(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074637
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】継手リンク及びチェーン
(51)【国際特許分類】
F16G 13/06 20060101AFI20240524BHJP
【FI】
F16G13/06 A
F16G13/06 B
F16G13/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185928
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】阿部 勇志
(57)【要約】
【課題】チェーンの切り継ぎ時に多大な手間と労力をかけることなく、切り継ぎ後のチェーンに不要な伸びが生じることを抑制できる継手リンク及びチェーンを提供する。
【解決手段】継手リンク14は、基端に第1雄ねじ部36を有し且つそれよりも先端側に断面積が基端側に向かうほど次第に大きくなる第1錐台形状部38を有する継手ピン33と、長手方向の両端部に有する継手ピンを挿通可能な孔が第1雄ねじ部を螺合可能にした雌ねじ部と第1錐台形状部の外側面38aに対応した凹錐面形状の内側面44aとを有した第1ピン孔44を構成する第1リンクプレート31と、長手方向の両端部に有する継手ピンを挿通可能な孔が継手ピンの先端部が嵌合可能とされる第2ピン孔48を構成する第2リンクプレート32と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンの長さ方向に直列に配置された複数のリンクにおける前記長さ方向で隣り合う前記リンク同士が連結ピンを介して回動自在に連結されたチェーンの切り継ぎに使用する継手リンクであって、
基端に雄ねじ部を有し且つ当該雄ねじ部よりも先端側に断面積が基端側に向かうほど次第に大きくなるように形成された錐台形状部を有する継手ピンと、
長手方向の一端部と他端部に前記継手ピンを挿通可能とする孔を有し、前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方に有する前記孔が前記雄ねじ部を螺合可能にした雌ねじ部と前記錐台形状部の外側面に対応した凹錐面形状の内側面とを有した第1ピン孔を構成する第1リンクプレートと、
長手方向の一端部と他端部に前記継手ピンを挿通可能とする孔を有し、前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方に有する前記孔が前記継手ピンの先端部が嵌合可能とされる第2ピン孔を構成する第2リンクプレートと、
を備えることを特徴とする継手リンク。
【請求項2】
チェーンの長さ方向に直列に配置された複数のリンクにおける前記長さ方向で隣り合う前記リンク同士が連結ピンを介して回動自在に連結されたチェーンの切り継ぎに使用する継手リンクであって、
基端に第1雄ねじ部を有すると共に、先端に第2雄ねじ部を有し、前記第1雄ねじ部よりも先端側に断面積が基端側に向かうほど次第に大きくなるように形成された第1錐台形状部を有する継手ピンと、
長手方向の一端部と他端部に前記継手ピンを挿通可能とする孔を有し、前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方に有する前記孔が前記第1雄ねじ部を螺合可能にした雌ねじ部と前記第1錐台形状部の外側面に対応した凹錐面形状の内側面とを有した第1ピン孔を構成する第1リンクプレートと、
長手方向の一端部と他端部に前記継手ピンを挿通可能とする孔を有し、前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方に有する前記孔が前記第2雄ねじ部を通過可能とした第2ピン孔を構成する第2リンクプレートと、
前記継手ピンの前記第2雄ねじ部に螺合可能とされるナット部材と、
を備えることを特徴とする継手リンク。
【請求項3】
前記継手ピンは、前記第1錐台形状部よりも先端側であって且つ前記第2雄ねじ部よりも基端側に断面積が基端側に向かうほど次第に大きくなるように形成された第2錐台形状部を有し、
前記第2リンクプレートの前記第2ピン孔は、前記第2錐台形状部の外側面に対応した凹錐面形状の内側面を有することを特徴とする請求項2に記載の継手リンク。
【請求項4】
前記第1雄ねじ部のねじピッチと前記第2雄ねじ部のねじピッチは互いに異なっていることを特徴とする請求項2に記載の継手リンク。
【請求項5】
前記第1雄ねじ部及び前記第2雄ねじ部は、一方が左ねじ構造であると共に、他方が右ねじ構造であることを特徴とする請求項2に記載の継手リンク。
【請求項6】
長さ方向に直列に配置された複数のリンクにおける前記長さ方向で隣り合う前記リンク同士が連結ピンを介して回動自在に連結されたチェーンであって、
前記長さ方向の中途に請求項1~請求項5のうち何れか一項に記載の継手リンクが位置し、当該継手リンクを介して前記長さ方向の一方側で隣接する前記リンクと他方側で隣接する前記リンクが連結されることを特徴とするチェーン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チェーンの切り継ぎに使用する継手リンク及びその継手リンクを用いて切り継ぎ可能とされたチェーンに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されるように、チェーンは、その長さ方向に交互に位置し且つ互いの端部同士がチェーンの幅方向で重なるように直列に配置された内リンクプレートと外リンクプレートとを備えている。チェーンの長さ方向で隣り合う内リンクプレートと外リンクプレートは、互いの端部同士が連結ピンを介して回動自在に連結されている。この場合、連結ピンは、その端部が外リンクプレートのピン孔に対して圧入された状態、すなわち、ピン孔に対して回転不能に嵌合された所謂しまり嵌め状態とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チェーンは、その使用現場で当該チェーンの使用者により、所要の長さ寸法に切り継ぎされることがある。その場合、外リンクプレートのピン孔に対する連結ピンの嵌め状態がピン孔に対して連結ピンを回転可能に嵌合させる所謂すきま嵌め状態であれば、使用者は容易に連結ピンの端部をピン孔から抜き外したり当該ピン孔に嵌め入れたりできる。しかし、そのような所謂すきま嵌め状態の場合には、ピン孔の内周面と連結ピンの外周面とが摺動することになる。そのため、経年使用による摩耗でピン孔の径が拡大してしまい、切り継ぎ後のチェーンに不要な伸びを生じさせてしまう虞がある。
【0005】
これに対し、外リンクプレートのピン孔に対する連結ピンの嵌め状態が、ピン孔に対して連結ピンを回転不能に嵌合させる所謂しまり嵌め状態であれば、ピン孔の内周面と連結ピンの外周面とが摺動することもない。そのため、切り継ぎされたチェーンに不要な伸びが生じることを抑制できる。しかし、連結ピンの端部を外リンクプレートのピン孔に対して所謂しまり嵌め状態とするには、油圧機器等を用いて連結ピンをピン孔に圧入したり、大ハンマーで連結ピンをピン孔に叩き込んだりする作業が必要となる。したがって、所謂しまり嵌め状態の場合には、切り継ぎ後のチェーンに不要な伸びが生じることを抑制できる反面、その切り継ぎ時における連結ピンの嵌め入れ作業や抜き外し作業に多大な手間と労力がかかるという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための継手リンクの各態様を記載する。
[態様1]
チェーンの長さ方向に直列に配置された複数のリンクにおける前記長さ方向で隣り合う前記リンク同士が連結ピンを介して回動自在に連結されたチェーンの切り継ぎに使用する継手リンクであって、
基端に雄ねじ部を有し且つ当該雄ねじ部よりも先端側に断面積が基端側に向かうほど次第に大きくなるように形成された錐台形状部を有する継手ピンと、
長手方向の一端部と他端部に前記継手ピンを挿通可能とする孔を有し、前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方に有する前記孔が前記雄ねじ部を螺合可能にした雌ねじ部と前記錐台形状部の外側面に対応した凹錐面形状の内側面とを有した第1ピン孔を構成する第1リンクプレートと、
長手方向の一端部と他端部に前記継手ピンを挿通可能とする孔を有し、前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方に有する前記孔が前記継手ピンの先端部が嵌合可能とされる第2ピン孔を構成する第2リンクプレートと、
を備える継手リンク。
【0007】
この構成によれば、チェーンの切り継ぎ時には、第1リンクプレートの第1ピン孔と、継手リンクと隣接する他のリンクが有するピン挿通部と、第2リンクプレートの第2ピン孔とに亘って継手ピンが挿通される。この場合、継手ピンは、先端部が第2リンクプレートの第2ピン孔に挿通されると共に、軸部が他のリンクのピン挿通部に挿通され、さらに基端部が第1リンクプレートの第1ピン孔に挿通された状態となる。なお、その際、継手ピンは、基端の雄ねじ部が第1ピン孔の雌ねじ部に対する螺合を開始可能であり且つ錐台形状部の外側面が第1ピン孔の凹錐面形状の内側面に対して面接触が可能に近接した位置状態となる。
【0008】
そして、その状態において、ねじ締め方向に継手ピンが回転されると、第1ピン孔の雌ねじ部に対して雄ねじ部が螺合して締め付けられる。すると、錐台形状部の外側面が第1ピン孔の凹錐面形状の内側面に面接触した後、その内側面に押し付けられて密着した状態となる。すなわち、継手ピンは、第1リンクプレートの第1ピン孔に対して錐台形状部が所謂しまり嵌め状態に相当する密着した状態で嵌め入れられる。また、継手ピンの先端部も第2リンクプレートの第2ピン孔に対して嵌合した状態となる。そして、その状態では、継手ピンの外側面と第1リンクプレートの第1ピン孔の内側面及び第2リンクプレートの第2ピン孔の内側面とが摺動することもない。そのため、多大な手間と労力を要することなく、切り継ぎ後のチェーンに不要な伸びが生じることを抑制できる。
【0009】
[態様2]
チェーンの長さ方向に直列に配置された複数のリンクにおける前記長さ方向で隣り合う前記リンク同士が連結ピンを介して回動自在に連結されたチェーンの切り継ぎに使用する継手リンクであって、
基端に第1雄ねじ部を有すると共に、先端に第2雄ねじ部を有し、前記第1雄ねじ部よりも先端側に断面積が基端側に向かうほど次第に大きくなるように形成された第1錐台形状部を有する継手ピンと、
長手方向の一端部と他端部に前記継手ピンを挿通可能とする孔を有し、前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方に有する前記孔が前記第1雄ねじ部を螺合可能にした雌ねじ部と前記第1錐台形状部の外側面に対応した凹錐面形状の内側面とを有した第1ピン孔を構成する第1リンクプレートと、
長手方向の一端部と他端部に前記継手ピンを挿通可能とする孔を有し、前記一端部及び前記他端部の少なくとも一方に有する前記孔が前記第2雄ねじ部を通過可能とした第2ピン孔を構成する第2リンクプレートと、
前記継手ピンの前記第2雄ねじ部に螺合可能とされるナット部材と、
を備える継手リンク。
【0010】
この構成によれば、チェーンの切り継ぎ時には、継手ピンが、第1リンクプレートの第1ピン孔と、継手リンクと隣接する他のリンクが有するピン挿通部と、第2リンクプレートの第2ピン孔とに亘って挿通される。この場合、継手ピンは、先端部が第2リンクプレートの第2ピン孔に挿通されると共に、軸部が他のリンクのピン挿通部に挿通され、さらに基端部が第1リンクプレートの第1ピン孔に挿通された状態となる。なお、その際、継手ピンは、基端の第1雄ねじ部が第1ピン孔の雌ねじ部に対する螺合を開始可能であり且つ第1錐台形状部の外側面が第1ピン孔の凹錐面形状の内側面に対して面接触が可能に近接した位置状態となる。また同時に、継手ピンは、先端の第2雄ねじ部が第2ピン孔内に位置した状態となる。
【0011】
そして、その状態において、ねじ締め方向に継手ピンが回転されると、第1ピン孔の雌ねじ部に第1雄ねじ部が螺合して締め付けられる。すると、第1錐台形状部の外側面が第1ピン孔の凹錐面形状の内側面に面接触した後、その内側面に押し付けられて密着した状態となる。その一方、第2雄ねじ部が第2リンクプレートの第2ピン孔を通過するため、その第2雄ねじ部にナット部材が螺合される。すると、継手ピンは、その先端部における第2雄ねじ部よりも基端側の部分が第2リンクプレートに押し付けられて密着した状態となる。すなわち、継手ピンは、第1錐台形状部が第1リンクプレートの第1ピン孔に対して所謂しまり嵌め状態に相当する密着した状態で嵌め入れられる。また、継手ピンは、その先端部が第2リンクプレートの第2ピン孔に対して回転不能に挿通された状態となる。そして、その状態では、継手ピンの外側面と第1リンクプレートの第1ピン孔の内側面及び第2リンクプレートの第2ピン孔の内側面とが摺動することもない。そのため、多大な手間と労力を要することなく、切り継ぎ後のチェーンに不要な伸びが生じることを抑制できる。
【0012】
[態様3]
前記継手ピンは、前記第1錐台形状部よりも先端側であって且つ前記第2雄ねじ部よりも基端側に断面積が基端側に向かうほど次第に大きくなるように形成された第2錐台形状部を有し、
前記第2リンクプレートの前記第2ピン孔は、前記第2錐台形状部の外側面に対応した凹錐面形状の内側面を有する[態様2]に記載の継手リンク。
【0013】
この構成によれば、第1ピン孔とピン挿通部と第2ピン孔とを位置合せした状態で継手ピンを第1ピン孔とピン挿通部と第2ピン孔とに亘って一方向から容易に挿通できる。また、第2雄ねじ部にナット部材が螺合されると、第2錐台形状部の外側面が第2ピン孔の凹錐面形状の内側面に面接触した後、その内側面に押し付けられて密着した状態となる。すなわち、継手ピンは、第1錐台形状部及び第2錐台形状部が第1リンクプレートの第1ピン孔及び第2リンクプレートの第2ピン孔に対して所謂しまり嵌め状態に相当する密着した状態で嵌め入れられる。その結果、継手ピンは、その基端部及び先端部の両方を各々が挿通される第1ピン孔及び第2ピン孔に対して回転不能に嵌合させることができる。
【0014】
[態様4]
前記第1雄ねじ部のねじピッチと前記第2雄ねじ部のねじピッチは互いに異なっている[態様2]又は[態様3]に記載の継手リンク。
【0015】
仮に、第1雄ねじ部のねじピッチと第2雄ねじ部のねじピッチが同じである場合には、チェーンの切り継ぎ後に継手ピンに対して弛む方向の外力が作用すると、継手ピンは弛む方向に回転して最終的には抜けてしまう。これに対し、上記の構成によれば、継手ピンに対して弛む方向の外力が作用した場合、継手ピンが軸方向に第1雄ねじ部のねじピッチに基づき移動可能とされる距離と第2雄ねじ部のねじピッチに基づき移動可能とされる距離とに差が生じる。そのため、継手ピンは、軸方向の移動が規制される結果、弛む方向への回転が規制される。したがって、チェーンの切り継ぎ後に継手ピンが弛む方向に回転して抜け落ちることを抑制できる。
【0016】
[態様5]
前記第1雄ねじ部及び前記第2雄ねじ部は、一方が左ねじ構造であると共に、他方が右ねじ構造である[態様2]又は[態様3]に記載の継手リンク。
【0017】
この構成によれば、第1雄ねじ部と第2雄ねじ部とは、ねじ締め方向が互いに逆方向となる逆ねじ構造になっている。そのため、チェーンの切り継ぎ後において継手ピンが一方の雄ねじ部にとっては弛む方向に回転しようとした場合、その回転方向は他方の雄ねじ部にとっては弛む方向とは逆のねじ締め方向となる。その結果、継手ピンは、その方向への回転が規制される。したがって、チェーンの切り継ぎ後に継手ピンが弛む方向に回転することで抜け落ちることを抑制できる。
【0018】
上記課題を解決するためのチェーンの態様を記載する。
[態様6]
長さ方向に直列に配置された複数のリンクにおける前記長さ方向で隣り合う前記リンク同士が連結ピンを介して回動自在に連結されたチェーンであって、
前記長さ方向の中途に[態様1]~[態様5]のうち何れか一つに記載の継手リンクが位置し、当該継手リンクを介して前記長さ方向の一方側で隣接する前記リンクと他方側で隣接する前記リンクが連結されるチェーン。
【0019】
この構成によれば、上記構成の継手リンクにおいて享受できる作用効果と同様の作用効果を享受できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、チェーンの切り継ぎ時に多大な手間と労力をかけることなく、切り継ぎ後のチェーンに不要な伸びが生じることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】一実施形態のチェーンの一部を分解して示す斜視図。
【
図2】継手リンクを用いたチェーンの切り継ぎ部分を一部破断して示す平面図。
【
図4】切り継ぎ時のピン挿通工程を一部破断して示す平面図。
【
図5】変更例の継手リンクの一部を破断して示す平面図。
【
図6】他の変更例の継手リンクの一部を破断して示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、継手リンク及びチェーンの一実施形態について、図を参照して説明する。
<全体構成>
図1に示すように、本実施形態のチェーン11は、その長さ方向Xにおいて交互に位置するように直列に配置される複数の内リンク12と複数の外リンク13とを備えている。また、このチェーン11は、その長さ方向Xの中途に配置される一つの継手リンク14を備えている。継手リンク14の位置から見て、チェーン11の長さ方向Xの一方側と他方側には、継手リンク14と隣接する他のリンクの一例である内リンク12が各々一つずつ位置している。そして、継手リンク14とチェーン11の長さ方向Xの一方側で隣接する内リンク12と他方側で隣接する内リンク12とが一つの継手リンク14を介して連結されている。すなわち、このチェーン11は、例えば当該チェーン11の使用現場等で当該チェーン11の使用者等により継手リンク14を用いて当該チェーン11の長さ寸法を切り継ぎ可能とされている。
【0023】
内リンク12は、チェーン11の長さ方向Xと直交する幅方向Yに互いに離れて対向する一対の内リンクプレート15を各々有する。外リンク13は、チェーン11の長さ方向Xで隣り合う内リンク12の一対の内リンクプレート15を幅方向Yの外側から挟むように配置される一対の外リンクプレート16を各々有する。内リンクプレート15及び外リンクプレート16は、例えば鋼材等から鍛造、プレス加工等で形成され、各々がチェーン11の長さ方向Xに沿って延びる略矩形板状をなしている。
【0024】
内リンクプレート15の長手方向の一端部と他端部には、それぞれ円形のブシュ孔17が内リンクプレート15の厚さ方向に貫通するように形成されている。そして、内リンク12の幅方向Yで対向する内リンクプレート15同士の間には、対向する内リンクプレート15同士の幅方向Yの間隔を保つように、円筒状のブシュ18が組み付けられている。すなわち、ブシュ18は、その軸方向の両端部が対をなす内リンクプレート15のブシュ孔17に対して回転不能に嵌合されている。また、ブシュ18には、ブシュ18よりも大径のローラ19が回転可能に外嵌合されている。すなわち、ローラ19は、ブシュ18に対して回転可能な所謂遊嵌状態に支持されている。
【0025】
外リンクプレート16の長手方向の一端部と他端部には、ブシュ18の内径よりも僅かに小径の円形状のピン孔20が外リンクプレート16の厚さ方向に貫通形成されている。ピン孔20には、内リンク12でのピン挿通部となるブシュ18に対して回転可能に挿入される略円柱状の連結ピン21の両端部が圧入される。そして、
図1に示すように、内リンク12と外リンク13は、チェーン11の長さ方向Xで隣り合う内リンクプレート15と外リンクプレート16の互いの端部同士を重ね合わせた状態で、連結ピン21を介して回動自在に連結されている。連結ピン21は、
図1では図示しない鍔状の基端部が外リンク13の幅方向Yにおける一方側の外リンクプレート16の外面に係止する一方、その先端部が他方側の外リンクプレート16のピン孔20から外側に突出している。そして、連結ピン21は、その状態において、他方側の外リンクプレート16のピン孔20から外側に突出した先端部に止めピン22を取り付けられることで、ピン孔20からの抜け止めが図られている。
【0026】
<継手リンク>
図1及び
図2に示すように、継手リンク14は、外リンクプレート16と同様の略矩形板状をなす第1リンクプレート31と第2リンクプレート32を有している。また、継手リンク14は、連結ピン21と同様の略円柱状をなす継手ピン33とナット部材34を有している。なお、第1リンクプレート31及び第2リンクプレート32は、内リンクプレート15及び外リンクプレート16の場合と同様に、鋼材等から鍛造、プレス加工等で形成されている。
【0027】
<継手ピン>
継手ピン33は、その基端に軸部35よりも外径が大径である第1雄ねじ部36を有する一方、その先端には軸部35よりも外径が小径である第2雄ねじ部37を有している。そして、継手ピン33の第1雄ねじ部36よりも先端側、すなわち、軸部35と第1雄ねじ部36との間には、その断面積が基端側に向かうほど次第に大きくなる第1錐台形状部38が形成されている。その一方、継手ピン33の第2雄ねじ部37よりも基端側、すなわち、第2雄ねじ部37と軸部35との間には、その断面積が基端側に向かうほど次第に大きくなる第2錐台形状部39が形成されている。
【0028】
第1錐台形状部38は、その基端の断面形状が第1雄ねじ部36の断面形状よりも少し小さい円形であって且つその先端の断面形状が軸部35の断面形状と同じ大きさの円形である円錐台形状に形成されている。すなわち、第1錐台形状部38は、その外側面38aの形状が先端側ほど小さな円形の断面形状になる円錐台面形状をなしている。その一方、第2錐台形状部39は、その先端の断面形状が第2雄ねじ部37の断面形状よりも少し大きい円形であって且つその基端の断面形状が軸部35の断面形状と同じ大きさの円形である円錐台形状に形成されている。すなわち、第2錐台形状部39も、その外側面39aの形状が先端側ほど小さな円形の断面形状になる円錐台面形状をなしている。
【0029】
図1及び
図2に示すように、継手ピン33は、その先端から基端にかけて、第2雄ねじ部37、第2錐台形状部39、軸部35、第1錐台形状部38、第1雄ねじ部36が外径を異ならせて連続するように形成されている。先端の第2雄ねじ部37が外径を最も小径に形成され、基端の第1雄ねじ部36が外径を最も大径に形成されている。軸部35は、その外径が基端側の第1雄ねじ部36の外径と先端側の第2雄ねじ部37の外径との中間の大きさに形成されている。なお、第2錐台形状部39は、その外径が第2雄ねじ部37の外径と軸部35の外径との間で基端側に向かうほど次第に大きくなるように形成されている。また、第1錐台形状部38は、その外径が軸部35の外径と第1雄ねじ部36の外径との間で基端側に向かうほど次第に大きくなるように形成されている。換言すると、継手ピン33は、先端の第2雄ねじ部37から、第2錐台形状部39、軸部35及び第1錐台形状部38を経て基端の第1雄ねじ部36に至る順で、外径が順次に大きくなるように構成されている。
【0030】
<ねじピッチ>
継手ピン33は、第1雄ねじ部36のねじピッチと第2雄ねじ部37のねじピッチとが互いに異なるように構成されている。例えば、第1雄ねじ部36のねじピッチが1mmとされる一方、第2雄ねじ部37のねじピッチが2mmとされるように、第1雄ねじ部36と第2雄ねじ部37は互いのねじピッチが異なっている。換言すると、継手ピン33は、1回転したときに、第1雄ねじ部36側では軸方向に1mm移動しようとする一方、第2雄ねじ部37側では軸方向に2mm移動しようとするように、第1雄ねじ部36及び第2雄ねじ部37の各ねじピッチが設定されている。
【0031】
<第1リンクプレート>
図1及び
図2に示すように、第1リンクプレート31は、その長手方向の一端部と他端部に継手ピン33の第1雄ねじ部36の外径よりも大径の円形状をなす第1嵌合孔40が貫通形成されている。第1嵌合孔40には、段付き円筒形状の第1継手ブシュ41が嵌合状態で固定されている。第1継手ブシュ41は、外径が第1嵌合孔40の内径と同一である小径筒部42と、外径が第1嵌合孔40の内径よりも大きい大径筒部43とが軸方向に段差を有して連続した形状をしている。そして、第1継手ブシュ41は、第1嵌合孔40に小径筒部42を嵌合させると共に、大径筒部43における小径筒部42側の段差面状をなす端面を第1リンクプレート31の表面に当接させた状態で、第1リンクプレート31に固定されている。
【0032】
第1継手ブシュ41には、継手ピン33を挿通可能とする第1ピン孔44が軸方向に貫通形成されている。この第1ピン孔44には、継手ピン33が、第2雄ねじ部37、第2錐台形状部39、軸部35、第1錐台形状部38及び第1雄ねじ部36の順で一方向から挿通される。第1ピン孔44は、その内側面44aが継手ピン33の第1錐台形状部38の外側面38aと対応した凹錐面形状の一種である凹円錐台面形状の部分と、継手ピン33の第1雄ねじ部36の外周面と対応した円筒面状の部分とで構成されている。そして、第1ピン孔44における継手ピン33の第1雄ねじ部36の外周面と対応した円筒面状の部分の内周面には継手ピン33の第1雄ねじ部36を螺合可能とする雌ねじ部45が形成されている。なお、第1継手ブシュ41は、一例として第1リンクプレート31の材料である鋼材よりも高硬度の材料である例えばステンレス鋼で形成されている。
【0033】
<第2リンクプレート>
図1及び
図2に示すように、第2リンクプレート32は、その長手方向の一端部と他端部に継手ピン33の軸部35よりも大径の円形状をなす第2嵌合孔46が貫通形成されている。第2嵌合孔46には、軸方向の長さが第2リンクプレート32の板厚よりも僅かだけ大きい円筒形状の第2継手ブシュ47が嵌合状態で固定されている。なお、第2継手ブシュ47の軸方向の長さは、第2リンクプレート32の板厚と同じでも、あるいは、第2リンクプレート32の板厚よりも僅かだけ小さい構成でもよい。
【0034】
第2継手ブシュ47には、継手ピン33の先端の第2雄ねじ部37を通過可能とする第2ピン孔48が軸方向に貫通形成されている。この第2ピン孔48は、その内側面48aが継手ピン33の第2錐台形状部39の外側面39aと対応した凹錐面形状の一種である凹円錐台面形状をなしている。この第2継手ブシュ47も、既述した第1継手ブシュ41と同様に、その材料が鋼材よりも高硬度の材料である例えばステンレス鋼で形成されている。
【0035】
<ナット部材>
図1及び
図2に示すように、ナット部材34は、継手ピン33の先端の第2雄ねじ部37と螺合可能に構成されている。ナット部材34は、継手ピン33が第1リンクプレート31の第1ピン孔44と内リンク12のブシュ18と第2リンクプレート32の第2ピン孔48とに亘って挿通されたとき、第2ピン孔48から突出した継手ピン33の第2雄ねじ部37に螺合される。なお、ナット部材34は、
図1及び
図2に示すような形態、すなわち、ねじ穴が貫通した形態のもの以外に、例えば袋ナット等のように軸方向の片面側が閉じてねじ穴が貫通していない形態のものでもよい。
【0036】
<作用>
次に、本実施形態の作用について説明する。
図3に示すように、継手リンク14を使用してチェーン11を切り継ぎするときには、チェーン11の長さ方向Xで2つの内リンク12が間隔を空けて隣り合う箇所に、継手リンク14が分解状態で配置される。なお、
図3においては、説明の便宜上、継手リンク14の左右両側に位置する二つの内リンク12のうち図中で左側に位置する内リンク12の内リンクプレート15及びローラ19を二点鎖線で図示している。
【0037】
<位置合わせ工程>
まず、内リンク12の幅方向Yの一方側に第1リンクプレート31が配置される一方、内リンク12の幅方向Yの他方側に第2リンクプレート32が配置される。そして、第1リンクプレート31の第1ピン孔44と内リンク12のピン挿通部となる
図3では不図示のブシュ18と第2リンクプレート32の第2ピン孔48とが同軸配置となるように位置合せされる。そして次に、そのように位置合せされた第1ピン孔44とブシュ18と第2ピン孔48とに亘って継手ピン33が第1ピン孔44側からブシュ18を経て第2ピン孔48側に向かうように挿通される。
【0038】
<ピン挿通工程>
図4に示すように、この場合、継手ピン33の先端部は、第1リンクプレート31の第1ピン孔44及び内リンク12のピン挿通部であるブシュ18を通過した後、第2リンクプレート32の第2ピン孔48に至る。また、継手ピン33の軸部35は、第1リンクプレート31の第1ピン孔44を通過した後、内リンク12のブシュ18に挿通された状態となる。さらに、継手ピン33の基端部は、基端の第1雄ねじ部36が第1ピン孔44の雌ねじ部45に対する螺合を開始直前であって且つ第1錐台形状部38の外側面38aが第1ピン孔44の凹錐面形状の内側面44aに面接触する直前の位置状態となる。
【0039】
<ねじ締め工程>
そして次に、継手ピン33が、第1ピン孔44内の雌ねじ部45に対して第1雄ねじ部36が螺合する方向に回転される。すなわち、ねじ締め方向となる例えば右方向に、継手ピン33が回転される。すると、継手ピン33は、第1雄ねじ部36を第1ピン孔44内の雌ねじ部45に螺合させた状態で回転しながら軸方向において
図4では下方となる方向に移動し、第1錐台形状部38が第1ピン孔44内における凹錐面形状をなす部分に凹凸嵌合する。すなわち、継手ピン33は、第1錐台形状部38が第1ピン孔44内の凹錐面形状の内側面44aに面接触する。
【0040】
そして、その状態から、ねじ締め方向に継手ピン33が更に回転され、雌ねじ部45に対して第1雄ねじ部36が締め付けられる。すると、継手ピン33は、第1錐台形状部38の外側面38aが第1ピン孔44の内側面44aに対して入れ子状に摩擦係合して密着した状態となる。すなわち、継手ピン33は、その基端の第1雄ねじ部36が第1ピン孔44内の雌ねじ部45に締め付けられると共に、第1錐台形状部38が第1リンクプレート31の第1ピン孔44に対して所謂しまり嵌め状態に相当する密着状態となって嵌め入れられる。
【0041】
一方、この場合において、第2リンクプレート32の第2ピン孔48内に先端部を挿通させた状態にあった継手ピン33は、その先端の第2雄ねじ部37が第2ピン孔48を通過し、第2錐台形状部39が第2ピン孔48に凹凸嵌合する。すると、第2錐台形状部39の円錐台面形状の外側面39aが第2ピン孔48の凹円錐台面形状の内側面48aに面接触する。そして、その状態において、第2ピン孔48から突出している継手ピン33の第2雄ねじ部37にナット部材34を螺合させ、そのナット部材34を締め付ける。すると、継手ピン33の第2錐台形状部39の外側面39aが第2ピン孔48の内側面48aに対して入れ子状に摩擦係合して密着した状態となる。すなわち、継手ピン33は、その第2錐台形状部39が第2リンクプレート32の第2ピン孔48に対して所謂しまり嵌め状態に相当する密着状態となって嵌め入れられる。
【0042】
また、
図2に示すように継手リンク14で切り継ぎしたチェーン11は、その経年使用によりナット部材34が弛んでしまう虞がある。また、その場合において継手ピン33に対して弛み方向に回転させようとする外力が加えられる虞もある。そうなった場合には、継手ピン33が回転して第1ピン孔44や第2ピン孔48の内面を摩耗させて孔径を拡大させ、切り継ぎ後のチェーン11に不要な伸びを生じさせる虞がある。この点、本実施形態における継手ピン33は、第1雄ねじ部36のねじピッチと第2雄ねじ部37のねじピッチを異ならせているため、そのような虞は低減される。
【0043】
もし仮に、第1雄ねじ部36のねじピッチと第2雄ねじ部37のねじピッチとが同じである場合には、チェーン11の切り継ぎ後に継手ピン33に対して弛む方向の外力が作用すると、継手ピン33は弛む方向に回転して最終的には抜けてしまう。しかし、本実施形態では、切り継ぎ後に継手ピン33を弛む方向に回転させようとすると、継手ピン33が軸方向に第1雄ねじ部36のねじピッチに基づき移動可能とされる距離と第2雄ねじ部37のねじピッチに基づき移動可能とされる距離とに差が生じる。そのため、継手ピン33は、軸方向の移動が規制される結果、弛む方向への回転が規制され、チェーン11の切り継ぎ後に弛む方向に回転して抜け落ちることが抑制される。
【0044】
<効果>
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)継手ピン33は、基端側の第1錐台形状部38及び先端側の第2錐台形状部39が第1リンクプレート31の第1ピン孔44及び第2リンクプレート32の第2ピン孔48に対して所謂しまり嵌め状態に相当する密着した状態で嵌め入れられる。そして、その状態では、継手ピン33の外側面と第1リンクプレート31の第1ピン孔44の内側面及び第2リンクプレート32の第2ピン孔48の内側面とが摺動することもない。そのため、多大な手間と労力を要することなく、切り継ぎ後のチェーン11に不要な伸びが生じることを抑制できる。
【0045】
(2)継手ピン33は、先端の第2雄ねじ部37から、第2錐台形状部39、軸部35及び第1錐台形状部38を経て基端の第1雄ねじ部36に至る順で、外径が順次に大きくなるように構成されている。そのため、第1ピン孔44とピン挿通部であるブシュ18と第2ピン孔48とを位置合せした状態で、継手ピン33を、第1ピン孔44とブシュ18と第2ピン孔48とに亘って一方向から容易に挿通できる。
【0046】
(3)第1雄ねじ部36と第2雄ねじ部37のねじピッチを異ならせているため、切り継ぎ後に継手ピン33に弛む方向の外力が作用した場合に、継手ピン33が軸方向に移動することを規制できる。その結果、チェーン11の切り継ぎ後に継手ピン33が弛む方向に回転して抜け落ちることを抑制できる。
【0047】
なお、上記の実施形態は以下に示す変更例のように変更してもよい。また、実施形態に含まれる構成と下記変更例に含まれる構成とを任意に組み合わせてもよいし、下記変更例に含まれる構成同士を任意に組み合わせてもよい。
【0048】
・
図5に示す変更例の継手リンク14を使用してもよい。この継手リンク14は、第1ピン孔44が第1リンクプレート31に直接形成されている。すなわち、第1リンクプレート31に、内側面44aが継手ピン33の第1錐台形状部38の外側面38aと対応した凹円錐台面形状の部分と継手ピン33の第1雄ねじ部36の外周面と対応した円筒面状の部分とで構成された第1ピン孔44を貫通形成してもよい。この場合、第1ピン孔44における継手ピン33の第1雄ねじ部36の外周面と対応した円筒面状の部分の内周面には継手ピン33の第1雄ねじ部36を螺合可能とする雌ねじ部45が形成される。なお、この場合には、第1リンクプレート31の板厚を実施形態の場合よりも厚くすることが好ましい。また、この場合、第1リンクプレート31の全体の材質、または、第1リンクプレート31において第1ピン孔44が形成された部位の材質は、例えばステンレス鋼等の高硬度の材質にすることが好ましい。
【0049】
・
図6に示す他の変更例の継手リンク14を使用してもよい。すなわち、第2リンクプレート32に、継手ピン33の先端の第2雄ねじ部37を通過可能とし且つ内側面48aが継手ピン33の第2錐台形状部39の外側面39aと対応した凹円錐台面形状をなしている第2ピン孔48を軸方向に貫通形成してもよい。なお、この場合、第2リンクプレート32の全体の材質、または、第2リンクプレート32において第2ピン孔48が形成された部位の材質は、例えばステンレス鋼等の高硬度の材質にすることが好ましい。
【0050】
・継手ピン33は、その基端側に第1雄ねじ部36及び第1錐台形状部38を有すると共に、その先端部が第2リンクプレート32の第2ピン孔48に嵌合されるなど回転不能に挿通される構成であれば、次のようでもよい。すなわち、継手ピン33は、その先端部に第2雄ねじ部37及び第2錐台形状部39のうち少なくとも第2錐台形状部39を有しない構成でもよい。換言すると、継手ピン33は、その基端側に第1雄ねじ部36及び第1錐台形状部38を有する一方、その先端側には、第2雄ねじ部37及び第2錐台形状部39の両方を有しない構成、又は、第2雄ねじ部37は有するが第2錐台形状部39は有しない構成でもよい。
【0051】
この場合でも、継手ピン33は、第1リンクプレート31の第1ピン孔44に対して第1錐台形状部38が所謂しまり嵌め状態に相当する密着した状態で嵌め入れられる一方、先端部が第2リンクプレート32の第2ピン孔48に回転不能に嵌合された状態となる。そのため、継手ピン33の外側面と第1リンクプレート31の第1ピン孔44の内側面及び第2リンクプレート32の第2ピン孔48の内側面とが摺動することもない。したがって、実施形態の場合と同様に、多大な手間と労力を要することなく、切り継ぎ後のチェーン11に不要な伸びが生じることを抑制できる。
【0052】
・継手ピン33における第2錐台形状部39の基端の断面形状は、第1リンクプレート31の第1ピン孔44の通過を許容される大きさであるならば、軸部35の断面形状よりも大きな円形状でもよい。要するに、継手ピン33における第2錐台形状部39は、その基端の断面形状が軸部35の断面形状よりも大きな円形である円錐台形状に形成されていてもよい。
【0053】
・継手ピン33の第1雄ねじ部36及び第2雄ねじ部37は、ねじピッチが互いに同じであって、一方が左ねじ構造であると共に、他方が右ねじ構造である構成でもよい。この構成によれば、第1雄ねじ部36と第2雄ねじ部37とは、ねじ締め方向が互いに逆方向の逆ねじ構造になる。そのため、チェーン11の切り継ぎ後において継手ピン33が第1雄ねじ部36及び第2雄ねじ部37の一方にとっては弛む方向に回転しようとした場合、その回転方向は他方にとっては弛む方向とは逆のねじ締め方向となる。そのため、その方向への継手ピン33の回転が規制される結果、チェーン11の切り継ぎ後に継手ピン33が弛む方向に回転することで抜け落ちることを抑制できる。
【0054】
・実施形態のチェーン11は、長さ方向Xに交互に位置する内リンク12及び外リンク13における内リンクプレート15及び外リンクプレート16の各々の幅方向Yの間隔が長さ方向Xの一方側と他方側で等しい所謂フラットタイプのチェーンであった。しかし、チェーン11は、長さ方向Xに直列に連結した複数のリンクにおける幅方向Yで対向するリンクプレート同士の間隔が長さ方向Xの一方側と他方側で異なる構成の所謂オフセットタイプのチェーンであってもよい。この場合、継手リンク14の第1リンクプレート31及び第2リンクプレート32は、各々の長手方向の中間部に幅方向Yで対向する相手側のリンクプレート側に屈曲する屈曲部を有することが好ましい。また、第1リンクプレート31及び第2リンクプレート32の長手方向の一端部及び他端部のうち対向する相手側のリンクプレートとの幅方向Yの間隔が狭い側に形成される孔は、継手ピン33の軸部35を回転可能に挿通させる孔であることが好ましい。すなわち、これらの孔は、第1ピン孔44でも第2ピン孔48でもなく、継手ピン33の軸部35よりも僅かに大径の円形孔であればよい。
【符号の説明】
【0055】
11…チェーン
12…内リンク
13…外リンク
14…継手リンク
21…連結ピン
31…第1リンクプレート
32…第2リンクプレート
33…継手ピン
34…ナット部材
35…軸部
36…第1雄ねじ部
37…第2雄ねじ部
38…第1錐台形状部
38a…外側面
39…第2錐台形状部
39a…外側面
44…第1ピン孔
44a…内側面
45…雌ねじ部
48…第2ピン孔
48a…内側面
X…長さ方向
Y…幅方向