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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074550
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】積層鉄心及びその溶接割れ修正方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
H02K15/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185785
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】陣 雄一郎
【テーマコード(参考)】
5H615
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB02
5H615BB05
5H615BB14
5H615PP01
5H615PP06
5H615SS16
(57)【要約】
【課題】溶接割れを修正して、廃棄を無くし又は抑制することを可能にする積層鉄心を提供する。
【解決手段】積層鉄心1は、複数の環状の鉄心片7を積層した積層鉄心片3と、この積層鉄心3を積層方向に沿って溶接した第1溶接部5と、第1溶接部5の溶接割れ11を第1溶接部5の一部の溶融及び凝固により溶接した第2溶接部9とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の環状の鉄心片を積層した積層鉄心片と、
前記積層鉄心片を積層方向に沿って溶接した第1溶接部と、
前記第1溶接部の溶接割れを前記第1溶接部の一部の溶融及び凝固により溶接した第2溶接部と、
を備えた積層鉄心。
【請求項2】
請求項1の積層鉄心であって、
前記第2溶接部は、前記溶接割れの割れ線に対する近似線を基準として、前記第1溶接部の前記一部が所定の溶接幅及び溶接深さで溶融し凝固してなる、
積層鉄心。
【請求項3】
請求項1の積層鉄心に用いる溶接割れ修正方法であって、
前記第1溶接部を形成する第1溶接工程と、
前記第1溶接部の溶接割れを確認する確認工程と、
前記第2溶接部を前記溶接割れに沿った溶接により形成する第2溶接工程と、
を備えた溶接割れ修正方法。
【請求項4】
請求項3の溶接割れ修正方法であって、
前記第2溶接工程の溶接は、前記第1溶接部に前記溶接割れを含む積層鉄心片を積層方向に加圧して行う、
溶接割れ修正方法。
【請求項5】
請求項3又は4の溶接割れ修正方法であって、
前記第2溶接工程は、前記溶接割れの割れ線に対する近似線を基準として、前記溶接割れを含む前記第1溶接部の前記一部を所定の溶接幅及び溶接深さで溶融させ凝固させる溶接を行う、
溶接割れ修正方法。
【請求項6】
請求項3又は4の溶接割れ修正方法であって、
前記第2溶接工程の焦点サイズは、前記第1溶接工程の焦点サイズよりも小さい、
溶接割れ修正方法。
【請求項7】
請求項3又は4の溶接割れ修正方法であって、
前記第2溶接工程は、前記溶接を非パルスで行う、
溶接割れ修正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動モーター等に供される積層鉄心及びその溶接割れ修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の積層鉄心としては、複数の環状の鉄心片を積層し溶接したものがある。このような積層鉄心では、溶接が積層方向に行われるが、形成された溶接部の途中に割れ(溶接割れ)が発生することがあった。
【0003】
溶接部に割れが発生すると、溶接品質が基準を満たさず、積層鉄心を廃棄することになる。
【0004】
これに対し、特許文献1のローターの製造方法では、溶接ヘッドを鉄心片の積層面に対して所定の角度で傾斜させ、積層された複数の鉄心片に対して溶接ヘッドを相対的に移動させるようにしている。
【0005】
かかるローターの製造方法では、溶接品質の向上は可能であるが、溶接割れが発生した場合、溶接割れした積層鉄心の廃棄を伴うという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許6652190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、溶接割れを含む積層鉄心の廃棄を伴う点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の環状の鉄心片を積層した積層鉄心片と、前記積層鉄心片を積層方向に沿って溶接した第1溶接部と、前記第1溶接部の溶接割れを前記第1溶接部の一部の溶融及び凝固により溶接した第2溶接部と、を備えた積層鉄心を提供する。
【0009】
また、本発明は、積層鉄心に用いる溶接割れ修正方法であって、前記第1溶接部を形成する第1溶接工程と、前記第1溶接部の溶接割れを確認する確認工程と、前記第2溶接部を前記溶接割れに沿った溶接により形成する第2溶接工程と、を備えた溶接割れ修正方法を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、積層鉄心の廃棄を無くし又は抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施例に係る積層鉄心の斜視図である。
図2図2は、図1の積層鉄心の平面図である。
図3図3(A)は、溶接前の積層鉄心片の一部を拡大して示す平面図であり、図3(B)は、溶接後の図3(A)に対応した積層鉄心の一部を拡大して示す平面図である。
図4図4は、溶接割れを含む積層鉄心の一部を拡大して示す側面図である。
図5図5は、図4の溶接割れ周辺を示す拡大側面図である。
図6図6は、第2溶接部を示す側面図である。
図7図7は、図6の第2溶接部の断面図である。
図8図8は、実施例に係る積層鉄心の製造方法を示す工程図である。
図9図9は、図8の製造方法における第1溶接工程及び第2溶接工程の諸条件の一例を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、積層鉄心の廃棄を無くし又は抑制することを可能にするという目的を、第1溶接部の溶接割れを第1溶接部の一部の溶融及び凝固により溶接することで実現した。
【0013】
積層鉄心1は、積層鉄心片3と、第1溶接部5と、第2溶接部9とを備えて構成されている。積層鉄心片3は、複数の環状の鉄心片7を積層したものである。第1溶接部5は、積層鉄心片3の鉄心片7を積層方向に沿って溶接している。第2溶接部9は、第1溶接部5の溶接割れ11を第1溶接部5の一部の溶融及び凝固により溶接している。
【0014】
第2溶接部9は、溶接割れ11の割れ線12に対する近似線15を基準として、溶接割れ11を含む第1溶接部5の一部が所定の溶接幅W及び溶接深さD2で溶融し凝固してなるものであってもよい。
【0015】
本発明の溶接割れ修正方法は、第1溶接部5を形成する第1溶接工程S1と、第1溶接部5の溶接割れ11を確認する確認工程S2と、第2溶接部を溶接割れ11に沿った溶接により形成する第2溶接工程S4とを備える。
【0016】
第2溶接工程S4の溶接は、第1溶接部5に溶接割れ11を含む積層鉄心片3を積層方向に加圧して行ってもよい。
【0017】
第2溶接工程S4は、溶接割れ11の割れ線12に対する近似線15を基準として、溶接割れ11を含む第1溶接部5の一部を所定の溶接幅W及び溶接深さD2で溶融させ凝固させる溶接を行ってもよい。
【0018】
第2溶接工程S4の焦点サイズは、第1溶接工程S1の焦点サイズよりも小さくしてもよい。
【0019】
第2溶接工程S4は、非パルス溶接を行ってもよい。
【実施例0020】
[積層鉄心]
図1は、本発明の一実施例に係る積層鉄心の斜視図である。図2は、図1の積層鉄心の平面図である。図3(A)は、溶接前の積層鉄心片の一部を拡大して示す平面図であり、図3(B)は、溶接後の図3(A)に対応した積層鉄心片の一部を拡大して示す平面図である。
【0021】
本実施例の積層鉄心1は、電動モーターや発電機の固定子側に用いられるステーターコアである。この積層鉄心1は、複数の環状の鉄心片7を積層した積層鉄心片3が、複数の第1溶接部5によって鉄心片7相互間を溶接されて形成されている。複数の第1溶接部5は、積層鉄心片3の外周部に間隔を空けて配置されている。鉄心片7は、電磁鋼板からなる。
【0022】
なお、積層鉄心1は、ローターコア用に形成して適用することもできる。この場合、溶接部は、ローターコアの内周部等に形成することができる。
【0023】
各第1溶接部5は、積層鉄心片3の積層方向に沿って形成されている。なお、第1溶接部5は、両端が積層方向で離れていればよく、積層方向に厳密に沿う必要は無い。積層方向とは、積層鉄心1の軸心に沿った軸方向をいう。また、以下において周方向は、積層鉄心1の軸心周りの延設方向をいい、径方向は、積層鉄心1の径に沿った方向をいう。
【0024】
第1溶接部5の溶接箇所及び数は限定されないが、実施例の第1溶接部5は、60°間隔で周方向の6箇所の凹部8(図3(A)参照)に形成されている。積層鉄心片3の溶接前には、図3(A)のように、積層方向に連続して凹部8内に溶接用の突起8aが形成されている。第1溶接部5は、図3(B)のように、積層鉄心片3の突起8aを溶融して凝固する溶接によって形成されている。
【0025】
第1溶接部5の溶接幅Bは、積層鉄心片3の周方向における第1溶接部5の寸法であり、溶接深さD1は、積層鉄心片3の径方向における凹部8の底部からの第1溶接部5の寸法である。
【0026】
本実施例の積層鉄心1は、第1溶接部5の溶接割れ11を溶接した後述する第2溶接部9を備える。
【0027】
図4は、溶接割れ11を含む積層鉄心1の一部を拡大して示す側面図である。図5は、図4の溶接割れ11周辺を示す拡大側面図である。
【0028】
第2溶接部9の形成前において、第1溶接部5には、溶接割れ11があり、溶接割れ11は、第1溶接部5を分断する。本実施例の溶接割れ11は、周方向に指向する横割れとなっている。この溶接割れ11は、積層鉄心片3の隣接する鉄心片7間に隙間13を発生させる。
【0029】
なお、溶接割れ11が横割れであっても、隣接する鉄心片7間に隙間13を発生させないこともある。また、溶接割れ11は、溶接部5を分断せずに、ひび程度の場合もある。溶接部5を分断する溶接割れ11は、溶接部5の分断部分間に隙間を有するものや、ほとんど隙間を有さずに線状となっているもの、それらの組み合わせ等がある。
【0030】
溶接割れ11の指向は、後述する溶接割れ11の近似線15の指向をいう。溶接割れ11は、軸方向に指向する縦割れや軸方向と周方向の双方に対して傾斜した方向に指向する斜め割れの場合もある。
【0031】
図6は、第2溶接部9の側面図である。図7は、図6の第2溶接部9の断面図である。
【0032】
第2溶接部9は、第1溶接部5の溶接割れ11を第1溶接部5の一部の溶融及び凝固により溶接したものである。従って、積層鉄心1は、溶接割れ11が第2溶接部9によって修正され、廃棄が無くされ又は抑制される。この第2溶接部9は、第1溶接部5の一部の溶融及び凝固によって形成されるため、第1溶接部5と一体となって強度低下等が抑制されている。
【0033】
本実施例の第2溶接部9は、溶接割れ11に沿って形成され、第1溶接部5の一部が所定の溶接幅W及び溶接深さD2で溶融し凝固してなる。第2溶接部9の溶接割れ11に沿った形成は、溶接割れ11の指向に沿った形成又は溶接割れ11に倣った形成をいう。
【0034】
本実施例において、第2溶接部9は、溶接割れ11の指向に沿っており、溶接割れ11の割れ線12に対する近似線15に倣って形成されている。従って、第2溶接部9は、近似線15を基準として、溶接幅W及び溶接深さD2を有する線状となっている。このため、本実施例では、第2溶接部9が溶接割れ11に倣った形状ではなく、より確実に溶接割れ11の修正後の強度低下等が抑制される。
【0035】
なお、近似線15は、溶接割れ11の始端と終端とを結ぶ直線の他、回帰分析等によって求めた近似直線や近似曲線等であってもよい。溶接割れ11が始端や終端において隙間を有する場合は、隙間の積層方向の縁部間の何れかの部分を始端や終端として結んだ直線を近似線15とすればよい。この場合において、縁部の一方を始端や終端とするのが好ましい。
【0036】
溶接幅Wは、溶接割れ11の割れ線12以上の周方向の寸法であり、溶接深さD2は、積層鉄心片3の径方向における凹部8の底部からの第2溶接部9の寸法である。
この溶接深さD2は、第1溶接部5の溶接深さD1より大きいことが好ましい。
【0037】
第2溶接部9の溶接幅Wは、近似線15に対し最も大きな山が入る幅となっている。本実施例の溶接幅Wは、第1溶接部5の溶接幅Bよりも小さく設定されている。ただし、溶接幅Wは、溶接幅Bよりも大きくてもよい。第2溶接部9の溶接幅Wを小さく設定する程度は溶接割れ11を溶着できる限り自由である。
【0038】
第2溶接部9の溶接長さLは、第1溶接部5の溶接幅Bよりも小さく設定されている。ただし、第2溶接部9の溶接長さLは、任意に設定可能であり、第1溶接部5の溶接幅Bよりも大きく設定してもよい。なお、溶接長さLは、第2溶接部9の指向する方向の寸法であり、実施例において第2溶接部9の周方向の寸法をいう。
【0039】
[廃却と溶接割れ修正方法]
図8は、実施例1に係る溶接割れ修正方法を適用した積層鉄心1の製造方法を示す工程図である。本実施例の製造方法は、複数の鉄心片7を積層した積層鉄心片3に対する溶接以降を行う。
【0040】
第1溶接工程S1では、積層鉄心片3の外周部において、第1溶接部5の形成を行う。これにより、積層鉄心片3の鉄心片7を積層方向に沿って溶接する(図1及び図2参照)。
【0041】
溶接に際しては、整列治具(図示せず)に複数の鉄心片7が積層鉄心片3として積層されており、この積層鉄心3を整列治具上で所定の厚さに加圧する。
【0042】
次いで、ファイバーレーザー溶接機等のトーチにより、加圧状態の積層鉄心3に対して溶接が行われて第1溶接部5が形成される。
【0043】
こうして完成した積層鉄心1は、確認工程S2においてカメラ画像にて溶接割れ11の確認を受ける。溶接割れ11が無い積層鉄心1は、次工程S3がなされ、溶接割れ11が見つかった積層鉄心1は、廃棄されずに第2溶接工程S4がなされる。
【0044】
第2溶接工程S4では、溶接割れ11に沿った溶接により第2溶接部9が形成される。溶接割れ11に沿った溶接とは、溶接割れ11の指向に沿った溶接又は溶接割れ11に倣った溶接をいう。
【0045】
本実施例の第2溶接工程S4は、溶接割れ11の割れ線12に対する近似線15を基準とし、溶接割れ11を含む第1溶接部5の一部を溶接幅W及び溶接深さD2で溶融して凝固した溶接を行う。例えば、例えば近似線15に焦点の中心を合せてトーチを移動させる。従って、溶接動作を簡素化することができる。
【0046】
本実施例において、近似線15は、近似直線であり、トーチを近似直線に沿って直線移動させる。なお、近似線15は、溶接割れ11の発生状態により近似曲線にすることもできる。この場合は、トーチを近似曲線に沿って曲線移動させる。
【0047】
この溶接では、近似線15に対し最も大きな山が入る溶接幅Wとし、第1溶接部5の溶接深さD1を上回る溶接深さD2となるように、または第1溶接部5の断面積を上回る第2溶接部9の断面積となるように溶接パワー、溶接スピード、焦点サイズ、往復回数(重ね回数)等の溶接条件を設定する。溶接割れ11の割れ線12は、周方向と軸方向にジグザグ形状を有するが、周方向へのトーチの移動で軸方向にも溶融するので問題はない。なお、第1溶接部5の溶接深さD1を下回る溶接深さD2となるように、または、第1溶接部5の断面積を下回る第2溶接部9の断面積となるように、溶接条件を設定してもよい。
【0048】
溶接割れ11は、一回発生したら割れ箇所の割れ要因(応力等)はリセットされる場合がある。この場合、溶接割れ11により応力等が除去された状態で第2溶接部9により溶接割れ11を確実に修正することができる。
【0049】
従って、本実施例では、第1溶接部5に溶接割れ11が生じたとしても、第2溶接部9によって溶接割れ11を溶接して修正することができ、積層鉄心1の廃棄を無くし又は抑制することができる。
【0050】
図9は、図8の製造方法における第1溶接工程S1及び第2溶接工程S4の諸条件の一例を示す図表である。図中の第1溶接及び第2溶接は、それぞれ第1溶接工程S1及び第2溶接工程S4による溶接を意味する。
【0051】
第2溶接工程S4の溶接パワー及び焦点サイズは、第1溶接工程S1の溶接パワー及び焦点サイズよりも小さいものとした。これにより、緻密な修正ができる。なお、第2溶接工程S4の溶接パワー及び焦点サイズは、第1溶接工程S1の溶接パワー及び焦点サイズと同等又はそれよりも大きいものとすることも可能である。
【0052】
また、第2溶接工程S4の溶接スピードは、第1溶接工程S1の溶接スピードよりも大きいものとした。これにより、急激な溶融を抑制し、緻密な修正ができる。なお、溶接スピードは、焦点の移動スピードである。第2溶接工程S4の溶接スピードは、第1溶接工程S1の溶接スピードと同等又はそれよりも小さいものとすることも可能である。
【0053】
第2溶接工程S4では、溶接パワーが第1溶接工程S1に対して低出力にしているため、スパッタを抑制できる。また、溶接パワーが低出力であれば、発振器を安価にすることもできる。
【0054】
第2溶接工程の焦点サイズは、溶接割れ11の割れ線12が細く、且つ加圧によりさらに細くなるので、第1溶接工程S1での焦点サイズに比較して相対的に小さくできる。
【0055】
また、第1溶接工程S1での積層鉄心片3の加圧力は、鉄心片7間の隙間が小さくなる荷重を下限とする。ただし、加圧力により鉄心片7が変形、破損しない荷重を上限とする。
【0056】
第2溶接工程S4での積層鉄心片3の加圧力は、溶接割れ11による層間の隙間13が小さくなる荷重を下限とする。この荷重は、第1溶接工程S1での下限よりも大きくなる。第2溶接工程S4での荷重の上限は、第1溶接工程S1での上限同様に鉄心片7が変形、破損しない荷重とする。
【0057】
また、第1溶接工程S1は、パルス溶接を行うのに対し、第2溶接工程S4は、非パルス溶接を行う。第2溶接工程S4において非パルス溶接することにより、スパッタの発生を抑制できる。
【0058】
ただし、第2溶接工程S4をパルス溶接とすることもできる。第1溶接工程S1を非パルス溶接で行うこともできる。
【0059】
その他、第2溶接工程S4は、第2溶接を複数回の重ね溶接で行い、スパッタを抑制しながらも第2溶接部9の溶接深さD2及び断面積の低減を補うことができる。実施例では、例えば、4往復で計8回の溶接を行っている。ただし、第2溶接工程S4を高出力等とする場合は、往復する必要は無い。
【0060】
第2溶接工程S5での修正後には、積層鉄心1に対する確認工程S2を再度行ってもよい。修正後の溶接割れ11の確認は、第1溶接工程S1後の確認工程S2と同一に行うことが可能である。このため、確認工程S2に対するラインの上流に修正後の積層鉄心1を再投入すればよい。
【符号の説明】
【0061】
1 積層鉄心
3 積層鉄心片
5 第1溶接部
7 鉄心片
9 第2溶接部
11 溶接割れ
12 割れ線
15 近似線
S1 第1溶接工程
S2 確認工程
S4 第2溶接工程
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9