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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074586
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】積層造形方法、及び積層造形システム
(51)【国際特許分類】
   B22F 10/366 20210101AFI20240524BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240524BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240524BHJP
   B33Y 50/02 20150101ALI20240524BHJP
   B33Y 40/00 20200101ALI20240524BHJP
   B29C 64/393 20170101ALI20240524BHJP
   B29C 64/321 20170101ALI20240524BHJP
   B29C 64/268 20170101ALI20240524BHJP
   B29C 64/277 20170101ALI20240524BHJP
   B22F 10/28 20210101ALI20240524BHJP
   B22F 10/36 20210101ALI20240524BHJP
   B22F 10/85 20210101ALI20240524BHJP
   B22F 12/45 20210101ALI20240524BHJP
   B29C 64/153 20170101ALI20240524BHJP
【FI】
B22F10/366
B33Y10/00
B33Y30/00
B33Y50/02
B33Y40/00
B29C64/393
B29C64/321
B29C64/268
B29C64/277
B22F10/28
B22F10/36
B22F10/85
B22F12/45
B29C64/153
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185849
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】畑中 雅哉
(72)【発明者】
【氏名】谷口 佳奈
(72)【発明者】
【氏名】柳原 創
(72)【発明者】
【氏名】北村 仁
(72)【発明者】
【氏名】笠見 明子
【テーマコード(参考)】
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4F213AC04
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL32
4F213WL44
4F213WL50
4F213WL74
4F213WL76
4F213WL85
4K018CA44
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
【課題】積層造形物の品質を向上させることができる積層造形方法、及び積層造形システムを提供する。
【解決手段】積層造形方法は、ステージ上の粉体を溶融させ、積層造形物の外側部分である輪郭部を造形する輪郭部造形工程を含み、輪郭部造形工程は、粉体にレーザを照射して粉体を溶融させる第1レーザ工程と、第1レーザ工程のレーザが通過した輪郭パスにレーザを照射し、粉体を再度溶融させる第2レーザ工程と、を含む。例えば、第2レーザ工程では、第1レーザ工程で溶融された粉体が凝固した後に、レーザを照射する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージ上の粉体を溶融させ、積層造形物の外側部分である輪郭部を造形する輪郭部造形工程を含み、
前記輪郭部造形工程は、
前記粉体にレーザを照射して前記粉体を溶融させる第1レーザ工程と、
前記第1レーザ工程のレーザが通過した輪郭パスにレーザを照射し、前記粉体を再度溶融させる第2レーザ工程と、
を含む積層造形方法。
【請求項2】
前記第2レーザ工程では、前記第1レーザ工程で溶融された前記粉体が凝固した後に、レーザを照射する請求項1に記載の積層造形方法。
【請求項3】
前記第1レーザ工程と前記第2レーザ工程とは、それぞれ別のレーザ光源によって行われる請求項1又は2に記載の積層造形方法。
【請求項4】
前記第1レーザ工程と前記第2レーザ工程とは、同一のレーザ光源によって行われる請求項1又は2に記載の積層造形方法。
【請求項5】
前記第2レーザ工程は、前記第1レーザ工程のレーザ照射を停止することなく、前記第1レーザ工程の後に連続して行われる請求項4に記載の積層造形方法。
【請求項6】
前記輪郭部造形工程は、前記第1レーザ工程の後に、前記ステージ上に前記粉体を補給する粉体補給工程をさらに含み、
前記粉体補給工程の後に、前記第2レーザ工程が行われる請求項1又は2に記載の積層造形方法。
【請求項7】
前記第2レーザ工程のレーザ照射の入熱量は、前記第1レーザ工程のレーザ照射の入熱量よりも大きい請求項1又は2に記載の積層造形方法。
【請求項8】
前記第1レーザ工程のレーザ照射の入熱量は、前記第2レーザ工程のレーザ照射の入熱量よりも大きい請求項1又は2に記載の積層造形方法。
【請求項9】
前記第2レーザ工程では、レーザを複数回照射する請求項1又は2に記載の積層造形方法。
【請求項10】
前記ステージ上の前記粉体にレーザを照射することによって前記粉体を溶融させ、前記積層造形物の内側部分であるコア部を造形するコア部造形工程をさらに含み、
前記コア部造形工程のレーザの照射回数は、前記輪郭部造形工程のレーザの照射回数よりも少ない請求項1又は2に記載の積層造形方法。
【請求項11】
粉体が敷設されるステージと、
レーザ光源を有し、前記レーザ光源から前記粉体にレーザを照射するレーザ装置と、
前記レーザ装置が積層造形物を造形するように前記レーザ装置を制御する積層造形制御装置と、
を備え、
前記積層造形制御装置は、
前記ステージ上の前記粉体を溶融させ、前記積層造形物の外側部分である輪郭部を造形するように前記レーザ装置を制御する輪郭部造形制御部を有し、
前記輪郭部造形制御部は、
前記粉体にレーザを照射して前記粉体を溶融させるように前記レーザ装置を制御する第1レーザ制御部と、
前記第1レーザ制御部によって照射されたレーザが通過した輪郭パスにレーザを照射し、前記粉体を再度溶融させるように前記レーザ装置を制御する第2レーザ制御部と、
を有する積層造形システム。
【請求項12】
前記第2レーザ制御部は、前記第1レーザ制御部によるレーザ照射で溶融された前記粉体が凝固した後に、レーザを照射させる請求項11に記載の積層造形システム。
【請求項13】
前記レーザ装置は、前記レーザ光源を複数有し、
前記第1レーザ制御部と前記第2レーザ制御部とは、それぞれ別の前記レーザ光源にレーザを照射させる請求項11又は12に記載の積層造形システム。
【請求項14】
前記第1レーザ制御部と前記第2レーザ制御部とは、同一の前記レーザ光源にレーザを照射させる請求項11又は12に記載の積層造形システム。
【請求項15】
前記第2レーザ制御部は、前記第1レーザ制御部によるレーザ照射を停止させることなく、前記第1レーザ制御部によるレーザ照射の後に連続してレーザを照射させる請求項14に記載の積層造形システム。
【請求項16】
前記ステージ上に前記粉体を供給する粉体供給装置をさらに備え、
前記輪郭部造形制御部は、前記第1レーザ制御部によるレーザ照射の後に、前記ステージ上に前記粉体を補給するように前記粉体供給装置を制御する粉体補給制御部をさらに有し、
前記粉体補給制御部による前記粉体の補給の後に、前記第2レーザ制御部は前記レーザ装置を制御してレーザを照射させる請求項11又は12に記載の積層造形システム。
【請求項17】
前記第2レーザ制御部によるレーザ照射の入熱量は、前記第1レーザ制御部によるレーザ照射の入熱量よりも大きい請求項11又は12に記載の積層造形システム。
【請求項18】
前記第1レーザ制御部によるレーザ照射の入熱量は、前記第2レーザ制御部によるレーザ照射の入熱量よりも大きい請求項11又は12に記載の積層造形システム。
【請求項19】
前記第2レーザ制御部は、前記レーザを複数回照射させる請求項11又は12に記載の積層造形システム。
【請求項20】
前記積層造形制御装置は、前記ステージ上の前記粉体にレーザを照射することによって前記粉体を溶融させ、前記積層造形物の内側部分であるコア部を造形するように前記レーザ装置を制御するコア部造形制御部をさらに有し、
前記コア部造形制御部によるレーザの照射回数は、前記輪郭部造形制御部によるレーザの照射回数よりも少ない請求項11又は12に記載の積層造形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、積層造形方法、及び積層造形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
パウダーヘッド方式の積層造形技術では、ステージ上に敷設した粉体にレーザを照射して溶融・凝固させ、3次元形状の造形を行う。この方式では、積層造形物には欠陥が生じる場合がある。このため、積層造形物の欠陥を低減する方法や装置の開発が行われている。
【0003】
例えば特許文献1の3次元造形装置は、レーザを照射して積層用面に積層された粉体を溶融させるレーザ照射部と、積層用面とレーザの照射口との間に位置する仕切り部材と、仕切り部材に設けられ照射口から照射されたレーザを通過させる開口部と、を備える。この開口部の上縁は、レーザの照射によって粉体から発生するスパッタの上方への飛行経路内に位置している。スパッタは、開口部を通過した後、仕切り部材の上面に補足される。これにより、レーザの照射処理後の層の表面にスパッタが付着することを防止することができる。よって、スパッタに起因した外表面の形状品質の低下を抑制することができる。
【0004】
また、積層造形物の欠陥を低減する手法として、HIP(Hot Isostatic Pressing)処理がある。この処理は、積層造形物を加熱し圧力を加えることにより積層造形物の内部に生じた欠陥を閉塞する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-99857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の技術では、粉体の融合不良による積層造形物表面の欠陥を低減することができない。
また、HIP(Hot Isostatic Pressing)処理では、積層造形物の表面に生じた開口欠陥は、閉塞されずに残存してしまう。
このように、積層造形物表面の欠陥が残存し、積層造形物の品質が低下することが課題とされていた。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、積層造形物の品質を向上させることができる積層造形方法、及び積層造形システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る積層造形方法は、ステージ上の粉体を溶融させ、積層造形物の外側部分である輪郭部を造形する輪郭部造形工程を含み、前記輪郭部造形工程は、前記粉体にレーザを照射して前記粉体を溶融させる第1レーザ工程と、前記第1レーザ工程のレーザが通過した輪郭パスにレーザを照射し、前記粉体を再度溶融させる第2レーザ工程と、を含む。
【0009】
本開示に係る積層造形システムは、粉体が敷設されるステージと、レーザ光源を有し、前記レーザ光源から前記粉体にレーザを照射するレーザ装置と、前記レーザ装置が積層造形物を造形するように前記レーザ装置を制御する積層造形制御装置と、を備え、前記積層造形制御装置は、前記ステージ上の前記粉体を溶融させ、前記積層造形物の外側部分である輪郭部を造形するように前記レーザ装置を制御する輪郭部造形制御部を有し、前記輪郭部造形制御部は、前記粉体にレーザを照射して前記粉体を溶融させるように前記レーザ装置を制御する第1レーザ制御部と、前記第1レーザ制御部によって照射されたレーザが通過した輪郭パスにレーザを照射し、前記粉体を再度溶融させるように前記レーザ装置を制御する第2レーザ制御部と、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の積層造形方法、及び積層造形システムによれば、積層造形物の品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1実施形態に係る積層造形システムの構成を示す図である。
図2】本開示の第1実施形態に係る積層造形制御装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図3】本開示の第1実施形態に係る積層造形物のモデルデータの外形ライン、及びモデルデータに対して設定される輪郭パス、及びコアパスを示す模式図である。
図4】本開示の第1実施形態に係る積層造形方法の手順を示すフローチャートである。
図5】本開示の第1実施形態に係る輪郭部造形工程の手順を示すフローチャートである。
図6】本開示の第1実施形態に係る輪郭部造形工程を説明する図である。
図7】本開示の第2実施形態に係る積層造形システムの構成を示す図である。
図8】本開示の第2実施形態に係る輪郭部造形工程を説明する図である。
図9】本開示の第3実施形態に係る積層造形制御装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図10】本開示の第3実施形態に係る輪郭部造形工程の手順を示すフローチャートである。
図11】本開示の第3実施形態に係る第1レーザ工程を説明する図である。
図12】本開示の第3実施形態に係る粉体補給工程を説明する図である。
図13】本開示の第3実施形態に係る第2レーザ工程を説明する図である。
図14】本開示の実施形態に係るコンピュータの構成を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
(積層造形システム)
以下、本開示の第1実施形態に係る積層造形システム1について、図1図6を参照して説明する。
本実施形態の積層造形システム1は、いわゆるパウダーヘッド方式を採用している。すなわち、積層造形システム1は、金属の粉体9を溶融させてステージ2の表面2a上に層を形成し、形成された層を積み重ねることにより積層造形物10を造形するものである。本実施形態の積層造形システム1は、例えば3Dプリンタ等、様々な3次元積層造形技術に適用可能である。
【0013】
図1に示すように、積層造形システム1は、ステージ2と、粉体供給装置20と、レーザ装置30と、積層造形制御装置40とを備える。図1には、積層造形物10の断面の一例が模式的に示されている。
以下では、積層造形物10の外側部分を積層造形物10の「輪郭部11」と称し、積層造形物10の内側部分を「コア部12」と称する。輪郭部11は、積層造形物10の外表面を構成する部分である。例えば、積層造形物10が円環状に形成されている場合、積層造形物10の中心部に形成された穴部を構成する部分も輪郭部11に含まれる。
【0014】
(ステージ)
ステージ2は、金属材料により形成された板状の部材である。積層造形物10が造形されるステージ2の表面2aは、平坦面である。以下、このステージ2の表面2aの法線方向Dを単に「法線方向D」と称し、このステージ2の表面2aに沿う方向を単に「面方向」と称する場合がある。法線方向Dと面方向とは、互いに直交している。
【0015】
ステージ2は、法線方向Dに昇降可能とされている。ステージ2の表面2aと法線方向Dに対向する位置には、後述するレーザ装置30のレーザ照射窓32が配置されている。以下では、便宜上、法線方向Dのうち、レーザ照射窓32に接近する方向を「上」とし、レーザ照射窓32から離間する方向を「下」として説明する。
【0016】
(粉体供給装置)
粉体供給装置20は、ステージ2上に積層造形物10の材料となる粉体9を供給する。粉体供給装置20は、一例として、材料バケット21と、コーター22とを有する。
【0017】
材料バケット21は、バケット本体23と、供給エレベータ24とを有する。バケット本体23は、上方に開口する粉体9の収容空間を備える。供給エレベータ24は、バケット本体23の底部に設置されている。供給エレベータ24は、法線方向Dに昇降可能とされている。供給エレベータ24が上昇することにより、バケット本体23内の粉体9が上方に押し出される。
コーター22は、バケット本体23から上方に押し出された粉体9を面方向に押出し、ステージ2上に供給する。コーター22は、面方向に延在する棒状の部材である。
【0018】
(レーザ装置)
レーザ装置30は、ステージ2の表面2aに対向して配置される。レーザ装置30は、レーザ光源31と、レーザ照射窓32とを有する。レーザ光源31から放出されたレーザLは、レーザ照射窓32を通過してステージ2上の粉体9に照射される。レーザ照射窓32は、ステージ2と法線方向Dに対向する位置に配置されている。
【0019】
本実施形態では、レーザ装置30は、2つのレーザ光源31を有する。2つのレーザ光源31のうち、一方を第1レーザ光源31aとし、他方を第2レーザ光源31bとする。レーザ照射窓32は、レーザ光源31毎に設けられている。
【0020】
(積層造形制御装置)
積層造形制御装置40は、積層造形システム1を構成する各種装置を制御する。例えば、積層造形制御装置40は、レーザ装置30が積層造形物10を造形するようにレーザ装置30を制御する。以下、図2を参照して、積層造形制御装置40の機能構成について説明する。
図2に示すように、積層造形制御装置40は、造形物データ取得部41と、パス設定部42と、粉体供給部43と、輪郭部造形制御部44と、コア部造形制御部45との各機能部を有する。
【0021】
(造形物データ取得部)
造形物データ取得部41は、積層造形物10の造形物データを取得する。造形物データには、図3に示す積層造形物10の最終形状のモデルデータDEが含まれている。モデルデータDEとして、例えば3DーCADデータ等が挙げられる。
【0022】
(パス設定部)
パス設定部42は、積層造形物10のモデルデータDEの外形ラインOLに基づいて、輪郭パスP1とコアパスP2とを設定する。輪郭パスP1は、輪郭部11を造形する際にレーザLが通過するステージ2の表面2a上の経路である。コアパスP2は、コア部12を造形する際にレーザLが通過するステージ2の表面2a上の経路である。
【0023】
(粉体供給部)
粉体供給部43は、粉体供給装置20を制御する。粉体供給装置20は、粉体供給部43の制御によって、ステージ2上に粉体9を供給する。
【0024】
(輪郭部造形制御部)
輪郭部造形制御部44は、レーザ装置30を制御する。レーザ装置30は、輪郭部造形制御部44の制御によって、ステージ2上の粉体9にレーザLを照射して粉体9を溶融させ、輪郭部11を造形する。
輪郭部造形制御部44は、第1レーザ制御部46と、第2レーザ制御部47とを有する。
【0025】
(第1レーザ制御部)
第1レーザ制御部46は、レーザ装置30を制御する。本実施形態では、第1レーザ制御部46は、複数のレーザ光源31のうち第1レーザ光源31aを制御する。レーザ装置30は、第1レーザ制御部46の制御によって、粉体9にレーザLを照射して粉体9を溶融させる。第1レーザ制御部46の制御によって放出されたレーザLは、輪郭パスP1に沿って粉体9に照射される。
【0026】
(第2レーザ制御部)
第2レーザ制御部47は、第1レーザL1制御の後にレーザ装置30を制御する。本実施形態では、第2レーザ制御部47は、複数のレーザ光源31のうち第2レーザ光源31bを制御する。レーザ装置30は、第2レーザ制御部47の制御によって、第1レーザ制御部46によって照射されたレーザLが通過した輪郭パスP1にレーザLを照射し、粉体9を再度溶融させる。
また、第2レーザ制御部47は、第1レーザ制御部46によるレーザ照射で溶融された粉体9が凝固した後に、レーザLを照射させる。
【0027】
また、第1レーザ制御部46と第2レーザ制御部47とは、それぞれ別のレーザ光源31にレーザLを照射させる。より詳細には、第1レーザ制御部46は、第1レーザ光源31aにレーザLを照射させ、第2レーザ制御部47は、第2レーザ光源31bにレーザLを照射させる。
【0028】
また、第2レーザ制御部47によるレーザ照射の入熱量は、第1レーザ制御部46によるレーザ照射の入熱量よりも大きい。
【0029】
(コア部造形制御部)
コア部造形制御部45は、レーザ装置30を制御する。レーザ装置30は、コア部造形制御部45の制御によって、ステージ2上の粉体9にレーザLを照射して粉体9を溶融させ、コア部12を造形する。
【0030】
(積層造形方法の手順)
以下、積層造形方法の手順について、図4図5に示すフローチャートを参照して説明する。本開示の実施形態に係る積層造形方法は、造形物データ取得工程S1と、パス設定工程S2と、粉体供給工程S3と、輪郭部造形工程S4と、コア部造形工程S5と、積層造形物10の完成を判定するステップS6とを含む。
【0031】
(造形物データ取得工程)
まず、造形物データ取得工程S1が行われる。造形物データ取得工程S1では、造形物データ取得部41が、積層造形物10の造形物データを取得する。本実施形態では、造形物データ取得部41は、外部から入力された積層造形物10の最終形状のモデルデータDEを取得する。
【0032】
(パス設定工程)
造形物データ取得工程S1の後にパス設定工程S2が行われる。パス設定工程S2では、図3に示すように、パス設定部42が、積層造形物10のモデルデータDEの外形ラインOLに基づいて、積層造形物10を構成する層毎に、輪郭パスP1とコアパスP2とを設定する。輪郭パスP1は、モデルデータDEの外形ラインOLよりも内側かつ、モデルデータDEの外形ラインOLに沿って設定される。コアパスP2は、輪郭パスP1よりも内側に領域に設定される。
【0033】
(粉体供給工程)
パス設定工程S2の後に粉体供給工程S3が行われる。粉体供給工程S3では、粉体供給部43が、粉体供給装置20を制御し、ステージ2上に粉体9を供給させる。この時、コーター22が材料バケット21から上方に押し出された粉体9をステージ2の表面2aに向けて面方向に押し出す。コーター22は、ステージ2の表面2aと法線方向Dの距離を一定に維持しながら、ステージ2の表面2aに沿って面方向に移動する。これにより、ステージ2の表面2a上に粉体9が敷設される。このため、ステージ2の表面2a上で、粉体9の厚さが一様となる。
なお、上述した粉体供給装置20を用いた粉体9の敷設方式は、あくまでも一例である。粉体9の敷設方式は、適宜変更可能である。
【0034】
(輪郭部造形工程)
粉体供給工程S3の後に輪郭部造形工程S4が行われる。輪郭部造形工程S4では、輪郭部造形制御部44がレーザ装置30を制御する。レーザ装置30は、輪郭部造形制御部44の制御を受けてステージ2上の粉体9を溶融させ、輪郭部11を造形する。
図5のフローに示すように、輪郭部造形工程S4は、第1レーザ工程S41と、第2レーザ工程S42とを含む。
【0035】
(第1レーザ工程)
第1レーザ工程S41では、第1レーザ制御部46がレーザ装置30を制御し、粉体9にレーザLを照射して粉体9を溶融させる。本実施形態では、第1レーザ制御部46は、第1レーザ光源31aにレーザLを照射させる。以下では、第1レーザ工程S41で照射されるレーザLを第1レーザL1と称して説明する場合がある。第1レーザL1は、輪郭パスP1に沿って走査される。このため、ステージ2上の第1レーザL1の照射箇所の中心の軌跡を第1軌跡T1とすると、第1軌跡T1は輪郭パスP1に沿うことになる。第1レーザ工程S41により、輪郭パスP1上の粉体9が溶融し、輪郭パスP1に沿って溶融池が生じる。
【0036】
(第2レーザ工程)
第1レーザ工程S41の後に第2レーザ工程S42が開始される。第2レーザ工程S42では、第2レーザ制御部47がレーザ装置30を制御し、粉体9にレーザLを照射して粉体9を再度溶融させる。本実施形態では、第2レーザ制御部47は、第2レーザ光源31bにレーザLを照射させる。このように、本実施形態では、第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42とは、それぞれ別のレーザ光源31によって行われる。
【0037】
以下では、第2レーザ工程S42で照射されるレーザLを第2レーザL2と称して説明する場合がある。第2レーザL2は、第1レーザ工程S41のレーザLが通過した輪郭パスP1に沿って走査される。このため、ステージ2上の第2レーザL2の照射箇所の中心の軌跡を第2軌跡T2とすると、第2軌跡T2は、輪郭パスP1に沿うことになる。本実施形態では、第1軌跡T1と第2軌跡T2とが重複するように、第2レーザL2が走査される。第2レーザ工程S42で再度溶融した粉体9が凝固することより、輪郭パスP1に沿って輪郭部11の層が形成される。
【0038】
また、図6に示すように、本実施形態では、レーザ装置30は、第1レーザ工程S41のレーザ照射を続けながら、第2レーザ工程S42のレーザ照射を行う。第2レーザ工程S42のレーザ照射は、第1レーザ工程S41のレーザ照射から所定の時間間隔を空けて行われる。ここでいう所定の時間間隔とは、第1レーザ工程S41で溶融された粉体9が再び凝固可能な時間間隔である。すなわち、第2レーザ工程S42では、第1レーザ工程S41で溶融された粉体9が凝固した後に、レーザLを照射する。
【0039】
また、第2レーザ工程S42のレーザ出力は、第1レーザ工程S41のレーザ出力よりも大きく設定されている。これにより、第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量が第1レーザ工程S41のレーザ照射の入熱量よりも大きくなる。
【0040】
なお、第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42とのレーザ出力を同一に設定し、第2レーザ工程S42のレーザLの走査速度を第1レーザ工程S41よりも遅く設定してもよい。これにより、第2レーザ工程S42における輪郭パスP1の単位長さ当たりの入熱量が第1レーザ工程S41よりも増大するので、第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量が第1レーザ工程S41のレーザ照射の入熱量よりも大きくなる。
【0041】
(コア部造形工程)
図4のフローに戻り、輪郭部造形工程S4の後にコア部造形工程S5が行われる。コア部造形工程S5では、コア部造形制御部45がレーザ装置30を制御する。レーザ装置30は、コア部造形制御部45の制御によって、ステージ2上の粉体9にレーザLを照射する。この時、レーザLは、コアパスP2に沿って照射される。これにより、コアパスP2上の粉体9が溶融する。コア部造形工程S5では、複数のレーザ光源31のいずれを使用してもよい。
コア部造形工程S5のレーザLの照射回数は、輪郭部造形工程S4のレーザLの照射回数よりも少なく設定されている。本実施形態では、コア部造形工程S5のレーザLの照射回数は、1回に設定されている。
コア部造形工程S5で溶融された粉体9が凝固することにより、コアパスP2に沿ってコア部12の層が造形される。コア部12の層の高さは、輪郭部11の層の高さと同程度となる。
【0042】
コア部造形工程S5の後、積層造形制御装置40は、積層造形物10が完成しているか否かを判定する(ステップS6)。積層造形物10が完成していない場合(ステップS6;NO)、粉体供給工程S3に戻り、図4に示すフローを再開する。この時、ステージ2を一層分降下させてからステージ2上に新たな粉体9を供給する。
一方、積層造形物10が完成している場合(ステップS6;YES)、図4に示すフローを終了する。
以上の手順で積層造形方法が実行され、積層造形物10が製造される。
【0043】
(作用効果)
本実施形態によれば、以下の作用効果を発揮することができる。
【0044】
本実施形態では、積層造形方法は、ステージ2上の粉体9を溶融させ、積層造形物10の外側部分である輪郭部11を造形する輪郭部造形工程S4を含む。輪郭部造形工程S4は、第1レーザ工程S41と、第2レーザ工程S42とを含む。第1レーザ工程S41では、粉体9にレーザLを照射して粉体9を溶融させる。第2レーザ工程S42では、第1レーザ工程S41のレーザLが通過した輪郭パスP1にレーザLを照射し、粉体9を再度溶融させる。
【0045】
1回のレーザ照射のみで粉体9を溶融させると、粉体9の融合不良等によって積層造形物10に表面欠陥が生じる。これに対し、本実施形態では、同一の輪郭パスP1上に、第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42とで少なくとも2回にわけてレーザLを照射する。このため、第1レーザ工程S41で溶け残った粉体9を第2レーザ工程S42で溶融させることができる。よって、粉体9の融合不良を解消することができる。
【0046】
また、レーザLの照射によって生じたスパッタが、輪郭パスP1に飛散する場合も想定される。一般に、粉体の粒径がおおよそ10μm以上45μm以下であるのに対し、スパッタの粒径はおおよそ200μm以上300μm以下である。このため、1度のレーザ照射ではスパッタを溶融しきれずに、スパッタが残留する場合がある。上記構成によれば、輪郭パスP1に飛散したスパッタにレーザLを複数回照射し、スパッタを確実に溶融させることができる。
【0047】
また、1回当たりのレーザ照射の入熱量を増大させて1回のレーザ照射のみで粉体9を溶融させようとすると、溶融池が大きくなり品質精度が低下する。これに対し、本実施形態では第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42とで少なくとも2回にわけてレーザLを照射する。このため、溶融池が必要以上に大きくなることがない。
上記構成よれば、このような作用を発揮できるため、積層造形部の表面欠陥を低減することができる。よって、積層造形物10の品質を向上させることができる。
【0048】
本実施形態の第2レーザ工程S42では、第1レーザ工程S41で溶融された粉体9が凝固した後に、レーザLを照射する。
【0049】
本実施形態では、第1レーザ工程S41で生じた溶融池が凝固された後に、第2レーザ工程S42が行われる。このため、溶融池が必要以上に大きくなること抑制することができる。よって、積層造形物10の品質をより一層向上させることができる。
【0050】
本実施形態では、第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42とは、それぞれ別のレーザ光源31によって行われる。
【0051】
これにより、第1レーザ工程S41が完了する前に、第2レーザ工程S42を開始することができる。よって、造形時間を短縮することができる。したがって、生産性を向上させることができる。
【0052】
本実施形態では、第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量は、第1レーザ工程S41のレーザ照射の入熱量よりも大きい。
【0053】
レーザ照射による入熱量が大きい程、粉体9の層の乱れが大きくなる。上記構成によれば、第1レーザ工程S41では、比較的低入熱で入射してなるべく輪郭パスP1周辺の粉体9の層を乱さないように輪郭部11の土台を形成することができる。その後、第2レーザ工程S42で、第1レーザ工程S41で生じた粉体9の融合不良を解消することができる。このように、レーザ照射による入熱量を最適化することができるので、積層造形物10の品質をより一層向上させることができる。
【0054】
本実施形態では、積層造形方法は、ステージ2上の粉体9にレーザLを照射することによって粉体9を溶融させ、積層造形物10の内側部分であるコア部12を造形するコア部造形工程S5をさらに含む。コア部造形工程S5のレーザLの照射回数は、輪郭部造形工程S4のレーザLの照射回数よりも少ない。
【0055】
これにより、コア部12の製造にかかる時間とコストを抑えつつ、輪郭部11の精度を向上させることができる。よって、製造時間の短縮及び製造コストの削減を達成するとともに、積層造形物10の表面精度を向上させることができる。
【0056】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態に係る積層造形システム101、及び積層造形方法について、図7図8を参照して説明する。なお、第2実施形態では、上記実施形態と共通する構成については図中に同一の名称・符号を付す等して、その説明を適宜省略する。
【0057】
本実施形態の積層造形システム101の構成について説明する。
図7に示すように、本実施形態では、レーザ装置130はレーザ光源31を1つのみ備える。第1レーザ制御部46と第2レーザ制御部47とは、この同一のレーザ光源31にレーザLを照射させる。
【0058】
第2レーザ制御部47は、第1レーザ制御部46によるレーザ照射を停止させることなく、第1レーザ制御部46によるレーザ照射の後に連続してレーザLを照射させる。
【0059】
(積層造形方法の手順)
続いて、本実施形態の積層造形方法の手順について説明する。
本実施形態の輪郭部造形工程S4では、図8に示すように、第1レーザ制御部46と第2レーザ制御部47とは、同一のレーザ光源31にレーザLを照射させる。すなわち、第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42とは、同一のレーザ光源31によって行われる。
【0060】
第1レーザ工程S41が完了した後に、第2レーザ工程S42が開始される。すなわち、第1レーザL1が輪郭パスP1の全周に照射された後に、第2レーザL2の照射が開始される。
さらに、第2レーザ工程S42は、第1レーザ工程S41のレーザ照射を停止することなく、第1レーザ工程S41の後に連続して行われる。
【0061】
(作用効果)
本実施形態によれば、以下の作用効果を発揮することができる。
【0062】
本実施形態では、第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42とは、同一のレーザ光源31によって行われる。
【0063】
これにより、レーザ光源31の使用数を削減することが出来る。このため、装置構成を簡素化し、装置コストを削減することができる。
【0064】
本実施形態では、第2レーザ工程S42は、第1レーザ工程S41のレーザ照射を停止することなく、第1レーザ工程S41の後に連続して行われる。
【0065】
レーザ照射の始端と終端には、積層造形物10の欠陥が生じ易いとされている。本実施形態によれば、レーザ照射の始端と終端の数を少なくすることができるため、欠陥の発生抑制することができる。よって、積層造形物10の品質をより一層向上させることができる。
【0066】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態に係る積層造形システム201、及び積層造形方法について、図9から図13を参照して説明する。なお、第3実施形態では、上記実施形態と共通する構成については図中に同一の名称・符号を付す等して、その説明を適宜省略する。
【0067】
本実施形態の積層造形システム201の構成について説明する。
図9に示すように、本変形例の積層造形制御装置240では、輪郭部造形制御部244は、粉体補給制御部248をさらに有する。粉体補給制御部248は、第1レーザ制御部46によるレーザ照射の後に、ステージ2上に粉体9を補給するように粉体供給装置20を制御する。
粉体補給制御部248による粉体9の補給の後に、第2レーザ制御部47はレーザ装置30を制御してレーザLを照射させる。
【0068】
(積層造形方法の手順)
続いて、本実施形態の積層造形方法の手順について説明する。
【0069】
図10のフローに示すように、本実施形態の輪郭部造形工程S4は、粉体補給工程S43をさらに含む。粉体補給工程S43は、第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42との間に行われる。
【0070】
輪郭部造形工程S4では、まず第1レーザ工程S41が行われる。図11に示すように、第1レーザ工程S41では、第1レーザ制御部46が、上記の実施形態と同様にレーザ装置30を制御して、輪郭パスP1上に第1レーザL1を照射させる。
【0071】
第1レーザ工程S41の後に、粉体補給工程S43が行われる。図12に示すように、粉体補給工程S43では、粉体補給制御部248が粉体供給装置20を制御して、ステージ2上に粉体9を補給させる。粉体補給工程S43では、粉体供給工程S3と同様に、コーター22によって、ステージ2上に厚さが一様な粉体9の層が形成される。粉体補給工程S43は、ステージを下げずに行われる。
【0072】
粉体補給工程S43の後に、第2レーザ工程S42が行われる。図13に示すように、第2レーザ工程S42では、第2レーザ制御部47が、上記の実施形態と同様にレーザ装置30を制御して、輪郭パスP1上に第2レーザL2を照射させる。
なお、本実施形態では、第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42とは、それぞれ別のレーザ光源31によって行われてもよく、同一のレーザ光源31によって行われてもよい。
【0073】
(作用効果)
本実施形態によれば、以下の作用効果を発揮することができる。
【0074】
本実施形態では、第1レーザ工程S41の後に、ステージ2上に粉体9を補給する粉体補給工程S43を含み、粉体補給工程S43の後に、第2レーザ工程S42が行われる。
【0075】
これにより、第2レーザ工程S42での粉体9の供給不足を解消することができる。例えば、第1レーザ工程S41で粉体9が十分に供給されておらず、欠陥が生じた箇所に粉体9を補給し、第2レーザ工程S42でレーザLを照射することにより、その欠陥を補修することができる。よって、積層造形物10の品質をより一層向上させることができる。
【0076】
(ハードウェア構成)
上記の実施形態及び変形例の積層造形制御装置40,240は、図14に示すコンピュータ1100に実装される。図14は、各実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。コンピュータ1100は、プロセッサ1110と、メインメモリ1120と、ストレージ1130と、インタフェース1140とを備える。
【0077】
そして、積層造形制御装置40,240の上記各機能部の動作は、プログラムの形式でストレージ1130に記憶されている。プロセッサ1110は、プログラムをストレージ1130から読み出してメインメモリ1120に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ1110は、プログラムに従って、記憶領域をメインメモリ1120に確保する。
【0078】
プログラムは、コンピュータ1100に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、または他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。また、コンピュータ1100は、上記構成に加えて、または上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ1110によって実現される機能の一部または全部が当該集積回路によって実現されてよい。
【0079】
ストレージ1130の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ1130は、コンピュータ1100のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース1140または通信回線を介してコンピュータ1100に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ1100に配信される場合、配信を受けたコンピュータ1100が当該プログラムをメインメモリ1120に展開し、上記処理を実行してもよい。ストレージ1130は、一時的でない有形の記憶媒体であってもよい。
【0080】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ1130に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0081】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0082】
なお、上記実施形態では、第2レーザ工程S42では、第1レーザ工程S41で溶融された粉体9が凝固した後に、レーザLを照射するとしたが、これに限るものではない。第2レーザ工程S42では、粉体9が凝固する前にレーザLを照射してもよい。
【0083】
なお、上記実施形態では、レーザ装置30は、2つのレーザ光源31を有する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、レーザ装置30は、3つ以上のレーザ光源31を有してもよい。
【0084】
なお、上記実施形態では、第2レーザ制御部47によるレーザ照射の入熱量は、第1レーザ制御部46によるレーザ照射の入熱量よりも大きい、すなわち、第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量は、第1レーザ工程S41のレーザ照射の入熱量よりも大きい場合について説明したが、これに限られない。第1レーザ制御部46によるレーザ照射の入熱量と第2レーザ制御部47によるレーザ照射の入熱量とが同じであってもよい。すなわち、第1レーザ工程S41のレーザ照射の入熱量と第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量とが同じであってもよい。
また、第1レーザ制御部46によるレーザ照射の入熱量は、第2レーザ制御部47によるレーザ照射の入熱量よりも大きくてもよい。すなわち、第1レーザ工程S41のレーザ照射の入熱量は、第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量よりも大きくてもよい。
【0085】
第2レーザ工程S42の開始前には、第1レーザ工程S41でのレーザ照射によって輪郭パスP1上に熱が残留している。第2レーザ工程S42では、この第1レーザ工程S41での残留熱を第2レーザ工程S42での粉体9の溶融に利用できる。このため、上記構成のように第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量を小さくしても、第2レーザ工程S42で粉体9を十分に溶融することができる。よって、第2レーザ工程S42で、入熱量が必要以上に大きくなることを抑制することができるので、溶融池が必要以上に拡大することがなくなる。よって、積層造形物10の品質をより一層向上させることができる。
【0086】
なお、第1レーザ工程S41のレーザ照射の入熱量を第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量よりも大きくする方法は、第1レーザ工程S41のレーザ出力を第2レーザ工程S42よりも大きく設定する方法であってもよく、第1レーザ工程S41のレーザLの走査速度を第2レーザ工程S42よりも遅く設定する方法であってもよい。
【0087】
なお、上記実施形態では、1度の第2レーザ工程S42につき、第2レーザL2照射部がレーザLを1回のみ照射させる場合ついて説明したが、これに限るものではない。1度の第2レーザ工程S42につき、第2レーザ制御部47は、レーザLを複数回照射させてもよい。
この場合、第2レーザ工程S42で、確実に粉体9を再度溶融させることができる。よって、積層造形物10の品質をより一層向上させることができる。
【0088】
なお、上記実施形態では、コア部造形工程S5のレーザLの照射回収が1回に設定され、輪郭部造形工程S4のレーザLの照射回数が第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42の2回に設定されている場合について説明したが、これに限られない。コア部造形工程S5のレーザ照射回数は、2回以上に設定されていてもよく、輪郭部造形工程S4のレーザLの照射回数が3回以上に設定されていてもよい。ただし、生産性向上と製造コスト削減を両立させるためには、コア部造形工程S5のレーザLの照射回数は、輪郭部造形工程S4のレーザLの照射回数よりも少ない方が望ましい。
【0089】
<付記>
各実施形態に記載の積層造形方法、及び積層造形システム1,101,201は、例えば以下のように把握される。
【0090】
(1)第1の態様に係る積層造形方法は、ステージ2上の粉体9を溶融させ、積層造形物10の外側部分である輪郭部11を積層造形する輪郭部造形工程S4を含み、前記輪郭部造形工程S4は、前記粉体9にレーザLを照射して前記粉体9を溶融させる第1レーザ工程S41と、前記第1レーザ工程S41のレーザLが通過した輪郭パスP1にレーザLを照射し、前記粉体9を再度溶融させる第2レーザ工程S42と、を含む。
【0091】
本態様では、同一の輪郭パスP1上に、第1レーザ工程S41と第2レーザ工程S42とで少なくとも2回にわけてレーザLを照射する。このため、第1レーザ工程S41で溶け残った粉体9を第2レーザ工程S42で溶融させることができるので、粉体9の融合不良を解消することができる。
【0092】
(2)第2の態様に係る積層造形方法は、(1)の態様に係る積層造形方法であって、前記第2レーザ工程S42では、前記第1レーザ工程S41で溶融された前記粉体9が凝固した後に、レーザLを照射してもよい。
【0093】
本態様では、第1レーザ工程S41で生じた溶融池が凝固された後に、第2レーザ工程S42でレーザ照射が行われる。このため、溶融池が必要以上に大きくなること抑制することができる。
【0094】
(3)第3の態様に係る積層造形方法は、(1)又は(2)の態様に係る積層造形方法であって、前記第1レーザ工程S41と前記第2レーザ工程S42とは、それぞれ別のレーザ光源31によって行われてもよい。
【0095】
これにより、第1レーザ工程S41が完了する前に、第2レーザ工程S42を開始することができる。よって、造形時間を短縮することができる。
【0096】
(4)第4の態様に係る積層造形方法は、(1)又は(2)の態様に係る積層造形方法であって、前記第1レーザ工程S41と前記第2レーザ工程S42とは、同一のレーザ光源31によって行われてもよい。
【0097】
これにより、レーザ光源31の使用数を削減することが出来る。このため、装置構成を簡素化し、装置コストを削減することができる。
【0098】
(5)第5の態様に係る積層造形方法は、(4)の態様に係る積層造形方法であって、前記第2レーザ工程S42は、前記第1レーザ工程S41のレーザ照射を停止することなく、前記第1レーザ工程S41の後に連続して行われてもよい。
【0099】
レーザ照射の始端と終端には、積層造形物10の欠陥が生じ易いとされている。本態様によれば、レーザ照射の始端と終端の数を少なくすることができるため、欠陥の発生を抑制することができる。
【0100】
(6)第6の態様に係る積層造形方法は、(1)から(5)のいずれかの1つの態様に係る積層造形方法であって、前記輪郭部造形工程S4は、前記第1レーザ工程S41の後に、前記ステージ2上に前記粉体9を補給する粉体補給工程S43をさらに含み、前記粉体補給工程S43の後に、前記第2レーザ工程S42が行われてもよい。
【0101】
これにより、第2レーザ工程S42での粉体9の供給不足を解消することができる。
【0102】
(7)第7の態様に係る積層造形方法は、(1)から(6)のいずれか1つの態様に係る積層造形方法であって、前記第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量は、前記第1レーザ工程S41のレーザ照射の入熱量よりも大きくてもよい。
【0103】
レーザ照射による入熱量が大きい程、粉体9の層の乱れが大きくなる。本態様によれば、第1レーザ工程S41では、比較的低入熱で入射してなるべく輪郭パスP1周辺の粉体9の層を乱さないように輪郭部11の土台を形成することができる。その後、第2レーザ工程S42で、第1レーザ工程S41で生じた粉体9の融合不良を解消することができる。
【0104】
(8)第8の態様に係る積層造形方法は、(1)から(6)のいずれか1つの態様に係る積層造形方法であって、前記第1レーザ工程S41のレーザ照射の入熱量は、前記第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量よりも大きくてもよい。
【0105】
第2レーザ工程S42の開始前には、第1レーザ工程S41でのレーザ照射によって輪郭パスP1上に熱が残留している。第2レーザ工程S42では、この第1レーザ工程S41での残留熱を第2レーザ工程S42での粉体9の溶融に利用できる。このため、本態様のように第2レーザ工程S42のレーザ照射の入熱量を小さくしても、第2レーザ工程S42で粉体9を十分に溶融することができる。よって、第2レーザ工程S42で、入熱量が必要以上に大きくなることを抑制することができるので、溶融池が必要以上に拡大することがなくなる。
【0106】
(9)第9の態様に係る積層造形方法は、(1)から(8)のいずれか1つの態様に係る積層造形方法であって、前記第2レーザ工程S42では、レーザLを複数回照射してもよい。
【0107】
これにより、第2レーザ工程S42で、確実に粉体9を再度溶融させることができる。
【0108】
(10)第10の態様に係る積層造形方法は、(1)から(9)のいずれか1つの態様に係る積層造形方法であって、前記ステージ2上の前記粉体9にレーザLを照射することによって前記粉体9を溶融させ、前記積層造形物10の内側部分であるコア部12を積層造形するコア部造形工程S5をさらに含み、前記コア部造形工程S5のレーザLの照射回数は、前記輪郭部造形工程S4のレーザLの照射回数よりも少なくてもよい。
【0109】
これにより、コア部12の製造にかかる時間とコストを抑えつつ、輪郭部11の精度を向上させることができる。
【0110】
(11)第11の態様に係る積層造形システム1,101,201は、粉体9が敷設されるステージ2と、レーザ光源31を有し、前記レーザ光源31から前記粉体9にレーザLを照射するレーザ装置30,130と、前記レーザ装置30,130が積層造形物10を積層造形するように前記レーザ装置30,130を制御する積層造形制御装置40,240と、を備え、前記積層造形制御装置40,240は、前記ステージ2上の前記粉体9を溶融させ、前記積層造形物10の外側部分である輪郭部11を積層造形するように前記レーザ装置30を制御する輪郭部造形制御部44,244を有し、前記輪郭部造形制御部44,244は、前記粉体9にレーザLを照射して前記粉体9を溶融させるように前記レーザ装置30,130を制御する第1レーザ制御部46と、前記第1レーザ制御部46によって照射されたレーザLが通過した輪郭パスP1にレーザLを照射し、前記粉体9を再度溶融させるように前記レーザ装置30,130を制御する第2レーザ制御部47と、を有する。
【0111】
(12)第12の態様に係る積層造形システム1,101,201は、(11)の態様に係る積層造形システム1,101,201であって、前記第2レーザ制御部47は、前記第1レーザ制御部46によるレーザ照射で溶融された前記粉体9が凝固した後に、レーザLを照射させてもよい。
【0112】
(13)第13の態様に係る積層造形システム1,201は、(11)又は(12)の態様に係る積層造形システム1,201であって、前記レーザ装置30,130は、前記レーザ光源31を複数有し、前記第1レーザ制御部46と前記第2レーザ制御部47とは、それぞれ別の前記レーザ光源31にレーザLを照射させてもよい。
【0113】
(14)第14の態様に係る積層造形システム101は、(11)又は(12)の態様に係る積層造形システム101であって、前記第1レーザ制御部46と前記第2レーザ制御部47とは、同一の前記レーザ光源31にレーザLを照射させてもよい。
【0114】
(15)第15の態様に係る積層造形システム101は、(14)の態様に係る積層造形システム101であって、前記第2レーザ制御部47は、前記第1レーザ制御部46によるレーザ照射を停止させることなく、前記第1レーザ制御部46によるレーザ照射の後に連続してレーザLを照射させてもよい。
【0115】
(16)第16の態様に係る積層造形システム201は、(11)から(15)のいずれか1つの態様に係る積層造形システム201であって、前記ステージ2上に前記粉体9を供給する粉体供給装置20をさらに備え、前記輪郭部造形制御部244は、前記第1レーザ制御部46によるレーザ照射の後に、前記ステージ2上に前記粉体9を補給するように前記粉体供給装置20を制御する粉体補給制御部248をさらに有し、前記粉体補給制御部248による前記粉体9の補給の後に、前記第2レーザ制御部47は前記レーザ装置30,130を制御してレーザLを照射させてもよい。
【0116】
(17)第17の態様に係る積層造形システム1,101,201は、(11)から(16)のいずれか1つの態様に係る積層造形システム1,101,201であって、前記第2レーザ制御部47によるレーザ照射の入熱量は、前記第1レーザ制御部46によるレーザ照射の入熱量よりも大きくてもよい。
【0117】
(18)第18の態様に係る積層造形システム1は、(11)から(16)のいずれか1つの態様に係る積層造形システム1,101,201であって、前記第1レーザ制御部46によるレーザ照射の入熱量は、前記第2レーザ制御部47によるレーザ照射の入熱量よりも大きくてもよい。
【0118】
(19)第19の態様に係る積層造形システム1,101,201は、(11)から(18)のいずれか1つの態様に係る積層造形システム1,101,201であって、前記第2レーザ制御部47は、前記レーザLを複数回照射させてもよい。
【0119】
(20)第20の態様に係る積層造形システム1,101,201は、(11)から(19)のいずれか1つの態様に係る積層造形システム1,101,201であって、前記積層造形制御装置40,240は、前記ステージ2上の前記粉体9にレーザLを照射することによって前記粉体9を溶融させ、前記積層造形物10の内側部分であるコア部12を積層造形するように前記レーザ装置30,130を制御するコア部造形制御部45をさらに有し、前記コア部造形制御部45によるレーザLの照射回数は、前記輪郭部造形制御部44,244によるレーザLの照射回数よりも少なくてもよい。
【符号の説明】
【0120】
1…積層造形システム、2…ステージ、2a…表面、9…粉体、10…積層造形物、11…輪郭部、12…コア部、20…粉体供給装置、21…材料バケット、22…コーター、23…バケット本体、24…供給エレベータ、30…レーザ装置、31…レーザ光源、31a…第1レーザ光源、31b…第2レーザ光源、32…レーザ照射窓、40…積層造形制御装置、41…造形物データ取得部、42…パス設定部、43…粉体供給部、44…輪郭部造形制御部、45…コア部造形制御部、46…第1レーザ制御部、47…第2レーザ制御部、101…積層造形システム、130…レーザ装置、201…積層造形システム、240…積層造形制御装置、244…輪郭部造形制御部、248…粉体補給制御部、1100…コンピュータ、1110…プロセッサ、1120…メインメモリ、1130…ストレージ、1140…インタフェース、D…法線方向、DE…モデルデータ、L…レーザ、L1…第1レーザ、L2…第2レーザ、OL…外形ライン、P1…輪郭パス、P2…コアパス、S1…造形物データ取得工程、S2…パス設定工程、S3…粉体供給工程、S4…輪郭部造形工程、S5…コア部造形工程、S6…ステップ、S41…第1レーザ工程、S42…第2レーザ工程、S43…粉体補給工程、T1…第1軌跡、T2…第2軌跡
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