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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074605
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】排気ガス再循環システム
(51)【国際特許分類】
   F02M 26/33 20160101AFI20240524BHJP
   F02M 26/22 20160101ALI20240524BHJP
【FI】
F02M26/33
F02M26/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185882
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(72)【発明者】
【氏名】藤島 史郎
(72)【発明者】
【氏名】宮本 政幸
【テーマコード(参考)】
3G062
【Fターム(参考)】
3G062AA05
3G062ED08
3G062ED10
3G062GA10
(57)【要約】
【課題】 再循環ガス1がEGRクーラ2を介してエンジン3に供給される排気ガス再循環システムにおいて、EGRクーラに流入するガスの温度を下げる。
【解決手段】 EGRクーラ2の上流位置で、再循環ガス1に空気4aを混合する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
再循環ガス(1)が、EGRクーラ(2)を介してエンジン(3)に供給される排気ガス再循環システムにおいて、
EGRクーラ(2)の上流位置で、再循環ガス(1)に空気(4a)が混合されることを特徴とする排気ガス再循環システム。
【請求項2】
請求項1に記載の排気ガス再循環システムにおいて、
再循環ガス(1)に混合される全ての空気(4a)が、EGRクーラ(2)の上流位置で混合される排気ガス再循環システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排気ガスがEGRクーラを介して再循環される排気ガス再循環システムに関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンからの排気ガスの一部を分岐させて吸気系に戻し、燃焼用空気と混合させた上で燃焼室に送り、再循環させる排気ガス再循環(Exhaust Gas Recirculation:EGR)システムは、窒素酸化物NOxの排出の低減や燃費の向上を目的として、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンにおいて汎用されている。
また、排気ガス再循環システムにおいては、再循環される排気ガスを冷却するために、
EGRクーラが設置されることも多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、EGRクーラに流入する排気ガスの温度は高いゆえ、EGRクーラに生じる熱応力が大きく、また、高温によってEGRクーラの構成部材の劣化も進むので、EGRクーラの耐久性が低下し、それに対処するためにEGRクーラの材料には高い耐熱性が必要となるといった問題がある。
そこで、本発明はEGRクーラに流入するガスの温度を下げ、上記の問題を抑制することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するための第1の発明は、再循環ガス1が、EGRクーラ2を介してエンジン3に供給される排気ガス再循環システムにおいて、
EGRクーラ2の上流位置で、再循環ガス1に空気4aが混合されることを特徴とする排気ガス再循環システムである。
【0005】
第2の発明は、第1の発明において、
再循環ガス1に混合される全ての空気4aが、EGRクーラ2の上流位置で混合される排気ガス再循環システムである。
【発明の効果】
【0006】
第1の発明の排気ガス再循環システムは、EGRクーラ2の上流位置で、再循環ガス1に空気4aが混合されるものである。
この構成により、EGRクーラ2に流入する再循環ガス1の温度が低下する。
それにより、EGRクーラ2に生じる熱応力が低減されるとともに、高温によるEGRクーラ2の構成部材の劣化が緩和される。
その結果、EGRクーラ2の耐久性が向上し、EGRクーラ2の材料への耐熱性の要求が緩和される。
【0007】
第2の発明は、第1の発明において、再循環ガス1に混合される全ての空気4aが、EGRクーラ2の上流位置で混合されるものである。
この構成により、EGRクーラ2に流入する再循環ガス1の温度低下の効果が最大となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の排気ガス再循環システムの第1の実施例を示す説明図。
図2】本発明の排気ガス再循環システムの第2の実施例を示す説明図。
図3】本発明の排気ガス再循環システムの第3の実施例を示す説明図。
図4】本発明の排気ガス再循環システムの第4の実施例を示す説明図。
図5】本発明の排気ガス再循環システムの第5の実施例を示す説明図。
図6】本発明の排気ガス再循環システムの第6の実施例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面に基づいて、本発明の各実施の形態につき説明する。
各図面において、EGRCはEGRクーラ2の略記であり、CACはチャージエアクーラ7の略記である。
【実施例0010】
図1は、本発明の排気ガス再循環システムの第1の実施例を示す。
この実施例の排気ガス再循環システムは、エンジン3から流出した排気5をシステム外に排出する排気用配管10と、再循環ガス1および空気をエンジン3へ導く吸気系配管11と、排気用配管10と分岐し吸気系配管11に連通する排気ガス再循環系配管12と、を有する。排気ガス再循環系配管12の中間位置には、EGRクーラ2が配置されている。
排気ガス再循環系配管12におけるEGRクーラ2の上流位置には、予混合用空気4aを供給する第1の空気供給配管13aが連通している。
ここで、本発明における「予混合」とは、EGRクーラ2の上流位置で、再循環ガス1に空気4aが混合されることをいう。
また、吸気系配管11には、主空気4bを供給する第2の空気供給配管13bが連通する。
【0011】
この例では、第1の空気供給配管13aには、予混合用空気4aの流量を調整するバルブ6aが設けられ、排気ガス再循環系配管12の上流位置には、再循環ガス1の流量を調整するバルブ6cが設けられている。
また、この例では、第2の空気供給配管13bに、主空気4bの流量を調整するバルブ6bが設けられている。これらのバルブ6a、6b、6cは、予混合用空気4a、主空気4b、再循環ガス1の逆流防止の機能を兼ねる。
このシステムには、予混合用空気4a及び主空気4bを清浄化する図示しないエアクリナー等を設け、その流量を図示しない流量計で計測することが好ましい。
【0012】
エンジン3から流出した排気5は、その一部が再循環ガス1として利用される。
再循環ガス1は排気ガス再循環系配管12内を流通し、EGRクーラ2の上流位置で、その再循環ガス1に予混合用空気4aが混合される。予混合用空気4aは、通常、大気である。
一例として、850℃の再循環ガス1に、同質量の常温の予混合用空気4aを混合した場合、混合ガス9の温度は、500℃程度となり、再循環ガス1の温度に比べて350Kほど低下する。
また、850℃の再循環ガス1に、2倍の質量の常温の予混合用空気4aを混合した場合、混合ガス9の温度は、350℃程度となり、再循環ガス1の温度に比べて500Kほど低下する。
【0013】
上述のように、予混合用空気4aの混合により、EGRクーラ2に流入する再循環ガス1(混合ガス9)の温度は大幅に低下する。
それにより、EGRクーラ2に生じる熱応力が低減されるとともに、高温によるEGRクーラ2の構成部材の劣化が緩和される。その結果、EGRクーラ2の耐久性が向上し、EGRクーラ2の材料への耐熱性の要求が緩和されることになる。
【0014】
EGRクーラ2から排出された混合ガス9は、排気ガス再循環系配管12の下流側から吸気系配管11へ導かれ、第2の空気供給配管13bから供給される主空気4bとともに、エンジン3に供給される。
【実施例0015】
次に、図2は本発明の排気ガス再循環システムの第2の実施例を示す。
この実施例は、第1の実施例と異なり、第1の空気供給配管13aにポンプPが接続されている。
ポンプPにより、予混合用空気4aを圧送して再循環ガス1に混合し、その混合ガス9をEGRクーラ2に供給する。
また、混合ガス9の流量を調整するためのバルブ6dが、EGRクーラ2の下流の排気ガス再循環系配管12に配置されている。
【実施例0016】
次に、図3は本発明の排気ガス再循環システムの第3の実施例を示す。
この実施例は、第1の実施例の排気ガス再循環システムの中に、過給機8およびチャージエアクーラ7を配置したものである。
エンジン3の排気部3bにつながる排気用配管10が過給機8の排気部8bに接続されている。
過給機8の吸気部8aが吸気系配管11に接続され、過給機8の下流にチャージエアクーラ7が設けられている。チャージエアクーラ7は、エンジン3の吸気部3aにつながっている。
【0017】
予混合用空気4aは、主に過給機8の吸引力によって排気ガス再循環系配管12に導入され、主空気4bも同様に、主に過給機8の吸引力によって吸気系配管11に導入される。
なお、チャージエアクーラ7は、過給機8によって圧縮され高温となった吸気を冷却するためのものであるが、必須ではない。
【実施例0018】
次に、図4は本発明の排気ガス再循環システムの第4の実施例を示す。
この実施例は、第3の実施例に第2の過給機14を追加したものである。
第2の過給機14はEGRクーラ2の上流に設けられ、第2の過給機14によって予混合用空気4aが吸引され排気ガス再循系環配管12に導入される。
【実施例0019】
次に、図5は本発明の排気ガス再循環システムの第5の実施例を示す。
この実施例と第1の実施例との差異点は、主空気4bを取り入れる第2の空気供給配管13bが無い点である。
すなわち、この例では、吸気に必要な空気の全量がEGRクーラ2の上流において再循環ガス1に予め混合されている(100%予混合の状態)。その結果、予混合による温度低下の効果が最大となる。
【実施例0020】
次に、図6は本発明の排気ガス再循環システムの第6の実施例を示す。
この実施例と第3の実施例との差異点は、主空気4bを取り入れる第2の空気供給配管13bが無い点である。
すなわち、この例では、吸気に必要な空気の全量がEGRクーラ2の上流において再循環ガス1に予め混合されている(100%予混合の状態)。その結果、予混合による温度低下の効果が最大となる。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、EGRクーラを有する排気ガス再循環システムとして広く適用可能であり、特に内燃機関を有する自動車用として好適である。
【符号の説明】
【0022】
1 再循環ガス
2 EGRクーラ
3 エンジン
3a 吸気部
3b 排気部
4a 予混合用空気
4b 主空気
5 排気
6a 予混合用空気4aの流量を調整するバルブ
6b 主空気4bの流量を調整するバルブ
6c 再循環ガス1の流量を調整するバルブ
6d 混合ガス9の流量を調整するためのバルブ
7 チャージエアクーラ
8 過給機
8a 吸気部
8b 排気部
9 混合ガス
10 排気用配管
11 吸気系配管
12 排気ガス再循環系配管
13a 第1の空気供給配管
13b 第2の空気供給配管
14 第2の過給機
P ポンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6