(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074643
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/075 20060101AFI20240524BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20240524BHJP
B60R 1/24 20220101ALI20240524BHJP
B60R 1/20 20220101ALI20240524BHJP
【FI】
B66F9/075 J
B66F9/24 Z
B60R1/24
B60R1/20 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185935
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西野 裕一
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333DB01
3F333FA11
3F333FD20
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】荷物よりも前方の状況を確認しやすくすること。
【解決手段】表示システムは、カメラと、制御装置と、表示部と、を備える。カメラは、フォークに載せられた荷物と路面との間の空間からフォークリフトの前方を撮像するように配置されている。制御装置は、画像のうち輝度が閾値未満の画素を除外した高輝度範囲を拡大して表示部に表示する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が載せられるフォークを備えたフォークリフトの前方を表示する表示システムであって、
前記フォークに載せられた前記荷物と路面との間の空間から前記フォークリフトの前方を撮像するように配置されたカメラと、
前記カメラによって撮像された画像が表示される表示部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記画像のうち輝度が閾値未満の画素を除外した高輝度範囲を拡大して前記表示部に表示する、表示システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記画像を複数の範囲に分割し、
前記複数の範囲毎に前記輝度の平均値を算出し、
前記複数の範囲のうち隣り合う範囲同士の前記輝度の平均値の差が平均輝度閾値未満の場合、当該隣り合う範囲同士の前記輝度の差を大きくする、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記複数の範囲のうち隣り合う範囲同士の色差を算出し、
前記複数の範囲のうち隣り合う範囲同士の前記輝度の平均値の差が前記平均輝度閾値未満であり、かつ、前記色差が色閾値未満の場合、当該隣り合う範囲同士の前記輝度の差を大きくする、請求項2に記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のフォークリフトは、カメラと、表示部と、制御装置と、フォークと、を備える。カメラで撮影された画像は、表示部に表示される。フォークリフトの操作者は、表示部に表示される画像を確認することによってフォークリフトの前方の状況を確認することができる。制御装置は、フォークの揚高に応じて撮影条件を変更する。これにより、フォークの揚高に応じた画像が表示部に表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、フォークに荷物が載っている場合、カメラによって撮影された画像に当該荷物が入り込む。表示部には、フォークに積まれた荷物が表示されるため、フォークリフトの前方の状況を確認しにくい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する表示システムは、荷物が載せられるフォークを備えたフォークリフトの前方を表示する表示システムであって、前記フォークに載せられた前記荷物と路面との間の空間から前記フォークリフトの前方を撮像するように配置されたカメラと、前記カメラによって撮像された画像が表示される表示部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記画像のうち輝度が閾値未満の画素を除外した高輝度範囲を拡大して前記表示部に表示する。
【0006】
フォークに荷物が載せられている場合、カメラによって撮像された画像のうち荷物が写る範囲や荷物の影になる範囲は輝度が閾値未満になる。フォークに荷物が載せられている場合、高輝度範囲は、フォークに載せられた荷物と路面との間の空間を介してフォークリフトの前方が写る範囲である。制御装置が高輝度範囲を拡大して表示部に表示することによって、荷物よりも前方の状況を確認しやすい。
【0007】
上記表示システムについて、前記制御装置は、前記画像を複数の範囲に分割し、前記複数の範囲毎に前記輝度の平均値を算出し、前記複数の範囲のうち隣り合う範囲同士の前記輝度の平均値の差が平均輝度閾値未満の場合、当該隣り合う範囲同士の前記輝度の差を大きくしてもよい。
【0008】
上記表示システムについて、前記制御装置は、前記複数の範囲のうち隣り合う範囲同士の色差を算出し、前記複数の範囲のうち隣り合う範囲同士の前記輝度の平均値の差が前記平均輝度閾値未満であり、かつ、前記色差が色閾値未満の場合、当該隣り合う範囲同士の前記輝度の差を大きくしてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、荷物よりも前方の状況を確認しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】
図1のフォークリフトが備えるアウタマストの正面図である。
【
図4】
図3の制御装置が行う表示制御を示すフローチャートである。
【
図5】
図4の表示制御で画像から抽出される高輝度範囲を示す図である。
【
図6】
図4の表示制御で抽出された高輝度範囲であって複数の範囲に分割された高輝度範囲を示す図である。
【
図7】
図3の表示部に表示される画像を示す図である。
【
図8】表示制御の変更例を示すフローチャートである。
【
図9】
図8の輝度調整処理が行われる前の高輝度範囲を示す図である。
【
図10】
図8の輝度調整処理が行われた後の高輝度範囲を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
表示システムの一実施形態について説明する。
<フォークリフト>
図1に示すように、フォークリフト10は、カウンタ式である。フォークリフト10は、リーチ式であってもよい。フォークリフト10は、フォークリフト10に搭乗した操作者によって手動で動作する。フォークリフト10は、自動での動作と手動での動作とを切り替え可能に構成されていてもよい。以下の説明において、前後左右は、フォークリフト10を基準とした場合の前後左右である。フォークリフト10は、表示システムDSを備える。
【0012】
フォークリフト10は、車体11と、駆動輪12と、操舵輪13と、荷役装置14と、を備える。
荷役装置14は、車体11の前部に設けられている。荷役装置14は、マスト15を備える。マスト15は、アウタマスト21と、インナマスト17と、を備える。
【0013】
図2に示すように、アウタマスト21は、左右方向に互いに離れて2つ設けられている。荷役装置14は、アウタマスト21同士を連結するアウタマストバー22を備える。アウタマストバー22は、2つのアウタマスト21の下端同士を連結している。インナマスト17は、左右方向に互いに離れて2つ設けられている。インナマスト17は、アウタマスト21に対して昇降可能である。
【0014】
図1に示すように、荷役装置14は、リフトブラケット18を備える。リフトブラケット18は、インナマスト17に対して昇降可能に設けられている。
荷役装置14は、フォーク19を備える。フォーク19は、リフトブラケット18に取り付けられている。フォーク19は、リフトブラケット18とともに昇降する。フォーク19には、荷役対象となる荷物W1が載せられる。
【0015】
荷役装置14は、リフトシリンダ31を備える。リフトシリンダ31は、油圧シリンダである。リフトシリンダ31は、フォーク19を昇降させる。荷役装置14は、ティルトシリンダ32を備える。ティルトシリンダ32は、油圧シリンダである。ティルトシリンダ32は、フォーク19を傾動させる。
【0016】
図3に示すように、表示システムDSは、制御装置41を備える。制御装置41は、プロセッサ42と、記憶部43と、を備える。プロセッサ42としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部43は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部43には、フォークリフト10を動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部43は、処理をプロセッサ42に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部43、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置41は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0017】
表示システムDSは、カメラ51を備える。カメラ51は、デジタルカメラである。カメラ51は、撮像素子を備える。撮像素子は、例えば、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device image sensor)、又はCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor image sensor)である。カメラ51は、フォーク19に荷物W1が載せられている状態で荷物W1と路面との間の空間からフォークリフト10の前方を撮像できるように配置されている。例えば、
図2に示すように、カメラ51は、アウタマストバー22に配置されている。本実施形態において、カメラ51が撮像する画像は、RGB形式の画像である。
【0018】
表示システムDSは、表示部61を備える。表示部61は、フォークリフト10の操作者が視認可能な位置に設けられている。表示部61は、例えば、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。
【0019】
制御装置41は、表示部61の表示内容の更新を行う。制御装置41は、カメラ51の撮像によって得られた画像を表示部61に表示する。制御装置41が行う表示制御について説明する。表示制御は、所定の制御周期で繰り返し実行される。
【0020】
<表示制御>
図4に示すように、ステップS1において、制御装置41は、カメラ51から取得した画像をRGB形式からYCbCr形式の画像に変換する。Yは輝度を表す。Cbは、青の色差を表す。Crは、赤の色差を表す。
【0021】
次に、ステップS2において、制御装置41は、高輝度範囲を抽出する。
図5に示すように、高輝度範囲A1は、画像IM1を構成する画素の輝度が閾値以上の範囲である。制御装置41は、画像IM1を構成する画素のうち輝度が閾値未満の画素を画像IM1から除外することによって高輝度範囲A1を抽出することができる。画素の輝度は、Yの値である。本実施形態において、高輝度範囲A1は、画像IM1と幅方向の寸法が同一であって画像IM1よりも高さ方向の寸法が短い範囲である。画像IM1の幅方向は、画像IM1の座標系でのX軸方向である。画像IM1の高さ方向は、画像IM1の座標系でのY軸方向である。
【0022】
本実施形態のように、画像IM1から帯状の高輝度範囲A1を抽出する場合、例えば、制御装置41は、画像IM1のうち高さ方向の位置が同一となる複数の画素について輝度の平均値を算出する。そして、制御装置41は、輝度の平均値が閾値未満の場合、高さ方向の位置が同一となる複数の画素の全てについて輝度が閾値未満と判定すればよい。即ち、制御装置41は、Y座標が同一となる行毎に、輝度の平均値を用いて、輝度が閾値未満か否かを判定すればよい。
【0023】
図4に示すように、次に、ステップS3において、制御装置41は、高輝度範囲A1を複数の範囲に分割する。
図6に示すように、本実施形態において、高輝度範囲A1は、8個の範囲A21~A28に分割される。高輝度範囲A1は、複数に分割されればよく、8個未満に分割されてもよいし、9個以上に分割されてもよい。
【0024】
図4に示すように、次に、ステップS4において、制御装置41は、複数の範囲A21~A28毎に輝度の平均値を算出する。
次に、ステップS5において、制御装置41は、複数の範囲A21~A28のうち隣り合う範囲A21~A28同士の色差を算出する。色差は、色の差である。制御装置41は、複数の範囲A21~A28毎の色をCbの値及びCrの値から認識できる。制御装置41は、複数の範囲A21~A28毎に、Cbの値及びCrの値によって表される色を導出する。そして、制御装置41は、Cbの値及びCrの値によって表される色の差から、複数の範囲A21~A28のうち隣り合う範囲A21~A28同士の色差を算出する。制御装置41は、隣り合う範囲A21~A28同士のCbの値の差を色差として算出してもよいし、隣り合う範囲A21~A28同士のCrの値の差を色差として算出してもよい。制御装置41は、隣り合う範囲A21~A28同士のCbの値の差と隣り合う範囲A21~A28同士のCrの値の差とに基づいて、色差を算出してもよい。
【0025】
次に、ステップS6において、制御装置41は、複数の範囲A21~A28のうち隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の平均値の差が平均輝度閾値未満であり、かつ、色差が色閾値未満の場合、当該隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の差を大きくする。隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の平均値の差が小さいと、人が視認した際に、隣り合う範囲A21~A28同士の差を認識しにくい。平均輝度閾値としては、人が隣り合う範囲A21~A28同士の差を認識できる値に設定されている。隣り合う範囲A21~A28同士の色差が小さいと、人が視認した際に、隣り合う範囲A21~A28同士の差を認識しにくい。色閾値としては、人が隣り合う範囲A21~A28同士の差を認識できる値に設定されている。
【0026】
制御装置41は、範囲A21~A28のそれぞれについて、隣り合う範囲A21~A28の輝度との差を大きくする処理を行う。制御装置41は、隣り合う範囲A21~A28の輝度との差を大きくする処理を行う対象となる範囲A21~A28を順次変更する。これにより、範囲A21~A28のそれぞれについて、隣り合う範囲A21~A28の輝度との差を大きくする処理が行われる。以下、一例として、隣り合う範囲A21~A28の輝度との差を大きくする処理を行う対象となる範囲A26の輝度と、当該範囲A26に隣り合う範囲の輝度との差を大きくする場合を例に挙げて説明する。
【0027】
範囲A26に隣り合う範囲は、範囲A22,A25,A27である。制御装置41は、範囲A26の輝度の平均値と範囲A22の輝度の平均値との差が平均輝度閾値未満、かつ、範囲A26と範囲A22との色差が色閾値未満か否かを判定する。範囲A26の輝度の平均値と範囲A22の輝度の平均値との差が平均輝度閾値未満、かつ、範囲A26と範囲A22との色差が色閾値未満の場合、制御装置41は、範囲A26の輝度と範囲A22の輝度との差を大きくする。例えば、制御装置41は、範囲A26を構成する画素の輝度に加算値を加えてもよい。制御装置41は、範囲A22を構成する画素の輝度から減算値を減算してもよい。加算値、及び減算値は、正の値である。加算値と減算値とは、同一の値であってもよいし、異なる値であってもよい。制御装置41は、範囲A26を構成する画素の輝度から減算値を減算し、範囲A22を構成する画素の輝度に加算値を加算してもよい。制御装置41は、範囲A25,A27のそれぞれについても同様の処理を行う。これにより、範囲A26の輝度と、当該範囲A26に隣り合う範囲A22,A25,A27の輝度との差を大きくすることができる。
【0028】
次に、ステップS7において、制御装置41は、カメラ51の撮像によって得られた画像IM1を表示部61に表示する。制御装置41は、ステップS6で輝度が調整された高輝度範囲A1を拡大して表示部61に表示する。これにより、画像IM1の全体を表示部61に表示する場合に比べて、高輝度範囲A1が高さ方向に引き延ばされて表示される。ステップS7の処理を終えると、制御装置41は、表示制御を終了する。
【0029】
[本実施形態の作用]
図1に示すように、フォーク19に荷物W1が載せられているとする。この場合、カメラ51によって撮像された画像IM1のうち荷物W1が写る範囲や荷物W1の影になる範囲は輝度が閾値未満になる。
図5に示す例では、高輝度範囲A1よりも高い位置にある上方範囲A2に荷物W1が写る。高輝度範囲A1よりも低い位置にある下方範囲A3が荷物W1の影になる。上方範囲A2及び下方範囲A3は、輝度が閾値未満になる画素として画像IM1から除外される。高輝度範囲A1は、フォーク19に載せられた荷物W1と路面との間の空間を介してフォークリフト10の前方が写る範囲になる。
【0030】
図7に示すように、フォークリフト10の前方に障害物M1が存在している場合には、表示部61には、荷物W1と路面との間から撮像することができる障害物M1が拡大して表示される。
図7に示す例であれば、荷物W1と路面との間から撮像された人の足が表示部61に拡大して表示される。
【0031】
フォーク19に荷物W1が載せられていない場合、画像IM1には荷物W1が写らない。また、荷物W1の影も生じない。従って、画像IM1の全体が高輝度範囲A1になり得る。画像IM1の全体が高輝度範囲A1になる場合、制御装置41は、カメラ51の撮像によって得られた画像IM1の部分的な拡大を行うことなく表示部61に画像IM1を表示する。即ち、制御装置41は、カメラ51の撮像によって得られた画像IM1の全体を表示部61に表示する。これにより、フォーク19に荷物W1が載せられていない場合には、フォークリフト10の前方を広範囲に亘って表示部61に表示することができる。
【0032】
[本実施形態の効果]
(1)制御装置41は、高輝度範囲A1を拡大して表示部61に表示する。制御装置41が画像IM1の全体を表示部61に表示する場合、荷物W1が写る範囲や荷物W1の影になる範囲が表示部61に表示される。これらの範囲は、フォークリフト10の操作者が視認したとしても、荷物W1よりも前方の状況の確認に寄与しない、あるいは、寄与しにくい範囲である。高輝度範囲A1は、フォーク19に載せられた荷物W1と路面との間の空間を介してフォークリフト10の前方が写る範囲である。制御装置41が高輝度範囲A1を拡大して表示部61に表示することによって、フォークリフト10の操作者が荷物W1よりも前方の状況を確認しやすい。高輝度範囲A1を拡大して表示部61に表示を行った場合のアスペクト比は、画像IM1の全体を表示部61に表示する場合のアスペクト比と異なることになる。この結果、表示部61に表示される障害物M1の形状は、画像IM1の全体を表示部61に表示した場合の障害物M1の形状と異なることになるが、フォークリフト10の運用上、荷物W1の前方に障害物M1が存在するか否かを判断できればよい。このため、障害物M1の形状の変化は許容される。
【0033】
(2)制御装置41は、複数の範囲A21~A28のうち隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の平均値の差が平均輝度閾値未満の場合、当該隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の差を大きくする。複数の範囲A21~A28のうち隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の平均値の差が平均輝度閾値未満の場合、人が視認した際に、隣り合う範囲A21~A28の差を認識しにくい。隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の差を大きくすることで、フォークリフト10の操作者が、フォークリフト10の前方の状況を確認しやすくなる。
【0034】
(3)制御装置41は、複数の範囲A21~A28のうち隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の平均値の差が平均輝度閾値未満であり、かつ、色差が色閾値未満の場合、当該隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の差を大きくする。隣り合う範囲A21~A28同士の色差が小さいと、人が視認した際に、隣り合う範囲A21~A28の差を認識しにくい。隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の差を大きくすることで、フォークリフト10の操作者が、フォークリフト10の前方の状況を確認しやすくなる。
【0035】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0036】
○制御装置41は、画像IM1から荷物W1が写る箇所を特定してもよい。そして、制御装置41は、画像IM1から荷物W1が写る箇所を除外してもよい。この場合、制御装置41は、画像IM1を構成する画素のうち輝度が閾値未満の画素を除外した後に、画像IM1から荷物W1が写る箇所を除外してもよい。また、制御装置41は、画像IM1を構成する画素のうち輝度が閾値未満の画素を除外する前に、画像IM1から荷物W1が写る箇所を除外してもよい。画像IM1から荷物W1が写る箇所を特定する手法としては、例えば、機械学習が用いられる。
【0037】
○制御装置41は、フォーク19に荷物W1が載せられていない画像とカメラ51から取得した画像IM1とを比較することで、変化が大きい箇所を特定してもよい。そして、制御装置41は、変化が大きい箇所を除外してもよい。フォーク19に荷物W1が載せられていない画像は、所定の揚高毎に設けられる。そして、制御装置41は、フォーク19の揚高に応じた画像と、カメラ51から取得した画像IM1とを比較する。制御装置41は、画像IM1を構成する画素のうち輝度が閾値未満の画素を除外した後に、画像IM1から変化が大きい箇所を除外してもよい。また、制御装置41は、画像IM1を構成する画素のうち輝度が閾値未満の画素を除外する前に、画像IM1から変化が大きい箇所を除外してもよい。
【0038】
○ステップS4~S6の処理を行った後に、高輝度範囲A1を抽出してもよい。この場合、制御装置41は、画像IM1を複数の範囲に分割してステップS4~S6の処理を行えばよい。
【0039】
○
図8に示すように、制御装置41は、ステップS4~S6に代えてステップS14の処理を行ってもよい。一例として、
図9に示すように、ステップS3で高輝度範囲A1が、第1範囲A11と、第2範囲A12と、に分割されたとする。高輝度範囲A1は、3つ以上の範囲に分割されてもよい。第1範囲A11と第2範囲A12とは、画像IM1の幅方向に隣り合っている。第1範囲A11と第2範囲A12とは、例えば、同一の大きさの範囲である。
【0040】
ステップS14において、制御装置41は、輝度調整処理を行う。輝度調整処理は、画像IM1を構成する複数の画素の輝度の最大値と最小値との差が輝度閾値未満の場合、画像IM1を構成する複数の画素であって色差が色差閾値未満の画素同士の輝度の差を大きくする処理である。2つの隣り合う画素同士の輝度の差が小さいと、人が視認した際に、2つの画素の差を認識しにくい。輝度閾値としては、人が2つの画素の差を認識できる値に設定されている。2つの隣り合う画素同士の色差が小さいと、人が視認した際に、2つの画素の差を認識しにくい。色差閾値としては、人が2つの画素の差を認識できる値に設定されている。このように、輝度の差を大きくする対象となる画素は、人が視認した際に、2つの画素の差を認識しにくい画素である。そして、制御装置41は、画像IM1を構成する複数の画素であって色差が色差閾値未満の画素同士の輝度の差を所定値以上にする。例えば、制御装置41は、隣り合う2つの画素同士の色差が色差閾値未満の場合、当該2つの画素の輝度の差を所定値以上にしてもよい。所定値としては、少なくとも、輝度閾値以上の値に設定される。本実施形態において、制御装置41は、複数に分割された範囲同士で輝度の最大値と輝度の最小値との差を算出する。
【0041】
図9に示すように、第1範囲A11の輝度の最小値が134とする。第2範囲A12の輝度の最大値が136とする。この場合、画像IM1のうち輝度の最大値と輝度の最小値との差が輝度閾値未満である。制御装置41は、第1範囲A11の輝度を低くする。制御装置41は、第2範囲A12の輝度を高くする。例えば、
図10に示すように、制御装置41は、第1範囲A11の輝度を119にする。制御装置41は、第2範囲A12の輝度を151にする。第1範囲A11には、輝度の値が134とは異なる画素が含まれ得る。第2範囲A12には、輝度の値が136とは異なる画素が含まれ得る。制御装置41は、第1範囲A11の輝度の最小値と、第2範囲A12の輝度の最大値との中間値を境界値とし、境界値よりも輝度が低い画素については輝度を119、境界値以上の輝度の画素については輝度を151としてもよい。また、制御装置41は、境界値よりも輝度が低い画素については輝度に加算値を加えてもよい。制御装置41は、境界値以上の輝度の画素については輝度に減算値を減算してもよい。加算値、及び減算値は、正の値である。加算値と減算値とは、同一の値であってもよいし、異なる値であってもよい。
【0042】
ステップS7において、制御装置41は、輝度調整処理によって輝度が調整された高輝度範囲A1を拡大して表示部61に表示する。これにより、画像IM1の全体を表示部61に表示する場合に比べて、高輝度範囲A1が高さ方向に引き延ばされて表示される。
【0043】
○制御装置41は、輝度調整処理を行う際に、高輝度範囲A1を複数に分割しなくてもよい。
○制御装置41は、輝度調整処理を行った後に高輝度範囲A1を抽出してもよい。この際、制御装置41は、画像IM1を複数の範囲に分割して輝度調整処理を行ってもよいし、画像IM1を複数の範囲に分割することなく輝度調整処理を行ってもよい。
【0044】
○制御装置41は、複数の範囲A21~A28のうち隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の平均値の差が平均輝度閾値未満の場合、当該隣り合う範囲A21~A28同士の輝度の差を色差に関わらず大きくしてもよい。
【0045】
○フォークリフト10は、遠隔操作されるものであってもよい。この場合、操作者は、フォークリフト10から離れた遠隔地でフォークリフト10の操作を行う。操作者は、遠隔地に設けられた遠隔操作装置を操作する。遠隔操作装置としては、専用の装置を用いることもできるし、タブレット端末などの携帯通信端末を用いることもできる。遠隔操作装置は、フォークリフト10を操作する操作部と、通信装置と、端末制御装置と、端末表示部と、を備える。通信装置は、フォークリフト10と通信可能に構成されている。端末制御装置は、通信装置によって、カメラ51によって撮像された画像IM1を取得することができる。端末制御装置は、実施形態と同様の表示制御を行うことで端末表示部に画像IM1を表示する。この場合、端末制御装置が制御装置である。端末表示部が表示部である。フォークリフト10、及び遠隔操作装置が表示システムである。
【符号の説明】
【0046】
A1…高輝度範囲、A11…第1範囲、A12…第2範囲、DS…表示システム、IM1…画像、W1…荷物、10…フォークリフト、19…フォーク、41…制御装置、51…カメラ、61…表示部。