(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074606
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】吊下具
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
A47G29/00 C
A47G29/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185883
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】598146986
【氏名又は名称】宇都宮製作株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】潤井 訓
(72)【発明者】
【氏名】関本 真介
(72)【発明者】
【氏名】武村 信道
(72)【発明者】
【氏名】牧野田 晃平
(72)【発明者】
【氏名】上野 雅世
【テーマコード(参考)】
3K100
【Fターム(参考)】
3K100AA02
3K100AB10
3K100AC02
3K100AD05
3K100AE06
3K100AE14
3K100AE20
3K100AF03
3K100AG01
3K100AG03
3K100AH22
3K100AH30
3K100AJ03
3K100AJ05
(57)【要約】
【課題】状況に応じて様々な方法で吊下対象物を吊り下げ可能な吊下具を提供する。
【解決手段】吊下具1は、吸着手段12により被吸着体Bに吸着される吸着ブラケット10と、吸着ブラケット10に連結され且つ先端部に第1フック22が設けられた第1アーム20と、吸着ブラケット10に連結され且つ先端部に第2フック34が設けられた第2アーム30と、を備える。吊下具1は、吸着ブラケット10が被吸着体Bに吸着され且つ吊下対象物Aが第1フック22に吊り下げられる吸着モードM1と、第1フック22に対して離れた第2フック34が被係合体Cに係合され且つ吊下対象物Aが第1フック22に吊り下げられる係合モードM2と、を実施可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着手段により被吸着体に吸着される吸着ブラケットと、
前記吸着ブラケットに連結され且つ先端部に第1フックが設けられた第1アームと、
前記吸着ブラケットに連結され且つ先端部に第2フックが設けられた第2アームと、を備え、
前記吸着ブラケットが前記被吸着体に吸着され且つ吊下対象物が前記第1フックに吊り下げられる吸着モードと、
前記第1フックに対して離れた前記第2フックが被係合体に係合され且つ前記吊下対象物が前記第1フックに吊り下げられる係合モードと、を実施可能である、吊下具。
【請求項2】
請求項1に記載の吊下具であって、
前記第2アームは、前記吸着モードのときに前記第2フックが前記第1フックに近づくとともに前記係合モードのときに前記第2フックが前記第1フックから離れるように、前記吸着ブラケットに対して回動可能である、吊下具。
【請求項3】
請求項2に記載の吊下具であって、
前記第1フック及び前記第2フックのうちの一方のフックは、前記第2アームの回動方向と交差する方向に隣り合う一対の延在部を含み、
前記第1フック及び前記第2フックのうちの他方のフックは、前記吸着モードのときに前記一対の延在部の間に挟まれる、吊下具。
【請求項4】
請求項3に記載の吊下具であって、
前記他方のフックには、前記一対の延在部の間に嵌まる嵌合部が設けられている、吊下具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、吊下具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のマグネット付吊下具は、マグネットを含むマグネット利用吸着具と、マグネット利用吸着具の下部に設けられた吊下げ用フックと、を備える。この種のマグネット付吊下具では、マグネット利用吸着具を冷蔵庫の壁面のような被磁性体に吸着するとともに、手さげ袋などの吊下対象物を吊下げ用フックに吊り下げる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この種のマグネット付吊下具は、マグネット利用吸着具を吸着するための被磁性体が存在しない場面では、使用できない。このため、ユーザは、被磁性体が存在しない場面では、竿などの被係合体に係合するための係合用フックと、手さげ袋などの吊下対象物を吊り下げるための吊下用フックと、を備えた吊下具を、別途用意する必要があり、不便であった。
【0005】
上記課題は、マグネットの代わりに、吸盤や粘着テープなどのその他の吸着手段を用いた場合にも当てはまる。例えば、吸着手段として吸盤を用いた場合、吸盤を吸着可能な凹凸の少ない平滑面が存在する必要があるが、このような平滑面が必ずしも存在するわけではない。また、例えば、吸着手段として粘着テープを用いた場合、部屋の壁部などには、剥がれ落ち等の懸念から、粘着テープの使用が許容されない場合がある。
【0006】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、状況に応じて様々な方法にて吊下対象物を吊り下げることが可能な吊下具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る吊下具は、吸着手段により被吸着体に吸着される吸着ブラケットと、前記吸着ブラケットに連結され且つ先端部に第1フックが設けられた第1アームと、前記吸着ブラケットに連結され且つ先端部に第2フックが設けられた第2アームと、を備え、前記吸着ブラケットが前記被吸着体に吸着され且つ吊下対象物が前記第1フックに吊り下げられる吸着モードと、前記第1フックに対して離れた前記第2フックが被係合体に係合され且つ前記吊下対象物が前記第1フックに吊り下げられる係合モードと、を実施可能である。
【0008】
かかる構成によれば、吊下具は、吸着ブラケットが被吸着体に吸着され且つ吊下対象物が第1フックに吊り下げられる吸着モードと、第1フックに対して離れた第2フックが被係合体に係合され且つ吊下対象物が第1フックに吊り下げられる係合モードと、を実施することができる。すなわち、単独の吊下具によって、少なくとも2種類の吊下方法を実現することができる。
【0009】
以上、状況に応じて様々な方法にて吊下対象物を吊り下げることが可能な吊下具を、提供することができる。
【0010】
一実施形態では、前記第2アームは、前記吸着モードのときに前記第2フックが前記第1フックに近づくとともに前記係合モードのときに前記第2フックが前記第1フックから離れるように、前記吸着ブラケットに対して回動可能である。
【0011】
かかる構成によれば、第2アームを吸着ブラケットに対して回動させることによって、第2フックを第1フックに近づけたり、第2フックを第1フックから離したりすることができる。
【0012】
これにより、係合モードのときに、第2フックを、第1フックから離して、被係合体に係合させるだけでなく、吸着モードのときに、第2フックを、第1フックに近づけて、第1フックと共に吊下対象物の吊り下げのために利用することができる。このように、吸着モードのときであっても、第2フックを遊ばせずに有効利用することができる。
【0013】
一実施形態では、前記第1フック及び前記第2フックのうちの一方のフックは、前記第2アームの回動方向と交差する方向に隣り合う一対の延在部を含み、前記第1フック及び前記第2フックのうちの他方のフックは、前記吸着モードのときに前記一対の延在部の間に挟まれる。
【0014】
かかる構成によれば、吸着モードにおいて第2フックが第1フックに近づいた場合に、第1フックと第2フックとが回動方向に嵩張ることを抑制することができる。
【0015】
一実施形態では、前記他方のフックには、前記一対の延在部の間に嵌まる嵌合部が設けられている。
【0016】
かかる構成によれば、吸着モードにおいて、第1フックと第2フックとを、簡単に一体化させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、状況に応じて様々な方法にて吊下対象物を吊り下げることが可能な吊下具を、提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る吸着モードにおける吊下具を示す。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る係合モードにおける吊下具を示す。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る反転モードにおける吊下具を示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0020】
<第1実施形態>
(第1実施形態に係る吊下具)
図1,2は、第1実施形態に係る吊下具1を示す。吊下具1は、後述のフック22,34によって、吊下対象物Aを吊り下げる。吊下対象物Aは、後述のフック22,34に吊り下げ可能であれば何でもよく、例えば、手さげ袋、輪ゴム、ハンガーフックなどがある。
【0021】
吊下具1は、吸着ブラケット10と、第1アーム20と、第2アーム30と、を備える。吸着ブラケット10は、略直方体状に形成されている。吸着ブラケット10は、シェル11と、吸着手段としてのマグネット12と、を含む。シェル11は、前面11aと、左面11bと、右面11cと、上面11dと、下面11eと、を含む。シェル11の後面側は、開放されている(図示省略)。シェル11は、樹脂で形成されている。
【0022】
マグネット12は、シェル11の内部に収容されている。具体的には、マグネット12は、シェル11の後面側の開放部に嵌め込まれている。すなわち、マグネット12は、後面側に露出している。
【0023】
吸着ブラケット10は、マグネット12の磁力によって、磁性材料を含む被吸着体Bに、吸着される。被吸着体Bは、マグネット12が吸着可能であれば何でもよく、例えば、冷蔵庫の扉、ホワイトボード、黒板、金属棚、欄干などがある。
【0024】
第1アーム20は、吸着ブラケット10の下面11eに連結されている。第1アーム20は、金属製の線材で形成されている。第1アーム20は、真直部21と、第1フック22と、を含む。真直部21は、吸着ブラケット10の下面11eから、上下方向に真直ぐに延びている。第1フック22は、第1アーム20の真直部21の先端部に、設けられている。
【0025】
第1フック22は、鉤状である。第1フック22は、下方向に延びた後に反転して上方向に延びるように、曲がっている。第1フック22の先端には、嵌合部22aが設けられている。嵌合部22aは、略球状である。嵌合部22aは、第1フック22における他の線材部分よりも太い。
【0026】
第2アーム30は、吸着ブラケット10の左面11b及び右面11c各々に、連結されている。第2アーム30は、金属製の線材で形成されている。第2アーム30は、基端側外方延在部31と、左右延在部32と、先端側外方延在部33と、第2フック34と、を含む。第2アーム30では、2つの線材が、吸着ブラケット10の左面11b及び右面11c各々から出発して、吸着ブラケット10から離れる外方向に延びた後に、互いに合流している。
【0027】
基端側外方延在部31は、吸着ブラケット10の左面11b及び右面11c各々から、吸着ブラケット10から離れる外方向に、真直ぐに延びている。左右延在部32は、基端側外方延在部31の先端部から、吸着ブラケット10に近づく左右内方向に、延びている。先端側外方延在部33は、左右延在部32の先端部から、吸着ブラケット10から離れる外方向に、真直ぐに延びている。
【0028】
第2フック34は、第2アーム30の先端側外方延在部33の先端部に、設けられている。第2フック34は、鉤状である。第2フック34は、吸着ブラケット10から離れる外方向に延びた後に、反転して吸着ブラケット10に近づく内方向に延びるように、曲がっている。第2フック34の先端では、第2アーム30を構成する2つの線材が、合流している。
【0029】
図1,2に示すように、第2アーム30は、吸着ブラケット10に対して、上下方向に回動可能である。吸着ブラケット10の左面11b及び右面11c各々には、第2アーム30の基端部を回動支持する軸受部が、設けられている。第2アーム30の回動によって、吊下具1は、吸着モードM1(
図1)と、係合モードM2(
図2)と、を実施可能である。
【0030】
図1に示すように、吸着モードM1のとき、吸着ブラケット10は、被吸着体Bに吸着される。吸着モードM1のとき、第2フック34は、第2アーム30の回動によって、下側に位置付けられて、第1フック22に近づく。
【0031】
ここで、第2フック34は、一対の延在部34aを含む。一対の延在部34aは、第2アーム30の回動方向(上下方向、D1で示す)と交差する交差方向、より詳細には第2アーム30の回動方向(上下方向)と直交する直交方向(左右方向、D2で示す)に、互いに隣り合う。
【0032】
吸着モードM1のとき、第1フック22は、第2フック34の一対の延在部34aの間に、挟まれる。これにより、第1フック22と第2フック34とが一体化される。
【0033】
また、吸着モードM1のとき、第1フック22の嵌合部22aは、第2フック34の一対の延在部34aの間に、嵌まる。これにより、第1フック22と第2フック34とが一体化された状態が、保持される。嵌合部22aの大きさ及び一対の延在部34a間の幅は、両者が上手く嵌合されるように、適宜設定される。
【0034】
吸着モードM1のとき、第1フック22は、前側に臨む。吸着モードM1のとき、第2フック34は、前側に臨む。吸着モードM1のとき、吊下対象物Aは、互いに一体化された第1フック22及び第2フック34に、吊り下げられる。
【0035】
図2に示すように、係合モードM2のとき、第2フック34は、第2アーム30の回動によって、上側に位置付けられて、第1フック22から離れる。係合モードM2のとき、第1フック22は、前側に臨む。係合モードM2のとき、第1フック22に対して上側に離れた第2フック34は、後側に臨む。
【0036】
係合モードM2のとき、第1フック22に対して上側に離れた第2フック34は、被係合体Cに係合される。被係合体Cは、第2フック34が係合可能であれば何でもよく、例えば、竿、カーテンレール、段差、ハンガー肩、欄干などがある。係合モードM2のとき、吊下対象物Aは、第1フック22のみに、吊り下げられる。
【0037】
ここで、
図3は、反転モードM3における吊下具を示す。反転モードM3のとき、吸着ブラケット10は、係合モードM2のときに比較して、上下方向及び前後方向に反転している。反転モードM3のとき、マグネット12(吸着ブラケット10の後面側)は、前側に臨む。
【0038】
反転モードM3のとき、第2フック34は、第1フック22に対して下側に位置する。反転モードM3のとき、第1フック22は、後側に臨む。反転モードM3のとき、第1フック22に対して下側に離れた第2フック34は、前側に臨む。
【0039】
反転モードM3のとき、第1フック22は、被係合体Cに係合される。反転モードM3のとき、吊下対象物Aは、第2フック34に吊り下げられる。
【0040】
(第1実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、吊下具1は、吸着ブラケット10が被吸着体Bに吸着され且つ吊下対象物Aが第1フック22及び第2フック34に吊り下げられる吸着モードM1と、第1フック22に対して上側に離れた第2フック34が被係合体Cに係合され且つ吊下対象物Aが第1フック22のみに吊り下げられる係合モードM2と、を実施することができる。
【0041】
すなわち、単独の吊下具1によって、少なくとも2種類の吊下方法を実現することができる。このように、状況に応じて様々な方法にて吊下対象物Aを吊り下げることが可能な吊下具1を、提供することができる。吊り下げ方法毎に複数の吊下具1を用意する必要がないので、コスト面やユーザ負担軽減の観点において有利である。
【0042】
第2アーム30を吸着ブラケット10に対して上下方向に回動させることによって、第2フック34を第1フック22に近づけたり、第2フック34を第1フック22から離したりすることができる。
【0043】
このため、係合モードM2のときに、第2フック34を、第1フック22から離して、被係合体Cに係合させるだけでなく、吸着モードM1のときに、第2フック34を、第1フック22に近づけて、第1フック22と共に吊下対象物Aの吊り下げのために利用することができる。このように、吸着モードM1のときであっても、第2フック34を遊ばせずに有効利用することができる。
【0044】
また、第2アーム30を吸着ブラケット10に対して回動させることによって、吸着モードM1のときに第2フック34が被吸着体Bに干渉するのを抑制することができる。
【0045】
吸着モードM1において第2フック34が第1フック22に近づいた場合に、第1フック22が第2フック34の一対の延在部34aの間に挟まって、両者が一体化されるので、第1フック22と第2フック34とが回動方向に嵩張るのを抑制できる。
【0046】
吸着モードM1において第1フック22の嵌合部22aが第2フック34の一対の延在部34aの間に嵌まるので、第1フック22と第2フック34とを簡単に一体化させることができる。
【0047】
反転モードM3において、第1フック22を被係合体Cに係合し且つ吊下対象物Aを第2フック34に吊り下げるとともに、吸着ブラケット10のマグネット12を前側に向けることによって、マグネット12に対しても被吸着物Eを吸着させることができる。
【0048】
なお、被吸着物Eとして、金属製の小物類(例えばゼムクリップ等)や他のマグネットなど、マグネット12に吸着可能な種々の物体が考えられる。 反転モードM3を適用することによって、マグネット12を、遊ばせずに有効利用することができる。
【0049】
(第1実施形態の変形例)
一対の延在部34aが隣り合う方向は、第2アーム30の回動方向と厳密に直交しなくてもよく、第2アーム30の回動方向と交差すればよい。
【0050】
上記実施形態では、第2フック34(第1フック22及び第2フック34のうちの一方のフック)が一対の延在部34aを含むとともに、第1フック22(第1フック22及び第2フック34のうちの他方のフック)が一対の延在部34aの間に挟まれるが、これに限定されない。
【0051】
第1フック22が一対の延在部34aを含むとともに、第2フック34が一対の延在部34aの間に挟まれてもよい。この場合、第2フック34には、嵌合部が設けられてもよい。
【0052】
嵌合部は、略球状に限定されず、例えばブロック状でもよい。嵌合部は、一対の延在部の間に嵌まるのであれば、いかなる形状でもよい。嵌合部は、無くてもよい。一対の延在部は、無くてもよい。
【0053】
第1フック22と第2フック34とは、吸着モードM1において、回動方向に嵩張てってもよい。この場合、吸着モードM1において、2つの吊下対象物Aのうちの一方を第1フック22に吊り下げて、2つの吊下対象物Aのうちの他方を第2フック34に吊り下げてもよい。
【0054】
<第2実施形態>
(第2実施形態に係る吊下具)
次に、第2実施形態に係る吊下具1について、
図4~6を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0055】
本実施形態では、第1アーム20は、2つある。2つの第1アーム20は、吸着ブラケット10の下面11eに連結されている。2つの第1アーム20は、左右方向に並んで配置されている。2つの第1アーム20は、吸着ブラケット10の左右方向の中央に関して、対称に配置されている。
【0056】
各第1アーム20は、1本の金属製の線材で形成されている。各第1アーム20は、真直部21と、第1フック22と、を含む。真直部21は、吸着ブラケット10の下面11eから、上下方向に真直ぐに延びている。第1フック22は、第1アーム20の真直部21の先端部に、設けられている。第1フック22は、鉤状である。第1フック22は、下方向に延びた後に反転して上方向に延びるように、曲がっている。
【0057】
各第1アーム20は、吸着ブラケット10に対して、上下方向に延びる軸回りFに回転可能である。具体的には、各第1アーム20の真直部21は、吸着ブラケット10の下面11eに対して、上下方向に延びる軸回りFに回転可能に、連結されている。
【0058】
吸着ブラケット10の前面11aには、溝部13が設けられている。溝部13は、上下方向に延びている。溝部13は、吸着ブラケット10の前面11aにおける左右方向の中央に配置されている。溝部13は、吸着ブラケット10の後面側に凹んでいる。
【0059】
第2アーム30は、溝部13の内部に配置されている。第2アーム30は、1本の金属製の線材で形成されている。第2アーム30(溝部13)は、左右方向において、2つの第1アーム20の間に配置されている。
【0060】
第2アーム30は、真直部35と、第2フック34と、を含む。真直部35は、吸着ブラケット10の前面11aにおける溝部13から、吸着ブラケット10から離れる外方向に、真直ぐに延びている。第2フック34は、第2アーム30の真直部35の先端部に、設けられている。第2フック34は、鉤状である。第2フック34は、吸着ブラケット10から離れる外方向に延びた後に、反転して吸着ブラケット10に近づく内方向に延びるように、曲がっている。
【0061】
第2アーム30は、溝部13における左右の溝内壁13aに対して、上下方向に回動可能である。左右の溝内壁13aには、第2アーム30における真直部35の基端部を回動支持する軸受部が、設けられている。
【0062】
第2アーム30の回動によって、吊下具1は、吸着モードM1(
図4)と、係合モードM2(
図5)と、を実施可能である。
【0063】
図4に示すように、吸着モードM1のとき、吸着ブラケット10は、被吸着体Bに吸着される。吸着モードM1のとき、第2フック34は、第2アーム30の回動によって、下側に位置付けられて、2つの第1フック22に近づく。
【0064】
吸着モードM1のとき、第2フック34は、2つの第1フック22の間に、挟まれる。吸着モードM1のとき、第2フック34と2つの第1フック22とは、左右方向に互いに並列している。
【0065】
吸着モードM1のとき、2つの第1フック22は、前側に臨む。吸着ブラケット10に対する各第1アーム20の軸回りFの回転によって、各第1フック22は、前側を向いたり、左右方向外側を向いたり、左右方向内側を向いたりする。吸着モードM1のとき、第2フック34は、前側に臨む。
【0066】
例えば、吸着モードM1において各第1フック22が左右方向外側を向いたとき、3つの吊下対象物Aは、第2フック34及び2つの第1フック22に、1つずつ、吊り下げられる。また、例えば、吸着モードM1において各第1フック22が前側ないし左右方向内側を向いたとき、1つの吊下対象物Aは、第2フック34及び2つの第1フック22の全体に亘って、吊り下げられる。
【0067】
図5に示すように、係合モードM2のとき、第2フック34は、第2アーム30の回動によって、上側に位置付けられて、2つの第1フック22から離れる。係合モードM2のとき、2つの第1フック22は、前側に臨む。係合モードM2のとき、2つの第1フック22に対して上側に離れた第2フック34は、後側に臨む。
【0068】
係合モードM2のとき、2つの第1フック22に対して上側に離れた第2フック34は、被係合体Cに係合される。係合モードM2のとき、吊下対象物Aは、2つの第1フック22の少なくともいずれかに、吊り下げられる。
【0069】
ここで、
図6は、反転モードM3における吊下具を示す。反転モードM3のとき、吸着ブラケット10は、係合モードM2のときに比較して、上下方向及び前後方向に反転している。反転モードM3のとき、マグネット12(吸着ブラケット10の後面側)は、前側に臨む。
【0070】
反転モードM3のとき、第2フック34は、2つの第1フック22に対して下側に位置する。反転モードM3のとき、2つの第1フック22は、後側に臨む。反転モードM3のとき、2つの第1フック22に対して下側に離れた第2フック34は、前側に臨む。
【0071】
反転モードM3のとき、2つの第1フック22は、被係合体Cに係合される。反転モードM3のとき、吊下対象物Aは、第2フック34に吊り下げられる。
【0072】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0073】
(第2実施形態の作用効果)
本実施形態によれば、次の通り、第1実施形態と同様の効果を、得ることができる。すなわち、状況に応じて様々な方法にて吊下対象物Aを吊り下げることが可能な吊下具1を、提供することができる。また、第2アーム30を吸着ブラケット10に対して回動させることによって、吸着モードM1のときであっても、第2フック34を遊ばせずに有効利用することができる。反転モードM3を適用することによって、マグネット12を、遊ばせずに有効利用することができる。
【0074】
さらに、本実施形態によれば、吸着モードM1のとき、第2フック34及び2つの第1フック22の計3つを、吊下対象物Aの吊り下げのために有効利用することができる。
【0075】
また、本実施形態によれば、吸着ブラケット10に対する各第1アーム20の軸回りFの回転によって、第1フック22の向きを、前側、左右方向外側及び左右方向内側などに、適宜変更することができる。
【0076】
これにより、3つの吊下対象物Aを第2フック34及び2つの第1フック22に1つずつ吊り下げたり、1つの吊下対象物Aを第2フック34及び2つの第1フック22の全体に亘って吊り下げたりするなど、種々の吊り下げパターンを実現することができる。
【0077】
<その他の実施形態>
以上、本開示を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0078】
吸着モードM1のとき、吊下対象物Aは、第2フック34のみに、吊り下げられてもよい。すなわち、吸着モードM1のとき、吊下対象物Aは、第1フック22に吊り下げ可能でさえあればよく、第2フック34のみに敢えて吊り下げても差し支えない。
【0079】
第1アーム20は、吸着ブラケット10の下面11e以外の面に、連結されてもよい。第2アーム30は、吸着ブラケット10の左面11b及び右面11c並びに前面11a(溝部13)以外に、連結されてもよい。
【0080】
第2アーム30は、ギアなどによって、吸着ブラケット10に対して段階的に回動してもよい。第2アーム30は、吸着ブラケット10に対して、回動不可能でもよい。第1アーム20は、吸着ブラケット10に対して、回動可能でもよい。
【0081】
第1アーム20及び第2アーム30は、金属製に限定されず、例えば樹脂製などでもよい。
【0082】
吸着手段12は、マグネットに限定されず、被吸着体Bに吸着し得るのであれば、いかなる構成でもよい。吸着手段12は、例えば吸盤でもよい。この場合、被吸着体Bは、平滑面を含むことが好ましい。吸着手段12は、粘着テープでもよい。この場合、被吸着体Bは、剥がれ落ちにくい材質で構成されることが好ましい。
【0083】
吸着ブラケット10は、略直方体状に限定されず、例えば円形状などでもよい。吸着ブラケット10の全体が、吸着手段12で構成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本開示は、吊下具に適用できるので、極めて有用であり、産業上の利用可能性が高い。
【符号の説明】
【0085】
M1 吸着モード
M2 係合モード
M3 反転モード
D1 回動方向
D2 直交方向(交差方向)
A 吊下対象物
B 被吸着体
C 被係合体
E 被吸着物
F 軸回り
1 吊下具
10 吸着ブラケット
11 シェル
12 マグネット(吸着手段)
13 溝部
20 第1アーム
22 第1フック
22a 嵌合部
30 第2アーム
34 第2フック
34a 一対の延在部