(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024074695
(43)【公開日】2024-05-31
(54)【発明の名称】カメラ、列車、および監視システム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20240524BHJP
B61L 25/02 20060101ALI20240524BHJP
B61D 37/00 20060101ALI20240524BHJP
【FI】
H04N7/18 D
B61L25/02 Z
B61D37/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022186023
(22)【出願日】2022-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】000005119
【氏名又は名称】日立造船株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】岡田 紀之
(72)【発明者】
【氏名】鈴岡 和典
(72)【発明者】
【氏名】北尻 明広
(72)【発明者】
【氏名】辻本 裕也
【テーマコード(参考)】
5C054
5H161
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054CE04
5C054FE17
5C054HA30
5H161AA01
5H161BB20
5H161CC20
5H161DD07
5H161DD20
5H161FF07
(57)【要約】
【課題】複数の車側カメラを車両に設置するときの配線等の設備を簡略化することができる車側カメラを実現する。
【解決手段】カメラ(C11)は、列車(1)が備える複数のドア(101~106、201~206)から乗降する撮像対象を撮像する双眼方式のカメラであって、第1光軸(AX1)および第1焦点距離を有する第1カメラ(11N)と、前記第1光軸と平行でない第2光軸(AX2)および前記第1焦点距離よりも長い第2焦点距離を有する第2カメラ(11D)とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車が備える複数のドアから乗降する撮像対象を撮像する双眼方式のカメラであって、
第1光軸および第1焦点距離を有する第1カメラと、
前記第1光軸と平行でない第2光軸および前記第1焦点距離よりも長い第2焦点距離を有する第2カメラとを備えるカメラ。
【請求項2】
前記第1カメラおよび前記第2カメラが固定される基板を備え、
前記基板における前記第1カメラの固定位置を変えることにより前記第2光軸に対する前記第1光軸の角度を調整可能である、請求項1に記載のカメラ。
【請求項3】
乗降用の複数のドアが設けられた列車であって、
前記列車の第1端部における側面に設けられ、前記列車の第2端部側を向いて、前記複数のドアのうちの少なくとも一部のドアから乗降する撮像対象を撮像する第1カメラおよび第2カメラを備え、
前記第1カメラは、第1光軸および第1焦点距離を有し、
前記第2カメラは、第2光軸を有するとともに、前記第1焦点距離よりも長い第2焦点距離を有し、
前記第2光軸と水平方向とがなす角度は、前記第1光軸と水平方向とがなす角度よりも小さい、列車。
【請求項4】
少なくとも1つの前記ドアをそれぞれ備える第1車両および第2車両を備え、
前記第1カメラおよび前記第2カメラは、前記第1車両に設けられており、
前記第2カメラは、前記第2車両が備える前記ドアから乗降する撮像対象を撮像する、請求項3に記載の列車。
【請求項5】
乗降用の複数のドアが設けられた列車における監視システムであって、
前記列車は、複数の車両を有しており、
前記車両の第1端部における側面に設けられ、前記車両の第2端部側を向いて、前記複数のドアのうちの少なくとも一部のドアから乗降する撮像対象を撮像する第1カメラおよび第2カメラと、
前記第1カメラおよび前記第2カメラの撮像データが示す像をそれぞれ表示する表示装置と、を備え、
前記第1カメラは、第1光軸および第1焦点距離を有し、
前記第2カメラは、第2光軸を有するとともに、前記第1焦点距離よりも長い第2焦点距離を有し、
前記第2光軸と水平方向とがなす角度は、前記第1光軸と水平方向とがなす角度よりも小さい、監視システム。
【請求項6】
前記表示装置は、複数の前記車両のうち、前記第1カメラおよび前記第2カメラが設けられた特定車両に設置されており、
前記第1カメラおよび前記第2カメラと前記表示装置とを互いに接続する配線を前記特定車両内にのみ有する、請求項5に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、カメラ等に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両のドア付近に設置されたドアカメラによって撮像されたドアカメラ映像を運転室のモニタに表示させる監視システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、列車を構成する各車両における左右の外壁面それぞれにドアカメラを設置するとともに、多数のドアカメラのそれぞれにて撮像された映像データをモニタに伝送している。そのため、列車に設置する複数のドアカメラの台数に対応して、各車両の外壁にドアカメラを取り付ける施工を要する。また、複数のドアカメラのそれぞれとモニタとを接続する伝送装置および種々の電気配線を含むネットワークを形成することにより、車両内の配線構造が複雑化する。
【0005】
車両の外壁に設置されるカメラは、車両側面カメラ(車側カメラ)と称される。本発明は、複数の車側カメラを車両に設置するときの配線等の設備を簡略化することができる車側カメラを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るカメラは、列車が備える複数のドアから乗降する撮像対象を撮像する双眼方式のカメラであって、第1光軸および第1焦点距離を有する第1カメラと、前記第1光軸と平行でない第2光軸および前記第1焦点距離よりも長い第2焦点距離を有する第2カメラとを備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る列車は、乗降用の複数のドアが設けられた列車であって、前記列車の第1端部における側面に設けられ、前記列車の第2端部側を向いて、前記複数のドアのうちの少なくとも一部のドアから乗降する撮像対象を撮像する第1カメラおよび第2カメラを備え、前記第1カメラは、第1光軸および第1焦点距離を有し、前記第2カメラは、第2光軸を有するとともに、前記第1焦点距離よりも長い第2焦点距離を有し、前記第2光軸と水平方向とがなす角度は、前記第1光軸と水平方向とがなす角度よりも小さい。
【0008】
また、本発明の一態様に係る監視システムは、乗降用の複数のドアが設けられた列車における監視システムであって、前記列車は、複数の車両を有しており、前記車両の第1端部における側面に設けられ、前記車両の第2端部側を向いて、前記複数のドアのうちの少なくとも一部のドアから乗降する撮像対象を撮像する第1カメラおよび第2カメラと、前記第1カメラおよび前記第2カメラの撮像データが示す像をそれぞれ表示する表示装置と、を備え、前記第1カメラは、第1光軸および第1焦点距離を有し、前記第2カメラは、第2光軸を有するとともに、前記第1焦点距離よりも長い第2焦点距離を有し、前記第2光軸と水平方向とがなす角度は、前記第1光軸と水平方向とがなす角度よりも小さい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、複数の車側カメラを車両に設置するときの配線等の設備を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1における列車の外観構成を概略的に示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態1におけるカメラの外観構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態1におけるカメラの外観構成を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施形態1におけるカメラの外観構成を示す底面図である。
【
図5】本発明の実施形態1におけるカメラの内部構成の一例を示す斜視図である。
【
図6】本発明の実施形態1におけるカメラの内部構成の一例を示す平面図である。
【
図7】本発明の実施形態1におけるカメラが備える第1カメラおよび第2カメラの撮像視野について説明するための模式図である。
【
図8】本発明の実施形態2における列車の外観構成を概略的に示す側面図である。
【
図9】本発明の実施形態3における監視システムの構成を示す機能ブロック図である
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。但し、以下の記載は発明の趣旨をより良く理解させるためのものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、実施形態を説明する上で必要な主要部材のみを簡略化して示したものであり、公知の技術的事項については、簡潔化のために説明を適宜省略する。よって、本実施形態におけるカメラ等は、参照する各図に示されていない公知の構成部材を任意に備えていてよい。また、各図中の部材の形状および寸法は、実際の形状および寸法を必ずしも反映させたものではなく、図面の明瞭化および簡略化のために適宜変更している。
【0012】
本実施形態では、例えば、普通鉄道にて運行される列車を構成する複数の鉄道車両の側面(車体の外壁面)に設置される車側カメラについて説明する。以下の説明では、鉄道車両を単に車両と略記し、車側カメラを単にカメラと略記することがある。また、本実施形態におけるカメラおよび監視システムは、鉄道車両以外の車両にも適宜適用できる。例えば、路面電車、無軌条電車(トロリーバス)等における車両に適用できる。また、連節バス等の車両に適用できる。
【0013】
以下の説明においては、先ず、本実施形態におけるカメラが設置される列車の概要およびその利点について説明し、その後、カメラの具体例について説明する。
【0014】
<列車の概要>
図1は、本実施形態における列車1の外観構成を概略的に示す模式図である。
図1の符号1001を付した図は列車1の構成を模式的に示す平面図であり、
図1の符号1002を付した図は列車1の構成を模式的に示す側面図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態における列車1は、第1車両V1および第2車両V2からなる2両編成であり、第1車両V1および第2車両V2は、連結部30を介して互いに連結されている。連結部30の具体的な構造は特に限定されず、公知の構造を適用できる。また、列車1は2両編成に限定されず、3両編成または4両編成であってよい。列車1は、5両以上の車両が連結されていてもよい。例えば列車1が3両以上の車両編成である場合、第1車両V1は、車両編成における先頭または最後尾の車両であってよく、先頭車両と最後尾車両との間に位置する中間車両であってもよい。第1車両V1は、動力を有する付随車または動力を有しない付随車であってもよい。第2車両V2は、第1車両V1よりも前方または後方に位置して第1車両V1に隣接する車両であってよい。以下の説明を参照して、列車1に含まれる車両の台数に応じて、後述するカメラを適切な間隔で適宜設置することができ、そのような複数台のカメラが設けられた態様(換言すれば複数の第1車両V1を有する列車)においても後述の各実施形態と同じ効果を奏することを容易に理解できる。
【0016】
図1に示す例では、第1車両V1は、列車1の進行方向D1側に位置する先頭車両である。駅の構内において列車1が停車した状態となっており、進行方向D1に向いて列車1の左側にプラットホームPFが位置している。以下では、列車1の第1車両V1および第2車両V2のそれぞれについて、進行方向D1側を前方側、その反対側を後方側と称することがある。進行方向D1に沿って長手方向に伸びる各車両における一方の側の端部を第1端部E1と称し、反対側の端部を第2端部E2と称する。
図1では、図示の平明化のために、第1車両V1における前方側に位置する第1端部E1と、第2車両V2における後方側に位置する第2端部E2と、について参照符号を図示している。
【0017】
第1車両V1は、一方の側面において前方から後方に向かって3つのドア101,102,103を順に備え、他方の側面において前方から後方に向かって3つのドア104,105,106を順に備えている。第1車両V1は、例えば、車内の前方側にモニタ(表示装置)120が設置されていてよく、当該モニタ120は運転席(図示省略)に設置されていてよい。
【0018】
本実施形態における列車1では、第1車両V1と第2車両V2とは、互いに同一または実質的に同じ構造を有していてよい。つまり、第1車両V1を前後反転した車両が第2車両V2であってよい。第2車両V2は、ドア201,202,203を備えており、これらはそれぞれ第1車両V1のドア101,102,103に対応していてよい。また、第2車両V2は、ドア204,205,206を備えており、これらはそれぞれ第1車両V1のドア104,105,106に対応していてよい。第2車両V2は、後方側にモニタ220を備えていてよく、当該モニタ220は第1車両V1のモニタ120に対応していてよい。以下の説明において第1車両V1について説明することは、第2車両V2についても格別の記載が無い限り同じである。それゆえ、第2車両V2についての詳細な説明は省略する。
【0019】
近年、例えば地方路線等にて運行される列車1について、利用客(乗客)の乗り降りの確認(換言すれば安全確認)を行うためにドアカメラを用いることに対する要望がある。これは、地方路線等では、列車1がワンマン列車であること、すなわち列車1の乗務員が1人であることが多いためである。
【0020】
列車1の進行方向は逆転することがあり、駅の形状に応じてプラットホームPFの位置は変化する。また、通常、進行方向に対して後方を確認する向きの撮像視野にて撮像した映像をモニタに表示させることが、車両の運転手に違和感を生じさせにくい。そのため、例えば、第1車両V1における前方側の左右側面および後方側の左右側面、すなわち第1車両V1の平面視における四隅の位置それぞれにドアカメラを設置することが想定される。
【0021】
しかしながら、例えば第1車両V1および第2車両V2のそれぞれの4隅にドアカメラを設置する場合、合計8台のドアカメラを車両外壁に取り付ける施工および各ドアカメラへの電気配線の施工を要する。さらに、第2車両V2に設置したドアカメラから第1車両V1のモニタ120までネットワークケーブルを引き回すとともに、連結部30では例えばジャンパ線を用いて車両間をケーブル接続することも要する。
【0022】
本発明者らは鋭意検討を行い、上記のような新規な課題に着眼して本発明を想到した。本実施形態における列車1では、第1端部E1における一方の側面にカメラC11が設けられ、他方の側面にカメラC12が設けられている。カメラC11およびカメラC12は、ドアおよびその周辺を車外から撮像する車側カメラである。
図1に示す例では、進行方向D1を向いて左側(プラットホームPF側)の側面に、列車1の第2端部E2側を向いてカメラC11が設けられている。カメラC11は、例えば乗務員扉(図示省略)の上方に位置していてよい。
【0023】
以下の説明においてカメラC11について説明することは、カメラC12についても格別の記載が無い限り同様である。そのため、カメラC12について説明を繰り返すことは省略する。また、第2車両V2には、カメラC21およびカメラC22が設けられており、これらはそれぞれ第1車両V1のカメラC11およびカメラC12に対応していてよい。そのため、カメラC21およびカメラC22について説明を繰り返すことは省略する。
【0024】
カメラC11は、第1カメラ11Nと、第1カメラ11Nよりも比較的遠方を撮像するために用いられる第2カメラ11Dと、を備えている。カメラC11は、列車1が備える複数のドア(ドア101~103、ドア204~206)から乗降する撮像対象を撮像する。カメラC11は、1つの筐体5内に第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dが収納された、いわゆる双眼方式のカメラである。撮像対象は人であってよく、各種の移動可能な物体であってよい。
図1では、撮像対象として利用客P1および利用客P2を例示しているが、上記物体としては、動物(例えば補助犬)または自立走行型若しくは遠隔操作型の移動機械(例えば搬送ロボット)等が挙げられる。
【0025】
第1カメラ11Nは、第1光軸および第1焦点距離を有し、第2カメラ11Dは、上記第1光軸と平行でない第2光軸および上記第1焦点距離よりも長い第2焦点距離を有する。カメラC11は、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dの光軸が互いに交差している点で、双眼方式のカメラの一種であるステレオカメラとは異なる。
【0026】
上記第1光軸および第2光軸の向きはそれぞれ第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dにおけるレンズの向きに対応する。また、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dの焦点距離はそれぞれのカメラのレンズ構成に対応する。一般に、焦点距離が長くなるほど、画角は狭くなる。
【0027】
第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dは、筐体5内における設置角度およびレンズ構成等によって決定される撮像視野を所定のフレームレートにて撮像することができる。第1カメラ11Nの撮像視野には、列車1におけるカメラC11が設置されている側に位置する、第1車両V1が有する複数のドア(ドア101,102,103)およびその周辺が含まれる。第2カメラ11Dの撮像視野には、列車1におけるカメラC11が設置されている側に位置する、第2車両V2が有する複数のドア(ドア206,205,204)およびその周辺が含まれる。
【0028】
図1では、第1カメラ11Nの撮像視野に含まれる視認エリアA1を長鎖線にて示している。この視認エリアA1は、模式的な領域であるが、例えば、視認エリアA1における最後尾は、第1カメラ11Nの被写界深度の範囲における遠方側の限界部分に対応していてよい。視認エリアA1には、安全確認等のために第1車両V1の近くに利用客P1が存在するか否かを確認すべき領域である第1監視領域が含まれる。このような第1監視領域について、
図1の符号1002で示す図に右上がり斜線ハッチングにて仮想的に示している。
【0029】
また、
図1では、第2カメラ11Dの撮像視野に含まれる視認エリアA2を一点鎖線にて示している。この視認エリアA2は、模式的な領域であるが、例えば、視認エリアA2における最後尾は、第2カメラ11Dの被写界深度の範囲における遠方側の限界部分に対応していてよい。視認エリアA2には、安全確認等のために第2車両V2の近くに利用客P2が存在するか否かを確認すべき領域である第2監視領域が含まれる。このような第2監視領域について、
図1の符号1002で示す図に左上がり斜線ハッチングにて仮想的に示している。
【0030】
第1車両V1内には伝送装置110が設けられていてよく、カメラC11およびカメラC12とモニタ120とは、伝送装置110を介してネットワークケーブル等により接続されていてよい。
【0031】
上記の構成によれば、焦点距離が相対的に短い第1カメラ11Nにより、カメラC11の設置位置に近い視認エリアA1の画像を撮像し、焦点距離が相対的に長い第2カメラ11Dにより、カメラC11の設置位置から遠い視認エリアA2の画像を撮像することができる。第2カメラ11Dの画角は、第1カメラ11Nの画角よりも狭くなるが、第1光軸と第2光軸とが平行でないため、所望の撮像範囲を第2カメラ11Dの画角内に収めることが可能となる。
【0032】
列車1における各車両の離れた箇所に車側カメラ(ドアカメラ)をそれぞれ設置する場合よりも、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dを備える1つのカメラC11を第1車両V1に設置することにより、配線等の設備を簡略化することができる。そのため、電気配線および電子機器等の使用量を低減できる。そして、車側カメラを設置する施工を削減することにより、省コストを実現できる。さらに、列車1では、第2車両V2のドアカメラの映像データをモニタ120に伝送することを不要にできる。その結果、第1車両V1と第2車両V2とで互いに個別のネットワークを形成してもよい。したがって、第1車両V1の車内の配線構造を効果的に簡素化することができる。
【0033】
なお、列車1は、カメラC21およびカメラC22を備えていなくてもよい。列車1の進行方向D1が所定の向きに固定されていてもよい。また、列車1が進行方向D1とは反対側に進行してもよく、すなわち第2車両V2が先頭車両になっていてもよく、この場合、モニタ220にカメラC11およびカメラC12の映像が表示可能となるようにネットワークが形成されていてもよい。つまり、進行方向に対して前方側を確認する向きの撮像視野にて撮像した映像をモニタに表示させてもよい。これにより、カメラの設置台数をさらに低減することもできる。
【0034】
<カメラ>
本実施形態におけるカメラC11の具体的構成の一例について、
図2~6を参照して以下に説明する。
図2は、本実施形態におけるカメラC11の外観構成を示す斜視図である。
図3は、カメラC11の外観構成を示す正面図である。
図4は、カメラC11の外観構成を示す底面図である。
図4では、カメラC11が第1車両V1に取り付けられる前の状態を示している。
図5は、カメラC11の内部構成の一例を示す斜視図である。
図6は、カメラC11の内部構成の一例を示す平面図である。
図5、6では、筐体の一部(蓋部)を除去した状態を示している。
【0035】
図2~6に示すように、カメラC11は、例えば、第1車両V1の側面を構成する外側壁W1に設置することができる。カメラC11は、筐体5を備えており、筐体5は、その内部に第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dを水密に収容することができる。筐体5は、例えば、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dが固定される基板60と、基板60の一方の表面60Aを覆うとともに筐体5の内部空間を形成する形状の蓋部70とを含む。本実施形態におけるカメラC11では、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dは、基板60に固定されたカメラモジュールであってよい。
【0036】
蓋部70は、蓋本体部71と窓部75とを有していてよい。蓋本体部71は、フランジ部72を有しており、当該フランジ部72を利用して、外側壁W1にカメラC11がネジ等により固定されてよい。蓋本体部71は、蓋部70と基板60とが組み合わされた状態において、基板60の外縁近傍(窓部75が取り付けられる正面部分を除く)にフランジ部72が位置する形状を有していてよい。
【0037】
窓部75は、光学窓76と、光学窓76の外縁を周囲して保持する枠部77とを有する。窓部75は、第1カメラ11Nの第1光軸AX1および第2カメラ11Dの第2光軸AX2の両方が1つの光学窓76を通過するように、カメラC11における正面側に位置している。光学窓76は中空部ではなく実体を有しており、光透過性材料により形成されている。光透過性材料としては、ガラス、樹脂等が挙げられる。枠部77を利用して、蓋本体部71に窓部75がネジ等により固定されることにより、蓋部70が形成される。蓋部70は、蓋本体部71と窓部75との間にパッキン(図示省略)が介在していてよい。
【0038】
基板60の表面60Aには、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dを取り付けるための取付部が設けられていてよい。
図5および
図6に示す例では、基板60の表面60Aには、取付部として、突出形状を有する複数個のボス(突出部)が設けられている。基板60は、表面60A上に形成された、(i)第1カメラ11Nを固定するために用いられる4つのボス61と、(ii)第2カメラ11Dを固定するために用いられる4つのボス62と、を有する。ボス61およびボス62はネジ穴を有する。
【0039】
第1カメラ11Nは、レンズ部81および基体部89を含む。レンズ部81は基体部89に取り付けられていてよい。基体部89の内部には、例えば第1素子部が設けられていてよい。当該第1素子部は、例えば、センサ基板、メモリ基板およびエンコーダ基板を含む。上記センサ基板および上記メモリ基板はコネクタにより互いに電気的に接続され、上記メモリ基板および上記エンコーダ基板は別のコネクタにより互いに電気的に接続されていてよい。
【0040】
レンズ部81および上記第1素子部としては公知の部品を用いることができ、具体的な構造は特に限定されない。概略的に説明すれば、レンズ部81は、第1光軸AX1および第1焦点距離を有しており、例えば複数のレンズにて構成されるレンズ群を含む単焦点レンズである。レンズ部81のレンズ構成によって第1焦点距離を調整することができる。
【0041】
上記センサ基板は、イメージセンサを含む回路基板であってよく、例えばCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサを含む。上記メモリ基板は、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)を含んでいてよく、メモリ(記憶素子)を含めた回路がFPGAによって構成されていてよい。上記メモリ基板は、上記センサ基板からデジタル信号として出力される画像データを保存する。上記エンコーダ基板には第1ケーブル(不図示)が接続されており、上記第1ケーブルは伝送装置110(
図1参照)に接続されている。上記エンコーダ基板は、上記メモリ基板から取得した画像データを所定のデータ形式にエンコードして、上記第1ケーブルを用いて伝送装置110(
図1参照)に出力する。上記第1ケーブルは、給電ケーブルおよび通信ケーブルを含んでいてよく、具体的な構成は特に限定されない。
【0042】
基体部89は、基板60の4つのボス61に対応するように設けられた、4つの取付部89Xを有している。取付部89Xは、ネジが挿通される孔部89Hを有している。取付部89Xの孔部とボス61のネジ穴との位置を合わせてねじ止めすることにより、第1カメラ11Nを基板60に固定できる。
【0043】
図5および
図6に示す例では、4つの取付部89Xのうちの1つである取付部89X1の孔部89Hは円形状であり、他の3つの取付部89X2の孔部89Hは、長軸を有する形状となっている。より詳しくは、取付部89X2の孔部89Hは、取付部89X1を回転中心として基体部89を多少回転させても取付部89X2とボス61とがねじ止め可能となるような遊び(位置調整領域)を有する孔形状を有している。これにより、基板60への基体部89の取付角度(すなわち第1カメラ11Nの取付角度)を或る程度調整することができる。取付部89X1は、4つの取付部89Xのうち、例えば、光学窓76に近い側かつ第2カメラ11Dに近い側に位置する取付部89Xであってよい。
【0044】
第2カメラ11Dは、レンズ部91および基体部99を含む。レンズ部91は基体部99に取り付けられていてよい。基体部99の内部には、例えば第2素子部が設けられていてよい。当該第2素子部は、例えば、センサ基板、メモリ基板およびエンコーダ基板を含む。第2カメラ11Dにおけるレンズ部91および上記第2素子部の概略については、上述の第1カメラ11Nのレンズ部81および上記第1素子部の説明を参照して理解できる。レンズ部91は、第2光軸AX2および第2焦点距離を有しており、例えば単焦点レンズであってよい。レンズ部91は、レンズ部81の第1焦点距離よりも長い上記第2焦点距離を有するレンズ構成となっている。上記第2素子部におけるエンコーダ基板には第2ケーブル(不図示)が接続されており、上記第2ケーブルは伝送装置110(
図1参照)に接続されている。上記第2ケーブルは、給電ケーブルおよび通信ケーブルを含んでいてよく、具体的な構成は特に限定されない。
【0045】
基体部99は、基板60の4つのボス62に対応するように設けられた、4つの取付部99Xを有している。取付部99Xは、ネジが挿通される孔部を有しており、取付部89Xの孔部とボス62のネジ穴との位置を合わせてねじ止めすることにより、第2カメラ11Dを基板60に固定できる。
【0046】
第2光軸AX2は、光学窓76の表面に垂直または略垂直であってよい。第1カメラ11Nは、光学窓76の表面に対して傾いて設置されていてよく、第1光軸AX1は光学窓76の表面に対して傾斜している。第1カメラ11Nの第1光軸AX1と第2カメラ11Dの第2光軸AX2とが互いに交差する角度をθ0と称する。角度θ0は鋭角である。角度θ0は、例えば10°以上45°以下であってよく、10°以上20°以下であってよい。
【0047】
上記のように、本実施形態におけるカメラC11は、基板60における第1カメラ11Nの固定位置を調節可能となっている。これにより、第2光軸AX2に対する第1光軸AX1の角度θ0を調整できる。そのため、第1カメラ11Nによって撮像できる範囲を簡易に調整することができる。また、第2カメラ11Dによって撮像できる範囲は、外側壁W1へのカメラC11の設置角度によって調整されてよい。
【0048】
第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dは、それぞれ基板60に対して垂直に取り付けられていてよく、基板60に対して多少の傾きを有するように取り付けられていてもよい。第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dは、それぞれレンズ部81およびレンズ部91が基板60から遠ざかる方向に傾くように、基板60に取り付けられていてよい。
【0049】
第1カメラ11Nにおける基板60に対する第1光軸AX1の傾きの角度を第1傾き角度、第2カメラ11Dにおける基板60に対する第2光軸AX2の傾きの角度を第2傾き角度と称する。第1傾き角度および第2傾き角度は、基板60を水平面とみなした場合の仰角を意味する。なお、カメラC11が第1車両V1に取り付けられた状態において、基板60に対する傾きは、外側壁W1に対する傾きに対応する。第1傾き角度は、第2傾き角度よりも大きくてよく、これにより、第1車両V1におけるドア(ドア101~103)の周辺のカメラC11による撮像範囲をより広くできる。例えば、第1傾き角度は5°であってよく、第2傾き角度は2°であってよい。
【0050】
第1カメラ11Nは、カメラC11が第1車両V1に取り付けられた状態において、第2カメラ11Dよりも、第1車両V1の鉛直方向(高さ方向)における上側に位置していてよい。これにより、筐体5内に第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dを比較的省スペースに収容し易くできる。
【0051】
カメラC11は、基板60における表面60Aから反対側の裏面60Bに貫通する孔部68を含んでいてよい。孔部68の個数は1つであってよく、複数であってもよい。上記第1ケーブルおよび上記第2ケーブルは、孔部68に挿通されて筐体5の外部に引き出されていてよい。孔部68には、例えばブッシング(套管)が設けられていてよい。
【0052】
基板60の表面60Aにおける周縁部にはパッキンPが設けられていてよく、蓋部70と基板60とをパッキンPを介して取り付けることにより、筐体5の水密性を高めることができる。カメラC11と外側壁W1との間に中間部材40(
図3参照)が介在していてもよい。中間部材40は、上記第1ケーブルおよび上記第2ケーブルの通路を有する、例えば金属板であってよい。
【0053】
(カメラの撮像視野の具体例)
図7は、本実施形態のカメラC11が備える第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dの撮像視野について説明するための模式図である。
図7の符号7001で示す図のように、第1カメラ11Nの画角をθ1と称する。第1カメラ11Nの焦点距離と画角θ1とは関連する。第1カメラ11Nは、第1車両V1の最も後方側のドア103の矩形状の開口面における後方側の長辺S12よりも奥側(後方側)が被写界深度に含まれるように、焦点距離が設定されていてよい。そして、第1カメラ11Nの撮像視野が、第1車両V1のドア(ドア101~103)の高さ位置H1よりも上方を含むとともに、第1車両V1の最も前方側のドア101の矩形状の開口面における前方側の長辺S11よりも手前側(前方側)を含むように、第1カメラ11Nの第1車両V1に対する取付角度および画角θ1が設定されていてよい。
図7に示す例では、画角θ1は58°である。
【0054】
図7の符号7002で示す図のように、第2カメラ11Dの画角をθ2と称する。第2カメラ11Dの焦点距離と画角θ2とは関連する。第2カメラ11Dは、第2車両V2の最も後方側のドア204の矩形状の開口面における後方側の長辺S22よりも奥側(後方側)が被写界深度に含まれ、かつ、第2車両V2の最も前方側のドア206の矩形状の開口面における前方側の長辺S21よりも手前側(前方側)が被写界深度に含まれるように、焦点距離が設定されていてよい。そして、第2カメラ11Dの撮像視野が、第2車両V2のドア(ドア204~206)の高さ位置H2よりも上方を含むとともに、上記長辺S21よりも手前側(前方側)を含むように、第2カメラ11Dの第1車両V1への取付角度および画角θ2が設定されていてよい。
図7に示す例では、画角θ2は10.5°である。
【0055】
上記のように第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dを第1車両V1に設置することによれば、前述したカメラC11としての効果を奏することができる。そのため、他の一実施形態では、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dは、1つの筐体5に収容されていなくてもよく、このことについて詳しくは実施形態2として後述する。
【0056】
(その他の構成)
(a)列車1における各車両(例えば第1車両V1および第2車両V2)に設けられるドアの数は特に限定されない。
【0057】
(b)上記第1ケーブルおよび上記第2ケーブルは、筐体5内で1本のケーブルに集約されてもよく、物理的に1本に束ねられて孔部68に挿通されてもよい。
【0058】
(c)第1カメラ11Nだけでなく第2カメラ11Dも基板60に対する取付角度が調整可能となっていてもよい。
【0059】
(d)第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dは、それぞれレンズ部81およびレンズ部91としてズームレンズを有していてもよく、この場合、「第1焦点距離よりも長い第2焦点距離を有する」とは、第1カメラ11Nの第1焦点距離よりも長くなるように、第2カメラ11Dの第2焦点距離を調節可能であることを意味する。
【0060】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0061】
図8は、実施形態2における列車1の外観構成を概略的に示す側面図である。
図8に示すように、本実施形態における列車1は、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dが1つの筐体5に収容されていない点で実施形態1と異なる。
【0062】
すなわち、列車1は、第1端部E1における側面に設けられ、列車1の第2端部E2側を向いて、複数のドアのうちの少なくとも一部のドアから乗降する撮像対象を撮像する第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dを備えている。第1カメラ11Nは、第1光軸AX1および第1焦点距離を有し、第2カメラ11Dは、第2光軸AX2を有するとともに、前記第1焦点距離よりも長い第2焦点距離を有する。そして、第2光軸AX2と水平方向とがなす角度θ20は、第1光軸AX1と水平方向とがなす角度θ10よりも小さい。
図8では、側面視におけるプラットホームPFの表面に対応する線の方向を、水平方向とみなしている。
【0063】
上記の構成によれば、焦点距離が相対的に短い第1カメラ11Nにより、列車1の第1端部E1に近い領域の画像を撮像し、焦点距離が相対的に長い第2カメラ11Dにより、第1端部E1から遠い領域の画像を撮像することができる。第2カメラ11Dの画角は、第1カメラ11Nの画角よりも狭くなるが、第2光軸AX2と水平方向とがなす角度θ20を第1光軸AX1と水平方向とがなす角度θ10よりも小さくすることにより、所望の撮像範囲を第2カメラ11Dの画角内に収めることが可能となる。
【0064】
本実施形態における第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dは、それぞれ個別の筐体を有する撮像装置(カメラ)とすることができる。第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dは、列車1の進行方向D1に対して前方側および後方側のうち同じ側を向くように隣接するとともに、第1光軸AX1および第2光軸AX2が交差する配置にて設置されていてよい。このような第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dを列車1の第1端部E1に設置することにより、列車1の離れた箇所に複数のカメラを設置する場合よりも、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dの設置に必要な配線などの設備を低減することができる。
【0065】
また、本実施形態における列車1は、少なくとも1つのドアをそれぞれ備える第1車両V1および第2車両V2を備えている。第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dは、第1車両V1に設けられており、第2カメラ11Dは、第2車両V2が備えるドアから乗降する撮像対象を撮像する。
【0066】
上記の構成によれば、第1カメラ11Nを第1車両V1に設置し、第2カメラ11Dを第2車両V2に設置する場合よりも、カメラの設置に必要な配線などの設備を低減することができる。
【0067】
〔実施形態3〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0068】
本実施形態に係る監視システム300について、
図9および
図10を参照しつつ説明する。
図9は、監視システム300の構成を示す機能ブロック図である。
図9に示すように、監視システム(表示システム)300は、モニタ120、表示制御装置310、記憶部320およびカメラCを備えている。ここでは、第1車両V1に備えられたカメラC11およびカメラC12を総称してカメラCと称している。また、監視システム300は、伝送装置110(
図1参照)を含んでいてもよい。
図9では伝送装置110の図示を省略している。なお、以下に説明することは、第2車両V2におけるカメラC21、カメラC22およびモニタ220を含む監視システムにおいても同じであってよい。
【0069】
モニタ120は、表示画面を備えた表示装置であり、例えば、液晶表示装置である。表示装置の種類は特に限定されない。モニタ120には、カメラCが撮像した映像が表示される。カメラCには、それぞれ第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dが備わっており、モニタ120は、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dの撮像データが示す像をそれぞれ表示する。運転手は、モニタ120を見ることにより、第1車両V1または第2車両V2のドアから乗降する乗客および補助犬(盲導犬)等の動物(撮像対象)の有無およびその行動を確認することができる。
【0070】
第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dが取得した撮像データは、通信ケーブル(配線)を介して表示制御装置310に送信される。表示制御装置310は、当該撮像データをモニタ120に表示させるときの表示態様を制御する。
【0071】
記憶部320は、表示制御装置310が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものでもある。記憶部320は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成される。
【0072】
図10は、モニタ120の表示画面の一例を示す図である。
図10に示すように、モニタ120には、列車1の進行方向D1前方側の第1端部E1に位置するカメラCであって、プラットホームPF側に位置するカメラC(動作カメラCと称する)が備える第1カメラ11Nが撮像した映像IM1がモニタ120の表示画面の左側に表示される。
図1に示す例では、カメラC11が動作カメラCとなる。また、モニタ120の表示画面の右側には、動作カメラCが備える第2カメラ11Dが撮像した映像IM2が表示される。
【0073】
複数のカメラCのうち、いずれを動作カメラCとするかは、運転手(乗務員)が指定してもよいし、車両の運行状況に応じて表示制御装置310が判断してもよい。例えば、車両の位置情報と、動作させるカメラCと、の対応関係が記憶部320に予め格納されており、表示制御装置310が、車両の位置情報に基づいて、動作させるカメラCを特定してもよい。
【0074】
以上のように、本実施形態における監視システム300は、乗降用の複数のドア(ドア101~106、201~206)が設けられた列車1における、上記ドアおよびその周辺を監視するシステムである。監視システム300は、車両(例えば第1車両V1)の第1端部E1における側面に設けられ、車両の第2端部E2側を向いて、上記複数のドアのうちの少なくとも一部のドアから乗降する撮像対象を撮像する第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dと、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dの撮像データが示す像をそれぞれ表示する表示装置(例えばモニタ120)と、を備えている。
【0075】
上記の構成によれば、列車1の離れた箇所に複数の車側カメラを設置する場合よりも、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dの設置に必要な配線などの設備を低減することができる。そのため、列車1に監視システム300を構築し易くできる。
【0076】
前述のように、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dは、筐体5に収納されていなくてもよく、列車1の側面において、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dをそれぞれ別個の撮像機器として互いに隣接して設置した場合においても、上記したことと同様の効果を奏する。
【0077】
第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dが設けられている車両(
図8に示す例では第1車両V1)を特定車両と称する。モニタ120は、特定車両に設置されている。本実施形態における監視システム300では、第1カメラ11Nおよび第2カメラ11Dとモニタ120とを接続する配線が、特定車両内にのみ設けられていてよい。このような監視システム300では、第1車両V1と第2車両V2の間に、列車1における制御回路とは異なる、モニタ120への表示用の通信ケーブルを設置不要とすることができる。したがって、配線等の設備を効果的に簡略化することができる。
【0078】
(その他の構成例)
表示制御装置310は、第1カメラ11Nの映像IM1と第2カメラ11Dの映像IM2とを互いに同じ大きさで表示してもよいし、第2カメラ11Dの映像IM2を第1カメラ11Nの映像IM1よりも大きく表示してもよい。第2カメラ11Dは、比較的遠方を撮像するカメラであるため、当該表示態様により、第2カメラ11Dによって撮像された撮像対象を視認しやすくできる。
【0079】
〔附記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 列車
11D 第2カメラ
11N 第1カメラ
101~106 ドア
AX1 第1光軸
AX2 第2光軸
C11 カメラ
V1 第1車両
V2 第2車両