IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社デンソーウェーブの特許一覧

<>
  • 特開-カード読取装置 図1
  • 特開-カード読取装置 図2
  • 特開-カード読取装置 図3
  • 特開-カード読取装置 図4
  • 特開-カード読取装置 図5
  • 特開-カード読取装置 図6
  • 特開-カード読取装置 図7
  • 特開-カード読取装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074580
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】カード読取装置
(51)【国際特許分類】
   G06K 7/00 20060101AFI20240524BHJP
   G06K 13/06 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
G06K7/00 056
G06K13/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185842
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大竹 誠
【テーマコード(参考)】
5B023
【Fターム(参考)】
5B023GA01
5B023GA07
(57)【要約】
【課題】 破損個所を有するカードを挿入口から抜き易くするための技術を提供する。
【解決手段】 カード読取装置は、情報が書き込まれた情報部を有するカードが挿入される挿入口が形成されている筐体と、前記挿入口から前記カードが挿入された状態で前記情報部から前記情報を読み取る、前記筐体内に固定されている読取部と、を備え、前記筐体の内面のうち、前記挿入口が形成されている形成面には、前記形成面から前記読取部に向かって延びている第1リブが形成されており、前記第1リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの、表面又は裏面と対面する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報が書き込まれた情報部を有するカードが挿入される挿入口が形成されている筐体と、
前記挿入口から前記カードが挿入された状態で前記情報部から前記情報を読み取る、前記筐体内に固定されている読取部と、
を備え、
前記筐体の内面のうち、前記挿入口が形成されている形成面には、前記形成面から前記読取部に向かって延びている第1リブが形成されており、
前記第1リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの、表面又は裏面と対面する、
カード読取装置。
【請求項2】
前記カード読取装置は、さらに、
前記筐体内において、前記第1リブと前記読取部との間に配置されている第1カードガイドを備え、
前記第1カードガイドは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面する、請求項1に記載のカード読取装置。
【請求項3】
前記カード読取装置は、前記第1カードガイドに加えて、前記筐体内において、前記形成面と前記読取部との間に配置されている第2カードガイドを備え、
前記第2カードガイドは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面し、
前記筐体内の空間は、前記挿入口から挿入された前記カードによって、第1空間と、前記カードを挟んで前記第1空間と反対側に位置する第2空間と、に分かれ、
前記第1リブと前記第1カードガイドは、前記第1空間内に位置し、
前記第2カードガイドは、前記第2空間内に位置する、請求項2に記載のカード読取装置。
【請求項4】
前記第1リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面する所定面を有し、
前記第1カードガイドは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面するガイド面を有し、
前記所定面は、前記ガイド面に対してフラットである、請求項2に記載のカード読取装置。
【請求項5】
前記第1カードガイドは、前記形成面と対面する特定面を有し、
前記特定面には、前記特定面から前記形成面に向かって延びている特定リブが形成されており、
前記第1リブと前記特定リブとは、前記挿入口に挿入される前記カードの幅方向に沿って並んでおり、
前記幅方向から見たときに、前記第1リブが、前記特定リブと重なっている、請求項2に記載のカード読取装置。
【請求項6】
前記第1リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面する所定面を有し、
前記特定リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面するリブ面を有し、
前記所定面は、前記リブ面に対してフラットである、請求項5に記載のカード読取装置。
【請求項7】
前記第1リブの幅は、前記第1リブと前記特定リブの間隔よりも狭い、請求項5に記載のカード読取装置。
【請求項8】
前記第1リブの幅は、前記第1リブと前記特定リブの間隔よりも広い、請求項5に記載のカード読取装置。
【請求項9】
前記第1リブのうち、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面する面は、前記挿入口の内面に対してフラットである、請求項1から8のいずれか一項に記載のカード読取装置。
【請求項10】
前記第1リブのうち、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面する面は、前記カードを受け入れるように構成されている前記読取部の内面に対してフラットである、請求項1から8のいずれか一項に記載のカード読取装置。
【請求項11】
前記第1リブの先端部は、面取りされている、請求項1から8のいずれか一項に記載のカード読取装置。
【請求項12】
複数個の前記第1リブが、前記挿入口の全長に亘って並んでいる、請求項1から8のいずれか一項に記載のカード読取装置。
【請求項13】
前記情報部は、ICチップであり、
前記第1リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの前記ICチップと対面する、請求項1から8のいずれか一項に記載のカード読取装置。
【請求項14】
前記形成面には、前記第1リブに加えて、第2リブが形成されており、
前記カードの前記表面が特定の方向を向いている状態で、前記カードが前記挿入口から挿入される場合に、前記第1リブが前記ICチップと対面し、
前記カードの前記裏面が前記特定の方向を向いている状態で、前記カードが前記挿入口から挿入される場合に、前記第2リブが前記ICチップと対面する、請求項13に記載のカード読取装置。
【請求項15】
前記第1リブは、前記形成面のうち、前記挿入口よりも下側に位置する面に形成されている、請求項1から8のいずれか一項に記載のカード読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する技術は、カードから情報を読み取るカード読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ICカードの挿入口を有するICカードリーダ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-160542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ICカードの一部が破損する場合がある。破損個所を有するICカードを挿入口から挿入した後に、当該ICカードを挿入口から抜き出す場合に、ICカードの破損個所が挿入口の外縁に引っかかる場合がある。ICカードの破損個所が挿入口の外縁に引っかかると、ユーザは、ICカードを挿入口から抜き難く感じ得る。
【0005】
上記の問題点は、ICカードに限らず、情報が書き込まれた情報部を有するカード、例えば、磁気ストライプカードを挿入可能なカード読取装置でも生じ得る。
【0006】
本明細書では、破損個所を有するカードを挿入口から抜き易くするための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書で開示するカード読取装置は、情報が書き込まれた情報部を有するカードが挿入される挿入口が形成されている筐体と、前記挿入口から前記カードが挿入された状態で前記情報部から前記情報を読み取る、前記筐体内に固定されている読取部と、備え、前記筐体の内面のうち、前記挿入口が形成されている形成面には、前記形成面から前記読取部に向かって延びている第1リブが形成されており、前記第1リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの、表面又は裏面と対面してもよい。
【0008】
上記の構成によれば、挿入口からカードを抜きだす際に、カードの破損個所が、形成面から読取部に向かって延びている第1リブに支えられる。そして、破損個所が第1リブに支えられた状態で、カードが挿入口から抜き出される。破損個所が第1リブに支えられるので、破損個所が挿入口の外縁に引っかかることを抑制することができる。破損個所を有するカードを挿入口から抜き易くすることができる。
【0009】
前記カード読取装置は、さらに、前記筐体内において、前記第1リブと前記読取部との間に配置されている第1カードガイドを備え、前記第1カードガイドは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面してもよい。
【0010】
上記の構成によれば、挿入口と読取部との間において、挿入口から挿入されたカードを第1リブ及び第1カードガイドで支えることができる。第1カードガイドの追加分だけ、第1リブの長さを短くすることができる。
【0011】
前記カード読取装置は、前記第1カードガイドに加えて、前記筐体内において、前記形成面と前記読取部との間に配置されている第2カードガイドを備え、前記第2カードガイドは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面し、前記筐体内の空間は、前記挿入口から挿入された前記カードによって、第1空間と、前記カードを挟んで前記第1空間と反対側に位置する第2空間と、に分かれ、前記第1リブと前記第1カードガイドは、前記第1空間内に位置し、前記第2カードガイドは、前記第2空間内に位置してもよい。
【0012】
上記の構成において、カードが挿入口に挿入されると、例えば、カードの裏面が第1リブ及び第1カードガイドで支えられ、カードの表面が第2カードガイドで支えられる。破損個所が裏面に存在する場合には、当該破損個所は、第1リブで支えられ、破損個所が表面に存在する場合には、当該破損個所は、第2カードガイドで支えられる。破損個所が、表面及び裏面のいずれにあっても、破損個所が挿入口の外縁に引っかかることを抑制することができる。
【0013】
前記第1リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面する所定面を有し、前記第1カードガイドは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面するガイド面を有し、前記所定面は、前記ガイド面に対してフラットであってもよい。
【0014】
上記の構成によれば、カードの破損個所が第1リブと第1カードガイドの間で引っかかることを抑制することができる。
【0015】
前記第1カードガイドは、前記形成面と対面する特定面を有し、前記特定面には、前記特定面から前記形成面に向かって延びている特定リブが形成されており、前記第1リブと前記特定リブとは、前記挿入口に挿入される前記カードの幅方向に沿って並んでおり、前記幅方向から見たときに、前記第1リブが、前記特定リブと重なっていてもよい。
【0016】
上記の構成によれば、筐体内の空間のうち、挿入口から挿入されたカードと対面する空間において、第1リブが存在しない箇所に特定リブが配置され、当該箇所では、カードは特定リブで支えられる。第1リブの個数が増大することを抑制することができる。例えば、カードの破損が発生し易い箇所を狙って第1リブを配置することができる。
【0017】
前記第1リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面する所定面を有し、前記特定リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面するリブ面を有し、前記所定面は、前記リブ面に対してフラットであってもよい。
【0018】
上記の構成によれば、カードの破損個所が第1リブと特定リブの間で引っかかることを抑制することができる。
【0019】
前記第1リブの幅は、前記第1リブと前記特定リブの間隔よりも狭くてもよい。
【0020】
第1リブは、筐体の形成面に形成される。第1リブの幅が増大すると、第1リブが配置されている箇所の裏側において、筐体の表面にヒケが発生する原因となる。第1リブの幅を狭くすることで、ヒケの発生を抑制することができる。
【0021】
前記第1リブの幅は、前記第1リブと前記特定リブの間隔よりも広くてもよい。
【0022】
第1リブの幅を広くすることで、広範囲な破損個所に対処することができる。
【0023】
前記第1リブのうち、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面する面は、前記挿入口の内面に対してフラットであってもよい。
【0024】
上記の構成によれば、カードの破損個所が第1リブの根本で引っかかることを抑制することができる。
【0025】
前記第1リブのうち、前記挿入口から挿入された前記カードの、前記表面又は前記裏面と対面する面は、前記カードを受け入れるように構成されている前記読取部の内面に対してフラットであってもよい。
【0026】
上記の構成によれば、カードの破損個所が第1リブと読取部の間で引っかかることを抑制することができる。
【0027】
前記第1リブの先端部は、面取りされていてもよい。
【0028】
上記の構成によれば、カードの破損個所が第1リブの先端部で引っかかることを抑制することができる。
【0029】
複数個の前記第1リブが、前記挿入口の全長に亘って並んでいてもよい。
【0030】
複数個の第1リブを挿入口の全長に亘って配置することで、広範囲な破損個所に対処することができる。
【0031】
前記情報部は、ICチップであり、前記第1リブは、前記挿入口から挿入された前記カードの前記ICチップと対面してもよい。
【0032】
ICチップは、特に破損し易い箇所である。上記の構成によれば、破損したICチップが挿入口の外縁に引っかかることを抑制することができる。
【0033】
前記形成面には、前記第1リブに加えて、第2リブが形成されており、前記カードの前記表面が特定の方向を向いている状態で、前記カードが前記挿入口から挿入される場合に、前記第1リブが前記ICチップと対面し、前記カードの前記裏面が前記特定の方向を向いている状態で、前記カードが前記挿入口から挿入される場合に、前記第2リブが前記ICチップと対面してもよい。
【0034】
上記の構成によれば、カードの表面が特定の方向(例えば、上)を向いて挿入される場合でも、カードの裏面が特定の方向を向いて挿入される場合でも、破損したICチップが挿入口の外縁に引っかかることを抑制することができる。
【0035】
前記第1リブは、前記形成面のうち、前記挿入口よりも下側に位置する面に形成されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】カード読取装置の斜視図である。
図2】ICカードの破損パターンを示す図である。
図3図1のIII-III線における断面図である。
図4図3のIV-IV線における断面図である。
図5】筐体の斜視図である。
図6】第2実施例における断面図である。
図7図6のVII-VII線における断面図である。
図8】第3実施例における断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
(第1実施例)
(カード読取装置10の構成;図1
カード読取装置10は、クレジットカード200(図2参照)から情報を読み取る装置である。カード読取装置10は、据え置き型であってもよいし、携帯型であってもよい。なお、各図では、XYZ座標系が定義されている。X軸は、前後方向に対応し、Y軸は、左右方向に対応し、Z軸は、上下方向に対応する。なお、各軸と各方向との対応関係は、一例に過ぎない。例えば、X軸が、上下方向に対応してもよい。
【0038】
カード読取装置10は、カバー12と、筐体14と、を備える。カバー12は、筐体14の上側の開口を塞ぐ(図3参照)。筐体14内には、クレジットカード200から読み取った情報を処理する制御基板(図示省略)が収容されている。制御基板は、クレジットカード200から読み取った情報、例えば、クレジットカード番号を利用して、購入対象の代金を決済するための通信を外部装置(図示省略)と実行する。外部装置は、例えば、POS端末、インターネット上のサーバである。
【0039】
カバー12は、操作部16を備える。操作部16は、購入対象の代金を決済する操作を受け付け可能に構成されている。操作部16は、例えば、タッチスクリーンである。
【0040】
筐体14には、クレジットカード200が挿入される挿入口20が形成されている。挿入口20は、クレジットカード200の形状に倣った、細長い矩形の孔である。
【0041】
また、カード読取装置10は、クレジットカード200の磁気ストライプを受け入れるスリット22を有する。スリット22は、カバー12を貫通して、筐体14まで延びている。なお、変形例では、スリット22は形成されていなくてもよい。
【0042】
(クレジットカード200の構成;図2
クレジットカード200は、クレジットカード番号等の情報が記憶されているICチップ202を備える。ICチップ202は、クレジットカード200に埋め込まれている。
【0043】
クレジットカード200が破損する場合がある。特に、ICチップ202がクレジットカード200から突き出るように破損する場合がある。破損の原因は、様々である。例えば、クレジットカード200をパンツのポケットに入れたまま座ると、クレジットカード200に過度な応力が作用し、ICチップ202がクレジットカード200から突き出る。
【0044】
ICチップ202が突き出る破損のパターンは様々である。図2に示すように、クレジットカード200の長手方向におけるICチップ202の端が、クレジットカード200の表面又は裏面から突き出るパターンが想定される。また、図2に示すように、クレジットカード200の短手方向におけるICチップ202の端が、クレジットカード200の表面又は裏面から突き出るパターンも想定される。ここで、クレジットカード200の表面は、例えば、クレジットカード200のユーザ名等が記載されている面である。一方、クレジットカードの裏面は、例えば、注意書き等が記載されている面である。
【0045】
例えば、ICチップ202が突き出たクレジットカード200を挿入口20から挿入した後に、クレジットカード200を挿入口20から抜き出す場合に、ICチップ202が挿入口20の外縁に引っかかる場合がある。ICチップ202が挿入口20の外縁に引っかかると、ユーザは、クレジットカード200を挿入口20から抜き難く感じ得る。本実施例及び後述する他の実施例は、ICチップ202が突き出たクレジットカード200を挿入口20から抜き易くするための技術である。各実施例は、図2に示すいずれの破損パターンにも対処可能である。なお、以下では、クレジットカード200から突き出たICチップ202を、「破損ICチップ」と記載する。
【0046】
(挿入口20の内部の構造;図3図4
図3に示すように、筐体14内には、コネクタ26が固定されている。コネクタ26は、制御基板に接続されている。コネクタ26のうち、挿入口20の位置する側は、開口している。挿入口20から挿入されたクレジットカード200は、コネクタ26の開口からコネクタ26の内側へと受け入れられる。クレジットカード200がコネクタ26に受け入れられると、ICチップ202は、コネクタ26と接触する。制御基板は、コネクタ26に接触しているICチップ202と通信する。これより、制御基板は、ICチップ202から情報を読み取る。
【0047】
また、筐体14の内面のうち、挿入口20が形成されている形成面20aには、複数個のリブ24が形成されている。なお、図4では、複数個のリブ24のうちの1つのリブに符号を付しており、他のリブに符号を付すことを省略している。各リブ24は、形成面20aのうち、挿入口20よりも下側の面に形成されている。各リブ24は、形成面20aからコネクタ26に向かって延びている。各リブ24のうち、コネクタ26の側に位置する先端部24bは、面取りされている。当該面取りにより、クレジットカード200を挿入口20から抜き出す際に、破損ICチップがリブ24の先端部24bで引っかかることを抑制することができる。
【0048】
また、図3図4には、挿入口20から抜き出す途中のクレジットカード200が描かれている。図4では、当該クレジットカード200が破線で描かれている。図3に示すように、挿入口20からクレジットカード200を抜きだす際に、破損ICチップが、複数個のリブ24のうちの少なくとも1個のリブ24と対面する。そして、破損ICチップが、当該リブ24に支えられる。破損ICチップがリブ24に支えられた状態で、クレジットカード200が挿入口20から抜き出される。破損ICチップがリブ24に支えられるので、破損ICチップが挿入口20の外縁、即ち、挿入口20と形成面20aとの間の角部に引っかかることを抑制することができる。破損ICチップを有するクレジットカード200を挿入口20から抜き易くすることができる。
【0049】
また、クレジットカード200のうち、ICチップ202以外の箇所が破損する場合もある。この場合、当該破損個所が、複数個のリブ24のうち、ICチップ202と対面するリブ24以外のリブ24と対面する。ICチップ202以外の箇所が破損する場合であっても、リブ24によって、破損個所を有するクレジットカード200を挿入口20から抜き易くすることができる。
【0050】
また、図4に示すように、複数個のリブ24は、挿入口20の全長に亘って並んでいる。各リブ24は、互いに平行である。クレジットカード200の破損は、ICチップ202の突き出しに限らず、例えば、ICチップ202以外の箇所が折れ曲がる場合もある。複数個のリブ24を挿入口20の全長に亘って配置することで、破損ICチップだけでなく、破損ICチップ以外の破損個所を含む広範囲な破損個所に対処することができる。
【0051】
また、複数個のリブ24のそれぞれの上面24a、即ち、クレジットカード200と対面する面は、挿入口20の内面のうち、下側の面20bに対してフラットである。別言すれば、上面24aと面20bとの間に段差が存在しない。上記の「フラット」は、上面24aから面20bへと続く面が水平であることだけでなく、上面24aから面20bへと続く面が傾斜していることも含む。傾斜の方向は、上側でもよいし、下側でもよい。この構成によれば、破損ICチップがリブ24の根本、即ち、リブ24の形成面20aとの接続箇所で引っかかることを抑制することができる。
【0052】
また、複数個のリブ24のそれぞれの上面24aは、コネクタ26の内面のうち、下側の面26aに対してフラットである。例えば、上面24aと面26aとの間に段差が存在すると、破損ICチップがリブ24の先端部24bに引っかかり易くなる。上面24aと面26aがフラットであることにより、破損ICチップがリブ24とコネクタ26の間で引っかかることを抑制することができる
【0053】
また、図4に示すように、クレジットカード200の表面がZ軸正方向、即ち、上側を向いている状態で、クレジットカード200が挿入口20から挿入される場合に、複数個のリブ24のうちの2個の第1リブが破損ICチップと対面する。一方、クレジットカード200の裏面がZ軸正方向を向いている状態で、クレジットカード200が挿入口20から挿入される場合に、複数個のリブ24のうち、上記の2個の第1リブ以外の2個の第2リブが破損ICチップと対面する。これは、ICチップ202が、クレジットカード200の中心線からずれて配置されるからである。なお、変形例では、2個の第1リブの少なくとも一部が、2個の第2リブの少なくとも一部と同じであってもよい。例えば、ICチップ202が、クレジットカード200の中心線に配置される場合には、2個の第1リブは、2個の第2リブと同一であってもよい。
【0054】
上記の構成によれば、クレジットカード200の表面が上側を向いて挿入される場合でも、クレジットカード200の裏面が上側を向いて挿入される場合でも、破損ICチップが挿入口20の外縁に引っかかることを抑制することができる。
【0055】
(対応関係)
カード読取装置10、筐体14、コネクタ26が、それぞれ、「カード読取装置」、「筐体」、「読取部」の一例である。ICチップ202、クレジットカード200が、それぞれ、「情報部」、「カード」の一例である。挿入口20、形成面20aが、それぞれ、「挿入口」、「形成面」の一例である。複数個のリブ24のうちの1つが、「第1リブ」又は「第2リブ」の一例である。リブ24の上面24aが、「所定面」の一例である。
【0056】
(第2実施例)
(カード読取装置10の構成;図5図6図7
本実施例では、カード読取装置10は、第1実施例の構成に加えて、第1カードガイド30と、第2カードガイド40と、を備える。
【0057】
第1カードガイド30は、筐体14内の空間のうち、挿入口20よりも下側の空間において、リブ24とコネクタ26との間に配置されているブロック状の部品である。第1カードガイド30の上面30aは、挿入口20から挿入されたクレジットカード200と対面する。この構成によれば、挿入口20とコネクタ26との間において、挿入口20から挿入されたクレジットカード200をリブ24及び第1カードガイド30で支えることができる。第1カードガイド30のX軸方向における長さの分だけ、リブ24の長さを短くすることができる。リブ24のX軸方向における長さが増大すると、リブ24が配置されている箇所の裏側において、筐体14の表面にヒケが発生する原因となる。筐体14の外側の面は、例えば、意匠面である。リブ24の長さを短くすることで、意匠面においてヒケが発生することを抑制することができる。
【0058】
また、複数個のリブ24のそれぞれの上面24aは、第1カードガイド30の上面30aに対してフラットである。この構成によれば、破損ICチップがリブ24と第1カードガイド30の間で引っかかることを抑制することができる。
【0059】
また、第1カードガイド30には、挿入口20から挿入されたクレジットカード200の幅方向における両縁を、挿入口20からコネクタ26まで案内するガイドレール36が形成されている。
【0060】
また、第1カードガイド30は、リブ24が形成されている形成面20aと対面する特定面30bを有する。特定面30bには、特定面30bから形成面20aに向かって延びている複数個の特定リブ32が形成されている。特定リブ32のうち、形成面20aの側における先端部32bは、面取りされている。図7に示すように、複数個のリブ24と複数個の特定リブ32とは、挿入口20に挿入されるクレジットカード200の幅方向、即ち、Y軸方向に沿って並んでいる。Y軸方向から見たときに、リブ24が、特定リブ32と重なっている。別言すれば、上側から見たときに、複数個のリブ24のそれぞれが、櫛状に並ぶ複数個の特定リブ32の間に収容されている。なお、本実施例では、複数個の特定リブ32の全ての間のうちの一部に、リブ24が存在し、残りの一部には、リブ24は存在しない。
【0061】
この構成によれば、筐体14内の空間のうち、挿入口20から挿入されたクレジットカード200と対面する空間において、リブ24が存在しない箇所に特定リブ32が配置され、当該箇所では、クレジットカード200は特定リブ32で支えられる。リブ24の個数が増大することを抑制することができる。カードの破損が発生し易い箇所、例えば、ICチップ202が存在する箇所を狙ってリブ24を配置することができる。ICチップ202以外の箇所については、特定リブ32でクレジットカード200を支えることができる。
【0062】
また、リブ24の上面24aは、特定リブ32の上面32aに対してフラットである。この構成によれば、クレジットカード200の破損個所がリブ24と特定リブ32の間で引っかかることを抑制することができる。
【0063】
また、図7に示すように、リブ24のY軸方向における幅は、リブ24と特定リブ32の間隔よりも狭い。リブ24の幅が増大すると、リブ24が配置されている箇所の裏側において、筐体14の表面にヒケが発生する原因となる。リブ24の幅を狭くすることで、ヒケの発生を抑制することができる。
【0064】
また、第2カードガイド40は、図6に示すように、挿入口20よりも上側の空間において、形成面20aとコネクタ26との間に配置されている部品である。第2カードガイド40は、可撓性の高い材料、例えば、板金から作られる。可撓性の高い材料で第2カードガイド40を作ることにより、クレジットカード200の上下方向におけるズレに柔軟に対処することができる。なお、第2カードガイド40の材料は、板金に限らず、樹脂であってもよい。
【0065】
第2カードガイド40の下面は、挿入口20から挿入されたクレジットカード200と対面する。当該下面には、当該下面からクレジットカード200に向かって突き出ている凸条42が形成されている。凸条42の断面形状は、例えば、半円である。
【0066】
この構成によれば、クレジットカード200が挿入口20に挿入されると、例えば、クレジットカード200の裏面がリブ24及び第1カードガイド30で支えられ、クレジットカード200の表面が第2カードガイド40の凸条42で支えられる。例えば、破損ICチップが上側に突き出ている場合には、破損ICチップは、凸条42によって挿入口20の外縁よりも下側へと案内される。一方、破損ICチップが下側に突き出ている場合には、破損ICチップは、リブ24によって挿入口20の外縁よりも上側へと案内される。クレジットカード200の破損個所が、表面及び裏面のいずれにあっても、当該破損個所が挿入口20の外縁に引っかかることを抑制することができる。
【0067】
また、図7に示すように、第1カードガイド30には、一対の貫通孔34が形成されている。第1カードガイド30及び第2カードガイド40は、一対の貫通孔34を貫通するネジによって筐体14に共締めされる。また、第1カードガイド30は、導電性の材料、例えば、導電性の樹脂で作られる。第1カードガイド30及び第2カードガイド40を共締めするネジも導電性である。そして、第1カードガイド30及び第2カードガイド40は、導電性のネジを介して、アースに接続される。クレジットカード200に静電気が帯びる場合がある。静電気は、カード読取装置10の動作に影響を及ぼす。クレジットカード200の静電気は、第1カードガイド30、第2カードガイド40、及び、ネジを介して、アースへと流れる。カード読取装置10の動作に影響を及ぼす静電気をアースへ逃がすことができる。
【0068】
(対応関係)
第1カードガイド30、第2カードガイド40が、それぞれ、「第1カードガイド」、「第2カードガイド」の一例である。挿入口20より下側の空間、挿入口20より上側の空間が、それぞれ、「第1空間」、「第2空間」の一例である。第1カードガイド30の上面30a、特定面30bが、「ガイド面」、「特定面」の一例である。特定リブ32、特定リブ32の上面32aが、「特定リブ」、「リブ面」の一例である。
【0069】
(第3実施例)
(カード読取装置10の構成;図8
本実施例では、第2実施例と異なり、リブ24のY軸方向における幅は、リブ24と特定リブ32の間隔よりも広い。リブ24の幅を広くすることで、広範囲な破損個所、例えば、破損ICチップに加えた他の破損個所に対処することができる。
【0070】
以上、本明細書で開示する技術の具体例を説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。例えば、以下の変形例を採用してもよい。
【0071】
(変形例1) 各実施例において、リブ24の個数は、複数個に限らず、1個でもよい。この変形例では、1個のリブ24は、挿入口20から挿入されたクレジットカード200のICチップ202と対面していればよい。
【0072】
(変形例2) 「カード」は、ICチップ202を有さず、磁気ストライプを有するカードでもよい。本変形例では、磁気ストライプが、「情報部」の一例である。また、「カード」は、表面に磁気記録層を施したカード、例えば、プリペイドカードであってもよい。本変形例では、磁気記録層が、「情報部」の一例である。また、「カード」は、表面に所定の文字列が記載されたカードであり、「読取部」は、当該文字列を読み取るカメラ等であってもよい。本変形例では、所定の文字列が、「情報部」の一例である。
【0073】
(変形例3) リブ24は、クレジットカード200の表面及び裏面の一方が上側を向いている状態でICチップ202と対面し、クレジットカード200の表面及び裏面の他方が上側を向いている状態で、ICチップ202と対面しなくてもよい。本変形例では、「第2リブ」を省略可能である。
【0074】
(変形例4) リブ24は、形成面20aのうち、挿入口20よりも上側の面に形成されてもよい。また、リブ24は、挿入口20よりも上側の面と、挿入口20より下側の面と、の双方に形成されてもよい。
【0075】
(変形例5) 第1カードガイド30及びリブ24が、挿入口20よりも上側の空間に配置され、第2カードガイド40が、挿入口20よりも下側の空間に配置されてもよい。本変形例では、挿入口20よりも上側の空間、挿入口20よりも下側の空間が、それぞれ、「第1空間」、「第2空間」の一例である。
【0076】
(変形例6) リブ24の上面24aは、第1カードガイド30の上面30aに対してフラットでなくてもよく、両者の間に僅かな段差があってもよい。
【0077】
(変形例7) 第2及び第3実施例において、第1カードガイド30には特定リブ32が形成されていなくてもよい。本変形例では、「特定リブ」を省略可能である。
【0078】
(変形例8) リブ24の上面24aは、特定リブ32の上面32aに対してフラットでなくてもよく、両者の間に僅かな段差があってもよい。
【0079】
(変形例9) リブ24の上面24aは、挿入口20の下側の面20bに対してフラットでなくてもよく、両者の間に僅かな段差があってもよい。
【0080】
(変形例10) リブ24の上面24aは、コネクタ26の下側の面26aに対してフラットでなくてもよく、両者の間に僅かな段差があってもよい。
【0081】
(変形例11) リブ24の先端部24bは面取りされていなくてもよい。
【0082】
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0083】
10 :カード読取装置
12 :カバー
14 :筐体
16 :操作部
20 :挿入口
20a :形成面
20b :下側の面
22 :スリット
24 :リブ
24a :上面
24b :先端部
26 :コネクタ
26a :下側の面
30 :第1カードガイド
30a :上面
30b :特定面
32 :特定リブ
32a :上面
32b :先端部
34 :貫通孔
36 :ガイドレール
40 :第2カードガイド
42 :凸条
200 :クレジットカード
202 :ICチップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8