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特開2024-7468ミクロンサイズ及びサブミクロンサイズのリン酸鉄リチウム粒子、並びにその製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007468
(43)【公開日】2024-01-18
(54)【発明の名称】ミクロンサイズ及びサブミクロンサイズのリン酸鉄リチウム粒子、並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/58 20100101AFI20240110BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20240110BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20240110BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20240110BHJP
   H01M 4/136 20100101ALI20240110BHJP
   C01B 25/45 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
H01M4/58
H01M4/36 C
H01M10/052
H01M10/0562
H01M4/136
C01B25/45 Z
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023106891
(22)【出願日】2023-06-29
(31)【優先権主張番号】17/856,444
(32)【優先日】2022-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】520490406
【氏名又は名称】リヴィアン アイピー ホールディングス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100103182
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 真美
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【弁理士】
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100194423
【弁理士】
【氏名又は名称】植竹 友紀子
(72)【発明者】
【氏名】キム,スー
(72)【発明者】
【氏名】マハブー,ルーバヤット
(72)【発明者】
【氏名】タレビースファンダラーニ,マジッド
(72)【発明者】
【氏名】キム,スンウン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,スーキョン
(72)【発明者】
【氏名】キム,テギョン
(72)【発明者】
【氏名】パーク,キテイ
(72)【発明者】
【氏名】プラジャパティ,ビクター
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AJ03
5H029AJ06
5H029AK01
5H029AL02
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM03
5H029AM04
5H029AM07
5H029AM12
5H029CJ02
5H029CJ08
5H029CJ15
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ05
5H029HJ10
5H050AA02
5H050AA08
5H050AA11
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA01
5H050CB02
5H050CB08
5H050CB11
5H050CB12
5H050EA01
5H050EA08
5H050FA17
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA10
5H050GA16
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】Liイオンチャネル経路におけるイオン伝導率の増加、並びに炭素コーティングと市販のLFPの表面金属原子との間のより大きい接触を有する界面を達成するための電子伝導率及び速度能力の向上を示す電極活性材料を提供する。
【解決手段】電極活性材料は、ドーパント(M)及びリン酸鉄リチウムホスト材料を含み、電極活性材料は、LiM Fe1-xPOとして表され、Mは、遷移金属又は主族金属であり、xは、0.01~0.15であり、電極活性材料は、ドーパントを含まないリン酸鉄リチウム(LiFePO)と比較して増加したイオン伝導率を示し、電極活性材料は、1μm以上のD50によって特徴付けられる粒度分布を有する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドーパント(M)及びリン酸鉄リチウムホスト材料を含む電極活性材料であって、
前記電極活性材料が、LiM Fe1-xPOで表され、
が、遷移金属又は主族金属であり、
xが、0.01~0.15であり、
前記電極活性材料が、前記ドーパントを含まないリン酸鉄リチウム(LiFePO)と比較して増加したイオン伝導率を示し、
前記電極活性材料が、1μm以上のD50によって特徴付けられる粒径分布を有する、電極活性材料。
【請求項2】
が、Co、Cr、Gd、In、Mn、V、Zr、又はそれらの任意の2つ以上の混合物である、請求項1に記載の電極活性材料。
【請求項3】
が、Co2+、Co3+、Cr2+、Cr3+、Gd3+、In3+、Mn2+、Mn3+、Mn7+、V2+、V3+、V4+、Zr4+、又はそれらの任意の2つ以上の混合物である、請求項1に記載の電極活性材料。
【請求項4】
前記ドーパントが、前記LiM Fe1-xPO化合物中に約1モル%~約15モル%存在する、請求項1に記載の電極活性材料。
【請求項5】
sp2混成、sp3混成、又はそれらの組み合わせである炭素原子を含む炭素コーティングを更に含む、請求項1に記載の電極活性材料。
【請求項6】
前記D50が、1μm~5μmである、請求項1に記載の電極活性材料。
【請求項7】
前記電極活性材料が、D10が100nm~0.6μmであることを特徴とする粒径分布を有する、請求項1に記載の電極活性材料。
【請求項8】
前記電極活性材料が、D90が1.7μm~25μmであることを特徴とする粒径分布を有する、請求項1に記載の電極活性材料。
【請求項9】
カソード活性材料であって、
式LiFePOのコア相と、
前記コア相の表面又は表面付近にある式LiM p’の化合物の二次相と、を含み、
式中、
zが、1、2、又は3であり、
pが、1、2、3、又は4であり、
p’が、約1~約16の整数であり、
が、Co、Cr、Gd、In、Mn、V、Zr、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であり、
が、前記カソード活性材料中に約0.1~約15モル%存在し、
前記カソード活性材料が、前記二次相を含まないLiFePOと比較して増加したイオン伝導率を示し、
前記カソード活性材料が、1μm以上のD50によって特徴付けられる粒径分布を有する、カソード活性材料。
【請求項10】
前記式LiM p’の化合物が、LiMn(PO、LiVP、LiGd(PO、LiMn(PO、LiCo(PO、LiCr(PO、LiCo(PO、LiCoPO、LiV(PO、LiZr(PO、LiCrP、LiVPO、LiInP、LiFePO、又はそれらの任意の2つ以上の混合物である、請求項9に記載のカソード活性材料。
【請求項11】
sp2混成、sp3混成、又はそれらの組み合わせである炭素原子を含む炭素コーティングを更に含む、請求項9に記載のカソード活性材料。
【請求項12】
前記カソード活性材料が、粒子状材料であり、前記第二次相の濃度が、前記粒子のコア部分よりも前記粒子の表面において高い、請求項9に記載のカソード活性材料。
【請求項13】
前記D50が、1μm~5μmである、請求項9に記載のカソード活性材料。
【請求項14】
リチウムイオン電池セルであって、
アノード層と、
カソード層と、
前記アノード層と前記カソード層との間のセパレータ又は固体電解質と、を備え、
前記カソード層が、
式LiFePOのコア相と、
前記コア相の表面又は表面付近にある式LiM p’の化合物の二次相と、を含む、粒子状カソード活性材料を含み、
式中、
zが、1、2、又は3であり、
pが、1、2、3、又は4であり、
p’が、約1~約16の整数であり、
が、Co、Cr、Gd、In、Mn、V、Zr、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であり、
が、前記カソード活性材料中に約0.1~約15モル%存在し、
前記カソード活性材料が、前記二次相を含まないLiFePOと比較して増加したイオン伝導率を示し、
前記カソード活性材料が、1μm以上のD50によって特徴付けられる粒径分布を有し、
前記カソード層が、15mg/cmよりも大きい前記集電体上のローディングレベルを有する、リチウムイオン電池セル。
【請求項15】
前記カソード層が、15mg/cm~25mg/cmの電極ローディングレベルを有する、請求項14に記載のリチウムイオン電池セル。
【請求項16】
前記D50が、1μm~5μmである、請求項14に記載のリチウムイオン電池セル。
【請求項17】
電極活性材料を製造するためのプロセスであって、
溶媒中にリチウム源、鉄源、ドーパント源、及びリン源を含む溶液を形成することと、
前記溶液を所定のpHで一定時間混合して、中間前駆体の沈殿物を形成することと、
前記沈殿物を収集することと、
前記沈殿物を高温でアニールして、ドープされたリン酸鉄リチウム(LiM Fe1-xPO)化合物を形成することであって、Mが、前記ドーパントであり、遷移金属又は主族金属を含む、形成することと、を含み、
前記LiM Fe1-xPO化合物が、1μm以上のD50によって特徴付けられ、
xが、0.01~0.15である、プロセス。
【請求項18】
前記リチウム源が、LiCO、LiPO、LiOH・HO、LiHCO、又はそれらの混合物である、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
前記鉄源が、Fe、Fe、Fe、Fe(NO、Fe(NO、FeCl、FeCl、FePO、FeSO、Fe(SO、又はそれらの任意の2つ以上の混合物、又はそれらの水和物を含み、前記ドーパント源が、M金属、M q’、M (NOq’、M Clq’、M (POq’、M (SOq’、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であり、Mが、Co、Cr、Gd、In、Mn、V、Zr、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であり、q及びq’が、個々に、1、2、3、4、5、6、又は7である、請求項17に記載のプロセス。
【請求項20】
前記混合が、1~7のpHで行われる、請求項17に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、概して、リチウム充電式電池に関する。より具体的には、本技術は、リン酸鉄リチウム電極活性材料のためのコーティングに関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
一態様では、電極活性材料は、ドーパント(M)及びリン酸鉄リチウムホスト材料を含み、電極活性材料は、LiM Fe1-xPOとして表され、Mは、遷移金属又は主族金属であり、xは、0.01~0.15であり、電極活性材料は、ドーパントを含まないリン酸鉄リチウム(LiFePO)と比較して増加したイオン伝導率を示し、電極活性材料は、1μm以上のD50によって特徴付けられる粒径分布を有する。
【0003】
別の態様では、カソード活性材料は、式LiFePOのコア相と、コア相の表面又は表面付近にある式LiM p’の化合物の二次相と、を含み、式中、zは、1、2、又は3であり、pは、1、2、3、又は4であり、p’は、約1~約16の整数であり、Mは、Co、Cr、Gd、In、Mn、V、Zr、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であり、Mは、カソード活性材料中に約0.1~約15モル%存在し、カソード活性材料は、二次相を含まないLiFePOと比較して増加したイオン伝導率を示し、カソード活性材料は、1μm以上のD50によって特徴付けられる粒径分布を有する。
【0004】
更なる態様では、リチウムイオン電池セルは、アノード層、カソード層、及びアノード層とカソード層との間のセパレータ又は固体電解質を含む。リチウムイオン電池において、カソード層は、式LiFePOのコア相と、コア相の表面又は表面付近にある式LiM p’の化合物の二次相と、を有する、粒子状カソード活性材料を含み、式中、zは、1、2、又は3であり、pは、1、2、3、又は4であり、p’は、約1~約16の整数であり、Mは、Co、Cr、Gd、In、Mn、V、Zr、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であり、Mは、カソード活性材料中に約0.1~約15モル%存在し、カソード活性材料は、二次相を含まないLiFePOと比較して増加したイオン伝導率を示し、カソード活性材料は、1μm以上のD50によって特徴付けられる粒径分布を有し、カソード層は、15mg/cmを超える、集電体(例えば、アルミニウム箔)上のローディングレベルを有する。
【0005】
追加の態様では、電極活性材料を調製するためのプロセスは、溶媒中にリチウム源、鉄源、ドーパント源、及びリン源を含む溶液を形成することと、溶液を所定のpHで一定時間混合して、中間前駆体の沈殿物を形成することと、沈殿物を収集することと、沈殿物を高温でアニールして、ドープされたリン酸鉄リチウム(LiM Fe1-xPO)化合物を形成することであって、Mが、ドーパントであり、遷移金属又は主族金属を含む、形成することと、を含む。そのようなプロセスでは、LiM Fe1-xPOは、1μm以上のD50によって特徴付けられ、xは、0.01~0.15である。
【0006】
別の態様では、電気化学セルは、ドープされたリン酸マンガン鉄リチウムを含むものとして本明細書に記載される電極活性材料のいずれかを含むアノード及びカソードを含み得、アノード及び/又はカソードはまた、伝導性炭素、結合剤、集電体、又はそれらの任意の2つ以上を含み得る。
【0007】
別の態様では、リチウムイオン電池に充電電圧を印加することを含む、本明細書に記載のドープされたリン酸鉄リチウム材料のいずれかを含むリチウムイオン電池を再充電するためのプロセスが提供され、リチウムイオン電池を充電するのに必要な時間は、非ドープリン酸鉄リチウムホスト材料を含むリチウムイオン電池よりも短い。
【0008】
他の態様では、電池セルは、複数の電池セルを備える電池パックに組み込まれ得る。次いで、そのような電池、電池セル、又は電池パックは、ハイブリッド電気自動車又は電気自動車に電源として組み込まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1A図1Aは、様々な実施形態による、ドープされた又はコーティングされたLiFePOの様々な形態の概略図である。
図1B図1Bは、様々な実施形態による、ドープされた又はコーティングされたLiFePOの様々な形態の概略図である。
図1C図1Cは、様々な実施形態による、ドープされた又はコーティングされたLiFePOの様々な形態の概略図である。
図1D図1Dは、様々な実施形態による、ドープされた又はコーティングされたLiFePOの様々な形態の概略図である。
図2図2は、ローディングレベル及び体積エネルギー密度の効果を示す、集電体上の両面コーティングされたカソードコーティング層の概略図である。
図3図3は、様々な実施形態による、電気車両の断面図である。
図4図4は、様々な実施形態による、例示的な電池パックの図である。
図5図5は、様々な実施形態による、例示的な電池モジュールの図である。
図6A図6Aは、様々な実施形態による、様々な電池の断面図である。
図6B図6Bは、様々な実施形態による、様々な電池の断面図である。
図6C図6Cは、様々な実施形態による、様々な電池の断面図である。
図7図7は、実施例1による、LiFePOカソード活性材料の概略図である。
図8図8は、様々な実施形態による、LiFePO中の(010)方向におけるLiイオン拡散を説明する概略図である。
図9図9は、様々な実施形態による、非修飾(純粋、左)及び修飾(ドープされた、右)LiFePOの原子構造の比較を示す図である。
図10図10は、様々な実施形態による、(010)方向における純粋なカソード材料とドープされたカソード材料との間のLiイオン拡散のエネルギー障壁の図である。
図11図11は、様々な実施形態による、非ドープLFP及び修飾(例えば、ドープされた)LFPの抵抗対充電状態を測定するためのハイブリッドパルス電力特性評価(HPPC)試験を示す図である。
図12図12は、様々な実施形態による、非ドープLFP及び修飾(例えば、ドープされた)LFPの電気化学インピーダンス分光法(electrochemical impedance spectroscopy、EIS)測定のグラフである。
図13図13は、様々な実施形態による、約100nm及び約1μmのD50を有するLFP材料の電圧対放電容量のグラフである。
図14図14は、様々な実施形態による、非ドープLFP及び修飾(例えば、ドープされた)LFPの電子伝導率対温度(1/T)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
様々な実施形態が以下に説明される。特定の実施形態は、網羅的な説明として、又は本明細書で考察されるより広い態様への限定として意図されないことに留意されたい。特定の実施形態と併せて説明される一態様は、必ずしもその実施形態に限定されず、任意の他の実施形態とともに実施され得る。
【0011】
本明細書で使用される場合、「約」は、当業者によって理解され、それが使用される文脈に応じてある程度変動する。当業者に明確でない用語の使用がある場合、それが使用される文脈を考慮すると、「約」は、特定の用語の最大プラス又はマイナス10%を意味する。
【0012】
要素を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」という用語並びに類似の指示対象の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、単数形及び複数形の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において別段の指示がない限り、その範囲内に入る各個別の値を個々に言及する省略法としての役割を果たすことが単に意図されており、各個別の値は、本明細書において個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書において別段の指示がない限り、又は文脈によって明確に否定されない限り、任意の好適な順序で実行することができる。本明細書で提供される任意の及び全ての例、又は例示的な言葉(例えば、「などの」)の使用は、単に実施形態をより良好に説明することを意図しており、別段の記載がない限り、特許請求の範囲に限定を課すものではない。本明細書中のいかなる文言も、任意の特許請求されていない要素を必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0013】
LiMO(M=Ni、Mn、及び/又はCo、すなわち、「LiNMC」材料)カソード活性材料は、それらの高いエネルギー密度(すなわち、高電圧、高容量)のために、現在の電気自動車製造において日常的に使用されている。乗用車及び/又はモバイル電子デバイス(すなわち、電話、ラップトップ、タブレットなど)は、充電式電池パックを設置するための空間が非常に限られているので、より高い高エネルギー密度を有するカソード材料を使用することは、そのようなデバイスを設計する際に非常に考慮される。LiNMCカソードにおいてNi含有量が増加するにつれて、電池の熱安定性も影響を受け、様々な安全性の問題及び懸念をもたらす。
【0014】
リン酸鉄リチウム(LiFePO、「LFP」)は、LiNMCに関連するカソード材料のクラスであるが、鉄の酸化及び還元に完全に基づく。それはまた、LiNMC材料と比較した場合、より良好な安全性プロファイルを提供する。しかしながら、LFPのエネルギー密度は、LiNMC系カソードのエネルギー密度よりも低い傾向がある。LFPの平均セル電圧は、グラファイトに対して約3.2Vであるが、LiMO(リチウム金属酸化物)カソード材料の平均電圧は、グラファイトに対して約3.4~4.0Vで金属に応じて変動する。加えて、LFP材料の実際の容量は、約170mAh/g~約210mAh/gの容量を示すLiNMC材料と比較して、約150mAh/g~約165mAh/gである。本明細書で使用される場合、エネルギー密度は、電圧と容量との積として定義され、したがって、LFPのエネルギー密度は、LiNMC材料よりも低いと予想される。
【0015】
LFPカソード材料は、典型的には、Liイオン拡散長を減少させるためにナノサイズの粒子として調製される。しかしながら、LFP粒径が低減されると、ローディングレベル(mg/cm)及び充填密度(g/cm)の両方も低減されるので、電気自動車用途のための高エネルギー密度設計を達成することはより困難である。したがって、LFP粒径を約1μm以上のD50を有するものに増加させる試みが行われている。これらのより大きいサイズのLFPは、より低いCレート(例えば、C/3、通常動作条件)で140~150mAh/gの比較的高い容量を依然として送達することができるが、1Cを超えるより高いCレートでのそれらのレート能力は、著しく遅い(すなわち、速い充電/放電条件)。
【0016】
本明細書に開示されるのは、エネルギー密度の改善を助けるための、より大きいフォーマットのカソード活性LiFePO(LFP)材料のための二次コーティング材料である。具体的には、1μmを超えるD50を有する市販のLiFePO材料が本明細書に開示されており、この材料には、均一でない場合があるか、又は欠陥を有する場合がある第1のコーティングが提供されており、この欠陥は、次いで、第2のコーティングによって満たされ/対処される。結果として得られる二重コーティングされたLFP材料は、Liイオンチャネル経路におけるイオン伝導率の増加、並びに炭素コーティングと市販のLFPの表面金属原子との間のより大きい接触を有する界面を達成するための電子伝導率及び速度能力の向上を示すことが予想される。
【0017】
第1の態様では、電極活性材料は、ドーパント(M)及びLiM Fe1-xPOとして表されるリン酸鉄リチウムホスト材料を含む。電極活性材料において、ドーパントは、遷移金属又は主族金属であり得、電極活性材料は、ドーパントを含まないリン酸マンガン鉄リチウム(LiFePO)と比較して増加したイオン伝導率を示し、電極活性材料は、1μm以上のD50によって特徴付けられる粒径分布(PSD)を有する。上記式中、xは、0.01~0.15である。
【0018】
ドーパントMは、Co、Cr、Gd、In、Mn、V、Zr、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であり得る。いくつかの実施形態では、Mは、Co2+、Co3+、Cr2+、Cr3+、Gd3+、In3+、Mn2+、Mn3+、Mn7+、V2+、V3+、V4+、Zr4+、又はそれらの任意の2つ以上の混合物である。一般に、全体として、Mは、LiM MnFe1-x-yPO化合物中に約1モル%~約15モル%存在する。
【0019】
電極活性材料の形態は、種々の形状を採り得る。例えば、それは、球形、卵形、棒状、円盤状、星形、長方形、楕円形などであり得、走査電子顕微鏡(scanning electron microscopy、SEM)の使用によって実験的に決定され得る。サイズ分布は、平均して単峰性(すなわち、単一の最大値を有する)であり得るか、又は二峰性(すなわち、2つの最大値を有する)であり得る。全体として、粒径分析器を使用してPSDを決定することができる。いくつかの実施形態では、粒径分布は、D50が1μm~5μmであることを特徴とする。他の粒径記述子も使用され得る。例えば、電極活性材料は、100nm~0.6μmのD10によって特徴付けられる粒径分布を有する。いくつかの実施形態では、電極活性材料は、1.7μm~25μmのD90によって特徴付けられる粒径分布を有する。
【0020】
様々な形態を示す図1を参照すると、本明細書に記載の金属ドーパント若しくはコーティングは、LiFePOコア材料1020の表面上に層(「シェル」)1025を形成し得る(図1B)か、又は金属ドーパント若しくはコーティングは、図1C及び図1Dにおける球若しくはロッドを含む多数の形状のいずれかであり得る、LiFePO材料1020の表面上に離散粒子又は「島」1030として形成し得る。いくつかの実施形態では、LiFePO1020は、商業的に供給され、層中の間隙1015と不連続であり得る第1のコーティング層1010を有する(図1A)。そのような実施形態では、本明細書に記載される金属ドーパント又はコーティングは、不連続領域又は間隙を満たし得る。
【0021】
電極活性材料を更に保護し、追加のイオン伝導容量を提供し、電極活性材料は、炭素コーティングを含み得る。炭素コーティングは、sp混成、sp混成、又はそれらの組み合わせである炭素原子を含み得る。典型的には、sp型炭素とsp型炭素との間の比は、炭素コーティング前駆体の選定及び熱処理条件によって決定される。spとspとの間の正確な比は、ラマン分光法によって決定することができ、Dバンドは、約1350cm-1に位置し、Gバンドは、約1620cm-1に位置する。D及びGバンドは各々、sp-及びsp-混成炭素の共鳴シグネチャをそれぞれ表す。典型的なD/G強度比は、0.8~1.2まで変動し得る。より低いD/G比は、sp様炭素がより多いことを示し、より高い比は、sp様炭素がより多いことを示す。sp型炭素は飽和しており、sp炭素はグラフェン様であり、π電子雲とのC-C結合からなるので、より多くのsp炭素コーティングを有することは、LFPカソード材料の全体的な伝導率を増加させるのに役立つ。
【0022】
別の態様では、式LiFePOのコア相と、コア相の表面又は表面付近にある式LiM p’の二次相と、を含む、カソード活性材料であって、1μm以上のD50によって特徴付けられる粒径分布を有する、カソード活性材料が提供される。これらの式において、zは、1、2、又は3であり、pは、1、2、又は3であり、p’は、約1~約16の整数である。更に、Mは、Co、Cr、Gd、In、Mn、V、Zr、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であり得る。式LiM ,の二次相は、ホスト相中に約15モル%未満存在し得る。興味深いことに、カソード活性材料は、式LiM の二次相を含まないLiFePOと比較して増加したイオン伝導率を示す。
【0023】
ドーパントMは、Co、Cr、Gd、In、Mn、V、Zr、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であり得る。いくつかの実施形態では、Mは、Co2+、Co3+、Cr2+、Cr3+、Gd3+、In3+、Mn2+、Mn3+、Mn7+、V2+、V3+、V4+、Zr4+、又はそれらの任意の2つ以上の混合物である。一般に、全体として、Mは、LiM MnFe1-x-yPO化合物中に約1モル%~約15モル%存在する。上記のように、カソード活性材料は、炭素コーティングを含み得る。
【0024】
カソード活性材料において、例示的な二次相には、LiMn(PO、LiVP、LiGd(PO4、LiMn(PO4、LiCo(PO4、LiCr(PO3、LiCo(PO3、LiCoPO、LiV(PO4、LiZr(PO、LiCrP、LiVPO、LiInP7、LiFePO、又はそれらの任意の2つ以上の混合物が含まれるが、これらに限定されない。二次相は、ホスト相中に約0.01モル%~約15モル%存在し得る。これは、二次相がホスト相中に約0.01モル%~約10モル%、又は約0.01モル%~約5モル%存在する場合を含み得る。
【0025】
電極活性材料は、粒子形態を有する傾向があり、粒子において、二次相は、粒子のコアと比較して粒子の表面付近でより高い濃度で組成物中に存在し得る。二次相とホスト相との間の界面エネルギーがより小さい(すなわち、界面を形成するのがより容易である)場合、二次相は、粒子の表面領域に向かって分離するのではなく、沈殿形態としてホストカソード材料とのナノコンポジットとして存在し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、カソード活性材料の粒径分布は、D50が1μm~5μmであることを特徴とする。他の実施形態では、電極活性材料は、100nm~0.6μmのD10によって特徴付けられる粒径分布を有し得る。いくつかの実施形態では、電極活性材料は、1.7μm~25μmのD90によって特徴付けられる粒径分布を有し得る。
【0027】
別の態様では、リチウムイオン電池セルは、アノード層、カソード層、及びアノード層とカソード層との間のセパレータ又は固体電解質を含む。カソード層は、本明細書に記載の電極活性材料又はカソード活性材料のいずれかを含み得、集電体(例えば、Al箔)上で15mg/cmを超えるローディングレベルを示し得る。いくつかの実施形態では、カソード層は、15mg/cm~25mg/cmの電極ローディングレベルを有する。他の実施形態では、カソード層は、18mg/cm~25mg/cm、又は19mg/cm~21mg/cmの電極ローディングレベルを有する。
【0028】
そのようなローディング密度は、標準的な充電式リチウムイオンセルよりも高いエネルギー密度設計をもたらすことができる。図2は、カソード活性材料層2010、アノード活性材料層2020、及びセパレータ2030を含む電池セルスタックの概略図である。左側のスタックは、約15~17mg/cmのローディングレベルを有し、最大400Wh/Lを生成する標準サイズである。右側のスタックは、本構造の図であり、いくつかの実施形態によれば、より高いローディングレベルは、19mg/cmよりも大きく、400Wh/Lよりも大きい。
【0029】
ドープされたリン酸鉄リチウム(LiM Fe1-xPO)を調製するためのプロセスも本明細書で提供され、そのような式において、Mは、遷移金属又は主族元素であるドーパントを表す。このプロセスは、リチウム源、鉄源、ドーパント源、及びリン源を適切な化学量論比で溶媒中に含む溶液を形成することを含む。供給源成分及び溶媒は、別個の化合物であり得るか、又は代替的に、それらは、複数の成分の供給源として機能する単一の化合物であり得る(例えば、HPOなどの酸性溶媒は、リン源として役割を果たすことができるか、又はLiPOは、リチウム源及びリン源の両方であり得る)。次いで、この溶液を、所定のpHで、リチウムドーパントリン酸鉄の前駆体であるリチウム金属リン酸素組成物の沈殿物を形成するのに十分な時間混合する。沈殿物は、1μm以上のD50によって特徴付けられる粒径が達成されるまで成長させる。次いで、沈殿物を収集し、次いで、アニーリングプロセスに供し、リチウム金属リン酸素組成物を加熱して、それを1μm以上のD50によって特徴付けられる粒径分布を有するリチウムドーパントリン酸鉄に変換する。上記式中、xは、0.01~0.15である。
【0030】
そのようなプロセスでは、例示的なリチウム源材料には、LiCO、LiPO、LiOH・HO、LiHCO、又はそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。鉄源は、鉄金属、鉄金属酸化物、又は鉄塩のいずれであり得る。これらには、Fe、Fe、Fe、Fe(NO、Fe(NO、FeCl、FeCl、FePO、FeSO、Fe(SO、又はそれらの任意の2つ以上の混合物、又はそれらの水和物が含まれ得るが、これらに限定されない。
【0031】
ドーパント源はまた、ドーパント金属酸化物として、又はドーパント金属塩としてのドーパント金属であり得る。例示的なドーパント源には、M金属、M q’、M (NOq’、M Clq’、M (POq’、M (SOq’、又はそれらの任意の2つ以上の混合物が含まれるが、これらに限定されず、Mは、Co、Cr、Gd、In、Mn、V、Zr、又はそれらの任意の2つ以上の混合物であり、q及びq’は、個々に、1、2、3、4、5、6、又は7である。
【0032】
このプロセスでは、混合は、中性~酸性pH(すなわち約1~7)で行われる。混合はまた、核形成して沈殿物を形成するのに十分な時間行われる。時間は、様々な実施形態では、約1分~48時間の範囲であり得る。いくつかの実施形態では、それは、約1分~24時間、約1分~12時間、約1分~6時間、又は約1分~約1時間である。また、混合が行われる温度も示される。再び、温度は、沈殿物を効率的に形成するのに十分である。高温は、約50℃~約100℃であり得る。
【0033】
このプロセスでは、沈殿物の収集は、濾過によってそれを収集し、続いて溶媒で洗浄することを含み得る。例示的な溶媒には、水、アルコール、ケトンなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0034】
アニーリングは、空気中で行われ得る。いくつかの実施形態では、アニーリングは、N、H、CO、CO、又はそれらの任意の2つ以上の混合物を含み得るガスの存在下で行われる。アニーリングは、高温で行われ得る。例えば、約200℃より高い温度である。これは、200℃~1500℃、400℃~1500℃、200℃~1200℃、400℃~1200℃、200℃~1000℃、600℃~800℃、600℃~750℃、又は400℃~1000℃の温度を含み得る。
【0035】
別の態様では、電気化学セルは、ドープされたリン酸鉄リチウムを含むものとして本明細書に記載される電極活性材料のいずれかを含むアノード及びカソードを含み得る。そのような実施形態では、アノード及び/又はカソードはまた、伝導性炭素(含まれ得る任意の炭素コーティングに加えて)、結合剤、集電体、又はそれらの任意の2つ以上を含み得る。カソードは、本明細書に記載されるカソード活性材料のいずれかを含み得る。
【0036】
例示的な伝導性炭素種には、グラファイト、カーボンブラック、Super Pカーボンブラック材料、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、SWCNT、MWCNT、グラファイト、カーボンナノファイバ、及び/又はグラフェン、グラファイトが含まれる。例示的な結合剤には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidenefluoride、「PVDF」)、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、「PVP」)、スチレン-ブタジエン若しくはスチレン-ブタジエンゴム(styrene-butadiene rubber、「SBR」)、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、「PTFE」)、又はカルボキシメチルセルロース(carboxymethylcellulose、「CMC」)などのポリマー材料が含まれ得るが、これらに限定されない。他の例示的な結合剤材料は、寒天、アルギン酸塩、アミロース、アラビアゴム、カラギーナン、カゼイン、キトサン、シクロデキストリン(カルボニル-ベータ)、エチレンプロピレンジエンモノマー(ethylene propylene diene monomer、EPDM)ゴム、ゼラチン、ジェランガム、グアーガム、カラヤガム、セルロース(天然)、ペクチン、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホネート(poly(3,4-ethylenedioxythiophene)polystyrene sulfonate、PEDOT-PSS)、ポリアクリル酸(polyacrilic acid、PAA)、ポリ(メチルアクリレート)(poly(methyl acrylate)、PMA)、ポリ(ビニルアルコール)(poly(vinyl alcohol)、PVA)、ポリ(酢酸ビニル)(poly(vinyl acetate)、PVAc)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile、PAN)、ポリイソプレン(polyisoprene、PIpr)、ポリアニリン(polyaniline、PANi)、ポリエチレン(polyethylene、PE)、ポリイミド(polyimide、PI)、ポリスチレン(polystyrene、PS)、ポリウレタン(polyurethane、PU)、ポリビニルブチラール(polyvinyl butyral、PVB)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone、PVP)、デンプン、スチレンブタジエンゴム(styrene butadiene rubber、SBR)、タラガム、トラガカントガム、フッ素アクリレート(TRD202A)、キサンタンガム、又はそれらの任意の2つ以上の混合物のうちの1つ以上を含むことができる。集電体は、アルミニウム、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼、又は炭素質材料である金属を含み得る。いくつかの実施形態では、集電体の金属は、金属箔の形態である。いくつかの特定の実施形態では、集電体は、アルミニウム(Al)又は銅(Cu)箔である。いくつかの実施形態では、集電体は、Al、Cu、Ni、Fe、Ti、又はそれらの組み合わせから作製される金属合金である。別の実施形態では、金属箔は、炭素でコーティングされ得、例えば、炭素コーティングされたAl箔などである。
【0037】
電気化学セルのアノードは、リチウムを含み得る。いくつかの実施形態では、アノードはまた、カソード集電体、伝導性炭素、結合剤、及び他の添加剤に関して上述したように、集電体、伝導性炭素、結合剤、及び他の添加剤を含み得る。いくつかの実施形態では、電極は、セパレータ又は固体電解質に面する集電体の表面上にその場で形成されたアノード(例えば、Li金属)を有する集電体(例えば、Cu箔)を含み得、その結果、非充電状態では、組み立てられたセルは、アノード活性材料を含まない。
【0038】
電気化学セルはまた、電解質を含み得る。電解質は、典型的にはリチウム塩及び炭酸塩、イオン液体、又はエーテル溶媒を含む溶液系電解質であり得る。
【0039】
本明細書に記載の電気化学セルは、リチウムイオン電池であり得る。
【0040】
別の態様では、本明細書に記載のドープされたリン酸マンガン鉄リチウム材料のいずれかを含むリチウムイオン電池を再充電するためのプロセスが提供される。再充電のプロセスは、リチウムイオン電池に充電電圧を印加することを含み得、リチウムイオン電池を充電するのに必要な時間は、非ドープリン酸鉄リチウムを含むリチウムイオン電池よりも短い。
【0041】
別の態様では、本開示は、上記実施形態のいずれか1つのカソード活性材料、電気化学セル、又はリチウムイオン電池を備える、電池パックを提供する。電池パックは、一般的なエネルギー貯蔵又は車両における用途を含むがこれらに限定されない多種多様な用途を見出すことができる。別の態様では、上述したような複数の電池セルを使用して、電池及び/又は電池パックを形成することができ、これは、一般的な貯蔵又は車両中などの多種多様な用途を見出すことができる。
【0042】
電気車両におけるそのような電池又は電池パックの使用の例示として、図3は、少なくとも1つの電池パック110を搭載した電気車両105の例示的な断面図100を示す。電気車両105は、数ある可能性の中でもとりわけ、電気トラック、電動スポーツユーティリティビークル(electric sport utility vehicle、SUV)、電動配送バン、電気自動車、電気車、電気オートバイ、電気スクータ、電気乗用車、電気乗用車トラック、電気商用トラック、ハイブリッド車両、又は海上若しくは航空輸送車両、飛行機、ヘリコプター、潜水艦、ボート、若しくはドローンなどの他の車両を含み得る。電池パック110はまた、住宅又は商業ビルなどの建物に電力供給するためのエネルギー貯蔵システムとして使用され得る。電動車両105は、完全電動又は部分電動(例えば、プラグインハイブリッド)であり得、完全自律型、部分自律型、又は無人型であり得る。電動車両105はまた、人間が操作するものであり得るし、非自律型であり得る。
【0043】
電気トラック又は自動車などの電気車両105は、電気車両に電力供給するために、オンボード電池パック110、電池モジュール115、又は電池セル120を含むことができる。電気車両105は、シャーシ125(例えば、フレーム、内部フレーム、又は支持構造)を含むことができる。シャーシ125は、電気車両105の様々な構成要素を支持することができる。シャーシ125は、電気車両105の前部130(例えば、フード又はボンネット部分)、本体部分135、及び後部140(例えば、トランク、ペイロード、又はブーツ部分)にまたがることができる。電池パック110は、電気自動車105内に搭載又は設置することができる。例えば、電池パック110は、前部130、本体部135、又は後部140のうちの1つ以上の中で、電気車両105のシャーシ125上に搭載することができる。電池パック110は、少なくとも1つのバスバー、例えば、集電体要素を含むか、又はそれと接続することができる。例えば、第1のバスバー145及び第2のバスバー150は、電気車両105の様々なシステム又は構成要素に電力を提供するために、電池モジュール115又は電池セル120を電気車両105の他の電気構成要素に接続するか、又は他の方法で電気的に結合する電気伝導性材料を含むことができる。
【0044】
図4は、例示的な電池パック110を示す。図4を参照すると、とりわけ、電池パック110は、電気車両105に動力を提供し得る。電池パック110は、電気車両105などの任意のタイプの車両に電力供給するための電気デバイス、電子デバイス、機械デバイス、又は電気機械デバイスの任意の配設又はネットワークを含み得る。電池パック110は、少なくとも1つのハウジング205を含み得る。ハウジング205は、少なくとも1つの電池モジュール115又は少なくとも1つの電池セル120、及び他の電池パック構成要素を含み得る。ハウジング205は、例えば、電気車両105が粗い地形(例えば、オフロード、溝、岩など)上で駆動される場合に、外部条件から電池モジュール115を保護するために、電池モジュール115の底部又は下にシールドを含み得る電池パック110は、少なくとも1つの冷却板215も含み得る熱/温度制御又は熱交換システムの一部として、電池パック110を通して流体を分配することができる少なくとも1つの冷却ライン210を含み得る。冷却板215は、数ある可能性の中でもとりわけ、上部サブモジュールと下部サブモジュールとの間など、上部サブモジュール及び下部サブモジュールに対して位置付けられ得る。電池パック110は、任意の数の冷却板215を含み得る。例えば、電池パック110ごとに、又は電池モジュール115ごとに1つ以上の冷却板215があり得る。少なくとも1つの冷却ライン210は、冷却板215と結合され得るか、その一部であり得るか、又はそれから独立し得る。
【0045】
図5は、例示的な電池モジュール115を示す。電池モジュール115は、少なくとも1つのサブモジュールを含み得る。例えば、電池モジュール115は、少なくとも1つの第1の(例えば、上部)サブモジュール220又は少なくとも1つの第2の(例えば、下部)サブモジュール225を含み得る。少なくとも1つの冷却板215が、上部サブモジュール220と下部サブモジュール225との間に配置され得る。例えば、1つの冷却板215は、1つの電池モジュール115と熱交換するように構成され得る。冷却板215は、上部サブモジュール220及び下部サブモジュール225内に配置され得るか、又はそれらの間に熱的に結合され得る。1つの冷却板215はまた、2つ以上の電池モジュール115(又は2つ以上のサブモジュール220、225)と熱的に結合され得る。電池サブモジュール220、225は、集合的に1つの電池モジュール115を形成し得る。いくつかの実施形態では、各サブモジュール220、225は、サブモジュールではなく、完全な電池モジュール115とみなされ得る。
【0046】
電池モジュール115は、各々複数の電池セル120を含み得る。電池モジュール115は、電池パック110のハウジング205内に配置され得る。電池モジュール115は、円筒形セル、角形セル、又は他の形状因子セルである電池セル120を含み得る。電池モジュール115は、電池セル120のモジュラユニットとして動作し得る。例示として、電池モジュール115は、電池モジュール115に含まれる電池セル120から電流又は電力を収集し得、電池パック110からの出力として電流又は電力を提供し得る。電池パック110は、任意の数の電池モジュール115を含み得る。例えば、電池パックは、ハウジング205中に配置された1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12個、又は他の数の電池モジュール115を有し得る。また、各電池モジュール115は、上部サブモジュール220及び下部サブモジュール225を含み得、場合によっては、上部サブモジュール220と下部サブモジュール225との間に冷却板215を有することに留意されたい。電池パック110は、電池モジュール115の位置付けのための複数の領域を含むか、又は画定し得る。電池モジュール115は、正方形、長方形、円形、三角形、対称形、又は非対称形であり得る。いくつかの実施形態では、電池モジュール115は、数ある可能性の中でもとりわけ、いくつかの電池モジュール115が長方形であるが、他の電池モジュール115が正方形であるなど、異なる形状であり得る。電池モジュール115は、複数の電池セル120のための複数のスロット、ホルダ、又は容器を含むか、又は画定し得る。
【0047】
上述したように、電池セル120は、種々の形状因子、形状、又はサイズを有する。例えば、電池セル120は、円筒形、長方形、正方形、立方体、平坦、又は角形の形状因子を有し得る。図6A図6B、及び図6Cは、そのような様々な形状因子の電池セル120の例示的な断面図を示す。例えば、図6Aは、円筒形セルであり、図6Bは、角形セルであり、図6Cは、パウチで使用するためのセルである。電池セル120は、電解質材料を含む巻かれた又は積層された電極ロール(例えば、ゼリーロール)を少なくとも1つの電池セルハウジング230に挿入することによって組み立てられ得る。電解質材料、例えば、イオン伝導性流体又は他の材料は、電池セル120のための電力を生成又は提供し得る。電解質材料の第1の部分は、第1の極性を有し得、電解質材料の第2の部分は、第2の極性を有し得る。ハウジング230は、例えば円筒形又は長方形を含む様々な形状であり得る。電気的接続は、電解質材料と電池セル120の構成要素との間で行われ得る。例えば、電解質材料の少なくとも一部との電気的接続は、例えば、第1の極性端子235(例えば、正又はアノード端子)及び第2の極性端子240(例えば、負又はカソード端子)を形成するために、電池セル120の2つの点又は領域で形成され得る。極性端子は、電池セル120から電気車両105の構成要素又はシステムなどの電気負荷に電流を運ぶために、電気伝導性材料から作製され得る。
【0048】
図6A図6Cに示すように、電池セル120のハウジング230は、様々な電気伝導率若しくは熱伝導率、又はそれらの組み合わせを有する1つ以上の材料を含み得る。電池セル120のハウジング230のための電気伝導性及び熱伝導性材料は、とりわけ、アルミニウム、銅、ケイ素、スズ、マグネシウム、マンガン、又は亜鉛を含むアルミニウム合金(例えば、アルミニウム1000、4000、若しくは5000シリーズ)、鉄、鉄-炭素合金(例えば、鋼)、銀、ニッケル、銅、及び銅合金などの金属材料を含み得る。電池セル120のハウジング230のための電気絶縁性及び熱伝導性の材料は、とりわけ、セラミック材料(例えば、窒化ケイ素、炭化ケイ素、炭化チタン、二酸化ジルコニウム、酸化ベリリウムなど)及び熱可塑性材料(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、又はナイロン)を含み得る。
【0049】
電池セル120は、ハウジング230によって画定されるキャビティ250内に配置され得る少なくとも1つのアノード層245を含み得る。アノード層245は、電池セル120の動作(例えば、電池セル120の充電又は放電)中に、電流を電池セル120内に受け取り、電子を出力することができる。アノード層245は、活性物質を含み得る。
【0050】
電池セル120は、少なくとも1つのカソード層255(例えば、コンポジットカソード層、複合カソード層、複合カソード、コンポジットカソード、又はカソード)を含み得る。カソード層255は、キャビティ250内に配置され得る。カソード層255は、電池セル120から電流を出力することができ、電池セル120の放電中に電子を受け取ることができる。カソード層255はまた、電池セル120の放電中にリチウムイオンを放出することができる。逆に、カソード層255は、電流を電池セル120に受け取ることができ、電池セル120の充電中に電子を出力することができる。カソード層255は、電池セル120の充電中にリチウムイオンを受け取ることができる。
【0051】
電池セル120は、キャビティ250内に配置された、Liイオン電池の場合は液体電解質を含むポリマーセパレータ、又は固体電池の場合は電解質層260を含み得る。セパレータ又は固体電解質層260は、アノード層245とカソード層255との間に配設されて、アノード層245とカソード層255とを分離し得る。液体又は固体電解質は、電池セル120の放電動作中にアノード層245からカソード層255にカチオン(例えば、Liイオン)を移動させることができ、充電中にはその逆も可能である。
【0052】
図6Bは、角形電池セル120の図である。角形電池セル120は、剛性筐体を画定するハウジング230を有し得る。ハウジング230は、とりわけ、三角形、正方形、長方形、五角形などの多角形ベースを有し得る。例えば、角形電池セル120のハウジング230は、長方形のボックスを画定し得る。角形電池セル120は、ハウジング230内に配置された少なくとも1つのアノード層245、少なくとも1つのカソード層255、及び少なくとも1つの電解質層260を含み得る。角形電池セル120は、複数のアノード層245、カソード層255、及び電解質層260を含み得る。例えば、層245、255、260は、積み重ねられ得るか、又は平坦化された螺旋の形態であり得る。角形電池セル120は、アノードタブ265を含み得る。アノードタブ265は、アノード層245に接触し、角形電池セル120と外部構成要素との間のエネルギー移動を容易にし得る。例えば、アノードタブ265は、ハウジング230から出るか、又は正端子235と電気的に結合して、角形電池セル120と外部構成要素との間でエネルギーを移動させ得る。
【0053】
電池セル120はまた、圧力ベント270を含み得る。圧力ベント270は、ハウジング230内に配置され得る。圧力ベント270は、電池セル120内の圧力が増加するにつれて、電池セル120に圧力解放を提供し得る。例えば、電池セル120のハウジング230内にガスが蓄積することがある。圧力ベント270は、電池セル120内の圧力が閾値に達したときにガスがハウジング230から出るための経路を提供し得る。
【0054】
このように一般的に記載された本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解されるが、これらの実施例は例示のために提供され、本発明を限定することを意図しない。
【実施例0055】
一般。機械学習アルゴリズムと組み合わせた第一原理密度関数理論(First-principles density functional theory、DFT)ベースの方法論を使用して、本明細書に記載のリン酸鉄リチウム材料を修飾するための所望の特性を示す材料を決定、理解、及び事前選択することができる。DFTアルゴリズムを使用して材料の熱力学的安定性を計算し、安定な基底状態構造対高エネルギー構造を削る材料を識別する。DFTアルゴリズムは、以下の式による内部DFTエネルギー(E)計算から得られたギブズ自由エネルギー(ΔG)を使用することによって、LiM Fe1-xPO材料のx=x及びxの間の平均電圧
【0056】
【数1】
などの電気化学的特性を決定するためにも使用され得る:
【0057】
【数2】
【0058】
DFTを使用して、様々な候補材料を識別した。表1は、ドープされた材料の潜在的な候補のリストである。
【0059】
表1.LiFePOカソード活性材料中のドーパントとしての包含又はその上のコーティングのために考慮され得るリチウム金属リン酸塩のリスト。表は、基準LiFePOと比較した各々の伝導率及び動作電圧を含む。
【0060】
【表1】
【0061】
イオン伝導率は、Liイオンがホスト電極構造に出入りする速度を決定するための重要な尺度である。図7は、LiFePO(M=Fe、Mnなど)カソード材料の概略図である。カソード構造において、Liイオンは、(010)方向、すなわち、1D Liチャネルを介して、ページの内外に向かって出入りする。
【0062】
図8は、カソード材料中のLiイオン拡散を説明する概略図である。純粋なカソード材料において、Liイオンは、LiイオンがFeO及びPO多面体単位によって取り囲まれている(010)方向を通って移動する。新たなドーパントが金属サイトに導入される場合、LiイオンとFeO八面体との間の局所的な原子相互作用は、それに応じて影響を受け得る。同時に、局所的な構造の歪みは、Liイオン拡散チャネルの厚さ、長さ、及び/又は形状に著しく影響を及ぼし得る。
【0063】
図9は、純粋なカソード材料(左)及びドープされたカソード材料(右)の原子構造の比較である。以下で実証するように、FeO、PO、及びLiイオン間の局所的相互作用は、(遷移)金属副格子における急激な構造歪みのために影響を受ける。図10は、(010)方向における、純粋なカソード材料とドープされたカソード材料との間のLiイオン拡散のエネルギー障壁の図である。エネルギー障壁が低いほど、材料内でのLiイオン拡散が容易になる。図11は、異なる充電状態(state of charge、SOC)におけるハイブリッドパルス電力特性評価(hybrid pulse power characterization、HPPC)測定である。HPPC試験は、EVセルの使用可能な電圧範囲にわたる電力能力を決定するのに役立ち得る。短い放電パルスは、加速中及び回生制動(regenerative breaking)中にEVで発生する場合がある充電/放電プロセスを模倣する抵抗(すなわち、V=I*R)を生成する。典型的には、より低い抵抗がより有益であり、EV加速及び性能を支援することができる。
【0064】
図12は、電気化学インピーダンス分光測定のグラフである。図において、半円(典型的には2つの半円、又は一方が他方よりもはるかに小さい場合には1つ)は、固体電解質界面(solid-electrolyte interface、SEI)抵抗及び電荷移動抵抗を指す。半円が小さいほど、SEI及び/又は電荷移動抵抗は小さい。図12では.LFPは、修飾LFP(円)よりも大きい半円(菱形)を有する。Warbugインピーダンスは、45度の角度のフェーズを有する直線を与える。図12では、LFP(菱形)及び修飾LFP(円)について直線が示されており、ここで半円が終わる。より高い勾配は、より良好な固体状態拡散を示す。全体として、修飾LFPは、より低いSEI及び電荷移動抵抗を有するが、固体拡散は、純粋な試料と同様であり、角度は互いに同様であり、約30~40度である。要約すると、修飾LFP(円)の全体的な抵抗は、純粋なLFP(菱形)よりもはるかに低いことが分かる。
【0065】
図13は、拡散率に対する粒径の影響を示す。修飾LFPでは、拡散率は、より高い(約10-13/s)が、純粋なLFPの拡散率は、より低い(約10-18/s)。平均粒径が100nmである場合、そのような拡散率の差は、左パネルに示されるように、完全な容量を得るためにあまり差を生じない。しかしながら、平均粒径がより大きい(例えば、1μm)場合、拡散長は長いが拡散性が低いので、放電容量の一部分しか得ることができない(右パネルに示すように)。
【0066】
図14は、電子伝導率対1/Tの対数である(すなわち、「アレニウスプロット(Arrehenius plot)」)。この図は、試験されている様々なLFP材料の伝導率の強い温度依存性を示す。例えば、純粋なLFPは、最も低い電子伝導率を有するが、修飾LFPは、全ての温度範囲でより高い伝導率を有する。
【0067】
実験手順。LFP前駆体材料は、5分~24時間変動する混合時間で溶液ベースのアプローチを使用して別の標的金属ドーパントと混合される。リチウム源には、LiCO、LiPO、LiOH、LiHCO、又はそれらの任意の2つ以上の混合物が含まれる。金属源は、純粋な金属粉末、酸化物(MO)、硝酸塩(M(NO)、塩化物(MCl)、硫酸塩(M(SO)などの形態である。新しいM-P-O中間前駆体を形成するために、PO源には、HPO、(NHHPO、NHPOが含まれるが、これらに限定されない。溶液のpHは、酸/塩基及び/又は酸化/還元剤の存在によって制御され得る。
【0068】
次いで、混合物を乾燥させ、高温でアニールする。例えば、以下の値:50、75、100、125、150、200、400、500、600、700、800、及び900℃のいずれか2つの任意の範囲で、又はその間である。熟成時間(MPO前駆体の混合から単離までの時間)は、以下の値:1、2、3、4、5、10、20、30、40、及び50分、又は、1、2、3、4、8、12、16、若しくは24時間のいずれか、又はそれらの値のいずれか2つの値の範囲内であり得る。反応時間、前駆体、温度などを変化させることは、LFP中のFeとドーパントとの間の混合傾向に影響を及ぼす。典型的には、還元熱処理条件は、N、H、CO、CO、又はそれらの任意の2つ以上の混合物を含むがこれらに限定されない異なるガス剤、並びにスクロース、グルコース、クエン酸、オレイン酸、アセチレンブラック、クエン酸、シュウ酸、L-アスコルビン酸、又はそれらの任意の2つ以上の混合物を含むがこれらに限定されない炭素含有炭化水素源の存在によって制御され得る。
【0069】
修飾され、金属ドープされたLFP系カソードを含有する活性材料は、NMP(N-メチルピロリドン)溶液中で炭素/CNTなどの伝導剤及び結合剤材料と混合してスラリーを形成し得る。次いで、スラリーを炭素コーティングされたAl箔上にコーティングし、次いで、オーブン中で乾燥させてNMPを除去し得る。カソード材料のローディングレベルは、約10~40mg/cmであり得、一方、材料の充填密度は、1.5~4.0g/ccで変動し得る。
【0070】
電極は、Liイオン電池中のカソードとして組み立てられ得、アノード材料は、Li金属、グラファイト、Si、SiO、Siナノワイヤ、リチウム化Si、又はそれらの任意の2つ以上の混合物を含み得る。炭酸塩溶液に溶解されたLiPF塩を有する従来の液体電解質が使用され得る。一実施形態では、アノード側でのSEI形成のためのLi損失に対応するために、ある量の犠牲Li塩を添加し得る。
【0071】
別の実施形態では、固体電解質は、液体電解質の代替物として、酸化物、硫化物、又はリン酸塩ベースの結晶性材料を含む。セル構成は、角型、円筒型、又はパウチ型であり得る。各セルは更に、所望の電力出力を有するパック、モジュール、又はスタックを設計するように一緒に構成することができる。
【0072】
特定の実施形態を例示及び説明してきたが、以下の特許請求の範囲において定義されるようなそのより広い態様における技術から逸脱することなく、当業者に従ってその中で変更及び修正を行うことができることを理解されたい。
【0073】
本明細書に例示的に説明された実施形態は、本明細書に具体的に開示されていない任意の1つ又は複数の要素、1つ又は複数の限定の非存在下で好適に実施され得る。したがって、例えば、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含有する(containing)」などの用語は、拡張的に、かつ限定なしに読まれるものとする。更に、本明細書で用いられる用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、そのような用語及び表現の使用において、図示及び説明される特徴又はその一部の任意の均等物を除外する意図はないが、特許請求される技術の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。更に、「本質的に~からなる」という句は、具体的に列挙された要素、及び特許請求される技術の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない追加の要素を含むと理解される。「からなる」という句は、指定されていないあらゆる要素を除外する。
【0074】
本開示は、本出願に記載される特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかなように、多くの修正及び変形は、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。本明細書に列挙されたものに加えて、本開示の範囲内の機能的に等価な方法及び組成物は、前述の説明から当業者に明らかであろう。そのような修正及び変形は、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲が権利を与えられる均等物の全範囲とともに、そのような特許請求の範囲の用語によってのみ限定されるべきである。本開示は、当然変動し得る特定の方法、試薬、化合物、又は組成物に限定されないことが理解されるべきである。また、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図していないことも理解されたい。
【0075】
加えて、本開示の特徴又は態様がマーカッシュ群に関して記載される場合、当業者は、本開示が、それによって、マーカッシュ群の任意の個々のメンバ又はメンバのサブグループに関しても記載されることを認識するであろう。
【0076】
当業者によって理解されるように、任意の及び全ての目的のために、特に書面による説明を提供することに関して、本明細書に開示される全ての範囲は、任意の及び全ての可能な部分範囲並びにその部分範囲の組み合わせも包含する。任意の列記された範囲は、同じ範囲が少なくとも等しい半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分解されることを十分に説明し、可能にするものとして容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で考察される各範囲は、下3分の1、中3分の1、上3分の1などに容易に分解することができる。また、当業者によって理解されるように、「最大」、「少なくとも」、「よりも大きい」、「よりも小さい」などの全ての文言は、列挙された数を含み、その後、上記で考察されるような部分範囲に分解することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、各々の個々のメンバを含む。
【0077】
本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、発行された特許、及び他の文書は、個々の各々の刊行物、特許出願、発行された特許、又は他の文書が、その全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれるテキストに含有される定義は、本開示における定義と矛盾する範囲で除外される。
【0078】
他の実施形態は、以下の特許請求の範囲に記載される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14