第2水平配向膜を有し、
前記液晶層は、電圧無印加時にツイスト配向をとる、液晶表示装置。
【0014】
[項目2]
前記液晶層は、ポジ型の液晶材料を含む、項目1に記載の液晶表示装置。
【0015】
[項目3]
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角θは、58.3°以上89.9°以下である、項目2に記載の液晶表示装置。
【0016】
[項目4]
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角θは、64.0°以上84.3°以下である、項目2に記載の液晶表示装置。
【0017】
[項目5]
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角θは、68.4°以上79.4°以下
である、項目2に記載の液晶表示装置。
【0018】
[項目6]
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角θは、71.4°以上76.6°以下である、項目2に記載の液晶表示装置。
【0019】
[項目7]
前記偏光板の光吸収軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、110.8°以上132.3°以下である、項目2から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0020】
[項目8]
前記偏光板の光吸収軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、114.4°以上129.3°以下である、項目2から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0021】
[項目9]
前記偏光板の光吸収軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、117.9°以上126.1°以下である、項目2から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0022】
[項目10]
前記偏光板の光吸収軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、120.1°以上124.2°以下である、項目2から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0023】
[項目11]
前記位相差層は、λ/2板を含み、
前記λ/2板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、132.4°以上143.6°以下である、項目2から10のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0024】
[項目12]
前記位相差層は、λ/2板を含み、
前記λ/2板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、134.0°以上141.4°以下である、項目2から10のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0025】
[項目13]
前記位相差層は、λ/2板を含み、
前記λ/2板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、135.5°以上139.7°以下である、項目2から10のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0026】
[項目14]
前記位相差層は、λ/2板を含み、
前記λ/2板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、136.5°以上138.5°以下である、項目2から10のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0027】
[項目15]
前記位相差層は、λ/4板を含み、
前記λ/4板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、144.5°以上163.0°以下である、項目2から14のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0028】
[項目16]
前記位相差層は、λ/4板を含み、
前記λ/4板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、147.4°以上160.2°以下である、項目2から14のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0029】
[項目17]
前記位相差層は、λ/4板を含み、
前記λ/4板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、150.4°以上157.3°以下である、項目2から14のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0030】
[項目18]
前記位相差層は、λ/4板を含み、
前記λ/4板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、152.2°以上155.5°以下
である、項目2から14のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0031】
[項目19]
前記液晶材料の複屈折率をΔn、前記液晶層の厚さをdとしたとき、前記複屈折率Δnと前記厚さdとの積であるΔn・dは、152.3nm以上285.8nm以下である、項目2から18のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0032】
[項目20]
前記液晶材料の複屈折率をΔn、前記液晶層の厚さをdとしたとき、前記複屈折率Δnと前記厚さdとの積であるΔn・dは、176.9nm以上260.8nm以下である、項目2から18のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0033】
[項目21]
前記液晶材料の複屈折率をΔn、前記液晶層の厚さをdとしたとき、前記複屈折率Δnと前記厚さdとの積であるΔn・dは、195.8nm以上240.5nm以下である、項目2から18のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0034】
[項目22]
前記液晶材料の複屈折率をΔn、前記液晶層の厚さをdとしたとき、前記複屈折率Δnと前記厚さdとの積であるΔn・dは、207.0nm以上228.5nm以下である、項目2から18のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0035】
[項目23]
前記液晶層は、ネガ型の液晶材料を含む、項目1に記載の液晶表示装置。
【0036】
[項目24]
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角θは、58.5°以上89.6°以下である、項目23に記載の液晶表示装置。
【0037】
[項目25]
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角θは、63.8°以上84.3°以下である、項目23に記載の液晶表示装置。
【0038】
[項目26]
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角θは、68.1°以上80.0°以下である、項目23に記載の液晶表示装置。
【0039】
[項目27]
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角θは、71.0°以上77.0°以下である、項目23に記載の液晶表示装置。
【0040】
[項目28]
前記偏光板の光吸収軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、111.3°以上133.8°以下である、項目23から27のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0041】
[項目29]
前記偏光板の光吸収軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、115.1°以上130.4°以下である、項目23から27のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0042】
[項目30]
前記偏光板の光吸収軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、118.4°以上127.0°以下である、項目23から27のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0043】
[項目31]
前記偏光板の光吸収軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、120.4°以上125.0°以下である、項目23から27のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0044】
[項目32]
前記位相差層は、λ/2板を含み、
前記λ/2板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、131.4°以上143.3°以下である、項目23から31のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0045】
[項目33]
前記位相差層は、λ/2板を含み、
前記λ/2板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、133.5°以上141.3°以下である、項目23から31のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0046】
[項目34]
前記位相差層は、λ/2板を含み、
前記λ/2板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、135.2°以上139.6°以下である、項目23から31のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0047】
[項目35]
前記位相差層は、λ/2板を含み、
前記λ/2板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、136.3°以上138.6°以下である、項目23から31のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0048】
[項目36]
前記位相差層は、λ/4板を含み、
前記λ/4板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、143.1°以上164.1°以下である、項目23から35のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0049】
[項目37]
前記位相差層は、λ/4板を含み、
前記λ/4板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、147.0°以上160.4°以下である、項目23から35のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0050】
[項目38]
前記位相差層は、λ/4板を含み、
前記λ/4板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、150.1°以上157.5°以下である、項目23から35のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0051】
[項目39]
前記位相差層は、λ/4板を含み、
前記λ/4板の遅相軸が、前記第1水平配向膜によって規定される液晶分子の配向方位と前記液晶層のツイスト方向になす角θは、151.9°以上155.8°以下である、項目23から35のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0052】
[項目40]
前記液晶材料の複屈折率をΔn、前記液晶層の厚さをdとしたとき、前記複屈折率Δnと前記厚さdとの積であるΔn・dは、151.2nm以上285.1nm以下である、項目23から39のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0053】
[項目41]
前記液晶材料の複屈折率をΔn、前記液晶層の厚さをdとしたとき、前記複屈折率Δnと前記厚さdとの積であるΔn・dは、175.9nm以上259.3nm以下である、項目23から39のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0054】
[項目42]
前記液晶材料の複屈折率をΔn、前記液晶層の厚さをdとしたとき、前記複屈折率Δnと前記厚さdとの積であるΔn・dは、193.8nm以上240.5nm以下である、項目23から39のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0055】
[項目43]
前記液晶材料の複屈折率をΔn、前記液晶層の厚さをdとしたとき、前記複屈折率Δnと前記厚さdとの積であるΔn・dは、204.7nm以上229.4nm以下である、項目23から39のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0056】
[項目44]
前記第1基板は、基板と、前記基板上に設けられ、前記複数の画素を駆動するバックプレーン回路と、前記バックプレーン回路を覆うように設けられた第1層間絶縁層と、前記第1層間絶縁層上に設けられた第2層間絶縁層と、を有し、
前記反射層は、前記第1層間絶縁層と前記第2層間絶縁層との間に設けられており、
前記第1電極および前記第2電極は、前記第2層間絶縁層と前記第1水平配向膜との間に設けられている、項目1から43のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0057】
[項目45]
前記第1基板は、前記第2層間絶縁層と前記第1水平配向膜との間に設けられた誘電体層を有し、
前記第1電極および前記第2電極の一方は、前記第2層間絶縁層と前記誘電体層との間に設けられ、
前記第1電極および前記第2電極の他方は、前記誘電体層と前記第1水平配向膜との間に設けられている、項目44に記載の液晶表示装置。
【0058】
[項目46]
前記第1電極および前記第2電極の少なくとも一方は、複数の帯状部と、前記複数の帯状部のうちの互いに隣接する2つの帯状部間に位置する少なくとも1つのスリットと、を有する、項目1から45のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0059】
[項目47]
前記複数の帯状部のそれぞれは、第1方向に延びる第1部分と、前記第1方向と異なる第2方向に延びる第2部分とを含む、項目46に記載の液晶表示装置。
【0060】
[項目48]
前記複数の帯状部は、第1方向に延びる少なくとも1つの第1帯状部と、前記第1方向と異なる第2方向に延びる少なくとも1つの第2帯状部とを含む、項目46に記載の液晶表示装置。
【0061】
[項目49]
ノーマリブラックモードで表示を行う、項目1から48のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0062】
[項目50]
前記第1電極および前記第2電極の一方は、前記複数の画素のそれぞれに設けられた画素電極であり、
前記第1電極および前記第2電極の他方は、それぞれがタッチセンサ電極として機能し得る複数のセグメントを含む共通電極であり、
前記第1基板は、それぞれが対応するタッチセンサ電極に接続された複数のタッチ配線を有する、項目1から49のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0063】
[項目51]
前記第1基板は、前記複数の画素のそれぞれに設けられ、酸化物半導体層を含む薄膜トランジスタを有する、項目1から50のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0064】
[項目52]
前記酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体を含む、項目51に記載の液晶表示装置。
【0065】
[項目53]
前記第1基板よりも背面側、または、前記偏光板よりも観察者側に配置された照明装置をさらに備える、項目1から52のいずれかに記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0066】
本発明の実施形態によると、横電界モードで表示を行う反射型または半透過型液晶表示装置のコントラスト比を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
図1】本発明の実施形態による液晶表示装置100を模式的に示す断面図である。
図2】液晶表示装置100が有する複数の画素Pの等価回路図である。
図3A】液晶表示装置100を模式的に示す断面図である。
図3B】液晶表示装置100を模式的に示す断面図である。
図4】電圧無印加時における第1水平配向膜19近傍の液晶分子31A、第2水平配向膜29近傍の液晶分子31B、偏光板40の光吸収軸40AA、λ/2板51の遅相軸51SA、および、λ/4板52の遅相軸52SAを示す図である。
図5】電圧無印加時における第1水平配向膜19近傍の液晶分子31A、第2水平配向膜29近傍の液晶分子31B、偏光板40の光吸収軸40AA、λ/2板51の遅相軸51SA、および、λ/4板52の遅相軸52SAを示す図である。
図6A】光学シミュレーションに際して想定したモノドメイン構造を説明するための図であり、TFT基板10を第1水平配向膜19側から見た図である。
図6B】光学シミュレーションに際して想定したモノドメイン構造を説明するための図であり、対向基板20を第2水平配向膜29側から見た図である。
図6C】光学シミュレーションに際して想定したモノドメイン構造を説明するための図であり、TFT基板10と対向基板20とを貼り合わせた後の液晶表示装置100を対向基板20側から見た図である。
図7】液晶材料がポジ型の場合について、黒反射率が最小になる、偏光板40、λ/2板51、λ/4板52の光学軸の設定を示す図である。
図8】液晶層30のツイスト角θとコントラスト比との関係を示すグラフである。
図9】偏光板40の光吸収軸40AAの角度とコントラスト比との関係を示すグラフである。
図10】λ/2板51の遅相軸51SAの角度とコントラスト比との関係を示すグラフである。
図11】λ/4板52の遅相軸52SAの角度とコントラスト比との関係を示すグラフである。
図12】上層電極の帯状部SPの角度とコントラスト比との関係を示すグラフである。
図13】液晶層30のリタデーションΔn・dとコントラスト比との関係を示すグラフである。
図14】λ/2板51のリタデーションとコントラスト比との関係を示すグラフである。
図15】λ/4板52のリタデーションとコントラスト比との関係を示すグラフである。
図16A】光学シミュレーションに際して想定したモノドメイン構造を説明するための図であり、TFT基板10を第1水平配向膜19側から見た図である。
図16B】光学シミュレーションに際して想定したモノドメイン構造を説明するための図であり、対向基板20を第2水平配向膜29側から見た図である。
図16C】光学シミュレーションに際して想定したモノドメイン構造を説明するための図であり、TFT基板10と対向基板20とを貼り合わせた後の液晶表示装置100を対向基板20側から見た図である。
図17】液晶材料がネガ型の場合について、黒反射率が最小になる、偏光板40、λ/2板51、λ/4板52の光学軸の設定を示す図である。
図18】液晶層30のツイスト角θとコントラスト比との関係を示すグラフである。
図19】偏光板40の光吸収軸40AAの角度とコントラスト比との関係を示すグラフである。
図20】λ/2板51の遅相軸51SAの角度とコントラスト比との関係を示すグラフである。
図21】λ/4板52の遅相軸52SAの角度とコントラスト比との関係を示すグラフである。
図22】上層電極の帯状部SPの角度とコントラスト比との関係を示すグラフである。
図23】液晶層30のリタデーションΔn・dとコントラスト比との関係を示すグラフである。
図24】λ/2板51のリタデーションとコントラスト比との関係を示すグラフである。
図25】λ/4板52のリタデーションとコントラスト比との関係を示すグラフである。
図26A】反射モード効率の検証に用いたテストセル800Aを示す平面図である。
図26B】テストセル800Aを示す断面図であり、図26A中の26B-26B’線に沿った断面を示している。
図27A】テストセル800Aについての反射率測定の際の積層構造を示す図である。
図27B】テストセル800Aについての反射率測定の際の積層構造を示す図である。
図27C】ライトコントロールフィルム862の機能を説明するための図である。
図28】実施例1の光学軸設定を示す図である。
図29】実施例2の光学軸設定を示す図である。
図30A】テストセル800Bを示す平面図である。
図30B】テストセル800Bを示す断面図であり、図30A中の30B-30B’線に沿った断面を示している。
図31A】テストセル800Bの背面基板810を第1水平配向膜819側から見た図である。
図31B】テストセル800Bの前面基板820を第2水平配向膜829側から見た図である。
図31C】背面基板810と前面基板820とを貼り合わせた後のテストセル800Bを前面基板820側から見た図である。
図32】テストセル800Bについての反射率測定の際の積層構造を示す図である。
図33】比較例1の光学軸設定を示す図である。
図34A】テストセル800Cを示す平面図である。
図34B】テストセル800Cを示す断面図であり、図34A中の34B-34B’線に沿った断面を示している。
図35】テストセル800Cについての反射率測定の際の積層構造を示す図である。
図36】比較例2の光学軸設定を示す図である。
図37A】テストセル800D、800Eおよび800Fを示す平面図である。
図37B】テストセル800D、800Eおよび800Fを示す断面図であり、図37A中の37B-37B’線に沿った断面を示している。
図38A】テストセル800Dの背面基板810を垂直配向膜819’側から見た図である。
図38B】テストセル800Dの前面基板820を水平配向膜829側から見た図である。
図38C】背面基板810と前面基板820とを貼り合わせた後のテストセル800Dを前面基板820側から見た図である。
図39A】テストセル800Eの背面基板810を垂直配向膜819’側から見た図である。
図39B】テストセル800Eの前面基板820を水平配向膜829側から見た図である。
図39C】背面基板810と前面基板820とを貼り合わせた後のテストセル800DEを前面基板820側から見た図である。
図40A】テストセル800Fの背面基板810を垂直配向膜819’側から見た図である。
図40B】テストセル800Fの前面基板820を水平配向膜829側から見た図である。
図40C】背面基板810と前面基板820とを貼り合わせた後のテストセル800DFを前面基板820側から見た図である。
図41】テストセル800D、800Eおよび800Fについての反射率測定の際の積層構造を示す図である。
図42】比較例3-1の光学軸設定を示す図である。
図43】比較例3-2の光学軸設定を示す図である。
図44】比較例3-3の光学軸設定を示す図である。
図45】実施例1についての反射率測定の結果(電圧-反射率特性)を示すグラフである。
図46】実施例2についての反射率測定の結果(電圧-反射率特性)を示すグラフである。
図47】比較例1についての反射率測定の結果(電圧-反射率特性)を示すグラフである。
図48】比較例2についての反射率測定の結果(電圧-反射率特性)を示すグラフである。
図49】比較例3-3についての反射率測定の結果(電圧-反射率特性)を示すグラフである。
図50A】上層電極UEの例を示す平面図である。
図50B】上層電極UEの他の例を示す平面図である。
図51A】液晶材料がポジ型の場合における、第1水平配向膜19によって規定される配向方位と帯状部SPの延びる方向との関係の例を示す図である。
図51B】液晶材料がポジ型の場合における、第1水平配向膜19によって規定される配向方位と帯状部SPの延びる方向との関係の例を示す図である。
図52A】液晶材料がネガ型の場合における、第1水平配向膜19によって規定される配向方位と帯状部SPの延びる方向との関係の例を示す図である。
図52B】液晶材料がネガ型の場合における、第1水平配向膜19によって規定される配向方位と帯状部SPの延びる方向との関係の例を示す図である。
図53】液晶表示装置100におけるタッチセンサ電極およびタッチ配線の配置関係を例示する平面図である。
図54】本発明の実施形態による他の液晶表示装置200を模式的に示す断面図である。
図55】液晶表示装置200の各画素Pが含む反射領域Rfおよび透過領域Trを示す図である。
図56】液晶表示装置100が照明装置(フロントライト)80を備えた構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0068】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明の実施形態は、以下に例示するものに限定されない。
【0069】
図1および図2を参照しながら、本発明の実施形態による液晶表示装置100を説明する。液晶表示装置100は、ノーマリブラックモードで表示を行う、反射型の液晶表示装置である。図1は、液晶表示装置100を模式的に示す断面図である。図2は、液晶表示装置100が有する複数の画素Pの等価回路図である。
【0070】
液晶表示装置100は、図1に示すように、アクティブマトリクス基板(以下では「TFT基板」と呼ぶ)10と、TFT基板10よりも観察者側に配置された対向基板(「カラーフィルタ基板」と呼ばれることもある)20と、TFT基板10と対向基板20の間に設けられた液晶層30とを備える。液晶表示装置100は、さらに、液晶層30よりも観察者側に配置された偏光板40と、偏光板40と液晶層30との間に配置された位相差層50とを備える。ここでは、偏光板40は、対向基板20よりも観察者側に配置されており、位相差層50は、偏光板40と対向基板20との間に配置されている。偏光板40は、具体的には、吸収型の直線偏光板である。位相差層50は、λ/2板51と、λ/4板52とを含んでいる。
【0071】
また、液晶表示装置100は、図2に示すように、マトリクス状に配列された複数の画素Pを有する。複数の画素Pは、典型的には、赤を表示する赤画素、緑を表示する緑画素および青を表示する青画素を含む。各画素Pは、薄膜トランジスタ(TFT)11と、液晶層30に横電界を生成し得る画素電極PEおよび共通電極CEとを含んでいる。TFT11のゲート電極は、対応するゲート配線(走査配線)GLに電気的に接続されている。TFT11のソース電極は、対応するソース配線(信号配線)SLに電気的に接続されている。TFT11のドレイン電極は、画素電極PEに電気的に接続されている。
【0072】
続いて、図3を参照しながら、TFT基板10および対向基板20のより具体的な構成を説明する。図3は、液晶表示装置100を模式的に示す断面図である。
【0073】
TFT基板10は、基板10a、バックプレーン回路BP、第1層間絶縁層12および反射層13を有する。また、TFT基板10は、第2層間絶縁層14、共通電極CE、誘電体層15、画素電極PEおよび第1水平配向膜19をさらに有する。
【0074】
基板10aは、バックプレーン回路BP等を支持する。基板10aは、透明で絶縁性を有する。基板10aは、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。
【0075】
バックプレーン回路BPは、基板10a上に設けられている。バックプレーン回路BPは、複数の画素Pを駆動するための回路である。ここでは、バックプレーン回路BPは、既に説明したTFT11、ゲート配線GLおよびソース配線SLなどを含んでいる。
【0076】
第1層間絶縁層12は、バックプレーン回路BPを覆うように設けられている。第1層間絶縁層12の表面は、凹凸形状を有する。つまり、第1層間絶縁層12は、凹凸表面構造を有する。凹凸表面構造を有する第1層間絶縁層12は、例えば、特許第3394926号公報に記載されているように感光性樹脂を用いて形成され得る。
【0077】
反射層13は、第1層間絶縁層12上に設けられている。反射層13は、光を反射する材料から形成されている。反射層13は、より具体的には、反射率の高い金属材料から形成されている。反射層13の材料としては、例えば、銀合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いることができる。
【0078】
反射層13の表面は、第1層間絶縁層12の凹凸表面構造が反映された凹凸形状を有する。つまり、反射層13も凹凸表面構造を有する。反射層13の凹凸表面構造は、MRS(Micro Reflective Structure)と呼ばれることもあり、周囲光を拡散反射してペーパーホワイトに近い表示を実現するために設けられている。凹凸表面構造は、例えば、隣り合う凸部pの中心間隔が5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上20μm以下となるようにランダムに配置された複数の凸部pで構成され得る。基板10aの法線方向からみたとき、凸部pの形状は略円形または略多角形である。画素Pに占める凸部pの面積は、例えば約20%から40%である。凸部pの高さは、例えば1μm以上5μm以下である。
【0079】
第2層間絶縁層14は、反射層13を覆うように、第1層間絶縁層12上に設けられている。従って、第1層間絶縁層12と第2層間絶縁層14との間に、反射層13が設けられていると言える。
【0080】
共通電極CEは、第2層間絶縁層14上に設けられている。つまり、共通電極CEは、第2層間絶縁層14を介して反射層13上に配置されている。言い換えると、反射層13は、共通電極CEに対して液晶層30とは反対側(つまり共通電極CEよりも背面側)に位置している。
【0081】
共通電極CEは、透明導電材料から形成されている。透明導電材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO(登録商標))、またはこれらの混合物を用いることができる。
【0082】
誘電体層15は、共通電極CEを覆うように設けられている。
【0083】
画素電極PEは、複数の画素Pのそれぞれに設けられている。また、画素電極PEは、誘電体層15上に設けられている。つまり、反射層13は、画素電極PEに対しても液晶層30とは反対側(つまり画素電極PEよりも背面側)に位置している。
【0084】
画素電極PEは、透明導電材料から形成されている。画素電極PEを形成するための透明導電材料としては、共通電極CEと同様の材料を用いることができる。画素電極PEは、バックプレーン回路BPに電気的に接続されている。
【0085】
図示している例では、画素電極PEは、コンタクト電極16を介してバックプレーン回路BPに(より具体的にはTFT11のドレイン電極に)電気的に接続されている。コンタクト電極16は、反射層13と同じ金属膜から(つまり反射層13と同層に)形成されている。第1層間絶縁層12には、バックプレーン回路BPの一部(より具体的にはTFT11のドレイン電極の少なくとも一部)を露出させる第1コンタクトホールCH1が形成されており、コンタクト電極16は、第1コンタクトホールCH1においてバックプレーン回路BPに接続されている。また、第2層間絶縁層14には、コンタクト電極16の一部を露出させる第2コンタクトホールCH2が形成されており、画素電極PEは、第2コンタクトホールCH2においてコンタクト電極16に接続されている。
【0086】
なお、図3Aには示されていないが、画素電極PEは、複数の帯状部と、互いに隣接する2つの帯状部間に位置する少なくとも1つのスリットとを有している。
【0087】
第1水平配向膜19は、画素電極PE上に設けられており、液晶層30に接している。従って、画素電極PEおよび共通電極CEは、第2層間絶縁層14と第1水平配向膜19との間に設けられていると言える。また、誘電体層15も、第2層間絶縁層14と第1水平配向膜19との間に設けられていると言え、ここでは、共通電極CEが第2層間絶縁層14と誘電体層15との間に設けられ、画素電極PEが誘電体層15と第1水平配向膜19との間に設けられている。
【0088】
対向基板20は、基板20a、カラーフィルタ層21および第2水平配向膜29を有する。また、ここでは図示しないが、対向基板20は、複数の柱状スペーサをさらに有する。
【0089】
基板20aは、カラーフィルタ層21等を支持する。基板20aは、透明で絶縁性を有する。基板20aは、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。
【0090】
カラーフィルタ層21は、典型的には、赤画素に対応する領域に設けられた赤カラーフィルタ、緑画素に対応する領域に設けられた緑カラーフィルタ、および、青画素に対応する領域に設けられた青カラーフィルタを含む。赤カラーフィルタ、緑カラーフィルタおよび青カラーフィルタは、それぞれ赤色光、緑色光および青色光を透過する。
【0091】
なお、カラー表示を行わない場合は、カラーフィルタ層21は省略される。
【0092】
必要に応じ、カラーフィルタ層21を覆うオーバーコート層(平坦化層)が設けられてもよい。また、用いる透明導電材料(画素電極PE、共通電極CE用)、有機絶縁材料(第1層間絶縁層12、第2層間絶縁層14用)、無機絶縁材料(誘電体層15用)、配向膜材料(第1水平配向膜19、第2水平配向膜29用)によっては、白表示が黄色みを帯びることがある。その場合には、オーバーコート層を青色レジストで形成することによって、色度調整(ブルーシフト)を行い、白表示の色度を例えばD65光源の色度に近付けてもよい。
【0093】
柱状スペーサは、液晶層30の厚さ(セルギャップ)を規定する。柱状スペーサは、感光性樹脂から形成することができる。
【0094】
第2水平配向膜29は、カラーフィルタ層21上に設けられており、液晶層30に接している。
【0095】
液晶層30は、誘電異方性Δεが正の(つまりポジ型の)ネマチック液晶材料、または、誘電異方性Δεが負の(つまりネガ型の)ネマチック液晶材料を含む。誘電異方性Δεは、液晶分子31の長軸方向の誘電率ε//と短軸方向の誘電率εとの差(つまりε//-ε)である。液晶層30は、必要に応じ、カイラル剤をさらに含んでもよい。液晶層30は、例えば滴下法により形成することができる。
【0096】
信頼性の観点からは、ポジ型の液晶材料を用いることが好ましい。液晶材料がポジ型の場合、液晶材料の複屈折率Δnは例えば0.07以下であり、液晶材料の誘電異方性Δεは例えば10以上である。
【0097】
液晶層30の厚さは、特に制限されないが、例えば3μm以上であり得る。
【0098】
第1水平配向膜19および第2水平配向膜29のそれぞれは、配向処理を施されており、液晶層30に含まれる液晶分子31の配向方位を規定する。第1水平配向膜19によって規定される配向方位と、第2水平配向膜29によって規定される配向方位とは、互いに異なっている。
【0099】
液晶層30の両側に第1水平配向膜19および第2水平配向膜29が設けられているので、液晶層30の液晶分子31は、少なくとも液晶層30に電圧が印加されていない状態において水平配向する(つまりプレチルト角は実質的に0°である)。既に説明したように、第1水平配向膜19によって規定される配向方位と、第2水平配向膜29によって規定される配向方位とは異なっているので、図3に示しているように、液晶層30は、電圧無印加時にツイスト配向をとる。液晶層30に電圧が印加されると、つまり、画素電極PEおよび共通電極CEによって液晶層30に横電界が生成されると、横電界(フリンジ電界)によって液晶層30の配向状態が変化する。
【0100】
なお、ここでは、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成を例示したが、これとは逆に、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられてもよい。以下では、共通電極CEおよび画素電極PEのうち、相対的に上方に位置する電極を「上層電極」と呼び、相対的に下方に位置する電極を「下層電極」と呼ぶことがある。横電界を生成するために、少なくとも上層電極は、複数の帯状部と、互いに隣接する2つの帯状部間に位置する少なくとも1つのスリットとを有している。
【0101】
図3Bに、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられている構成の例を示す。図3Bに示す例では、画素電極PEが第2層間絶縁層14上に設けられており、誘電体層15は画素電極PEを覆うように設けられている。そして、共通電極CEが誘電体層15上に設けられている。図3Bに示す例においても、反射層13は、画素電極PEおよび共通電極CEに対して液晶層30とは反対側(つまり画素電極PEおよび共通電極CEよりも背面側)に位置している。また、図3Bに示す例においても、画素電極PEおよび共通電極CEは、第2層間絶縁層14と第1水平配向膜19との間に設けられていると言え、誘電体層15も、第2層間絶縁層14と第1水平配向膜19との間に設けられていると言える。図3Bに示す例では、画素電極PEが第2層間絶縁層14と誘電体層15との間に設けられ、共通電極CEが誘電体層15と第1水平配向膜19との間に設けられている。
【0102】
なお、図3Bには示されていないが、共通電極CEは、画素Pごとに、複数の帯状部と、互いに隣接する2つの帯状部間に位置する少なくとも1つのスリットとを有している。
【0103】
既に説明したように、図3Aに示したように画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成においては、少なくとも画素電極PEにスリットが形成され、図3Bに示したように共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられる構成においては、少なくとも共通電極CEにスリットが形成される。
【0104】
比較的大型の(つまり画素Pの面積が比較的大きい)液晶表示装置では、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられることが好ましい。画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成では、共通電極CEにスリットを形成する必要がないので、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられる構成よりも、共通電極CEの抵抗率(面抵抗率)の上昇が抑制される。共通電極CEの抵抗率が上昇すると、液晶層に印加されるフリンジ電界が弱くなってしまう。なお、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成では、画素電極PEにスリットを形成する必要があるので、画素電極PEの抵抗率が上昇するが、画素電極PEには外部から入力される電圧が印加されるので、抵抗率の上昇による影響を小さく(つまりフリンジ電界が弱くなることを抑制)しやすい。共通電極CEの抵抗率の上昇を抑制するために、金属材料から形成された低抵抗配線を用いる(低抵抗配線を共通電極CEに接続する)ことも考えられるが、そのような構成では、低抵抗配線による正反射等に起因する表示への悪影響(例えばぎらつき、虹色の回折、干渉模様)が発生するので、ブラックマトリクス等で遮光することが必要となり、反射開口率が低下してしまう。なお、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成では、第2コンタクトホールCH2が形成される領域には共通電極CEが存在しないので、その領域は反射表示に寄与しなくなり、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられる構成よりも、反射率が低下し得る。コンタクトホール等の反射表示に寄与しない領域の面積は、画素Pの面積の大小によらず一定程度必要であるので、画素P内で反射表示に寄与しない領域が占める割合は、画素Pの面積が小さいほど(つまり高精細になるほど)高くなり、上述した反射率の低下が大きくなる。逆に言うと、比較的大型の液晶表示装置では、画素P内で反射表示に寄与しない領域が占める割合をより低くしやすいので、上述した反射率の低下を抑制しやすい。これらの理由から、比較的大型の(画素Pの面積が比較的大きい)液晶表示装置では、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成が有利である。
【0105】
また、既に説明したように、第2コンタクトホールCH2が形成される領域が反射表示に寄与しないことによる反射率の低下は、画素Pの面積が小さいほど(つまり高精細になるほど)高くなるので、比較的高精細の(つまり画素Pの面積が比較的小さい)液晶表示装置では、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられることが好ましい。
【0106】
上述したように、本実施形態の液晶表示装置100では、液晶層30が電圧無印加時にツイスト配向をとる横電界モードで表示が行われる。これにより、後述するように、反射表示のコントラスト比を十分に向上させることができる。なお、ここでは、液晶層30が電圧無印加時にツイスト配向をとるFFSモード(「TW-FFSモード」と称する)を例示するが、液晶層30が電圧無印加時にツイスト配向をとるIPS(In-Plane Switching)モード(「TW-IPSモード」と称する)が採用されてもよい。TW-IPSモードを採用する場合、画素電極PEと共通電極CEとは同層に設けられ、画素電極PEおよび共通電極CEの両方が、複数の帯状部を有する(つまり櫛歯状電極であり得る)。
【0107】
以下、本実施形態の液晶表示装置100における、液晶層30のツイスト角、偏光板40の光吸収軸、λ/2板51の遅相軸、λ/4板52の遅相軸、および、液晶層30のリタデーションΔn・dの好ましい設定を、液晶層30の液晶材料がポジ型の場合と、液晶層30の液晶材料がネガ型の場合とについて説明する。なお、本願明細書において、「リタデーション」は、特にことわらない限り、波長550nmの光に対するリタデーションを指すものとする。
【0108】
[液晶材料がポジ型の場合]
まず、ポジ型の場合について、コントラスト比の向上の観点から好ましい構成を、図4を参照しながら説明する。図4は、電圧無印加時における第1水平配向膜19近傍の液晶分子31A、第2水平配向膜29近傍の液晶分子31B、偏光板40の光吸収軸40AA、λ/2板51の遅相軸51SA、および、λ/4板52の遅相軸52SAを示す図である。
【0109】
電圧無印加時における液晶層30のツイスト角θは、第1水平配向膜19によって規定される配向方位と、第2水平配向膜29によって規定される配向方位とのなす角であり、言い換えると、第1水平配向膜19近傍の液晶分子31Aの長軸方向と、第2水平配向膜29近傍の液晶分子31Bの長軸方向とがツイスト方向になす角である。ここで、ツイスト方向は、液晶表示装置100を観察者側から見たときに、第1水平配向膜19によって規定される配向方位から第2水平配向膜29によって規定される配向方位へとねじれている方向である。
【0110】
液晶層30のツイスト角θは、58.3°以上89.9°以下であることが好ましく、64.0°以上84.3°以下であることがより好ましい。また、ツイスト角θは、68.4°以上79.4°以下であることがさらに好ましく、71.4°以上76.6°以下であることがもっとも好ましい。
【0111】
ツイスト角θが58.3°以上89.9°以下であると、5以上のコントラスト比を実現することができ、ツイスト角θが64.0°以上84.3°以下であると、10以上のコントラスト比を実現することができる。また、ツイスト角θが68.4°以上79.4°以下であると、20以上のコントラスト比を実現することができ、ツイスト角θが71.4°以上76.6°以下であると、30以上のコントラスト比を実現することができる。
【0112】
偏光板40の光吸収軸40AAが、第1水平配向膜19によって規定される液晶分子31Aの配向方位と液晶層30のツイスト方向になす角θは、110.8°以上132.3°以下であることが好ましく、114.4°以上129.3°以下であることがより好ましい。また、角θは、117.9°以上126.1°以下であることがさらに好ましく、120.1°以上124.2°以下であることがもっとも好ましい。
【0113】
角θが110.8°以上132.3°以下であると、5以上のコントラスト比を実現することができ、角θが114.4°以上129.3°以下であると、10以上のコントラスト比を実現することができる。また、角θが117.9°以上126.1°以下であると、20以上のコントラスト比を実現することができ、角θが120.1°以上124.2°以下であると、30以上のコントラスト比を実現することができる。
【0114】
λ/2板51の遅相軸51SAが、第1水平配向膜19によって規定される液晶分子31Aの配向方位と液晶層30のツイスト方向になす角θは、132.4°以上143.6°以下であることが好ましく、134.0°以上141.4°以下であることがより好ましい。また、角θは、135.5°以上139.7°以下であることがさらに好ましく、136.5°以上138.5°以下であることがもっとも好ましい。
【0115】
角θが132.4°以上143.6°以下であると、5以上のコントラスト比を実現することができ、角θが134.0°以上141.4°以下であると、10以上のコントラスト比を実現することができる。また、角θが135.5°以上139.7°以下であると、20以上のコントラスト比を実現することができ、角θが136.5°以上138.5°以下であると、30以上のコントラスト比を実現することができる。
【0116】
λ/4板52の遅相軸52SAが、第1水平配向膜19によって規定される液晶分子31Aの配向方位と液晶層30のツイスト方向になす角θは、144.5°以上163.0°以下であることが好ましく、147.4°以上160.2°以下であることがより好ましい。また、角θは、150.4°以上157.3°以下であることがさらに好ましく、152.2°以上155.5°以下であることがもっとも好ましい。
【0117】
角θが144.5°以上163.0°以下であると、5以上のコントラスト比を実現することができ、角θが147.4°以上160.2°以下であると、10以上のコントラスト比を実現することができる。角θが150.4°以上157.3°以下であると、20以上のコントラスト比を実現することができ、角θが152.2°以上155.5°以下であると、30以上のコントラスト比を実現することができる。
【0118】
液晶層30のリタデーションは、液晶材料の複屈折率をΔn、液晶層30の厚さをdとしたとき、複屈折率Δnと厚さdとの積(つまりΔn・d)である。液晶層30のリタデーションΔn・dは、152.3nm以上285.8nm以下であることが好ましく、176.9nm以上260.8nm以下であることがより好ましい。また、液晶層30のリタデーションΔn・dは、195.8nm以上240.5nm以下であることがさらに好ましく、207.0nm以上228.5nm以下であることがもっとも好ましい。
【0119】
液晶層30のリタデーションΔn・dが152.3nm以上285.8nm以下であると、5以上のコントラスト比を実現することができ、液晶層30のリタデーションΔn・dが176.9nm以上260.8nm以下であると、10以上のコントラスト比を実現することができる。また、液晶層30のリタデーションΔn・dが195.8nm以上240.5nm以下であると、20以上のコントラスト比を実現することができ、液晶層30のリタデーションΔn・dが207.0nm以上228.5nm以下であると、30以上のコントラスト比を実現することができる。
【0120】
[液晶材料がネガ型の場合]
次に、ネガ型の場合について、コントラスト比の向上の観点から好ましい構成を、図5を参照しながら説明する。図5は、電圧無印加時における第1水平配向膜19近傍の液晶分子31A、第2水平配向膜29近傍の液晶分子31B、偏光板40の光吸収軸40AA、λ/2板51の遅相軸51SA、および、λ/4板52の遅相軸52SAを示す図である。
【0121】
電圧無印加時における液晶層30のツイスト角θは、58.5°以上89.6°以下であることが好ましく、63.8°以上84.3°以下であることがより好ましい。また、ツイスト角θは、68.1°以上80.0°以下であることがさらに好ましく、71.0°以上77.0°以下であることがもっとも好ましい。
【0122】
ツイスト角θが58.5°以上89.6°以下であると、5以上のコントラスト比を実現することができ、ツイスト角θが63.8°以上84.3°以下であると、10以上のコントラスト比を実現することができる。また、ツイスト角θが68.1°以上80.0°以下であると、20以上のコントラスト比を実現することができ、ツイスト角θが71.0°以上77.0°以下であると、30以上のコントラスト比を実現することができる。
【0123】
偏光板40の光吸収軸40AAが、第1水平配向膜19によって規定される液晶分子31Aの配向方位と液晶層30のツイスト方向になす角θは、111.3°以上133.8°以下であることが好ましく、115.1°以上130.4°以下であることがより好ましい。また、角θは、118.4°以上127.0°以下であることがさらに好ましく、120.4°以上125.0°以下であることがもっとも好ましい。
【0124】
角θが111.3°以上133.8°以下であると、5以上のコントラスト比を実現することができ、角θが115.1°以上130.4°以下であると、10以上のコントラスト比を実現することができる。また、角θが118.4°以上127.0°以下であると、20以上のコントラスト比を実現することができ、角θが120.4°以上125.0°以下であると、30以上のコントラスト比を実現することができる。
【0125】
λ/2板51の遅相軸51SAが、第1水平配向膜19によって規定される液晶分子31Aの配向方位と液晶層30のツイスト方向になす角θは、131.4°以上143.3°以下であることが好ましく、133.5°以上141.3°以下であることがより好ましい。また、角θは、135.2°以上139.6°以下であることがさらに好ましく、136.3°以上138.6°以下であることがもっとも好ましい。
【0126】
角θが131.4°以上143.3°以下であると、5以上のコントラスト比を実現することができ、角θが133.5°以上141.3°以下であると、10以上のコントラスト比を実現することができる。また、角θが135.2°以上139.6°以下であると、20以上のコントラスト比を実現することができ、角θが136.3°以上138.6°以下であると、30以上のコントラスト比を実現することができる。
【0127】
λ/4板52の遅相軸52SAが、第1水平配向膜19によって規定される液晶分子31Aの配向方位と液晶層30のツイスト方向になす角θは、143.1°以上164.1°以下であることが好ましく、147.0°以上160.4°以下であることがより好ましい。また、角θは、150.1°以上157.5°以下であることがさらに好ましく、151.9°以上155.8°以下であることがもっとも好ましい。
【0128】
角θが143.1°以上164.1°以下であると、5以上のコントラスト比を実現することができ、角θが147.0°以上160.4°以下であると、10以上のコントラスト比を実現することができる。また、角θが150.1°以上157.5°以下であると、20以上のコントラスト比を実現することができ、角θが151.9°以上155.8°以下であると、30以上のコントラスト比を実現することができる。
【0129】
液晶層30のリタデーションΔn・dは、151.2nm以上285.1nm以下であることが好ましく、175.9nm以上259.3nm以下であることがより好ましい。また、液晶層30のリタデーションΔn・dは、193.8nm以上240.5nm以下であることがさらに好ましく、204.7nm以上229.4nm以下であることがもっとも好ましい。
【0130】
液晶層30のリタデーションΔn・dが151.2nm以上285.1nm以下であると、5以上のコントラスト比を実現することができ、液晶層30のリタデーションΔn・dが175.9nm以上259.3nm以下であると、10以上のコントラスト比を実現することができる。また、液晶層30のリタデーションΔn・dが193.8nm以上240.5nm以下であると、20以上のコントラスト比を実現することができ、液晶層30のリタデーションΔn・dが204.7nm以上229.4nm以下であると、30以上のコントラスト比を実現することができる。
【0131】
[好ましい設定の光学シミュレーションによる検証結果]
上述した好ましい設定は、本願発明者による、光学シミュレーションを用いた検証で見出されたものである。以下、その検証結果を説明する。
【0132】
検証に先立ち、本願発明者は、まず、以下に説明するように、ツイスト角θとして74°付近が好ましいことを見出した。
【0133】
既に説明したように、従来の横電界モードを単純に反射型液晶表示装置に採用しても、反射率が低い。例えば、FFSモード(電圧無印加時におけるツイスト角は0°)を反射型液晶表示装置に採用した場合の反射率は、縦電界モードの一種であるVAモードを採用した場合の反射率の60%程度となってしまう。
【0134】
また、反射型液晶表示装置には、液晶層のリタデーションΔn・dを約138nmにする(波長550nmの可視光に対してλ/4条件が満足される)という特有の光学条件がある。そのため、狭セル厚化による歩留まりの低下を防止するために2.0μm以上のセル厚を確保しようとする場合には、液晶材料の複屈折率Δnを0.069以下にすることが必須となる。複屈折率Δnの低い材料組成で、高い誘電異方性Δεを実現すること(つまり低Δnと高Δεの両立)は、実用上の信頼性の面で困難である。
【0135】
そこで、本願発明者は、見かけの複屈折率Δnを小さくしてセル厚を大きくするため、HAN(Hybrid Aligned Nematic)モードを採用することを検討した。しかしながら、HANモードのテストセルを作製して検証したところ、黒表示の反射率(以下では単に「黒反射率」とも呼ぶ)が十分に低下せず、コントラスト比が十分に向上しないことが判明した(後述する比較例3)。そこで、本願発明者は、TW-FFSモードの採用を検討した。
【0136】
まず、反射型の液晶パネルと、偏光板と、λ/2板(275nmのリタデーションを有するAプレート(一軸性位相差板))とを含む構成を想定して、光学シミュレーションを行い、好ましい光学条件を見出した。シミュレーションソフトとしては、シンテック社製のLCD Master 1Dを用いた。
【0137】
セル厚を3.0μmに固定し、ツイスト角と黒反射率が最小になる、偏光板の光吸収軸角度、および、λ/2板の遅相軸角度を求めた。ただし、テストセルによる検証の結果、黒反射率が2%以上となり、縦電界モードと同レベルの1%程度には下がらなかった。そこで、黒反射率を低下させるために、λ/4板の追加をさらに検討した。
【0138】
反射型の液晶パネルと、偏光板と、λ/2板およびλ/4板(Aプレート(一軸性位相差板))とを含む構成を想定し、セル厚を3.0μmに固定し、黒反射率が最小になる、ツイスト角、偏光板の光吸収軸角度、λ/2板の遅相軸角度およびリタデーション、λ/4板の遅相軸角度およびリタデーションの条件を、シミュレーションにより求めた。その結果、ツイスト角が74°のときに黒反射率が最小となることを見出した。
【0139】
液晶材料がポジ型の場合の好ましい設定を以下のようにして求めた。光学シミュレーションのため、図6A図6Bおよび図6Cに示すような、モノドメイン構造の液晶セルを想定した。図6Aは、TFT基板10を第1水平配向膜19側から見た図であり、図6Bは、対向基板20を第2水平配向膜29側から見た図である。図6Cは、TFT基板10と対向基板20とを貼り合わせた後の液晶表示装置100を対向基板20側から見た図である。以下の説明では、図6A図6Bおよび図6Cのそれぞれを時計の文字盤に見立てて、3時方向を0°とし、時計回りを負、反時計回りを正とする。
【0140】
第1水平配向膜19によって規定される配向方位は0°方向とし、上層電極の各帯状部SPが延びる方向(各スリットSLが延びる方向とも言える)は+10°方向とした。各帯状部SPの幅は1.6μmとし、互いに隣接する2つの帯状部SPの間隔は3μmとした。また、第2水平配向膜29によって規定される配向方位は図6Bでは+106°方向、図6Cでは+74°方向とした。つまり、ツイスト角θは+74°とした。
【0141】
シンテック社製のLCD Master 1Dを用い、ツイスト角θを74°に固定し、黒反射率が最小になる、セル厚、偏光板40の光吸収軸40AAの角度、λ/2板51の遅相軸51SAの角度およびリタデーション、λ/4板52の遅相軸52SAの角度およびリタデーションをパラメータとして求めた。そして、これら6つのパラメータのうち、1つのみを変化させて、他のパラメータは固定して計算を繰り返した。
【0142】
図7に、黒反射率が最小になる、偏光板40、λ/2板51、λ/4板52の光学軸の設定を示す。図7に示すように、偏光板40の光吸収軸40AAの最適な設定は、-57.6°方向(+122.4°方向ともいえる)であった。また、λ/2板51の遅相軸51SAの最適な設定は、-42.6°方向(+137.4°方向ともいえる)であり、λ/4板52の遅相軸52SAの最適な設定は、-26.1°方向(+153.9°方向ともいえる)であった。
【0143】
次に、シミュレーションソフトとしてシンテック社製のLCD Master 2Dを用いて光学シミュレーションを行い、光学条件の好ましい範囲を検討した。
【0144】
着目パラメータ(好ましい範囲を求めようとしているパラメータ)について、他のパラメータは最適値に固定したままで、最適値(基準値)を中心として値を変化させてシミュレーションを行った。着目パラメータに対し、横軸をそのパラメータとし、縦軸を黒表示時および白表示時の反射モード効率としたグラフを作成した。反射モード効率は、下記式で表される。
【0145】
反射モード効率[%]=(偏光板ありの輝度)/(偏光板なしの輝度)×100
得られたグラフについて、反射モード効率を1%上方にシフトさせる補正処理を行い、補正処理後のグラフから、さらに、横軸を着目パラメータ、縦軸をコントラスト比としたグラフを作成した。上述した補正処理は、実際のテストセルでは、界面反射の影響による反射率(光学シミュレーションでは考慮されない)が1%程度発生することを考慮して行ったものである。
【0146】
このようにして得られたグラフを、図8から図15に示す。また、各パラメータについて、コントラスト比が5以上、10以上、20以上および30以上となる範囲を、表1および表2に示す。
【0147】
【表1】
【0148】
【表2】
【0149】
図8および表1から、液晶層30のツイスト角θが、58.3°以上89.9°以下、64.0°以上84.3°以下、68.4°以上79.4°以下および71.4°以上76.6°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0150】
また、表1から、液晶層30の配向軸中心(電圧無印加時における厚さ方向中央付近の液晶分子31の配向方位)が、29.2°以上45.0°以下、32.0°以上42.1°以下、34.2°以上39.7°以下および35.7°以上38.3°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0151】
図9および表1から、偏光板40の光吸収軸40AAの角度が、110.8°以上132.3°以下、114.4°以上129.3°以下、117.9°以上126.1°以下および120.1°以上124.2°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。ここで、偏光板40の光吸収軸40AAの角度は、光吸収軸40AAが第1水平配向膜19によって規定される配向方位とツイスト方向になす角θと言うこともできる。
【0152】
また、図10および表1から、λ/2板51の遅相軸51SAの角度が、132.4°以上143.6°以下、134.0°以上141.4°以下、135.5°以上139.7°以下および136.5°以上138.5°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。ここで、λ/2板51の遅相軸51SAの角度は、遅相軸51SAが第1水平配向膜19によって規定される配向方位とツイスト方向になす角θと言うこともできる。
【0153】
図11および表1から、λ/4板52の遅相軸52SAの角度が、144.5°以上163.0°以下、147.4°以上160.2°以下、150.4°以上157.3°以下および152.2°以上155.5°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。ここで、λ/4板52の遅相軸52SAの角度は、遅相軸52SAが第1水平配向膜19によって規定される配向方位とツイスト方向になす角θと言うこともできる。
【0154】
また、図12および表1から、上層電極の帯状部SPの角度(延びる方向)が、-0.9°以上20.9°以下、1.3°以上18.4°以下、5.5°以上14.3°以下および7.9°以上12.1°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0155】
図13および表2から、液晶層30のリタデーションΔn・dが、152.3nm以上285.8nm以下、176.9nm以上260.8nm以下、195.8nm以上240.5nm以下および207.0nm以上228.5nm以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0156】
また、図14および表2から、λ/2板51のリタデーションが190.5nm以上330.9nm以下、214.7nm以上308.2nm以下、236.4nm以上287.3nm以下、249.7nm以上274.3nm以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0157】
さらに、図15および表2から、λ/4板52のリタデーションが0nm以上293.0nm以下、0nm以上264.6nm以下、28.2nm以上207.7nm以下および74.4nm以上157.5nm以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0158】
続いて、液晶材料がネガ型の場合の好ましい設定を以下のようにして求めた。光学シミュレーションのため、図16A図16Bおよび図16Cに示すような、モノドメイン構造の液晶セルを想定した。図16Aは、TFT基板10を第1水平配向膜19側から見た図であり、図16Bは、対向基板20を第2水平配向膜29側から見た図である。図16Cは、TFT基板10と対向基板20とを貼り合わせた後の液晶表示装置100を対向基板20側から見た図である。
【0159】
第1水平配向膜19によって規定される配向方位は90°方向とし、上層電極の各帯状部SPが延びる方向(各スリットSLが延びる方向とも言える)は+10°方向とした。各帯状部SPの幅は1.6μmとし、互いに隣接する2つの帯状部SPの間隔は3μmとした。また、第2水平配向膜29によって規定される配向方位は図16Bでは+16°方向、図16Cでは+164°方向とした。つまり、ツイスト角θは+74°とした。
【0160】
シンテック社製のLCD Master 1Dを用い、ツイスト角θを74°に固定し、黒反射率が最小になる、セル厚、偏光板40の光吸収軸40AAの角度、λ/2板51の遅相軸51SAの角度およびリタデーション、λ/4板52の遅相軸52SAの角度およびリタデーションをパラメータとして求めた。そして、これら6つのパラメータのうち、1つのみを変化させて、他のパラメータは固定して計算を繰り返した。
【0161】
図17に、黒反射率が最小になる、偏光板40、λ/2板51、λ/4板52の光学軸の設定を示す。図17に示すように、偏光板40の光吸収軸40AAの最適な設定は、+32.6°方向であった。また、λ/2板51の遅相軸51SAの最適な設定は、+47.5°方向であり、λ/4板52の遅相軸52SAの最適な設定は、+63.8°方向であった。
【0162】
次に、シミュレーションソフトとしてシンテック社製のLCD Master 2Dを用いて光学シミュレーションを行い、光学条件の好ましい範囲を検討した。
【0163】
着目パラメータ(好ましい範囲を求めようとしているパラメータ)について、他のパラメータは最適値に固定したままで、最適値(基準値)を中心として値を変化させてシミュレーションを行った。着目パラメータに対し、横軸をそのパラメータとし、縦軸を黒表示時および白表示時の反射モード効率としたグラフを作成した。
【0164】
得られたグラフについて、反射モード効率を1%上方にシフトさせる補正処理を行い、補正処理後のグラフから、さらに、横軸を着目パラメータ、縦軸をコントラスト比としたグラフを作成した。
【0165】
このようにして得られたグラフを、図18から図25に示す。また、各パラメータについて、コントラスト比が5以上、10以上、20以上および30以上となる範囲を、表3および表4に示す。
【0166】
【表3】
【0167】
【表4】
【0168】
図18および表3から、液晶層30のツイスト角θが、58.5°以上89.6°以下、63.8°以上84.3°以下、68.1°以上80.0°以下および71.0°以上77.0°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0169】
また、表3から、液晶層30の配向軸中心(電圧無印加時における厚さ方向中央付近の液晶分子31の配向方位)が、29.2°以上44.8°以下、31.9°以上42.2°以下、34.0°以上40.0°以下および35.5°以上38.5°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0170】
図19および表3から、偏光板40の光吸収軸40AAの角度が、21.3°以上43.8°以下、25.1°以上40.4°以下、28.4°以上37.0°以下および30.4°以上35.0°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0171】
ここで、偏光板40の光吸収軸40AAの角度に90°を加算したものが、光吸収軸40AAが第1水平配向膜19によって規定される配向方位とツイスト方向になす角θである。従って、角θが、111.3°以上133.8°以下、115.1°以上130.4°以下、118.4°以上127.0°以下および120.4°以上125.0°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得る。
【0172】
また、図20および表3から、λ/2板51の遅相軸51SAの角度が、41.4°以上53.3°以下、43.5°以上51.3°以下、45.2°以上49.6°以下および46.3°以上48.6°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0173】
ここで、λ/2板51の遅相軸51SAの角度に90°を加算したものが、遅相軸51SAが第1水平配向膜19によって規定される配向方位とツイスト方向になす角θである。従って、角θが、131.4°以上143.3°以下、133.5°以上141.3°以下、135.2°以上139.6°以下および136.3°以上138.6°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得る。
【0174】
図21および表3から、λ/4板52の遅相軸52SAの角度が、53.1°以上74.1°以下、57.0°以上70.4°以下、60.1°以上67.5°以下および61.9°以上65.8°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0175】
ここで、λ/4板52の遅相軸52SAの角度に90°を加算したものが、遅相軸52SAが第1水平配向膜19によって規定される配向方位とツイスト方向になす角θである。従って、角θが、143.1°以上164.1°以下、147.0°以上160.4°以下、150.1°以上157.5°以下および151.9°以上155.8°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得る。
【0176】
また、図22および表3から、上層電極の帯状部SPの角度(延びる方向)が、-1.0°以上21.1°以下、1.3°以上18.5°以下、5.5°以上14.3°以下および7.6°以上12.2°以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0177】
図23および表4から、液晶層30のリタデーションΔn・dが、151.2nm以上285.1nm以下、175.9nm以上259.3nm以下、193.8nm以上240.5nm以下および204.7nm以上229.4nm以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0178】
また、図24および表4から、λ/2板51のリタデーションが188.5nm以上334.4nm以下、213.9nm以上310.3nm以下、234.7nm以上288.9nm以下および247.4nm以上275.9nm以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0179】
さらに、図25および表4から、λ/4板52のリタデーションが0nm以上286.2nm以下、0nm以上~259.1nm以下、17.8nm以上~204.8nm以下、64.0nm以上~158.2nm以下であると、それぞれ5以上、10以上、20以上および30以上のコントラスト比を実現し得ることがわかる。
【0180】
[テストセルによる検証結果]
次に、テストセルを試作し、反射モード効率を検証した結果を説明する。
【0181】
まず、図26Aおよび図26Bを参照しながら、テストセル800Aの構造を説明する。図26Aは、テストセル800Aを示す平面図である。図26Bは、テストセル800Aを示す断面図であり、図26A中の26B-26B’線に沿った断面を示している。
【0182】
テストセル800Aは、背面基板810と、前面基板820と、背面基板810と前面基板820の間に設けられた液晶層830とを備える。
【0183】
背面基板810は、ガラス基板810aと、ガラス基板810a上にこの順で積層された、共通電極CE、層間絶縁層815、画素電極PEおよび第1水平配向膜819とを有する。共通電極CEは、ITOから形成されている。共通電極CEの厚さは、100nmである。層間絶縁層815は、窒化シリコン(SiNx)から形成されている。層間絶縁層815の厚さは、300nmである。
【0184】
画素電極PEは、ITOから形成されている。画素電極PEの厚さは、100nmである。画素電極PEは、複数の帯状部SPと、複数のスリットSLとを有している。各帯状部SPの幅は3μmであり、各スリットSLの幅(互いに隣接する2つの帯状部SPの間隔)は5μmである。各帯状部SPは、くの字状に屈曲している。つまり、各帯状部SPは、ある方向(第1方向)に延びる第1部分SPaと、第1方向と異なる方向(第2方向)に延びる第2部分SPbとを含んでいる。屈曲角(図26A中の左右方向に対して帯状部SPの第1部分SPaおよび第2部分SPbがそれぞれなす角)は7°である。
【0185】
前面基板820は、ガラス基板820aと、ガラス基板820a上に設けられた第2水平配向膜829とを有する。
【0186】
液晶層830の厚さ(セルギャップ)は、プラスチックビーズ(不図示)によって規定されている。
【0187】
このような構造を有するテストセル800について、まず、ポラリメータ(Axometrics社製AxoScan)を用いて液晶層830のリタデーションを測定した。次に、セルギャップ検査装置(大塚電子社製RetQC)を用いてセルギャップを測定した。
【0188】
続いて、図27Aに示すように、テストセル800Aの前面基板820側に、λ/4板852、λ/2板851および偏光板840をこの順に貼り付けた。λ/4板852として日東電工社製NZF-UF01A(リタデーション:110nm)、λ/2板851として日東電工社製NZF-UF01A(リタデーション:260nm)、偏光板840として日東電工社製NPF-CRT1794KDUHC3を用いた。その後、凹凸表面構造(MRS)を有する反射板860A上に、界面反射によるロスを低減するためのマッチングオイルmoを1滴落とし、背面基板810側を下にしてテストセル800Aを反射板860A上に設置した。その状態で、画素電極PEと共通電極CEとの間に印加する電圧を変化させ、反射率を測定した。画素電極PEおよび共通電極CEへの電圧印加は、30Hzの矩形波で0V~10Vの電圧を印加可能なファンクションジェネレータ(TEKTRONIX社製AFG1022)を用いて行った。反射率の測定は、分光測色計(MINOLTA社製CM-2600d)を用いて行った。
【0189】
また、上述したような反射率の測定を、図27Bに示した構成についても行った。図27Bに示した構成は、MRSを有しない反射板860Bが用いられている点と、テストセル800とλ/4板852との間にライトコントロールフィルム(Light Control Film)862が設けられている点において、図27Aに示した構成と異なっている。ライトコントロールフィルム862は、図27Cに示すように、法線方向に対して30°傾斜した方向からの入射光を、法線方向に対して10°傾斜した方向に反射する散乱フィルムである。
【0190】
第1水平配向膜819および第2水平配向膜829に対する配向処理は、光配向処理またはラビング処理により行った。
【0191】
光配向処理を用いる場合には、光分解型の光配向膜材料を用いた。光配向膜材料の塗布はスピンコート法で行い、配向膜の厚さは100nmとした。UVランプユニットから出射した無偏光UV光をワイヤグリッド偏光子により偏光UV光とし、偏光UV光を配向膜に対して照射することによって光配向処理を行った。ワイヤグリッド偏光子による消光比は、100:1であった。UV光の波長は220nm~260nmであり、照射エネルギーは、300mJ/cmであった。液晶分子の配向方位は、偏光UV光の偏光方向(ワイヤグリッド偏光子の透過軸方位)に直交する方向である。
【0192】
ラビング処理を用いる場合には、形成された配向膜をラビングローラでラビングすることによって配向処理を行った。ラビング処理用の配向膜材料としては、ポリイミド系の材料が好適であり、ラビング処理によりプレチルトが発生しない材料が市販されている。液晶分子の配向方位は、ラビング方向に対して平行な方向である。
【0193】
テストセル800Aを用い、実施例1および2について、検証を行った。
【0194】
実施例1では、液晶材料はポジ型で、表示モードはTW-FFSモードである。図28および表5に、実施例1の光学軸設定および仕様を示す。図28および表5に示すように、偏光板840の光吸収軸840AAの角度は122.5°、λ/2板851の遅相軸851SAの角度は137°、λ/4板852の遅相軸852SAの角度は153.5°とした。
【0195】
【表5】
【0196】
実施例2では、液晶材料はネガ型で、表示モードはTW-FFSモードである。図29および表6に、実施例2の光学軸設定および仕様を示す。図29および表6に示すように、偏光板840の光吸収軸840AAの角度は32.5°、λ/2板851の遅相軸851SAの角度は47°、λ/4板852の遅相軸852SAの角度は63.5°とした。
【0197】
【表6】
【0198】
比較のため、比較例1、2、3-1、3-2および3-3についても検証を行った。
【0199】
比較例1では、液晶材料はネガ型、表示モードはFFSモードである。図30Aおよび図30Bに、比較例1について作製したテストセル800Bを示す。図30Aは、テストセル800Bを示す平面図である。図30Bは、テストセル800Bを示す断面図であり、図30A中の30B-30B’線に沿った断面を示している。
【0200】
テストセル800Bは、テストセル800Aと同様に、背面基板810と、前面基板820と、液晶層830とを備える。背面基板810は、ガラス基板810aと、ガラス基板810a上にこの順で積層された、共通電極CE、層間絶縁層815、画素電極PEおよび第1水平配向膜819とを有する。画素電極PEは、複数の帯状部SPと、複数のスリットSLとを有している。前面基板820は、ガラス基板820aと、ガラス基板820a上に設けられた第2水平配向膜829とを有する。
【0201】
図31Aは、背面基板810を第1水平配向膜819側から見た図であり、図31Bは、前面基板820を第2水平配向膜829側から見た図である。図31Cは、背面基板810と前面基板820とを貼り合わせた後のテストセル800Bを前面基板820側から見た図である。
【0202】
図31A図31Bおよび図31Cに示すように、第1水平配向膜819によって規定される液晶分子831Aの配向方位は0°方向とし、第2水平配向膜829によって規定される液晶分子831Bの配向方位も0°方向とした。つまり、ツイスト角は0°とした。
【0203】
反射率の測定は、図32に示す状態で行った。図32に示す状態では、テストセル800Bの前面基板820側に、λ/2板851および偏光板840がこの順で貼り付けられている。MRSを有する反射板860A上には、マッチングオイルmoが滴下されており、その上に背面基板810側を下にしてテストセル800Bが設置されている。
【0204】
図33および表7に、比較例1の光学軸設定および仕様を示す。図33および表7に示すように、偏光板840の光吸収軸840AAの角度は15°、λ/2板851の遅相軸851SAの角度は30°とした。
【0205】
【表7】
【0206】
比較例2では、液晶材料はネガ型、表示モードはVAモードである。図34Aおよび図34Bに、比較例2について作製したテストセル800Cを示す。図34Aは、テストセル800Cを示す平面図である。図34Bは、テストセル800Cを示す断面図であり、図34A中の34B-34B’線に沿った断面を示している。
【0207】
テストセル800Cは、背面基板810と、前面基板820と、液晶層830とを備える。背面基板810は、ガラス基板810aと、ガラス基板810a上にこの順で積層された、画素電極PEおよび第1垂直配向膜819’とを有する。前面基板820は、ガラス基板820aと、ガラス基板820a上にこの順で積層された、共通電極CEおよび第2垂直配向膜829’とを有する。第1垂直配向膜819’および第2垂直配向膜829’のうち、第2垂直配向膜829’のみに光配向処理が行われており、第2垂直配向膜829’によって規定される液晶分子831の配向方位は、90°方向である(プレチルト角は88.4°である)。
【0208】
反射率の測定は、図35に示す状態で行った。図35に示す状態では、テストセル800Cの前面基板820側に、λ/4板852、第1のλ/2板851a、第2のλ/2板851bおよび偏光板840がこの順で貼り付けられている。そして、MRSを有する反射板860A上に、背面基板810側を下にしてテストセル800Cが設置されている。
【0209】
図36および表8に、比較例2の光学軸設定および仕様を示す。図36および表8に示すように、偏光板840の光吸収軸840AAの角度は110°、第1のλ/2板851aの遅相軸851aSAの角度は185°、第2のλ/2板851bの遅相軸851bSAの角度は115°、λ/4板852の遅相軸852SAの角度は195°とした。
【0210】
【表8】
【0211】
比較例3-1、3-2および3-3では、液晶材料はネガ型、表示モードはHANモードである。図37Aおよび図37Bに、比較例3-1、3-2および3-3について作製したテストセル800D、800Eおよび800Fを示す。図37Aは、テストセル800D、800Eおよび800Fを示す平面図である。図37Bは、テストセル800D、800Eおよび800Fを示す断面図であり、図37A中の37B-37B’線に沿った断面を示している。
【0212】
テストセル800D、800Eおよび800Fは、背面基板810と、前面基板820と、液晶層830とを備える。背面基板810は、ガラス基板810aと、ガラス基板810a上にこの順で積層された、共通電極CE、層間絶縁層815、画素電極PEおよび垂直配向膜819’とを有する。画素電極PEは、複数の帯状部SPと、複数のスリットSLとを有している。前面基板820は、ガラス基板820aと、ガラス基板820a上に設けられた水平配向膜829とを有する。テストセル800D(比較例3-1)では、垂直配向膜819’および水平配向膜829のうち、水平配向膜829のみに光配向処理が行われている。テストセル800E(比較例3-2)およびテストセル800F(比較例3-3)では、垂直配向膜819’および水平配向膜829の両方に光配向処理が行われている。
【0213】
図38Aは、テストセル800Dの背面基板810を垂直配向膜819’側から見た図であり、図38Bは、テストセル800Dの前面基板820を水平配向膜829側から見た図である。図38Cは、背面基板810と前面基板820とを貼り合わせた後のテストセル800Dを前面基板820側から見た図である。
【0214】
図38A図38Bおよび図38Cに示すように、テストセル800Dでは、垂直配向膜819’によって液晶分子31Aの配向方位は規定されず、水平配向膜829によって規定される液晶分子831Bの配向方位は90°方向である。
【0215】
図39Aは、テストセル800Eの背面基板810を垂直配向膜819’側から見た図であり、図39Bは、テストセル800Eの前面基板820を水平配向膜829側から見た図である。図39Cは、背面基板810と前面基板820とを貼り合わせた後のテストセル800Eを前面基板820側から見た図である。
【0216】
図39A図39Bおよび図39Cに示すように、テストセル800Eでは、垂直配向膜819’によって規定される液晶分子831Aの配向方位は0°方向とし、水平配向膜829によって規定される液晶分子831Bの配向方位は90°方向とした。つまり、ツイスト角は90°とした。
【0217】
図40Aは、テストセル800Fの背面基板810を垂直配向膜819’側から見た図であり、図40Bは、テストセル800Fの前面基板820を水平配向膜829側から見た図である。図40Cは、背面基板810と前面基板820とを貼り合わせた後のテストセル800Fを前面基板820側から見た図である。
【0218】
図40A図40Bおよび図40Cに示すように、テストセル800Fでは、垂直配向膜819’によって規定される液晶分子831Aの配向方位は90°方向とし、水平配向膜829によって規定される液晶分子831Bの配向方位は90°方向とした。つまり、ツイスト角は0°とした。
【0219】
反射率の測定は、図41に示す状態で行った。図41に示す状態では、テストセル800D、800Eおよび800Fの前面基板820側に、λ/2板851および偏光板840がこの順で貼り付けられている。MRSを有する反射板860A上には、マッチングオイルmoが滴下されており、その上に背面基板810側を下にしてテストセル800Dが設置されている。
【0220】
図42および表9に、比較例3-1の光学軸設定および仕様を示す。図42および表9に示すように、偏光板840の光吸収軸840AAの角度は105°、λ/2板851の遅相軸851SAの角度は120°とした。
【0221】
【表9】
【0222】
図43および表10に、比較例3-2の光学軸設定および仕様を示す。図43および表10に示すように、偏光板840の光吸収軸840AAの角度は105°、λ/2板851の遅相軸851SAの角度は120°とし、ツイスト角は90°とした。
【0223】
【表10】
【0224】
図44および表11に、比較例3-3の光学軸設定および仕様を示す。図44および表11に示すように、偏光板840の光吸収軸840AAの角度は105°、λ/2板851の遅相軸851SAの角度は120°とし、ツイスト角は0°とした。
【0225】
【表11】
【0226】
実施例1についての反射率測定の結果(電圧-反射率特性)を、図45および表12に示す。図45および表12から、実施例1のコントラスト比は30であり、十分に高いコントラスト比が得られていることがわかる。
【0227】
【表12】
【0228】
実施例2についての反射率測定の結果を、図46および表13に示す。図46および表13から、実施例2のコントラスト比は29であり、十分に高いコントラスト比が得られていることがわかる。
【0229】
【表13】
【0230】
比較例1についての反射率測定の結果を、図47および表14に示す。図47および表14から、比較例1のコントラスト比は11であり、実施例1および2に比べてコントラスト比が低いことがわかる。
【0231】
【表14】
【0232】
比較例2についての反射率測定の結果を、図48および表15に示す。図48および表15から、比較例2のコントラスト比は48であり、十分に高いコントラスト比が得られていることがわかる。ただし、既に説明したように、比較例2のようなVAモードは、対向基板側に電極が設けられるので、インセル型タッチパネルに採用することは困難である。
【0233】
【表15】
【0234】
比較例3-3についての反射率測定の結果を、図49および表16に示す。図49および表16から、比較例3-3のコントラスト比は6であり、実施例1および2に比べてコントラスト比が低いことがわかる。
【0235】
【表16】
【0236】
比較例3-1および3-2についても、比較例3-3と同様に、実施例1および2に比べてコントラスト比が低かった。また、比較例3-1および3-2では、黒表示状態において、明るさが互いに異なる複数の液晶ドメインが視認された。これは、液晶分子のチルト方向またはツイスト方向が一意に定まらないことにより、リバースチルトドメインまたはリバースツイストドメインが発生したためと考えられる。
【0237】
上述した検証結果からもわかるように、本発明の実施形態によれば、横電界モードで表示を行う反射型のコントラスト比を向上させ得る。
【0238】
[上層電極の帯状部の構成]
既に説明したように、画素電極PEおよび共通電極CEのうちの少なくとも上層電極は、複数の帯状部SPと、互いに隣接する2つの帯状部SP間に位置する少なくとも1つのスリットSLとを有している。
【0239】
図50Aに、上層電極UEの例を示す。図50Aに示す上層電極UEは、複数の帯状部SPと、複数のスリットSLとを含んでいる。各帯状部SPは、ある方向(第1方向)に延びる第1部分SPaと、第1方向と異なる方向(第2方向)に延びる第2部分SPbとを含んでいる。上層電極UEがこのような構成を有していると、電圧印加時に各画素に互いに配向方位が異なる2つの液晶ドメインが形成される(以下では「デュアルドメイン配向」と称する)ので、視角方向の変化に伴う色変化(表示の色付き)や階調変化を抑制できる可能性がある。
【0240】
図50Bに、上層電極UEの他の例を示す。図50Bに示す上層電極UEは、複数の帯状部SPと、複数のスリットSLとを含んでいる。複数の帯状部SPは、ある方向(第1方向)に延びる少なくとも1つ(ここでは4つ)の第1帯状部SP1と、第1方向と異なる方向(第2方向)に延びる少なくとも1つ(ここでは4つ)の第2帯状部SP2とを含んでいる。上層電極UEがこのような構成を有していることによっても、デュアルドメイン配向を実現することができる。
【0241】
なお、帯状部SPの延びる方向は、第1水平配向膜19によって規定される配向方位に応じて決定されればよい。図51Aおよび図51Bに、液晶材料がポジ型の場合における、第1水平配向膜19によって規定される配向方位と帯状部SPの延びる方向との関係の例を示す。
【0242】
図51Aに示す例では、第1水平配向膜19によって規定される配向方位は90°方向であり、上層電極UEの帯状部SPは、全体として90°方向に延びている。ただし、帯状部SPの第1部分SPaおよび第2部分SPbは、それぞれ90°方向に対してわずかに(例えば+10°、-10°)傾斜している。
【0243】
図51Bに示す例では、第1水平配向膜19によって規定される配向方位は0°方向であり、上層電極UEの帯状部SPは、ほぼ0°方向に延びている。ただし、第1帯状部SP1および第2帯状部SP2は、それぞれ0°方向に対してわずかに(例えば+10°、-10°)傾斜している。
【0244】
図52Aおよび図52Bに、液晶材料がネガ型の場合における、第1水平配向膜19によって規定される配向方位と帯状部SPの延びる方向との関係の例を示す。
【0245】
図52Aに示す例では、第1水平配向膜19によって規定される配向方位は0°方向であり、上層電極UEの帯状部SPは、全体として90°方向に延びている。ただし、帯状部SPの第1部分SPaおよび第2部分SPbは、それぞれ90°方向に対してわずかに(例えば+10°、-10°)傾斜している。
【0246】
図52Bに示す例では、第1水平配向膜19によって規定される配向方位は90°方向であり、上層電極UEの帯状部SPは、ほぼ0°方向に延びている。ただし、第1帯状部SP1および第2帯状部SP2は、それぞれ0°方向に対してわずかに(例えば+10°、-10°)傾斜している。
【0247】
このように、帯状部SPの延びる方向は、第1水平配向膜19によって規定される配向方位に応じて決定され得る。
【0248】
[インセル型タッチパネル]
図53を参照しながら、本発明の実施形態による液晶表示装置100をインセル型タッチパネルに用いた例を説明する。図53は、液晶表示装置100におけるタッチセンサ電極およびタッチ配線の配置関係を例示する平面図である。
【0249】
図53に示すように、液晶表示装置100は、表示領域DRと、非表示領域FRとを有する。表示領域DRは、マトリクス状に配列された複数の画素P(図2参照)によって規定される。非表示領域FRは、表示領域DRの周辺に位置しており、「周辺領域」または「額縁領域」と呼ばれることもある。
【0250】
表示領域DR内で、共通電極CEは、複数のセグメントTXに分割されている。各セグメント(共通電極部分)TXは、タッチセンサ電極として機能する。図53に示す例では、各タッチセンサ電極TXは、2以上の画素Pに対応して設けられている。
【0251】
液晶表示装置100(より具体的にはTFT基板10)は、複数のタッチ配線TLを有している。各タッチセンサ電極TXは、対応するタッチ配線TLに電気的に接続されている。タッチセンサ電極TXとタッチ配線TLとの接続部TCを「タッチ配線コンタクト部」と呼ぶ。
【0252】
タッチ配線TLは、非表示領域FRに設けられたタッチ駆動部TDに接続されている。タッチ駆動部TDは、例えば、複数のタッチセンサ電極TXを共通電極CEとして機能させる表示モードと、タッチセンサ電極TXとして機能させるタッチ検出モードとを時分割で切り替えるように構成されている。タッチ駆動部TDは、例えば、表示モードにおいて、タッチ配線TLを介してタッチセンサ電極TX(共通電極CE)に共通信号を印加する。一方、タッチ検出モードにおいては、タッチ駆動部TDは、タッチ配線TLを介して、タッチセンサ電極TXにタッチ駆動信号を印加する。
【0253】
図示している例では、複数のタッチ配線TLは、列方向(ソースバスラインSLと同じ方向)に延びている。一部のタッチ配線TLは、対応するタッチセンサ電極TXまで、他の1つまたは複数のタッチセンサ電極TXを横切って延びている。
【0254】
あるタッチセンサ電極TXに着目すると、そのタッチセンサ電極TXに信号を供給する第1タッチ配線TL1がタッチ配線コンタクト部TCまで延びており、そのタッチセンサ電極TXを横切るように、他のタッチセンサ電極TXに信号を供給するための第2タッチ配線TL2が延びている。第2タッチ配線TL2とタッチセンサ電極TX1とは、絶縁層を介して重なっている。なお、タッチセンサ電極TXの位置によっては、そのタッチセンサ電極TXを横切って延びるように2以上のタッチ配線TLが配置されている場合もあるし、そのタッチセンサ電極TXを横切るようなタッチ配線TLが配置されていない場合もある。
【0255】
なお、図示しないが、非表示領域FRには、タッチ駆動部TDの他に、ゲートバスラインGLにゲート信号を供給するゲートドライバ、ソースバスラインSLにソース信号を供給するソースドライバなどの駆動回路を含む周辺回路が設けられる。これらの駆動回路は、例えばTFT基板10に実装されてもよいし、一体的(モノリシック)に形成されていてもよい。非表示領域FRに、一部または全部の駆動回路を含む半導体チップが搭載されていてもよい。
【0256】
本発明の実施形態による液晶表示装置100を用いることにより、反射モードの表示が可能なインセル型タッチパネルが好適に実現され得る。
【0257】
[酸化物半導体TFT]
各画素Pに設けられるTFT11として、例えば、酸化物半導体TFTを好適に用いることができる。酸化物半導体TFTでは、活性層の材料として、酸化物半導体が用いられる。つまり、酸化物半導体TFTは、活性層として酸化物半導体層を含む。酸化物半導体は、近年、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代わる活性層材料として注目されている材料である。
【0258】
酸化物半導体は、アモルファスシリコンよりも高い移動度を有している。このため、酸化物半導体TFTは、アモルファスシリコンTFTよりも高速で動作することが可能である。また、酸化物半導体層は、多結晶シリコン層よりも簡便なプロセスで形成されるため、大面積が必要とされる装置にも適用できる。
【0259】
さらに、酸化物半導体TFTは、オフリーク特性に優れているので、画像の書き換え頻度を低下させて表示を行う駆動方式を利用することもできる。例えば、静止画表示時などには、1秒に1回の頻度で画像データを書き換えるように動作させることができる。このような駆動方式は、休止駆動または低周波駆動などと呼ばれ、液晶表示装置の消費電力を大幅に削減することが可能である。
【0260】
休止駆動を採用し、画像の書き換えが行われない期間にタッチ検出を行うことにより、駆動回路からのノイズによるタッチ操作の感度の低下を抑制でき、S/N比(信号対雑音比)を例えば従来の約10倍にすることができる。
【0261】
また、酸化物半導体TFTは、TFTサイズの小型化にも有利であるので、画素Pごとにメモリ回路が設けられる構成(「MIP(Memory In Pixels)」と呼ばれる)も好適に実現することができる。MIPの具体的な構成は公知であるので、ここではその説明を省略する。
【0262】
酸化物半導体TFTの活性層(酸化物半導体層)に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0263】
酸化物半導体層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する酸化物半導体層は、アモルファス酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよいし、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、積層構造を有する酸化物半導体層は、複数のアモルファス酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層が上層と下層とを含む2層構造を有する場合、下層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップと、上層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップとが異なっていてもよい。
【0264】
アモルファス酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014-007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014-007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0265】
酸化物半導体層は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。本実施形態では、酸化物半導体層は、例えば、In-Ga-Zn-O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In-Ga-Zn-O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層11は、In-Ga-Zn-O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0266】
In-Ga-Zn-O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体が好ましい。
【0267】
なお、結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014-007399号公報、特開2012-134475号公報、特開2014-209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012-134475号公報および特開2014-209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In-Ga-Zn-O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a-SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a-SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFT(例えば、複数の画素を含む表示領域の周辺に、表示領域と同じ基板上に設けられる駆動回路に含まれるTFT)および画素TFT(画素に設けられるTFT)として好適に用いられる。
【0268】
酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn-Sn-Zn-O系半導体(例えばIn-SnO-ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In-Sn-Zn-O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層11は、In-Al-Zn-O系半導体、In-Al-Sn-Zn-O系半導体、Zn-O系半導体、In-Zn-O系半導体、Zn-Ti-O系半導体、Cd-Ge-O系半導体、Cd-Pb-O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg-Zn-O系半導体、In-Ga-Sn-O系半導体、In-Ga-O系半導体、Zr-In-Zn-O系半導体、Hf-In-Zn-O系半導体、Al-Ga-Zn-O系半導体、Ga-Zn-O系半導体、In-Ga-Zn-Sn-O系半導体などを含んでいてもよい。
【0269】
[半透過型]
これまでの説明では、反射型の液晶表示装置100を例示したが、本発明の実施形態による液晶表示装置は、半透過型であってもよい。図54を参照しながら、半透過型の液晶表示装置200の構成を説明する。
【0270】
液晶表示装置200は、さらなる偏光板40’、さらなる位相差層50’および照明装置(バックライト)70を備えている点において、図1などに示した液晶表示装置100と異なっている。
【0271】
偏光板40’は、液晶層30よりも背面側に配置されている。偏光板40’は、より具体的には、TFT基板10よりも背面側に配置されている。
【0272】
位相差層50’は、偏光板40’と液晶層30との間に配置されている。位相差層50’は、より具体的には、偏光板40’とTFT基板10との間に配置されている。位相差層50は、例えばλ/2板とλ/4板とを含み得る。
【0273】
照明装置70は、偏光板40’の背面側(TFT基板10の背面側)に配置されている。図示している例では、照明装置70は、光を発する光源(例えばLED)71、光源71からの光を偏光板40’側に導く導光板72および導光板72の背面側に配置された反射板73を有する。照明装置70は、導光板72の前面側(または背面側)に配置されたプリズムシートおよび拡散シートをさらに有してもよい。
【0274】
液晶表示装置200の各画素Pは、図55に示すように、反射モードで表示を行う反射領域Rfと、透過モードで表示を行う透過領域Trとを含んでいる。反射領域Rfには、反射層13(図3参照)が配置されている。これに対し、透過領域Trには、反射層13は配置されていない。画素P内に占める透過領域Trの面積の割合は、用途等に応じて適宜設定され得るが、例えば20%以上90%以下である。また、画素P内における透過領域Trの位置や形状も用途等に応じて適宜設定され得る。
【0275】
半透過型の液晶表示装置200においても、反射型の液晶表示装置100と同様に、液晶層30が電圧無印加時にツイスト配向をとる横電界モードで表示が行われることにより、反射表示のコントラスト比を十分に向上させることができる。
【0276】
[フロントライト]
図56に示すように、反射型の液晶表示装置100が、偏光板40よりも観察者側に配置された照明装置(フロントライト)80をさらに備えてもよい。図示している例では、照明装置80は、光を発する光源(例えばLED)81および光源81からの光を偏光板40側に導く導光板82を有する。
【0277】
反射型の液晶表示装置100がこのような照明装置80を備えることにより、周囲光が十分に得られない環境下においても、明るい反射表示を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0278】
本発明の実施形態によると、横電界モードで表示を行う反射型または半透過型液晶表示装置のコントラスト比を向上させることができる。本発明の実施形態による液晶表示装置は、インセル型のタッチパネルに好適に用いられ得る。
【符号の説明】
【0279】
10 アクティブマトリクス基板(TFT基板)
10a、20a 基板
11 薄膜トランジスタ(TFT)
12 第1層間絶縁層
13 反射層
14 第2層間絶縁層
15 誘電体層
16 コンタクト電極
19 第1水平配向膜
20 対向基板(カラーフィルタ基板)
21 カラーフィルタ層
29 第2水平配向膜
30 液晶層
31 液晶分子
40 偏光板
40AA 偏光板の光吸収軸
40’ さらなる偏光板
50 位相差層
50’ さらなる位相差層
51 λ/2板
51SA λ/2板の遅相軸
52 λ/4板
52SA λ/4板の遅相軸
70 照明装置(バックライト)
71、81 光源
72、82 導光板
73 反射板
80 照明装置(フロントライト)
100 液晶表示装置
P 画素
PE 画素電極
CE 共通電極
UE 上層電極
GL ゲート配線
SL ソース配線
BP バックプレーン回路
CH1 第1コンタクトホール
CH2 第2コンタクトホール
SP 上層電極の帯状部
SPa 帯状部の第1部分
SPb 帯状部の第2部分
SP1 第1帯状部
SP2 第2帯状部
SL 上層電極のスリット
DR 表示領域
FR 非表示領域
TL タッチ配線
TX タッチセンサ電極
TC タッチ配線コンタクト部
TD タッチ駆動部
Rf 反射領域
Tr 透過領域
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16A
図16B
図16C
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26A
図26B
図27A
図27B
図27C
図28
図29
図30A
図30B
図31A
図31B
図31C
図32
図33
図34A
図34B
図35
図36
図37A
図37B
図38A
図38B
図38C
図39A
図39B
図39C
図40A
図40B
図40C
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50A
図50B
図51A
図51B
図52A
図52B
図53
図54
図55
図56