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特開2024-74662有機廃棄物の熱分解装置及び熱分解方法
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  • 特開-有機廃棄物の熱分解装置及び熱分解方法 図1
  • 特開-有機廃棄物の熱分解装置及び熱分解方法 図2
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  • 特開-有機廃棄物の熱分解装置及び熱分解方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074662
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】有機廃棄物の熱分解装置及び熱分解方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/40 20220101AFI20240524BHJP
   C10B 53/02 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
B09B3/40
C10B53/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185968
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】510075387
【氏名又は名称】活水プラント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076473
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188765
【弁理士】
【氏名又は名称】赤座 泰輔
(74)【代理人】
【識別番号】100112900
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 路子
(74)【代理人】
【識別番号】100163164
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 敏之
(72)【発明者】
【氏名】飯田 克己
(72)【発明者】
【氏名】飯田 祐史
(72)【発明者】
【氏名】鷹取 倫之
【テーマコード(参考)】
4D004
4H012
【Fターム(参考)】
4D004AA07
4D004BA03
4D004CA26
4D004CB34
4D004CB36
4H012JA00
4H012JA11
(57)【要約】
【課題】有機廃棄物の熱分解と並行して熱分解から生じる乾留ガスを利用することができる熱分解装置を提供すること。
【解決手段】熱分解装置は、有機廃棄物としての廃プラスチックWPをスクリュ羽根13の回転によって移動させながら連続的に乾留する円筒形状の乾留槽1と、乾留槽1を覆い乾留槽1をバイオマス燃料BFの燃焼により加熱する加熱炉3と、加熱されることによって廃プラスチックWPの熱分解から生じる炭化物CBを回収する回収装置7と、廃プラスチックWPの熱分解から生じる乾留ガスDGを導出する導出路15と、を備える。導出路15から導出された乾留ガスDGは、導出路15の直上に設けられた第1燃焼炉4で燃焼され、さらに第2燃焼炉5で燃焼される。加熱炉3、第1燃焼炉4及び第2燃焼炉5で発生した熱は、熱媒体路6を通り、熱可動機器のバイナリー発電機65へと送られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機廃棄物を乾留する乾留槽と、該有機廃棄物を乾留するために該乾留槽を加熱する加熱炉と、を備える熱分解装置であって、
該乾留槽に、該有機廃棄物の乾留によって生じる乾留ガスを導出する導出路と、該導出路の直上に、該乾留ガスを燃焼する第1燃焼炉と、を備え、
該加熱炉及び該第1燃焼炉に、該加熱炉及び該第1燃焼炉から発生する熱を伝導する熱媒体が循環する熱媒体路を備え、
該熱媒体路に、該熱を利用して可動する熱可動機器が備えられていることを特徴とする熱分解装置。
【請求項2】
前記第1燃焼炉の下流に、該第1燃焼炉で生じた排気ガスを燃焼する第2燃焼炉を備えることを特徴とする請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項3】
前記第2燃焼炉の下流に、該第2燃焼炉で生じた排気ガスを浄化する触媒を備えることを特徴とする請求項2に記載の熱分解装置。
【請求項4】
前記熱可動機器がバイナリー発電機であることを特徴とする請求項1に記載の熱分解装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の熱分解装置の前記加熱炉の燃焼の燃料に、バイオマス燃料を使用することを特徴とする有機廃棄物の熱分解方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機廃棄物を熱分解し、有機廃棄物から熱分解された炭化物を回収する熱分解装置及び熱分解方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、有機廃棄物を熱分解し、有機廃棄物から熱分解された炭化物を回収する熱分解装置として、内容物の有機廃棄物を熱分解させる乾留槽と、乾留槽を加熱する加熱炉と、熱分解から生じる炭化物や乾留ガスを回収する回収装置と、を備える熱分解装置が、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-79361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された熱分解装置では、回収された乾留ガスは、揮発油や油滴に分別され、保管され、再利用される。しかし、乾留ガスの分別や保管は、費用や場所が必要とされるため、有機廃棄物の熱分解と並行して乾留ガスを利用したいという要望があった。
【0005】
本発明は、上記にかんがみて、有機廃棄物の熱分解と並行して熱分解から生じる乾留ガスを利用することができる熱分解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る熱分解装置は、有機廃棄物を乾留する乾留槽と、該有機廃棄物を乾留するために該乾留槽を加熱する加熱炉と、を備える熱分解装置であって、
該乾留槽に、該有機廃棄物の乾留によって生じる乾留ガスを導出する導出路と、該導出路の直上に、該乾留ガスを燃焼する第1燃焼炉と、を備え、
該加熱炉及び該第1燃焼炉に、該加熱炉及び該第1燃焼炉から発生する熱を伝導する熱媒体が循環する熱媒体路を備え、
該熱媒体路に、該熱を利用して可動する熱可動機器が備えられていることを特徴とする。
【0007】
本発明の熱分解装置によれば、乾留槽に投入された有機廃棄物は、乾留槽を加熱する加熱炉によって空気を断った状態で加熱され、加熱されることによって乾留(熱分解)され、燃料、土壌改良剤又は水質浄化剤などとして利用することができる炭化物として再生することができる。また、有機廃棄物の乾留によって生じた乾留ガスが第1燃焼炉で燃焼され、加熱炉と第1燃焼炉で発生する熱が熱媒体によって熱可動機器に伝導され、熱可動機器を可動させることができるため、有機廃棄物の熱分解と並行して熱分解から生じる乾留ガスを利用することができる。
【0008】
ここで、上記熱分解装置において、前記第1燃焼炉の下流に、該第1燃焼炉で生じた排気ガスを燃焼する第2燃焼炉を備える構成とすることができる。
【0009】
これによれば、第1燃焼炉で燃焼しきれなかった乾留ガスを燃焼させることができる。
【0010】
また、上記熱分解装置において、前記第2燃焼炉の下流に、該第2燃焼炉で生じた排気ガスを浄化する触媒を備える構成とすることができる。
【0011】
これによれば、第2燃焼炉で生じた排気ガスを浄化することができるため、排気するにあたり、環境にやさしいものとすることができる。
【0012】
また、上記熱分解装置において、前記熱可動機器がバイナリー発電機である構成とすることができる。
【0013】
これによれば、熱媒体の温度が低くても発電することができるため、効率よく発電を行なうことができる。
【0014】
また、上記熱分解装置を用いた熱分解方法において、前記加熱炉の燃焼の燃料に、バイオマス燃料を使用することができる。
【0015】
これによれば、バイオマス燃料が成長過程において二酸化炭素を吸収しているため、環境破壊を抑制しつつ熱分解処理を行なうことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の熱分解装置によれば、有機廃棄物の熱分解と並行して熱分解から生じる乾留ガスを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態の熱分解装置の概念図である。
図2】同熱分解装置の乾留槽の鉛直方向の断面図であり、図1のII-II線断面図である。
図3】その他実施形態の熱分解装置の乾留槽の鉛直方向の断面図であり、図2に相当する断面図である。
図4】その他実施形態の熱分解装置の乾留槽の鉛直方向の断面図であり、図2に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の熱分解装置の実施形態について説明する。図1に示すように、実施形態の熱分解装置は、有機廃棄物としての廃プラスチックWPをスクリュ羽根13の回転によって移動させながら連続的に乾留する円筒形状の乾留槽1と、廃プラスチックWPを乾留槽1に投入する投入装置2と、乾留槽1を覆い乾留槽1をバイオマス燃料BFの燃焼により加熱する加熱炉3と、加熱されることによって廃プラスチックWPの熱分解から生じる炭化物CBを回収する回収装置7と、廃プラスチックWPの熱分解から生じる乾留ガスDGを導出する導出路15と、を備える。導出路15から導出された乾留ガスDGは、導出路15の直上に設けられた第1燃焼炉4で燃焼され、さらに第2燃焼炉5で燃焼される。加熱炉3、第1燃焼炉4及び第2燃焼炉5で発生した熱は、熱媒体路6を通り、熱可動機器のバイナリー発電機65へと送られる。なお、本明細書において、熱分解装置の向きは、図1及び図2に示すように、投入装置2を有する側を前とし、回収装置7を有する側を後とする。上下左右は、熱分解装置を前側から見た際の上下左右とし、図示で使用する、Fは前、Bは後、Uは上、Dは下、Lは左、Rは右を示す。また、乾留槽1の回動などの円周の方向は、熱分解装置を前側から見た際の方向(時計回り方向など)とする。
【0019】
図1に示すように、加熱炉3は、バイオマス燃料BFを燃焼室32内で燃焼させて、前後方向に配置された乾留槽1を熱風通路36が覆い、燃焼から生じる熱風を用いて乾留槽1を加熱する炉である。加熱炉3は、熱風通路36が乾留槽1の外筒11を覆い、前後方向を軸方向とする円筒形状をなし、前方下側に、バイオマス燃料BFを燃焼する燃焼室32が備えられている。
【0020】
燃焼室32には、燃焼室32にバイオマス燃料BFを供給する燃料供給ポンプ33が連結され、燃料供給ポンプ33は、燃焼室32に、バイオマス燃料BFを供給し、燃料供給ポンプ33の下側に備えられた燃焼装置31によって、バイオマス燃料BFが燃焼される。加熱炉3は、バイオマス燃料BFを燃焼させることにより、燃焼熱を発生させる。燃料供給ポンプ33の先端(後端)には、燃料供給ポンプ33の先端を開閉するダンパープレート35が備えられている。ダンパープレート35は、バイオマス燃料BFの供給時には、供給量に応じて燃料供給ポンプ33の先端を開き、停止時には先端を閉じて、燃料供給ポンプ33内のバイオマス燃料BFの燃焼を防止する。なお、加熱炉3の燃料には、後述する乾留ガスDGを導入して使用することもできる。
【0021】
乾留槽1は、加熱炉3の熱風通路36内に配置され、加熱炉3の燃焼によって加熱され、有機廃棄物としての廃プラスチックWPを移動させながら連続的に乾留する。図1及び図2に示すように、乾留槽1は、前後方向を軸方向とする円筒形状をなし、乾留槽1内には、廃プラスチックWPを移動させるスクリュ羽根13が備えられ、スクリュ羽根13は、乾留槽1の前後方向の中心軸に沿って配置されたスクリュ軸13aの回動によって、乾留槽1の外筒11の内側に沿って回動し、廃プラスチックWPを乾留させながら前から後に移動させる。
【0022】
図2に示すように、乾留槽1は、加熱炉3の熱風通路36に被覆され、さらに熱風通路36が熱媒体路6の熱風通路冷却ジャケット61に被覆されている。
【0023】
乾留槽1は、前側が廃プラスチックWPの入口となる投入装置2の第1仕切弁23及び第2仕切弁24で閉塞され、後側が炭化物CBの出口となる回収装置7のロータリーバルブ71で閉塞され、加熱炉の熱風を含めた外気から遮断されている。このため、乾留されて廃プラスチックWPから発生する乾留ガスDGと炭化物CBは、酸化が抑制され、劣化(酸化)が少ないものとなる。
【0024】
図1に示すように、乾留槽1の前側上部の導入口14に、廃プラスチックWPを投入する投入装置2が接続されている。投入装置2は、ねじポンプ21によって乾留槽1に廃プラスチックWPを圧送して投入する。投入装置2の前方上部には、廃プラスチックWPを溜めるホッパ22が備えられている。
【0025】
投入装置2は、上下方向に配設される連結管26によって、乾留槽1の前側上部の導入口14に接続されている。連結管26の上側(投入装置2側)に、連結管26内を閉じる第1仕切弁23が設けられ、連結管26の下側(乾留槽1側)に、連結管26内を閉じる第2仕切弁24が設けられている。また、第1仕切弁23と第2仕切弁24の間の連結管26には、不活性ガスの窒素ガスを注入するガス注入口25が設けられている。第1仕切弁23又は第2仕切弁24を開閉することによって、廃プラスチックWPの移送を円滑に行うことができる。また、廃プラスチックWPに窒素ガスを注入することによって、乾留されて廃プラスチックWPから発生する乾留ガスDGと炭化物CBは、酸化がより抑制され、劣化(酸化)が少ないものとすることができる。
【0026】
回収装置7は、廃プラスチックWPを熱分解することにより生じる炭化物CBを回収する装置である。回収装置7は、乾留槽1の排出口16に接続され、炭化物CBを冷却するとともに回収容器74に移送するねじポンプ72が備えられている。ねじポンプ72は、詳しくは後述する熱媒体路6のポンプ冷却ジャケット67で被覆され、ポンプ冷却ジャケット67に循環水CWが循環されることによって、移送される炭化物CBが冷却される。排出口16とねじポンプ72の間、ねじポンプ72と回収容器74の間のそれぞれに、外気を遮断して粒状の固体である炭化物CBを下側に排出するロータリーバルブ71が備えられ、炭化物CBは、劣化(酸化)が抑制されて回収容器74に回収される。
【0027】
廃プラスチックWPから発生する乾留ガスDGは、乾留槽1の後側の上部に設けられた導出路15から排出され、第1燃焼炉4で燃焼され、第2燃焼炉5で燃焼され、煙管54の触媒55によって浄化され、排気塔56から大気に放出される。第1燃焼炉4と第2燃焼炉5で発生する燃焼熱は、熱媒体路6に送られ、熱媒体路6の熱可動機器のバイナリー発電機65を稼働させる。これにより、廃プラスチックWPの熱分解と並行して乾留ガスDGを利用することができる。
【0028】
第1燃焼炉4は、乾留槽1で発生した乾留ガスDGを燃焼する炉であり、乾留槽1の乾留ガスDGが導出される導出路15の直上に配置されている。第1燃焼炉4が導出路15の直上に配置されているため、乾留ガスDGは冷えることなく燃焼され、発熱効率を高めることができる。第1燃焼炉4は、乾留ガスDGが燃焼する燃焼室42とバーナ41とを備え、バーナ41は、燃焼室42の後側に設置され、前方に向けて火炎が放射される。第1燃焼炉4には、加熱炉3でバイオマス燃料BFの燃焼により生じた排気ガスEGが流入され、加熱炉3でのバイオマス燃料BFの燃え残りをさらに燃焼させる。
【0029】
第1燃焼炉4の前方には、第1燃焼炉4の燃焼で燃え残った乾留ガスDGをさらに燃焼させる第2燃焼炉5が設置されている。第2燃焼炉5が第1燃焼炉4の前方に設置され、第1燃焼炉4と第2燃焼炉5の接続部分は、細く狭窄された狭窄部52が形成されている。狭窄部52の上下左右方向を覆うように後方から前方に向けて、第2燃焼炉5の空気注入口53が設けられ、空気注入口53からの空気が第2燃焼炉5の燃焼室51へ導入される。空気注入口53からの空気は、コンプレッサ53aによって圧縮され、勢いよく燃焼室51へ導入される。狭窄部52の上下左右方向を覆う空気注入口53から空気が勢いよく燃焼室51へ流れるため、狭窄部52はエジェクタ効果を発揮し、第1燃焼炉4で燃焼された乾留ガスDGが第2燃焼炉5に吸引され、第1燃焼炉4は減圧状態となる。第1燃焼炉4が減圧状態となるため、乾留槽1で発生した乾留ガスDGが第1燃焼炉4に吸引され、第1燃焼炉4の燃焼効率が高められるとともに、第1燃焼炉4から乾留槽1への空気の流入が抑制され、乾留槽1で乾留されて廃プラスチックWPから発生する乾留ガスDGと炭化物CBは、酸化が抑制され、劣化(酸化)が少ないものとすることができる。
【0030】
乾留ガスDGが導出される導出路15は、図2に示すように、熱風通路36に被覆され、さら熱媒体路6に被覆されている。
【0031】
第2燃焼炉5は、第1燃焼炉4の燃焼で燃え残った乾留ガスDGをさらに燃焼させる炉である。第2燃焼炉5で燃焼された乾留ガスDGは、第2燃焼炉5の前方に設けられた煙管54へ導き出され、煙管54の触媒55によって浄化され、排気塔56から大気に放出される。
【0032】
次に、熱可動機器のバイナリー発電機65を稼働させる熱媒体路6について説明する。熱媒体路6は、循環水CWが満たされ、循環水CWが加熱炉3、第1燃焼炉4及び第2燃焼炉5で発生した熱を熱可動機器のバイナリー発電機65に伝達し、バイナリー発電機65を稼働させる。バイナリー発電とは、加熱源より沸点の低い媒体を加熱して蒸発させて、その蒸発した蒸気でタービンを回して発電するものである。
【0033】
加熱炉3と乾留槽1を覆う熱風通路36は熱風通路冷却ジャケット61で覆われ、第1燃焼炉4、第2燃焼炉5及び煙管54は、熱媒体路6の燃焼炉冷却ジャケット62で覆われている。熱風通路冷却ジャケット61中の循環水CWは、加熱炉3(乾留槽1)の運転によって発生する熱を吸収して、加熱炉3を冷却して、熱媒体路6を通り、燃焼炉冷却ジャケット62に移動する。燃焼炉冷却ジャケット62に移動した循環水CWは、乾留ガスDGの燃焼によって発生する熱を吸収して、第1燃焼炉4、第2燃焼炉5及び煙管54を冷却して、熱媒体路6を通り、熱可動機器のバイナリー発電機65に移動する。加熱され高温となった循環水CWは、熱可動機器のバイナリー発電機65を稼働させ、発電を行なう。バイナリー発電機65を稼働させた循環水CWは、熱媒体路6を通り、再び、熱風通路冷却ジャケット61に移動して、加熱され、発電を行なうサイクルを循環する。
【0034】
熱媒体路6には、回収装置7で回収される炭化物CBを冷却する副媒体路66が備えられている。副媒体路66は、給水槽68に貯められた循環水CWがねじポンプ72に被覆されたポンプ冷却ジャケット67を循環することによって、ねじポンプ72内の炭化物CBを冷却する。
【0035】
次に、実施形態の熱分解装置の動作について説明する。実施形態の熱分解装置では、乾留させる有機廃棄物に廃プラスチックWPを使用し、加熱炉3の燃焼装置31の燃料にバイオマス燃料BFを使用した。
【0036】
有機廃棄物としての廃プラスチックWPは、投入装置2のねじポンプ21によって、熱分解装置の乾留槽1に投入される。投入は、連結管26の上下の第1仕切弁23と第2仕切弁24とをそれぞれ交互に開閉することによって、空気を遮断して、廃プラスチックWPを乾留槽1に導入口14から投入される。第1仕切弁23と第2仕切弁24の間の連結管26には、不活性ガスの窒素ガスを注入するガス注入口25が設けられ、窒素ガスが注入されることにより、廃プラスチックWPは、酸素(空気)が除かれて、乾留槽1に投入される。
【0037】
加熱炉3では、燃焼装置31によってバイオマス燃料BFが燃焼室32内で燃焼され、燃焼室32から連接された熱風通路36を貫通する乾留槽1を加熱する。乾留槽1に投入された廃プラスチックWPは、乾留槽1の外筒11の内側に沿って回動するスクリュ羽根13によって撹拌されながら、加熱炉3の燃焼装置31のバイオマス燃料BFの燃焼によって加熱され、乾留される。加熱炉3内の温度は、800℃を10℃程度超えるように調整される。ダイオキシンの発生を防ぐためである。なお、この場合、乾留槽1内は、300℃前後となる。
【0038】
廃プラスチックWPは、脱気された状態で乾留槽1に投入され、その状態で加熱されるため、酸化が抑制されて熱分解が進行する。廃プラスチックWPは約90分かけて乾留される。乾留された廃プラスチックWPからは、熱分解により乾留ガスDGと炭化物CBが発生する。廃プラスチックWPから発生した乾留ガスDGと炭化物CBは、酸化が抑制されているため、劣化(酸化)が少ないものとなる。
【0039】
熱媒体路6の循環水CWは、加熱炉3(乾留槽1)の運転によって発生する熱を吸収して、加熱炉3を冷却して、熱媒体路6の中を通り、燃焼炉冷却ジャケット62に移動する。燃焼炉冷却ジャケット62に移動した循環水CWは、乾留ガスDGの燃焼によって発生する熱を吸収して、第1燃焼炉4、第2燃焼炉5及び煙管54を冷却して、熱媒体路6の中を通り、熱可動機器のバイナリー発電機65に移動する。加熱され高温となった循環水CWは、熱可動機器のバイナリー発電機65を稼働させ、発電を行なう。バイナリー発電機65を稼働させた循環水CWは、熱媒体路6の中を通り、再び、熱風通路冷却ジャケット61に移動して、加熱され、発電を行なうサイクルを循環する。
【実施例0040】
(実施例1)
実施例1では、以下の仕様及の熱分解装置を用いて、下記の条件で連続的に熱分解と発電を行なった。
【0041】
バイオマス燃料BF 木質チップ
燃料供給ポンプ33 φ150mm×L1200mm ×0.2kW
廃プラスチックWP プラスチック製容器包装ごみ
投入装置2 φ150mm×L1200mm ×0.2kW
加熱炉3 W700mm×L700mm×H800mm
乾留槽1 φ250mm×L2400mm ×0.75kW
熱風通路36 φ300mm×L2400mm
熱風通路冷却ジャケット61 φ350mm×L2400mm
ねじポンプ72 φ150mm×L1200mm ×0.2kW
燃焼室42 φ400mm×L500mm
バーナ41 0.2kW
燃焼室51 φ400mm×L400mm
煙管54 φ60mm×L300mm ×20本(内側表面に触媒55)
バイナリー発電機65 12kW(発電能力)
バイオマス燃料BFを1時間当たり60kg燃焼させて、廃プラスチックWPを1時間当たり20kg供給し、6時間運転したところ、運転4時間後から、5kWの発電が得られ、炭化物CBが4kg得られた。
【0042】
(実施例2)
実施例2では、実施例1から、バイオマス燃料BFを建築廃木材粉砕物に変更し、廃プラスチックWPを使用済み注射器などポリオレフィン粉砕物に変更し、その他の条件は実施例1と同じにして、連続的に熱分解と発電を行なった。実施例2では、6時間運転したところ、運転4時間後から、5kWの発電が得られ、炭化物CBが5kg得られた。
【0043】
(その他実施形態)
実施形態の熱分解装置は、以下のような形態であってもその実施をすることができる。実施形態の熱分解装置では、乾留槽1は上下左右方向の断面が円形の円筒形状としたが、図3に示すような、上下左右方向の断面が船底形形状とすることができる。これによれば、スクリュ羽根13の上側の左右に乾留ガスDGが通る乾留ガス通路17を大きく取ることができる。また、図4に示すように、上下左右方向の断面が円形の乾留槽1に、乾留槽1の断面形状より、小さいスクリュ羽根13を用いることにより、スクリュ羽根13の上側に乾留ガスDGが通る乾留ガス通路17を大きく取ることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 乾留槽
2 投入装置
3 加熱炉
4 第1燃焼炉
5 第2燃焼炉
6 熱媒体路
7 回収装置
11 外筒
13 スクリュ羽根
13a スクリュ軸
14 導入口
15 導出路
16 排出口
17 乾留ガス通路
21 ねじポンプ
22 ホッパ
23 第1仕切弁
24 第2仕切弁
25 ガス注入口
26 連結管
31 燃焼装置
32 燃焼室
33 燃料供給ポンプ
35 ダンパープレート
36 熱風通路
41 バーナ
42 燃焼室
51 燃焼室
52 狭窄部
53 空気注入口
53a コンプレッサ
54 煙管
55 触媒
56 排気塔
61 熱風通路冷却ジャケット
62 燃焼炉冷却ジャケット
65 バイナリー発電機
66 副媒体路
67 ポンプ冷却ジャケット
68 給水槽
71 ロータリーバルブ
72 ねじポンプ
74 回収容器
BF バイオマス燃料
CB 炭化物
CW 循環水
DG 乾留ガス
EG 排気ガス
WP 廃プラスチック
図1
図2
図3
図4