(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074489
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】積層シート
(51)【国際特許分類】
B32B 3/04 20060101AFI20240524BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240524BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20240524BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240524BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B32B3/04
B32B27/00
B32B27/00 101
B32B27/36
G09F9/30 310
H01L21/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185672
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000000044
【氏名又は名称】AGC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】高田 晃右
【テーマコード(参考)】
4F100
5C094
【Fターム(参考)】
4F100AG00
4F100AK42A
4F100AK42C
4F100AK52B
4F100BA03
4F100DB01C
4F100EJ30
4F100GB41
4F100JL14
5C094AA43
5C094BA27
5C094BA43
5C094EB01
(57)【要約】
【課題】不要部を剥離する際及びハンドリング時での剥離欠点を抑制できる積層シートを提供する。
【解決手段】積層シートは第1の樹脂基板と中間層は形状及び大きさが同じであり、かつ積層されて積層部を構成し、第1の樹脂基板は第1の樹脂基板の表面の法線方向から見た外形が四角形である。第2の樹脂基板は積層部よりも面積が大きく、第1の樹脂基板の第1の辺と第2の辺が直交して交わる頂点を含む角部において第1の辺、頂点及び第2の辺の外縁から張り出す張出部を有する。張出部は第1の辺から第1の辺と直交する第1の方向に張出部が張り出す長さが5~20mm、張出部と第1の辺との交点から第1の辺と平行な方向における張出部の長さが10~40mm、第2の辺から第2の辺と直交する第2の方向に張出部が張り出す長さが5~20mm、張出部と第2の辺との交点から第2の辺と平行な方向における張出部の長さが10~40mmである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の樹脂基板と中間層と第2の樹脂基板とが、この順で積層された積層シートであって、
前記第1の樹脂基板と前記中間層とは形状及び大きさが同じであり、かつ積層されて積層部を構成し、前記第1の樹脂基板は、前記第1の樹脂基板の表面の法線方向から見た外形が四角形であり、
前記第2の樹脂基板は、前記第1の樹脂基板及び前記中間層よりも面積が大きく、かつ前記第1の樹脂基板の前記表面の前記法線方向から見た場合、前記第1の樹脂基板の第1の辺と第2の辺とが直交して交わる頂点を含む角部において、前記第1の辺、前記頂点及び前記第2の辺の外縁から張り出す張出部を有し、
前記張出部は、前記第1の辺から前記第1の辺と直交する第1の方向に前記張出部が張り出す長さが5mm以上20mm以下、前記張出部と前記第1の辺との交点から前記第1の辺と平行な方向における前記張出部の長さが10mm以上40mm以下、前記第2の辺から前記第2の辺と直交する第2の方向に前記張出部が張り出す長さが5mm以上20mm以下、前記張出部と前記第2の辺との交点から前記第2の辺と平行な方向における前記張出部の長さが10mm以上40mm以下である、積層シート。
【請求項2】
前記第2の樹脂基板の前記張出部上に、前記積層部と分離して配置され、前記中間層とは別の中間層及び前記第1の樹脂基板とは別の第1の樹脂基板とが、この順で積層されている、請求項1に記載の積層シート。
【請求項3】
前記張出部は、前記第1の樹脂基板の前記表面の前記法線方向から見た外形は、輪郭が直線及び曲線のうち、少なくとも1つで構成されている、請求項1又は2に記載の積層シート。
【請求項4】
前記張出部は、前記第1の樹脂基板の前記表面の前記法線方向から見た外形が、多角形、扇形、又は楕円扇形である、請求項1又は2に記載の積層シート。
【請求項5】
前記中間層は、シリコーン樹脂層である、請求項1又は2に記載の積層シート。
【請求項6】
前記第1の樹脂基板及び前記第2の樹脂基板は、ポリエチレンテレフタレート基板である、請求項1又は2に記載の積層シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層シートに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池;液晶パネル(LCD);有機ELパネル(OLED);電磁波、X線、紫外線、可視光線、赤外線等を感知する受信センサーパネル;等の電子デバイスを製造する際に、ポリイミド樹脂層が基板として用いられる。ポリイミド樹脂層は、ガラス基板上に設けられた積層体の状態で用いられ、積層体が電子デバイスの製造に提供されている。
ポリイミド樹脂層を有する積層体は、例えば、ガラス基板上に、シリコーン樹脂層等の吸着層が設けられ、この吸着層上にポリイミド樹脂層が形成されている。
ポリイミド樹脂層を有する積層体を形成する場合、ガラス基板上のシリコーン樹脂層等の吸着層上に保護フィルムが設けられている。
ポリイミド樹脂層を有する積層体の製造には、例えば、離型フィルムと吸着層と保護フィルムとの積層体が用いられる。この積層体において、離型フィルムと吸着層とを切断した後、不要部を取り除いた後、保護フィルムを剥離して、吸着層をガラス基板に貼合して、吸着層をガラス基板上に設ける。ガラス基板上に吸着層がある状態で、上述のように吸着層上にポリイミド樹脂層が形成される。
【0003】
上述の積層体の保護フィルムの剥離について提案されている(特許文献1)。より具体的には、特許文献1では、粘着剤層と、粘着剤層の一方の面に貼着され、少なくとも第1の剥離剤層を有する第1の剥離シートと、粘着剤層の他方の面に貼着され、少なくとも第2の剥離剤層を有する第2の剥離シートとを有し、第1の剥離剤層が主としてオレフィン系樹脂で構成され、第2の剥離剤層が主としてジエン系高分子材料で構成されたものであり、第1の剥離シートの粘着剤層に対する剥離力をX[mN/20mm]、第2の剥離シートの粘着剤層に対する剥離力をY[mN/20mm]としたとき、Y-X≧50の関係を満足し、粘着剤層、第1の剥離剤層及び第2の剥離剤層が、実質的にシリコーン化合物及びハロゲン化合物を含まない電子部品用両面粘着シートが開示されている。特許文献1では、第1の剥離シート、粘着剤層及び第2の剥離シートは同じ大きさである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、第1の剥離シートを剥離した後、粘着剤層の第1の剥離シートを剥離した面を被着体に粘着する。その後、さらに第2の剥離シートを粘着剤層から剥離して、被着体を他の被着体に粘着する。上述のように第1の剥離シート、粘着剤層及び第2の剥離シートは同じ大きさである。このため、第1の剥離シートを剥離した際に、剥離終端部にある粘着剤層において、凝集破壊等の剥離欠点が発生しやすく、その改善が必要であった。また、ハンドリング時の際にも、各層の界面で剥離等の剥離欠陥が発生しないことが望まれている。
本発明は、不要部を剥離する際、及びハンドリング時での剥離欠点を抑制できる積層シートを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討した結果、以下の構成により上述の課題を解決できることを見出した。
(1)第1の樹脂基板と中間層と第2の樹脂基板とが、この順で積層された積層シートであって、第1の樹脂基板と中間層とは形状及び大きさが同じであり、かつ積層されて積層部を構成し、第1の樹脂基板は、第1の樹脂基板の表面の法線方向から見た外形が四角形であり、第2の樹脂基板は、第1の樹脂基板及び中間層よりも面積が大きく、かつ第1の樹脂基板の表面の法線方向から見た場合、第1の樹脂基板の第1の辺と第2の辺とが直交して交わる頂点を含む角部において、第1の辺、頂点及び第2の辺の外縁から張り出す張出部を有し、張出部は、第1の辺から第1の辺と直交する第1の方向に張出部が張り出す長さが5mm以上20mm以下、張出部と第1の辺との交点から第1の辺と平行な方向における張出部の長さが10mm以上40mm以下、第2の辺から第2の辺と直交する第2の方向に張出部が張り出す長さが5mm以上20mm以下、張出部と第2の辺との交点から第2の辺と平行な方向における張出部の長さが10mm以上40mm以下である、積層シート。
(2)第2の樹脂基板の張出部上に、積層部と分離して配置され、中間層とは別の中間層及び第1の樹脂基板とは別の第1の樹脂基板とが、この順で積層されている、(1)に記載の積層シート。
【0007】
(3)張出部は、第1の樹脂基板の表面の法線方向から見た外形は、輪郭が直線及び曲線のうち、少なくとも1つで構成されている、(1)又は(2)に記載の積層シート。
(4)張出部は、第1の樹脂基板の表面の法線方向から見た外形が、多角形、扇形、又は楕円扇形である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の積層シート。
(5)中間層は、シリコーン樹脂層である、(1)~(4)のいずれか1つに記載の積層シート。
(6)第1の樹脂基板及び第2の樹脂基板は、ポリエチレンテレフタレート基板である、(1)~(5)のいずれか1つに記載の積層シート。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不要部を剥離する際、及びハンドリング時での剥離欠点を抑制した積層シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態の積層シートの第1の例を示す模式的平面図である。
【
図2】本発明の実施形態の積層シートの第1の例を示す模式的断面図である。
【
図3】本発明の実施形態の積層シートの第2の例を示す模式的平面図である。
【
図4】本発明の実施形態の積層シートの第2の例を示す模式的断面図である。
【
図5】本発明の実施形態の積層シートの第3の例を示す模式的平面図である。
【
図6】本発明の実施形態の積層シートの第4の例を示す模式的平面図である。
【
図7】本発明の実施形態の積層シートの第1の例の剥離方法を示す模式的平面図である。
【
図8】本発明の実施形態の積層シートの第1の例の剥離方法を示す模式的断面図である。
【
図9】本発明の実施形態の積層シートの第1の例の第2の樹脂基板を剥離した後にガラス基板に貼合した状態を示す模式的断面図である。
【
図10】従来の積層シートの第2の樹脂基板の剥離方法を示す模式的平面図である。
【
図11】従来の積層シートの第2の樹脂基板の剥離方法を示す模式的平面図である。
【
図12】積層シートの他の例の製造方法の一例を工程順に示す模式的平面図である。
【
図13】積層シートの他の例の製造方法の一例を工程順に示す模式的断面図である。
【
図14】積層シートの他の例の製造方法の一例を工程順に示す模式的断面図である。
【
図15】積層シートの他の例の製造方法の他の例を工程順に示す模式的断面図である。
【
図16】積層シートの他の例の製造方法の他の例を工程順に示す模式的断面図である。
【
図17】積層シートの他の例の第2の樹脂基板の剥離方法を示す模式的断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、以下の実施形態は本発明を説明するための例示的なものであり、本発明は以下に示す実施形態に制限されることはない。なお、本発明の範囲を逸脱することなく、以下の実施形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
以下において、「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、以下において、「直交」及び「平行」は、特に記載がなければ、一般的に許容される誤差範囲を含む。
【0011】
本発明の積層シートの特徴点としては、第1の樹脂基板と中間層と第2の樹脂基板とが、この順で積層された積層シートであって、第1の樹脂基板と中間層とは形状及び大きさが同じであり、かつ積層されて積層部を構成し、第1の樹脂基板は、第1の樹脂基板の表面の法線方向から見た外形が四角形であり、第2の樹脂基板は、第1の樹脂基板及び中間層よりも面積が大きく、かつ第1の樹脂基板の表面の法線方向から見た場合、第1の樹脂基板の第1の辺と第2の辺とが直交して交わる頂点を含む角部において、第1の辺、頂点及び第2の辺の外縁から張り出す張出部を有し、張出部は、第1の辺から第1の辺と直交する第1の方向に張出部が張り出す長さが5mm以上20mm以下、張出部と第1の辺との交点から第1の辺と平行な方向における張出部の長さが10mm以上40mm以下、第2の辺から第2の辺と直交する第2の方向に張出部が張り出す長さが5mm以上20mm以下、張出部と第2の辺との交点から第2の辺と平行な方向における張出部の長さが10mm以上40mm以下であることにより、不要部として、第2の樹脂基板を剥離する際に、剥離欠点を抑制できることを知見している。これにより、所望の効果が得られる。
【0012】
<積層シートの第1の例>
図1は本発明の実施形態の積層シートの第1の例を示す模式的平面図であり、
図2は本発明の実施形態の積層シートの第1の例を示す模式的断面図である。
図2は
図1のA-A線による模式的断面図である。
図1は、第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た模式的平面図である。
図1に示す第1の例の積層シート10は、
図2に示すように第1の樹脂基板12と、中間層14と、第2の樹脂基板16とをこの順に積層されたものである。
積層シート10は、第2の樹脂基板16の表面16aに中間層14が配置され、中間層14の表面14aに第1の樹脂基板12が配置されている。
第1の樹脂基板12と中間層14とは形状及び大きさが同じであり、かつ積層されて積層部15を構成する。
【0013】
第1の樹脂基板12は、
図1に示すように、第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た外形が四角形である。
第2の樹脂基板16は、第1の樹脂基板12及び中間層14よりも面積が大きい。かつ第2の樹脂基板16は、第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た場合、第1の樹脂基板12の第1の辺13aと第2の辺13bとが直交して交わる頂点13eを含む角部12eにおいて、第1の辺13a、頂点13e及び第2の辺13bの外縁から張り出す張出部18を有する。すなわち、第2の樹脂基板16は、積層部15よりも面積が大きい。
【0014】
積層シート10では、
図1に示すように第1の樹脂基板12は、第1の辺13a、第2の辺13b、第3の辺13c及び第4の辺13dを有する。第1の辺13aと第3の辺13cとは同じ長さであり、かつ平行である。第2の辺13bと第4の辺13dとは同じ長さであり、かつ平行である。第1の辺13aと第2の辺13bとは直交している。また、第3の辺13cと第4の辺13dとは直交している。
図1に示す積層部15では、第1の辺13a及び第3の辺12cの長さL
1は、第2の辺13b及び第4の辺13dの長さL
2よりも短い。
なお、積層部15において、第1の辺13a及び第3の辺12cの長さL
1は、第2の辺13b及び第4の辺13dの長さL
2よりも長くてもよく、また、第1の辺13a及び第3の辺13cの長さL
1と、第2の辺13b及び第4の辺13dの長さL
2とは同じでもよい。第1の辺13a及び第3の辺13cの長さL
1と、第2の辺13b及び第4の辺13dの長さL
2とが同じ場合、第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た外形が正方形である。
【0015】
積層シート10は、
図2に示すように第2の樹脂基板16の張出部18の表面18a上は何もない構成である。
張出部18は、第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た外形が、例えば、
図1に示すように2つの四角形が結合した形状である。張出部18は、第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た外形が
図1に示すようにL字形状である。
【0016】
張出部18は、第1の辺13aから第1の辺13aと直交する第1の方向D1に張出部18が張り出す長さd1が5mm以上20mm以下、張出部18と第1の辺13aとの交点M1から第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd2が10mm以上40mm以下である。第2の辺13bから第2の辺13bと直交する第2の方向D2に張出部18が張り出す長さd3が5mm以上20mm以下、張出部18と第2の辺13bとの交点M2から第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd4が10mm以上40mm以下である。
なお、第1の辺13aと平行な方向は第2の方向D2であり、第2の辺13bと平行な方向は第1の方向D1である。
張出部18が張り出す長さd1及び張出部18が張り出す長さd3は、5mm~10mmが好ましい。
第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd2及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd4は、20mm~30mmが好ましい。
上述の張出部18が張り出す長さd1、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd2、張出部18が張り出す長さd3及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd4は、それぞれ張出部18が張り出す長さd1、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd2、張出部18が張り出す長さd3及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd4に相当する距離の任意の10箇所の距離の平均値である。
【0017】
張出部18は、張出部18が張り出す長さd1、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd2、張出部18が張り出す長さd3及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd4が上述の範囲にあれば、その形状は特に限定されるものではないが、加工しやすい形状等の加工性を考慮することが好ましい。
張出部18は、第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た外形は、輪郭を直線及び曲線のうち、少なくとも1つで構成することができる。なお、輪郭を構成する直線及び曲線の数は、特に限定されるものではなく、1つでもよく、複数でもよい。
また、張出部18は、第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た外形が、例えば、多角形、扇形、又は楕円扇形である。
【0018】
張出部18は、上述の張出部18が張り出す長さd1、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd2、張出部18が張り出す長さd3及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd4が、それぞれ上述の範囲を満たすことにより、凝集破壊等の剥離欠点の発生が抑制され、かつ積層シートを搬送等のハンドリングの際に、積層シートの剥離が抑制される。
なお、上述の張出部18が張り出す長さd1、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd2、張出部18が張り出す長さd3及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd4が、それぞれ上限値を越えた場合、積層シートの搬送等のハンドリングの際に意図せず積層シートが剥離され、その結果、凝集破壊等の剥離欠点が発生する。
また、上述の張出部18が張り出す長さd1、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd2、張出部18が張り出す長さd3及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd4が、それぞれ下限値未満の場合、凝集破壊等の剥離欠点が発生する。
【0019】
積層シート10は、第2の樹脂基板16に上述の張出部18を設けることにより、第2の樹脂基板16を、例えば、張出部18がある角部12eの対角の位置にある角部12eから、張出部18がある角部12eに向う方向Dpに剥離した場合、張出部18がある角部12eが剥離終端部とはならない。このため、凝集破壊等の剥離欠点が、張出部18がある角部12eで発生することが抑制される。
凝集破壊により、中間層14が脱落するが、脱落した中間層14は工程内汚染に繋がるが、このようなことも抑制される。すなわち、工程内汚染も抑制できる。
【0020】
<積層シートの第2の例~第4の例>
図3は本発明の実施形態の積層シートの第2の例を示す模式的平面図であり、
図4は本発明の実施形態の積層シートの第2の例を示す模式的断面図である。
図5は本発明の実施形態の積層シートの第3の例を示す模式的平面図である。
図6は本発明の実施形態の積層シートの第4の例を示す模式的平面図である。
図3、
図5及び
図6は、第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た模式的平面図である。
図4は
図3のB-B線による模式的断面図である。
なお、
図3~
図6において、
図1及び
図2に示す積層シート10と同一構成物には、同一符号付して、その詳細な説明は省略する。
【0021】
図3に示す第2の例の積層シート11は、
図1及び
図2に示す積層シート10に比して、
図4に示すように第2の樹脂基板16の張出部18の表面18a上に、積層部15と分離して配置され、中間層14とは別の中間層19a及び第1の樹脂基板12とは別の第1の樹脂基板19bとが、この順で積層されていることが異なり、それ以外の構成は、
図1及び
図2に示す積層シート10と同様の構成である。別の中間層19a及び別の第1の樹脂基板19bで積層体19が構成される。
【0022】
図3に示す積層シート11では、積層部15と積層体19とが切込み線17で分離されている。すなわち、別の中間層19a及び別の第1の樹脂基板19bは、切込み線17により、積層部15と分離されている。
切込み線17は、
図4に示すように第1の樹脂基板12と中間層14とを貫通し、かつ第2の樹脂基板16の厚み方向の途中まで達する。切込み線17は、第1の樹脂基板12と中間層14とに対してはフルカットであり、第2の樹脂基板16に対してハーフカットである。
別の中間層19aは、切込み線17により上述の中間層14と分離されているため、中間層14と同じであってもよいが、上述の中間層14と異なるものであってもよい。また、別の第1の樹脂基板19bは、切込み線17により上述の第1の樹脂基板12と分離されているため、第1の樹脂基板12と同じであってもよいが、上述の第1の樹脂基板12と異なるものであってもよい。
積層シート11では、第2の樹脂基板16を剥離する場合、第2の樹脂基板16を剥離する前に、張出部18の表面18a上の積層体19を剥離する。積層体19を剥離すると、
図1及び
図2に示す積層シート10の状態になる。積層体19を剥離した後に、
図1及び
図2に示す積層シート10と同様に第2の樹脂基板16を剥離する。
積層シート11では、
図1及び
図2に示す積層シート10と同様に、凝集破壊等の剥離欠点が発生することが抑制され、工程内汚染も抑制できる。
【0023】
図5に示す第3の例の積層シート11aは、
図1及び
図2に示す積層シート10に比して、第2の樹脂基板16の張出部18の第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た外形が扇形であることが異なり、それ以外の構成は、
図1及び
図2に示す積層シート10と同様の構成である。
張出部18は、上述の外形が第1の樹脂基板12の頂点13eを中心とした半径rの扇形である。張出部18は、第1の辺13aと第2の辺13bとが直交して交わる頂点13eを含む角部12eを囲んでいる。扇形の中心を通る最大の長さd
5は半径rの2倍である。積層シート11aでは、最大の長さd
5が10mm以上40mm以下である。
半径rが上述の第1の方向D
1に張出部18が張り出す長さd
1、及び上述の第2の方向D
2に張出部18が張り出す長さd
3に相当する。
張出部18の最大の長さd
5が、上述の第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd
2、及び上述の第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd
4に相当する。
なお、張出部18の最大の長さd
5が、10mm以上40mm以下であるため、半径rは5mm以上20mm以下となる。
積層シート11aでは、張出部18の外形が扇形であるが、楕円扇形でもよい。
【0024】
図6に示す第4の例の積層シート11bは、
図1及び
図2に示す積層シート10に比して、第2の樹脂基板16の張出部18の第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向から見た外形が異なり、それ以外の構成は、
図1及び
図2に示す積層シート10と同様の構成である。
積層シート11bの張出部18の外形は、輪郭が第1の辺13aから延びた円弧状の曲線20aと、この曲線20aに接続され第1の辺13aに平行な直線20bと、第2の辺13bから延びた円弧状の曲線20cと、この曲線20cに接続され第2の辺13bに平行な直線20dとを有し、第1の辺13aに平行な直線20bと、第1の辺13aに平行な直線20dとが接続されて構成されている。円弧状の曲線20aと円弧状の曲線20cとは同じである。また、直線20bと直線20dとは同じ長さである。
第1の方向D
1における第1の辺13aと直線20bとの距離が上述の張出部18が張り出す長さd
1である。張出部18の曲線20aと第1の辺13aとの交点M
1から直線20bと直線20dとの交点20e迄の、第1の辺13aと平行な方向における距離が上述の張出部18の長さd
2である。
第2の方向D
2における第2の辺13bと直線20dとの距離が上述の張出部18が張り出す長さ
3である。曲線20cと第2の辺13bとの交点M
2から交点20e迄の、第2の辺13bと平行な方向における距離が上述の張出部18の長さd
4である。
【0025】
図5に示す積層シート11a及び
図6に示す第4の例の積層シート11bにおいても、
図1及び
図2に示す積層シート10と同様に第2の樹脂基板16を剥離する。この場合、
図1及び
図2に示す積層シート10と同様に、凝集破壊等の剥離欠点が発生することが抑制され、工程内汚染も抑制できる。
また、
図5に示す積層シート11a及び
図6に示す第4の例の積層シート11bにおいても、
図4に示す積層シート11のように、張出部18の表面18a上に、中間層14と第1の樹脂基板12とが、この順で積層された積層体19がある構成でもよい。
【0026】
<積層シートの剥離方法>
図7は本発明の実施形態の積層シートの第1の例の剥離方法を示す模式的平面図であり、
図8は本発明の実施形態の積層シートの第1の例の剥離方法を示す模式的断面図である。
図8は
図7のC-C線による模式的断面図である。
積層シートの剥離方法では、第2の樹脂基板16を張出部18の対角の方から張出部18に向かって剥離する。
図7及び
図8に示すように、第1の樹脂基板12の表面12aを吸着テーブル30の表面30aに向けて、積層シート10を吸着テーブル30の表面30aに載置する。そして、吸着テーブル30が積層シート10を吸引して積層シート10を固定する。
このとき、張出部18と、吸着テーブル30との間にマスク32が設けられている。マスク32により、張出部18と吸着テーブル30との接触が抑制される。
【0027】
マスク32は、例えば、粘着テープが用いられる。粘着テープを用いることにより、積層シートの形状に応じた位置にマスクを配置できる。
マスク32は、上述の粘着テープ以外に、例えば、PETフィルムシート等を積層シート10よりも少し大きいサイズに繰り抜いたものを用いることができる。マスク32として上述のPETフィルムシート等を吸着テーブル30に載置する。
また、マスク32を設けることなく、例えば、吸着テーブル30の吸着穴パターンを積層シート10と同じにしてもよい。また、吸着テーブル30で積層シート10を吸着する時に使用する吸着穴を積層シート10形状に合わせて使い分けてもよい。
マスク32と積層部15との距離dmは、0mmより大きく、5mm以下が好ましく、上限は2mm以下がより好ましい。
距離dmは、距離dmに相当する任意の10箇所の距離の平均値である。
なお、距離dmが5mmを超える場合、第2の樹脂基板16を剥離するときに、積層シート10全体がずれることがある。また、第2の樹脂基板16を剥離するときにリークが大きくなり、積層シート10を十分に吸引固定できなくなることがある。その結果、積層シート10にカールが付いている場合、又は積層シート10の剛性が低い場合、積層シート10に皺又はカールが出現し、ガラス基板への貼合時に不具合が生じる。
【0028】
マスク32の厚みtmは、例えば、積層部15の厚みと同じである。このため、第1の樹脂基板12と中間層14との、それぞれの厚みにより、マスク32の厚みtmが決定される。
マスク32の厚みtmが厚いと、積層シート10を吸引するときに、中間層14と第2の樹脂基板16との界面で剥離が生じ、剥離欠点が発生する可能性がある。剥離欠点が発生すると、剥がれ部分にパーティクルが付着して貼合欠点につながる。
なお、上述の距離dm、及びマスク32の厚みtmが適切である場合、第2の樹脂基板16と中間層14とが意図せずに剥離することがなく、第2の樹脂基板16を意図的に剥がすときに、積層シート10がズレずに剥離できる。このため、剥離欠点がなく、位置決め精度も良く、ガラス基板に貼合できる。
マスク32の厚みtmは、5点以上の任意の位置におけるマスク32の厚みを接触式膜厚測定装置で測定し、それらを算術平均したものである。
【0029】
次に、張出部18側の第1の樹脂基板12の角部12eに対して対角にある角部12eから、張出部18側の角部12eに向う方向Dpに、第2の樹脂基板16を剥離する。このとき、張出部18側の角部12eが剥離終端部なる。この剥離終端部に相当する、中間層14の裏面14bの領域に凝集破壊等の剥離欠点が発生することがない。中間層14には剥離欠点がない。
第2の樹脂基板16を剥離した後、露出した中間層14の裏面14bを、ガラス基板22に貼合する。このとき、中間層14には剥離欠点がないため、ガラス基板22に貼合した後に、貼合不良が生じない。なお、剥離欠点はガラス貼合した時に貼合不良として視認される。
【0030】
ここで、
図10及び
図11は、従来の積層シートの第2の樹脂基板の剥離方法を工程順に示す模式的平面図である。
なお、
図10及び
図11において、
図1及び
図2に示す積層シート10と同一構成物には、同一符号付して、その詳細な説明は省略する。
図10に示すように従来の積層シート100は、張出部18がない構成であり、外形が四角形である。第1の樹脂基板12(図示せず)を吸着テーブル30の表面30aに向けて、従来の積層シート100を吸着テーブル30の表面30aに載置する。そして、吸着テーブル30が従来の積層シート100を吸引して従来の積層シート100を固定する。
この固定された状態で、従来の積層シート100において、第2の樹脂基板16を、角部100eから対角の角部100fに向う方向に剥離する。角部100fが剥離終端部である。
剥離後、剥離終端部に相当する中間層14の裏面14bの角部14eに凝集破壊による剥離欠点102が発生する。
剥離欠点102が発生した中間層14を、
図9に示すガラス基板22に貼合した場合、剥離欠点102は貼合不良として視認される。
【0031】
(積層シートの他の例)
図12~
図14は積層シートの他の例の製造方法の一例を工程順に示す模式的平面図である。
図15及び
図16は積層シートの他の例の製造方法の他の例を工程順に示す模式的断面図である。
図17は積層シートの他の例の第2の樹脂基板の剥離方法を示す模式的断面図である。
なお、
図12~
図17において、
図1及び
図2に示す積層シート10と同一構成物には、同一符号付して、その詳細な説明は省略する。
図12及び
図13に示すように、第2の樹脂基板16、中間層14及び第1の樹脂基板12が、この順で積層された積層材40を用意する。
積層材40は、例えば、第1の樹脂基板12の裏面12bに、スピンコート又はダイコートを用いて中間層14を形成する。次に、第2の樹脂基板16を中間層14の裏面14bに貼合する。上述の中間層14の形成は枚葉式でも、ロールツーロール方式でもよい。
次に、積層材40の第1の樹脂基板12側から切込み線17を、四角形の枠状に形成する。切込み線17で囲まれた領域41が製品となり、切込み線17の外側の領域42が不要部である。切込み線17の外側の領域42は、不要部として取り除かれる。
切込み線17は、
図13に示すように第1の樹脂基板12及び中間層14を貫通しており、第2の樹脂基板16には達していない。切込み線17は、第1の樹脂基板12と中間層14とに対してはフルカットである。切込み線17は、例えば、レーザー又は打抜きにより形成できる。
切込み線17の幅δは、10mm以上20mm以下が好ましい。切込み線17の幅δが10mm以上20mm以下であれば、上述の剥離欠点の発生が抑制され、かつハンドリング時に意図せずに第1の樹脂基板12又は第2の樹脂基板16が剥離することも抑制される。
【0032】
次に、
図14に示すように、切込み線17の外側の領域42(
図13参照)が取り除かれ、積層シート44が得られる。積層シート44は、第1の樹脂基板12と中間層14とが同じ大きさであり、外形が四角形である。第2の樹脂基板16が第1の樹脂基板12及び中間層14よりも大きく、外形が四角形である。第1の樹脂基板12と中間層14と第2の樹脂基板16とは互いに各辺を平行にして配置されている。
また、積層シート44では、第2の樹脂基板16の表面16aが一部露出している。
積層シート44は、第2の樹脂基板16が剥離されて、露出した中間層14の裏面14bに
図9に示すようにガラス基板22が貼合される。
【0033】
また、
図15に示すように第1の樹脂基板12の裏面12bに、スピンコート又はダイコートを用いて中間層14を形成する。このとき、第1の樹脂基板12と中間層14とは同じ大きさである。
次に、
図16に示すように、第1の樹脂基板12及び中間層14よりも面積が大きな第2の樹脂基板16を、中間層14の裏面14bに貼合する。これにより、積層シート44が得られる。
図16に示す積層シート44も、第2の樹脂基板16が剥離されて、露出した中間層14の裏面14bに
図9に示すようにガラス基板22が貼合される。
【0034】
積層シート44の第2の樹脂基板16を剥離する場合、
図17に示すように、第1の樹脂基板12を吸着テーブル30の表面30aに向けて、積層シート44を吸着テーブル30の表面30aに載置する。第2の樹脂基板16と吸着テーブル30との間にマスク32を配置した。そして、吸着テーブル30が積層シート44を吸引して積層シート44を固定する。なお、マスク32の配置は、上述の
図8に示すマスク32と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
図17に示す積層シート44が吸着テーブル30に固定された状態で、積層シート44において、第2の樹脂基板16を、対角線(図示せず)に対して対向する一方の角部(図示せず)から他方の角部(図示せず)に向う方向に剥離する。このとき、他方の角部が剥離終端部である。
第2の樹脂基板16は、第1の樹脂基板12及び中間層14よりも面積が大きいため、中間層14の端が剥離終端にならない。このため、第2の樹脂基板16を剥離する際に上述の
図11に示す剥離欠点102の発生が抑制される。
なお、第2の樹脂基板16を剥離する際の積層シートの固定は、上述の吸着テーブル30に限定されるものではなく、静電チャックでもよい。
【0035】
以下、積層シート10を構成する第1の樹脂基板12、中間層14及び第2の樹脂基板16について詳述する。
【0036】
(第1の樹脂基板及び第2の樹脂基板)
第1の樹脂基板12及び第2の樹脂基板16は、中間層14を保護するものであり、保護層として機能するものであり、保護フィルムとも呼ばれる。また、第1の樹脂基板12及び第2の樹脂基板16は、ガラス基板への貼合の際に、いずれかが中間層14から剥離される。このため、第1の樹脂基板12及び第2の樹脂基板16のうち、中間層14から剥離されるものは離型フィルムとも呼ばれる。
第1の樹脂基板12及び第2の樹脂基板16を構成する材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリオレフィン樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、ポリウレタン樹脂が挙げられる。なかでも、ポリエステル樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)がより好ましい。このため、第1の樹脂基板12及び第2の樹脂基板16は、ポリエチレンテレフタレート基板であることがより好ましい。
【0037】
第1の樹脂基板12及び第2の樹脂基板16の厚みは、外部から受けた力の影響を低減するために、20μm以上が好ましく、30μm以上がより好ましく、50μm以上がさらに好ましい。第1の樹脂基板12及び第2の樹脂基板16の厚みの上限値としては、500μm以下が好ましく、300μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。
【0038】
(中間層)
中間層14は、第1の樹脂基板12及び第2の樹脂基板16の間に設けられる。
中間層14は、中間層14上にポリイミド膜(図示せず)が配置された場合、ポリイミド膜の剥離を防止するための膜である。
【0039】
中間層14は、有機層であっても、無機層であってもよい。
有機層の材質としては、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂、フッ素樹脂が挙げられる。また、いくつかの種類の樹脂を混合して中間層14を構成することもできる。
無機層の材質としては、例えば、酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、炭窒化物、珪化物、弗化物が挙げられる。酸化物(好ましくは、金属酸化物)、窒化物(好ましくは、金属窒化物)、酸窒化物(好ましくは、金属酸窒化物)としては、例えば、Si、Hf、Zr、Ta、Ti、Y、Nb、Na、Co、Al、Zn、Pb、Mg、Bi、La、Ce、Pr、Sm、Eu、Gd、Dy、Er、Sr、Sn、In及びBaから選ばれる1種以上の元素の酸化物、窒化物、酸窒化物が挙げられる。
炭化物(好ましくは、金属炭化物)、炭窒化物(好ましくは、金属炭窒化物)としては、例えば、Ti、W、Si、Zr、及び、Nbから選ばれる1種以上の元素の炭化物、炭窒化物、炭酸化物が挙げられる。
珪化物(好ましくは、金属珪化物)としては、例えば、Mo、W、及び、Crから選ばれる1種以上の元素の珪化物が挙げられる。
弗化物(好ましくは、金属弗化物)としては、例えば、Mg、Y、La、及び、Baから選ばれる1種以上の元素の弗化物が挙げられる。
【0040】
中間層14は、プラズマ重合膜であってもよい。
中間層14がプラズマ重合膜である場合、プラズマ重合膜を形成する材料は、CF4、CHF3、C2H6、C3H6、C2H2、CH3F、C4H8等のフルオロカーボンモノマー、メタン、エタン、プロパン、エチレン、プロピレン、アセチレン、ベンゼン、トルエン等のハイドロカーボンモノマー、水素、SF6等が挙げられる。
【0041】
なかでも、耐熱性や剥離性の点から、中間層14の材質として、シリコーン樹脂、ポリイミドシリコーン樹脂が好ましく、シリコーン樹脂がより好ましく、縮合反応型シリコーンより形成されるシリコーン樹脂がより好ましい。
以下では、中間層14がシリコーン樹脂層である態様について詳述する。
【0042】
シリコーン樹脂とは、所定のオルガノシロキシ単位を含む樹脂であり、通常、硬化性シリコーンを硬化させて得られる。硬化性シリコーンは、その硬化機構により付加反応型シリコーン、縮合反応型シリコーン、紫外線硬化型シリコーン及び電子線硬化型シリコーンに分類されるが、いずれも使用できる。なかでも、縮合反応型シリコーンが好ましい。
縮合反応型シリコーンとしては、モノマーである加水分解性オルガノシラン化合物若しくはその混合物(モノマー混合物)、又は、モノマー又はモノマー混合物を部分加水分解縮合反応させて得られる部分加水分解縮合物(オルガノポリシロキサン)を好適に用いることができる。
この縮合反応型シリコーンを用いて、加水分解・縮合反応(ゾルゲル反応)を進行させることにより、シリコーン樹脂を形成できる。
【0043】
中間層14は、硬化性シリコーンを含む硬化性組成物を用いて形成されることが好ましい。
硬化性組成物は、硬化性シリコーンのほかに、溶媒、白金触媒(硬化性シリコーンとして付加反応型シリコーンを用いる場合)、レベリング剤、金属化合物等を含んでいてもよい。金属化合物に含まれる金属元素としては、例えば、3d遷移金属、4d遷移金属、ランタノイド系金属、ビスマス(Bi)、アルミニウム(Al)、スズ(Sn)が挙げられる。金属化合物の含有量は、特に制限されず、適宜調整される。
【0044】
中間層14は、ヒドロキシ基を有することが好ましい。中間層14のシリコーン樹脂を構成するSi-O-Si結合の一部が切れて、ヒドロキシ基が現れ得る。また、縮合反応型シリコーンを用いる場合には、そのヒドロキシ基が、中間層14のヒドロキシ基になり得る。
【0045】
中間層14の第1の樹脂基板12の表面12aの法線方向の厚みは、50μm以下が好ましく、30μm以下がより好ましく、12μm以下がさらに好ましい。一方、中間層14の厚みは、1μm超が好ましく、異物埋め込み性がより優れる点で、6μm以上がより好ましい。上記厚みは、5点以上の任意の位置における中間層14の厚みを接触式膜厚測定装置で測定し、それらを算術平均したものである。
なお、異物埋め込み性に優れるとは、中間層14と他の基板等の間に異物があっても、中間層14によって異物が埋め込まれことを意味する。異物の埋め込み性が優れると、中間層に異物による凸部が生じにくく、ポリイミド膜上に電子デバイス用部材を形成した際に、凸部による電子デバイス用部材中での断線等のリスクが抑制される。なお、上記凸部の発生の際に形成される空隙が気泡として観察されるため、気泡の発生の有無により異物埋め込み性を評価できる。
【0046】
ここで、例えば、ガラス基板(図示せず)上にポリイミド膜を形成し、高温熱処理を行うと、ポリイミド膜が黄変するため、透明な電子デバイスへの適用が難しくなる。ところが、メカニズムは不明だが、ガラス基板上に中間層14を形成し、中間層14上にポリイミド膜を形成することで、高温熱処理によるポリイミド膜の黄変を抑制できる。
【0047】
(ガラス基板)
中間層14が貼合されるガラス基板22は、第1の樹脂基板12及び中間層14を支持して補強する部材である。また、ガラス基板22は搬送基板として機能する。
ガラスの種類としては、無アルカリホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、ソーダライムガラス、高シリカガラス、その他の酸化ケイ素を主な成分とする酸化物系ガラスが好ましい。酸化物系ガラスとしては、酸化物換算による酸化ケイ素の含有量が40~90質量%のガラスが好ましい。
ガラス板として、より具体的には、無アルカリホウケイ酸ガラスからなるガラス板(AGC株式会社製商品名「AN100」、及び線膨張係数38×10-7/℃、AGC株式会社製 商品名「AN-Wizus」)が挙げられる。
ガラス板の製造方法は、通常、ガラス原料を溶融し、溶融ガラスを板状に成形して得られる。このような成形方法は、一般的なものであってよく、例えば、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法が挙げられる。
ガラス基板22は、フレキシブルでないことが好ましい。そのため、ガラス基板22の厚みは、0.3mm以上が好ましく、0.5mm以上がより好ましい。
一方、ガラス基板22の厚みは、1.0mm以下が好ましい。
ガラス基板22は、表面粗さRaが0.4nm未満が好ましく、0.25nm未満がより好ましい。ガラス基板22の表面租度が大きいと、シリコーン樹脂層とガラス基板表面との接触面積が増え、ガラス基板からシリコーン樹脂層に水分子が移行しやすくなり、ポリイミド樹脂層が黄変しやすくなる。そのため、ガラス基板22の表面粗度は一定値以下であることが好ましい。
【0048】
ガラス基板22は、ガラス基板22の表面の法線方向から観察した際の形状は、特に制限されず、四角形でも円形でもよいが、四角形が好ましい。
【0049】
ガラス基板22は、中間層14及び第1の樹脂基板12よりも大きく、ガラス基板22の表面には中間層14及び第1の樹脂基板12が配置されていない周辺領域があり、ガラス基板22の周縁領域の表面は露出している。
ガラス基板22の周縁領域の幅は特に制限されないが、1mm~30mmが好ましく、3mm~10mmがより好ましい。周縁領域の幅とは、第1の樹脂基板12の外周縁からガラス基板22の外縁までの距離に該当する。
ガラス基板22の周縁領域の幅が30mm以下であれば、電子デバイス等を形成する際の有効面積がより広くなり、電子デバイスの作製効率が向上する。また、周縁領域の幅が1mm以上であることにより、中間層14上にポリイミド膜を作製する場合に、ポリイミド膜の剥離がより生じにくくなる。
【0050】
(積層体の用途)
貼合により得られた積層体は、種々の用途に使用でき、例えば、後述する表示装置用パネル、PV、薄膜2次電池、表面に回路が形成された半導体ウエハ、受信センサーパネル等の電子部品を製造する用途が挙げられる。これらの用途では、積層体が大気雰囲気下にて、高温条件(例えば、450℃以上)で曝される(例えば、20分以上)場合もある。
表示装置用パネルは、LCD、OLED(Organic Light Emitting Diode)、電子ペーパー、プラズマディスプレイパネル、フィールドエミッションパネル、量子ドットLED(Light Emitting Diode)パネル、マイクロLEDディスプレイパネル、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)シャッターパネル等を含む。
受信センサーパネルは、電磁波受信センサーパネル、X線受光センサーパネル、紫外線受光センサーパネル、可視光線受光センサーパネル、及び赤外線受光センサーパネル等を含む。受信センサーパネルに用いる基板は、樹脂等の補強シート等によって補強されていてもよい。
【実施例0051】
以下に、実施例等により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって制限されるものではない。
以下に示す例1~7のうち、例1~5は実施例であり、例6及び7は比較例である。
【0052】
[積層シートの作製]
<硬化性シリコーンの調製>
1L(リットル)のフラスコに、トリエトキシメチルシラン(179g)、トルエン(300g)、酢酸(5g)を加えて、混合物を25℃で20分間撹拌後、さらに、60℃に加熱して12時間反応させて、反応粗液を得た。
得られた反応粗液を25℃に冷却後、水(300g)を用いて、反応粗液を3回洗浄した。洗浄された反応粗液にクロロトリメチルシラン(70g)を加えて、混合物を25℃で20分間撹拌後、さらに、50℃に加熱して12時間反応させた。得られた反応粗液を25℃に冷却後、水(300g)を用いて、反応粗液を3回洗浄した。
洗浄された反応粗液からトルエンを減圧留去し、スラリー状態にした後、真空乾燥機で終夜乾燥することにより、白色のオルガノポリシロキサン化合物である硬化性シリコーン1を得た。
硬化性シリコーン1は、M単位とT単位とのモル比が13:87、有機基は全てメチル基、平均OX基数が0.02であった。M単位は(R)3SiO1/2で表されるオルガノシロキシ単位を意味し、T単位はRSiO3/2で表されるオルガノシロキシ単位を意味し、各式におけるRは水素原子又は有機基を表す。平均OX基数は、Si原子1個に平均で何個のOX基(Xは水素原子又は炭化水素基)が結合しているかを表した数値である。
【0053】
<硬化性組成物の調製>
硬化性シリコーン1(20g)と、金属化合物としてオクチル酸ジルコニウム化合物(「オルガチックスZC-200」、マツモトファインケミカル株式会社製)(0.16g)と、2-エチルヘキサン酸セリウム(III)(Alfa Aesar社製、金属含有率12質量%)(0.17g)、溶媒としてIsoper G(東燃ゼネラル石油株式会社製)(19.7g)とを混合し、得られた混合液を、孔径0.45μmのフィルタを用いてろ過することにより、硬化性組成物1を得た。
【0054】
<例1 積層シート>
第1の樹脂基板(離型フィルム)としてPETフィルム(東洋紡株式会社製、東洋紡エステル(登録商標)フィルム HPE、厚さ50μm)を準備し、この第1の樹脂基板の表面上に調製した硬化性組成物1を塗布し、ホットプレートを用いて140℃で10分間加熱することにより、第1の樹脂基板(離型フィルム)上にシリコーン樹脂層を形成した。
シリコーン樹脂層の上に第2の樹脂基板(保護フィルム)として、PETフィルム(東洋紡株式会社製、エステル(登録商標)フィルム HPE、厚さ50μm)を貼合した。次に、打抜き機を用いて、サイズ912(L
2)mm×722(L
1)mmの1つの角部にL字形状の張出部が形成されるように切断した。
張出部を、第1の方向D
1に張出部が張り出す長さd
1、及び第2の方向D
2に張出部が張り出す長さd
3が10mmとなるように、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd
2、及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd
4が20mmとなるように形成した。
第1の樹脂基板(離型フィルム)であるPETフィルム側から刃物を用いて、第1の樹脂基板(離型フィルム)であるPETフィルム及びシリコーン樹脂層(中間層)をフルカット切断し、第2の樹脂基板(保護フィルム)であるPETフィルムを、その厚みの途中までハーフカット切断した。刃物を用いた積層シートのハーフカットの切断方式のことを「打抜き方式」とする。
このようにして、第1の樹脂基板(離型フィルム)、シリコーン樹脂層(中間層)及び第2の樹脂基板(保護フィルム)がこの順に積層された積層シート1を得た。得られた積層シート1の厚さは、110μmであった。例1は張出部が
図1に示す形状である。
なお、第1の方向D
1に張出部が張り出す長さd
1、及び第2の方向D
2に張出部が張り出す長さd
3のことを、下記表1では「張出部の張り出す長さd
1、d
3」とした。
また、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd
2、及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd
4のことを、下記表1では「張出部の長さd
2、d
4」とした。
【0055】
<例2~7>
上記切断の際に、積層シートの寸法と、積層シートの張出部の外形及びサイズ、積層シートのハーフカットの切断方式を、下記表1に示す例2~8の関係となるように、積層シートを切断した以外は、上記例1と同様の手順に従って積層シートを得た。
なお、下記表1において「‐」と記されている場合、該当するものがないことを示す。
例2は、張出部が
図1に示す形状である。
例2は、打抜き機ではなく、レーザー加工機を用いて、サイズ912(L
2)mm×722(L
1)mmの1つの角部にL字形状の張出部が形成されるように切断した。張出部を、第1の方向D
1に張出部が張り出す長さd
1、及び第2の方向D
2に張出部が張り出す長さd
3が10mmとなるように、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd
2、及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd
4が20mmとなるように形成した。
第1の樹脂基板(離型フィルム)であるPETフィルム側から、レーザー加工機を用いて、第1の樹脂基板(離型フィルム)であるPETフィルム及びシリコーン樹脂層(中間層)をフルカット切断し、第2の樹脂基板(保護フィルム)であるPETフィルムを、その厚みの途中までハーフカット切断した。レーザー加工機を用いた積層シートのハーフカットの切断方式のことを「レーザー方式」とする。
レーザー加工機には、CO
2リニアモーションプロッターレーザーを用いた。
【0056】
例3は、張出部が
図1に示す形状である。
例3では、積層シート1をレーザー加工機を用いて、サイズ912(L
2)mm×722(L
1)mmの1つの角部にL字形状の張出部が形成されるように切断した。張出部を、第1の方向D
1に張出部が張り出す長さd
1、及び第2の方向D
2に張出部が張り出す長さd
3が20mmとなるように、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd
2、及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd
4が40mmとなるように形成した。
例4は、張出部が
図5に示す形状である。
例4では、積層シート1をレーザー加工機を用いて、サイズ912(L
2)mm×722(L
1)mmの1つの角部に扇形状の張出部が形成されるように切断した。張出部を、
図5に示す最大の長さd
5が20mmとなるように形成した。
【0057】
例5は、張出部が
図6に示す形状である。例5については、下記表1の「張出部の外形」の欄に「‐」と記した。
例5では、積層シート1をレーザー加工機を用いて、サイズ912(L
2)mm×722(L
1)mmの1つの角部に
図6に示す外形の張出部が形成されるように切断した。張出部を、第1の方向D
1に張出部が張り出す長さd
1、及び第2の方向D
2に張出部が張り出す長さd
3が5mmとなるように、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd
2、及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd
4が20mmとなるように形成した。
【0058】
例6は、張出部がない構成である。例6では、積層シート1をレーザー加工機を用いて、サイズ912(L
2)mm×722(L
1)mmに切断した。
なお、例6については、下記表1の「張出部の外形」の欄に「‐」と記した。
例7は、張出部が
図1に示す形状である。
例7では、積層シート1をレーザー加工機を用いて、サイズ912(L
2)mm×722(L
1)mmの1つの角部にL字形状の張出部が形成されるように切断した。張出部を、第1の方向D
1に張出部が張り出す長さd
1、及び第2の方向D
2に張出部が張り出す長さd
3が25mmとなるように、第1の辺13aと平行な方向における張出部18の長さd
2、及び第2の辺13bと平行な方向における張出部18の長さd
4が50mmとなるように形成した。
【0059】
<張出部の離型フィルムのPETフィルムとシリコーン樹脂層の剥離>
例1~5と例7は、積層シート1を離型フィルムのPETフィルムが上になるように吸着テーブルに載置し、積層シート1の張出部にメンディングテープ(3M社製スコッチ、CM-12)を貼り付けた。その後、手で、メンディングテープを引っ張り離型フィルムのPETフィルムとシリコーン樹脂層を剥離した。
【0060】
<ハンドリング性の評価>
離型フィルムのPETフィルムとシリコーン樹脂層を剥離した積層シート1の短辺側を両手で持ち、テーブルから持ち上げて、さらにテーブルに置いて、積層シート1の角部を蛍光灯下で観察した。観察の結果に基づいて、以下の評価基準にしたがって剥離欠点の評価を行った。結果を下記表1に示す。
A:積層シート1の角部に剥離欠点が視認されない。
B:積層シート1の角部に剥離欠点が視認された。
【0061】
<保護フィルムのPETフィルムの剥離>
精密枚葉貼合機(クライムプロダクツ株式会社製、SE1208aa)のナイロンメッシュ表面にシリコーンフィルム粘着テープ(株式会社日本マクセル社製、626001-NB-20-50X50)をナイロンメッシュ中央部の916mm×726mmを空け、その外周部が粘着テープでマスクされるように貼り付けた。離型フィルムのPETフィルムとシリコーン樹脂層を剥離した積層シート1をメッシュのマスクがなされていない916mm×726mmの内側に離型フィルムのPETフィルムが接するように載置し、ナイロンメッシュを吸引し、積層シート1を固定した。
例1~5と例7は積層シート1の張出部の対角に位置する保護フィルムのPETにメンディングテープ(3M社製スコッチ、CM-12)を貼り付けて、張出部の位置する方向に向かって剥離した。
例6は任意の積層シート1の角にメンディングテープを貼り付けて、保護フィルムのPETフィルムを剥離した。
【0062】
<剥離欠点の評価>
積層シートから第2の樹脂基板(保護フィルム)であるPETフィルムを剥離し、第2の樹脂基板(保護フィルム)の剥離終端部を蛍光灯下で観察した。観察の結果に基づいて、以下の評価基準にしたがって剥離欠点の評価を行った。剥離欠点の結果を下記表1に示す。
剥離欠点とは、シリコーン樹脂層(中間層)と第2の樹脂基板(保護フィルム)の界面で剥離されず、シリコーン樹脂層(中間層)の内部で破壊が起きて生じる欠点のことである。第2の樹脂基板(保護フィルム)を剥離する際に、この剥離不具合が起こると、第2の樹脂基板(保護フィルム)の表面にシリコーン樹脂層(中間層)が付着する。剥離欠点(付着したシリコーン樹脂層(中間層))は、蛍光灯下で視認される。
評価基準
A:第2の樹脂基板(保護フィルム)の剥離終端部に剥離欠点が視認されない。
B:第2の樹脂基板(保護フィルム)の剥離終端部に剥離欠点が視認された。
【0063】
<積層体の作製>
水系ガラス洗浄剤(株式会社パーカーコーポレーション製「PK―LCG213」)で洗浄後、純水で洗浄した920mm×730mm、厚み0.5mmのガラス基板「AN Wizus」(支持基板、ヤング率85GPa)と、離型フィルムのPETフィルムとシリコーン樹脂層が剥離された積層シート1から保護フィルムのPETフィルムを剥離し、積層シート1のシリコーン樹脂層が形成された離型フィルムのPETフィルムとガラス基板を、精密枚葉貼合機(クライムプロダクツ株式会社製、SE1208aa)を用いて貼合して、ガラス基板、シリコーン樹脂層及びPETフィルムがこの順で配置された積層体を作製した。
ハンドリング性の評価又は剥離欠点の評価で積層シート1に剥離欠点が視認された例6と7では、積層体でも同じ位置にシリコーン樹脂とガラス基板の未接着の欠点が視認された。
【0064】
【0065】
表1に示す例1~例7の比較から、例1~5は、例6、7に比して剥離欠点がなく剥離評価が良好であった。
例6は、張出部がない構成であり、剥離欠点が発生した。
例7は、張出部が大きく、ハンドリング性が悪かった。
なお、上述のようにハンドリング性の評価又は剥離欠点の評価で積層シート1に剥離欠点が視認された例6と7では、積層体でも同じ位置にシリコーン樹脂とガラス基板の未接着の欠点が視認された。