(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074633
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】間仕切り装置と、間仕切り装置における横桟の支持構造
(51)【国際特許分類】
E05D 15/00 20060101AFI20240524BHJP
E06B 3/46 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
E05D15/00 G
E05D15/00 F
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185919
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000184621
【氏名又は名称】小松ウオール工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090712
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 忠秋
(74)【代理人】
【識別番号】100176359
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 光代
(72)【発明者】
【氏名】堀 翔伍
(72)【発明者】
【氏名】松本 光右
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA01
2E014FA00
2E014FB01
2E014FC03
(57)【要約】
【課題】見込寸法を抑えて大開口を作る。
【解決手段】左右の縦枠11、11と、上枠12、12…と、縦枠11、11間に設ける横桟13と、左右の支柱20、20と、主開口部L1 を全面開放可能な主開閉戸14、14…と、副開口部L2 の半分相当を開閉する副開閉戸15、15とを設ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の縦枠と、上枠と、前記縦枠間に設ける横桟と、該横桟の中途に配置する左右の支柱と、該支柱間の主開口部を開閉する両開きの主開閉戸と、前記各縦枠、支柱間の副開口部の半分相当を開閉する片開きの副開閉戸とを備えてなり、前記横桟は、前記主開閉戸用の室内側の案内レールと前記副開閉戸用の室外側の案内レールとを有し、前記各支柱は、前記室内側の案内レールと干渉することなく前記横桟を支持することを特徴とする間仕切り装置。
【請求項2】
前記支柱は、前記横桟の下方の支持材と、前記横桟の上方の束材と、前記支持材、束材の室外側に共通に付設する補強材と、前記支持材、補強材をカバーする左右のカバー材とを組み合わせることを特徴とする請求項1記載の間仕切り装置。
【請求項3】
前記副開口部には、前記副開閉戸用の戸袋パネルを設けることを特徴とする請求項1または請求項2記載の間仕切り装置。
【請求項4】
前記戸袋パネルは、室外側に掲示面を形成することを特徴とする請求項3記載の間仕切り装置。
【請求項5】
左右の縦枠間に設ける横桟の中途に支柱を配置してなり、前記横桟は、室内側、室外側の案内レールを有し、前記支柱は、前記室内側の案内レールと干渉することなく前記横桟を支持することを特徴とする間仕切り装置における横桟の支持構造。
【請求項6】
前記支柱は、前記横桟の下方の支持材と、前記横桟の上方の束材と、前記支持材、束材の室外側に共通に付設する補強材と、前記支持材、補強材をカバーする左右のカバー材とを組み合わせることを特徴とする請求項5記載の間仕切り装置における横桟の支持構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たとえば学校施設において、必要に応じて大開口を簡単に作ることができる開放形の教室用の間仕切り装置と、間仕切り装置における横桟の支持構造に関する。
【背景技術】
【0002】
小さな見込寸法に抑えながら大開口を実現することができる間仕切り装置が提案されている(たとえば特許文献1)。
【0003】
従来の間仕切り装置は、複数の引違い式の開閉戸と、複数の折戸式の開閉戸とを組み合わせることにより、見込寸法を小さく抑えながら、必要な大開口を作ることができる。折戸式の開閉戸の戸先側に付設する折戸板は、走行用の案内レールを設ける必要がないからである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来技術によるときは、折戸式の開閉戸は、開閉操作が必ずしも簡単でない上、十分な耐久性を保有させることが難しく、乱暴な操作がされがちな学校施設向けとして適切とはいい難い、などという問題があった。
【0006】
そこで、この発明の目的は、かかる従来技術の問題に鑑み、開閉戸用の案内レールを有する横桟の支持形態を工夫することによって、見込寸法を抑えながら大開口を作ることができる上、開閉操作が容易であり、必要な耐久性を簡単に実現することができる間仕切り装置と、間仕切り装置における横桟の支持構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するための請求項1の発明の構成は、左右の縦枠と、上枠と、縦枠間に設ける横桟と、横桟の中途に配置する左右の支柱と、支柱間の主開口部を開閉する両開きの主開閉戸と、各縦枠、支柱間の副開口部の半分相当を開閉する片開きの副開閉戸とを備えてなり、横桟は、主開閉戸用の室内側の案内レールと副開閉戸用の室外側の案内レールとを有し、各支柱は、室内側の案内レールと干渉することなく横桟を支持することをその要旨とする。
【0008】
なお、支柱は、横桟の下方の支持材と、横桟の上方の束材と、支持材、束材の室外側に共通に付設する補強材と、支持材、補強材をカバーする左右のカバー材とを組み合わせることができる。
【0009】
また、副開口部には、副開閉戸用の戸袋パネルを設けてもよく、戸袋パネルは、室外側に掲示面を形成してもよい。
【0010】
請求項5の発明の構成は、左右の縦枠間に設ける横桟の中途に支柱を配置してなり、横桟は、室内側、室外側の案内レールを有し、支柱は、室内側の案内レールと干渉することなく横桟を支持することをその要旨とする。
【0011】
なお、支柱は、横桟の下方の支持材と、横桟の上方の束材と、支持材、束材の室外側に共通に付設する補強材と、支持材、補強材をカバーする左右のカバー材とを組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0012】
かかる請求項1の発明の構成によるときは、各支柱は、主開閉戸用の室内側の案内レールと干渉することなく、すなわち主開閉戸の走行移動動作を妨げることなく横桟を支持するから、主開閉戸は、室内側の案内レールを介し、支柱による横桟の支持位置を越えて走行移動して主開口部を開閉し、必要に応じて主開口部を全面開放して大開口を作ることができる。また、主開閉戸、副開閉戸は、いずれも普通の引戸形式や吊戸形式として形成することができるから、開閉操作が容易であり、必要十分な耐久性を簡単に実現することができ、見込寸法も、通常の引違い戸相当に抑えることができる。
【0013】
ただし、主開閉戸は、たとえば主開口部の1/2幅相当の2枚または1/4幅相当の4枚を用意し、その1枚ずつまたは2枚ずつを両開きにして、それぞれ左右の副開口部に退避させて主開口部を全面開放することができる。なお、主開口部は、左右の縦枠間の全幅の1/2幅相当、または全幅の1/2幅相当より小さくなるように、各支柱の配置位置を左右対称に定めるとよい。
【0014】
各支柱は、支持材、束材、補強材、左右のカバー材を組み合わせることにより、必要な強度と端正な外観とを容易に達成することができる。
【0015】
副開閉戸は、副開口部に設ける戸袋パネルの内側に収納して隠蔽することにより、開放時の外観や安全性を向上させることができる。
【0016】
戸袋パネルは、室外側に掲示面を形成することにより、任意の掲示物を掲示するために必要な掲示スペースを提供することができる。なお、掲示面は、画鋲を用いるピンナップ機能、磁石片を用いるマグネット機能、圧着テープを用いる貼付機能の一部または全部を保有させることが好ましい。ただし、戸袋パネルの室外側には、マーカ記入用のホワイトボードを形成してもよい。
【0017】
請求項5の発明の構成によるときは、請求項1の発明に適用して、請求項1の発明の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を以って発明の実施の形態を説明する。
【0020】
間仕切り装置は、左右の縦枠11、11、上枠12、12…、横桟13、左右の支柱20、20、主開閉戸14、14…、副開閉戸15、15を備えてなる(
図1、
図2)。ただし、
図1(A)、
図2(A)は、それぞれ室外側、室内側の模式正面図であり、
図1(B)、
図2(B)は、それぞれ
図1(A)、
図2(A)の模式横断面図であり、
図1(C)、
図2(C)は、それぞれ
図1(B)、
図2(B)の要部拡大図である。
【0021】
縦枠11、11は、それぞれ図示しない建築物の壁面に沿わせるようにして、図示しない床面と、図示しない天井面に設置する直線状の天井レールとの間に立設されている。横桟13は、左右の縦枠11、11間に架設されており、左右の支柱20、20は、横桟13の中途に配置され、それぞれ床面と天井レールとの間に立設されている。横桟13の中央部は、束16aを介して天井レールに連結されており、上枠12、12…は、天井レールに沿って配置され、それぞれ各縦枠11、各支柱20、束16aの中の隣接する2部材によって両端が支持されている。上枠12、12…と横桟13との間には、各縦枠11、各支柱20、束16aを介し、引違い式のガラス障子16、16を装着する欄間部が形成されている。なお、束16aには、横桟13の垂れを調整する吊り機構を内蔵させてもよく、ガラス障子16、16は、内倒し窓やパネル材などとしてもよい。
【0022】
横桟13の下方には、支柱20、20間の主開口部L1 と、縦枠11と支柱20間の左右の副開口部L2 、L2 とが形成されている。主開口部L1 には、4枚の主開閉戸14、14…が2枚ずつの両開き式に配置され、各副開口部L2 には、片開き式の副開閉戸15が戸袋パネル17とともに配置されている。主開閉戸14、副開閉戸15は、それぞれ下端に走行用の戸車を有する引戸形式であり、床面に設置する引戸レール18には、主開閉戸14用の室内側の案内レール18a、副開閉戸15用の室外側の案内レール18bが形成されている。なお、横桟13の下面には、案内レール18a、18bに対応する主開閉戸14用、副開閉戸15用の室内側、室外側の各案内レールが形成されている。また、戸袋パネル17は、支柱20、横桟13を利用して、副開閉戸15を収納し得るように室外側に立設されており、戸袋パネル17の室外側には、任意の掲示物を掲示可能な掲示面が形成されている。
【0023】
主開閉戸14、副開閉戸15には、それぞれ切窓14a、15aが形成されている。また、主開閉戸14の室内側の前後、副開閉戸15の室内側、室外側の戸先側には、それぞれ引手14b、15bが付設されている。各主開閉戸14の室内側の後部上方には、ロック用のフランス落し14cが装着され、各副開閉戸15の室内側の戸先側には、上下の戸当り15c、15cが付設されている。なお、横桟13の中央部には、4枚の主開閉戸14、14…を左右に2枚ずつ両開きにするために、主開閉戸14用の図示しない中央戸当りが配置されている。
【0024】
かかる間仕切り装置の主要動作は、たとえば次のとおりである。
【0025】
まず、4枚の主開閉戸14、14…は、左右の縦枠11、11間の全幅の1/2幅相当の主開口部L1 を全閉することができる(
図1、
図2)。また、このとき、左右の各2枚のうちの後側(左右の支柱20に近い側)の各主開閉戸14のフランス落し14cを係止させると、図示しない中央戸当りと相俟って、全部の主開閉戸14、14…を
図1、
図2の全閉位置にロックすることができる。一方、各副開閉戸15は、戸袋パネル17とともに、全幅の1/4幅相当の副開口部L2 を全閉することができる。なお、
図1(A)、
図2(A)において、水平の片矢印は、対応する主開閉戸14、副開閉戸15、ガラス障子16の開き方向を示している。
【0026】
次に、副開閉戸15を開き方向に操作して(
図3(A)の各矢印K2 方向)、戸袋パネル17の内側において戸尻側を支柱20に当接させると、実質的に副開口部L2 の1/2幅相当を開放することができる(
図3)。ただし、
図3(A)~(C)は、それぞれ
図1(A)~(C)相当図である。
【0027】
また、主開閉戸14、14…のロックを解除して主開閉戸14、14…を2枚ずつ左右に開くと(
図4(A)の矢印K1 、K1 方向)、主開口部L1 を実質的に全面開放することができる(
図4)。このとき、前側(主開口部L1 に近い側)の各主開閉戸14のフランス落し14cを係止させると、全部の主開閉戸14、14…を
図4の全開位置にロックすることができ、後側(左右の縦枠11に近い側)の各主開閉戸14は、全閉位置の副開閉戸15の室内側の戸先側にねじ止めして付設されている上下の戸当り15c、15cに後端が当接して定位置に拘束されている(
図5の二点鎖線)。ただし、
図4(A)~(C)は、それぞれ
図1(A)~(C)相当図である。
【0028】
なお、間仕切り装置の枠体のみを抽出して図示すると、
図6のとおりである。ただし、
図6(A)、(B)は、それぞれ室外側、室内側の模式正面図である。そこで、間仕切り装置は、建築物の天井面の天井レールと床面との間に設置されるから、天井下地などの内装工事が完了した後の施工が可能である。
【0029】
次に、支柱20による横桟13の支持構造を説明する。
【0030】
押出形材の横桟13の下面には、主開閉戸14用の室内側の案内レール13a、副開閉戸15用の室外側の案内レール13bが形成されている(
図7)。また、横桟13の上面には、たとえば欄間部のガラス障子16、16用の戸枠材などを位置決めして固定するための室内側、室外側の溝13c、13dが形成されている。
【0031】
支柱20は、横桟13の下方の支持材21、横桟13の上方の束材22の他、補強材23、左右のカバー材24、25を組み合わせて構成されている。支持材21は、板材をリップ溝形に形成し、下端を床側に着地させるとともに、上端の接続片21aを横桟13の室外側の案内レール13bの天面にねじ止めして立設されている。束材22は、支持材21の延長線上に立設するようにして下端を横桟13の上面に連結するとともに、上端が図示しない天井レールに連結されている。
【0032】
チャンネル状の補強材23は、支持材21、束材22のほぼ全長の室外側に共通にねじ止めされており(
図7、
図8)、左右のカバー材24、25は、支持材21、補強材23を左右から包み込むようにして装着され、支持材21の室内側からねじ止めされている(
図8、
図9)。ただし、カバー材24、25には、互いに係合する係合部24a、25aが全長に亘って形成され、カバー材24、25の下半部、上半部は、それぞれ相対向する略チャンネル状、略アングル状に形成されている。なお、
図9(A)~(C)は、それぞれ室外側の斜め上方、室内側の斜め上方、室内側の斜め下方から見た組立斜視図である。
【0033】
かかる支柱20による横桟13の支持構造によれば、支柱20は、横桟13の室内側の案内レール13aと干渉することなく横桟13を支持し、主開閉戸14の走行移動動作を妨げることがない上、全体として必要十分な強度と端正な外観とを実現することができる。
【0034】
以上の説明において、主開閉戸14、副開閉戸15は、それぞれ図示の引戸形式に代えて、吊戸形式としてもよい。そのとき、床側の引戸レール18を省略し、横桟13には、吊戸用の室内側、室外側の案内レールを設けるとともに、床側には、適切な振れ止め用のガイドローラまたはガイドレールなどを、通行に支障がないように体裁よい形態に配置すればよい。
【0035】
また、主開閉戸14は、引戸形式、吊戸形式のいずれの場合であっても、図示の4枚を設けるに代えて、2枚とすることも可能である。
【0036】
なお、主開口部L1 は、左右の縦枠11、11間の全幅の1/2幅相当より小さくし、それに応じて各副開口部L2 が全幅の1/4幅相当より大きくなるように、支柱20、20の配置位置を定めてもよい。ただし、このときの主開閉戸14は、対応する副開閉戸15の上下の戸当り15c、15cに代えて、横桟13の案内レール13aに設ける図示しない戸当りにより所定の全開位置に拘束するものとし、戸当り15c、15cは、副開閉戸15の引違い動作の防止用とする。たとえば車椅子の通行等のために、副開閉戸15による副開口部L2 の開口幅の拡大要求がある場合などに有用である。
【産業上の利用可能性】
【0037】
この発明は、見込寸法を抑えながら大開口を作ることができ、開放形の教室の要請がある学校施設向けなどとして、殊に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0038】
L1 …主開口部
L2 …副開口部
11…縦枠
12…上枠
13…横桟
13a、13b…案内レール
14…主開閉戸
15…副開閉戸
17…戸袋パネル
20…支柱
21…支持材
22…束材
23…補強材
24、25…カバー材
特許出願人 小松ウオール工業株式会社