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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074564
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】包装容器及び軟質食品入り包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 71/70 20060101AFI20240524BHJP
   B65D 85/50 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B65D71/70
B65D85/50 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185813
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000208455
【氏名又は名称】大和製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】近藤 翼
(72)【発明者】
【氏名】兼平 崇
(72)【発明者】
【氏名】馬鳥 裕史
(72)【発明者】
【氏名】吉田 治
(72)【発明者】
【氏名】小柳 朋彦
【テーマコード(参考)】
3E035
3E067
【Fターム(参考)】
3E035AA03
3E035AA20
3E035BA02
3E035BC02
3E035CA04
3E067AA01
3E067AA11
3E067AB01
3E067BA10A
3E067BB14A
3E067BC02A
3E067EA06
(57)【要約】
【課題】軟質食品及び液体の間で味及び/又は色が移行することを抑制するとともに、軟質食品が崩れることを防止できる包装容器及び軟質食品入り包装体を提供すること。
【解決手段】軟質食品31及び液体32が収容され、蓋体12により密封される包装容器11は、軟質食品31が収容される凹部27及び軟質食品31の上方に液体32が充填されるヘッドスペースが形成される収容部21を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟質食品及び液体が収容され、蓋体により密封される包装容器であって、
前記軟質食品が収容される凹部及び前記軟質食品の上方に前記液体が充填されるヘッドスペースが形成される収容部を備える包装容器。
【請求項2】
前記凹部は複数設けられる、請求項1に記載の包装容器。
【請求項3】
前記凹部は、3以上である、請求項2に記載の包装容器。
【請求項4】
前記収容部は、平面部を有し、
前記複数の凹部は、離間して、前記平面部に形成される、請求項2に記載の包装容器。
【請求項5】
前記平面部は、前記平面部の面方向に沿った方向において、少なくとも1つの前記凹部が配置される、請求項4に記載の包装容器。
【請求項6】
軟質食品と、
液体と、
前記軟質食品が収容される凹部及び前記軟質食品の上方に前記液体が充填されるヘッドスペースが形成される収容部と、
前記収容部を密封する蓋体と、
を備える軟質食品入り包装体。
【請求項7】
前記凹部は複数設けられる、請求項6に記載の軟質食品入り包装体。
【請求項8】
前記凹部は、3以上である、請求項7に記載の軟質食品入り包装体。
【請求項9】
前記複数の凹部には、異なる成分を含む前記軟質食品が収容される、請求項7に記載の軟質食品入り包装体。
【請求項10】
前記収容部は、平面部を有し、
前記複数の凹部は、離間して、前記平面部に形成される、請求項7に記載の軟質食品入り包装体。
【請求項11】
前記平面部は、前記平面部の面方向に沿った方向において、少なくとも1つの前記凹部が配置される、請求項10に記載の軟質食品入り包装体。
【請求項12】
前記凹部に収容された前記軟質食品の高さが、前記軟質食品の上面から前記蓋体の下面までの前記ヘッドスペースの高さよりも高い、請求項6に記載の軟質食品入り包装体。
【請求項13】
前記凹部に収容された前記軟質食品の高さが前記軟質食品の底部から前記平面部までの高さよりも高い請求項10に記載の軟質食品入り包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軟質食品が収容される包装容器及び軟質食品が包装容器に収容された軟質食品入り包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、咀嚼や嚥下が困難な高齢者等向けの介護用食品として、軟質食品が流通している。軟質食品は、例えば、固形食品をすり潰し、所望の形状に固めて再形成したものである。また、軟質食品入り包装体として、包装容器であるカップ容器に、軟質食品としてのムース状食品及び液体としての調味液を充填し、シール蓋によりカップ容器を密封した製品が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2013/146618号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した軟質食品入り包装体では、カップ容器に充填された液体としての調味液に軟質食品が浮遊した状態で密封されていることから、軟質食品の全表面が調味液と接触する。従って、調味液の味及び/又は色が軟質食品に移行し易く、軟質食品本来の味及び/又は色が損なわれる虞があった。また、カップ容器内で調味液に浮遊した軟質食品が、輸送中等に生じる振動により、崩れる虞がある。
【0005】
そこで、本発明は、軟質食品及び液体の間で味及び/又は色が移行することを抑制するとともに、軟質食品が崩れることを防止できる包装容器及び軟質食品入り包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、包装容器は、軟質食品及び液体が収容され、蓋体により密封される包装容器であって、前記軟質食品が収容される凹部及び前記軟質食品の上方に前記液体が充填されるヘッドスペースが形成される収容部を備える。
【0007】
本発明の一態様によれば、軟質食品と、液体と、前記軟質食品が収容される凹部及び前記軟質食品の上方に前記液体が充填されるヘッドスペースが形成される収容部と、前記収容部を密封する蓋体と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、軟質食品及び液体の間で味及び/又は色が移行することを抑制するとともに、軟質食品が崩れることを防止できる包装容器及び軟質食品入り包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る軟質食品入り包装体の構成を、一部断面で示す側面図。
図2】同軟質食品入り包装体に用いられる包装容器の構成を示す平面図。
図3】同包装容器を積層した状態で概略的に示す説明図。
図4】同包装容器の構成を示す説明図。
図5】同軟質食品入り包装体の構成を概略的に示す断面図。
図6】同軟質食品入り包装体の他の例の構成を概略的に示す断面図。
図7】同軟質食品入り包装体の他の例の構成を概略的に示す断面図。
図8】同軟質食品入り包装体の他の例の構成を概略的に示す断面図。
図9】同軟質食品入り包装体の他の例の構成を概略的に示す断面図。
図10】同軟質食品入り包装体の他の例の構成を概略的に示す断面図。
図11】同包装容器の他の例の構成を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態に係る軟質食品入り包装容器11の構成及び包装体1に用いられる包装容器11の構成を、図1乃至図10を用いて説明する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る軟質食品入り包装体1の構成を示すとともに、軟質食品入り包装体1の包装容器11の一部を断面にして、内部に収容される食品13の一部を示す側面図である。図2は、包装容器11の構成を示す平面図である。図3は2つの包装容器11を積層した状態で概略的に示す説明図である。図4は、包装容器11の構成を示す説明図である。図5は、軟質食品入り包装体1の構成を概略的に示す断面図であり、図6乃至図10は、それぞれ、軟質食品入り包装体1の他の例の構成を概略的に示す断面図である。
【0012】
図1に示すように、軟質食品入り包装体1は、包装容器11と、蓋体12と、軟質食品31及び液体32を含む食品13と、を備える。軟質食品入り包装体1は、包装容器11内に軟質食品31及び液体32が充填され、蓋体12により包装容器11が密封された製品である。包装容器11及び蓋体12は、食品13を収容する包装体を形成する。そして、軟質食品入り包装体1は、包装容器11に軟質食品31及び液体32を充填した状態で、蓋体12が包装容器11を密封することで、食品13(軟質食品31及び液体32)を包装する。
【0013】
軟質食品入り包装体1は、例えば、電子レンジ及び/又は湯煎による加熱調理が可能に形成される。また、軟質食品入り包装体1は、例えば、常温、冷蔵及び/又は冷凍による保存が可能に形成される。なお、本実施形態において、包装容器11側を下方、蓋体12側を上方として、上下方向を規定し、以下説明する。
【0014】
図1乃至図3に示すように、包装容器11は、収容部21と、フランジ部22と、凸条シール部23と、液はね防止凸部24と、を備える。包装容器11は、多層の熱可塑性樹脂シートを賦形することで形成される。即ち、包装容器11は、熱可塑性樹脂シートにより、収容部21、フランジ部22、凸条シール部23及び液はね防止凸部24が、一体に形成される。また、熱可塑性樹脂シートを包装容器11に成形する成形方法は、典型的には圧空成形や射出成形等であるが、他の成形方法であっても良い。包装容器11は、例えば、収容部21によって自立性を有する。なお、包装容器11は、自立性を有さない構成であってもよい。
【0015】
また、包装容器11を形成する熱可塑性樹脂シートは、蓋体12がヒートシールされる部位である凸条シール部23がヒートシール性を有する樹脂で形成されていれば、単層の樹脂シート或いは多層の樹脂シートから形成されていてよい。なお、好適には、包装容器11が、ヒートシール性を有する樹脂層を外層に含む多層構造から成っていることが好適である。そして、包装容器11は、ヒートシール性に加えてガスバリア性を有することが好ましい。
【0016】
本実施例においては、包装容器11は、ポリプロピレンからなる内外面の表面層と、エチレンビニルアルコール共重合体からなる中間層が、接着層を介して接合された多層の熱可塑性樹脂シートにより形成される。なお、表面層は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体、或いはこれらのブレンド物等のヒートシール性オレフィン系樹脂が用いられる。また、中間層には、例えば、Mxナイロン、塩化ビニリデン系樹脂、ナイロン系樹脂等のガスバリア性を有する熱可塑性樹脂が用いられる。これら表面層と中間層とは、これら両者に熱接着性を示す樹脂、例えば酸変性オレフィン系樹脂、コポリエステル系接着剤樹脂、エポキシ変性熱可塑性接着剤樹脂等から成る接着剤層を介して接合される。
【0017】
収容部21は、軟質食品31が充填される窪みが複数形成される。具体例として、収容部21は、側壁部25と、平面部26と、凹部27と、を有する。
【0018】
側壁部25は、開口端(上端)において、フランジ部22と一体に連続し、下端において平面部26と一体に連続する。本実施形態において、側壁部25は、例えば、円筒形状に形成される。具体例として、側壁部25は、上下方向で上端から中央側までが同一径に形成され、そして、中央側において縮径し、そして、中央側から下端に向かって漸次縮径する円筒状に形成される。
【0019】
平面部26は、側壁部25の軸方向に対して直交する方向に延びる平面状に形成される。平面部26は、外周縁形状が円形状に形成される。平面部26が箇所で窪むことで、凹部27が形成される。
【0020】
凹部27は、例えば、複数設けられる。凹部27は、例えば、3以上設けられることが好ましい。複数の凹部27は、例えば、それぞれ異なる形状に形成される。ここで、異なる形状とは、凹部27の開口形状、凹部27の側面及び底面の形状、凹部27の深さ等である。なお、複数の凹部27は、全ての凹部27が異なる形状でなくてもよく、少なくとも2種以上の形状を有していれば良い。
【0021】
本実施形態の例では、凹部27は、3つ設けられ、そして、3つの凹部27は、同じ深さに形成され、そして、深さ以外の形状が異なる。また、本例において、3つの凹部27は、上端の開口から底部に向かって、開口形状が小さくなるように、側壁が傾斜する。なお、側壁は、上下方向に沿った形状であってもよい。
【0022】
例えば、3つの凹部27のうち、1つは、オムレツ形状に窪むポケットであり、1つは、ウインナー形状や弧状に窪むポケットであり、1つは、角部が湾曲する略三角形状に窪むポケットである。なお、これら凹部27の形状は限定されない。例えば、図11に示す他の実施形態の凹部27のように、オムレツ形状ではなく、魚の切り身を模した形状に窪むポケットとしてもよい。
【0023】
複数の凹部27の平面部26への配置は、隣り合う凹部27の間に平面部26の一部が存する配置となる。換言すると、複数の凹部27は、離間して平面部26に配置される。
【0024】
また、複数の凹部27の平面部26への配置は、平面部26の面方向に沿った、互いに直交する二方向のそれぞれにおいて、少なくともいずれか1つの凹部及び平面部26の一部が存する配置となる。換言すると、複数の凹部27は、平面部26の中心から放射方向(径方向)及び放射方向(径方向)に沿った方向において、少なくともいずれか1つの凹部27が配置される。
【0025】
即ち、図4に二点鎖線で示す比較例の複数の凹部271のように、複数の凹部271が均一に配置されると、いずれか一方向において平面部26だけが存在し、そして、凹部271が配置されない領域Aが生じる。これに対し、実施形態の複数の凹部27は、平面部26の中心から放射方向(径方向)及び放射方向(径方向)に沿った方向において、複数の凹部27の少なくともいずれかが配置されることで、平面部26の外周縁を除き、平面部26に凹部27が配置されない領域Aが生じない不均一配置で平面部26に形成される。
【0026】
また、包装容器11が自立性を有する構成である場合には、複数の凹部27は、いずれか1つの底部によって自立性を得ても良く、複数の凹部27のうち2以上の凹部27の底部によって自立性を得ても良い。
【0027】
フランジ部22は、収容部21に設けられる。フランジ部22は、収容部21の側壁部25の開口端から外方に延びる。フランジ部22の外周縁形状は、矩形状、円形状、楕円形状、又は、角部と円形の組み合わせ等の異形状に設定される。本実施形態において、フランジ部22は、4つの角部が円弧状に形成された正方形状の外縁形状を成し、収容部21の開口端と連続する内周縁形状は円形状に形成される。
【0028】
また、フランジ部22には、フランジ部22の上面から収容部21側(平面部26及び複数の凹部27側)とは反対側である、上方に突出する凸条シール部23及び液はね防止凸部24が形成される。即ち、フランジ部22は、包装容器11の成形時に一体に形成された凸条シール部23及び液はね防止凸部24を有する。
【0029】
凸条シール部23は、フランジ部22の主面から上向きに突出する。凸条シール部23は、フランジ部22の上面に連続する環状に形成される。換言すると、凸条シール部23は、フランジ部22の内周縁(収容部21の開口端)を囲むように、フランジ部22の全周に渡って延びる。
【0030】
凸条シール部23は、上面が平面状に形成される。この凸条シール部23の上面は、蓋体12がヒートシールされ、蓋体12が密着するシール面である。凸条シール部23は、所定の幅および高さでフランジ部22の主面から上方に突出する。なお、凸条シール部23の幅及び高さは、成形性や、蓋体12のシール性や開封性等の種々の条件に基づき、適宜設定される。即ち、凸条シール部23のシール面は、所定のシール面積に設定され、良好なシール性及び開封性が確保される。また、ここで、凸条シール部23の幅とは、凸条シール部23の延設方向に対して直交するフランジ部22の主面に沿った方向の寸法を意味する。
【0031】
また、凸条シール部23は、その一部に、蓋体12を開封する開封開始部に対応する位置にくちばし部(第1凸部)23aが設けられる。図2に示すように、本実施形態においては、角部が湾曲する正方形状のフランジ部22の角部に対応する4箇所に、くちばし部(第1凸部)23aが設けられる。なお、くちばし部23aは、凸条シール部23の蓋体12の開封開始部に設けられることから、例えば、開封開始部が1箇所の場合には、くちばし部23aは、凸条シール部23の1箇所に設けられていればよい。即ち、開封開始部は、包装容器11の形状や用途等によって適宜設定され、設定された開封開始部に対応して、凸条シール部23の一部にくちばし部23aが設けられる。
【0032】
くちばし部23aは、フランジ部22の外方に突出する凸条に形成される。即ち、くちばし部23aは、凸条シール部23の一部が、収容部21の開口部の径方向で外方に突出することで形成される凸部である。具体例として、くちばし部23aは、凸条シール部23の幅及び高さと同様の幅及び高さに形成され、先端が尖る形状に形成される。ここで、くちばし部23aの先端がとがる形状とは、くちばし形状、山形状、くの字(Vの字)状等である。
【0033】
くちばし部23aは、凸条シール部23にヒートシールされた蓋体12を包装容器11から引き剥がす際に、くちばし部の先端に応力が集中し、開封の起点となって、蓋体を引き剥がし易くなる形状であれば、先端が尖る山形状やくちばし形状でなくてもよい。即ち、くちばし部23aは、開封開始部において蓋体12を剥がす方向に蓋体12を移動させたときに、蓋体12と接触する接触面積を小さくさせることで、蓋体12を開封操作する力を集中させることが可能となるように、先端が尖っておらず湾曲する形状等、先端が突出している形状であれば適宜設定できる。
【0034】
液はね防止凸部(第2凸部)24は、くちばし部23aの内周側に、くちばし部23aと所定の距離を置いて設けられる。液はね防止凸部24は、くちばし部23aの内面(内側面)に沿った側面を有し、くちばし部23aと所定の隙間を有して離間してフランジ部22に配置される。例えば、くちばし部23aと液はね防止凸部24との隙間は、約1mmに設定される。
【0035】
液はね防止凸部24は、凸条シール部23のくちばし部23aと所定の隙間を空けて配置されることで、くちばし部23aの内周側との間に、くちばし部23aの内面に沿った隙間を形成する。
【0036】
例えば、液はね防止凸部24の上面は、平面状に形成される。液はね防止凸部24は、上面がシール面となり、蓋体12が凸条シール部23とヒートシールされたときに、上面に蓋体12がヒートシールされる。
【0037】
液はね防止凸部24は、両端がくちばし部23a(凸条シール部23)と離間して形成されていてもよく、また、一端がくちばし部23a(凸条シール部23)と離間し、そして、他端がくちばし部23a(凸条シール部23)と連続して形成されていてもよい。
【0038】
例えば、液はね防止凸部24は、図2に示すように、くちばし部23aに沿うように、くの字状(V字状)に形成される。このような液はね防止凸部24を適用した場合には、フランジ部22の開封開始部には、くちばし部23a及び液はね防止凸部24によって、二重のくちばし部が設けられる構成になる。なお、液はね防止凸部24は、三角形状であってもよい。
【0039】
なお、凸条シール部23の内側面及び液はね防止凸部24の側面が、フランジ部22の主面に対して傾斜する方向に延びている場合には、液はね防止凸部24の側面は、その延設方向がくちばし部23aの延設方向に沿っていればよく、くちばし部23aの内側面と液はね防止凸部24の側面の傾斜方向は異なっていても良い。
【0040】
即ち、液はね防止凸部24は、くちばし部23a側の稜線(稜部)がくちばし部23aの延設方向に沿った形状であればよい。
【0041】
液はね防止凸部24の高さは、凸条シール部23(くちばし部23a)の高さ以下に設定される。好ましくは、液はね防止凸部24の高さは、凸条シール部23(くちばし部23a)の高さよりも低く設定される。なお、液はね防止凸部24の高さは、液はね防止の効果が低減することを抑制でき、そして、液はね防止凸部24と蓋体12とのヒートシール強度が高くなり開封性が低下ことを抑制できる高さに設定されることが好ましい。即ち、液はね防止凸部24は、液はね防止の効果が得られ、且つ、液はね防止凸部24と蓋体12との密着力が弱く、蓋体12を引き剥がすときに抵抗とならず、スムーズに引き剥がすことができる高さに設定されることが好ましい。
【0042】
液はね防止凸部24の幅は、適宜設定される。液はね防止凸部24の幅は、蓋体12と液はね防止凸部24とがヒートシールにより密着した場合の密着力等によって適宜設定される。即ち、液はね防止凸部24の幅は、液はね防止凸部24の高さ、上面の面積及び形状等によって設定される。なお、ここで、液はね防止凸部24の幅とは、液はね防止凸部24の延設方向に対して直交するフランジ部22の主面に沿った方向の寸法を意味する。
【0043】
なお、凸条シール部23の内側面(内面)及び液はね防止凸部24の凸条シール部23(くちばし部23a)と対向する側面は、フランジ部22の主面に対して直交する方向に延びていてもよく、また、フランジ部22の主面に対して傾斜する方向に延びていてもよい。
【0044】
蓋体12は、フランジ部22に固定され、収容部21を覆うことで、収容部21を密封する。蓋体12は、包装容器11にヒートシールによってフランジ部22に形成された凸条シール部23及び液はね防止凸部24に溶着される。蓋体12は、フィルム状に形成される。蓋体12は、一例として、PET/接着層(変性ポリプロピレン)/無延伸ポリプロピレンの多層フィルムにより形成される。
【0045】
なお、蓋体12は、凸条シール部23及び液はね防止凸部24に溶着される構成に限定されない。例えば、凸条シール部23及び液はね防止凸部24がフランジ部22に形成されず、フランジ部22に直接蓋体12が溶着される構成であってもよい。また、蓋体12は、溶着ではなく、カップ状又は皿状に形成され、フランジ部22の外周縁に嵌合する形状としてもよい。また、蓋体12は、フランジ部22の内周縁、即ち、収容部21の側壁部25の上端内縁に嵌合する構成であってもよい。
【0046】
食品13は、少なくとも、軟質食品31と、液体32と、を含む。食品13は、一例によれば、嚥下困難者用食品又は咀嚼困難者用食品として供されるユニバーサルデザインフードである。ユニバーサルデザインフードは、硬さ等に応じて4つの区分、即ち、「容易にかめる」、「歯ぐきでつぶせる」、「舌でつぶせる」、及び「かまなくてよい」へ分類される。区分「容易にかめる」の食品には硬さが5×10N/m以下であることが要求され、区分「歯ぐきでつぶせる」の食品には硬さが5×10N/m以下であることが要求され、区分「舌でつぶせる」の食品には硬さが2×10N/m以下であることが要求され、区分「かまなくてよい」の食品には硬さが5×10N/m以下であることが要求される。
【0047】
軟質食品31は、例えば、ムース状食品である。軟質食品31は、プリンのように、蛋白質を含んだ液を、蛋白質の熱変性を利用して凝固させたものであってもよい。
【0048】
ムース状食品は、固形の食品を磨り潰し、これと凝固剤等とを混合し、その後、この混合物を凹部27の収容された部位の形状に成形することにより得られる食品である。
【0049】
固形の食品は、例えば、動物性食材、植物性食材又はそれらの組み合わせである。固形の食品は、肉類、魚介類、海藻、果実、木の実、穀類、野菜類、きのこ類又はそれらの2以上を含むことができる。固形の食品は、調理前の食材であってもよく、調理済みの食品であってもよい。後者の場合、固形の食品は、油脂類と砂糖及び塩等の調味料類との1以上を更に含んでいてもよい。
【0050】
固形の食品は、所望の粒子径まで磨り潰すことが好ましい。粒子径が小さくなるほど、軟質食品31の口当たりは滑らかになる。磨り潰した食品の粒子径は、2.0mm以下であることが好ましく、0.5mm以下であることがより好ましく、0.1mm以下であることが更に好ましい。ここで、「粒子径」は、レーザー回折・散乱法による粒子径分布測定によって得られる値である。
【0051】
凝固剤は、例えば、加熱することにより熱変性して不可逆的に固化する蛋白質である。そのような蛋白質は、例えば、水溶液の形態で、磨り潰した上記食品と混合する。蛋白質又はその水溶液としては、例えば、卵白を使用することができる。蛋白質は、軟質食品31における濃度が、0.1乃至25質量%の範囲内になるように添加することが好ましく、1乃至15質量%の範囲内になるように添加することがより好ましい。
【0052】
磨り潰した食品と凝固剤等との混合物は、例えば、磨り潰す前の食品又は軟質食品31によって味を再現すべき食品に類似した形状に成形する。例えば、包装容器11の凹部27の形状を、味を再現すべき食品に類似した形状とし、混合物を凹部27に充填して加熱する。この加熱は、好ましくは50乃至130℃の範囲内の温度で、より好ましくは60乃至130℃の範囲内の温度で、更に好ましくは80乃至130℃の範囲内の温度で行う。これにより、蛋白質の熱変性を生じさせて、混合物を凝固させる。また、凹部27に充填した混合物の加熱は、蓋体12による包装容器11の密封前に行ってもよく、また、蓋体12による包装容器11の密封後に行ってもよい。なお、凹部27に充填する前に、混合物の加熱をおこなってもよい。
【0053】
軟質食品31は、5×10N/m以下の硬さを有していることが好ましい。軟質食品31は、硬さが5×10N/m以下であってもよい。形崩れの問題は軟質食品31が軟らかい場合に顕著になる。ここで説明する方法は、軟質食品31の硬さが低い場合に特に有用である。
【0054】
軟質食品31は、2×10N/m以上の硬さを有していることが好ましい。軟質食品31を軟らかくしすぎると、軟質食品31に形状を維持させることが難しくなる。軟質食品31は、硬さが1×10N/m以上であってもよい。
【0055】
軟質食品31は、凹部27の底面から所定の高さまで形成される。例えば、軟質食品31は、凹部27の上端まで形成されるか、凹部27の上端よりも下方まで形成されるか、又は、凹部27よりも上方、即ち、平面部26の上方であって、且つ、側壁部25の上端よりも下方まで形成されていてもよい。換言すると、軟質食品31の高さは、軟質食品31の底部(凹部27の底面)から平面部26までの高さよりも低いか、軟質食品31の底部(凹部27の底面)から平面部26までの高さと同じか、又は、軟質食品31の底部(凹部27の底面)から平面部26までの高さより高く、そして、側壁部25の上端(蓋体12の下面)までの高さよりも低い。また、軟質食品31は、凹部27に対して隙間なく、密着して形成される。すなわち、軟質食品31は、凹部27の底面及び側面に密着して形成される。
【0056】
軟質食品31と、軟質食品31上に生じる包装体である包装容器11及び蓋体12の内部のヘッドスペースとの関係を説明する。図5に示すように、凹部27に成形された軟質食品31の下面(凹部27の底面)から軟質食品31の上面までの高さ(軟質食品31の高さ)をH1とする。また、軟質食品31の上面から蓋体12の下面までの高さ(ヘッドスペースの高さ)をH2とする。このとき、軟質食品31の高さをH1とし、ヘッドスペースの高さH2は、H1>H2の関係となる。
【0057】
液体32は、水、調味液又は粥等である。本実施形態の例において、液体32は、調味液であり、以下、液体32を調味液32として説明する。調味液32は、水と、調味料、動物性食材の抽出液、植物性食材の抽出液、油脂分又はそれらの組み合わせとを含有した液である。調味液32は、例えば、溶液、ゾルなどの分散液、又はそれらの組み合わせである。
【0058】
調味液32は、増粘剤を更に含むことができる。増粘剤の例は、これらに限定するものではないが、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カラギーナン、カルボキシメチルセルロース、タラガム、ローカストビーンガム、カードラン、アルギン酸ナトリウム、サイリウムシードガム、ジェランガム、アラビアガム、カラヤガム、キチン、キトサン、アラビノガラクタン、ウェランガム、セスバニアガム、アロエベラ抽出物、ダルマン樹脂、ガディガム、エレミ樹脂、デキストラン、オリゴグルコサミン、トロロアオイ、微小繊維状セルロース、トラガントガム、納豆菌ガム、フクロノリ抽出物、ファーセレラン、カシアガム、マクロホモプシスガム、プルラン、キダチアロエ抽出物、モモ樹脂、アウレオバシジウム培養液、グアーガム酵素分解物、ラムザンガム、グルコサミン、レバン、アグロバクテリウムスクシノクリカン、酵母細胞膜、アマシードガム、サバクヨモギシードガム、アーモンドガム、スクレロガム、又はそれらの2以上である。
【0059】
好ましくは、増粘剤は、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カルボキシメチルセルロース、タラガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、サイリウムシードガム、アラビアガム、カラヤガム、ウェランガム、トラガントガム、納豆菌ガム、ファーセレラン、カシアガム、モモ樹脂、グアーガム酵素分解物、ラムザンガム、アグロバクテリウムスクシノクリカン、又はそれらの2以上である。
【0060】
より好ましくは、増粘剤は、グアーガム、キサンタンガム、タマリンドガム、カルボキシメチルセルロース、タラガム、ローカストビーンガム、アルギン酸ナトリウム、サイリウムシードガム、ウェランガム、トラガントガム、ラムザンガム、アグロバクテリウムスクシノクリカン、又はそれらの2以上である。
【0061】
一例によれば、調味液32は、増粘剤として、キサンタンガムとグアーガムとを含む。また、一例によれば、食品13における増粘剤の濃度は、0.01質量%乃至3.00質量%の範囲内にある。
【0062】
調味液32は、ゲル化剤を更に含んでいてもよい。ゲル化剤は、例えば、ペクチン、ゼラチン、寒天、又はそれらの2以上である。調味液32における、ゲル化剤の濃度は、1.0質量%以下であることが好ましく、0.2質量%以下であることがより好ましく、0.1質量%以下であることがさらに好ましい。
【0063】
調味液32は、粘度が0.3乃至20.0Pa・sの範囲内にあることが好ましく、0.3乃至10.0Pa・sの範囲内にあることがより好ましく、1.5乃至2.0Pa・sの範囲内にあることが更に好ましい。上記の区分「舌でつぶせる」及び「かまなくてよい」の溶液又はゾルは、1500mPa・s以上であることが要求される。なお、区分「舌でつぶせる」のゾルには、硬さが1×10N/m以下であることが要求される。また、区分「かまなくてよい」のゾルには、硬さが3×10N/m以下であることが要求される。
【0064】
調味液32の粘度が高いほど、軟質食品入り包装体1の搬送時等において、軟質食品31の表面の振動及び調味液32の振動が緩和される。また、調味液32の粘度が高いほど、包装容器11内での軟質食品31の動きが妨げられ、容器内面への軟質食品31の接触は生じ難くなる。従って、これらに起因した軟質食品31の凹部27から、軟質食品31の上面及び蓋体12の下面の間のヘッドスペースへの移動や軟質食品31の形崩れは生じ難くなる。
【0065】
なお、調味液32の粘度は、B型回転粘度計を用い、測定温度を20±2℃とし、12rpmでM3ロータまたはM4ロータを回転させ、2分後の示度を読み、その値に対応する計数を乗じて得られる値をPa・sで表したものである。
【0066】
調味液32は、包装容器11内の軟質食品31上に生じるヘッドスペースに充填される。調味液32は、液面が平面部26以上の高さ位置となる量が包装容器11内に充填される。調味液32は、ヘッドスペースの容積よりも少ない量充填されてもよく、ヘッドスペースの容積と同量充填されてもよい。即ち、調味液32は、ヘッドスペースの上部に空間が生じるように、側壁部25の上端(蓋体12の下面)よりも下方となる高さ位置まで充填されてもよい。また、調味液32は、側壁部25の上端(蓋体12の下面)と同位置まで充填され、気体がヘッドスペースに存しないように、ヘッドスペースを満たしてもよい。
【0067】
このような食品13は、例えば、主菜及び/又は副菜である。食品13の軟質食品31及び調味液32によって再現する主菜及び副菜の例は、これらに限定するものではないが、カレー、シチュー、野菜の煮物、及びすき焼き等の煮物であるか、又は、ハンバーグ、チキンのトマト煮、肉野菜炒め、ウインナソーセージ、魚の煮付け、焼き魚、オムレツ、野菜及び豆腐等の、焼き物、炒め物若しくは蒸し物とソースとの組み合わせである。
【0068】
次に、軟質食品入り包装体1の包装容器11に充填される軟質食品31及び調味液32の複数の実施例を、図5乃至図10を用いて説明する。なお、軟質食品31及び調味液32は、以下説明する複数の例に限定されない。また、図5乃至図10において、包装容器11は概略的に示し、一部構成を省略して示す。
【0069】
第1実施例の軟質食品入り包装体1を、図5に示す。図5に示すように、複数の凹部27に収容される軟質食品31は、異なる種類の軟質食品31A、31Bが収容される。ここで、異なる種類の軟質食品とは、成分が異なる2種以上の軟質食品であり、成分が異なるとは、少なくとも成分の一部が異なることを意味する。即ち、異なる種類の軟質食品とは、2以上の軟質食品のうち、少なくとも1つの軟質食品が他の軟質食品とは、一の軟質食品の成分のうち一部に他の軟質食品の成分と異なる成分を含むか、又は、一の軟質食品の成分の全てが他の軟質食品の成分と異なる成分で形成されることを意味する。また、この異なる成分とは、成分自体が異なることも含み、また、成分の量が異なることも含む。また、各軟質食品31A、31Bは、各凹部27の高さ方向で中途部までの高さまで充填される。調味液32は、包装体内のヘッドスペースに充填され、側壁部25の上端(蓋体12の下面)よりも低い位置まで充填される。
【0070】
第2実施例の軟質食品入り包装体1を、図6に示す。図6に示すように、複数の凹部27に収容される軟質食品31は、同じ種類の軟質食品31が収容される。軟質食品31は、各凹部27を超えて平面部26の上方まで充填される。調味液32は、包装体内のヘッドスペースに充填され、側壁部25の上端(蓋体12の下面)よりも低い位置まで充填される。
【0071】
第3実施例の軟質食品入り包装体1を、図7に示す。図7に示すように、複数の凹部27に収容される軟質食品31は、異なる種類の軟質食品31A、31Bが収容される。具体例として、図7に示すように、ある1つの凹部27に収容される軟質食品31は、第1軟質食品31Aが充填され、他の1つの凹部27に収容される軟質食品31は、下層に第2軟質食品31Bが充填され、そして、上層に第1軟質食品31Aが充填される。また、第1軟質食品31Aは、各凹部27を超えて平面部26の上方まで充填される。調味液32は、包装体内のヘッドスペースに充填され、側壁部25の上端(蓋体12の下面)よりも低い位置まで充填される。
【0072】
第4実施例の軟質食品入り包装体1を、図8に示す。図8に示すように、複数の凹部27の内、1以上の凹部27に軟質食品31が収容されるとともに、少なくとも1つの凹部27には軟質食品31が充填されない。凹部に収容される軟質食品31は、同じ軟質食品31であっても、異なる軟質食品であってもよい。具体例として、図8に示すように、すくなくとも1つの凹部27に軟質食品31が凹部27の高さ方向で中途部までの高さまで充填される。調味液32は、軟質食品31が充填された凹部27、及び、軟質食品31が充填されていない凹部27の上端まで、即ち、平面部26まで充填される。
【0073】
第5実施例の軟質食品入り包装体1を、図9に示す。図9に示すように、複数の凹部27に収容される軟質食品31は、異なる種類の軟質食品31A、31Bが収容される。また、第1軟質食品31Aは、凹部27の高さ方向で中途部までの高さまで充填され、第2軟質食品31Bは、凹部27の上端(平面部26)まで充填される。調味液32は、包装体内のヘッドスペースに充填され、側壁部25の上端(蓋体12の下面)よりも低い位置まで充填される。また、軟質食品31Bは、内部に、軟質食品31Bを構成するムース状食品とは異なる味、色及び/又は硬さが異なる内容物31aを含む。この内容物31aは、例えば、軟質食品31Bを形成するムース状食品である。なお、内容物31aは、ムース状食品に限定されず、軟質食品31Bを食する対象者が食べることが可能なものであれば固形物等の種々の食品であってもよい。また、例えば、内容物31aは、調味液32とは異なる味の調味液32を、ゲル化剤により固めたものであってもよい。
【0074】
第6実施例の軟質食品入り包装体1を、図10に示す。図10に示すように、複数の凹部27に収容される軟質食品31は、同じ種類又は異なる種類の軟質食品31Aが収容される。軟質食品31Aは、例えば、各凹部27を超えて平面部26の上方まで充填される。調味液32Aは、包装体内のヘッドスペースに充填され、側壁部25の上端(蓋体12の下面)よりも低い位置まで充填される。また、包装容器11は、平面部26に形成される複数の凹部27とは別に、フランジ部22に設けられる1以上の凹部28を有し、この凹部28に軟質食品31B及び/又は調味液32Bが収容される。例えば、複数の凹部27に収容される軟質食品31A及び調味液32Aは、主菜及び/又は副菜であり、フランジ部22に設けられる凹部28に収容される軟質食品31B及び調味液32Bは、異なる味の主菜及び/又は副菜であるか、又は、プリン、ゼリー、ムースケーキ等のスイーツである。
【0075】
これら各実施例に例示するように、軟質食品入り包装体1は、内部に収容する軟質食品31及び調味液32は、軟質食品31の高さH1がヘッドスペースH2の高さより高く、且つ、少なくとも平面部26まで調味液32が充填されていれば、種々の構成とすることができる。また、上述した各実施例は、一例であり、各種実施例の構成を組み合わせることができる。即ち、実施例1及び実施例2の調味液32は、ヘッドスペースを満たすまで充填されてもよい。また、1つの凹部27に充填される軟質食品31を、異なる2種以上とし、2層以上に積層する構成としてもよく、また、1種以上の内容物31aを軟質食品31に含有させてもよい。また、内容物31aを調味液32に含める構成としてもよい。また、調味液32は、異なる二種以上の調味液を充填し、複数の凹部27の上方に生じる共通するヘッドスペースにて混ざり合うことで形成されてもよい。
【0076】
このように構成された軟質食品入り包装体1によれば、軟質食品31は、凹部27の形状で凹部27に収容され、この軟質食品31の方に生じるヘッドスペースに調味液32が充填される。これにより、軟質食品31が調味液32に接触する領域は、軟質食品31の上面となる。即ち、軟質食品入り包装体1は、軟質食品31が凹部27に充填されることから、軟質食品31の調味液32への接触する面積を低減できる。よって、調味液32の味及び/又は色が軟質食品31に過度に移行することを防止できる。なお、調味液32が軟質食品31よりも味及び/又は色が薄い場合には、軟質食品31の味及び/又は色が調味液32に過度に移行することを防止できる。
【0077】
また、軟質食品入り包装体1は、凹部27に充填する軟質食品31を平面部26以下の高さとすれば、調味液32が各軟質食品31に接触する面積を極力少なくできることから、調味液32への軟質食品31の味の移行、及び、軟質食品31への調味液32の味や色の移行を抑制することもできる。
【0078】
また、軟質食品31は、凹部27の形状に成形され、そして、凹部27に収容されることから、搬送時に軟質食品入り包装体1に振動や衝撃が印加されても、移動しにくく、軟質食品31が崩れることを防止できる。また、凹部27に軟質食品31が収容されることから、軟質食品31の成形後に軟質食品31から生じるドリップは、調味液32に混じることになることから、軟質食品31から生じるドリップが視認されることがない。
【0079】
また、複数の凹部27に異なる軟質食品31を収容した場合であっても、調味液32が各軟質食品31に触れる。これにより、軟質食品入り包装体1は、異なる軟質食品31を取り扱ったとしても、調味液32が各軟質食品31の上面に触れる構成であることから、各軟質食品31から移る風味や味が少なくなる。よって、軟質食品入り包装体1は、調味液32の適度な味の調和をすることができるとともに、過度な味混じりを抑制することができる。また、調味液32が軟質食品31の上面にのみ触れる構成であることから、調味液32によって軟質食品31の過度なしみこみや、味や硬さの変化を低減させることができる。
【0080】
また、軟質食品入り包装体1は、軟質食品31の高さH1をヘッドスペースの高さH2よりも高い構成とした。軟質食品入り包装体1の搬送時等において、軟質食品入り包装体1の上下が反転したとき、即ち、収容部21側が上側、蓋体12側が下側になったときに、軟質食品31が凹部27から離間したとしても、軟質食品31が凹部27から完全に抜け出さず、軟質食品31の一部が凹部27に存する。これにより、軟質食品入り包装体1は、姿勢が戻った場合、即ち、収容部21側が下側、蓋体12側が上側になったときに、軟質食品31が凹部27に再び収容される。
【0081】
また、調味液32の液面を平面部26の上面と同じ位置か、平面部26よりも上方とすることで、軟質食品入り包装体1が傾いて調味液32が移動しても、姿勢が戻ることで、調味液32は、各凹部27に設けられた軟質食品31の上面に触れることができる。
【0082】
また、包装容器11は、平面部26を有し、隣り合う凹部27の間に平面部26の一部が存する配置とすることから、複数の凹部27が連続する構成に比べて、強度を向上させることができる。
【0083】
また、包装容器11は、平面部26に設ける複数の凹部27の配置を、平面部26の面方向に沿った直交する二方向において、少なくともいずれかの凹部27と平面部26とが配置される構成とした。これにより、包装容器11の強度を向上させることができる即ち、図4に二点鎖線で示すように、複数の凹部271を均一に離間させて配置する構成においては、一方向において、凹部271が配置されない領域Aが生じる。すると、この領域Aの強度は、平面部26の強度となることから、外力が印加されたときに平面部26の強度を超えると、領域Aにおいて曲げ変形が生じる。これに対し、図1に示すように、平面部26の外周縁を除き、平面部26の面方向に沿った方向において、平面部26のみが配置され、凹部27が配置されない領域Aが生じない。これにより、包装容器11は、平面部26の強度を凹部27により向上させることができる。
【0084】
また、包装容器11に設ける凹部27の数は限定されないが、3つ以上設けることで、平面部26の強度を向上させやすく、平面部26の面方向で少なくとも1つの凹部27を配置させやすくなる。また、軟質食品入り包装体1は、異なる3種類以上の軟質食品31を配置できることから、彩りや味の種類を増やせることもできる。
【0085】
上述したように、本実施形態に係る軟質食品入り包装体1及び包装容器11によれば、軟質食品31及び調味液32の間で味及び/又は色が移行することを抑制するとともに、軟質食品31が崩れることを防止できる。
【0086】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【符号の説明】
【0087】
1…軟質食品入り包装体、11…包装容器、12…蓋体、13…食品、21…収容部、22…フランジ部、23…凸条シール部、23a…くちばし部(第1凸部)、24…防止凸部(第2凸部)、25…側壁部、26…平面部、27…凹部、28…凹部、31、31A、31B…軟質食品、31a…内容物、32、32A、32B…調味液(液体)。
図1
図2
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図11