(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074492
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240524BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20240524BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G09F9/00 302
H05K5/02 A
B60R11/02 C
G09F9/00 350Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185676
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】倉知 佑介
【テーマコード(参考)】
3D020
4E360
5G435
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BC03
3D020BD05
4E360AB02
4E360AB05
4E360AB06
4E360AB51
4E360EA03
4E360EA14
4E360GA12
4E360GA14
4E360GB99
4E360GC02
4E360GC08
5G435AA07
5G435EE02
5G435EE07
5G435GG42
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】容易な構造でカバーガラスを衝撃から保護すること。
【解決手段】実施形態に係る表示装置は、カバーガラスと、フロントエスカッションと、LCDホルダと、補強パーツと、を有する。カバーガラスは、ディスプレイの表示面を覆う。フロントエスカッションは、カバーガラスの周縁部を、ディスプレイ側から保持する。LCDホルダは、フロントエスカッションのカバーガラスと反対側の面に接し、ディスプレイを保持する。補強パーツは、端部がL曲げによって加工された部材であって、L曲げの曲げ位置よりも先にある先端部分がフロントエスカッションと接し、L曲げの曲げ位置と先端部分との間の部分がLCDホルダと接する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイの表示面を覆うカバーガラスと、
前記カバーガラスの周縁部を、前記ディスプレイ側から保持する第1の保持部と、
前記第1の保持部の前記カバーガラスと反対側の面に接し、前記ディスプレイを保持する第2の保持部と、
端部がL曲げによって加工された部材であって、前記L曲げの曲げ位置よりも先にある先端部分が前記第1の保持部と接し、前記L曲げの曲げ位置と前記先端部分との間の部分が前記第2の保持部と接する補強部と、
を有する表示装置。
【請求項2】
前記補強部の前記カバーガラスと反対側に位置し、前記補強部との間に前記補強部へ向けて突出するリブを備えた第3の保持部をさらに有する請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記補強部は、前記第3の保持部へ向けて盛り上がる凸型の部分であって、前記第2の保持部との間に隙間を生じさせ、前記ディスプレイの長手方向に沿って延びる部分である絞り部を備える、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第2の保持部の前記第1の保持部との接面の横方向の範囲は、前記カバーガラスの横方向における中央の領域を含み、前記範囲の横幅は、前記カバーガラスの横幅の半分以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第2の保持部の前記第1の保持部との接面の縦方向の範囲は、前記第2の保持部の端部の厚みよりも大きい、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記補強部は、前記ディスプレイの背面において前記第2の保持部と密着する、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記表示装置は、車両の車室内に設置され、ユーザの操作を受け付ける、請求項1から3のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機の表示ユニットに含まれる矩形板状のガラスパネルの損傷を防ぐために、当該ガラスパネルの周縁を、板状の剛性フレームがインサート成形された保持部材に貼り付ける技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術の構造では、衝撃を吸収しきれず、カバーガラスを保護することが難しい場合がある。
【0005】
液晶パネルを保護するカバーガラスは、衝撃で割れる可能性がある。特許文献1に記載の技術では、カバーガラスは剛性フレームによって保護されるが、保持部材にかかる衝撃を、保持部材にインサート成形された剛性フレームでは吸収しきれず、カバーガラスが割れてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、カバーガラスを衝撃から保護することができる表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る表示装置は、カバーガラスと、第1の保持部と、第2の保持部と、補強部と、を有する。カバーガラスは、ディスプレイの表示面を覆う。第1の保持部は、カバーガラスの周縁部を、ディスプレイ側から保持する。第2の保持部は、第1の保持部のカバーガラスと反対側の面に接し、ディスプレイを保持する。補強部は、端部がL曲げによって加工された部材であって、L曲げの曲げ位置よりも先にある先端部分が第1の保持部と接し、L曲げの曲げ位置と先端部分との間の部分が第2の保持部と接する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、容易な構造でカバーガラスを衝撃から保護することができる。特にカバーガラスが割れることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る表示装置の正面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係るLCDホルダの正面図である。
【
図5】
図5は、従来の表示装置のA-A線断面図である。
【
図6】
図6は、従来のLCDホルダの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する表示装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、実施形態に係る表示装置の正面図である。
図1に示すように、表示装置10は、ディスプレイを覆うカバーガラス11、及びカバーガラス11を保持するフロントエスカッション12を有する。
【0012】
表示装置10は、車両の車室内に設置され、ユーザの操作を受け付ける。例えば、表示装置10は、車両のインストルメントパネルの上部又は内部に備えられる。
【0013】
表示装置10は、前部座席の背面に備えられ、後部座席から操作可能なものであってもよい。
【0014】
表示装置10は、カーナビゲーションシステム及びオーディオシステムに関する情報を表示する。表示装置10は、カーナビゲーションシステムの一部であってもよい。
【0015】
また、表示装置10は、各種メータ等の車両に関する情報を表示するものであってもよい。また、表示装置10は、タッチパネルを搭載したものであってもよい。
【0016】
ユーザは、表示装置10のディスプレイを見ながら操作を行う。その際、車両への衝撃により、ユーザの頭部等の体の一部が表示装置10と衝突することが考えられる。
【0017】
また、接触によりカバーガラス11が破損し、シャープエッジを形成することがあり得る。
【0018】
このため、ユーザの負傷防止の観点から、車両に搭載される装置の耐衝撃性が法規で定められている場合がある。
【0019】
本実施形態の目的の1つは、法規を満たすことができる程度に表示装置10の耐衝撃性を高めることである。
【0020】
図2は、
図1のA-A線断面図である。
図2に示すように、表示装置10は、フロントエスカッション12及びリアエスカッション14により全体が保持される。
【0021】
また、カバーガラス11は、ディスプレイ16の表示面全体を覆っている。また、カバーガラス11の周縁部には、ディスプレイ16を覆っていない部分が存在する。
【0022】
フロントエスカッション12は、カバーガラス11の周縁部を、ディスプレイ16側から保持する。例えば、フロントエスカッション12は樹脂である。ただし、フロントエスカッション12の材質は樹脂に限られず、金属等であってもよい。
【0023】
また、LCD(Liquid Crystal Display)ホルダ15は、フロントエスカッション12のカバーガラス11と反対側の面に接し、ディスプレイ16を保持する。例えば、LCDホルダ15は樹脂である。ただし、LCDホルダ15の材質は樹脂に限られず、金属等であってもよい。
【0024】
図2の例では、LCDホルダ15は、領域101においてフロントエスカッション12と接する。
【0025】
補強パーツ13の少なくとも一部は、LCDホルダ15のカバーガラス11と反対側の面に接する(領域102)。例えば、補強パーツ13は、プレス加工された金属である。
【0026】
また、補強パーツ13は、リアエスカッション14へ向けて盛り上がる凸型の部分であって、LCDホルダ15との間に隙間を生じさせ、ディスプレイ16の長手方向に沿って延びる部分である絞り部を備える(領域103)。絞り部は、補強パーツ13の一部に絞り加工を施すことによって形成される。
【0027】
図3は、実施形態に係るLCDホルダの正面図である。
図3に示すように、絞り部は、ディスプレイ16の長手方向(図面の左右方向)に沿って延びている(領域103)。このため、絞り部によれば、ディスプレイ16及び表示装置10の全体の長手方向の強度が向上する。
【0028】
また、リアエスカッション14は、補強パーツ13のカバーガラス11と反対側に位置し、補強パーツ13との間に補強パーツ13へ向けて突出するリブ(領域104)を備える。リブの数は、
図2に示す数(2個)に限られない。
【0029】
リブの先端と補強パーツ13との間の距離は、各部分の剛性を基に決定されたものであってもよい。例えば、リブが備えられていない場合に、
図2の衝撃方向からディスプレイ16が破損しない程度の衝撃を与え、補強パーツ13をリアエスカッション14側に盛り上がるように変形させる。リブを設ける位置は、このとき変形した補強パーツ13と接する位置であってもよい。この結果、補強パーツ13が変形していない場合は、補強パーツ13とリブとの間に隙間が生じる。
【0030】
これにより、補強パーツ13とリアエスカッション14との間のクリアランスが埋まり、補強パーツ13を含む各部が破損する前に衝撃を抑えることが可能になる。また、補強パーツ13とリアエスカッション14との間に隙間を設けることで、補強パーツ13を含む各部の破損しない程度の変形を一定量許容することができる。
【0031】
フロントエスカッション12は、第1の保持部の一例である。LCDホルダ15は、第2の保持部の一例である。補強パーツ13は、補強部の一例である。リアエスカッション14は、第3の保持部の一例である。
【0032】
図2に示す衝撃方向からのカバーガラス11への衝撃は、フロントエスカッション12、LCDホルダ15、補強パーツ13の3つの部材により吸収される。これにより、カバーガラス11の破損を防止することができる。このように、表示装置10は、容易な構造でカバーガラスを衝撃から保護することができる。
【0033】
図3に示すように、カバーガラス11側からLCDホルダ15を見ると、領域101に相当する延伸部分が見える。
【0034】
LCDホルダ15のフロントエスカッション12との接面(領域101)の横方向の範囲は、カバーガラス11の横方向における中央の領域を含み、範囲の横幅L1は、カバーガラス11の横幅Lの半分以下である。さらに、L1は、Lの1/10以下であってもよい。
【0035】
これにより、領域101への衝撃を、左右方向に逃がすことができる。また、衝撃を受けやすい部分を重点的に保護することができる。
【0036】
なお、LCDホルダ15のフロントエスカッション12との接面(領域101)の横方向の範囲は、カバーガラス11の横方向全体にわたるものであってもよい。
【0037】
図5は、従来の表示装置のA-A線断面図である。従来の表示装置10aの正面図は、
図1に示す表示装置10の正面図と同様である。このように、本実施形態の表示装置10は、従来から意匠形状が変更されることなく、耐衝撃性が向上している。
【0038】
図5に示すように、カバーガラス11aはディスプレイ16aを覆っている。また、LCDホルダ15aはディスプレイ16aを保持している。
【0039】
表示装置10aは、フロントエスカッション12a及びリアエスカッション14aにより全体が保持される。
【0040】
また、フロントエスカッション12a及び補強パーツ13aは、カバーガラス11への衝撃を吸収するように配置されている。
【0041】
ただし、
図5に示すように、LCDホルダ15aと補強パーツ13aとの間に隙間が多く、表示装置10aの剛性が十分でないことが考えられる。
【0042】
一方で、本実施形態においては、
図2に示すように、LCDホルダ15は、フロントエスカッション12との接面、ディスプレイ16の側面(エッジ部分)、ディスプレイ16の背面に接する一体成型された部材である。すなわち、LCDホルダ15は、ディスプレイ16の側面、及びディスプレイ16の背面の少なくとも一部に接してディスプレイ16を保持する。また、LCDホルダ15は、ディスプレイ16の側面、及びディスプレイ16の背面を覆う。また、補強パーツ13は、ディスプレイ16の背面においてLCDホルダ15と密着する。
【0043】
このように、フロントエスカッション12及び補強パーツ13がLCDホルダ15を挟み込むような構成とすることで、隙間を減らし、表示装置10の剛性を十分に確保することができる。
【0044】
図2に示すように、補強パーツ13は、端部がL曲げによって加工された部材であって、L曲げの曲げ位置よりも先にある先端部分がフロントエスカッション12と接し、L曲げの曲げ位置と先端部分との間の部分がLCDホルダ15と接する。
【0045】
さらに、LCDホルダ15のフロントエスカッション12との接面の縦方向の範囲は、LCDホルダ15の端部の厚みよりも大きい。これにより、さらなる剛性を確保することができる。
【0046】
図4は、補強パーツの端部を示す図である。
図4の線201は、L曲げの曲げ位置を示している。領域202において、補強パーツ13の端部の先端部分がフロントエスカッション12と接している。また、領域203において、補強パーツ13の端部のL曲げの曲げ位置と先端部分との間の部分がLCDホルダ15と接している。
【0047】
このような補強パーツ13の形状及び配置により、フロントエスカッション12の各部分の上下方向の剛性差を低減させることができる。
【0048】
例えば、
図5に示すように、LCDホルダ15aの端部は、フロントエスカッション12aと接していない。
【0049】
さらに、LCDホルダ15aの端部を伸ばしてフロントエスカッション12aと接するようにしたとしても、その接面の範囲はLCDホルダ15aの断面と同程度であり、十分な剛性を確保することは困難である。
【0050】
図6は、従来のLCDホルダの正面図である。従来のLCDホルダ15aには、
図3の領域101に相当する延伸部分、及び領域103に同等する絞り部が存在しない。
【0051】
本実施形態では、カバーガラス11への衝撃は、フロントエスカッション12、LCDホルダ15、補強パーツ13の3つの部材により吸収される。これにより、本実施形態によれば、容易な構造でカバーガラスを衝撃から保護することができる。
【0052】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細及び代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲及びその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0053】
10 表示装置
11 カバーガラス
12 フロントエスカッション
13 補強パーツ
14 リアエスカッション
15 LCDホルダ
16 ディスプレイ
101、102、103、202、203 領域
201 線