(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074632
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】認証装置、認証方法および認証プログラム
(51)【国際特許分類】
G06V 40/16 20220101AFI20240524BHJP
G06F 21/32 20130101ALI20240524BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240524BHJP
【FI】
G06V40/16 A
G06F21/32
G06T7/00 510F
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185918
(22)【出願日】2022-11-21
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 直孝
(72)【発明者】
【氏名】古賀 潤平
(72)【発明者】
【氏名】竹井 浩介
(72)【発明者】
【氏名】杉山 公一
(72)【発明者】
【氏名】小林 秀敬
【テーマコード(参考)】
5B043
【Fターム(参考)】
5B043BA04
5B043CA05
5B043EA01
5B043EA18
(57)【要約】
【課題】顔認証に利用する機器の性能にかかわらず、認証精度を向上させることのできる認証装置、認証方法および認証プログラムを提案すること。
【解決手段】本開示に係る一形態の認証装置は、認証対象のユーザが撮影された顔画像を取得する取得部と、前記取得部によって取得された顔画像に加工処理を実行することで、前記顔画像から複数の加工画像を生成する加工部と、前記加工部によって生成された複数の加工画像を顔認証エンジンに送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証対象のユーザが撮影された顔画像を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された顔画像を顔認証エンジンに認証させた結果に基づいて、当該顔画像に加工処理を実行するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって加工処理を実行すると判定された場合に、前記顔画像に加工処理を実行して加工画像を生成する加工部と、
を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記顔認証エンジンに認証させた結果が、前記顔画像によって前記ユーザの本人認証を実行できないスコアである場合に、当該顔画像に加工処理を実行すると判定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の認証装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記加工部によって前記加工画像が生成された場合、当該加工画像を顔認証エンジンに認証させ、当該加工画像の認証結果に基づいて、当該加工画像にさらに加工処理を実行するか否かを判定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の認証装置。
【請求項4】
認証対象のユーザが撮影された顔画像を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された顔画像に加工処理を実行することで、前記顔画像から複数の加工画像を生成する加工部と、
前記加工部によって生成された複数の加工画像を顔認証エンジンに送信する送信部と、
を備えることを特徴とする認証装置。
【請求項5】
前記加工部は、
前記顔画像の明るさ、色味、画質の少なくともいずれか1つを変更することにより、前記加工画像を生成する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1つに記載の認証装置。
【請求項6】
コンピュータが、
認証対象のユーザが撮影された顔画像を取得し、
前記取得された顔画像を顔認証エンジンに認証させた結果に基づいて、当該顔画像に加工処理を実行するか否かを判定し、
前記加工処理を実行すると判定された場合に、前記顔画像に加工処理を実行して加工画像を生成する、
ことを含むことを特徴とする認証方法。
【請求項7】
コンピュータを、
認証対象のユーザが撮影された顔画像を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された顔画像を顔認証エンジンに認証させた結果に基づいて、当該顔画像に加工処理を実行するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって加工処理を実行すると判定された場合に、前記顔画像に加工処理を実行して加工画像を生成する加工部と、
を備える認証装置として機能させることを特徴とする認証プログラム。
【請求項8】
コンピュータが、
認証対象のユーザが撮影された顔画像を取得し、
前記取得された顔画像に加工処理を実行することで、前記顔画像から複数の加工画像を生成し、
前記生成された複数の加工画像を顔認証エンジンに送信する、
ことを含むことを特徴とする認証方法。
【請求項9】
コンピュータを、
認証対象のユーザが撮影された顔画像を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された顔画像に加工処理を実行することで、前記顔画像から複数の加工画像を生成する加工部と、
前記加工部によって生成された複数の加工画像を顔認証エンジンに送信する送信部と、
を備える認証装置として機能させることを特徴とする認証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、個人の本人性を認証するための処理を実行する認証装置、認証方法および認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
本人確認を行う際の手段として、画像に映る本人の特徴情報を利用する認証手段が知られている。かかる認証では、本人の唯一性を証明するための情報として、生体情報である顔画像や指紋等が用いられる。例えば、顔認証処理では、予めユーザの顔画像を登録しておき、認証の際に取得された顔画像と登録画像とを照合することで本人確認を行う。
【0003】
顔認証処理を改善する技術の一例として、例えば、複数の顔認証エンジンを利用することで精度を向上させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術によれば、認証処理を高い精度で実現することができる。しかしながら、従来技術では、複数の顔認証エンジンなど、やや複雑なシステム構成を必要とする。
【0006】
顔認証は、オフィスへの入退場管理や職場の出退勤管理等、様々な用途で用いられるため、できる限り簡易なシステムで構成されることが望ましい。この場合、ユーザの顔を撮影するカメラとしては、液晶ディスプレイを備えたタブレット端末内蔵カメラなど、比較的簡易な機器が用いられる。このようなカメラは、カメラの種類や性能、品質によって撮影された写真の特性(明るさや色味、画質等)が異なるなど、必ずしも顔認証に最適化されているわけではない。すなわち、カメラの性能等に応じて、顔認証の精度が低下するおそれがある。
【0007】
そこで、本開示では、顔認証に利用する機器の性能にかかわらず、認証精度を向上させることのできる認証装置、認証方法および認証プログラムを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示に係る一形態の認証装置は、認証対象のユーザが撮影された顔画像を取得する取得部と、前記取得部によって取得された顔画像に加工処理を実行することで、前記顔画像から複数の加工画像を生成する加工部と、前記加工部によって生成された複数の加工画像を顔認証エンジンに送信する送信部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、顔認証に利用する機器の性能にかかわらず、認証精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る認証処理の概要を示す図である。
【
図2】実施形態に係る認証処理の手順を示すシーケンス図である。
【
図3】実施形態に係る認証装置の構成例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る加工情報記憶部の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る認証ログ記憶部の一例を示す図である。
【
図6】変形例に係る認証処理の概要を示す図である。
【
図7】変形例に係る認証処理の手順を示すシーケンス図である。
【
図8】認証装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態において、同一の部位には同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0012】
(1.実施形態)
(1-1.実施形態に係る認証処理の概要)
図1は、実施形態に係る認証処理の概要を示す図である。実施形態に係る認証処理は、
図1に示す認証システム1によって実行される。認証システム1は、認証端末50、認証装置100、顔認証エンジン200を含む。
【0013】
認証端末50は、ユーザ10の顔画像を撮影し、撮影した顔画像によってユーザ10の本人認証がなされたかという結果を表示する端末装置である。認証端末50は、例えば、自装置が備えるカメラを用いてユーザ10を撮像することで顔画像を取得し、取得した顔画像を認証装置100に送信する。
図1では、認証端末50が、ユーザ10の勤務する職場の出入り口に設置されたタブレット端末である例を示す。
【0014】
実施形態に係る認証装置100は、認証端末50および顔認証エンジン200と協働してユーザ10の顔認証を実行する情報処理装置である。例えば、認証装置100は、クラウドサーバであり、認証処理を実行するためのプラットフォームとしての役割を担う。
【0015】
顔認証エンジン200は、画像における顔の範囲検出、顔の特徴量の抽出、特徴量同士の照合等の既知の技術を用いて、顔画像の本人認証を行うサーバ装置(もしくはプログラム)である。顔認証エンジン200は、例えば、顔認証を事業とする事業者から提供される。なお、
図1では図示を省略するが、認証システム1は、複数の異なる顔認証エンジン200を利用して認証を行ってもよい。顔認証エンジン200は、各々異なる事業者によって開発されており、様々な点で異なる特徴を有する。すなわち、顔認証エンジンによって、得意とする画像の特徴(画像の明るさや画像において顔が占める範囲の割合、認証しようとするユーザの肌の色や彫りの深さなどの特徴)が異なる。このため、認証装置100は、認証を実行する顔認証エンジン200を用途に応じて選択したり、複数の顔認証エンジン200に認証を実行させたりするなど、様々に活用可能である。
【0016】
上記のように、認証システム1では、ユーザ10の顔画像の撮影に認証端末50の備えるカメラが利用される。このようなカメラは、カメラの種類や性能、品質によって撮影された写真の特性(明るさや色味、画質等)が異なるなど、必ずしも顔認証に最適化されているわけではない。すなわち、カメラの性能等に応じて、顔認証の精度が低下するおそれがある。
【0017】
この点について、撮影された顔画像に何らかの加工処理(画像処理)を施すことで、顔認証エンジン200が算出する認証の一致度(スコア)が変化することが既知である。すなわち、品質の低いカメラで撮影された画像であっても、顔画像を顔認証の前に適切に加工することで、認証精度を向上させることができる。
【0018】
しかしながら、どのような加工処理を施すことで、どのくらいスコアが変化するか、その法則性の特定が困難である。例えば、暗い画像を明るく加工すればスコアが向上するかというと必ずしもそうではなく、逆効果になる場合もある。また、顔認証エンジン200は複数存在し、それぞれにスコア算出のメカニズムが異なる。このため、どのような顔認証エンジン200に対してどのような加工を行うか、といった情報が特定されない限り、加工処理を適切に実行することは難しい。
【0019】
この点について、実施形態に係る認証装置100は、すべての顔認証エンジン200に適用可能な法則を探したり、個別の顔認証エンジン200に特化した加工を施したりするのではなく、以下で説明する処理を実行する。具体的には、認証装置100は、認証端末50によって撮影された顔画像を、一度、任意の顔認証エンジン200に認証させる。そして、認証装置100は、認証結果に基づいて、当該顔画像に加工処理を実行するか否かを判定する。その後、認証装置100は、加工処理を実行すると判定した場合に、顔画像に加工処理を実行して加工画像を生成する。
【0020】
すなわち、認証装置100は、カメラの品質や、顔画像の状態や、顔認証エンジン200の種類等によらず、ひとまず認証を試行し、その結果に基づいて何らかの加工処理を行う。このとき、認証装置100は、ユーザ10に対して再度の撮影等を要求せず、元の顔画像に加工処理を行い、加工後の画像(以下、「加工画像」と称する)を再度、顔認証エンジン200に送信する。このため、ユーザ10にとっては、再度の撮影など煩わしい手間をかけずに、認証を実行させることができる。認証装置100は、認証で必要なスコアが得られるまで、所定回数(例えば3回など)加工を繰り返し、それでも認証に成功しない場合のみ、その旨をユーザ10に通知する。
【0021】
このように、認証装置100は、加工処理の試行を繰り返すことで、1枚の顔画像で認証を行う場合と比較して、認証精度を向上させる。認証装置100によれば、認証システム1に高機能な装置等を新たに導入することなく、また、顔認証エンジン200側の仕様変更を考慮する必要もないという、柔軟性に優れた認証処理を導入することができる。
【0022】
以下、
図1を用いて、実施形態に係る認証処理の概要を流れに沿って説明する。まず、認証端末50は、ユーザ10が認証端末50の撮影領域に入ったことを認識すると、ユーザ10の顔写真を撮影する(ステップS10)。
【0023】
認証端末50は、顔写真の撮影により得られた顔画像を認証装置100に送信する。認証装置100は、取得した顔画像を顔認証エンジン200に送信する。ここで、顔認証エンジン200は、取得した顔画像に対して認証を行い、認証に係るスコア(ユーザ10の本人性を示すスコア)を導出する。そして、顔認証エンジン200は、スコアの結果を認証装置100に返す。
【0024】
認証装置100は、スコアを受信すると、当該スコアが認証成功となる基準値を超えているか否かを判定する。基準値を超えていない場合、認証装置100は、当該顔画像による認証を失敗と取り扱う。認証装置100は、認証失敗という結果を受けて、認証精度を向上させるため顔画像に加工処理を施すべきと判定し、加工処理を行う(ステップS11)。例えば、認証装置100は、顔画像全体の明るさの補正、顔画像の色相の補正、あるいは、超解像(デジタル処理によって画素補間を行い、低解像度の画像から高解像度の画像を生成する)による解像度の補正の少なくともいずれか1つの加工処理を実行する。
【0025】
そして、認証装置100は、加工処理を施した加工画像を顔認証エンジン200に送信する。顔認証エンジン200は、加工画像に対して認証処理を実施する(ステップS12)。そして、顔認証エンジン200は、加工画像のスコアを認証装置100に返す。認証装置100は、スコアが基準値を超える場合、認証成功という結果を認証端末50に返す。認証端末50は、認証成功の旨を画面に表示し、入退出や勤怠管理など、本人認証と紐付いた所定の処理を実行する。
【0026】
(1-2.実施形態に係る認証処理の手順)
図1で示した処理について、
図2を用いて、認証処理の手順を詳細に説明する。
図2は、実施形態に係る認証処理の手順を示すシーケンス図である。
【0027】
図2に示すように、認証端末50は、ユーザ10の顔写真を撮影し(ステップS20)、撮影により得られた顔画像を認証装置100に送信する。
【0028】
認証装置100は、顔画像を顔認証エンジン200に送信する(ステップS21)。顔認証エンジン200は、顔画像に対して認証処理を実施し、認証に係るスコアを算出する(ステップS22)。顔認証エンジン200は、スコアを認証装置100に通知する。
【0029】
認証装置100は、スコアが基準値以上か否かを判定する(ステップS23)。なお、基準値は、例えば、認証端末50を導入する企業ごとや、認証の必要性(セキュリティの高い部屋への入場であればスコアを高く設定するなど)等に応じて、任意に設定されてもよい。
【0030】
スコアが基準値を超えない場合(ステップS23;No)、認証装置100は、高いスコアが出るよう、顔画像を加工する(ステップS24)。そして、認証装置100は、加工画像を顔認証エンジン200に送信する(ステップS25)。
【0031】
顔認証エンジン200は、加工画像に対して認証処理を実施し、認証に係るスコアを算出する(ステップS26)。顔認証エンジン200は、スコアを認証装置100に通知する。
【0032】
認証装置100は、再度、スコアが基準値以上か否かを判定する(ステップS27)。スコアが基準値を超えない場合(ステップS27;No)、認証装置100は、さらにスコアを変化させるため、異なる加工処理を実行する処理を繰り返す(ステップS24)。
【0033】
一方、スコアが基準値を超えた場合(ステップS23またはステップS27;Yes)、認証装置100は、認証が成功したと判定し、認証結果を認証端末50に返送する(ステップS28)。
【0034】
認証端末50は、認証結果に応じた処理を実行する(ステップS29)。例えば、認証端末50は、認証成功の旨を画面に表示し、入退出や勤怠管理など、本人認証と紐付いた所定の処理を実行する。
【0035】
なお、認証装置100は、所定回数の試行においても認証スコアが基準値を超えない場合、設定された試行回数の終了後、認証端末50に対して認証失敗の結果を返送する。この場合、認証端末50は、ユーザ10の本人性が確認できなかったものとして、所定の処理を実行する。例えば、認証端末50は、再度の撮影をユーザ10に要求したり、本人性が確認できなかったため勤怠打刻を行わなかったりといった処理を実行する。
【0036】
また、認証装置100は、スコアが基準値を超えたからといって加工処理の繰り返しを必ずしも終了しなくてもよい。例えば、認証装置100は、いずれの加工処理がより高いスコアとなるかを判定するため、加工処理および加工画像の送信を繰り返してもよい。
【0037】
(1-3.実施形態に係る認証装置の構成)
次に、実施形態に係る認証処理を実行する認証装置100の構成について説明する。
図3は、実施形態に係る認証装置100の構成例を示す図である。
【0038】
図3に示すように、認証装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを有する。なお、認証装置100は、認証装置100を管理する管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、タッチパネルやキーボードやマウス等)を有してもよい。
【0039】
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)やネットワークインタフェースコントローラ等によって実現される。通信部110は、ネットワークN(例えばインターネット)と有線または無線で接続され、ネットワークNを介して、認証端末50や顔認証エンジン200等の外部機器との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部110は、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth、SIM(Subscriber Identity Module)、LPWA(Low Power Wide Area)等の任意の通信規格もしくは通信技術を用いて、情報の送受信を行ってもよい。
【0040】
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部120は、顔画像記憶部121と、加工情報記憶部122と、認証ログ記憶部123とを有する。
【0041】
以下、
図4および
図5を用いて、各記憶部について順に説明する。なお、
図4から
図5に示す例では、記憶部120に格納される情報を「A01」のように概念的に示す場合があるが、実際には、後述する各情報が記憶部120に記憶されるものとする。
【0042】
顔画像記憶部121は、認証端末50の撮影により得られた顔画像を記憶する。すなわち、顔画像記憶部121は、加工画像の元となる顔画像を撮影日時ごとに記憶する。
【0043】
加工情報記憶部122は、加工画像および加工画像が生成された際の情報を記憶する。
図4に、加工情報記憶部122が記憶する情報の一例を示す。
図4は、実施形態に係る加工情報記憶部122の一例を示す図である。
図4に示した例では、加工情報記憶部122は、「顔画像ID」、「認証日時」、「顔認証エンジン」、「加工情報」、「スコア」、「認証結果」といった各項目を有する。
【0044】
「顔写真ID」は、ユーザを識別する識別情報を示す。「認証日時」は、顔画像の認証が行われた日時を示す。「顔認証エンジン」は、顔認証を実施した顔認証エンジン200を識別する識別情報を示す。
【0045】
「加工情報」は、顔画像に対して実行された加工処理の情報を示す。なお、
図4では記載を省略しているが、加工情報には、どのくらい、あるいは、どのように明るさを補正したかといった補正処理の具体的な内容等が含まれてもよい。また、加工処理は必ずしも1種類とは限らず、複数が組み合わされてもよい。
【0046】
「スコア」は、加工画像に対するスコアを示す。「認証結果」は、加工画像に対するスコアが基準値を超えたか否かという結果を示す。
【0047】
次に、
図5を用いて、認証ログ記憶部123について説明する。
図5は、実施形態に係る認証ログ記憶部123の一例を示す図である。認証ログ記憶部123は、ある認証処理において登録された情報(認証ログ)を、認証処理ごとに記憶する。
【0048】
図5に示す例では、認証ログ記憶部123は、「顔画像ID」、「認証時刻」、「ユーザID」、「ログデータ」といった各項目を有する。
【0049】
「顔画像ID」は、
図4で示した同様の項目に対応する。「認証時刻」は、認証装置100が認証結果を判定した時刻を示す。「ユーザID」は、本人性が認証されたユーザを識別する識別情報を示す。なお、ユーザIDは、認証が失敗した場合、ユーザを特定できないとして、記録されなくてもよい。「ログデータ」は、認証処理に対応付けられて登録された各種情報である。
【0050】
例えば、
図5に示す一例では、顔画像IDが「A01」である認証ログは、時刻「T01」に行われた認証であり、認証対象は「ユーザU01」であることを示す。また、その認証は「成功」であり、その認証によって、「出勤を登録し、出勤時刻として時刻T01を打刻した」ことを示している。
【0051】
なお、実施形態に係る認証処理が出退勤管理等に用いられる場合、勤怠情報は、出退勤管理システムを利用する各々の事業者が契約する他のクラウドサービス等に管理されることもありえる。この場合、認証ログ記憶部123は、認証装置100ではなく、他のクラウドサービスが備えていてもよい。
【0052】
図3に戻り、説明を続ける。制御部130は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)等によって、認証装置100内部に記憶されたプログラムがRAM(Random Access Memory)等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部130は、コントローラ(controller)であり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0053】
図3に示すように、制御部130は、取得部131と、送信部132と、判定部133と、加工部134とを含む。
【0054】
取得部131は、各種情報を取得する。例えば、取得部131は、認証対象のユーザ10が撮影された顔画像を取得する。取得部131は、取得した顔画像を顔画像記憶部121に記憶する。
【0055】
送信部132は、顔画像を顔認証エンジン200に送信する。また、送信部132は、加工部134によって加工画像が生成された場合、加工画像を顔認証エンジン200に送信する。また、送信部132は、認証結果を認証端末50に送信する。
【0056】
判定部133は、顔画像を顔認証エンジン200に認証させた結果に基づいて、顔画像に加工処理を実行するか否かを判定する。
【0057】
例えば、判定部133は、顔画像を顔認証エンジン200に認証させた結果が、顔画像によってユーザ10の本人認証を実行できないスコアである場合に、顔画像に加工処理を実行すると判定する。具体的には、判定部133は、顔画像のスコアが基準値を超えない(認証失敗と判定される)場合に、加工処理を実行すると判定する。なお、判定部133は、顔画像のスコアが基準値を超える場合、加工処理を実行しないと判定してもよい。
【0058】
また、判定部133は、加工部134によって加工画像が生成された場合、加工画像を顔認証エンジン200に認証させ、加工画像の認証結果に基づいて、加工画像にさらに加工処理を実行するか否かを判定する。このようにして、判定部133は、顔画像に対して加工処理を実行するか否かの判定を、例えば認証が成功するまで、あるいは所定の試行回数まで繰り返す。
【0059】
加工部134は、判定部133によって加工処理を実行すると判定された場合に、顔画像に加工処理を実行して加工画像を生成する。
【0060】
例えば、加工部134は、顔画像の明るさ、色味、画質の少なくともいずれか1つを変更することにより、加工画像を生成する。
【0061】
なお、加工部134は、上記で示した処理以外にも、様々な加工処理を行ってもよい。例えば、加工部134は、顔画像のサイズ、顔画像において顔が占める範囲、顔画像の背景の少なくともいずれか1つを加工してもよい。また、加工部134は、顔画像を回転、縮小等させる画像処理を行ってもよい。
【0062】
(1-4.実施形態の変形例)
(1-4-1.複数枚の加工画像による認証)
上記実施形態では、認証装置100が、まず顔認証エンジン200に顔画像を送信し、その結果に基づいて加工処理を実行する例を示した。しかし、認証装置100は、予め複数枚の加工画像を用意し、複数枚の加工画像を顔認証エンジン200に送信してもよい。かかる処理について、
図6を用いて説明する。
【0063】
図6は、変形例に係る認証処理の概要を示す図である。
図1と同様、認証端末50は、ユーザ10が認証端末50の撮影領域に入ったことを認識すると、ユーザ10の顔写真を撮影する(ステップS40)。
【0064】
認証端末50は、顔写真の撮影により得られた顔画像を認証装置100に送信する。ここで、認証装置100は、取得した顔画像を顔認証エンジン200に送信せず、加工処理により複数枚の加工画像を生成する(ステップS41)。そして、認証装置100は、複数枚の加工画像を顔認証エンジン200に送信する。
【0065】
顔認証エンジン200は、複数枚の加工画像に対して認証処理を実施する(ステップS42)。顔認証エンジン200は、複数枚の加工画像のそれぞれに対してスコアを算出し、算出したスコアを認証装置100に返す。
【0066】
認証装置100は、例えば、取得したスコアのうち最も高いスコアを採用するか、あるいは、最初に認証成功の基準値を超えたスコアを採用する。そして、認証装置100は、採用したスコアが基準値を超えている場合、認証装置100は、認証成功という結果を認証端末50に返す。
【0067】
このように、変形例に係る認証装置100は、ユーザ10が撮影された顔画像を取得すると、取得された顔画像に加工処理を実行することで、顔画像から複数の加工画像を生成する。そして、認証装置100は、生成された複数の加工画像を顔認証エンジン200に送信する。
【0068】
すなわち、変形例に係る認証装置100は、様々な加工処理を行った加工画像を複数種類作成して並列で認証処理を行い、このうち最も高いスコアを得る。これにより、認証装置100は、顔認証エンジン200とのやりとりにかかる処理や時間を短縮することができる。
【0069】
図6で示した処理について、
図7を用いて、認証処理の手順を詳細に説明する。
図7は、変形例に係る認証処理の手順を示すシーケンス図である。
【0070】
図7に示すように、認証端末50は、ユーザ10の顔写真を撮影し(ステップS50)、撮影により得られた顔画像を認証装置100に送信する。
【0071】
認証装置100は、加工処理により、複数枚の加工画像を生成する(ステップS51)。認証装置100は、生成した複数枚の加工画像を顔認証エンジン200に送信する。
【0072】
顔認証エンジン200は、加工画像に対して認証処理を実施し、認証に係るスコアを算出する(ステップS52)。顔認証エンジン200は、複数のスコアを認証装置100に通知する。
【0073】
認証装置100は、いずれかの加工画像のスコアが基準値以上であるか否かを判定する(ステップS53)。スコアが基準値を超えない場合(ステップS53;No)、認証装置100は、その旨を認証端末50に通知する。この場合、認証端末50は、顔写真の撮影をやり直す(ステップS54)。
【0074】
一方、いずれかの加工画像のスコアが基準値を超えた場合(ステップS53;Yes)、認証装置100は、認証が成功したと判定し、認証結果を認証端末50に返送する(ステップS55)。認証端末50は、認証結果に応じた処理を実行する(ステップS56)。
【0075】
(1-4-2.装置構成)
上記実施形態では、認証端末50がカメラを備える例を示した。しかし、カメラは、別の装置が備えてもよい。この場合、認証端末50は、外部装置であるカメラの撮像処理を制御することで、実施形態に係る認証処理を実現する。
【0076】
また、実施形態や応用例では、認証端末50が自装置に備えられた一つのカメラを用いて認証処理を行う例を示した。しかし、認証端末50は、自装置もしくは外部装置の複数台のカメラを用いて、実施形態に係る処理を行ってもよい。
【0077】
例えば、認証端末50は、設置高や設置角度の異なる複数台のカメラを制御することにより、様々な態様の対象(例えば、身長が平均よりも低い者もしくは高い者、あるいは、車椅子などの補助具を利用する者等)についても適切に認証を行うことができる。
【0078】
また、認証装置100は、外部の顔認証エンジン200を利用して認証を行ってもよいし、自装置が備える学習済み認証モデルで認証を行ってもよい。すなわち、認証装置100は、顔認証エンジン200を提供する事業者から提供を受けるだけでなく、顔認証エンジン200を自ら機能させる、オンプレミス(on premise)環境下で実施形態に係る処理を実行してもよい。
【0079】
(2.その他の実施形態)
上述した実施形態に係る処理は、上記実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてよい。
【0080】
例えば、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0081】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0082】
また、上述してきた実施形態および変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0083】
また、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものでは無く、他の効果があってもよい。
【0084】
(3.本開示に係る認証装置の効果)
上述してきたように、本開示に係る認証装置(実施形態では認証装置100)は、取得部(実施形態では取得部131)と、判定部(実施形態では判定部133)と、加工部(実施形態では加工部134)とを含む。取得部は、認証対象のユーザが撮影された顔画像を取得する。判定部は、取得部によって取得された顔画像を顔認証エンジンに認証させた結果に基づいて、当該顔画像に加工処理を実行するか否かを判定する。加工部は、判定部によって加工処理を実行すると判定された場合に、顔画像に加工処理を実行して加工画像を生成する。
【0085】
このように、本開示に係る認証装置は、元の顔画像で認証が成功しない場合、加工処理を行った加工画像での認証を実行することで、1枚の顔画像で認証を行う場合と比較して、認証精度を向上させる。認証装置によれば、認証に用いるカメラの性能が充分でなくとも、新たな装置や機能を導入することなく、また、顔認証エンジン側の仕様変更や特性を考慮することもなく、認証精度を向上させることができる。
【0086】
また、判定部は、顔認証エンジンに認証させた結果が、顔画像によってユーザの本人認証を実行できないスコアである場合に、当該顔画像に加工処理を実行すると判定する。また、判定部は、加工部によって加工画像が生成された場合、当該加工画像を顔認証エンジンに認証させ、当該加工画像の認証結果に基づいて、当該加工画像にさらに加工処理を実行するか否かを判定してもよい。
【0087】
このように、認証装置は、試行を繰り返すことにより、ユーザに再度の撮影を要求するような手間を掛けずに、認証精度を向上させることができる。
【0088】
また、認証装置は、取得部と、加工部と、送信部(実施形態では送信部132)とを含む構成であってもよい。取得部は、認証対象のユーザが撮影された顔画像を取得する。加工部は、取得部によって取得された顔画像に加工処理を実行することで、顔画像から複数の加工画像を生成する。送信部は、加工部によって生成された複数の加工画像を顔認証エンジンに送信する。
【0089】
このように、認証装置は、顔画像での認証を試行せずとも、予め、様々な加工処理を行った加工画像を複数種類作成して並列で認証処理を行うこともできる。これにより、認証装置は、顔認証エンジンとのやりとりにかかる処理や時間を短縮することができる。
【0090】
また、加工部は、顔画像の明るさ、色味、画質の少なくともいずれか1つを変更することにより、加工画像を生成する。
【0091】
このように、認証装置は、加工処理を行うことで、画像が暗いために認証失敗となったり、顔認証エンジンと相性の悪い色味で撮影されたために認証失敗となったりする事態を回避することができる。これにより、認証装置は、認証精度を向上させることができる。
【0092】
(4.ハードウェア構成)
上述してきた実施形態に係る認証装置100等の情報機器は、例えば
図8に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、実施形態に係る認証装置100を例に挙げて説明する。
図8は、認証装置100の機能を実現するコンピュータ1000の一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM(Read Only Memory)1300、HDD(Hard Disk Drive)1400、通信インターフェイス1500、および入出力インターフェイス1600を有する。コンピュータ1000の各部は、バス1050によって接続される。
【0093】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。例えば、CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムをRAM1200に展開し、各種プログラムに対応した処理を実行する。
【0094】
ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるBIOS(Basic Input Output System)等のブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0095】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、および、かかるプログラムによって使用されるデータ等を非一時的に記録する、コンピュータが読み取り可能な記録媒体である。具体的には、HDD1400は、プログラムデータ1450の一例である本開示に係る認証処理を実行するプログラムを記録する記録媒体である。
【0096】
通信インターフェイス1500は、コンピュータ1000が外部ネットワーク1550(例えばインターネット)と接続するためのインターフェイスである。例えば、CPU1100は、通信インターフェイス1500を介して、他の機器からデータを受信したり、CPU1100が生成したデータを他の機器へ送信したりする。
【0097】
入出力インターフェイス1600は、入出力デバイス1650とコンピュータ1000とを接続するためのインターフェイスである。例えば、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、キーボードやマウス等の入力デバイスからデータを受信する。また、CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやスピーカーやプリンタ等の出力デバイスにデータを送信する。また、入出力インターフェイス1600は、所定の記録媒体(メディア)に記録されたプログラム等を読み取るメディアインターフェイスとして機能してもよい。メディアとは、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0098】
例えば、コンピュータ1000が実施形態に係る認証装置100として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされた認証プログラムを実行することにより、制御部130等の機能を実現する。また、HDD1400には、本開示に係る認証処理を実行するプログラムや、記憶部120内のデータが格納される。なお、CPU1100は、プログラムデータ1450をHDD1400から読み取って実行するが、他の例として、外部ネットワーク1550を介して、他の装置からこれらのプログラムを取得してもよい。
【0099】
以上、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0100】
10 ユーザ
50 認証端末
100 認証装置
110 通信部
120 記憶部
121 顔画像記憶部
122 加工情報記憶部
123 認証ログ記憶部
130 制御部
131 取得部
132 送信部
133 判定部
134 加工部
200 顔認証エンジン