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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074495
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】蒸し器及び調理システム
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/16 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
A47J27/16 E
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185680
(22)【出願日】2022-11-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-15
(71)【出願人】
【識別番号】522455032
【氏名又は名称】沙 婉玲
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】沙 婉玲
【テーマコード(参考)】
4B054
【Fターム(参考)】
4B054AA06
4B054AB03
4B054CA11
(57)【要約】
【課題】調理過程における調理室内の温度及び圧力の低下を防ぐ。
【解決手段】蒸気が充満するとともに複数の引出し5を収容する調理部3の、複数の引出し5それぞれに対応する複数の調理区画321、322、323の各々が、これら調理区画321、322、323の各々の扉付開口部35に、個別に独立して開閉する開閉扉6を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気が充満するとともに複数の引出しを収容する調理部と、
前記複数の引出しそれぞれに対応する複数の調理区画と、
前記調理区画各々の開口部に設けられ、個別に独立して開閉する扉と、を備える、
ことを特徴とする蒸し器。
【請求項2】
前記扉が、前記調理区画内へと向けて観音開き式に回動する左右一対の板状部材を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項3】
前記調理部の上方に切妻屋根状の構造を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項4】
前記引出しの底部の上面と下面とのうちの少なくとも一方に、山と谷が連続して前記山の稜線方向と前記谷の谷線方向とが相互に平行な直線波状の構造が設けられている、
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項5】
前記複数の調理区画各々の前記開口部の高さ位置に天板の高さを合わせるための高さ調節機能を備える引出し載置台が用いられて前記引出しが前記調理区画へと挿入される、
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項6】
前記引出しの前壁が底部よりも突出している寸法と同じ高さのレールが取り付けられている引出し載置台が用いられて前記引出しが前記調理区画へと挿入される、
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項7】
請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の蒸し器と、
コンロと鉄板とのうちの少なくとも一方を備える加熱調理部と、
シンク部と、を含む、
ことを特徴とする調理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸し器及び調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
食品を所定の温度まで蒸気で温める従来の蒸し器として、前面全体を開閉自在なドアとした筐体と、水中ヒータを内蔵するとともに、上面に蒸気孔を穿設して筐体の底部に配設した水槽と、水槽の上面の上に張設した遠赤外線放射ネットと、遠赤外線放射ネットの上方のスチーム室となる筐体の内部空間にドアを開いて出し入れ自在とした複数のトレーとから成る電気蒸し器が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3022275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された蒸し器のように複数のトレーを使用して調理する場合、トレーごとに蒸し料理品の素材、材料や調味料などを順番に入れたり和えたりすることがある。このとき、特許文献1に記載された蒸し器のように前面全体が開閉自在な1つのドアで構成される場合、1つのトレーを蒸し器から取り出したり蒸し器へと入れたりするたびにスチーム室(別言すると、調理室)の前面全体が外気に対して開放されてしまうため、スチーム室(調理室)内の温度及び圧力が大幅に低下し、素材、材料の旨味や栄養成分の保持の点において調理過程として好ましくなく、また、調理の効率が低下する、という問題がある。
【0005】
そこで本発明は、1つの側面では、調理過程における調理室内の温度及び圧力の低下を防ぐことが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る蒸し器は、蒸気が充満するとともに複数の引出しを収容する調理部の、前記複数の引出しそれぞれに対応する複数の調理区画各々が、これら調理区画各々の開口部に、個別に独立して開閉する扉を備える、ことを特徴とする。
【0007】
本発明に係る蒸し器は、前記扉が、前記調理区画内へと向けて観音開き式に回動する左右一対の板状部材を有する、ようにしてもよい。
【0008】
本発明に係る蒸し器は、前記調理部の上方に切妻屋根状の構造を有する、ようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る蒸し器は、前記引出しの底部の上面と下面とのうちの少なくとも一方に、山と谷が連続して前記山の稜線方向と前記谷の谷線方向とが相互に平行な直線波状の構造が設けられている、ようにしてもよい。
【0010】
本発明に係る蒸し器は、前記複数の調理区画各々の前記開口部の高さ位置に天板の高さを合わせるための高さ調節機能を備える引出し載置台が用いられて前記引出しが前記調理区画へと挿入される、ようにしてもよい。
【0011】
本発明に係る蒸し器は、前記引出しの前壁が底部よりも突出している寸法と同じ高さのレールが取り付けられている引出し載置台が用いられて前記引出しが前記調理区画へと挿入される、ようにしてもよい。
【0012】
また、本発明に係る調理システムは、請求項1から6のうちのいずれか1項に記載の蒸し器と、コンロと鉄板とのうちの少なくとも一方を備える加熱調理部と、シンク部と、を含む、ようにしている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、1つの側面では、調理過程における調理室内の温度及び圧力の低下を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施の形態1に係る蒸し器の全体構成を模式的に示す斜視図である。
図2図1の蒸し器の支持部の態様の一例を示す図である。(A)は平面図であり、(B)は正面図である。
図3図1の蒸し器の引出しの下面波状構造の態様の例を示す図である。(A)は一例の底面図であり、(B)は(A)の側面図である。(C)は他の例の底面図であり、(D)は(C)の側面図である。
図4図1の蒸し器の扉付開口部及び開閉扉の構造を模式的に示す図であり、扉付開口部が開閉扉によって閉鎖されている状態を示す図である。(A)は平面図であり、(B)は背面図である。
図5図4の扉付開口部から引出しが挿入される際の状態を示す図である。(A)は平面図であり、(B)は背面図である。
図6図1の蒸し器の調理区画それぞれへと引出しを挿入する際に用いられる引出し載置台の構成を模式的に示す図である。(A)は正面図である。(B)は側面図である。
図7図6の引出し載置台の天板に関係する構造の例を示す図である。(A)は平面図である。(B)は側面図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る蒸し器の全体構成を模式的に示す斜視図である。
図9】本発明の実施の形態に係る調理システムの全体構成を模式的に示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。本発明の説明では、各図中に示すように3次元直交座標系の各軸に沿って上・下、前・後(別言すると、正面・背面)、並びに左・右の各方向を定義するとともに矢印の向きに従って各向きを定義する。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る蒸し器の具体的な構成態様の例としての、実施の形態1に係る蒸し器1Aの全体構成を模式的に示す斜視図である。なお、図1は蒸し器1Aの各部を相互に離間させて示しており、蒸し器1Aの使用時(即ち、食品を蒸す蒸し調理時)には各部が組み合わせられて使用される。
【0017】
実施の形態1に係る蒸し器1Aは、蒸気が充満するとともに複数の引出し5(「ドロワー」などとも称される)を収容する調理部3の、複数の引出し5それぞれに対応する複数の調理区画321、322、323の各々が、これら調理区画321、322、323の各々の扉付開口部35に、個別に独立して開閉する開閉扉6を備える、ようにしている。
【0018】
(全体構成)
蒸し器1Aは、貯水部2と、貯水部2の上部に積み上げられて載置される調理部3と、調理部3の上部に載置される蓋4と、調理部3へと挿入される引出し5と、を有する。
【0019】
貯水部2は、平面視矩形(尚、正方形を含む。以下同じ)の、上面が開口している箱形に形成されている。貯水部2は、蒸し器1Aの使用時には、蒸し調理用の水が中に溜められて、コンロなどの熱源(別言すると、加熱器具。尚、ガスの加熱器具でもよいし電気の加熱器具でもよい;図示していない)に設置される。蒸し器1Aの使用時に熱源によって加熱されると、貯水部2の中の水が沸騰して蒸気が発生する。
【0020】
調理部3は、平面視矩形(具体的には、貯水部2の平面視形状と同様の矩形)の、上面及び下面が開口している角筒状の本体31を有する。蒸し器1Aの使用時には、調理部3の本体31の下端面周縁部が貯水部2の上端面周縁部に支持されて、調理部3が貯水部2の上部に積み上げられて載置される。
【0021】
図1に示す例では、貯水部2の上端に、上面の開口の全周にわたって内向きに延出する内向きフランジ21が形成されている。また、調理部3の本体31の下端に、下面の開口の全周にわたって内側へと凹む下向き段差部311が形成されている。そして、蒸し器1Aの使用時には、これら内向きフランジ21と下向き段差部311とが嵌合、当接し、本体31の下端面周縁部が貯水部2の上端面周縁部に支持されて、調理部3が貯水部2の上部に積み上げられて載置される。
【0022】
蒸し器1Aの使用時に、本体31の内部空間は、複数の引出し5が挿入され収容されて、蒸気を充満させて食品を蒸す蒸し調理が行われる調理空間として機能する。
【0023】
本体31に、引出し5を出し入れする際に調理部3を安定させるために把持されたり、調理部3を貯水部2の上部に積み上げたり貯水部2から降ろしたりする際に把持されたりする持ち手が取り付けられるようにしてもよい。図1に示す例では、本体31の右側壁312及び左側壁313の各々の、上下方向における概ね中央の前寄りの位置に、右向き/左向きに突出する持ち手314が取り付けられている。
【0024】
蓋4は、平面視が矩形(具体的には、貯水部2や調理部3の本体31の平面視形状と同様の矩形)であるとともに下面が開口し、左右方向における中央位置において前後方向に沿う稜線から左右両端それぞれへと向けて下り勾配の切妻屋根状の構造41を上部に有する態様に形成される。
【0025】
蓋4の上部が切妻屋根状の構造41であることにより、すなわち、調理部3(具体的には、本体31)の上方に切妻屋根状の構造41を有することにより、貯水部2で発生した蒸気が調理部3内を上昇し蓋4によって冷やされて切妻屋根状の構造41の内側に付着した水滴は、切妻屋根状の構造41を伝って左右方向両側へと誘導される。このため、調理部3内で調理されている被調理物(具体的には、食品)へと水滴が落ちることがなく、延いては、素材、材料の旨味や栄養成分を流してしまうことがない。
【0026】
切妻屋根状の構造41の頂上部(即ち、前後方向に沿う稜線部分)の前後方向における中央位置に、上向きに突出して蓋4を上げ下げする際に把持される持ち手42が取り付けられている。なお、切妻屋根状の構造41の頂上部(但し、持ち手42の取付け場所以外の部分)に、調理部3内の蒸気の一部を外部へと排出するための蒸気排出孔(図示していない)が設けられるようにしてもよい。
【0027】
蓋4は、平面視における矩形の4辺それぞれにおいて下向きに延出する周壁43と、周壁43の下端寄りの位置に形成されているフランジ44とを有する。蒸し器1Aの使用時には、周壁43の下端部分(具体的には、フランジ44よりも下側の部分)が調理部3の本体31の上縁内に嵌まるとともにフランジ44と本体31の上端とが当接して、蓋4が調理部3の上部に載置され被せられる。
【0028】
(調理部の構成)
調理部3の本体31の内部空間に、食品を蒸す蒸し調理が行われる調理空間としての調理室32が構成される。調理室32は、図1に示す例では上下3段の調理区画(具体的には、上段の調理区画321、中段の調理区画322、及び下段の調理区画323)を含んで構成される。各調理区画321、322、323は、引出し5が出し入れされる。なお、調理室32を構成する調理区画の個数は、3個に限定されるものではなく、2個でもよく、或いは、4個以上でもよい。
【0029】
各調理区画321、322、323の下端面に相当する位置に、これら調理区画321、322、323それぞれに挿入される引出し5を摺動可能に支えるための支持部33が設けられている。支持部33は、板状の部材で構成されるようにしてよく、図1に示す例では、左右方向における両縁部が本体31の右側壁312と左側壁313とのそれぞれに支持され固定されて取り付けられている。支持部33は、板状の部材に限定されるものではなく、例えば、格子状の部材、網状の部材、メッシュ状の部材、多孔の部材などであってもよい。
【0030】
支持部33の後端と本体31の後側壁315とは相互に離間するようにしてもよく、この場合、貯水部2で発生した蒸気は、支持部33の後端と後側壁315との間を通過して、調理部3内を、下段の調理区画323から上段の調理区画321へと上昇する。
【0031】
また、図2に示すように、支持部33が、本体31の右側壁312(図中、仮想線にて図示)に支持され固定されて取り付けられる右側支持部33aと左側壁313(図中、仮想線にて図示)に支持され固定されて取り付けられる左側支持部33bとから構成されるようにしてもよい。この場合、右側支持部33a及び左側支持部33b各々に、調理区画321、322、323へと挿入される引出し5(図中、仮想線にて図示)と平面視において重ならない位置に、貯水部2で発生した蒸気を通すための複数の孔331が形成されるようにしてもよい。
【0032】
引出し5は、平面視矩形の板状の底部51と、底部51上の空間の前後左右の四方を取り囲む4つ(即ち、前後左右)の壁とを有する。底部51の前端と接合して底部51上の前面を区画する壁を「前壁53」と称する。前壁53の前面の正面視における中央部に、前向きに突出して引出し5を出し入れする際に把持される把手54が取り付けられている。引出し5は、調理部3の本体31と連結されておらず、調理区画321、322、323から引き抜いて完全に取り出すことができる。なお、図1に示す例では上下3段の調理区画321、322、323それぞれに対応する3個の引出し5が用いられるが、図1では1個の引出し5の図示を省略している。
【0033】
引出し5の高さは、特定の寸法には限定されないものの、例えば、5cm以上11cm以下の範囲に設定され、7cm程度が好ましい。
【0034】
引出し5の底部51の下面に、山と谷が連続して山の稜線方向と谷の谷線方向とが相互に平行な直線波状の構造(「下面波状構造55」と称する)が設けられている。
【0035】
引出し5の下面波状構造55が設けられる部位、範囲は、調理区画321、322、323へと引出し5が挿入される際に支持部33の上面と下面波状構造55とが相互に接触する部位、範囲であれば、特定の部位、範囲には限定されない。引出し5の下面波状構造55は、例えば、図3(A)及び(B)に示すような態様で設けられるようにしてもよく、或いは、同図(C)及び(D)に示すような態様で設けられるようにしてもよい。なお、図3では、引出し5の把手54の図示を省略している。
【0036】
引出し5の下面波状構造55の波形の稜線・谷線の方向は、図3に示す例のように左右方向とされてもよく、或いは、前後方向とされてもよい。
【0037】
引出し5の底部51の上面に、山と谷が連続して山の稜線方向と谷の谷線方向とが相互に平行な直線波状の構造(「上面波状構造」と称する;図示していない)が設けられるようにしてもよい。引出し5の上面波状構造の波形の稜線・谷線の方向は、左右方向とされてもよく、或いは、前後方向とされてもよい。
【0038】
引出し5の底部51の下面波状構造55及び上面波状構造の波形の稜線・谷線の間隔や落差は、特定の値には限定されないものの、例えば、間隔が0.5cm程度に、落差が0.1cm程度に設定され、比較的浅い波紋の構造とされてもよい。なお、下面波状構造55や上面波状構造は、例えば、型押しされて形成されるようにしてもよい。
【0039】
貯水部2で発生した蒸気は、調理部3内を、下段の調理区画323から上段の調理区画321へと上昇する。これにより、各調理区画321、322、323へと蒸気が供給され、延いては、各引出し5(引出し5内の被調理物を含む)へと蒸気が供給されて、被調理物が蒸される。このとき、下面波状構造55の隙間(即ち、波形の凸部どうしの間の凹み部分)に蒸気が入り込み、引出し5(引出し5内の被調理物を含む)が良好に加熱され、加熱効果が向上する。
【0040】
(扉付開口部及び開閉扉の構造)
調理部3の本体31の前面に、各調理区画321、322、323に対して引出し5を出し入れするための扉付開口部35が設けられている。扉付開口部35は、上下3段の調理区画321、322、323のそれぞれに対して個別に設けられ、図1に示す例ではすなわち3個設けられている。そして、3個の扉付開口部35のそれぞれに対して個別に開閉扉6が備えられている。
【0041】
開閉扉6は、左右一対の板状部材(具体的には、右側の板状部材61aと左側の板状部材61b)を有する。左右一対の板状部材61a、61bは、扉付開口部35の左右両側方それぞれに(言い換えると、左右一対の板状部材61a、61b各々の基端側に)配設されている回動軸62を介して、それぞれ、扉付開口部35の開口面と面一の位置と本体31内で概ね前後方向に沿う位置との間で回動する。
【0042】
左右一対の板状部材61a、61bは、すなわち、扉付開口部35の開口面と面一の位置から本体31の内方へと向けて観音開き式に開き回動する扉(具体的には、中央から左右両側に開く両開きの扉)であり、且つ、本体31内で概ね前後方向に沿う位置から扉付開口部35の開口面と面一の位置へと向けて観音開き式に閉まり回動する扉として構成されている。観音開き式に回動する左右一対の板状部材61a、61bにより、上下3段の調理区画321、322、323各々の扉付開口部35が個別に独立して閉鎖されたり、上下3段の調理区画321、322、323それぞれの中へと各引出し5が個別に独立して進入可能となったりする。
【0043】
回動軸62は、扉付開口部35の左右両側方それぞれに、軸心方向が上下方向に沿う姿勢で、左右方向において相互に対向する一対のものとして配設される。左右一対の回動軸62、62により、左右一対の板状部材61a、61bが、扉付開口部35に対して調理区画321、322、323内に回動可能に連結される。
【0044】
左右一対の回動軸62、62のそれぞれには、調理区画321、322、323に引出し5が挿入されていないときに、扉付開口部35を閉鎖している状態(即ち、扉付開口部35の開口面と面一の状態)を維持するように板状部材61a、61bを付勢するとともに、調理区画321、322、323から引出し5が引き抜かれて取り出される際に、扉付開口部35を閉鎖する位置(即ち、扉付開口部35の開口面と面一の位置)へと戻る向きに板状部材61a、61bを付勢する、付勢部が備え付けられている。
【0045】
付勢部は、特定の部材、機序、仕組みは限定されないものの、例えば、ねじりコイルばね(トーションばね)などの、弾性力を常時発揮する部材によって構成される。図4及び図5に示す例では、調理部3の本体31の右側壁312と右側の板状部材61aとの間に介在する付勢部、及び、本体31の左側壁313と左側の板状部材61bとの間に介在する付勢部として、ねじりコイルばね63(トーションばね)が用いられている。図4及び図5に示す例では、左右一対の板状部材61a、61bは、回動軸62及びねじりコイルばね63を含む「ばねヒンジ」や「スプリング付き蝶番」などと呼ばれる機序により、常時付勢力を受けながら回動可能に構成され取り付けられている。
【0046】
左右一対の板状部材61a、61bは、すなわち、外面側から外力が作用していないときは、付勢部(ねじりコイルばね63)の付勢力により、扉付開口部35を閉鎖する位置(即ち、扉付開口部35の開口面と面一の位置)で保持される(図4参照)。また、扉付開口部35から調理区画321、322、323へと引出し5が挿入されるときは、左右一対の板状部材61a、61bは、引出し5によって外面側から押されて付勢部(ねじりコイルばね63)の付勢力に抗して左右に押し広げられて、調理区画321、322、323内へと向けて観音開き式に回動する(図5参照)。
【0047】
左右一対の板状部材61a、61bの回動動作、延いては扉付開口部35の開閉動作は、つまり、付勢部(ねじりコイルばね63)による常時付勢力と使用者による引出し5の挿入力とを動力として行われる。左右一対の板状部材61a、61bの回動動作は、延いては扉付開口部35の開閉動作は、また、回動動作や開閉動作のためのスイッチなどの操作を必要とすることなく自動的に(言い換えると、追従的に)行われる。
【0048】
開閉扉6は、すなわち、左右一対の板状部材61a、61bが複数の調理区画321、322、323各々の扉付開口部35ごとに備え付けられて、扉付開口部35ごとに個別に独立して開閉する仕組みである。
【0049】
左右一対の板状部材61a、61bが扉付開口部35の開口面と面一の位置を超えて本体31の外方へと回動しないようにするために、左右一対の板状部材61a、61bが扉付開口部35に係止する仕掛けが備えられるようにしてもよい。例えば、板状部材61a、61bの背面から上向きに突出して扉付開口部35の上縁部の背面に引っ掛かる係止片36(図4及び図5に図示)が設けられるようにしてもよい。
【0050】
なお、引出し5が調理区画321、322、323に挿入された状態で、引出し5の前壁53が、調理区画321、322、323の前面を、つまり調理部3の本体31の扉付開口部35を覆って塞ぐ。
【0051】
(引出し載置台の構成)
調理部3の本体31に上下方向に沿って並ぶ3個の扉付開口部35それぞれを介して上下3段の調理区画321、322、323それぞれへと引出し5を挿入する際に、引出し載置台7が用いられるようにしてもよい。蒸し調理の途中に引出し5が複数回出し入れされることがあるので、引出し載置台7が用いられることにより、引出し5の出し入れの便利と調理の便利とが向上する。
【0052】
図6は、上下3段の調理区画321、322、323それぞれへと引出し5を挿入する際に用いられる引出し載置台7の構成を模式的に示す図である。
【0053】
引出し載置台7は、天板71と、天板71の下面側に設けられて正面視においてX字状に交差した一対の脚72a、72bと、を有し、調理部3の本体31に上下方向に沿って並ぶ3個の扉付開口部35各々の高さ位置に天板71の高さを合わせるための高さ調節機能を備える。なお、引出し載置台7の移動を容易にするために、一対の脚72a、72b各々の下端に車輪(図示していない)が取り付けられるようにしてもよい。
【0054】
天板71は、引出し5が載置される板面を構成する。ここで、引出し5は、調理区画321、322、323に挿入された状態で前壁53が扉付開口部35を覆って塞ぐようにするために、前壁53の下端が底部51よりも下方に突出している。このため、引出し5を平らな板面に載置すると前壁53から後方へと下向きに傾斜し、蒸し料理品の素材、材料や調味料などを順番に入れたり和えたりする際に差支えが生じる。そこで、引出し5を天板71に載置した際に引出し5の底部51を水平にするため、天板71の上面にレール711が取り付けられている(図7参照;尚、同図(B)では、引出し載置台7よりも下の構造の図示を省略している)。レール711の高さは、引出し5の前壁53が底部51よりも突出している寸法と同じに設定される。
【0055】
天板71の上面に、調味料の瓶などを入れるための凹部712が形成されるようにしてもよい(図7参照)。
【0056】
一対の脚72a、72bは、それぞれ、角丸四角形の枠体状に形成されている。一方の脚72aは、他方の脚72bと比べて、幅(具体的には、図6における前後方向に沿う寸法)が一回り大きく形成されている。
【0057】
一対の脚72a、72bは、一方の脚72aの内側に他方の脚72bが差し入れられた状態で、これら一対の脚72a、72bの縦杆721どうしがこれら縦杆721各々の長手方向における中央部を貫通するピンジョイント73によって相互に回動可能に連結されている。
【0058】
一対の脚72a、72b各々の上側の横杆722は、天板71の下面に対して、左右方向における位置の変更が可能であるとともに係止可能であるように連結される。
【0059】
具体的には、天板71の下面の、右側に、一方の脚72aの上側の横杆722が連結される前後一対の係止連結部74a、74aが設けられ、また、左側に、他方の脚72bの上側の横杆722が連結される前後一対の係止連結部74b、74bが設けられる。
【0060】
前後一対の係止連結部74a、74a並びに74b、74bは、それぞれ、一対の脚72a、72b各々の上側の横杆722の左右方向における位置を変更しつつ係止するための係止凹凸部75を有する。右側の前後一対の係止連結部74a、74aについて、前後方向において相互に離間し、そして、それぞれの係止凹凸部75各々の凹凸の形状が前後方向において相互に対向している。また、左側の前後一対の係止連結部74b、74bについて、前後方向において相互に離間し、そして、それぞれの係止凹凸部75各々の凹凸の形状が前後方向において相互に対向している。
【0061】
前後一対の係止連結部74a、74a並びに74b、74bは、それぞれ、係止凹凸部75の下方において左右方向に沿って延出する帯状の脚保持部76を有する。脚保持部76により、天板71が持ち上げられた際に、天板71と脚72a、72bとが完全に分離して脚72a、72bが脱落することが防止される。
【0062】
前後一対の係止連結部74a、74a並びに74b、74bに対する一対の脚72a、72bの係止位置が変更されることにより、天板71の高さが調節される。具体的には、一対の脚72a、72b各々の上側の横杆722が前後一対の係止連結部74a、74a並びに74b、74b各々の係止凹凸部75において係止される位置が、左右方向における端寄りであるほど、天板71の高さは低くなる。一方、一対の脚72a、72b各々の上側の横杆722が前後一対の係止連結部74a、74a並びに74b、74b各々の係止凹凸部75において係止される位置が、左右方向における中央寄りであるほど、天板71の高さは高くなる(図6参照)。
【0063】
一対の脚72a、72b各々の上側の横杆722の、係止連結部74a、74bに対する左右方向における位置が変更されて、調理部3の本体31に上下方向に沿って並ぶ3個の扉付開口部35各々の高さ位置に天板71の高さが合わせられる。
【0064】
引出し載置台7は、一対の脚72a、72bを相互に閉じ合わせた状態で左右の脚保持部76どうしの間の隙間77から抜き取ることにより折り畳まれる。
【0065】
(実施の形態2)
図8は、本発明に係る蒸し器の具体的な構成態様の例としての、実施の形態2に係る蒸し器1Bの全体構成を模式的に示す斜視図である。
【0066】
実施の形態2に係る蒸し器1Bは上述の実施の形態1に係る蒸し器1Aと比べて業務厨房用として好適な形態であるものの実施の形態1に係る蒸し器1Aと共通する構造や機能を備えており、実施の形態1に係る蒸し器1Aと構造的、機能的に共通の構成については同一符号を付することでその説明を省略する。なお、実施の形態2に係る蒸し器1Bは、図示していないが、貯水部2に関連する設備として給水口、シスタンク、シスタンク排水口、及び貯水部排水口を有する。
【0067】
実施の形態2に係る蒸し器1Bでは、上述の実施の形態1に係る蒸し器1Aにおける貯水部2と調理部3と蓋4とに相当する構造が一体化されている。なお、図8では、調理部3などの内部構造、及び、調理部3内の引出し5の図示を省略している。実施の形態2に係る蒸し器1Bの調理部3の内部構造としては、実施の形態1に係る蒸し器1Aの調理部3の内部構造(例えば、図1図2図4図5参照)と同様の構造が適用され得る。実施の形態2に係る蒸し器1Bで用いられる引出し5の構造としては、実施の形態1に係る蒸し器1Aで用いられる引出し5の構造(例えば、図1図3参照)と同様の構造が適用され得る。
【0068】
蒸し器1B内の、調理部3の上方に、具体的には上段の調理区画321の上方に、切妻屋根状の構造41が設けられている。また、切妻屋根状の構造41の頂上部(即ち、前後方向に沿う稜線部分)に、調理部3内の蒸気の一部を外部へと排出するための蒸気排出孔45が設けられている。
【0069】
調理部3の上方に切妻屋根状の構造41を有することにより、貯水部2で発生した蒸気が調理部3内を上昇し切妻屋根状の構造41によって冷やされて切妻屋根状の構造41の内側に付着した水滴は、切妻屋根状の構造41を伝って左右方向両側へと誘導される。このため、調理部3内で調理されている被調理物(具体的には、食品)へと水滴が落ちることがなく、延いては、素材、材料の旨味や栄養成分を流してしまうことがない。
【0070】
貯水部2及び調理部3は、左右方向における中央位置に仕切りが設けられて左側と右側とに区分されているが、仕切りが設けられず、全体で1つの貯水部2及び調理部3とされてもよい。
【0071】
蒸し器1Bはできるだけ断熱材で外側が覆われることが好ましい。引出し5の前壁53の外側(即ち、前面側)も断熱材で覆われることが好ましい。
【0072】
調理部3に、調理区画321、322、323に挿入されている引出し5が不意に滑り出ることを防止する仕組みが備えられるようにしてもよい。図8に示す例では、調理部3の扉付開口部35それぞれの左右両側に、調理部3の前面に沿って回動可能な引出し保持片37が備えられている。引出し保持片37は、調理区画321、322、323に引出し5が挿入されていないときは上下方向に沿う向きとされ(図8の左側の扉付開口部35それぞれの左右両側に備えられている引出し保持片37を参照)、調理区画321、322、323に引出し5が挿入されているときは左右方向に沿う向きとされる(同図の右側の扉付開口部35それぞれの左右両側に備えられている引出し保持片37を参照)。
【0073】
下部構造8内に、コンロなどの熱源(別言すると、加熱器具。尚、ガスの加熱器具でもよいし電気の加熱器具でもよい;図示していない)が設けられる。蒸し器1Bは、図示していないが、熱源に関連する設備としてガス接続口又は電源を有する。
【0074】
蒸し器1Bは、調理部3内の温度を検知する温度センサ(図示していない)や貯水部2内の水位を検知する水位センサ(図示していない)を備えるようにしてもよく、制御部(図示していない)が、温度センサから出力される温度信号や水位センサから出力される水位信号を受けて各部を制御するようにしてもよい。この場合、制御部は、例えば、蒸し器1Bの下部構造8内に備えられるようにしてもよい。
【0075】
蒸し器1Bは、使用者が蒸し器1Bの温度や温度保持時間などを設定する操作部(図示していない)を備えるようにしてもよい。この場合、操作部のインターフェースが、例えば、蒸し器1Bの下部構造8の前面に設けられるようにしてもよい。図8に示す例では、操作部のインターフェースの例として、下部構造8の前面に、火力を調節するためのつまみ81、及び、火の状態を確認するためののぞき窓82が設けられている。
【0076】
(調理システム)
上述の実施の形態1に係る蒸し器1Aや実施の形態2に係る蒸し器1Bは、これを含む調理システムとして構成されるようにしてもよい。図9は、本発明に係る調理システムの具体的な構成態様の一例としての、実施の形態に係る調理システム9の全体構成を模式的に示す平面図である。
【0077】
調理システム9は、蒸し器(図9に示す例では、実施の形態2に係る蒸し器1B)と、コンロ911及び鉄板912を備える加熱調理部91と、シンク部92と、を含む(図9に示す例では、引出し載置台7を含む)。なお、加熱調理部91は、コンロ911と鉄板912とのうちのどちらか一方のみを備えるようにしてもよい。
【0078】
図9に示す例では、鉄板912に対して給湯と給水との混合水栓93及び排水口94が備えられているとともに、シンク部92に対して給湯と給水との混合水栓95及び排水口96が備えられている。これにより、シンク部92における食材や食器などの洗い作業に加えて、鉄板912の洗い作業を容易に行うことができる。
【0079】
(調理方法)
本発明に関係する調理方法として、上述の実施の形態1に係る蒸し器1A、実施の形態2に係る蒸し器1B、或いは蒸し器1A、1Bを含む調理システムを用いて食品を蒸して蒸し調理を行う調理方法が挙げられる。
【0080】
(作用効果)
実施の形態に係る蒸し器1A,1Bによれば、複数の調理区画321、322、323の各々が、これら調理区画321、322、323の各々の扉付開口部35に、個別に独立して開閉する開閉扉6を備えるようにしているので、調理過程における調理室内の温度及び圧力の低下を防ぐことができ、調理の効率を向上させることが可能となり、また、素材、材料の旨味や栄養成分を良好に保持して美味且つ健康的な種々の料理を作ることが可能となる。実施の形態に係る蒸し器1A,1Bによれば、さらに、衛生管理を適切に行うことが可能となり、また、省エネルギーに貢献することが可能となる。
【0081】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成態様は上記の実施の形態に限定されるものではなく、上記の実施の形態に、本発明の要旨を逸脱しない範囲の変形や変更などが加えられた形態も本発明に含まれる。
【0082】
例えば、上記の実施の形態1では貯水部2がコンロなどの熱源(加熱器具)により加熱されて中の水が沸騰することによって蒸気が発生するようにしているが、貯水部2から蒸気を発生させる仕組みはこれに限定されるものではなく、例えば、貯水部2にヒータなどの熱源が内蔵されて貯水部2に内蔵されている熱源により貯水部2の中の水が加熱されて沸騰することによって蒸気が発生するようにしてもよい。
【0083】
また、上記の実施の形態1、2では開閉扉6が左右一対の板状部材61a、61bを有してこれら左右一対の板状部材61a、61bが観音開き式に回動する扉として構成されるようにしているが、開閉扉6は観音開き式に回動する扉に限定されるものではなく、例えば、扉付開口部35の下方に軸心方向が左右方向に沿う姿勢で配設される回動軸により1枚の板状部材が扉付開口部35に対して調理区画321、322、323内に回動可能(別言すると、起伏傾動可能)な扉として構成されるようにしてもよい。
【0084】
また、上記の実施の形態1、2では引出し載置台として図6に示す構成の引出し載置台7が用いられるようにしているが、引出し載置台の構成は、図6に示す構成に限定されるものではなく、調理部3の本体31に上下方向に沿って並ぶ扉付開口部35各々の高さ位置に天板の高さを合わせ得る高さ調節機能を備えるものであればどのような構成であってもよい。
【符号の説明】
【0085】
1A 蒸し器(実施の形態1)
1B 蒸し器(実施の形態2)
2 貯水部
21 内向きフランジ
3 調理部
31 本体
311 下向き段差部
312 右側壁
313 左側壁
314 持ち手
315 後側壁
32 調理室
321 上段の調理区画
322 中段の調理区画
323 下段の調理区画
33 支持部
33a 右側支持部
33b 左側支持部
331 蒸気を通すための孔
35 扉付開口部
36 係止片
37 引出し保持片
4 蓋
41 切妻屋根状の構造
42 持ち手
43 周壁
44 フランジ
45 蒸気排出孔
5 引出し
51 底部
53 前壁
54 把手
55 下面波状構造
6 開閉扉
61a 右側の板状部材
61b 左側の板状部材
62 回動軸
63 ねじりコイルばね(付勢部)
7 引出し載置台
71 天板
711 レール
712 凹部
72a 一方の脚
72b 他方の脚
721 縦杆
722 上側の横杆
73 ピンジョイント
74a 右側の係止連結部
74b 左側の係止連結部
75 係止凹凸部
76 脚保持部
77 隙間
8 下部構造
81 つまみ
82 のぞき窓
9 調理システム
91 加熱調理部
911 コンロ
912 鉄板
92 シンク部
93 混合水栓
94 排水口
95 混合水栓
96 排水口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-01-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気が充満するとともに複数の引出しを収容する調理部と、
前記複数の引出しそれぞれに対応する複数の調理区画と、
前記調理区画各々の開口部に設けられ、個別に独立して開閉する扉と、を備え、
前記引出しの底部の下面の、前記調理区画へと前記引出しが挿入される際に前記引出しを摺動可能に支えるために前記調理区画の下端面に相当する位置に設けられている支持部の上面と接触する部位に、山と谷が連続して前記山の稜線方向と前記谷の谷線方向とが相互に平行な直線波状の構造が設けられている、
ことを特徴とする蒸し器。
【請求項2】
前記扉が、前記調理区画内へと向けて観音開き式に回動する左右一対の板状部材を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項3】
前記調理部の上方に切妻屋根状の構造を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項4】
前記複数の調理区画各々の前記開口部の高さ位置に天板の高さを合わせるための高さ調節機能を備えて、前記引出しが前記調理区画へと挿入される際に用いられる引出し載置台を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項5】
前記引出しの前壁が当該引出しの底部よりも下方に突出している寸法と同じ高さのレールが取り付けられて前記引出しが前記調理区画へと挿入される際に用いられる引出し載置台を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の蒸し器。
【請求項6】
請求項1からのうちのいずれか1項に記載の蒸し器と、
コンロと鉄板とのうちの少なくとも一方を備える加熱調理部と、
シンク部と、を含む、
ことを特徴とする調理システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る蒸し器は、蒸気が充満するとともに複数の引出しを収容する調理部の、前記複数の引出しそれぞれに対応する複数の調理区画各々が、これら調理区画各々の開口部に、個別に独立して開閉する扉を備え、前記引出しの底部の下面の、前記調理区画へと前記引出しが挿入される際に前記引出しを摺動可能に支えるために前記調理区画の下端面に相当する位置に設けられている支持部の上面と接触する部位に、山と谷が連続して前記山の稜線方向と前記谷の谷線方向とが相互に平行な直線波状の構造が設けられている、ことを特徴とする。