(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074559
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】シート回転装置
(51)【国際特許分類】
B60N 2/14 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
B60N2/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185804
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊東 定夫
【テーマコード(参考)】
3B087
【Fターム(参考)】
3B087BA07
3B087BB10
3B087BC18
(57)【要約】
【課題】シート回転装置のコンパクト化を可能とする構成を備えた、シート回転装置を提供する。
【解決手段】シート本体が車両の前方を向く着座位置とシート本体が車両のドアの開口部を向く乗降位置との間でシート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、車両のフロアFL側に固定されるベースプレート100と、ベースプレート100よりも上方に配置され、シート本体に対して相対回転しないようにシート本体の下面に固定されるターンフレーム200と、ベースプレート100に対してターンフレーム200が着座位置と乗降位置との間で回転可能となるようにベースプレート100とターンフレーム200とを連結する連結ユニット300と、を備え、連結ユニット300は、ターンリンク311と、ターンリンク311の下面側に固定される駆動機構321と、を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、
前記車両のフロア側に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレートよりも上方に配置され、前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定されるターンフレームと、
前記ベースプレートに対して前記ターンフレームが前記着座位置と前記乗降位置との間で回転可能となるように前記ベースプレートと前記ターンフレームとを連結する連結ユニットと、を備え、
前記連結ユニットは、
前記ベースプレートと前記ターンフレームとを連結し、一端側において前記ベースプレートに対して相対回転可能となるように前記ベースプレートに回転可能に固定された固定支持部と、他端側において前記固定支持部を回転中心として前記ベースプレートに対して回動可能であり、かつ、前記ターンフレームに対して相対回転可能となるように前記ターンフレームに固定された可動支持部と、を有するターンリンクと、
前記ベースプレートに固定されており、前後方向に延びる形状を有するターンリンク用ガイドレールと、
前記ターンリンク用ガイドレールに沿って移動可能であり、前記ターンリンクを支持するターンリンク支持スライダと、
前記ベースプレートに固定されており、前記ターンリンク用ガイドレールに対して左右方向に所定の間隙を隔て配置され、前後方向に直線状に延びる形状を有する第1ガイドレールと、
前記第1ガイドレールに沿って移動可能であり、前記ターンフレームに設けられる第1移動支持部を支持するための第1支持スライダと、
前記ベースプレートに固定されており、前記ターンリンク用ガイドレールと前記第1ガイドレールとの間において、後方から前方に向かうにしたがって徐々に前記ターンリンク用ガイドレールに近づくように直線状に延びる形状を有する第2ガイドレールと、
前記第2ガイドレールに沿って移動可能であり、前記ターンフレームに設けられる第2移動支持部を支持するための第2支持スライダと、
前記ターンリンクの前記可動支持部に回動可能に設けられる回動プレートと、
前記回動プレートを前記可動支持部を回転中心として回転させるため、前記ターンリンクの下面側に固定される駆動機構と、
を含み、
前記シート本体を前記着座位置から前記乗降位置に移動させる際には、前記駆動機構により平面視において前記回動プレートを前記可動支持部を中心として時計回転方向に回転させることで、前記回動プレートが前記可動支持部を中心として回転する力に対応して、前記回動プレートに固定された前記ターンフレームが前記固定支持部を回転中心として回動を開始するとともに、前記ターンリンク支持スライダが前記ターンリンク用ガイドレールに沿って移動し、前記第1支持スライダが前記第1ガイドレールに沿って移動し、前記第2支持スライダが前記第2ガイドレールに沿って移動することで、前記ターンフレームが前方に移動しながら前記ターンリンク用ガイドレール側に回転して、前記シート本体が前記着座位置から前記乗降位置に移動し、
前記シート本体を前記乗降位置から前記着座位置に移動させる際においては、前記駆動機構を平面視において反時計回転方向に回転させることで、上記とは反対の動作により前記シート本体を前記乗降位置から前記着座位置に移動する、
シート回転装置。
【請求項2】
前記回動プレートの端面には、ラックギヤが設けられ、
前記ターンリンクは、前記ターンフレーム側に位置するプレート部を有し、
前記プレート部の前記ベースプレート側の下面に前記駆動機構が配置され、前記駆動機構の回転がピニオンギヤの回転として、前記プレート部の上面側に配置された前記回動プレートの前記ラックギヤに伝達される、
請求項1に記載のシート回転装置。
【請求項3】
前記ピニオンギヤと前記ラックギヤとの間に中間ギヤが設けられ、
前記中間ギヤには、ストッパプレートが固定され、
前記ストッパプレートは、扇型の形状を有し、前記シート本体が前記着座位置において、前記ピニオンギヤに直接当接する第1半径線部と、前記ピニオンギヤが回転し、前記シート本体が前記乗降位置において、前記ピニオンギヤに直接当接する第2半径線部と、を有することで、前記中間ギヤの回転を規制する、
請求項2に記載のシート回転装置。
【請求項4】
前記回動プレートには、前記可動支持部を挟むようにして2本の固定ピンが設けられ、
2本の前記固定ピンが前記ターンフレームに固定されている、
請求項1に記載のシート回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、シート回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シート本体を着座位置と乗降位置との間で回転させることが可能なシート回転装置が知られている。例えば、特開2022-147186号公報(特許文献1)には、ベースプレートと、ターンフレームと、駆動ユニット(連結ユニット)と、を備えるシート回転装置が開示されている。
【0003】
ベースプレートは、車両のフロア側に固定されている。ターンフレームは、シート本体の下面に固定されている。駆動ユニットは、ベースプレートに対してターンフレームが着座位置と乗降位置との間で回転可能となるようにベースプレートとターンフレームとを連結している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1において、駆動ユニットは、ターンフレームの上方後方部(シートクッションの後方下部)に配置されている。ターンフレームの上方後方部に駆動ユニットを配置すると、駆動ユニットの盛り上がりシート回転装置の上下方向の大きさが大型化する。その結果。乗員が着座した場合に、乗員の臀部が駆動ユニットに当接し、乗員に違和感を与える可能性がある。他方、シートクッションを上方に移動することで、乗員の着座位置が上方に持ち上げられ、乗員への異物感を解消することができる。しかし、シートクッションを上方に移動させる必要がある。
【0006】
本発明は、シート回転装置のコンパクト化を可能とする構成を備えた、シート回転装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一局面に従ったシート回転装置は、シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、前記車両のフロア側に固定されるベースプレートと、前記ベースプレートよりも上方に配置され、前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定されるターンフレームと、前記ベースプレートに対して前記ターンフレームが前記着座位置と前記乗降位置との間で回転可能となるように前記ベースプレートと前記ターンフレームとを連結する連結ユニッと、を備え、前記連結ユニットは、前記ベースプレートと前記ターンフレームとを連結し、一端側において前記ベースプレートに対して相対回転可能となるように前記ベースプレートに回転可能に固定された固定支持部と、他端側において前記固定支持部を回転中心として前記ベースプレートに対して回動可能であり、かつ、前記ターンフレームに対して相対回転可能となるように前記ターンフレームに固定された可動支持部と、を有するターンリンクと、前記ベースプレートに固定されており、前後方向に延びる形状を有するターンリンク用ガイドレールと、前記ターンリンク用ガイドレールに沿って移動可能であり、前記ターンリンクを支持するターンリンク支持スライダと、前記ベースプレートに固定されており、前記ターンリンク用ガイドレールに対して左右方向に所定の間隙を隔て配置され、前後方向に直線状に延びる形状を有する第1ガイドレールと、前記第1ガイドレールに沿って移動可能であり、前記ターンフレームに設けられる第1移動支持部を支持するための第1支持スライダと、前記ベースプレートに固定されており、前記ターンリンク用ガイドレールと前記第1ガイドレールとの間において、後方から前方に向かうにしたがって徐々に前記ターンリンク用ガイドレールに近づくように直線状に延びる形状を有する第2ガイドレールと、前記第2ガイドレールに沿って移動可能であり、前記ターンフレームに設けられる第2移動支持部を支持するための第2支持スライダと、前記ターンリンクの前記可動支持部に回動可能に設けられる回動プレートと、前記回動プレートを前記可動支持部を回転中心として回転させるため、前記ターンリンクの下面側に固定される駆動機構と、を含む。
【0008】
前記シート本体を前記着座位置から前記乗降位置に移動させる際には、前記駆動機構により平面視において回動プレートを前記可動支持部を中心として時計回転方向に回転させることで、前記回動プレートが前記可動支持部を中心として回転する力に対応して、前記回動プレートに固定された前記ターンフレームが前記固定支持部を回転中心として回動を開始するとともに、前記ターンリンク支持スライダが前記ターンリンク用ガイドレールに沿って移動し、前記第1支持スライダが前記第1ガイドレールに沿って移動し、前記第2支持スライダが前記第2ガイドレールに沿って移動することで、前記ターンフレームが前方に移動しながら前記ターンリンク用ガイドレール側に回転して、前記シート本体が前記着座位置から前記乗降位置に移動し、前記シート本体を前記乗降位置から前記着座位置に移動させる際においては、前記駆動機構を平面視において反時計回転方向に回転させることで、上記とは反対の動作により前記シート本体を前記乗降位置から前記着座位置に移動する。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、シート回転装置のコンパクト化を可能とする構成を備えた、シート回転装置の提供を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】着座位置における回転シートの斜視図である。
【
図2】乗降位置における回転シートの斜視図である。
【
図3】実施の形態1の着座位置におけるシート回転装置の斜視図である。
【
図4】実施の形態1の乗降位置におけるシート回転装置の斜視図である。
【
図5】実施の形態1の着座位置におけるシート回転装置の分解斜視図である。
【
図6】実施の形態1の駆動ユニットの分解斜視図である。
【
図7】実施の形態1の着座位置におけるターンリンクの位置関係を示す図である。
【
図8】実施の形態1の乗降位置におけるターンリンク位置関係を示す図である。
【
図9】実施の形態1のターンフレームの移動軌跡を示す図である。
【
図10】実施の形態2の着座位置におけるシート回転装置の斜視図である。
【
図11】実施の形態2の乗降位置におけるシート回転装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各実施の形態の回転シートおよびシート回転装置について、以下、図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施の形態において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。実施の形態における構成を適宜組み合わせて用いることは当初から予定されていることである。
【0012】
以下に示す回転シートは、乗り物用シート、特に、車両用シートとして機能する。図中に示す「前」は、実施の形態の回転シートが搭載される車両の前進側を意味し、「後」は車両の後進側を意味し、「左」は、前進方向からみて左手側を意味し、「右」、前進方向からみて右手側を意味し、「上」は車両の上方側を意味し、「下」は車両の下方側を意味する。以下の図においても同様である。
【0013】
以下に示す回転シートは、車両の進行方向に対して右側に位置するシートを想定して図示しているが、車両の進行方向に対して左側に位置するシートの場合には、以下に示す構成が左右対称の配置関係となる。
【0014】
(実施の形態1:回転シート1)
図1および
図2を参照して、実施の形態1の回転シート1の概略構成について説明する。
図1は、着座位置における回転シートの斜視図、
図2は、乗降位置における回転シートの斜視図である。
【0015】
図1および
図2に示されるように、回転シート1は、シート本体2と、シート回転装置10と、を備えている。シート本体2は、シートクッション2aと、シートバック2bと、を有している。シートクッション2aは、乗員の臀部を支持する座部を構成する。シートバック2bは、シートクッション2aに着座した乗員の背部を支持する。シート本体2は、車両のフロアFL上に配置される。
【0016】
フロアFLには、シート本体2をフロアFLに対して車両の前後方向にスライドさせる一対のシートスライダ3が取り付けられている。一対のシートスライダ3は、車両の幅方向(左右方向)に間隔を置いて配置されている。各シートスライダ3は、ロアレール3aと、アッパーレール3bと、を有している。
【0017】
ロアレール3aは、車両の前後方向と平行となる姿勢でフロアFLに固定されている。アッパーレール3bは、ロアレール3aに対して車両の前後方向(ロアレール3aの長手方向)に相対変位可能である。
【0018】
シート回転装置10は、着座位置(
図1に示される位置)と乗降位置(
図2に示される位置)との間でシート本体2を回転させることが可能である。着座位置は、シート本体2が車両の前方を向く位置である。乗降位置は、シート本体2が車両のドアの開口部(
図1および
図2中のピラー4側)を向く位置である。シート回転装置10は、シート本体2の下面に固定されている。
【0019】
(シート回転装置10)
次に、
図3から
図6を参照してシート回転装置10の構成について説明する。
図3は、着座位置におけるシート回転装置10の斜視図、
図4は、乗降位置におけるシート回転装置の斜視図、
図5は、シート回転装置10の分解斜視図、
図6は、駆動ユニットの分解斜視図である。
【0020】
図3から
図5に示すように、シート回転装置10は、車両のフロア側に固定されるベースプレート100と、ベースプレート100よりも上方に配置され、シート本体2に対して相対回転しないようにシート本体2の下面に固定されるターンフレーム200と、ベースプレート100に対してターンフレーム200が着座位置と乗降位置との間で回転可能となるようにベースプレート100とターンフレーム200とを連結する連結ユニット300と、を備えている。
【0021】
所定の形状にプレス成型されたベースプレート100の上に、詳細な配置は後述するが、ターンリンク用ガイドレールR1、第1ガイドレールR11、および、第2ガイドレールR12が固定されている。ターンリンク用ガイドレールR1は、ベースプレート100上の略右側において前後方向に延びる形状を有する。本実施の形態では、ターンリンク用ガイドレールR1は、前後方向に延びる形状を有する。第1ガイドレールR11は、ターンリンク用ガイドレールR1に対して左方向に所定の間隙を隔て配置され、前後方向に直線状に延びる形状を有する。第2ガイドレールR12は、ターンリンク用ガイドレールR1と第1ガイドレールR11との間において、後方から前方に向かうにしたがって徐々にターンリンク用ガイドレールR1に近づくように直線状に延びる形状を有する。
【0022】
図5に示すように、ターンリンク用ガイドレールR1は、ターンリンク支持スライダS1の移動を案内する。第1ガイドレールR11は、第1支持スライダS11の移動を案内する。第2ガイドレールR12は、第2支持スライダS12の移動を案内する。
【0023】
ターンフレーム200は、前フレーム210、後フレーム220、右フレーム230、左フレーム、および、前フレーム210と後フレーム220とを連結する中央フレーム250とを有している。本実施の形態では、ターンフレーム200をフレーム形状としているが、この形態に限定はされず。プレート等を用いてターンフレーム200を構成してもよい。
【0024】
後フレーム220の右側には、ターンリンク311を固定するためのターンリンク固定ブラケット220bが設けられている。後フレーム220の左側には、第1移動支持部P11が設けられる第1移動支持部用ブラケット220cが設けられている。中央フレーム250の中央領域には、第2移動支持部P12が設けられている。
【0025】
図5に示すように、第1ガイドレールR11にガイドされる第1支持スライダS11には、支持ピンSP11が設けられている。支持ピンSP11が、第1移動支持部用ブラケット220cに、回動可能にナットNにより固定されている。第2ガイドレールR12にガイドされる第2支持スライダS12には、支持ピンSP21が設けられている。支持ピンSP21が、中央フレーム250の中央領域に設けられた第2移動支持部P12に、回動可能にブッシュB1およびナットNにより固定されている。
【0026】
(連結ユニット300)
図4から
図6を参照して、連結ユニット300の詳細について説明する。連結ユニット300は、上述したターンリンク用ガイドレールR1、ターンリンク支持スライダS1、第1ガイドレールR11、第1支持スライダS11、第2ガイドレールR12、第2支持スライダS12を含むとともに、さらに、ターンリンク311および駆動機構321を含む。
【0027】
図4および
図5に示すように、ターンリンク311は、ベースプレート100とターンフレーム200とを連結し、一端側(左側)においてベースプレート100に対して相対回転可能となるように、ベースプレート100に回転可能に固定された固定支持部P1と、他端側(右側)において固定支持部P1を回転中心としてベースプレート100に対して回動可能であり、かつ、ターンフレーム200に対して相対回転可能となるようにターンフレーム200に固定された可動支持部P2と、を有している。
【0028】
図6を参照して、ターンリンク311は、ターンフレーム200側(上側)に位置するプレート部311aと、プレート部311aの一端側において、プレート部311aから延びるブラケット部311bと、プレート部311aの他端側において、ベースプレート100側に下降する取付部311cと、を有する。
【0029】
ターンリンク311の取付部311cには、ブッシュB1がカシメ固定された貫通孔311h2が設けられている。ターンリンク311の取付部311cは、この貫通孔311h2を用いて、ボルトB2(
図5参照)によりベースプレート100に回動可能に固定されている。このターンリンク311のベースプレート100への固定位置が固定支持部P1を構成する。
【0030】
ターンリンク311のブラケット部311bには、ブッシュB1がカシメ固定された貫通孔311h1が設けられている。貫通孔311h1には、セクタギヤプレート用シャフト320が回動可能に、ブラケット部311bの下側から挿通されている。セクタギヤプレート用シャフト320は、スライダ用リンクプレート310に支持されている。スライダ用リンクプレート310には、セクタギヤプレート用シャフト320とはずれた位置に貫通孔310hが設けられている。セクタギヤプレート用シャフト320の芯位置が、可動支持部P2を構成する。
【0031】
図5に戻り、貫通孔310hには、ターンリンク用ガイドレールR1にガイドされるターンリンク支持スライダS1に設けられた支持ピンSP1が、ブッシュB1を介してナットNにより固定される。
【0032】
ここで、ターンリンク支持スライダS1は、ターンリンク用ガイドレールR1に沿って直線移動する。他方、ターンリンク311は、固定支持部P1を中心として回転する。その際、セクタギヤプレート用シャフト320の芯位置である可動支持部P2と支持ピンSP1とは、スライダ用リンクプレート310によりずれた位置に配置されていることから、可動支持部P2は、円弧上の軌跡を移動することとなる(
図9中の矢印Y11参照)。
【0033】
再び、
図6を参照して、ブラケット部311bの上側においては、セクタギヤプレート用シャフト320にブッシュB1を介して、回動プレートとしてのセクタギヤプレート315が回動可能に装着されている。セクタギヤプレート315の端面には、ラックギヤ315gが設けられている。セクタギヤプレート315は、セクタギヤプレート用シャフト320に、ワッシャWおよびナットNにより固定される。
【0034】
セクタギヤプレート315の上面には、セクタギヤプレート用シャフト320の芯位置である可動支持部P2を挟むようにして2本の固定ピン319が溶接等により強固に固定されている。この固定ピン319は、ターンフレーム取付ボルトとして機能する。セクタギヤプレート315の上面のラックギヤ315gの近傍には、セクタギヤプレート315の回転位置を検出するためのスイッチカム318がボルトB2を用いて固定されている。
【0035】
他方、プレート部311aの下面側には、駆動機構321が、ボルトB2を用いて取り付けられている。駆動機構321には、上方に向かって突出するピニオンギヤ321aが設けられている。ピニオンギヤ321aは、プレート部311aに設けられた貫通孔311h3から上方に突出する。
【0036】
プレート部311aの上面側には、中間ギヤシャフト312が溶接により固定されている。中間ギヤシャフト312には、扇型のストッパプレート313およびアイドルギヤとしての中間ギヤ314がブッシュB1を介して軸支持されている。中間ギヤ314とストッパプレート313とは、双方に設けられた凹凸の嵌合により一体化されている。ピニオンギヤ321aが中間ギヤ314に噛み合い、中間ギヤ314がセクタギヤプレート315に噛み合う1段滅速機構を構成する。
【0037】
本実施の形態では、ピニオンギヤ321a(歯数7)の回転は、中間ギヤ314(歯数20)を介してセクタギヤプレート315(歯数50)に歯車伝達される。この時の滅速比iは、i=50/7となる。中間ギヤ314は減速比に関与せずに回転を伝達するだけであるが、ピニオンギヤ321aとセクタギヤプレート315の直径を大きくすること無く、ピニオンギヤ321aとセクタギヤプレート315との中心間距離を適切に保つことを可能とする。さらに、ピニオンギヤ321aをセクタギヤプレート315に直接噛み合わせた場合に比べ、中間ギヤ314を設けることで、各部への力の負荷を軽減することができる。
【0038】
ストッパプレート313は、セクタギヤプレート315の回転量の規制を行なうことで、ターンリンク311の回転量の規制を行なう。これにより、シート本体2の着座位置と乗降位置とを規制する。ターンリンク311の回転量の規制の詳細については後述する。
【0039】
プレート部311aの上面側には、ピニオンギヤ321aおよび中間ギヤ314を覆う保護カバー316が、ナットN等を用いて固定されている。保護カバー316の上面には、リミットスイッチ317がボルトB2を用いて固定されている。リミットスイッチ317とスイッチカム318とにより、セクタギヤプレート315の回転位置を検出するための検出機構として機能する。
【0040】
(ターンリンク311の回転量規制)
次に、
図7および
図8を参照して、ターンリンク311の回転量規制について詳細に説明する。
図7は、着座位置におけるターンリンク311の位置関係を示す図、
図8は、乗降位置におけるターンリンク311の位置関係を示す図である。
図7および
図8において、内部の構成の理解をよくするために、保護カバー316は一部の図示を省略している。保護カバー316に固定されるリミットスイッチ317は、図示している。
【0041】
図7を参照して、ターンリンク311は、固定支持部P1を回転中心として回転する。
図7に示すターンリンク311の位置は、回転シート1が、着座位置(
図1に示される位置)の状態である。この状態では、スイッチカム318は、リミットスイッチ317に当接している。この状態は、スイッチカム318はON状態であり、着座位置であることが検出される。扇状のストッパプレート313は、一方の第1半径線部313a(
図6参照)が、ピニオンギヤ321aに直接当接し、中間ギヤ314の回転を規制する。
【0042】
図8を参照して、回転シート1を、着座位置から乗降位置に回転させる場合には、駆動機構321によりピニオンギヤ321aを時計方向(図中G1方向)に回転させる。これにより、中間ギヤ314は、反時計方向(図中G2方向)に回転し、セクタギヤプレート315は、時計方向(図中G3方向)に回転する。ターンリンク311が、回転(図中矢印T方向)を開始すると、スイッチカム318は、リミットスイッチ317から離れる。この状態は、スイッチカム318はOFF状態であり、回転シート1の回転が開始されたことが検出される。扇状のストッパプレート313は中間ギヤ314とともに回転する。ストッパプレート313の円弧部分313bは、ピニオンギヤ321aには当接しないため、中間ギヤ314の回転を規制することはない。
【0043】
ターンリンク311が乗降位置まで回転すると、駆動機構321によりピニオンギヤ321aの回転を停止させる。この際、扇状のストッパプレート313は、他方の第2半径線部313c(
図6参照)が、ピニオンギヤ321aに直接当接し、中間ギヤ314の回転を規制することとなる。
【0044】
(ターンフレーム200の回転動作)
次に、
図9を参照して、上述したターンリンク311の回転動作に応じたターンフレーム200の回転動作について説明する。
図9は、ターンフレーム200の移動軌跡を示す図である。
【0045】
ターンリンク311は、固定支持部P1を回転中心として回転する。ターンリンク311の可動支持部P2は、ターンリンク支持スライダS1に支持され、ターンリンク用ガイドレールR1に沿って移動する。ターンリンク支持スライダS1は、ターンリンク用ガイドレールR1に沿って直線移動(図中矢印Y1)するが、可動支持部P2は、スライダ用リンクプレート310によりずれた位置に支持されていることから、円弧上の軌跡を移動する(
図9中の矢印Y11参照)。可動支持部P2の着座位置から乗降位置までの移動角度は、図中のα度である。この移動角度αは、扇状のストッパプレート313の、一方の第1半径線部313aと他方の第2半径線部313cとの間の角度に対応している。この移動角度αは、適宜要求される角度に変更することができる。
【0046】
ターンリンク311が着座位置から乗降位置まで移動する同時に、セクタギヤプレート315の上面に設けられた2つの固定ピン319が、可動支持部P2を中心として時計回転方向(
図8中の矢印G3参照)に移動する。固定ピン319は、ターンフレーム200のターンリンク固定ブラケット220bに固定されていることから、ターンフレーム200自体を回転さる力がターンフレーム200に加わることになる。この力の作用する方向を、第1ガイドレールR11にガイドされる第1支持スライダS11および第2ガイドレールR12にガイドされる第2支持スライダS12を用いて案内する。
【0047】
第1支持スライダS11は、第1移動支持部P11の位置でターンフレーム200を支持している。第2支持スライダS12は、第2移動支持部P12の位置でターンフレーム200を支持している。
【0048】
この構成に基づき、シート本体2を着座位置から乗降位置に移動させる際には、駆動機構321により平面視においてセクタギヤプレート315を可動支持部P2を中心として時計回転方向(
図8中の矢印G3方向)に回転させることでセクタギヤプレート315が可動支持部P2を中心として回転する力に対応して、セクタギヤプレート315に固定されたターンリンク311が固定支持部P1を回転中心として回動を開始する。
【0049】
同時に、ターンリンク支持スライダS1がターンリンク用ガイドレールR1に沿って着座位置から乗降位置に移動する。同時に、第1支持スライダS11が第1ガイドレールR11に沿って着座位置から乗降位置に移動する。同時に、第2支持スライダS12が第2ガイドレールR12に沿って着座位置から乗降位置に移動する。この動作により、ターンフレーム200が前方に移動しながらターンリンク用ガイドレールR1側(右側)に回転して、シート本体2が着座位置から乗降位置に移動する。
【0050】
他方、シート本体2を乗降位置から着座位置に移動させる際においては、駆動機構321により平面視においてセクタギヤプレート315を可動支持部P2を中心として反時計回転方向(
図8中の矢印G3とは反対の方向)に回転させることでセクタギヤプレート315が可動支持部P2を中心として回転する力に対応して、セクタギヤプレート315に固定されたターンリンク311が固定支持部P1を回転中心として回動を開始する。
【0051】
これにより、上記とは反対の動作となり、ターンリンク支持スライダS1がターンリンク用ガイドレールR1に沿って乗降位置から着座位置に移動する。同時に、第1支持スライダS11が第1ガイドレールR11に沿って乗降位置から着座位置に移動する。同時に、第2支持スライダS12が第2ガイドレールR12に沿って乗降位置から着座位置に移動する。この動作により、ターンフレーム200が後方に移動しながらターンリンク用ガイドレールR1側(左側)に回転して、シート本体2が乗降位置から着座位置に移動する。
【0052】
シート本体2が乗降位置から着座位置に戻った場合には、スイッチカム318がリミットスイッチ317に当接し(ON状態)、着座位置であることが検出される。
【0053】
ターンリンク用ガイドレールR1、第1ガイドレールR11、および、第2ガイドレールR12の配置位置は、
図9に示しているように、ターンリンク用ガイドレールR1は、ベースプレート100上の略右側において前後方向に直線状に延びる形状を有するとともに、前方に向かうにしたがって、徐々に中心側に向かう配置が好ましい。第2ガイドレールR12は、ターンリンク用ガイドレールR1に対して左方向に所定の間隙を隔て配置され、前後方向に直線状に延びる形状を有するとともに、前方に向かうにしたがって、徐々に中心側に向かう配置が好ましい。
【0054】
第2ガイドレールR12は、ターンリンク用ガイドレールR1と第1ガイドレールR11との間において、後方から前方に向かうにしたがって徐々にターンリンク用ガイドレールR1に近づくように直線状に延びる形状を有するとともに、第2ガイドレールR12の第2支持スライダS12の乗降位置おいては、ターンリンク用ガイドレールR1よりも右側に位置していることが好まし。
【0055】
ターンリンク用ガイドレールR1、第1ガイドレールR11、および、第2ガイドレールR12のより具体的な配置位置は、ターンフレーム200の移動にともない、ターンリンク支持スライダS1の支持ピンSP1の軌跡、第1支持スライダS11の第1移動支持部P11の軌跡、第2支持スライダS12の第2移動支持部P12の軌跡に沿うように配置するのがよい。
【0056】
(実施の形態の作用・効果)
このように本実施の形態におけるシート回転装置によれば、駆動機構321をターンリンク311のプレート部311aの下面側に形成されたベースプレート100との間の空隙に配置するようにしたことから、上下への厚みの拡大、および、駆動機構321の上方への突出を回避し、連結ユニット300の後方への出つ張りを抑制し、シート回転装置のコンパクト化を可能とする。
【0057】
さらに、ターンリンク311には、ターンフレーム200を回転させるための大きな力が加わるため、ターンリンク311は、厚板で幅広な形状となるが、このターンリンク311に、連結ユニット300の駆動機構321、ピニオンギヤ321a、および、セクタギヤプレート315を一体的に組み付けることが可能となる。このように、ターンリンク311に、強度および連結ユニット300の取付の両方の機能を保持させることで、機器の配置効率の向上を図ることを可能とする。
【0058】
さらに、連結ユニット300の駆動機構321、ピニオンギヤ321a、中間ギヤ314、および、セクタギヤプレート315を、ターンリンク311に一体的に組み付けている。この構成により、ギヤのかみ合わせが、機械加工精度に依存させた状態でユニット化が可能となり、組みつけの容易性向上、精密な組み付けが可能となる。これにより、ギヤのかみ合わせが安定し、作動異音の発生を抑制し静粛性を向上させることができる。
【0059】
さらに、予めターンフレーム200にユニット化した精密機器を組み付けておくことができるため、ベースプレート100およびターンフレーム200への組み付けを容易にすることができる。
【0060】
さらに、ターンリンク311の上面に、ピニオンギヤ321a、中間ギヤ314、および、セクタギヤプレート315を配置し、ターンリンク311の下面に駆動機構321を配置し、ユニツト化することによって、適切な減速比を確保しつつセクタギヤプレート315と駆動機構321との距離を保つことを可能とする。
【0061】
さらに、中間ギヤ314にストッパプレート313を一体的に設け、ストッパプレート313をピニオンギヤ321aに直接当接させることで、ターンリンク311の回転規制を行なっている。この構成により、比較的小さい荷重での当接となり、ターンリンク311の変形を抑制することができる。
【0062】
さらに、セクタギヤプレート315には、可動支持部P2を挟むようにして2本の固定ピン319が設けられ、この2本の固定ピンがターンフレーム200に固定されている。ターンフレーム200およびセクタギヤプレート315には、ターンフレーム200を回転させるための大きな力が発生するが、可動支持部P2を挟むようにして配置された固定ピン319により回転力をターンフレーム200に伝達することが可能となる。
【0063】
さらに、ピニオンギヤ321aとラックギヤ315gとの間に中間ギヤ314が設けられ、中間ギヤ314には、ストッパプレート313が固定され、このストッパプレート313は、扇型の形状を有し、シート本体2が着座位置において、ピニオンギヤ321aに直接当接する第1半径線部313aと、ピニオンギヤ321aが回転し、シート本体2が乗降位置において、ピニオンギヤ321aに直接当接する第2半径線部313cと、を有する。
【0064】
ストッパプレート313に設けられた第1半径線部313aおよび第2半径線部313cが、物理的にピニオンギヤ321aに直接当接することで、中間ギヤ314およびラックギヤ315gが設けられたセクタギヤプレート315の回転規制を行なうこと可能とする。
【0065】
(実施の形態2:シート回転装置10A)
次に、
図10および
図11を参照して、上記実施の形態1のシート回転装置10の変形例であるシート回転装置10Aの構成について説明する。このシート回転装置10Aの構成の基本的構成は、シート回転装置10と同じである。よって、以下の説明では、相違点のみを説明し、共通の構成については、図中において同じ参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないこととする。
【0066】
上記実施の形態1シート回転装置10の構成では、ターンリンク311とターンリンク支持スライダS1との間をスライダ用リンクプレート310で連結する構造を採用している。この構成により、ターンリンク支持スライダS1は、直線形状のターンリンク用ガイドレールR1に沿って移動し(
図9中の矢印Y1)、可動支持部P2は、固定支持部P1を中心とした円弧上の軌跡を移動する(
図9中の矢印Y11参照)。
【0067】
他方、本実施の形態2におけるシート回転装置10Aの構成では、
図11によく現れるように、ターンリンク311に設けられた支持ピン311pにターンリンク支持スライダS21が直接固定されている。可動支持部P2の芯となるセクタギヤプレート用シャフト320は、ターンリンク311に直接設けられている。
【0068】
ターンリンク支持スライダS1のターンリンク311への固定は、ターンリンク支持スライダS21のガイドプレート330に設けられた孔330hに、支持ピン311pを貫通させて、支持ピン311pにナットN3を締結させている。この構成により、ターンリンク支持スライダS21をガイドするターンリンク用ガイドレールR21は、支持ピン311pの固定支持部P1を中心とした円弧状の軌跡に沿った円弧形状を有している。
【0069】
この実施の形態2におけるシート回転装置10Aの構成であっても、上記実施の形態1におけるシート回転装置と同様の作用効果を得ることができる。
【0070】
上述した例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0071】
(態様I)
このシート回転装置では、シート本体が車両の前方を向く着座位置と前記シート本体が前記車両のドアの開口部を向く乗降位置との間で前記シート本体を回転させることが可能なシート回転装置であって、
前記車両のフロア側に固定されるベースプレートと、
前記ベースプレートよりも上方に配置され、前記シート本体に対して相対回転しないように前記シート本体の下面に固定されるターンフレームと、
前記ベースプレートに対して前記ターンフレームが前記着座位置と前記乗降位置との間で回転可能となるように前記ベースプレートと前記ターンフレームとを連結する連結ユニットと、を備え、
前記連結ユニットは、
前記ベースプレートと前記ターンフレームとを連結し、一端側において前記ベースプレートに対して相対回転可能となるように前記ベースプレートに回転可能に固定された固定支持部と、他端側において前記固定支持部を回転中心として前記ベースプレートに対して回動可能であり、かつ、前記ターンフレームに対して相対回転可能となるように前記ターンフレームに固定された可動支持部と、を有するターンリンクと、
前記ベースプレートに固定されており、前後方向に延びる形状を有するターンリンク用ガイドレールと、
前記ターンリンク用ガイドレールに沿って移動可能であり、前記ターンリンクを支持するターンリンク支持スライダと、
前記ベースプレートに固定されており、前記ターンリンク用ガイドレールに対して左右方向に所定の間隙を隔て配置され、前後方向に直線状に延びる形状を有する第1ガイドレールと、
前記第1ガイドレールに沿って移動可能であり、前記ターンフレームに設けられる第1移動支持部を支持するための第1支持スライダと、
前記ベースプレートに固定されており、前記ターンリンク用ガイドレールと前記第1ガイドレールとの間において、後方から前方に向かうにしたがって徐々に前記ターンリンク用ガイドレールに近づくように直線状に延びる形状を有する第2ガイドレールと、
前記第2ガイドレールに沿って移動可能であり、前記ターンフレームに設けられる第2移動支持部を支持するための第2支持スライダと、
前記ターンリンクの前記可動支持部に回動可能に設けられる回動プレートと、
前記回動プレートを前記可動支持部を回転中心として回転させるため、前記ターンリンクの下面側に固定される駆動機構と、
を含み、
前記シート本体を前記着座位置から前記乗降位置に移動させる際には、前記駆動機構により平面視において回動プレートを前記可動支持部を中心として時計回転方向に回転させることで、前記回動プレートが前記可動支持部を中心として回転する力に対応して、前記回動プレートに固定された前記ターンフレームが前記固定支持部を回転中心として回動を開始するとともに、前記ターンリンク支持スライダが前記ターンリンク用ガイドレールに沿って移動し、前記第1支持スライダが前記第1ガイドレールに沿って移動し、前記第2支持スライダが前記第2ガイドレールに沿って移動することで、前記ターンフレームが前方に移動しながら前記ターンリンク用ガイドレール側に回転して、前記シート本体が前記着座位置から前記乗降位置に移動し、
前記シート本体を前記乗降位置から前記着座位置に移動させる際においては、前記駆動機構を平面視において反時計回転方向に回転させることで、上記とは反対の動作により前記シート本体を前記乗降位置から前記着座位置に移動する、
シート回転装置。
【0072】
このシート回転装置によれば、駆動機構をターンリンクの下面側に形成されたベースプレートとの間の空隙に配置するようにしたことから、上下への厚みの拡大、および、駆動機構の上方への突出を回避し、シート回転装置のコンパクト化を可能とする。
【0073】
(態様II)
前記回動プレートの端面には、ラックギヤが設けられ、
前記ターンリンクは、前記ターンフレーム側に位置するプレート部を有し、
前記プレート部の前記ベースプレート側の下面に前記駆動機構が配置され、前記駆動機構の回転がピニオンギヤの回転として、前記プレート部の上面側に配置された前記回動プレートの前記ラックギヤに伝達される、
態様Iに記載のシート回転装置。
【0074】
この態様によれば、ターンリンク、駆動機構が配置され、ピニオンギヤにより回動プレートのラックギヤに伝達されることから、ギヤのかみ合わせが、機械加工精度に依存させた状態でユニット化が可能となり、組みつけの容易性向上、精密な組み付けが可能となる。これにより、ギヤのかみ合わせが安定し、作動異音の発生を抑制し静粛性を向上させることができる。
【0075】
(態様III)
前記ピニオンギヤと前記ラックギヤとの間に中間ギヤが設けられ、
前記中間ギヤには、ストッパプレートが固定され、
前記ストッパプレートは、扇型の形状を有し、前記シート本体が前記着座位置において、前記ピニオンギヤに直接当接する第1半径線部と、前記ピニオンギヤが回転し、前記シート本体が前記乗降位置において、前記ピニオンギヤに直接当接する第2半径線部と、を有することで、前記中間ギヤの回転を規制する、
態様IIに記載の回転装置。
【0076】
この態様によれば、ストッパプレートに設けられた第1半径線部および第2半径線部が、物理的にピニオンギヤに直接当接することで、中間ギヤおよびラックギヤが設けられた回動プレートの回転規制を行なうこと可能とする。
【0077】
(態様IV)
前記回動プレートには、前記可動支持部を挟むようにして2本の固定ピンが設けられ、
2本の前記固定ピンが前記ターンフレームに固定されている、
態様IからIIIのいずれかに記載のシート回転装置。
【0078】
この態様によれば、ターンフレームを回転させるための大きな力が発生するが、可動支持部を挟むようにして配置された固定ピンにより回転力をターンフレームに伝達することが可能となる。
【0079】
以上、本開示のシート回転装置について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の範囲は請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 回転シート、2 シート本体、2a シートクッション、2b シートバック、3 シートスライダ、3a ロアレール、3b アッパーレール、4 ピラー、10 シート回転装置、100 ベースプレート、200 ターンフレーム、210 前フレーム、220 後フレーム、220b ターンリンク固定ブラケット、220c 第1移動支持部用ブラケット、230 右フレーム、250 中央フレーム、300 連結ユニット、310 スライダ用リンクプレート、310h,311h3,311h2,311h1 貫通孔、311 ターンリンク、311a プレート部、311b ブラケット部、311c 取付部、311p,SP1,SP11,SP21 支持ピン、312 中間ギヤシャフト、313 ストッパプレート、313a 第1半径線部、313b 円弧部分、313c 第2半径線部、314 中間ギヤ、315 セクタギヤプレート、315g ラックギヤ、316 保護カバー、317 リミットスイッチ、318 スイッチカム、319 固定ピン、320 セクタギヤプレート用シャフト、321 駆動機構、321a ピニオンギヤ、330 ガイドプレート、330h 孔、B1 ブッシュ、B2 ボルト、FL フロア、N,N3 ナット、P1 固定支持部、P2 可動支持部、P11 第1移動支持部、P12 第2移動支持部、R1 ターンリンク用ガイドレール、R11 第1ガイドレール、R12 第2ガイドレール、S1,S21 ターンリンク支持スライダ、S11 第1支持スライダ、S12 第2支持スライダ、W ワッシャ。