(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074644
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】表示システム
(51)【国際特許分類】
B66F 9/075 20060101AFI20240524BHJP
B66F 9/24 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B66F9/075 J
B66F9/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185936
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】西野 裕一
【テーマコード(参考)】
3F333
【Fターム(参考)】
3F333AA02
3F333AB13
3F333DB01
3F333DB05
3F333FA11
3F333FD03
3F333FD11
3F333FE05
(57)【要約】
【課題】異物がカメラに当たることを抑制すること。
【解決手段】表示システムは、カメラと、昇降装置と、制御装置と、表示部と、を備える。カメラは、フォークに載せられた荷物と路面との間の空間からフォークリフトの前方を撮像するように配置されている。昇降装置は、カメラを昇降させる。表示部は、カメラによって撮像された画像を表示する。制御装置は、特定条件が成立している場合、カメラの高さに基づいて、通常位置よりも低い低位置範囲内でカメラの位置を調整する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷物が載せられるフォークを備えたフォークリフトの前方を表示する表示システムであって、
前記フォークに載せられた前記荷物と路面との間の空間から前記フォークリフトの前方を撮像するように配置されたカメラと、
前記カメラを昇降させる昇降装置と、
前記カメラによって撮像された画像が表示される表示部と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記路面からの前記カメラの高さを算出し、
前記フォークに前記荷物が載せられており、かつ、前記フォークの揚高が低揚高閾値未満であることを含む特定条件が成立していない場合、前記カメラの位置を通常位置にし、
前記特定条件が成立している場合、前記カメラの高さに基づいて、前記通常位置よりも低い低位置範囲内で前記カメラの位置を調整する、表示システム。
【請求項2】
前記フォークリフトは、
前記揚高を検出する揚高センサと、
前記フォークの傾動角度を検出するティルトセンサと、を備え、
前記制御装置は、
前記揚高、前記傾動角度、及び前記フォークの長さに基づいて、前記路面から前記フォークの先端までの高さを算出し、
前記路面から前記フォークの先端までの高さ、及び前記画像における前記フォークの先端の表示位置と、に基づいて前記路面からの前記カメラの高さを算出する、請求項1に記載の表示システム。
【請求項3】
前記特定条件は、前記フォークリフトの車速が速度閾値未満であることを含む、請求項1又は請求項2に記載の表示システム。
【請求項4】
前記特定条件は、前記フォークリフトの進行方向が前進方向であることを含む、請求項1又は請求項2に記載の表示システム。
【請求項5】
前記フォークリフトは、アクセル操作部を備え、
前記特定条件は、前記アクセル操作部の操作量が操作量閾値未満であることを含む、請求項1又は請求項2に記載の表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示のフォークリフトは、カメラと、表示部と、昇降装置と、制御装置と、フォークと、を備える。カメラで撮影された画像は、表示部に表示される。フォークリフトの操作者は、表示部に表示される画像を確認することによってフォークリフトの前方の状況を確認することができる。昇降装置は、カメラを昇降させる。制御装置は、フォークに荷物が載せられている場合に、カメラを下降させている。これにより、フォークに荷物が載せられている場合に、カメラの撮像範囲に荷物が入り込むことを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
カメラを下降させたままフォークリフトが走行すると、カメラに異物が当たるおそれがある。例えば、飛び石がカメラに当たるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する表示システムは、荷物が載せられるフォークを備えたフォークリフトの前方を表示する表示システムであって、前記フォークに載せられた前記荷物と路面との間の空間から前記フォークリフトの前方を撮像するように配置されたカメラと、前記カメラを昇降させる昇降装置と、前記カメラによって撮像された画像が表示される表示部と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記路面からの前記カメラの高さを算出し、前記フォークに前記荷物が載せられており、かつ、前記フォークの揚高が低揚高閾値未満であることを含む特定条件が成立していない場合、前記カメラの位置を通常位置にし、前記特定条件が成立している場合、前記カメラの高さに基づいて、前記通常位置よりも低い低位置範囲内で前記カメラの位置を調整する。
【0006】
特定条件が成立している場合、カメラによって撮像された画像に荷物が写り込んでいる。この場合に、制御装置が通常位置よりも低い位置にカメラを下降させることによって、画像に占める荷物の割合を低くすることができる。制御装置は、カメラの高さに基づいて、カメラの位置を低位置範囲内で調整する。これにより、カメラが過剰に下降することを抑制できる。カメラと路面との距離が過剰に短くなることが抑制されることによって異物がカメラに当たることを抑制できる。
【0007】
上記表示システムについて、前記フォークリフトは、前記揚高を検出する揚高センサと、前記フォークの傾動角度を検出するティルトセンサと、を備え、前記制御装置は、前記揚高、前記傾動角度、及び前記フォークの長さに基づいて、前記路面から前記フォークの先端までの高さを算出し、前記路面から前記フォークの先端までの高さ、及び前記画像における前記フォークの先端の表示位置と、に基づいて前記路面からの前記カメラの高さを算出してもよい。
【0008】
上記表示システムについて、前記特定条件は、前記フォークリフトの車速が速度閾値未満であることを含んでいてもよい。
上記表示システムについて、前記特定条件は、前記フォークリフトの進行方向が前進方向であることを含んでいてもよい。
【0009】
上記表示システムについて、前記フォークリフトは、アクセル操作部を備え、前記特定条件は、前記アクセル操作部の操作量が操作量閾値未満であることを含んでいてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カメラに異物が当たることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図2】
図1のフォークリフトが備えるアウタマストの正面図である。
【
図4】
図3の制御装置が行う昇降制御を示すフローチャートである。
【
図5】カメラを固定位置とした場合のフォークリフトを示す側面図である。
【
図6】
図5のフォークリフトが備えるカメラで撮像された画像を示す図である。
【
図7】
図3の昇降装置によってカメラの位置を調整したフォークリフトを示す側面図である。
【
図8】
図7のフォークリフトが備えるカメラで撮像された画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
表示システムの一実施形態について説明する。
<フォークリフト>
図1に示すように、フォークリフト10は、カウンタ式である。フォークリフト10は、リーチ式であってもよい。フォークリフト10は、フォークリフト10に搭乗した操作者によって手動で動作する。フォークリフト10は、自動での動作と手動での動作とを切り替え可能に構成されていてもよい。以下の説明において、前後左右は、フォークリフト10を基準とした場合の前後左右である。フォークリフト10は、表示システムDSを備える。
【0013】
フォークリフト10は、車体11と、駆動輪12と、操舵輪13と、荷役装置14と、を備える。
荷役装置14は、車体11の前部に設けられている。荷役装置14は、マスト15を備える。マスト15は、アウタマスト21と、インナマスト17と、を備える。
【0014】
図2に示すように、アウタマスト21は、左右方向に互いに離れて2つ設けられている。荷役装置14は、アウタマスト21同士を連結するアウタマストバー22を備える。アウタマストバー22は、2つのアウタマスト21の下端同士を連結している。インナマスト17は、左右方向に互いに離れて2つ設けられている。インナマスト17は、アウタマスト21に対して昇降可能である。
【0015】
図1に示すように、荷役装置14は、リフトブラケット18を備える。リフトブラケット18は、インナマスト17に対して昇降可能に設けられている。
荷役装置14は、フォーク19を備える。フォーク19は、リフトブラケット18に取り付けられている。フォーク19は、リフトブラケット18とともに昇降する。フォーク19には、荷役対象となる荷物W1が載せられる。
【0016】
荷役装置14は、リフトシリンダ31を備える。リフトシリンダ31は、油圧シリンダである。リフトシリンダ31は、フォーク19を昇降させる。荷役装置14は、ティルトシリンダ32を備える。ティルトシリンダ32は、油圧シリンダである。ティルトシリンダ32は、フォーク19を傾動させる。
【0017】
図3に示すように表示システムDSは、制御装置41を備える。制御装置41は、プロセッサ42と、記憶部43と、を備える。プロセッサ42としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又はDSP(Digital Signal Processor)が用いられる。記憶部43は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)を含む。記憶部43には、フォークリフト10を動作させるためのプログラムが記憶されている。記憶部43は、処理をプロセッサ42に実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納しているといえる。記憶部43、すなわち、コンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。制御装置41は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェア回路によって構成されていてもよい。処理回路である制御装置41は、コンピュータプログラムに従って動作する1つ以上のプロセッサ、ASICやFPGA等の1つ以上のハードウェア回路、或いは、それらの組み合わせを含み得る。
【0018】
フォークリフト10は、揚高センサ51を備える。揚高センサ51は、フォーク19の揚高を検出する。フォーク19の揚高は、路面からフォーク19までの高さである。揚高センサ51は、フォーク19の揚高に応じた電気信号を制御装置41に出力する。制御装置41は、揚高センサ51からの電気信号によりフォーク19の揚高を認識可能である。
【0019】
フォークリフト10は、荷重センサ52を備える。荷重センサ52は、フォーク19に載せられた荷物W1の重量に応じた電気信号を制御装置41に出力する。制御装置41は、荷重センサ52の電気信号により荷物W1の重量を認識可能である。
【0020】
フォークリフト10は、車速センサ53を備える。車速センサ53は、フォークリフト10の車速を検出する。フォークリフト10が電動式の場合、車速センサ53としては、例えば、走行用モータの回転数を検出する回転数センサが用いられる。制御装置41は、車速センサ53の検出結果からフォークリフト10の車速を算出できる。
【0021】
フォークリフト10は、ティルトセンサ54を備える。ティルトセンサ54は、フォーク19の傾動角度を検出する。フォーク19の傾動角度は、路面とフォーク19の上面とが平行であるときの角度を0°とした場合のフォーク19の路面に対する角度である。ティルトセンサ54としては、例えば、ポテンショメータが用いられる。制御装置41は、ティルトセンサ54の検出結果からフォーク19の傾動角度を認識できる。
【0022】
フォークリフト10は、ディレクション操作部55を備える。ディレクション操作部55は、例えば、レバーである。ディレクション操作部55は、中立位置から前傾又は後傾する。ディレクション操作部55の操作方向によってフォークリフト10の進行方向を決定することができる。本実施形態において、ディレクション操作部55を前傾させることで、フォークリフト10の進行方向は前進方向になる。ディレクション操作部55を後傾させることで、フォークリフト10の進行方向は後進方向になる。
【0023】
フォークリフト10は、ディレクションセンサ56を備える。ディレクションセンサ56は、ディレクション操作部55の操作方向を検出する。ディレクションセンサ56は、ディレクション操作部55の操作方向に応じた電気信号を制御装置41に出力する。制御装置41は、ディレクション操作部55の操作方向を認識する。
【0024】
フォークリフト10は、アクセル操作部57を備える。アクセル操作部57は、例えば、ペダルである。アクセル操作部57は、フォークリフト10を加速させる際に操作される。
【0025】
フォークリフト10は、アクセルセンサ58を備える。アクセルセンサ58は、アクセル操作部57の操作量を検出する。アクセルセンサ58は、アクセル操作部57の操作量に応じた電気信号を制御装置41に出力する。制御装置41は、アクセル操作部57の操作量を認識する。
【0026】
表示システムDSは、カメラ59を備える。カメラ59は、デジタルカメラである。カメラ59は、撮像素子を備える。撮像素子は、例えば、CCDイメージセンサ(Charge Coupled Device image sensor)、又はCMOSイメージセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor image sensor)である。カメラ59は、フォーク19に荷物W1が載せられている状態で荷物W1と路面との間の空間からフォークリフト10の前方を撮像できるように配置されている。例えば、
図2に示すように、カメラ59は、アウタマストバー22に配置されている。
【0027】
表示システムDSは、昇降装置60を備える。昇降装置60は、カメラ59を昇降させる。昇降装置60は、例えば、電動モータと、減速機構と、を備える。電動モータの回転方向が切り替わることによって、カメラ59の昇降と下降とが切り替わる。昇降装置60は、例えば、アウタマストバー22に配置されている。
【0028】
図1に示すように、昇降装置60による昇降によってカメラ59が取り得る位置のうち、最も高い位置を通常位置P1とする。昇降装置60による昇降によってカメラ59が取り得る位置のうち、通常位置P1よりも低い位置であってカメラ59が路面に接触しないように設定された範囲を低位置範囲A1とする。昇降装置60によって、カメラ59は、低位置範囲A1の任意の位置で停止可能である。
【0029】
図3に示すように、表示システムDSは、表示部71を備える。表示部71は、フォークリフト10の操作者が視認可能な位置に設けられている。表示部71は、例えば、液晶ディスプレイ、又は有機エレクトロルミネッセンスディスプレイである。
【0030】
制御装置41は、表示部71の表示内容の更新を行う。制御装置41は、カメラ59の撮像によって得られた画像を表示部71に表示する。
制御装置41は、昇降装置60を制御することによってカメラ59を昇降させる昇降制御を行う。昇降制御は、所定の制御周期で繰り返し実行される。以下、昇降制御について説明する。
【0031】
<昇降制御>
図4に示すように、ステップS1において、制御装置41は、揚高センサ51からフォーク19の揚高を取得する。
【0032】
次に、ステップS2において、制御装置41は、荷重センサ52から荷重を取得する。
次に、ステップS3において、制御装置41は、ティルトセンサ54からフォーク19の傾動角度を取得する。
【0033】
次に、ステップS4において、制御装置41は、フォーク19の揚高、フォーク19の傾動角度、及びフォーク19の長さに基づいて、フォーク19の先端の座標を算出する。この座標は、予め定められた位置を原点とする座標系での座標である。予め定められた位置は、例えば、水平方向を通常位置P1とし、鉛直方向を路面とする位置である。フォーク19の先端の座標は、少なくとも鉛直方向の座標を含んでいればよい。フォーク19の先端の座標は、路面からフォーク19の先端までの高さを含む。路面からフォーク19の先端までの高さは、フォーク19の揚高、フォーク19の傾動角度、及びフォーク19の長さによって変化する。このため、これらのパラメータに基づいて、制御装置41は、路面からフォーク19の先端までの高さを算出することができる。フォーク19の長さは、例えば、記憶部43に予め記憶しておけばよい。
【0034】
次に、ステップS5において、制御装置41は、路面からのカメラ59の高さを算出する。路面からのカメラ59の高さは、フォーク19の先端の座標と、画像におけるフォーク19の先端の表示位置と、に基づいて算出することができる。画像におけるフォーク19の先端の表示位置とは、画像の座標系におけるフォーク19の先端の座標である。画像におけるフォーク19の先端の表示位置は、少なくとも画像における高さ方向の座標を含んでいればよい。画像におけるフォーク19の先端の表示位置は、フォーク19とカメラ59との相対高さによって異なる。このため、画像におけるフォーク19の先端の表示位置に基づいて、制御装置41は、フォーク19とカメラ59との相対高さを算出できる。制御装置41は、路面からフォーク19までの高さを認識できるため、カメラ59とフォーク19との相対高さから、路面からカメラ59までの高さを算出することができる。
【0035】
次に、ステップS6において、制御装置41は、フォークリフト10が荷物W1を保持しており、かつ、フォーク19の揚高が低揚高か否かを判定する。ステップS6の判定結果が否定の場合、制御装置41は、ステップS7の処理を行う。ステップS6の判定結果が肯定の場合、制御装置41は、ステップS8の処理を行う。
【0036】
制御装置41は、フォーク19に載せられた荷物W1の重量が積載判定閾値以上の場合、フォークリフト10が荷物W1を保持していると判定する。フォーク19に載せられた荷物W1の重量は、荷重センサ52の検出結果から認識できる。積載判定閾値は、予め定められた値である。積載判定閾値は、フォーク19に荷物W1が載せられていることを判定できる値に設定されている。例えば、積載判定閾値は、フォーク19に荷物W1が載せられていない状態で荷重センサ52によって検出される重量よりも若干高い値に設定される。これにより、フォーク19に荷物W1が載せられている場合に、フォークリフト10が荷物W1を保持していると判定される。
【0037】
制御装置41は、フォーク19の揚高が低揚高閾値未満の場合、フォーク19の揚高が低揚高であると判定する。フォーク19の揚高は、揚高センサ51の検出結果から認識できる。低揚高閾値は、予め定められた値である。フォーク19の揚高が低いほど、通常位置P1でのカメラ59の撮像範囲に占める荷物W1の割合が高くなる。低揚高閾値は、通常位置P1でのカメラ59の撮像範囲に占める荷物W1の割合が許容できるように設定される。低揚高閾値は、フォーク19に荷物W1が載せられている場合に、通常位置P1でのカメラ59の撮像範囲に荷物W1が入り込まなくなる揚高に設定されてもよい。
【0038】
ステップS7において、制御装置41は、昇降装置60を制御することによってカメラ59を通常位置P1に移動させる。詳細にいえば、ステップS7の処理を行う時点でカメラ59の位置が通常位置P1であれば、制御装置41は、カメラ59の位置を通常位置P1に維持する。ステップS7の処理を行う時点でカメラ59の位置が通常位置P1ではない場合、制御装置41は、昇降装置60によってカメラ59を上昇させることによってカメラ59を通常位置P1に移動させる。ステップS7の処理を終えると、制御装置41は、昇降制御を終了する。
【0039】
ステップS8において、制御装置41は、フォークリフト10の車速が速度閾値以上か否かを判定する。速度閾値としては、フォークリフト10が停止しているか否かを判定できる値に設定される。ステップS8の判定結果が肯定の場合、制御装置41は、ステップS7の処理を行う。ステップS8の判定結果が否定の場合、制御装置41は、ステップS9の処理を行う。ステップS8の判定結果が否定の場合、フォークリフト10の車速は速度閾値未満である。
【0040】
ステップS9において、制御装置41は、昇降装置60を制御することによってカメラ59の位置を低位置範囲A1内で調整する。例えば、制御装置41は、カメラ59の高さが過剰に低くならないようにカメラ59の位置を調整する。また、フォーク19の揚高が低揚高閾値未満の場合、フォーク19の揚高が低揚高閾値に近いほど、荷物W1が画像に占める割合が低くなる。このため、制御装置41は、路面からのカメラ59の高さを認識しつつ、フォーク19の揚高が低揚高閾値に近いほど、カメラ59を高い位置に移動させる。言い換えれば、制御装置41は、路面からのカメラ59の高さを認識しつつ、フォーク19の揚高が低いほど、カメラ59を低い位置に移動させる。
【0041】
制御装置41は、特定条件が成立していない場合、カメラ59を通常位置P1にする。制御装置41は、特定条件が成立している場合、低位置範囲A1内でカメラ59の位置を調整する。ステップS6の判定結果が否定の場合、カメラ59の位置は通常位置P1にされる。従って、特定条件は、フォーク19に荷物W1が載せられており、かつ、フォーク19の揚高が低揚高閾値未満であることを含む。ステップS8の判定結果が肯定の場合、カメラ59の位置は通常位置P1にされる。ステップS8の判定結果が否定の場合、低位置範囲A1内でカメラ59の位置が調整される。従って、特定条件は、フォークリフト10の車速が速度閾値未満であることを含む。
【0042】
[本実施形態の作用]
図5に示すように、フォークリフト10が荷物W1を保持しており、かつ、フォーク19の揚高が低揚高とする。仮に、カメラ59を固定位置とした場合、カメラ59は一定の撮像範囲を撮像することになる。この結果、
図6に示すように、画像IM1に占める荷物W1の割合が高くなることによって、表示部71に画像IM1が表示されても、フォークリフト10の操作者が荷物W1よりも前方の状況を確認しにくい。例えば、荷物W1よりも前方に障害物M1が存在していたとしても、フォークリフト10の操作者が障害物M1を確認しにくい。障害物M1は、人、及び人以外の物体を含む。
【0043】
図7に示すように、本実施形態のフォークリフト10では、昇降装置60によってカメラ59を昇降させることができる。フォークリフト10が荷物W1を保持しており、かつ、フォーク19の揚高が低揚高の場合、通常位置P1よりも低い位置にカメラ59が下降する。カメラ59が下降することで、カメラ59の撮像範囲が下降するため、荷物W1がカメラ59の撮像範囲に入り込むことを抑制できる。この結果、
図8に示すように、画像IM1に占める荷物W1の割合が低くなる。画像IM1に占める荷物W1の割合が低くなることによって、フォークリフト10の操作者が表示部71に表示された画像IM1を確認した際に、荷物W1よりも前方の状況を確認しやすい。例えば、荷物W1よりも前方に障害物M1が存在していることをフォークリフト10の操作者が確認しやすい。
【0044】
[本実施形態の効果]
(1)制御装置41は、特定条件が成立している場合、カメラ59の高さに基づいて、低位置範囲A1内でカメラ59の位置を調整する。特定条件が成立している場合、カメラ59によって撮像された画像IM1に荷物W1が写り込んでいる。この場合に、制御装置41がカメラ59を下降させることによって、画像IM1に占める荷物W1の割合を低くすることができる。制御装置41は、カメラ59の高さに基づいてカメラ59の位置を低位置範囲A1内で調整する。これにより、カメラ59が過剰に下降することを抑制できる。カメラ59と路面との距離が過剰に短くなることが抑制されることによって異物がカメラ59に当たることを抑制できる。
【0045】
(2)制御装置41は、フォーク19の揚高、フォーク19の傾動角度、及びフォーク19の長さに基づいて、路面からフォーク19の先端までの高さを算出する。制御装置41は、路面からフォーク19の先端までの高さ、及び画像IM1におけるフォーク19の先端の表示位置と、に基づいて路面からのカメラ59の高さを算出する。揚高センサ51、ティルトセンサ54、及びカメラ59を用いることで、路面からのカメラ59の高さを算出できる。路面からのカメラ59の高さを算出するための専用の装置を用いることなく、路面からのカメラ59の高さを算出できる。従って、路面からのカメラ59の高さを算出するための専用の装置をフォークリフト10に設ける場合に比べて、製造コストの低減を図ることができる。
【0046】
(3)特定条件は、フォークリフト10の車速が速度閾値未満であることを含む。停止しているフォークリフト10を発進させる場合に、フォークリフト10の前方確認は行われやすい。フォークリフト10の車速が速度閾値以上の場合、フォークリフト10は走行しているため、走行中のカメラ59の位置を通常位置P1にすることで、カメラ59に異物が当たることを更に抑制できる。
【0047】
[変更例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0048】
○特定条件は、フォークリフト10の進行方向が前進方向であることを含んでいてもよい。制御装置41は、フォークリフト10の進行方向が前進方向か否かを判定する。制御装置41は、ディレクションセンサ56の検出結果から、ディレクション操作部55によって前進が指示されているか否かを判定できる。制御装置41は、ディレクション操作部55によって前進が指示されている場合に、フォークリフト10の進行方向が前進方向であると判定する。制御装置41は、フォークリフト10の進行方向が前進方向か否かの判定を、ステップS8に加えて、又はステップS8に代えて行ってもよい。
【0049】
特定条件が、フォークリフト10の進行方向が前進方向であることを含む場合、フォークリフト10の進行方向が前進方向ではない場合には、特定条件が成立しない。ディレクション操作部55が中立位置又は後傾している場合、カメラ59の位置が通常位置P1になる。フォークリフト10の前方確認は、フォークリフト10を前進させる場合に行われやすい。フォークリフト10を前進させない場合に、カメラ59の位置を通常位置P1にすることで、フォークリフト10の前方確認が不要な場合に、カメラ59を下降させることを抑制できる。これにより、カメラ59に異物が当たることを更に抑制できる。
【0050】
○特定条件は、アクセル操作部57の操作量が操作量閾値未満であることを含んでいてもよい。制御装置41は、アクセルセンサ58の検出結果から、アクセル操作部57の操作量を認識する。そして、制御装置41は、アクセル操作部57の操作量が操作量閾値未満か否かを判定する。操作量閾値は、フォークリフト10が走行しているか否かを判定できる値に設定されている。例えば、操作量閾値は、フォークリフト10が停止している状態からフォークリフト10を発進させるのに要するアクセル操作部57の操作量である。制御装置41は、アクセル操作部57の操作量が操作量閾値未満か否かの判定を、ステップS8に加えて、又はステップS8に代えて行ってもよい。この場合、実施形態の効果(3)と同様の効果を得ることができる。
【0051】
○特定条件は、フォークリフト10の進行方向が前進方向であること、及びアクセル操作部57の操作量が操作量閾値未満であることの両方を含んでいてもよい。
○特定条件は、フォーク19に荷物W1が載せられており、かつ、フォーク19の揚高が低揚高閾値未満であることを含んでいればよい。従って、特定条件は、フォークリフト10の車速が速度閾値未満であることを含んでいなくてもよい。
【0052】
○フォークリフト10は、路面からのカメラ59の高さを算出するための専用の装置を備えていてもよい。
○フォークリフト10は、フォークリフト10の操作者が操作可能であってカメラ59の高さを調整することができる調整部材を備えていてもよい。この場合、制御装置41によるカメラ59の高さの調整と、フォークリフト10の操作者によるカメラ59の高さの調整とのいずれを優先するかを設定できてもよい。
【0053】
○制御装置41は、画像処理によってフォーク19の長さを算出してもよい。
○制御装置41は、画像IM1からフォーク19に荷物W1が載せられているか否かを判定してもよい。
【0054】
○荷物W1をフォーク19に載せると、画像IM1において荷物W1が写る箇所の輝度が低下する。このため、画像IM1において輝度の変化が大きい箇所をフォーク19の先端の表示位置としてもよい。
【0055】
○フォーク19に荷物W1が載せられていることを検出するためのセンサとして、フォーク19に荷物W1が載せられているか否かによってオンとオフとが切り替わるスイッチを用いてもよい。フォーク19に荷物W1が載せられていることを検出するためのセンサとして、フォーク19の上方に対する距離を測定する距離計を用いてもよい。フォーク19に荷物W1が載せられると、距離計により測定される距離が短くなるため、制御装置41によってフォーク19に荷物W1が載せられているか否かを判定できる。
【0056】
○フォークリフト10は、遠隔操作されるものであってもよい。この場合、操作者は、フォークリフト10から離れた遠隔地でフォークリフト10の操作を行う。操作者は、遠隔地に設けられた遠隔操作装置を操作する。遠隔操作装置としては、専用の装置を用いることもできるし、タブレット端末などの携帯通信端末を用いることもできる。遠隔操作装置は、フォークリフト10を操作する操作部と、通信装置と、端末制御装置と、端末表示部と、を備える。通信装置は、フォークリフト10と通信可能に構成されている。端末制御装置は、通信装置によって、カメラ59によって撮像された画像IM1を取得することができる。端末制御装置は、端末表示部に画像IM1を表示する。この場合、端末表示部が表示部である。端末制御装置が通信装置を介して、制御装置41に指示を与えることができる場合、端末制御装置が昇降制御を行うことによってカメラ59を昇降させてもよい。この場合、端末制御装置が制御装置である。
【符号の説明】
【0057】
A1…低位置範囲、DS…表示システム、IM1…画像、P1…通常位置、W1…荷物、10…フォークリフト、19…フォーク、41…制御装置、51…揚高センサ、54…ティルトセンサ、57…アクセル操作部、59…カメラ、60…昇降装置、71…表示部。