(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074544
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】袋
(51)【国際特許分類】
B65D 30/20 20060101AFI20240524BHJP
B65D 33/06 20060101ALI20240524BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B65D30/20 J
B65D33/06
B65D33/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185777
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】591203831
【氏名又は名称】株式会社マーナ
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100139871
【弁理士】
【氏名又は名称】相良 由里子
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】菊田 みなみ
(72)【発明者】
【氏名】金城 定恩
【テーマコード(参考)】
3E064
【Fターム(参考)】
3E064EA10
3E064EA16
3E064HJ05
3E064HN11
3E064HN21
3E064HN24
(57)【要約】
【課題】蛇腹構造により折りたたみ可能な袋において、ファスナーによりスムーズに開口を閉鎖可能にする。
【解決手段】横方向に延びる折り目により規定された蛇腹状の前面110及び後面120を有し、前面110及び後面120の両端部において蛇腹が折りたたまれた状態で固定されおり、前面110及び後面120の縁部の間に開口が形成されてなる折りたたみ可能な袋1であって、袋1の内側の前面110及び後面120の中間高さにそれぞれ取り付けられた前方天面130及び後方天面140と、前方天面130及び後方天面140の内縁部同士を接続するためのファスナー構造150と、をさらに有し、前方天面130及び後方天面140には折り目が形成されており、前面110及び後面120の蛇腹が折りたたまれた収納状態において、前方天面130及び後方天面140は前面110及び後面120に重なった状態で折りたたまれる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横方向に延びる折り目により規定された蛇腹状の前面及び後面を有し、前記前面及び前記後面の両端部において蛇腹が折りたたまれた状態で固定されおり、前記前面及び前記後面の縁部の間に開口が形成されてなる折りたたみ可能な袋であって、
前記袋の内側の前記前面及び前記後面の中間高さにそれぞれ取り付けられた前方天面及び後方天面と、
前記前方天面及び前記後方天面の内縁部同士を接続するための接続構造と、をさらに有し、
前記前方天面及び前記後方天面には折り目が形成されており、前記前面及び前記後面の蛇腹が折りたたまれた収納状態において、前記前方天面及び前記後方天面は前記前面及び前記後面に重なった状態で折りたたまれる、袋。
【請求項2】
横方向に延びる折り目により規定された蛇腹状の前面及び後面を有し、前記前面及び前記後面の縁部の間に開口が形成されてなり、
前記縁部の両端部が近接し、前記前面及び前記後面の蛇腹が広がった使用状態と、前記縁部の両端部が離間し、前記蛇腹が折りたたまれた収納状態と、をとることができる折りたたみ可能な袋であって、
前記前面及び前記後面の中間高さにそれぞれ取り付けられた前方天面及び後方天面と、
前記前方天面及び前記後方天面の内縁部同士を接続するための接続構造と、をさらに有し、
前記前方天面及び前記後方天面には折り目が形成されており、前記収納状態において前記前方天面及び前記後方天面は前記前面及び前記後面に重なった状態で折りたたまれる、袋。
【請求項3】
前記前方天面及び前記後方天面の取付縁から内縁までの幅は、前記前面及び前記後面の前記蛇腹の折り目の幅よりも大きい、
請求項1又は2に記載の袋。
【請求項4】
前記両端部において、前記前面と前記前方天面とが折り目が合うように重ねあわされた状態で固定され、かつ、前記後面と前記後方天面とが折り目が合うように重ねあわされた状態で固定されている、
請求項1又は2に記載の袋。
【請求項5】
前記袋の横方向中央部における、前記前方天面及び前記後方天面が前記前面及び前記後面に固定されている位置が、前記袋の横方向端部における、前記前方天面及び前記後方天面が前記前面及び前記後面に固定されている位置よりも高い、
請求項1又は2に記載の袋。
【請求項6】
前記前面及び前記後面の縁部の両端部には、それぞれポケットが形成されており、
さらに、両端部が前記ポケット内に収容された状態で前記前面及び前記後面に取り付けられた一対の紐部材を有する、
請求項1又は2に記載の袋。
【請求項7】
前記前面に取り付けられた紐部材の両端部は、それぞれ、前記前面及び前記前方天面とともに固定され、
前記後面に取り付けられた紐部材の両端部は、それぞれ、前記後面及び前記後方天面とともに固定されている、
請求項6に記載の袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋に関する。
【背景技術】
【0002】
折りたたみ可能な手提げ袋として、例えば、特許文献1には、シート材料からなり上下方向に山折りと谷折りの折り目を交互に形成した蛇腹構造を有する前面及び後面を有し、前面及び後面の両端部において蛇腹が折りたたまれた状態で接続されてなり、内部に物品を収容した使用状態と、蛇腹構造が折りたたまれた折りたたみ状態とをとることができる袋が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、このような蛇腹構造を有する手提げ袋に、開口を閉鎖可能にするためファスナーを設ける要望がある。このような場合には、前面及び後面の上縁にファスナーを取り付けることになるが、上記のような手提げ袋は両端部において蛇腹が折りたたまれた状態で固定されているため、使用状態では前面及び後面の上縁が撓んだ状態となり、ファスナーにより上縁同士をスムーズに閉鎖することができない。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、蛇腹構造により折りたたみ可能な袋において、ファスナーによりスムーズに開口を閉鎖可能にすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、横方向に延びる折り目により規定された蛇腹状の前面及び後面を有し、前面及び後面の両端部において蛇腹が折りたたまれた状態で固定されおり、前面及び後面の縁部の間に開口が形成されてなる折りたたみ可能な袋であって、袋の内側の前面及び後面の中間高さにそれぞれ取り付けられた前方天面及び後方天面と、前方天面及び後方天面の内縁部同士を接続するための接続構造と、をさらに有し、前方天面及び後方天面には折り目が形成されており、前面及び後面の蛇腹が折りたたまれた収納状態において、前方天面及び後方天面は前面及び後面に重なった状態で折りたたまれる、袋が提供される。
【0007】
また、本発明の一態様によれば、横方向に延びる折り目により規定された蛇腹状の前面及び後面を有し、前面及び後面の縁部の間に開口が形成されてなり、縁部の両端部が近接し、前面及び後面の蛇腹が広がった使用状態と、縁部の両端部が離間し、蛇腹が折りたたまれた収納状態と、をとることができる折りたたみ可能な袋であって、前面及び後面の中間高さにそれぞれ取り付けられた前方天面及び後方天面と、前方天面及び後方天面の内縁部同士を接続するための接続構造と、をさらに有し、前方天面及び後方天面には折り目が形成されており、収納状態において前方天面及び後方天面は前面及び後面に重なった状態で折りたたまれる、袋が提供される。
【0008】
上記態様によれば、使用状態において、袋の開口を画成する前面及び後面の縁部が縮んだり、撓んだ状態となっても、中間高さに取り付けられた前方天面及び後方天面に接続構造が設けられているため、前方天面及び後方天面の内縁部での縮みや撓みが抑制され、スムーズに開口を閉鎖及び開放することができる。特に、使用状態において、縁部の両端部近傍に当たる部分に撓みが生じたとしても、上記態様によればスムーズに開口を閉鎖及び開放することができる。また、両端部を離間させることにより、前方天面及び後方天面が前面及び後面に重なった状態で折りたたまれるため、スムーズに収納状態にすることができる。
【0009】
本発明の一態様によれば、前方天面及び後方天面の取付縁から内縁までの幅は、前面及び後面の蛇腹の折り目の幅よりも大きい。
上記態様によれば、前方天面及び後方天面の幅が十分に大きく、使用状態における前方天面及び後方天面の内縁への、前面及び後面の縁の縮みや撓みの影響が小さくなる。
【0010】
本発明の一態様によれば、両端部において、前面と前方天面とが折り目が合うように重ねあわされた状態で固定され、かつ、後面と後方天面とが折り目が合うように重ねあわされた状態で固定されている。
上記態様によれば、両端部を離間させることにより、前方天面及び後方天面と前面及び後面とを同時に収納状態とすることができ、さらに、収納状態において前方天面及び後方天面を前面及び後面に重なるようにすることができる。
【0011】
本発明の一態様によれば、袋の横方向中央部における、前方天面及び後方天面が前面及び後面に固定されている位置が、袋の横方向端部における、前方天面及び後方天面が前面及び後面に固定されている位置よりも高い。
袋本体が長い場合などに、両端部を離間させて収容状態とする際に、袋本体の横方向中央部では、前方天面及び後方天面の折りたたみがスムーズできないことがある。これに対して、上記態様によれば、袋本体の横方向中央部において高い位置で前方天面及び後方天面を前面及び後面に固定しているため、袋本体の横方向中央部においても、スムーズに折り畳むことができる。
【0012】
本発明の一態様によれば、前面及び後面の縁部の両端部には、それぞれポケットが形成されており、さらに、両端部がポケット内に収容された状態で前面及び後面に取り付けられた一対の紐部材を有する。
上記態様によれば、紐部材を引っ張ることにより、袋本体の両端部が近接して使用状態とすることができる。
【0013】
本発明の一態様によれば、前面に取り付けられた紐部材の両端部は、それぞれ、前面及び前方天面とともに固定され、後面に取り付けられた紐部材の両端部は、それぞれ、後面及び後方天面とともに固定されている。
紐部材の両端部よりも外方の部分は、使用状態において、縮みや撓みが生じない。このため、上記態様によれば、縮みや撓みが生じる部分の縁において、前面及び後面を前方天面及び後方天面に固定することができ、収容状態への変形をスムーズに行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、蛇腹構造により折りたたみ可能な袋において、ファスナーにより開口を閉鎖可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】使用状態における第1実施形態の手提げ袋を示す斜視図である。
【
図2】収納状態における第1実施形態の手提げ袋を示す上面図である。
【
図3】収納状態における第1実施形態の手提げ袋を示す下面図である。
【
図4】両端部のテープ及びステッチがない状態の第1実施形態の手提げ袋の袋本体の構成を示す斜視図である。
【
図5】第1実施形態の手提げ袋の袋本体の展開図である。
【
図6】第1実施形態の手提げ袋の袋本体上部の構成を模式的に示す拡大断面図である。
【
図7】使用状態における第2実施形態による手提げ袋を示す斜視図である。
【
図8】両端部のテープ及びステッチがない状態の第2実施形態の手提げ袋の袋本体の構成を示す斜視図である。
【
図9】第2実施形態の手提げ袋の袋本体の展開図である。
【
図10】第2実施形態の手提げ袋の袋本体上部の構成を示す図である。
【
図11】第2実施形態の手提げ袋の袋本体上部の端部近傍の構成を模式的に示す拡大断面図である。
【
図12】第2実施形態の手提げ袋の袋本体上部の中央部の構成を模式的に示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態による袋を、図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明は、本発明の袋を手提げ袋に適用した場合について説明するが、本発明の袋は手提げ袋に限定されない。
【0017】
図1は、使用状態における第1実施形態の手提げ袋を示す斜視図である。また、
図2は、収納状態における第1実施形態の手提げ袋を示す上面図である。
図3は、収納状態における第1実施形態の手提げ袋を示す下面図である。
図4は、両端部のテープ及びステッチがない状態の第1実施形態の手提げ袋の袋本体の構成を示す斜視図である。
図5は、第1実施形態の手提げ袋の袋本体の展開図である。
図6は、第1実施形態の手提げ袋の袋本体上部の構成を模式的に示す拡大断面図である。
【0018】
図1~
図3に示すように、本実施形態の手提げ袋1は、袋本体10と、袋本体10に取り付けられた一対の手提げ紐20と、袋本体10に取り付けられた収納袋と30、を有する。
【0019】
図4~
図6に示すように、袋本体10は、例えば、一枚の長方形状のシート材が折りたたまれて構成されている。シート材としては、コットンなどの天然繊維が織られた織布により形成されていてもよいし、ナイロンやポリエステルなどの化学繊維が織られた織布により形成されていてもよい。また、シート材としては、織物にかかわらず不織布や、メッシュ素材により構成してもよく、内面に保冷用のアルミ層が設けられたシート材を用いてもよい。
【0020】
袋本体10は底面100と、前面110と、後面120とを有する。前面110及び後面120の各々には、横方向に平行に延びる山折り線(山折りの折り目)111、121と谷折り線(谷折りの折り目)112、122が交互に形成されており、これら折り目により蛇腹状の形状が規定されている。山折り線111、121と谷折り線112、122の折り目の間隔(幅)は一定である。前面110と後面120とは、前後方向中央面を挟んで対称な構成となっている。なお、ここでいう山折り線111、121とは折りたたみ時に袋本体10の内側から見て外方に突出するような折り目をいい、谷折り線112、122とは折りたたみ時に袋本体10の内側から見て内方に突出するような折り目をいう。これら山折り線111、121及び谷折り線112、122は、例えば、シート材を折りたたんだ状態で加熱する方法(ヒートセット)、加工液や樹脂により折り目加工を施す方法などにより、シート材に形状記憶させることができる。
【0021】
前面110及び後面120には下方から山折り線111、121、谷折り線112、122の順序で形成されている。前面110及び後面120の山折り線111、121と谷折り線122、122の間(上端では上縁と谷折り線122、122の間)には長方形状の短冊部113、123がそれぞれ形成されている。本実施形態では、前面110及び後面120にはそれぞれ6本の山折り線111、121と、5本の谷折り線112、122が形成されており、これにより、前面110及び後面120はそれぞれ11枚の短冊部113、123が形成されている。なお、以下の説明では、前面110及び後面120の隣接する山折り線111、121の間、又は、隣接する谷折り線112、122の間の部分(すなわち、隣接する2つの短冊部113、123)を蛇腹の一単位といい、隣接する山折り線111、121の間、又は、隣接する谷折り線112、122の間の距離を蛇腹の幅という。蛇腹の幅は短冊部113、123の幅の2倍である。
【0022】
底面100は長方形状であり、底面100の前後方向の幅は前面110及び後面120の折り目の幅(短冊部113、123の幅)の2倍よりもわずかに大きい。
【0023】
また、袋本体10は、前面110及び後面120の中間高さにそれぞれ取り付けられた長方形状の前方天面130及び後方天面140を有する。前方天面130及び後方天面140はそれぞれ前面110及び後面120を構成するシート材と同様のシート材により構成されている。前方天面130及び後方天面140は、外側の取付縁が前面110及び後面120にそれぞれ横方向に沿ってステッチ136、146により縫い付けられて接続されている。また、前方天面130及び後方天面140の内縁(対称面側の縁)にはファスナーを構成する複数のエレメント131、141を有するテープ132、142が取り付けられており、前方天面130及び後方天面140の内側の縁の両端部には、留め具(図示せず)が取り付けられている。そして、これらエレメント131、141に一対のスライダー151が取り付けられてファスナー構造(接続構造)150が形成されている。なお、本実施形態では、前方天面130及び後方天面140を接続及び開放する接続構造として、線ファスナーを用いた場合について説明しているが、これに限らず、面ファスナー、ボタン、巾着構造などを採用することができる。さらに、ファスナー構造としては、金属製のものに限られず、プラスチック製の凹形状と凸形状をはめ合わせるジッパーや、面的に接続するファスナーを使用することも可能である。
【0024】
前方天面130及び後方天面140の取付縁から内縁までの幅は、前面110及び後面120の蛇腹の1.5単位分の幅、すなわち短冊部113、123の3倍の幅と略等しくなっている。前方天面130及び後方天面140の取付縁は、前面110及び後面120の上縁から蛇腹の1.5単位分(すなわち、短冊部113、123の3枚分)離間した位置に横方向に延びるステッチ136、146により縫い付けられている。本実施形態では、このように前方天面130及び後方天面140は、前面110及び後面120の最上段の短冊部113、123ではなく、底面ではない中間高さに接続されている。
【0025】
なお、本実施形態において、前方天面130及び後方天面140を前面110及び後面120に取り付ける位置としては、前面110及び後面120の上縁から前面110及び後面120の高さ(上下方向の幅)の0.1~0.5倍の距離の範囲、又は、高さ方向に中央の短冊部113、123と、上方から2枚目の短冊部113、123との間に設けるのが好ましい。前方天面130及び後方天面140をこの範囲よりも上方に取り付けると、使用時においてファスナー構造150による開口の閉鎖及び開放が妨げられ、また、この範囲よりも下方に取り付けると内部に十分な量の荷物を収容できない。さらに好ましくは、前方天面130及び後方天面140を前面110及び後面120に取り付ける位置としては、前面110及び後面120の上縁から2枚目と3枚目の短冊部113、123の間がより好ましい。このような位置に前方天面130及び後方天面140を取り付けることにより、ファスナー構造150による開口の閉鎖及び開放をより円滑にでき、さらに内部により十分な量の荷物を収容できる。
【0026】
前方天面130及び後方天面140は、前面110及び後面120に対応する蛇腹状に形成されている。具体的には、本実施形態では、前方天面130及び後方天面140にはそれぞれ1本の山折り線133、143及び1本の谷折り線134、144が形成されている。なお、ここでいう山折り線133、143は、折りたたみ時に袋本体の内側から見て外方に突出するような折り目をいい、谷折り線134、144とは袋折りたたみ時に本体の内側から見て内方に突出するような折り目をいう。なお、前方天面130及び後方天面140の折り目は、前面110及び後面120の折り目と同様に形成すればよい。
【0027】
前方天面130及び後方天面140には、取付縁と山折り線133、143の間、山折り線133、143と谷折り線134、144の間、及び、谷折り線134、144の間には長方形状の短冊部135、145が形成されている。各短冊部135、145の幅は等しい。さらに、本実施形態では、これら前方天面130及び後方天面140の短冊部135、145の幅は、前面110及び後面120の短冊部113、123の幅と略等しくなっている。なお、前方天面130及び後方天面140の短冊部135、145の幅は、前面110及び後面120の短冊部113、123の幅よりも長くしたり、短くしたりすることも可能である。
【0028】
本実施形態では、シート材を展開した状態(前面110及び後面120と、前方天面130及び後方天面140とを平坦にして重ね合わせた状態)において、前方天面130及び後方天面140の山折り線133、143と谷折り線134、144が、前面110及び後面120の山折り線111、121及び谷折り線112、122とそれぞれ重なるように、前方天面130及び後方天面140の各折り目は形成されている。
【0029】
図2に示すように、前面110及び後面120の最上部の短冊部113、123の両端部にはそれぞれポケット114、124が形成されている。ポケット114、124は、前面110及び後面120の最上部の短冊部113、123に台形状の蓋生地115、125が取り付けられてなり、長手方向中央側が開口するように形成されている。蓋生地115、125の内側及び外側の縁は前面110及び後面120に縫い付けられている。前面110及び後面120のポケット114、124内には、手提げ紐20の両端部がそれぞれ収容されている。そして、前面110及び後面120の両側部の端部近傍に略8の字状のステッチ116、126が縫い付けられている。このステッチ116、126は、蓋生地115、125と、手提げ紐20の端部と、最上段の短冊部113、123と、前方天面130及び後方天面140の最も内側(最上段)の短冊部135、145(すなわち、テープ132、142が取り付けられた短冊部135,145)とを貫通して縫い付けられている。これにより、手提げ紐20の両端部がポケット114、124内で前面110及び後面に固定されるとともに、前方天面130及び後方天面140の最も内側の短冊部135、145と、前面110及び後面120の最上段の短冊部113、123が端部において固定されている。
【0030】
また、
図1~
図3に示すように、袋本体10の両端部には、前面110及び後面120の蛇腹構造、及び、前方天面130及び後方天面140の蛇腹構造を折りたたんだ状態で、これら前面110及び後面120の外周を包囲するようにテープ160が取り付けられ、テープ160を貫通するようにステッチ161が形成されている。テープ160は、帯状のシート材であり、袋本体10の両端部の全周を包囲するように取付られている。このようにテープ160及びステッチ161により前面110及び後面120の両端部が固定されることにより、前面110及び後面120の上縁で囲まれた開口が形成される。
【0031】
図6に示すように、前方天面130及び後方天面140の山折り線133、143が、前面110及び後面120の山折り線111、121に隣接する短冊部113、123の間に入り込んで折り目が重なり合った状態となり、前面110及び後面120の谷折り線112、122が、前方天面130及び後方天面140の谷折り線134、144に隣接する短冊部135、145の間に入り込んで折り目が重なり合った状態で折りたたまれている。そして、ステッチ161は、袋本体10の底面100と、前面110及び後面120の全ての短冊部113、123と、前方天面130及び後方天面140の全ての短冊部135、145を貫通した状態で縫い付けられ、これにより、前面110及び後面120の全ての短冊部113、123と、前方天面130及び後方天面140の全ての短冊部135、145は両端部において固定されている。
【0032】
なお、本実施形態における折り目が重なりあった状態とは、前方天面130及び後方天面140の山折り線133、143の少なくとも一部、例えば、一枚の短冊部135、145のが、前面110及び後面120の山折り線111、121に隣接する短冊部113、123の間に入り込んでいる、又は、前面110及び後面120の少なくとも一部、例えば、一枚の短冊部135、145の谷折り線112、122が、前方天面130及び後方天面140の谷折り線134、144に隣接する短冊部135、145の間に入り込んでいればよい。
さらに、前方天面130及び後方天面140の山折り線133、143は、前面110及び後面120の山折り線111、121に当接する必要はなく、また、前方天面130及び後方天面140の山折り線133、143が、前面110及び後面120の山折り線111、121に当接する必要もない。
【0033】
収納袋30は、開口部に沿って紐部材が挿通する挿通孔が形成された巾着状の袋であり、開口部の一部の縁が袋本体10の一方の端部のテープ160に沿って接続されている。
【0034】
このような袋本体によれば、以下のように使用状態と、収納状態とをとることができる。
【0035】
まず、収納状態について説明する。収納状態では、前面110及び後面120の両端部が離間し、前面110及び後面120の蛇腹構造が折りたたまれて帯状になっている。また、収納状態では、前方天面130及び後方天面140の蛇腹構造が前面110及び後面120に沿って折りたたまれており、前方天面130及び後方天面140の山折り線133、143が、前面110及び後面120の短冊部113、123の間に入り込んだ状態となっている。なお、収納状態では、帯状になった袋本体10を巻き上げて収納袋30内に収容することも可能である。
【0036】
次に、収納状態から使用状態へ変形させる方法を説明する。使用者は、手提げ紐20の露出している部分を引き出し、手提げ紐20の中央をつかんだ状態で、袋本体10の底部の中央を手提げ紐20から離間するように引っ張る。これにより、ポケット114、124が収縮し、袋本体10の両端部が近接し、手提げ紐20のより長い部分が露出するようになる。そして、袋本体10の両端部が近接することにより、前面110及び後面120の中央部を側方に開くとともに、底面100の中央部を下方に開くことが可能になる。これにより、袋本体10内に荷物を収容するための空間が形成された使用状態となる。
【0037】
本実施形態の手提げ袋1では、ファスナー構造150が前面110及び後面120の上縁に取り付けられておらず、前面110及び後面120の上縁から所定の距離だけ離間した位置に取り付けられた前方天面130及び後方天面140に取り付けられている。このため、使用状態においてポケット114、124が収縮したとしても、前方天面130及び後方天面140は撓まずに、スライダー151を移動させて、ファスナーで開口を閉鎖及び開放することができる。また、ファスナー構造150により、前方天面130及び後方天面140との間を閉鎖すれば、前方天面130及び後方天面140の上に荷物を載置することも可能になる。
【0038】
次に、手提げ袋1を使用状態から収納状態へ変形させる方法を説明する。使用者は、手提げ袋1の両端に取り付けられたテープ160をそれぞれ把持し、手提げ袋1の両端が離間するようにテープ160を引っ張る。これにより、前面110及び後面120の蛇腹構造が折りたたまれた状態となって前面110及び後面120が帯状に延びる。さらに、前方天面130及び後方天面140の蛇腹構造が折りたたまれた状態となる。この際、前方天面130及び後方天面140は、前面110及び後面120の内面に沿うような状態で折りたたまれる。
【0039】
本実施形態によれば、以下の効果が奏される。
本実施形態によれば、使用状態において、袋1の開口を画成する前面110及び後面120の縁部が縮んだり、撓んだ状態となっても、中間高さに取り付けられた前方天面130及び後方天面140にファスナー構造150が設けられているため、前方天面130及び後方天面140の内縁部での縮みや撓みが抑制され、スムーズに開口を閉鎖及び開放することができる。特に、手提げ紐20をポケット114、124から引き出して使用状態とすると、前面110及び後面120の縁のポケット114、124に当たる部分に撓みが生じるが、本実施形態によれば、スムーズに開口を閉鎖及び開放することができる。また、両端部を離間させることにより、前方天面130及び後方天面140が前面110及び後面120に重なった状態で折りたたまれるため、スムーズに収納状態にすることができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、前方天面130及び後方天面140の取付縁から内縁までの幅は、前面110及び後面120の蛇腹の折り目の幅(すなわち、短冊部135,145の幅)よりも大きい。これにより、使用状態における、前方天面130及び後方天面140の内縁への、前面110及び後面120の縁の縮みや撓みの影響が小さくなる。
【0041】
また、本実施形態によれば、両端部において、前面110と前方天面130とが折り目が合うように重ねあわされた状態で固定され、かつ、後面120と後方天面140とが折り目が合うように重ねあわされた状態で固定されている。このような構成によれば、両端部を離間させることにより、前方天面130及び後方天面140と前面110及び後面120とを同時に収納状態とすることができ、さらに、収納状態において前方天面130及び後方天面140を前面110及び後面120に重なるようにすることができる。
【0042】
また、本実施形態によれば、前面110及び後面120の縁部の両端部には、それぞれポケットが形成されており、さらに、両端部がポケット内に収容された状態で前面110及び後面120に取り付けられた一対の手提げ紐20を有する。このような構成によれば、手提げ紐20を引っ張ることにより、袋本体10の両端部が近接して使用状態とすることができる。
【0043】
また、本実施形態によれば、前面110に取り付けられた手提げ紐20の両端部は、それぞれ、前面110及び前方天面130とともに固定され、後面120に取り付けられた手提げ紐20の両端部は、それぞれ、後面120及び後方天面140とともに固定されている。手提げ紐20の両端部よりも外方の部分は、使用状態において、縮みや撓みが生じない。このため、上記の構成によれば、縮みや撓みが生じる部分の縁において、前面110及び後面120を前方天面130及び後方天面140に固定することができ、収容状態への変形をスムーズに行うことができる。
【0044】
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態について説明する。なお、以下の説明において第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図7は、使用状態における第2実施形態による手提げ袋を示す斜視図である。
図8は、両端部のテープ及びステッチがない状態の第2実施形態の手提げ袋の袋本体の構成を示す斜視図である。
図9は、第2実施形態の手提げ袋の袋本体の展開図である。
図10は、第2実施形態の手提げ袋の袋本体上部の構成を示す図である。
図11は、第2実施形態の手提げ袋の袋本体上部の端部近傍の構成を模式的に示す拡大断面図である。
図12は、第2実施形態の手提げ袋の袋本体上部の中央部の構成を模式的に示す拡大断面図である。なお、
図10には、袋の袋本体上部の前面側のみを示すが、後面側も同様の構成になっている。
【0045】
図7~
図12に示すように、本実施形態では、前方天面及び後方天面の前面及び後面への取付方法のみが第1実施形態と異なっている。
【0046】
図9~12に示すように、本実施形態では、前方天面230及び後方天面240は、それぞれ、前面110及び後面120の上方から2枚目の短冊部113、123の幅方向中央に横方向に延びるように第1のステッチ236、246が形成されて取り付けられている。すなわち、本実施形態では、前面110及び後面120の開口側の縁から短冊部113、123の幅の1.5倍の距離の中間高さの位置で、前方天面230及び後方天面240が接続されている。
【0047】
さらに、
図9に示すように、本実施形態では、袋本体210の横方向中央部において、前方天面230及び後方天面240と、前面110及び後面120とを接続する第2のステッチ250が形成されている。第2のステッチ250は、前面110及び後面120の開口側の縁から短冊部113、123の幅と等しい距離の位置に横方向に延び、その両側部が第1のステッチ236向かって傾斜して延びている。
【0048】
このように本実施形態では、前方天面230及び後方天面240の前面110及び後面120への接続位置が、両端部では上縁から短冊部113、123の幅の1.5倍の距離の位置であり、中央部では上縁から短冊部113、123の幅と等しい距離の位置となっている。すなわち、本実施形態では、前方天面230及び後方天面240の前面110及び後面120への接続位置が、両端部に比べて中央部において開口縁側になっている。
【0049】
袋本体210の両端部の間の長さが長い場合には、使用状態から両端部を引っ張って収納状態に変形させる際に、中央部では前方天面230及び後方天面240の蛇腹を折りたたむ力が端部に比べて小さい。このように中央部に十分な力が加わらないと、前方天面230及び後方天面が広がってしまって、前面110及び後面120の上縁からはみ出てしまって確実に畳むことができない。これに対して、本実施形態によれば、前方天面230及び後方天面240の前面110及び後面120への接続位置が、両端部に比べて中央部において開口縁側、すなわち、高い位置になっているため、中央部においても前方天面230及び後方天面240を確実に折り畳むことができる。さらに、第2のステッチ250が形成されるため、折り畳み時に、前方天面230及び後方天面が広がってしまって前面110及び後面120の上縁からはみ出すのを防止して確実に畳むことができる。
【0050】
本実施形態によれば、第1実施形態において奏される効果に加えて、以下の効果が奏される。
本実施形態によれば、袋本体10の横方向中央部における、前方天面230及び後方天面240が前面110及び後面120に固定されている位置が、袋本体10の横方向端部における、前方天面230及び後方天面240が前面110及び後面120に固定されている位置よりも高い。袋本体10の長さが長い場合などに、両端部を離間させて収容状態とする際に、袋本体10の横方向中央部では、前方天面230及び後方天面240の折りたたみがスムーズにできないことがある。これに対して、本実施形態によれば、袋本体10の横方向中央部において高い位置で前方天面230及び後方天面240を前面110及び後面120に固定しているため、袋本体10の横方向中央部においても、スムーズに折り畳むことができる。
【0051】
なお、上記の各実施形態では、収納状態において前面110及び後面120が並列された状態となる場合について説明したが、これに限らず、底面100に折り目を形成し、収納状態において前面110及び後面120を構成される短冊部113、123が重ねられた状態となってもよい。
【0052】
また、第1実施形態では、8の字状のステッチ116、126により前面110及び後面120と前方天面130及び後方天面140とを縫い合わせ、第2実施形態では、8の字状のステッチ116、126及び第2のステッチ250により前面110及び後面120と前方天面230及び後方天面240を縫い合わせたが、これらステッチは必須の構成ではない。ただし、ファスナー構造150のスムーズな開閉のためには、8の字状のステッチ116、126及び第2のステッチ250の両方を備えない構成、8の字状のステッチ116、126のみを備えた構成、第2のステッチ250のみを設ける構成、8の字状のステッチ116、126及び第2のステッチ250の両方を設ける構成の順序でより好ましい。
【符号の説明】
【0053】
1 :袋
10 :袋本体
20 :手提げ紐
30 :収納袋
100 :底面
110 :前面
111、121 :山折り線
112、122 :谷折り線
113、123 :短冊部
114、124 :ポケット
115、125 :蓋生地
116、126 :ステッチ
120 :後面
130 :前方天面
131、141 :エレメント
132、142 :テープ
133、143 :山折り線
134、144 :谷折り線
135、145 :短冊部
136、146 :ステッチ
140 :後方天面
150 :ファスナー構造
151 :スライダー
160 :テープ
161 :ステッチ
210 :袋本体
230 :前方天面
236、246 :第1のステッチ
240 :後方天面
250 :第2のステッチ