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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074618
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/02 20060101AFI20240524BHJP
   B24B 23/02 20060101ALI20240524BHJP
   B23D 45/16 20060101ALI20240524BHJP
   B23B 45/02 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B25F5/02
B24B23/02
B23D45/16
B23B45/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185900
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】318001706
【氏名又は名称】京セラインダストリアルツールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】濱本 凌介
【テーマコード(参考)】
3C036
3C040
3C064
3C158
【Fターム(参考)】
3C036EE04
3C036EE18
3C040AA01
3C040DD01
3C040LL01
3C064AA03
3C064AA06
3C064AA08
3C064AB02
3C064AC02
3C064AC03
3C064BA01
3C064BA06
3C064BA13
3C064BB52
3C064BB61
3C064BB62
3C064BB72
3C064BB73
3C064BB76
3C064CA04
3C064CA08
3C064CA25
3C064CA26
3C064CB06
3C064CB11
3C064CB17
3C064CB32
3C064CB36
3C064CB64
3C064CB73
3C064CB91
3C158AA02
3C158AA14
3C158AA16
3C158AC03
3C158CB04
3C158CB05
(57)【要約】
【課題】小型化が容易であり、把持しやすい電動工具を実現する。
【解決手段】電動工具(1)であって、モータ(20)と、モータ(20)の駆動力により回転駆動する回転駆動部(40)と、モータ(20)の駆動力を回転駆動部(40)に伝達するギア(31)と、ギア(31)を収容するギアハウジング(30)と、モータ(20)およびギアハウジング(30)を収容するモータハウジング(10)と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータの駆動力により回転駆動する回転駆動部と、
前記モータの駆動力を前記回転駆動部に伝達するギアと、
前記ギアを収容するギアハウジングと、
前記モータおよび前記ギアハウジングを収容するモータハウジングと、を備えている、電動工具。
【請求項2】
前記モータハウジングは、第1ハウジング部と第2ハウジング部とで構成されており、
前記回転駆動部の回転軸の延伸方向を軸方向として、前記軸方向の一方を第1方向とし、他方を第2方向とすると、
前記第1ハウジング部が、前記ギアハウジングを前記第1方向側から保持し、かつ、
前記第2ハウジング部が、前記ギアハウジングを前記第2方向側から保持する、請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記軸方向に延伸する複数のネジをさらに備え、
少なくとも2つの前記ネジは、前記回転軸を挟んで位置しており、
前記ネジは各々、前記ギアハウジング、前記第1ハウジング部および前記第2ハウジング部のそれぞれと螺合している、請求項2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記ギアハウジングは、単一の部品により前記ギアを覆って収容する、請求項1に記載の電動工具。
【請求項5】
前記ギアハウジングは、金属製であり、前記ギアの回転駆動を停止する停止機構を有している、請求項1から4のいずれか1項に記載の電動工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、グラインダ、ドリルまたは丸ノコ等の、モータの駆動力により動作する電動工具が知られている。例えば、特許文献1には、モータを収容するインナハウジングと、当該インナハウジングの前側に連結されたギアハウジングと、を備えたグラインダが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-199627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インナハウジングとギアハウジングとの連結に、ネジ等の連結部材を用いることは、当該連結部材の位置によって電動工具の小型化を妨げる場合がある。また、ギアハウジングは、ギアの回転駆動により発熱すると、作業者が把持しにくくなる。
【0005】
本開示の一態様は、小型化が容易であり、把持しやすい電動工具を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る電動工具は、モータと、前記モータの駆動力により回転駆動する回転駆動部と、前記モータの駆動力を前記回転駆動部に伝達するギアと、前記ギアを収容するギアハウジングと、前記モータおよび前記ギアハウジングを収容するモータハウジングと、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、小型化が容易であり、把持しやすい電動工具を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係る電動工具を示す斜視図である。
図2】一実施形態に係る電動工具を示す平面図である。
図3】一実施形態に係る電動工具を示す右側面図である。
図4図2に示す電動工具のIV-IV線矢視断面図である。
図5】一実施形態に係る電動工具における、第1ハウジング部を取り外した状態を示す斜視図である。
図6】一実施形態に係る電動工具における、第2ハウジング部を取り外した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の一実施形態に係る電動工具について、図面を用いて説明する。但し、以下で参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものである。したがって、前記の電動工具は、本明細書にて参照する各図に示されていない任意の構成部材を備え得る。また、各図中の各部材の寸法は、実際の構成部材の寸法および各部材の寸法比率等を忠実に表したものではない。
【0010】
本実施形態では、電動工具として、砥石を備えるグラインダを例に挙げて説明する。しかしながら、本開示の一実施形態に係る電動工具の種類は特に限定されない。グラインダ以外の電動工具としては、例えば丸ノコまたはドリルが挙げられる。
【0011】
〔電動工具1の構成〕
図1から図6を参照して、本実施形態に係る電動工具1の構成について説明する。図1は、電動工具1の一例を示す斜視図である。図2は、図1に示す電動工具1の平面図である。図3は、図1に示した電動工具1の右側面図である。図4は、図2に示す電動工具1のIV-IV線矢視断面図である。図5は、図1に示す電動工具1の、第1ハウジング部11を取り外した状態における、ギアハウジング30の周辺部分を示す斜視図である。図6は、図1に示す電動工具1の、第2ハウジング部12を取り外した状態における、ギアハウジング30の周辺部分を示す斜視図である。図6は、砥石50および保護カバー51についても取り外した状態の電動工具1を示している。
【0012】
本明細書では、電動工具1の方向について、電動工具1の長手方向において砥石50が位置している側を、前側であり正面側、ハンドル15が位置している側を後側とし、電動工具1の長手方向を前後方向とする。また、電動工具1において、砥石50および保護カバー51が取り付けられている面を下面とし、図2に示されている面を上面とする。また、電動工具1を正面側から見て右側に位置する側面、つまり図3に示されている面を右側面とする。ただし、上述の方向は説明の便宜のために用いるものであり、電動工具1の方向を限定するものではない。
【0013】
図1から図4に示すように、電動工具1は、モータハウジング10と、モータ20と、ギアハウジング30と、回転駆動部40と、を備えている。また、電動工具1は、砥石50および保護カバー51を備えていてもよい。
【0014】
(モータハウジング)
モータハウジング10は、モータ20およびギアハウジング30を収容している。モータハウジング10は、中空の円筒状部材であってよい。また、モータハウジング10は、合成樹脂製または金属製であってよい。
【0015】
モータハウジング10は、第1ハウジング部11と第2ハウジング部12とにより構成されていてもよい。第1ハウジング部11は、モータハウジング10における上側の略半分を構成し、第2ハウジング部12は、モータハウジング10における下側の略半分を構成している。このように、モータハウジング10は、上下方向において2分割可能となっている。
【0016】
モータハウジング10は、第1ハウジング部11と第2ハウジング部12とが連結して中空の円筒状の形状を成し、モータ20およびギアハウジング30を収容する。第1ハウジング部11と第2ハウジング部12とは、ネジまたは係止ツメ等の連結部材により互いに固定されて連結していてよい。
【0017】
第1ハウジング部11は、モータ20およびギアハウジング30を上側から覆っている。また、第2ハウジング部12は、モータ20およびギアハウジング30を下側から覆っている。第1ハウジング部11は、平面視において、その外形がモータ20およびギアハウジング30の外形を包含する態様により、モータ20およびギアハウジング30を上側から覆う形状であってよい。また、第2ハウジング部12は、平面視において、その外形がモータ20およびギアハウジング30の外形を包含する態様により、モータ20およびギアハウジング30を下側から覆う形状であってよい。
【0018】
モータハウジング10は、このような形状の第1ハウジング部11および第2ハウジング部12と、さらに別のハウジング部とにより構成された、3つ以上の部品に分割可能な部材であってもよい。
【0019】
従来の電動工具では、ギアハウジングとモータハウジングとは独立して設けられ、ネジ止め等により連結されていた。小型の電動工具では、ギアハウジングとモータハウジングとの連結部分を含む部分を作業者が把持する場合があり、把持性を向上する観点において、従来の電動工具は小型化が困難であった。
【0020】
本実施形態に係る電動工具1のように、ギアハウジング30がモータハウジング10に収容されていれば、ギアハウジング30とモータハウジング10との連結部分もモータハウジング10に収容できる。そのため、電動工具1において作業者が把持する部分に当該連結部分が位置しないことから、電動工具1の小型化による作業者の把持性向上が可能となる。
【0021】
また、ギアハウジング30は、後述する各種ギアの回転駆動により生じる発熱によって、温度が上昇しやすい。ギアハウジング30がモータハウジング10に収容されていれば、モータハウジング10の外表面の温度は、温度上昇したギアハウジング30の温度よりも低くできる。そのため、作業者は、電動工具1におけるギアハウジング30が位置する部分を、モータハウジング10を介して把持しやすい。そのため、電動工具1を用いた作業における作業性を向上できる。
【0022】
モータハウジング10は、少なくとも1つの通気部13を有していてもよい。例えば、図3に示すように、モータハウジング10は、第1ハウジング部11の上面および第2ハウジング部12の下面に、それぞれ通気部13を有していてもよい。これらの通気部13はそれぞれ、複数の貫通孔がメッシュ状に位置するように構成されているが、これに限られない。通気部13は、例えば単一の貫通孔であってもよい。また、モータハウジング10は、第1ハウジング部11の上面および第2ハウジング部12の下面以外の位置に、さらに通気部13を有していてもよい。
【0023】
図4に示すように、モータハウジング10はファン24を収容していてもよい。ファン24は、回転駆動することで気流を発生させ、モータ20およびギアハウジング30等の、モータハウジング10に収容されている各種部材を冷却する。ファン24は、例えば、電動工具1の後方から前方に向かって流れる気流を発生させることで、通気部13からモータハウジング10の内部に気体を流入させてもよい。
【0024】
モータ20およびギアハウジング30は、いずれもモータハウジング10に収容されている。そのため、同じくモータハウジング10に収容されているファン24により、モータ20およびギアハウジング30の両方の部材を効率的に冷却できる。モータハウジング10が収容するファン24は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0025】
モータハウジング10は、左右の側面にそれぞれブラシキャップ23を備えていてもよい。ブラシキャップ23は、モータ20と通電するカーボンブラシ(不図示)を覆う部材であってよい。このような構成によれば、カーボンブラシの点検および交換等のメンテナンスが容易になる。
【0026】
モータハウジング10の背面には、スイッチレバー14およびハンドル15が位置していてもよい。スイッチレバー14は、モータ20の駆動を切り替えるためのレバーである。スイッチレバー14は、例えば、上向きまたは下向きに傾けることで、モータ20の駆動のオン・オフを切り替える部材であってよい。また、スイッチレバー14は、例えば傾ける角度または傾ける方向により、モータ20の回転数を変更可能に構成されていてもよい。また、電動工具1は、スイッチレバー14に代えて、モータ20の駆動を切り替えるためのスイッチボタンまたはスライドスイッチ等を備えていてもよい。
【0027】
ハンドル15は、モータハウジング10の背面から、後側に向かって突出して延伸している。電動工具1を使用する作業者は、例えば、片手でハンドル15を把持し、もう一方の手でモータハウジング10を把持することができる。また、作業者は、ハンドル15を把持しながら、ハンドル15を把持する手の親指等によりスイッチレバー14を操作できる。ハンドル15は、モータハウジング10の背面に限られず、モータハウジング10のいずれの面に取り付けられていてもよい。
【0028】
(モータ)
モータ20は、駆動力として回転駆動力を発生する部材である。図4に示すように、モータ20はモータシャフト21を有している。モータ20は、モータシャフト21を回転駆動する。モータシャフト21は、前側の端部にピニオンギア22を有していてもよい。モータシャフト21における、ピニオンギア22を含む一部は、ギアハウジング30に収容されていてもよい。
【0029】
(ギアハウジングおよび回転駆動部)
ギアハウジング30は、モータ20の駆動力を回転駆動部40に伝達するギアを収容している。電動工具1において、ギアハウジング30は、前記ギアとしてピニオンギア22およびベベルギア31を収容しているが、ギアハウジング30は、少なくとも1つのギアを収容していればよい。
【0030】
ベベルギア31は、平面視において円形を成す円板状の部材であってよい。ベベルギア31は、平面視における外周部分に、全周に亘って上方に突出する歯状の凹凸を有しており、ギアとして機能する。ベベルギア31の当該凹凸は、ピニオンギア22における歯状の凹凸と咬合する。
【0031】
ベベルギア31は、回転駆動部40と接続しており、回転駆動部40は、ベベルギア31の回転駆動と連動して回転駆動してよい。ベベルギア31の回転軸は、回転駆動部40の回転軸41と共通であってよく、回転駆動部40は、ベベルギア31のギアシャフトを構成していてもよい。また、回転駆動部40の一部は、平面視において回転駆動部40を囲んで位置するベアリング42と接触していてもよい。ベアリング42は、例えばボールベアリングであり、回転駆動部40の回転駆動を円滑化する部材であってよい。
【0032】
回転駆動部40は、モータ20の駆動力により回転駆動する。図4に示すように、回転駆動部40の回転軸41は、モータシャフト21の回転軸の延伸方向とは異なる方向に延伸していてもよい。モータ20の駆動力は、モータシャフト21の回転駆動力として発生し、ピニオンギア22およびベベルギア31を介して、回転駆動部40に伝達される。
【0033】
回転駆動部40は、回転軸41を軸として回転駆動する。回転駆動部40の下側の端部には、着脱可能な工具として砥石50が取り付けられていてよい。砥石50は、回転駆動部40の回転駆動と連動して回転駆動する。砥石50の回転軸は、回転駆動部40の回転軸41と共通であってよい。このような砥石50を電動工具1に取り付けることで、回転駆動する砥石50に作業対象物を接触させて当該作業対象物を研削できる。
【0034】
また、回転駆動する砥石50から作業者を保護するため、第2ハウジング部12には保護カバー51が取り付けられていてもよい。保護カバー51は、例えば、砥石50の少なくとも後側半分を覆う形状であってよい。このような保護カバー51によれば、作業者がモータハウジング10を把持した状態において、回転駆動する砥石50と作業者の手とが接触する恐れを低減できる。また、砥石50により作業対象物を研削することで発生する切削片または粉塵等が、作業者に向かって飛び散る恐れを低減できる。
【0035】
回転駆動部40には、電動工具1の種類に応じた工具が着脱可能に取り付けられていてよい。例えば、電動工具1がグラインダではなく丸ノコである場合には、回転駆動部40には、工具として円形の鋸歯が取り付けられていてもよい。
【0036】
回転軸41の延伸方向を軸方向として、当該軸方向の一方を第1方向とし、他方を第2方向とする。このとき、第1ハウジング部11は、ギアハウジング30を第1方向側から保持している。また、第2ハウジング部12は、ギアハウジング30を第2方向側から保持している。
【0037】
本明細書において、前記の軸方向は電動工具1の上下方向に対応する。また、軸方向の一方である第1方向は電動工具1の上方向に、軸方向の他方である第2方向は電動工具1の下方向に、それぞれ対応する。ただし、この対応関係は説明の便宜上のものであり、軸方向、第1方向および第2方向を限定するものではない。
【0038】
電動工具1の使用において、回転駆動部40に回転駆動力を伝達するギアハウジング30には、回転駆動部40の軸方向に力がかかりやすい。例えば、電動工具1のモータハウジング10とは異なり、左右方向に分割される従来のモータハウジングの場合、左右のハウジング部はそれぞれ、ギアハウジング30の左側部分または右側部分のみを固定可能である。この場合、回転駆動部40の軸方向への力がかかったギアハウジング30を安定して保持するためには、従来のモータハウジングにおける左右両方のハウジング部が、互いに強固に固定されており、位置ずれ等も生じていない状態であることが要求される。
【0039】
実際には、従来のモータハウジングにおいて、製造誤差または使用回数の蓄積による、左右のハウジング部の位置ずれ等の発生は回避困難である。そのため、回転駆動部40が回転駆動した状態において、従来のモータハウジングでは、回転駆動部40と接続しているギアハウジング30を安定して保持しにくく、ギアハウジング30にガタつき等が生じる場合がある。
【0040】
電動工具1のように、第1ハウジング部11および第2ハウジング部12がそれぞれ、ギアハウジング30を上下から保持する構成によれば、第1ハウジング部11および第2ハウジング部12は、それぞれが単独でギアハウジング30を安定して保持できる。そのため、回転駆動部40の回転駆動によって生じるギアハウジング30のガタつき等を低減できる。
【0041】
図5および図6に、モータハウジング10とギアハウジング30との固定態様の一例を示す。電動工具1は、回転駆動部40の軸方向に延伸する複数のネジ60を備えていてもよい。そして、少なくとも2つのネジ60は、回転軸41を挟んで位置していてもよい。図5および図6に示す例では、電動工具1が4つのネジ60を備えている。これらのネジ60は、2つずつそれぞれ対となっている。対となる2つのネジ60は、平面視において、回転駆動部40の回転軸41を挟んで位置している。
【0042】
ただし、「2つのネジ60が回転軸41を挟んで位置する」とは、平面視において、2つのネジ60の中心点同士を結ぶ直線上に回転軸41が位置することを要さない。回転軸41は、おおよそ2つのネジ60の間に位置していればよい。例えば、平面視において、2つのネジ60各々と回転軸41との間の長さがいずれも、2つのネジ60の間の長さよりも短い関係が成立する場合に、「2つのネジ60が回転軸41を挟んで位置する」といえる。
【0043】
ネジ60は各々、ギアハウジング30、第1ハウジング部11および第2ハウジング部12のそれぞれと螺合していてもよい。例えば、第1ハウジング部11が第1ネジ孔61を備え、ギアハウジング30が第2ネジ孔62を備え、第2ハウジング部12が第3ネジ孔63を備えていてもよい。第1ネジ孔61、第2ネジ孔62および第3ネジ孔63は、ネジ60の数と対応する数となるよう、それぞれ複数設けられていてもよい。各ネジ60は、第1ネジ孔61、第2ネジ孔62および第3ネジ孔63に挿通されることで、ギアハウジング30は、第1ハウジング部11および第2ハウジング部12のそれぞれと螺合していてもよい。
【0044】
このような構成によれば、回転軸41を挟んで位置する少なくとも2つのネジ60により、ギアハウジング30を、第1ハウジング部11および第2ハウジング部12のそれぞれに対して安定して固定できる。また、電動工具1の製造工程において、回転軸41を挟んで位置する2つのネジ60を共締めすることで、ギアハウジング30と、第1ハウジング部11および第2ハウジング部12とを、互いに、安定して強固に固定できる。これにより、回転駆動部40の回転駆動によるギアハウジング30のガタつき等を低減できる。
【0045】
また、ネジ60と螺合する第1ネジ孔61、第2ネジ孔62および第3ネジ孔63をいずれも、モータハウジング10の内部に配置できる。そのため、モータハウジング10とギアハウジング30との固定部分を、モータハウジング10において作業者が把持する部分以外に配置することが容易である。これにより、電動工具1の小型化による作業者の把持性向上が可能となる。
【0046】
ギアハウジング30は、単一の部品によりベベルギア31を覆って収容していてもよい。言い換えれば、ギアハウジング30は、単一の部品により連続的に形成された、一体部品であってもよい。
【0047】
電動工具1において、ギアハウジング30は、モータハウジング10に収容されている。そのため、ベベルギア31の一部を、ギアハウジング30ではなくモータハウジング10により覆う構成とすることができる。
【0048】
例えば、図5および図6に示すように、ギアハウジング30は、ベベルギア31の上面と側面の全周とを覆って収容しており、ベベルギア31の下面は、モータハウジング10により覆われていてもよい。この場合、ベベルギア31をギアハウジング30に収容するために、製造上の観点から、ギアハウジング30を例えば2分割とする必要がない。このように、ギアハウジング30を単一の部品として一体的に形成し、当該単一の部品がベベルギア31を覆って収容する構成によれば、ギアハウジング30の製造コストを低減できる。
【0049】
ベベルギア31の下面がモータハウジング10により覆われる場合、ベベルギア31の下面およびベアリング42の少なくとも一部が、モータハウジング10により覆われていればよい。モータハウジング10の下面からは、回転駆動部40の一部であって、砥石50等の工具が取り付けられる部分が露出していてもよい。
【0050】
(停止機構)
ギアハウジング30は、金属製であってよい。また、ギアハウジング30は、ベベルギア31の回転駆動を停止する停止機構32を有していてもよい。具体的には、停止機構32は、ギアハウジング30に保持されていてもよい。停止機構32は、ベベルギア31の回転駆動を停止することで、ピニオンギア22の回転駆動についても停止できる。
【0051】
ギアハウジング30の材料となる金属としては、特に限定されないが、例えば、鉄、アルミニウム、銅およびニッケル、またはこれらのいずれかを主成分として含む合金であってよい。ギアハウジング30の強度および軽量化の観点から、ギアハウジング30の材料となる金属は、アルミニウム合金であってよい。
【0052】
停止機構32は、モータハウジング10およびギアハウジング30の上面において露出するボタン部と、ボタン部から下方向に延伸するピンとを有していてよい。また、ベベルギア31は、平面視において回転軸41とは重ならない位置に、下方向に窪んだ円形等の溝を有していてもよい。停止機構32は、ボタン部が下方向に押し込まれることでピンが下方向に移動し、ピンの先端がベベルギア31の溝に挿入されて、ベベルギア31の回転駆動を機械的に停止して動かないようにする機構であってよい。また、停止機構32は、別の公知の構造によりベベルギア31の回転駆動を機械的に停止する機構であってもよい。
【0053】
停止機構32には、ベベルギア31が回転駆動しようとする動きを停止することで、大きな力がかかる。ギアハウジング30が、このような停止機構32を有していれば、停止機構32にかかる力によって電動工具1のモータハウジング10等が破損する恐れを低減できる。また、ギアハウジング30が金属製であれば、ギアハウジング30自体についても、ベベルギア31および回転駆動部40の回転駆動によって生じる力により破損する恐れを低減できる。
【0054】
(その他の構造)
モータハウジング10は、回路部70が内部に位置していてもよい。回路部70は、モータ20よりも後方に位置していてもよい。回路部70は、モータ20の駆動を制御する、回路基板等の電子部品および配線等を収容する部分であってよい。回路部70には、例えば、スイッチング素子を有する回路基板が収容されていてよい。また、回路部70は、このような回路基板を冷却するためのヒートシンク等を有していてもよい。
【0055】
回路部70は、通気部13とファン24との間に位置していてもよい。このような構成によれば、通気部13から流入した気体により、回路基板等を効率的に冷却できる。また、回路部70は、モータ20またはギアハウジング30よりも通気部13の近傍に位置していてもよい。このような構成によれば、通気部13から流入した気体は、モータ20またはギアハウジング30の熱により昇温する前に回路部70を通過するため、回路基板等を効率的に冷却できる。
【0056】
また、モータハウジング10は、電動工具1をコードレスで駆動するためのバッテリを収容していてもよい。このようなバッテリは、回路部70に位置していてもよく、モータ20の近傍に位置していてもよい。また、電動工具1は、モータハウジング10の内部ではなく、外部に外付けの態様によりバッテリを備えていてもよい。また、電動工具1は、バッテリから電力供給を受けるのではなく、外部電源との有線接続により電力供給を受けることで駆動してもよい。
【0057】
〔まとめ〕
本開示の態様1に係る電動工具は、モータと、前記モータの駆動力により回転駆動する回転駆動部と、前記モータの駆動力を前記回転駆動部に伝達するギアと、前記ギアを収容するギアハウジングと、前記モータおよび前記ギアハウジングを収容するモータハウジングと、を備えている。
【0058】
本開示の態様2に係る電動工具は、前記態様1において、前記モータハウジングは、第1ハウジング部と第2ハウジング部とで構成されており、前記回転駆動部の回転軸の延伸方向を軸方向として、前記軸方向の一方を第1方向とし、他方を第2方向とすると、前記第1ハウジング部が、前記ギアハウジングを前記第1方向側から保持し、かつ、前記第2ハウジング部が、前記ギアハウジングを前記第2方向側から保持してもよい。
【0059】
本開示の態様3に係る電動工具は、前記態様1または2において、前記軸方向に延伸する複数のネジをさらに備え、少なくとも2つの前記ネジは、前記回転軸を挟んで位置しており、前記ネジは各々、前記ギアハウジング、前記第1ハウジング部および前記第2ハウジング部のそれぞれと螺合していてもよい。
【0060】
本開示の態様4に係る電動工具は、前記態様1から3のいずれかにおいて、前記ギアハウジングは、単一の部品により前記ギアを覆って収容していてもよい。
【0061】
本開示の態様5に係る電動工具は、前記態様1から4のいずれかにおいて、前記ギアハウジングは、金属製であり、前記ギアの回転駆動を停止する停止機構を有していてもよい。
【0062】
〔付記事項〕
以上、本開示に係る発明について、諸図面および実施例に基づいて説明してきた。しかし、本開示に係る発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。すなわち、本開示に係る発明は本開示で示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示に係る発明の技術的範囲に含まれる。つまり、当業者であれば本開示に基づき種々の変形または修正を行うことが容易であることに注意されたい。また、これらの変形または修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。
【符号の説明】
【0063】
1 電動工具
10 モータハウジング
11 第1ハウジング部
12 第2ハウジング部
20 モータ
22 ピニオンギア
30 ギアハウジング
31 ベベルギア
32 停止機構
40 回転駆動部
41 回転軸
60 ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6