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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074484
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20240524BHJP
   G02F 1/13363 20060101ALI20240524BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20240524BHJP
   G02F 1/1337 20060101ALI20240524BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/13363
G02F1/1335 510
G02F1/1337
G02F1/1333
【審査請求】未請求
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185663
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100139930
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮司
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【弁理士】
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100202142
【弁理士】
【氏名又は名称】北 倫子
(72)【発明者】
【氏名】下敷領 文一
(72)【発明者】
【氏名】寺下 慎一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 光一
【テーマコード(参考)】
2H189
2H192
2H290
2H291
【Fターム(参考)】
2H189HA16
2H189JA14
2H189KA07
2H189KA17
2H189LA05
2H189LA10
2H189LA16
2H189LA17
2H189LA28
2H189NA01
2H192BC32
2H192BC34
2H192BC35
2H192BC42
2H192CB05
2H192CC01
2H192CC41
2H192GB32
2H192JA32
2H290AA72
2H290BA52
2H290BB12
2H290CB01
2H290CB02
2H291GA08
2H291HA15
2H291KA04
2H291LA22
2H291NA41
2H291PA42
2H291PA44
(57)【要約】
【課題】反射モードの表示が可能で、且つ、インセル型タッチパネルとして用いられ得る液晶表示装置に好適な画素構造を実現する。
【解決手段】液晶表示装置は、第1基板と、第1基板よりも観察者側に配置された第2基板と、第1基板と第2基板との間に設けられた液晶層とを備え、マトリクス状に配列された複数の画素を有する。各画素は、反射モードで表示を行う反射領域を含む。第1基板は、各画素に対応して設けられた薄膜トランジスタと、薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極と、少なくとも反射領域内に位置する反射層とを有する。第1基板は、画素電極に誘電体層を介して隣接する共通電極をさらに有する。画素電極および共通電極の少なくとも一方は、少なくとも1つのスリットを含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と、
前記第1基板よりも観察者側に配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層よりも観察者側に配置された偏光板と、
前記偏光板と前記液晶層との間に配置された位相差層と、
を備え、
複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記複数の画素のそれぞれは、反射モードで表示を行う反射領域を含み、
前記第1基板は、前記複数の画素のそれぞれに対応して設けられた薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極と、少なくとも前記反射領域内に位置する反射層と、を有し、
前記第1基板は、前記画素電極に誘電体層を介して隣接する共通電極をさらに有し、
前記画素電極および前記共通電極の少なくとも一方は、少なくとも1つのスリットを含む、液晶表示装置。
【請求項2】
前記反射層は、導電材料から形成されており、前記共通電極に電気的に接続されている、請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記反射層は、金属層および透明導電層を含む積層構造を有し、
前記金属層は、少なくとも1つの開口部を有し、
前記透明導電層は、前記少なくとも1つの開口部に重なる部分を含むように形成されている、請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1基板は、前記液晶層に接する第1水平配向膜を有し、
前記第2基板は、前記液晶層に接する第2水平配向膜を有し、
前記液晶層は、電圧無印加時にツイスト配向をとる、請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角は、45°以上90°以下である、請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記反射層は、前記液晶層と前記薄膜トランジスタとの間に位置し、表示面法線方向から見たときに前記薄膜トランジスタに少なくとも部分的に重なる、請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記第1基板は、前記反射層と前記薄膜トランジスタとの間に設けられた第1層間絶縁層をさらに有する、請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1基板は、前記画素電極および前記共通電極のうちの相対的に下方に位置する方の電極と前記反射層との間に設けられた第2層間絶縁層をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記第1基板は、
前記反射層と前記薄膜トランジスタとの間に設けられた第1層間絶縁層と、
前記画素電極および前記共通電極のうちの相対的に下方に位置する方の電極と前記反射層との間に設けられた第2層間絶縁層と、
をさらに備えており、
前記第1層間絶縁層に第1コンタクトホールが形成されており、
前記第2層間絶縁層に第2コンタクトホールが形成されており、
前記画素電極は、前記第1コンタクトホールおよび前記第2コンタクトホールの両方を介して前記薄膜トランジスタに接続されている、請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項10】
表示面法線方向から見たとき、前記第1コンタクトホールの中心と、前記第2コンタクトホールの中心とが重ならない、請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
表示面法線方向から見たとき、前記第1コンタクトホールと、前記第2コンタクトホールとが重ならない、請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
少なくとも前記第2層間絶縁層に少なくとも1つの第3コンタクトホールが形成されており、
前記反射層は、前記少なくとも1つの第3コンタクトホールを介して前記共通電極に接続されている、請求項9に記載の液晶表示装置。
【請求項13】
前記反射層は、金属層および透明導電層を含む積層構造を有し、
前記金属層は、少なくとも1つの開口部を有し、
前記透明導電層は、前記少なくとも1つの開口部に重なる部分を含むように形成されており、
表示面法線方向から見たとき、前記少なくとも1つの第3コンタクトホールのうちのある第3コンタクトホールは、前記金属層の前記少なくとも1つの開口部うちのある開口部に重なっている、請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項14】
表示面法線方向から見たとき、前記第1コンタクトホールの中心と、前記第3コンタクトホールの中心とが重ならない、請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項15】
表示面法線方向から見たとき、前記第1コンタクトホールと、前記第3コンタクトホールとが重ならない、請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第3コンタクトホールは、複数の第3コンタクトホールを含む、請求項12に記載の液晶表示装置。
【請求項17】
前記複数の第3コンタクトホールの個数は、前記複数の画素の個数よりも少ない、請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項18】
前記複数の第3コンタクトホールの個数は、前記複数の画素の個数の1/3以下である、請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項19】
前記複数の第3コンタクトホールのうちの互いに隣接する2つの第3コンタクトホールは、行方向および/または列方向に沿って1画素に相当する距離以上離れている、請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項20】
前記複数の第3コンタクトホールのうちの少なくとも1つの第3コンタクトホールは、表示面法線方向から見たとき、隣接する2つの前記画素電極の間に位置している、請求項16に記載の液晶表示装置。
【請求項21】
前記反射層は、凹凸表面構造を有し、
前記第2層間絶縁層の厚さは、前記凹凸表面構造の高低差よりも大きい、請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項22】
前記第2層間絶縁層の厚さは、前記凹凸表面構造の高低差の2倍以上である、請求項21に記載の液晶表示装置。
【請求項23】
前記第2層間絶縁層のうち、前記反射層の前記凹凸表面構造に重なる部分の上面は、凹凸形状を有しており、
前記第2層間絶縁層の前記凹凸形状の高低差は、前記反射層の前記凹凸表面構造の高低差の1/2以下である、請求項21に記載の液晶表示装置。
【請求項24】
前記複数の画素のそれぞれは、透過モードで表示を行う透過領域を含み、
前記反射層は、前記透過領域に形成された開口部を有する、請求項1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項25】
前記第1基板よりも背面側に配置された光源およびさらなる偏光板と、
前記さらなる偏光板と前記液晶層との間に配置されたさらなる位相差層と、
を備える、請求項24に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、一般に、透過型液晶表示装置と、反射型液晶表示装置とに大別される。透過型液晶表示装置は、バックライトから出射された光を用いた透過モードの表示を行う。反射型液晶表示装置は、周囲光を用いた反射モードの表示を行う。また、各画素が反射モードで表示を行う反射領域と透過モードで表示を行う透過領域とを含む液晶表示装置が提案されている。このような液晶表示装置は、半透過型(Transflective)または透過反射両用型液晶表示装置と呼ばれる。
【0003】
反射型および半透過型液晶表示装置は、例えば、屋外で利用されるモバイル用途の中小型の表示装置として好適に用いられている。反射型液晶表示装置は、例えば特許文献1に開示されている。半透過型液晶表示装置は、例えば特許文献2に開示されている。
【0004】
また、スマートフォン、タブレットなどに使用される液晶表示装置には、タッチセンサ機能が付与されている。タッチセンサの方式としては、抵抗膜式、静電容量式、光学式など、種々の方式が知られている。
【0005】
タッチセンサを備えた液晶表示装置(以下、「タッチパネル」と呼ぶ)は、液晶表示装置にタッチセンサを外付けする方式(「外付け型」)と、液晶表示装置がタッチセンサを内蔵する方式(「内蔵型」)とに大別される。内蔵型タッチパネルは、外付け型タッチパネルよりも薄型化、軽量化などに有利であり、光の透過率を高められるという利点を有している。
【0006】
内蔵型タッチパネルには、「オンセル型」と「インセル型」とがある。ここで、「セル」は、表示パネルを指している。表示パネルは、アクティブマトリクス基板(TFT基板)と、TFT基板に対向するように配置された対向基板と、TFT基板と対向基板との間に設けられた液晶層とを備える。「インセル型」では、表示パネル内にタッチセンサ機能を担う層が配置される。「オンセル型」では、タッチセンサ機能を担う層が、表示パネルと、表示パネルの観察者側に設けられた偏光板との間に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-122094号公報
【特許文献2】特開2003-131268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インセル型は、原理的に最も薄く軽いタッチパネルを実現できる。また、既に説明したように、反射モードの表示が可能な液晶表示装置は、屋外での利用に適している。そのため、反射モードの表示が可能なインセル型タッチパネルが望まれてはいるものの、未だ実現されていない。
【0009】
本発明の実施形態は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、反射モードの表示が可能で、且つ、インセル型タッチパネルとして用いられ得る液晶表示装置に好適な画素構造を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書は、以下の項目に記載の液晶表示装置を開示している。
【0011】
[項目1]
第1基板と、
前記第1基板よりも観察者側に配置された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に設けられた液晶層と、
前記液晶層よりも観察者側に配置された偏光板と、
前記偏光板と前記液晶層との間に配置された位相差層と、
を備え、
複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列された複数の画素を有する液晶表示装置であって、
前記複数の画素のそれぞれは、反射モードで表示を行う反射領域を含み、
前記第1基板は、前記複数の画素のそれぞれに対応して設けられた薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタに電気的に接続された画素電極と、少なくとも前記反射領域内に位置する反射層と、を有し、
前記第1基板は、前記画素電極に誘電体層を介して隣接する共通電極をさらに有し、
前記画素電極および前記共通電極の少なくとも一方は、少なくとも1つのスリットを含む、液晶表示装置。
【0012】
[項目2]
前記反射層は、導電材料から形成されており、前記共通電極に電気的に接続されている、項目1に記載の液晶表示装置。
【0013】
[項目3]
前記反射層は、金属層および透明導電層を含む積層構造を有し、
前記金属層は、少なくとも1つの開口部を有し、
前記透明導電層は、前記少なくとも1つの開口部に重なる部分を含むように形成されている、請求項2に記載の液晶表示装置。
【0014】
[項目4]
前記第1基板は、前記液晶層に接する第1水平配向膜を有し、
前記第2基板は、前記液晶層に接する第2水平配向膜を有し、
前記液晶層は、電圧無印加時にツイスト配向をとる、項目1から3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0015】
[項目5]
電圧無印加時における前記液晶層のツイスト角は、45°以上90°以下である、項目4に記載の液晶表示装置。
【0016】
[項目6]
前記反射層は、前記液晶層と前記薄膜トランジスタとの間に位置し、表示面法線方向から見たときに前記薄膜トランジスタに少なくとも部分的に重なる、項目1から5のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0017】
[項目7]
前記第1基板は、前記反射層と前記薄膜トランジスタとの間に設けられた第1層間絶縁層をさらに有する、項目1から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0018】
[項目8]
前記第1基板は、前記画素電極および前記共通電極のうちの相対的に下方に位置する方の電極と前記反射層との間に設けられた第2層間絶縁層をさらに備える、項目1から7のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0019】
[項目9]
前記第1基板は、
前記反射層と前記薄膜トランジスタとの間に設けられた第1層間絶縁層と、
前記画素電極および前記共通電極のうちの相対的に下方に位置する方の電極と前記反射層との間に設けられた第2層間絶縁層と、
をさらに備えており、
前記第1層間絶縁層に第1コンタクトホールが形成されており、
前記第2層間絶縁層に第2コンタクトホールが形成されており、
前記画素電極は、前記第1コンタクトホールおよび前記第2コンタクトホールの両方を介して前記薄膜トランジスタに接続されている、項目1から6のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0020】
[項目10]
表示面法線方向から見たとき、前記第1コンタクトホールの中心と、前記第2コンタクトホールの中心とが重ならない、項目9に記載の液晶表示装置。
【0021】
[項目11]
表示面法線方向から見たとき、前記第1コンタクトホールと、前記第2コンタクトホールとが重ならない、項目9に記載の液晶表示装置。
【0022】
[項目12]
少なくとも前記第2層間絶縁層に少なくとも1つの第3コンタクトホールが形成されており、
前記反射層は、前記少なくとも1つの第3コンタクトホールを介して前記共通電極に接続されている、項目9から11のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0023】
[項目13]
前記反射層は、金属層および透明導電層を含む積層構造を有し、
前記金属層は、少なくとも1つの開口部を有し、
前記透明導電層は、前記少なくとも1つの開口部に重なる部分を含むように形成されており、
表示面法線方向から見たとき、前記少なくとも1つの第3コンタクトホールのうちのある第3コンタクトホールは、前記金属層の前記少なくとも1つの開口部うちのある開口部に重なっている、項目12に記載の液晶表示装置。
【0024】
[項目14]
表示面法線方向から見たとき、前記第1コンタクトホールの中心と、前記第3コンタクトホールの中心とが重ならない、項目12または13に記載の液晶表示装置。
【0025】
[項目15]
表示面法線方向から見たとき、前記第1コンタクトホールと、前記第3コンタクトホールとが重ならない、項目12または13に記載の液晶表示装置。
【0026】
[項目16]
前記少なくとも1つの第3コンタクトホールは、複数の第3コンタクトホールを含む、項目12から15のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0027】
[項目17]
前記複数の第3コンタクトホールの個数は、前記複数の画素の個数よりも少ない、項目16に記載の液晶表示装置。
【0028】
[項目18]
前記複数の第3コンタクトホールの個数は、前記複数の画素の個数の1/3以下である、項目16に記載の液晶表示装置。
【0029】
[項目19]
前記複数の第3コンタクトホールのうちの互いに隣接する2つの第3コンタクトホールは、行方向および/または列方向に沿って1画素に相当する距離以上離れている、項目16から18のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0030】
[項目20]
前記複数の第3コンタクトホールのうちの少なくとも1つの第3コンタクトホールは、表示面法線方向から見たとき、隣接する2つの前記画素電極の間に位置している、項目16から19のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0031】
[項目21]
前記反射層は、凹凸表面構造を有し、
前記第2層間絶縁層の厚さは、前記凹凸表面構造の高低差よりも大きい、項目8から20のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0032】
[項目22]
前記第2層間絶縁層の厚さは、前記凹凸表面構造の高低差の2倍以上である、項目21に記載の液晶表示装置。
【0033】
[項目23]
前記第2層間絶縁層のうち、前記反射層の前記凹凸表面構造に重なる部分の上面は、凹凸形状を有しており、
前記第2層間絶縁層の前記凹凸形状の高低差は、前記反射層の前記凹凸表面構造の高低差の1/2以下である、項目21または22に記載の液晶表示装置。
【0034】
[項目24]
前記複数の画素のそれぞれは、透過モードで表示を行う透過領域を含み、
前記反射層は、前記透過領域に形成された開口部を有する、項目1から23のいずれかに記載の液晶表示装置。
【0035】
[項目25]
前記第1基板よりも背面側に配置された光源およびさらなる偏光板と、
前記さらなる偏光板と前記液晶層との間に配置されたさらなる位相差層と、
を備える、項目24に記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0036】
本発明の実施形態によると、反射モードの表示が可能で、且つ、インセル型タッチパネルとして用いられ得る液晶表示装置に好適な画素構造を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施形態による液晶表示装置100を模式的に示す断面図である。
図2】液晶表示装置100が有する複数の画素Pの等価回路図である。
図3】液晶表示装置100を模式的に示す断面図である。
図4A】液晶表示装置100が備えるTFT基板10のバックプレーン回路BPを模式的に示す平面図である。
図4B】TFT基板10の第1層間絶縁層12を模式的に示す平面図である。
図4C】TFT基板10の反射層13を模式的に示す平面図である。
図4D】TFT基板10の第2層間絶縁層14を模式的に示す平面図である。
図4E】TFT基板10の画素電極PEを模式的に示す平面図である。
図4F】TFT基板10の誘電体層15を模式的に示す平面図である。
図4G】TFT基板10の共通電極CEを模式的に示す平面図である。
図5】本発明の実施形態による他の液晶表示装置200を模式的に示す断面図である。
図6A】液晶表示装置200が備えるTFT基板10の共通電極CEを模式的に示す平面図である。
図6B】液晶表示装置200のTFT基板10の誘電体層15を模式的に示す平面図である。
図6C】液晶表示装置200のTFT基板10の画素電極PEを模式的に示す平面図である。
図7A】上層電極UEの例を示す平面図である。
図7B】上層電極UEの他の例を示す平面図である。
図7C】上層電極UEのさらに他の例を示す平面図である。
図8】金属層13aおよび透明導電層13bを含む積層構造を有する反射層13の好ましい構成の例を示す断面図である。
図9】金属層13aおよび透明導電層13bを含む積層構造を有する反射層13の好ましい構成の例を示す断面図である。
図10】液晶表示装置100(または200)におけるタッチセンサ電極およびタッチ配線の配置関係を例示する平面図である。
図11】本発明の実施形態によるさらに他の液晶表示装置300を模式的に示す断面図である。
図12】液晶表示装置300の各画素Pが含む反射領域Rfおよび透過領域Trを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお、本発明の実施形態は、以下に例示するものに限定されない。
【0039】
[実施形態1]
図1および図2を参照しながら、本実施形態における液晶表示装置100を説明する。液晶表示装置100は、ノーマリブラックモードで表示を行う、反射型の液晶表示装置である。図1は、液晶表示装置100を模式的に示す断面図である。図2は、液晶表示装置100が有する複数の画素Pの等価回路図である。
【0040】
液晶表示装置100は、図1に示すように、アクティブマトリクス基板(以下では「TFT基板」と呼ぶ)10と、TFT基板10よりも観察者側に配置された対向基板(「カラーフィルタ基板」と呼ばれることもある)20と、TFT基板10と対向基板20の間に設けられた液晶層30とを備える。液晶表示装置100は、さらに、液晶層30よりも観察者側に配置された偏光板40と、偏光板40と液晶層30との間に配置された位相差層50とを備える。ここでは、偏光板40は、対向基板20よりも観察者側に配置されており、位相差層50は、偏光板40と対向基板20との間に配置されている。偏光板40は、具体的には、吸収型の直線偏光板である。図示している例では、位相差層50は、λ/2板51と、λ/4板52とを含んでいる。
【0041】
また、液晶表示装置100は、図2に示すように、複数の画素Pを有する。複数の画素Pは、複数の行および複数の列を含むマトリクス状に配列されている。複数の画素Pは、典型的には、赤を表示する赤画素、緑を表示する緑画素および青を表示する青画素を含む。
【0042】
各画素Pは、薄膜トランジスタ(TFT)11と、液晶層30に横電界(フリンジ電界)を生成し得る画素電極PEおよび共通電極CEとを含んでいる。TFT11のゲート電極は、対応するゲート配線(走査配線)GLに電気的に接続されている。TFT11のソース電極は、対応するソース配線(信号配線)SLに電気的に接続されている。TFT11のドレイン電極は、画素電極PEに電気的に接続されている。
【0043】
また、既に説明したように、反射型の液晶表示装置100は反射型である。そのため、各画素Pは、反射モードで表示を行う反射領域Rfを含んでいる。
【0044】
続いて、図3および図4A図4Gを参照しながら、TFT基板10および対向基板20のより具体的な構成を説明する。図3は、液晶表示装置100を模式的に示す断面図である。図4A図4Gは、TFT基板10の各層を模式的に示す平面図である。
【0045】
TFT基板10は、基板10a、TFT11、第1層間絶縁層12および反射層13を有する。また、TFT基板10は、第2層間絶縁層14、画素電極PE、誘電体層15、共通電極CEおよび第1水平配向膜19をさらに有する。図4A図4Gは、それぞれ、TFT11を含むバックプレーン回路BP、第1層間絶縁層12、反射層13、第2層間絶縁層14、画素電極PE、誘電体層15、共通電極CEを示しており、8行11列分の画素Pに対応した領域を示している。
【0046】
基板10aは、TFT11等を支持する。基板10aは、透明で絶縁性を有する。基板10aは、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。
【0047】
TFT11は、基板10a上に設けられている。TFT11は、複数の画素Pのそれぞれに対応して設けられている。TFT11は、ゲート電極GE、ゲート絶縁層GI、半導体層SC、ソース電極SEおよびドレイン電極DEを有する。ゲート電極GEは、対応するゲート配線GLに電気的に接続されており、ソース電極SEは、対応するソース配線SLに電気的に接続されている。ドレイン電極DEは、画素電極PEに電気的に接続されている。TFT11、ゲート配線GLおよびソース配線SLなどを含む、複数の画素Pを駆動するための回路は、バックプレーン回路BPと呼ばれることもある。なお、図3には、ボトムゲート構造のTFT11を例示しているが、TFT11はトップゲート構造であってもよいし、ダブルゲート構造であってもよい。
【0048】
第1層間絶縁層12は、バックプレーン回路BPを覆うように設けられている。第1層間絶縁層12は、有機絶縁材料から形成された層であり、例えば、感光性樹脂を用いて形成され得る。
【0049】
反射層13は、少なくとも反射領域Rf内に位置するように、第1層間絶縁層12上に設けられている。つまり、反射層13は、第1層間絶縁層12を介してバックプレーン回路BP上に配置されており、言い換えると、第1層間絶縁層12は、反射層13とTFT11との間に設けられている。さらに言い換えると、反射層13は、TFT11に少なくとも第1層間絶縁層12を介して隣接している。
【0050】
反射層13は、光を反射する導電材料から形成されている。反射層13は、より具体的には、反射率の高い金属材料から形成されている。反射層13の材料としては、例えば、銀合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いることができる。
【0051】
反射層13の表面は、凹凸形状を有する。つまり、反射層13は凹凸表面構造を有する。反射層13の凹凸表面構造は、MRS(Micro Reflective Structure)と呼ばれることもあり、周囲光を拡散反射してペーパーホワイトに近い表示を実現するために設けられている。凹凸表面構造は、例えば、隣り合う凸部pの中心間隔が5μm以上50μm以下、好ましくは10μm以上20μm以下となるようにランダムに配置された複数の凸部pで構成され得る。基板10aの法線方向からみたとき、凸部pの形状は略円形または略多角形である。画素Pに占める凸部pの面積は、例えば約20%から40%である。凸部pの高さは、例えば1μm以上5μm以下である。
【0052】
反射層13に凹凸表面構造を形成する方法は、特に限定されない。例えば、図示しているように、凹凸表面構造を有する第1層間絶縁層12を形成し、その上に反射層13を形成することにより、反射層13の表面に、第1層間絶縁層12の凹凸表面構造が反映された凹凸形状を付与することができる。凹凸表面構造を有する第1層間絶縁層12は、例えば、特許第3394926号公報に開示されている方法により形成され得る。
【0053】
また、反射層13は、液晶層30とTFT11との間に位置している。さらに、反射層13は、表示面法線方向から見たときにTFT11に少なくとも部分的に重なっている。
【0054】
第2層間絶縁層14は、反射層13を覆うように、第1層間絶縁層12上に設けられている。従って、第1層間絶縁層12と第2層間絶縁層14との間に、反射層13が設けられていると言える。第2層間絶縁層14は、有機絶縁材料から形成された平坦化層であり、例えば、感光性樹脂を用いて形成され得る。
【0055】
画素電極PEは、複数の画素Pのそれぞれに設けられている。また、画素電極PEは、第2層間絶縁層14上に設けられている。つまり、画素電極PEは、第2層間絶縁層14を介して反射層13上に配置されており、言い換えると、第2層間絶縁層14は、画素電極PEと反射層13との間に設けられている。さらに言い換えると、反射層13は、画素電極PEに少なくとも第2層間絶縁層14を介して隣接しており、画素電極PEに対して液晶層30とは反対側(つまり画素電極PEよりも背面側)に位置している。
【0056】
画素電極PEは、透明導電材料から形成されている。透明導電材料としては、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO(登録商標))、またはこれらの混合物を用いることができる。画素電極PEは、TFT11に電気的に接続されている。
【0057】
図示している例では、画素電極PEは、コンタクト電極16を介してTFT11のドレイン電極DEに電気的に接続されている。コンタクト電極16は、反射層13と同じ金属膜から(つまり反射層13と同層に)形成され得る。第1層間絶縁層12には、TFT11のドレイン電極DEの少なくとも一部を露出させる第1コンタクトホールCH1が形成されており、コンタクト電極16は、第1コンタクトホールCH1においてTFT11のドレイン電極DEに接続されている。また、第2層間絶縁層14には、コンタクト電極16の一部を露出させる第2コンタクトホールCH2が形成されており、画素電極PEは、第2コンタクトホールCH2においてコンタクト電極16に接続されている。なお、反射層13の、第1コンタクトホールCH1および第2コンタクトホールCH2に重なる領域には、開口部13oが形成されている。
【0058】
このように、画素電極PEは、第1コンタクトホールCH1および第2コンタクトホールCH2の両方を介してTFT11に接続されている。表示面法線方向から見たとき、第1コンタクトホールCH1の中心と、第2コンタクトホールCH2の中心とは重なっていない。また、ここでは、表示面法線方向から見たとき、第1コンタクトホールCH1と、第2コンタクトホールCH2とは重なっていない。
【0059】
誘電体層15は、画素電極PEを覆うように設けられている。
【0060】
共通電極CEは、誘電体層15上に設けられている。つまり、共通電極CEは、画素電極PEに誘電体層15を介して隣接している。共通電極CEは、透明導電材料から形成されている。共通電極CEを形成するための透明導電材料としては、画素電極PEと同様の材料を用いることができる。なお、図3および図4Gには示されていないが、共通電極CEは、画素Pごとに、複数の帯状部と、互いに隣接する2つの帯状部間に位置する少なくとも1つのスリットとを含んでいる。共通電極CEにスリットが形成されていることにより、画素電極PEと共通電極CEとの間の電位差に応じ、液晶層30にフリンジ電界(横電界)が発生する。
【0061】
反射層13は、共通電極CEに電気的に接続されている。少なくとも第2層間絶縁層14に少なくとも1つの第3コンタクトホールCH3が形成されており、反射層13は、第3コンタクトホールCH3を介して共通電極CEに接続されている。本実施形態では、図4Dおよび図4Fに示されているように、誘電体層15および第2層間絶縁層14の両方にわたって複数の第3コンタクトホールCH3が形成されている。表示面法線方向から見たとき、第3コンタクトホールCH3の中心は、第1コンタクトホールCH1の中心と重なっていない。また、ここでは、表示面法線方向から見たとき、第3コンタクトホールCH3は、第1コンタクトホールCH1と重なっていない。
【0062】
第1水平配向膜19は、共通電極CE上に設けられており、液晶層30に接している。従って、画素電極PEおよび共通電極CEは、第2層間絶縁層14と第1水平配向膜19との間に設けられていると言える。また、誘電体層15も、第2層間絶縁層14と第1水平配向膜19との間に設けられていると言え、ここでは、画素電極PEが第2層間絶縁層14と誘電体層15との間に設けられ、共通電極CEが誘電体層15と第1水平配向膜19との間に設けられている。
【0063】
対向基板20は、基板20a、カラーフィルタ層21および第2水平配向膜29を有する。また、ここでは図示しないが、対向基板20は、複数の柱状スペーサをさらに有する。
【0064】
基板20aは、カラーフィルタ層21等を支持する。基板20aは、透明で絶縁性を有する。基板20aは、例えばガラス基板またはプラスチック基板である。
【0065】
カラーフィルタ層21は、典型的には、赤画素に対応する領域に設けられた赤カラーフィルタ、緑画素に対応する領域に設けられた緑カラーフィルタ、および、青画素に対応する領域に設けられた青カラーフィルタを含む。赤カラーフィルタ、緑カラーフィルタおよび青カラーフィルタは、それぞれ赤色光、緑色光および青色光を透過する。
【0066】
なお、カラー表示を行わない場合は、カラーフィルタ層21は省略される。
【0067】
必要に応じ、カラーフィルタ層21を覆うオーバーコート層(平坦化層)が設けられてもよい。また、用いる透明導電材料(画素電極PE、共通電極CE用)、有機絶縁材料(第1層間絶縁層12、第2層間絶縁層14用)、無機絶縁材料(誘電体層15用)、配向膜材料(第1水平配向膜19、第2水平配向膜29用)によっては、白表示が黄色みを帯びることがある。その場合には、オーバーコート層を青色レジストで形成することによって、色度調整(ブルーシフト)を行い、白表示の色度を例えばD65光源の色度に近付けてもよい。
【0068】
柱状スペーサは、液晶層30の厚さ(セルギャップ)を規定する。柱状スペーサは、感光性樹脂から形成することができる。
【0069】
第2水平配向膜29は、カラーフィルタ層21上に設けられており、液晶層30に接している。
【0070】
液晶層30は、誘電異方性Δεが正の(つまりポジ型の)ネマチック液晶材料、または、誘電異方性Δεが負の(つまりネガ型の)ネマチック液晶材料を含む。誘電異方性Δεは、液晶分子31の長軸方向の誘電率ε//と短軸方向の誘電率εとの差(つまりε//-ε)である。液晶層30は、必要に応じ、カイラル剤をさらに含んでもよい。液晶層30は、例えば滴下法により形成することができる。液晶層30の厚さは、特に制限されない。
【0071】
第1水平配向膜19および第2水平配向膜29のそれぞれは、配向処理を施されており、液晶層30に含まれる液晶分子31の配向方位を規定する。第1水平配向膜19によって規定される配向方位と、第2水平配向膜29によって規定される配向方位とは、互いに異なっている。
【0072】
液晶層30の両側に第1水平配向膜19および第2水平配向膜29が設けられているので、液晶層30の液晶分子31は、少なくとも液晶層30に電圧が印加されていない状態において水平配向する(つまりプレチルト角は実質的に0°である)。既に説明したように、第1水平配向膜19によって規定される配向方位と、第2水平配向膜29によって規定される配向方位とは異なっているので、図3に示しているように、液晶層30は、電圧無印加時にツイスト配向をとる。液晶層30に電圧が印加されると、つまり、画素電極PEおよび共通電極CEによって液晶層30に横電界(フリンジ電界)が生成されると、横電界によって液晶層30の配向状態が変化する。
【0073】
既に説明したように、反射モードの表示が可能なインセル型タッチパネルが望まれてはいるものの、未だ実現されていない。その理由は、反射モードの表示が可能な液晶表示装置において、対向基板側に、液晶層に電圧を印加するための一対の電極の一方(共通電極であり、対向電極と呼ばれることもある)が設けられていることにある。
【0074】
これに対し、本実施形態の液晶表示装置100では、液晶層30に電圧を印加するための一対の電極(画素電極PEおよび共通電極CE)がTFT基板10側にのみ設けられている。そのため、本実施形態の液晶表示装置100のような構成を採用することにより、反射モードの表示が可能なインセル型タッチパネルを実現することが可能となる。なお、液晶表示装置100をインセル型タッチパネルとして用いる際に必要となる付加的な構成については、後に詳述する。
【0075】
なお、ここでは、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられる構成を例示したが、これとは逆に、後述する実施形態2で説明するように、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられてもよい。以下では、画素電極PEおよび共通電極CEのうち、相対的に上方に位置する電極を「上層電極」と呼び、相対的に下方に位置する電極を「下層電極」と呼ぶことがある。横電界を生成するために、少なくとも上層電極は、各画素Pにおいて、複数の帯状部と、互いに隣接する2つの帯状部間に位置する少なくとも1つのスリットとを含んでいる。
【0076】
本実施形態で例示したように、反射層13が共通電極CEに電気的に接続されていると、共通電極CEの抵抗率を下げることができるので、表示品位が向上する。共通電極CEの抵抗率を下げるための構成としては、金属配線を別途に形成してその金属配線と共通電極CEとを電気的に接続する構成も考えられるが、本実施形態のように、反射層13を共通電極CEに電気的に接続すると、金属配線を別途に形成する場合に比べ、製造に要するマスク枚数やプロセスの増加を抑制し、コストの低減を図ることができる。
【0077】
なお、反射層13が共通電極CEに電気的に接続されていなくてもよい。例えば、反射層13は、電気的に浮遊状態(フローティング)であってもよい。
【0078】
また、本実施形態の液晶表示装置100では、液晶層30が電圧無印加時にツイスト配向をとる横電界モードで表示が行われる。より具体的には、液晶層30が電圧無印加時にツイスト配向をとるFFSモード(「TW-FFSモード」と称する)で表示が行われる。これにより、液晶層30が電圧無印加時にツイスト配向をとらない(つまり液晶層30のツイスト角が0°である)、一般的なFFSモードで表示を行う場合に比べ、反射表示のコントラスト比を向上させることができる。コントラスト比の向上の観点からは、電圧無印加時における液晶層30のツイスト角は、45°以上90°以下であることが好ましい。
【0079】
さらに、本実施形態では、反射層13は、液晶層30とTFT11との間に位置し、表示面法線方向から見たときにTFT11に少なくとも部分的に重なっている。このような構成を採用することにより、反射開口率を高くすることができ、より明るい反射表示を実現し得る。また、外光からTFT11を保護することができ、信頼性が向上する。
【0080】
また、反射層13とバックプレーン回路BPとの間に第1層間絶縁層12が配置されていることにより、寄生容量を低減することができる。
【0081】
さらに、本実施形態では、反射層13が、画素電極PEおよび共通電極CEのうちの相対的に下方に位置する方の電極(ここでは画素電極PE)に少なくとも第2層間絶縁層14を介して隣接している。このような構成を採用することにより、反射層13が凹凸表面構造を有していても、画素電極PEを平坦化してモード効率を高くすることができる。
【0082】
また、本実施形態のように、画素電極PEが、第1コンタクトホールCH1および第2コンタクトホールCH2の両方を介してTFT11に接続されている(つまり画素電極PEとTFT11とを接続するためのコンタクトホールが深さ方向に2つに分けられている)と、それぞれのコンタクトホールの深さを小さくできるので、画素電極PE表面の平坦性が向上する。そのため、液晶の配向乱れが抑制され、表示品位が改善される。また、配向膜材料の塗れ性が改善され、第1水平配向膜19の厚さの均一性が向上して信頼性が向上するという利点も得られる。
【0083】
既に説明したように、反射層13は、第3コンタクトホールCH3において共通電極CEに接続されている。以下、第3コンタクトホールCH3の好ましい配置を説明する。
【0084】
図4Dおよび図4Fに例示したように、第2層間絶縁層14および誘電体層15には、複数の第3コンタクトホールCH3が形成されていることが好ましい。反射層13が複数の第3コンタクトホールCH3において共通電極CEに接続されていることにより、共通電極CEの抵抗率を低くして表示品位を向上させる効果が高くなる。また、接続の冗長性の観点からも、複数の第3コンタクトホールCH3が形成されていることが好ましい。
【0085】
第3コンタクトホールCH3の個数に制限はないが、第3コンタクトホールCH3の個数が多すぎると、反射率が低下するおそれがある。そのため、十分に高い反射率を維持する観点からは、図4Dおよび図4Fに例示したように、第3コンタクトホールCH3の個数は、画素Pの個数よりも少ないことが好ましい。第3コンタクトホールCH3の個数は、例えば、画素Pの個数の1/3以下であり得る。その場合、第3コンタクトホールCH3は、複数の画素Pのうちのある色の画素P(つまり赤画素、緑画素または青画素)の一部または全部に対応して設けられ得る。
【0086】
複数の第3コンタクトホールCH3のうちの互いに隣接する2つの第3コンタクトホールCH3が、行方向および/または列方向に沿って1画素に相当する距離以上離れていると、ゴマ粒状の表示ムラの発生を抑制することができる。
【0087】
また、複数の第3コンタクトホールCH3のうちの少なくとも1つの第3コンタクトホールCH3が、表示面法線方向から見たとき、隣接する2つの画素電極PEの間に位置していてもよい。このような構成を採用することにより、反射率をいっそう高くするとともに、画素P内における配向の乱れを抑制できる。
【0088】
本実施形態のように、反射層13が凹凸表面構造を有している場合、第2層間絶縁層14の厚さは、反射層13の凹凸表面構造の高低差よりも大きいことが好ましい。TFT基板10の液晶層30側の表面(TFT基板10と液晶層30との界面)に、反射層13の凹凸表面構造が反映された凹凸形状が存在すると、セル厚(液晶層30の厚さ)が不均一となり、コントラスト比の低下が懸念される。第2層間絶縁層14の厚さが反射層13の凹凸表面構造の高低差よりも大きいことにより、反射層13の凹凸表面構造が第2層間絶縁層14によって平坦化され得るので、反射層13の凹凸表面構造がTFT基板10の液晶層30側の表面に反映されにくくなり、セル厚の不均一さに起因するコントラスト比の低下を抑制することができる。なお、反射層13に凹凸表面構造を形成する代わりに、光散乱シートを用いる(例えば対向基板20の観察者側に光散乱シートを配置する)ことも考えられるが、その場合でも用いる光散乱シートの仕様によっては、やはりコントラストの低下が懸念される。
【0089】
セル厚の不均一さに起因するコントラスト比の低下を抑制する観点からは、第2層間絶縁層14の厚さは、凹凸表面構造の高低差の2倍以上であることが好ましい。また、第2層間絶縁層14の厚さによっては、反射層13の凹凸表面構造が完全には平坦化されないことがある。その場合、第2層間絶縁層14のうち、反射層13の凹凸表面構造に重なる部分の上面は凹凸形状を有するが、その凹凸形状の高低差は、反射層13の凹凸表面構造の高低差の1/2以下であることが好ましい。
【0090】
[実施形態2]
図5および図6A図6Cを参照しながら、本実施形態における液晶表示装置200を説明する。図5は、液晶表示装置200を模式的に示す断面図である。図6A図6Cは、液晶表示装置200が備えるTFT基板10の共通電極CE、誘電体層15、画素電極PEを模式的に示す平面図である。バックプレーン回路BP、第1層間絶縁層12、反射層13および第2層間絶縁層14については、実施形態1の液晶表示装置100と同じ構成であり得るので、図4A図4Dを参照されたい。
【0091】
実施形態1の液晶表示装置100では、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられている。これに対し、本実施形態の液晶表示装置200では、図5に示すように、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられている。
【0092】
共通電極CEは、第2層間絶縁層14上に設けられており、第2層間絶縁層14に形成された第3コンタクトホールCH3において、反射層13に接続されている。誘電体層15は、共通電極CEを覆うように設けられており、画素電極PEが誘電体層15上に設けられている。画素電極PEは、誘電体層15および第2層間絶縁層14の両方にわたって形成された第2コンタクトホールCH2においてコンタクト電極16に接続されている。共通電極CEの、第2コンタクトホールCH2に重なる領域には、開口部opが形成されている。本実施形態においても、反射層13は、画素電極PEおよび共通電極CEに対して液晶層30とは反対側(つまり画素電極PEおよび共通電極CEよりも背面側)に位置している。また、画素電極PEおよび共通電極CEは、第2層間絶縁層14と第1水平配向膜19との間に設けられていると言え、誘電体層15も、第2層間絶縁層14と第1水平配向膜19との間に設けられていると言える。本実施形態では、共通電極CEが第2層間絶縁層14と誘電体層15との間に設けられ、画素電極PEが誘電体層15と第1水平配向膜19との間に設けられている。
【0093】
なお、図5および図6Cには示されていないが、画素電極PEは、複数の帯状部と、互いに隣接する2つの帯状部間に位置する少なくとも1つのスリットとを有している。画素電極PEにスリットが形成されていることにより、画素電極PEと共通電極CEとの間の電位差に応じ、液晶層30にフリンジ電界が発生する。
【0094】
本実施形態の液晶表示装置200においても、実施形態1の液晶表示装置100と同様に、液晶層30に電圧を印加するための一対の電極(画素電極PEおよび共通電極CE)がTFT基板10側にのみ設けられているので、反射モードの表示が可能なインセル型タッチパネルを実現することが可能となる。
【0095】
なお、既に説明したように、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成においては、少なくとも画素電極PEにスリットが形成され、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられる構成においては、少なくとも共通電極CEにスリットが形成される。
【0096】
比較的大型の(つまり画素Pの面積が比較的大きい)液晶表示装置では、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられることが好ましい。画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成では、共通電極CEにスリットを形成する必要がないので、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられる構成よりも、共通電極CEの抵抗率(面抵抗率)の上昇が抑制される。共通電極CEの抵抗率が上昇すると、共通電極CEへの電荷の供給速度が低下してしまい、共通電極CEに対して大量の電荷供給が必要な画像(例えば、画素の極性が偏るような、市松パターン、ストライプパターン、あるいは表示の一部領域がこれらのパターンで構成されるような画像)で表示の不具合(例えばフリッカーやシャドー等)が発生しやすくなってしまう。
【0097】
なお、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成では、画素電極PEにスリットを形成する必要があるので、画素電極PEの抵抗率が上昇するが、画素電極PEは、共通電極CEに比べて十分に面積が小さく(例えば100万分の1以下)、それ故に供給すべき電荷量も少なく、かつ、画素単位で接続されたTFT11から電荷が供給されるので、表示画像の影響を受け難く、表示不具合も起こり難い。
【0098】
共通電極CEの抵抗率の上昇を抑制するために、金属材料から形成された低抵抗配線を用いる(低抵抗配線を共通電極CEに接続する)ことも考えられるが、そのような構成では、低抵抗配線による正反射等に起因する表示への悪影響(例えばぎらつき、虹色の回折、干渉模様)が発生するので、ブラックマトリクス等で遮光することが必要となり、反射開口率が低下してしまう。
【0099】
なお、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成では、第2コンタクトホールCH2が形成される領域の画素電極PEにはフリンジ電界を発生させるためのスリットを設けることができず、さらにその領域の共通電極CEには開口部opを設ける必要がある。そのため、その領域は有効なフリンジ電界が発生せず、反射表示に寄与しなくなり、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられる構成よりも、反射率が低下し得る。コンタクトホール等の反射表示に寄与しない領域の面積は、画素Pの面積の大小によらず一定程度必要であるので、画素P内で反射表示に寄与しない領域が占める割合は、画素Pの面積が小さいほど(つまり高精細になるほど)高くなり、上述した反射率の低下が大きくなる。逆に言うと、比較的大型の液晶表示装置では、画素P内で反射表示に寄与しない領域が占める割合をより低くしやすいので、上述した反射率の低下を抑制しやすい。これらの理由から、比較的大型の(画素Pの面積が比較的大きい)液晶表示装置では、画素電極PEが共通電極CEの上方に設けられる構成が有利である。
【0100】
また、既に説明したように、第2コンタクトホールCH2が形成される領域が反射表示に寄与しないことによる反射率の低下は、画素Pの面積が小さいほど(つまり高精細になるほど)高くなるので、比較的高精細の(つまり画素Pの面積が比較的小さい)液晶表示装置では、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられることが好ましい。
【0101】
[上層電極のスリット]
既に説明したように、画素電極PEおよび共通電極CEのうちの少なくとも上層電極は、少なくとも1つのスリットSLを含んでいる。
【0102】
図7Aに、上層電極UEの例を示す。図7Aに示す上層電極UEは、複数の帯状部SPと、複数のスリットSLとを含んでいる。なお、言うまでもないが、帯状部SPの数およびスリットSLの数は、図7Aに示した例に限定されない。
【0103】
図7Bに、上層電極UEの他の例を示す。図7Bに示す上層電極UEは、図7Aに示した例と同様に、複数の帯状部SPと、複数のスリットSLとを含んでいる。また、図7Bに示す例では、各帯状部SPは、ある方向(第1方向)に延びる第1部分SPaと、第1方向と異なる方向(第2方向)に延びる第2部分SPbとを含んでいる。上層電極UEがこのような構成を有していると、電圧印加時に各画素に互いに配向方位が異なる2つの液晶ドメインが形成される(以下では「デュアルドメイン配向」と称する)ので、視角方向の変化に伴う色変化(表示の色付き)や階調変化を抑制し得る。
【0104】
図7Cに、上層電極UEのさらに他の例を示す。図7Cに示す上層電極UEは、図7Aおよび図7Bに示した例と同様に、複数の帯状部SPと、複数のスリットSLとを含んでいる。また、図7Cに示す例では、複数の帯状部SPは、ある方向(第1方向)に延びる少なくとも1つ(ここでは4つ)の第1帯状部SP1と、第1方向と異なる方向(第2方向)に延びる少なくとも1つ(ここでは4つ)の第2帯状部SP2とを含んでいる。上層電極UEがこのような構成を有していることによっても、デュアルドメイン配向を実現することができる。
【0105】
[反射層]
反射層13は、金属層および透明導電層を含む積層構造を有していてもよい。反射層13がこのような積層構造を有する場合の好ましい構成の例を、図8を参照しながら説明する。
【0106】
図8に示す例では、反射層13は、透明導電材料から形成された透明導電層13bと、金属材料から形成され、透明導電層13b上に設けられた金属層13aとを含んでいる。金属層13aは、少なくとも1つの開口部13aoを有しており、透明導電層13bは、金属層13aの開口部13aoに重なる部分を含むように形成されている。
【0107】
金属層13aの開口部13aoは、例えば、第3コンタクトホールCH3の個数と同じ個数、つまり、第3コンタクトホールCH3に対応して形成されている。図8に示すように、表示面法線方向から見たとき、第3コンタクトホールCH3は、対応する開口部13aoに重なっている。すなわち、共通電極CEが反射層13に接続される領域において、金属層13aの金属材料が除去されており、共通電極13は透明導電層13bに接続されている。
【0108】
第3コンタクトホールCH3付近では、セル厚やフリンジ電界が他の領域と異なるので、配向乱れが発生する。特に、黒表示状態では、配向乱れの影響により第3コンタクトホールCH3付近が白く(あるいはグレーに)光ってしまい、コントラスト比が低下してしまう。図8に示したように、第3コンタクトホールCH3が金属層13aの開口部13aoに重なっていることにより、第3コンタクトホールCH3付近の配向乱れに起因するコントラスト比の低下を抑制することができる。
【0109】
なお、図8に示した積層構造では、透明導電層13b上に金属層13aが設けられているが、図9に示すように、金属層13a上に透明導電層13bが設けられていてもよい。図9に示す例においても、第3コンタクトホールCH3が金属層13aの開口部13aoに重なっていることにより、コントラスト比の低下を抑制することができる。
【0110】
図8および図9には、共通電極CEが画素電極PEの下方に設けられる構成において積層構造の反射層13が採用された例を示しているが、共通電極CEが画素電極PEの上方に設けられる構成において、積層構造の反射層13が採用されてもよいことはいうまでもない。
【0111】
[インセル型タッチパネル]
図10を参照しながら、液晶表示装置100(または200)をインセル型タッチパネルに用いた例を説明する。図10は、液晶表示装置100におけるタッチセンサ電極およびタッチ配線の配置関係を例示する平面図である。
【0112】
図10に示すように、液晶表示装置100は、表示領域DRと、非表示領域FRとを有する。表示領域DRは、マトリクス状に配列された複数の画素P(図2参照)によって規定される。非表示領域FRは、表示領域DRの周辺に位置しており、「周辺領域」または「額縁領域」と呼ばれることもある。
【0113】
表示領域DR内で、共通電極CEは、複数のセグメントTXに分割されている。各セグメント(共通電極部分)TXは、タッチセンサ電極として機能する。図10に示す例では、各タッチセンサ電極TXは、2以上の画素Pに対応して設けられている。
【0114】
液晶表示装置100(より具体的にはTFT基板10)は、複数のタッチ配線TLを有している。各タッチセンサ電極TXは、対応するタッチ配線TLに電気的に接続されている。タッチセンサ電極TXとタッチ配線TLとの接続部TCを「タッチ配線コンタクト部」と呼ぶ。
【0115】
タッチ配線TLは、非表示領域FRに設けられたタッチ駆動部TDに接続されている。タッチ駆動部TDは、例えば、複数のタッチセンサ電極TXを共通電極CEとして機能させる表示モードと、タッチセンサ電極TXとして機能させるタッチ検出モードとを時分割で切り替えるように構成されている。タッチ駆動部TDは、例えば、表示モードにおいて、タッチ配線TLを介してタッチセンサ電極TX(共通電極CE)に共通信号を印加する。一方、タッチ検出モードにおいては、タッチ駆動部TDは、タッチ配線TLを介して、タッチセンサ電極TXにタッチ駆動信号を印加する。
【0116】
図示している例では、複数のタッチ配線TLは、列方向(ソースバスラインSLと同じ方向)に延びている。一部のタッチ配線TLは、対応するタッチセンサ電極TXまで、他の1つまたは複数のタッチセンサ電極TXを横切って延びている。
【0117】
あるタッチセンサ電極TXに着目すると、そのタッチセンサ電極TXに信号を供給する第1タッチ配線TL1がタッチ配線コンタクト部TCまで延びており、そのタッチセンサ電極TXを横切るように、他のタッチセンサ電極TXに信号を供給するための第2タッチ配線TL2が延びている。第2タッチ配線TL2とタッチセンサ電極TX1とは、絶縁層を介して重なっている。なお、タッチセンサ電極TXの位置によっては、そのタッチセンサ電極TXを横切って延びるように2以上のタッチ配線TLが配置されている場合もあるし、そのタッチセンサ電極TXを横切るようなタッチ配線TLが配置されていない場合もある。
【0118】
なお、図示しないが、非表示領域FRには、タッチ駆動部TDの他に、ゲートバスラインGLにゲート信号を供給するゲートドライバ、ソースバスラインSLにソース信号を供給するソースドライバなどの駆動回路を含む周辺回路が設けられる。これらの駆動回路は、例えばTFT基板10に実装されてもよいし、一体的(モノリシック)に形成されていてもよい。非表示領域FRに、一部または全部の駆動回路を含む半導体チップが搭載されていてもよい。
【0119】
本発明の実施形態による液晶表示装置100(または200)を用いることにより、反射モードの表示が可能なインセル型タッチパネルが好適に実現され得る。
【0120】
[酸化物半導体TFT]
各画素Pに設けられるTFT11として、例えば、酸化物半導体TFTを好適に用いることができる(勿論これに限定されるものではない)。酸化物半導体TFTでは、活性層の材料として、酸化物半導体が用いられる。つまり、酸化物半導体TFTは、活性層として酸化物半導体層を含む。酸化物半導体は、近年、アモルファスシリコンや多結晶シリコンに代わる活性層材料として注目されている材料である。
【0121】
酸化物半導体は、アモルファスシリコンよりも高い移動度を有している。このため、酸化物半導体TFTは、アモルファスシリコンTFTよりも高速で動作することが可能である。また、酸化物半導体層は、多結晶シリコン層よりも簡便なプロセスで形成されるため、大面積が必要とされる装置にも適用できる。
【0122】
さらに、酸化物半導体TFTは、オフリーク特性に優れているので、画像の書き換え頻度を低下させて表示を行う駆動方式を利用することもできる。例えば、静止画表示時などには、1秒に1回の頻度で画像データを書き換えるように動作させることができる。このような駆動方式は、休止駆動または低周波駆動などと呼ばれ、液晶表示装置の消費電力を大幅に削減することが可能である。
【0123】
休止駆動を採用し、画像の書き換えが行われない期間にタッチ検出を行うことにより、駆動回路からのノイズによるタッチ操作の感度の低下を抑制でき、S/N比(信号対雑音比)を例えば従来の約10倍にすることができる。
【0124】
また、酸化物半導体TFTは、TFTサイズの小型化にも有利であるので、画素Pごとにメモリ回路が設けられる構成(「MIP(Memory In Pixels)」と呼ばれる)も好適に実現することができる。MIPの具体的な構成は公知であるので、ここではその説明を省略する。
【0125】
酸化物半導体TFTの活性層(酸化物半導体層)に含まれる酸化物半導体は、アモルファス酸化物半導体であってもよいし、結晶質部分を有する結晶質酸化物半導体であってもよい。結晶質酸化物半導体としては、多結晶酸化物半導体、微結晶酸化物半導体、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質酸化物半導体などが挙げられる。
【0126】
酸化物半導体層は、2層以上の積層構造を有していてもよい。積層構造を有する酸化物半導体層は、アモルファス酸化物半導体層と結晶質酸化物半導体層とを含んでいてもよいし、結晶構造の異なる複数の結晶質酸化物半導体層を含んでいてもよい。また、積層構造を有する酸化物半導体層は、複数のアモルファス酸化物半導体層を含んでいてもよい。酸化物半導体層が上層と下層とを含む2層構造を有する場合、下層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップと、上層に含まれる酸化物半導体のエネルギーギャップとが異なっていてもよい。
【0127】
アモルファス酸化物半導体および上記の各結晶質酸化物半導体の材料、構造、成膜方法、積層構造を有する酸化物半導体層の構成などは、例えば特開2014-007399号公報に記載されている。参考のために、特開2014-007399号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。
【0128】
酸化物半導体層は、例えば、In、GaおよびZnのうち少なくとも1種の金属元素を含んでもよい。本実施形態では、酸化物半導体層は、例えば、In-Ga-Zn-O系の半導体(例えば酸化インジウムガリウム亜鉛)を含む。ここで、In-Ga-Zn-O系の半導体は、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、Zn(亜鉛)の三元系酸化物であって、In、GaおよびZnの割合(組成比)は特に限定されず、例えばIn:Ga:Zn=2:2:1、In:Ga:Zn=1:1:1、In:Ga:Zn=1:1:2等を含む。このような酸化物半導体層11は、In-Ga-Zn-O系の半導体を含む酸化物半導体膜から形成され得る。
【0129】
In-Ga-Zn-O系の半導体は、アモルファスでもよいし、結晶質でもよい。結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体としては、c軸が層面に概ね垂直に配向した結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体が好ましい。
【0130】
なお、結晶質In-Ga-Zn-O系の半導体の結晶構造は、例えば、上述した特開2014-007399号公報、特開2012-134475号公報、特開2014-209727号公報などに開示されている。参考のために、特開2012-134475号公報および特開2014-209727号公報の開示内容の全てを本明細書に援用する。In-Ga-Zn-O系半導体層を有するTFTは、高い移動度(a-SiTFTに比べ20倍超)および低いリーク電流(a-SiTFTに比べ100分の1未満)を有しているので、駆動TFT(例えば、複数の画素を含む表示領域の周辺に、表示領域と同じ基板上に設けられる駆動回路に含まれるTFT)および画素TFT(画素に設けられるTFT)として好適に用いられる。
【0131】
酸化物半導体層は、In-Ga-Zn-O系半導体の代わりに、他の酸化物半導体を含んでいてもよい。例えばIn-Sn-Zn-O系半導体(例えばIn-SnO-ZnO;InSnZnO)を含んでもよい。In-Sn-Zn-O系半導体は、In(インジウム)、Sn(スズ)およびZn(亜鉛)の三元系酸化物である。あるいは、酸化物半導体層11は、In-Al-Zn-O系半導体、In-Al-Sn-Zn-O系半導体、Zn-O系半導体、In-Zn-O系半導体、Zn-Ti-O系半導体、Cd-Ge-O系半導体、Cd-Pb-O系半導体、CdO(酸化カドミウム)、Mg-Zn-O系半導体、In-Ga-Sn-O系半導体、In-Ga-O系半導体、Zr-In-Zn-O系半導体、Hf-In-Zn-O系半導体、Al-Ga-Zn-O系半導体、Ga-Zn-O系半導体、In-Ga-Zn-Sn-O系半導体などを含んでいてもよい。
【0132】
[半透過型]
これまでの説明では、反射型の液晶表示装置100および200を例示したが、本発明の実施形態による液晶表示装置は、半透過型であってもよい。図11を参照しながら、半透過型の液晶表示装置300の構成を説明する。
【0133】
液晶表示装置300は、さらなる偏光板40’、さらなる位相差層50’および照明装置(バックライト)70を備えている点において、液晶表示装置100および200と異なっている。
【0134】
偏光板40’は、液晶層30よりも背面側に配置されている。偏光板40’は、より具体的には、TFT基板10よりも背面側に配置されている。
【0135】
位相差層50’は、偏光板40’と液晶層30との間に配置されている。位相差層50’は、より具体的には、偏光板40’とTFT基板10との間に配置されている。位相差層50は、例えばλ/2板とλ/4板とを含み得る。
【0136】
照明装置70は、偏光板40’の背面側(TFT基板10の背面側)に配置されている。図示している例では、照明装置70は、光を発する光源(例えばLED)71、光源71からの光を偏光板40’側に導く導光板72および導光板72の背面側に配置された反射板73を有する。照明装置70は、導光板72の前面側(または背面側)に配置されたプリズムシートおよび拡散シートをさらに有してもよい。
【0137】
液晶表示装置300の各画素Pは、図12に示すように、反射モードで表示を行う反射領域Rfと、透過モードで表示を行う透過領域Trとを含んでいる。TFT基板10の反射層13は、透過領域Trに形成された開口部13oを有する。画素P内に占める透過領域Trの面積の割合は、用途等に応じて適宜設定され得るが、例えば20%以上90%以下である。また、画素P内における透過領域Trの位置や形状も用途等に応じて適宜設定され得る。
【産業上の利用可能性】
【0138】
本発明の実施形態によると、反射モードの表示が可能で、且つ、インセル型タッチパネルとして用いられ得る液晶表示装置に好適な画素構造を実現することができる。本発明の実施形態は、反射型および半透過型の液晶表示装置に好適に用いられる。
【符号の説明】
【0139】
10 アクティブマトリクス基板(TFT基板)
10a、20a 基板
11 薄膜トランジスタ(TFT)
12 第1層間絶縁層
13 反射層
13o 開口部
13a 金属層
13ao 金属層の開口部
13b 透明導電層
14 第2層間絶縁層
15 誘電体層
16 コンタクト電極
19 第1水平配向膜
20 対向基板(カラーフィルタ基板)
21 カラーフィルタ層
29 第2水平配向膜
30 液晶層
31 液晶分子
40 偏光板
40’ さらなる偏光板
50 位相差層
50’ さらなる位相差層
51 λ/2板
52 λ/4板
70 照明装置(バックライト)
71 光源
72 導光板
73 反射板
100、200、300 液晶表示装置
P 画素
PE 画素電極
CE 共通電極
UE 上層電極
GL ゲート配線
SL ソース配線
BP バックプレーン回路
CH1 第1コンタクトホール
CH2 第2コンタクトホール
CH3 第3コンタクトホール
SP 上層電極の帯状部
SPa 帯状部の第1部分
SPb 帯状部の第2部分
SP1 第1帯状部
SP2 第2帯状部
SL 上層電極のスリット
DR 表示領域
FR 非表示領域
TL タッチ配線
TX タッチセンサ電極
TC タッチ配線コンタクト部
TD タッチ駆動部
Rf 反射領域
Tr 透過領域
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12