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特開2024-7461ホモジナイザ、削岩リグ、および試料抽出の方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007461
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】ホモジナイザ、削岩リグ、および試料抽出の方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/04 20060101AFI20240110BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20240110BHJP
   E21B 7/02 20060101ALI20240110BHJP
   E21B 25/00 20060101ALI20240110BHJP
   E21B 49/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
G01N1/04 F
G01N1/02 A
G01N1/04 U
E21B7/02
E21B25/00
E21B49/02
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023106720
(22)【出願日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】22182453
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】515277780
【氏名又は名称】サンドヴィック マイニング アンド コンストラクション オーワイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】マンッタリ, マウヌ
(72)【発明者】
【氏名】コイヴォコンナス, ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】トゥーミネン, ラッセ
(72)【発明者】
【氏名】ラウテ, ラミ
【テーマコード(参考)】
2D129
2G052
【Fターム(参考)】
2D129AA04
2D129AB25
2D129BA26
2D129BB01
2D129DB05
2D129DC07
2G052AA19
2G052AC03
2G052AD12
2G052AD24
2G052AD52
2G052BA29
2G052CA03
2G052CA14
2G052EC07
2G052FD08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】削岩リグの集塵システムに取り付けられることを意図したホモジナイザに関する。フロー中の掘削破砕片の粒子分布を均質化すること。
【解決手段】フローを均質化するためのホモジナイザ、削岩リグ、および試料を採取するための方法である。ホモジナイザ(18)は、削岩リグの集塵システムに取付け可能であり、かつ、空気および掘削破砕片を含有するフローに作用を及ぼすためのものである。ホモジナイザは、フローが導かれるチャネル部(23)と、空気吹付けをフローに導いてフローに乱流を発生させ、それによってフロー中の掘削破砕片の粒子分布を均質化するための少なくとも1つの空気噴射機(24)とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気および掘削破砕片を含有するフローを均質化するためのものであり、かつ削岩リグ(1)の集塵システム(10)に取付け可能であるホモジナイザ(18)であって、
前記ホモジナイザ(18)が、前記フローが導かれるチャネル部(23)と、空気吹付け(25)を前記フローに導いて前記フローに乱流(26)を発生させ、それによって前記フロー中の前記掘削破砕片の粒子分布を均質化するための、前記チャネル部(23)の内面に配置される少なくとも1つの空気噴射機(24)とを備えること
を特徴とする、ホモジナイザ。
【請求項2】
前記チャネル部(23)が屈曲部(27)を含み、前記少なくとも1つの空気噴射機(24)が前記屈曲部(27)に位置付けられること
を特徴とする、請求項1に記載のホモジナイザ。
【請求項3】
前記チャネル部(23)が、内側湾曲部(28)および外側湾曲部(29)を有する屈曲部(27)を含み、前記少なくとも1つの空気噴射機(24)が、前記屈曲部(27)の前記外側湾曲部(29)に設けられること
を特徴とする、請求項1または2に記載のホモジナイザ。
【請求項4】
前記ホモジナイザ(18)が、前記チャネル部(23)の横断面に複数の空気噴射機(24)を備え、それによって、前記複数の空気噴射機(24)が、互いに対して異なる径方向に配向されること
を特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のホモジナイザ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの空気噴射機(24)の前記空気吹付け(25)の規模が、制御ユニット(CU)による制御下で制御可能であること
を特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のホモジナイザ。
【請求項6】
削岩リグ(1)であって、
可動運搬機(2)と、
前記可動運搬機(2)に取り付けられ、削岩機(6)を設けた削岩ユニット(4)を備える少なくとも1つの掘削ブーム(3)と、
掘削された穴の開口部(12)から掘削破砕片を除去するための集塵システム(10)であって、吸引ユニット(11)、集塵チュービング(13)、ならびに空気および前記掘削破砕片を含有するフローから固体粒子を分離するための少なくとも1つのセパレータ(15)が設けられた集塵システム(10)と、
前記フローの試料(SA)を採取するための少なくとも1つの試料抽出点(SP)と
を備え、
前記試料抽出点(SP)が、前記フローが常に前記試料抽出点(SP)において分離されないように前記セパレータ(15)の前に位置付けられ、
前記集塵システム(10)中では前記試料抽出点(SP)より前に、請求項1から5のいずれか一項に記載のホモジナイザ(18)が存在すること
を特徴とする、削岩リグ(1)。
【請求項7】
前記削岩リグ(1)が、空気圧を空気圧式システムに発生させるための少なくとも1つのコンプレッサ(CO)を備え、前記ホモジナイザ(18)が前記空気圧式システムに接続され、かつ少なくとも1つの制御バルブ(V)によって制御可能であること
を特徴とする、請求項6に記載の削岩リグ。
【請求項8】
削岩リグ(1)中での試料抽出の方法であって、
岩表面に掘削穴(5)を掘削すること、
前記掘削中に前記掘削穴の開口部(12)から生じた掘削破砕片を、集塵システム(10)によって収集すること、ならびに
前記掘削中に前記集塵システム(10)の試料抽出点(SP)において、空気および前記掘削破砕片を含有するフローの試料を採取すること
を含み、
前記集塵システム(10)に、前記試料抽出点(SP)より前でホモジナイザ(18)を設けること、
横断方向の空気吹付け(25)を前記フローに導き、それによって前記フロー中の掘削破砕片粒子を拡散させて前記フローの粒子分布を均一にすること、および
前記粒子の拡散の下流にて前記試料を採取すること
を特徴とする、方法。
【請求項9】
複数の前記空気吹付け(25)を異なる横断方向で前記フローの方に導くことによって、前記フロー中の前記固体粒子の拡散を制御すること
を特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記固体粒子の選択的に制御された拡散処置の間に、前記少なくとも1つの空気噴射機(24)に連続空気フローを送ること
を特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記固体粒子の拡散を実行するときに、圧力空気のパルスまたは衝撃を前記フローに導くこと
を特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削岩リグの集塵システムに取り付けられることを意図したホモジナイザに関する。
本ホモジナイザは、集塵システム内のフローの特性に影響を及ぼすように設計される。
【0002】
本発明はさらに、削岩リグ、および掘削破砕片の試料を採取する方法に関する。
【0003】
本発明の分野は、独立請求項の前文でより具体的に定められる。
【背景技術】
【0004】
鉱山および他の作業現場では、掘削穴を岩表面に掘削するために異なる種類の削岩リグが使用される。掘削プロセス中、掘削破砕片が掘削穴から流し出され、集塵システムによって掘削穴開口部から運び出される。掘削されている岩表面の粒子および特性を分析するには、空気と掘削破砕片の固体粒子とを含有するフローから、試料を採取する必要がある。固体粒子は集塵システム中で均一に分布しないため、良好な試料の採取は困難であることが留意されてきた。そのため、この問題を解決するために様々なフローホモジナイザ(flow homogenizers)が設計される。しかし、公知の解決策は、依然としていくつかの欠点を呈している。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、新規で改良されたホモジナイザ、削岩リグ、および試料を採取するための方法を提供することである。
【0006】
本発明によるホモジナイザは、装置に関する第1の独立請求項を特徴付ける特徴によって、特徴付けられる。
【0007】
本発明による削岩リグは、装置に関する第2の独立請求項を特徴付ける特徴によって、特徴付けられる。
【0008】
本発明による方法は、方法に関する独立請求項を特徴付ける特徴によって、特徴付けられる。
【0009】
本開示の解決策の概念は、削岩リグの集塵システムに、空気および掘削破砕片を含有するフローを均質化するためのホモジナイザを設けることができるということである。このホモジナイザは、フローが導かれるチャネル部と、空気吹付けをフローに導くためにチャネル部の内面に配置された1つまたは複数の空気噴射機とを備える。空気吹付けの目的は、フローに乱流を発生させ、それによってフロー中の掘削破砕片の粒子分布を均質化することである。換言すると、流路またはチャネル部の内部のフローは、サイズの異なる掘削破砕片粒子がより均一に拡散するように加圧空気をフローの横断方向に導くことによって、空気圧により乱される。
【0010】
本開示の解決策の利点は、サイズの異なる粒子が入口チューブ内でより均一に拡散する場合に、ホモジナイザの後で掘削破砕片の代表的試料を採取できるということである。このように、試料の品質を改良することができ、かつ、より正確で信頼性の高い分析結果を得ることができる。さらなる利点は、本開示の解決策が比較的単純かつ安価であるということである。この解決策は、いずれの可動要素も複雑な機構も伴わないため、耐久性があり信頼性も高い。ホモジナイザには、掘削破砕片粒子の摩耗に供された物理的物体は存在しない。本開示のホモジナイザはまた、様々な削岩リグの既存の集塵システムに対して容易に後付けすることができる。
【0011】
さらなる利点は、本開示の解決策が空気チャネルを物理的に狭窄することも、フローを絞ることもないということである。このように、チャネル内の望ましくないフロー抵抗を回避することができる。
【0012】
一実施形態によれば、空気噴射機の数は1つである。場合により、僅か1つの空気噴射機が、フローに必要な粒子拡散を生じさせるのに十分な場合がある。
【0013】
一実施形態によれば、ホモジナイザには複数の空気噴射機が存在してもよい。複数の空気噴射機が実装されると、ホモジナイザは多目的な制御が可能となり、様々なフローの状況に合わせることができる。
【0014】
一実施形態によれば、フローに導かれる空気吹付けの配向と規模は、個々の場合に応じて設計することができる。本開示の空気圧式拡散制御システムの特性を判定するために、フロー制御のシミュレーションおよびモデリングのプログラムを利用することができる。
【0015】
一実施形態によれば、空気噴射機は、噴射口が設けられたノズル要素を備えており、空気圧チャネルに接続可能である。このノズル要素は、チャネル部に空気噴射機を取り付けるための取付け要素をさらに備える。
【0016】
一実施形態によれば、空気噴射機は、複数の噴射口が設けられたノズル要素を備える。
【0017】
一実施形態によれば、チャネル部は屈曲部を含み、少なくとも1つの空気噴射機がこの屈曲部に位置付けられる。換言すると、空気吹付けは、屈曲部においてフローに導かれる。空気圧式制御による衝撃の効果は、衝撃が屈曲部で生じたときに増大することが、複数の実験で認められている。屈曲部の使用は、典型的には集塵のチューブおよびホースを角度位置、特にセパレータおよび他の装置の近くの領域に導く必要があることからも、有益である。屈曲部中で、粒子は屈曲部の外側湾曲部側に向かいフローの中で移動することが多く、それによって、粒子の慣性により生じるこの望ましくない現象は、空気吹付けを実行することによって補償することができる。
【0018】
一実施形態によれば、屈曲部は90°、または略90°であってもよい。屈曲部はまた、45~135°の間にあるいずれかの屈曲部であってもよい。
【0019】
一実施形態によれば、チャネル部またはチャネル部分は、場合によっては屈曲部が全くなくてもよく、それによって均質化セクションおよび均質化要素は、直線セクションに位置付けられる。
【0020】
一実施形態によれば、チャネル部は、内側湾曲部および外側湾曲部を有する屈曲部を含んでおり、少なくとも1つの空気噴射機は、屈曲部の外側湾曲部に設けられる。換言すると、空気吹付けは、固体粒子がフローに集中する傾向のある最も重要な点である、屈曲部の外側湾曲部に位置付けられる。空気吹付けを外側湾曲部側に導くことが有効であると見出されている。
【0021】
一実施形態によれば、空気噴射機は、屈曲部の外側湾曲部側にのみ位置付けられる。
【0022】
一実施形態によれば、ホモジナイザは、チャネル部の横断面に複数の空気噴射機を備えており、それによって複数の空気噴射機は、互いに対して異なる径方向に配向される。換言すると、所望の拡散作用を増大させるために、複数の空気圧式誘導流の複合効果をフローの固体粒子に導くことができる。
【0023】
一実施形態によれば、ホモジナイザは、フロー方向で見たときに互いに距離を置いて位置付けられた複数の空気噴射機を備える。換言すると、2つ、3つ、またはそれより多くの空気噴射機が続けて存在してもよい。
【0024】
一実施形態によれば、複数の空気噴射機の空気吹付けの規模は、制御ユニットによる制御下で制御することができる。このため、複数の空気吹付けの規模は、互いに等しいか、または異なっていてもよい。
【0025】
一実施形態によれば、ホモジナイザは、複数のノズルおよび噴射口を設けたノズル装置を備えてもよい。ノズル設定が異なる事前に組み立てられた様々なホモジナイザが存在してもよく、それにより、ホモジナイザの取付け、および起こり得る交換は、所望される場合には迅速かつ容易である。
【0026】
一実施形態によれば、複数の空気噴射機は、例えば、チャネル部の長手方向で見たときに互いに対して10~45°の角度間隔で配向されてもよい。空気噴射機間の角度間隔の大きさは同様であってもよく、または異なる傾斜度が実装されてもよい。
【0027】
一実施形態によれば、少なくとも1つの空気噴射機の空気吹付けの規模は、制御ユニットによる制御下で制御可能である。換言すると、制御ユニットは、空気吹付け、および試料採取処置を同調させることができる。試料抽出処置の開始前に、空気吹付けの実行を開始することが可能である。制御ユニットによって拡散と試料抽出との間でタイミングおよび協働を調整できるという利点がある。
【0028】
一実施形態によれば、少なくとも1つの空気噴射機の空気吹付けの規模は、圧力、もしくは流量、またはその両方を制御することによって制御され得る。
【0029】
一実施形態によれば、空気噴射機に使用される圧力の規模は、例えば3~10バールであってもよい。
【0030】
一実施形態によれば、ホモジナイザが複数の空気噴射機を備える場合、空気噴射機のそれぞれは、別々に制御可能とすることができる。このため、空気吹付けのタイミングのほか、空気吹付けの規模は、制御ユニットによって制御することができる。
【0031】
一実施形態によれば、制御ユニットは、削岩中に拡散および試料抽出処置を完全に自動制御することができる。
【0032】
一実施形態によれば、本開示の解決策は、可動運搬機と、可動運搬機に取り付けられ、削岩機を設けた削岩ユニットを備える少なくとも1つの掘削ブームと、掘削された穴の開口部から掘削破砕片を除去するための集塵システムであって、吸引ユニット、集塵チュービング、ならびに空気および掘削破砕片を含有するフローから固体粒子を分離するための少なくとも1つのセパレータを設けられた集塵システムと、フローの試料を採取するための少なくとも1つの試料抽出点とを備える削岩リグに関する。さらに、試料抽出点は、フローが常に試料抽出点において分離されないようにセパレータの前に位置付けられ、集塵システム中では試料抽出点より前にホモジナイザが存在する。ホモジナイザは、本明細書に開示される特徴および実施形態に従う。換言すると、試料抽出点は、フローに対するあらゆる分離処置が実行される前に位置付けられる。この利点は、試料から採取されるフローからは何も除去されないため、このフローにはすべての生じ得る粒子が含まれるということである。
【0033】
一実施形態によれば、本開示の解決策は、例えば生産掘削や探査掘削を含む、様々な種類の掘削の技法および目的で実施することができる。本解決策は、例えば、トップハンマー掘削、ダウンザホール(down-the-hole:DTH)掘削、および回転掘削とともに使用するのに適している。
【0034】
一実施形態によれば、集塵システムは、フローから固体粗粒子を分離するための第1のセパレータと、フローから固体微粒子を分離するための第2のセパレータとを備える。第1のセパレータは掘削ブーム上に位置付けられてもよく、一方で第2のセパレータは運搬機上に位置付けられてもよい。第1のセパレータは遠心分離器であってもよい。ホモジナイザおよび試料抽出点は、第1のセパレータの直前に位置付けられる。
【0035】
一実施形態によれば、削岩リグは、空気圧を空気圧式システムに発生させるための少なくとも1つのコンプレッサを備え、ホモジナイザは空気圧式システムに接続され、少なくとも1つの制御バルブによって制御可能である。
【0036】
一実施形態によれば、本開示の解決策はまた、削岩リグ中での試料抽出の方法にも関する。この方法は、岩表面に掘削穴を掘削すること、掘削中に掘削穴の開口部から生じた掘削破砕片を集塵システムによって収集すること、ならびに掘削中に集塵システムの試料抽出点において空気および掘削破砕片を含有するフローの試料を採取することを含む。本方法は、集塵システムに、試料抽出点より前でホモジナイザを設けること、横断方向の空気吹付けをフローに導き、それによってフロー中の掘削破砕片粒子を拡散させてフローの粒子分布を均一にすること、および先述の粒子の拡散の下流にて試料を採取することをさらに含む。換言すると、本方法は、フローの固体粒子に作用を及ぼすために、1つまたは複数の制御ガス流を、掘削破砕片粒子および空気のフローの横断方向で送ることを含む。このため、固体粒子は、空気吹付けの助けによって、接触が生じることなくフローに導くことができる。
【0037】
一実施形態によれば、本方法は、複数の空気吹付けを異なる横断方向でフローに向けて導くことによって、フロー中の固体粒子の拡散を制御することを含む。換言すると、固体粒子の拡散および分布は、配向の異なる複数の空気吹付けを実施することによって、増大させることができる。
【0038】
一実施形態によれば、本方法は、固体粒子の選択的に制御された拡散処置の間に、少なくとも1つの空気噴射機に連続空気フローを送ることを含む。換言すると、少なくとも1つの空気噴射機ノズルを通る連続空気フローが、試料抽出プロセス中に生じる。
【0039】
一実施形態によれば、本方法は、固体粒子の拡散を実行するときに、圧力空気のパルスまたは衝撃をフローに導くことを含む。換言すると、空気のパルスまたは衝撃は、場合により固体粒子の拡散に有益な場合がある。空気パルスは、例えば、フローに望ましい乱流を生じさせる場合がある。
【0040】
一実施形態によれば、複数の空気噴射機が存在する場合、空気噴射機のそれぞれは、同様の又は異なる空気パルスをフローに導くように配置することができる。
【0041】
上記で開示された実施形態は、必要とされる上記の特徴の実施形態を有する好適な解決策を作り上げるために組み合わされてもよい。
【0042】
一部の実施形態は、添付の図面においてより詳細に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】表面掘削用であって集塵システムおよび試料抽出手段が設けられている、削岩リグの概略側面図である。
図2】集塵システムの基本的要素、およびあらゆる分離処置を実行する前の試料抽出を示す概略図である。
図3】ホモジナイザの一部の特徴を示す概略図である。
図4】ホモジナイザのチャネル部、およびそれに対する空気噴射機配置の概略断面図である。
図5】ホモジナイザのチャネル部、およびそれに対する空気噴射機配置の概略断面図である。
図6】空気噴射機を設けた湾曲チャネル部の概略側面図である。
図7】空気噴射機を設けた湾曲チャネル部の概略側面図である。
図8】空気噴射機の一部の特徴の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図面は、分かりやすくするために、本開示の解決策の一部の実施形態を簡略化して示す。図面では、同様の参照符号は同様の要素を示す。
【0045】
図1は、可動運搬機2と、可動運搬機2に取り付けられた掘削ブーム3とを備える削岩リグ1を開示する。掘削ブーム3には、岩表面に掘削穴5を掘削するための削岩ユニット4が設けられる。削岩ユニット4は、フィードビーム7に移動可能に配置され得る削岩機6を備える。削岩機6は、衝撃装置および回転装置を備えてもよく、または代替的に、削岩機は回転式掘削機であり、いずれの衝撃装置も備えていなくてもよい。掘削ツール8が削岩機6に接続され、掘削ツール8は、1つまたは複数のドリルチューブと、その自由端にドリルビット9とを備え得る。掘削中、岩材が破壊され、掘削穴5に掘削破砕片が生じる。掘削破砕片は、掘削穴5から流し出す必要がある。典型的に、加圧空気がコンプレッサCOによって生成され、この加圧空気は掘削ツール8によって掘削穴5の底部に導かれ、それによって掘削破砕片が流し出される。掘削破砕片は、掘削破砕片が集塵チューブ13によって掘削穴開口部12から吸引できるように負圧を生成するための吸引ユニット11を備える、集塵収集システム10によって収集することができる。掘削穴開口部12に取付け可能であるとともに集塵チューブ13に接続されている、吸引バスケット14が存在してもよい。集塵システム10の主な目的は、掘削された対象物に対する視認性が良好であり、かつ掘削穴5から除去された大量の材料によって掘削プロセスに困難が生じないように、掘削破砕片を掘削穴開口部12から移送することである。しかし、集塵システム5はさらに、収集された材料を処理するための1つまたは複数のセパレータを備えてもよい。粗粒子を分離するための第1のセパレータ15、および微粒子を分離するための第2のセパレータ16が存在してもよい。第1のセパレータ15は、例えば、掘削ブーム3に取り付けられてもよく、遠心分離器を備えてもよい。第2のセパレータ16は、例えば、吸引ユニット11に接続して運搬機2に取り付けられてもよい。
【0046】
システム中の掘削破砕片および空気のフローから試料を採取するための試料抽出装置17は、第1のセパレータ15の前に配置されるので、あらゆる分離段階の前に位置付けられる。さらに、試料抽出装置17に導かれるフローを確実に集中させるために、ホモジナイザ18は試料抽出装置17の前に配置される。ホモジナイザ18は、フローから適切な試料を採取できるように、フロー中に掘削破砕片を拡散させる。ホモジナイザ18は加圧空気によって作動し、そのため加圧空気は、コンプレッサCOの出力ポート19からホモジナイザ18の圧力供給ライン20に搬送される。
【0047】
削岩リグ1は、動作およびアクチュエータを制御するための1つまたは複数の制御ユニットCUを備えてもよい。制御ユニットCUは、例えば、試料抽出装置17およびホモジナイザ18を制御し得る。一部の制御の状況と原理は、本明細書中で上記に開示される。制御ユニットは、入力コンピュータプログラムの製品またはアルゴリズムを実行するためのプロセッサを備えてもよく、感知データおよび入力制御パラメータを提供されてもよい。
【0048】
図2は、掘削穴開口部12から掘削破砕片を吸引するための集塵システム10を開示する。集塵システム10は、収集されたフローをホモジナイザ18によって試料抽出装置17に移送し、その後でセパレータ15のみに移送するための集塵チューブ13を備える。このため、試料抽出点SPは、ホモジナイザ18とセパレータ15との間に位置付けられる。試料SAは、計画された試料抽出のスケジュールまたは手順に従い、フローから採取される。試料SAは、オンライン21、または後に実験室22のいずれかで分析することができる。
【0049】
試料抽出装置17は、フローチャネルの内側に部分的に挿入可能であるとともに、収集対象の材料が試料抽出中に通過する開口部を設けた、チューブまたは試料抽出パイプを備えてもよい。採取された試料は、例えば、レセプタクルまたはバッグに保存することができる。
【0050】
図3は、ホモジナイザ18が、空気および掘削破砕片のフローを通過させて搬送するためのチャネル部23を備えることを開示する。チャネル部23には、空気吹付け25をフローの方に導き、それによってフローに望ましい乱流26を生じさせるための、1つまたは複数の空気噴射機24が設けられる。
【0051】
図4は、1つの空気噴射機24がチャネル部23の壁部に配置されるホモジナイザ18を開示する。コンプレッサCOからの加圧空気の供給は、制御ユニットCUにより制御され得るバルブVによって、制御することができる。図4は、フロー中の固体粒子Pが均一に分布していないため、空気吹付けを横断方向でフローに導くことによって粒子分布を改良する必要があることを示す。このように空気圧により粒子分離を制御した後、より容易で信頼性の高い試料抽出が可能となる。
【0052】
図5は、図4に開示されるのと同じ空気圧式制御の原理を開示するが、1つの空気噴射機の代わりに複数の空気噴射機が利用される。
【0053】
図6図7はともに、ホモジナイザ18のチャネル部23が、内側湾曲部28および外側湾曲部29を設けた屈曲部27を含むことを開示する。屈曲部27の外側湾曲部29には、1つまたは複数の空気噴射機24が取り付けられる。図6では、チャネル部23の断面は、異なる径方向角度に配置された、1つの空気噴射機24または複数の空気噴射機を含み得る。図7では、屈曲部27の長手方向に連続して配置された、複数の空気噴射機24が存在する。
【0054】
図8は、空気噴射機24が、フレーム31または本体と、フレームまたは本体をチャネル部に取り付けるための取付け要素32とを備えたノズル要素30を備え得ることを開示する。さらに、空気吹付けが導かれる、1つまたは複数の噴射口33が存在する。ノズル要素30には、圧力空気を供給するために空気圧チャネルにノズル要素を接続させるための、供給ポートまたは接続部34が設けられる。
【0055】
一例では、ノズル要素30の取付けは、チャネル部の壁部に穴を掘削すること、掘削された穴にノズル要素30を挿入すること、およびノズル要素30をねじ部材で適所に締結することを含む。最終的に、ノズル要素は空気圧チャネルに接続される。
【0056】
図面、および関連する説明は、本発明の概念を例示することのみを意図する。本発明は、その詳細において特許請求の範囲内で変動する場合もある。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気および掘削破砕片を含有するフローを均質化するためのものであり、かつ削岩リグ(1)の集塵システム(10)に取付け可能であるホモジナイザ(18)であって、
前記ホモジナイザ(18)が、前記フローが導かれるチャネル部(23)と、空気吹付け(25)を前記フローに導いて前記フローに乱流(26)を発生させ、それによって前記フロー中の前記掘削破砕片の粒子分布を均質化するための、前記チャネル部(23)の内面に配置される少なくとも1つの空気噴射機(24)とを備えること
を特徴とする、ホモジナイザ。
【請求項2】
前記チャネル部(23)が屈曲部(27)を含み、前記少なくとも1つの空気噴射機(24)が前記屈曲部(27)に位置付けられること
を特徴とする、請求項1に記載のホモジナイザ。
【請求項3】
前記チャネル部(23)が、内側湾曲部(28)および外側湾曲部(29)を有する屈曲部(27)を含み、前記少なくとも1つの空気噴射機(24)が、前記屈曲部(27)の前記外側湾曲部(29)に設けられること
を特徴とする、請求項1に記載のホモジナイザ。
【請求項4】
前記ホモジナイザ(18)が、前記チャネル部(23)の横断面に複数の空気噴射機(24)を備え、それによって、前記複数の空気噴射機(24)が、互いに対して異なる径方向に配向されること
を特徴とする、請求項1に記載のホモジナイザ。
【請求項5】
前記少なくとも1つの空気噴射機(24)の前記空気吹付け(25)の規模が、制御ユニット(CU)による制御下で制御可能であること
を特徴とする、請求項1に記載のホモジナイザ。
【請求項6】
削岩リグ(1)であって、
可動運搬機(2)と、
前記可動運搬機(2)に取り付けられ、削岩機(6)を設けた削岩ユニット(4)を備える少なくとも1つの掘削ブーム(3)と、
掘削された穴の開口部(12)から掘削破砕片を除去するための集塵システム(10)であって、吸引ユニット(11)、集塵チュービング(13)、ならびに空気および前記掘削破砕片を含有するフローから固体粒子を分離するための少なくとも1つのセパレータ(15)が設けられた集塵システム(10)と、
前記フローの試料(SA)を採取するための少なくとも1つの試料抽出点(SP)と
を備え、
前記試料抽出点(SP)が、前記フローが常に前記試料抽出点(SP)において分離されないように前記セパレータ(15)の前に位置付けられ、
前記集塵システム(10)中では前記試料抽出点(SP)より前に、請求項1から5のいずれか一項に記載のホモジナイザ(18)が存在すること
を特徴とする、削岩リグ(1)。
【請求項7】
前記削岩リグ(1)が、空気圧を空気圧式システムに発生させるための少なくとも1つのコンプレッサ(CO)を備え、前記ホモジナイザ(18)が前記空気圧式システムに接続され、かつ少なくとも1つの制御バルブ(V)によって制御可能であること
を特徴とする、請求項6に記載の削岩リグ。
【請求項8】
削岩リグ(1)中での試料抽出の方法であって、
岩表面に掘削穴(5)を掘削すること、
前記掘削中に前記掘削穴の開口部(12)から生じた掘削破砕片を、集塵システム(10)によって収集すること、ならびに
前記掘削中に前記集塵システム(10)の試料抽出点(SP)において、空気および前記掘削破砕片を含有するフローの試料を採取すること
を含み、
前記集塵システム(10)に、前記試料抽出点(SP)より前でホモジナイザ(18)を設けること、
横断方向の空気吹付け(25)を前記フローに導き、それによって前記フロー中の掘削破砕片粒子を拡散させて前記フローの粒子分布を均一にすること、および
前記掘削破砕片粒子の拡散の下流にて前記試料を採取すること
を特徴とする、方法。
【請求項9】
複数の前記空気吹付け(25)を異なる横断方向で前記フローの方に導くことによって、前記フロー中の前記掘削破砕片粒子の拡散を制御すること
を特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記掘削破砕片粒子の選択的に制御された拡散処置の間に、少なくとも1つの空気噴射機(24)に連続空気フローを送ること
を特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記掘削破砕片粒子の拡散を実行するときに、圧力空気のパルスまたは衝撃を前記フローに導くこと
を特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【外国語明細書】