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特開2024-74569制御装置、運行管理システム、制御方法及び制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074569
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】制御装置、運行管理システム、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/34 20060101AFI20240524BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240524BHJP
   B60L 53/30 20190101ALI20240524BHJP
   B60L 53/53 20190101ALI20240524BHJP
   B60L 53/51 20190101ALI20240524BHJP
   B60L 53/52 20190101ALI20240524BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240524BHJP
【FI】
H02J7/34 D
H02J7/00 B
H02J7/00 303C
H02J7/00 P
B60L53/30
B60L53/53
B60L53/51
B60L53/52
B60L3/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185824
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【弁理士】
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】八杉 明
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩紀
(72)【発明者】
【氏名】後藤 仁一郎
(72)【発明者】
【氏名】南 正明
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503AA04
5G503BB01
5G503CA08
5G503FA06
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA03
5H125AC11
5H125BC08
5H125BC09
5H125BE02
5H125CA18
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE29
5H125EE52
5H125EE55
(57)【要約】
【課題】蓄電池の満充電を抑止するように制御を行う制御装置、運行管理システム、制御方法及び制御プログラムを提供する。
【解決手段】予め運行経路が決まっている移動体に備えられ移動体のモータを駆動する蓄電池の充電を制御する制御装置50であって、移動体の目的地までの運行距離を算出する距離算出部53と、移動体の平均運行速度を取得する速度取得部54と、渋滞時間を取得する渋滞時間取得部55と、乗降時間を取得する乗降時間取得部56と、蓄電池の充電に必要な充電時間を算出する充電時間算出部57と、を備え、運行距離に基づき基準充電量を算出し、平均運行速度、渋滞時間、乗降時間および充電時間の少なくともいずれか一つに基づき基準充電量を補正して必要充電量を算出し、必要充電量から蓄電池の充電率を算出して充電率まで定置用蓄電装置または系統から充電を行うように制御する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め運行経路が決まっている移動体に備えられ前記移動体のモータを駆動する蓄電池の充電を制御する制御装置であって、
前記移動体の目的地までの運行距離を算出する距離算出部と、
前記移動体の平均運行速度を取得する速度取得部と、
予測される渋滞時間を取得する渋滞時間取得部と、
予測される乗降時間を取得する乗降時間取得部と、
前記蓄電池の充電に必要な充電時間を算出する充電時間算出部と、
を備え、
前記運行距離に基づき基準充電量を算出し、
前記平均運行速度、前記渋滞時間、前記乗降時間および前記充電時間の少なくともいずれか一つに基づき前記基準充電量を補正して必要充電量を算出し、
前記必要充電量から前記蓄電池の充電率を算出して前記充電率まで定置用蓄電装置または系統から充電を行うように制御する制御装置。
【請求項2】
再生可能エネルギーを用いて前記定置用蓄電装置への充電を行う請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
電力消費が他の時間帯に比べて多い時間帯は、前記定置用蓄電装置から前記移動体の前記蓄電池への充電を行う請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記再生可能エネルギーの発電量予測および前記移動体の運行スケジュールに基づき前記定置用蓄電装置の充放電を行う請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の制御装置を備え、
予め運行経路が決まっている複数の移動体の運行を管理する運行管理システム。
【請求項6】
前記移動体の前記蓄電池の劣化の度合いが高い場合は、前記移動体を劣化率が低い前記運行経路に変更する、または、前記移動体の運行を休止する請求項5に記載の運行管理システム。
【請求項7】
前記運行経路において、前記平均運行速度、前記渋滞時間、前記乗降時間及び前記充電時間の少なくともいずれか一つに基づき各前記運行経路の前記劣化率を算出し、各前記劣化率に基づき前記移動体の運行を管理する請求項6に記載の運行管理システム。
【請求項8】
予め運行経路が決まっている移動体に備えられる蓄電池の充電を制御する制御方法であって、
前記移動体の目的地までの運行距離を算出する距離算出工程と、
前記移動体の平均運行速度を取得する速度取得工程と、
予測される渋滞時間を取得する渋滞時間取得工程と、
予測される乗降時間を取得する乗降時間取得工程と、
前記蓄電池の充電に必要な充電時間を算出する充電時間算出工程と、
を備え、
前記運行距離に基づき基準充電量を算出し、
前記平均運行速度、前記渋滞時間、前記乗降時間および前記充電時間の少なくともいずれか一つに基づき前記基準充電量を補正して必要充電量を算出し、
前記必要充電量から前記蓄電池の充電率を算出して前記充電率まで定置用蓄電装置または系統から充電を行うように制御するコンピュータが実行する制御方法。
【請求項9】
コンピュータに、請求項8に記載の制御方法を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、運行管理システム、制御方法及び制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
商用電源に加えて太陽光発電により充電ステーションの蓄電池に電力を蓄電し、電気自動車の蓄電池の充電を行うシステムが知られている。
特許文献1および特許文献2には、商用電源および太陽光発電により充電ステーションの蓄電池の充電を行い、蓄電池から電動車両の車両電池に充電を行うシステムが開示されている。
また、特許文献3には、夜間は系統電力を用い、昼は新エネルギーを用いて充電ステーションの蓄電池に蓄電しておき、電気自動車の蓄電池の充電を行うことが開示されている。
特許文献4には、太陽光発電の発電量を予測し、電気自動車の蓄電池の充放電制御を行うことが開示されている。
特許文献5には、夜間はバッテリステーションの車両用バッテリを電源として他の車両用バッテリを充電し、昼は太陽光発電により車両用バッテリを充電することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-89634号公報
【特許文献2】特開2021-170888号公報
【特許文献3】特開2010-252587号公報
【特許文献4】特開2010-268576号公報
【特許文献5】特開2015-15827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
蓄電池は、充電率(SOC:State Of Charge)が高い状態、特に満充電(SOCが100)で運用または待機させると、SOCが低い状態と比較して劣化が進みやすい特性がある。しかし、特許文献1乃至5では、満充電を避けた車両用の蓄電池の制御についての検討がなされていない。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、蓄電池の満充電を抑止するように制御を行う制御装置、運行管理システム、制御方法及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示の制御装置、運行管理システム、制御方法及び制御プログラムは以下の手段を採用する。
本開示の制御装置は、予め運行経路が決まっている移動体に備えられ前記移動体のモータを駆動する蓄電池の充電を制御する制御装置であって、前記移動体の目的地までの運行距離を算出する距離算出部と、前記移動体の平均運行速度を取得する速度取得部と、予測される渋滞時間を取得する渋滞時間取得部と、予測される乗降時間を取得する乗降時間取得部と、前記蓄電池の充電に必要な充電時間を算出する充電時間算出部と、を備え、前記運行距離に基づき基準充電量を算出し、前記平均運行速度、前記渋滞時間、前記乗降時間および前記充電時間の少なくともいずれか一つに基づき前記基準充電量を補正して必要充電量を算出し、前記必要充電量から前記蓄電池の充電率を算出して前記充電率まで定置用蓄電装置または系統から充電を行うように制御する。
【0007】
本開示の運行管理システムは、前述の制御装置を備え、予め運行経路が決まっている複数の移動体の運行を管理する。
【0008】
本開示の制御方法は、コンピュータが実行し、予め運行経路が決まっている移動体に備えられる蓄電池の充電を制御する制御方法であって、前記移動体の目的地までの運行距離を算出する距離算出工程と、前記移動体の平均運行速度を取得する速度取得工程と、予測される渋滞時間を取得する渋滞時間取得工程と、予測される乗降時間を取得する乗降時間取得工程と、前記蓄電池の充電に必要な充電時間を算出する充電時間算出工程と、を備え、前記運行距離に基づき基準充電量を算出し、前記平均運行速度、前記渋滞時間、前記乗降時間および前記充電時間の少なくともいずれか一つに基づき前記基準充電量を補正して必要充電量を算出し、前記必要充電量から前記蓄電池の充電率を算出して前記充電率まで定置用蓄電装置または系統から充電を行うように制御する。
【0009】
本開示の制御プログラムは、コンピュータに、前述の制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、移動体の蓄電池を、満充電ではなく必要最小限の充電量である必要充電量に対応する充電率まで充電するため、蓄電池の劣化速度を抑制することができる。また、必要充電量をより正確な値とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の幾つかの実施形態における充放電システムを示す図である。
図2】本開示の幾つかの実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】本開示の幾つかの実施形態における制御装置の機能の一例を示す図である。
図4】本開示の幾つかの実施形態における制御装置の制御フローチャートを示す図である。
図5】本開示の幾つかの実施形態における再生可能エネルギーの発電電力量と目標充電率の関係を示す図である。
図6】本開示の幾つかの実施形態における制御装置の制御フローチャートを示す図である。
図7】本開示の幾つかの実施形態における制御装置の制御フローチャートを示す図である。
図8】本開示の幾つかの実施形態における再生可能エネルギーの発電電力量と蓄電池の需要電力量を示す図である。
図9】本開示の幾つかの実施形態における移動体の路線および蓄電装置の位置を示す概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る制御装置、運行管理システム、制御方法及び制御プログラムの一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本開示の幾つかの実施形態における充放電システムを示す図である。
図1に示すように、本実施形態の充放電システム10は、再生可能エネルギー(発電設備)11、系統12、蓄電装置20を備える充電ステーション13、及び制御装置50を有している。
【0013】
再生可能エネルギー11は、例えば太陽光発電設備であり、その他、風力発電設備、地熱発電設備などであってもよい。
【0014】
系統12は、電力会社等が所有する送配電網であり、発電事業者や他の電力小売り事業者によって発電された電力を需要家へ託送(供給)するものであるが、本実施形態では、系統12は、主に再生可能エネルギー11で発電された電力を需要家へ託送する。
【0015】
充電ステーション13は、系統12から供給された電力を蓄電する蓄電装置20を備える設備である。本実施形態では、充電ステーション13は複数設けられているものとする。充電ステーション13には移動体30が停止し、移動体30に備えられ移動体30のモータ(図示せず)を駆動する蓄電池35の充電が行われる。蓄電池35は、充電ステーション13において系統12または蓄電装置20からの電力により充電される。本実施形態では、移動体30は電気自動車、特に電気バス、さらには予め設定されたスケジュールに基づいて運用される電動の路線バス(電気路線バス)であるとする。移動体30は、電気自動車に限らず、蓄電池35を備えている移動体30であれば、他の車両、船舶、航空機などであってもよい。本実施形態の移動体30は電気路線バスであることから、走行ルートや走行開始および終了時間、停留所などの運行計画が事前に設定されているものとする。例えば、再生可能エネルギー11が発電している時には、系統12へ託送された電力で蓄電装置20および移動体30の蓄電池35への充電を実施し、再生可能エネルギー11が発電していない時間帯や電力消費が大きい時間帯(系統12における需要電力が再生可能エネルギー11の発電電力を上回る時)は、蓄電装置20から系統12や移動体30の蓄電池35へ電力を供給してもよい。
【0016】
制御装置50は、充放電システム10の制御、特に蓄電装置20及び蓄電池35の充放電制御を行う。制御装置50は、蓄電池35の充電について充電率(以下、SOC(State Of Charge)とする。)を用いて制御する。
【0017】
図2は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置のハードウェア構成の一例を示した図である。
図2に示すように、制御装置(Controller)50は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)1100、二次記憶装置(ROM、Secondary storage:メモリ)1200、主記憶装置(RAM、Main Memory)1300、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)1400と、ネットワーク等に接続するための通信部1500とを備えている。なお、大容量記憶装置としては、ソリッドステートドライブ(SSD)を用いることとしてもよい。これら各部は、バス1800を介して接続されている。
【0018】
CPU1100は、例えば、バス1800を介して接続された二次記憶装置1200に格納されたOS(Operating System)により制御装置50全体の制御を行うとともに、二次記憶装置1200に格納された各種プログラムを実行することにより各種処理を実行する。CPU1100は、1つ又は複数設けられており、互いに協働して処理を実現してもよい。
【0019】
主記憶装置1300は、例えば、キャッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)等の書き込み可能なメモリで構成され、CPU1100の実行プログラムの読み出し、実行プログラムによる処理データの書き込み等を行う作業領域として利用される。
【0020】
二次記憶装置1200は、非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体(non-transitory computer readable storage medium)である。二次記憶装置1200は、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどである。二次記憶装置1200の一例として、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)フラッシュメモリなどが挙げられる。二次記憶装置1200は、例えば、Windows(登録商標)、iOS(登録商標)、Android(登録商標)等の情報処理装置全体の制御を行うためのOS、BIOS(Basic Input/Output System)、周辺機器類をハードウェア操作するための各種デバイスドライバ、各種アプリケーションソフトウェア、及び各種データやファイル等を格納する。また、二次記憶装置1200には、各種処理を実現するためのプログラムや、各種処理を実現するために必要とされる各種データが格納されている。二次記憶装置1200は、複数設けられていてもよく、各二次記憶装置1200に上述したようなプログラムやデータが分割されて格納されていてもよい。
【0021】
また、制御装置50は、キーボードやマウス等からなる入力部や、データを表示する液晶表示装置等からなる表示部などを備えていてもよい。また、表示部を含み、ランプ、音、特にアラーム音を出力するスピーカーなどの通知部を備えていてもよい。
【0022】
図3は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置の機能の一例を示した図である。
図3に示すように、制御装置50は、SOC算出部51と、充放電制御部52と、距離算出部53と、速度取得部54と、渋滞時間取得部55と、乗降時間取得部56と、充電時間算出部57と、再エネ情報取得部58と、系統情報取得部59と、を備えている。
【0023】
制御装置50が備える機能を実現するための一連の処理は、一例として、プログラムの形式で二次記憶装置1200(図2参照)などに記憶されており、このプログラムをCPU(プロセッサ)1100(図2参照)が主記憶装置1300(図2参照)に読み出して、情報の加工・演算処理を実行することにより、各種機能が実現される。なお、プログラムは、二次記憶装置1200に予めインストールされている形態や、他の非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に記憶された状態で提供される形態、有線又は無線による通信手段を介して配信される形態等が適用されてもよい。非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体の一例として、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどが挙げられる。
【0024】
図3に示されるSOC算出部51は、移動体30の蓄電池35のSOCを算出する。蓄電池35のSOCは、後述する距離算出部53の出力と、速度取得部54、渋滞時間取得部55、乗降時間取得部56及び充電時間算出部57の各出力の少なくともいずれか一つとを用いて算出される。
【0025】
充放電制御部52は、SOC算出部51によって算出された蓄電池35のSOCに応じて、系統12または蓄電装置20から蓄電池35の充電を行うよう制御する。
【0026】
距離算出部53は、次に蓄電池35に充電を行う充電ステーション13までの移動体30の運行距離を算出する。距離算出部53は、次の充電までの運行距離に基づき、蓄電池35の放電量を予測する。運行距離に基づき予測される放電量を、次の充電ステーション13での充電における基準となる充電量であるとし、これを基準充電量E_baseとする。距離算出部53は、マップデータとの連携を行い、次に蓄電池35に充電を行う充電ステーション13までの運行距離を算出する。また、運行距離に対し、所定の平均速度(基準となる速度)で運行した場合の運行時間を基準時間t_baseとする。基準時間t_baseは、速度以外の情報に基づき設定してもよく、またユーザが任意に設定するとしてもよい。
【0027】
速度取得部54は、移動体30の運行速度を取得し、移動体30の平均運行速度を算出する。速度取得部54は、算出された平均運行速度の基準となる速度(所定の平均速度)との偏差に基づき、次に蓄電池35に充電を行う充電ステーション13までの運行ルートにおける遅れ時間を取得する。平均運行速度が基準となる速度よりも早い場合は、遅れ時間はマイナスの値となる。基準充電量E_baseに対する平均運行速度による遅れ時間を補正係数t_vとする。
【0028】
渋滞時間取得部55は、交通管制センターなどの渋滞情報媒体と連携し、移動体30の運行ルートにおける渋滞情報から、次に蓄電池35に充電を行う充電ステーション13までの運行ルートにおける渋滞による遅れ時間(待機時間)である渋滞時間を取得する。基準充電量E_baseに対する渋滞時間を補正係数t_jamとする。
【0029】
乗降時間取得部56は、天候や暦日および曜日などを踏まえた過去の乗降者数データやAI機能の利用により、移動体30の運行ルートにおける予想乗降者数を算出し、予想乗降者数に基づき次に蓄電池35に充電を行う充電ステーション13までの運行ルートにおける乗降時間を算出し取得する。基準充電量E_baseに対する乗降時間を補正係数t_inoutとする。
【0030】
充電時間算出部57は、移動体30が充電ステーション13に停車可能な時間、すなわち蓄電池35の充電を行える時間である充電時間を算出する。基準充電量E_baseに対する充電時間を補正係数t_ctとする。
【0031】
再エネ情報取得部58は、充電ステーション13に連携される再生可能エネルギー11の発電量情報を取得する。再生可能エネルギー11が太陽光発電である場合、発電は日中に限られ、また発電量は天候に左右される。再エネ情報取得部58は、気象予報情報と連携し、再生可能エネルギー11の発電量を予測するとしてもよい。
【0032】
系統情報取得部59は、系統12の系統電圧及び周波数情報を取得する。
【0033】
SOC算出部51は、基準充電量E_baseを、各補正係数t_v、t_jam、t_inout及びt_ctを用いて補正し、必要充電量E_chargeを算出する。
【0034】
次に蓄電池35に充電を行う充電ステーション13で充電する電力量(必要充電量)E_chargeは、以下の(1)式で表される。
【0035】
[数1]
E_charge = E_base * {(t_base + t_v + t_jam + t_inout + t_ct)/t_base }・・・(1)
【0036】
(1)式において、補正係数t_v、t_jam、t_inout及びt_ctは、少なくともいずれか1つを用いるとしてもよい。
【0037】
また蓄電池35に必要充電量E_chargeを充電する場合の蓄電池35のSOCであるSOC_actは、以下の(2)式で表される。
【0038】
[数2]
SOC_act = E_charge / E_max・・・(2)
【0039】
(2)式においてE_maxは、蓄電池35を満充電した時の蓄電池35が有している電気エネルギーである。満充電とは、SOCが100%であることを示す。
【0040】
充放電制御部52は、SOC算出部51によって算出された蓄電池35のSOCであるSOC_actに従い、系統12または蓄電装置20から蓄電池35の充電を行うよう制御する。
【0041】
充放電制御部52は、再エネ情報取得部58が取得する再生可能エネルギー11の発電量情報、系統情報取得部59が取得する系統12の系統電圧及び周波数情報、及び各充電ステーション13の蓄電装置20の蓄電量に基づき、系統12または蓄電装置20のいずれを用いて蓄電池35の充電を行うかを決定する。
【0042】
図4は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置50の制御フローチャート、具体的には蓄電池35の必要充電量E_chargeを算出するフローチャートの一例を示す図である。図4では、例えば渋滞時間および乗降時間の有無についての判定をして必要充電量E_chargeの算出を行っている。平均運行速度による遅れ時間および充電時間の有無についての判定を行う場合も、同様の判定を行えばよい。
【0043】
制御装置50の距離算出部53は、次に蓄電池35に充電を行う充電ステーション13までの移動体30の運行距離を算出し、運行距離に基づき予測される放電量を、次の充電ステーション13での充電における基準となる充電量であるとし、これを基準充電量E_baseとする(S401)。
【0044】
ステップS402において、渋滞時間取得部55が取得した渋滞時間があるか否かの判定を行う。渋滞による遅れ時間が発生する場合はステップS403に遷移する。一方、渋滞による遅れ時間が発生しない場合は、ステップS406に遷移する。
【0045】
ステップS403において、乗降時間取得部56が取得した乗降時間があるか否かの判定を行う。乗降者の乗降による遅れ時間が発生する場合はステップS404に遷移する。一方、乗降者の乗降による遅れ時間が発生しない場合は、ステップS405に遷移する。
【0046】
ステップS404において、渋滞時間および乗降時間がある場合は、基準充電量E_baseを補正係数t_jam及びt_inoutを用いて補正し、(3)式のように必要充電量E_chargeを算出する。
【0047】
[数3]
E_charge = E_base * {(t_base + t_jam + t_inout)/t_base }・・・(3)
【0048】
ステップS405において、渋滞時間のみがある場合は、基準充電量E_baseを補正係数t_jamを用いて補正し、(4)式のように必要充電量E_chargeを算出する。
【0049】
[数4]
E_charge = E_base * {(t_base + t_jam)/t_base }・・・(4)
【0050】
ステップS406において、乗降時間取得部56が取得した乗降時間があるか否かの判定を行う。乗降者の乗降による遅れ時間が発生する場合はステップS407に遷移する。一方、乗降者の乗降による遅れ時間が発生しない場合は、ステップS408に遷移する。
【0051】
ステップS407において、乗降時間のみがある場合は、基準充電量E_baseを補正係数t_inoutを用いて補正し、(5)式のように必要充電量E_chargeを算出する。
【0052】
[数5]
E_charge = E_base * {(t_base + t_inout)/t_base }・・・(5)
【0053】
ステップS408において、渋滞時間および乗降時間のいずれもない場合は、(6)式のように必要充電量E_chargeを算出する。
【0054】
[数6]
E_charge = E_base・・・(6)
【0055】
図5は、本開示の幾つかの実施形態における再生可能エネルギーの発電電力量と目標充電率の関係を示す図である。
図5において、縦軸は蓄電装置20の目標充電率であり、横軸は再生可能エネルギー11の予想発電電力量(想定される再生可能エネルギーの最大発電電力量に対する割合)である。目標充電率および予想発電電力量はいずれも%(パーセント)で示される。図5の実線に示されるように、予想発電電力量が増加すると目標蓄電率は減少するように、グラフは右肩下がりの傾向を示す。
【0056】
本実施形態の蓄電装置20は、再生可能エネルギー11を用いて充電が行われる。具体的には、再生可能エネルギー11の余剰電力を系統12を経由して充電ステーション13へ託送する。これにより、安価な電気料金で移動体30の蓄電池35及び蓄電装置20の充電を実施することができる。
再生可能エネルギー11は、発電量予測によりその発電電力量は事前に予測される。例えば天候により予想発電電力量が変化する。
【0057】
蓄電装置20の目標充電率は、再生可能エネルギー11の予想発電電力量が100%の場合は10%とし、予想発電電力量が小さくなるに従い目標充電率を増加させ、予想発電電力量が10%の場合に目標充電率を100%とする。このように、予想発電電力量が低いことが予測される場合は、それを補うように事前に移動体30の蓄電池35や蓄電装置20の充電を夜間に行っておく。一方、予想発電電力量が多いことが予測される場合は、日中充電ができる(再生可能エネルギー11の発電電力により必要電力を賄える)ことを見込み、蓄電装置20の充電は低く抑えるものとする。
【0058】
図6は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置の制御フローチャート、具体的には蓄電装置20の充放電制御のフローチャートの一例を示す図である。
再生可能エネルギー11は、天候などにより発電量が増減する。また複数の移動体30の電力需要は、時間帯、天候、乗降者数などにより増減する。再生可能エネルギー11の発電量と、複数の移動体30の電力需要との間の偏差を解消するために、蓄電装置20を用いるものとする。
【0059】
蓄電装置20は、再生可能エネルギー11から充電を行う充電モードにて系統12を経由して充電を行う(S601)。これにより、蓄電装置20は、高いSOCにて運用される(必要なSOCを満たすことができる)。また、併せて待機中の移動体30の蓄電池35についても、系統12を経由して再生可能エネルギー11からの充電を行ってもよい。
【0060】
ステップS602において、制御装置50は、再生可能エネルギー11の発電量が、複数の移動体30の電力需要を下回るか否かの判定を行う。再生可能エネルギー11の発電量が需要を下回ると判定される場合はステップS603へ遷移する。一方、再生可能エネルギー11の発電量が需要を下回らない、すなわち上回るまたは等量であると判定される場合は、ステップS602の判定を再度実施する。
【0061】
再生可能エネルギー11の発電量が需要を下回ると判定されると、蓄電装置20は、充電ステーション13を経由して移動体30の蓄電池35の充電を行う放電モードに切り替え、放電を行う(S603)。また、併せて待機中の移動体30の蓄電池35から、他の移動体30の蓄電池35への放電を行ってもよい。
【0062】
図7は、本開示の幾つかの実施形態における制御装置の制御フローチャートを示す図である。
移動体30は、夜間(深夜帯)はほぼ全ての移動体30が待機し、翌日の運行のために充電を行うことが多い。蓄電装置20についても、移動体30への放電が少なくなることから、次のような制御を行う。
【0063】
夜間は、移動体30の運行台数が減少するため、蓄電装置20は夜間運転モードに切り替わる(S701)。
【0064】
ステップS702において制御装置50は、翌日の天候予測が雨であるか否かの判定を行う。翌日の天候予測が雨であると判定される場合はステップS703へ遷移する。一方、翌日の天候予測が雨でないと判定される場合は、ステップS704へ遷移する。ステップS702による判定は、再生可能エネルギー11の発電電力を予測できればよく、例えば予想日照時間などで判定してもよい。
【0065】
翌日の天候予測が雨であると判定されると、翌日の再生可能エネルギー11の発電がほとんど見込めないことから、蓄電装置20は夜間充電モードに切り替わり、夜間の安価な電力による充電を行う(S703)。併せて待機中の移動体30の蓄電池35についても、系統12からの充電を行ってもよい。
【0066】
翌日の天候予測が雨でないと判定されると、翌日、再生可能エネルギー11が発電を行い、電力供給が円滑に行われる見込みであることから、蓄電装置20は夜間待機モードに切り替わり、充電を行わず待機する(S704)。
【0067】
本制御は、再生可能エネルギー11が太陽光発電である場合の制御における判定であり、例えば再生可能エネルギー11が風力発電である場合は風量予測による判定を行う等、再生可能エネルギー11の発電電力を予測できればよく、発電源の種類により判定方法を変更可能である。
【0068】
図8は、本開示の幾つかの実施形態における再生可能エネルギーの発電電力量と蓄電池の需要電力量を示す図である。
図8において、縦軸は電力量(%)、横軸は時刻である。また図8の実線は複数の移動体30の需要電力量であり、破線は再生可能エネルギー11の発電電力量、一点鎖線は再生可能エネルギー11の予想発電電力量に応じて行われる移動体30の充電量である。移動体30の需要電力量は、ほぼ一定で40%を推移しているものとする。
【0069】
図8に示されるように、例えば再生可能エネルギー11の発電電力量が13時から14時の時間帯で急激に減少することが予測されるとする。再生可能エネルギー11が太陽光発電である場合、天候の予測には例えば雨雲レーダーを用いることができ、直前の予測に基づき発電電力量を予測することができる。
【0070】
再生可能エネルギー11の予想発電電力量が急激に減少することが予測され、予想発電電力量が複数の移動体30の需要電力量を下回る場合、電力が足りなくなる虞がある。そこで、予想発電電力量が急激に減少することが予測されると、移動体30の蓄電池35または蓄電装置20を、事前に系統12から充電しておくものとする。図8の一点鎖線に示されるように、11時30分から12時の時間帯に移動体30の蓄電池35または蓄電装置20は、需要電力量よりも多く(例えば50%)充電を行う。再生可能エネルギー11の発電電力が需要を下回る時間帯は、事前に充電した移動体30の蓄電池35の充電電力を用いて走行、もしくは充電ステーション13の蓄電装置20から蓄電池35へ充電を実施してもよい。
【0071】
図9は、本開示の幾つかの実施形態における移動体の路線および蓄電装置の位置を示す概要図である。
図9において、丸印は移動体30の停留所を示し、丸印をつなぐ実線は移動体30の路線を示す。図9に示されるように、充電ステーション13は、路線上の複数の停留所に設けられる。また再生可能エネルギー11が路線の近傍に設けられているが、再生可能エネルギー11は路線から離れた場所に設けられていてもよい。但し、再生可能エネルギー11からの送電を効率良く行うために、再生可能エネルギー11は路線の近傍に設けられることが好ましい。移動体30は、予め決まっている運行経路に従い、路線の走行および停留所への発着を行う。
【0072】
路線を走行する複数の移動体30の運行は運行管理システム1が管理を行う。運行管理システム1は、複数の移動体30の運行経路を予め決定する。移動体30の運行管理には、移動体30の蓄電池35の充放電の管理も含まれることから、運行管理システム1には制御装置50が備えられる。
【0073】
運行管理システム1は、走行中の複数の移動体30の現在位置、及び待機中の複数の移動体30の現在位置を監視し取得する。
【0074】
制御装置50は、再生可能エネルギー11の発電電力量が複数の移動体30の需要電力量を下回ることが予測される時間帯が発生すると、蓄電装置20を放電モードに切り替える(図6のステップS602及びS603)。運行管理システム1は、走行中の移動体30の現在位置から、次に蓄電池35への充電を行う充電ステーション13を確定し、移動体30の現在位置から充電ステーション13までの距離に基づき、次に蓄電池35への充電が必要な時間である充電予測時間、及び蓄電池35の予想需要電力量を算出する。
【0075】
確定された充電ステーション13の蓄電装置20は、再生可能エネルギー11の発電量予測および移動体30の運行スケジュール、すなわち運行管理システム1からの充電予測時間および予想需要電力量などの情報に基づき図8に示されるように事前に充電を行っておくことにより、移動体30の蓄電池35への放電を円滑に実施することができる。
【0076】
また、移動体30の蓄電池35は、充放電を繰り返すことにより劣化するが、劣化の進行度合いは様々な要素により変化することが分かっている。蓄電池35の劣化に関し、平均運行速度、渋滞時間、乗降時間及び充電時間の各要素が寄与し、各要素は移動体30が運行する路線ごとに異なる。
【0077】
平均運行速度については、速度が速いと短時間に多くの電流が放電されることから、発熱量が多くなり、蓄電池35の劣化が進行する。
【0078】
渋滞時間については、移動体30が充電を行った充電ステーション13に近い場所で渋滞が発生すると、高いSOCでの待機となることから、保存劣化が進み、蓄電池35の劣化が進行する。渋滞時間取得部55は、渋滞情報媒体と連携し、渋滞時間とともに渋滞が発生した位置である渋滞位置の取得を行う。本実施形態では、渋滞時間に渋滞位置を含むものとする。
【0079】
乗降時間については、移動体30が充電を行った充電ステーション13に近い場所で乗降者数の増加が発生すると、高いSOCでの待機となることから、保存劣化が進み、蓄電池35の劣化が進行する。乗降時間取得部56は、過去の乗降者数データやAI機能の利用により算出した予想乗降者数および乗降位置を、乗降時間とともに取得する。本実施形態では、乗降時間に予想乗降者数および乗降位置を含むものとする。
【0080】
充電時間については、移動体30が充電ステーション13において充電に十分な時間をあてることができない、すなわち運行スケジュールが過密である場合、短時間に多くの電流が充電されることから、発熱量が多くなり、蓄電池35の劣化が進行する。
【0081】
運行管理システム1は、平均運行速度、渋滞時間、乗降時間及び充電時間の少なくともいずれか一つに基づき、各路線の劣化率をそれぞれ算出する。
【0082】
運行管理システム1は、各路線の劣化率に基づき、移動体30の路線への割り当てを変更し、移動体30の運行スケジュールの管理を行う。運行管理システム1は、各蓄電池35の劣化度合い(SOH;States Of Health、電池の劣化状態を表す指標)に応じて移動体30の運行を管理する。
【0083】
運行管理システム1は、全ての移動体30の平均SOHを算出し、平均SOHよりも低い(劣化度合いが高い)蓄電池35を備える移動体30を、劣化率の低い路線に変更する、または、移動体30の運行を休止する。劣化率の低い路線とは、路線を運行する移動体30の蓄電池35の劣化が遅い傾向にある路線である。移動体30から蓄電池35の積み替えが可能であれば、蓄電池35のみ劣化率の低い路線に変更してもよい。例えば、蓄電池35のSOHが平均SOHよりも4%低い場合、蓄電池35の設計寿命15年、許容SOH70%以上と仮定すると、該当の蓄電池35は、2年分劣化が進んでいると考えられる。劣化が遅い路線(劣化率の低い路線)での運行は、劣化が進む路線(劣化率の高い路線)での運行と比較して蓄電池35のSOHが少ないため、蓄電池35の寿命が長くなる。劣化率の低い路線とは、例えば、平均運行速度が遅い、渋滞位置または乗降者の多い乗降位置(停留所)が充電ステーション13から離れている、運行スケジュールが分散している、及び、運行距離が短い路線である。運行スケジュールが分散している路線または運行距離が短い路線に振り替えられることにより、蓄電池35は充電時間および待機時間を長時間確保することができる。
【0084】
運行管理システム1は、各蓄電池35のSOHに応じて優先順位を付け、優先順位に従い移動体30の運行を管理するとしてもよい。運行管理システム1は、各蓄電池35の劣化を均一化し、各蓄電池35が全体的に長寿命となるように最適化を行う。
【0085】
〈付記〉
以上説明した実施形態に記載の制御装置、運行管理システム、制御方法及び制御プログラムは、例えば以下のように把握される。
【0086】
本開示の第1態様に係る制御装置(50)は、予め運行経路が決まっている移動体(30)に備えられ前記移動体のモータを駆動する蓄電池(35)の充電を制御する制御装置であって、前記移動体の目的地までの運行距離を算出する距離算出部(53)と、前記移動体の平均運行速度を取得する速度取得部(54)と、予測される渋滞時間を取得する渋滞時間取得部(55)と、予測される乗降時間を取得する乗降時間取得部(56)と、前記蓄電池の充電に必要な充電時間を算出する充電時間算出部(57)と、を備え、前記運行距離に基づき基準充電量を算出し、前記平均運行速度、前記渋滞時間、前記乗降時間および前記充電時間の少なくともいずれか一つに基づき前記基準充電量を補正して必要充電量を算出し、前記必要充電量から前記蓄電池の充電率を算出して前記充電率まで定置用蓄電装置(20)または系統(12)から充電を行うように制御する。
【0087】
移動体の蓄電池を、満充電ではなく必要最小限の充電量である必要充電量に対応する充電率まで充電するため、蓄電池の劣化速度を抑制することができる。また、必要充電量を記平均運行速度、前記渋滞時間、前記乗降時間および前記充電時間の少なくともいずれか一つに基づき補正して算出することから、必要充電量をより正確な値とすることができる。
【0088】
本開示の第2態様に係る制御装置は、前記第1態様において、再生可能エネルギー(11)を用いて前記定置用蓄電装置への充電を行うとしてもよい。
【0089】
これにより、移動体に充電を行う定置用蓄電装置を用いて変動する再生可能エネルギーからの電力を定量化することができる。また環境に配慮した移動体の運行を行うことができる。
【0090】
本開示の第3態様に係る制御装置は、前記第2態様において、電力消費が他の時間帯に比べて多い時間帯は、前記定置用蓄電装置から前記移動体の前記蓄電池への充電を行うとしてもよい。
【0091】
これにより、事前に再生可能エネルギーにより充電された電力を電力消費の多い時間帯に用いることができ、電力消費の多い時間帯に需要が発電量を上回っても需要に対応した電力供給を行うことができる。
【0092】
本開示の第4態様に係る制御装置は、前記第2態様または前記第3態様において、前記再生可能エネルギーの発電量予測および前記移動体の運行スケジュールに基づき前記定置用蓄電装置の充放電を行うとしてもよい。
【0093】
これにより、再生可能エネルギーの発電量が多い時間帯に余剰電力を用いて定置用蓄電装置の充電を行う、また移動体の電力消費が多い時間帯に対し前もって定置用蓄電装置の充電を行う等、電力消費の動向に合わせ定置用蓄電装置の充電を行うことができる。
【0094】
本開示の第5態様に係る運行管理システム(1)は、前記第1態様から前記第4態様のいずれかの制御装置を備え、予め運行経路が決まっている複数の移動体の運行を管理する。
【0095】
本開示の第6態様に係る運行管理システムは、前記第5態様において、前記移動体の前記蓄電池の劣化の度合いが高い場合は、前記移動体を劣化率が低い前記運行経路に変更する、または、前記移動体の運行を休止するとしてもよい。
【0096】
これにより、蓄電池の劣化率が高い場合は、劣化率の低い運行経路に変更または運行を休止して、劣化率を抑制し、複数の移動体の蓄電池の劣化率を平均化することができる。
【0097】
本開示の第7態様に係る運行管理システムは、前記第6態様において、前記運行経路において、前記平均運行速度、前記渋滞時間、前記乗降時間及び前記充電時間の少なくともいずれか一つに基づき各前記運行経路の前記劣化率を算出し、各前記劣化率に基づき前記移動体の運行を管理するとしてもよい。
【0098】
これにより、移動体の蓄電池の劣化率をより正確な値とし、精度の高い管理が可能となり、複数の移動体の蓄電池の劣化率をより平均化することができる。
【0099】
本開示の第8態様に係る制御方法(50)は、予め運行経路が決まっている移動体に備えられる蓄電池の充電を制御する制御方法であって、前記移動体の目的地までの運行距離を算出する距離算出工程と、前記移動体の平均運行速度を取得する速度取得工程と、予測される渋滞時間を取得する渋滞時間取得工程と、予測される乗降時間を取得する乗降時間取得工程と、前記蓄電池の充電に必要な充電時間を算出する充電時間算出工程と、を備え、前記運行距離に基づき基準充電量を算出し、前記平均運行速度、前記渋滞時間、前記乗降時間および前記充電時間の少なくともいずれか一つに基づき前記基準充電量を補正して必要充電量を算出し、前記必要充電量から前記蓄電池の充電率を算出して前記充電率まで定置用蓄電装置または系統から充電を行うように制御し、コンピュータが実行する。
【0100】
本開示の第9態様に係る制御プログラム(50)は、コンピュータに、前記第8態様に記載の制御方法を実行させる。
【符号の説明】
【0101】
1 運行管理システム
10 充放電システム
11 再生可能エネルギー
12 系統
13 充電ステーション
20 蓄電装置(定置用蓄電装置)
30 移動体
35 蓄電池
50 制御装置
51 SOC算出部
52 充放電制御部
53 距離算出部
54 速度取得部
55 渋滞時間取得部
56 乗降時間取得部
57 充電時間算出部
58 再エネ情報取得部
59 系統情報取得部
1100 CPU
1200 二次記憶装置
1300 主記憶装置
1500 通信部
1800 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9