IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱重工業株式会社の特許一覧

特開2024-74568アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法
<>
  • 特開-アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法 図1
  • 特開-アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法 図2
  • 特開-アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法 図3
  • 特開-アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法 図4
  • 特開-アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法 図5
  • 特開-アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法 図6
  • 特開-アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法 図7
  • 特開-アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074568
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法
(51)【国際特許分類】
   F23K 5/00 20060101AFI20240524BHJP
   F17D 5/04 20060101ALI20240524BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
F23K5/00 304
F23K5/00 301A
F17D5/04
G01N27/416 302G
G01N27/416 353
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185823
(22)【出願日】2022-11-21
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)2021年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「グリーンイノベーション基金事業/燃料アンモニアサプライチェーンの構築/アンモニアの発電利用における高混焼化・専焼化/石炭ボイラにおけるアンモニア高混焼技術(専焼技術含む)の開発・実証」委託研究、産業技術力強化法第17条の規定の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】羽有 絵莉
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雅之
(72)【発明者】
【氏名】住田 忠
(72)【発明者】
【氏名】鶴丸 慧
【テーマコード(参考)】
3J071
3K068
【Fターム(参考)】
3J071AA01
3J071CC06
3J071CC07
3J071EE28
3J071EE32
3J071EE37
3J071FF16
3K068AA01
3K068BA03
3K068CA05
3K068CA06
3K068CA07
3K068DA01
(57)【要約】
【課題】アンモニア燃料の漏洩を検出する際のコストの増大を抑制することを目的とする。
【解決手段】漏洩検出ユニット60は、外管95に上流端が接続され、外管95の内部を流通するパージエアの一部を抽出する第1検出管61Aと、外管95に上流端が接続され、外管95の内部を流通するパージエアの一部を抽出する第2検出管61Bと、内部に貯留されている検出液中に、第1検出管61A内を流通したパージエア及び第2検出管61B内を流通したパージ流体が導かれるポット63と、ポット63に貯留する検出液の性状を検出する電気伝導度検出装置64と、電気伝導度検出装置64が検出した検出液の性状に基づいて、アンモニア燃料供給管92からアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する判断部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を流通するアンモニア燃料をバーナへ導くアンモニア燃料供給管と、前記アンモニア燃料供給管を外側から覆い、前記アンモニア燃料供給管との間にパージ流体が流通する流路を形成する外管と、を有するボイラに設けられるアンモニア燃料漏洩検出装置であって、
前記外管の第1位置に上流端が接続され、前記外管の内部を流通するパージ流体の一部を前記第1位置から抽出する第1検出管と、
前記外管の前記第1位置とは異なる位置である第2位置に上流端が接続され、前記外管の内部を流通するパージ流体の一部を前記第2位置から抽出する第2検出管と、
内部に貯留されている検出液中に、前記第1検出管内を流通したパージ流体及び前記第2検出管内を流通したパージ流体が導かれる貯留部と、
前記貯留部に貯留する検出液の性状を検出する検出部と、
前記検出部が検出した検出液の性状に基づいて、前記アンモニア燃料供給管から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する判断部と、を備えるアンモニア燃料漏洩検出装置。
【請求項2】
前記検出部は、検出液の電気伝導度を検出する電気伝導度検出装置を有し、
前記判断部は、前記電気伝導度検出装置が検出した検出液の電気伝導度に基づいて、前記アンモニア燃料供給管から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する請求項1に記載のアンモニア燃料漏洩検出装置。
【請求項3】
前記検出部は、検出液のpHを検出するpH検出装置を有し、
前記判断部は、前記pH検出装置が検出した検出液のpHに基づいて、前記アンモニア燃料供給管から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する請求項1に記載のアンモニア燃料漏洩検出装置。
【請求項4】
前記検出部は、検出液の全窒素濃度を検出する全窒素濃度検出装置を有し、
前記判断部は、前記全窒素濃度検出装置が検出した検出液の全窒素濃度に基づいて、前記アンモニア燃料供給管から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する請求項1に記載のアンモニア燃料漏洩検出装置。
【請求項5】
前記検出部は、検出液のアンモニア態窒素濃度を検出するアンモニア態窒素濃度検出装置を有し、
前記判断部は、前記アンモニア態窒素濃度検出装置が検出した検出液のアンモニア態窒素濃度に基づいて、前記アンモニア燃料供給管から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する請求項1に記載のアンモニア燃料漏洩検出装置。
【請求項6】
前記第1検出管に設けられ、前記第1検出管内の流体を流通させる開状態と、前記第1検出管内の流体を流通させない閉状態とを切替え可能な第1検出弁と、
前記第2検出管に設けられ、前記第2検出管内の流体を流通させる開状態と、前記第2検出管内の流体を流通させない閉状態とを切替え可能な第2検出弁と、を備え、
前記第1検出管は、前記第2検出管よりも、アンモニア燃料の流れ方向における下流側に設けられ、
前記判断部が前記アンモニア燃料供給管から前記流路にアンモニア燃料が漏洩していると判断した場合に、前記第1検出弁を閉状態とした後に前記第2検出弁を閉状態とする制御部を備える請求項1に記載のアンモニア燃料漏洩検出装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれかに記載のアンモニア燃料漏洩検出装置を備えるボイラシステム。
【請求項8】
内部を流通するアンモニア燃料をバーナへ導くアンモニア燃料供給管と、前記アンモニア燃料供給管を外側から覆い、前記アンモニア燃料供給管との間にパージ流体が流通する流路を形成する外管と、を有するボイラに設けられるアンモニア燃料漏洩検出方法あって、
前記外管の第1位置に上流端が接続された第1検出管によって、前記外管の内部を流通するパージ流体の一部を前記第1位置から抽出する工程と、
前記外管の前記第1位置とは異なる位置である第2位置に上流端が接続された第2検出管によって、前記外管の内部を流通するパージ流体の一部を前記第2位置から抽出する工程と、
貯留部の内部に貯留されている検出液中に、前記第1検出管内を流通したパージ流体及び前記第2検出管内を流通したパージ流体を導く工程と、
検出部によって前記貯留部に貯留されている検出液の性状を検出する工程と、
前記検出部が検出した検出液の性状に基づいて、前記アンモニア燃料供給管から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する工程と、を備えるアンモニア燃料漏洩検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、アンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
蒸気を生成するボイラにおける燃料として、アンモニア燃料を燃焼するボイラが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、石炭燃料とともにアンモニア燃料を燃焼するボイラが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-112280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アンモニアは毒物及び劇物取締法(毒劇法)では劇物に、悪臭防止法では特定悪臭物質に指定されている。したがって、アンモニア燃料を燃焼させるボイラは、アンモニアが大気へ漏洩した際には、供給を停止する必要がある。アンモニアが大気へ漏洩し難くする方法として、アンモニア燃料が流通する配管を二重管構造とすることが想定される。このような二重管構造では、内管と外管との間にアンモニア燃料が漏洩した場合に、当該漏洩を検出する検出装置を設ける必要がある。
【0005】
アンモニア燃料を燃焼するボイラは、アンモニアが流通する配管が広範に亘って設けられる。また、使用する燃料としてアンモニアの割合が多い高混焼のアンモニア混焼ボイラやアンモニア専焼ボイラでは、複数のバーナへアンモニア燃料を供給するためにアンモニア供給配管が分岐する場合があり、構造が複雑化する。このようなボイラでは、アンモニアの漏洩箇所を特定するためには、多数の検出装置を設置する必要があり、コストが増大する可能性があった。また、漏洩する可能性がある範囲が広範囲となることから、漏洩箇所を特定するためには、多数の検出装置を設置する必要があり、コストが増大する可能性があった。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、コストの増大を抑制することができるアンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示のアンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法は以下の手段を採用する。
本開示の一態様に係るアンモニア燃料漏洩検出装置は、内部を流通するアンモニア燃料をバーナへ導くアンモニア燃料供給管と、前記アンモニア燃料供給管を外側から覆い、前記アンモニア燃料供給管との間にパージ流体が流通する流路を形成する外管と、を有するボイラに設けられるアンモニア燃料漏洩検出装置であって、前記外管の第1位置に上流端が接続され、前記外管の内部を流通するパージ流体の一部を前記第1位置から抽出する第1検出管と、前記外管の前記第1位置とは異なる位置である第2位置に上流端が接続され、前記外管の内部を流通するパージ流体の一部を前記第2位置から抽出する第2検出管と、内部に貯留されている検出液中に、前記第1検出管内を流通したパージ流体及び前記第2検出管内を流通したパージ流体が導かれる貯留部と、前記貯留部に貯留する検出液の性状を検出する検出部と、前記検出部が検出した検出液の性状に基づいて、前記アンモニア燃料供給管から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する判断部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係るアンモニア燃料漏洩検出方法は、内部を流通するアンモニア燃料をバーナへ導くアンモニア燃料供給管と、前記アンモニア燃料供給管を外側から覆い、前記アンモニア燃料供給管との間にパージ流体が流通する流路を形成する外管と、を有するボイラに設けられるアンモニア燃料漏洩検出方法あって、前記外管の第1位置に上流端が接続された第1検出管によって、前記外管の内部を流通するパージ流体の一部を前記第1位置から抽出する工程と、前記外管の前記第1位置とは異なる位置である第2位置に上流端が接続された第2検出管によって、前記外管の内部を流通するパージ流体の一部を前記第2位置から抽出する工程と、貯留部の内部に貯留されている検出液中に、前記第1検出管内を流通したパージ流体及び前記第2検出管内を流通したパージ流体を導く工程と、検出部によって前記貯留部に貯留されている検出液の性状を検出する工程と、前記検出部が検出した検出液の性状に基づいて、前記アンモニア燃料供給管から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、アンモニア燃料の漏洩を検出する際のコストの増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施形態に係るボイラシステムの概略構成図である。
図2】本開示の実施形態に係るアンモニア燃料供給ユニットの概略構成図である。
図3】本開示の実施形態に係るアンモニア燃料検出ユニットの概略構成図である。
図4】本開示の実施形態に係る検出管と外管との接続箇所の拡大図である。
図5】本開示の実施形態に係る制御装置が行う処理を示すフローチャートである。
図6】本開示の実施形態に係るアンモニア燃料検出ユニットの概略構成図であって、点Pでアンモニア燃料が漏洩した状態を示している。
図7】本開示の実施形態に係るアンモニア燃料検出ユニットの概略構成図であって、点Pでアンモニア燃料が漏洩した状態を示している。
図8】本開示の実施形態に係るアンモニア燃料検出ユニットの概略構成図であって、点Pでアンモニア燃料が漏洩した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示に係るアンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
図1を参照して、ボイラシステム1の全体的な構成について説明する。
図1は、本実施形態のアンモニア燃料とアンモニア燃料以外の他燃料を主燃料とするボイラを備えるボイラシステム1を表す概略構成図である。
【0013】
本実施形態のボイラシステム1が備えるボイラ10は、他燃料と、アンモニア燃料とをバーナにより燃焼させ、この燃焼により発生した熱を給水や蒸気と熱交換して過熱蒸気を生成することが可能なボイラである。他燃料として、バイオマス燃料や石炭などの固体燃料が使用される。固体燃料としての石炭は例えば粉砕された微粉炭燃料である。また、アンモニア燃料は、液体アンモニアまたはアンモニアガスである。
【0014】
図1に示すように、ボイラ10は、火炉11と燃焼装置20、50と燃焼ガス通路12を有している。火炉11は、四角筒の中空形状をなして鉛直方向に沿って設置されている。火炉11の内壁面を構成する火炉壁101は、複数の伝熱管と、伝熱管同士を接続するフィンとで構成され、燃料の燃焼により発生した熱を、伝熱管の内部を流通する水や蒸気と熱交換して回収すると共に、火炉壁101の温度上昇を抑制している。
【0015】
燃焼装置20、50は、火炉11の下部領域に設置されている。本実施形態では、燃焼装置20は、微粉炭燃料を火炉11の内部に噴射するように構成される。また、燃焼装置50は、アンモニア燃料を火炉11の内部に噴射するように構成される。
【0016】
燃焼装置20は、火炉壁101に装着された複数のバーナ21を有し、燃焼装置50は、複数のアンモニアバーナ51を有している。各々のバーナ21の先端部には、微粉炭燃料を火炉11内に噴射するように構成された噴射ノズル(図示省略)が設けられる。また、各々のアンモニアバーナ51の先端部には、アンモニア噴射ノズル(図示省略)が設けられる。火炉11に液体アンモニアが噴射される液体アンモニア噴射方式が採用される場合、アンモニア噴射ノズルは、例えば蒸気などのアトマイズ流体により液体アンモニアを微粒化して噴射するように構成された2流体噴射ノズルであってもよいし、液体アンモニアのみを噴射するように構成された1流体噴射ノズルであってもよい。また、火炉11にアンモニアガスが噴射されるアンモニアガス噴射方式が採用される場合、アンモニア噴射ノズルはガス噴射ノズルであってもよい。
バーナ21とアンモニアバーナ51は、火炉11の周方向に沿って均等間隔で配設されたもの(例えば、四角形の火炉11の各コーナ部に設置された4個)を1セットとして、鉛直方向に沿って複数段配置されている。図1の例では、1セットのバーナ21が2段、1セットのアンモニアバーナ51が4段配置される。なお、図1では、図示の都合上、1セットのバーナのうちの2個のみを記載し、各セットに符合21、51を付している。火炉の形状やバーナの段数、一つの段におけるバーナの数、バーナの配置などは、この実施形態に限定されるものではない。
また、火炉11における燃焼方式は、旋回燃焼方式また対向燃焼方式のいずれであってもよい。採用される燃焼方式に応じて、火炉11の形状と、複数のバーナ21及び複数のアンモニアバーナ51の配置はいずれも適宜変更されてよい。
【0017】
燃焼装置20のバーナ21は、それぞれ、複数の微粉炭燃料供給管22A、22B(以下、一括して「微粉炭燃料供給管22」と記載する場合がある。)を介して、複数のミル(粉砕機)31A、31B(以下、一括して「ミル31」と記載する場合がある。)に連結されている。ミル31は、例えば、内部に粉砕テーブル(図示省略)が駆動回転可能に支持されていて、粉砕テーブルの上方に複数の粉砕ローラ(図示省略)が粉砕テーブルの回転に連動回転可能に支持されて構成されている竪型ローラミルである。粉砕ローラと粉砕テーブルが協働して粉砕された固体燃料は、ミル31に供給される一次空気(搬送用ガス、酸化性ガス)により、ミル31が備える分級機(図示省略)に搬送される。分級機では、バーナ21での燃焼に適した粒径以下の微粉炭燃料と、該粒径より大きな粗粉炭燃料とに分級される。微粉炭燃料は、分級機を通過して、一次空気と共に微粉炭燃料供給管22を介してバーナ21に供給される。分級機を通過しなかった粗粉炭燃料は、ミル31の内部で、自重により粉砕テーブル上に落下し、再粉砕される。
【0018】
ミル31に供給される上述の一次空気(搬送用ガス、酸化性ガス)は、外気を取り込む1次空気通風機33(PAF:Primary Air Fan)から空気管30を介してミル31に送出される。空気管30は、1次空気通風機33から送出された空気のうちエアヒータ42で加熱された熱空気が流れる熱空気誘導管30Aと、1次空気通風機33から送出された空気のうちエアヒータ42を経由しない常温に近い冷空気が流れる冷空気誘導管30Bと、熱空気と冷空気が合流して流れるための搬送用ガス流路30Cとを備える。
【0019】
燃焼装置50のアンモニアバーナ51は、アンモニア燃料供給ユニット90に連結されている。本実施形態のアンモニア燃料供給ユニット90は、アンモニアタンク91と、アンモニアタンク91に貯留されるアンモニア燃料(例えば液体アンモニア)をボイラ10の燃焼装置50に供給するためのアンモニア燃料供給管92とを備える。アンモニアガス噴射方式が採用される場合、液体アンモニアに気化処理を施すための気化器(図示省略)がアンモニア燃料供給管92に設けられてもよい。また、液体アンモニア噴射方式が採用される場合、アンモニア燃料供給ユニット90は、燃焼装置50にアトマイズ流体を供給するためのアトマイズ流体供給管(図示外)をさらに備えてもよい。
【0020】
バーナ21とアンモニアバーナ51の装着位置における火炉11の炉外側には、エアレジスタ23が設けられており、このエアレジスタ23には風道(空気ダクト)24の一端部が連結されている。風道24の他端部には、押込通風機(FDF:Forced Draft Fan)32が連結されている。押込通風機32から供給された空気は、風道24に設置されたエアヒータ42で加熱され(詳細は後述する)、エアレジスタ23を介してバーナ21に二次空気(燃焼用空気、酸化性ガス)として供給され、火炉11の内部に投入される。風道24は、図2に示すように、押込通風機32とエアヒータ42とを接続する冷空気ダクト24Bと、エアヒータ42とボイラ10とを接続する熱空気ダクト24Aと、を有する。
【0021】
燃焼ガス通路12は、図1に示すように、火炉11の鉛直方向上部に連結されている。燃焼ガス通路12には、燃焼ガスの熱を回収するための熱交換器として、過熱器102A、102B、102C(以下、一括して「過熱器102」と記載する場合がある。)、再熱器103A、103B(以下、一括して「再熱器103」と記載する場合がある。)、節炭器104が設けられており、火炉11で発生した燃焼ガスと各熱交換器の内部を流通する給水や蒸気との間で熱交換が行われる。なお、各熱交換器の配置や形状は、図1に記載した形態に限定されない。
【0022】
燃焼ガス通路12の下流側には、熱交換器で熱回収された燃焼ガスが排出される煙道13が連結されている。煙道13には、風道24との間に空気予熱器(エアヒータ)42が設けられており、風道24を流れる空気と、煙道13を流れる燃焼ガスとの間で熱交換を行い、ミル31に供給する一次空気やバーナ21に供給する二次空気を加熱することで、水や蒸気との熱交換後の燃焼ガスから、さらに熱回収を行う。
【0023】
また、煙道13には、エアヒータ42よりも上流側の位置に、脱硝装置43が設けられていてもよい。脱硝装置43は、アンモニア、尿素水等の窒素酸化物を還元する作用を有する還元剤を、煙道13内を流通する燃焼ガスに供給し、還元剤が供給された燃焼ガス中の窒素酸化物(NOx)と還元剤との反応を、脱硝装置43内に設置された脱硝触媒の触媒作用により促進させることで、燃焼ガス中の窒素酸化物を除去、低減するものである。
煙道13のエアヒータ42より下流側には、ガスダクト41が連結されている。ガスダクト41には、燃焼ガス中の灰などを除去する電気集じん機などの集じん装置44や硫黄酸化物を除去する脱硫装置46などの環境装置、また、それらの環境装置に排ガスを導くための誘引通風機(IDF:Induced Draft Fan)45が設けられている。ガスダクト41の下流端部は、煙突47に連結されており、環境装置で処理された燃焼ガスが、排ガスとして系外に排出される。
【0024】
ボイラ10において、複数のミル31が駆動すると、粉砕、分級された微粉炭燃料が、一次空気と共に微粉炭燃料供給管22を介してバーナ21に供給される。また、アンモニア燃料供給ユニット90からアンモニア燃料がアンモニアバーナ51に供給される。さらに、エアヒータ42で加熱された二次空気が、風道24からエアレジスタ23を介してバーナ21とアンモニアバーナ51とに供給される。
バーナ21は、微粉炭燃料と一次空気とが混合した微粉炭燃料混合気を火炉11に吹き込むと共に、二次空気を火炉11に吹き込む。火炉11に吹き込まれた微粉炭燃料混合気が着火し、二次空気と反応することで火炎を形成する。アンモニアバーナ51は、アンモニア燃料と共に二次空気を火炉11に吹き込む。火炉11に吹き込まれたアンモニア燃料は、二次空気と反応して燃焼する。
微粉炭燃料とアンモニア燃料の燃焼により生じる高温の燃焼ガスは、火炉11内を上昇し、燃焼ガス通路12に流入する。
なお、アンモニア燃料が火炉11に吹き込まれるタイミングは、微粉炭燃料の燃焼によって火炉11内の温度が一定温度まで上昇した後であってもよい。例えば、ボイラ10の起動時に微粉炭燃料の専焼が行われたのち、アンモニア燃料が火炉11に吹き込まれ、アンモニア燃料と微粉炭燃料とのアンモニア混焼が行われてもよい。さらにその後、微粉炭燃料の吹き込みを停止し、アンモニア専焼が行われてもよい。
また、本実施形態では、酸化性ガス(一次空気、二次空気)として空気を用いるが、空気よりも酸素割合が多いものや逆に少ないものであってもよく、供給される燃料量に対する酸素量の比率を適正な範囲に調整することで、火炉11において安定した燃焼が実現される。
【0025】
燃焼ガス通路12に流入した燃焼ガスは、燃焼ガス通路12の内部に配置された過熱器102、再熱器103、節炭器104で水や蒸気と熱交換した後、煙道13に排出され、脱硝装置43で窒素酸化物が除去され、エアヒータ42で一次空気及び二次空気と熱交換した後、さらにガスダクト41に排出され、集じん装置44で灰などが除去され、脱硫装置46で硫黄酸化物が除去された後、煙突47から系外に排出される。なお、燃焼ガス通路12における各熱交換器及び煙道13からガスダクト41における各装置の配置は、燃焼ガスの流れに対して、必ずしも上述の記載順に配置されなくともよい。
【0026】
次に、図2を参照し、アンモニア燃料供給ユニット90について説明する。図2は、アンモニア燃料供給ユニット90の概念的な説明図である。
【0027】
図2で例示されるアンモニア燃料供給ユニット90は、例えば、液体アンモニア噴射方式が採用されるボイラ10に適用される。
【0028】
図2で例示されるアンモニア燃料供給ユニット90は、上述したように、アンモニアタンク91に貯留されるアンモニア燃料をボイラ10に供給するためのアンモニア燃料供給管92を備える。アンモニア燃料供給管92は、アンモニアタンク91とボイラ10の燃焼装置50(図1参照)とに接続される配管である。図示される実施形態では、アンモニアタンク91は、ボイラ10の建屋15の外に設置されるタンクであるが、例えば液体アンモニアの製造場所や大規模貯留設備からアンモニア燃料が供給される実施形態では、アンモニアタンク91は設けられなくてもよい。この場合、アンモニア燃料供給管92の上流端は液体アンモニアのパイプラインに接続されてもよい。
【0029】
アンモニア燃料供給ユニット90は、アンモニア燃料供給管92の少なくとも一部を取り囲むように配置され、アンモニア燃料供給管92と共に二重管構造を形成する外管95(図4も参照)を備える。ボイラ10の建屋15の内側において、アンモニア燃料供給管92の一部に二重管構造が形成されている。このように二重管構造とすることで、アンモニア燃料供給ユニット90からアンモニア燃料が漏れ出るリスクを低減することができる。よって、アンモニア燃料の漏洩によってボイラ10の運転に影響がでるリスクを低減できる。
【0030】
外管95はボイラ10の建屋15の内側のみに配置される。したがって、ボイラ10の建屋15の外側では、外管95は配置されず、アンモニア燃料供給管92は単管として配置される。これにより、アンモニアタンク91からボイラ10までのアンモニア燃料供給管92が全て二重管である場合と比較して、コストの増大を抑制することができる。また、アンモニア燃料が漏洩した場合の影響度が大きい建屋15の内側のみに外管95を設けているので、影響を効果的に低減することができる。
【0031】
また、外管95とアンモニア燃料供給管92との間には、パージ流体が流通する流路が形成されている。パージ流体は、例えば、空気であってもよい。また、空気以外の水蒸気や窒素などの気体であってもよく、また、水などの液体であってもよい。以下の説明では、パージ流体として空気を用いた場合について説明する。このため、パージ流体を「パージエア」と称する。
パージエアは、抽気管97を介して外管95とアンモニア燃料供給管92との間の空間に導入される。抽気管97の上流端は、大気中の空気をエアヒータ42に導く冷空気ダクト24Bに接続されている。したがって、外管95とアンモニア燃料供給管92との間に形成される流路には、エアヒータ42で加熱される前の大気温度と同程度の温度の冷空気がパージエアとして供給される。抽気管97を介して外管95とアンモニア燃料供給管92との間に形成される流路に導入されたパージエアは、ボイラ10に向かって流通する。なお、外管95の上流端は、パージエアが漏洩しないように封止されている。また、外管95の下流端は、エアレジスタ23と接続されており、パージエアは燃焼用空気と混合されてボイラ10に供給される。
【0032】
このように外管95とアンモニア燃料供給管92との間に形成される流路にパージエアを流通させることで、アンモニア燃料供給管92からアンモニア燃料が漏洩した場合であっても、アンモニア燃料がパージエアと共にボイラ10に向けて流通し、エアレジスタ23で燃焼用空気と混合されてボイラ10で燃焼される。したがって、アンモニア燃料供給管92と外管95との間にアンモニア燃料が残存し難くすることができる。
【0033】
次に、図3から図8を参照して本実施形態に係る分岐管93及び漏洩検出ユニット(アンモニア燃料漏洩検出装置)60について説明する。
図3に示すように、アンモニア燃料供給管92及び外管95による二重管は、下流部で複数の分岐管93に分岐する。複数の分岐管93の各々について説明する場合には、アンモニア燃料の流れ方向における下流側から順番に、第1分岐管93A,第2分岐管93B,第3分岐管93C及び第4分岐管93Dと称する。
【0034】
分岐管93は、図4に示すように、アンモニア燃料供給管92及び外管95による二重管構造とされている。分岐管93は、図3に示すように、下流端が各アンモニアバーナ51に接続されており、アンモニア燃料供給管92から、アンモニア燃料が各アンモニアバーナ51に供給される。また、アンモニア燃料供給管92と外管95の間の流路を流れるパージエアは、エアレジスタ23で燃焼用空気と混合されボイラ10に供給される。
【0035】
分岐管93の内管であるアンモニア燃料供給管92には、第1バーナ弁98及び第2バーナ弁99が設けられており、二つの弁が連動して各アンモニアバーナ51への燃料供給の有無を切り替える。なお、第1バーナ弁98あるいは第2バーナ弁99のいずれか一つのみが設けられていてもよい。
【0036】
漏洩検出ユニット60は、図3に示すように、複数の検出管61と、各検出管61に設けられる複数の検出弁62と、検出管61の下流に設けられ検出液(例えば、アンモニア燃料が混入していない状態では純水)が貯留されているポット(貯留部)63と、ポット63内に貯留されている純水の電気伝導度を検出する電気伝導度検出装置(検出部)64と、を有する。
【0037】
検出管61は、図4に示すように、上流端が外管95の外周面に接続されている。検出管61は、外管95内を流通するパージエアの一部を抽出し、抽出したパージエアをポット63まで導く。
【0038】
複数の検出管61は、第1検出管61A,第2検出管61B,第3検出管61C,第4検出管61D,第5検出管61E及び第6検出管61Fを有している。第1検出管61A~第6検出管61Fは、外管95内に設けられるアンモニア燃料供給管92を流通するアンモニア燃料の流れ方向における下流側から順番に設けられている。第1検出管61A~第6検出管61Fは、各々、外管95の異なる位置の外周面に上流端が接続されている。第1検出管61A~第6検出管61Fは、各々、外管95の異なる位置からパージエアを抽出している。
【0039】
第1検出管61Aの上流端は、第1分岐管93Aに接続されている。第1検出管61Aは、接続位置(第1位置)D1から、第1分岐管93A内を流通するパージエアの一部を抽出している。第1検出管61Aの下流端は、第5検出管61Eの途中位置に接続されている。第1検出管61Aの途中位置には、第1検出弁62Aが設けられている。
【0040】
同様に、第2検出管61B,第3検出管61C及び第4検出管61Dの上流端は、各々、第2分岐管93B,第3分岐管93C及び第4分岐管93Dに接続されている。第2検出管61B,第3検出管61C及び第4検出管61Dは、各々、接続位置(第2位置)D2,D3及びD4から、第2分岐管93B,第3分岐管93C及び第4分岐管93D内を流通するパージエアの一部を抽出している。第2検出管61B,第3検出管61C及び第4検出管61Dの下流端は、第5検出管61Eの途中位置に接続されている。第2検出管61B,第3検出管61C及び第4検出管61Dの途中位置には、各々、第2検出弁62B,第3検出弁62C及び第4検出弁62Dが設けられている。
【0041】
第5検出管61Eの上流端は、外管95のうち、第4分岐管93Dの分岐部分よりも上流側であって、外管95に設けられる遮断弁94及び流量調整弁96よりも下流側に接続されている。第5検出管61Eは、接続位置D5から、外管95内を流通するパージエアの一部を抽出している。第5検出管61Eの下流端は、ポット63内に貯留されている検出液(純水)内に水没している。すなわち、第5検出管61E内を流通したパージエアは、ポット63内の検出液中に排出される。
【0042】
また、第5検出管61Eの途中位置には、第1検出管61A,第2検出管61B,第3検出管61C,第4検出管61D及び第6検出管61Fの下流端が接続されている。すなわち、第1検出管61A,第2検出管61B,第3検出管61C,第4検出管61D及び第6検出管61Fは、第5検出管61Eに合流している。したがって、第1検出管61A,第2検出管61B,第3検出管61C,第4検出管61D及び第6検出管61F内を流通したパージエアは、第5検出管61Eを介してポット63まで導かれる。
【0043】
第5検出管61Eの途中位置には、第5検出弁62Eが設けられている。第5検出弁62Eは、第1検出管61A,第2検出管61B,第3検出管61C,第4検出管61D及び第6検出管61Fが合流する箇所よりも上流側に設けられている。
【0044】
第6検出管61Fの上流端は、外管95のうち、遮断弁94及び流量調整弁96よりも上流側に接続されている。第6検出管61Fは、接続位置D6から、外管95内を流通するパージエアの一部を抽出している。第6検出管61Fの下流端は、第6検出管61Fの途中位置に接続されている。第6検出管61Fの途中位置には、第6検出弁62Fが設けられている。
【0045】
複数の検出弁62は、第1検出弁62A~第6検出弁62Fを有している。検出弁62は、検出管61の途中位置に設けられている。検出弁62は、検出管61内の流体を流通させる開状態と、検出管61内の流体を流通させない閉状態とを切替え可能とされている。検出弁62の開閉の切り替えは制御装置70によって制御されている。なお、検出弁62の開閉の切り替えは、手動で行われてもよい。
【0046】
ポット63は、所定量の検出液(アンモニアが混入していない状態では純水)が貯留されている。ポット63は、常時、貯留されている純水を排出するとともに、新しい純水が供給される。ポット63には、検出管61によってパージエアが導かれる。ポット63の内部において、検出管61の下流端部が検出液面下に設けられており、パージエアが検出液中でバブリングしている。
【0047】
電気伝導度検出装置(検出部)64は、ポット63内に設けられたセンサによって、検出液の性状(本実施形態では、電気伝導度)を検出する。電気伝導度検出装置64は、検出した情報を制御装置70へ送信する。
【0048】
漏洩検出ユニット60は、制御装置(制御部)70を備えている。制御装置70は、電気伝導度検出装置64から検出結果を取得する。制御装置70は、各種弁の開閉の切り替えや、開度の調整を行う。
【0049】
制御装置70は、電気伝導度検出装置64が検出した検出液の性状(本実施形態では、一例として、電気伝導度)に基づいて、アンモニア燃料供給管92から流路(アンモニア燃料供給管92と外管95との間に形成された流路)にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する判断部(図示省略)を有している。また、制御装置70は、アンモニア燃料が漏洩していると判断部が判断した場合に、漏洩箇所を特定する処理を行う。具体的には、制御装置70は、第1検出弁62A~第6検出弁62Fを順番に開状態から閉状態に切り換える。このとき、制御装置70は、アンモニア燃料の流れる方向における下流側の検出弁62から順番に閉状態に切り換える。すなわち、第1検出弁62A~第6検出弁62Fの順番で閉状態に切り換える。
【0050】
制御装置(Controller)70は、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)、主記憶装置(Main Memory)、二次記憶装置(Secondary storage:メモリ)等を備えている。更に、制御装置70は、他の装置と情報の送受信を行うための通信部を備えていてもよい。
主記憶装置は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPUの実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
二次記憶装置は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。
各種機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置に記憶されており、このプログラムをCPUが主記憶装置に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置に予めインストールしておく形態や、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記憶媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等である。
【0051】
次に、本実施形態の制御装置70が行う漏洩検出処理及び漏洩箇所特定処理について図5から図8を用いて説明する。
まず、制御装置70は、検出弁62を全て開状態とする(ステップS1)。したがって、この状態では、全ての検出管61からパージエアがポット63に導かれている。この状態において、電気伝導度検出装置64は、連続的に検出液の電気伝導度の検出を行うとともに、検出結果を制御装置70へ送信する。制御装置70の判断部は、電気伝導度検出装置64から送られてくる検出液の電気伝導度に基づいて、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する。
【0052】
具体的には、電気伝導度に変化がない場合には、パージエアにアンモニア燃料が混入していないことから、アンモニア燃料が漏洩していないと判断する。一方で、電気伝導度が上がるように変化した場合には、検出液(純水)にアンモニア燃料が混入していることから、アンモニア燃料が漏洩していると判断する。すなわち、漏洩を検出する(ステップS2)。
【0053】
漏洩を検出すると制御装置70は、漏洩箇所を特定するために、第1検出弁62Aから順番に開状態から閉状態へ切り替える(ステップS3)。このとき、検出弁62を閉状態とした後に、所定の時間をおいてから次の検出弁62を閉状態とする。これを繰り返すことで、漏洩範囲を推定する(ステップS4)。
漏洩範囲を特定した場合には、その後に特定された漏洩範囲において検査を行い詳細な漏洩箇所を特定するとともに、当該漏洩箇所の修繕を行う。
【0054】
具体例について、図6から図8を用いて説明する。図6から図8の例では、地点P(アンモニア燃料供給管92のうち、第3分岐管93Cの分岐点と第2分岐管93Bの分岐点との間)でアンモニア燃料が漏洩している。なお、図6から図8において、太線部分は漏洩したアンモニア燃料がパージエアに混入している区間を示している。
【0055】
この場合には、図6に示すように、全ての検出弁62が開状態の場合に、第2分岐管93B及び第2検出管61Bや、第1分岐管93A及び第1検出管61Aを介してポット63へアンモニア燃料が導かれる。これにより、電気伝導度検出装置64によって、検出液の電気伝導度の変化が検出され、制御装置70が漏洩を検出する(ステップS2)。
【0056】
制御装置70は、漏洩を検出すると、図7に示すように、まず第1検出弁62Aを閉状態とする(ステップS3)。第1検出弁62Aを閉状態とすると、第1分岐管93A及び第1検出管61Aからポット63へのアンモニア燃料の導入は阻止される。一方で、第2分岐管93B及び第2検出管61Bからポット63へのアンモニア燃料の導入は継続される。したがって、電気伝導度検出装置64によって検出液の電気伝導度が通常(アンモニア燃料がパージエアに混入していない状態)より高い状態で検出され続ける。
【0057】
所定の時間、電気伝導度が高い状態が続いた場合、次に制御装置70は、図8に示すように、第2検出弁62Bを閉状態とする。第2検出弁62Bを閉状態とすると、第2分岐管93B及び第2検出管61Bからポット63へのアンモニア燃料の導入も阻止される。これにより、ポット63へアンモニア燃料が導入されるルートがなくなるので、ポット63へアンモニア燃料が導入されない状態となる。ポット63へは常時新たな純水が供給されているので、アンモニア燃料が混入しない状態が続くことで、検出液の電気伝導度が通常よりも高い状態から通常の値へと変動する。検出液の電気伝導度が通常の値へと変動すると、制御装置は、第2検出弁62Bに対応する範囲(図8のSの範囲)において漏洩が発生していると特定する。第2検出弁62Bに対応する範囲は、第2分岐管93Bの上流端から第2検出管61Bが分岐する部分まで、及び、外管95のうち第3分岐管93Cの分岐点から第2分岐管93Bまでの範囲である。
【0058】
仮に、地点P1(アンモニア燃料供給管92のうち、第2分岐管93Bの分岐点と第1分岐管93Aの分岐点との間)でアンモニア燃料の漏洩が起こっている場合には、第1検出弁62Aを閉状態とした時点で、ポット63へアンモニア燃料が導入されるルートがなくなるので、検出液の電気伝導度が通常の値へと変動する。
また、仮に、地点P2(アンモニア燃料供給管92のうち、第4分岐管93Dの分岐点と第3分岐管93Cの分岐点との間)でアンモニア燃料の漏洩が起こっている場合には、第2検出弁62Bを閉状態としても、第3分岐管93C及び第3検出管61Cを介して、ポット63へアンモニア燃料が導入されるため、検出液の電気伝導度は通常よりも高い値のままとなる。
【0059】
このように、第2検出弁62Bを閉状態とした際に検出液の電気伝導度が通常の値へと変動するのは、所定の範囲(図8のSの範囲)で漏洩が発生した場合のみであるので、制御装置70は、漏洩箇所を特定することができる。
【0060】
本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
本実施形態では、ポット63に貯留されている検出液中に各検出管61内を流通したパージエアが導かれ、検出装置(電気伝導度検出装置64)が検出した検出液の性状(本実施形態では、一例として、電気伝導度)に基づいて、アンモニア燃料供給管92から外管95内の流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断している。これにより、複数の位置(各検出管61が分岐する位置)でのアンモニア燃料の漏洩の検出を1つの検出装置によって行うことができる。したがって、複数の位置でのアンモニア燃料の漏洩の検出を行う際に各位置に検出装置を設ける場合と比較して、検出装置の数を低減することができる。よって、漏洩検出ユニット60の部品点数を低減することができる。よって、漏洩検出ユニット60の設置コストの増加を抑制することができる。
【0061】
また、本実施形態では、検出液にアンモニア燃料が溶解すると、検出液(純水)の電気伝導度が変化する。これにより、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断することができる。
また、本実施形態では、電気伝導度検出装置64が検出した検出液の電気伝導度に基づいて、アンモニア燃料供給管92から外管内の流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断している。一般的に、電気伝導度検出装置64は、直接的にアンモニア漏洩を検出する装置と比較して簡便で安価である。このため、漏洩検出ユニット60の設置コストの増大を抑制することができる。
【0062】
また、アンモニア燃料の漏洩箇所を特定できない場合には、二重管の内側であるアンモニア燃料供給管92を広範囲に亘って検査する必要があるので、作業時間が長時間化する可能性があった。また、作業に要するコストが増大する可能性があった。
一方で、本実施形態では、アンモニア燃料が漏洩していると判断部が判断した場合に、下流側の第1検出弁62Aから順番に閉状態とする制御装置70を備えている。このように、下流側に設けられた第1検出弁62Aから順番に閉状態とすることで、アンモニア燃料が漏洩している箇所を特定することができる。具体的には、第1検出弁62Aを閉状態とした後において、検出液の性状が変化した場合(すなわち、検出液にアンモニア燃料が混合した状態から混合していない状態に変化した場合)には、アンモニア燃料の漏洩箇所が第1検出管61Aの接続位置よりも上流側であると特定することができる。詳細には、第1分岐管93Aのうち第1検出管61Aが分岐する位置(接続位置D1)からアンモニア燃料供給管92のうち第2分岐管93Bが分岐する位置までの間であると特定することができる。また、第1検出弁62Aを閉状態とした後においても、検出液の性状が変化しない場合(すなわち、検出液にアンモニア燃料が混合した状態から変化しない場合)には、アンモニア燃料の漏洩箇所が第2分岐管93Bの接続位置よりも上流側である特定することができる。詳細には、アンモニア燃料供給管92から第2分岐管93Bが分岐する位置よりも上流側または当該分岐位置よりも上流側から分岐する分岐管(詳細には、分岐管のうち検出管が分岐する位置(接続位置D2等)の上流側)であると特定することができる。これを下流側の第1検出弁62Aから繰り返すことで、漏洩が想定される箇所をより狭い範囲で特定することができる。したがって、漏洩箇所の特定作業を簡易化することができる。
【0063】
なお、本開示は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。
例えば、ボイラに使用される固体燃料としては、石炭、バイオマス燃料、石油コークス(PC:Petroleum Coke)燃料、石油残渣などが使用されてもよい。
また、アンモニア燃料と組み合わせるボイラの燃料としては、固体燃料に限らず、重油、軽油、重質油などの石油類や工場廃液などの液体燃料も使用することができる。また、天然ガスや各種石油ガス、製鉄プロセスなどで発生する副生ガスなどの気体燃料も使用することができる。
さらに、これらの各種燃料を組み合わせて使用する混焼ボイラにも適用することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、電気伝導度検出装置64を設け、ポット63に貯留されている検出液の電気伝導度を検出することで、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する例を説明したが、本開示はこれに限定されない。
例えば、電気伝導度検出装置64の代わりにpH検出装置を設け、ポット63に貯留されている検出液のpHを検出することでアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断してもよい。アンモニア燃料が混入した場合には、検出液のpHが変化するので、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断することができる。また、pH検出装置は、直接アンモニア燃料を検出する装置と比較して簡便で安価である。このため、漏洩検出ユニット60の設置コストの増大を抑制することができる。
また、電気伝導度検出装置64の代わりに全窒素濃度を検出する装置を設け、ポット63に貯留されている検出液の全窒素濃度を検出することでアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断してもよい。アンモニア燃料が混入した場合には、検出液の全窒素濃度が変化するので、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断することができる。また、全窒素濃度検出装置は、直接アンモニア燃料を検出する装置と比較して簡便で安価である。このため、漏洩検出ユニット60の設置コストの増大を抑制することができる。
また、電気伝導度検出装置64の代わりにアンモニア態窒素濃度を検出する装置を設け、ポット63に貯留されている検出液のアンモニア態窒素濃度を検出することでアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断してもよい。アンモニア燃料が混入した場合には、検出液のアンモニア態窒素濃度が変化するので、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断することができる。また、アンモニア態窒素濃度検出装置は、直接アンモニア燃料を検出する装置と比較して簡便で安価である。このため、漏洩検出ユニット60の設置コストの増大を抑制することができる。
【0065】
また、上記実施形態では、全ての検出管61が同一のポット63へパージエアを導く例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、検出管61毎にポット63を設けてもよい。このように構成することで、いずれかのポット63でアンモニアの混入が検出された場合には、当該ポット63へパージエアを導いている検出管61が接続されるアンモニア燃料を供給する配管からアンモニア燃料が漏洩していると判断することができるので、アンモニア燃料の漏洩箇所を容易かつ迅速に特定することができる。また、複数の検出管61からパージエアが導かれるポット63を複数設けてもよい。すなわち、複数の検出管61を1つのブロックとし、ブロック毎にポット63を設けてもよい。
【0066】
以上説明した実施形態に記載のアンモニア燃料漏洩検出装置及びボイラシステム並びにアンモニア燃料漏洩検出方法は、例えば以下のように把握される。
本開示の第1態様に係るアンモニア燃料漏洩検出装置は、内部を流通するアンモニア燃料をバーナ(51)へ導くアンモニア燃料供給管(92)と、前記アンモニア燃料供給管(92)を外側から覆い、前記アンモニア燃料供給管(92)との間にパージ流体が流通する流路を形成する外管(95)と、を有するボイラに設けられるアンモニア燃料漏洩検出装置(60)であって、前記外管(95)の第1位置(D1)に上流端が接続され、前記外管(95)の内部を流通するパージ流体の一部を前記第1位置(D1)から抽出する第1検出管(61A)と、前記外管(95)の前記第1位置(D1)とは異なる位置である第2位置(D2)に上流端が接続され、前記外管(95)の内部を流通するパージ流体の一部を前記第2位置(D2)から抽出する第2検出管(61B)と、内部に貯留されている検出液中に、前記第1検出管(61A)内を流通したパージ流体及び前記第2検出管(61B)内を流通したパージ流体が導かれる貯留部(63)と、前記貯留部(63)に貯留する検出液の性状を検出する検出部(64)と、前記検出部(64)が検出した検出液の性状に基づいて、前記アンモニア燃料供給管(92)から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する判断部と、を備える。
【0067】
上記構成では、貯留部に貯留されている検出液に中に第1検出管内を流通したパージ流体及び第2検出管内を流通したパージ流体が導かれ、検出部が検出した検出液の性状に基づいて、アンモニア燃料供給管から外管内の流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断している。これにより、複数の位置(第1位置及び第2位置)でのアンモニア燃料の漏洩の検出を1つの検出部によって行うことができる。したがって、複数の位置(第1位置及び第2位置)でのアンモニア燃料の漏洩の検出を行う際に各位置に検出部を設ける場合と比較して、検出部の数を低減することができる。よって、アンモニア燃料漏洩検出装置の部品点数を低減することができる。よって、アンモニア燃料漏洩検出装置の設置コストの増大を抑制することができる。
また、上記構成では、検出液にアンモニア燃料が溶解すると、検出液の性状が変化する。これにより、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断することができる。
また、上記構成では、検出部が検出した検出液の性状に基づいて、アンモニア燃料供給管から外管内の流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断している。一般的に、検出液の性状を検出する検出部は、直接アンモニア燃料を検出する装置と比較して簡便で安価である。このため、アンモニア燃料漏洩検出装置の設置コストの増大を抑制することができる。
【0068】
本開示の第2態様に係るアンモニア燃料漏洩検出装置は、上記第1態様において、前記検出部(64)は、検出液の電気伝導度を検出する電気伝導度検出装置(64)を有し、前記判断部は、前記電気伝導度検出装置(64)が検出した検出液の電気伝導度に基づいて、前記アンモニア燃料供給管(92)から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する。
【0069】
上記構成では、検出液にアンモニア燃料が溶解すると、検出液の電気伝導度が変化する。これにより、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断することができる。
また、上記構成では、電気伝導度検出装置が検出した検出液の電気伝導度に基づいて、アンモニア燃料供給管から外管内の流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断している。一般的に、電気伝導度検出装置は、直接アンモニア燃料を検出する装置と比較して簡便で安価である。このため、アンモニア燃料漏洩検出装置の設置コストの増大を抑制することができる。
【0070】
本開示の第3態様に係るアンモニア燃料漏洩検出装置は、上記第1態様又は第2態様において、前記検出部(64)は、検出液のpHを検出するpH検出装置を有し、前記判断部は、前記pH検出装置が検出した検出液のpHに基づいて、前記アンモニア燃料供給管(92)から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する。
【0071】
上記構成では、検出液にアンモニア燃料が溶解すると、検出液のpHが変化する。これにより、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断することができる。
また、上記構成では、pH検出装置が検出した検出液のpHに基づいて、アンモニア燃料供給管から外管内の流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断している。一般的に、pH検出装置は、直接アンモニア燃料を検出する装置と比較して簡便で安価である。このため、アンモニア燃料漏洩検出装置の設置コストの増大を抑制することができる。
【0072】
本開示の第4態様に係るアンモニア燃料漏洩検出装置は、上記第1態様から第3態様のいずれかにおいて、前記検出部(64)は、検出液の全窒素濃度を検出する全窒素濃度検出装置を有し、前記判断部は、前記全窒素濃度検出装置が検出した検出液の全窒素濃度に基づいて、前記アンモニア燃料供給管(92)から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する。
【0073】
上記構成では、検出液にアンモニア燃料が溶解すると、検出液の全窒素濃度が変化する。これにより、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断することができる。
また、上記構成では、全窒素濃度検出装置が検出した検出液の全窒素濃度に基づいて、アンモニア燃料供給管から外管内の流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断している。一般的に、全窒素濃度検出装置は、直接アンモニア燃料を検出する装置と比較して簡便で安価である。このため、アンモニア燃料漏洩検出装置の設置コストの増大を抑制することができる。
【0074】
本開示の第5態様に係るアンモニア燃料漏洩検出装置は、上記第1態様から第4態様のいずれかにおいて、前記検出部(64)は、検出液のアンモニア態窒素濃度を検出するアンモニア態窒素濃度検出装置を有し、前記判断部は、前記アンモニア態窒素濃度検出装置が検出した検出液のアンモニア態窒素濃度に基づいて、前記アンモニア燃料供給管(92)から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する。
【0075】
上記構成では、検出液にアンモニア燃料が溶解すると、検出液のアンモニア態窒素濃度が変化する。これにより、アンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断することができる。
また、上記構成では、アンモニア態窒素濃度検出装置が検出した検出液のアンモニア態窒素濃度に基づいて、アンモニア燃料供給管から外管内の流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断している。一般的に、アンモニア態窒素濃度検出装置は、直接アンモニア燃料を検出する装置と比較して簡便で安価である。このため、アンモニア燃料漏洩検出装置の設置コストの増大を抑制することができる。
【0076】
本開示の第6態様に係るアンモニア燃料漏洩検出装置は、上記第1態様から第5態様のいずれかにおいて、前記第1検出管(61A)に設けられ、前記第1検出管(61A)内の流体を流通させる開状態と、前記第1検出管(61A)内の流体を流通させない閉状態とを切替え可能な第1検出弁(62A)と、前記第2検出管(61B)に設けられ、前記第2検出管(61B)内の流体を流通させる開状態と、前記第2検出管(61B)内の流体を流通させない閉状態とを切替え可能な第2検出弁(62B)と、を備え、前記第1検出管(61A)は、前記第2検出管(61B)よりも、アンモニア燃料の流れ方向における下流側に設けられ、前記判断部が前記アンモニア燃料供給管(92)から前記流路にアンモニア燃料が漏洩していると判断した場合に、前記第1検出弁(62A)を閉状態とした後に前記第2検出弁(62B)を閉状態とする制御部(70)を備える。
【0077】
上記構成では、判断部がアンモニア燃料供給管から流路にアンモニア燃料が漏洩していると判断した場合に、第1検出弁を閉状態とした後に前記第2検出弁を閉状態とする制御部を備えている。このように、下流側に設けられた弁から順番に閉状態とすることで、アンモニア燃料が漏洩している箇所を特定することができる。具体的には、第1検出弁を閉状態とした後において、検出液の性状が変化した場合(すなわち、検出液にアンモニア燃料が混合した状態から混合していない状態に変化した場合)には、アンモニア燃料の漏洩箇所が第1検出管の接続位置よりも上流側であると特定することができる。また、第1検出弁を閉状態とした後においても、検出液の性状が変化しない場合(すなわち、検出液にアンモニア燃料が混合した状態から変化しない場合)には、アンモニア燃料の漏洩箇所が第2検出管の接続位置よりも上流側であると特定することができる。これを下流側から繰り返すことで、漏洩箇所をより狭い範囲で特定することができる。したがって、漏洩箇所の特定作業を簡易化することができる。
【0078】
本開示の第1態様に係るボイラシステムは、上記第1態様から第6態様のいずれかに記載のアンモニア燃料漏洩検出装置を備えている。
【0079】
本開示の第1態様に係るアンモニア燃料漏洩検出方法は、内部を流通するアンモニア燃料をバーナ(51)へ導くアンモニア燃料供給管(92)と、前記アンモニア燃料供給管(92)を外側から覆い、前記アンモニア燃料供給管(92)との間にパージ流体が流通する流路を形成する外管(95)と、を有するボイラに設けられるアンモニア燃料漏洩検出方法あって、前記外管(95)の第1位置に上流端が接続された第1検出管(61A)によって、前記外管(95)の内部を流通するパージ流体の一部を前記第1位置から抽出する工程と、前記外管(95)の前記第1位置とは異なる位置である第2位置(D2)に上流端が接続された第2検出管(61B)によって、前記外管(95)の内部を流通するパージ流体の一部を前記第2位置(D2)から抽出する工程と、貯留部(63)の内部に貯留されている検出液中に、前記第1検出管(61A)内を流通したパージ流体及び前記第2検出管(61B)内を流通したパージ流体を導く工程と、検出部(64)によって前記貯留部(63)に貯留されている検出液の性状を検出する工程と、前記検出部(64)が検出した検出液の性状に基づいて、前記アンモニア燃料供給管(92)から前記流路にアンモニア燃料が漏洩しているか否かを判断する工程と、を備える。
【符号の説明】
【0080】
1 :ボイラシステム
10 :ボイラ
11 :火炉
12 :燃焼ガス通路
13 :煙道
15 :建屋
20 :燃焼装置
21 :バーナ
22 :微粉炭燃料供給管
22A :微粉炭燃料供給管
22B :微粉炭燃料供給管
23 :エアレジスタ
24 :風道
24A :熱空気ダクト
24B :冷空気ダクト
30 :空気管
30A :熱空気誘導管
30B :冷空気誘導管
30C :搬送用ガス流路
31 :ミル
32 :押込通風機
33 :1次空気通風機
41 :ガスダクト
42 :エアヒータ
43 :脱硝装置
44 :集じん装置
46 :脱硫装置
47 :煙突
50 :燃焼装置
51 :アンモニアバーナ
60 :漏洩検出ユニット(アンモニア燃料漏洩検出装置)
61 :検出管
61A :第1検出管
61B :第2検出管
61C :第3検出管
61D :第4検出管
61E :第5検出管
61F :第6検出管
62 :検出弁
62A :第1検出弁
62B :第2検出弁
62C :第3検出弁
62D :第4検出弁
62E :第5検出弁
62F :第6検出弁
63 :ポット(貯留部)
64 :電気伝導度検出装置(検出部)
70 :制御装置
90 :アンモニア燃料供給ユニット
91 :アンモニアタンク
92 :アンモニア燃料供給管
93 :分岐管
93A :第1分岐管
93B :第2分岐管
93C :第3分岐管
93D :第4分岐管
94 :遮断弁
95 :外管
96 :流量調整弁
97 :抽気管
98 :第1バーナ弁
99 :第2バーナ弁
101 :火炉壁
102 :過熱器
102A :過熱器
102B :過熱器
102C :過熱器
103 :再熱器
103A :再熱器
103B :再熱器
104 :節炭器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8