(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074545
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】磁石カプセル及び磁石内蔵パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 7/02 20060101AFI20240524BHJP
G09F 7/04 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
H01F7/02 F
H01F7/02 U
G09F7/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185779
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】522455238
【氏名又は名称】株式会社ファルト
(74)【代理人】
【識別番号】110003085
【氏名又は名称】弁理士法人森特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡本 輝明
(57)【要約】
【課題】磁石内蔵パネルの製造が容易になる磁石カプセル及び磁石内蔵パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】磁石内蔵パネルの製造に用いる磁石カプセル1であって、磁石内蔵パネル用の基材の孔に埋設させる中空の胴部2と、胴部2の内部に反転可能に収納された磁石4とを備え、磁石4のN極とS極の反転機能が磁石カプセル1単体で完結している。このことにより、予め磁石カプセル1と孔付きの基材を用意しておけば、磁石カプセル1を基材の孔に装着するだけで、磁石内蔵パネルの主要部を完成させることができるので、磁石内蔵パネルの製造が容易になる。また、磁石カプセル1内に磁石4が収納されているので、基材に接着剤を塗布する工程において、磁石カプセル1の内部に接着剤が入り込むことがなく、接着剤を塗布作業が容易になる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石内蔵パネルの製造に用いる磁石カプセルであって、
磁石内蔵パネル用の基材の孔に埋設させる中空の胴部と、
前記胴部の内部に反転可能に収納された磁石とを備え、
前記磁石のN極とS極の反転機能が磁石カプセル単体で完結していることを特徴とする磁石カプセル。
【請求項2】
前記胴部の端部に形成され前記胴部の外周部から延出し、幅が前記孔の直径よりも大きい延出部をさらに備えており、前記胴部を前記基材の孔に埋設させることより、前記基材の表面に前記延出部により段差が形成される請求項1に記載の磁石カプセル。
【請求項3】
磁石カプセルを用いた磁石内蔵パネルの製造方法であって、
前記磁気カプセルは、
前記磁石内蔵パネル用の基材の孔に埋設させる中空の胴部と、
前記胴部の内部に反転可能に収納された磁石とを備え、
前記磁石のN極とS極の反転機能が磁石カプセル単体で完結しており、
前記磁石内蔵パネルを製造するときに、
前記胴部を前記孔に埋設させ、
前記基材の表面に接着剤を塗布し、
前記基材の表面にシートを貼り付けることを特徴とする磁石内蔵パネルの製造方法。
【請求項4】
前記磁石カプセルは、前記胴部の端部に形成され前記胴部の外周部から延出し、幅が前記孔の直径よりも大きい延出部をさらに備えており、前記胴部を前記孔に埋設させることより、前記基材の表面に前記延出部により段差を形成し、前記段差により前記基材と前記プレートとの間に形成された隙間に接着層が形成されるようにした請求項3に記載の磁石内蔵パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材の孔に埋設させる磁石カプセル及びこの磁石カプセルを用いた磁石内蔵パネルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ボードや壁面に磁石を用いてメモ用紙等を貼り付けることが行われている。例えば特許文献1には、基材と表層との間に磁性体を点在させて介在させ、表層側にマグネットを吸着させて、表層側にメモ用紙等を取り付け可能なボードが開示されている。この構成では、磁性体にマグネットが吸着することになるが、磁性体とマグネットの同極同士が対向すると、反発し合ってしまう。このため、ボタン状の樹脂材を一体にしたマグネットについては、吸着面側が磁性体の異極になったものでなければ使用できなかった。
【0003】
これに対して、特許文献2には、物体取付磁力面のNS反転方法が記載されており、吸着面の裏側に磁石が自由回転できる小空室を設け、小空室の磁石を反転させることが提案されている。この構成では、吸着面の表面側の磁石片の磁石面がN極であってもS極であっても、小空室の磁石を反転することにより、磁石片を吸着面に吸着させることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-1079号公報
【特許文献2】特開昭63-119207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載されているNS反転方法は、箱体同士を磁力で吸着させる玩具に用いるものであり、ボードや壁面に用いるものではなかった。特許文献2に記載されているNS反転方法をボードや壁面に用いようとすると、平板に多数の小空室を設け、これらの小空室を塞ぐために平板に新たな平板を貼り合わせる必要がある。
【0006】
平板同士の貼り合わせには接着剤を用いるのが通常であり、一方の平板に小空室が形成されていると、小空室に接着剤が入り込まないないようにする対策が必要であった。このような対策は通常、製造工程が増えたり、製造時間が長くなってしまう。このため、特許文献2に記載されているNS反転方法をボードや壁面に用いようとすると、如何にして製造を容易にするかが課題となる。
【0007】
本発明は、前記のような従来の課題を解決するものであり、磁石内蔵パネルの製造が容易になる磁石カプセル及び磁石内蔵パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の磁石カプセルは、磁石内蔵パネルの製造に用いる磁石カプセルであって、磁石内蔵パネル用の基材の孔に埋設させる中空の胴部と、前記胴部の内部に反転可能に収納された磁石とを備え、前記磁石のN極とS極の反転機能が磁石カプセル単体で完結していることを特徴とする。
【0009】
前記本発明の磁石カプセルにおいては、前記胴部の端部に形成され前記胴部の外周部から延出し、幅が前記孔の直径よりも大きい延出部をさらに備えており、前記胴部を前記基材の孔に埋設させることより、前記基材の表面に前記延出部により段差が形成されることが好ましい。
【0010】
本発明の磁石内蔵パネルの製造方法は、磁石カプセルを用いた磁石内蔵パネルの製造方法であって、前記磁気カプセルは、前記磁石内蔵パネル用の基材の孔に埋設させる中空の胴部と、前記胴部の内部に反転可能に収納された磁石とを備え、前記磁石のN極とS極の反転機能が磁石カプセル単体で完結しており、前記磁石内蔵パネルを製造するときに、前記胴部を前記孔に埋設させ、前記基材の表面に接着剤を塗布し、前記基材の表面にシートを貼り付けることを特徴とする。
【0011】
前記本発明の磁石内蔵パネルの製造方法においては、前記磁石カプセルは、前記胴部の端部に形成され前記胴部の外周部から延出し、幅が前記孔の直径よりも大きい延出部をさらに備えており、前記胴部を前記孔に埋設させることより、前記基材の表面に前記延出部により段差を形成し、前記段差により前記基材と前記プレートとの間に形成された隙間に接着層が形成されるようにしたことが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の磁石カプセル及び磁石内蔵パネルの製造方法によれば、磁石カプセルは磁石のN極とS極の反転機能が磁石カプセル単体で完結しているので、予め磁石カプセルと孔付きの基材を用意しておけば、磁石カプセルを基材の孔に装着するだけで、磁石内蔵パネルの主要部を完成させることができるので、磁石内蔵パネルの製造が容易になる。
【0013】
また、磁石カプセル内に磁石が収納されているので、基材に接着剤を塗布する工程において、磁石カプセルの内部に接着剤が入り込むことがなく、孔内に磁石カプセルを装着した後に接着剤を塗布すれば、孔内に接着剤が入り込むこともない。このため、磁石カプセルや孔に接着剤が入り込むことを防止するための追加部材や追加工程は不要になり、孔の形成されていない基材に接着剤を塗布するのと同じ要領で、接着剤を塗布することができ、接着剤の塗布作業が容易になる。
【0014】
前記本発明の磁石カプセル及び磁石内蔵パネルの製造方法において、磁石カプセルが延出部を有している構成によれば、基材の孔の直径よりも延出部の幅を大きくすることにより、胴部の移動が規制される。このため、特別に磁石カプセルの位置合わせをすることなく、磁石カプセルを容易かつ確実に定位置に位置決めすることが可能になる。また、延出部は、基材の表面に段差を形成し、基材とプレートと間に隙間を形成するスペーサの役割を果たすので、基材とプレートと間に確実に隙間が確保され、接着層の厚みが均一化され、全体に亘り基材とプレートとの確実な接着が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係る磁石カプセルの分解斜視図。
【
図2】
図1に示した磁石カプセルの組み立て状態の縦断面図。
【
図3】本発明の一実施形態において、磁石カプセル内の磁石の反転を説明する断面図。
【
図4】本発明の一実施形態において、基材に磁石カプセルを装着する直前の状態を示す斜視図。
【
図5】本発明の一実施形態において、基材に磁石カプセルを装着した状態における基材の断面図。
【
図6】本発明の一実施形態において、基材にプレートを貼り付ける直前の状態を示す斜視図。
【
図7】本発明の一実施形態において、基材にプレートを貼り付ける直前の状態における基材の断面図。
【
図8】
図6の状態から基材にプレートを貼り付けた状態の断面図。
【
図9】本発明の一実施形態に係る磁気内蔵パネルの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る磁石カプセル1の分解斜視図である。磁石カプセル1は、中空の胴部2と、胴部2の開口を塞ぐキャップ3と、胴部2に内蔵される磁石4とで構成されている。後述するとおり、磁石カプセル1は基材20の孔21に埋設させるものであり(
図4参照)、磁石内蔵パネル30(
図9参照)の構成部品である。
【0017】
胴部2が埋設する基材20の孔21は円形であれば加工が容易であり、既成品の有孔ボードを活用することもできる。このため、胴部2の形状は、円形の孔に対応した円筒状が好ましい。胴部2及びキャップ3の材料に特に限定はなく、例えば樹脂で成形したものでもよい。樹脂の材料は、後述する磁石内蔵パネル30の製造工程において、ホットプレス加工を行う場合は、耐熱性樹脂が望ましい。
【0018】
磁石4の材料にも特に限定はなく、例えばネオジウム磁石である。磁石カプセル1の大きさについても特に限定はないが、例えば胴部2の外形が10mm程度で、磁石4の直径が5mm程度である。
【0019】
胴部2には延出部5が形成されているが、延出部5を省いたものであってもよい。延出部5が形成されていることにより、基材に装着するときの位置規制ができるだけでなく、均一な接着層を確保可能になる。これらの詳細については後述する。キャップ3には、溝6が形成されており、胴部2の内周に沿って形成された凸部(
図2参照)と係合することにより、キャップ3の胴部2への固定が確実になる。寸法調整等でキャップ3の胴部2への固定が確実になる場合は、溝6及び凸部を省いてもよい。
【0020】
図2は、磁石カプセル1の組み立て状態の縦断面図である。胴部2に磁石4が内蔵された状態で、キャップ3の溝6と胴部2の凸部7とが係合して、胴部2の開口がキャップ3で塞がれている。
図2では、説明の便宜のため、磁石4が胴部2内に浮いた状態で図示している。磁石4は胴部2内で反転可能に収容されており、磁石4が回転することにより、磁石4の上下が反転する。このことにより、磁石4のN極及びS極の位置関係も反転する。
【0021】
磁石カプセル1は、胴部2の内部に磁石4が収納されていることにより、磁石4のN極とS極の反転機能が磁石カプセル1単体で完結している。このことに加えて、磁石カプセル1は延出部5を有していることにより、本発明は後述するとおり様々な効果が得られる。
【0022】
以下、
図3を参照しながら、磁石カプセル1内の磁石4の反転について説明する。磁石カプセル1は、延出部5側が取付用磁石の吸着側である。このため、
図3の各図では、説明の便宜のため、延出部5側が上側になるように図示している。
図3(a)の状態では、磁石4は自重でキャップ3上の載置されている。このとき、磁石4はN極側が上側になっている。
【0023】
図3(b)の状態では、磁石カプセル1の延出部5側に取付用磁石10が近づいている。取付用磁石10はボタン状であり、磁石11に樹脂等で形成したボタン本体12を固定したものである。磁石11は磁石カプセル1側がN極である。このため、
図3(a)の状態ではN極側が上側になっている磁石4は、
図3(b)の状態ではN極同士の反発力により、S極が上側になるように回転してる。
図3(c)の状態では、磁石4の回転が完了し、磁石4のS極と取付用磁石10のN極とが対向した状態で、取付用磁石10が磁石カプセル1に吸着している。取付用磁石10はボタン状に限るものではなく、縦長のつまみを形成したものでもよく、磁石単体であってもよい。
【0024】
図3(a)に示したように、胴部2には凹部8が形成されている。凹部8は円柱状の磁石4が収まるように、円状に形成されており、直径は磁石4の直径よりも少し大きくしている。このことにより、
図3(c)の状態では、磁石4は凹部8に収まっている。凹部8は省いてもよいが、凹部8が形成されていることにより、取付用磁石10が磁石カプセル1に吸着した状態では、磁石4は定位置に配置されるので、取付用磁石10を近づけると、その度に安定した吸着が可能になる。
【0025】
以上によれば、吸着対象の取付用磁石10を磁石カプセル1に近づけたときに、取付用磁石10と磁石カプセル1内の磁石4が、同極同士が対向する状態であっても、磁石4が磁石カプセル1内で反転することにより、取付用磁石10は反転させることなく、そのまま磁石カプセル1に吸着させることができる。
【0026】
図3では、前記のとおり説明の便宜のため、延出部5側が上側になるように図示しているが、磁石カプセル1の向きに関係なく、磁石4は磁石カプセル1内で反転することができる。このため、磁石カプセル1の向きに関係なく、取付用磁石10は反転させることなく、そのまま磁石カプセル1に吸着させることができる。
【0027】
以下、磁石カプセル1を用いた磁石内蔵パネルの製造方法について説明する。
図4は、基材20に磁石カプセル1を装着する直前の状態を示す斜視図である。基材20は、平板に多数の孔21が形成された有孔ボードである。基材20の材料は特に限定はなく、木材でもよく樹脂材でもよい。本実施形態では孔21は貫通孔であるが、貫通していない孔であってもよい。貫通孔とすることにより、穴あけ加工が容易になり、既成品の有孔ボードを活用することもできる。
図4の状態から各貫通孔21に磁石カプセル1を装着していく。
【0028】
図5(a)は、基材20に磁石カプセル1を装着した状態を示す断面図であり、磁石カプセル1の2つ分を示している。
図5(b)は
図5(a)のA部の拡大図である。
図5(a)に示したように、磁石カプセル1の胴部2が孔21に埋設している。
図5(b)に示したように、孔21の直径よりも延出部5の幅が大きいので、延出部5は孔21内に埋設していない。このことにより、基材20の表面に延出部5により段差が形成されることに加えて、胴部2の移動が規制されている。延出部5により胴部2の移動が規制されることにより、特別に磁石カプセル1の位置合わせをすることなく、磁石カプセル1を容易かつ確実に定位置に位置決めすることが可能になる。
【0029】
図6は、基材20にプレート22を貼り付ける直前の状態を示している。この状態では基材20の表面全体に接着剤が塗布されて接着層が形成されている。プレート22の材料は特に限定はなく、木材でもよく樹脂材でもよい。
【0030】
図7(a)は、
図6の状態における基材20の断面図であり、磁石カプセル1の2つ分を示している。
図7(b)は
図7(a)のB部の拡大図である。
図7(a)に示したように、この状態では基材20の表面全体に接着剤23が塗布されて接着層が形成されている。磁石カプセル1の内部は閉じた空間であるので、磁石カプセル1の内部に接着剤23が入り込むことはない。
【0031】
図7(b)に示したように、孔21に胴部2が埋設し、基材20の表面は延出部5で塞がれているので、接着剤23が孔21内に入り込むこともない。すなわち、本実施形態では磁石カプセル1内に接着剤23が入り込むことはなく、孔21内に磁石カプセル1を装着した後に接着剤23を塗布すれば、孔21内に接着剤23が入り込むこともない。したがって、本実施形態では、磁石カプセル1や孔21に接着剤23が入り込むことを防止するための追加部材や追加工程は不要になる。このため、孔21の形成されていない基材20に接着剤23を塗布するのと同じ要領で、接着剤23を塗布することができ、接着剤23を塗布作業が容易になる。
【0032】
図8(a)は、
図6の状態から基材20にプレート22を貼り付けた状態の断面図であり、磁石カプセル1の2つ分を示している。
図8(b)は
図8(a)のC部の拡大図である。
図8(a)に示したように、基材20に接着剤23を介してプレート22が貼り付けらている。
図8(b)に示したように、接着剤23の厚みは、延出部5で形成された段差の厚みに等しくなっている。すなわち、延出部5は、基材20とプレート22と間に隙間を形成するスペーサの役割を果たしている。このため、基材20とプレート22と間に確実に隙間が確保され、接着層の厚みが均一化され、全体に亘り基材20とプレート22との確実な接着が可能になる。
【0033】
基材20へのプレート22の貼り付けは、手作業でもよく、プレス機を用いてもよい。プレス機を用いる場合は、ホットプレス加工を行うことにより、接着剤23の乾燥が早くなる。
【0034】
前記のような工程を経て、磁石内蔵パネルが完成する。
図9は完成した磁気内蔵パネル30の斜視図を示している。プレート22の裏面側には多数の磁石カプセル1が埋設されているので、プレート22のほぼ任意の位置に取付用磁石10を吸着させることができる。
【0035】
磁気内蔵パネル30の用途は特に限定はないが、例えば建物の内装材や天板、家具や机の外表面、住宅のドアの外表面として適している。見栄えを向上させるためには、プレート22を化粧板とすればよい。磁気内蔵パネル30で壁面を形成すれば、この壁面を取付用磁石を用いてシート状の各種掲示物を貼り付け可能な掲示板として活用することができる。
【0036】
以上、本発明の一実施形態について説明し、適宜その効果についても説明したが、効果をまとめると下記のとおりである。磁石カプセル1は磁石のN極とS極の反転機能が磁石カプセル1単体で完結しているので、予め磁石カプセル1と孔付きの基材20を用意しておけば、磁石カプセル1を基材20の孔21に装着するだけで、磁石内蔵パネル30の主要部を完成させることができるので、磁石内蔵パネルの製造が容易になる。
【0037】
磁石カプセル1内に磁石4が収納されているので、基材20に接着剤を塗布する工程において、磁石カプセル1の内部に接着剤23が入り込むことがなく、孔21内に磁石カプセル1を装着した後に接着剤23を塗布すれば、孔21内に接着剤23が入り込むこともない。このため、磁石カプセル1や孔21に接着剤23が入り込むことを防止するための追加部材や追加工程は不要になり、孔21の形成されていない基材20に接着剤23を塗布するのと同じ要領で、接着剤23を塗布することができ、接着剤23の塗布作業が容易になる。
【0038】
磁石カプセル1は延出部5を有しているので、基材の孔の直径よりも延出部5の幅を大きくすることにより、胴部2の移動が規制される。このため、特別に磁石カプセル1の位置合わせをすることなく、磁石カプセル1を容易かつ確実に定位置に位置決めすることが可能になる。また、延出部5は、基材20の表面に段差を形成し、基材20とプレート22と間に隙間を形成するスペーサの役割を果たすので、基材20とプレート22と間に確実に隙間が確保され、接着層の厚みが均一化され、全体に亘り基材20とプレート22との確実な接着が可能になる。
【符号の説明】
【0039】
1 磁石カプセル
2 胴部
3 キャップ
4 磁石
5 延出部
10 取付用磁石
20 基材
21 孔
22 プレート
23 接着剤
30 磁気内蔵パネル