(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074585
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】吐出装置、吐出材補給方法
(51)【国際特許分類】
B05C 11/10 20060101AFI20240524BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C5/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185847
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】399107063
【氏名又は名称】プライムアースEVエナジー株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】浦上 太一
(72)【発明者】
【氏名】市野 遊
(72)【発明者】
【氏名】石津 誠二
(72)【発明者】
【氏名】梅原 将一
(72)【発明者】
【氏名】石塚 直宏
(72)【発明者】
【氏名】岸本 尚也
【テーマコード(参考)】
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
4F041AB01
4F041BA05
4F041BA32
4F041BA35
4F042AB00
4F042BA06
4F042BA09
4F042BA12
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB10
4F042CB11
4F042CB19
4F042DH09
(57)【要約】
【課題】複数の加圧タンクを備える吐出装置の、補給動作中の各加圧タンクの吐出材の枯渇を防止する。
【解決手段】実施形態に係る吐出装置10は、吐出材を供給するバッファタンク11と、バッファタンク11から吐出材の供給を受ける複数の圧送タンクTA~TDと、複数の圧送タンクTA~TD内の吐出材の液面を監視する液面センサ13と、複数の圧送タンクTA~TDのうち、少なくとも一つ圧送タンクの液面高さが所定の補給開始高さとなったときに、複数の圧送タンクTA~TDの全てにバッファタンク11から吐出材の補給を開始する制御部と、圧送タンクTA~TDから供給される吐出材を吐出する吐出部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出材を供給する供給部と、
前記供給部から前記吐出材の供給を受ける複数の圧送タンクと、
複数の前記圧送タンク内の前記吐出材の液面を監視する監視部と、
複数の前記圧送タンクのうち、少なくとも一つ圧送タンクの液面高さが所定の補給開始高さとなったときに、複数の前記圧送タンクの全てに前記供給部から前記吐出材の補給を開始する制御部と、
前記圧送タンクから供給される前記吐出材を吐出する吐出部と、
を備える、
吐出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記吐出材の補給を開始した後に、前記複数の圧送タンクのうち液面高さが所定の補給停止高さとなった圧送タンクへの補給を停止し、他の圧送タンクへの補給を継続する、
請求項1に記載の吐出装置。
【請求項3】
前記吐出部は、前記圧送タンクに前記吐出材が補給されている間、前記吐出材の吐出を継続する、
請求項2に記載の吐出装置。
【請求項4】
前記供給部の前記吐出材を複数の前記圧送タンクに向かって所定の流量で送出する、供給ポンプと、
複数の前記圧送タンクと前記供給ポンプとの間の経路にそれぞれ設けられた複数のバルブと、
をさらに備え、
前記制御部は、複数の前記バルブの開閉を制御して、前記吐出材の補給を制御する、
請求項1に記載の吐出装置。
【請求項5】
コンピュータが、
供給部から吐出材の供給を受ける複数の圧送タンク内の前記吐出材の液面を監視する処理と、
複数の前記圧送タンクのうち、少なくとも一つ圧送タンクの液面高さが所定の補給開始高さとなったときに、複数の前記圧送タンクの全てに前記供給部から前記吐出材の補給を開始する処理と、
を実行する、
吐出材補給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出装置及び吐出材補給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集電体表面に活物質層や絶縁層を形成する技術として、活物質材料や絶縁性粒子を含むペースト状の液体を塗布するものがある。例えば、特許文献1に記載の吐出装置は、ホッパータンクからノズルに至る被吐出物の流路に、流路内の被吐出物をホッパータンク側からノズル側に向かって所定流量で送出する吐出ポンプが介挿されている。
【0003】
また、ホッパータンクと吐出ポンプとの間の流路には、ホッパータンクから流路を介して供給される被吐出物を一時的に貯留空間に貯留するシリンダ、及び、貯留空間に貯留された被吐出物を加圧して流路を介し吐出ポンプに向けて圧送するピストンを各々が有する、第1及び第2シリンジポンプが互いに並列に介挿されている。特許文献1では、第1及び第2シリンジポンプを相補的に作動させることで、吐出ポンプに送られる被吐出物に一定の圧力を継続的に付与している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の吐出装置では、一方のシリンジポンプによる被吐出物の加圧を行いつつ、これとは独立に他方のシリンジポンプへの被吐出物の充填が行われる。このとき、ホッパータンク内の被吐出物を送出する供給ポンプから加圧動作を行うシリンジポンプに至る流路が閉鎖されるとともに、充填動作を行うシリンジポンプから吐出ポンプに至る流路が閉鎖される。このため、充填動作に時間がかかると、加圧動作を行っているシリンジポンプ内の被吐出物が枯渇する恐れがある。
【0006】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、複数の加圧タンクを備える吐出装置の、補給動作中の各加圧タンクの吐出材の枯渇を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る吐出装置は、吐出材を供給する供給部と、前記供給部から前記吐出材の供給を受ける複数の圧送タンクと、複数の前記圧送タンク内の前記吐出材の液面を監視する監視部と、複数の前記圧送タンクのうち、少なくとも一つ圧送タンクの液面高さが所定の補給開始高さとなったときに、複数の前記圧送タンクの全てに前記供給部から前記吐出材の補給を開始する制御部と、前記圧送タンクから供給される前記吐出材を吐出する吐出部とを備えるものである。
【0008】
本発明の一態様に係る吐出材補給方法は、コンピュータが、供給部から吐出材の供給を受ける複数の圧送タンク内の前記吐出材の液面を監視する処理と、複数の前記圧送タンクのうち、少なくとも一つ圧送タンクの液面高さが所定の補給開始高さとなったときに、複数の前記圧送タンクの全てに前記供給部から前記吐出材の補給を開始する処理とを実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の加圧タンクを備える吐出装置の、補給動作中の各加圧タンクの吐出材の枯渇を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る吐出装置の構成を説明する概略図である。
【
図2】実施形態に係る吐出材補給方法を説明するフロー図である。
【
図3】実施形態に係る吐出材補給方法による、各圧送タンク内の吐出材の変動の例を説明する図である。
【
図4】比較例の吐出材補給方法を説明するフロー図である。
【
図5】比較例の吐出材補給方法による、各圧送タンク内の吐出材の変動の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0012】
例えば、Liイオン電池の絶縁材ペーストの塗工では、ペーストが入った密閉タンク(圧送タンク)にエアで圧力をかけ、その圧力によってペーストを送出(圧送)する場合がある。圧送タンク内の吐出材が少なくなってくると、バッファタンクから吐出材を補給するが、圧送タンクには圧力がかかっているため吐出材が入りづらく、補給に時間がかかる。このため、1つの圧送タンクに補給している間に、他の圧力タンクの吐出材が枯渇する問題があった。そこで、発明者は、以下のような発明を考案した。
【0013】
実施形態は、例えば、活物質、導電剤、バインダ、及び溶媒を混練した活物質ペーストや、絶縁性粒子を溶媒に分散させた絶縁材ペースト等を含む、吐出材を対象物に吐出又は塗工する技術に関する。なお、吐出材は、常温で液体の接着剤や、コーティング剤、薬液等であってもよい。
【0014】
図1は、実施形態に係る吐出装置の構成を説明する概略図である。
図1に示すように、吐出装置10は、主な構成として、バッファタンク11、供給ポンプ12、液面センサ13、圧送タンクTA~TD、バルブVA~VDを有している。
【0015】
なお、
図1では、所望の液滴で吐出材を対象物に吐出するノズル等を含む吐出部の記載は省略されている。吐出部は、例えば、スロットノズルを備え、相対移動する対象物へ連続又は間欠的に所望のパターンを塗布することができる。また、吐出部は、ディスペンサーノズルを備え、細長い線状のビート塗布を行うことができる。これら吐出部の構成は例示であり、これらの構成に限定されない。
【0016】
バッファタンク11は吐出材を貯留可能であり、内部に貯留した吐出材を各圧送タンクTA~TDに向けて供給する、図示しない供給口を有する。この供給口には供給路14が接続されており、供給路14には供給ポンプ12が設けられている。供給ポンプ12は、バッファタンク11から圧送タンクTA~TDに向かって吐出材を送出する。供給ポンプ12は、定量的な送液能力を有する容積型ポンプであり得る。供給ポンプ12としては、例えば、モーノポンプ、ギアポンプ、ダイヤフラムポンプ、シリンジポンプ等が挙げられる。
【0017】
供給ポンプ12の下流側の供給路は、圧送タンクTA~TDに向かって分岐しており、それぞれにバルブVA~VDが設けられている。バルブVA~VDは、例えば、後述する制御部からの制御信号に基づいて遮断状態と連通状態とを切り替える電磁弁であり得る。分岐路15Aは、バルブVAと圧送タンクTAとの間をつなぐ流路であり、分岐路15Bは、バルブVBと圧送タンクTBとの間をつなぐ流路である。また、分岐路15Cは、バルブVCと圧送タンクTCとの間をつなぐ流路であり、分岐路15Dは、バルブVDと圧送タンクTDとの間をつなぐ流路である。
【0018】
圧送タンクTA~TDには、図示しないエアラインが接続されており、エア供給源から加圧エアが供給される。圧送タンクTA~TDに印加するエア圧力を調整することで、吐出部からの吐出量が調整される。
【0019】
液面センサ13は、圧送タンクTA~TDにそれぞれ設けられており、各圧送タンクTA~TDの液面を監視する監視部である。液面センサ13は、各圧送タンクTA~TDに貯留する吐出材の液面高さを検知する。液面センサ13は、超音波の反射を利用する方式、液面に浮かんで液面の移動とともに変位するフロートの移動を検出する方式等、液面の高さを検出することができるいずれの方式を採用しても良い。
【0020】
なお、液面センサ13は、所定の高さに到達したか否かを検出する複数の液面センサにより構成されていてもよい。所定の高さとは、例えば、吐出液の補給を開始する補給開始高さ、補給を停止する補給停止高さ、吐出装置10による吐出動作が停止される(設備停止となる)液面上限や液面下限があげられる。
【0021】
この吐出装置10は、液面センサ13が検知した圧送タンクTA~TD内の吐出液の液面高さを取得し、これに基づいて、圧送タンクTA~TDへの吐出液の補給を制御する制御部(不図示)をさらに備える。なお、制御部は、図示しない構成としてプロセッサ、メモリ及び記憶装置を備える。当該記憶装置には、実施形態に係る方法の各処理をコンピュータに実行させるプログラムが記憶されている。当該プロセッサは、記憶装置からプログラムをメモリへ読み込ませ、当該プログラムを実行する。これにより、制御部は、バルブVA~VDの切替制御、供給ポンプ12の駆動制御を実行する。
【0022】
バルブVA~VDは、制御部からの指示に従い、バッファタンク11からの吐出材を各圧送タンクTA~TDに供給するか否かを切り替える。すなわち、バルブVA~VDは、それぞれ、供給路14と分岐路15A~15Dとの間を遮断状態とするか、連通状態とするかを切り替える。
【0023】
実施形態では、制御部は、
図2に示すフロー図に従って、各圧送タンクTA~TDへの吐出材の補給動作を実行する。以下、
図2、3を参照して、吐出装置10の吐出材の補給動作について説明する。
図2は、実施形態に係る吐出材補給方法を説明するフロー図である。このフローは、圧送タンクTA~TDに補給が必要な吐出動作中に、常に実行されている。また、
図3は、実施形態に係る吐出材補給方法による、各圧送タンク内の吐出材の変動の例を説明する図である。
【0024】
まず、圧送タンクTA~TDにそれぞれ設けられた液面センサ13で、内部の吐出材の液面が監視される(S11)。ここでは、
図3に破線で示すように、液面センサ13は、圧送タンクTA~TD内の吐出材の液面高さが、液面上限、補給停止高さ、補給開始高さ、液面下限になったか否かを監視するものとする。
【0025】
なお、液面下限とは、圧送タンクTA~TD内の液面が液面下限に達した場合に、吐出装置10が吐出動作を停止する(設備停止する)液面高さである。補給開始高さとは、液面下限よりも高く、圧送タンクTA~TD内の吐出材の残量が僅かとなり、バッファタンク11からの吐出材の補給を開始する液面高さである。補給停止高さとは、補給開始高さよりも高く、バッファタンク11からの吐出材の補給を停止する液面高さである。液面上限とは、補給停止高さよりも高く、圧送タンクTA~TD内の液面が液面上限に達した場合に、吐出装置10が吐出動作を停止する(設備停止する)液面高さである。
【0026】
次に、内部の吐出液の液面が補給開始高さとなった圧送タンクがあるか否かが判断される(S12)。補給開始高さとなった圧送タンクがない場合(S12、NO)、S11に戻り、液面センサ13による液面監視が継続される。
【0027】
圧送タンクTA~TDに接続される配管長さや、吐出量等により、圧送タンクTA~TD内の吐出材の減り方は一様ではない。
図3の例では、(1)に示すように、圧送タンクTA~TDの吐出材の減り方がそれぞれ異なっており、圧送タンクTCの液面が最初に補給開始高さに達したものとする。
【0028】
図2に戻ると、補給開始高さとなった圧送タンクがある場合(S12、YES)、各圧送タンクからの吐出材の吐出動作を継続しつつ、供給ポンプ12の動作が開始される(S13)。そして、制御部は、全てのバルブVA~VDを開いて(S14)、遮断状態から連通状態へと切り替え、吐出材の補給動作が実行される。すなわち、少なくとも1つの圧送タンクTCの液面高さが補給開始高さとなったときに、複数の圧送タンクTA~TDへの吐出材の補給が同時に実行される。
【0029】
その後、全ての圧送タンクTA~TDに吐出材を補給しながら、各液面センサ13により圧送タンクTA~TDの液面がそれぞれ確認される(S15A、S15B、・・・)。なお、圧送タンクTAに対するS15A~S17Aの処理と同様の処理が、他の圧送タンクTB、TC、TDに対しても実行されるため、以下、代表して圧送タンクTAについて説明する。
【0030】
S16Aでは、圧送タンクTA内の吐出材の液面が、補給停止高さに達したか否かが判断される。圧送タンクTA内の吐出材の液面が、補給停止高さよりも低い場合(S16NO)、S15Aに戻り、圧送タンクTAの液面の確認が継続される。圧送タンクTA内の吐出材の液面が補給停止高さとなると(S16YES)、バルブVAが閉じられる(S17A)。
【0031】
ここで、
図3の例では、(2)に示すように、4つの圧送タンクTA~TDのうち、圧送タンクTDが補給停止高さに到達している。この場合、圧送タンクTDのバルブVDが閉じられ、他の圧送タンクTA、TB、TCのバルブVA、VB、VCは開いたままとなる。すなわち、圧送タンクTDへの吐出材の補給は停止され、他の圧送タンクTA、TB、TCへの吐出材の補給は継続される。バルブVDが閉じられた圧送タンクTDは、その後、吐出材の吐出動作を継続する。
【0032】
その後、(3)に示す状態となる。圧送タンクTDからの吐出材の圧送によって、圧送タンクTD内の吐出材の量は減少する。また、吐出材の補給が継続されている3つの圧送タンクTA、TB、TCのうち、圧送タンクTBの液面が補給停止高さに到達している。この場合、圧送タンクTBのバルブVBが閉じられ、他の圧送タンクTA、TCのバルブVA、VCは開いたままとなる。すなわち、圧送タンクTBへの吐出材の補給は停止され、他の圧送タンクTA、TCへの吐出材の補給は継続される。バルブVBが閉じられた圧送タンクTBは、その後、吐出材の吐出動作を継続する。つまり、この時、吐出装置10は、圧送タンクTA~TDによる吐出動作を実行するとともに、圧送タンクTA、TCに対する補給動作を実行する。
【0033】
そして、(4)に示す状態となる。圧送タンクTB、TDからの吐出材の圧送によって、圧送タンクTB、TD内の吐出材の量はいずれも減少する。また、吐出材の補給が継続されている2つの圧送タンクTA、TCの液面はいずれも補給停止高さに到達している。この場合、圧送タンクTA、TCのバルブVA、VCの両方が閉じられる。すなわち、圧送タンクTA、TCへの吐出材の補給が停止される。バルブVA、VCが閉じられた圧送タンクTA、TCは、その後、吐出材の吐出動作を継続する。したがって、この時、吐出装置10は、圧送タンクTA~TDからの吐出動作を実行する。
【0034】
図2に戻ると、S18では、バルブVA~VDの閉じ確認が実行される。そして、全てのバルブVA~VDが閉じているか否かが判断される(S19)。全てのバルブVA~VDのうち1つでも閉じていないバルブがある場合(S19NO)、S18に戻り、バルブVA~VDの閉じ確認が繰り返し実行される。全てのバルブVA~VDが閉じている場合(S19YES)、動作が終了する。すなわち、実施形態では、制御部は、補給動作開始後に、複数の圧送タンクへの補給を、液面が所定の補給停止高さとなった圧送タンクから順に停止する。
【0035】
なお、
図2のフロー図では「開始」及び「終了」が記載されているが、上述の通り、このフローは圧送タンクTA~TDに補給が必要な吐出動作中に、常に実行されているものである。したがって、S11の「液面監視」は常に実行されており、
図2のフローが終了すると、直ちに再びS11に戻り同様のフローが開始される。
【0036】
ここで、比較例について説明する。比較例では、制御部は、
図4に示すフロー図に従って、各圧送タンクTA~TDへの吐出材の補給動作を実行する。以下、
図4、5を参照して、比較例の吐出材の補給動作について説明する。
【0037】
図4のS21~S23の動作は、
図2のS11~S13の動作と同様である。まず、圧送タンクTA~TDにそれぞれ設けられた液面センサ13で、内部の吐出材の液面が監視される(S21)。そして、内部の吐出液の液面が補給開始高さとなった圧送タンクがあるか否かが判断される(S22)。
図5の例において、(1)に示すように、圧送タンクTCの液面が最初に補給開始高さに達したものとする。
図4に戻ると、補給開始高さとなった圧送タンクがある場合(S22、YES)、供給ポンプ12の動作が開始される(S23)。
【0038】
そして、制御部は、補給開始高さとなった圧送タンクTCのバルブVCのみを開く(S24)。すなわち、比較例では、液面が補給開始高さとなった圧送タンクTCへの補給動作のみが実行される。そして、続くS25、S26の処理が、圧送タンクTCに対して実行される。すなわち、圧送タンクTC内の吐出材の液面が確認され(S25)、補給停止高さとなったか否かが判断される(S26)。
【0039】
圧送タンクTC内の吐出材の液面が、補給停止高さよりも低い場合(S26NO)、S25に戻り、圧送タンクTCの液面の確認が継続される。圧送タンクTC内の吐出材の液面が補給停止高さとなると(S26YES)、バルブVCが閉じられる(S27)。
【0040】
図5の例では、(2)に示すように、圧送タンクTCには吐出材が補給され、液面が補給停止高さに到達している。しかし、圧送タンクTCへの補給動作を実行している間に、圧送タンクTA内の吐出材の液面が液面下限に到達してしまい、設備が停止することとなる。このように、補給する圧送タンクを1つのみにすると、補給動作中に他の圧送タンクの吐出材が枯渇する恐れがある。
【0041】
なお、圧送タンクTCへの吐出材の補給の流量を増やして、補給時間を短くすることも考えられる。しかし、補給時間を短くすると、圧送タンク内の圧力変動が大きくなり、吐出動作を行うときの圧送流量が安定しなくなるという他の問題が浮上する。
【0042】
これに対し、実施形態では、4つのタンクのうちいずれか1つの吐出液が少なくなったときに、全ての圧送タンクに対して吐出液の補給を開始する。このように、装置の構成を変えることなく、吐出材の補給動作を変更することで、補給開始高さとなった圧送タンクへの吐出材の補給に時間がかかったとしても、他の圧送タンクの吐出材が枯渇するのを防止することが可能となる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 吐出装置
11 バッファタンク
12 供給ポンプ
13 液面センサ
14 供給路
15A~15D 分岐路
TA~TD 圧送タンク
VA~VD バルブ