(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074619
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
G03G21/00 386
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185902
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中井 大介
(72)【発明者】
【氏名】木内 豊
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智久
【テーマコード(参考)】
2H270
【Fターム(参考)】
2H270LA02
2H270LA18
2H270LA20
2H270LA24
2H270LD03
2H270LD06
2H270LD08
2H270LD14
2H270MB25
2H270MB27
2H270MB36
2H270MH16
2H270QA21
2H270QB01
2H270RB09
2H270RC02
2H270RC03
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC08
(57)【要約】
【課題】濃度むらの原因箇所を示す情報を出力することが可能な画像形成装置を提供することである。
【解決手段】中間転写ベルト16の軸方向に、ベルト上濃度センサ204が複数設けられている。複数のベルト上濃度センサ204により、中間転写ベルト16に一次転写されたトナー像の濃度が中間転写ベルト16の幅方向に渡って複数検出される。CPU21は、複数のベルト上濃度センサ204により検出された複数の濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第一の濃度状態の場合に、二次転写処理以降の処理において濃度むらの原因があることを示す情報を出力し、第一の濃度状態とは反対の状態である第二の濃度状態の場合には、二次転写処理より前の処理において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間転写体の軸方向に複数設けられ、前記中間転写体に一次転写された現像剤像の濃度をそれぞれ検出する複数の中間転写体濃度センサと、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
記録媒体上に濃度むらが発生した場合に、前記複数の中間転写体濃度センサによりそれぞれ検出された濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第一の濃度状態の場合に、前記中間転写体に一次転写された現像剤像を記録媒体に転写する二次転写処理以降の処理において濃度むらの原因があることを示す情報を出力し、前記第一の濃度状態とは反対の状態である第二の濃度状態の場合に、前記二次転写処理より前の処理において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する、
画像形成装置。
【請求項2】
定着装置の軸方向に複数設けられ、前記定着装置の温度をそれぞれ検出する複数の温度センサと、を備え、
前記プロセッサは、前記二次転写処理以降の処理において濃度むらの原因があると特定された場合、前記複数の温度センサによりそれぞれ検出された温度値のうち、最大温度値と最小温度値との関係性が、第一の温度状態の場合に、前記定着装置において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、前記複数の温度センサによりそれぞれ検出された温度値のうち、最大温度値と最小温度値との関係性が、前記第一の温度状態とは反対の状態である第二の温度状態の場合に、前記定着装置の記録媒体の搬送方向下流側における処理、又は前記二次転写処理を行う二次転写装置において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
感光体の軸方向に複数設けられ、前記感光体の表面電位をそれぞれ検出する複数の電位センサと、を備え、
前記プロセッサは、前記二次転写処理より前の処理において濃度むらの原因があると特定された場合、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光しない状態において前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、第一の電位状態の場合に、前記帯電装置又は前記感光体において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光しない状態において前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、前記第一の電位状態とは反対の第二の電位状態の場合に、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光した状態における前記複数の電位センサによる検出結果を用いて、濃度むらの原因箇所を示す情報を出力する、
請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光した状態における前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、第三の電位状態の場合に、前記露光装置において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する、
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
現像装置内の軸方向に複数設けられ、前記現像装置内の現像剤濃度をそれぞれ検出する複数の現像剤濃度センサと、を備え、
前記プロセッサは、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光した状態において前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、前記第三の電位状態とは反対の状態である第四の電位状態の場合に、前記複数の現像剤濃度センサによる検出結果を用いて、濃度むらの原因箇所を示す情報を出力する、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記複数の現像剤濃度センサによりそれぞれ検出された濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第三の濃度状態の場合に、前記現像装置又は前記中間転写体に現像剤像を一次転写する一次転写装置が濃度むらの原因であることを示す情報を出力する、
請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記複数の現像剤濃度センサによりそれぞれ検出された濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、前記第三の濃度状態とは反対の状態である第四の濃度状態の場合に、前記現像装置における現像剤の攪拌不足が原因であることを示す情報を出力する、
請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、前記複数の中間転写体濃度センサによりそれぞれ検出された複数色の濃度値のうち、ある特定の色における最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第五の濃度状態の場合に、前記ある特定の色における像形成部において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記ある特定の色における像形成部における濃度むらの原因として、前記ある特定の色における一次転写装置、感光体、現像装置、帯電装置、露光装置の少なくともいずれかに原因があることを示す情報を出力する、
請求項10に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トナー像を画像読取部に読み取らせて得た濃度値群の最低濃度値を示す最低濃度値信号をコントロール部の現像制御コントローラに供給し、その最低濃度値信号と現像制御コントローラのメモリに記憶される最高濃度部の理想値との偏差を低減させるように画像形成条件を制御する画像形成装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像形成ユニットが複数設けられた画像形成装置では、複数の画像形成ユニットによりトナー像を中間転写体に一次転写し、中間転写体に一次転写されたトナー像を印刷用紙等の記録媒体に二次転写することにより画像形成が行われる。このような画像形成装置において、画像形成ユニットや定着装置等に複数のロールが用いられる。これらのロールの主走査方向に何らかの均一でない状態が発生すると、画像の濃度むらの原因となる。このように、画像形成装置では、複数のロールが用いられるために、記録媒体上に濃度むらが発生した場合でも、濃度むらの原因箇所を特定することはできない。
【0005】
本発明の目的は、濃度むらの原因箇所を示す情報を出力することが可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様の画像形成装置は、中間転写体の軸方向に複数設けられ、前記中間転写体に一次転写された現像剤像の濃度をそれぞれ検出する複数の中間転写体濃度センサと、プロセッサを備え、前記プロセッサは、記録媒体上に濃度むらが発生した場合に、前記複数の中間転写体濃度センサによりそれぞれ検出された濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第一の濃度状態の場合に、前記中間転写体に一次転写された現像剤像を記録媒体に転写する二次転写処理以降の処理において濃度むらの原因があることを示す情報を出力し、前記第一の濃度状態とは反対の状態である第二の濃度状態の場合に、前記二次転写処理より前の処理において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する。
【0007】
本発明の第2態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、定着装置の軸方向に複数設けられ、前記定着装置の温度をそれぞれ検出する複数の温度センサと、を備え、前記プロセッサは、前記二次転写処理以降の処理において濃度むらの原因があると特定された場合、前記複数の温度センサによりそれぞれ検出された温度値のうち、最大温度値と最小温度値との関係性が、第一の温度状態の場合に、前記定着装置において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する。
【0008】
本発明の第3態様の画像形成装置は、第2態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、前記複数の温度センサによりそれぞれ検出された温度値のうち、最大温度値と最小温度値との関係性が、前記第一の温度状態とは反対の状態である第二の温度状態の場合に、前記定着装置の記録媒体の搬送方向下流側における処理、又は前記二次転写処理を行う二次転写装置において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する。
【0009】
本発明の第4態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、感光体の軸方向に複数設けられ、前記感光体の表面電位をそれぞれ検出する複数の電位センサと、を備え、前記プロセッサは、前記二次転写処理より前の処理において濃度むらの原因があると特定された場合、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光しない状態において前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、第一の電位状態の場合に、前記帯電装置又は前記感光体において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する。
【0010】
本発明の第5態様の画像形成装置は、第4態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光しない状態において前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、前記第一の電位状態とは反対の状態である第二の電位状態の場合に、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光した状態における前記複数の電位センサによる検出結果を用いて、濃度むらの原因箇所を示す情報を出力する。
【0011】
本発明の第6態様の画像形成装置は、第5態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光した状態における前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、第三の電位状態の場合に、前記露光装置において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する。
【0012】
本発明の第7態様の画像形成装置は、第6態様の画像形成装置において、現像装置内の軸方向に複数設けられ、前記現像装置内の現像剤濃度をそれぞれ検出する複数の現像剤濃度センサと、を備え、前記プロセッサは、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光した状態において前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、前記第三の電位状態とは反対の状態である第四の電位状態の場合に、前記複数の現像剤濃度センサによる検出結果を用いて、濃度むらの原因箇所を示す情報を出力する。
【0013】
本発明の第8態様の画像形成装置は、第7態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、前記複数の現像剤濃度センサによりそれぞれ検出された濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第三の濃度状態の場合に、前記現像装置又は前記中間転写体に現像剤像を一次転写する一次転写装置が濃度むらの原因であることを示す情報を出力する。
【0014】
本発明の第9態様の画像形成装置は、第8態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、前記複数の現像剤濃度センサによりそれぞれ検出された濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、前記第三の濃度状態と反対の状態である第四の濃度状態の場合に、前記現像装置における現像剤の攪拌不足が原因であることを示す情報を出力する。
【0015】
本発明の第10態様の画像形成装置は、第1態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、前記複数の中間転写体濃度センサによりそれぞれ検出された複数色の濃度値のうち、ある特定の色における最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第五の濃度状態の場合に、前記ある特定の色における像形成部において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する。
【0016】
本発明の第11態様の画像形成装置は、第10態様の画像形成装置において、前記プロセッサは、前記ある特定の色における像形成部における濃度むらの原因として、前記ある特定の色における一次転写装置、感光体、現像装置、帯電装置、露光装置の少なくともいずれかに原因があることを示す情報を出力する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所を示す情報を出力することができる。
【0018】
本発明の第2態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が定着装置であることを示す情報を出力することができる。
【0019】
本発明の第3態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、定着装置の記録媒体の搬送方向下流側の処理、又は二次転写装置であることを示す情報を出力することができる。
【0020】
本発明の第4態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が帯電装置又は感光体であることを示す情報を出力することができる。
【0021】
本発明の第5態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が露光装置であるか否かを示す情報を出力することができる。
【0022】
本発明の第6態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が露光装置であることを示す情報を出力することができる。
【0023】
本発明の第7態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、現像装置又は一次転写装置であるか否かを示す情報を出力することができる。
【0024】
本発明の第8態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、現像装置又は一次転写装置であることを示す情報を出力することができる。
【0025】
本発明の第9態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、現像剤の攪拌不足であることを示す情報を出力することができる。
【0026】
本発明の第10態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、ある特定の色の像形成部であることを示す情報を出力することができる。
【0027】
本発明の第11態様の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、ある特定の色における一次転写装置、感光体、現像装置、帯電装置、露光装置の少なくともいずれかであることを示す情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示す概略図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いられている制御装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る画像形成装置における記憶装置に記憶される情報の一例を示した図である。
【
図4】本発明の一実施形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施形態における画像形成装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】本発明の一実施形態における画像形成装置の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態の画像形成装置10の構成を示す図である。
【0031】
図1に示すように、画像形成装置10は、画像形成ユニット14K、14Y、14M、14C、中間転写体としての中間転写ベルト16、用紙トレイ17、用紙搬送路18、第1の定着装置としての定着装置19a、第2の定着装置としての定着装置19b及び制御装置20を有する。この画像形成装置10は、パーソナルコンピュータ(不図示)等から受信した画像データを印刷するプリンタ機能に加えて、フルカラー複写機としての機能、及び、ファクシミリとしての機能を兼ね備えた複合機である。
【0032】
画像形成装置10の上部には、制御装置20が配設され、画像データの入力手段等として機能する。制御装置20は、LAN等のネットワーク回線を介して図示しないパーソナルコンピュータ等から入力された画像データに対して、階調補正及び解像度補正等の画像処理を施し、画像形成ユニット14に対して出力する。
【0033】
制御装置20の下方には、カラー画像を構成する色に対応して、4つの画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cが配設されている。本実施形態では、黒(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色に対応して4つの画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cが、中間転写ベルト16に沿って一定の間隔を空けて水平に配列されている。中間転写ベルト16は、図中矢印Aの方向に回動している。そして、これら4つの画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cは、制御装置20から入力された画像データに基づいて各色の現像剤像としてのトナー像を順次形成し、これら複数のトナー像が互いに重ね合わせられるタイミングで中間転写ベルト16に転写(一次転写)する。なお、各画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cの色の順序は、黒、イエロー、マゼンタ、シアンの順に限定されるものではなく、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の順序等、その順序は任意である。
【0034】
用紙搬送路18は、中間転写ベルト16の下方に配設されている。用紙トレイ17から供給された記録媒体としての記録用紙26は、この用紙搬送路18上を搬送され、上記中間転写ベルト16上に多重に転写された各色のトナー像が一括して転写(二次転写と呼ぶ。)され、転写されたトナー像が定着装置19a及び定着装置19bによって定着され、矢印Bに沿って外部に排出される。
【0035】
次に、画像形成装置10の各構成についてより詳細に説明する。
【0036】
画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cは、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置され、形成する画像の色が異なる他は、ほぼ同様に構成されている。そこで、以下、画像形成ユニット14Kについて説明する。なお、各画像形成ユニット14の構成は、K、Y、M又はCを付すことにより区別する。
【0037】
画像形成ユニット14Kは、制御装置20から入力された画像データに応じてレーザ光を走査して感光体としての感光体ドラム152Kを露光するための露光装置140Kと、この露光装置140Kにより走査されたレーザ光により静電潜像が形成される像形成部としての像形成装置150Kとを有する。
【0038】
露光装置140Kは、レーザ光を黒色(K)の画像データに応じて変調して、このレーザ光を像形成装置150Kの感光体ドラム152K上に照射される。
【0039】
像形成装置150Kは、矢印Aの方向に沿って所定の回転速度で回転運動する感光体ドラム152Kと、この感光体ドラム152Kの表面を一様に帯電する帯電手段としての帯電装置154Kと、感光体ドラム152K上に形成された静電潜像を現像する現像装置156Kと、クリーニング装置158Kとから構成されている。感光体ドラム152Kは、トナー像を保持する円筒形状の像保持体であり、帯電装置154Kにより一様に帯電され、露光装置140Kにより照射されたレーザ光により静電潜像が形成される。感光体ドラム152Kに形成された静電潜像は、現像装置156Kにより黒色(K)のトナーで現像され、中間転写ベルト16に転写される。なお、トナー像の転写工程の後に感光体ドラム152Kに付着している残留トナー及び紙粉等は、クリーニング装置158Kによって除去される。
【0040】
他の画像形成ユニット14Y、14M及び14Cも、同様にしてそれぞれ感光体ドラム152Y、152M、152C及び現像装置156Y、156M、156Cを有しており、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の各色のトナー像を形成し、形成された各色のトナー像を中間転写ベルト16に転写する。
【0041】
このように、感光体ドラム152K、152Y、152M、152Cは、CMYK各色のトナー像をそれぞれ保持する像保持体として機能している。
【0042】
そして、中間転写ベルト16は、無端ベルト状に形成されており、ドライブロール164と、アイドルロール165、166、167と、バックアップロール168と、アイドルロール169との間に一定のテンションで掛け回されており、駆動モータ(不図示)によってドライブロール164が回転駆動されることにより、矢印Aの方向に所定の速度で循環駆動される。
【0043】
また、中間転写ベルト16には、各画像形成ユニット14K、14Y、14M、14Cに対向する位置にそれぞれ一次転写装置としての一次転写ロール162K、162Y、162M、162Cが配設され、感光体ドラム152K、152Y、152M、152C上に形成された各色のトナー像は、これらの一次転写ロール162K、162Y、162M、162Cにより中間転写ベルト16上に多重に転写される。なお、中間転写ベルト16に付着した残留トナーは、二次転写位置の下流に設けられたベルト用クリーニング装置189のクリーニングブレード又はブラシにより除去される。
【0044】
用紙搬送路18には、用紙トレイ17から記録用紙26を取り出す給紙ロール181と、用紙搬送用のロール対182、ロール対183及びロール対184と、記録用紙26を既定のタイミングで二次転写位置に搬送するレジストロール185とが配設される。
【0045】
また、用紙搬送路18上の二次転写位置には、バックアップロール168に圧接する二次転写装置としての二次転写ロール186が配設されており、中間転写ベルト16上に多重に転写された各色のトナー像は、この二次転写ロール186による圧接力及び静電気力で記録用紙26上に二次転写される。
【0046】
そして、各色のトナー像が転写された記録用紙26は、搬送ベルト188によって定着装置19a、19bへと搬送される。
【0047】
定着装置19aは、搬送ベルト188と対向する位置に設けられ、搬送ベルト188及び各色のトナー像が転写された記録用紙26に対して非接触であり、記録用紙26の水分をとばすように構成されている。
【0048】
また、定着装置19bは、円筒状の加熱ロールと、加熱ロールに対向する円筒状の加圧ロールを備え、上記水分がとばされた記録用紙26に対して加熱処理及び加圧処理を施すことにより、トナーを記録用紙26に溶融固着させる。
【0049】
なお、現像装置156Kは、回転運動をすることにより感光体ドラム152Kに現像剤を搬送して、感光体ドラム152K上にトナー像を形成する円筒形状の現像ロール157Kを有している。なお、他色の画像を形成する画像形成ユニット14C、14M、14Yにおいても、同様に現像装置156C、156M、156Y内にそれぞれ現像ロール157C、157M、157Yが備えられている。
【0050】
ここで、本実施形態の画像形成装置10は例えばA0サイズの大判図面の印刷が可能な広幅複合機であり、感光体ドラム152、定着装置19a、19b等の複数のロール等の長さが90cm~100cmという通常の複合機よりも長く、これらのロールの傾きや振れにより主走査方向に濃度むらが発生し易い。また、それぞれの部材が大きいために、各部材の交換が困難である。このため、画像形成装置10には、記録用紙26上に画像の濃度むらが発生した場合に原因箇所を特定するために、複数のセンサが設けられている。
【0051】
用紙搬送路18上の定着装置19bの、記録用紙26の搬送方向下流側には、用紙上濃度センサ202が設けられている。用紙上濃度センサ202は、複数のセンサを用紙搬送路18の幅方向(軸方向、主走査方向ともいう)に並べて構成される。用紙上濃度センサ202は、複数のセンサにより、記録用紙26上の画像の濃度を、主走査ラインと平行に読み取ることができる。すなわち、用紙上濃度センサ202は、記録用紙26上の定着後の画像の濃度を記録用紙26の幅方向に渡って読み取り、読み取った濃度をそれぞれ検出する。
【0052】
また、中間転写ベルト16上に対向する位置には、中間転写ベルト16の幅方向(軸方向、主走査方向ともいう)に、中間転写体濃度センサとしてのベルト上濃度センサ204が複数設けられている。複数のベルト上濃度センサ204により、中間転写ベルト16に一次転写されたトナー像の濃度が中間転写ベルト16の幅方向に渡って複数検出される。
【0053】
また、定着装置19aには、定着装置19aの軸方向(主走査方向ともいう)に、第1の温度センサとしての温度センサ206が複数設けられている。複数の温度センサ206により、定着装置19aにおける軸方向の温度分布が検出される。
【0054】
また、定着装置19bには、定着装置19bの軸方向(主走査方向ともいう)に、第2の温度センサとしての温度センサ208が複数設けられている。複数の温度センサ208により、定着装置19bにおける軸方向の温度分布が検出される。
【0055】
また、感光体ドラム152Kに対向する位置には、感光体ドラム152Kの軸方向(主走査方向ともいう)に、電位センサ210Kが複数設けられている。複数の電位センサ210Kにより、感光体ドラム152Kの表面電位が、感光体ドラム152Kの軸方向に渡って複数検出される。なお、他色の画像を形成する画像形成ユニット14C、14M、14Yにおいても、同様に感光体ドラム152C、152M、152Yに対向する位置に、それぞれ電位センサ210C、210M、210Yが複数設けられている。
【0056】
また、現像装置156K内には、現像装置156Kの軸方向(主走査方向ともいう)に、現像剤濃度センサとしてのトナー濃度センサ212Kが複数設けられている。複数のトナー濃度センサ212Kにより、現像装置156K内の現像剤濃度としてのトナー濃度が、現像装置156Kの軸方向に渡って複数検出される。なお、他色の画像を形成する画像形成ユニット14C、14M、14Yにおいても、同様に現像装置156C、156M、156Y内に、それぞれトナー濃度センサ212C、212M、212Yが複数設けられている。
【0057】
次に、本実施形態の画像形成装置10の制御構成を
図2に示す。
【0058】
制御装置20は、
図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、ハードディスクドライブ等の記憶装置24、ネットワークを介して各装置等との間でデータの入力及び出力を行う入出力インタフェース(I/Oと略す。)25を有する。これらの構成要素は、制御バスを介して互いに接続されている。
【0059】
I/O25には、一次転写ロール162、二次転写ロール186、画像形成ユニット14、定着装置19a、19b、搬送ユニット29、電位センサ210、用紙上濃度センサ202、ベルト上濃度センサ204、温度センサ206、208、トナー濃度センサ212、タッチパネル又は液晶ディスプレイ並びにキーボードを含むユーザインタフェース(UIと略す。)装置30、等が接続される。搬送ユニット29には、中間転写ベルト16を搬送する各種ロール、及び記録用紙26を搬送する用紙ロール等を駆動するモータが含まれる。
【0060】
CPU21は、ROM22又は記憶装置24に記憶された制御プログラムに基づいて所定の処理を実行して、画像形成装置10の動作を制御するプロセッサである。なお、本実施形態では、CPU21は、ROM22又は記憶装置24内に格納された制御プログラムを読み出して実行するものとして説明するが、当該プログラムをCD-ROM等の記憶媒体に格納してCPU21に提供することも可能である。
【0061】
UI装置30は、制御装置20により制御され、画像形成装置10に設けられた表示操作部や端末装置等の表示画面に各種情報を表示する。例えば、UI装置30は、制御装置20による制御に基づいて、濃度むらの原因箇所及び対応する処理に関する情報を表示画面に出力して表示する。また、UI装置30は、使用者であるユーザにより行われた各種操作情報を入力する入力部として用いられる。そして、UI装置30は、制御装置20による制御に基づいて、UI装置30に出力された情報において、ユーザによる入力を受け付ける。
【0062】
図3は、記憶装置24に記憶される各種情報の一例を示す。
【0063】
記憶装置24には、
図3に示すように、濃度むらの原因箇所と、この濃度むらの原因箇所に対する対応と、が対応付けて格納されている。例えば、帯電装置154又は感光体ドラム152が濃度むらの原因である場合の対応として、帯電装置154の交換又は感光体ドラム152の交換が記憶されている。また、露光装置140が濃度むらの原因である場合の対応として、露光装置140の交換が記憶されている。また、現像剤の攪拌不足が濃度むらの原因である場合の対応として、現像剤の交換又は濃度の均一化が記憶されている。また、定着装置19aが濃度むらの原因である場合の対応として、定着装置19aの交換が記憶されている。また、定着装置19bが濃度むらの原因である場合の対応として、定着装置19bの交換が記憶されている。また、現像装置156又は一次転写が濃度むらの原因である場合の対応として、エンジニアの呼び出しが記憶されている。また、二次転写が濃度むらの原因である場合の対応として、エンジニアの呼び出しが記憶されている。
【0064】
次に、画像形成装置10において用紙上濃度センサ202により記録用紙26上の、定着後の画像の濃度を検出した際の画像形成装置10の動作について、
図4及び
図5を用いて説明する。
【0065】
まず、ステップS101において、CPU21は、用紙上濃度センサ202により記録用紙26上の定着後の画像の濃度を、用紙の幅方向に渡って複数検出する。
【0066】
そして、ステップS102において、CPU21は、用紙上濃度センサ202により検出された複数の濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、所定の濃度状態か、所定の濃度状態とは反対の状態かを判定する。具体的には、例えば最大濃度値と最小濃度値との差である濃度差を算出する。最大濃度値は、検出された濃度値のうち最大の値をノイズと判断して、最大濃度値から2番目、または、それ以降で大きい値を最大濃度値として採用してもよい。最小濃度値に関しても同様に、検出された濃度値のうち最小の値をノイズと判断して、最小濃度値から2番目、または、それ以降に小さい値を最小濃度値として採用してもよい。そして、CPU21は、算出された濃度差が、所定の濃度状態である、予め設定された値である閾値C1以下か否かを判定する。ここでは、最大濃度値と最小濃度値との差をもって、それが閾値以下か否かで判定を行っているが、これに限らず、最大濃度値と最小濃度値との比をもって、それが閾値以下か否かで判定を行ってもよい。
【0067】
ステップS102において、CPU21は、算出された濃度差が、閾値C1以下である場合には、ステップS103において、記録用紙26上の画像の濃度の面内均一性は適正であるとして処理を終了する。
【0068】
また、ステップS102において、CPU21は、算出された濃度差が、所定の濃度状態とは反対の状態である、閾値C1より大きい場合には、ステップS104において、複数のベルト上濃度センサ204により中間転写ベルト16に一次転写されたトナー像の濃度を、中間転写ベルト16の幅方向に渡って複数検出する。
【0069】
そして、ステップS105において、CPU21は、複数のベルト上濃度センサ204により検出された複数の濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第一の濃度状態か、第一の濃度状態とは反対の状態である第二の濃度状態かを判定する。具体的には、例えば最大濃度値と最小濃度値の差である濃度差を算出する。最大濃度値は、検出された濃度値のうち最大の値をノイズと判断して、最大濃度値から2番目、または、それ以降で大きい値を最大濃度値として採用してもよい。最小濃度値に関しても同様に、検出された濃度値のうち最小の値をノイズと判断して、最小濃度値から2番目、または、それ以降に小さい値を最小濃度値として採用してもよい。そして、CPU21は、算出された濃度差が、第一の濃度状態である、予め定められた値である閾値C2以下か否かを判定する。ここでは、最大濃度値と最小濃度値との差をもって、それが閾値以下か否かで判定を行っているが、これに限らず、最大濃度値と最小濃度値との比をもって、それが閾値以下か否かで判定を行ってもよい。
【0070】
ステップS105において、CPU21は、算出された濃度差が、第二の濃度状態である、閾値C2より大きい場合には、CPU21は、二次転写ロール186による二次転写処理より前の処理において濃度むらの原因があることを特定(推定ともいう)する。なお、濃度むらの原因が、二次転写処理より前の処理であることを示す情報を出力するようにしてもよい。
【0071】
また、CPU21は、複数のベルト上濃度センサ204により検出された複数色の濃度値のうち、ある特定の色における最大濃度値と最小濃度値との差である濃度差が、閾値C2より大きい場合に、ある特定の色における画像形成ユニット14において濃度むらの原因があることを示す情報を出力するようにしてもよい。
【0072】
すなわち、CPU21は、ある特定の色における画像形成ユニット14における濃度むらの原因として、ある特定の色における一次転写ロール162、感光体ドラム152、現像装置156、帯電装置154、露光装置140の少なくともいずれかに原因があることを示す情報を出力するようにしてもよい。
【0073】
具体的には、例えば、イエロー(Y)における最大濃度値と最小濃度値との差が、閾値C2より大きい場合に、画像形成ユニット14Yにおいて濃度むらの原因があることを示す情報を出力する。さらに、一次転写ロール162Y、感光体ドラム152Y、現像装置156Y、帯電装置154Y、露光装置140Yの少なくともいずれかに原因があることを示す情報を出力するようにしてもよい。
【0074】
そして、CPU21は、二次転写処理より前の処理において濃度むらの原因があると特定された場合、ステップS106において、複数の電位センサ210Kにより、感光体ドラム152Kを帯電装置154Kにより帯電し、感光体ドラム152Kを露光装置140Kにより露光しない状態における感光体ドラム152Kの表面電位を、感光体ドラム152Kの軸方向に渡って複数検出する。なお、他色の画像を形成する画像形成ユニット14C、14M、14Yにおいても、同様に複数の電位センサ210C、210M、210Yにより、それぞれ感光体ドラム152C、152M、152Yの表面電位を、各感光体ドラム152の軸方向に渡って複数検出する。
【0075】
そして、ステップS107において、CPU21は、露光しない状態における複数の電位センサ210により検出された複数の電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、第一の電位状態か、第一の電位状態とは反対の状態である第二の電位状態かを判定する。具体的には、例えば最大電位値と最小電位値の差である電位差を算出する。最大電位値は、検出された電位値のうち最大の値をノイズと判断して、最大電位値から2番目、または、それ以降で大きい値を最大電位値として採用してもよい。最小電位値に関しても同様に、検出された電位値のうち最小の値をノイズと判断して、最小電位値から2番目、または、それ以降に小さい値を最小電位値として採用してもよい。そして、CPU21は、算出された電位差が、予め定められた値である閾値V1以下か否かを判定する。
【0076】
そして、ステップS107において、CPU21は、算出された電位差が、第一の電位状態である、閾値V1より大きい場合には、ステップS108において、濃度むらの原因が帯電装置154又は感光体ドラム152であると特定し、特定された原因箇所を出力する。すなわち、濃度むらの原因が、帯電装置154又は感光体ドラム152であることを示す情報を出力する。
【0077】
また、ステップS107において、CPU21は、算出された電位差が、第二の電位状態である、閾値V1以下である場合には、ステップS109において、複数の電位センサ210Kにより、感光体ドラム152Kを帯電装置154Kにより帯電し、感光体ドラム152Kを露光装置140Kにより露光した状態における感光体ドラム152Kの表面電位を、感光体ドラム152Kの軸方向に渡って複数検出する。なお、他色の画像を形成する画像形成ユニット14C、14M、14Yにおいても、同様に複数の電位センサ210C、210M、210Yにより、それぞれ感光体ドラム152C、152M、152Yを露光装置140C、140M、140Yにより露光した状態における感光体ドラム152C、152M、152Yの表面電位を、各感光体ドラム152の軸方向に渡って複数検出する。
【0078】
そして、ステップS110において、CPU21は、露光した状態における複数の電位センサ210により検出された複数の電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、第三の電位状態か、第三の電位状態とは反対の状態である第四の電位状態かを判定する。具体的には、例えば最大電位値と最小電位値の差である電位差を算出する。最大電位値は、検出された電位値のうち最大の値をノイズと判断して、最大電位値から2番目、または、それ以降で大きい値を最大電位値として採用してもよい。最小電位値に関しても同様に、検出された電位値のうち最小の値をノイズと判断して、最小電位値から2番目、または、それ以降に小さい値を最小電位値として採用してもよい。そして、CPU21は、算出された電位差が、予め設定された値である閾値V2以下か否かを判定する。
【0079】
ステップS110において、CPU21は、算出された電位差が、第三の電位状態である、閾値V2よりも大きい場合には、ステップS111において、濃度むらの原因が露光装置140であると特定し、特定された原因箇所を出力する。すなわち、濃度むらの原因が、露光装置140であることを示す情報を出力する。
【0080】
また、ステップS110において、CPU21は、算出された電位差が、第四の電位状態である、閾値V2以下である場合には、ステップS112において、複数のトナー濃度センサ212Kにより、現像装置156K内のトナー濃度を、現像装置156Kの軸方向に渡って複数検出する。すなわち、複数のトナー濃度センサ212Kによる検出結果を用いて、濃度むらの原因箇所を示す情報を出力する。なお、他色の画像を形成する画像形成ユニット14C、14M、14Yにおいても、同様に複数のトナー濃度センサ212C、212M、212Yにより、それぞれ現像装置156C、156M、156Y内のトナー濃度を、各現像装置156の軸方向に渡って複数検出する。
【0081】
そして、ステップS113において、CPU21は、複数のトナー濃度センサ212により検出された複数の濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第三の濃度状態か、第三の濃度状態とは反対の状態である第四の濃度状態かを判定する。具体的には、例えば最大濃度値と最小濃度値の差である濃度差を算出する。最大濃度値は、検出された濃度値のうち最大の値をノイズと判断して、最大濃度値から2番目、または、それ以降で大きい値を最大濃度値として採用してもよい。最小濃度値に関しても同様に、検出された濃度値のうち最小の値をノイズと判断して、最小濃度値から2番目、または、それ以降に小さい値を最小濃度値として採用してもよい。そして、CPU21は、算出された濃度差が、予め定められた値である閾値C3以下か否かを判定する。ここでは、最大濃度値と最小濃度値との差をもって、それが閾値以下か否かで判定を行っているが、これに限らず、最大濃度値と最小濃度値との比をもって、それが閾値以下か否かで判定を行ってもよい。
【0082】
そして、ステップS113において、CPU21は、算出された濃度差が、第四の濃度状態である、閾値C3より大きい場合には、ステップS114において、濃度むらの原因が現像剤の攪拌不足であると特定し、特定された原因箇所を出力する。すなわち、濃度むらの原因が、現像剤の攪拌不足であることを示す情報を出力する。
【0083】
また、ステップS113において、CPU21は、算出された濃度差が、第三の濃度状態である、閾値C3以下である場合には、ステップS115において、濃度むらの原因が現像装置156又は一次転写処理であると特定し、特定された原因箇所を出力する。すなわち、濃度むらの原因が、現像装置156又は一次転写処理であることを示す情報を出力する。
【0084】
また、ステップS105において、CPU21は、複数のベルト上濃度センサ204により検出された複数の濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値の差である濃度差が、閾値C2以下である場合には、CPU21は、中間転写ベルト16に一次転写されたトナー像を記録用紙26に転写する二次転写処理以降の処理において濃度むらの原因があると特定する。なお、濃度むらの原因が、二次転写処理以降の処理であることを示す情報を出力するようにしてもよい。
【0085】
そして、CPU21は、二次転写処理以降の処理において濃度むらの原因があると特定された場合、ステップS201において、複数の温度センサ206により、定着装置19aの軸方向の温度分布を検出する。
【0086】
そして、ステップS202において、CPU21は、複数の温度センサ206により検出された複数の温度値のうち、最大温度値と最小温度値との関係性が、第一の温度状態か、第一の温度状態とは反対の状態である第二の温度状態かを判定する。具体的には、例えば最大温度値と最小温度値の差である温度差を算出する。最大温度値は、検出された温度値のうち最大の値をノイズと判断して、最大温度値から2番目、または、それ以降で大きい値を最大温度値として採用してもよい。最小温度値に関しても同様に、検出された温度値のうち最小の値をノイズと判断して、最小温度値から2番目、または、それ以降に小さい値を最小温度値として採用してもよい。そして、CPU21は、算出された温度差が、予め定められた値である閾値T1以下か否かを判定する。ここでは、最大温度値と最小温度値との差をもって、それが閾値以下か否かで判定を行っているが、これに限らず、最大温度値と最小温度値との比をもって、それが閾値以下か否かで判定を行ってもよい。
【0087】
そして、ステップS202において、CPU21は、算出された温度差が、第一の温度状態である、閾値T1より大きい場合には、ステップS203において、濃度むらの原因が定着装置19aであると特定し、特定された原因箇所を出力する。すなわち、濃度むらの原因が、定着装置19aであることを示す情報を出力する。
【0088】
また、ステップS202において、CPU21は、算出された温度差が、第二の温度状態である、閾値T1以下の場合に、定着装置19aの、記録用紙26の搬送方向下流側における処理、又は二次転写処理に濃度むらの原因があることを特定する。なお、濃度むらの原因が、定着装置19aの、記録用紙26の搬送方向下流側における処理、又は二次転写処理であることを示す情報を出力するようにしてもよい。
【0089】
また、ステップS202において、CPU21は、算出された温度差が、閾値T1以下である場合には、ステップS204において、複数の温度センサ208により、定着装置19bの軸方向の温度分布を検出する。
【0090】
そして、ステップS205において、CPU21は、複数の温度センサ208により検出された複数の温度値のうち、最大温度値と最小温度値との関係性が、第三の温度状態か、第三の温度状態とは反対の状態である第四の温度状態かを判定する。具体的には、例えば最大温度値と最小温度値の差である温度差を算出する。最大温度値は、検出された温度値のうち最大の値をノイズと判断して、最大温度値から2番目、または、それ以降で大きい値を最大温度値として採用してもよい。最小温度値に関しても同様に、検出された温度値のうち最小の値をノイズと判断して、最小温度値から2番目、または、それ以降に小さい値を最小温度値として採用してもよい。そして、CPU21は、算出された温度差が、予め定められた値である閾値T2以下か否かを判定する。ここでは、最大温度値と最小温度値との差をもって、それが閾値以下か否かで判定を行っているが、これに限らず、最大温度値と最小温度値との比をもって、それが閾値以下か否かで判定を行ってもよい。
【0091】
そして、ステップS205において、CPU21は、算出された温度差が、第三の温度状態である、閾値T2より大きい場合には、ステップS206において、濃度むらの原因が定着装置19bであると特定し、特定された原因箇所を出力する。すなわち、濃度むらの原因が、定着装置19bであることを示す情報を出力する。
【0092】
また、ステップS205において、CPU21は、算出された温度差が、第四の温度状態である、閾値T2以下の場合に、ステップS207において、二次転写処理において濃度むらの原因があることを特定し、特定された原因箇所を出力する。すなわち、濃度むらの原因が、二次転写処理であることを示す情報を出力する。
【0093】
図6は、ステップS108において、濃度むらの原因が帯電装置154又は感光体ドラム152であると特定された場合に、UI装置30に原因箇所を出力する一例を示す図である。
【0094】
ステップS108において、濃度むらの原因が、帯電装置154又は感光体ドラム152であると特定されると、CPU21は、
図3に示すような記憶装置24に記憶された情報に基づいて、特定された濃度むらの原因箇所が、帯電装置154又は感光体ドラム152である旨の情報を出力してUI装置30に表示するように制御する。
【0095】
上記実施形態において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス等)を含むものである。
【0096】
また上記実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0097】
[変形例]
上記実施形態では、広幅複合機に対して本発明を適用した場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、業務用の大型の印刷装置等の他の画像形成装置に対しても同様に適用することができるものである。
【0098】
また、上記実施形態では、用紙上濃度センサ202による検出結果を用いて、濃度むらの原因箇所を特定する場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、用紙上濃度センサ202を用いなくてもよい。例えば、ユーザが、記録用紙26上に濃度むらが発生したと判断した場合に、濃度むらの原因箇所を特定する場合であっても、同様に適用することができる。
【0099】
また、上記実施形態では、定着装置を2つ備える場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、定着装置は1つ又は3つ以上の場合であっても、同様に適用することができる。
【0100】
また、上記実施形態では、YMCKの4色の画像形成ユニットを備える場合を用いて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、4色以上の画像形成ユニットや、白黒(モノクロ)の画像形成ユニットを備える場合であっても、同様に適用することができる。
【0101】
[付記]
以下に、本開示の好ましい形態について付記する。
【0102】
(((1)))
中間転写体の軸方向に複数設けられ、前記中間転写体に一次転写された現像剤像の濃度をそれぞれ検出する複数の中間転写体濃度センサと、
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、記録媒体上に濃度むらが発生した場合に、前記複数の中間転写体濃度センサによりそれぞれ検出された濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第一の濃度状態の場合に、前記中間転写体に一次転写された現像剤像を記録媒体に転写する二次転写処理以降の処理において濃度むらの原因があることを示す情報を出力し、前記第一の濃度状態とは反対の状態である第二の濃度状態の場合に、前記二次転写処理より前の処理において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する、
画像形成装置。
【0103】
(((2)))
定着装置の軸方向に複数設けられ、前記定着装置の温度をそれぞれ検出する複数の温度センサと、を備え、
前記プロセッサは、前記二次転写処理以降の処理において濃度むらの原因があると特定された場合、前記複数の温度センサによりそれぞれ検出された温度値のうち、最大温度値と最小温度値との関係性が、第一の温度状態の場合に、前記定着装置において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する(((1)))に記載の画像形成装置。
【0104】
(((3)))
前記プロセッサは、前記複数の温度センサによりそれぞれ検出された温度値のうち、最大温度値と最小温度値との関係性が、前記第一の温度状態とは反対の状態である第二の温度状態の場合に、前記定着装置の記録媒体の搬送方向下流側における処理、又は前記二次転写処理を行う二次転写装置において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する(((2)))に記載の画像形成装置。
【0105】
(((4)))
感光体の軸方向に複数設けられ、前記感光体の表面電位をそれぞれ検出する複数の電位センサと、を備え、
前記プロセッサは、前記二次転写処理より前の処理において濃度むらの原因があると特定された場合、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光しない状態において前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、第一の電位状態の場合に、前記帯電装置又は前記感光体において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する(((1)))から(((3)))のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0106】
(((5)))
前記プロセッサは、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光しない状態において前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、前記第一の電位状態とは反対の状態である第二の電位状態の場合に、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光した状態における前記複数の電位センサによる検出結果を用いて、濃度むらの原因箇所を示す情報を出力する(((4)))に記載の画像形成装置。
【0107】
(((6)))
前記プロセッサは、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光した状態における前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、第三の電位状態の場合に、前記露光装置において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する(((5)))に記載の画像形成装置。
【0108】
(((7)))
現像装置内の軸方向に複数設けられ、前記現像装置内の現像剤濃度をそれぞれ検出する複数の現像剤濃度センサと、を備え、
前記プロセッサは、前記感光体を帯電装置により帯電し露光装置により露光した状態において前記複数の電位センサによりそれぞれ検出された電位値のうち、最大電位値と最小電位値との関係性が、前記第三の電位状態とは反対の状態である第四の電位状態の場合に、前記複数の現像剤濃度センサによる検出結果を用いて、濃度むらの原因箇所を示す情報を出力する(((5)))又は(((6)))に記載の画像形成装置。
【0109】
(((8)))
前記プロセッサは、前記複数の現像剤濃度センサによりそれぞれ検出された濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第三の濃度状態の場合に、前記現像装置又は前記中間転写体に現像剤像を一次転写する一次転写装置が濃度むらの原因であることを示す情報を出力する(((7)))に記載の画像形成装置。
【0110】
(((9)))
前記プロセッサは、前記複数の現像剤濃度センサによりそれぞれ検出された濃度値のうち、最大濃度値と最小濃度値との関係性が、前記第三の濃度状態と反対の状態である第四の濃度状態の場合に、前記現像装置における現像剤の攪拌不足が原因であることを示す情報を出力する(((7)))又は(((8)))に記載の画像形成装置。
【0111】
(((10)))
前記プロセッサは、前記複数の中間転写体濃度センサによりそれぞれ検出された複数色の濃度値のうち、ある特定の色における最大濃度値と最小濃度値との関係性が、第五の濃度状態の場合に、前記ある特定の色における像形成部において濃度むらの原因があることを示す情報を出力する(((1)))から(((9)))のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【0112】
(((11)))
前記プロセッサは、前記ある特定の色における像形成部における濃度むらの原因として、前記ある特定の色における一次転写装置、感光体、現像装置、帯電装置、露光装置の少なくともいずれかに原因があることを示す情報を出力する(((10)))に記載の画像形成装置。
【0113】
以下に、付記の構成による効果について記載する。
【0114】
(((1)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所を示す情報を出力することができる。
【0115】
(((2)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が定着装置であることを示す情報を出力することができる。
【0116】
(((3)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、定着装置の記録媒体の搬送方向下流側の処理、又は二次転写装置であることを示す情報を出力することができる。
【0117】
(((4)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が帯電装置又は感光体であることを示す情報を出力することができる。
【0118】
(((5)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が露光装置であるか否かを示す情報を出力することができる。
【0119】
(((6)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が露光装置であることを示す情報を出力することができる。
【0120】
(((7)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、現像装置又は一次転写装置であるか否かを示す情報を出力することができる。
【0121】
(((8)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、現像装置又は一次転写装置であることを示す情報を出力することができる。
【0122】
(((9)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、現像剤の攪拌不足であることを示す情報を出力することができる。
【0123】
(((10)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、ある特定の色の像形成部であることを示す情報を出力することができる。
【0124】
(((11)))の画像形成装置によれば、濃度むらの原因箇所が、ある特定の色における一次転写装置、感光体、現像装置、帯電装置、露光装置の少なくともいずれかであることを示す情報を出力することができる。
【符号の説明】
【0125】
10 画像形成装置
14 画像形成ユニット
16 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
17 用紙トレイ
18 用紙搬送路
19a、19b 定着装置
20 制御装置
26 記録用紙(記録媒体の一例)
30 UI装置
140 露光装置
150 像形成装置
152 感光体ドラム(感光体の一例)
154 帯電装置
156 現像装置
158 クリーニング装置
162 一次転写ロール(一次転写装置の一例)
164 ドライブロール
165、166、167、169 アイドルロール
168 バックアップロール
181 給紙ロール
182、183、184 ロール対
185 レジストロール
186 二次転写ロール(二次転写装置の一例)
188 搬送ベルト
189 ベルト用クリーニング装置
202 用紙上濃度センサ
204 ベルト上濃度センサ(中間転写体濃度センサの一例)
206、208 温度センサ
210 電位センサ
212 トナー濃度センサ(現像剤濃度センサの一例)