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特開2024-74621割当制御装置、割当変更方法、割当制御プログラム、および記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074621
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】割当制御装置、割当変更方法、割当制御プログラム、および記録媒体
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/18 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
B66B1/18 M
B66B1/18 L
B66B1/18 E
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185905
(22)【出願日】2022-11-21
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】須藤 豪
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【テーマコード(参考)】
3F502
【Fターム(参考)】
3F502HC07
3F502JA09
3F502JA11
(57)【要約】
【課題】エレベータを利用する情報処理装置の一方が他方の進行を妨げる状況の発生を低減する。
【解決手段】割当制御装置(1)は、情報処理装置(2)から受け付けた乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当部(113)と、かご呼びに応じて割当号機を移動させる移動制御部(118)と、情報処理装置からの乗場呼びに対する割当号機を他の号機に変更する割当変更部(117)と、乗場呼びに対して同じ号機を割当済である2以上の情報処理装置のうち、降車予定装置(2B)と、乗車予定装置(2A)とが、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、乗車予定装置からの乗場呼びに対する割当号機を他の号機に変更する割当変更部(117)と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当部と、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御部と、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更部と、を備え、
前記割当変更部は、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更する、割当制御装置。
【請求項2】
前記割当変更部は、
前記乗車予定装置より先に前記割当号機に乗車した前記降車予定装置から取得された、前記乗車予定装置の出発階を行先階とする前記かご呼びに応じて前記割当号機を移動させる場合において、
前記乗車予定装置から受け付けた前記乗場呼びに示される前記移動方向と、前記割当号機が前記降車予定装置の前記行先階に到着した後の、当該行先階からの前記割当号機の移動方向とが同じである場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更する、請求項1に記載の割当制御装置。
【請求項3】
前記割当変更部は、
前記乗車予定装置より先に前記割当号機に乗車した前記降車予定装置から取得された、前記乗車予定装置の出発階を行先階とする前記かご呼びに応じて前記割当号機を移動させる場合において、
前記乗車予定装置から受け付けた前記乗場呼びに示される前記移動方向と、前記割当号機が前記降車予定装置の前記行先階に到着した後の、当該行先階からの前記割当号機の移動方向とが反対であり、かつ当該行先階が前記割当号機の反転階である場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更する、請求項1に記載の割当制御装置。
【請求項4】
前記乗車予定装置に割り当てられた前記割当号機を示す号機情報と前記乗車予定装置の前記出発階を示す出発階情報とが対応付けられた対応情報を記憶する記憶部を備え、
前記移動制御部は、前記対応情報に基づき前記割当号機を移動させ、
前記割当変更部は、前記乗車予定装置に割り当てる前記号機を前記割当号機から前記割当号機とは異なる前記号機に変更した場合、前記対応情報において前記乗車予定装置の前記出発階情報に対応付けられる前記号機情報を、前記割当号機を示す情報から、変更後の前記号機を示す情報に変更する、請求項1に記載の割当制御装置。
【請求項5】
前記割当変更部が前記乗車予定装置に割り当てる前記号機を変更した場合、当該変更後の前記号機を示す情報を前記乗車予定装置に通知する通知部をさらに備える、請求項1に記載の割当制御装置。
【請求項6】
前記割当変更部は、さらに、
前記割当号機を前記乗車予定装置からの乗場呼びによって指定される階床に移動させると、前記乗車予定装置と前記降車予定装置とが前記割当号機に同乗する状況の発生が予測される場合、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更する、請求項1に記載の割当制御装置。
【請求項7】
(1)前記乗車予定装置および前記降車予定装置からの前記乗場呼びが登録された後に前記降車予定装置からの前記かご呼びを受け付け、前記乗車予定装置および前記降車予定装置が同じ号機に割り当てられた場合、または、
(2)前記降車予定装置からの前記乗場呼びおよび前記かご呼びが登録された後に前記乗車予定装置からの前記乗場呼びを受け付け、前記乗車予定装置および前記降車予定装置が同じ号機に割り当てられた場合、であって、
互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記割当変更部は、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更する、請求項1に記載の割当制御装置。
【請求項8】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当ステップと、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御ステップと、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更ステップと、を含み、
前記割当変更ステップにおいて、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更する、割当変更方法。
【請求項9】
請求項1に記載の割当制御装置としてコンピュータを機能させるための割当制御プログラムであって、前記号機割当部、前記移動制御部、および前記割当変更部としてコンピュータを機能させるための割当制御プログラム。
【請求項10】
請求項9に記載の割当制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用対象に対してエレベータの号機を割り当てる割当制御装置、割当制御装置が行う割当変更方法、割当制御プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律走行するロボットにエレベータを利用させる技術が知られている。特許文献1には、利用者または自律移動体のエレベータのかごに対する乗降を示す情報を当該自律移動体に設けられた機器に報知する自律移動体制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/066054号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数のロボットがエレベータを利用する場合、あるロボットが別のロボットの進行を妨げ、移動に支障が生じる場合がある。例えば、エレベータへの乗車時およびエレベータからの降車時において、ロボット同士が互いに衝突を回避しようとして動けなくなる、所謂デッドロック状態が発生する可能性がある。
【0005】
このような状況が発生した場合、ロボットが邪魔になり他の利用者の乗降に支障をきたす、ロボットが予定していた作業を行うことができない、エレベータが停止してしまうなどの問題が生じてしまう。
【0006】
デッドロック状態から抜け出せるか否かは、両ロボットの知的レベルに依存するが、その知的レベルは常に高いとは言えない。また、両ロボットの何れかが故障などによって動けなくなりデッドロックに陥る可能性もある。従って、エレベータを利用する複数のロボットの一方が他方の進行を妨げる状況をなるべく作らないようにすることが重要である。
【0007】
本発明の一態様は、エレベータを利用する情報処理装置(ロボット)の一方が他方の進行を妨げる状況の発生を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る割当制御装置は、自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当部と、行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御部と、前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更部と、を備え、2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更する。
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る割当変更方法は、自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当ステップと、行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御ステップと、前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更ステップと、を含み、前記割当変更ステップにおいて、2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更する。
【0010】
本発明の各態様に係る割当制御装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記割当制御装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記割当制御装置をコンピュータにて実現させる割当制御装置の割当制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、エレベータを利用する情報処理装置の一方が他方の進行を妨げる状況の発生を低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るエレベータ管理システムの構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2】割当制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】エレベータ制御装置およびエレベータの構成の一例を示すブロック図である。
図4】情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
図5】乗場呼びDBの一例を示す図である。
図6】かご呼びDBの一例を示す図である。
図7】エレベータDBの一例を示す図である。
図8】干渉の具体例を示す概略図である。
図9】干渉の具体例を示す概略図である。
図10】割当制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】割当制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図12】割当制御装置が行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図13】変形例に係る干渉の具体例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<エレベータ管理システム100の概要>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るエレベータ管理システム100の構成の一例を示す機能ブロック図である。エレベータ管理システム100は、複数階床を有する建物に設けられたエレベータ5を管理するシステムである。エレベータ管理システム100は、エレベータ5の利用対象(例えば、利用者または情報処理装置2)による乗場呼びおよびかご呼びを受け付ける。エレベータ管理システム100は、当該乗場呼びに応じて、当該利用対象に最適な号機を割り当て、利用対象に割り当てた号機(割当号機)を、乗場呼びによって指定された出発階に移動させる。また、エレベータ管理システム100は、利用対象が利用している号機を、当該利用対象によるかご呼びによって指定された行先階に移動させる。
【0014】
ここで、「乗場呼び」とは、利用対象が予め出発階を示す情報を含む乗場呼び依頼データをエレベータ管理システム100の割当制御装置1に登録する処理である。利用対象が利用者である場合、乗場呼びは、例えば、利用者が出発階において当該出発階に設置されている乗場呼び登録装置3に所望の移動方向等を入力する操作を行うことで、乗場呼び登録装置3によって行われてもよい。乗場呼び登録装置3は、当該操作が行われると、入力された移動方向を示す情報と、出発階を示す情報としての当該乗場呼び登録装置3が設置されている階床の情報と、乗場呼び登録装置3を示す識別情報と、を含む乗場呼び依頼データを割当制御装置1に送信してもよい。利用対象が情報処理装置2である場合、乗場呼びは、例えば、情報処理装置2が割当制御装置1へ出発階および移動方向を示す情報と、情報処理装置2の識別情報と、を含む乗場呼び依頼データを送信することによって行われてもよい。
【0015】
また、「かご呼び」とは、利用対象が行先階を示す情報を含むかご呼び依頼データをエレベータ管理システム100のエレベータ制御装置4または割当制御装置1に登録する処理である。利用対象が利用者である場合、かご呼びは、例えば、利用者によって乗車したエレベータ5のかご内に設けられる入力装置に所望の行先階等を入力する操作を受け付けることにより、当該エレベータ5を制御するエレベータ制御装置4に対して行われてもよい。エレベータ制御装置4は、かご呼び入力部54において当該操作が行われると、入力された行先階を示す情報と、かご呼びが行われたエレベータ5の号機を示す情報とを記憶し、かご呼びの登録を受け付ける。なお、エレベータ制御装置4は、受け付けたかご呼びに関する情報(例えば、かご呼びによって指定される行先階を示す情報、および、かご呼びが行われたエレベータ5の号機を示す情報)を割当制御装置1に送信してもよい。利用対象が情報処理装置2である場合、かご呼びは、例えば、乗場呼びの登録を完了した情報処理装置2が、行先階を示す情報と、情報処理装置2の識別情報と、を含むかご呼び依頼データを割当制御装置1へ送信することによって行われてもよい。
【0016】
本明細書において、情報処理装置2または乗場呼び登録装置3が割当制御装置1に乗場呼び依頼データを送信することを「乗場呼びを行う」または「乗場呼びを登録する」と称する。また、割当制御装置1が各乗場呼び依頼データに基づき割当号機を決定し、エレベータ5の移動予定を示すデータベースに、当該乗場呼び依頼データに基づく情報および割当号機を入力することを「乗場呼びの登録を完了する」と称する。
【0017】
また、本明細書において、情報処理装置2が割当制御装置1にかご呼び依頼データを送信すること、または、かご呼び入力部54がエレベータ制御装置4にかご呼び依頼データを送信することを「かご呼びを行う」または「かご呼びを登録する」と称する。エレベータ制御装置4は、かご呼び入力部54からのかご呼び依頼データに基づいてエレベータ5を移動させると共に、割当制御装置1に当該かご呼びにおいて指定された行先階等を含むかご呼びに関する情報を送信する。また、割当制御装置1がエレベータ5の移動予定を示すデータベースに、情報処理装置2から受け付けたかご呼び依頼データに基づく情報またはエレベータ制御装置4から受信したかご呼びに関する情報を入力することを「かご呼びの登録を完了する」と称する。
【0018】
エレベータ管理システム100における情報処理装置2は、自律走行可能な装置であり、エレベータ5を利用して階床間を移動可能である。情報処理装置2は予め建物に配備されている自動搬送装置、自走型掃除装置、およびその他の多機能ロボット等であってもよい。あるいは、情報処理装置2は、エレベータ管理システム100の導入に合わせて建物に配備された専用の装置であってもよい。図1に示すように、エレベータ管理システム100は複数の情報処理装置2を備えていてもよい。以下、エレベータ管理システム100が2台の情報処理装置2を備える場合を例に挙げて説明する。ただし、情報処理装置2は2台に限られず、3台以上であってもよい。
【0019】
また、情報処理装置2は、乗場呼びの登録が完了すると乗車予定の割当号機の到着まで待機し、割当号機に乗車した後にかご呼びを行う。本明細書において、「乗車予定装置2A」は乗場呼びが登録済であり、かご呼びの登録が完了していない情報処理装置2であり、割当号機に乗車予定の情報処理装置2である。例えば、「乗車予定装置2A」は、乗場において割当号機の到着を待っている情報処理装置2である。また、本明細書において、「降車予定装置2B」は、割当号機に乗車済の情報処理装置2であり、かご呼びを登録済の情報処理装置2である。例えば、「降車予定装置2B」は、割当号機にて降車予定の階床に移動中の情報処理装置2である。乗車予定装置2Aおよび降車予定装置2Bに該当する情報処理装置2はそれぞれ複数存在していてもよい。
【0020】
図2は、割当制御装置1の構成の一例を示すブロック図である。本実施形態におけるエレベータ管理システム100の割当制御装置1は、乗場呼びに基づき割当号機を決定する号機割当部113と、乗場呼びおよびかご呼びに応じて当該割当号機を移動させる移動制御部118を備えている。また、割当制御装置1は、ある情報処理装置2からの乗場呼びに対する割当号機を当該割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更部117を備える。割当制御装置1の割当変更部117は、ある号機を利用している降車予定装置2Bと、降車予定装置2Bと同じ号機が割り当てられている乗車予定装置2Aとの間で互いにエレベータ5の乗降に伴う進行を妨げる状況が発生することが予測されると、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機を変更する。
【0021】
「エレベータ5の乗降に伴う進行を妨げる状況」とは、ある情報処理装置2がエレベータ5を利用するときに、別の情報処理装置2によって進行を妨げられ、衝突回避を行わなければならない状況を示す。以下の説明では、「エレベータ5の乗降に伴う進行を妨げる状況」を、単に「干渉」とも称する。
【0022】
例えば、乗車予定装置2Aがエレベータ5のある号機に乗車するときに、当該号機から降車する降車予定装置2Bが存在する場合、一方の情報処理装置2が他方の情報処理装置2の進路上に位置し、乗降動作の妨げになる可能性がある。複数の情報処理装置2がこのような状況に陥っている場合、これらの情報処理装置2間において、エレベータ5の乗降に伴う進行を妨げる状況(すなわち、干渉)が発生していると表現できる。「エレベータ5の乗降に伴う進行を妨げる状況」の詳細については後述する。割当制御装置1の割当変更部117は、このような状況をできるだけ発生させないように割当号機の変更を行う。
【0023】
一例として、割当制御装置1は、2以上の情報処理装置2からの乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、当該2以上の情報処理装置2のうち、かご呼びを登録した降車予定装置2Bと、かご呼びを登録していない乗車予定装置2Aとが、降車予定装置2Bからのかご呼びによって指定される階床において、互いにエレベータ5の乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、乗車予定装置2Aからの乗場呼びに対する割当号機を、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対して元々割り当てていた降車予定装置2Bと同じ割当号機とは異なる号機に変更する。
【0024】
<エレベータ管理システム100の構成>
図1に示すように、エレベータ管理システム100は、割当制御装置1、情報処理装置2、乗場呼び登録装置3、エレベータ制御装置4、およびエレベータ5を備える。以下、エレベータ管理システム100が備える各装置の構成について説明する。
【0025】
[乗場呼び登録装置3]
乗場呼び登録装置3は、利用者がエレベータ5を利用するときに利用する装置であり、利用者による操作に基づき乗場呼びを登録し、当該乗場呼びに基づき決定された割当号機を利用者に通知する。
【0026】
一例として、乗場呼び登録装置3は、各階床に設けられていてもよい。乗場呼び登録装置3は、利用者による乗場呼びを行うための入力操作を受け付ける。乗場呼び登録装置3は、例えばかご52の移動方向を示すボタン等であってもよい。例えば乗場呼び登録装置3に対してエレベータ5のかご52の移動方向を入力する操作が行われると、乗場呼び登録装置3は、設けられた階床を出発階として入力された方向をかご52の移動方向とする乗場呼び依頼データを生成し、割当制御装置1に送信する。また、乗場呼び依頼データには、乗場呼び登録装置3を特定可能な識別情報も含まれる。
【0027】
[エレベータ制御装置4およびエレベータ5]
次に、エレベータ制御装置4およびエレベータ5について、図3を用いて説明する。図3は、エレベータ制御装置4およびエレベータ5の構成の一例を示すブロック図である。エレベータ制御装置4はエレベータ5の各号機にそれぞれ対応して設けられる。エレベータ制御装置4は、割当制御装置1からの指示に従ってエレベータ5を動作させる。例えば、エレベータ制御装置4は、割当制御装置1から、エレベータ制御装置4が制御するエレベータ5が割り当てられた乗場呼びに関する情報、具体的には出発階および移動方向を示す情報を受信し、当該情報に基づきエレベータ5を移動させる指示を行う。また、エレベータ制御装置4は、割当制御装置1から、情報処理装置2が登録したかご呼びによって指定される行先階を示す情報を受信し、当該情報に基づきエレベータ5を移動させる指示を行う。また、エレベータ制御装置4は、エレベータ5の状況(現在階、移動方向、扉53の開閉状態)を割当制御装置1に適宜連絡する。例えば、エレベータ制御装置4は、かご52が割当制御装置1から指示された階床に到着した場合、かご52の到着を示す情報を割当制御装置1に送信する。さらに、エレベータ制御装置4は、利用者からのかご呼び登録を受け付ける。具体的には、エレベータ5において利用者によるかご呼びを行うための操作が行われると、エレベータ制御装置4は、当該操作に基づく信号を受信し、当該操作によって指定された行先階を示す情報を記憶部(不図示)に記憶させ、かご呼びを登録する。また、エレベータ制御装置4は、かご呼びを登録すると共に行先階を示す情報を含むかご呼びに関する情報を、割当制御装置1に送信する。また、エレベータ制御装置4は、受け付けたかご呼びに基づきエレベータ5を移動させる指示を行う。
【0028】
図3に示すように、エレベータ5の各号機はそれぞれ制御部51およびかご52を備える。また、各号機に対応する各階床の乗場に扉(図示省略)が設けられ、乗場の扉はかご52の扉53に連動して開閉する。制御部51はエレベータ制御装置4の制御に従って動作し、かご52の階床間の移動および扉53の開閉を制御する。
【0029】
なお、本明細書では、エレベータ制御装置4およびエレベータ5がそれぞれ3つずつ設けられる構成が図示されているが、エレベータ制御装置4およびエレベータ5の数はこれに限られない。例えば、エレベータ管理システム100は、エレベータ制御装置4およびエレベータ5をそれぞれ2つ備える構成であってもよいし、4つ以上備える構成であってもよい。
【0030】
さらに、エレベータ5の各号機のかご52内には、利用者がかご呼びを行うためのかご呼び入力部54が設けられる。かご呼び入力部54は、例えばエレベータ5のかご52に乗車中の利用者が行先階を入力するためのボタン等であってもよい。かご呼び入力部54に対して行先階を指定するボタンが押下される等の操作が行われると、エレベータ制御装置4の制御部41は当該操作を示す信号をエレベータ5から取得する。制御部41は当該信号に基づき利用者からのかご呼びの登録を受け付ける。また、制御部41は、受け付けたかご呼びに関する情報として、かご52の行先階およびかご呼びが行われた号機を示す情報を、割当制御装置1に送信する。
【0031】
[情報処理装置2]
続いて、情報処理装置2について説明する。情報処理装置2は、割当制御装置1と通信可能に接続されている自走機能を備える多機能装置であり、エレベータ5を利用して階床間を移動可能である。また、情報処理装置2は、自律走行あるいは自立歩行が可能なロボットであってもよい。
【0032】
図1に示すように、エレベータ管理システム100には、複数の情報処理装置2が含まれる。各情報処理装置2は同様の構成を備えていてもよいし、図示した部分以外の構成は情報処理装置2ごとに異なっていてもよい。
【0033】
以下、情報処理装置2の概略構成について図4を用いて説明する。図4は、情報処理装置2の構成の一例を示すブロック図である。なお、本明細書では、2つの情報処理装置2を備えるエレベータ管理システム100を例示して説明するが、これに限定されない。例えば、エレベータ管理システム100が備える情報処理装置2の数は複数であればよく、例えば3以上であってもよい。
【0034】
図4に示すように、情報処理装置2は、制御部21、通信部22、駆動部23、および記憶部24を備える。制御部21は、情報処理装置2の各部の動作を制御する。制御部21は、生成部211および動作制御部212を備える。
【0035】
生成部211は、情報処理装置2から割当制御装置1へ乗場呼びおよびかご呼びを登録する。情報処理装置2にエレベータ5を利用する必要が生じた場合、生成部211は、情報処理装置2の識別情報、出発階および移動方向を示す情報を含む乗場呼び依頼データを生成し、通信部22を介して割当制御装置1に送信する。
【0036】
また、生成部211は、情報処理装置2が割当号機に乗車すると、少なくとも情報処理装置2の識別情報、行先階を示す情報を含むかご呼び依頼データを生成し、通信部22を介して割当制御装置1に送信する。
【0037】
動作制御部212は、駆動部23の動作を制御する。動作制御部212は、駆動部23の動作を制御することで、情報処理装置2を所望の行先階に移動させる。
【0038】
例えば、動作制御部212は、割当制御装置1から、乗場呼びの登録が完了したことを示す情報および当該乗場呼びに応じて割り当てられた割当号機を示す情報を含む割当結果を受信する。動作制御部212は、割当結果を示す情報に基づき、駆動部23を動作させ、情報処理装置2を割当号機の乗場へ移動させる。
【0039】
また、動作制御部212は、割当制御装置1から、割当号機の変更が行われたことを示す情報を受信すると、駆動部23を動作させ、情報処理装置2を変更後の割当号機である変更号機の乗場へ移動させる。
【0040】
割当号機のかご52が情報処理装置2の出発階に到着し、扉53が開くと、動作制御部212は、割当制御装置1から、かご52に乗車することを指示する乗車指示信号を受信する。動作制御部212は、乗車指示信号を受信すると、駆動部23を動作させ、情報処理装置2をエレベータ5の割当号機のかご52に乗車させる。
【0041】
情報処理装置2がかご52に乗車した後、行先階に到着すると、動作制御部212は、割当制御装置1から、かご52から降車することを指示する降車指示信号を受信する。動作制御部212は、降車指示信号を受信すると、駆動部23を動作させ、情報処理装置2をエレベータ5の割当号機のかご52から降車させる。
【0042】
通信部22は、情報処理装置2が割当制御装置1と無線通信を行うための通信モジュールである。駆動部23は、情報処理装置2が移動するための駆動機構であり、動作制御部212の制御に従って動作する。駆動部23は、車輪、キャタピラ、および歩行用の脚等任意の駆動機構であってもよい。記憶部24は、制御部21によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部21が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。
【0043】
[割当制御装置1]
次に、割当制御装置1について説明する。割当制御装置1は、利用対象からの乗場呼びを受け付け、当該乗場呼びに応じて最適な号機を割り当てる装置である。また、割当制御装置1は、受け付けた乗場呼びおよび当該乗場呼びに対する号機の割当結果に基づきエレベータ5を動作させる。また、割当制御装置1はかご52に乗車した利用対象からのかご呼びを受け付け、当該かご呼びに基づきエレベータ5を動作させる。また、利用対象が情報処理装置2である場合、割当制御装置1は、情報処理装置2にエレベータ5のかご52への乗降を指示する。
【0044】
さらに、割当制御装置1において、2以上の情報処理装置2からの乗場呼びを受け付けており、それぞれの乗場呼びに対して同じ号機を割り当てており、当該乗場呼びを行った情報処理装置2のうちのいずれかからかご呼びを受け付けた場合であって、かご呼びを登録していない乗車予定装置2Aとかご呼びを登録済みの降車予定装置2Bとの間において干渉が発生し得る場合、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機を別の号機に変更する。
【0045】
以下、割当制御装置1の概略構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、割当制御装置1は、制御部11、入出力インターフェース12、および記憶部13を備える。制御部11は、割当制御装置1における各処理を実行するように制御する。制御部11については後述する。
【0046】
入出力インターフェース12は、割当制御装置1がエレベータ管理システム100の各装置と情報の授受を行うためのインターフェースである。割当制御装置1は、各情報処理装置2と無線接続による通信を行い、入出力インターフェース12を介して各情報の送受信を行う。また、割当制御装置1は、各乗場呼び登録装置3およびエレベータ制御装置4と通信を行い、入出力インターフェース12を介して各情報の送受信を行う。割当制御装置1と乗場呼び登録装置3またはエレベータ制御装置4との間における接続方法は無線接続であってもよいし、有線接続であってもよい。
【0047】
記憶部13は、制御部11によって読み出される各種コンピュータプログラム、および、制御部11が実行する各種処理において利用されるデータ等が格納されている記憶装置である。さらに、記憶部13には、乗場呼びDB131、かご呼びDB132およびエレベータDB133が記憶されている。
【0048】
図5は、乗場呼びDB131の一例を示す図である。乗場呼びDB(データベース)131は、登録済みの情報処理装置2からの乗場呼びに関する情報を格納するデータベースである。図5に示すように、乗場呼びDB131には、利用対象の属性を示す情報と、各情報処理装置2を特定可能な識別情報であるロボットIDと、出発階を示す出発階情報と、かご52の移動方向を示す情報と、割当号機を示す号機情報と、が登録済みの乗場呼びごとに対応付けられた対応情報が記憶されている。
【0049】
また、乗場呼びDB131には、出発階およびかご52の移動方向を示す情報として、割当制御装置1が受け付けた各乗場呼びに対応する乗場呼び依頼データに含まれていた情報が記憶されている。また、乗場呼びDB131には、割当号機を示す号機情報として、各乗場呼びに対して割り当てられた割当号機を示す情報が記憶されている。
【0050】
図6は、かご呼びDB132の一例を示す図である。かご呼びDB(データベース)132は、登録済みの情報処理装置2からのかご呼びに関する情報を格納するデータベースである。図6に示すように、かご呼びDB132には、ロボットIDと、行先階を示す情報と、かご呼びを行った利用対象が乗車するエレベータ5の号機を示す情報と、が登録済みのかご呼びごとに対応付けられて記憶されている。
【0051】
図7は、エレベータDB133の一例を示す図である。エレベータDB(データベース)133は、エレベータ5の各号機の運行予定に関する情報が対応付けられて記憶されているデータベースである。図7に示すように、エレベータDB133には、エレベータ5の識別情報(エレベータID)と、かご52が位置している階床である現在階(かご52が移動中の場合は走行方向に応じて変化し、かご52が停止中の場合は停止階である)と、かご52の現在方向(現在の移動方向)と、かご52が移動予定の階床である行先階と、が号機ごとに対応付けられている。
【0052】
図2に戻り、制御部11は、割当制御装置1が備える各機能の処理を実行するように制御する。また、制御部11は、各号機の運転を統括的に管理する。図2に示すように、制御部11は、乗場呼び受付部111、かご呼び受付部112、号機割当部113、第1判定部114、第2判定部115、特定部116、割当変更部117、移動制御部118、および通知部119を備える。
【0053】
(乗場呼び受付部111)
乗場呼び受付部111は、入出力インターフェース12を介して情報処理装置2または乗場呼び登録装置3と通信を行い、利用対象による乗場呼びを受け付ける。具体的には、乗場呼び受付部111は、乗場呼び登録装置3または情報処理装置2から乗場呼び依頼データを受信する。受付部111が受信する乗場呼び依頼データには、乗場呼び登録装置3または情報処理装置2の識別情報、出発階を示す情報、およびかご52の移動方向を示す情報が含まれている。また、乗場呼び受付部111は、乗場呼びを行った利用対象の属性を特定し、当該属性を示す情報と共に受信した乗場呼び依頼データを号機割当部113に出力する。
【0054】
(かご呼び受付部112)
かご呼び受付部112は、入出力インターフェース12を介して情報処理装置2と通信を行い、利用対象によるかご呼びを受け付ける。具体的には、かご呼び受付部112は、情報処理装置2からかご呼び依頼データを受信する。かご呼び受付部112が受信するかご呼び依頼データには、かご呼びが行われたエレベータ5の号機を示す識別情報または情報処理装置2の識別情報および行先階を示す情報が含まれている。また、情報処理装置2からのかご呼び依頼データには、情報処理装置2が乗車中のエレベータ5の号機を示す情報も含まれる。
【0055】
かご呼び受付部112は、かご呼び依頼データを受信すると、当該かご呼び依頼データに含まれるかご呼びに関する情報をかご呼びDB132に記憶させ、受け付けたかご呼びの登録を完了する。また、かご呼び受付部112は、かご呼びの登録を完了したことを示す情報を第1判定部114に出力する。
【0056】
また、かご呼び受付部112は、エレベータ制御装置4から、当該エレベータ制御装置4が受け付けた登録済みのかご呼びに関する情報を、入出力インターフェース12を介して受信してもよい。かご呼び受付部112は、当該情報を受信すると、当該情報とエレベータ制御装置4が制御するエレベータ5の号機を示す情報とを対応付けて記憶部13に記憶してもよい。
【0057】
(号機割当部113)
号機割当部113は、乗場呼び受付部111が受信した乗場呼び依頼データに基づき、利用対象の乗場呼びに対して割り当てる割当号機を決定する。
【0058】
乗場呼び登録装置3からの乗場呼びを受け付けた場合、号機割当部113は、エレベータDB133を参照し、エレベータ5の各号機の行先階を取得する。号機割当部113は、エレベータ5の各号機の行先階と乗場呼び依頼データに含まれる出発階および移動方向を示す情報とに基づき、当該乗場呼びに対する最適な号機を選択し、当該号機を割当号機として決定する。
【0059】
情報処理装置2からの乗場呼びを受け付けた場合、号機割当部113は乗場呼びDB131を参照し、登録済みの乗場呼びに関する情報を取得する。号機割当部113は、情報処理装置2から受け付けた乗場呼びによって指定される出発階および移動方向と一致する出発階および移動方向を指定する登録済みの乗場呼びが存在する場合、当該登録済みの乗場呼びに対する割当号機と同じ号機を、受け付けた乗場呼びに対して割り当てる。このような登録済みの乗場呼びが存在しない場合、号機割当部113はエレベータDB133を参照し、乗場呼び登録装置3からの乗場呼びを受け付けた場合と同様の方法で割当号機を決定する。
【0060】
号機割当部113は、割当号機を決定すると、乗場呼びDB131に乗場呼び依頼データに含まれる情報および号機情報を記憶する。また、号機割当部113は、エレベータDB133の割当号機の行先階に乗場呼びによって指定された階床を記憶させ、乗場呼びの登録を完了する。また、号機割当部113は、乗場呼びの登録を完了すると、乗場呼びを行った情報処理装置2または乗場呼び登録装置3に乗場呼びの登録が完了したことを示す情報および割当号機を示す情報を送信する。
【0061】
(第1判定部114)
第1判定部114は、割当制御装置1において2以上の情報処理装置2からの登録済みの乗場呼びに対して同じ号機が割り当てられ、これら情報処理装置2のうちの1つからかご呼びを受け付けた場合、干渉の発生が予測されるか否かを判定する。
【0062】
具体的には、第1判定部114は、かご呼び受付部112からかご呼びの登録が完了したことを示す情報を取得すると、乗場呼びDB131およびかご呼びDB132を参照し、新たに登録されたかご呼びに関する情報、例えば降車予定装置2Bの割当号機および行先階を示す情報を取得する。また、第1判定部114は、乗場呼びDB131に記憶されている、降車予定装置2Bと同じ号機を割り当てられた乗車予定装置2Aの乗車予定、具体的には出発階および移動方向を示す情報を取得する。
【0063】
第1判定部114は、これらの情報に基づき、降車予定装置2Bの割当号機において当該降車予定装置2Bが行先階で降車するときに乗車予定装置2Aの乗車予定があるかを判定する。降車予定装置2Bが行先階で降車するときに乗車予定装置2Aの乗車予定がある場合、第1判定部114は、降車予定装置2Bと乗車予定装置2Aとが降車予定装置2Bの行先階において互いに干渉し得ることが予測されると判定する。降車予定装置2Bと乗車予定装置2Aとが降車予定装置2Bの行先階において互いに干渉し得ることが予測されると判定した場合、第1判定部114は、降車予定装置2Bと干渉し得ると判定した乗車予定装置2Aの乗場呼び、および乗車予定装置2Aの割当号機を示す情報を含む判定結果を第2判定部115に出力する。
【0064】
降車予定装置2Bの割当号機において当該降車予定装置2Bが行先階で降車するときに乗車予定装置2Aの乗車予定がある状況では、干渉が発生し得る。例えば、以下の(A)および(B)のような状況がこれに該当する。(A)および(B)にそれぞれ対応する状況については具体例を挙げて後に説明する。
(A)乗車予定装置2Aより先に割当号機に乗車した降車予定装置2Bから取得された、乗車予定装置2Aの出発階を行先階とするかご呼びに応じて割当号機を移動させる。この場合において、乗車予定装置2Aから受け付けた乗場呼びに示される移動方向と、割当号機が降車予定装置2Bの行先階に到着した後の、当該行先階からの割当号機の移動方向とが同じである。
(B)乗車予定装置2Aより先に割当号機に乗車した降車予定装置2Bから取得された、乗車予定装置2Aの出発階を行先階とするかご呼びに応じて割当号機を移動させる。この場合において、乗車予定装置2Aから受け付けた乗場呼びに示される移動方向と、割当号機が降車予定装置2Bの行先階に到着した後の、当該行先階からの割当号機の移動方向とが異なり、当該行先階が割当号機の反転階である。
【0065】
なお、降車予定装置2Bと同じ号機に割り当てられている乗車予定装置2Aが複数存在する場合、第1判定部114は、降車予定装置2Bとそれぞれの乗車予定装置2Aとの間で干渉が発生し得るかをそれぞれ判定する。
【0066】
(第2判定部115)
第2判定部115は、第1判定部114から判定結果を示す情報を取得すると、降車予定装置2Bと干渉し得ると判定された乗車予定装置2Aの乗場呼びに対して割り当てられる号機の変更先の候補を特定するための判定を行う。
【0067】
一例として、第2判定部115は、降車予定装置2Bと干渉し得ると判定された乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機を別の号機に割当変更した場合に、乗車予定装置2Aと別の降車予定装置2Bとの間で干渉が発生するか否かを判定する。
【0068】
具体的には、第2判定部115は、かご呼びDB132を参照し、乗車予定装置2Aの割当号機とは異なる号機について判定を行う。第2判定部115は、判定対象の号機が割り当てられた降車予定装置2Bのかご呼びに関する情報を取得する。第2判定部115は、乗車予定装置2Aと当該降車予定装置2Bとの関係が、上述の(A)または(B)の状況に該当するか否かを判定する。上述の(A)または(B)の状況に該当する場合、第2判定部115は、乗車予定装置2Aに対する割当号機を、判定対象の号機に割当変更した場合に干渉が発生し得ると判定する。
【0069】
例えば、5階を出発階とし移動方向を上方向とする乗場呼びを行った乗車予定装置2Aがエレベータ5の1号機で降車予定装置2Bと干渉すると判定された場合において、当該乗車予定装置2Aの乗場呼びを2号機に割当変更したとする。ここで、エレベータ5の2号機において5階を行先階とする別の降車予定装置2Bからのかご呼びが登録されている場合、当該降車予定装置2Bと乗車予定装置2Aとの間で干渉が発生し得る。
【0070】
このような場合、第2判定部115は乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機を1号機から2号機に変更した場合、干渉が発生し得ると判定する。
【0071】
また、判定対象の号機が複数のかご呼びに対して割り当てられている場合、第2判定部115は、かご呼びを行った複数の降車予定装置2Bのそれぞれと乗車予定装置2Aとの関係について判定を行う。第2判定部115は、エレベータ5の各号機について少なくともかご呼びを行った1台の降車予定装置2Bと乗車予定装置2Aとが干渉する場合、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機を当該号機に割当変更した場合に、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生し得ると判定する。
【0072】
第2判定部115は、エレベータ5の全号機について判定を行い、判定結果を特定部116に出力する。なお、判定対象が乗車予定装置2Aの乗場呼びに対して元々割り当てられている号機である場合、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとが干渉し得ることは明らかである。そのため、このような場合には第2判定部115はかご呼びDB132を参照せずに、当該号機を干渉が発生し得る号機と判定して、特定部116に判定結果を出力する。
【0073】
(特定部116)
特定部116は、第2判定部115の判定結果に基づき、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対して割り当てる号機の変更先である変更号機の候補である候補号機を特定する。具体的には、特定部116は、第2判定部115から判定結果を取得し、割当変更した場合に乗降時干渉が発生し得ると判定された号機を除く号機を候補号機に加える。特定部116は特定した候補号機を示す情報を割当変更部117に出力する。
【0074】
(割当変更部117)
割当変更部117は、乗車予定装置2Aからの乗場呼びに対する割当号機を、当該割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更を行う。
【0075】
具体的には、割当変更部117は、特定部116から候補号機を示す情報を取得し、当該候補号機から、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機の変更先として最適な号機である変更号機を選択する。候補号機から最適な号機を選択する方法は特に限定されない。
【0076】
割当変更部117は乗場呼びDB131およびエレベータDB133を参照し、乗車予定装置2Aが元々割り当てられていた号機における乗車予定装置2Aの乗場呼びへの対応をOFFにし、変更号機における乗車予定装置2Aの乗場呼びへの対応をONにする。
【0077】
具体的には、割当変更部117は、変更号機を選択すると、乗場呼びDB131に記憶されている乗車予定装置2Aの対応情報において、出発階情報に対応付けられている号機情報を、割当号機を示す情報から変更号機を示す情報に変更する。また、割当変更部117はエレベータDB133を参照し、変更号機の行先階に、乗車予定装置2Aの出発階を示す階床を追加する。
【0078】
これにより、ある割当号機で降車予定装置2Bと干渉し得ると判定された乗車予定装置2Aは、別の号機である変更号機に乗車予定となる。また、割当変更部117は、第2判定部115によって乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとが干渉する可能性が予測されると判定された号機が除かれた候補号機から変更号機を選択する。そのため、乗車予定装置2Aが変更号機に乗車するときに別の情報処理装置2、例えば降車予定装置2Bと干渉する可能性が抑制されている。
【0079】
また、割当変更部117は、割当変更を行ったことを示す割当変更情報を通知部119に出力する。割当変更情報には、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当変更後の変更号機を示す情報が含まれる。
【0080】
(移動制御部118)
移動制御部118は、エレベータ5の号機を移動させる。例えば、移動制御部118は、エレベータDB133に基づきエレベータ5の動作を決定し、当該エレベータ5を制御するエレベータ制御装置4に対して指示を行う。また、移動制御部118は、乗場呼びDB131、かご呼びDB132およびエレベータDB133に基づき、乗車予定装置2Aまたは降車予定装置2Bに対して割当号機のかご52への乗降を指示する。
【0081】
移動制御部118は、エレベータDB133に基づきエレベータ5の各号機が備えるかご52の行先階を決定し、各号機に対応するエレベータ制御装置4に対して指示を送信する。また、エレベータ5のかご52がいずれかの階床に到着すると、移動制御部118は、エレベータ制御装置4から当該階床に到着したことを示す情報を受信し、当該情報に基づき各種制御を行う。例えば、移動制御部118は、かご52が指示した階床に到着したことを示す情報を受信すると、扉53を開き、所定時間後または扉53を閉じることを指示する操作等を受け付けると扉53を閉じることを指示する信号をエレベータ制御装置4に送信する。その後、当該かご52を次の行先階へ移動させることをエレベータ制御装置4に指示する。
【0082】
また、ある号機が指示した階床に到着したことを示す情報をエレベータ制御装置4から受信すると、移動制御部118は、エレベータDB133における、当該号機の行先階のうち、かご52が到着した行先階を示す情報を削除する。
【0083】
また、エレベータ5のかご52がいずれかの階床に到着すると、移動制御部118は、乗場呼びDB131およびかご呼びDB132を参照し、当該階床が情報処理装置2の出発階または行先階に該当する場合、情報処理装置2に対してかご52への乗降を指示する。
【0084】
具体的には、移動制御部118は、乗場呼びDB131を参照し、エレベータ5のかご52が到着した階床が、乗車予定装置2Aの出発階に該当する場合、当該乗車予定装置2Aにかご52への乗車を指示する乗車指示信号を送信する。乗車予定装置2Aからかご52への乗車が完了したことを示す乗車完了情報を受信すると、移動制御部118は、乗車予定装置2Aが乗車したかご52の扉53を閉じること、およびかご52を次の階床に移動させることを指示する信号を、かご52に対応するエレベータ制御装置4に送信する。また、移動制御部118は、乗車予定装置2Aが乗車すると、乗場呼びDB131における当該乗車予定装置2Aが登録した乗場呼びに関する情報を削除する。これにより、乗場呼びDB131には常に対応が完了していない乗場呼びに関する情報のみが記憶される。
【0085】
また、移動制御部118はかご呼びDB132を参照し、エレベータ5のかご52が到着した階床が降車予定装置2Bの行先階に該当する場合、当該降車予定装置2Bにかご52からの降車を指示する降車指示を送信する。また、移動制御部118は、降車予定装置2Bが降車すると、かご呼びDB132における当該降車予定装置2Bが登録したかご呼びに関する情報を削除する。これにより、かご呼びDB132には常に対応が完了していないかご呼びに関する情報のみが記憶される。
【0086】
(通知部119)
通知部119は、割当変更部117から割当変更情報を取得すると、割当変更が行われたことを示す情報および変更号機を示す情報を、割当変更が行われた乗場呼びを登録した乗車予定装置2Aに入出力インターフェース12を介して通知する。これにより、乗車予定装置2Aは割当変更が行われた後の変更号機を把握することができる。
【0087】
(干渉の具体例)
以下、「干渉」が発生し得ると予測される状況の具体例について説明する。割当制御装置1が受け付け、ある号機が割り当てられた乗場呼びと、当該号機を乗車号機とするかご呼びとの関係が以下の(A)または(B)のいずれかの状況に該当する場合、乗場呼びを行った乗車予定装置2Aが出発階でかご52に乗車するときに、かご呼びを行った降車予定装置2Bが当該かご52から降車する。すなわち、以下の(A)または(B)のいずれかの状況に該当する場合、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生し得る。
【0088】
(A)乗車予定装置2Aより先に割当号機に乗車した降車予定装置2Bから取得された、乗車予定装置2Aの出発階を行先階とするかご呼びに応じて割当号機を移動させる場合において、乗車予定装置2Aから受け付けた乗場呼びに示される移動方向と、割当号機が降車予定装置2Bの行先階に到着した後の、当該行先階からの割当号機の移動方向とが同じである。
【0089】
(B)乗車予定装置2Aより先に割当号機に乗車した降車予定装置2Bから取得された、乗車予定装置2Aの出発階を行先階とするかご呼びに応じて割当号機を移動させる場合において、乗車予定装置2Aから受け付けた乗場呼びに示される移動方向と、割当号機が降車予定装置2Bの行先階に到着した後の、当該行先階からの割当号機の移動方向とが異なり、当該行先階が割当号機の反転階である。
【0090】
「反転階」とは、その階床にかご52が到着した後、当該かご52の移動方向が変わる階床である。例えば1階から上方向に移動しているかご52が3階に到着し、その後当該かご52が3階から下方向に移動する場合、3階が反転階と称される。
【0091】
第1判定部114は、乗車予定装置2Aおよび降車予定装置2Bにエレベータ5の同じ号機が割り当てられており、当該降車予定装置2Bから受け付けたかご呼びに基づき当該号機を動作させると、上記の(A)または(B)のいずれかの状況に該当する場合、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生し得ると判定する。また、割当変更部117は、第1判定部114によってこのような状況が予測されると判定された場合、乗車予定装置2Aからの乗場呼びに対して割り当てる号機を、元々割り当てていた割当号機とは異なる号機に変更する。
【0092】
図8および図9は、干渉の具体例を示す概略図である。以下、(A)および(B)の具体例について、図8および図9を用いて説明する。なお、図8および図9は例示であり、第1判定部114が、干渉が発生し得ると判定する状況はこれらに限られない。
【0093】
図8および図9において、情報処理装置2から出ている矢印のうち、実線の矢印の元は乗場呼びに基づく出発階を示し、矢印の方向は乗場呼びによって指定されるかご52の移動方向を示す。例えば、図8において、乗車予定装置2Aである情報処理装置2から出ている矢印は、乗車予定装置2Aが登録した乗場呼びに基づく出発階が5階であり、移動方向が上方向であることを示す。また、図8および図9において、破線の矢印はかご呼びに基づく行先階およびかご52の移動方向を示す。例えば、図8において、降車予定装置2Bである情報処理装置2から出ている矢印は、降車予定装置2Bが登録したかご呼びに基づく行先階が5階であり、移動方向が上方向であることを示す。
【0094】
また、図8および図9において、かご52の上または下に付いている三角形はそのかご52の移動方向を示す。例えば、図8において1号機のエレベータ5Aのかご52Aは上方向に移動し、3号機のエレベータ5Cのかご52Cは下方向に移動する。また、図8において2号機のエレベータ5Bのかご52Bには三角形を付していない。これは、かご52Bが停止して上下どちらにも移動していないことを示す。
【0095】
図8は、上記(A)の具体例を示す。図8に示すように、以下のような状態である場合、上記(A)に該当し、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生し得る。
・降車予定装置2Bが1階に位置している1号機(エレベータ5A)のかご52Aに乗車している。
・乗車予定装置2Aによって5階を出発階とし、上方向を移動方向とする乗場呼びが行われ、1号機(エレベータ5A)が割り当てられている。
・降車予定装置2Bによって、行先階を5階とするかご呼びが行われる。
【0096】
図9は、上記(B)の具体例を示す。図9に示すように、以下のような状態である場合、上記(B)に該当し、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生し得る。
・降車予定装置2Bが1階に位置している1号機(エレベータ5A)のかご52Aに乗車している。
・乗車予定装置2Aによる5階を出発階とし、下方向を移動方向とする乗場呼びが登録済みである。
・降車予定装置2Bによって、行先階を5階とするかご呼びが行われる。
・当該乗場呼びに対する1号機(エレベータ5A)の割当が変更されない場合、かご52Aの反転階が5階となる。
【0097】
なお、図8および図9に示す例において、以下の2つの例に示す場合において、乗車予定装置2Aおよび降車予定装置2Bに同じ号機が割り当てられている場合も同様に、干渉が発生し得る状況に該当する。以下の2つの例はいずれも、各情報処理装置2の移動方向が反対の場合に該当する。
・かご52に乗車中の降車予定装置2Bによるかご呼びによって指定された行先階がかご52の現在階よりも下の階床であり、当該行先階および移動方向と、乗車予定装置2Aの乗場呼びによって指定された出発階と移動方向とが一致する。
・かご52に乗車中の降車予定装置2Bによるかご呼びによって指定された行先階と、乗車予定装置2Aの乗場呼びによって指定された出発階とが一致し、降車予定装置2Bが乗車中のかご52が降車予定装置2Bの行先階へ向かうときに下方向へ移動し、乗車予定装置2Aの乗場呼びによって指定される移動方向が上方向であり、さらに一致する階床がかご52の反転階である。
【0098】
<割当制御装置1の効果>
以上のように、割当制御装置1は、号機割当部113、移動制御部118、および割当変更部117を備える。号機割当部113は、自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータ5を利用して階床間を移動可能な情報処理装置2から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、複数の号機の中から情報処理装置2に利用させる割当号機を決定する。移動制御部118は、行先階を示すかご呼びに応じて割当号機を移動させるようエレベータ制御装置4に指示を行う。割当変更部117は、情報処理装置2からの乗場呼びに対する割当号機を当該割当号機とは異なる他の号機に変更する。
【0099】
また、割当変更部117は、2以上の情報処理装置2からの乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、当該2以上の情報処理装置2のうち、かご呼びを登録した情報処理装置2である降車予定装置2Bと、かご呼びを登録していない情報処理装置2である乗車予定装置2Aとが、降車予定装置2Bからのかご呼びによって指定される階床において、互いにエレベータ5の乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、乗車予定装置2Aからの乗場呼びに対する割当号機を、当該割当号機とは異なる号機に変更する。
【0100】
従来のエレベータの割当を決定する群管理装置では、かごの停止回数および移動距離を低減し、輸送効率を向上させるように割当を行うことが一般的である。しかしながら、例えば図8に示すような例において、乗車予定装置2Aおよび降車予定装置2Bの両方にエレベータ5の1号機が割り当てられた状態で1号機のかご52Aを動作させた場合、5階において乗車予定装置2Aがかご52Aに乗車するときに降車予定装置2Bが当該かご52Aから降車する。このような場合、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとが衝突回避を行う必要が生じる可能性がある。このような場合、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの一方が他方の進路上に位置して邪魔になるなどして互いの乗降動作を妨げ、乗車予定装置2Aおよび降車予定装置2Bの少なくとも一方が回避動作を行う必要が生じる可能性がある。これらの情報処理装置2の少なくとも一方が回避動作を行う場合、各情報処理装置2の乗降に時間がかかる、または他の利用者の邪魔になるなどの問題が生じ得る。さらに、上述のような場合、各情報処理装置2が回避動作を行おうとして両情報処理装置2が動けなくなる、所謂デッドロック状態が発生し、当該デッドロック状態から抜け出せなくなる可能性がある。
【0101】
これに対して、本発明に係る割当制御装置1では、上述のように、割当変更部117は、干渉が発生する可能性が抑えられるように、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機の変更を行う。ここで、割当変更部117は、各かご52の停止回数および移動距離等よりも、干渉が発生する可能性の有無を優先し、多少停止回数が増加したとしても、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機において干渉の発生が予測される場合には、割当号機の変更を行う。これにより、割当制御装置1は、エレベータ5を利用する情報処理装置2の一方が他方の進行を妨げる状況の発生を低減し、各情報処理装置2が動けなくなるデッドロック状態の発生を低減することが可能となる。
【0102】
割当変更部117は、乗車予定装置2Aより先に割当号機に乗車した降車予定装置2Bから取得された、乗車予定装置2Aの出発階を行先階とするかご呼びに応じて割当号機を移動させる場合において、乗車予定装置2Aから受け付けた乗場呼びに示される移動方向と、割当号機が降車予定装置2Bの行先階に到着した後の、当該行先階からの割当号機の移動方向とが同じである場合、乗車予定装置2Aからの乗場呼びに対して割り当てる号機を、当該割当号機とは異なる号機に変更する。
【0103】
乗車予定装置2Aから受け付けた乗場呼びに示される移動方向と、割当号機が降車予定装置2Bの行先階に到着した後の、当該行先階からの割当号機の移動方向とが同じである場合、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生する可能性が予測される。従って、割当変更部117がこのような可能性が予測される場合に割当変更を行うことで、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生する可能性を抑制することができる。
【0104】
また、割当制御装置1は、乗車予定装置2Aに割り当てられた割当号機を示す号機情報と乗車予定装置2Aの出発階を示す出発階情報とが対応付けられた対応情報を記憶する記憶部13を備える。また、移動制御部118は、当該対応情報に基づき割当号機を移動させる。
【0105】
そして、割当変更部117は、乗車予定装置2Aに割り当てる号機を割当号機から当該割当号機とは異なる号機に変更した場合、対応情報において乗車予定装置2Aの出発階情報に対応付けられる号機情報を、元々割り当てられていた割当号機を示す情報から、変更後の号機を示す情報に変更する。
【0106】
上記構成によると、乗車予定装置2Aに割り当てる号機が変更された場合、移動制御部118は、対応情報に基づいて、変更後の号機を乗車予定装置2Aの出発階に移動させることができる。
【0107】
また、割当制御装置1は、割当変更部117が乗車予定装置2Aに割り当てる号機を変更した場合、当該変更後の号機を示す情報を乗車予定装置2Aに通知する通知部119をさらに備える。上記構成によると、乗車予定装置2Aに割り当てる号機が変更された場合、割当制御装置1は変更後の号機を乗車予定装置に通知することができる。また、割当変更が行われた乗場呼びを行った乗車予定装置2Aは、変更後の割当号機を把握することができる。
【0108】
<割当制御装置1が行う処理の流れの一例>
以下、図10を用いて、割当制御装置1が乗場呼びを受け付けた場合に行う処理(割当変更方法)の流れの一例について説明する。図10は、以下、割当制御装置1が行う処理の概要を示すフローチャートである。
【0109】
まず、割当制御装置1の乗場呼び受付部111およびかご呼び受付部112は、乗場呼びまたはかご呼びに関する情報を受信するまで(S1でYESになるまで)処理を待機する。乗場呼び受付部111が、情報処理装置2または乗場呼び登録装置3から乗場呼び依頼データを受信する(すなわち、乗場呼びを受け付ける)と(S2でYES)、乗場呼び受付部111は受信した乗場呼び依頼データを号機割当部113に出力する。号機割当部113は、乗場呼び依頼データを取得すると、当該データに基づき、当該乗場呼びに対して割り当てる(利用させる)割当号機を決定する(S3:号機割当ステップ)。その後、号機割当部113は、乗場呼びに関する情報および割当号機を示す情報を乗場呼びDB131およびエレベータDB133に記憶し、乗場呼びの登録を完了する。
【0110】
割当制御装置1が受信した情報が乗場呼びに関する情報でない場合(S2でNOの場合)、処理はS4に進む。S4において、かご呼び受付部112は、情報処理装置2からかご呼びを受け付ける。具体的には、かご呼び受付部112は、情報処理装置2からかご呼びに関する情報として、情報処理装置2の識別情報および行先階を示す情報を含むかご呼び依頼データを受信する。かご呼び受付部112は、受信したかご呼び依頼データに基づき、かご呼びDB132およびエレベータDB133にかご呼びに関する情報を記憶し、かご呼びの登録を完了する。
【0111】
かご呼び受付部112は、S4において情報処理装置2から受け付けたかご呼びの登録を完了すると、第1判定部114にかご呼びの登録が完了したことを示す情報を出力する。かご呼び受付部112においてかご呼びの登録が完了すると、第1判定部114は、当該かご呼びを行った降車予定装置2Bと、当該降車予定装置2Bと同じ号機が割り当てられた乗場呼びを登録した乗車予定装置2Aとが干渉することが予測されるか否かを判定する(S5)。
【0112】
乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとが干渉することが予測されると判定された場合(S5でYES)、割当変更部117は当該乗車予定装置2Aに対する割当号機を、当該割当号機とは異なる号機に変更する(S6:割当変更ステップ)。
【0113】
S3の後、S5でNOの場合、またはS6の後、移動制御部118は、出発階を示す乗場呼びまたは行先階を示すかご呼びに応じて、割当号機を移動させるようエレベータ制御装置4に対して指示を行う(S7:移動制御ステップ)。
【0114】
例えば、S3の後(乗場呼びの登録が完了した後)、移動制御部118はエレベータDB133を参照し、エレベータDB133に記憶された各号機の行先階に各号機のかご52を移動させるようエレベータ制御装置4に指示を行う。あるいは、S5でNO、またはS6の後(かご呼びの登録が完了した後)、移動制御部118はエレベータDB133を参照し、エレベータDB133に記憶された各号機の行先階に各号機のかご52を移動させるようエレベータ制御装置4に指示を行う。なお、移動制御部118は、乗場呼びDB131およびかご呼びDB132を参照し、かご52の行先階が乗車予定装置2Aの出発階または降車予定装置2Bの行先階である場合、これらの情報処理装置2に対して乗車または降車を指示する信号を送信する。
【0115】
[乗場呼びを受け付けたときの処理]
以下、図11を用いて、割当制御装置1が乗場呼びを受け付けた場合に行う処理、すなわち図10に示すS2~S3およびS7の処理の流れの一例について、より具体的に説明する。図11は、割当制御装置1が乗場呼びを受け付けた場合に行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0116】
乗場呼び受付部111は、情報処理装置2または乗場呼び登録装置3から乗場呼び依頼データを受信するまで、処理を待機している。乗場呼び受付部111は、情報処理装置2または乗場呼び登録装置3から乗場呼び依頼データを受信する(すなわち、新たな乗場呼びを受け付けると)、利用対象の属性(ユーザタイプ)を特定する。乗場呼び依頼データには、利用対象の識別情報、出発階、および移動方向を示す情報が含まれている。以下、乗場呼びによって指定される出発階をF階、移動方向をD方向と称する。
【0117】
受信した乗場呼びを行った利用対象の属性が利用者である場合、換言すると、F階でD方向の乗場呼びが乗場呼び登録装置3から登録された場合(S11でYES)、乗場呼び受付部111は乗場呼び登録装置3からの乗場呼びを受け付ける。乗場呼び受付部111は、乗場呼び登録装置3からの乗場呼びを受け付けると、乗場呼び依頼データに含まれる各情報を号機割当部113に出力する。
【0118】
号機割当部113は、乗場依頼データを取得すると、エレベータDB133を参照し、エレベータ5の各号機の行先階と乗場依頼データに基づき、受け付けた乗場呼びに対する最適号機を選択する(S12)。号機割当部113は、最適号機を選択すると、選択した最適号機を受け付けた乗場呼びに割り当てる(S13)。換言すると、号機割当部113は、S13において、乗場呼びに対する割当号機を決定する。
【0119】
号機割当部113は、割当号機を決定すると、エレベータDB133の割当号機の行先階に、乗場呼び登録装置3からの乗場呼びによって指定された階床を記憶させ、乗場呼びの登録を完了する。また、号機割当部113は、乗場呼びの登録を完了すると、乗場呼びを行った乗場呼び登録装置3に乗場呼びの登録が完了したことを示す情報および割当号機を示す情報を送信する。
【0120】
受信した乗場呼びを行った利用対象の属性が利用者でない場合(S11でNO)とは、例えば乗場呼びを行った利用対象の属性が情報処理装置2である場合である。
【0121】
利用対象の属性が情報処理装置2である場合(S11でNO)、乗場呼び受付部111は情報処理装置2からの乗場呼びを受け付ける。乗場呼び受付部111は、情報処理装置2からの乗場呼びを受け付けると、乗場呼び依頼データに含まれる各情報を号機割当部113に出力する。
【0122】
号機割当部113は、情報処理装置2からの乗場呼び依頼データを取得すると、乗場呼びDB131を参照し、登録済みの乗場呼びに関する情報を取得する。号機割当部113は、乗場呼びDB131において、F階でD方向の乗場呼び(すなわち、新たに受け付けた乗場呼びと同じ出発階および移動方向を指定する乗場呼び)に対して割り当てられている号機を特定する(S14)。
【0123】
F階でD方向の乗場呼びに対して割り当てられている号機が存在する場合(S14でYES)、号機割当部113は、当該号機を情報処理装置2の乗場呼びに対する最適号機として選択する(S15)。F階でD方向の乗場呼びに対して割り当てられている号機が存在しない場合(S14でNO)、号機割当部113は、号機割当部113を参照し、情報処理装置2の乗場呼びに対する最適号機を選択する(S16)。
【0124】
S15またはS16の後、号機割当部113は、選択した最適号機を情報処理装置2の乗場呼びに対して割り当てる(S17)。号機割当部113は、号機を割り当てると、乗場呼びDB131に乗場呼び依頼データに含まれる情報および割当号機を示す情報を記憶する。また、号機割当部113は、エレベータDB133の割当号機の行先階に、情報処理装置2からの乗場呼びによって指定された階床を記憶させ、乗場呼びの登録を完了する。また、号機割当部113は、乗場呼びの登録を完了すると、乗場呼びを行った情報処理装置2に乗場呼びの登録が完了したことを示す情報および割当号機を示す情報を送信する(S18)。
【0125】
[情報処理装置2によってかご呼びが行われたときの処理の流れの一例]
以下、図12を用いて、割当制御装置1が情報処理装置2からかご呼びを受け付けた場合に行う処理、すなわち図10に示すフローチャートにおいて、S4でYESであった場合の処理の流れの一例についてより具体的に説明する。図12は、割当制御装置1が情報処理装置2からかご呼びを受け付けた場合に行う処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0126】
かご呼び受付部112は、情報処理装置2からのかご呼びを受け付けると、かご呼びDB132に当該かご呼びに関する情報を記憶させ、かご呼びの登録を完了する。かご呼び受付部112は、かご呼びの登録を完了すると、かご呼びの登録が完了したことを示す情報を第1判定部114に出力する。
【0127】
第1判定部114は、新たに登録されたかご呼びを行った降車予定装置2Bが利用する号機(以下、C号機)において、乗降時干渉となり得る状態が発生したかを判定する。具体的には、第1判定部114は、乗場呼びDB131を参照し、降車予定装置2Bと、降車予定装置2Bと同じC号機が割り当てられた乗場呼びを行った乗車予定装置2Aとが干渉し得るか否かを判定する(S21)。
【0128】
第1判定部114によって、C号機において降車予定装置2Bと乗車予定装置2Aとが干渉し得ると判定された場合(S21でYES)、第2判定部115は乗車予定装置2Aの乗場呼びに対して割り当てられる号機の変更先の候補を特定するための判定を行う。
【0129】
以下、割当制御装置1において行われる判定の対象となる号機をX号機と称する。まず、第1判定部114は、X=1すなわちエレベータ5の1号機を対象として判定を行う(S22)。X=Cである場合(S23でYES)、すなわち判定対象の号機が乗車予定装置2Aに元々割り当てられていた号機である場合、第2判定部115は、X号機を乗降時干渉が発生する号機と判定し、判定結果を特定部116に出力する。
【0130】
X=Cでない場合(S23でNO)、第2判定部115は、乗車予定装置2Aが行ったF階の乗場呼びをX号機に割当変更すると、乗降時干渉は発生するかを判定する(S24)。例えば、第2判定部115は、かご呼びDB132を参照し、乗車予定装置2Aの乗場呼びをX号機に新たに割り当てた場合、乗車予定装置2AとX号機を利用する降車予定装置2Bとの間で干渉が発生し得るか否かを判定する。
【0131】
F階の乗場呼びをX号機に割当変更すると、乗降時干渉が発生する場合(S24でYES)、第2判定部115は、X号機を、割当変更を行った場合に乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生すると判定し、判定結果を特定部116に出力する。
【0132】
一方、F階の乗場呼びをX号機に割当変更しても、乗降時干渉が発生しない場合(S24でNO)、第2判定部115は、X号機を、割当変更を行った場合に乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生しないと判定し、判定結果を特定部116に出力する。
【0133】
特定部116は、第2判定部115の判定結果に基づき、乗車予定装置2Aに対する変更号機の候補となる候補号機を特定する。特定部116は、第2判定部115が、割当変更を行った場合に乗降時干渉が発生しない号機(S24でNOと判定された号機)と判定した号機を候補号機に加える(S25)。
【0134】
第2判定部115は、エレベータ5の全号機についてS23およびS24の判定を完了していない場合(S26でNO)、Xに1を加算し(S27)、再度S23以降の処理を行う。例えば、エレベータ5が3号機まで存在し、第2判定部115がX号機として1号機についての判定を行うと、次に第2判定部115は2号機、続いて3号機について判定を行い、全ての号機についての判定が完了するまで処理を繰り返す。
【0135】
エレベータ5の全号機についてS23およびS24の判定を完了した場合(S26でYES)、第2判定部115は、特定部116に全号機についての判定が完了したことを示す情報を出力する。特定部116は、判定が完了したことを示す情報を取得すると、特定した候補号機を示す情報を割当変更部117に出力する。
【0136】
割当変更部117は、特定部116から取得した候補号機から、乗車予定装置2Aに割り当てる号機の変更先である変更号機を決定し、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機を変更する(S28:割当変更ステップ)。
【0137】
以上のように、割当制御装置1において、2以上の情報処理装置からの乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、当該2以上の情報処理装置2のうち、かご呼びを登録した降車予定装置2Bと、かご呼びを登録していない乗車予定装置2Aとが、降車予定装置2Bの行先階において干渉し得ると予測されると第1判定部114によって判定された場合(S21でYESの場合)に、割当変更部117は割当変更ステップにおいて、乗車予定装置2Aからの乗場呼びに対する割当号機を、割当号機とは異なる号機に変更する。
【0138】
割当変更部117は、変更号機を決定すると、C号機に割り当てられたF階の乗場呼びをOFFにする(S29)。また、割当変更部117は、変更号機のF階の乗場呼びをONにする(S30)。換言すると、割当変更部117は、乗場呼びDB131において乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する変更前の割当号機を、変更号機に変更し、エレベータDB133における変更号機の行先階に乗車予定装置2Aの出発階を追加する。
【0139】
S29の後、割当変更部117は割当変更を行ったことを示す情報を通知部119に出力する。通知部119は、F階でC号機に乗車予定の情報処理装置2(すなわち、割当変更が行われた乗車予定装置2A)に、割当変更が行われたことを示す情報および変更号機を示す情報を送信(通知)する(S31)。
【0140】
<変形例>
[変形例1]
上述の実施形態において、第1判定部114は、乗車予定装置2Aの乗場呼びと降車予定装置2Bのかご呼びとの関係が(A)および(B)のいずれかに該当する場合、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生し得ると判定した。ここで、割当制御装置1において、第1判定部114が乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間で干渉が発生し得ると判定する条件をさらに追加してもよい。
【0141】
例えば、第2判定部115は、かご呼びを行った降車予定装置2Bが利用する割当号機を、同じ号機が割り当てられた乗車予定装置2Aからの乗場呼びによって指定される階床に移動させると、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとが当該号機に同乗する状況が発生する場合、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機を変更してもよい。
【0142】
図13は、変形例に係る干渉の具体例を示す概略図である。図13に示すように、以下のような状態である場合、1号機を乗車予定装置2Aの出発階に移動させると、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとが1号機に同乗する状況が発生する。
・降車予定装置2Bの乗場呼びが登録済みであり、割当号機である1号機(エレベータ5A)に乗車している。
・乗車予定装置2Aによって3階を出発階とし、上方向を移動方向とする乗場呼びが登録済であり、1号機が割り当てられている。
・降車予定装置2Bが4階を行先階とするかご呼びを登録する。
【0143】
ある情報処理装置2がエレベータ5のある号機において乗降動作を行うとき、当該号機に乗車している別の情報処理装置2が存在すると、当該情報処理装置2によって進行を妨げられる可能性がある。例えば、図13に示す状態では、3階で乗車予定装置2Aが乗車するときに、既にかご52に乗車している降車予定装置2Bによって乗車予定装置2Aの進行が妨げられる可能性がある。また、4階で降車予定装置2Bが降車するときには、かご52に乗車済みの乗車予定装置2Aが降車予定装置2Bの進行を妨げる可能性がある。
【0144】
ここで、上述のように、割当制御装置1において、割当変更部117は、複数の情報処理装置2が同じ号機に乗車する状況が発生する場合には乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機を変更してもよい。割当変更部117がこのように割当変更を行う場合、同じ号機に複数の情報処理装置2が乗車する状況の発生が抑制される。これにより、同じ号機に乗車した情報処理装置2の一方が他方の進行を妨げる状況が発生する可能性を低減し、両情報処理装置2が動けなくなるなどの不都合な状況の発生を抑制することができる。
【0145】
[変形例2]
上述の実施形態では、2以上の情報処理装置2からの乗場呼びが登録済みであり、これらの情報処理装置2に対して同じ号機が割り当てられた状態であり、その後これらの情報処理装置2のうちの1台から新たにかご呼びを受け付けた場合に第1判定部114がこれらの情報処理装置2が互いに干渉し得るかを判定していた。換言すると、第1判定部114は、乗車予定装置2Aおよび降車予定装置2Bからの乗場呼びが登録された後に降車予定装置2Bからのかご呼びを受け付け、乗車予定装置2Aおよび降車予定装置2Bが同じ号機に割り当てられた場合に、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとが干渉し得るか否かを判定していた。また、割当変更部117は、第1判定部114の判定に基づき乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとが干渉する場合には乗車予定装置2Aの割当号機を変更していた。
【0146】
しかしながら、第1判定部114は、干渉に関する判定を行うべき状況が新たに発生する度に判定を行えばよく、割当制御装置1が乗場呼びおよびかご呼びを受け付ける順番については特に限定されない。具体的には、割当制御装置1の第1判定部114は、2以上の情報処理装置2からの乗場呼び、並びにこれらの情報処理装置2のうちの少なくとも1台からのかご呼びを受け付け、これらの情報処理装置2が同じ号機に割り当てられていることが判明した時点でこれらの情報処理装置2が干渉し得るかを判定すればよい。換言すると、第1判定部114は、少なくとも1台の情報処理装置2の出発階および行先階と、当該情報処理装置2とは異なる情報処理装置2の出発階と、これらの情報処理装置2の割当号機が同じ号機であること、とが判明した時点で判定を行えばよい。このような構成を採用することにより、乗場呼びおよびかご呼びの順番に関わらず乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとの間において互いに干渉し得る状況が新たに生じた場合には乗車予定装置2Aの割当号機を変更することができる。
【0147】
例えば、1台の情報処理装置2からの乗場呼びおよびかご呼びが登録済みであり、その後新たに情報処理装置2からの乗場呼びを受け付けた場合、後者の情報処理装置2に前者の情報処理装置2と同じ号機が割り当てられる場合がある。このような場合、第1判定部114は、これらの情報処理装置2が干渉するか否かを判定してもよい。換言すると、第1判定部114は、降車予定装置2Bからの乗場呼びおよびかご呼びが登録された後に乗車予定装置2Aからの乗場呼びを受け付け、乗車予定装置2Aおよび降車予定装置2Bが同じ号機に割り当てられた場合に、乗車予定装置2Aおよび降車予定装置2Bとが干渉し得るか否かを判定してもよい。
【0148】
この場合、第1判定部114は、乗場呼び受付部111から乗場呼びの登録が完了したことを示す情報を取得し、乗場呼びが登録される度に、当該乗場呼びを行った乗車予定装置2Aと、登録済みのかご呼びを行った降車予定装置2Bとの間で新たに干渉が発生し得る状況が生じたか否かを判定する。また、割当変更部117は、乗車予定装置2Aと降車予定装置2Bとが互いに干渉すると第1判定部114によって判定された場合、乗車予定装置2Aの乗場呼びに対する割当号機を変更する。
【0149】
例えば、1階で情報処理装置2が1号機に乗車し、5階行きのかご呼びを行った後、別の情報処理装置2が5階から上方向に行く乗場呼びを行った場合、これらの情報処理装置2は5階で干渉し得る。上述の構成によれば、このような順で乗場呼びおよびかご呼びが行われた場合であっても干渉が発生する可能性を抑制することができる。
【0150】
〔ソフトウェアによる実現例〕
割当制御装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各制御ブロック(特に制御部11に含まれる各部)としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0151】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0152】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0153】
また、上記各制御ブロックの機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0154】
また、上記各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは上記制御装置で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータまたはクラウドサーバ等)で動作するものであってもよい。
【0155】
〔まとめ〕
以上のように、本発明の態様1に係る割当制御装置は、自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当部と、行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御部と、前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更部と、を備え、前記割当変更部は、2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更する。
【0156】
上記の構成によれば、降車予定装置の行先階(乗車予定装置の出発階)で降車予定装置および乗車予定装置の一方が他方の進行を妨げる状況の発生が予測される場合、乗車予定装置の乗場呼びに対して割り当てられる号機が変更される。これにより、割当制御装置は、エレベータを利用する乗車予定装置および降車予定装置の一方が他方の進行を妨げる状況の発生を低減することが可能となる。
【0157】
本発明の態様2に係る割当制御装置では、上記態様1において、前記割当変更部は、前記乗車予定装置より先に前記割当号機に乗車した前記降車予定装置から取得された、前記乗車予定装置の出発階を行先階とする前記かご呼びに応じて前記割当号機を移動させる場合において、前記乗車予定装置から受け付けた前記乗場呼びに示される前記移動方向と、前記割当号機が前記降車予定装置の前記行先階に到着した後の、当該行先階からの前記割当号機の移動方向とが同じである場合、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更してもよい。
【0158】
ある号機において1つの情報処理装置の行先階で別の情報処理装置が乗車するとき、エレベータを利用する乗車予定装置および降車予定装置の一方が他方の進行を妨げ、両装置が動けなくなる状況が発生し得る。具体的には、ある号機が降車予定装置の行先階に到着した後、当該階床で乗車する乗車予定装置の乗場呼びによって指定された移動方向と同じ方向に当該号機が移動する場合、上述のような状況が発生し得る。
【0159】
ここで、上記構成によると、乗車予定装置に対して上述のような状況が発生し得る号機が一旦割り当てられたとしても、乗車予定装置に割り当てられる号機は、割当変更部によって別の号機に変更される。従って、エレベータを利用する乗車予定装置および降車予定装置の一方が他方の進行を妨げる状況が発生する可能性を低減することができる。
【0160】
本発明の態様3に係る割当制御装置では、上記態様1または2において、前記割当変更部は、前記乗車予定装置より先に前記割当号機に乗車した前記降車予定装置から取得された、前記乗車予定装置の出発階を行先階とする前記かご呼びに応じて前記割当号機を移動させる場合において、前記乗車予定装置から受け付けた前記乗場呼びに示される前記移動方向と、前記割当号機が前記降車予定装置の前記行先階に到着した後の、当該行先階からの前記割当号機の移動方向とが反対であり、かつ当該行先階が前記割当号機の反転階である場合、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更してもよい。
【0161】
ある号機において1つの情報処理装置の行先階で別の情報処理装置が乗車するとき、エレベータを利用する乗車予定装置および降車予定装置の一方が他方の進行を妨げ、両装置が動けなくなる状況が発生し得る。具体的には、ある号機が降車予定装置の行先階に到着した後、当該階床で乗車する乗車予定装置の乗場呼びによって指定された移動方向と反対方向に当該号機が移動する場合であり、かつ当該行先階が当該割当号機の反転階である場合、上述のような状況が発生し得る。
【0162】
ここで、上記構成によると、乗車予定装置に対して上述のような状況が発生し得る号機が一旦割り当てられたとしても、乗車予定装置に割り当てられる号機は、割当変更部によって別の号機に変更される。従って、エレベータを利用する乗車予定装置および降車予定装置の一方が他方の進行を妨げる状況が発生する可能性を低減することができる。
【0163】
本発明の態様4に係る割当制御装置では、上記態様1から3のいずれかにおいて、前記乗車予定装置に割り当てられた前記割当号機を示す号機情報と前記乗車予定装置の前記出発階を示す出発階情報とが対応付けられた対応情報を記憶する記憶部を備え、前記移動制御部は、前記対応情報に基づき前記割当号機を移動させ、前記割当変更部は、前記乗車予定装置に割り当てる前記号機を前記割当号機から前記割当号機とは異なる前記号機に変更した場合、前記対応情報において前記乗車予定装置の前記出発階情報に対応付けられる前記号機情報を、前記割当号機を示す情報から、変更後の前記号機を示す情報に変更してもよい。
【0164】
上記の構成によれば、乗車予定装置に割り当てる号機が変更された場合、移動制御部は、対応情報に基づいて、変更後の号機を乗車予定装置の出発階に移動させることができる。
【0165】
本発明の態様5に係る割当制御装置では、上記態様1から4のいずれかにおいて、前記割当変更部が前記乗車予定装置に割り当てる前記号機を変更した場合、当該変更後の前記号機を示す情報を前記乗車予定装置に通知する通知部をさらに備えてもよい。
【0166】
上記の構成によれば、乗車予定装置に割り当てる号機が変更された場合、変更後の号機を乗車予定装置に通知することができる。
【0167】
本発明の態様6に係る割当制御装置では、上記態様1から5のいずれかにおいて、前記割当変更部は、さらに、前記割当号機を前記乗車予定装置からの乗場呼びによって指定される階床に移動させると、前記乗車予定装置と前記降車予定装置とが前記割当号機に同乗する状況の発生が予測される場合、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更してもよい。
【0168】
複数の情報処理装置が同じ号機を利用する場合、ある階床で乗車と降車とが同時に行われるとき以外にも、乗車予定装置および降車予定装置の一方が他方の進行を妨げる状況が発生する可能性がある。例えば、既に号機に情報処理装置が乗車しており、新たに別の情報処理装置が乗車する場合、乗車予定装置および降車予定装置の一方が他方の進行を妨げる状況が発生する可能性がある。また、同じ号機のかごに複数の情報処理装置が乗車しており、かご内でいずれかの情報処理装置が動作するとき、またはいずれかの情報処理装置がかごから降車するときにも、一方が他方の進行を妨げる状況が発生する可能性がある。
【0169】
ここで、上記構成によると、上述のような複数の情報処理装置が同じ号機に乗車する状況が発生する可能性が低減される。これにより、エレベータを利用する乗車予定装置および降車予定装置の一方が他方の進行を妨げる状況の発生をより確実に抑制することができる。
【0170】
本発明の態様7に係る割当制御装置では、上記態様1から6のいずれかにおいて、(1)前記乗車予定装置および前記降車予定装置からの前記乗場呼びが登録された後に前記降車予定装置からの前記かご呼びを受け付け、前記乗車予定装置および前記降車予定装置が同じ号機に割り当てられた場合、または、(2)前記降車予定装置からの前記乗場呼びおよび前記かご呼びが登録された後に前記乗車予定装置からの前記乗場呼びを受け付け、前記乗車予定装置および前記降車予定装置が同じ号機に割り当てられた場合、であって、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、前記割当変更部は、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更してもよい。
【0171】
このような構成を採用することにより、乗場呼びおよびかご呼びの順番に関わらず乗車予定装置と降車予定装置との間において互いに干渉し得る状況が新たに生じた場合には乗車予定装置の割当号機を変更することができる。
【0172】
本発明の態様8に係る割当変更方法は、自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当ステップと、行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御ステップと、前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更ステップと、を含み、前記割当変更ステップにおいて、2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更する。
【0173】
上記構成によると、上記態様1と同様の効果を奏する。
【0174】
本発明の態様9に係る割当制御プログラムは、上記態様1から7のいずれかに記載の割当制御装置としてコンピュータを機能させるための割当制御プログラムであって、前記号機割当部、前記移動制御部、および前記割当変更部としてコンピュータを機能させる。
【0175】
本発明の態様10に係る記録媒体は、上記態様9に記載の割当制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0176】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0177】
1 割当制御装置
2 情報処理装置
2A 乗車予定装置
2B 降車予定装置
5 エレベータ
13 記憶部
113 号機割当部
117 割当変更部
118 移動制御部
119 通知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【手続補正書】
【提出日】2024-01-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当部と、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御部と、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更部と、を備え、
前記割当変更部は、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更し、
前記変更後の号機を前記乗車予定装置に利用させる、割当制御装置。
【請求項2】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当部と、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御部と、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更部と、を備え、
前記割当変更部は、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更し、
前記乗車予定装置より先に前記割当号機に乗車した前記降車予定装置から取得された、前記乗車予定装置の出発階を行先階とする前記かご呼びに応じて前記割当号機を移動させる場合において、
前記乗車予定装置から受け付けた前記乗場呼びに示される前記移動方向と、前記割当号機が前記降車予定装置の前記行先階に到着した後の、当該行先階からの前記割当号機の移動方向とが同じである場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更する、割当制御装置。
【請求項3】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当部と、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御部と、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更部と、を備え、
前記割当変更部は、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更し、
前記乗車予定装置より先に前記割当号機に乗車した前記降車予定装置から取得された、前記乗車予定装置の出発階を行先階とする前記かご呼びに応じて前記割当号機を移動させる場合において、
前記乗車予定装置から受け付けた前記乗場呼びに示される前記移動方向と、前記割当号機が前記降車予定装置の前記行先階に到着した後の、当該行先階からの前記割当号機の移動方向とが反対であり、かつ当該行先階が前記割当号機の反転階である場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更する、割当制御装置。
【請求項4】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当部と、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御部と、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更部と、を備え、
前記割当変更部は、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更し、
前記乗車予定装置に割り当てられた前記割当号機を示す号機情報と前記乗車予定装置の前記出発階を示す出発階情報とが対応付けられた対応情報を記憶する記憶部をさらに備え、
前記移動制御部は、前記対応情報に基づき前記割当号機を移動させ、
前記割当変更部は、
前記乗車予定装置に割り当てる前記号機を前記割当号機から前記割当号機とは異なる前記号機に変更した場合、前記対応情報において前記乗車予定装置の前記出発階情報に対応付けられる前記号機情報を、前記割当号機を示す情報から、変更後の前記号機を示す情報に変更する、割当制御装置。
【請求項5】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当部と、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御部と、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更部と、を備え、
前記割当変更部は、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更し、
(1)前記乗車予定装置および前記降車予定装置からの前記乗場呼びが登録された後に前記降車予定装置からの前記かご呼びを受け付け、前記乗車予定装置および前記降車予定装置が同じ号機に割り当てられた場合、または、
(2)前記降車予定装置からの前記乗場呼びおよび前記かご呼びが登録された後に前記乗車予定装置からの前記乗場呼びを受け付け、前記乗車予定装置および前記降車予定装置が同じ号機に割り当てられた場合、であって、
互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更する、割当制御装置。
【請求項6】
前記割当変更部が前記乗車予定装置に割り当てる前記号機を変更した場合、当該変更後の前記号機を示す情報を前記乗車予定装置に通知する通知部をさらに備える、請求項1から5のいずれか1項に記載の割当制御装置。
【請求項7】
前記割当変更部は、さらに、
前記割当号機を前記乗車予定装置からの乗場呼びによって指定される階床に移動させると、前記乗車予定装置と前記降車予定装置とが前記割当号機に同乗する状況の発生が予測される場合、前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更する、請求項1から5のいずれか1項に記載の割当制御装置。
【請求項8】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当ステップと、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御ステップと、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更ステップと、を含み、
前記割当変更ステップにおいて、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更し、
前記変更後の号機を前記乗車予定装置に利用させる、割当変更方法。
【請求項9】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当ステップと、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御ステップと、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更ステップと、を含み、
前記割当変更ステップにおいて、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更し、
前記乗車予定装置より先に前記割当号機に乗車した前記降車予定装置から取得された、前記乗車予定装置の出発階を行先階とする前記かご呼びに応じて前記割当号機を移動させる場合において、
前記乗車予定装置から受け付けた前記乗場呼びに示される前記移動方向と、前記割当号機が前記降車予定装置の前記行先階に到着した後の、当該行先階からの前記割当号機の移動方向とが同じである場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更する、割当変更方法。
【請求項10】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当ステップと、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御ステップと、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更ステップと、を含み、
前記割当変更ステップにおいて、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更し、
前記乗車予定装置より先に前記割当号機に乗車した前記降車予定装置から取得された、前記乗車予定装置の出発階を行先階とする前記かご呼びに応じて前記割当号機を移動させる場合において、
前記乗車予定装置から受け付けた前記乗場呼びに示される前記移動方向と、前記割当号機が前記降車予定装置の前記行先階に到着した後の、当該行先階からの前記割当号機の移動方向とが反対であり、かつ当該行先階が前記割当号機の反転階である場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対して割り当てる前記号機を、前記割当号機とは異なる前記号機に変更する、割当変更方法。
【請求項11】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当ステップと、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御ステップと、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更ステップと、を含み、
前記割当変更ステップにおいて、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更し、
前記移動制御ステップにおいて、
前記情報処理装置である乗車予定装置に割り当てられた前記割当号機を示す号機情報と前記乗車予定装置の前記出発階を示す出発階情報とが対応付けられた対応情報に基づき前記割当号機を移動させ、
前記割当変更ステップにおいて、
前記乗車予定装置に割り当てる前記号機を前記割当号機から前記割当号機とは異なる前記号機に変更した場合、前記対応情報において前記乗車予定装置の前記出発階情報に対応付けられる前記号機情報を、前記割当号機を示す情報から、変更後の前記号機を示す情報に変更する、割当変更方法。
【請求項12】
自律走行可能であり、複数の号機を有するエレベータを利用して階床間を移動可能な情報処理装置から受け付けた、出発階および移動方向を示す乗場呼びに応じて、前記複数の号機の中から前記情報処理装置に利用させる割当号機を決定する号機割当ステップと、
行先階を示すかご呼びに応じて前記割当号機を移動させる移動制御ステップと、
前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を前記割当号機とは異なる他の号機に変更する割当変更ステップと、を含み、
前記割当変更ステップにおいて、
2以上の前記情報処理装置からの前記乗場呼びに対して同じ号機を割当済である場合であって、
前記2以上の情報処理装置のうち、前記かご呼びを登録した前記情報処理装置である降車予定装置と、前記かご呼びを登録していない前記情報処理装置である乗車予定装置とが、前記降車予定装置からの前記かご呼びによって指定される階床において、互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更し、
(1)前記乗車予定装置および前記降車予定装置からの前記乗場呼びが登録された後に前記降車予定装置からの前記かご呼びを受け付け、前記乗車予定装置および前記降車予定装置が同じ号機に割り当てられた場合、または、
(2)前記降車予定装置からの前記乗場呼びおよび前記かご呼びが登録された後に前記乗車予定装置からの前記乗場呼びを受け付け、前記乗車予定装置および前記降車予定装置が同じ号機に割り当てられた場合、であって、
互いに前記エレベータの乗降に伴う進行を妨げる状況の発生が予測される場合、
前記乗車予定装置からの前記乗場呼びに対する前記割当号機を、前記割当号機とは異なる号機に変更する、割当変更方法。
【請求項13】
請求項1に記載の割当制御装置としてコンピュータを機能させるための割当制御プログラムであって、前記号機割当部、前記移動制御部、および前記割当変更部としてコンピュータを機能させるための割当制御プログラム。
【請求項14】
請求項13に記載の割当制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。